説明

プリンタ

【課題】 センサユニットの交換に際して、作業性を向上させる。
【解決手段】 透過型センサの発光素子および受光素子のいずれか一方を保持する第一センサ部と、受光素子および発光素子のいずれか他方を保持する第二センサ部とを用紙搬送経路を介して対向配置して有するセンサユニット110が、第一ユニット内部に着脱自在に取り付けられるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ラベル用紙にバーコード等を印字するサーマルプリンタ等のプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラベル用紙にバーコード等を印字するサーマルプリンタ等のプリンタにおいては、ラベル用紙の印字開始位置を検出するためのセンサとして、透過型センサ(発光素子と受光素子とを含む)や反射型センサが使用されている。
【0003】
透過型センサは、発光素子と受光素子とが用紙搬送経路を介して対向配置されてプリンタ内に設けられる。そして、発光素子と受光素子との間をラベル用紙が搬送されて通過する際に、ラベルとラベルとの間の台紙のみの部分では光が透過するために光の透過量は多いが、ラベルの部分ではラベルにより光が遮断されて光の透過量が減少する、ということを利用してラベルの検出が行われる。
【0004】
このとき、発光素子と受光素子とは、用紙搬送経路を介して適切な間隔を維持して上下に対向配置された一対のセンサ保持部からなるセンサユニットに取り付けられている。つまり、発光素子と受光素子とのいずれか一方が下センサ保持部に取り付けられ、いずれか他方が上センサ保持部に取り付けられている。そして、このようなセンサユニットは用紙搬送経路中に位置付けられてプリンタ本体に固定されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−199097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、センサが故障した場合にはそのセンサを交換する必要がある。しかし、センサはプリンタ内部の部材に固定されており、簡単に着脱できるものではない。また、前述したようなセンサユニットにおいても、工具を用いてネジ等の止着部材をはずしたり、プリンタの各種部品をはずしたりするような煩雑な作業が要求されることになる。
【0007】
さらに、センサユニットの着脱の不便さから交換作業を怠ってしまい、不具合のあるセンサをそのまま使用し続けてしまう等の問題も生じさせてしまっている。
【0008】
本発明の目的は、センサユニットを交換する際の作業性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプリンタは、用紙収納部を有する第一ユニットと、前記第一ユニットに対して開閉し、閉状態で前記第一ユニットとの間に前記用紙収納部から外部に至る用紙搬送経路を形成する第二ユニットと、透過型センサの発光素子および受光素子のいずれか一方を有する第一センサ部と前記受光素子および前記発光素子のいずれか他方を有する第二センサ部とを前記用紙搬送経路を介して対向配置して有し、前記第一ユニット内部に着脱可能に取り付けられたセンサユニットと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
センサユニットをプリンタ本体から容易に着脱可能とすることで、センサユニットを交換する際の作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の一形態を図1ないし図8に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態のプリンタ101全体の斜視図である。プリンタ101の筐体状のハウジング104は上下に分割されて、下方に位置するハウジング104及びその収納物は第一のユニットである下ユニット102を構成し、上方に位置するハウジング104及びその収納物は第二のユニットである上ユニット103を構成する。上ユニット103は、後方位置に設けられた図示しない支点を中心として下ユニット102に対して回動開閉自在となっている。
【0013】
ハウジング104の正面には、フロントパネル105が設けられている。フロントパネル105も、上下に分割され、下ユニット102と上ユニット103とに分配されている。フロントパネル105における下ユニット102と上ユニット103との境界部分には、発行口106が設けられている。上ユニット103のハウジング104は、発行口106の上方位置の部分が回動開閉自在となっている。下ユニット102のフロントパネル105には、左下方に位置させて電源スイッチ107が設けられている。
【0014】
図2は、上ユニット103を開いた状態を示すプリンタ101の斜視図である。上面が開放した下ユニット102には、下ベースユニット108が固定されており、下ベースユニット108にプラテンローラ109、センサユニット110等が備えられている。また、下ユニット102は、用紙収納部111を有しており、ロール状に巻回されたラベル用紙112が用紙ホルダ112に設置されて収納される。ラベル用紙112は、詳細を図示しないが、長尺状の台紙に感熱ラベルが一定間隔で貼付されたものである。そして、下面が開放した上ユニット103は、上ベースユニット114が内部に固定され、印字ヘッド115等が取り付けられている。印字ヘッド115とプラテンローラ109とから印字部が構成されている。
【0015】
下ユニット102と上ユニット103との間には、用紙収納部111から発行口106に至る空間に位置させて、後述する用紙搬送経路133が形成される。そして、下ユニット102に対して、上ユニット103を開くことで用紙搬送経路133が開放されることになる。
【0016】
センサユニット110は用紙搬送経路133中に配置されて、透過型センサ(図示しない)と反射型センサ(図示しない)とを備える。透過型センサは発光素子(図示しない)と受光素子(図示しない)とからなり、発光素子および受光素子は用紙搬送経路133を介して対向配置されてセンサユニット110に設けられている。用紙の検出は、本実施の形態ではラベル用紙112が使用されるので、発光素子と受光素子との間をラベル用紙112が通過する際に、ラベルの部分では光が遮断されて光の透過率が低下することによって行われる。
【0017】
また、センサユニット110は反射型センサも備えていることから、裏面に所定間隔でマークがマーキングされたタグ用紙(図示しない)を選択的に使用することも可能である。
【0018】
図3は、下ベースユニット108及びセンサユニット110を示す分解斜視図である。下ベースユニット108は下ユニット102の内部に収納されて固定され、下ベースユニット108に対してセンサユニット110が着脱自在に取り付けられる。
【0019】
センサユニット110は、用紙搬送経路133を介して適切な間隔を維持して設けられた下センサ保持部116と上センサ保持部117とから構成されている。
【0020】
センサユニット110には、第一被係止部である前方に設けられた係止爪118と後方隅部に設けられた係止爪119が備えられており、下ベースユニット108には係止爪118、119がそれぞれ係脱自在な第一係止部である係止部120、121が設けられている。係止爪118、119が係止部120、121に係脱自在に係止されることで、センサユニット110は下ベースユニット108に着脱自在に取り付けられて、定位置に配置される。
【0021】
係止爪119は、下センサ保持部116の後方の隅部に設けられU字型に屈曲したU字部122に突起として形成されている。下センサ保持部116は樹脂モールド品として形成され、下センサ保持部116に設けられたU字部122は弾性を有している。
【0022】
図4は、下ベースユニット108に取り付けられたセンサユニット110を示す平面図である。上センサ保持部117は、センサユニット110の長手方向(用紙搬送経路133にラベル用紙113が搬送される方向と直交する方向)である一端に設けられた支軸123を支点として下センサ保持部116に対して回動開閉自在であり、開回動して用紙搬送経路133を開放する。上センサ保持部117に設けられた上軸穴部124の軸穴に挿入されて固定された支軸123が、下センサ保持部116の下軸穴部125の軸穴に回転自在に挿入されることで、上センサ保持部117は回動開閉自在となっている。また、センサユニット110には、下センサ保持部117に隣接して用紙が搬送される方向の下流に位置付けられて用紙ガイド部126が設けられている。
【0023】
また、センサユニット110は長手方向の自由端に図示しないロック機構を備えている。ロック機構は、上センサ保持部117が下センサ保持部116と適切な間隔を維持して用紙搬送経路を形成して、上センサ保持部117を下センサ保持部116から離反不可にロック状態にするものである。ここで、ロック機構は工具等により固定してロック状態とするものでない。
【0024】
図5は、センサユニット110を示す分解斜視図である。上軸穴部124に固定された支軸123が下軸穴部125に挿入されて回動開閉自在となるセンサユニット110には、透過型センサ(図示しない)および反射型センサ(図示しない)が設けられている。透過型センサの発光素子(図示しない)と反射型センサとが第一センサ部である下センサ部127に設けられており、透過型センサの受光素子(図示しない)が第二センサ部である上センサ部128に設けられている。そして、下センサ部127と上センサ部128とは、それぞれ、下センサ保持部116と上センサ保持部117とに着脱自在に保持されている。
【0025】
下センサ保持部116には凹部が設けられ、この凹部に下センサ部127が嵌合する。ここで、下センサ部127には第二被係止部である下係止爪129が形成されており、この下係止爪129は下センサ保持部116の凹部に設けられた第二係止部である下係止部130に対して係脱自在であるため、下センサ部127は下センサ保持部116に対して容易に着脱が可能となる(図7参照)。
【0026】
同様に、上センサ保持部117にも凹部が設けられ、上センサ部128が嵌合する。上センサ部128には第三被係止部である上係止爪131が設けられており、上係止爪131が上センサ保持部117に設けられた第三係止部である上係止部132に対して係脱自在であるため、上センサ部128は上センサ保持部117に対して着脱自在となる(図8参照)。
【0027】
なお、透過型センサおよび反射型センサは配線基板に実装されて下センサ部127および上センサ部128に保持されている。この配線基板はセンサユニット110の長手方向にスライド自在であるため、透過型センサおよび反射型センサは下センサ部127および上センサ部128に対してスライド自在となっている。
【0028】
図6は、下ベースユニット108に対するセンサユニット110の着脱操作を説明する説明図である。
【0029】
まず、センサユニット110を下ベースユニットに対して取り付ける際には、図6(a)に示すように、前方の係止爪118を下ベースユニットの係止部120に嵌めこみ、この係止箇所を支点としてセンサユニット110の後部を下方へ移動させて係止爪119が係止部121に係止するように位置付ける。このとき、弾性を有するU字部122を矢印Aの方向に撓ませ、U字部122に設けられた係止爪119を係止部121に係止可能な状態にする。
【0030】
そして、矢印Aの方向に撓ませたU字部122の形状を復元させて、図6(b)に示すように、係止爪119を係止部121に係止させる。このようにして、センサユニット110は、下センサ保持部116と上センサ保持部117と間に用紙搬送経路133を形成するようにして、プリンタ101に位置付けられて下ベースユニット108に着脱自在に取り付けられる。
【0031】
また、下ベースユニット108からセンサユニット110を取り外す場合は、図6(b)に示すような下ベースユニット108に取り付けられた状態のセンサユニット110において、U字部122を撓ませて係止爪119の係止部121への係止を解除させる。そして、センサユニット110の後方を上方に持ち上げることで、図6(a)に示すような、係止爪118が係止部120に係止された係止箇所を支点としてセンサユニット110後方が自由な状態となる。次いで、係止爪118の係止部120への係止を解除させることで、下ベースユニット108からセンサユニット110が取り外される。
【0032】
このようにして、ネジ等の止着部材やドライバ等の工具を用いることなく、プリンタ101に対してセンサユニット110の着脱を容易に行うことができる。
【0033】
図7は、下センサ部127の下センサ保持部116に対する着脱操作を説明する説明図である。下センサ部127を下センサ保持部116に取り付ける際には、下係止爪129が下センサ保持部116に当接するように下センサ部127を下降させて、図7(a)に示すように、下係止爪129を下センサ保持部116との当接部位によって押圧させて湾曲させる。そして、さらに下センサ部127を下降させると、湾曲された下係止爪129は自らの弾性によって復帰する力により、図7(b)に示すように下係止部130に嵌まり込んで係止され、下センサ部127は下センサ保持部116に保持される。
【0034】
また、下センサ保持部116から下センサ部127を取り外す際には、図7(b)のように、下係止爪129が下係止部130に係止されている状態において、下係止爪129の下係止部130への係止を解除するように、下係止部130の孔から下係止爪129を押圧して下係止爪129を湾曲させる。下係止爪129が湾曲されて係止が解除された状態で、さらに、下係止部130の孔から下係止爪129を押し上げて、下センサ部127を上昇させる。すると、図7(a)に示すように、下係止爪129は、下センサ保持部116に押圧されて湾曲された状態となる。そして、下センサ部127は上方へ持ち上げられて下センサ保持部116から取り外される。
【0035】
図8は、上センサ部128の上センサ保持部117に対する着脱操作を説明する説明図である。上センサ部128を上センサ保持部117へ取り付ける際には、図8(a)のように、上係止爪131が上センサ保持部117に当接させて湾曲させた状態にして、上センサ保持部117の凹部に上センサ部128が嵌合するように押圧すると、湾曲された上係止爪131が復元して図8(b)のように、上係止部132に係止され、上センサ部128は上センサ保持部117に保持される。一方で、図8(b)に示す状態から、上係止爪131の係止を解除して、図8(a)に示す状態にして、さらに上センサ保持部117の凹部から上センサ部128を取り出すことで、上センサ部128は上センサ保持部117から取り外される。
【0036】
本実施の形態によれば、センサユニット110がプリンタ101に対してドライバ等の工具を用いることなく取り付け、または、取り外しができるため、センサユニット110が故障等した際にも簡単に交換を行うことができる。そして、下センサ部127および上センサ部128がそれぞれセンサユニット110に対して着脱自在であるため、任意のセンサ部のみの交換が可能であり、さらに作業性を向上させることができる。
【0037】
なお、本実施の形態においては、透過型センサの発光素子を下センサ保持部116に、受光素子を上センサ保持部117に備えた場合について説明したが、受光素子を下センサ保持部116に、発光素子を上センサ保持部117に備えた場合でもよい。また、反射型センサは上センサ保持部117に備えられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施の形態のプリンタを示す斜視図である。
【図2】上ユニットを開いた状態のプリンタを示す斜視図である。
【図3】下ベースユニットおよびセンサユニットを示す分解斜視図である。
【図4】下ベースユニットに取り付けられたセンサユニットを示す平面図である。
【図5】センサユニットを示す分解斜視図である。
【図6】センサユニットの下ベースユニットに対する着脱操作を説明する側面図である。
【図7】下センサ部の下センサ保持部に対する着脱操作を説明する側面図である。
【図8】上センサ部の上センサ保持部に対する着脱操作を説明する側面図である。
【符号の説明】
【0039】
102…第一ユニット(下ユニット),103…第二ユニット(上ユニット),110…センサユニット,111…用紙収納部,118,119…第一被係止部(係止爪),120,121…第一係止部(係止部),127…第一センサ部(下センサ部),128…第二センサ部(上センサ部),129…第二被係止部(下係止爪),130…第二係止部(下係止部),131…第三被係止部(上係止爪),132…第三係止部(上係止部),133…用紙搬送経路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙収納部を有する第一ユニットと、
前記第一ユニットに対して開閉し、閉状態で前記第一ユニットとの間に前記用紙収納部から外部に至る用紙搬送経路を形成する第二ユニットと、
透過型センサの発光素子および受光素子のいずれか一方を有する第一センサ部と前記受光素子および前記発光素子のいずれか他方を有する第二センサ部とを前記用紙搬送経路を介して対向配置して有し、前記第一ユニット内部に着脱可能に取り付けられたセンサユニットと、
を備えるプリンタ。
【請求項2】
前記センサユニットは、
前記第一センサ部を着脱可能に保持する第一センサ保持部と、
前記第一センサ保持部との間に前記用紙搬送経路を形成して設けられ、前記第二センサ部を着脱可能に保持する第二センサ保持部と、
を備える、請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記センサユニットは、第一被係止部と、
前記第一ユニットは、前記第一被係止部に係脱する第一係止部と、
を備え、
前記第一被係止部が前記第一係止部に係止されることで、前記センサユニットが前記第一ユニットに対して着脱可能に取り付けられる、請求項2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記第一センサ部は、第二被係止部と、
前記第一センサ保持部は、前記第二被係止部に係脱する第二係止部と、
前記第二センサ部は、第三被係止部と、
前記第二センサ保持部は、前記第三被係止部に係脱する第三係止部と、
を備え、
前記第二被係止部が前記第二係止部に係止されることで、前記第一センサ部が前記第一センサ保持部に対して着脱可能に保持され、前記第三被係止部が前記第三係止部に係止されることで、前記第二センサ部が前記第二センサ保持部に対して着脱可能に保持される、請求項3記載のプリンタ。
【請求項5】
前記第二センサ保持部は、長手方向の一端に設けられた支軸を支点として前記第一センサ保持部に対して回動開閉可能である、請求項4記載のプリンタ。
【請求項6】
前記センサユニットは、反射型センサを備える、請求項5記載のプリンタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−45543(P2007−45543A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−229388(P2005−229388)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】