説明

プリンタ装置、プリンタ装置の制御方法

【課題】本来の印刷機能に影響を与えることなく、かつ、装置を複雑化することなく、印刷情報の漏洩を防ぐことができるプリンタ装置、プリンタ装置の制御方法を提供する。
【解決手段】プリンタ装置100は、装着部150に装着されたインクリボンカートリッジ200内のインクリボン300の残量、及び、インクリボン300をその終端近傍まで使用したか否かを監視するインクリボン監視部171と、インクリボン監視部171によりインクリボン300が終端近傍まで使用されたことを知得した後に、使用済みのインクリボン300を回収軸202へ巻き取る制御を行うインクリボンエンド巻き取り制御部173とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンを用いて印刷を行うプリンタ装置、プリンタ装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱転写印刷や昇華型熱転写印刷を行うプリンタ装置では、インクリボンが用いられる。これらのプリンタ装置では、サーマルヘッドによりインクリボン上のインクを印刷用紙上に転写し、インクリボンは常に新しい部分が使われるように巻き取られながら使用される。このようなインクリボンの使用済みの領域では、印刷に用いられた部分でのみインクが転写されるので、インクが転写された部分については、印刷した文字や図形等の形のままインクが抜けた状態となる。一方、使用済みの領域であっても、印刷に用いられなかった部分には、インクが残存する。よって、インクリボンの使用済みの領域では、インクが抜けた部分とインクが残存している部分とが明確に区別できるように残像として残り、この残像が目視されることにより印刷情報が漏洩する場合があるという問題があった。
【0003】
このような問題に対して、インクリボン上の残像を抹消する技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−86424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術では、印刷後に全面印刷と同等の処理を行い残像の抹消処理を行うので、連続的に印刷を行うときには、全体として印刷速度の低下を招くという問題があった。
また、抹消用プラテンを設ける必要もあり、装置が複雑化してしまうという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、本来の印刷機能に影響を与えることなく、かつ、装置を複雑化することなく、印刷情報の漏洩を防ぐことができるプリンタ装置、プリンタ装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0008】
請求項1の発明は、未使用のインクリボン(300)を巻き付けた供給部(201)及び使用済みの前記インクリボンを巻き取る回収部(202)を有するインクリボンカートリッジ(200)が装着される装着部(150)と、前記装着部に装着された前記インクリボンカートリッジ内のインクリボンの残量及び/又はインクリボンをその終端近傍まで使用したか否かを監視するインクリボン監視部(171)と、前記インクリボン監視部により前記インクリボンの残量が使用限界量を下回ったことを知得した後、及び/又は、前記インクリボンが終端近傍まで使用されたことを知得した後に、使用済みの前記インクリボンを前記回収部へ巻き取る制御を行うインクリボンエンド巻き取り制御部(173)と、を備えるプリンタ装置(100)である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のプリンタ装置において、前記インクリボンエンド巻き取り制御部(173)は、少なくとも前記インクリボン(300)の使用済みの領域が前記インクリボンカートリッジ(200)の外部から見えない位置となるまで前記インクリボンを前記回収部(202)へ巻き取ること、を特徴とするプリンタ装置(100)である。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のプリンタ装置において、印刷位置(P1)と、前記インクリボンカートリッジ(200)の交換が可能となるように前記印刷位置から退避する交換退避位置(P3)との間を移動可能に設けられた印刷ヘッド(140)を有し、前記インクリボンエンド巻き取り制御部(173)は、使用済みの前記インクリボンを前記回収部(202)へ巻き取る前に前記印刷ヘッドを前記交換退避位置よりも前記印刷位置からの退避量が少ない巻き取り退避位置(P2)まで退避させること、を特徴とするプリンタ装置(100)である。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3に記載のプリンタ装置において、前記インクリボンエンド巻き取り制御部(173)は、使用済みの前記インクリボン(300)を前記回収部(202)へ巻き取り終えた後、前記印刷ヘッド(140)を前記交換退避位置(P3)まで退避させること、を特徴とするプリンタ装置(100)である。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1又は請求項2に記載のプリンタ装置において、前記インクリボン(300)は、その終端近傍(300b)がインクリボンとして使用される部分とは異なる形態となるように形成されていること、を特徴とするプリンタ装置(100)である。
【0013】
請求項6の発明は、装着部(150)に装着されたインクリボンカートリッジ(200)内のインクリボン(300)の残量又はインクリボンをその終端近傍まで使用したか否かを監視するインクリボン監視ステップ(S120)と、前記インクリボン監視ステップにより前記インクリボンの残量が使用限界量を下回ったことを知得した後、又は、前記インクリボンが終端近傍まで使用されたことを知得した後に、使用済みの前記インクリボンを回収部(202)へ巻き取る制御を行うインクリボンエンド巻き取り制御ステップ(S160)と、を備えるプリンタ装置(100)の制御方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0015】
(1)プリンタ装置は、インクリボンカートリッジが装着される装着部と、装着部に装着されたインクリボンカートリッジ内のインクリボンの残量及び/又はインクリボンをその終端近傍まで使用したか否かを監視するインクリボン監視部と、インクリボン監視部によりインクリボンの残量が使用限界量を下回ったことを知得した後、及び/又は、インクリボンが終端近傍まで使用されたことを知得した後に、使用済みのインクリボンを回収部へ巻き取る制御を行うインクリボンエンド巻き取り制御部とを備える。よって、プリンタ装置は、本来の印刷機能に影響を与えることなく、かつ、装置を複雑化することなく、印刷情報の漏洩を防ぐことができる。
【0016】
(2)インクリボンエンド巻き取り制御部は、少なくともインクリボンの使用済みの領域がインクリボンカートリッジの外部から見えない位置となるまでインクリボンを回収部へ巻き取る。よって、プリンタ装置は、印刷情報の漏洩を防ぐことができる。
【0017】
(3)インクリボンエンド巻き取り制御部は、使用済みのインクリボンを回収部へ巻き取る前に印刷ヘッドを交換退避位置よりも印刷位置からの退避量が少ない巻き取り退避位置まで退避させる。よって、プリンタ装置は、用紙を汚したりすることなくインクリボンを巻き取ることができる。
【0018】
(4)インクリボンエンド巻き取り制御部は、使用済みのインクリボンを回収部へ巻き取り終えた後、印刷ヘッドを交換退避位置まで退避させる。よって、使用者は、使い終わったインクリボンカートリッジの交換を容易に行える。
【0019】
(5)インクリボンは、その終端近傍がインクリボンとして使用される部分とは異なる形態となるように形成されている。よって、プリンタ装置は、インクリボンの終端近傍の検出を精度よく行える。
【0020】
(6)プリンタ装置の制御方法は、装着部に装着されたインクリボンカートリッジ内のインクリボンの残量又はインクリボンをその終端近傍まで使用したか否かを監視するインクリボン監視ステップと、インクリボン監視ステップによりインクリボンの残量が使用限界量を下回ったことを知得した後、又は、インクリボンが終端近傍まで使用されたことを知得した後に、使用済みのインクリボンを回収部へ巻き取る制御を行うインクリボンエンド巻き取り制御ステップとを備える。よって、プリンタ装置は、本来の印刷機能に影響を与えることなく、かつ、装置を複雑化することなく、印刷情報の漏洩を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明によるプリンタ装置の実施形態を示す図である。
【図2】インクリボンカートリッジ200が装着されている部分を拡大して示す図である。
【図3】インクリボンカートリッジ200をYマイナス側かつZマイナス側から見た斜視図である。
【図4】操作レバー通過孔207aと操作レバー142との関係を示す図である。
【図5】インクリボンカートリッジ200をYマイナス側かつZプラス側から見た斜視図である。
【図6】プリンタ装置100とインクリボンカートリッジ200とを示すブロック図である。
【図7】プリンタ装置100の動作を示すフローチャートである。
【図8】インクリボンセンサ210に終端領域300bが到達した状態を示す斜視図である。
【図9】S150において印刷ヘッド140を巻き取り退避位置(P2)へ退避させた状態を示す図である。
【図10】S170において、インクリボンエンド巻き取り制御部173が、インクリボン300を回収軸202へ巻き取る動作が完了したと判断したときの状態を示す図である。
【図11】S180において印刷ヘッド140を交換退避位置(P3)へ退避させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0023】
(実施形態)
図1は、本発明によるプリンタ装置の実施形態を示す図である。図1は、一部を断面として示している。また、図1を含め以下に示す図中には、必要に応じて統一した方向にXYZ直交座標を示している。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0024】
本実施形態のプリンタ装置100は、媒体供給部110と、供給ローラ121と、排出ローラ122と、プラテンローラ130(130Y,130M,130C,130K)と、印刷ヘッド140(140Y,140M,140C,140K)と、装着部150(150Y,150M,150C,150K)とを備えている。
【0025】
媒体供給部110は、印刷前の媒体ロール111が回転可能に装填されている。媒体供給部110は、媒体ロール111から用紙400を順次供給する。本実施形態の媒体ロール111には、剥離紙上に仮貼付されたラベルが巻き付いたものである。なお、媒体ロール111から供給される剥離紙上に仮貼付されたラベル等の被印刷媒体を、以下の説明では、単に「用紙400」と呼ぶこととする。
【0026】
供給ローラ121は、用紙400を両側から挟んで回転することにより、媒体供給部110からプラテンローラ130へと用紙400を供給する。
排出ローラ122は、用紙400を両側から挟んで回転することにより、プリンタ装置100から用紙400を排出する。
供給ローラ121及び排出ローラ122は、後述の用紙搬送駆動部120により回転駆動される。
【0027】
プラテンローラ130(130Y,130M,130C,130K)は、CYMK(印刷順序の表記ではYMCK)の各色にそれぞれ1つずつが用紙400を挟んで印刷ヘッド140と対向する位置に配置されている。プラテンローラ130は、後述の用紙搬送駆動部120により回転駆動され、用紙400を搬送する。なお、以下の説明及び図では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)に対応する部位を表す符号の末尾には、「Y」「M」「C」「K」の文字をそのまま付している。また、これら部位について色毎に分けずに共通の説明を行うときには、「Y」「M」「C」「K」の文字を末尾から外して説明する。
【0028】
印刷ヘッド140(140Y,140M,140C,140K)は、装着部150(150Y,150M,150C,150K)のプラテンローラ130近傍に配置されている。上述したように、印刷ヘッド140は、用紙400を挟んでプラテンローラ130と対向する位置に配置されている。本実施形態の印刷ヘッド140は、インクリボンを局所的に加熱することにより、インクリボンのインクを用紙400に転写させるサーマルヘッドである。
【0029】
印刷ヘッド140は、印刷を行うときの印刷位置と、インクリボンカートリッジ200の交換が可能となるように印刷位置から退避する交換退避位置との間を移動可能に設けられている。また、印刷ヘッド140は、この印刷位置と交換退避位置との間の位置であって、印刷ヘッド140がインクリボン300から僅かに離れる巻き取り退避位置に退避して停止することもできる。図1中では、印刷ヘッド140K,140Cが印刷位置にある状態を示し、印刷ヘッド140Mが巻き取り退避位置に退避した状態を示し、印刷ヘッド140Yが交換退避位置に退避した状態を示している。
【0030】
装着部150(150Y,150M,150C,150K)には、インクリボンカートリッジ200(200Y,200M,200C,200K)が、色毎に決められた場所に装着される。装着部150には、不図示のガイド機構が設けられており、インクリボンカートリッジ200は、このガイド機構に案内されてZマイナス方向(紙面手前向き)からのみ着脱が可能となっている。
【0031】
図2は、インクリボンカートリッジ200が装着されている部分を拡大して示す図である。
プリンタ装置100は、さらに、ヘッド位置規制部材141と、操作レバー142とを備えている。なお、図2中では、印刷位置をP1とし、巻き取り退避位置をP2とし、交換退避位置をP3として、印刷ヘッド140とヘッド位置規制部材141と操作レバー142との3つの位置を、それぞれの符号の後の括弧中にP1からP3を併記して表している。
【0032】
ヘッド位置規制部材141は、印刷ヘッド140の位置を規制する部材である。印刷ヘッド140は、交換退避位置の方向へ不図示のばね等の付勢手段により常時付勢されている。ヘッド位置規制部材141は、印刷ヘッド140に接触して、印刷ヘッド140を付勢する付勢力に抗して印刷ヘッド140の位置を規制している。このヘッド位置規制部材141は、後述のヘッド位置規制部材駆動部143と接続されており、位置制御されて回転中心141aを中心として回転移動する。これにより、ヘッド位置規制部材141は、印刷ヘッド140の位置を印刷位置(P1)と、巻き取り退避位置(P2)と、交換退避位置(P3)とに規制する。
【0033】
操作レバー142は、インクリボンカートリッジ200の交換を行うときに、使用者が操作する部材である。操作レバー142とヘッド位置規制部材141とは、一体となって回転中心141aを中心として回転移動するように設けられている。したがって、操作レバー142を操作することにより、印刷ヘッド140は、印刷位置と交換退避位置との間を移動する。
【0034】
また、インクリボンカートリッジ200は、供給軸201と、回収軸202と、ガイドローラ203,204,205,206と、外殻部207と、インクリボンセンサ210とを備えている。
供給軸201は、インクリボン300の未使用の部分が巻き付けられている供給部である。
回収軸202は、使用済みのインクリボン300を巻き付けて回収する回収部である。
ガイドローラ203,204,205,206は、インクリボン300の搬送をガイドする。このうち、ガイドローラ204,205は、インクリボンカートリッジ200のYマイナス端付近にあって、ガイドローラ204の方がガイドローラ205よりもYマイナス側にずれて配置されている。
【0035】
外殻部207は、インクリボンカートリッジ200の外周を覆うカバー部品であり、不透明な材料により形成されている。
図3は、インクリボンカートリッジ200をYマイナス側かつZマイナス側から見た斜視図である。
外殻部207のZマイナス側には、操作レバー通過孔207aが設けられている。
操作レバー通過孔207aは、外殻部207のZマイナス側の面に形成された貫通孔である。操作レバー通過孔207aは、操作レバー142が交換退避位置(P3)にあるときにのみ操作レバー142が通過可能な形状になっている。
【0036】
図4は、操作レバー通過孔207aと操作レバー142との関係を示す図である。
操作レバー142が交換退避位置(P3)にあるときには、インクリボンカートリッジ200の着脱が可能である。一方、操作レバー142が交換退避位置(P3)以外の位置にあるときには、操作レバー142と外殻部207とが干渉してインクリボンカートリッジ200の着脱が不可能である。このように、操作レバー通過孔207aと操作レバー142との関係により、インクリボンカートリッジ200が不用意に外れることを防止するロック機構としての機能が実現されている。なお、この操作レバー通過孔207aと操作レバー142とによる部分の他に、他のロック機構が設けられていてもよい。
【0037】
図5は、インクリボンカートリッジ200をYマイナス側かつZプラス側から見た斜視図である。
外殻部207のZプラス側には、印刷ヘッド通過孔207bと、供給軸接続部201aと、回収軸接続部202aと、接点部210aとが設けられている。
印刷ヘッド通過孔207bは、外殻部207のZプラス側の面に形成された貫通孔である。印刷ヘッド通過孔207bには、インクリボンカートリッジ200を装着部150へ装着するときに印刷ヘッド140が挿入される。
【0038】
供給軸接続部201aは、供給軸201の一部であり、供給軸201がプリンタ装置100に設けられた不図示のプリンタ側供給軸と接続する部分である。
回収軸接続部202aは、回収軸202の一部であり、回収軸202がプリンタ装置100に設けられた不図示のプリンタ側回収軸と接続する部分である。
接点部210aは、後述のインクリボンセンサ210をプリンタ装置100と電気的に接続する接点である。
また、図3及び図5に示すように、外殻部207のYマイナス側は、全面が開口しており、インクリボン300が露出している。
【0039】
図2に戻って、インクリボンセンサ210は、インクリボン300が終端近傍に達したことを検出する透過型光センサである。本実施形態のインクリボン300は、終端近傍のリボンが、通常の印刷可能な印刷用領域300aと、この印刷用領域300aとは異なる光透過率の材料により形成された終端領域300bを有している(図8参照)。終端領域300bは、光透過率が印刷用領域300aよりも低く殆ど光を透過せず、かつ、光反射率が印刷用領域300aよりも高い銀色に形成されている。インクリボンセンサ210は、印刷用領域300aにおいて投光した光を受光した受光量に応じた電流値を出力する。また、インクリボンセンサ210は、終端領域300bにおいて投光した光が終端領域300bにより遮られて受光できない、又は、殆ど受光できない僅かな受光量に応じた電流値を出力する。後述するインクリボン監視部171は、このインクリボンセンサ210から得た電流値の変化に基づいて、インクリボン300をその終端近傍まで使用したか否かを判断する。なお、インクリボンセンサ210は、透過型光センサに限らず、例えば、反射型光センサを用いてもよいし、光に限らず、他の方式によりインクリボンの終端を検出してもよい。
【0040】
図6は、プリンタ装置100とインクリボンカートリッジ200とを示すブロック図である。
プリンタ装置100は、さらに、用紙搬送駆動部120と、ヘッド位置規制部材駆動部143と、リボン搬送駆動部160と、インクリボン監視部171と、印刷制御部172と、インクリボンエンド巻き取り制御部173とを備えている。
【0041】
用紙搬送駆動部120は、少なくとも1つのモータを駆動力源として有し、供給ローラ121と排出ローラ122とプラテンローラ130との駆動を行う。また、用紙搬送駆動部120は、用紙400の搬送量を検出する不図示の用紙搬送センサも備えている。
【0042】
ヘッド位置規制部材駆動部143は、ヘッド位置規制部材141を移動させる駆動力源となるモータを備えている。例えば、ヘッド位置規制部材駆動部143は、ステッピングモータを駆動力源として利用できる。
【0043】
リボン搬送駆動部160は、供給軸接続部201a及び回収軸接続部202aと接続する不図示のプリンタ側供給軸及びプリンタ側回収軸を回転駆動させる駆動力源となるモータを少なくとも1つ備えている。リボン搬送駆動部160は、プリンタ側供給軸及びプリンタ側回収軸それぞれに独立してモータを備えてもよいし、プリンタ側回収軸を駆動するモータのみを備えるようにしてもよい。
また、リボン搬送駆動部160は、プリンタ側供給軸及びプリンタ側回収軸それぞれの回転量を検出する不図示のロータリエンコーダ等の回転量検出部を備えている。
【0044】
インクリボン監視部171は、装着部150に装着されたインクリボンカートリッジ200のインクリボン300の残量、及び、インクリボン300をその終端近傍まで使用したか否かの監視を行う。具体的には、インクリボン監視部171は、リボン搬送駆動部160が備える不図示の回転量検出部から、プリンタ側供給軸及びプリンタ側回収軸それぞれの回転量を検出する。このプリンタ側供給軸とプリンタ側回収軸との回転量差から、インクリボン監視部171は、インクリボン300の残量を算出する。また、インクリボン監視部171は、インクリボンセンサ210から得られる電流値を監視し、終端領域300bに対応して変化する電流値が得られたときに、インクリボン300がその終端近傍まで使用されたと判断する。インクリボン監視部171は、インクリボン300を監視して得られた情報を、印刷制御部172及びインクリボンエンド巻き取り制御部173へ伝える。
印刷制御部172は、インクリボン300が未だ印刷可能な残量を有しているときに、通常の印刷動作を制御する。
【0045】
インクリボンエンド巻き取り制御部173は、インクリボン監視部171により、インクリボン300が終端近傍まで使用されたことを知得した後に、使用済みのインクリボン300をインクリボンカートリッジ200の回収軸202へ巻き取る制御を行う。すなわち、インクリボンセンサ210の位置に終端領域300bが到達したことが検出されたら、使用済みのインクリボン300をインクリボンカートリッジ200の回収軸202へ巻き取る制御を行う。
また、インクリボンエンド巻き取り制御部173は、使用済みのインクリボン300を回収軸202へ巻き取る動作を行わせる前に、ヘッド位置規制部材駆動部143を制御して、ヘッド位置規制部材141を駆動し、印刷ヘッド140を巻き取り退避位置(P2)まで退避させる。インクリボンエンド巻き取り制御部173は、この印刷ヘッド140の巻き取り退避位置(P2)への退避を行った後に、使用済みのインクリボン300を回収軸202へ巻き取る動作をリボン搬送駆動部160に行わせる。インクリボンエンド巻き取り制御部173は、少なくとも、外殻部207の開口部から使用済みのインクリボン300が見えなくなるまで使用済みのインクリボン300を回収軸202へ巻き取るように制御を行う。
さらに、インクリボンエンド巻き取り制御部173は、使用済みのインクリボン300を回収軸202へ巻き取り終えた後、印刷ヘッド140を交換退避位置(P3)まで退避させるように、ヘッド位置規制部材駆動部143を制御する。
【0046】
なお、上述のインクリボン監視部171と、印刷制御部172と、インクリボンエンド巻き取り制御部173とは、不図示のCPUとRAMとROM等により構成されたプリンタ装置100のコンピュータ上で実行されるプログラムにより実現される。
【0047】
次に、本実施形態のプリンタ装置100の動作について説明する。
図7は、プリンタ装置100の動作を示すフローチャートである。
ステップ(以下、Sとする)100では、印刷制御部172は、印刷データがあるか否かを判断する。印刷データがある場合には、S110へ進み、印刷データがない場合には、S100を繰り返す。
S110では、印刷制御部172は、用紙400への印刷を実行する
【0048】
S120では、インクリボン監視部171は、インクリボン300がリボンエンドに近づいたか否かを判断する。すなわち、インクリボン監視部171は、インクリボンセンサ210に終端領域300bが到達したか否かをインクリボンセンサ210から得られる電流値から判断する(インクリボン監視ステップ)。リボンエンドに近づいた場合には、S130へ進み、リボンエンドに近づいていない場合には、S100へ戻る。
【0049】
図8は、インクリボンセンサ210に終端領域300bが到達した状態を示す斜視図である。図8においてインクリボン300上にドットパターンを付した領域は、印刷用領域300aであり、通常の印刷を行える領域である。一方、インクリボン300上にドットパターンを付していない白く示した領域は、終端領域300bであり、銀色に形成されている領域である。
図8に示す位置に終端領域300bが到達すると、インクリボンセンサ210から出力される電流値に変化が生じる。インクリボン監視部171は、この電流値の変化によりインクリボンセンサ210に終端領域300bが到達したと判断を行う。
【0050】
図7に戻って、S130では、印刷制御部172は、1枚分の印刷を継続する。ここで、1枚分の印刷を継続するとは、S120においてリボンエンドに近づいたと検出された時点において印刷途中にあるラベル1枚分の印刷を、最後まで継続することである。インクリボンセンサ210の位置から印刷ヘッド140の位置までの間には、未使用の印刷用領域300aが存在しており、印刷制御部172は、この部分を用いて、印刷途中にあるラベル1枚分の印刷を行う。
S140では、印刷制御部172は、印刷動作を停止する。
【0051】
S150では、インクリボンエンド巻き取り制御部173は、印刷ヘッド140を巻き取り退避位置(P2)へ退避させるように制御を行う。すなわち、インクリボンエンド巻き取り制御部173は、ヘッド位置規制部材141を巻き取り退避位置(P2)に対応する位置まで移動させるようにヘッド位置規制部材駆動部143へ指示を出す。
【0052】
図9は、S150において印刷ヘッド140を巻き取り退避位置(P2)へ退避させた状態を示す図である。
印刷ヘッド140を巻き取り退避位置(P2)へ退避させたことにより、インクリボン300と用紙400とが離れて、インクリボン300のみを搬送しても、用紙400が汚れたりすることを防止できる。また、巻き取り退避位置(P2)では、操作レバー142が交換退避位置(P3)まで移動していないので、インクリボンカートリッジ200の取り外しを規制するロック状態を保っている。よって、このステップ以後に行われるインクリボン300を回収軸202へ巻き取る動作中に、インクリボンカートリッジ200が不安定になることを防止できる。
【0053】
図7に戻って、S160では、インクリボンエンド巻き取り制御部173は、インクリボン300を回収軸202へ巻き取る制御を行う(インクリボンエンド巻き取り制御ステップ)。
【0054】
S170では、インクリボンエンド巻き取り制御部173は、インクリボン300を回収軸202へ巻き取る動作が完了したか否かを判断する。本実施形態では、S120においてリボンエンドを検出した位置からのインクリボン300の搬送量をリボン搬送駆動部160が備える不図示の回転量検出部の検出結果に基づき算出する。そして、印刷用領域300aが外部から見えなくなる位置までインクリボン300が搬送される量だけ搬送が行われたら、インクリボンエンド巻き取り制御部173は、インクリボン300を回収軸202へ巻き取る動作が完了したと判断する。インクリボン300を回収軸202へ巻き取る動作が完了した場合には、S180へ進み、インクリボン300を回収軸202へ巻き取る動作が完了していない場合には、S160へ戻る。
【0055】
図10は、S170において、インクリボンエンド巻き取り制御部173が、インクリボン300を回収軸202へ巻き取る動作が完了したと判断したときの状態を示す図である。
本実施形態では、例えば、図10に示すように、印刷用領域300aがインクリボンカートリッジ200のYマイナス側端部付近から完全に離れる状態まで巻き取りを行う。なお、インクリボン300を回収軸202へ巻き取る動作は、さらに継続して、終端領域300bが回収軸202に巻き付くまで行ってもよいし、供給軸201に巻き付いているインクリボン300がなくなるまで行ってもよい。なお、供給軸201に巻き付いているインクリボン300がなくなるまで行う場合において、供給軸201とインクリボン300とがつながっていないタイプのインクリボンカートリッジ200の場合には、インクリボン300を回収軸202へ完全に巻き取ってしまい、インクリボンカートリッジ200のYマイナス側からインクリボン300が全く見えないようにするとよい。
【0056】
図7に戻って、S180では、インクリボンエンド巻き取り制御部173は、印刷ヘッド140を交換退避位置(P3)へ退避させるように制御を行う。すなわち、インクリボンエンド巻き取り制御部173は、ヘッド位置規制部材141を交換退避位置(P3)に対応する位置まで移動させるようにヘッド位置規制部材駆動部143へ指示を出す。
【0057】
図11は、S180において印刷ヘッド140を交換退避位置(P3)へ退避させた状態を示す図である。
印刷ヘッド140を交換退避位置(P3)へ退避させたことにより、操作レバー142も交換退避位置(P3)に移動し、そのまま使用済みのインクリボンカートリッジ200の交換作業を行うことができる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によれば、リボンエンドを検出するまでは、通常の印刷を行うことができる。また、インクリボンエンド巻き取り制御部173は、リボンエンドの検出に応じて使用済みのインクリボン300を外部から見えなくなる位置まで巻き取る。よって、本来の印刷機能に影響を与えることなく、かつ、装置を複雑化することなく、印刷情報の漏洩を防ぐことができる。
また、インクリボンエンド巻き取り制御部173は、リボンエンドの検出に応じて印刷ヘッド140を巻き取り退避位置まで退避させる。よって、インクリボンカートリッジ200を不安定にすることなく、かつ、用紙400を汚すことなくインクリボン300を巻き取ることができる。
さらに、インクリボンエンド巻き取り制御部173は、所定の位置までインクリボン300を巻き取った後に、印刷ヘッド140を交換退避位置までさらに退避させる。よって、その後に行われる交換作業をより簡単に行える。
【0059】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
【0060】
(1)本実施形態において、インクリボンセンサ210は、インクリボンカートリッジ200に設けられている例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、プリンタ装置側にインクリボンセンサ210と同様なセンサを設けてもよい。
【0061】
(2)本実施形態において、インクリボンエンド巻き取り制御部173は、インクリボンセンサ210によりインクリボンエンドを検出したことに応じて、インクリボン300を巻き取る制御を行う例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、インクリボンセンサ210を用いずに、リボン搬送駆動部160が有する回転量検出部による検出結果に基づいて算出したインクリボン300の残量に応じて、インクリボン300を巻き取る制御を行ってもよい。すなわち、インクリボンエンド巻き取り制御部173は、インクリボン監視部171によりインクリボン300の残量が使用限界量を下回ったことを知得した後にインクリボン300を巻き取る制御を行うようにしてもよい。このようにすることにより、プリンタ装置は、インクリボン300の終端領域300bに相当する部分を備えないインクリボンを用いても、印刷情報の漏洩を防ぐことができる。
【0062】
(3)本実施形態において、プリンタ装置100は、4色の印刷を行う例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、黒色のみの印刷を行うプリンタ装置であってもよい。
【0063】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0064】
100 プリンタ装置
110 媒体供給部
111 媒体ロール
120 用紙搬送駆動部
121 供給ローラ
122 排出ローラ
130(130Y,130M,130C,130K) プラテンローラ
140(140Y,140M,140C,140K) 印刷ヘッド
141 ヘッド位置規制部材
141a 回転中心
142 操作レバー
143 ヘッド位置規制部材駆動部
150(150Y,150M,150C,150K) 装着部
160 リボン搬送駆動部
171 インクリボン監視部
172 印刷制御部
173 インクリボンエンド巻き取り制御部
200(200Y,200M,200C,200K) インクリボンカートリッジ
201 供給軸
201a 供給軸接続部
202 回収軸
202a 回収軸接続部
203,204,205,206 ガイドローラ
207 外殻部
207a 操作レバー通過孔
207b 印刷ヘッド通過孔
210 インクリボンセンサ
210a 接点部
300 インクリボン
300a 印刷用領域
300b 終端領域
400 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未使用のインクリボンを巻き付けた供給部及び使用済みの前記インクリボンを巻き取る回収部を有するインクリボンカートリッジが装着される装着部と、
前記装着部に装着された前記インクリボンカートリッジ内のインクリボンの残量及び/又はインクリボンをその終端近傍まで使用したか否かを監視するインクリボン監視部と、
前記インクリボン監視部により前記インクリボンの残量が使用限界量を下回ったことを知得した後、及び/又は、前記インクリボンが終端近傍まで使用されたことを知得した後に、使用済みの前記インクリボンを前記回収部へ巻き取る制御を行うインクリボンエンド巻き取り制御部と、
を備えるプリンタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタ装置において、
前記インクリボンエンド巻き取り制御部は、少なくとも前記インクリボンの使用済みの領域が前記インクリボンカートリッジの外部から見えない位置となるまで前記インクリボンを前記回収部へ巻き取ること、
を特徴とするプリンタ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプリンタ装置において、
印刷位置と、前記インクリボンカートリッジの交換が可能となるように前記印刷位置から退避する交換退避位置との間を移動可能に設けられた印刷ヘッドを有し、
前記インクリボンエンド巻き取り制御部は、使用済みの前記インクリボンを前記回収部へ巻き取る前に前記印刷ヘッドを前記交換退避位置よりも前記印刷位置からの退避量が少ない巻き取り退避位置まで退避させること、
を特徴とするプリンタ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のプリンタ装置において、
前記インクリボンエンド巻き取り制御部は、使用済みの前記インクリボンを前記回収部へ巻き取り終えた後、前記印刷ヘッドを前記交換退避位置まで退避させること、
を特徴とするプリンタ装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のプリンタ装置において、
前記インクリボンは、その終端近傍がインクリボンとして使用される部分とは異なる形態となるように形成されていること、
を特徴とするプリンタ装置。
【請求項6】
装着部に装着されたインクリボンカートリッジ内のインクリボンの残量又はインクリボンをその終端近傍まで使用したか否かを監視するインクリボン監視ステップと、
前記インクリボン監視ステップにより前記インクリボンの残量が使用限界量を下回ったことを知得した後、又は、前記インクリボンが終端近傍まで使用されたことを知得した後に、使用済みの前記インクリボンを回収部へ巻き取る制御を行うインクリボンエンド巻き取り制御ステップと、
を備えるプリンタ装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−207088(P2011−207088A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77692(P2010−77692)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】