説明

プリント装置および検査方法

【課題】検査パターンを読み取る際のパターンの位置ずれを減らし正確な検査をすることができるプリント装置や検査方法を提供する。
【解決手段】連続したシートを矯正部にてシートの走行ずれを矯正し、矯正されたシートに対して、インクジェット方式の記録ヘッドで検査パターンを記録し、検査パターンが記録されたシートを乾燥させる。乾燥されたシートを、再び前記矯正部にてシートの走行ずれを矯正し、矯正されたシートの検査パターンを読み取って色味検査を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント装置に関し、特に色味検査を行うことができるプリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式のプリント装置において、ノズルの不吐出やインクの着弾精度、さらに色味を検査する技術が知られている。具体的には、シートに検査パターンを記録し、スキャナで検査パターンを読み取ることにより、ノズルの不吐出やインクの着弾精度を検査、および色味を検査してカラーシェーディング補正を行うものである。
【0003】
ノズルの不吐出やインクの着弾制度については、シートに検査パターンを記録した直後にシートを搬送してスキャナで検査パターンを読み取ることができる。しかしながら、色味を検知する検査パターンは、記録直後とインクが乾燥した後とでは色味(カラーシェーディング)が変化するため、正確に色味を検知するためには、検査パターンが乾燥するのを待って検査を行う必要がある。
【0004】
特許文献1には、プリント装置に備えられた乾燥部により色味検査パターンを乾燥させてから、スキャナにより検査パターンを読み込む技術が開示されている。この技術によれば、プリント装置のスキャナの下流側に備えられた乾燥部の下を通るように色味検査パターンを搬送し、検査パターンの全領域の乾燥が終わったら、搬送方向と逆方向にシートを搬送して、乾燥した検査パターンをスキャナで読み取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−177954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の装置では、乾燥させた検査パターンが記録されたシートを巻き取り部に巻き取り、その後、スキャナの上流まで送り戻して検査パターンをスキャナで読み取る。しかしながら、送り戻しの際のシート搬送でシートの走行ずれ(シート幅方向の位置ずれや傾き)が生じてしまう可能性がある。シートの走行ずれがあると検査パターンも本来とは違う位置ずれが生じ、これをスキャナで読み取ると、ノズルと色味検査パターンとの対応関係が誤ったものになり、実際の色味を正確に検知できず、誤った色味補正を行ってしまう可能性がある。
【0007】
本発明は以上の点を鑑みてなされたものであり、検査パターンを読み取る際のパターンの位置ずれを減らし正確な検査をすることができるプリント装置や検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプリント装置は、連続したシートにインクを付与することにより記録を行うプリント装置であって、インクジェット方式の記録ヘッドを有する記録部と、前記記録部の上流側に位置し、前記記録部で記録を行うシートの走行ずれを矯正する矯正部と、前記記録部の下流側に位置し、前記記録部でシートに記録された検査パターンを読み取る読取部と、前記記録部でインクが付与されたシートを乾燥させる乾燥部と、制御部と、を備え、前記制御部の制御により、前記記録部にて前記検査パターンを記録したシートを前記乾燥部により乾燥させた後、当該シートを前記矯正部にて矯正して、前記読取部にて前記検査パターンを読み取ることを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シートに検査パターンが記録されたシートは、検査パターンの読み取りを行う際に矯正部にてシートの走行ずれが矯正なされる。そのため、検査パターンを読み取る際のパターンの位置ずれを減らし正確な検査をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態のプリント装置の内部構成を示す概略断面図である。
【図2】スキャナ部104を示す詳細図である。
【図3】片面記録時の動作を説明するための図である。
【図4】両面記録時の動作を説明するための図である。
【図5】不吐出検査を行うための不吐出検査パターンを示す図である。
【図6】図5に示す不吐出検査パターンの一部を拡大したものを示す図である。
【図7】不吐出検査の手順を示すフローチャートである。
【図8】色味検査パターンの例を示す図である。
【図9】色味検査の手順を示すフローチャートである。
【図10】色味検査パターンが巻き取り部へ導かれた状態を示す図である。
【図11】全ての検査パターンの記録が済んだ状態を示す図である。
【図12】シートが送り戻されている最中の状態を示す図である。
【図13】シートの送り戻しが完了して停止した状態を示す図である。
【図14】シートが再び送り出し開始された状態を示す図である。
【図15】検査パターンがカッタで切り離された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施形態のプリント装置の内部構成を示す概略断面図である。本実施形態のプリント装置は、ロール状に巻かれた連続したシートを使用し、片面記録および両面記録の両方に対応した高速ラインプリンタである。このプリント装置は、大量の枚数を記録する分野に適しており、例えば記録ラボにおける記録に用いられるものである。
【0013】
プリント装置内部のシート供給部1は、ロール状に巻かれた連続したシートを保持して供給するユニットである。このシート供給部1は、2つのロールR1、R2を収納することが可能であり、択一的にシートを引き出して供給する構成となっている。なお、本実施形態では収納可能なロールは2つであるが、収納可能なロールは2つに限定されず、1つ、あるいは3つ以上を収納するものであってもよい。シートは、図中の実線で示したシート搬送経路に沿ってローラ対やベルトからなる搬送機構で搬送され、各ユニットで処理がなされる。
【0014】
デカール部2は、シート供給部1から供給されたシートのカール(反り)を軽減させるユニットであり、1つの駆動ローラに対して2つのピンチローラを用いて、カールの逆向きの反りを与えるようにシートを湾曲させてしごくことでカールを軽減させる。
【0015】
シート矯正部3は、デカール部2を通過したシートの走行ずれを矯正するユニットである。シートン走行ずれとは、本来の進行方向に対するシート幅方向の位置ずれ(蛇行)や、本来の進行方向に対する傾き(斜行)などである。シート矯正部3では、基準となる側のシート端部をガイド部材に押し付けることにより、シートの幅方向の位置ずれと傾き矯正される。
【0016】
記録部4は、記録ヘッド14により搬送されるシートに対して画像を形成するユニットである。記録部4は、シートを搬送する複数の搬送ローラも備えている。記録ヘッド14は、使用が想定されるシートの最大幅をカバーする範囲でインクジェット方式のノズル列が形成されたライン型の記録ヘッドを有している。記録ヘッド14は、複数の記録ヘッドが搬送方向に沿って平行に並べられている。本実施形態では、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、LC(ライトシアン)、LM(ライトマゼンタ)、G(グレー)、K(ブラック)の7色に対応した7つの記録ヘッドを有している。なお、色数および記録ヘッドの数は、7つには限定されるものではなく、他の色を追加したものであってもよく、上述の色を全て有したものでなくてもよい。また、インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、インクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッド14に供給される。
【0017】
スキャナを含む読取部5は、記録部4でシートに記録された検査パターンや画像を光学的に読み取り、記録ヘッドのノズルの状態、シート搬送状態、画像位置等を検査するユニットである。読取部5は、実際に画像を読み取るスキャナ部104と、読み取った画像を処理する画像処理部より構成されている。
【0018】
ゴミ箱11は、カッタ部6で裁断された読み取られた検査パターンを収容する領域である。
【0019】
図2は、スキャナ部104を示す詳細図である。紙搬送ガイド板114でガイドされた原稿は、搬送ローラ113により所定の速度で読取部を通過する。読取部の原稿は原稿照明装置112で照明される。原稿から出てレンズ109を通りCCD108までの光の経路はミラー111で折り返された後、レンズ109を通り、光を電気信号に変換するCCD108へ集められる。CCD108で電気信号に変換された画像情報は画像処理部へ渡され解析される。なお、画像解析はコントローラ15で処理するようにしてもよい。
【0020】
再び図1を参照し、カッタ部6は、記録後のシートを所定長さにカットする機械的なカッタを備えたユニットである。カッタ部6は、シートを次工程に送り出すための複数の搬送ローラも備えている。
【0021】
情報記録部7は、カットされたシートの裏面に記録のシリアル番号や日付などの記録情報を記録するユニットである。
【0022】
乾燥部8は、記録部4で記録されたシートを加熱して、付与されたインクを短時間に乾燥させるユニットである。乾燥部8は、シートを次工程に送り出すための搬送ベルトおよび搬送ローラも備えている。
【0023】
シート巻取部9は、両面記録を行う際に表面記録が終了した連続したシートを一時的に巻き取るユニットである。シート巻取部9はシートを巻き取るための回転する巻取ドラムを備えている。表面の記録が済んでカットされていない連続したシートは巻取ドラムに一時的に巻き取られる。巻き取りが終わったら、巻取ドラムが逆回転して巻き取り済みシートはデカール部2に供給され、記録部4に送られる。このシートは表裏反転しているので記録部4で裏面に記録を行うことができる。両面記録のより具体的な動作については後述する。
【0024】
排出搬送部10は、カッタ部6でカットされ乾燥部8で乾燥させられたシートを搬送して、ソータ部11までシートを受け渡すためのユニットである。ソータ部11は必要に応じて記録済みシートをグループ毎に排出トレイ12の異なるトレイに振り分けて排出するユニットである。
【0025】
制御部13は、プリント装置全体の各部の制御を司るユニットである。制御部13は、CPU、メモリ、各種I/Oインターフェースを備えたコントローラ15及び電源を有する。プリント装置の動作は、コントローラ15またはコントローラ15にI/Oインターフェースを介して接続されるホストコンピュータ等の外部機器16からの指令に基づいて制御される。
【0026】
次に、記録時の基本動作について説明する。記録は、片面記録と両面記録とでは動作が異なるので、それぞれについて説明する。
【0027】
図3は、片面記録時の動作を説明するための図である。本図において、シート供給部1から供給されたシートが記録されて排出トレイ12に排出されるまでの搬送経路を太線で示している。シート供給部1から供給され、デカール部2によりシートのカール(反り)が軽減され、シート矯正部3により走行ずれが矯正されたシートは、記録部4において表面の記録がなされる。記録されたシートは読取部5を経て、カッタ部6において予め設定されている所定の単位長さ毎にカットされる。カットされたシートは、必要に応じて情報記録部7でシートの裏面に記録情報が記録される。そして、カットされたシートは一枚ずつ乾燥部8に搬送され乾燥が行なわれる。その後、排出搬送部10を経由して、ソータ部11のトレイ12に順次排出され積載されていく。
【0028】
図4は、両面記録時の動作を説明するための図である。両面記録では、表面記録シーケンスに次いで裏面記録シーケンスを実行する。最初の表面記録シーケンスでは、シート供給部1から読取部5までの各ユニットでの動作は上述の片面記録の動作と同じである。カッタ部6ではカット動作は行わずに、連続したシートのまま乾燥部8に搬送される。乾燥部8での表面のインク乾燥の後、排出搬送部10の側の経路ではなく、シート巻取部9の側の経路にシートが導入される。導入されたシートは、順方向(図面では反時計回り方向)に回転するシート巻取部9の巻取ドラムに巻き取られていく。記録部4において、予定された表面の記録が全て終了すると、カッタ部6にて連続したシートの記録領域の後端がカットされる。カット位置を基準に、搬送方向下流側(記録された側)の連続したシートは乾燥部8を経てシート巻取部9でシート後端(カット位置)まで全て巻き取られる。一方、カット位置よりも搬送方向上流側の連続したシートは、シート先端部(カット位置)がデカール部2の残らないように、シート供給部1に巻き戻される。
【0029】
以上の表面記録シーケンスの後に、裏面記録シーケンスに切り替わる。シート巻取部9の巻取ドラムが巻き取り時とは逆方向(図面では時計回り方向)に回転する。巻き取られたシートの端部(巻き取り時のシート後端は、送り出し時にはシート先端になる)はデカール部2に送り込まれる。デカール部2では、先とは逆向きのカール矯正が行なわれると同時に、デカール部内の搬送経路にてシートの表裏反転がなされる。その後は、シート矯正部3を経て、記録部4で連続したシートの裏面に記録が行なわれる。記録されたシートは読取部5を経て、カッタ部6において予め設定されている所定の単位長さ毎にカットされる。カットシートは両面に記録されているので、情報記録部7での記録はなされない。カットシートは一枚ずつ乾燥部8に搬送され、排出搬送部10を経由して、ソータ部11のトレイ12に順次排出され積載されていく。
【0030】
本実施形態のプリント装置は、色味検査(カラーシェーディング検査)と不吐出検査を選択的に行うことができるものである。
【0031】
まず、不吐出検査方法について説明する。不吐出検査をでは、記録ヘッドのノズルのインクが詰まったり、インクが固まったりすることによるノズルの不吐出を検知する。不吐出検査は、不吐出検査パターンを記録部4の記録ヘッド14によりシートに記録し、記録された不吐出検査パターンをスキャナにより読み込む。そして、記録された検査パターンから不吐出ノズルを特定して、ノズルを吸引と強制吐出することにより、ノズルのクリーニングを行い、不吐出を解消する。
【0032】
図5は、不吐出検査を行うための不吐出検査パターンを示す図である。また、図6は、図5に示す不吐出検査パターンの一部を拡大したものを示す図である。図6を参照すると、線の1本1本が所定のノズル穴1個から吐出されたインクにより描かれている。線が描けていないところは、ノズルからインクが出ていない、すなわち不吐出となる。
【0033】
図7は、不吐出検査の手順を示すフローチャートである。不吐出検査のシーケンスが開始すると、シート供給部1から送り出されたシートは、シート矯正部3でシートの走行ずれ(斜行や蛇行)が矯正される(ステップS20)。矯正されたシートは、図5に示す不吐出検査パターンを記録部4の記録ヘッドにより記録を行う(ステップS21)。そして、シートに記録された不吐出検査パターンをスキャナにより読み取る(ステップS22)。読み取った不吐出検査パターンのデータに基づいて、所定の位置に所定のノズルの不吐出検査パターンがあるか否かについて、全てのノズルについて画像を解析する(ステップS23)。そして、解析した不吐出検査パターンのデータをコントローラ15に送信する(ステップS24)。その後、不吐出検査パターンが記録されたシートをカッタ部6により裁断し、ゴミ箱へ入れる(ステップS25)。
【0034】
1つの記録ヘッドは約80万個のノズルを有し、それを1個ずつ検査するために不吐検査パターンは500mm程度の長さが必要となる。不吐出のノズル番号よりどの程度の密度で不吐出が起きているか解析を行い、不吐出の密度が所定未満である場合は隣接するノズルからの吐出数を増やして不吐出補完を行う。不吐出の密度が所定以上である場合は補完が行えないと判断され、吸引および強制吐出によりノズルのクリーニングを行い、ノズルの不吐出を解消する。その後、もう一度不吐出検査を行い、不吐出密度が所定未満になれば、不吐出補完を行って記録動作を再開する。それでも不吐出密度が所定以上の場合は記録エラーを表示して記録動作を停止する。
【0035】
なお、不吐出検査に用いる不吐出検査パターンは、乾燥部8による乾燥を行わないでスキャナによりパターンを読み込む。不吐出検査は、ノズルの不吐出箇所を検知するために使用されるものであるため、乾燥しても乾燥しなくても、検査に必要なデータは変わらないからである。
【0036】
次に、色味検査方法について説明する。複数チップの記録ヘッドをシート幅以上に並べたインライン式のプリント装置は、色味補正を行わないとインクの吐出量がチップ毎にばらついて、隣り合う接続部分で濃度段差が出ることがある。また、同一チップ内において吐出量が変化するため、ノズル毎に吐出強度を変化させないと均一な濃度にならないことがある。更に、濃度を再現するために誤差拡散などを使用するが、完全な濃度リニアリティを得る事は難しく、インクを混ぜた場合に色再現しにくい2次色、3次色がある場合が多い。
【0037】
このようなチップ毎のばらつきによる濃度段差、同一チップ内の吐出量の変化による濃度の不均一などを補正するために、色味検査を行い、記録データの色変換等を行っている。すなわち、色味検査パターンをスキャナで読み取り、インク吐出量を細かく制御することで正確な色を出している。具体的にはヘッドシェーディング、カラーシェーディング、PWM制御等がある。
【0038】
PWM制御は記録ヘッドチップへ与えるおおまかな電力をコントロールするもので、チップ単位で平均インクの吐出量を制御するものである。ヘッドシェーディングはノズル数個単位まとめて吐出エネルギーを制御し、かつ吐出誤差拡散パターンをコントロールすることで濃度リニアリティ制御するものである。カラーシェーディングは2次色、3次色を検査して、プリント装置に与える記録前のデータの色変換を行い、色合わせを行うものである。
【0039】
図8は、色味検査パターンの例を示す図である。このような色味パターンを記録部4の記録ヘッド14により記録する。そして、読取部5のスキャナによりパターンの読み込みを行う。これらの制御のための色味検知では、スキャナの高解像度はそれほど高く要求されないが、高階調性を要求される。具体的には16bit/pixelが必要となる。
【0040】
色味検査方法では、インクジェット方式で色味パターンを記録する場合、シートに打ち込んだインクが乾くまでは、正確な発色が保障されない。つまり、色味検査パターンに記録されたインクの色味を読み取るには、記録直後の検査パターンを読み取ったのでは無意味なデータとなってしまう可能性がある。このため、本実施形態では、色味検査パターンの記録を行った後に、乾燥部8により検査パターンの乾燥を促進させさせている。
【0041】
図9は、色味検査の手順を示すフローチャートである。色味補正のシーケンスが開始されると、シート供給部1から送り出されたシートは、シート矯正部3でシートの走行ずれ(斜行や蛇行)が矯正される(ステップS1)。矯正されたシートは、図8に示す色味検査のため検査パターンの記録が行われる(ステップS2)。検査パターンを記録されたシートは、カッタ部6、乾燥部8を通過し、巻き取り部9へ導かれる(ステップS3)。
【0042】
図10は、検査パターンが記録されたシートが巻き取り部9へ導かれた状態を示す図である。シート先端部が巻き取り部9へ導かれている。
【0043】
再び図9を参照する。全ての検査パターンが乾燥部8を通過するまで巻き取り部9へ巻き取られ、全ての検査パターンが乾燥されたら巻き取り動作を停止する(ステップS4)。
【0044】
図11は、全ての検査パターンの記録が済んで、送られたシートが巻取部9に巻き取られた状態を示す図である。全ての検査パターンが乾燥部8を通過して乾燥されて巻取部9に巻き取られている。
【0045】
再び図9を参照して、検査パターンが記録されたシートは、シート供給部1へ巻き戻される、シートが逆方向に送り戻される(ステップS5)。少なくともすべての検査パターン、好ましくはシート先端がシート矯正部3の上流まで送り戻されたら送り戻しを停止する(ステップS6)。
【0046】
図12は、検査パターンが記録されたシートが送り戻されている状態を示す図である。検査パターンが記録されたシートは、シート供給部1のローラに巻き戻されている。送り戻す距離は、少なくとも記録した検査パターンのすべてがシート矯正部3よりも上流までくる距離である。好ましくは、シート先端がシート矯正部3よりも上流までくる距離である。シート全てをシート供給部1まで送り戻してもよい。送り戻し時間を短縮するために、シートの先端が読取部5を過ぎたら巻き取り速度を速くしている。
【0047】
図13は送り戻しが完了して停止した状態を示す。本実施形態では同図のように、シート先端がデカール部2とシート矯正部の間の位置にくるまで送り戻して停止させる。
【0048】
再び図9を参照する。ステップS15の後、上流に向けて送り戻された検査パターンが記録されたシートは、再び下流に向けて搬送され送り出される(ステップS7)。送り出されたシートは少なくとも検査パターンが記録された領域はすべてシート矯正部3を通過し、再びシートの走行ずれが矯正される(ステップS8)。
【0049】
図14は、検査パターンが記録されたシートが上流に向けて送り戻された後、再び下流に向けて紙送りが行われている状態を示す図である。シート矯正部3によりシートは走行ずれの矯正がなされ、斜行や蛇行ない状態で記録部4の下を通過して、読取部5に搬送される。
【0050】
再び図9を参照する。ステップS17で走行ずれが矯正されたシートは、読取部5により検査パターンが読み取られる。読み取られた検査パターンはカッタ部6で所定の長さで裁断する(ステップS9)。そして、色味検査パターンの画像を解析し(ステップS10)、コントローラ15に色未検査データを送信し(ステップS11)、検査パターンをカッタ部6で裁断してごみ箱105に入れる(ステップS12)。
【0051】
図15は、検査パターンをカッタで切り離された状態を示す図である。すべての検査パターンをカッタ部6で切り離されたシートの上流側は、シート供給部1へ巻き戻される。
【0052】
読取部5で読み取ったインク乾燥後の画像情報を解析することにより、プリンタヘッドのコントロールパラメータを得てプリント装置の色味のキャリブレーション、すなわちインクの吐出量を制御する。
【0053】
このように、色味検査および補正を行う場合には、シート供給部1へのシート送り戻しを、少なくとも検査パターンの全てが、好ましくはシート先端がシート矯正部3より上流にくるまで行う。そして、シート矯正部3で再びシートの走行ずれを矯正して、読取部5で検査パターンの読み取りを行うものである。シート走行ずれ(斜行や蛇行)を無くし、スキャナ部に対して検査パターンに位置ズレがない状態で読み取りを行うので、正確な検査を行うことができる。本実施形態によれば、プリント装置の自動検査と高い記録品質が両立する。更に、検査装置はプリント装置にビルトインされているので、外部スキャナのような外部装置が不要である。
【0054】
なお、本実施形態では、カッタ部6と乾燥部8の順番が下流に乾燥部8が位置するように配置されているが、乾燥部8をカッタ部6の上流側に配置してもよい。本実施形態では、巻き戻し速度を給紙速度と同等にすることを想定しているが、乾燥部8での乾燥時間が色味検知するのに十分でない場合は、乾燥器内での巻き戻し速度を遅くして十分に乾燥させるようにしてもよい。
【0055】
上述の実施形態では、乾燥部8により乾燥された検査パターンが記録されたシートを巻取部、シート供給部1に送り戻してから、再び順方向にシートを搬送して走行ずれを矯正して読取を行う。この形態に限らず、検査パターンが記録されたシートを、乾燥部8にて乾燥させた後、シート巻取部9に巻き取らず且つ送り戻さずに、別の経路を通してデカール部2からシート矯正部3の上流に送り、シートの走行ずれを矯正して検査パターンを読み取るような形態としてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 シート供給部
2 デカール部
3 シート矯正部
4 記録部
5 読取部
8 乾燥部
9 シート巻取部
14 記録ヘッド
104 スキャナ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続したシートにインクを付与することにより記録を行うプリント装置であって、
インクジェット方式の記録ヘッドを有する記録部と、
前記記録部の上流側に位置し、前記記録部で記録を行うシートの走行ずれを矯正する矯正部と、
前記記録部の下流側に位置し、前記記録部でシートに記録された検査パターンを読み取る読取部と、
前記記録部でインクが付与されたシートを乾燥させる乾燥部と、
制御部と、
を備え、前記制御部の制御により、
前記記録部にて前記検査パターンを記録したシートを前記乾燥部により乾燥させた後、当該シートを前記矯正部にて矯正して、前記読取部にて前記検査パターンを読み取ることを特徴とするプリント装置。
【請求項2】
シート供給部をさらに備え、
前記制御部の制御により、前記シート供給部から送り出され前記検査パターンが記録されたシートは、前記乾燥部にて乾燥させた後、前記シート供給部に送り戻し、シート先端が前記矯正部よりも上流にくるまで送り戻したら、シートを再び送り出して前記矯正部にて矯正することを特徴とする、請求項1に記載のプリント装置。
【請求項3】
前記乾燥部の下流側に前記シートを巻き取る巻取部を有し、
前記乾燥部を通過したシートの少なくとも一部は、前記シート供給部に送り戻される前に、前記巻取部に巻き取られることを特徴とする、請求項2に記載のプリント装置。
【請求項4】
前記プリント装置は、前記制御部の制御により、色味検査と前記記録ヘッドのノズルの不吐出検査とを選択的に行うことができ、前記不吐出検査のときは、前記記録部にてシートに不吐出検査パターンを記録して、記録した前記不吐出検査パターンを直ちに前記読取部にて読み取ることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項5】
連続したシートを矯正部にてシートの走行ずれを矯正するステップと、
前記矯正されたシートに対して、インクジェット方式の記録ヘッドで検査パターンを記録するステップと、
前記記録されたシートを、再び前記矯正部にてシートの走行ずれを矯正するステップと、
前記矯正されたシートの前記検査パターンを読み取るステップと、
を有することを特徴とする検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−86443(P2013−86443A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231288(P2011−231288)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】