説明

プリンタ装置

【課題】インクリボンカートリッジの挿脱が容易で、かつ装置本体の小型化や配置スペース上、有利なポップアップ型のカートリッジ挿入機構を有するプリンタ装置を提供する。
【解決手段】天板6が下方に回動されたことを検出する蓋閉検出スイッチと、インクリボンカートリッジホルダにインクリボンカートリッジ2に装着されたことを検出するカートリッジ検出スイッチ164と、装置本体を動作させるモータ駆動部182を制御する制御部183とを備え、上記制御部183は、上記蓋閉検出スイッチ及びカートリッジ検出スイッチ164の検出出力に応じて、上記インクリボンカートリッジホルダにインクリボンカートリッジ2に装着された状態で、上記インクリボンカートリッジ2のインクリボン10を上記サーマルヘッド140と対向させる印刷位置まで上記天板6が下方に回動された場合に、上記モータ駆動部182の駆動制御を可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンが収納されたインクリボンカートリッジを収納し、サーマルヘッドによってインクリボンの色材を印刷媒体に熱転写するプリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷媒体に画像や文字を印刷するプリンタ装置としては、インクリボンの一方の面に設けられたインク層を形成する色材を昇華させ、印刷媒体に色材を熱転写させてカラー画像や文字を印刷する熱転写型のプリンタ装置がある。この種のプリンタ装置は、インクリボンの色材を印刷媒体に熱転写させるサーマルヘッドと、このサーマルヘッドと対向する位置に設けられ、インクリボン及び印刷媒体を支持するプラテンとを備える。
【0003】
かかるプリンタ装置は、インクリボンがサーマルヘッド側となり、印刷媒体がプラテン側となるように、インクリボンと印刷媒体とを重ね合わせ、プラテンでインクリボンと印刷媒体とをサーマルヘッドに押圧しながらサーマルヘッドとプラテンとの間にインクリボンと印刷媒体とを走行させる。この際に、プリンタ装置は、サーマルヘッドとプラテンとの間を走行するインクリボンに対して、裏面側からインク層に熱エネルギを印加し、その熱エネルギで色材を昇華させ、色材を印刷媒体に熱転写させることで、カラー画像や文字を印刷する。
【0004】
このようなプリンタ装置は、装置本体内に、インクリボンが巻回された一対のスプールが収納されたインクリボンカートリッジが装着される装着部を備える。インクリボンが収納されたインクリボンカートリッジは、一方のスプールに未使用のインクリボンが巻回され、他方のスプールに使用済みのインクリボンが巻回される。そしてインクリボンカートリッジは、プリンタ装置に装着されると、装置本体内に設けられた走行機構に操作されることによってインクリボンが一方のスプールから引き出され、サーマルヘッドによる熱転写工程に供されたのち、他方のスプールに巻回されていく。
【0005】
インクリボンカートリッジを交換する場合や、プリンタ装置を初めて使用する場合等は、プリンタ装置に対して、インクリボンカートリッジの挿脱が行われる。ここで、インクリボンカートリッジの挿脱孔が装置本体の側面に設けられていると、インクリボンカートリッジの挿脱の際に装置本体の側面側に挿脱用のスペースが必要となる。このため、ユーザにとってはプリンタ装置の配置場所に制約があって使い勝手が悪い。また、装置本体の側面からインクリボンカートリッジの挿脱を行うため、インクリボンカートリッジの移動領域や挿脱孔が設けられた装置本体の側面には印刷媒体やインクリボン等の搬送機構等を設けることができず、装置本体の小型化を図ることができず、また省スペース設計の自由度が狭められるとともに、インクリボンカートリッジの装着後にサーマルヘッドをインクリボンに対峙させるための構成及び動作を要し、装置本体の構成が複雑化し、また印刷動作に相当の時間がかかる。さらにユーザにとって、装置本体の正面を向きながらインクリボンカートリッジを側面に設けられた挿脱孔に挿入する必要があり、挿脱動作がやりにくくなる。
【0006】
【特許文献1】特開平6−340136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、インクリボンカートリッジの挿脱が容易で、かつ装置本体の小型化や配置スペース上、有利なポップアップ型のカートリッジ挿入機構を有するプリンタ装置を提供すると共に、開放時にギヤ等が動き、これに指先等触れる危険を防止することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前面に上記被印刷媒体が挿入及び排出される装置本体と、上記装置本体に対して上下方向に開閉可能に配設された天板と、上記天板と連結され、インクリボンが収納されたインクリボンカートリッジが装着されるインクリボンカートリッジホルダと、上記インクリボンカートリッジホルダに装着されたインクリボンカートリッジの上記インクリボンを加熱して上記被印刷媒体に対して画像を印刷するサーマルヘッドと、上記天板が上方に回動されることにより上記前面側より外方に臨まされ上記インクリボンカートリッジの挿脱が行われる挿脱位置と、上記天板が下方に回動されることにより上記インクリボンカートリッジのインクリボンを上記サーマルヘッドと対向させる印刷位置とに亘って上記インクリボンカートリッジホルダを移動させるポップアップ型のカートリッジ挿入機構を有するプリンタ装置であって、上記インクリボンカートリッジのインクリボンを上記サーマルヘッドと対向させる印刷位置まで上記天板が下方に回動されたことを検出する蓋閉検出手段と、上記インクリボンカートリッジホルダにインクリボンカートリッジに装着されたことを検出するカートリッジ検出手段と、上記装置本体を動作させる駆動手段を制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、上記蓋閉検出手段及びカートリッジ検出手段の検出出力に応じて、上記インクリボンカートリッジホルダにインクリボンカートリッジに装着された状態で、上記インクリボンカートリッジのインクリボンを上記サーマルヘッドと対向させる印刷位置まで上記天板が下方に回動された場合に、上記駆動手段の駆動制御を可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、ポップアップ型のカートリッジ挿入機構を有するプリンタ装置において、蓋閉検出手段とカートリッジ検出手段が同時にONとなった場合のみ機構部を動作させる構成とすることにより、より安全に保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0012】
本発明は、例えば図1に示すような構成のプリンタ装置1に適用される。
【0013】
このプリンタ装置1は、図1に示すように、インクリボンを収納したインクリボンカートリッジ2が装着され、複数の発熱抵抗体が形成されたサーマルヘッド140とこのサーマルヘッド140と対向する位置に設けられたプラテンローラ155との間に、インクリボンと印画紙4とを走行させ、サーマルヘッド140により熱エネルギをインクリボン10に印加することによって、インクリボン10の染料を印画紙に熱転写し、印画紙4に画像を印刷するものであり、印画紙4が収納された印画紙トレイ5が装着されるとともに、インクリボンカートリッジ2が装着され、印画紙4を内外に亘って搬送し印刷を行う略矩形状のプリンタ装置本体1100と、この装置本体1100に電源ケーブル1210を介して外部接続された外部電源装置1200からなる。
【0014】
このプリンタ装置1は、図2に示すように、装置本体1100の前面3aに印画紙4が収納された印画紙トレイ5が装着される開口部8が形成され、この前面3a側より装置本体1100内へ印画紙4の挿入、排出が行われるものである。また、プリンタ装置1は、図3に示すように、上下方向に回動自在に設けられ装置本体1100の上面3bを構成する天板6を有し、この天板6が上方に回動されることにより、天板6とともに上方に回動されるインクリボンカートリッジホルダ7が前面3a側より外方に臨まされ、前面3a側よりインクリボンカートリッジ2の挿脱が行われるものである。
【0015】
そしてプリンタ装置1は、装置本体1100に設けられた記録メディア用スロットに装着された記録メディアやUSB等を介して接続されたデジタルスチルカメラ等の各種記録媒体に記録された画像情報が伝送され、かかる画像情報を基にサーマルヘッドにより熱エネルギをインクリボンに印加するとともに、印画紙トレイ5に収納された印画紙4を搬送することにより、所定の画像を印刷していく。
【0016】
かかるプリンタ装置1は、前面3a側より印画紙4の挿入及び排出が行われるとともに、前面3a側よりインクリボンカートリッジ2の挿脱が可能に形成されていることから、インクリボンカートリッジが装置本体の側面から挿脱されるタイプのプリンタ装置に比して、装置本体の側面側にインクリボンカートリッジ2の挿脱用のスペースを確保する必要がなく、プリンタ装置1の配置場所の省スペース化を図り、使い勝手の向上を図ることができる。
【0017】
またユーザは、装置本体1100の正面を向きながら、装置本体1100の前面3a側に開口されたインクリボンカートリッジホルダ7へインクリボンカートリッジ2を挿脱させることとなるため、挿脱動作が容易となる。さらに装置本体の側面からインクリボンカートリッジの挿脱を行うタイプに比して、プリンタ装置1は、装置本体1100の側面部に印画紙4の搬送機構220やインクリボン10の走行機構210等を配設することができ、またインクリボンカートリッジ2の装着と同時にサーマルヘッド140とインクリボン10とを対峙させることができる。
【0018】
以下、かかるプリンタ装置1に収納されるインクリボンカートリッジ2について説明し、次いで、プリンタ装置1の構成について説明していく。
【0019】
このインクリボンカートリッジ2は、印画紙4に染料を熱転写してカラー印刷を行う熱転写型のプリンタ装置1に装着される。このインクリボンカートリッジ2は、図4及び図5に示すように、印画紙4に転写される染料層が形成されたインクリボン10が巻回された供給側スプール11と、インクリボン10を巻き取る巻取側スプール12と、インクリボン10が巻回された供給側スプール11及び巻取側スプール12とを収納するカートリッジ本体13とを備えている。
【0020】
インクリボン10は、図6に示すように、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム等の合成樹脂フィルムでなる基材10aの一方の面に、画像を形成するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の染料と熱可塑性樹脂とで形成された染料層10b、10c、10d及び例えば染料層10b、10c、10dと同じ熱可塑性樹脂で形成された保護層10eが一定の間隔を持って長手方向に順次繰り返し設けられている。そして、基材10aには、染料層10b、10c、10d及び保護層10eを一組として、順次、長手方向に並んで形成されている。染料層10b、10c、10d及び、保護層10eは、サーマルヘッド140により印刷する画像データに応じた熱エネルギが印加されることによって、後述する印画紙4の受容層4bに順次熱転写される。
【0021】
かかるインクリボン10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の染料層10b〜10d及び保護層10eを1枚の画像を印刷するのに用いるようになっている。そして、インクリボン10は、一端部が供給側スプール11に係止され、他端部が巻取側スプール12に巻回され、印刷の進行に従って、順次、供給側スプール11から供給され、巻取側スプール12に巻き取られる。
【0022】
なお、本発明で使用するインクリボン10は、少なくとも一の染料層と保護層を有していれば、その他の構成は特に限定されるものではない。例えば、インクリボン10は、ブラック(K)の染料層と保護層で構成されていても良く、また、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)ブラック(K)の染料層と保護層とで構成されていても良い。
【0023】
供給側スプール11及び巻取側スプール12は、図5及び図7に示すように、インクリボン10が巻回される軸部14を有し、この軸部14の両側にフランジ部15,15が形成されている。供給側スプール11の軸部14には、インクリボン10の一端部が接着剤又は係止部材によって係止され、巻取側スプール12の軸部14には、インクリボン10の他端部が接着剤又は係止部材によって係止される。フランジ部15,15は、軸部14に巻回されるインクリボン10の軸線方向にわたる巻回位置の規制をする。
【0024】
また、供給側スプール11及び巻取側スプール12の各軸部14の一端部14aには、フランジ部15の外周に、軸部14と同心の支軸部16を介してラチェットギヤ17が形成されている。ラチェットギヤ17は、後述するスプールロック61に係止されることにより供給側スプール11及び巻取側スプール12の回動を規制するとともに、プリンタ装置1に装着されるとこのプリンタ装置1に配設されたインクリボン走行機構210と係合され、巻取側スプール12を回転するためのものである。またフランジ部15の先に設けられた支軸部16は、これら供給側スプール11及び巻取側スプール12が収納される供給側スプール収納部23及び巻取側スプール収納部24に設けられた軸受部25,26に回転自在に支持されるとともに、軸受部25,26と隣接して設けられた突当て壁29と当接される。
【0025】
また、供給側スプール11及び巻取側スプール12の各軸部14のラチェットギヤ17が形成された一端部と反対側の他端部14bには、フランジ部15の先に突部18が形成されている。この突部18は、供給側スプール収納部23及び巻取側スプール収納部24に設けられた軸受部27,28に支持されるとともに、付勢部材20により軸部14の軸線方向に常時付勢されている。
【0026】
この付勢部材20は、薄い金属板を折り曲げて形成され、後述するカートリッジ本体13の側面に形成されたガイド部31内に配設されている。付勢部材20は、長尺状に形成されるとともに全体的に弓なり反った形をしており、また長手方向の両端を供給側スプール11及び巻取側スプール12の軸部14側に向かって折り曲げられ、かつ先端部が円弧状に湾曲されて各軸部14の突部18と当接されている。そして付勢部材20は、両端部がカートリッジ本体13の側面と突部18との間に位置するように配設されることにより、常時突部18を軸部14の軸線方向に付勢する。
【0027】
ここで、供給側スプール11及び巻取側スプール12を支持する軸受部25〜28は、各フランジ部15,15間よりも若干長い距離を隔てて設けられているため、供給側スプール11及び巻取側スプール12は、フランジ部15,15が軸受部25〜28と摺接することなくスムーズに回動される。一方で、供給側スプール11及び巻取側スプール12は、軸線方向にがたつきが生じうるが、上記付勢部材20によって常時突部18が軸線方向に付勢されているため、軸部14の一端部14aに設けられた支軸部16の先端が突当て壁29に突き当てられ、供給側スプール収納部23及び巻取側スプール収納部24内においてがたつくことなく収納される。すなわち、突当て壁29は、供給側スプール11及び巻取側スプール12のラチェットギヤ17側の支軸部16が突き当てられることで、カートリッジ本体13内における供給側スプール11及び巻取側スプール12の軸線方向の位置決めをする際の基準壁とされている。これにより、供給側スプール11及び巻取側スプール12に巻回されるインクリボン10は、カートリッジ本体13内における巻回位置が安定され、インクリボンカートリッジ2が装着位置に搬送された際にもサーマルヘッド140及びプラテンローラ155と精度良く対峙される。
【0028】
また付勢部材20に当接される突部18は、突当て壁29に突き当てられる支軸部16よりも大径に形成されている。すなわち、供給側スプール11及び巻取側スプール12は、径の大きい突部18の先端で付勢部材20の付勢力を受け、径の小さな支軸部16の先端で突当て壁29に押圧されることから、支軸部16と突当て壁29とが低摩擦で摺接され、回転駆動に伴うロストルクやトルク変動を低減させ、また消費電力も抑えることができる。
【0029】
なお、付勢部材20は、薄い板金を折り曲げて形成する以外にも、コイルバネを用いることもできる。
【0030】
また支軸部16は、軸部14と同心円状の円柱体からなり、突当て壁29に突き当てられる先端面16aが、図8(a)に示すように平坦面に、あるいは図8(b)に示すように円弧面をなすように形成されている。支軸部16は先端面16aが円弧面をなすように形成されることにより、突当て壁29との摩擦が小さくなり、スムーズな回転が可能となる。
【0031】
以上のように構成された供給側スプール11及び巻取側スプール12が回転自在に収納されるカートリッジ本体13は、図5に示すように、カートリッジ本体13の上面を構成するアッパシェル21と、供給側スプール11及び巻取側スプール12が回転自在に収納されるロアシェル22とを備え、これらアッパシェル21及びロアシェル22とが突き合わせ結合されることにより係合機構30によって結合されて形成される。
【0032】
このカートリッジ本体13は、全体を略矩形状に形成され、長手方向の両側面に後述するプリンタ装置1のインクリボンカートリッジホルダ7への挿脱をガイドするガイド部31と、プリンタ装置1への挿脱の際にユーザによって把持される前面部13aに把持部32とが形成されている。
【0033】
ガイド部31は、カートリッジ本体13の両側面に沿って平行に形成され、カートリッジ本体13の供給側スプール収納部23及び巻取側スプール収納部24が設けられた下面よりも高い位置において側方に膨出されている。かかるガイド部31は、断面略コ字状に形成されたインクリボンカートリッジホルダ7に支持されることによりプリンタ装置1への挿脱がガイドされる。また、このガイド部31は、下面が略コ字状に設けられたインクリボンカートリッジホルダ7に支持されるとともに、ガイド部31の下方にはプリンタ装置1側の構成部品が配置可能なスペースを確保することができる。すなわち、ガイド部31は、カートリッジ本体13の下面よりも高い位置にて側方に膨出されているため、断面コ字状のインクリボンカートリッジホルダ7に支持されると、下方に空間が発生する。したがって、この空間にはプリンタ装置1の構成部品を配設することができ、プリンタ装置1の設計の自由度向上や小型化、省スペース化を図ることができる。
【0034】
なお、ガイド部31は、下面に穿設された開口部33から、後述するスプールロック61が臨まされており、インクリボンカートリッジホルダ7に支持されることにより、このスプールロック61が押圧され、供給側スプール11及び巻取側スプール12が回転可能とされる(図13、図11等参照)。
【0035】
把持部32は、カートリッジ本体13の前面部13aの略中央部に、膨出形成されている。把持部32は、インクリボンカートリッジ2をプリンタ装置1に装着し、あるいは排出する際に、ユーザによって把持される取っ手であり、全体が略矩形状をなし、カートリッジ本体13の下面よりも高い位置において前方に膨出されている。かかる把持部32は、図5に示すように、上面にユーザの親指が配置される凹部34が形成されている。凹部34は、カートリッジ本体13の背面側に向かって下方に湾曲する傾斜面34aを有し、この傾斜面34aには滑り止めとなる凸条部がカートリッジ本体13の長手方向に向かって複数形成されている。
【0036】
アッパシェル21は、ロアシェル22と突き合わせ結合されることによりカートリッジ本体13の上面13bを構成するものであり、図5に示すように、略矩形状のシェル本体に、上記把持部32の凹部34と、インクリボンカートリッジホルダ7に挿入される際にプリンタ装置1内におけるインクリボンカートリッジ2の位置決めを行う際の仮止め用凹部35と、後述するロアシェル22に係止される係止爪51とが形成されている。
【0037】
仮止め用凹部35は、インクリボンカートリッジホルダ7に設けられた仮止め用凸部131に係合されることにより、インクリボンカートリッジ2のプリンタ装置1の装置本体1100内における位置を仮に決めておくものである。これによりインクリボンカートリッジ2は、上方に回動されたインクリボンカートリッジホルダ7内において仮の位置決めが行われ、インクリボンカートリッジホルダ7が装置本体1100内に回動されることにより、カートリッジ本体13の下面部13cに設けられた位置決め孔72,73に、装置本体1100内に突設された第1、第2の位置決め凸部162,163を挿通しやすくすることができる。
【0038】
なお、係止爪51についてはロアシェル22の係止孔52とともに後に詳述する。
【0039】
かかるアッパシェル21と突き合わせ結合されるロアシェル22には、図7に示すように、供給側スプール11を収納する供給側スプール収納部23と巻取側スプール12を収納する巻取側スプール収納部24とが互いに平行に離間して設けられている。各スプール収納部23,24は、断面が略半円をなすように形成され、供給側スプール11及び巻取側スプール12を回転自在に収納する。
【0040】
これら供給側スプール収納部23と巻取側スプール収納部24は、長手方向と直交する方向に断続的に複数のリブ41が形成されている。リブ41は、供給側スプール収納部23と巻取側スプール収納部24の円弧状に形成された内周壁に沿って設けられた突条体からなり、インクリボン10が巻回されている供給側スプール11及び巻取側スプール12を断続的に支持する。これによりインクリボン10と供給側スプール収納部23と巻取側スプール収納部24の内周壁とが静電気によって引きつけられた場合にもリブ41により接触せず、また接触した場合にも容易に剥離されるため、供給側スプール11及び巻取側スプール12のスムーズな回転を確保することができる。
【0041】
供給側スプール収納部23は、長手方向の一端に供給側スプール11の支軸部16をフランジ部15の外側で支持する軸受部25が設けられ、長手方向の他端に供給側スプール11の突部18をフランジ部15の外側で支持する軸受部27が設けられている。また、巻取側スプール収納部24は、長手方向の一端に巻取側スプール12の支軸部16をフランジ部15の外側で支持する軸受部26が設けられ、長手方向の他端に巻取側スプール12の突部18をフランジ部15の外側で支持する軸受部28が設けられている。
【0042】
これら各軸受部25〜28は、図9に示すように、供給側スプール収納部23及び巻取側スプール収納部24の長手方向の両端部に形成された支持壁42を上面が開放された略凹字状に切り欠くことにより設けられ、各支軸部16及び突部18の下部及び左右両側部の3点を回転自在に支持する。また各軸受部25〜28は、アッパシェル21とロアシェル22とが突き合わせ結合されることにより、支持壁42とこの支持壁42に対応してアッパシェル21側に突設された支持片43〜46とが突き合わされ、開放された上面側がこれら支持片43〜46により閉塞される。このとき支軸部16及び突部18は、支持片43〜46によって上側の1点が支持される。したがって供給側スプール11及び巻取側スプール12は、支軸部16及び突部18が、各軸受部25〜28及び支持片43〜46によって四方が支持されることにより、供給側スプール収納部23あるいは巻取側スプール収納部24内における位置決めが図られることとなる。
【0043】
また供給側スプール収納部23及び巻取側スプール収納部24は、図4及び図5に示すように、供給側スプール11及び巻取側スプール12の各ラチェットギヤ17の一部をカートリッジ本体13の下面側から外方に臨ませるギヤ用開口部47,48が形成されている。ギヤ用開口部47からは供給側スプール11に形成されたラチェットギヤ17が臨まされ、後述するトップシャーシ102に取り付けられた連結部材135のギヤ部137と係合することにより、インクリボンカートリッジホルダ7の開放時に供給側スプール11がインクリボン10の巻き戻し方向に回転される。またギヤ用開口部48からは巻取側スプール12に形成されたラチェットギヤ17が臨まされ、インクリボンカートリッジ2がプリンタ装置1の印刷位置に搬送され位置決めが図られることによりプリンタ装置1内に設けられたリボン走行機構210の走行ギヤ212と係合され、巻取側スプール12がインクリボン10を走行させる巻き取り方向に回転可能とされる。
【0044】
なお、供給側スプール収納部23及び巻取側スプール収納部24には、アッパシェル21及びロアシェル22とが突き合わされることにより、インクリボン10の引き出し口となるスリット49及び引き入れ口となるスリット50が形成されている。これによりインクリボン10は、供給側スプール収納部23及び巻取側スプール収納部24間に亘って延設される。
【0045】
なお、アッパシェル21及びロアシェル22の供給側スプール収納部23と巻取側スプール収納部24との間には、開口40a,40b(以下単に開口部40ともいう。)が形成されている。アッパシェル21及びロアシェル22が突き合わせ結合されたとき、開口部40a,40bにより構成される開口部40は、供給側スプール11と巻取側スプール12との間に掛け渡され、供給側スプール収納部23のスリット49から巻取側スプール収納部24のスリット50へと延在されたインクリボン10を外部に臨ませると共に、プリンタ装置1のサーマルヘッド140が進入しインクリボン10を印画紙4に押圧し、またプリンタ装置1側に突設されたリボンガイド165が進入しリボンパスが形成される領域となる。
【0046】
ここで、アッパシェル21とロアシェル22とを結合させる係合機構30について説明する。係合機構30は、アッパシェル21の側縁部より突設された係止爪51をロアシェル22の側縁部に形成された係止孔52に係止させることによりアッパシェル21とロアシェル22とを結合させるものである。アッパシェル21の係止爪51は、図5及び図10に示すように、アッパシェル21の前面21a及び背面21bに各2つと、両側面21c,21dに1つ突設されている。各係止爪51は、下方に垂下された略矩形板状の本体部53と、本体部53の先端に設けられた鉤状部54とを有する。鉤状部54は、本体部53の先端に向かって傾斜する傾斜面54aを有し、ロアシェル22に形成された係止孔52と容易に係合可能とされている。ロアシェル22に形成された係止孔52は、図10に示すように、ロアシェル22の前面22a及び背面22bに各2つと、両側面22c,22dに1つ形成されている。各係止孔52は、係止爪51の鉤状部54が係止される係止壁部55と、鉤状部54が挿通される開口部56とを備える。そしてアッパシェル21がロアシェル22と突き合わされることにより、係止爪51は、鉤状部54が係止壁部55を摺動して開口部56に挿通され、係止壁部55に係止される。
【0047】
ここで、アッパシェル21には、前面21aの両係止爪51,51間に解除規制片57,57が突設され、またロアシェル22には前面22aの両係止孔52,52間に解除規制片57,57と当接される解除規制壁58,58が立設されている。これら解除規制片57及び解除規制壁58は、図10及び図7に示すように、カートリッジ本体13の把持部32内に設けられている。
【0048】
解除規制片57は、アッパシェル21の前面21a側に膨出された把持部32の長手方向の両側から下方に垂下されてなり、アッパシェル21がロアシェル22に突き合わされることによりロアシェル22側の把持部32内に挿入される。また解除規制壁58は、解除規制片57に対応してロアシェル22の前面22aに膨出された把持部32の長手方向両側に設けられている。この解除規制壁58は、ロアシェル22の前面22aに膨出された前面壁との間に解除規制片57が挿入されるクリアランスを形成している。
【0049】
そして、アッパシェル21とロアシェル22とが突き合わされると、各係止爪51は鉤状部54が係止孔52の係止壁部55を摺動しながら開口部56に挿通されると共に、解除規制片57が解除規制壁58とロアシェル22の前面壁との間に挿入される。このとき係止爪51は、鉤状部54に傾斜面54aが形成されているため、鉤状部54の先端と係止壁部55とがスムーズに当接される。また係止爪51は、本体部53が撓みながら摺動され、鉤状部54が開口部56に挿通されることにより本体部53が弾性復帰するため、鉤状部54と係止壁部55とが確実に係止される。また、このとき、解除規制片57は、ロアシェル21の前面壁に前面側を支持されるとともに解除規制壁58に背面側を支持されるため、アッパシェル21は背面側への倒れ込みが防止される。従って、アッパシェル21の前面21aに突設された係止爪51,51は、ロアシェル22の前面22aに設けられた係止孔52,52との係合が解除される方向である背面側への傾倒が防止されることとなるため、アッパシェル21とロアシェル22との係合が外れてしまう事態を防止することができる。
【0050】
また、アッパシェル21には、図5に示すように、背面21bの両係止爪51,51間に長手方向に亘ってロアシェル22の背面壁と係合する係合片59が設けられている。係合片59は、アッパシェル21の背面21bから下方に湾曲され、ロアシェル22と突き合わされることにより、ロアシェル22の背面壁を覆うように係合される。これにより係合片59はロアシェル22の背面壁と前面側が当接されるため、アッパシェル21は前面21a側への倒れ込みが防止される。従って、アッパシェル21の背面22bに突設された係止爪51,51は、ロアシェル22の背面22bに設けられた係止孔52,52との係合が解除される方向である前面側への傾倒が防止されることとなるため、アッパシェル21とロアシェル22との係合が外れてしまう事態を防止することができる。
【0051】
なお、係合機構30は、解除規制片57及び解除規制壁58を上記把持部32に設ける他、アッパシェル21及びロアシェル22の任意の場所に設けてもよい。また係止爪51及び解除規制片57をロアシェル22に設け、係止孔52及び解除規制壁58をアッパシェル21に設けるようにしてもよい。
【0052】
ところで、図5及び図7に示すように、カートリッジ本体13を構成するロアシェル22には、突当て壁29が形成された一端部側に、回転自在に収納した供給側スプール11及び巻取側スプール12の回転を防止するスプールロック61が設けられている。このスプールロック61は、ロアシェル22の一端部側に設けられた供給側スプール収納部23と巻取側スプール収納部24の間の連結部62に配設されている。
【0053】
このスプールロック61は、図11に示すように、連結部62に配設された略M字状の弾性支持部63と、この弾性支持部63より供給側スプール収納部23と巻取側スプール収納部24に延出する一対の弾性係合片64a,64bを有する。弾性係合片64a,64bは、上端側に、供給側スプール11及び巻取側スプール12のラチェットギヤ17,17に係合する突起状のラチェット部65a,65bが形成され、弾性支持部63を起点として、ラチェット部65a,65bが供給側スプール11及び巻取側スプール12のラチェットギヤ17,17に対して係脱する図11中矢印A方向及び反矢印A方向に変位するように形成されている。
【0054】
また弾性係合片64a,64bは、下端側に、カートリッジ本体13のガイド部31の下面に穿設された開口部33よりガイド部31の下方に臨まされ、インクリボンカートリッジホルダ7のガイド支持部125によって押圧される被押圧部66a,66bが形成されている。被押圧部66a,66bは、ガイド支持部125に押圧されることにより、ラチェット部65a,65bを供給側スプール11及び巻取側スプール12のラチェットギヤ17,17との係合を解除する図5中矢印A方向に弾性変位させるものである。
【0055】
かかるスプールロック61は、ロアシェル22の連結部62に弾性支持部63が配設されることにより、図11に示すように、被押圧部66a,66bがカートリッジ本体13のガイド部31の下面に穿設された開口部33よりガイド部31の下方に臨まされ、インクリボンカートリッジホルダ7のガイド支持部125に押圧可能とされる。このとき、スプールロック61はラチェット部65a,65bがラチェットギヤ17,17と係合され供給側スプール11及び巻取側スプール12の回転を防止している。
【0056】
具体的に、スプールロック61の各ラチェット部65a,65bは、両スプール11,12のラチェットギヤ17,17を相対向する側の面の斜め上方に係合されている。これによりスプールロック61は、供給側スプール11及び巻取側スプール12についてインクリボン10の送り出し方向への回転を規制し、巻き取り方向への回転はフリーとしている。したがって、スプールロック61は、インクリボンカートリッジ2がプリンタ装置1に装着されていない状態で両スプール11,12が送り出し方向へ回転することによりインクリボン10が撓み、また外部に引き出されてしまう事態を防止することができる。
【0057】
そして、スプールロック61は、カートリッジ本体13がインクリボンカートリッジホルダ7に装着されると、ガイド支持部125にガイド部31の下面が摺動されることにより、図12に示すように、ガイド部31の下面より外方に臨まされている被押圧部66a,66bがガイド支持部125に押圧される。これによりスプールロック61は、弾性支持部63を支点に弾性係合片64a,64bが上方に撓まされ、ラチェット部65と両スプール11,12のラチェットギヤ17,17との係合が解除される。したがって、スプールロック61は、インクリボンカートリッジ2がプリンタ装置1に装着されると、両スプール11,12を回転可能とし、インクリボン10の走行を可能とすることができる。
【0058】
次いで、カートリッジ本体13の下面に設けられ、インクリボンカートリッジ2のプリンタ装置1内における位置決めを図る基準面となる載置面70について説明する。載置面70は、図13に示すように、カートリッジ本体13の前面部13a側に設けられた巻取側スプール収納部24の両端の下面部に形成され、インクリボンカートリッジホルダ7に挿入されたカートリッジ本体13がプリンタ装置1の装置本体1100内に搬送されることにより、装置本体1100内に配設されたカートリッジ支持ユニット160に支持されインクリボンカートリッジ2の位置決めを図る基準面とされる。インクリボンカートリッジ2は、載置面70がカートリッジ支持ユニット160支持されることにより、インクリボン10、印画紙4及びサーマルヘッド140とが印画可能な位置に配置されることとなる。
【0059】
具体的に、載置面70は、巻取側スプール収納部24の一端側の下面部に形成された第1の載置面70aと、他端側の下面部に形成された第2の載置面70bとを有する。これら第1、第2の載置面70a,70bは、互いに略平行な平坦面とされた主面部71に、図14に示す装置本体1100のカートリッジ支持ユニット160に突設された一対の位置決め凸部162,163が挿入される第1、第2の位置決め孔72,73が穿設されている。
【0060】
第1の位置決め孔72は、略円錐状の位置決め凸部162に応じて略円形に設けられている。また第2の位置決め孔73は、一端が巻取側スプール収納部24の側壁まで開放された長孔状に形成されている。これら第1、第2の位置決め孔72,73は、載置面70がカートリッジ支持ユニット160に支持されることにより、位置決め凸部162,163が挿通される。このとき、第1、第2の位置決め孔72,73は、第2の位置決め孔73が長孔状に形成されていることから、第1の位置決め孔72に第1の位置決め凸部162が挿通されることにより、第2の位置決め孔73と第2の位置決め凸部163との突き合わせ精度がズレていても、かかるズレを吸収することができるため、第1の位置決め孔72を基準に、確実にインクリボンカートリッジ2の装置本体1100内における位置決めを図ることができる。
【0061】
また、第2の位置決め孔73の近傍には、インクリボンカートリッジ2の種別の識別を行うためのIDホール74が形成されている。IDホール74は、1又は複数穿設され、開口されているか、あるいは閉塞されているかが検出されることにより、インクリボンカートリッジ2の種別が識別される。
【0062】
インクリボンカートリッジ2の種別としては、例えばインクリボン10の幅方向の長さが、いわゆるポストカードサイズ(幅100mm程度)のものや、Lサイズ(幅89mm程度)のものなどがある。そして、かかる種別に応じてIDホール74を開口あるいは閉塞する。
【0063】
このIDホール74は、カートリッジ支持ユニット160に突設された検出スイッチ164によって開口状態が検出される。この検出スイッチ164は、IDホール74の穿設位置に応じて1又は複数形成され、これらが閉塞されていると閉塞部によって押圧される(図14参照)。これによりプリンタ装置1は、検出スイッチ164の押圧状態を判別して、インクリボンカートリッジ2の種別を識別する。例えば、プリンタ装置1は、ポストカードサイズの印画用紙を印刷する場合、インクリボン10がポストカードサイズの印刷を行うのに適した幅を備えたインクリボンカートリッジ2が装着されているか、検出スイッチ164の押圧状態を検出することにより判別する。
【0064】
またIDホール74は、上記第2の位置決め孔73の近傍に形成されている。従って、装置本体1100内において位置決めされたインクリボンカートリッジ2のIDホール74と検出スイッチ164とが確実に対峙され、インクリボンカートリッジ2の種類を判別することができる。
【0065】
かかるIDホール74は、図15に示すように、A6サイズやポストカードサイズといった幅広のインクリボン10Wが巻取側スプール12に巻回されたときの巻回領域の端部と重なるとともに、Lサイズ等インクリボン10Wよりも幅狭のインクリボン10Nが巻取側スプール12に巻回されたときの巻回領域の端部と重ならない位置に設けられる。かつ、IDホール74は、インクリボン10Wが巻回されている場合には閉塞され、インクリボン10Nが巻回されている場合には開口される。
【0066】
すなわち、幅広のインクリボン10Wが巻回されている場合には、図15(A)に示すように、IDホール74がインクリボン10Wの端部と対峙する位置に形成されていても、閉塞されているため、検出スイッチ164が巻取側スプール収納部24内に挿入されてインクリボン10Wと接触することがない。一方、幅狭のインクリボン10Nが巻回されている場合には、図15(B)に示すように、IDホール74はインクリボン10Nと対峙する位置には形成されていないため、IDホール74が開口され検出スイッチ164が挿入されても、インクリボン10Nと接触することがない。
【0067】
そして、このようにIDホール74を、幅広のインクリボン10Wの巻回位置と対峙するとともに幅狭のインクリボン10Nの巻回位置と対峙しない位置に設け、かつ幅広のインクリボン10Wが巻回されている場合にはIDホール74を閉塞し、幅狭のインクリボン10Nが巻回されている場合にはIDホール74を開口することで、検出スイッチ164によるインクリボンカートリッジ2の種類判別を可能とすると共に、IDホール74をインクリボン10の巻回位置と対峙する位置に設けることができ、カートリッジ本体13の省スペース化、設計の自由度の向上を図ることができる。またカートリッジ本体13の省スペース化に伴い、IDホール74に対応した位置に検出スイッチ164が配設されるプリンタ装置1も、装置本体1100の小型化を図ることができる。
【0068】
以上のように構成されたインクリボンカートリッジ2は、図4に示すように、カートリッジ本体13の前面部13aに形成された把持部32をユーザによって把持され、カートリッジ本体13の背面側を挿入端として、図3中矢印X方向からプリンタ装置1に挿入される。このとき、プリンタ装置1は、天板6が上方に回動されることにより、インクリボンカートリッジホルダ7が挿脱位置に移動され、装置本体1100の前面3a側からインクリボンカートリッジ2が挿脱可能とされている。そしてインクリボンカートリッジ2は、ガイド部31がインクリボンカートリッジホルダ7のガイド支持部125にガイドされながら挿入される。インクリボンカートリッジホルダ7にインクリボンカートリッジ2が装着されると、カートリッジ本体13の上面13bに設けられた仮止め用凹部35に、インクリボンカートリッジホルダ7に設けられた仮止め用凸部131が係合される。これによりインクリボンカートリッジ2は、インクリボンカートリッジホルダ7内において仮の位置決めが図られる。
【0069】
これと同時に、インクリボンカートリッジホルダ7のガイド支持部125は、ロアシェル22の開口部33より突出している弾性係合片64a,64bの被押圧部66a,66bを押圧する。すると、ラチェットギヤ17,17にラチェット部65a,65bが係合している弾性係合片64a,64bは、弾性支持部63を支点として、図11中反矢印A方向に弾性変位し、ラチェットギヤ17,17とラチェット部65a,65bとの係合状態が解除される。これにより、供給側スプール11及び巻取側スプール12は、プリンタ装置1に設けられたインクリボン10の走行機構210によって円滑に回転可能な状態となる。
【0070】
インクリボンカートリッジホルダ7にインクリボンカートリッジ2が挿入され、プリンタ装置1の天板6が閉じられ、インクリボンカートリッジ2が装置本体1100内において印画紙4に印刷を行う印刷位置に移動されると、天板6に取り付けられているサーマルヘッド140がカートリッジ本体13の開口部40内に挿入される。これにより開口部40に延設されたインクリボン10は、走行路となるリボンパスが形成されると共に、サーマルヘッド140と当接され印画紙4に対して印刷可能な状態とされる。
【0071】
またインクリボンカートリッジ2が印刷位置に移動されると、ギヤ用開口部47,48より外方に臨まされている供給側スプール11及び巻取側スプール12のフランジ部15に形成されたラチェットギヤ17と、走行機構210の走行ギヤ212とが係合される。また、インクリボンカートリッジ2は、第1、第2の載置面70a,70bに設けられた第1、第2の位置決め孔72,73に、カートリッジ支持ユニット160より突設されている一対の位置決め凸部162,163が挿入され、カートリッジ本体13の装置本体1100内における位置決めが図られる。なお、このときカートリッジ本体13は、予め仮止め用凹部35にインクリボンカートリッジホルダ7に設けられた仮止め用凸部131が係合されることにより、ある程度位置決めが図られているため、第1、第2の位置決め孔72,73と一対の位置決め凸部162,163とがスムーズに係合され、容易に位置決めを図ることができる。さらに、インクリボンカートリッジ2は、IDホール74にカートリッジ支持ユニット160に突設された検出スイッチ164が当接あるいは挿入することにより、種別が判別される。
【0072】
その後、インクリボンカートリッジ2は、供給側スプール11及び巻取側スプール12がプリンタ装置1の走行機構210によって回転され、インクリボン10が走行される。また、カートリッジ本体13の開口部40より挿入されたサーマルヘッド140は、開口部40に延在されたインクリボン10に対して熱エネルギを印加することによって、後述する搬送機構220によって搬送される印画紙4に対して染料を熱転写していく。なおインクリボン10の走行時において、弾性係合片64a,64bは、ラチェット部65a,65bがラチェットギヤ17,17と非係合状態にあることから、作動音の発生が防止されている。
【0073】
また、このインクリボンカートリッジ2は、保管時、輸送時等の非使用時であってインクリボンカートリッジホルダ7から排出されている状態にあっては、図11に示すように、弾性係合片64a,64bが図11中反矢印A方向に付勢され、ラチェット部65a,65bがラチェットギヤ17,17に係合している。
【0074】
この状態において、供給側スプール11は、振動等によって、インクリボン10を走行させる図11中矢印B方向の回転力が加わったとき、ラチェットギヤ17に弾性係合片64aのラチェット部65aが食い込む方向に力が加わることから、B方向の回転を防止することができる。これにより、未使用のインクリボン10が非使用時に開口部40に延在してしまうことを防止することができる。なお、インクリボン10を巻き取る図11中矢印C方向に供給側スプール11を回転する回転力が振動等によって加わったときには、弾性係合片64aは、ラチェット部65aがラチェットギヤ17を乗り上げ、これにより、供給側スプール11は、図11中矢印C方向に回転することができる。したがってインクリボン10が開口部40に導出され、たるみが発生した場合には、ギヤ用開口部47から臨む供給側スプール11のフランジ部15を図11中矢印C方向に回転させることによりたるんだインクリボン10を巻き取ることができる。
【0075】
また、巻取側スプール12は、振動等によって、インクリボン10を巻き取る図11中矢印D方向の回転力が加わったとき、弾性係合片64bは、ラチェット部65bがラチェットギヤ17を乗り上げ、これにより、巻取側スプール12は、インクリボン10を巻き取る図11中矢印D方向に回転することになる。これに対して、巻取側スプール12は、図11中矢印E方向の回転力が加わったときには、ラチェットギヤ17に弾性係合片64bのラチェット部65bが食い込む方向に力が加わることから、E方向の回転を防止することができる。これにより、使用済みのインクリボン10が非使用時に開口部40に延在してしまうことを防止することができ、また使用済みのインクリボン10が開口部40に導出され、たるみが発生した場合にはギヤ用開口部48から臨む巻取側スプール12のフランジ部15を図11中矢印D方向に回転させることによりたるんだインクリボン10を巻き取ることができる。
【0076】
すなわち、スプールロック61は、供給側スプール11のインクリボン10を開口部40へ送り出す図11中矢印B方向の回転を禁止すると共に、巻取側スプール12のインクリボン10の巻回方向とは逆の図11中矢印E方向の回転を禁止することで、インクリボン10の弛みを防止することができる。
【0077】
ここで、印画紙4について図16を参照して説明する。印画紙4は、基材4a一方の面に受容層4bが形成され、基材4aの他方の面に、バック層4cが形成されてなる。
【0078】
基材4aは、パルプ等で形成された基紙4dの両面に樹脂層4e,4fが形成されることによって構成されている。樹脂層4e,4fは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂でなり、ミクロボイド構造を含有し、クッション性を有している。したがって、特に、受容層4b側の樹脂層4eは、基紙4dと受容層4bとの密着性を向上させると共に、断熱性を向上させ、サーマルヘッド140からの熱追従性を向上させるようにしている。また、樹脂層4e,4fは、サーマルヘッド140との当たりを良くするようにしている。また、特に、受容層4b及び樹脂層4eは、熱可塑性樹脂であることから、サーマルヘッド140からの熱エネルギによって、熱変形すると共に、サーマルヘッド140から加えられる所定の圧力によって潰れクッション性を失う特性を有する。
【0079】
受容層4bは、厚みが1μm〜10μm程度であり、インクリボン10から転写される染料を受容し、受容した染料を保持する層であり、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等の樹脂で形成されている。またバック層4cは、印画紙4が安定して走行できるように、キャプスタンローラ225やプラテンローラ155との間の摩擦を低減する。なお、印画紙4は、受容層4bと樹脂層4eを有していれば、その他の構成は、特に限定されるものではない。
【0080】
次いで、インクリボンカートリッジ2が装着され、印画紙4に対して画像を印刷するプリンタ装置1について説明する。図2及び図3に示すように、プリンタ装置1は、略矩形箱状の装置本体1100を備え、この装置本体1100の上面3bを構成する天板6が上下方向に回動可能に設けられている。装置本体1100内には、メインシャーシ100が配設されている。メインシャーシ100は、図17及び図18に示すように、ベースシャーシ101と、天板6と接続されベースシャーシ101に対して上下方向に回動可能に取り付けられたトップシャーシ102とを備える。
【0081】
また、装置本体1100は、図2に示すように、上面3bを構成する天板6にプリンタ装置1の操作パネル104及び印刷画像等を表示するLCDパネル105が設けられている。天板6は、後述するトップシャーシ102が取り付けられ、このトップシャーシ102と接続されたインクリボンカートリッジホルダ7とともに上下方向に回動可能とされている。
【0082】
また装置本体1100は、前面3aに印画紙4が収納された印画紙トレイ5が装着される開口部8と、各種記録メディアが装着される記録メディア用スロット106A,106Bと、天板6を上方に回動させるオープンボタン107が設けられている。開口部8は、シャッタ108により開閉自在とされており、シャッタ108が開放されることにより印画紙トレイ5が装着される。
【0083】
そしてプリンタ装置1は、開口部8より印画紙トレイが装着されると共に、オープンボタン107が操作され天板6が上方に回動されることにより前面3a側に臨まされたインクリボンカートリッジホルダ7にインクリボンカートリッジ2が装着され、天板6が装置本体1100側に戻されることにより印刷準備が整う。また、プリンタ装置1は、記録メディアに記録された画像やUSB等を介して接続されたメモリ装置やデジタルスチルカメラ等の各種記録装置に記録された画像がLCDパネル105に表示され、操作パネル104を操作することにより、印刷画像の選択や、サイズ、枚数等の設定、印刷開始、停止等の各種操作を行うことができる。
【0084】
次いで、かかるプリンタ装置1の装置本体1100内に配設されたメインシャーシ100について説明する。メインシャーシ100は、図17及び図18に示すように、インクリボンカートリッジホルダ7が搬送されることによりインクリボンカートリッジ2が載置されるとともにインクリボン10の走行機構210や印画紙4の搬送機構220が設けられるベースシャーシ101と、インクリボンカートリッジホルダ7及びサーマルヘッド140を備えるとともに天板6と接続されベースシャーシ101に対して上下方向に回動可能に取り付けられたトップシャーシ102とを備える。
【0085】
ベースシャーシ101は、図19及び図20に示すように、主面110、左右側壁111,112、前面壁113及び背面壁114とからなり上面側が開放された略箱状に形成されている。このベースシャーシ101は、前面壁113側に印画紙トレイ5が装着されるとともに、上面側からインクリボンカートリッジ2が装着されたインクリボンカートリッジホルダ7が搬送されるものであり、印画紙4を装置本体1100の前面3a側から背面3c側に亘って搬送する搬送機構220と、インクリボンカートリッジ2に収納された巻取側スプール12を回動させることによりインクリボン10を走行させる走行機構210と、主面110上に昇降自在に設けられたプラテンローラ155とトップシャーシ102に取り付けられたサーマルヘッド140との相対位置を切り換える切換機構190と、主面110上に配設されインクリボンカートリッジ2の開口部40に進入することによりインクリボン10の走行路を形成するカートリッジ支持ユニット160が形成されている。
【0086】
またトップシャーシ102は、略板状に形成され、ベースシャーシ101の内部に臨む裏面102a側にサーマルヘッド140及びインクリボンカートリッジホルダ7が設けられている。このトップシャーシ102は、背面側の両端部がベースシャーシ101の左右側壁111,112に回動自在に支持されるとともに、一端をベースシャーシ101の背面壁114に係止された捻りコイルバネ116の他端が係止されることによって常時インクリボンカートリッジホルダ7を装置本体1100の前面3a側に臨ませる上方に回動付勢されている(図17参照)。そして上記オープンボタン107が操作されることにより捻りコイルバネ116の付勢力を受けて天板6とともに装置本体1100の上方に回動される。またインクリボンカートリッジホルダ7も、同様にベースシャーシの左右側壁111,112に回動自在に支持され、またトップシャーシ102の裏面102aより突設されている連結部材135に係止されることによりトップシャーシ102の回動と同期して上方に回動され、装置本体1100の前面より外方に臨まされる。
【0087】
すなわち、このプリンタ装置1は、装置本体1100又はベースシャーシ101に対して天板6及びトップシャーシ102並びにトップシャーシ102と接続されたインクリボンカートリッジホルダ7の3つの部材が上方に回動可能に設けられ、トップシャーシ102を介して捻りコイルバネ116の付勢力を受けて、上方へ回動付勢されている。またプリンタ装置1は、トップシャーシ102がベースシャーシ101に係止されることによりトップシャーシ102、天板6及びインクリボンカートリッジホルダ7がベースシャーシ101を閉塞する下方に回動、保持される。また、ベースシャーシ101には、上記トップシャーシ102がベースシャーシ101に係止されることによりトップシャーシ102、天板6及びインクリボンカートリッジホルダ7がベースシャーシ101を閉塞する下方に回動され、保持されたことを検出する蓋閉検出手段として機能するスイッチ36が設けられている。
【0088】
そしてインクリボンカートリッジホルダ7は、装置本体1100の上方に回動されることにより、インクリボンカートリッジ2の挿脱が行われる挿脱位置に搬送され、装置本体内に回動されることによりインクリボンカートリッジ2をインクリボン10とサーマルヘッド140とが対向される印刷位置に搬送されることとなる。
【0089】
具体的に、図19及び図20に示すように、ベースシャーシ101は、左右側壁111,112の背面側に捻りコイルバネ116が挿通されるとともにトップシャーシ102及びインクリボンカートリッジホルダ7が回動自在に支持される支持突部117,117が突設されている。
【0090】
この支持突部117に支持されるトップシャーシ102は、略矩形板状に形成され、図17及び図18に示すように、ベースシャーシ101側に向かって突出するサーマルヘッド140が形成されている。またトップシャーシ102は、前側の側面に捻りコイルバネ116の付勢力に対向してベースシャーシ101に係止される第1の係止突部118が形成され、また左右両側面に後述する切換機構190の係止片201に係止される第2の係止突部119が形成されている。
【0091】
またトップシャーシ102は、左右両側面に、ベースシャーシ101の左右側壁111,112の支持突部117,117近傍に設けられた回動規制片120,120に係止される係止片121,121が形成されている。トップシャーシ102は、この係止片121,121が回動規制片120,120に係止されることにより、ベースシャーシ101に対する回動領域が規制される。なお、トップシャーシ102の回動領域が規制されることに伴い、トップシャーシ102とともに回動される天板6及びインクリボンカートリッジホルダ7の回動領域も規制されることとなる。
【0092】
具体的にトップシャーシ102の回動領域は、図3に示すように、ベースシャーシ101に対して鋭角に開放されるように規制される。これによりトップシャーシ102とともに回動される天板6及びインクリボンカートリッジホルダ7もベースシャーシ101に対して鋭角に開放されることとなる。このとき、インクリボンカートリッジホルダ7は、プリンタ装置1の装置本体1100の前面3a側から外方に臨まされるインクリボンカートリッジ2の挿脱位置に搬送される。挿脱位置に搬送されたインクリボンカートリッジホルダ7は、装置本体1100に対して鋭角に開放され前面3a側より外方に臨まされているため、インクリボンカートリッジ2の挿脱を容易に行うことができる。なお、トップシャーシ102がベースシャーシ101を閉塞する位置まで回動されると、インクリボンカートリッジホルダ7は、装着されたインクリボンカートリッジ2を、インクリボン10がサーマルヘッド140及び印画紙4と対峙する印刷位置に搬送する。
【0093】
このトップシャーシ102に係合されるインクリボンカートリッジホルダ7は、板金を折り曲げ形成されてなり、上述したインクリボンカートリッジ2の両側面に形成されたガイド部31を支持する一対のガイド支持部125,125と、ガイド支持部125,125間に架け渡される連結部126と、ガイド支持部125,125から背面側に延設されベースシャーシ101に回動自在に支持される支持片部127,127とを備える。
【0094】
ガイド支持部125は、インクリボンカートリッジ2両側面から膨出されたガイド部31を支持することによりインクリボンカートリッジ2の挿脱をガイドすると共に、カートリッジ本体13をインクリボンカートリッジホルダ7内に保持するものである。このガイド支持部125は、断面略コ字状に形成され、ガイド部31の下面、側面及び上面を支持しながらインクリボンカートリッジホルダ7内への進入をガイドする。またガイド支持部125は、下面がガイド部31の下面を受ける受け部125aとされる。受け部125aは、装置本体1100の前面側端部が上面125bよりも前方にせり出すと共に下方に折り曲げられ、ガイド部31を引き込みやすくされている。またガイド支持部125は側面125cの背面側端部がガイド部31の進入領域まで折り曲げられ、インクリボンカートリッジホルダ7の奥まで進入されたインクリボンカートリッジ2のガイド部31が突き当てられる。
【0095】
かかるガイド支持部125は、一対のガイド支持部125,125に設けられた受け部125a,125a間の間隙、すなわち側面125c,125c間の距離が、カートリッジ本体13の両ガイド部31,31の間の距離と略同じか若干長く設けられている。すなわち、受け部125a,125a間の距離がガイド部31,31間の距離よりも短いとカートリッジ本体13を進入させることができず、受け部125a,125a間の距離がガイド部31,31間の距離よりも長いとカートリッジ本体13がインクリボンカートリッジホルダ7内でがたついてしまうからである。また受け部125aの幅はガイド部31の幅と略同じか若干短く設けられている。すなわち、受け部125aの幅がガイド部31の幅よりも長いとガイド部31とガイド支持部125の側面125cとの間が開きすぎてしまい、また受け部125aの幅がガイド部31の幅よりも短すぎるとカートリッジ本体13をしっかり保持できず、またガイド部31の下面より突出されている被押圧部66を押圧することができないためである。
【0096】
またガイド支持部125は、インクリボンカートリッジ2を支持することにより、受け部125aがガイド部31の下面に形成された開口部33から突出されたスプールロック61の被押圧部66を押圧することとなる(図12参照)。したがってインクリボンカートリッジホルダ7に装着されたインクリボンカートリッジ2は、供給側スプール11及び巻取側スプール12が回転可能とされる。
【0097】
なお、ガイド支持部125は、側面125cに、ベースシャーシ101の左右両側壁111,112に係止されることによりインクリボンカートリッジホルダ7の回動領域を規制する係止突部128が突設されている。係止突部128は、ベースシャーシ101の左右両側壁111,112に上下方向に亘って開口された長孔129に移動自在に係合されている。そして係止突部128は、インクリボンカートリッジホルダ7がトップシャーシ102とともにベースシャーシ101に対して上方に回動されると、長孔129の上端に係止される。これによりインクリボンカートリッジホルダ7はベースシャーシ101に対して鋭角に回動された位置で回動が規制され、装置本体1100の前面3aから外方に臨む挿脱位置に制止される。
【0098】
一対のガイド支持部125,125間に亘って配設された連結部126は、インクリボンカートリッジホルダ7の上面を構成するものであり、中央部にトップシャーシ102に設けられたサーマルヘッド140が挿通されるヘッド用開口部130が設けられている。また連結部126は、ヘッド用開口部130よりも装置本体1100の背面側にカートリッジ本体13の上面13bに設けられた仮止め用凹部35に係合する仮止め用凸部131が形成されている(図25、図38等参照)。
【0099】
仮止め用凸部131は、仮止め用凹部35と係合することによりインクリボンカートリッジ2のインクリボンカートリッジホルダ7内における位置を決めるものであり、カートリッジ本体13がガイド支持部125,125にガイドされながらガイド部31とガイド支持部125の側面125cの折曲部とが突き当てられる位置まで進入されると仮止め用凹部35と係合される。これによりインクリボンカートリッジ2は、装置本体1100内に搬送されたときカートリッジ本体13の下面部13cに設けられた位置決め孔72,73に、装置本体1100内におけるインクリボンカートリッジ2の位置決めを図る第1、第2の位置決め凸部162,163を挿通しやすくすることができる。なお、インクリボンカートリッジ2に仮止め用凸部を形成し、インクリボンカートリッジホルダ7の連結部126に仮止め用凹部を形成するようにしても同様の効果を得ることができる。
【0100】
また連結部126は、図17に示すように、ヘッド用開口部130よりも装置本体1100の前面3a側に、トップシャーシ102より突設されているサーマルヘッド140を覆う保護板132が設けられている。保護板132は、トップシャーシ102及びインクリボンカートリッジホルダ7が装置本体1100の上方に回動されることにより前面3a側から外方に臨まされることから、天板6の開放時に、トップシャーシ102よりインクリボンカートリッジホルダ7側へ垂下されるように設けられているサーマルヘッド140が露出し、誤ってユーザの手に触れてしまうことによるユーザの怪我やサーマルヘッド140の汚損等を防止するためのものである。
【0101】
この保護板132は、矩形板状に形成され、長手方向の両端部がガイド支持部125の両側面125c,125cに支持されることにより、連結部126上において両側面125c,125cとの支持部132aを回動支点に背面側の側面部132bが上下方向に回動可能とされている。また保護板132は、連結部126を押圧することにより、上方に回動させる押圧片133が形成されている。押圧片133は、保護板132の主面を短手方向に亘って長尺状に切り欠くと共に下側へ折り曲げられることにより可撓性を有し、常時、連結部126に対して保護板132を上方に押圧する。
【0102】
そして図3及び図21に示すように、トップシャーシ102が上方に回動されると、保護板132は、押圧片133が連結部126を押圧するとともに背面側の側面部132bが上方に移動されるサーマルヘッド140に摺接されて上方に回動される。これにより、保護板132は、サーマルヘッド140を前面3aから遮蔽し、ユーザの目に触れないようにすることができる。従って、プリンタ装置1は、トップシャーシ102の開放時に、サーマルヘッド140にユーザが触れてしまうことによる怪我や事故などを防止することができる。
【0103】
また、トップシャーシ102がベースシャーシ101を閉塞すると、図18に示すように、保護板132は、トップシャーシ102に開口されたサーマルヘッド140の取付用開口部153の側縁と摺接され、押圧片133の押圧力に対向しながら連結部126側へ回動される。このとき、インクリボンカートリッジホルダ7は、押圧片133の押圧力に対向してトップシャーシ102と保護板132の主面が当接されることにより、反対にベースシャーシ101の主面110側へ付勢されることとなる。
【0104】
ガイド支持部125,125から背面側に延設されベースシャーシ101に回動自在に支持される支持片部127,127は、背面側の端部にベースシャーシ101の左右両側壁111,112より突設されている支持突部117,117に回動自在に支持される支持孔(図示せず)が形成されるとともに、下側面にトップシャーシ102と連結する連結部材135が係止される。
【0105】
トップシャーシ102とインクリボンカートリッジホルダ7とを連結する連結部材135は、図21に示すように、全体を弓形に湾曲された樹脂部材からなり、一辺をトップシャーシ102に接続され、装置本体1100の背面側に向かって湾曲したアーム部135aが延設されている。アーム部135aにはインクリボンカートリッジホルダ7の支持片部127を係止することにより上方に回動させる回動突部136が突設されている。回動突部136は、アーム部135aの側面から突出され、トップシャーシ102が上方に回動されるとインクリボンカートリッジホルダ7の支持片部127に下方から当接される。これにより連結部材135は、インクリボンカートリッジホルダ7をトップシャーシ102に連結させ、トップシャーシ102の回動に連動してインクリボンカートリッジホルダ7を上方へ回動させる。
【0106】
なお上述したように、トップシャーシ102は、係止片121がベースシャーシ101に形成された回動規制片120に係止されることで回動が規制され、またインクリボンカートリッジホルダ7はガイド支持部125の側面125cに設けられた係止突部128がベースシャーシ101の左右両側壁111,112に設けられた長孔129に係止されることにより回動が規制されインクリボンカートリッジ2の挿脱位置に制止される。これらトップシャーシ102とインクリボンカートリッジホルダ7は、トップシャーシ102の方が回動量が大きくされている。また連結部材135の回動突部136は、トップシャーシ102がベースシャーシ101を閉塞した位置から上方へある程度回動された後に支持片部127に係止しインクリボンカートリッジホルダ7を回動させる。
【0107】
すなわち、トップシャーシ102は、ベースシャーシ101との係合が解除されると所定量だけ回動し、その途中で連結部材135の回動突部136が支持片部127の下面に係止され、インクリボンカートリッジホルダ7と連結される。従って、トップシャーシ102は、インクリボンカートリッジホルダ7に対して先行して回動していくため、回動可能領域まで回動されると、図21に示すように、トップシャーシ102とベースシャーシ101の間にインクリボンカートリッジホルダ7が位置される。
【0108】
また、トップシャーシ102は、上方からベースシャーシ101側に回動されると、インクリボンカートリッジホルダ7と共に下方に回動され、インクリボンカートリッジホルダ7が装置本体1100内の印刷位置まで回動されると、さらにトップシャーシ102のみがベースシャーシ101を閉塞するまで下方に回動される。
【0109】
また連結部材135は、アーム部135aにギヤ部137が形成されている。ギヤ部137は、ベースシャーシ101内に設けられた巻取ギヤ138を介して、インクリボンカートリッジホルダ7内に装着されたインクリボンカートリッジ2のギヤ用開口部47より臨まされている供給側スプール11のラチェットギヤ17と係合し、トップシャーシ102の上方への回動時に供給側スプール11をインクリボン10が巻き戻される図22中矢印C方向に回転させることにより、インクリボンカートリッジ2の取り出し時にインクリボン10のたるみを除くものである。
【0110】
すなわち、上述したように、インクリボンカートリッジホルダ7は、インクリボンカートリッジ2を印刷位置から挿脱位置へ回動させる際に、ある程度先行して上方に回動した後、回動突部136が支持片部127に係止される。このとき、連結部材135のアーム部135aに形成されたギヤ部137は、巻取ギヤ138を介してインクリボンカートリッジ2のギヤ用開口部47より臨む供給側スプール11のラチェットギヤ17と係合し、供給側スプール11をインクリボン10の巻き戻し方向へ回転させる。
【0111】
具体的に、ギヤ部137が上方に回動されると、ベースシャーシ101内に配設されている巻取ギヤ138の小径ギヤ138aがギヤ部137と係合され図23中矢印G方向へ回転される。すると、小径ギヤ138aと共に回転される大径ギヤ138bも同方向に回転され、この大径ギヤ138bと係合されているラチェットギヤ17がインクリボン10を巻き戻す図22中矢印C方向へ回転される。このとき、インクリボンカートリッジ2の開口部40内に進入しインクリボン10を引き出してリボンパスを形成していたサーマルヘッド140やヘッドカバー148、カバー部材149は、トップシャーシ102が上方に回動されることにより開口部40から退避されていく。
【0112】
したがって、インクリボンカートリッジホルダ7から着脱させる際、インクリボンカートリッジ2は、トップシャーシ102を開放することによって図23に示すように外部に引き出されていたインクリボン10が図22に示すように巻き取られるため、直ちにインクリボンカートリッジホルダ7から排出させることができる。
【0113】
ここで、トップシャーシ102のベースシャーシ101側に突設されているサーマルヘッド140について説明する。このサーマルヘッド140は、図24に示すように、色材を熱転写する際の熱を放熱する放熱部材141と、インクリボン10に対して熱エネルギを印加するヘッド部143とを備える。
【0114】
放熱部材141は、色材を熱転写する際にヘッド部143から発生した熱エネルギを放熱する。この放熱部材141は、例えばアルミニウム等の高い熱伝導性を有する材料からなる。
【0115】
放熱部材141上に設けられるヘッド部143は、ガラス層と、ガラス層上に設けられる発熱抵抗体と、この発熱抵抗体の両側に設けられる電源用及び信号用の一対の電極と、発熱抵抗体上及び発熱抵抗体の周囲に設けられる抵抗体保護層とを備え、各電極はヘッド部143の長手方向に亘って微小間隔で複数形成されている。またヘッド部143は、インクリボン10と対向する外側の面に略円弧状の突部146が形成され、発熱抵抗体の熱エネルギをこの突部146からインクリボン10に印加する。サーマルヘッド140は、ヘッド部143に略円弧状の突部146を形成することによりインクリボン10を加熱する際にインクリボン10に対する当たりを良くすることができる。
【0116】
かかるサーマルヘッド140は、図18に示すように、トップシャーシ102がベースシャーシ101を閉塞すると、ヘッド部143の突部146がインクリボン10を介してベースシャーシ101内に配設されたプラテンローラ155と対峙される。そしてサーマルヘッド140は、印画紙4及びインクリボン10がヘッド部143の長手方向と直交する方向に亘って搬送されると、発熱抵抗体によってインクリボン10を加熱し、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の染料を印画紙4の受容層4bに順次熱転写していく。
【0117】
このサーマルヘッド140には、図17に示すように、インクリボンカートリッジ2の開口部40に挿入されることにより、該開口部40に延設されたインクリボン10の走行路となるリボンパスを形成するヘッドカバー148が設けられている。ヘッドカバー148は、長手方向の長さがサーマルヘッド140の長手方向の長さと略同一とされた合成樹脂製の略矩形板状体からなり、サーマルヘッド140の長手方向とヘッドカバー148の長手方向を合わせて、一方の主面が背面側から取り付けられている。またヘッドカバー148は、図25に示すように、下側縁に先端面が背面側に向かうように略L字状に湾曲され、かつ先端面が円弧状に形成されたガイド部148aが形成されている。ガイド部148aは、サーマルヘッド140のヘッド部143と略平行な位置に設けられ、インクリボン10をヘッド部143と略平行に走行するようガイドするものである。
【0118】
かかるヘッドカバー148は、図26に示すように、トップシャーシ102がベースシャーシ101を閉塞することにより、サーマルヘッド140とともにインクリボンカートリッジ2の開口部40内に進入される。このとき、ヘッドカバー148は、ガイド部148aが開口部40に延設されているインクリボン10を押圧しながら進入していくことによりリボンパスを形成する。具体的にヘッドカバー148は、開口部40への進入端となるガイド部148aが、供給側スプール収納部23及び巻取側スプール収納部24間に亘って延設されているインクリボン10を押圧することにより、プラテンローラ155及びサーマルヘッド140が対峙する方向に対して略直交する方向へ走行するようにガイドする。プリンタ装置1においては、インクリボン10及び印画紙4が装置本体1100の背面側から前面側へ搬送される際にサーマルヘッド140によって加熱され印刷が行われる。従って、インクリボン10は、同じくプラテンローラ155及びサーマルヘッド140が対峙する方向に対して略直交する方向へ走行する印画紙4と、印画前において平行に走行されることとなり、両者の密着性が向上される。これによりプリンタ装置1は、印画特性を良好にすることができる。
【0119】
なお、サーマルヘッド140は、図17に示すように、前面側にも合成樹脂製のカバー部材149が取り付けられている。カバー部材149は、下側縁が略円弧状に形成され、ヘッドカバー148と同様に、サーマルヘッド140のヘッド部143と略平行な位置に設けられている。このカバー部材149は、サーマルヘッド140上を通過し後述するリボンガイド165によって巻取側スプール12へガイドされるインクリボン10が摺動される。またカバー部材149は、上記インクリボンカートリッジホルダ7に設けられた保護板132の背面側の側面部132bが当接され、サーマルヘッド140が前面3a側から覆われる。
【0120】
またサーマルヘッド140は、カバー部材149の長手方向の両端部に、プラテンローラ155を支持する回転軸155aに設けられたフランジ部156と摺動されることにより、ヘッド部143とプラテンローラ155とが対峙されるよう位置合わせを行う摺動片150が形成されている。摺動片150は、長尺の金属板からなり、図17及び図21に示すように、先端部がサーマルヘッド140のヘッド部143よりも下方に突出するように設けられている。この摺動片150の先端部は、先細に形成されており、ベースシャーシ101の主面110に昇降自在に配設されたプラテンローラ155のフランジ部156と摺接される摺接部151とされている。
【0121】
この摺動片150は、トップシャーシ102の開口部153の左右両端部から下方に突設されるとともにこの摺動片150と一体に形成された接続部152に、サーマルヘッド140、ヘッドカバー148及びカバー部材149が接続され、これらがトップシャーシ102と一体化されている。そして摺動片150は、トップシャーシ102が閉じられることによりサーマルヘッド140等と共にインクリボンカートリッジホルダ7に装着されたインクリボンカートリッジ2の開口部40内に進入する。このとき、摺動片150は、サーマルヘッド140の長手方向の両端部に設けられているため、開口部40に配設されているインクリボン10とは当接せず、インクリボン10幅方向の両側を挿通し、摺接部151がプラテンローラ155のフランジ部156と摺接可能な位置に回動される。
【0122】
次いで、サーマルヘッド140のヘッド部143と対峙されるプラテンローラ155について説明する。プラテンローラ155は、弾性を有する円柱体が金属製の回転軸155aに軸支されてなり、この回転軸155aの両端部がベースシャーシ101の左右両側壁111,112に挿通されるとともに後述する切換機構190によって支持されることにより、ベースシャーシ101の主面110を昇降自在とされている。また、回転軸155aの両端部には、図20に示すように、トップシャーシ102にサーマルヘッド140と一体に設けられた摺動片150と摺動されるフランジ部156が形成されている。
【0123】
これらサーマルヘッド140及びプラテンローラ155は、トップシャーシ102がベースシャーシ101を閉じることにより、摺動片150がインクリボンカートリッジ2の開口部40を挿通してプラテンローラ155のフランジ部156と対向される。またサーマルヘッド140は、インクリボンカートリッジ2の開口部40を挿通することによりこの開口部40に延設されたインクリボン10を介してプラテンローラ155と対向される。このときプラテンローラ155は、図27及び図28に示すように、切換機構190によって回転軸155aがベースシャーシ101の主面110側に下降されているため、図31(A)に示すように、サーマルヘッド140のヘッド部143とは若干のクリアランスを隔てて対向される。次いで、図29及び図30に示すように、切換機構190によってプラテンローラ155が上昇されると、図31(B)に示すように、摺動片150の摺接部151にプラテンローラ155の回転軸155aに設けられたフランジ部156が摺接される。これによりプラテンローラ155は、フランジ部156が摺動片150にガイドされるため、サーマルヘッド140のヘッド部143と精度よく対峙して当接することができる。
【0124】
その後、ヘッド部143とプラテンローラ155間には、予め背面3c側に搬送されていた印画紙4が前面3a側に搬送され、印刷動作が行われる。また印画紙4を装置本体1100の背面3c側に搬送する際や印刷が終了した印画紙4を装置本体1100外へ排出する際には、切換機構190によって回転軸155aが下降され、ヘッド部143とプラテンローラ155とが離間される(図31(A))。
【0125】
次いで、ベースシャーシ101の主面110に配設され、印刷位置に搬送されたインクリボンカートリッジ2を支持するカートリッジ支持ユニット160について説明する。カートリッジ支持ユニット160は、インクリボンカートリッジホルダ7内に装着されたインクリボンカートリッジ2が装置本体1100内に搬送されたときにカートリッジ本体13を支持して印刷位置に位置決めすると共に開口部40延設されたインクリボン10の走行路となるリボンパスを形成するものである。
【0126】
このカートリッジ支持ユニット160は、図19に示すように、ベースシャーシ101の主面110上に配設されている。またカートリッジ支持ユニット160は、図14に示すように、略矩形状に形成されたユニット本体161と、ユニット本体161の長手方向の両端部に設けられカートリッジ本体13の位置決めを図る第1、第2の位置決め凸部162,163と、カートリッジ本体13内に収納されているインクリボン10の種類等に応じてインクリボンカートリッジ2の種類を検出するための検出スイッチ164と、カートリッジ本体13の開口部40内に挿通されリボンパスを形成するリボンガイド165とが形成されている。
【0127】
ユニット本体161は、ベースシャーシ101の主面110に配設されることにより装置本体1100の前面3a側に位置される。このユニット本体161は、略矩形板状に形成され、長手方向の両端側にカートリッジ本体13の載置面70を支持する支持面部166,166が形成されている。支持面部166にはカートリッジ本体13の載置面70に穿設された第1、第2の位置決め孔72,73に挿入される第1、第2の位置決め凸部162,163が突設されている。そして各支持面部166は、カートリッジ本体13の載置面70が載置されることにより、印刷位置に搬送されたインクリボンカートリッジ2の位置決めの基準面とされる。
【0128】
第1、第2の位置決め凸部162,163は、略円錐形状をなしているため、第1、第2の位置決め孔72,73との係合を容易に行うことができるとともに、第1、第2の位置決め孔72,73の奥まで挿入されることによりカートリッジ本体13の位置決めを図ることができる。なお第1、第2の位置決め凸部162,163は、第2の位置決め孔73が長孔状に形成されていることから、第1の位置決め孔72に第1の位置決め凸部162が挿通されることにより、第2の位置決め孔73と第2の位置決め凸部163との突き合わせ精度がズレていても、かかるズレが吸収される。
【0129】
また、かかる第1、第2の位置決め凸部162,163が第1、第2の位置決め孔72,73に挿通されインクリボンカートリッジ2の位置決めが図られることにより、プリンタ装置1に形成されたリボン走行機構210の走行ギヤ212と、インクリボンカートリッジ2のギヤ用開口部48より外方に臨まされている巻取側スプール12のラチェットギヤ17とが係合され、インクリボン10の走行が可能となる(図27参照)。
【0130】
第2の位置決め凸部163の近傍には、インクリボンカートリッジ2の種類の識別を行う検出スイッチ164が設けられている。この検出スイッチ164は、カートリッジ本体に穿設されたIDホール74内に挿入される1又は複数の検出ピン167が突設されている。検出ピン167は、上述したように、インクリボンカートリッジ2の種類に応じて開口又は閉塞されたIDホール74に挿入あるいは突き当てられることにより、プリンタ装置1に押圧状態が検出され、インクリボンカートリッジ2の種類判別が行われる。
【0131】
具体的に検出スイッチ164は、検出ピン167が、幅広のインクリボン10Wが巻回されているか、幅狭のインクリボン10Nが巻回されているかを示すインクリボンカートリッジ2のIDホール74に対応して設けられる。上述したように、IDホール74は、幅狭のインクリボン10Nが巻回されている場合は開口され、幅広のインクリボン10Wが巻回されている場合は閉塞されている。したがって、検出スイッチ164は、インクリボンカートリッジ2が印刷位置に搬送されたときに、検出ピン167が押圧されたことを検出することにより幅広のインクリボン10Wが巻回されたインクリボンカートリッジ2が装着されていることが判り、検出ピン167が押圧されないことを検出することにより幅狭のインクリボン10Nが巻回されたインクリボンカートリッジ2が装着されていることが判る。
【0132】
印刷位置に搬送されたインクリボンカートリッジ2のインクリボン10をガイドするリボンガイド165は、インクリボン10を幅方向に亘って支持することにより装置本体1100内におけるインクリボン10のリボンパスを形成するものであり、インクリボン10の走行方向と略直交するベースシャーシ101の上方に向かって方向に突設して形成されている。またリボンガイド165は、カートリッジ本体13の開口部40に対応した位置に形成され、インクリボンカートリッジ2が印刷位置に搬送されると、開口部40内に挿通される。またリボンガイド165は、開口部40内に挿通されたサーマルヘッド140よりも装置本体1100の前面3a側、すなわち巻取側スプール収納部24側に位置されている。
【0133】
かかるリボンガイド165は、上端部にインクリボン10の幅方向に亘ってガイドローラ168が設けられている。ガイドローラ168は、リボンガイド165の上端に形成されることによりインクリボン10のリボンパスを構成するとともに、インクリボン10のスムーズな走行を確保するものである。
【0134】
このリボンガイド165は、トップシャーシ102が閉じられることによりインクリボンカートリッジ2が装着されたインクリボンカートリッジホルダ7が印刷位置に搬送されると、図26に示すように、カートリッジ本体13の開口部40内に挿通され、ガイドローラ168が開口部40に延設されているインクリボン10を幅方向に亘って支持する。これによりリボンガイド165は、サーマルヘッド140のヘッドカバー148にガイドされヘッド部143とプラテンローラ155との間に延設されているインクリボン10をベースシャーシ101の上方に急峻に立ち上げ、巻取側スプール収納部24に導くスリット50と略同じ高さまでインクリボン10をガイドする。
【0135】
インクリボン10は、サーマルヘッド140のヘッド部143を通過すると、リボンガイド165によって急峻に立ち上げられ上方にガイドされることから、ヘッド部143及びプラテンローラ155に挟持されることによって印画紙4に熱圧着された後、装置本体1100の前面3a側に搬送される印画紙4から効率よく剥離されることができる。また、このときインクリボン10は、サーマルヘッド140のヘッド部143で印画紙4と熱圧着されてからカバー部材149の略円弧状に形成された下側縁に支持されながら印画紙4とともに前面3a側に搬送され、その後リボンガイド165によって印画紙4から剥離される。したがって、インクリボン10は、ヘッド部143による加熱から剥離されるまでの間に冷却されることとなるため、印画紙4から剥離し易くされている。すなわち、インクリボンが加熱された直後は印画紙との剥離性が悪いが、インクリボン10は、カバー部材149の下側縁にガイドされることでヘッド部143による加熱後も印画紙4に密着された状態で走行され、冷却した後に剥離されるため効率よく剥離される。
【0136】
なお、カバー部材149の下側縁が略円弧状に形成されていることから、インクリボン10は、スムーズに立ち上げがガイドされ、また切断等の事故が防止されている。
【0137】
このようにベースシャーシ101に対して上下方向に回動されるトップシャーシ102にインクリボンカートリッジホルダ7及びサーマルヘッド140を設け、インクリボンカートリッジ2を上下方向に搬送することにより挿脱位置から印刷位置へ搬送するとともに、ベースシャーシ101にリボンガイド165を設けることにより、インクリボンカートリッジ2を印刷位置に搬送するだけで、サーマルヘッド140及びリボンガイド165によって装置本体1100内を走行するインクリボン10の走行路となるリボンパスを形成することができる。したがって、インクリボンカートリッジ2は、プリンタ装置1内に装着された際にリボンパスを形成するための機構を設ける必要がなくなる。
【0138】
また、ベースシャーシ101の前面壁113には、図18に示すように、印画紙4を装置本体1100の前面側3aに形成された給排紙ローラ170及びサブローラ171が形成されている。これら給排紙ローラ170は、装置本体1100の前面3aから装着された印画紙トレイ5より印画紙4を引き出すと共に、該印画紙4を前面3a側から背面3c側に搬送し、また背面3c側から前面3a側に搬送するものである。またサブローラ171は、給排紙ローラ170とともに装置本体1100内の印画紙4を装置本体1100外へ排出させるためのものである。また装置本体1100は、給排紙ローラ170の下側に印画紙トレイ5が装着される開口部8が形成され、印画紙トレイ5内に収納された印画紙4が給排紙ローラ170の下側に位置される。
【0139】
給排紙ローラ170は、印画紙4と当接されるローラ部170aと、ローラ部170aを支持する軸部170bとを有する。ローラ部170aは、ゴム部材からなる中空状の円筒体からなり、軸部170bに挿通支持されている。また軸部170bは、両端をベースシャーシ101の前面壁113に回転自在に支持されると共に、左側壁111側に突出された端部には給排紙ギヤ172が設けられている。そして給排紙ローラ170は、この給排紙ギヤ172が後述する搬送機構220のギヤ列227に回転されることにより駆動される。
【0140】
また前面壁113には、図17、図25等に示すように、印画紙トレイ5内に収納された印画紙4を給排紙ローラ170に押圧する押圧レバー173が形成されている。押圧レバー173は、印画紙トレイ5が開口部8に装着されることにより印画紙トレイ5内に挿入され、印画紙4を上方に押し上げることにより給排紙ローラ170に押圧し、印画紙トレイ5内から印画紙4を装置本体1100内に引き出すものである。この押圧レバー173は、略矩形状に形成された線条体からなる押圧部173aと、押圧部173aを支持する軸部173bとを有する。押圧部173aは、装置本体1100の前面3a側に突出され印画紙トレイ5内に挿入される。また軸部173bは、線条体からなる押圧部173aが巻回されるとともにベースシャーシ101の主面110に回動可能に支持されている。また軸部173bは左側壁111側に突出された端部に係合凸部174が形成され、搬送機構220のカムギヤ226と係合されている(図33及び図35参照)。そして軸部173bは、ベースシャーシ101の主面110に一端が係止されているコイルバネ(図示せず)の他端が係止されることによって押圧部173aが下方に回動付勢されている。かかる押圧レバー173は、カムギヤ226が駆動されることによりカムギヤ226に形成されたカム形状によって係合凸部174がガイドされ、軸部173b及び押圧部173aが上下方向に回動される。
【0141】
なお、前面壁113には、トップシャーシ102の前側面に突設された第1の係止突部118が係止される係止部材(図示せず)が配設されている。係止部材は、ベースシャーシ101の左右方向にスライド自在に配設され、付勢部材によってトップシャーシ102の第1の係止突部118を係止する左右いずれか一方に付勢されている。また係止部材は、装置本体1100のオープンボタン107と連結され、オープンボタン107がスライド操作されることにより第1の係止突部118との係合が解除され、トップシャーシ102を上方に回動可能とする。
【0142】
ベースシャーシ101の背面壁114側には、図19及び図20に示すように、プラテンローラ155を昇降させる切換機構190及びインクリボン10を走行させる走行機構210の駆動源となる切換・走行モータ180と、印画紙4を搬送する搬送機構220のキャプスタンローラ225の駆動源となるキャプスタンモータ181とが配設されている。切換・走行モータ180は、駆動軸180aをベースシャーシ101の右側壁112側に向けて配設され、駆動軸180aの先端にはモータギヤ180bが設けられている。またキャプスタンモータ181は、駆動軸181aをベースシャーシ101の左側壁111側に向けて配設され、駆動軸181aの先端にはモータギヤ181bが設けられている。
【0143】
これら切換・走行モータ180及びキャプスタンモータ181は、正転あるいは逆転駆動されることにより切換機構190及び走行機構210あるいは搬送機構220を駆動する。
【0144】
次いで、切換・走行モータ180によって駆動され、上述したプラテンローラ155をサーマルヘッド140に対して昇降させる切換機構190について説明する。切換機構190は、ベースシャーシ101の右側壁112に形成され、図28及び図32(A)に示すように、切換・走行モータ180の駆動軸180aに設けられたモータギヤ180bと係合される二段ギヤ191と、二段ギヤ191の回転方向に応じて揺動するモード切換ギヤ192と、モード切換ギヤ192と係合する第1、第2の連結ギヤ193,194と、第2の連結ギヤ194と係合する左右一対のカムギヤ195と、カムギヤ195と係合しプラテンローラ155を昇降させる左右一対の昇降プレート196とを備える。
【0145】
二段ギヤ191はモード切換ギヤ192と同軸に設けられ、モード切換ギヤ192を回動自在に支持する。また二段ギヤ191は大径ギヤ191aがモータギヤ180bと係合し、小径ギヤ191bがモード切換ギヤ192と係合している。モード切換ギヤ192は、長尺状のプレート192bの一端にギヤ部192aが設けられ、プレート192bの略中間部が二段ギヤ191と同軸に揺動自在に支持されている。このモード切換ギヤ192は、ギヤ部192aが、第1の連結ギヤ193と、後述するインクリボン10の走行機構210を構成する第3の連結ギヤ211との間を揺動する。
【0146】
そしてモード切換ギヤ192は、二段ギヤ191が切換・走行モータ180の回転方向に応じて図28及び図32(A)中矢印H方向及び反矢印H方向へ回転されると、プレート192bが二段ギヤ191と同方向に揺動される。これによりモード切換ギヤ192は、ギヤ部192aが第1の連結ギヤ193又は第3の連結ギヤ211のいずれかと係合される。モード切換ギヤ192が第1の連結ギヤ193と係合されると、第2の連結ギヤ194及びカムギヤ195を介して昇降プレート196が昇降操作される。
【0147】
モード切換ギヤ192と係合される第1の連結ギヤ193は、ベースシャーシ101の右側壁112に回転可能に支持されている。また第1の連結ギヤ193と係合される第2の連結ギヤ194は、図20に示すように、ベースシャーシ101の左右側壁111,112間に亘って配設された軸部194aを有し、軸部194aの両端には右側壁112の外側に右側ギヤ部194bと左側壁111の外側に左側ギヤ部194cが形成されている。これら右側ギヤ部194b及び左側ギヤ部194cは、それぞれ右側カムギヤ195a及び左側カムギヤ195bと係合されている。
【0148】
昇降プレート196を昇降させる左右一対のカムギヤ195は、第2の連結ギヤ194の右側ギヤ部194bと係合される右側カムギヤ195aと、左側ギヤ部194cと係合される左側カムギヤ195bとを備え、それぞれベースシャーシ101の左右側壁111,112に回転自在に支持されている。左右側カムギヤ195a,195bは、それぞれベースシャーシ101の各側壁側と対峙する面にカム溝が形成され、それぞれ右側昇降プレート196a、左側昇降プレート196bが係合されている。
【0149】
左右一対の昇降プレート196は、プラテンローラ155の回転軸155aの両端を支持する右側昇降プレート196aと左側昇降プレート196bとを備え、それぞれベースシャーシ101の左右側壁111,112に回転自在に支持されている。各昇降プレート196は、カムギヤ195のカム溝に係合される係合アーム197が形成された係合板198と、係合板198と一体に回動されることでプラテンローラ155の回転軸155aを昇降させる昇降板199とを備える。係合板198は、背面側に延設された係合アーム197がカム溝に係合されることでカムギヤ195の回転に応じて左右側壁111,112を前後方向に亘って回動される。また係合板198は、上方にトップシャーシ102の左右両側に形成された第2の係止突部119に係止される係止片201が形成されている。
【0150】
また昇降板199は、上記係合板198とバネ部材200を介して係合板198と連結され、係合板198と一体に回動可能とされている。この昇降板199は、プラテンローラ155の回転軸155aが挿通、支持されている挿通部202が形成されている。
【0151】
なお、昇降板199の挿通部202に挿通されるプラテンローラ155の回転軸155aは、プラテンローラ155をサーマルヘッド140のヘッド部143に対して精度よく上昇させる押圧部材205に挿通されている。押圧部材205は、合成樹脂の成形品からなり、図31及び図32(B)に示すように、回転軸155aに挿通されるとともに昇降板199の挿通部202に挿通する円筒部205aと、円筒部205aを挿通部202に押圧する押圧部205bと、押圧部材205を回転可能に支持する支持部205cとを備える。支持部205cは昇降プレート196と同軸にベースシャーシ101の右側壁112に支持され、押圧部材205を回動可能とする。押圧部205bは円筒部205aの外周の一部と支持部205cとの間で略S字状に湾曲するように設けられている。また押圧部205bは可撓性を有し、湾曲して設けられることにより円筒部205aを挿通部202の内周部に対して図32(B)中矢印F方向へ押圧する。
【0152】
昇降板199は、かかる押圧部材205を介してプラテンローラ155の回転軸155aが挿通されている。そして昇降プレート196は、カムギヤ195が図28中矢印I方向へ回転されると係合板198及び昇降板199がカム溝にガイドされ同図中矢印J方向及び反矢印J方向に往復回転される。したがって昇降プレート196は、昇降板199の挿通部202に挿通されている回転軸155aを上下方向に昇降操作することができる。このとき、押圧部材205によって回転軸155aが昇降板199の挿通部202の内周部に押圧されているため、プラテンローラ155は、回転軸155aの挿通部202内におけるバラツキがなくなり、サーマルヘッド140のヘッド部143に対する位置精度が向上され、確実にヘッド部143と対向される。
【0153】
そして切換機構190は、切換・走行モータ180が正転されると、モータギヤ180bと係合された二段ギヤ191が図28及び図32(A)中矢印H方向に回転され、モード切換ギヤ192もプレートが同方向に揺動されてギヤ部192aが第1の連結ギヤ193と連結される。これにより切換・走行モータ180の駆動力が第1の連結ギヤ193から第2の連結ギヤ194及び右側カムギヤ195aへと伝わり、右側カムギヤ195aが図28中矢印I方向へ回転される。また第2の連結ギヤ194の左側ギヤ部194cと係合されている左側カムギヤ195bも同方向に回転される。左右のカムギヤ195a,195bと係合されている右側昇降プレート196a及び左側昇降プレート196bは、各係合板198の係合アーム197がカムギヤ195に操作され、昇降板199が図28中矢印J方向及び反矢印J方向へ往復回転されて、プラテンローラ155を昇降操作することができる。
【0154】
なお、かかるプラテンローラ155の昇降状態は、ベースシャーシ101の左側壁111に取り付けられたリジット基板に実装されたモード検出スイッチが、左側昇降プレート196bによってオン又はオフされることにより検出される。
【0155】
次いでインクリボン10を走行させる走行機構210について説明する。走行機構210は、図32(B)に示すように、上述したモード切換ギヤ192と係合される第3の連結ギヤ211と、インクリボンカートリッジ2に収納されている巻取側スプール12を回転駆動することによりインクリボン10を走行させる走行ギヤ212と、第3の連結ギヤ211と走行ギヤ212とを連結する第4の連結ギヤ213とを備える。
【0156】
第3の連結ギヤ211は、ベースシャーシ101の右側壁112に回転自在に取り付けられた二段ギヤからなり、大径ギヤがモード切換ギヤ192と係合され、小径ギヤが第4の連結ギヤ213と係合される。第4の連結ギヤ213もベースシャーシ101の右側壁112に回転自在に取り付けられている。
【0157】
この第4の連結ギヤ213によって回転される走行ギヤ212は、図20に示すように、ベースシャーシ101の右側壁112に取り付けられた円筒状の支持部212aと、支持部212a内を挿通し右側壁112の内外に亘って延設される軸部212bと、軸部212bの一端に設けられ右側壁112より外方において第4の連結ギヤ213と係合する第1のギヤ部212cと、軸部212bの他端に設けられベースシャーシ101の内部においてインクリボンカートリッジ2の巻取側スプール12と係合する第2のギヤ部212dとを備える(図14参照)。第2のギヤ部212dは、インクリボンカートリッジ2が印刷位置に搬送されることにより、巻取側スプール収納部24のギヤ用開口部48から外方に臨まされているラチェットギヤ17と係合され、巻取側スプール12を回転可能とされる。
【0158】
かかる走行機構210は、切換・走行モータ180が逆転されると、モータギヤ180bと係合された二段ギヤ191が図32(B)中反矢印H方向に回転され、モード切換ギヤ192もプレートが同方向に揺動されてギヤ部192aが第3の連結ギヤ211と連結される。これにより切換・走行モータ180の駆動力が第3の連結ギヤ211から第4の連結ギヤ213及び走行ギヤ212へと伝わり、走行ギヤ212の第1のギヤ部212c及び第2のギヤ部212dが図32(B)中矢印K方向へ回転される。したがって走行ギヤ212は、第2のギヤ部212dと係合されている巻取側スプール12を、インクリボン10を巻き取る矢印D方向へ回転させることができ、インクリボン10が供給側スプール11から巻取側スプール12へと走行される。
【0159】
また走行起稿210は、切換・走行モータ180が正転されると、二段ギヤ191が矢印H方向へ回転されることにより、モード切換ギヤ192のギヤ部192aが同方向へ揺動されて第3の連結ギヤ211から離間される。これにより切換・走行モータ180と走行ギヤ212との連結が絶たれるため、巻取側スプール12が停止し、インクリボン10の走行が停止される。
【0160】
次いで印画紙4を装置本体1100の内外に亘って搬送する搬送機構220について説明する。搬送機構220は、ベースシャーシ101の左側壁111に設けられており、図33及び図34に示すように、上述したキャプスタンモータ181のモータギヤ181bと係合する二段ギヤ221と、二段ギヤ221と係合する第5の連結ギヤ222と、第5の連結ギヤ222と係合する第6の連結ギヤ223と、第6の連結ギヤ223と同軸で支持され第6の連結ギヤ223の回転方向に揺動する第1の揺動ギヤ224と、第1の揺動ギヤ224と係合され印画紙4を搬送するキャプスタンローラ225と、押圧レバー173を印画紙トレイ5に収納された印画紙4に押圧するように駆動させるカムギヤ226と、給排紙ローラ170を駆動するギヤ列227を備える。
【0161】
二段ギヤ221、第5の連結ギヤ222及び第6の連結ギヤ223は、いずれもベースシャーシ101の左側壁111に回転自在に支持されている。また 第6の連結ギヤ223と同軸で支持されている第1の揺動ギヤ224は、略長尺状のプレート224cを有し、このプレート224cの長手方向略中間部が第6の連結ギヤ223と同軸で支持され、該第6の連結ギヤ223の回転方向と同方向に揺動される。また第1の揺動ギヤ224は、プレート224cの一端及び中間部に第1のギヤ部224aと第2のギヤ部224bとが形成されている。これら第1、第2のギヤ部224a,224bは、プレートの揺動方向によっていずれか一方がキャプスタンローラ225と係合され、これによりキャプスタンローラ225の回転方向を正転あるいは逆転させる。
【0162】
キャプスタンローラ225は、ベースシャーシ101内を左側壁111から右側壁112にかけて延設され、その回転方向に応じて印画紙4を装置本体1100の内外に亘って搬送するものである。このキャプスタンローラ225は、ベースシャーシ101の主面110より突設された支持部材に回転可能に支持されたローラ本体225aを有する。このローラ本体225aは、図17に示すように、同じくベースシャーシ101内において平行に支持されているピンチローラ230と対向配置されている。ピンチローラ230は、ベースシャーシ101の左右側壁111,112に回動自在に支持されると共にバネ部材によってキャプスタンローラ225側に回動付勢されているアーム部材(図示せず)に支持されることによってキャプスタンローラ225に押圧されている。そして搬送機構220が駆動されると、キャプスタンローラ225は、ピンチローラ230とともに回転され印画紙4を挟持しながら搬送する。またキャプスタンローラ225は、左側壁111の外側に臨まされた端部にローラギヤ部225bが設けられている。このローラギヤ部225bは、第1の揺動ギヤ224の第1、第2のギヤ部224a,224bと係合され、キャプスタンモータ181の駆動力が伝達される。
【0163】
またキャプスタンローラ225は、同軸で支持されることによりキャプスタンローラ225の回転方向に応じて揺動する第2の揺動ギヤ228を備える。第2の揺動ギヤ228は、キャプスタンローラ225と同軸で支持されたアーム部228aと、アーム部228aの先端に設けられたギヤ部228bとを備える。アーム部228aは、キャプスタンローラ225の回転方向と同方向に揺動しギヤ部228bをカムギヤ226と接離させる。ギヤ部228bは、常時キャプスタンローラ225のローラギヤ部225bと係合され、カムギヤ226と係合されたときにはキャプスタンローラ225の回転力をカムギヤ226に伝達する。かかる第2の揺動ギヤ228は、キャプスタンローラ225が印画紙4を装置本体1100の背面3c側に搬送する図33中矢印L方向へ回転されると、アーム部228aが上方に回動されてギヤ部228bとカムギヤ226とが係合される。また第2の揺動ギヤ228は、キャプスタンローラ225が印画紙4を装置本体1100の前面3a側に送る図35中反矢印L方向へ回転されると、アーム部228aが下方に回動されてギヤ部228bとカムギヤ226とが離間する。
【0164】
第2の揺動ギヤ228と係合されるカムギヤ226は、上記押圧レバー173を昇降操作することにより、印画紙トレイ5に収納された印画紙4を給排紙ローラ170側に押し当てるものである。カムギヤ226は、ベースシャーシ101の左側壁111に回転自在に支持されると共に、左側壁111に面する側面にカム溝が形成され、押圧レバー173の軸部173bに形成された係合凸部174が係合される。
【0165】
かかるカムギヤ226は、キャプスタンローラ225が印画紙4を装置本体1100内に搬送する図33中矢印L方向へ回転されると、第2の揺動ギヤ228と係合されて回転される。これによりカムギヤ226のカム溝に軸部173bが係合されている押圧レバー173は、押圧部173aが上方に回動され、印画紙トレイ5内に収納されている印画紙4を給排紙ローラ170に押し当てる。これにより、印画紙トレイ5に収納されている印画紙4は給排紙ローラ170と当接している一番上の印画紙4のみが装置本体1100内に給紙される。
【0166】
なおカムギヤ226は、一部にギヤが形成されていない空転部が設けられ、第2の揺動ギヤ228との係合が解除される。このとき印画紙4はキャプスタンローラ225及びピンチローラ230に挟持され、また押圧レバー173は押圧部173aが給排紙ローラ170側に上昇されている。その後、印画紙4を装置本体1100外へ排出させる際にプラテンローラ155が下降されると、左側昇降プレート196bのアーム部196cが下方に回動されることにより、カムギヤ226は、ストッパー片229を介して押圧されて若干逆転される。これによりカムギヤ226と係合されている押圧レバー173は、カム溝にガイドされることにより押圧部173aが下降される(図34)。このとき第2の揺動ギヤ228は、ストッパー片229に押圧されてカムギヤ226から離間されているため、カムギヤ226が逆転されることによる逆回転動作は生じない。これにより第2の揺動ギヤ228とカムギヤ226は再度係合可能な状態とされる。そして、印画紙4を再度装置本体1100内に引き込むためキャプスタンローラ225が図33中矢印L方向へ回転されると、第2の揺動ギヤ228及びカムギヤ226が回転され、押圧レバー173が上昇される。
【0167】
給排紙ローラ170を駆動するギヤ列227は、図34及び図36に示すように、キャプスタンローラ225のローラギヤ部225bと係合される第7の連結ギヤ232と、第7の連結ギヤ232と同軸で支持され、第7の連結ギヤ232の回転方向に応じて揺動される第3の揺動ギヤ233と、第3の揺動ギヤ233と係合されるとともに給排紙ローラ170の軸部170bに形成された給排紙ギヤ172と係合される第8の連結ギヤ234とを備える。
【0168】
第7の連結ギヤ232は、ベースシャーシ101の左側壁111に取り付けられた支持壁に回動自在に取り付けられることにより上記カムギヤ226と重なる位置に配設されている。第7の連結ギヤ232は、二段ギヤであり、大径ギヤがキャプスタンローラ225のローラギヤ部225bと係合し、小径ギヤが第3の揺動ギヤ233と係合されている。この第7の連結ギヤ232と係合される第3の揺動ギヤ233は、第7の連結ギヤ232と同軸に且つ揺動可能に支持された揺動プレート233aと、揺動プレート233aに回転自在に設けられた第1のギヤ部233bと第2のギヤ部233cとを有する。揺動プレート233aは、第7の連結ギヤ232の回転方向と同方向に揺動可能とされ、この揺動方向に応じて第1のギヤ部233bを給排紙ギヤ172と接離させ、また第2のギヤ部233cを第8の連結ギヤ234と接離させる。第1、第2のギヤ部232b,232cは、常時第7の連結ギヤ232の小径ギヤと係合され、第7の連結ギヤ232の回転に応じて回転される。また第8の連結ギヤ234は、第3の揺動ギヤ233の第2のギヤ部233cが第7の連結ギヤ232と係合可能な位置に揺動されることにより該第2のギヤ部233cと係脱されるものである。
【0169】
かかるギヤ列227は、キャプスタンローラ225が印画紙4を装置本体1100内に搬送する図34中矢印L方向へ回転されると、第7の連結ギヤ232が図34中矢印M方向に回転される。これにより第3の揺動ギヤ233は、揺動プレート233aが同方向に回転されて、第1のギヤ部233bが給排紙ローラ170の給排紙ギヤ172と係合され、また第2のギヤ部233cは第8の連結ギヤ234と離間される。そして第7の連結ギヤ232が図34中矢印M方向に回転されると、第1のギヤ部233bを介して給排紙ギヤ172は、給排紙ローラ170を印画紙トレイ5に収納された印画紙4を引き込む同図中矢印N方向へ回転される。なおこのとき印画紙トレイ5には押圧レバー173の押圧部173aが挿入、上昇されている。したがって、給排紙ローラ170は、押圧レバー173との間で挟持した印画紙4を装置本体1100内に搬送することができる。
【0170】
またギヤ列227は、キャプスタンローラ225が印画紙4を装置本体1100の外へ排出する図36中反矢印L方向へ回転されると、第7の連結ギヤ232が同図中反矢印M方向に回転される。これにより第3の揺動ギヤ233は、揺動プレート233aが同方向に回転されて、第2のギヤ部233cが給排紙ギヤ172と係合されている第8の連結ギヤ234と係合され、また第1のギヤ部233bは給排紙ギヤ172と離間される。そして第7の連結ギヤ232が図36中反矢印M方向に回転されると、第2のギヤ部233c及び第8の連結ギヤ234を介して給排紙ギヤ172は、給排紙ローラ170を装置本体1100外へ排出する同図中矢印N方向へ回転される。なおこのとき印画紙4は、給排紙ローラ170とサブローラ171との間を搬送されることから、給排紙ローラ170及び給排紙ギヤ172は、印画紙トレイ5から印画紙4を引き込む場合と同じ方向に回転される。
【0171】
かかる搬送機構220を備えるプリンタ装置1は、搬送機構220によって印画紙4を装置本体1100の前面3aと背面3cとに亘って複数回往復させながら印画を行うものである。そして搬送機構220は、プリンタ装置1の印刷動作において、印画紙4を印画紙トレイ5から引き出し装置本体1100内に給紙する給紙動作と、装置本体1100の背面3c側まで搬送した印画紙4を前面3a側に搬送しながら印刷する印画動作と、前面3a側に搬送された印画紙4を再度印画するために背面3c側に搬送する紙戻し動作と、印画が終了された印画紙4を装置本体1100の前面3aに排出する排紙動作とを行う。
【0172】
給紙動作では、図33に示すように、切換・走行モータ180が正転駆動されることによりプラテンローラ155が上昇される。次いでキャプスタンモータ181が正転駆動され、二段ギヤ221が図33中矢印O方向に回転される。すると、二段ギヤ221と係合されている第5の連結ギヤ222を介して第6の連結ギヤ223が図33中矢印P方向へ回転され、この第6の連結ギヤ223と同軸で支持されている第1の揺動ギヤ224が同方向へ揺動される。これにより第1の揺動ギヤ224の第1のギヤ部224aがキャプスタンローラ225と係合され、キャプスタンローラ225のローラ本体225aが印画紙4を装置本体1100の背面3c側に搬送する図33中矢印L方向へ回転される。キャプスタンローラ225と同軸に支持されている第2の揺動ギヤ228は、ローラ本体225aが図33中矢印L方向へ回転されると、アーム部228aが同方向に揺動され、ギヤ部228bがカムギヤ226と係合される。カムギヤ226は、ギヤ部228bを介して駆動力が伝達されることにより、図33中矢印Q方向へ回転される。そしてカムギヤ226と係合されている押圧レバー173は、押圧部173aが上方に回動され、印画紙トレイ5内に収納されている印画紙4を給排紙ローラ170に押し当てる。
【0173】
一方、キャプスタンローラ225のローラ本体225aと係合されている第7の連結ギヤ232は、キャプスタンローラ225が図33中矢印L方向へ回転されると、矢印M方向に回転され、これにより第7の連結ギヤ232と同軸に支持されている第3の揺動ギヤ233は、揺動プレート233aが同方向に揺動され第1のギヤ部232bが給排紙ローラ170の給排紙ギヤ172と係合される。そして給排紙ローラ170は、第1のギヤ部232bを介して駆動力が伝達されることにより、給排紙ギヤ172及びローラ部170aが図34中矢印N方向に回転される。このとき、印画紙トレイ5に収納されている印画紙4は、給排紙ローラ170の下側に位置されているため、給排紙ローラ170が図34中矢印N方向に回転されることにより装置本体1100の背面3c側に搬送される。
【0174】
以上のようにして図37に示すように、印画紙トレイ5に収納された印画紙4は、装置本体1100の背面3c側に搬送されるとキャプスタンローラ225及びピンチローラ230に挟持される。そしてプリンタ装置1は紙戻し動作に移り、キャプスタンローラ225が同図中矢印L方向に回転されることにより、印画紙4をさらに装置本体1100の背面3c側に搬送していく。
【0175】
紙戻し動作に移ると、プリンタ装置1は、切換・走行モータ180がさらに正転駆動されることにより左右一対のカムギヤ195がさらに回転され、カムギヤ195にガイドされた昇降プレート196が回動されてプラテンローラ155が下降される。これにより図38に示すように、サーマルヘッド140とプラテンローラ155とが離間され、印画紙4の搬送スペースができる。そしてキャプスタンローラ225が図38中矢印L方向に回転されることにより、印画紙4は装置本体1100の背面3c側に搬送されていく。印画紙4が所定の位置まで搬送されると、印画紙4のエッジを検出するフォトセンサとキャプスタンローラ225の回転をカウントするエンコーダによって制御されてキャプスタンローラ225が停止される。
【0176】
なお、プリンタ装置1は、図39に示すように、メインシャーシ100が装置本体1100よりも前後方向に小さく、装置本体1100の背面壁とメインシャーシ100の背面側端面とは所定のクリアランスCを隔てて配設されている。このクリアランスCには、装置本体1100の背面3c側に搬送された印画紙4がメインシャーシ100の背面から排出された場合に、この印画紙4を装置本体1100の上方にガイドする円弧状のガイド壁236が形成されている。ガイド壁236は湾曲する内側の面を装置本体1100の前面3a側に向けて配設されているため、装置本体1100の背面3c側に搬送されてきた印画紙4が摺動しながら上方にガイドされる。これにより印画紙4は装置本体1100の背面3c側に搬送されると、ガイド壁236にガイドされながら印画紙4が湾曲しながら装置本体1100の背面とメインシャーシ100とのクリアランスC内に収納される。したがってプリンタ装置1は、前後方向に搬送される印画紙4を用いても、装置本体1100が前後方向に増大することなく小型化を図ることができる。
【0177】
また印画紙4が装置本体1100の背面3c側に搬送されている際に、切換・走行モータ180が逆転駆動され、インクリボン10の頭出しが行われ、例えばイエロー(Y)の染料層10bがサーマルヘッド140とプラテンローラ155との間に位置される。
【0178】
印画動作に移ると、プリンタ装置1は、切換・走行モータ180がさらに正転駆動されることにより左右一対のカムギヤ195がさらに回転され、カムギヤ195にガイドされた昇降プレート196が回動されてプラテンローラ155が上昇される。これにより図40に示すように、サーマルヘッド140とプラテンローラ155とによって印画紙4とインクリボン10とが挟持される。
【0179】
次いでキャプスタンモータ181が逆転駆動され、二段ギヤ221が反矢印O方向に回転される。すると、二段ギヤ221と係合されている第5の連結ギヤ222を介して第6の連結ギヤ223が反矢印P方向へ回転され、この第6の連結ギヤ223と同軸で支持されている第1の揺動ギヤ224が同方向へ揺動される。これにより第1の揺動ギヤ224の第1のギヤ部224aがキャプスタンローラ225から離間するとともに第2のギヤ部224bがキャプスタンローラ225と係合され、キャプスタンローラ225のローラ本体225aが印画紙4を装置本体1100の前面3a側に搬送する反矢印L方向へ回転される。
【0180】
また、キャプスタンローラ225のローラ本体225aと係合されている第7の連結ギヤ232は、キャプスタンローラ225が反矢印L方向へ回転されると、反矢印M方向に回転され、これにより第7の連結ギヤ232と同軸に支持されている第3の揺動ギヤ233は、揺動プレート233aが同方向に揺動され第1のギヤ部232bが給排紙ギヤ172と離間されると共に、第2のギヤ部232cが第8の連結ギヤ234と係合される。第8の連結ギヤ234は給排紙ギヤ172と係合されているため、キャプスタンローラ225が駆動されると、第7の連結ギヤ232及び第8の連結ギヤ234を介して給排紙ローラ170が回転される。
【0181】
このとき、第8の連結ギヤ234を介して第7の連結ギヤ232と連結された給排紙ギヤ172は、第7の連結ギヤ232が反矢印M方向に回転されると、給排紙ギヤ172及びローラ部170aが矢印N方向に回転される。また、キャプスタンローラ及びピンチローラ230に挟持されて装置本体1100の前面3a側に搬送される印画紙4は、ベースシャーシ101の主面110に配設されたフラッパー237によって給排紙ローラ170及びサブローラ171間に搬送されるようにガイドされる(図40参照)。したがって印画紙4は給排紙ローラ170の上側を搬送されるため、給排紙ローラ170が矢印N方向に回転されることにより装置本体1100の前面3aより先端部が外方に搬送される。
【0182】
なお、キャプスタンローラ225と同軸に支持されている第2の揺動ギヤ228は、ローラ本体225aが反矢印L方向へ回転されると、アーム部228aが同方向に揺動され、ギヤ部228bがカムギヤ226から離間されている(図36)。
【0183】
以上のようにプリンタ装置1は、装置本体1100の背面3cから前面3a側に印画紙4が搬送される過程においてサーマルヘッド140によって熱転写が行われ、画像が印刷される。この印刷工程は、インクリボン10の形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の染料層10b〜10d及び保護層10eを印画紙4に熱転写することにより行われる。また印画紙4が背面3cから前面3aへ一回搬送される度に一の染料層又は保護層の熱転写が行われる。したがって一つの画像を印刷するために、印画紙4は装置本体1100の前面3aと背面3cの間に亘って4往復される。
【0184】
4往復目に背面3cから前面3aへ印画紙が搬送され、保護層10eが熱転写されると、そのまま排紙動作に移る。排紙動作においては、切換・走行モータ180が正転駆動されることによりプラテンローラ155が下降され、印画紙4及びインクリボン10を挟持していたプラテンローラ155とサーマルヘッド140とが離間する。そして印画動作と同様にキャプスタンモータ181が駆動されることにより、キャプスタンローラ225が反矢印L方向へ回転され、また給排紙ローラ170が矢印N方向に回転されることにより、画像が印刷された印画紙4は、給排紙ローラ170及びサブローラ171の間から印画紙トレイ5上に排出される。印画紙4のエッジをセンサにより検出することにより印画紙4が排出されたことが判定されると、キャプスタンモータ181の駆動が停止される。
【0185】
次いで、プリンタ装置1について、インクリボンカートリッジ2の装着から印画動作、インクリボンカートリッジ2の排出に至る動作について説明する。印画動作前の待機中において、プリンタ装置1は、ベースシャーシ101の前面壁113に設けられた係合部材とトップシャーシ102に突設された第1の係止突部118とが係合されることにより、捻りコイルバネ116の付勢力に対向して天板6及びトップシャーシ102が閉じられている。またプリンタ装置1は、切換機構190の昇降プレート196が図28中矢印J方向に揺動されプラテンローラ155を下降させている。また昇降プレート196は、係合板198の上方に設けられた係止片201とトップシャーシ102の左右両側面に形成されている第2の係止突部119との係合が解除されている。
【0186】
インクリボンカートリッジ2を装着する場合、装置本体1100の前面3aに設けられたオープンボタン107をスライドさせて、天板6を上方に回動させる。オープンボタン107がスライドされることにより、ベースシャーシ101の係合部材とトップシャーシ102の第1の係止突部118との係合が解除される。これにより、捻りコイルバネ116によってトップシャーシ102及び天板6が上方に回動され、インクリボンカートリッジホルダ7が装置本体1100の前面3a側から外方に臨まされる(図3)。
【0187】
インクリボンカートリッジ2は、カートリッジ保体13の前面部13aに形成された把持部32が把持されて、インクリボンカートリッジホルダ7に挿入される(図4)。このときインクリボンカートリッジ2は、左右両側面に膨出形成されているガイド部31が断面略コ字状のガイド支持部125に上下面及び側面を支持されながら挿入される。インクリボンカートリッジ2は、把持部32が設けられることにより、把持部32の上面にユーザの親指が配置され、把持部32の下面にユーザの人差し指が配置されて把持されるため、インクリボンカートリッジホルダ7への挿入方向が明確となる。またインクリボンカートリッジホルダ7は、ガイド部31の下面に穿設された開口部33より下側に突出されたスプールロック61の被押圧部66がガイド支持部125の受け部125aに押圧される。これによりスプールロック61は、弾性係合片64a,64bのラチェット部65a,65bと供給側スプール11及び巻取側スプール12の各ラチェットギヤ17,17との係合が解除され、供給側スプール11及び巻取側スプール12を回転可能とする。さらにインクリボンカートリッジ2は、カートリッジ本体13の上面13bに設けられた仮止め用凹部35に、インクリボンカートリッジホルダ7の連結部126より下方に突設された仮止め用凸部131が係合される。これによりインクリボンカートリッジ2は、インクリボンカートリッジホルダ7内において仮の位置決めが図られるため、後にトップシャーシ102がベースシャーシ101側に閉じられることにより、印刷位置に搬送されたときに、カートリッジ本体13の下面部13cに設けられた位置決め孔72,73に、装置本体1100内に突設された第1、第2の位置決め凸部162,163を挿通しやすくすることができ、容易にインクリボンカートリッジ2の位置決めを図ることができる。
【0188】
また、このとき、インクリボンカートリッジホルダ7の連結部126に形成されている保護板132が上方に回動することにより、トップシャーシ102に設けられているサーマルヘッド140が覆われ、前面3aからユーザの目に触れないようにされている。したがって、ユーザが誤ってサーマルヘッド140のヘッド部143を触れることによる汚損や、印画直後で高熱を帯びたヘッド部143による怪我を防止することができる(図3)。
【0189】
このように、プリンタ装置1は、装置本体1100の前面3a側からインクリボンカートリッジ2を装着することができるため、装置本体1100の側面から装着するタイプに比してインクリボンカートリッジ2の挿脱用スペースを確保する必要がなく、設置場所の省スペース化を図ることができる。またプリンタ装置1は、装置本体1100の左右両側面にインクリボンカートリッジ2の挿脱口が設けられていないため、左右両側面部にインクリボン10の走行機構210や印画紙4の搬送機構220を配設することができ、装置本体1100の小型化を図ることができる。
【0190】
天板6を閉じることにより、インクリボンカートリッジホルダ7に装着されたインクリボンカートリッジ2は、装置本体1100の印刷位置に搬送される。インクリボンカートリッジ2は、カートリッジ本体13の載置面70に穿設された位置決め孔72,73に、装置本体1100内に配設されたカートリッジ支持ユニット160より突設された第1、第2の位置決め凸部162,163が挿通されて印刷位置における位置決めが図られる。
【0191】
具体的に、天板6が閉じられると、トップカバー102の前側面に設けられた第1の係止突部118がベースシャーシ101の前面壁113に配設された係止部材に係止され、捻りコイルバネ116の付勢力に対抗して装置本体1100を閉じる。このとき、トップシャーシ102に取り付けられたインクリボンカートリッジホルダ7は、連結部126に設けられた保護板132がトップシャーシ102と連結部126との間に挟持される。保護板132は、押圧片133が常時連結部126に対して保護板132を上方に回動させる付勢力を有するため、トップシャーシ102によって押圧片133による付勢方向と反対方向に押圧されることとなる。このため押圧片133の付勢力は、反対にインクリボンカートリッジホルダ7及びインクリボンカートリッジ2に対して下向きに作用し、カートリッジ本体13を装置本体1100内のカートリッジ支持ユニット160へ押圧する。したがってカートリッジ本体13は、載置面70がカートリッジ支持ユニット160の支持面部166に確実に支持され、装置本体1100内における位置決めが図られる。同時に、カートリッジ本体13を構成しているアッパシェル21とロアシェル22とが互いに突き合わされる方向に付勢されるため、ロアシェル22に形成され供給側スプール11及び巻取側スプール12の各支軸部16及び突部18を支持する軸受部25〜28の支持壁42と、支持壁42に対応してアッパシェル21に形成された支持片43〜46とが密着される。従って、供給側スプール11及び巻取側スプール12の各支軸部16及び突部18は、各軸受部25〜28及び支持片43〜46によって四方が支持されることにより、供給側スプール収納部23あるいは巻取側スプール収納部24内における高さ精度を出すことができる(図9)。
【0192】
またインクリボンカートリッジ2は、載置面70に穿設されたIDホール74の開口状態が、カートリッジ支持ユニット160に設けられた検出スイッチ164によって検出され、例えば幅広のインクリボン10Wが巻回されたものか、あるいは幅狭のインクリボン10Nが巻回されたものかの種別判別が行われる。
【0193】
またインクリボンカートリッジ2は、装置本体1100の印刷位置に搬送されると、トップシャーシ102も天板6とともにベースシャーシ101側に回動され、カートリッジ本体13の供給側スプール収納部23と巻取側スプール収納部24との間に設けられた開口部40に、トップシャーシ102に設けられたサーマルヘッド140と、ベースシャーシ101の主面110より突設されているリボンガイド165が挿入される。したがって供給側スプール11と巻取側スプール12間に架け渡され開口部40に延在されているインクリボン10は、これらサーマルヘッド140及びリボンガイド165のガイドローラ168によって、装置本体1100内における走行路となるリボンパスが形成される。すなわち、インクリボンカートリッジ2は、インクリボンカートリッジホルダ7に装着され、印刷位置に搬送されるのみで、リボンパスを形成することができる。したがって、インクリボンカートリッジ2は、予め装置本体1100内におけるリボンパスを構成しておく必要がなく、また印刷位置に装着された後に、リボンパスを形成する動作やこの動作を担う部材を設ける必要がない。
【0194】
具体的に、インクリボン10は、サーマルヘッド140が開口部40に挿入されることにより、ヘッド部143の背面側に形成されたヘッドカバー148と、ヘッド部143の前面側に形成されたカバー部材149とにガイドされ、ヘッド部143と略同じ高さに支持されて、水平方向に走行可能とされる。従ってインクリボン10は、搬送機構220によって背面3c側から前面3a側へ搬送される印画紙4と略平行に走行され、両者の密着性が向上されるため、印画特性を良好にすることができる。また、インクリボン10は、ベースシャーシ101の主面110に突設されているリボンガイド165がサーマルヘッド140とは反対側から開口部40に挿入されることにより、リボンガイド165の上端に形成されているガイドローラ168によってヘッド部143と略同じ高さから巻取側スプール収納部24のスリット50と略同じ高さまで急峻に立ち上げられる。従ってインクリボン10は、ヘッド部143に加熱されることよって印画紙4に熱転写された後、カバー部材149にガイドされることによって冷却された後、急峻に立ち上げられることから、印画紙4から効率よく剥離されることができる。
【0195】
また、このときサーマルヘッド140とプラテンローラ155は所定の距離を隔てて対峙され、またサーマルヘッド140の両側に突節されている摺動片150は、摺接部151がプラテンローラ155の長手方向の両端部に設けられたフランジ部156と所定の距離を隔てて対峙されている(図31(A))。
【0196】
その他、インクリボンカートリッジ2が印刷位置に装着されると、装置本体1100内に設けられている走行ギヤ212の第2のギヤ部212dが、巻取側スプール収納部24に開口されたギヤ用開口部48から外方に臨まされているラチェットギヤ17と係合され、巻取側スプール12が回動自在とされる(図27)。またこのとき、装置本体1100内に設けられた巻取ギヤ138が、供給側スプール収納部23に開口されたギヤ用開口部47から外方に臨まされているラチェットギヤ17と係合される(図23)。
【0197】
また、インクリボンカートリッジ2は、インクリボンカートリッジホルダ7のガイド支持部125に支持されるガイド部31を、カートリッジ本体13の側面に膨出させるとともにカートリッジ本体13の下面よりも高い位置で膨出させていることから、ガイド部31及びこれを支持するガイド支持部125の下方にスペースを確保することができる。プリンタ装置1では、かかるガイド支持部125の下方に走行ギヤ212の第2のギヤ部212dやキャプスタンローラ225のローラ本体225a及びピンチローラ230の両端部が位置されており、かかるスペースの有効利用を図ることにより装置本体1100の小型化が図られている。
【0198】
次いで、画像の印刷動作に移る。印刷動作では、先ず印画紙トレイ5が装置本体1100の前面3a側に形成された開口部8に装着される。このとき印画紙トレイ5内には、トレイ底面に押圧レバー173の押圧部173aが挿入される(図39)。次いで、操作パネル104を操作することにより、各種記録メディアやパソコン等から伝送された画像が表示されるLCDパネル105より印刷画像やサイズ、枚数、画質等を選択し、印刷を開始する。
【0199】
印刷開始の操作がされると、先ず印画紙トレイ5に収納されている印画紙4の給紙動作が行われる。給紙動作では、図33に示すように、切換・走行モータ180が正転駆動されることによりプラテンローラ155が上昇される方向へ昇降プレート196が回動される。これによりキャプスタンローラ225と同軸で支持されるとともにカムギヤ226と係合される第2の揺動ギヤ228は、アーム部228aが上方に揺動可能とされ、ギヤ部228bがカムギヤ226と係合可能とされる。
【0200】
次いで、キャプスタンモータ181が正転駆動されることによりキャプスタンローラ225が図33中矢印L方向へ回転され、給排紙ローラ170が図34中矢印N方向に回転される。またキャプスタンローラ225が矢印L方向へ回転されることにより、第2の揺動ギヤ228のアーム部228aが同方向に回動されてギヤ部228bがカムギヤ226と係合される。そしてカムギヤ226が図33中矢印Q方向へ回転されるため、カムギヤ226のカム溝と係合されている押圧レバー173は、押圧部173aが上方に回動され、印画紙トレイ5内に収納されている印画紙4を給排紙ローラ170に押し当てる。
【0201】
従って、印画紙トレイ5に収納された印画紙4のうち、一番上の印画紙4が給排紙ローラ170のローラ部170aによって装置本体1100内に給紙され、キャプスタンローラ225及びピンチローラ230に引き渡される。なお、このとき印画紙4は、ベースシャーシ101の主面110に配設されたフラッパー237の下側を搬送される。
【0202】
給紙動作に引き続き、紙戻し動作に移る。紙戻し動作では、切換・走行モータ180が正転駆動されることによりプラテンローラ155が下降されサーマルヘッド140との間に印画紙4の搬送スペースを形成する(図31(A))。そしてキャプスタンローラ225が図38中矢印L方向に回転されることにより、印画紙4は装置本体1100の背面3c側に搬送されていく。印画紙4が所定の位置まで搬送されると、印画紙4のエッジを検出するフォトセンサとキャプスタンローラ225の回転をカウントするエンコーダによって制御されてキャプスタンローラ225が停止される。
【0203】
また印画紙4が装置本体1100の背面3c側に搬送されている際に、切換・走行モータ180が逆転駆動されることにより、インクリボン10の頭出しが行われ、例えばイエロー(Y)の染料層10bがサーマルヘッド140とプラテンローラ155との間に位置される。
【0204】
なお、カムギヤ226は、第2の揺動ギヤ228のギヤ部228bによって回転されることにより、ギヤ部228bと係合されない空転部まで回転されたところで回転が停止する。このとき押圧レバー173は押圧部173aが上方に回動されている。そして紙戻し動作において左側昇降プレート196bのアーム部196cが下方に回動されることにより、カムギヤ226がストッパー片229を介して押圧されて若干逆転されるとともに、第2の揺動ギヤ228もアーム部228aが下方に回動されるため、カムギヤ226とギヤ部228bとが再度カムギヤ226と係合可能な状態とされる。またカムギヤ226が逆転されることにより、押圧レバー173は、カムギヤ226のカム溝との係合がいったん解除され、コイルバネの付勢力によって押圧部173aが下方に回動される。
【0205】
紙戻し動作に引き続き、印画動作に移る。印画動作では、切換・走行モータ180がさらに正転駆動されることによりプラテンローラ155が上昇され、サーマルヘッド140のヘッド部143とともにインクリボン10及び印画紙4の先端部を挟持する。このとき、サーマルヘッド140の両側に設けられた摺動片150の摺接部151にプラテンローラ155の回転軸155aに設けられたフランジ部156が摺接される。これによりプラテンローラ155は、フランジ部156が摺動片150にガイドされるため、サーマルヘッド140のヘッド部143と精度よく対峙して当接することができる(図31(B))。
【0206】
次いで、キャプスタンモータ181が逆転駆動され、キャプスタンローラ225のローラ本体225aが印画紙4を装置本体1100の前面3a側に搬送する反矢印L方向へ回転し、印画紙4を前面3a側に搬送しながらサーマルヘッド140によってイエロー(Y)の染料層10bの熱転写を行う。またインクリボン10も切換・走行モータ180が逆転駆動されて走行ギヤ212が駆動されることにより、巻取側スプールが図11中矢印D方向に回転され、インクリボン10が走行される。
【0207】
なお、インクリボン10は、供給側スプール収納部23及び巻取側スプール収納部24に断続的に形成された複数のリブ41によって支持されているため、カートリッジ本体13内においてスムーズに走行することができる。
【0208】
印画動作に引き続き、紙戻し動作に移り、印画紙4を背面3c側に搬送する。このときも、切換・走行モータ180が正転駆動されることによりプラテンローラ155が下降されサーマルヘッド140との間に印画紙4の搬送スペースを形成し、次いでキャプスタンローラ225が図38中矢印L方向に回転されることにより、印画紙4が装置本体1100の背面3c側に搬送されていく。また紙戻し動作中にインクリボン10の頭出しが行われ、マゼンタ(M)の染料層10cがサーマルヘッド140とプラテンローラ155との間に位置される。
【0209】
そして印画動作に移り、プラテンローラ155の上昇され、印画紙4が前面3a側に搬送されながらマゼンタ(M)の染料層の熱転写が行われる。マゼンタ(M)の印画が終了すると、紙戻し動作に移り、プラテンローラ155が下降され、印画紙4が背面3c側に搬送されると共に、インクリボン10が走行されシアン(C)の染料層10dの頭出しが行われる。同様に、プラテンローラ155が上昇され、印画紙4が前面3a側に搬送されながらシアン(C)の染料層の熱転写が行われる。シアン(C)の印画が終了すると、紙戻し動作に移り、プラテンローラ155が下降され、印画紙4が背面3c側に搬送されると共に、インクリボン10が走行され保護層10eの頭出しが行われる。
【0210】
保護層10eの転写が終了すると、引き続き排紙動作に移る。排紙動作では、プラテンローラ155が下降され、サーマルヘッド140とプラテンローラ155による印画紙4の挟持が解除される。また、キャプスタンローラ225のローラ本体225aが印画紙4を装置本体1100の前面3a側に搬送する反矢印L方向へ回転するとともに、給排紙ギヤ172が給排紙ローラ170を装置本体1100外へ排出する同図中矢印N方向へ回転する。キャプスタンローラ225によって装置本体1100の前面3a側に搬送される印画紙4は、ベースシャーシ101の主面110に配設されたフラッパー237によって給排紙ローラ170及びサブローラ171間に搬送されるようにガイドされる(図40)。したがって印画紙4は給排紙ローラ170の上側を搬送されるため、給排紙ローラ170が矢印N方向に回転されることにより装置本体1100の前面3aより外方に搬送され、印画紙トレイ5上に排出される。印画紙4が排出されるとキャプスタンモータ181の駆動が停止され、次の印刷開始の操作を待つ。
【0211】
以上のようにプリンタ装置1によれば、サーマルヘッド140に対してプラテンローラ155を接離自在にとし、またキャプスタンローラ225の回転方向に応じて印画紙4を背面方向及び前面方向に搬送することができる。したがって、これらプラテンローラ155の昇降及びキャプスタンローラ225の回転方向の組み合わせによって、給紙動作、紙戻し動作、印画動作、排紙動作の各モードを実現している。
【0212】
インクリボン10を使い切り、交換する場合等、インクリボンカートリッジ2を装置本体1100から排出させる場合は、装置本体1100の前面3aに設けられたオープンボタン107をスライドさせる。オープンボタン107は、トップシャーシ102の第1の係止突部118と係合されている係止部材と連動されているため、スライド操作されることにより、係止部材と第1の係止突部118との係合が解除される。従って、トップシャーシ102は、捻りコイルバネ116の付勢力を受けてベースシャーシ101の上方に回動される(図17)。
【0213】
なおこのとき、プリンタ装置1は、印画動作が終了している状態であるため、印画紙4を排出可能にプラテンローラ155が下降されている。したがってプラテンローラ155を昇降操作する昇降プレート196は、係合板198に設けられた係止片201とトップシャーシ102の左右両側面に形成された第2の係止突部119との係合は解除されている。
【0214】
トップシャーシ102がベースシャーシ101の上方に回動されることにより、インクリボンカートリッジホルダ7は、トップシャーシ102に設けられた連結部材135のアーム部135aに突設された回動突部136に係止されて上方に回動され、装置本体1100の前面3a側より外方に臨まされる。また、連結部材135の回動突部136は、トップシャーシ102がベースシャーシ101を閉塞した位置から上方へある程度回動された後に支持片部127に係止しインクリボンカートリッジホルダ7を回動させる。このトップシャーシ102が上方に回動し始めてからインクリボンカートリッジホルダ7が上方に回動され始めるまでの間、連結部材135のアーム部135aに形成されたギヤ部137は、ベースシャーシ101内に設けられた巻取ギヤ138を図22中矢印C方向に回転させる。巻取ギヤ138が同方向に回転されることにより、巻取ギヤ138の大径ギヤ138bと係合されている供給側スプール11のラチェットギヤ17は、図22中矢印C方向へ回転される。したがって供給側スプール11は、インクリボン10の巻き取り方向に回転されることとなり、巻取側スプール12との間でたるんでいたインクリボン10を巻き取ることができる。これによりインクリボンカートリッジ2は、天板6を開放した後、直ちに排出可能とされる。
【0215】
そして、インクリボンカートリッジ2は、装着時と同様に把持部32が把持されてインクリボンカートリッジホルダ7から引き出される。インクリボンカートリッジホルダ7から引き出されたインクリボンカートリッジ2は、スプールロック61の弾性係合片64に形成されたラチェット部65が供給側スプール11及び巻取側スプール12の各ラチェットギヤ17に係合するため、リサイクル用に保管する際や廃棄等の際にインクリボン10が引き出される方向への回動が規制され、インクリボン10のたるみが防止される。
【0216】
次に、上述の如きプリンタ装置1の電気的な構成について説明する。
【0217】
このプリンタ装置1におけるプリンタ装置本体1100には、図41に示すように、各種記録メディア用スロット106A,106BやUSBスロット113に接続にされた各種インターフェース(I/F)備えるマルチメディアインターフェース部115、上記マルチメディアインターフェース部115を介して画像データが入力されるデータ処理部122、このデータ処理部122に接続された画像メモリ123、表示部130及び印刷処理部154、これら各部の動作制御を行う制御部183、この制御部183に接続された表示駆動部135、内部メモリ184、操作部185、プリンタ駆動部189等が設けられている。
【0218】
また、上記プリンタ装置本体1100には、制御信号出力端子191と電源入力端子192が設けられており、上記外部電源装置1200が電源ケーブル1210を介して上記制御信号出力端子191と電源入力端子192に接続されるようになっている。
【0219】
このプリンタ装置1において、上記外部電源装置1200から上記電源入力端子192を介して供給される駆動電源は、保安回路175を介して装置本体1100内に取り込まれ、上記印刷処理部154のサーマルヘッド140には直接供給されるとともに、上記各部にはレギュレータ回路187によって安定化されて供給されるようになっている。
【0220】
さらに、上記制御部183は、このプリンタ装置本体1100の動作状態に応じて、電源電圧を可変制御する制御信号を生成する制御信号生成手段として機能するもので、動作状態に応じた制御信号を生成し、生成した制御信号を上記制御信号出力端子191から電源ケーブル210を介して上記外部電源装置1200に供給し、上記制御信号により上記外部電源装置1200の動作を制御するようになっている。
【0221】
また、このプリンタ装置1における外部電源装置1200は、交流電源を直流電源に変換して出力する所謂ACアダプタであって、交流電源を直流電源に変換する電源回路201と、この電源回路から出力する直流電源電圧を可変制御する出力電圧制御部202とからなり、上記プリンタ装置本体1100に備えられた制御部183から供給される制御信号によって、上記プリンタ装置本体1100の動作状態に応じて、上記電源回路201から上記プリンタ装置本体1100に供給する電源電圧を上記出力電圧制御部202により可変制御するようになっている。
【0222】
このプリンタ装置1において、上記プリンタ装置本体1100に備えられた制御部183は、上記印刷処理部154のサーマルヘッド140の動作特性に応じて電源電圧を可変制御する制御信号を生成し、上記サーマルヘッド140の動作特性に応じて、上記外部電源装置1200から上記プリンタ装置本体1100に供給する電源電圧を可変制御する。これにより、上記サーマルヘッド140の平均抵抗値のバラツキによる濃度変化を補正することができる。
【0223】
また、カラー印刷する際のインクリボンの染料ごとに転写特性とサーマルヘッド140の発熱量の関係が異なるので、予めイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の転写特性と発熱量との関係を測定して、目標の発熱量得るために必要な各色毎の目標電圧値を不揮発性メモリ184Aに記憶しておき、上記プリンタ装置本体1100に備えられた制御部183は、図42に示すように上記外部電源装置1200の電源回路201から上記電源入力端子192に供給される直流電源電圧をA/Dコンバータ183Aを介して取り込んでモニターし、上記電源入力端子192に供給される直流電源電圧が上記不揮発性メモリ184Aに記憶されている各色毎の目標電圧値となる制御信号を生成し、生成した制御信号をD/Aコンバータ183Bを介して上記制御信号出力端子191から上記外部電源装置1200の出力電圧制御部202に供給することにより、上記外部電源装置1200の電源回路201から上記プリンタ装置本体1100に供給する電源電圧を上記出力電圧制御部202により可変制御するようにしてもよい。
【0224】
これにより、印刷処理時、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色毎に適正な電源電圧を上記外部電源装置1200の電源回路201から上記プリンタ装置本体1100に供給することができる。
【0225】
このような構成のプリンタ装置1では、上記プリンタ装置本体1100に備えられた制御部183から供給される制御信号によって、上記プリンタ装置本体1100の動作状態に応じて、上記外部電源装置1200の電源回路201から上記プリンタ装置本体1100に供給する電源電圧を上記出力電圧制御部202により可変制御するので、プリンタ装置本体1100内に上記電源回路201や出力電圧制御部202を設ける必要がなくなり、プリンタ装置本体1100の大型化及びコストアップを防止することができる。
【0226】
なお、上記プリンタ装置本体1100に設けられた上記保安回路175は、上記外部電源装置1200の電源回路201から所定電圧例えば30V以上の電源電圧がプリンタ装置本体1100内に入力されるのを防止するためのものであって 、例えば、図43に示すように、上記外部電源装置1200の電源回路201から上記プリンタ装置本体1100に供給される電源電圧が30V以上になるとMOSトランジスタスイッチ178がオフとなる過電圧制御回路が、ツェナーダイオード176、PNPトランジスタ177、MOSトランジスタスイッチ178などにより構成されている。
【0227】
また、このプリンタ装置本体1100に備えられた制御部183は、上記ベースシャーシ101には、上記カートリッジ支持ユニット160に突設された検出スイッチ164による検出出力が供給されるとともに、上記トップシャーシ102がベースシャーシ101に係止されることによりトップシャーシ102、天板6及びインクリボンカートリッジホルダ7がベースシャーシ101を閉塞する下方に回動され、保持されたことを検出する蓋閉検出手段として機能するスイッチ36による検出出力が供給されるようになっている。
【0228】
ここで、上記スイッチ36は、上記インクリボンカートリッジ2のインクリボン10を上記サーマルヘッド140と対向させる印刷位置まで上記天板が下方に回動されたことを検出する蓋閉検出手段として機能し、上記検出スイッチ164は、上記インクリボンカートリッジホルダ7にインクリボンカートリッジに装着されたことを検出するカートリッジ検出手段として機能する。
【0229】
そして、この制御部183は、上記各スイッチ36、164による各検出出力に基づいて、図44のフローチャートに示す手順に従って、このプリンタ装置1の動作を制御する。
【0230】
すなわち、制御部183は、蓋閉検出手段として機能する上記スイッチ36がON状態であるか否かを判定しており(ステップS1)、その判定結果がYES、すなわち、上記インクリボンカートリッジ2のインクリボン10を上記サーマルヘッド140と対向させる印刷位置まで上記天板6が下方に回動されている場合には、カートリッジ検出手段として機能する上記検出スイッチ164がON状態であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0231】
そして、上記制御部183は、上記ステップS2における判定結果がYES、すなわち、上記インクリボンカートリッジホルダ7にインクリボンカートリッジ2に装着されている場合には、プリント釦104Aを点灯する(ステップS3)。上記制御部183は、上記プリント釦104Aを点灯させた状態で、上記プリント釦104Aの押圧の操作によるプリント開始指示を受け付けて、プリント動作を開始させる。
【0232】
上記ステップS1における判定結果がNO、すなわち、上記天板6が下方に回動されていない場合には、モータ電源の供給を禁止する(ステップS4)。
【0233】
また、上記ステップS2における判定結果がNO、すなわち、上記インクリボンカートリッジホルダ7にインクリボンカートリッジ2に装着されていない場合には、モータ電源の供給を禁止する(ステップS4)。
【0234】
すなわち、このプリンタ装置1において、上記制御部183は、図45に示すように、上記蓋閉検出手段として機能する上記スイッチ36及びカートリッジ検出手段として機能する上記検出スイッチ164の検出出力に応じて、上記インクリボンカートリッジホルダ7にインクリボンカートリッジ2に装着された状態で、上記インクリボンカートリッジ2のインクリボン10を上記サーマルヘッド140と対向させる印刷位置まで上記天板6が下方に回動された場合にのみ、上述の切換・走行モータ180やキャプスタンモータ181に駆動電流を流すモータ駆動部182に電源を供給して、上記装置本体1100を動作させる駆動制御を行う。
【0235】
このように、ポップアップ型のカートリッジ挿入機構を有するプリンタ装置1において、蓋閉検出手段とカートリッジ検出手段が同時にONとなった場合のみ機構部を動作させる構成とすることにより、より安全に保護をすることができる。
【0236】
ここで、図46に示すように、上記制御部183の機能は、上記蓋閉検出手段として機能する上記スイッチ36及びカートリッジ検出手段として機能する上記検出スイッチ164の直列接続回路183Cを介してモータ駆動部182に電源を供給する構成としても、同様な機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0237】
【図1】本発明を適用したプリンタ装置の概略構成を模式的に示す図である。
【図2】天板を閉じたプリンタ装置の外観斜視図である。
【図3】天板を開いたプリンタ装置の外観斜視図である。
【図4】プリンタ装置に装着されるインクリボンカートリッジを示す外観斜視図である。
【図5】プリンタ装置に装着されるインクリボンカートリッジを示す分解斜視図である。
【図6】インクリボンを示す断面図である。
【図7】インクリボンカートリッジのロアシェルを示す斜視図である。
【図8】スプールに設けられた突部の先端面を示す側面図である。
【図9】スプールの支持部及び突部を挟持する支持壁及び支持片を示す断面図である。
【図10】プリンタ装置に装着されるインクリボンカートリッジを示す分解斜視図である。
【図11】スプールロックによってスプールの回転が規制されたインクリボンカートリッジを示す図である。
【図12】スプールロックによるスプールの回転規制が解除されたインクリボンカートリッジを示す図である。
【図13】インクリボンカートリッジを下方から示す斜視図である。
【図14】カートリッジ支持ユニットを示す斜視図である。
【図15】インクリボンカートリッジの種別判別を行う構成を説明するための図である。
【図16】印画紙の構成を示す断面図である。
【図17】トップシャーシが上方に回動されたメインシャーシを示す斜視図である。
【図18】トップシャーシが閉じられたメインシャーシを示す斜視図である。
【図19】ベースシャーシを示す斜視図である。
【図20】ベースシャーシを示す平面図である。
【図21】トップシャーシが上方に回動されたメインシャーシを示す側面図である。
【図22】トップシャーシの回動時にインクリボンを巻き取る構成を説明するための図である。
【図23】トップシャーシの回動時にインクリボンを巻き取る構成を説明するための図である。
【図24】サーマルヘッドを示す斜視図である。
【図25】トップシャーシが上方に回動されたメインシャーシを示す断面図である。
【図26】トップシャーシが閉じられたメインシャーシを示す断面図である。
【図27】プラテンローラが下降されたメインシャーシを示す断面図である。
【図28】プラテンローラが下降された切換機構を示す側面図である。
【図29】プラテンローラが上昇されたメインシャーシを示す断面図である。
【図30】プラテンローラが上昇された切換機構を示す側面図である。
【図31】プラテンローラとサーマルヘッドとが近接離間する様子を示す斜視図であり、(A)は離間した場合を示し、(B)は近接した場合を示す。
【図32】切換機構及び走行機構を示す側面図である。
【図33】印画紙を給紙する搬送機構を示す側面図である。
【図34】印画紙を給紙する搬送機構を示す側面図である。
【図35】印画紙を紙戻しさせる搬送機構を示す側面図である。
【図36】印画紙を排紙する搬送機構を示す側面図である。
【図37】印画紙が給紙されるプリンタ装置を示す断面図である。
【図38】印画紙が給紙されるプリンタ装置を示す断面図である。
【図39】プリンタ装置の装置本体を示す断面図である。
【図40】印画紙に対して印画を行うプリンタ装置を示す断面図である。
【図41】本発明を適用したプリンタ装置の構成を示すブロック図である。
【図42】上記プリンタ装置本体のサーマルヘッドにより印刷する各色毎の動作特性に応じて電源電圧を可変制御する制御信号を生成する構成を示すブロック図である。
【図43】上記プリンタ装置本体に設けられた保安回路の構成例を示す回路図である。
【図44】上記プリンタ装置本体に備えられた制御部による制御動作を示すフローチャートである。
【図45】上記プリンタ装置本体に備えられた制御部による保護機能を実現する構成を模式的に示す回路図である。
【図46】保護機能を実現するための回路例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0238】
1 プリンタ装置、2 インクリボンカートリッジ、4 印画紙、5 印画紙トレイ、6 天板、7 インクリボンカートリッジホルダ、10 インクリボン、11 供給側スプール、12 巻取側スプール、13 カートリッジ本体、14 軸部、15 フランジ部、16 支軸部、17 ラチェットギヤ、18 突部、20 付勢部材、21 アッパシェル、22 ロアシェル、23 供給側スプール収納部、24 巻取側スプール収納部、25〜28 軸受部、29 突当て部、30 係合機構、31 ガイド部、32 把持部、33 開口部、35 仮止め用凹部、40 開口部、41 リブ、42 支持壁、43〜46 支持片、51 係止爪、52 係止孔、55 係止壁部、56 開口部、57 解除規制片、58 解除規制壁、59 係合片、61 スプールロック、64 弾性係合片、65 ラチェット部、66 被押圧部、70 載置面、72,73 位置決め孔、74 IDホール、100 メインシャーシ、101 ベースシャーシ、102 トップシャーシ、106A,106B 記録メディア用スロット、110 主面、111 左側壁、112 右側壁、113 USBスロット、115 マルチメディアインターフェース部、116 捻りコイルバネ、122 データ処理部、123 画像メモリ、125 ガイド支持部、126 連結部、127 支持片部、128 係止突部、130 表示部、131 仮止め用凸部、134 表示駆動部、135 連結部材、140 サーマルヘッド、148 ヘッドカバー、149 カバー部材、154 印刷処理部、155 プラテンローラ、160 カートリッジ支持ユニット、162,163 位置決め凸部、164 検出スイッチ、165 リボンガイド、166 支持面部、167 検出ピン、168 ガイドローラ、170 給排紙ローラ、171 サブローラ、172 給排紙ギヤ、173 押圧レバー、175 保安回路、176 ツェナーダイオード、177 PNPトランジスタ、178 MOSトランジスタスイッチ、180 切換・走行モータ、181 キャプスタンモータ、183 制御部、183A A/Dコンバータ、183B D/Aコンバータ、184 内部メモリ、184A 不揮発性メモリ、185 操作部、187 レギュレータ回路、189 プリンタ駆動部、190 切換機構、191 制御信号出力端子、192 電源入力端子、195 カムギヤ、196 昇降プレート、201 電源回路、202 出力電圧制御部、205 押圧部材、210 走行機構、212 走行ギヤ、220 搬送機構、225 キャプスタンローラ、226 カムギヤ、230 ピンチローラ、236 ガイド壁、237 フラッパー、1100 装置本体、1200 外部電源装置、1210 電源ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に上記被印刷媒体が挿入及び排出される装置本体と、上記装置本体に対して上下方向に開閉可能に配設された天板と、上記天板と連結され、インクリボンが収納されたインクリボンカートリッジが装着されるインクリボンカートリッジホルダと、上記インクリボンカートリッジホルダに装着されたインクリボンカートリッジの上記インクリボンを加熱して上記被印刷媒体に対して画像を印刷するサーマルヘッドと、上記天板が上方に回動されることにより上記前面側より外方に臨まされ上記インクリボンカートリッジの挿脱が行われる挿脱位置と、上記天板が下方に回動されることにより上記インクリボンカートリッジのインクリボンを上記サーマルヘッドと対向させる印刷位置とに亘って上記インクリボンカートリッジホルダを移動させるポップアップ型のカートリッジ挿入機構を有するプリンタ装置であって、
上記インクリボンカートリッジのインクリボンを上記サーマルヘッドと対向させる印刷位置まで上記天板が下方に回動されたことを検出する蓋閉検出手段と、
上記インクリボンカートリッジホルダにインクリボンカートリッジに装着されたことを検出するカートリッジ検出手段と、
上記装置本体を動作させる駆動手段を制御する制御手段とを備え、
上記制御手段は、上記蓋閉検出手段及びカートリッジ検出手段の検出出力に応じて、上記インクリボンカートリッジホルダにインクリボンカートリッジに装着された状態で、上記インクリボンカートリッジのインクリボンを上記サーマルヘッドと対向させる印刷位置まで上記天板が下方に回動された場合に、上記駆動手段の駆動制御を可能としたことを特徴とするプリンタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【公開番号】特開2007−268815(P2007−268815A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96008(P2006−96008)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】