説明

プリント生産装置および方法、並びにプリント生産物

【課題】 複数の写真プリントを束ねる際に、束ねられた写真プリントを見やすくする。
【解決手段】 プリンタ11により略正方形の感光材料に画像をプリントして写真プリント31を作成する。孔形成部12が写真プリント31の周縁部に孔32を形成し、束ね部13が孔32に綴じ具33を通して、複数の写真プリント31を束ねる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の写真プリントからなるプリント生産物、プリント生産装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ラボ等の写真店に銀塩カメラで撮影した写真フィルムやデジタルカメラにより取得した画像を記録したメディアを持ち込むことにより、写真店においてプリント作成装置を用いて感光材料に画像を焼き付けて写真プリントを作成するサービスが行われている。このようなサービスにおいて、ユーザはL版、2L版等の標準的なサイズの写真プリントを作成することができるが、ユーザにはばらばらの状態で複数の写真プリントが提供されるため、そのままでは取り扱い性や携帯性が悪いという問題がある。
【0003】
このため、L版、2L版等の標準的なサイズの写真プリントの一部に孔を形成し、孔に綴じ具を通すことにより、複数の写真プリントを束ねるようにする手法が提案されている(特許文献1参照)。この手法によれば、複数の写真プリントを束ねることができるため、取り扱い性や携帯性を高めることができる。
【特許文献1】特開2005−10247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された手法においては、標準的なサイズの写真プリントを束ねるようにしているため、束ねる複数の写真プリントに縦長の状態で正視できる画像(以下、縦長画像とする)および横長の状態で正視できる画像(以下、横長画像とする)が混在している場合は、束ねられた写真プリントが見にくいものとなる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、束ねられた写真プリントを見やすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるプリント生産装置は、略正方形の感光材料に画像をプリントして複数の写真プリントを作成するプリント手段と、
該複数の写真プリントのそれぞれの周縁部に、少なくとも1つの孔を形成する孔形成手段と、
該孔に綴じ具を通して前記複数の写真プリントを束ねる束ね手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
「周縁部」としては、略正方形の感光材料の辺の近傍領域のみならず、隅部の近傍領域を含むものである。
【0008】
なお、本発明によるプリント生産装置においては、前記プリント手段を、前記画像の天地を揃えて前記複数の写真プリントを作成する手段としてもよい。
【0009】
本発明によるプリント生産方法は、略正方形の感光材料に画像をプリントして複数の写真プリントを作成し、
該複数の写真プリントのそれぞれの周縁部に、少なくとも1つの孔を形成し、
該孔に綴じ具を通して前記複数の写真プリントを束ねることを特徴とするものである。
【0010】
本発明によるプリント生産物は、複数の写真プリントからなるプリント生産物であって、
前記複数の写真プリントのそれぞれの周縁部に、少なくとも1つの孔を備え、該孔に綴じ具が通されて前記複数の写真プリントが束ねられてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、略正方形の感光材料に画像がプリントされて複数の写真プリントが作成される。そして、複数の写真プリントの周縁部に少なくとも1つの孔が形成され、孔に綴じ具が通されて複数の写真プリントが束ねられる。ここで、感光材料は略正方形をなしているため、感光材料にプリントされた画像が横長の画像であっても縦長の画像であっても、その天地を意識することなく写真プリントを見ることができ、これにより束ねられた写真プリントを見やすくすることができる。
【0012】
また、略正方形の感光材料にプリントを行っているため、写真プリントには必ず余白が形成されることとなる。したがって、余白に孔を形成するようにすれば、画像の見栄えを損なうことがなくなる。また、余白にコメントや日付等を書き込むことも可能となる。
【0013】
また、画像の天地を揃えて写真プリントを作成することにより、すべての写真プリントの同一の位置に孔を形成して綴じ具で綴じれば、束ねられた写真プリントの天地を揃えることができる。したがって、束ねられた写真プリントをいっそう見やすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態によるプリント生産装置の構成を示す概略ブロック図である。なお、本実施形態においては、デジタルカメラにより取得された画像の写真プリントを作成するものとして説明するが、銀塩フイルムから読み取った画像の写真プリントを作成するものであってもよい。
【0015】
図1に示すように、本実施形態によるプリント生産装置1は、プリンタ11と、プリンタ11が作成した複数の写真プリント31の左上隅部に孔32を形成する孔形成部12と、孔に綴じ具33を通して複数の写真プリント31を束ねてクリップフォト40を作成する束ね部13とを備える。なお、プリンタ11、孔形成部12および束ね部13の間には不図示の搬送装置が設けられており、プリンタ11が作成した写真プリント31は順次孔形成部12および束ね部13に搬送される。
【0016】
プリンタ11は、ロール状の感光材料30を格納する感光材料格納部21と、ロール状の感光材料30を正方形状をなす個片の感光材料30aに切断する切断部22と、切断された感光材料30aに画像を露光する露光部23と、画像が露光された感光材料30bを現像して写真プリント31を作成する現像部24と、感光材料30aに露光する画像の天地を揃える天地制御部25とを備える。
【0017】
なお、感光材料格納部21、切断部22、露光部23、および現像部24の間には不図示の搬送装置が設けられている。
【0018】
切断部22はカッタを備え、ロール状の感光材料30を正方形状の個片の感光材料30aに切断する。
【0019】
露光部23には不図示の画像読み取り装置により読み取られ、天地制御部25により天地が揃えられた画像が入力される。そして露光部23は、入力された画像を感光材料30aに焼き付けて、潜像が形成された感光材料30bを生成する。なお、露光部23には、ユーザがあらかじめ選択した複数の画像が入力される。例えば、友人との旅行で取得した画像、料理写真のレシピを作成するための料理の画像、1ヶ月間の絵日記、および赤ちゃんの成長記録を表す画像等が入力される。
【0020】
現像部24は露光部23が生成した感光材料30bを現像して写真プリント31を作成する。図2は写真プリント31の例を示す図である。露光部23には天地制御部25により天地が揃えられた画像が入力されるため、写真プリント31は現像部24から排出された状態において、横長の画像は横長の状態で(図2(a))、縦長の画像は縦長の状態で(図2(b))写真プリント31に現れることとなる。
【0021】
天地制御部25は、画像のタグに記述された天地情報に基づいて、入力されるすべての画像の天地を揃える。通常画像は横長の状態であるため、縦長の画像のみを所定方向に90度回転することにより、入力されるすべての画像の天地を揃える。なお、例えば画像中の空を表す青色の部分が天側であるとする等、画像を解析することにより画像の天地を判別して、入力されるすべての画像の天地を揃えるようにしてもよい。
【0022】
プリンタ11が作成した写真プリント31は、不図示の搬送装置により孔形成部12に搬送される。孔形成部12は写真プリント31の所定の位置、具体的には左上隅の余白部分にパンチ等を用いて所定の大きさの孔32を形成する。なお、孔32の形成は、写真プリント31が搬送される毎に1枚ずつ行ってもよく、すべての写真プリント31を束ねた状態で一括して行ってもよい。
【0023】
孔32の形成が終了すると、孔32が形成された写真プリント31は束ね部13に搬送される。束ね部13は、複数の写真プリント31を、例えば、写真撮影順等の順番で重ね合わせた後、金属やプラスチック等の材料で形成されたリング状、螺旋状等の綴じ具33を孔32に通して、複数の写真プリント31を束ねてクリップフォト40を作成する。
【0024】
クリップフォト40は左上隅が綴じ具33により綴じられているため、綴じ具33の位置を中心として写真プリント31を回転させることにより、すべての画像を見ることができる。
【0025】
なお、作成されたクリップフォト40はそのままユーザに渡してもよいが、写真プリント31が正方形をなしているため、CDケース等の正方形状のケースに入れてユーザに渡すようにしてもよい。
【0026】
このように、本実施形態によれば、感光材料30aが正方形をなしているため、感光材料30aにプリントされた画像が横長の画像であっても縦長の画像であっても、その天地を意識することなく写真プリント31を見ることができ、これによりクリップフォト40に束ねられた写真プリント31を見やすくすることができる。
【0027】
また、画像の天地を揃えて写真プリント31を作成しているため、写真プリント31の同一の位置に孔32を形成して綴じ具33で綴じれば、束ねられた写真プリント31の天地を揃えることができる。したがって、クリップフォト40に束ねられた写真プリントをいっそう見やすくすることができる。
【0028】
また、正方形の感光材料にプリントを行っているため、写真プリント31には必ず余白が形成されることとなる。したがって、余白に孔32を形成するようにすれば、画像の見栄えを損なうことがなくなる。また、余白にコメントや日付等を書き込むことも可能となる。
【0029】
なお、上記実施形態においては、孔形成部12は写真プリント31の左上隅に1つの孔32を形成しているが、形成する孔の数および位置はこれに限定されるものではなく、任意に設定することができる。例えば、図3に示すように写真プリント31の左辺の近傍に孔32を3カ所を形成してもよい。この場合、綴じ具33はリング状とすればよい。また、対角線上の隅部にそれぞれ1つの孔32を形成してもよい。
【0030】
また、上記実施形態においては、天地制御部25により画像の天地を揃えた後に画像をプリントしているが、天地制御部25を設けないようにしてもよい。天地制御部25を設けないようにした場合には、図4に示すように縦長の画像は感光材料に横向きにプリントされることとなる。このような場合、図5に示すように、写真プリント31の左上隅および左下隅の2カ所に孔32A,32Bを形成することが好ましい。これにより、孔が形成された写真プリント31を束ね部13に搬送する前に、オペレータが縦長の画像の天地を揃えるようにすれば、複数の写真プリント31を揃えた際に、横長の画像の写真プリント31の孔32Aの位置と、縦長の画像の写真プリント31の孔32Bの位置とを一致させることができるため、複数の写真プリント31を容易に綴じ具33により綴じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態によるプリント生産装置の構成を示す概略ブロック図
【図2】写真プリントの例を示す図
【図3】孔が形成された写真プリントの他の例を示す図
【図4】縦長の画像が感光材料に横向きにプリントされた状態を示す図
【図5】写真プリントの左上隅および左下隅の2カ所に孔を形成した状態を示す図
【符号の説明】
【0032】
1 プリント生産装置
11 プリンタ
12 孔形成部
13 束ね部
21 感光材料格納部
22 切断部
23 露光部
24 現像部
25 天地制御部
30 感光材料
31 写真プリント
32,32A,32B 孔
33 綴じ具
40 クリップフォト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略正方形の感光材料に画像をプリントして複数の写真プリントを作成するプリント手段と、
該複数の写真プリントのそれぞれの周縁部に、少なくとも1つの孔を形成する孔形成手段と、
該孔に綴じ具を通して前記複数の写真プリントを束ねる束ね手段とを備えたことを特徴とするプリント生産装置。
【請求項2】
前記プリント手段は、前記画像の天地を揃えて前記複数の写真プリントを作成する手段であることを特徴とする請求項1記載のプリント生産装置。
【請求項3】
略正方形の感光材料に画像をプリントして複数の写真プリントを作成し、
該複数の写真プリントのそれぞれの周縁部に、少なくとも1つの孔を形成し、
該孔に綴じ具を通して前記複数の写真プリントを束ねることを特徴とするプリント生産方法。
【請求項4】
複数の写真プリントからなるプリント生産物であって、
前記複数の写真プリントのそれぞれの周縁部に、少なくとも1つの孔を備え、該孔に綴じ具が通されて前記複数の写真プリントが束ねられてなることを特徴とするプリント生産物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−1029(P2007−1029A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180487(P2005−180487)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【復代理人】
【識別番号】100104189
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 勲将
【Fターム(参考)】