説明

プリントヘッド

【課題】異なる液滴サイズのインクを吐出するプリントヘッドを提供する。
【解決手段】プリントヘッド101の流体噴射装置211〜213は、第1のノズルアレイ221〜223と第2のノズルアレイ231〜233とを有する基板を含み、各アレイは複数のノズルを備えて第1の方向に配置され、第1のノズルアレイは第2のノズルアレイから第2の方向に向かって間隔を空けて配置される。第1の流体配送路は第1のノズルアレイと流体が流れるように接続され、第2の流体配送路は第2のノズルアレイと流体が流れるように接続される。第1のノズルアレイのノズルは第1の開口面積をもち、第1のノズルアレイに沿って配置される。第2のノズルアレイのノズルは第2の開口面積をもち、第2の開口面積は第1の開放領域よりも小さい。第2のアレイの少なくとも1つのノズルは、第1のアレイの少なくとも1つのノズルから第1の方向にずれて配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは流体噴射システムに関し、より特定的には、かかるシステムに関連した流体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル制御の流体噴射装置の一例としてインクジェット印刷システムがある。一般的に、インクジェット印刷システムは、ドロップオンデマンド方式の印刷システムまたは連続印刷方式のシステムのいずれかに分類される。
【0003】
液滴形成メカニズムのある箇所にヒータを組み入れるドロップオンデマンド方式の印刷システムが知られている。「バブルジェット(登録商標)・ドロップイジェクタ」または「サーマルインクジェット・ドロップイジェクタ」とよく称されるが、このようなメカニズムは抵抗性の加熱要素(1つまたは複数)を含み、駆動時には(例えば抵抗性加熱要素に電流を流す等によって)、流体チャンバ中の流体の一部を気化させて蒸気の泡(バブル)を形成する。蒸気バブルが膨張すると、液体チャンバ中の液体がノズルオリフィスを通って排出される。メカニズム停止時には(抵抗性加熱要素への電流を遮断する等によって)、蒸気バブルが崩壊し、液体チャンバを液体で再充填できる。
【0004】
サーマルインクジェット印刷装置では、一般的には何百ものサーマルインクジェット・ドロップイジェクタが、1つ以上のアレイに組み分けされる。多数のドロップイジェクタは、高度なアドレス指定能力をもって高解像度および高歩留まりの印刷を行うのに有用である。カラー印刷システムでは、一般的には異なるドロップイジェクタのアレイを用いて、シアン、マゼンタ、イエローの少なくともいずれかを印刷する。
【0005】
サーマルインクジェット用のプリントヘッドは、フェースシューティング型装置またはエッジシューティング型装置のいずれかに分類できる。どちらのタイプの構成においても、シリコンダイ等の基板の平坦な表面または表面近傍に、一般的には駆動およびアドレス指定用の電子機器とともに抵抗性加熱要素が形成される。フェースシューティング型装置では、液滴は基板面と垂直に噴射される。フェースシューティング型装置はルーフシュータとバックシュータとを含む。ルーフシューティング装置ではインク噴射方向とバブル成長方向とが同じである。バックシュータではインク噴射方向とバブル成長方向とは逆である。エッジシューティング型装置では、液滴は基板面とほぼ平行方向に噴射される。フェースシューティング型装置ではノズルオリフィスを二次元構造で簡単に形成できる。エッジシューティング型装置では、オリフィスは一般的には装置の縁部に沿った1本の線の内側に配置される。
【0006】
高解像度で高歩留まりのプリンタでは、必要な複数のノズルアレイを設けるために複数のプリントヘッドまたはシリコン基板をもつ。例えばカラープリンタでは、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックのインクを印刷するために別個の4つのプリントヘッドを設けることができる。高画像品質のためには、異なるアレイ間で対応するスポットを整列させる必要がある。プリントヘッドが別々の場合は、適切な画像品質のために一般には後でアライメントが必要である。いくつかのアライメントは、一般的にはプリントヘッドとプリンタ内部に設けた基準面とを物理的に接触させる等によって、機械的に行われる。プリントヘッドの不整列をプリンタ内部で電子的に補償する場合もある。例えば、最適なアライメントのために異なるアレイのどのノズルとどのノズルが互いに対応すべきかを選択したり、各プリントヘッドの相対的な発射タイミングを設定するために、印刷テストパターンを用いてもよい。
【0007】
異なるノズルアレイを整列させる一つの解決策は、すべてのアレイを一つのシリコンダイ上に作製することである。米国特許第5,030,971号は、少なくとも2つのインク投入口と、これに対応するノズルアレイと、これに関連した加熱要素とを有する加熱要素基板を備えたプリントヘッドを記載している。このような構成では、各インク投入口がそれぞれ異なる色のインクを供給するように使用できる。他の応用例では、すべてのインク投入口が一色のインクを供給してもよい。また、インク投入口の両側のノズル群を千鳥配置にして、アドレス指定可能な印刷解像度を2倍にすることもできる。‘971号特許はまた、複数のインク投入口が同種類のインクを供給し、かつノズルアレイ間がノズル間隔の一部ずつ互いにずれている場合、アドレス指定可能な印刷解像度をさらに上げることが可能であると記載している。
【0008】
高解像度のシングルパス印刷のために千鳥配置の複数の線形アレイを設ける上記の‘971号特許と同様のアプローチは、米国特許第6,543,879号にも記載されている。
【0009】
同一シリコンダイ上に形成されたアレイは、フォトリソグラフィおよび微細電子加工技術に固有の高い精度で作製され、十分なアライメントを得ることができる。だが応用によっては、必要な全アレイを1つのダイ上に形成するとダイのサイズを過大にしてしまい、費用がかかりすぎる。
【0010】
他の方法は、複数のシリコンダイを共通の支持部材に接着することである。別々のダイ上のアレイを同一基板に接着した場合のアレイ間の相対的アライメントは、単一ダイを用いる場合ほど正確(例えば1マイクロメートル未満)ではないが、このアプローチを用いた場合でも、かなり高いアライメント精度(例えば10マイクロメートル未満)をプリントヘッドに構築できる。
【0011】
複数のサーマルインクジェットダイを共通の支持部材上に接着する一例には、ページ幅アレイがある。現行のサーマルインクジェット製品の大半はキャリッジ型プリンタであり、印刷アレイ長が約1cm〜3cmのダイを含む。これらアレイが一般的には用紙を横切って(アレイ長に対してほぼ垂直に)スキャンされ、一掃分の印刷を行う。次いで、アレイ長と平行に用紙が進められ、プリントヘッドが次の一掃分を印刷する。ページ幅アレイプリンタでは、ページの全幅にわたって液滴噴射ノズル群が設けられるため、プリントヘッドと用紙とをアレイ長の方向に沿って相対移動させることは不要である。製造歩留まりから考えて、最低20cmの長さを要する単一ダイからなる高品質の印刷アレイを製作すると費用が高くなりすぎる。これに代えて、ページ幅プリントヘッドは、共通の支持部材上に複数のダイを接着して組み立てられる。ページ幅プリントヘッドでは、組み合わせたアレイ長が所与のダイのアレイ長の約N倍となるように、N個のダイが配置される。ダイは端から端まで配置してもよいし、千鳥配置にしてもよい。千鳥構成の場合は、隣接するダイ間で印刷領域がいくらか重なってもよいので、アレイ全長は個々のアレイ長のN倍未満となる。
【0012】
いくつかのキャリッジ型プリンタの応用では、同じ支持部材に複数のダイを接着することがやはり有利である。米国特許第6,659,591号は、シアン、マゼンタ、イエローインク用のインク投入口および噴射装置を有する第1のルーフシューティング型ダイと、ブラックインク用のインク投入口および噴射装置を有する第2のルーフシューティング型ダイとを備えたプリントヘッドの構造を記載している。2つのダイは同じ支持部材に接着される。このようなプリントヘッドでは、一般的には、ダイは端から端ではなく、ノズルアレイ群が互いにほぼ平行な状態で接着される。この応用では、1つの基板上に複数のダイを設けるのは、印刷装置のコンパクトさと、ある程度の自動精度アライメントのためである。
【0013】
いくつかの印刷応用では、異なる液滴生成要素グループを設け、各グループがある特定のサイズの液滴を噴射するように設計するのが有用である。所与のサーマルインクジェット液滴噴射装置の公称容積は、主としてヒータ面積、ノズルオリフィス面積、およびチャンバのジオメトリ等の設計上のパラメータに依存し、かつ噴射中の流体の特性にもいくらか左右される。サーマルインクジェット液滴生成装置は、抵抗性加熱要素に対する現在のパルス列を修正する等の方法によって、やや限定された範囲内でのみ液滴サイズを変更できる。従って、各画素位置に異なる容積のインクを堆積するグレースケール印刷を行いたい場合は、複数のノズルアレイを設けて、各アレイの液滴生成装置が、別アレイの液滴生成装置から噴射される液滴の容積とは異なる所与の液滴容積を印刷するのが有用である。米国特許第4,746,935号は、連続した3つの液滴生成装置が液滴容積比1:2:4となるように重み付けされたプリントヘッドを開示している。サイズの異なる液滴噴射装置列は印刷時にはプリントヘッドのスキャン方向に平行であるので、適正な発射タイミングにより、3つの異なるサイズの液滴噴射装置のそれぞれからの液滴は用紙上の同じ画素位置に印刷される。1つの画素位置に印刷される。同じ画素位置に印刷される液滴サイズの異なる組み合わせによって、最大8つのインク濃度レベルを設けることができる。
【0014】
米国特許第5,412,410号はエッジシュータ式のサーマルインクジェットプリントヘッドを開示しており、ここでは2つのノズルグループが同一線上に配置され、第1のグループのノズル群が第2のグループのノズル群と交互に等間隔で配置される。2つのグループのノズル群は異なるサイズの液滴を生成する。第1グループのノズル群と第2グループのノズル群との発射タイミングを適正にすれば、このようなノズル構成を用いて、大きな液滴間の隙間に小さな液滴を配置することが可能である。この構成では、大小の液滴のインクは同種類である。エッジシュータ上に複数のノズルグループを配置することの欠点は、すべてのノズルを一線上に配置しなければならないためノズルの解像度が限定されることである。
【0015】
米国特許第6,592,203号は、ある1つのサイズのノズル列を、この第1のノズル列と平行でノズルサイズの異なる第2のノズル列と交互に配置したプリントヘッドを開示している。本特許に開示された印刷方法では、画素位置のカラム(行)が印刷媒体上に配置される。第1の画素位置カラムの組では、所与のインク種類の大型ドットが第1の画素位置に印刷できる。第1のカラム組の間に介挿される第2の画素位置カラムの組では、同じインク種類の小型ドットを印刷できる。これは、ノズルの解像度の2倍の解像度で用紙を送ることによって可能となる。
【0016】
以上説明したように、印刷システムでは、異なるサイズの複数の液滴噴射装置を設けて、少なくとも1つのインクが異なる液滴容積で選択的に噴射されるようにするのが有利な場合がある。さらに、噴射中の異なる液体に対応して異なるサイズの液滴噴射装置を設けるのが有利な場合もある。インクの種類によっては、他のインクと比べて印刷媒体上での拡散特性が異なる。例えばカラーインクは、未コーティングの用紙中にすばやく浸透するように(これにより隣り合う印刷済みの色が互いに交じり合わないように)設計され、一方、ブラックインクは同じ用紙にゆっくりと浸透するように設計される。これにより、用紙の繊維に沿った不要な毛管作用による流動がなく、ブラックインクをより制御可能に拡散でき、黒字のテキストを鮮明でくっきりさせることができる。かかる印刷システムでは、ブラックの液滴噴射装置がカラーの液滴噴射装置よりも大型の液滴を噴射して、用紙全体をカバーできるようにするのが望ましい。
【0017】
米国特許第5,570,118号は、2つの異なるブラックインクが2つの異なるプリントヘッドで印刷されるカラー印刷システムを開示している。第1のブラックのプリントヘッドは表面張力が高い(40dynes/cm超)インクを噴射するので、迅速に拡散せずシャープなラインやテキストに適している。この第1のブラックのプリントヘッドは、シアン、マゼンタ、イエロー、および第2のタイプのブラックインクを噴射する第2のプリントヘッド群とわずかな隙間を空けて配置される。第2のプリントヘッド群の各インクは、表面張力が40dynes/cm未満である。表面張力の低いインクはより迅速に用紙に浸透し、隣接する印刷済みの他色の領域に染みにくい。これは、画像のカラー部分の印刷には第2のプリントヘッド群を使用し、ブラックのみを含む画像部分の印刷には第1のブラックのプリントヘッドを使用することを意図している。異なる2つのブラックの液滴噴射装置が別個のプリントヘッド上に設置されるこの構成の欠点は、別個のプリントヘッド群を、別々のブラックアレイのスポット同士が1画素間隔未満のアライメント誤差で精度よく位置決めされるように整列するのが困難なことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第5,030,971号明細書
【特許文献2】米国特許第6,543,879号明細書
【特許文献3】米国特許第6,659,591号明細書
【特許文献4】米国特許第4,746,935号明細書
【特許文献5】米国特許第5,412,410号明細書
【特許文献6】米国特許第6,592,203号明細書
【特許文献7】米国特許第5,570,118号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一実施形態に従えば、流体噴射装置は基板を含み、基板は、それぞれ複数のノズルを有する第1のノズルアレイと第2のノズルアレイとを備え、第1のノズルアレイおよび第2のノズルアレイは第1の方向に沿って配置される。第1のノズルアレイは第2のノズルアレイから第2の方向に間隔を空けて配置される。第1の流体配送路は第1のノズルアレイと流体が流れるように接続され、第2の流体配送路は第2のノズルアレイと流体が流れるように接続される。第1のノズルアレイのノズルは第1の開口面積をもち、第1のノズルアレイに沿ってピッチPで配置される。第2のノズルアレイのノズルは第1の開口面積よりも小さい第2の開口面積をもつ。第2のノズルアレイの少なくとも1つのノズルは、第1のノズルアレイの少なくとも1つのノズルから、第1の方向にピッチP未満だけずれて配置される。
【0020】
本発明の他の実施形態に従えば、プリントヘッドは、支持部材上に配置された1つ以上のかかる流体噴射装置を含む。流体源は、各流体噴射装置の第1および第2の流体配送路と流体が流れるように接続される。液滴形成メカニズムは、第1のノズルアレイの複数のノズルの各々と、第2のノズルアレイの複数のノズルの各々に動作時に関連付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に従う流体噴射装置を組み入れる流体噴射システムの概略図である。
【図2A】異なる開口面積をもち、対応するスロット供給型の流体配送路を有する2つの互いにずれたノズルアレイ群を備えた流体噴射装置の上面図である。
【図2B】図2Aの破線2B−2Bに沿って見た断面図である。
【図3】異なる開口面積をもち、対応するエッジ供給型の流体配送路を有する2つの互いにずれたノズルアレイ群を備えた流体噴射装置の上面図である。
【図4】異なる開口面積をもつ2つの互いにずれたノズルアレイを備え、一方のアレイはスロット供給型で、他方のアレイはエッジ供給型である流体噴射装置の上面図である。
【図5】互いにずれて異なる開口面積をもつ3つのノズルアレイと、対応するスロット供給型の流体配送路とを備えた流体噴射装置の上面図である。
【図6】互いにずれたノズルアレイと異なる開口面積とをもつ3つの流体噴射装置を備えた流体エミッタまたはプリントヘッドの上面図である。
【図7】支持部材上に設置された3つの流体噴射装置と、それぞれ独立した流体配送源とを有するインクジェットプリントヘッドの断面図である。
【図8】支持部材上に設置された4つの流体噴射装置と、組み合わせ型の流体配送源とを有するインクジェットプリントヘッドの断面図である。
【図9】異なる開口面積をもつ互いにずれたノズルアレイを備えた3つの流体噴射装置を含み、1つの流体噴射装置は回転した状態である流体エミッタまたはプリントヘッドの上面図である。
【図10】それぞれ3つのノズルアレイを備え、そのうちの2つのノズルアレイは異なる開口面積をもつ2つの流体噴射装置を含む流体エミッタまたはプリントヘッドの上面図である。
【図11】6つのノズルアレイを備え、そのうちのいくつかのノズルアレイは互いにずれて異なる開口面積をもつ1つの流体噴射装置を含む流体エミッタまたはプリントヘッドの上面図である。
【図12】2つの互いにずれた流体噴射装置アレイの対応するノズル間にいくらかの重なりがある流体噴射装置の上面図である。
【図13】それぞれ開口面積の異なる互いにずれた2つのノズルアレイを備えた二次元構成のプリントヘッドの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、印刷応用について本発明を説明する。ただし一般には、本発明の流体噴射システムは、2つの異なる開口面積を有するノズルアレイから流体の液滴を噴射して、2つの異なるノズルサイズから噴射された液滴が互いに正確なレジストレーションで、ただしわずかにずれて着地するように設計したい場合、またさらには小さいほうのノズルから噴射される流体と比べて同じまたは異なる流体が大きいほうのノズルから噴射される場合等の応用に有用である。従って本発明は、印刷以外に、バイオ医療分野での応用、化学分析、または材料の液滴を連続堆積させることによる微細加工技術分野でも有用である。これ以外にも、インクジェットプリントヘッドと同様の装置を利用するが、微細測定され高い空間精度で堆積が必要な流体(インク以外)を噴射する多数の他の応用も台頭している。印刷応用においても、情報記録用の流体以外の流体を噴射しようとする場合がある。このため本明細書に記載する流体という用語は、以下に説明する流体噴射装置によって噴射可能な任意の材料をさす。
【0023】
図1には、インクジェットプリンタ等の流体噴射システム10の概略図を示す。システムはデータ(例えば画像データ)ソース12を含み、これは信号を出力し、この信号をコントローラが液滴噴射コマンドとして解釈する。コントローラ14は、電気エネルギーパルス源16へ信号を出力し、電気エネルギーパルスは、少なくとも1つの流体噴射装置110を含むインクジェットプリントヘッド等の流体噴射サブシステム100に入力される。本発明の各種実施形態は、流体噴射装置が複数のノズルアレイと対応する複数の流体配送路とを備えたタイプのものである。図1に示す例では、2本のノズルアレイが設けられる。第1のノズルアレイ120のノズル121は、第2のノズルアレイ130のノズル131よりも大きな開口面積をもつ。ノズルアレイは基板111上に形成される。各ノズルアレイは、対応する流体配送路と流体が流れるように接続される。流体配送路122はノズルアレイ120と流体が流れるように接続され、流体配送路132はノズルアレイ130と流体が流れるように接続される。図1には、基板中の開口として流体配送路122および132の一部を示す。流体噴射サブシステム100には1つ以上の流体噴射装置が含まれるが、ここでは流体噴射装置110のみを示す。1つまたは複数の流体噴射装置は支持部材上に配置されるが、これも図示しない。流体は流体配送路に供給される。図1では、第1の流体源18は流体配送路122を介して第1のノズルアレイ120に流体を供給し、第2の流体源19は流体配送路132を介して第2のノズルアレイ130に流体を供給する。ここでは別個の流体源18および19を図示するが、応用によっては1つの流体源を設けて、流体配送路122および132それぞれを介してノズルアレイ120および130に流体を供給するのが有利な場合もある。図1には、ノズル群に関連した液滴形成メカニズムは示していない。液滴形成メカニズムは各種タイプのうち任意のものから構成でき、いくつかのタイプでは、流体の一部を加熱・気化させることによって液滴を噴射する加熱要素、または流体チャンバの容積を制限して噴射を行う圧電トランスデューサ、または(二層要素の加熱等によって)移動して噴射を行うように構成されたアクチュエータが含まれる。いずれの場合も、希望の堆積パターンに応じて、パルスソース16からの電気パルスが各種液滴噴射装置に送られる。ノズルの開口面積が広いため、ノズルアレイ120から噴射される液滴181はノズル130から噴射される液滴182よりも大きい。一般的には、ノズルアレイ120および130とそれぞれ関連づけられる液滴形成メカニズムの他の側面(図示せず)も、サイズの異なる液滴の噴射工程を最適化するために異なるサイズで構成される。動作時には、流体の液滴、例えばインク滴は記録媒体20上に堆積される。
【0024】
図2は、本発明の流体噴射装置110の第1の実施形態を示す。基板111中には流体配送スロット128および138が形成される。流体配送スロットは基板の長手方向に沿ってx方向に延び、このため各スロットはそれぞれのスロット長に沿って配置されるノズルに流体を供給するチャネルとなる。ノズルアレイ120は2つのノズルグループから構成される。ノズルグループ120aは流体配送スロット128の一方側に沿って配置され、ノズルグループ120bは流体投与スロット128の他方側に沿って配置される。ノズルグループ130aおよび130bも、流体配送スロット138に対して同様に配置される。ノズルアレイ120はノズルアレイ130からy方向に間隔を空けて設けられる。図示する各サブグループのノズルは、x方向に直線状に配置される。いくつかの応用では、各サブグループ内の隣接するノズル同士が、例えばのこぎり歯状にy方向にわずかにずれるように設計してもよい。一般に、ノズルは流体配送スロットに沿ってx方向にほぼ直線状に配置される。グループ120aのノズルはピッチPで配置される。すなわちグループ120aの隣接するノズル、例えばノズル123と125とは、x方向に距離Pだけ離れている。図2Aに示す構成では、グループ120bのノズル、ならびにグループ130aおよびグループ130bのノズルも、ピッチPだけ互いに間隔を空けて配置される。グループ120bのノズルは、グループ120aの対応するノズルからx方向にP/2ずつずれている。ノズルアレイ120を左側から右側へ見ていくと、1番目のノズルはグループ120aのノズル123、2番目のノズル(かつノズル123からx方向に距離P/2だけ離れたノズル)はグループ120bのノズル124、3番目のノズル(かつノズル124からx方向に距離P/2だけ離れたノズル)はグループ120aのノズル125である。グループ120aと120b(どちらもピッチはP)を千鳥配置にすることで、流体噴射装置は、中心がx方向に距離P/2だけ離れた液滴の噴射が可能な第1のノズルアレイを設けることができる。グループ130のノズルも同じ間隔である。さらに、図2Aの構成では、グループ130のノズルはグループ120のノズルからx方向に距離P/4だけそれぞれずれている。流体噴射装置110の左側から右側へ向かって、1番目のノズルはノズル123、2番目のノズルはノズル133、3番目のノズルはノズル124、4番目のノズルはノズル134、5番目のノズルはノズル125である。このように左側から右側へ向かって、流体噴射装置のノズルは、開口面積が大きいアレイ120のノズルと、開口面積が小さいアレイ130のノズルとで交互に配置される。流体噴射装置110では、x方向に沿った2つの連続したノズル間の距離はP/4である。
【0025】
多くの応用では、グループ120aのノズルとグループ120bのノズルとの開口面積が等しいのが望ましいが、いくつかの応用ではグループ120aとグループ120bのノズルの開口面積が異なるのが望ましい場合もある。グループ130aと130bのノズルについても同様である。
【0026】
図2Bは、流体噴射装置110の断面図である。基板111上に複数の層が形成される。層の枚数および各層の機能は流体噴射装置の種類によって異なる。基板111のすぐ上には絶縁層112を設けてもよい。液滴発生装置(すなわち液滴形成メカニズム)を形成する1枚以上の層113と、関連した保護材料が設けられる。図2Bでは、図示する液滴生成装置は、アレイ130の1つのノズルに対応するヒータ115、およびアレイ120の1つのノズルに対応するヒータ114等の抵抗性ヒータである。1枚以上のチャンバ形成層151は、液滴生成装置近傍でチャンバ(152等)に流体が含まれるようにパターニングされる。1枚以上のチャンバ形成層の上層は、ノズルアレイがパターニングされるノズル板層150である。一般的には、各チャンバごとに1つのノズルが設けられる。ノズルアレイ120に流体を供給する流体配送路122は、基板111中のスロット128と、ノズルアレイ120用の流体チャンバへ続く基板の層中の任意の通路とからなる。
【0027】
図2は、ノズルがアレイ中で均一な間隔で配置される場合を示す。いくつかの応用では、アレイ中で主機能(印刷等)を実行する主ノズルの組と、その他の機能を実行する副ノズルの組とを設けてもよい。これら副ノズルは、装置から空気を除去する等の各種メンテナンス機能の実行用に設けることができる。副ノズルは製造または液滴噴射時の末端の影響を減じるために形成してもよい。副ノズルは主ノズルと異なる開口面積をもってもよく、また異なる間隔で配置してもよい。いくつかの応用では、副ノズルは流体配送路に接続してもよいし、他の応用では接続しなくてもよい。副ノズルには液滴形成装置を関連付けても関連付けなくてもよい。副ノズルのない応用では、すべてのノズルを主ノズルと考えることができる。
【0028】
多くの印刷応用では、特定の印刷流体に対応する主ノズルを均一なピッチで配置するのが望ましい。他の応用では、アレイに沿ったノズルの間隔をいくぶん不均一にするのが望ましい場合がある。この場合、ノズルのピッチはアレイに沿ったの平均ノズル間隔として規定できる。
【0029】
図3は、本発明の第2の実施形態の流体噴射装置116を示す。本実施形態では、ノズルアレイ120用の流体路は基板の長い方の縁の周囲を通り、x方向に延びてアレイに流体を供給するチャネル129へ続く。アレイ120のノズルは、チャネル129の一方側に沿ってピッチPの間隔で配置される。アレイ130のノズルは、基板の反対側の長縁上の流体チャネル139に対して同様に配置される。アレイ130のノズルはピッチPの間隔で配置され、対応するアレイ120のノズルからx方向に距離P/2ずつずれている。このため図の左側から右側へ向かって、流体噴射装置のノズルは、アレイ120の開口面積の大きなノズルと、アレイ130の開口面積の小さいノズルとで交互になっている。流体噴射装置110上の2つの連続ノズル間のx方向の距離はP/2である。
【0030】
図4は、本発明の第3の実施形態の流体噴射装置117を示す。本実施形態では、第1のアレイ120のノズルには、図3と同じく基板の縁部周囲から流体が供給され、第2のアレイ130のノズルには、図2と同じく基板中のスロットから流体が供給される。アレイ120のノズルは、チャネル129の一方側に沿ってピッチPの間隔で配置される。ノズルアレイ130は2つのノズルグループから構成される。ノズルグループ130aは流体配送スロット138の一方側に沿って配置され、ノズルグループ130bはスロット138の他方側に沿って配置される。両ノズルグループ130aおよび130bはピッチPで配置され、ノズルグループ130aのノズルはノズルグループ130bのノズルからx方向に距離P/2だけずれている。図4に示す構成では、アレイ120のノズルとグループ130aのノズルとはx方向のずれがないが、アレイ120のノズルとグループ130bのノズルとはP/2だけずれている。他の実施形態(図示せず)では、アレイ120のノズルとグループ130aのノズルおよびグループ130bのノズルとのずれをゼロでなくすこともできる。例えば、アレイ120のノズルとアレイ130aのノズルとのずれをP/4だけ増やし、一方、アレイ120のノズルとアレイ130bのノズルとのずれをP/4だけ減じてもよい。多くの応用では、グループ130aのノズルの開口面積とグループ130bのノズルの開口面積とを同じにすることが望ましいが、応用によっては、グループ130aのノズルがグループ130bのノズルと異なる開口面積をもつのが望ましい場合もある。
【0031】
図5は、本発明の第4の実施形態の流体噴射装置118を示す。本実施形態では、3つのノズルアレイ120,130および140が設けられ、各アレイはそれぞれの流体配送スロット128,138および148を挟んで対向する両側に2つのノズルグループを含む。図5に示す構成では、各グループのノズルはそれぞれの流体配送スロットに沿ってピッチPで配置される。アレイ130および140のノズルは同じ開口面積をもち、x方向のずれはない。アレイ120のノズルはノズルアレイ130および140よりも大きな開口面積をもち、x方向にP/4だけずれている。他の実施形態(図示せず)では、アレイ130のノズルがアレイ140のノズルと異なる開口面積をもち、任意でアレイ140のノズルとx方向にずらせてもよい。
【0032】
1つ以上の流体噴射装置と他の構成要素、例えば支持部材、電気接続手段、および流体接続手段等とを組み合わせることにより、流体エミッタを作製できる。以下に詳細に説明するタイプの流体エミッタはプリントヘッドである。だがより一般には、流体噴射装置は印刷分野以外の用途、例えばバイオ医学、化学分析、液滴層の連続堆積による微細加工技術等に応用できる。
【0033】
図6は、プリントヘッド101等の流体エミッタの上面図であり、これは図2に示し上記で説明した流体噴射装置110と同じタイプの3つの流体噴射装置(211,212および213)を含み、各装置はそれぞれ2つのノズルアレイを備え、一方のアレイのノズルは他方のアレイのノズルよりも開口面積が広く、2つのアレイはx方向に互いにずれている。図7はプリントヘッド101の断面図を示す。装置211は、流体配送スロット261および271沿いにそれぞれ配置されたノズルアレイ221および231を含む。装置212は、流体投与スロット262および272沿いにそれぞれ配置されたノズルアレイ222および232を含む。装置213は、流体配送スロット263および273沿いにそれぞれ配置されたノズルアレイ223および233を含む。流体噴射装置211,212および213はすべて同じ支持部材205に接着され、隣接する装置間に小間隙を設けた状態で、y方向に互いにずれて(すなわちアレイ方向と垂直方向にずれて)いる。いくつかの応用では、図6に示すように異なる流体噴射装置の対応するノズル同士のx方向のずれがないのが望ましい。他の応用では、流体噴射装置同士がx方向にいくらかずれているのが望ましい場合もある。流体噴射装置は支持部材205上の定位置に固定保持されるため、装置同士の相対的アライメントが保たれる。支持部材205にはまた、流体源から流体噴射装置の流体配送スロットに流体を導く流体配送路が関連付けられる。図7に示すプリントヘッド101の構成では、支持部材205は6つの流体穴280を有する。流体配送穴280によって流体源281は装置211の流体配送スロット261と流体が流れ得るよう連通し、同様に、流体源291,282,292,283および293は、流体配送スロット271,262,272,263および273とそれぞれ流体が流れ得るよう連通する。支持部材205中の各穴と流体噴射装置中の対応する流体配送スロットとの間には、流体が漏れない封止部(図示せず)が設けられる。図6は主としてノズル構成を示すことを意図しており、液滴形成メカニズムまたは電気相互接続等のプリントヘッドの他の特徴は示していない。
【0034】
流体源281,282,283,291,292および293等は、プリントヘッドに一体的かつ恒久的に取り付けることができる。この場合、流体源は流体が枯渇すると再充填できる。または、流体源をプリントヘッドから取り外し可能にしてもよい。この場合、流体が流体源からなくなると、空になった流体源またはタンクを取り外して、満タンの流体源またはタンクと交換できる。
【0035】
多くの応用では、図6に示すように、名目上同一の複数の流体噴射装置を備えたプリントヘッドを作製するのが経済的に有利である。このような基本となる単位を組み合わせる手法(積み木手法)を用いてプリントヘッドを設計することによって、流体噴射装置を高い歩留まりで、製造コストを低くおさえて大量に製造できる。また、複数の同一の流体噴射装置を積み木状に用いて、異なる製品を製造することもできる。例えば、あるタイプのプリントヘッドの一例として、図2に示すタイプの流体噴射装置を3つ備え、各装置がそれぞれの流体配送路に接続された独立流体源を有する図7のプリントヘッド101を挙げることができる。第2のタイプのプリントヘッドの一例は、図2に示すタイプの流体噴射装置を4つ備え、1つの流体源351が装置311の流体投与スロット361および371の両方に供給し、同様に流体源352が装置312の2つのスロットに供給し、流体源353が装置313の2つのスロットに供給し、流体源354が装置314の2つのスロットに供給する図8のプリントヘッド102を挙げることができる。上記以外の各種構成も可能であり、例えば図2に示すタイプの流体噴射装置を4つ備え、各装置が各流体配送路への独立流体源を有するプリントヘッド(図示せず)がある。図6は、名目上すべて同一同方向の3つの流体噴射装置を備え、各装置の大きいほうのノズルが図の上側近くに配置される装置を示すが、図9に示すように、装置の1つを180°回転させて、その装置の大きいほうのノズルが図面の下側近くに配置されるようにしてもよい。大きなノズルと小さなノズルとをプリントヘッドを横切って交互に配置するのではなく、流体噴射装置212と213の2つの小型ノズルのアレイ232と233とが互いに隣接するように配置される。
【0036】
多くの応用では、同じタイプの流体噴射装置を複数個用いてプリントヘッドを形成するのが好ましいが、違うタイプの装置を用いることもできる。例えば、2つの大型ノズルアレイと3つの小型ノズルアレイとを備えることを希望するプリントヘッドの場合、他のプリントヘッド構成(図示せず)では、図2に示すタイプの1つの流体噴射装置110と、図5に示すタイプの1つの流体噴射装置118とを用いる。
【0037】
図7に示すタイプの各流体噴射装置の各流体配送路に異なる流体源が設けられるプリントヘッドでは、小型ノズルを有するアレイに供給される流体とは種類の異なる流体を、大型ノズルを有するアレイに供給することが可能である。種類の異なる流体は異なる色素を含みうる。または種類の異なる流体は、見かけ上は同じ色だが、異なる流体組成をもつため、表面張力または粘度等の物理特性が異なるものにしてもよい。
【0038】
一例として、図6および図7に示すタイプのプリントヘッド101で考えてみると、無色の流体がスロット261に、マゼンタインクがスロット271に、イエローインクがスロット262に、シアンインクがスロット272に、テキスト印刷用に最適化された(表面張力を上げる等によって)ブラックインクがスロット263に、そしてカラー画像用に最適化された(表面張力を下げる等によって)ブラックインクがスロット273に供給される。このようなプリントヘッドは、高品質の黒色テキストおよび高品質の写真画像の印刷を希望する印刷製品において使用できる。一般に黒色のテキストは、表面張力の高いインクをスロット263からノズルアレイ223の大型ノズルに供給して印刷される。写真を含むカラー画像は、ノズルアレイ231、232および233の小型ノズルにそれぞれ供給されるマゼンタ、シアン、および低表面張力のブラックインクと、ノズルアレイ222の大型ノズルに供給されるイエローインクとで印刷できる。いくつかの印刷応用では、ベタ領域の黒色を印刷するには、ノズルアレイ223の大型ノズルに加えてノズルアレイ233の小型ノズルを用いて、ノズルアレイ223で印刷される液滴間の隙間を充填するのが望ましい場合もある。2つのブラックインク用のノズルアレイは一つの流体噴射装置213上に形成されるので、ノズルアレイ同士は非常に正確に整列される。異なる色同士のアライメントはそれほど重要ではなく、3つの流体噴射装置を同じ支持部材に取り付けることで必要なアライメントを簡単に達成できる。
【0039】
スロット261へ供給される無色流体には多様なタイプのものがある。希釈用の流体として、無色流体の液滴を1つ以上のカラー滴をもつ画素位置に加えて、表面の色素の濃度を修正してもよい。また浸透性の流体として、インクが用紙中に、より迅速に浸透できるようにしてもよい。1つ以上の他の流体と反応する流体として、例えば流体エミッタまたはプリントヘッドから噴射される他の流体の1つの硬化、固定、または沈殿を容易にすることもできる。保護流体として、より耐久性のある画像を提供できるようにしてもよい。本願と同時係属中の米国特許出願「インクジェットプリンタを用いた保護インクの塗布方法(Using Inkjet Printer to Apply Protective Ink)」(ドケット番号87531)、および「保護インクを用いたインクジェット印刷方法(Inkjet Printing Using Protective Ink)」(ドケット番号87493)は、保護インクを用いて印刷時に追加背景情報を提供する。
【0040】
図6に示すタイプのプリントヘッド101には、一般的には記録媒体20上の全画像領域を1回のパスでカバーするだけの十分広い印刷領域はない。このようなプリントヘッドをキャリッジ型のプリンタで使用する際は、印刷パスの間に媒体に対してy方向にスキャンを行う。次いで、記録媒体がプリントヘッドに対してx方向に進められ、2回目のパスで逆方向に印刷が続行される。いくつかの印刷モードでは、記録媒体の進行量はノズルアレイの長さとほぼ同じである。他の印刷モードでは、記録媒体はノズルアレイの長さの一部だけ、例えばノズルアレイの長さの約半分だけ進められる。これにより隣接した画素領域をプリントヘッドの異なる部分のノズル群を用いて印刷することで、印刷の欠陥を隠すことができる。この印刷モードでは、大型ノズルアレイ221,222および223では必要な流体の全量を1回のパスで印刷でき、一方、小型ノズルアレイ231,232および233をすべてカバーするにはおそらく2回のパスを必要とするのが有利な場合もある。例えば、無色流体が保護流体の場合、保護流体を1回の一方向のパスの間もつように堆積するのが有利と考えられる。図6のプリントヘッド101でアレイ221が一番上のアレイとして配置されているように、保護流体を噴射する大型ノズルアレイをプリントヘッドの最端部に配置するのがよい場合もある。大型ノズルアレイと小型ノズルアレイとから噴射される液滴の最適な相対サイズは、噴射される流体の詳細によって異なるが、多くの応用では、大型ノズルと小型ノズル間の液滴容積比は1.3〜5.0の間であるのが好ましい。
【0041】
上記の実施形態では、カラー印刷に用いられるインクの1つは大型ノズルアレイを用いて印刷され、その他のインクは小型ノズルを用いて印刷される。大型ノズルを用いて印刷されるインクは、好適にはイエローインクである。イエローのスポットは、用紙上でシアン、マゼンタ、またはブラックのスポットよりも視覚的に認知しにくい。このためたとえイエローのスポットと他色のスポットとのサイズが不一致でも、良好な画像品質を達成できると考えられる。
【0042】
同じ流体噴射装置上のノズルアレイから種類の異なる流体の噴射が要求される応用もあるが、他の応用では、少なくとも1つの流体噴射装置上の異なるノズルアレイに同一の流体源を用いる場合もある。例えば、図8に示すタイプのプリントヘッド102を考えてみると、ブラックインクは流体源351から供給され、シアンインクは流体源352から供給され、マゼンタインクは流体源353から供給され、イエローインクは流体源354から供給される。その後、4色それぞれは、大型スポットのマトリックスを用い、小型スポットが隙間に与えられた状態で印刷されるので、トーンのより滑らかなグラデーションが得られ、かつ印刷エッジをより良好にコントロールできる。
【0043】
さらに他の応用では、同じ流体を同じ流体噴射装置の大型および小型のノズルアレイから印刷することが望ましい。例えば、やや色素濃度の高いインクを大型ノズルを用いて印刷し、同じインク組成をもつが色素の濃度が低いインクは小型ノズルを用いて印刷する。これによりトーンのグラデーションを一層滑らかにできる。この場合、図7の構成のように各アレイごとに個々の流体源が必要である。個々の流体源を用いる場合、大型ノズルと小型ノズルとに供給される同じ流体は、実際のところ名目上は同一のものでありうる。
【0044】
シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの色素は多くの印刷応用で要求される画像品質を得るのに適しているが、例えばカラーガモットを広げる等の他の応用には、他の色素が有用である。このような応用では、図6に示すタイプのプリントヘッドに流体噴射装置を追加して(図示せず)ノズルアレイを増やし、そこにグリーン、オレンジ、またはブルー等のインク源を与えるようにしてもよい。使用可能な他種類の色素を含む流体源には、特別な条件下または可視長外の波長の照明を当てなければ、あまり視認できない蛍光インクが含まれる。
【0045】
流体源の色素には染料タイプまたは顔料タイプがある。どちらのタイプも本発明に適合可能である。顔料インクでは、顔料の粒子サイズが噴射の信頼性に影響する。開口面積が小さいノズルには小粒子サイズの顔料粒子を用いるのが有利と考えられる。
【0046】
図6〜図9に示すプリントヘッドの構成は、複数の流体噴射装置を含むタイプで、各装置は2つのノズルアレイと対応する流体配送路とを備え、第1のノズルアレイのノズルのほうが大きく、かつ第2のノズルアレイのノズルからx方向にずれている。また、ノズルアレイと対応する流体配送路とを追加した複数の流体噴射装置を含むプリントヘッドの製造も可能である。図10は、それぞれ3つのノズルアレイを備え、支持部材205に接着される2つの流体噴射装置214および215から構成されるプリントヘッド104を示す。図10に示す構成では、流体噴射装置214および215は図5に示すタイプのものである。流体噴射装置214は、大型ノズルを有するノズルアレイ224と、これより小型のノズルを有するノズルアレイ234および244を含む。アレイ234および244のノズルは同じ大きさで、この2つのアレイ同士はx方向にずれていないが、ノズルアレイ224とはx方向にずれている。各アレイのノズルは、対応する流体配送路沿いに同一ピッチで配置される。図10に示す流体噴射装置215は214と同じであるが、180°回転してある。図10のプリントヘッド104は、各流体噴射装置が6つのノズルアレイと対応する流体源を有するという点で、図9のプリントヘッド103と同じである。ただし、プリントヘッド104は小型ノズルのアレイが4つあり、プリントヘッドは103は小型ノズルアレイは3つである。
【0047】
企図可能なプリントヘッド104の他の変形例は多数あるが、ここでは図示しない。かかる各種変形例のいくつかを以下に挙げる。任意によりノズルアレイ224のノズルをノズルアレイ234のノズルと異なるサイズにし、かつx方向にずらせてもよい。すべてのノズルアレイを同ピッチで配置しなくてもよい。1つ以上のノズルアレイを流体スロット供給型ではなくエッジ供給型にしてもよい。流体噴射装置215は180°回転させなくてもよい。支持部材205上に追加の流体噴射装置214および215を設けてもよい。
【0048】
図11は、本発明から企図されるプリントヘッド105の他の例である。プリントヘッド105は、支持部材205上に設置された1つの流体噴射装置216からなる。流体噴射装置216は、大型ノズルサイズの第1のノズルアレイ、例えばアレイ226と、小型ノズルサイズの少なくとも1つの第2のノズルアレイ、例えばアレイ236とを含み、各ノズルアレイは対応する流体路を有し、アレイ236等の小型ノズルを有するアレイは、第1のノズルアレイ226からx方向に第1のアレイのピッチより狭い距離だけずらされる。図11では、2つの大型ノズルアレイ(226および227)と、5つの小型ノズルアレイ(236,237,238および239)を示す。各アレイは対応する流体配送路沿いに同じピッチで配置される。
【0049】
図12は、ノズルアレイ120と130のノズル間でx方向にいくらか重なりがある流体噴射装置119を示す。図12では、ノズル125の中心を通る基準線の点線とノズル134の中心を通る基準線の点線との間を測定すると、ノズルアレイ120とノズルアレイ130間のx方向のずれはP/4である。基準線301をノズル123の中心を通ってy方向に引き、基準線302をノズル123の外縁を通ってy方向に引く。するとノズル133の一部は基準線301と302との間に位置することに着目されたい。すなわち、ノズル123とノズル133とはx方向に重なりがある。直径Dの円形ノズル123と直径dの円形ノズル133で、ノズル間のずれがP/4である場合、P/4<(D+d)/2ならば重なりが生じる。非円形ノズルの場合も、アレイ間のずれと、x方向のノズルの延びとの間に同様の関係があり、これが2つのアレイ間のノズル同士の重なりを決定する。ノズルが重なっていることは、2つの異なるアレイから噴射される液滴同士を確実に重ならせるためにいくつかの流体噴射装置の応用では有用である(記録媒体20がプリントヘッドに対して移動すると、2つのアレイ間に適当な発射遅延が生じる)。だが、噴射する流体の拡散特性等によっては、他の応用では2つのアレイ間でノズルが重なるのが望ましくない場合もある。
【0050】
ここまで説明してきたプリントヘッド構成では、流体噴射装置が実質的に隣り合い、y方向に互いにずれて(すなわちアレイと垂直方向にずれて)配置される。図13は、流体噴射装置411,412,413および414が支持部材405に固定され、かつ互いに間隔を空けて取り付けられ、1つの流体噴射装置を用いた場合に可能な印刷領域よりも広い印刷領域をもつプリントヘッドを提供する。流体噴射装置411は、大型ノズルのアレイ421と小型ノズルのアレイ431とを備え、アレイ431はアレイ421のノズルピッチより短い距離だけアレイ421からx方向にずれている。両ノズルアレイは、対応する流体配送路沿いに配置される。流体噴射装置412,413および414の構成も同様である。各流体噴射装置は千鳥配置され、装置411と413が一列目に位置し(x方向にずれているがy方向にはずれていない)、装置412と414とが二列目に位置する。装置411と412等の隣接する装置のノズルアレイはいくらか重なっている。図示するノズルアレイ421の長さはLである。流体噴射装置411のノズルアレイ421と、流体噴射装置412のノズルアレイ422との重なりはSである。一般的にはいくつかのノズル分だけ重なることが有利だが、Sは好適にはL/4未満である。こうして隣接する流体噴射装置間の重なりによって、印刷領域を拡大できる。このような印刷領域が拡大された応用の多くでは、各流体噴射装置の対応するノズルアレイ群に同一種類の流体を投与するのが有利である。例えば、テキスト用のブラックインクをノズルアレイ421,422,423および424に配送し、写真用のブラックインクをノズルアレイ431,432,433および434に配送してもよい。
【0051】
これ以外にもプリントヘッド401には様々な変更例が考えられるが、ここでは図示しない。図13には流体噴射装置を4つだけ(各列2つずつ)示すが、各列にもっと多くの流体噴射装置を設ければ、より長い印刷領域が得られる。また列を増やせば、印刷領域に沿ってより多くの種類の流体の印刷が可能なプリントヘッドを設けることができる。または、同じ流体を印刷するときにより多くの重複部が設けられる。図13に示す流体噴射装置はそれぞれ2つのノズルアレイを備えるが、ノズルアレイを追加した流体噴射装置を使用するようにしてもよい。
【0052】
以上、本発明を好適な実施形態を参照して詳細に説明してきたが、本発明は本発明の範囲から逸脱することなく各種変更および変形を行うことが可能であることを理解されたい。以下の符号の説明のリストでは、同機能の箇所には同じ参照番号を付す。
【符号の説明】
【0053】
10 流体噴射装置、
12 画像データソース、
14 コントローラ、
16 電気パルス源、
18 第1流体源、
19 第2流体源、
20 記録媒体、
100 インクジェットプリントヘッド、
101 3つの流体噴射装置を含むインクジェットプリントヘッド、
102 4つの流体噴射装置を含むインクジェットプリントヘッド、
103 3つの流体噴射装置を含み1つの装置は回転した状態であるインクジェットプリントヘッド、
104 2つの流体噴射装置を含むインクジェットプリントヘッド、
105 1つの流体噴射装置を含むインクジェットプリントヘッド、
110 2つのスロット供給型の互いにずれたノズルアレイを備えた流体噴射装置、
111 基板、
112 絶縁層、
113 液滴生成器を形成する層、
114 第1のノズルアレイのノズルに対応するヒータ、
115 第2のノズルアレイのノズルに対応するヒータ、
116 2つのエッジ供給型の互いにずれたノズルアレイを備えた流体噴射装置、
117 スロット供給型で互いにずれた1つのノズルアレイとエッジ供給型で互いにずれた1つのノズルアレイとを備えた流体噴射装置、
118 3つのノズルアレイを備えた流体噴射装置、
119 対応するノズル間に重なりがある流体噴射装置、
120 第1ノズルアレイ、
120a 第1ノズルアレイの第1ノズルグループ、
120b 第1ノズルアレイの第2ノズルグループ、
121 第1ノズルアレイのノズル、
122 第1ノズルアレイ用の流体配送路、
123 第1ノズルアレイの第1ノズルグループの1番目のノズル、
124 第1ノズルアレイの第2ノズルグループの1番目のノズル、
125 第1ノズルアレイの第1ノズルグループの2番目のノズル、
128 第1ノズルアレイ用の流体配送路、
129 第1ノズルアレイ用の流体チャネル、
130 第2ノズルアレイ、
130a 第2ノズルアレイの第1ノズルグループ、
130b 第2ノズルアレイの第2ノズルグループ、
131 第2ノズルアレイのノズル、
132 第2ノズルアレイ用の流体配送路、
133 第2ノズルアレイの第1ノズルグループの1番目のノズル、
134 第2ノズルアレイの第2ノズルグループの1番目のノズル、
138 第2ノズルアレイ用の流体投与スロット、
139 第2ノズルアレイ用の流体チャネル、
140 第3ノズルアレイ、
148 第3ノズルアレイ用の流体投与スロット、
150 ノズル板層、
151 チャンバ形成層、
152 チャンバ、
181 第1ノズルアレイから噴射される液滴、
182 第2ノズルアレイから噴射される液滴、
205 プリントヘッドの流体噴射装置用の支持部材、
211 2つのノズルアレイを有するプリントヘッドの第1流体噴射装置、
212 2つのノズルアレイを有するプリントヘッドの第2流体噴射装置、
213 2つのノズルアレイを有するプリントヘッドの第3流体噴射装置、
214 3つのノズルアレイを有するプリントヘッドの第1流体噴射装置、
215 3つのノズルアレイを有するプリントヘッドの第2流体噴射装置、
216 プリントヘッドの1つの流体噴射装置、
221 プリントヘッドの第1の2アレイ型流体噴射装置の第1ノズルアレイ、
222 プリントヘッドの第2の2アレイ型流体噴射装置の第1ノズルアレイ、
223 プリントヘッドの第3の2アレイ型流体噴射装置の第1ノズルアレイ、
224 プリントヘッドの第1の3アレイ型流体噴射装置の第1ノズルアレイ、
225 プリントヘッドの第2の3アレイ型流体噴射装置の第1ノズルアレイ、
226 プリントヘッドの6アレイ型流体噴射装置の第1ノズルアレイ、
227 プリントヘッドの6アレイ型流体噴射装置のノズルアレイ、
231 プリントヘッドの第1の2アレイ型流体噴射装置の第2ノズルアレイ、
232 プリントヘッドの第2の2アレイ型流体噴射装置の第2ノズルアレイ、
233 プリントヘッドの第3の2アレイ型流体噴射装置の第2ノズルアレイ、
234 プリントヘッドの第1の3アレイ型流体噴射装置の第2ノズルアレイ、
235 プリントヘッドの第2の3アレイ型流体噴射装置の第2ノズルアレイ、
236 プリントヘッドの第1の6アレイ型流体噴射装置上の第2ノズルアレイ、
237−239 プリントヘッドの6アレイ型流体噴射装置のノズルアレイ、
244 プリントヘッドの第1の3アレイ型流体噴射装置の第3ノズルアレイ、
245 プリントヘッドの第2の3アレイ型流体噴射装置上の第3ノズルアレイ、
261−263 流体噴射装置の第1のノズルアレイ用の流体配送スロット、
271−273 流体噴射装置の第2のノズルアレイ用の流体配送スロット、
280 支持部材中の流体配送穴、
281−283 流体源、
291−293 流体源、
301 ノズルの中心を通る基準線、
302 ノズルの外縁を通る基準線、
305 プリントヘッドの流体噴射装置用の支持部材、
311−314 プリントヘッドの流体噴射装置、
351−354 流体噴射装置の2つのスロットに供給する流体源、
361−364 第1ノズルアレイ用の流体投与スロット、
371−374 第2ノズルアレイ用の流体投与スロット、
401 二次元構成の流体噴射装置を備えたプリントヘッド、
405 二次元構成の流体噴射装置用の支持部材、
411−414 二次元構成の流体噴射装置、
421−424 流体噴射装置の第1ノズルアレイ、
431−434 流体噴射装置の第2ノズルアレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体噴射装置であって、
基板を含み、当該基板は、それぞれ複数のノズルを有する第1のノズルアレイと第2のノズルアレイとを備え、前記第1のノズルアレイおよび前記第2のノズルアレイは第1の方向に沿って配置され、前記第1のノズルアレイは前記第2のノズルアレイから第2の方向に間隔を空けて配置され、前記流体噴射装置はさらに、
前記第1のノズルアレイと流体が流れるように接続された第1の流体配送路と、
前記第2のノズルアレイと流体が流れるように接続された連通した第2の流体配送路と、
を含み、
前記第1のノズルアレイのノズルは第1の開口面積を有し、前記第1のノズルアレイ沿いにピッチPで配置され、前記第2のノズルアレイのノズルは、前記第1の開口面積より狭い第2の開口面積を有し、前記第2のアレイの少なくとも1つのノズルは前記第1のアレイの少なくとも1つのノズルから前記第1の方向にピッチPより短い距離だけずれている流体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体噴射装置において、前記第2のノズルアレイのノズルは、前記第1のノズルアレイのピッチPと同じピッチで前記第2のノズルアレイ沿いに配置される、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の流体噴射装置において、前記第1のノズルアレイのノズルはほぼ直線状のノズルアレイとして配置され、前記第1の流体配送路は前記第1の方向に延びるチャネルを含み、前記チャネルは前記第1のノズルアレイの複数のノズルと流体が流れるように接続される、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の流体噴射装置において、前記第1のノズルアレイは第1のノズルグループと第2のノズルグループとを含み、前記第1の流体配送路は前記第1の方向に延びるチャネルを含み、前記チャネルは前記第1のノズルグループと前記第2のノズルグループとの間に位置し、前記チャネルは前記第1のノズルグループと前記第2のノズルグループの複数のノズルとに流体が流れるように接続される、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の流体噴射装置において、前記第1のノズルアレイの前記第1のノズルグループのノズルは、前記第1のノズルアレイに沿ってピッチPで配置され、前記第1のノズルアレイの前記第2のノズルグループのノズルは、前記第1の方向に距離P/2だけずれている、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の流体噴射装置において、前記第2のノズルアレイのノズルはほぼ直線状のノズルアレイとして配置され、前記第2の流体配送路は前記第1の方向に延びるチャネルを含み、前記チャネルは前記第2のノズルアレイの複数のノズルと流体が流れるように接続される、装置。
【請求項7】
請求項5に記載の流体噴射装置において、前記第2のノズルアレイは第1のノズルグループと第2のノズルグループとを含み、前記第2の流体配送路は前記第1の方向に延びるチャネルを含み、前記チャネルは前記第2のノズルアレイの前記第1のノズルグループと前記第2のノズルグループとの間に位置し、前記チャネルは前記第2のノズルアレイの前記第1のノズルグループと前記第2のノズルグループとの複数のノズルと流体が流れるように接続される、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の流体噴射装置において、前記第2のノズルアレイの前記第1のノズルグループのノズルは、前記第2のノズルアレイに沿ってピッチPで配置され、前記第2のノズルアレイの前記第2のノズルグループのノズルは、前記第1の方向に距離P/2だけずれている、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の流体噴射装置において、前記第1のノズルアレイの前記第1のノズルグループと前記第1のノズルアレイの前記第2のノズルグループの少なくとも一方は、前記第2のノズルアレイの対応するノズルグループと比較して、前記第1の方向に距離P/4だけずれている、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の流体噴射装置において、前記第2のノズルアレイのノズルはほぼ直線状のノズルアレイとして配置され、前記第2の流体配送路は前記第1の方向に延びるチャネルを含み、前記チャネルは前記第2のノズルアレイの複数のノズルと流体が流れるように接続される、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の流体噴射装置において、前記第2のノズルアレイは第1のノズルグループと第2のノズルグループとを含み、前記第2の流体配送路は前記第1の方向に延びるチャネルを含み、前記チャネルは前記第2のノズルアレイの前記第1のノズルグループと前記第2のノズルグループとの間に位置し、前記チャネルは前記第2のノズルアレイの前記第1のノズルグループと前記第2のノズルグループとの複数のノズルと流体が流れるように接続される、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の流体噴射装置において、前記第2のノズルアレイの前記第1のノズルグループのノズルは、前記第2のノズルアレイに沿ってピッチPで配置され、前記第2のノズルアレイの前記第2のノズルグループのノズルは、前記第1の方向に距離P/2だけずれている、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の流体噴射装置において、前記第2のノズルアレイの前記第1のノズルグループと前記第2のノズルアレイの前記第2のノズルグループの少なくとも一方は、前記第1のノズルアレイのノズルと比較して、前記第1の方向に距離P/2以下だけずれている、装置。
【請求項14】
請求項1に記載の流体噴射装置であって、前記第1のノズルアレイの複数のノズルの各々と、前記第2のノズルアレイの複数のノズルの各々とに動作時に関連付けられる液滴形成メカニズムをさらに含む、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の流体噴射装置において、前記液滴形成メカニズムは圧電アクチュエータを含む、装置。
【請求項16】
請求項14に記載の流体噴射装置において、前記液滴形成メカニズムは、サーマルアクチュエータを含む、装置。
【請求項17】
請求項14に記載の流体噴射装置において、前記液滴形成メカニズムは、抵抗性加熱要素を含む、装置。
【請求項18】
請求項14に記載の流体噴射装置において、前記液滴形成メカニズムは、前記第1のノズルアレイの前記複数のノズルから噴射される流体の液滴の容積が、前記第2のノズルアレイの前記複数のノズルから噴射される流体の容積の約1.3倍〜約5倍となるように、前記第1のノズルアレイの複数のノズルの各々と前記第2のノズルアレイの複数のノズルの各々とに動作時に関連付けられる、装置。
【請求項19】
請求項1に記載の流体噴射装置を複数含む流体エミッタ。
【請求項20】
プリントヘッドであって、
支持部材上に配置される複数の流体噴射装置を含み、前記各流体噴射装置は、
基板を含み、当該基板は、それぞれ複数のノズルを有する第1のノズルアレイと第2のノズルアレイとを備え、前記第1のノズルアレイおよび前記第2のノズルアレイは第1の方向に沿って配置され、前記第1のノズルアレイは前記第2のノズルアレイから第2の方向に間隔を空けて配置され、前記流体噴射装置はさらに、
前記第1のノズルアレイと流体が流れるように接続された第1の流体配送路と、
前記第2のノズルアレイと流体が流れるように接続された第2の流体配送路と、
を含み、
前記第1のノズルアレイのノズルは第1の開口面積を有し、前記第1のノズルアレイ沿いにピッチPで配置され、前記第2のノズルアレイのノズルは、前記第1の開口面積より狭い第2の開口面積を有し、前記第2のアレイの少なくとも1つのノズルは前記第1のアレイの少なくとも1つのノズルから前記第1の方向にピッチPより短い距離だけずれており、前記流体噴射装置はさらに、
前記各流体噴射装置の前記第1の流体配送路および前記第2の流体配送路と流体が流れるように接続される流体源と、
前記第1のノズルアレイの複数のノズルの各々と、前記第2のノズルアレイの複数のノズルの各々とに動作時に関連付けられる液滴形成メカニズムとを含む、プリントヘッド。
【請求項21】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記複数の流体噴射装置は同じノズルレイアウトを有するプリントヘッド。
【請求項22】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記複数の流体噴射装置は、前記支持部材上で前記第2の方向に互いにずれて配置されるプリントヘッド。
【請求項23】
請求項22に記載のプリントヘッドにおいて、前記複数の流体噴射装置は、前記各噴射装置の前記第1のノズルアレイおよび前記第2のノズルアレイの各々が同じ配向をもつように配置されるプリントヘッド。
【請求項24】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記複数の流体噴射装置のうち少なくとも1つの流体噴射装置において、前記第1の流体配送路と流体が流れるように接続された前記流体源と、前記第2の流体配送路と流体が流れるように接続された前記流体源とは、対応する前記第1のノズルアレイおよび前記第2のノズルアレイに異なる流体を供給する、プリントヘッド。
【請求項25】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記複数の流体噴射装置のうち少なくとも1つの流体噴射装置において、前記第1の流体配送路と流体が流れるように接続された前記流体源と、前記第2の流体配送路と流体が流れるように接続された前記流体源とは、対応する前記第1のノズルアレイおよび前記第2のノズルアレイに類似の流体を供給する、プリントヘッド。
【請求項26】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記複数の流体噴射装置のうち少なくとも1つの流体噴射装置において、前記第1の流体配送路と流体が流れるように接続された前記流体源と、前記第2の流体配送路と流体が流れるように接続された前記流体源とは1つの流体源であり、対応する前記第1のノズルアレイおよび前記第2のノズルアレイに同じ流体を供給する、プリントヘッド。
【請求項27】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記液滴形成メカニズムは圧電アクチュエータを含む、プリントヘッド。
【請求項28】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記液滴形成メカニズムはサーマルアクチュエータを含む、プリントヘッド。
【請求項29】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記液滴形成メカニズムは抵抗性加熱要素を含む、プリントヘッド。
【請求項30】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記液滴形成メカニズムは、前記第1のノズルアレイの前記複数のノズルから噴射される流体の液滴の容積が、前記第2のノズルアレイの前記複数のノズルから噴射される流体の容積の約1.3倍〜約5倍となるように、前記第1のノズルアレイの複数のノズルの各々と前記第2のノズルアレイの複数のノズルの各々とに動作時に関連付けられる、プリントヘッド。
【請求項31】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記複数の流体噴射装置のうち少なくとも1つの流体噴射装置において、前記第1の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源と、前記第2の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源とは、対応する前記第1のノズルアレイおよび前記第2のノズルアレイに異なるブラックインクを供給する、プリントヘッド。
【請求項32】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記複数の流体噴射装置のうち少なくとも1つの流体噴射装置において、前記第1の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源と、前記第2の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源とは、対応する前記第1のノズルアレイおよび前記第2のノズルアレイに類似のブラックインクを供給するプリントヘッド。
【請求項33】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記複数の流体噴射装置の少なくとも1つの流体噴射装置において、前記第1の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源は、対応する前記第1のノズルアレイに無色の流体を供給する、プリントヘッド。
【請求項34】
請求項33に記載のプリントヘッドにおいて、前記無色の流体は保護流体である、プリントヘッド。
【請求項35】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記複数の流体噴射装置の少なくとも1つの流体噴射装置において、前記第1の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源は、対応する前記第1のノズルアレイにイエローインクを供給する、プリントヘッド。
【請求項36】
請求項35に記載のプリントヘッドにおいて、前記複数の流体噴射装置の少なくとも1つの流体噴射装置において、前記第2の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源は、対応する前記第2のノズルアレイにシアンインクを供給する、プリントヘッド。
【請求項37】
請求項35に記載のプリントヘッドにおいて、前記複数の流体噴射装置の少なくとも1つの流体噴射装置において、前記第2の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源は、対応する前記第2のノズルアレイにマゼンタインクを供給する、プリントヘッド。
【請求項38】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記第1の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源は、第1の流体噴射装置の対応する前記第1のノズルアレイに第1のブラックインクを供給し、前記第2の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源は、第1の流体噴射装置の対応する前記第2のノズルアレイに第2のブラックインクを供給し、
前記第1の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源は、第2の流体噴射装置の対応する前記第1のノズルアレイにイエローインクを供給し、前記第2の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源は、第2の流体噴射装置の対応する前記第2のノズルアレイにシアンインクおよびマゼンタインクの一方を供給し、
前記第1の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源は、第3の流体噴射装置の対応する前記第1のノズルアレイに無色の流体を供給し、前記第2の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源は、第3の流体噴射装置の前記対応する第2のノズルアレイにシアンインクおよびマゼンタインクの他方を供給する、プリントヘッド。
【請求項39】
請求項33に記載のプリントヘッドにおいて、前記対応する第1のノズルアレイは、前記プリントヘッドの一番端のアレイとなるように前記第2の方向に配置される、プリントヘッド。
【請求項40】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記複数の流体噴射装置の少なくとも1つの流体噴射装置において、前記第1の流体配送路および前記第2の流体配送路の少なくとも一方と流体が流れるように接続された少なくとも1つの前記流体源は、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラック以外の色素を含む流体を供給する、プリントヘッド。
【請求項41】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記流体源の少なくとも1つは顔料ベースのインクを含む、プリントヘッド。
【請求項42】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記第1の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源は第1の粒子サイズをもつ第1の顔料ベースの流体を含み、前記第2の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源は第2の粒子サイズをもつ第2の顔料ベースの流体を含み、前記第1の粒子サイズは前記第2の粒子サイズよりも大きい、プリントヘッド。
【請求項43】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記複数の流体噴射装置の1つは、前記第1のノズルアレイおよび前記第2のノズルアレイの一方の少なくとも1つのノズルが、前記支持部材上に配置される前記複数の流体噴射装置の他の装置の対応するノズルと比べて、ピッチP未満の距離だけ前記第1の方向にずれるように前記支持部材上に配置される、プリントヘッド。
【請求項44】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記ずれの距離は、前記第1のアレイのノズルの中心点から前記第2のアレイのノズルの中心点までを測定したものであり、前記第1のアレイの少なくとも1つのノズルの前記開口面積が前記第2のアレイの少なくとも1つのノズルの前記開口面積に重なる、プリントヘッド。
【請求項45】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記第1の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源は第1の流体を含み、前記第2の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源は第2の流体を含み、前記第1の流体は前記第2の流体よりも視認度が低い、プリントヘッド。
【請求項46】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記複数の流体噴射装置の少なくとも1つは、前記第2のノズルアレイが前記複数の流体噴射装置の他の装置の第2のノズルアレイに隣接して位置するように前記支持部材上に配置される、プリントヘッド。
【請求項47】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記流体噴射装置の少なくとも1つは、前記第2のノズルアレイと前記第2の方向に間隔を空けて配置された第3のノズルアレイと、前記第3のノズルアレイと流体が流れるように接続された第3の流体配送路とを含むプリントヘッド。
【請求項48】
請求項47に記載のプリントヘッドにおいて、前記第3のノズルアレイの少なくとも複数のノズルは、前記第1のノズルアレイのノズルの開口面積および前記第2のノズルアレイのノズルの開口面積の一方とほぼ同じ開口面積を有する、プリントヘッド。
【請求項49】
請求項47に記載のプリントヘッドにおいて、前記第2のノズルアレイのノズルおよび前記第3のノズルアレイのノズルは、前記第1のノズルアレイのピッチPと同じピッチで、それぞれ前記第2のノズルアレイおよび前記第3のノズルアレイに沿って配置される、プリントヘッド。
【請求項50】
請求項49に記載のプリントヘッドにおいて、前記第3のノズルアレイの少なくとも1つのノズルは、前記第1のノズルアレイの少なくとも1つのノズル、および前記第2のノズルアレイの少なくとも1つのノズルから、前記第1の方向にピッチP未満の距離だけずれて配置される、プリントヘッド。
【請求項51】
請求項47に記載のプリントヘッドにおいて、前記第3のノズルアレイの少なくとも1つのノズルは、前記第1のノズルアレイの少なくとも1つのノズル、および前記第2のノズルアレイの少なくとも1つのノズルから、前記第1の方向にピッチP未満の距離だけずれて配置される、プリントヘッド。
【請求項52】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記第1の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源は、前記第1の流体配送路と着脱可能に関連付けられ、前記第2の流体配送路と流体が流れるように接続された流体源は前記第2の流体配送路と着脱可能に関連付けられる、プリントヘッド。
【請求項53】
プリントヘッドであって、
支持部材上に配置される複数の流体噴射装置を含み、前記各流体噴射装置は、
基板を含み、当該基板は、それぞれ複数のノズルを有する第1のノズルアレイと第2のノズルアレイとを備え、前記第1のノズルアレイおよび前記第2のノズルアレイは第1の方向に沿って配置され、前記第1のノズルアレイは前記第2のノズルアレイから第2の方向に間隔を空けて配置され、前記流体噴射装置はさらに、
前記第1のノズルアレイと流体が流れるように接続された第1の流体配送路と、
前記第2のノズルアレイと流体が流れるように接続された第2の流体配送路と、
を含み、
前記第1のノズルアレイのノズルは第1の開口面積を有し、前記第1のノズルアレイ沿いにピッチPで配置され、前記第2のノズルアレイのノズルは、前記第1の開口面積より狭い第2の開口面積を有し、前記第2のアレイの少なくとも1つのノズルは前記第1のアレイの少なくとも1つのノズルから前記第1の方向にピッチPより短い距離だけずれており、前記流体噴射装置はさらに、
前記各流体噴射装置の前記第1の流体配送路および前記第2の流体配送路と流体が連通するように接続された流体源と、
前記第1のノズルアレイの複数のノズルの各々と前記第2のノズルアレイの複数のノズルの各々とに、動作時に関連付けられる液滴形成メカニズムとを含む、プリントヘッド。
【請求項54】
請求項53に記載のプリントヘッドにおいて、前記ずれの距離は、前記第1のアレイのノズルの中心点から前記第2のアレイのノズルの中心点までを測定したものであり、前記第1のアレイの少なくとも1つのノズルの開口面積が前記第2のアレイの少なくとも1つのノズルの開口面積に重なる、プリントヘッド。
【請求項55】
請求項53に記載のプリントヘッドにおいて、前記第2のノズルアレイのノズルは、前記第1のノズルアレイのピッチPと同じピッチで前記第2のノズルアレイに沿って配置される、プリントヘッド。
【請求項56】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記第2のノズルアレイのノズルは、前記第1のノズルアレイのピッチPと同じピッチで前記第2のノズルアレイに沿って配置される、プリントヘッド。
【請求項57】
請求項20に記載のプリントヘッドにおいて、前記複数の流体噴射装置の1つの前記第1のノズルアレイは第1の方向に沿って距離Lだけ延び、前記複数の流体噴射装置の少なくともいくつかは、隣接する流体噴射装置のノズルアレイ群が互いに各ノズルアレイの長さLの25%未満ずつ重なりあうように、前記支持部材上で前記第1の方向に沿って互いにずれて配置される、プリントヘッド。
【請求項58】
請求項1に記載の流体噴射装置において、前記ずれの距離は、前記第1のアレイの前記ノズルの中心点から前記第2のアレイの前記ノズルの中心点までを測定したものであり、前記第1のアレイの少なくとも1つのノズルの開口面積が前記第2のノズルアレイの少なくとも1つのノズルの開口面積に重なる、プリントヘッド。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−6405(P2012−6405A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193964(P2011−193964)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【分割の表示】特願2007−543200(P2007−543200)の分割
【原出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】