説明

プリンタ

【課題】プラテンローラの着脱操作を容易に行うことができるうえ、装着時に高い信頼性で保持を行うことができ、プラテンローラの細径化を図って全体を小型化すること。
【解決手段】プラテンローラ21を軸支する軸受部22aを有する揺動部材22と、プラテン軸L1に対して非同軸で且つ平行な回転軸線L2回りに回転可能に揺動部材に連結されたラッチ部材23と、ラッチ部材に形成された突起部31aと、記録ヘッド42が取り付けられた固定フレーム40と、を備え、固定フレームには、軸受部が離脱可能に嵌め込まれ、プラテンローラを記録ヘッドに対向する位置に保持させる第1の凹部45と、軸受部が嵌め込まれた後に突起部が離脱可能に嵌め込まれる第2の凹部46と、が形成され、軸受部が、突起部が嵌め込まれているときに第1の凹部内から離脱不能とされると共に、突起部が離脱した後に、第1の凹部内から離脱可能とされているプリンタ1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラテンローラと記録ヘッドとが分離可能に組み合わされたプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から知られているプリンタとして、筐体内部に記録ヘッドとこれに接するプラテンローラとを有し、プラテンローラによって送り出される記録紙に対して記録ヘッドが記録を行うものが知られている。この種のプリンタにおいて、記録紙のセット時やジャム処理時、或いは、記録ヘッドやプラテンローラ等のメンテナンス時や交換時等の際、筐体内部で記録ヘッドとプラテンローラとが接したままの状態となっているので、作業性が悪いものであった。
【0003】
この点、記録ヘッドとプラテンローラとを互いに離反させ、それぞれを筐体外部に露出させることができる構成が望ましい。特に記録ヘッドは、複数の記録素子(発熱素子等)を有しているため、各記録素子を選択的に駆動するための記録信号が入力される電気接続の信頼性を損なわないように筐体側に固定されていることが好ましい。つまり、記録ヘッドを筐体側に固定したままで、プラテンローラを記録ヘッドから離反させて外部に引き出す構成が望ましい。
【0004】
このようなニーズに応えるものとして、プラテンローラが着脱自在とされ、装着時に該プラテンローラが記録ヘッドに対して所定の圧力で接した状態で保持される構成のプリンタがいくつか提供されている。
その1つとして、規制部材と固定フレームとを有し、これらを利用してプラテンローラを容易に着脱することができるうえ、装着時において意図しないときにプラテンローラが外れることを防止しながら、高い信頼性でプラテンローラの保持を行うことができるプリンタが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
規制部材は、プラテンローラの軸部が嵌め込まれる連結部を有しており、該連結部を介してプラテンローラに離脱不能に組み合わされている。但し、規制部材は、プラテンローラと同軸に、該プラテンローラに対して相対的に回転自在に組み合わされている。なお、相対的な回転以外の動作については、プラテンローラと一体的に移動するようになっている。また、この規制部材には、突起状の係合部が設けられている。
【0006】
一方、固定フレームは、筐体のベースに固定されており、第1の凹部及び第2の凹部を有している。第1の凹部は、プラテンローラの軸部が挿入された際に、プラテンローラを記録ヘッドに当接させて記録可能状態に位置させるための凹部である。第2の凹部は、プラテンローラの軸部が第1の凹部内に挿入されている状態において、固定フレームの突起部が挿入されたときに、該突起部を保持するための凹部である。
【0007】
このように構成されたプリンタにおいて、プラテンローラを装着する場合には、プラテンローラの軸部を第1の凹部内に挿入して保持させた後、規制部材をプラテンローラに対して相対的に回転させ、突起部を第2の凹部内に挿入して保持させる。これにより、プラテンローラが記録ヘッドに当接した記録可能状態で、該プラテンローラを確実に保持することができるようになっている。
特に、第1の凹部及び第2の凹部の位置関係や形状等により、外力が加わったとしても、プラテンローラが第1の凹部から離脱したり、プラテンローラ及び突起部が第1の凹部及び第2の凹部から同時に離脱したりしてしまうことを防止できるようになっている。そのため、意図しないときにプラテンローラが外れ難い設計とされている。従って、高い信頼性でプラテンローラを保持することが可能とされている。
【0008】
一方、プラテンローラを取り外す場合には、規制部材をプラテンローラに対して相対的に回転(先ほどとは逆方向に回転)させ、突起部を第2の凹部内から離脱させた後、プラテンローラの軸部を第1の凹部内から離脱させる。これにより、プラテンローラを取り外すことができる。
このように、規制部材を回転させて突起部を第2の凹部内に挿入或いは離脱させるだけの簡単な操作でプラテンローラを着脱できるので、着脱操作性に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4376816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、各種電子機器等と同様にプリンタに関しても今後のさらなる小型化が求められている。そのため、プリンタの構成をできるだけ簡略化したり、各構成部材を小型に設計したりすることが求められている。特に、記録紙を紙送りするプラテンローラは、プリンタの構成品の中でもサイズが大きく、プリンタを占める割合が大きいので、このプラテンローラをできるだけ細径化することがプリンタの小型化に繋がり易い。
【0011】
この点、上述した従来のプリンタでは、その構成上プラテンローラの径を小さくすることが難しく、まだ改良の余地が残されていた。つまり、プラテンローラの軸部には、規制部材の連結部が同軸に嵌め込まれている。従って、プラテンローラの径を小さくした場合には、それに伴って、連結部の外径を小さくする必要がある。しかしながら、軸部に対して連結部をがたつき等なく確実に嵌め込ませるには、構造上、ある程度の外径を確保する必要がある。従って、プラテンローラの径をこれ以上細径化することは、実際上難しいのが現状である。
【0012】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、プラテンローラの着脱操作を容易に行うことができるうえ、装着時において高い信頼性でプラテンローラの保持を行うことができ、さらに、プラテンローラの細径化を図って全体を小型化し易いプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係るプリンタは、記録ヘッドとプラテンローラとが分離可能に組み合わされるプリンタであって、前記プラテンローラを軸支する軸受部を有し、該プラテンローラを軸支した状態でプラテンフレームに揺動自在に取り付けられた揺動部材と、前記プラテンローラのプラテン軸に対して非同軸で且つ平行な回転軸線回りに回転可能な状態で、前記揺動部材に連結されたラッチ部材と、前記ラッチ部材に形成され、ラッチ部材の回転に伴って前記回転軸線回りに回転移動する突起部と、前記記録ヘッドが取り付けられた固定フレームと、を備え、前記固定フレームには、前記軸受部が離脱可能に嵌め込まれ、前記プラテンローラを前記記録ヘッドに対向する位置に保持させる第1の凹部と、該第1の凹部内に軸受部が嵌め込まれた後に、前記ラッチ部材の回転によって前記突起部が離脱可能に嵌め込まれる第2の凹部と、が形成され、前記軸受部が、前記突起部が前記第2の凹部内に嵌め込まれているときに前記第1の凹部内から離脱不能とされると共に、突起部が第2の凹部内から離脱した後に、第1の凹部内から離脱可能とされていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るプリンタにおいては、プラテンローラの着脱操作を容易に行うことができ、プラテンローラと記録ヘッドとを速やかに組み合わせたり、両者を速やかに分離して組み合わせを解除したりすることができる。
まず、プラテンローラを装着する場合には、プラテンローラを軸支する揺動部材の軸受部を固定フレームの第1の凹部内に挿入して嵌め込ませる。この際、揺動部材は、プラテンフレームに対して揺動自在に取り付けられているので、軸受部をスムーズに第1の凹部内に嵌め込ませることができる。そして、軸受部を第1の凹部内に嵌め込ませることで、プラテンローラを記録ヘッドに対向する位置に保持させることができ、印刷可能状態にセットすることができる。
【0015】
次いで、揺動部材に連結されているラッチ部材を回転軸線回りに回転させ、突起部を第2の凹部内に挿入して嵌め込ませる。これにより、プラテンローラの装着が完了すると共に、第1の凹部内から軸受部を離脱不能とさせることができる。
特に、プラテンローラに対して、記録ヘッドや記録紙等から外力が加わったとしても軸受部が第1の凹部内から離脱してしまうことを防止することができるので、装着時において高い信頼性でプラテンローラの保持を行うことができる。なお、突起部は、軸受部よりも外力を受け難いので、意図しないときに第2の凹部内から離脱し難い。従って、この点においても、高い信頼性でプラテンローラの保持を行うことができる。
【0016】
一方、プラテンローラを記録ヘッドから分離させる場合には、ラッチ部材を先ほどとは逆方向に回転軸線回りに回転させ、突起部を第2の凹部内から離脱させる。次いで、軸受部を第1の凹部内から離脱させる。これにより、記録ヘッドからプラテンローラを分離させることができる。
このように、第1の凹部内への軸受部の嵌め込み/離脱と、ラッチ部材の回転動作による第2の凹部内への突起部の嵌め込み/離脱と、を行うだけの簡単な操作でプラテンローラの着脱操作を容易に行うことができる。従って、上述したように、プラテンローラと記録ヘッドとを速やかに組み合わせたり、両者を速やかに分離して組み合わせを解除したりすることができる。
【0017】
また、ラッチ部材は、プラテンローラのプラテン軸に対して非同軸な回転軸線回りに回転可能な状態で揺動部材に連結されている。そのため、ラッチ部材の回転軸線がプラテン軸と同軸であった従来のものとは異なり、プラテンローラとラッチ部材とをそれぞれ自由に設計してもお互いに影響を与え難い。従って、プラテンローラ及びラッチ部材の設計の自由度を高めることができる。しかも、プラテンローラの形状がラッチ部材の強度や動作に影響を与え難いので、プラテンローラの細径化を図ることができる。従って、全体の小型化を図り易い。
【0018】
(2)本発明に係るプリンタは、上記本発明のプリンタにおいて、前記揺動部材には、前記回転軸線に沿って前記プラテンローラ側に突出した回転軸部が形成され、前記ラッチ部材が、前記回転軸部に回転可能に被嵌されていることを特徴とする。
【0019】
本発明に係るプリンタにおいては、ラッチ部材が揺動部材に形成された回転軸部に回転可能に被嵌されているので、がたつき等が生じ難く滑らかに回転する。従って、第2の凹部内に突起部を引っ掛かり少なくスムーズに嵌め込み或いは離脱させることができ、プラテンローラの着脱操作をより円滑に行うことができる。
また、回転軸部がプラテンローラ側に突出しているので、ラッチ部材をプラテンローラと同じ側に位置させた状態で揺動部材に連結させることができる。仮に、ラッチ部材が揺動部材を挟んでプラテンローラとは反対側に位置している場合には、揺動部材の厚みを考慮する必要があるので、プラテン軸に平行なプリンタの横幅方向が長くなり易い。しかしながら、ラッチ部材をプラテンローラと同じ側に位置させるので、このような懸念もなくより小型化を図り易い。
【0020】
(3)本発明に係るプリンタは、上記本発明のプリンタにおいて、前記プラテンフレームと前記ラッチ部材との間には、前記突起部が前記第2の凹部内に接近する方向に回転するようにラッチ部材を付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする。
【0021】
本発明に係るプリンタにおいては、ラッチ部材が付勢部材によって付勢されているので、軸受部を第1の凹部内に嵌め込んだ後、突起部をより短い時間でスムーズに第2の凹部内に嵌め込むことができる。従って、プラテンローラの装着をより効率良く行うことができる。また、プラテンローラを装着した後、ラッチ部材は付勢部材による付勢によって、突起部が第2の凹部内から離脱する方向に回転し難い状態となっている。従って、意図しないときに、第2の凹部内から突起部をより離脱し難くすることができ、装着時におけるプラテンローラの保持の信頼性を高めることができる。
【0022】
(4)本発明に係るプリンタは、上記本発明のプリンタにおいて、前記付勢部材による前記ラッチ部材の回転量を規制する規制部材を備えていることを特徴とする。
【0023】
本発明に係るプリンタにおいては、プラテンローラを装着する前の段階で、付勢部材によってラッチ部材が過度に回転してしまうことを規制することができる。従って、突起部に影響されることなく、第1の凹部内に軸受部を嵌め込み易い。
【0024】
(5)本発明に係るプリンタは、上記本発明のプリンタにおいて、前記記録ヘッドと前記プラテンローラとの間に供給される記録紙が巻回されたロール紙を収容するベース部材と、該ベース部材に対して開閉可能に連結された蓋部材と、を有し、前記固定フレームが、前記ベース部材に取り付けられ、前記プラテンフレームが、前記蓋部材に取り付けられていることを特徴とする。
【0025】
本発明に係るプリンタにおいては、プラテンローラの着脱操作に連動して蓋部材の開閉を行えるので、使い易いうえ、ロール紙から引き出した記録紙をプラテンローラと記録ヘッドとの間に容易にセットすることができる。
また、プラテンローラの着脱が、蓋部材のロック及びその解除を兼ねているので、このロック及びその解除をするための専用の部材を設ける必要がなく、構成の簡略化を図ることができる。
【0026】
(6)本発明に係るプリンタは、上記本発明のプリンタにおいて、前記蓋部材には、前記ラッチ部材を前記回転軸線回りに回転させる操作レバーが設けられていることを特徴とする。
【0027】
本発明に係るプリンタにおいては、操作レバーを介してラッチ部材を回転させることができるので、プラテンローラの着脱操作をより容易に行うことができる。特に、操作レバーが蓋部材に設けられているので、操作レバーの操作と同時に蓋部材の開閉を一連の動き
で行うことができ、操作性を高めることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るプリンタによれば、プラテンローラの着脱操作を容易に行うことができるうえ、装着時において高い信頼性でプラテンローラの保持を行うことができる。また、プラテンローラの細径化を図ることができ、全体を小型化し易い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るプリンタの実施形態を示す側面図であって、プラテンユニットと本体ユニットとが組み合わされた状態を示す図である。
【図2】図1に示す状態からプラテンユニットと本体ユニットとの組み合わせが解かれ、蓋部材が大きく開いた状態の側面図である。
【図3】図2に示す蓋部材の内面に固定された状態におけるプラテンユニットの正面図である。
【図4】図3に示す矢印A方向から見たプラテンユニット及び蓋部材の側面図である。
【図5】図3に示すB−B線に沿ったプラテンユニットの上面図である。
【図6】プラテンユニットをプラテンフレーム側から見た外観斜視図である。
【図7】図6に示すC−C線に沿ったプラテンユニットの一部断面斜視図である。
【図8】図2に示す矢印D方向から見た本体ユニットの側面図である。
【図9】図1に示す状態における揺動部材周辺の拡大図であって、軸受部が第1の凹部内に嵌め込まれ、固定ピンが第2の凹部内に嵌め込まれている状態を示す図である。
【図10】図9に示す状態から、固定ピンが第2の凹部内から抜け出た状態を示す図である。
【図11】図10に示す状態から、軸受部及び固定ピンが第1の凹部及び第2の凹部から離間するように移動した状態を示す図である。
【図12】図11に示す状態から、軸受部及び固定ピンが第1の凹部及び第2の凹部からさらに離間するように移動した状態を示す図である。
【図13】図12に示す状態から、軸受部が第1の凹部から完全に離脱した状態を示す図である。
【図14】本発明に係るプラテンユニットの変形例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る実施形態を、図1から図14を参照して説明する。なお、本実施形態では、プリンタの一例として、サーマルプリンタを例に挙げて説明する。
本実施形態のプリンタ1は、図1及び図2に示すように、互いに分離可能に組み合わされるプラテンユニット2及び本体ユニット3と、記録紙Pが巻回されたロール紙Rを収容する筐体4と、を備えている。
なお、図1は、プラテンユニット2と本体ユニット3とが組み合わされた状態におけるプリンタ1の全体側面図である。図2は、図1に示す状態からプラテンユニット2と本体ユニット3とが分離した状態を示す全体側面図である。
【0031】
まず、筐体4について説明する。
本実施形態の筐体4は、ベース部材10と、回転シャフト12を介してベース部材10に開閉可能(回転可能)に連結された蓋部材11と、で構成されている。
ベース部材10は、樹脂材料等により上方が開口した箱型状に形成されており、ロール紙Rが内部に収容されるようになっている。蓋部材11は、ベース部材10と同様に樹脂材料により形成されており、開状態時にベース部材10の開口を露出させ、閉状態時にベース部材10の開口を被蓋する役割を担っている。なお、蓋部材11のロック及びその解除は、プラテンユニット2と本体ユニット3との着脱によって行われるようになっている。
【0032】
また、蓋部材11は、ベース部材10を超えて外方(図1及び図2において紙面に対して左側)に延在するように形成されており、この延在した部分の内面にプラテンユニット2が取り付けられている。なお、ベース部材10を超えて外方に延在した蓋部材11の先端部11aは、下方に向けて湾曲しており、プラテンユニット2の一部を外方から覆っている。また、蓋部材11の表面側には、回転シャフト13を介して操作レバー14が回転可能に連結されている。この操作レバー14については、後に説明する。
【0033】
次に、プラテンユニット2について説明する。
プラテンユニット2は、図3から図6に示すように、蓋部材11の内面に取り付けられたプラテンフレーム20と、記録紙Pを紙送りするプラテンローラ21と、このプラテンローラ21を軸支する軸受部22aを有し、該プラテンローラ21を軸支した状態でプラテンフレーム20に揺動自在に取り付けられた揺動部材22と、この揺動部材22に回転可能に連結されたラッチ部材23と、で構成されている。
【0034】
なお、図3は、蓋部材11の内面に固定された状態のプラテンユニット2の正面図である。図4は、図3に示す矢印A方向から見たプラテンユニット2及び蓋部材11の側面図である。図5は、図3に示すB−B線に沿ったプラテンユニット2の上面図である。図6は、プラテンユニット2をプラテンフレーム20側から見た外観斜視図である。
【0035】
プラテンフレーム20は、図3に示すように、蓋部材11の横幅よりも若干小さい横幅で略板状に形成されており、ネジ等の締結手段によって蓋部材11の内面の大部分に重なるように取り付けられている。
プラテンフレーム20の一端側(回転シャフト13側)の両側には、図3、図4及び図6に示すように、プラテンローラ21側に突起した第1ストッパ爪20aが形成されている。また、プラテンフレーム20の他端側(蓋部材11の先端部11a側)の両側には、プラテンローラ21のプラテン軸L1と平行な方向に突起した第2ストッパ爪20bが形成されている。
【0036】
プラテンローラ21は、図3から図6に示すように、プラテン軸L1に沿って延在した弾性材料からなるローラであり、両端部からプラテン軸21aが突出している。そして、このプラテンローラ21は、上述したように揺動部材22によって軸支されている。
揺動部材22は、プラテンローラ21を挟むように配設され、根元側がプラテンフレーム20の両側からプラテン軸L1と平行な方向に突出した連結ピン20cに回転自在に連結されている。これにより揺動部材22は、この連結ピン20c回りに揺動自在とされている。
【0037】
揺動部材22の先端側は、軸受部22aとされ、プラテンローラ21の両端部から突出したプラテン軸21aをそれぞれ軸支している。これにより、プラテンローラ21は、揺動部材22に軸支されていると共に、この揺動部材22を介してプラテンフレーム20に連結されている。
また、揺動部材22の中間部(根元側と軸受部22aとされた先端側との間の略中間)には、プラテン軸L1に対して非同軸で且つ平行な回転軸線L2に沿ってプラテンローラ21側に突出した回転軸部22bが形成されている。この回転軸部22bは、後述するラッチ部材23の連結プレート31が回転可能に被嵌される軸部として機能する。
【0038】
なお、プラテン軸21aの一方には、揺動部材22を挟んで従動歯車25が固定されている。この従動歯車25は、プラテンユニット2と本体ユニット3とを組み合わせた際に、後述するプラテン用歯車列50に噛合して回転力が伝達され、回転するようになっている。これによりプラテンローラ21は、この従動歯車25の回転に伴ってプラテン軸L1回りに回転し、ロール紙Rから引き出された記録紙Pを紙送りすることができるようになっている。
【0039】
ラッチ部材23は、プラテンローラ21の下側に配設され、プラテンローラ21と略同じ長さに形成されたベース部30と、このベース部30の両端部に連設され、回転可能に揺動部材22に連結された平面視扇形状の連結プレート31と、で構成されている。
ベース部30の中央部には、図3に示すように、後述する操作レバー14の爪部14bが入り込んで接触する凹部30aが横幅方向に間隔を開けて2つ形成されている。
連結プレート31は、図3から図6に示すように、一部がリング状に形成されており、この部分が上述した揺動部材22の回転軸部22bに回転可能に被嵌されている。これによってラッチ部材23は、揺動部材22に対して、プラテン軸L1とは非同軸の回転軸線L2回りに回転可能な状態で連結されている。
【0040】
また、連結プレート31には、プラテン軸L1と平行な方向に突出し、ラッチ部材23の回転に伴って回転軸線L2回りに回転移動する固定ピン(突起部)31aが形成されていると共に、プラテンフレーム20側に突出する係合突起31bが形成されている。
なお、回転軸線L2から固定ピン31aの外縁までの距離は距離T(図4参照)とされており、ラッチ部材23の回転に関係なく常に一定とされている。
【0041】
このように構成されたラッチ部材23は、図6及び図7に示すように、捩りバネ(付勢部材)35によって、固定ピン31aが後述する第2の凹部46内に接近する方向、即ち、プラテンフレーム20から離間する方向(以下、ロック方向D1と称する)に回転するように付勢されている。なお、図7は、図6に示すC−C線に沿ったプラテンユニット2の一部断面斜視図である。
【0042】
捩りバネ35は、プラテンフレーム20とラッチ部材23との間に配設されている。具体的には、プラテンフレーム20側に形成された支持ピン20dに捩りバネ35が被嵌されていると共に、一端側が支持ピン20dの根元側に形成された溝部20e内に嵌り、他端側がラッチ部材23のベース部30の背面側に背接触してラッチ部材23を付勢している。これにより、ラッチ部材23は、回転軸線L2を中心として上記ロック方向D1に回転するように付勢された状態となっている。
【0043】
この際、図4に示すように、連結プレート31に形成された係合突起31bがプラテンフレーム20側の第1ストッパ爪20aに係合することで、ラッチ部材23が過度に回転しないように回転量が規制されている。これにより、プラテンユニット2と本体ユニット3とを組み合わせる前に、固定ピン31aがプラテンフレーム20から過度に離間しすぎないようになっている。
これら第1ストッパ爪20a及び係合突起31bは、捩りバネ35によって付勢されたラッチ部材23の回転量を規制する規制部材36として機能する。
【0044】
また、揺動部材22は、捩りバネ35によって付勢されたラッチ部材23に伴ってロック方向D1に揺動しようとするが、プラテンフレーム20側に形成された第2ストッパ爪20bに接触してロック方向D1への揺動量が規制されている。これにより、プラテンユニット2と本体ユニット3とを組み合わせる前に、プラテンローラ21が蓋部材11の先端部11a側に移動しすぎないように設計されている。
【0045】
ところで、上述したラッチ部材23は、図2及び図4に示すように、蓋部材11の表面に回転可能に連結された操作レバー14によって、固定ピン31aが後述する第2の凹部46内から離脱する方向、即ち、プラテンフレーム20に接近する方向(以下、リリース方向D2と称する)に回転するようになっている。
つまり、本実施形態の操作レバー14は、プラテンユニット2と本体ユニット3との組み合わせを分離させると共に、蓋部材11を開状態とさせるオープンレバーとして機能するようになっている。
【0046】
詳細に説明すると、この操作レバー14は、側面視J形状に形成されており、蓋部材11の先端部11a側に位置した先端側が操作端14aとされている。一方、操作レバー14の基端側は回転シャフト13を介して蓋部材11に連結されていると共に、この連結されている部分から蓋部材11の内面側にてラッチ部材23に向かって爪部14bが延在している。そして、この爪部14bは、ベース部30に形成された凹部30a内に入り込んだ形で該ベース部30に接触している(図3参照)。
このように、爪部14bがベース部30に接触しているので、操作端14aを介して操作レバー14を引き上げ操作(開操作)すると、該操作レバー14が回転シャフト13を中心として回転し、爪部14bがベース部30をプラテンフレーム20側に押圧するようになっている。これにより、ラッチ部材23は、固定ピン31aがプラテンフレーム20に接近するリリース方向D2に向けて回転軸線L2回りに回転するようになっている。
【0047】
次に、本体ユニット3について説明する。
本体ユニット3は、図1、図2及び図8に示すように、ベース部材10に取り付けられた固定フレーム40と、ヘッド支持体41を介してこの固定フレーム40に取り付けられたサーマルヘッド(記録ヘッド)42と、で構成されており、プラテンユニット2に向かい合うように配設されている。なお、図8は、図2示す矢印D方向から見た本体ユニット3の側面図である。
固定フレーム40は、フレーム本体部40aと、このフレーム本体部40aの両側に連設され、互いに向かい合う対向壁部40bと、で平面視コ形状に形成されており、ネジ等の締結手段によってベース部材10に取り付けられている。
【0048】
サーマルヘッド42は、プラテン軸L1と平行にライン状に並んだ図示しない多数の発熱素子を有しており、ヘッド支持体41の前面に貼付されている。このサーマルヘッド42には、図示しないフレキシブル基板が接続されており、各発熱素子を選択的に駆動させるための駆動信号が入力されるようになっている。
【0049】
ヘッド支持体41は、揺動自在に固定フレーム40に取り付けられている。ここで、ヘッド支持体41とフレーム本体部40aとの間には、ヘッド支持体41を付勢して、プラテンユニット2と本体ユニット3とが組み合わされたときにプラテンローラ21にサーマルヘッド42を圧接させるコイルバネ43が設けられている。これにより、印刷時、記録紙Pに対して確実な印刷を行いながら、紙送りすることが可能とされている。
【0050】
なお、ヘッド支持体41の両端には規制ピン41aが形成されており、固定フレーム40側に形成された溝部44内に規制ピン41aが入り込んでいる。そのため、ヘッド支持体41は、過度に揺動しないように揺動量が規制されている。
【0051】
固定フレーム40の対向壁部40bには、揺動部材22の軸受部22aが離脱可能に嵌め込まれ、プラテンローラ21をサーマルヘッド42に対向する位置に保持させる第1の凹部45と、この第1の凹部45内に軸受部22aが嵌め込まれた後に、ラッチ部材23の回転によって固定ピン31aが嵌め込まれる第2の凹部46とが、形成されている。
特に、揺動部材22の軸受部22aは、固定ピン31aが第2の凹部46内に嵌め込まれているときに第1の凹部45内から離脱不能とされていると共に、固定ピン31aが第2の凹部46内から離脱した後に、第1の凹部45内から離脱可能とされている。
【0052】
これら第1の凹部45及び第2の凹部46について、詳細に説明する。
まず、第1の凹部45は、図9に示すように、軸受部22a及び固定ピン31aがそれぞれ第1の凹部45内及び第2の凹部46内にそれぞれ嵌め込まれている際に、揺動部材22が連結ピン20cを中心として回転することを一部の内周縁が妨げるように形成されている。これにより、固定ピン31aが第2の凹部46内に嵌め込まれている状態において、軸受部22aが第1の凹部45内から離脱することは不可能とされている。
なお、図9は、図1に示す状態における揺動部材22周辺の拡大図であって、軸受部22aが第1の凹部45内に嵌め込まれ、固定ピン31aが第2の凹部46内に嵌め込まれている状態を示す図である。
【0053】
また、上述したように、軸受部22aは第1の凹部45の内周縁に邪魔されて揺動が妨げられているので、固定ピン31aが第2の凹部46内に嵌め込まれている状態において第1の凹部45内から離脱するには、第1の凹部45の開口方向である矢印D3方向に移動する必要がある。しかしながら、第2の凹部46は、固定ピン31aがこの矢印D3方向に移動することを一部の内周縁が妨げるように形成されている。
従って、固定ピン31aがこの内周縁によって矢印D3方向へ移動できない以上、軸受部22aに関しても矢印D3方向に移動することができない。よって、軸受部22a及び固定ピン31aが、第1の凹部45内及び第2の凹部46内から同時に離脱することも不可能とされている。
【0054】
ところが、第2の凹部46は、回転軸線L2を中心に固定ピン31aがリリース方向D2に移動できるように開口が形成されている。従って、回転軸線L2を中心としてラッチ部材23をリリース方向D2に回転させることで、固定ピン31aを第2の凹部46内から容易に離脱させることが可能とされている。そして、この固定ピン31aが第2の凹部46内から離脱した後は、軸受部22aを第1の凹部45内から容易に離脱させることが可能とされている。
このように、最初に固定ピン31aを第2の凹部46内から離脱させた後、軸受部22aを第1の凹部45内から離脱させるといった順番によってのみ、プラテンローラ21を固定フレーム40から分離、即ち、プラテンユニット2と本体ユニット3とを分離させることができるように構成されている。
【0055】
また、本実施形態の固定フレーム40には、図8に示すように、従動歯車25に噛合するプラテン用歯車列50が一方の対向壁部40bの外側に配設されるように設けられている。これらプラテン用歯車列50は、固定フレーム40の背面側に固定されたプラテン用駆動モータ51の駆動によって回転し、その回転力を従動歯車25に伝える役割を担っている。なお、プラテン用歯車列50は、ギアカバー52によって保護されている。
【0056】
次に、上述したように構成されているプリンタ1の作動について、説明する。
はじめに、図1に示すように、ベース部材10の内部にロール紙Rが収容され、記録紙Pが外部に引き出された状態でプラテンユニット2と本体ユニット3とが組み合わされている状態になっているものとして説明する。この際、蓋部材11は、ベース部材10の開口を被蓋した閉状態となっており、プラテンユニット2と本体ユニット3との組み合わせによってロックされている。そのため、プラテンユニット2と本体ユニット3とを分離しない限り、蓋部材11が開状態になることはない。また、記録紙Pは、プラテンローラ21と、このプラテンローラ21に押し付けられているサーマルヘッド42との間に挟まれた状態となっている。
【0057】
ここで、記録紙Pに対して各種情報の印刷を行う場合には、プラテン用モータ51を駆動すると同時にサーマルヘッド42を作動させる。
まず、プラテン用モータ51が駆動すると、その回転力がプラテン用歯車列50を介して従動歯車25に伝わるのでプラテンローラ21が回転する。これにより、プラテンローラ21とサーマルヘッド42との間に挟まれた記録紙Pが紙送りされる。一方、サーマルヘッド42の作動により、多数の発熱素子が適宜熱を発する。これにより、紙送りされている記録紙Pに対して、各種の文字や図形等を明瞭に印刷することができる。
【0058】
特に、プラテンユニット2と本体ユニット3とが組み合わされている状態では、図9に示すように、揺動部材22の軸受部22aが第1の凹部45内に嵌め込まれ、ラッチ部材23の固定ピン31aが第2の凹部46内に嵌め込まれている。そのため、印刷中に、プラテンローラ21に対してサーマルヘッド42や記録紙P等から外力が伝わったとしても、軸受部22aが第1の凹部45内から離脱してしまうことを防止することができるので、高い信頼性でプラテンローラ21の保持を行える。よって、記録紙Pを正確に紙送りすることができるうえ、かすれや滲み等を生じさせることなく印刷を行うことができる。
【0059】
なお、固定ピン31aは、印刷中、プラテンローラ21や記録紙P等から外力を受けても、意図しないときにラッチ部材23が回転して第2の凹部46内から離脱し難い。従って、この点においても、高い信頼性でプラテンローラ21の保持を行うことができる。
特に、ラッチ部材23は、捩りバネ35による付勢によって固定ピン31aが第2の凹部46内から離脱するリリース方向D2に回転し難い状態となっている。従って、印刷中、意図しないときに第2の凹部46内から固定ピン31aが離脱し難い状態となっている。この点においても、プラテンローラ21の保持を確実に行うことができる。
【0060】
次に、プラテンユニット2と本体ユニット3との組み合わせを解いて、プラテンローラ21をサーマルヘッド42から分離させる場合について説明する。
この場合には、まず操作レバー14の操作端14aを引き上げて、該操作レバー14を回転シャフト13回りに回転させる。すると、操作レバー14の爪部14bが、ラッチ部材23のベース部30をプラテンフレーム20側に向けて捩りバネ35に抗する力で押圧する。そのため、ラッチ部材23は、図10に示すように回転軸線L2を中心としてリリース方向D2に回転して、固定ピン31aが第2の凹部46内から離脱する。
これにより、軸受部22a及び固定ピン31aは、共に第1の凹部45の開口方向である矢印D3方向に移動可能な状態となる。つまり、蓋部材11のロックが解除された状態となる。
【0061】
そして、操作レバー14の引き上げと同時に、蓋部材11を回転シャフト12回りに回転させて開動作させることで、軸受部22a及び固定ピン31aが共に第1の凹部45の開口方向である矢印D3方向に移動する。これにより、軸受部22aは第1の凹部45内から徐々に離脱しはじめる。この際、揺動部材22が根元側を中心に適宜揺動するうえ、ラッチ部材23が回転軸線L2回りに適宜回転するので、引っ掛かり等なく軸受部22a及び固定ピン31aは矢印D3方向にスムーズに移動する。
【0062】
そして、蓋部材11の開動作をさらに進めると、図11及び図12に示すように軸受部22a及び固定ピン31aはさらに移動する。そして、その後のさらなる蓋部材11開動作に伴って、図13に示すように軸受部22aを第1の凹部45内から完全に離脱させることができる。この際、ラッチ部材23の係合突起31bがプラテンフレーム20側の第1ストッパ爪20aに係合する。
これにより、捩りバネ35で付勢されているラッチ部材23が過度に回転してしまうことを規制することができる。また、揺動部材22も同様にプラテンフレーム20側の第2ストッパ爪20bに接触するので、揺動部材22及びプラテンローラ21が共に過度に揺動してしまうことを規制することができる。
【0063】
このように、軸受部22aを第1の凹部45内から完全に離脱させることで、プラテンユニット2と本体ユニット3との組み合わせを解いて、プラテンローラ21をサーマルヘッド42から分離させることができる。その後、図2に示すように蓋部材11を大きく開けることで、ロール紙Rの交換や各種のメンテナンス等を行うことができる。
【0064】
続いて、プラテンローラ21を装着して、プラテンユニット2と本体ユニット3とを組み合わせる場合について説明する。この場合には、基本的には上述した動きと逆の動きとなるものである。
まず、図2に示すように蓋部材11を大きく開いた状態で記録紙Pをある程度の長さ引き出しておく。その後、蓋部材11を閉め、図13に示すように固定ピン31aを固定フレーム40の対向壁部40bに接触させる。そして、この状態から蓋部材11をさらに閉めて、図12に示すように軸受部22aを第1の凹部45内に挿入させる。
【0065】
この際、固定ピン31aが蓋部材11の閉動作に伴って固定フレーム40の対向壁部40bに接触しながら移動すると共に、ラッチ部材23が蓋部材11の閉動作に伴って捩りバネ35に抗する力で回転軸線L2を中心としてリリース方向D2に回転する。よって、係合突起31bは、第1ストッパ爪20aから離間した状態となる。また、ラッチ部材23の回転に伴って揺動部材22が第2ストッパ爪20bから離間する方向に揺動するので、軸受部22aを第1の凹部45内にスムーズに挿入させ易い。
【0066】
そして、さらに蓋部材11を閉めることで、図11に示すように、軸受部22a及び固定ピン31aを共に固定フレーム40の対向壁部40bに接触させながら移動させることができ、その後、図10に示すように軸受部22aを第1の凹部45内に嵌め込むことができる。そして、この状態からさらに蓋部材11を閉めると、図9に示すように、固定ピン31aが第2の凹部46内に自動的に挿入されて嵌め込まれる。つまり、ラッチ部材23は捩りバネ35によって付勢されているので、固定ピン31aが第2の凹部46の開口に達すると、該固定ピン31aは自動的に第2の凹部46内に嵌め込まれる。
【0067】
これにより、プラテンローラ21の装着が完了して印刷可能状態にセットすることができると共に、第1の凹部45内から軸受部22aを離脱不能な状態にすることができる。また、蓋部材11を閉状態でロックすることができる。つまり、図1に示す状態にすることができる。
【0068】
上述したように、本実施形態のプリンタ1によれば、第1の凹部45内への軸受部22aの嵌め込み/離脱と、ラッチ部材23の回転動作による第2の凹部46内への固定ピン31aの嵌め込み/離脱と、による簡単な操作でプラテンローラ21の着脱操作を容易に行うことができる。従って、プラテンローラ21とサーマルヘッド42とを(プラテンユニット2と本体ユニット3とを)速やかに組み合わせたり、両者を速やかに分離して組み合わせを解除したりすることができる。
しかも、ラッチ部材23が捩りバネ35によって付勢されているので、軸受部22aを第1の凹部45内に嵌め込んだ後、固定ピン31aを短時間でスムーズに第2の凹部46内に嵌め込むことができる。従って、プラテンローラ21の装着をより効率良く行うことができる。
【0069】
また、プラテンユニット2と本体ユニット3とを組み合わせてプラテンローラ21を装着した際、固定ピン31aを意図的に第2の凹部46内から離脱させない限り、軸受部22aが第1の凹部45内から離脱することがないので、高い信頼性でプラテンローラ21を保持することができる。従って、記録紙Pの紙送り及び印刷を確実に行うことができ、プリンタ1の信頼性を向上することができる。
【0070】
また、本実施形態のラッチ部材23は、プラテンローラ21のプラテン軸L1に対して非同軸な回転軸線L2回りに回転可能な状態で揺動部材22に連結されている。そのため、ラッチ部材23の回転軸線L2がプラテン軸L1と同軸であった従来のものとは異なり、プラテンローラ21とラッチ部材23とをそれぞれ自由に設計しても、相手側に影響を与え難い。従って、設計の自由度を高めることができる。
特に、プラテンローラ21の形状やサイズ等が、ラッチ部材23の強度や動作に影響を与え難いので、プラテンローラ21の細径化を図ることができる。従って、全体の小型化を図り易い。
【0071】
また、本実施形態では、ラッチ部材23が揺動部材22に形成された回転軸部22bに回転可能に被嵌されているので、がたつき等が生じ難くより滑らかに回転する。従って、第2の凹部46内に固定ピン31aを引っ掛かり少なくスムーズに嵌め込み或いは離脱させることができ、プラテンローラ21の着脱操作を円滑に行うことができる。
【0072】
また、回転軸部22bは、プラテンローラ21側に突出しているので、ラッチ部材23をプラテンローラ21と同じ側に位置させた状態で揺動部材22に連結させることができる。仮に、ラッチ部材23が、揺動部材22を挟んでプラテンローラ21とは反対側に位置している場合には、揺動部材22の厚みを考慮する必要があるのでプラテン軸L1に平行なプリンタ1の横幅方向が長くなり易い。しかしながら、ラッチ部材23をプラテンローラ21と同じ側に位置させることができるので、このような懸念もなく小型化を図り易い。
【0073】
更に、プラテンローラ21の着脱操作に連動して蓋部材11の開閉を行えるので、使い易いうえ、ロール紙Rから引き出した記録紙Pをプラテンローラ21とサーマルヘッド42との間に容易にセットすることができる。また、プラテンローラ21の着脱が、蓋部材11のロック及びその解除を兼ねているので、このロック及びその解除をするための専用の部材を設ける必要がなく、構成の簡略化を図ることができる。
【0074】
更には、操作レバー14を介してラッチ部材23を回転させることができるので、プラテンローラ21の着脱操作をより容易に行うことができる。特に、操作レバー14が蓋部材11に設けられているので、操作レバー14の操作と同時に蓋部材11の開閉を一連の動きで行うことができ、操作性を高めることができる。
【0075】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0076】
例えば、上記実施形態において、ベース部材10と蓋部材11とから構成される筐体4は必須なものではなく設けなくても構わない。即ち、本体ユニット3とプラテンユニット2とだけで構成されていても、プリンタとして十分に機能する。
【0077】
また、上記実施形態では、揺動部材22の回転軸部22bをプラテンローラ21側に突出するように形成したが、この場合に限られず、プラテンローラ21とは反対側の外方に突出するように形成しても構わない。この場合には、ラッチ部材23が、揺動部材22を挟んでプラテンローラ21とは反対側に位置した状態で該揺動部材22に連結されるが、この場合であっても同様の作用効果を奏することができる。但し、できるだけ横幅を抑えてプリンタの小型化を図る点で、上記実施形態にように構成することが好ましい。
【0078】
また、図14に示すように、プラテンローラ21とプラテンフレーム20との間に、ラッチ部材23の連結プレート31が配設されるように、揺動部材22の長さや回転軸部22bの位置、サイズ等を設計しても構わない。こうすることで、さらに横幅を抑えてプリンタ1の小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0079】
R…ロール紙
P…記録紙
L1…プラテン軸
L2…回転軸線
1…プリンタ
10…ベース部材
11…蓋部材
14…操作レバー
20…プラテンフレーム
21…プラテンローラ
22…揺動部材
22a…揺動部材の軸受部
22b…揺動部材の回転軸部
23…ラッチ部材
31a…ラッチ部材の突起部(固定ピン)
35…捩りバネ(付勢部材)
36…規制部材
40…固定フレーム
42…サーマルヘッド(記録ヘッド)
45…第1の凹部
46…第2の凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドとプラテンローラとが分離可能に組み合わされるプリンタであって、
前記プラテンローラを軸支する軸受部を有し、該プラテンローラを軸支した状態でプラテンフレームに揺動自在に取り付けられた揺動部材と、
前記プラテンローラのプラテン軸に対して非同軸で且つ平行な回転軸線回りに回転可能な状態で、前記揺動部材に連結されたラッチ部材と、
前記ラッチ部材に形成され、ラッチ部材の回転に伴って前記回転軸線回りに回転移動する突起部と、
前記記録ヘッドが取り付けられた固定フレームと、を備え、
前記固定フレームには、前記軸受部が離脱可能に嵌め込まれ、前記プラテンローラを前記記録ヘッドに対向する位置に保持させる第1の凹部と、該第1の凹部内に軸受部が嵌め込まれた後に、前記ラッチ部材の回転によって前記突起部が離脱可能に嵌め込まれる第2の凹部と、が形成され、
前記軸受部は、前記突起部が前記第2の凹部内に嵌め込まれているときに前記第1の凹部内から離脱不能とされると共に、突起部が第2の凹部内から離脱した後に、第1の凹部内から離脱可能とされていることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記揺動部材には、前記回転軸線に沿って前記プラテンローラ側に突出した回転軸部が形成され、
前記ラッチ部材は、前記回転軸部に回転可能に被嵌されていることを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリンタにおいて、
前記プラテンフレームと前記ラッチ部材との間には、前記突起部が前記第2の凹部内に接近する方向に回転するようにラッチ部材を付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項3に記載のプリンタにおいて、
前記付勢部材による前記ラッチ部材の回転量を規制する規制部材を備えていることを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のプリンタにおいて、
前記記録ヘッドと前記プラテンローラとの間に供給される記録紙が巻回されたロール紙を収容するベース部材と、
該ベース部材に対して開閉可能に連結された蓋部材と、を有し、
前記固定フレームは、前記ベース部材に取り付けられ、
前記プラテンフレームは、前記蓋部材に取り付けられていることを特徴とするプリンタ。
【請求項6】
請求項5に記載のプリンタにおいて、
前記蓋部材には、前記ラッチ部材を前記回転軸線回りに回転させる操作レバーが設けられていることを特徴とするプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−156798(P2011−156798A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21537(P2010−21537)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】