説明

プリント配線板、ICカード、プリント配線板の製造方法

【課題】耐熱性が高いプリント配線板を提供する。
【解決手段】電子部品5が実装される部品実装部3を有する基材1と、基材1の一方の片面に設けられ表面が外部に露出して外部接点となるコンタクト端子2と、基材1に形成され部品実装部3に実装される電子部品5とコンタクト端子2とを接続するボンディングワイヤー6を通すために基材1に他方の片面に開口させて形成される開口部4とを具備して形成されるプリント配線板に関する。このものにおいて、上記コンタクト端子2を基材1に直接密着して設けられた金属箔から形成する。コンタクト端子2を構成する金属箔を接着剤を用いて基材1に貼り付けた場合のような耐熱性の低下の問題がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント配線板、このプリント配線板を用いたICカード、プリント配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ICカード用などに使用されるプリント配線板として、特開平3−32895号公報等によって、図1(a)に示すような構造のものが従来から提案されている。このものは、基材1の片面にコンタクト端子2を設けると共に、このコンタクト端子2が底面となるように基材1に部品実装用の開口部3aとボンディングワイヤー用の開口部4を設け、部品実装用の開口部3aにIC等の電子部品5を実装し、そしてボンディングワイヤー用の開口部4を通してボンディングワイヤー6で電子部品5とコンタクト端子2を接続するようにした構造に形成されているものであり、さらに封止樹脂7をポッティングして封止することによって、ICカード用のモジュールとするようにしてある。
【0003】そしてこのようなプリント配線板を製造するにあたっては、図49(a)に示すようにまず基材1の片面に接着剤8を塗布し、図49(b)のように基材1に部品実装用の開口部3aと複数のボンディングワイヤー用開口部4を打ち抜き加工して設けた後、図49(c)のように接着剤8で基材1の片面に銅箔等の金属箔9を接着する。次に、この金属箔9をエッチング等して回路形成加工することによって、表面が外部に露出して外部接点となるコンタクト端子2を図49(d)のように形成する。部品実装用開口部3aや複数のボンディングワイヤー用開口部4の底面はこのコンタクト端子2で形成されるものであり、部品実装用開口部3aの底面のコンタクト端子2は電子部品5を保持する機能も有する。このように回路形成した後、図49(e)のようにコンタクト端子2の外面の部分と、開口部3a,4の底面に臨む部分にNiメッキとAuメッキを施すことによって、仕上げメッキ10a,10bを形成するようにしてある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしコンタクト端子2は、上記のように基材1に接着剤8で接着した金属箔9によって形成されており、高温の作用による接着剤8の劣化でコンタクト端子2が剥離するなど、耐熱性に問題を有するものであり、さらに接着剤8の分だけ厚みが増し、薄型化が困難になるものであった。
【0005】また、開口部3a,4は打ち抜き加工で形成するために、開口部3a,4の径を小さくするには限界があり、また開口部3a,4間の間隔を小さくすることも困難であり、小型化に制限があるという問題があった。
【0006】また、基材1としては、樹脂積層板が主として用いられるが、樹脂積層板は両面に銅箔などの金属箔を張った両面金属張り積層板として形成しないと、表面の平滑性や厚みの均一性に問題が生じる。このために、基材1として両面金属張り積層板が用いられるが、基材1に開口部3a,4を加工するために、一旦、基材1の両面の金属箔をエッチング除去する必要があり、そして開口部3a,4を加工した後に、コンタクト端子2を形成するための金属箔9を図49(c)のように基材1に接着するようにしており、製造の工程が長くなると共に材料ロスが大きいという問題があった。
【0007】さらに、コンタクト端子2の外面の部分と、開口部3a,4の底面に臨む部分に仕上げメッキ10a,10bを施すにあたって、同じ工程で行なうことになるため、コンタクト端子2の外面の部分はNiメッキと光沢Auメッキで仕上げメッキ10aを形成し、コンタクト端子2の開口部3a,4の底面に臨む部分はNiメッキと無光沢Auメッキで仕上げメッキ10bを形成するというように、異なる種類のメッキを行なうことが難しいという問題があった。
【0008】本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、耐熱性が高く小型化することができるプリント配線板及びICカードを提供することを目的とするものである。また小型化することが容易であり、基材の表面の平坦度が高いと共に材料ロスが少なく、コンタクト端子に異なる種類のメッキを行なうことが容易であるプリント配線板の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係るプリント配線板は、電子部品5が実装される部品実装部3を有する基材1と、基材1の一方の片面に設けられ表面が外部に露出して外部接点となるコンタクト端子2と、基材1に形成され部品実装部3に実装される電子部品5とコンタクト端子2とを接続するボンディングワイヤー6を通すために基材1に他方の片面に開口させて形成される開口部4とを具備して形成されるプリント配線板において、上記コンタクト端子2は基材1に直接密着して設けられた金属箔9から形成されたものであることを特徴とするものである。
【0010】また請求項2の発明は、上記基材1として、ガラス繊維を含有する基材1を用いて成ることを特徴とするものである。
【0011】また請求項3の発明は、上記部品実装部3を、基材1に開口部3aとして形成して成ることを特徴とするものである。
【0012】また請求項4の発明は、上記部品実装用開口部3aとボンディングワイヤー用開口部4との間の間隔を、ボンディングワイヤー用開口部4の径よりも小さく形成して成ることを特徴とするものである。
【0013】本発明の請求項5に係るICカードは、カード本体11に上記のICカード用プリント配線板を搭載して成ることを特徴とするものである。
【0014】本発明の請求項6に係るプリント配線板の製造方法は、電子部品5が実装される部品実装部3を有する基材1と、基材1の一方の片面に設けられ表面が外部に露出して外部接点となるコンタクト端子2と、基材1に形成され部品実装部3に実装される電子部品5とコンタクト端子2とを接続するボンディングワイヤー6を通すために基材1に他方の片面に開口させて形成される開口部4とを具備して形成され、上記コンタクト端子が基材に直接密着して設けられた金属箔から形成されたプリント配線板を製造するにあたって、光ビームを基材1に照射することによって、コンタクト端子2の裏面側において基材1に上記開口部4を加工することを特徴とするものである。
【0015】本発明の請求項7に係るプリント配線板の製造方法は、電子部品5が実装される部品実装部3を有する基材1と、基材1の一方の片面に設けられ表面が外部に露出して外部接点となるコンタクト端子2と、基材1に形成され部品実装部3に実装される電子部品5とコンタクト端子2とを接続するボンディングワイヤー6を通すために基材1に他方の片面に開口させて形成される開口部4とを具備して形成され、上記コンタクト端子が基材に直接密着して設けられた金属箔から形成されたプリント配線板を製造するにあたって、基材1をサンドブラスト処理することによって、コンタクト端子2の裏面側において基材1に上記開口部4を加工することを特徴とするものである。
【0016】また請求項8の発明は、両面に金属箔9,9を張った基材1を用い、一方の金属箔9をエッチング除去すると共に他方の金属箔9を回路形成加工してコンタクト端子2を形成した後に、金属箔9をエッチング除去した側の片面から基材1に開口部4を加工することを特徴とするものである。
【0017】また請求項9の発明は、金属箔9を回路形成加工して形成したコンタクト端子2の表面に仕上げメッキ10aを施した後、基材1に開口部4を加工し、しかる後に開口部4の穴底に臨むコンタクト端子2に仕上げメッキ10bを施すことを特徴とするものである。
【0018】また請求項10の発明は、上記基材1として、ロール状に巻いた長尺のガラス繊維を含有するフレキシブル両面金属張り積層板1aを用いることを特徴とするものである。
【0019】また請求項11の発明は、フレキシブル両面金属張り積層板1aの側端縁に沿ってスプロケット穴12を形成したものを用いることを特徴とするものである。
【0020】また請求項12の発明は、部品実装部3を基材1に開口部3aとして形成し、上記ボンディングワイヤー用開口部6と同時にこの部品実装用開口部aを基材1に加工することを特徴とするものである。
【0021】また請求項13の発明は、開口部3a,4を加工した後、開口部3a,4の底部のコンタクト端子2の表面を酸洗することを特徴とするものである。
【0022】また請求項14の発明は、サンドブラスト処理することによって、基材1に開口部3a,4を加工すると同時に金属箔9を回路形成加工してコンタクト端子2を形成することを特徴とするものである。
【0023】また請求項15の発明は、砥粒を噴射するブラストノズル13を両側から挟み込むようにエアーを吹き付けることによって、砥粒を扇状にブラストノズル13から噴射させてサンドブラスト処理を行なうことを特徴とするものである。
【0024】また請求項16の発明は、金属箔9が存在しない側の片面から基材1をサンドブラスト処理して開口部3a,4を加工すると共に金属箔9を張った側の片面からサンドブラスト処理して金属箔9を回路形成加工するにあたって、開口部3a,4を形成する側のサンドブラストの噴射圧力を回路形成側のサンドブラストの噴射圧力よりも大きく設定することを特徴とするものである。
【0025】また請求項17の発明は、金属箔9が存在しない側の片面から基材1をサンドブラスト処理して開口部3a,4を加工すると共に金属箔9を張った側の片面からサンドブラスト処理して金属箔9を回路形成加工するにあたって、開口部3a,4を形成する側のサンドブラストの噴射量を回路形成側のサンドブラストの噴射量よりも大きく設定することを特徴とするものである。
【0026】また請求項18の発明は、光ビームとして炭酸ガスレーザを用いることを特徴とするものである。
【0027】また請求項19の発明は、両面に金属箔9,9を張った基材1を用い、一方の金属箔9にエッチングして開口孔14を設けた後に、この開口孔14の箇所に開口孔14よりも径の大きなビームの炭酸ガスレーザを照射することによって、基材1に開口部3a,4を加工することを特徴とするものである。
【0028】また請求項20の発明は、直線状のビームに形成された炭酸ガスレーザを、ビームの長手方向と垂直な方向で走査させることによって、基材1に炭酸ガスレーザを照射することを特徴とするものである。
【0029】また請求項21の発明は、金属箔9に設けた上記開口孔14の周囲に、金属箔9を除去した絶縁部15を形成することを特徴とするものである。
【0030】また請求項22の発明は、基材1との密着面を酸化処理した金属箔9を張った基材1を用いることを特徴とするものである。
【0031】また請求項23の発明は、基材1との密着面を粗面化した金属箔9を張った基材1を用いることを特徴とするものである。
【0032】また請求項24の発明は、炭酸ガスレーザとして、ビームのエネルギー分布が開口部3a,4において均一なものを用いることを特徴とするものである。
【0033】また請求項25の発明は、炭酸ガスレーザとして、ビームのエネルギー分布が開口部3a,4の周部ほど高くなるものを用いることを特徴とするものである。
【0034】また請求項26の発明は、炭酸ガスレーザを基材1の片面に照射して開口部3a,4を形成するにあたって、基材1の他の片面の金属箔9の表面に放熱板41を設置して炭酸ガスレーザの照射をおこなうことを特徴とするものである。
【0035】また請求項27の発明は、炭酸ガスレーザを基材1の片面に照射して開口部3a,4を形成するにあたって、基材1の他の片面の金属箔9の表面に水冷管44を設置して炭酸ガスレーザの照射をおこなうことを特徴とするものである。
【0036】また請求項28の発明は、炭酸ガスレーザを基材1に照射して開口部3a,4を形成するにあたって、ビーム光路の中心にビーム減衰用フィルター45を設置することを特徴とするものである。
【0037】また請求項29の発明は、ガラス繊維を有する基材に炭酸ガスレーザを照射して開口部3a,4を形成した後、開口部3a,4を高圧水洗処理することを特徴とするものである。
【0038】また請求項30の発明は、ガラスクロス53を有する基材1に炭酸ガスレーザを照射して開口部3a,4を形成するにあたって、ガラスクロス53の繊維の密度を疎にして開口部3a,4を形成する個所にガラスクロス53の繊維が存在しない基材1を用いることを特徴とするものである。
【0039】また請求項31の発明は、ガラスクロス53を有する基材1に炭酸ガスレーザを照射して開口部3a,4を形成するにあたって、開口部3a,4に対応する個所を予め打ち抜いたガラスクロス53を用いて作製した基材1を用いることを特徴とするものである。
【0040】また請求項32の発明は、炭酸ガスレーザの照射で基材1に開口部3a,4を形成した後、開口部3a,4の側面及び開口部3a,4の底部を洗浄することを特徴とするものである。
【0041】また請求項33の発明は、開口部3a,4を過マンガン酸カリウム液で処理することを特徴とするものである。
【0042】また請求項34の発明は、開口部3a,4にエキシマレーザを照射することを特徴とするものである。
【0043】また請求項35の発明は、エキシマレーザの照射部の周辺にエキシマレーザを反射する反射板41を設置することを特徴とするものである。
【0044】また請求項36の発明は、3〜10J/cm2、10〜30ショットの条件でエキシマレーザを照射することを特徴とするものである。
【0045】また請求項37の発明は、反射光をモニタリングしながらエキシマレーザを照射することを特徴とするものである。
【0046】また請求項38の発明は、開口部3a,4に短パルス赤外光レーザを照射することを特徴とするものである。
【0047】また請求項39の発明は、開口部3a,4をプラズマ処理することを特徴とするものである。
【0048】また請求項40の発明は、開口部3a,4をサンドブラスト処理することを特徴とするものである。
【0049】また請求項41の発明は、サンドブラスト処理をしながら開口部3a,4に液体を吹き付けることを特徴とするものである。
【0050】また請求項42の発明は、液体はアルカリ溶液であることを特徴とするものである。
【0051】また請求項43の発明は、球形の砥粒を用いてサンドブラスト処理をすることを特徴とするものである。
【0052】また請求項44の発明は、開口部3a,4をフッ化アンモニウム処理することを特徴とするものである。
【0053】また請求項45の発明は、開口部3a,4の処理後に、開口部3a,4の底部の金属箔9にプレス処理を行なうことを特徴とするものである。
【0054】また請求項46の発明は、SHG−YAGレーザ、THG−YAGレーザ、SHG−YLFレーザ、THG−YLFレーザから選ばれる一つ以上のレーザを照射して基材1に開口部3a,4を加工することを特徴とするものである。
【0055】また請求項47の発明は、金属箔9を張った基材1を用い、SHG−YAGレーザ、THG−YAGレーザ、SHG−YLFレーザ、THG−YLFレーザから選ばれる一つ以上のレーザを照射して基材1に開口部3a,4を加工すると共に金属箔9に回路形成加工してコンタクト端子2を形成することを特徴とするものである。
【0056】また請求項48の発明は、回路形成加工した側の面に液体ホーニング処理あるいはサンドブラスト処理を行なうことを特徴とするものである。
【0057】また請求項49の発明は、両面に金属箔9,9を張った基材1を用い、一方の金属箔9の表面にSHG−YAGレーザ、THG−YAGレーザ、SHG−YLFレーザ、THG−YLFレーザから選ばれる一つ以上のレーザを照射して、照射部分の金属箔9とともに基材1を除去して開口部3a,4を加工すると共に、開口部3a,4の周囲の金属箔9を除去することを特徴とするものである。
【0058】また請求項50の発明は、表面に金属箔9を張った基材1を用いるにあたって、コンタクト端子2を形成する金属箔9と基材1の間に、開口部3a,4を形成する個所においてマスク64を介在させたものを用い、開口部3a,4を形成すると共にマスク64を除去することを特徴とするものである。
【0059】また請求項51の発明は、マスク64の除去を化学処理で行なうことを特徴とするものである。
【0060】また請求項52の発明は、マスク64の除去を光ビームの照射で行なうことを特徴とするものである。
【0061】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0062】本発明において基材1としては、図2(a)に示すような、両面に銅箔などの金属箔9,9を張った両面金属張り樹脂積層板1aを用いるものである。この両面金属張り樹脂積層板1aは例えば、ガラスクロスなどガラス繊維基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂ワニスを含浸して樹脂含浸基材を作製し、この樹脂含浸基材を必要に応じて複数枚重ねると共にその両側を金属箔9,9で挟み込み、これを加熱しつつロールの間に通して(ロールによる加圧は不要)、樹脂含浸基材の樹脂を硬化させることによって、樹脂含浸基材に含浸した樹脂で金属箔9,9を積層一体化して製造することができるものであり、樹脂含浸基材による基材1の両側の表面に金属箔9を一体成形したものとして製造することができる。例えば厚み100μmのガラスエポキシ基材1の両面に厚み18μmの金属箔(銅箔)9を一体成形して積層したものとして製造することができる。両面金属張り積層板1aは、表面に金属箔9を積層しないで作製した積層板よりも、表面の平滑性が高く、厚みの均一性が優れた基材1として用いることができるものである。また、金属箔9は接着剤を用いて基材1に貼り付けられているのではなく、基材1に含有されている樹脂の自己接着作用で、基材1に直接密着しているものである。
【0063】ここで、上記のようにガラスクロスなどのガラス繊維を含有する基材1は、強度や電気絶縁性、耐湿性が優れており、このようなガラス繊維を含有する基材1を用いることによって、強度や電気絶縁性、耐湿性が高いプリント配線板を製造することができるものである(請求項2)。
【0064】また、上記のようなガラス繊維を含有する両面金属張り樹脂積層板1aとして、フレキシブルな長尺のものを用い、これを図3のようにロール状に巻いたものから繰り出して使用するようにすることができる。このように基材1として、ロール状に巻いた長尺のガラス繊維を含有するフレキシブル両面金属張り積層板1aを用いることによって、これを連続して送りながら加工をしてプリント配線板を製造することができるものであり、生産性を高めることができるものである(請求項10)。
【0065】またこのように基材1として長尺のフレキシブル両面金属張り積層板1aを用いるにあたって、図4のように長尺のフレキシブル両面金属張り積層板1aの両側端縁に沿って所定間隔でスプロケット孔12を設け、スプロケット孔12にスプロケットの爪(図示省略)を嵌合させることによって、ロール状に巻いた長尺のフレキシブル両面金属張り積層板1aを位置決めしながら後工程に連続的に送ることができるようにすることができるものである(請求項11)。
【0066】次に、基材1の一方の面(例えば下面)に張った金属箔9にはエッチングレジストを貼着し、他方の面(例えば上面)に張った金属箔9にはエッチングレジストを貼着せず、そしてエッチングレジストを露光・現像処理した後、各金属箔9をエッチング処理することによって、図2(b)のように基材1の一方の面の金属箔9を回路形成加工してコンタクト端子2を形成すると共に、基材1の他方の面の金属箔9を除去して、基材1の表面を露出させる。
【0067】ここで、上記のように基材1として両面金属張り積層板1aを用いるようにしているので、表面に金属箔9を積層しないで作製した積層板を基材1として用いる場合よりも、基材1は表面の平滑性が高く、厚みの均一性が優れており、品質の高いプリント配線板を製造することができるものである。また基材1に予め張った金属箔9でコンタクト端子2を形成するようにしており、従来のように、基材1に予め張った金属箔2を開口部3a,4の加工の前に一旦除去した後、コンタクト端子2を形成するための金属箔9を基材1に再度接着するというような必要がなくなるものであり、製造の工程が長くなったり材料ロスが大きくなったりすることがなくなるものである(請求項8)。また、金属箔9は接着剤を用いて基材1に貼り付けられているのではなく、基材1に含有されている樹脂の自己接着作用で、基材1に直接密着しているものであって、この金属箔9から形成されるコンタクト端子2は基材1に直接密着しているものであり、接着剤を用いて接着する場合のような耐熱性低下の問題がなくなり、耐熱性の高いプリント配線板を製造することができるものである。また接着剤を用いる必要がないので、この分、厚みを薄くすることが可能になるものである(請求項1)。
【0068】上記のように基材1の片面に回路形成加工してコンタクト端子2を形成した後、コンタクト端子2の露出する表面に仕上げメッキ10aを図2(c)のように設ける。仕上げメッキ10aはNiメッキを施した後にこの上にさらに光沢Auメッキを施すことによって行なうことができる。
【0069】次に、基材1に開口部3a,4を加工する。開口部3a,4の加工は基材1の金属箔9を除去した側の面から光ビームを照射し、光ビームを照射した部分の基材1を消失させることによって行なうことができるものであり、図2(d)のように基材1の片面に設けたコンタクト端子2が底面となる開口部3a,4を形成することができるものである。光ビームはその光束の径を小さくすることができるので、開口部3a,4を小さな径で加工することが可能になり、また開口部3a,4の間隔も小さく設定して加工することが可能になる。従って、小さな開口部3a,4を高密度に配置して基材1に形成することができるものであり、プリント配線板の小型化が可能になるものである(請求項6)。
【0070】ここで、開口部3aは後述のように電子部品5を実装する部品実装部(キャビティ)3を形成するものであり、また開口部4は後述のようにボンディングワイヤー6を通すためのものであり、図5のように、ボンディングワイヤー用開口部4は部品実装用開口部3aの周囲を囲むように複数個設けられるが、部品実装用開口部3aとボンディングワイヤー用開口部4の間の間隔の寸法Lがボンディングワイヤー用開口部4の径Dよりも小さく(等しくてもよい)なるように、開口部3a,4を形成してあり、開口部3a,4の配置が高密度になるようにして、プリント配線板を小型化することができるようにしてある(請求項4)。
【0071】また、電子部品5を実装する部品実装部(キャビティ)3をこのように開口部3aとして形成し、ボンディングワイヤー用開口部4と同時にこの部品実装用開口部3aを加工して形成するようにすれば、加工の工数を低減できると共に、後述のように部品実装部3に電子部品5を実装するにあたって、電子部品5は開口部3a内に納められ、基材1の表面からの電子部品5の突出を小さくすることができ、電子部品5を実装したICカード用のプリント配線板を小型化することができるものである(請求項3、請求項12)。
【0072】上記の光ビームとしては、炭酸ガスレーザを用いることができる。炭酸ガスレーザは照射エネルギーの制御が容易であり、開口部3a,4を加工する際の深さの制御を容易に行なうことができると共に、炭酸ガスレーザはエポキシ樹脂などの絶縁材に対して吸収が良く、しかも銅箔等の金属箔9に作用し難く貫通したり亀裂等が生じ難いので、コンタクト端子2に与えるダメージを少なくして開口部3a,4を加工することができるものである(請求項18)。例えば、出力150W、300mJ/pulsの炭酸ガスレーザのビームを、加工面でのエネルギー密度約4J/mm2で照射して、開口部3a,4を加工することができる。
【0073】上記のように炭酸ガスレーザを照射して開口部3a,4を加工するにあたって、図6に示すように、炭酸ガスレーザLのビームのエネルギーの強度分布が開口部3a,4の全面において均一なものを用いることができる。このようにエネルギー分布が均一な炭酸ガスレーザLを用いることによって、コンタクト端子2にダメージを与えることを少なくして均一に基材1の樹脂を除去して開口部3a,4を加工することができるものである(請求項24)。
【0074】また炭酸ガスレーザを照射して開口部3a,4を加工するにあたって、図7に示すように、炭酸ガスレーザLのビームのエネルギーの強度分布が開口部3a,4の周部ほど高くなるものを用いることができる。このようにエネルギー分布が周部で高い炭酸ガスレーザLを用いて開口部3a,4を加工することによって、基材1としてガラス繊維含有のものを用いる場合に、開口部3a,4の内周に突出するガラス繊維を炭酸ガスレーザLで消失させることができ、開口部3a,4の内周にガラス繊維が突出することをなくして、開口部3a,4の内周を平滑にすることができるものである(請求項25)。
【0075】上記のように炭酸ガスレーザは金属箔9に作用し難いが、熱の逃げ場がないときには、金属箔9にダメージを与えるおそれがある。そこで図8の実施の形態では、図8(a)のように開口部3a,4を加工する個所において金属箔9の表面に放熱板42を接触させるように設置し、そして図8(b)のように炭酸ガスレーザLを基材1に照射して開口部3a,4を加工するようにしてある。放熱板42としては熱伝導性の良好な金属板などを用いることができるものであり、炭酸ガスレーザLの照射による熱を放熱板42で破線矢印のように放熱させることによって、金属箔9の熱ダメージを低減することができるものである(請求項26)。
【0076】また、図9の実施の形態では、冷却水供給パイプ43を接続して冷却水を循環させるように形成した水冷管44を用い、図9(a)のように開口部3a,4を加工する個所において金属箔9の表面に水冷管44を接触させるように設置し、そして図9(b)のように炭酸ガスレーザLを基材1に照射して開口部3a,4を加工するようにしてある。このものでは、炭酸ガスレーザLの照射による熱を水冷管44で冷却することができるものであり、金属箔9の熱ダメージを低減することができるものである(請求項27)。
【0077】上記のように炭酸ガスレーザの照射で開口部3a,4を加工するにあたって、炭酸ガスレーザのビームモードがシングルモードの場合、図10(c)のようにビーム径の中心部のパワーが強いので、開口部3a,4の中心部において開口部3a,4の底面の金属箔9に熱が集中してダメージが発生するおそれがある。そこで図10の実施形態では、炭酸ガスレーザLのビーム光路の中心にビーム減衰用フィルター45を配置するようにしてある。ビーム減衰用フィルター45は光の透過率が70〜90%程度の合成石英等を用いることができるものであり、直径を炭酸ガスレーザLのビーム径より小さいビーム減衰用フィルター45を図10(a)(b)のように複数本の金属線46で支持して、炭酸ガスレーザLのビーム光路の中心に配置するようにしてある(図10(b)において炭酸ガスレーザLのビームの範囲を点線で示す)。このように炭酸ガスレーザLのビーム光路の中心にビーム減衰用フィルター45を配置した状態で、炭酸ガスレーザLを照射して開口部3a,4を加工することによって、ビーム径の中心部のパワーを減衰させ、開口部3a,4の中心部において金属箔9に熱が集中してダメージが発生することを防ぐことができるものである(請求項28)。
【0078】また、基材1に積層した金属箔9として、基材1への密着面を酸化処理したものを用いるのが好ましい。銅箔などの金属箔9の表面を酸化処理することによって、金属箔9の表面を暗色に着色することができると共に表面が粗面化される。従ってこのような金属箔9で形成されるコンタクト端子2の基材1に密着している面は着色されていると共に粗面化されているので、基材1に炭酸ガスレーザLを照射して図11のように開口部3a,4を加工するにあたって、コンタクト端子2の表面での炭酸ガスレーザLの反射率は低くなり、コンタクト端子2の近傍の基材1の温度を上昇させることができ、開口部3a,4の底部に炭酸ガスレーザLの照射で除去されない樹脂が残存することを低減することができるものである(請求項22)。
【0079】金属箔9として基材1への密着面をこのように酸化処理したものを用いる他に、金属箔9として基材1への密着面を粗面化処理したものを用いることもできる。粗面化処理は例えば、30℃の塩化銅2%、塩酸7%のエッチング用水溶液を用い、金属箔9をこのエッチング用水溶液に30分間浸漬することによって行なうことができる。このような金属箔9で形成されるコンタクト端子2の基材1に密着している面は粗面化されているので、上記と同様に基材1に炭酸ガスレーザLを照射して開口部3a,4を加工するにあたって、コンタクト端子2の表面での炭酸ガスレーザLの反射率は低く、コンタクト端子2の近傍の基材1の温度を上昇させて、開口部3a,4の底部に炭酸ガスレーザLの照射で除去されない樹脂が残存することを低減することができるものである(請求項23)。
【0080】ガラスエポキシ樹脂積層板などガラスクロス等のガラス繊維を有する基材1に炭酸ガスレーザLを照射して開口部3a,4を加工するにあたって、炭酸ガスレーザLの照射の際にガラス繊維は殆ど溶融して蒸発するが、図12(a)のように溶融不足のために一部のガラス繊維49が球状になって開口部3a,4に残留するおそれがあり、このようにガラス繊維が残留するとワイヤボンディングの信頼性が低下するおそれがある。そこで図11の実施の形態では、炭酸ガスレーザLを照射して開口部3a,4を加工した後、図12(b)のようにノズル50から高圧水51を開口部3a,4に噴出させる処理をするようにしてある。高圧水51による処理条件は、水圧3〜50kg/cm2、時間3〜30秒が好ましい。このように、高圧水15で開口部3a,4を処理することによって、開口部3a,4内の残留ガラス繊維49を除去することができ、ワイヤボンディングの信頼性を向上させることができるものである(請求項29)。
【0081】ここで、ガラスエポキシ樹脂積層板などガラスクロス53を有する基材1を用いる場合、ガラスクロス52の縦糸や横糸を構成するガラス繊維54の密度が高い場合、図13(b)のように開口部3a,4を形成する個所にこのガラス繊維54が位置し、炭酸ガスレーザを照射して開口部3a,4を加工するにあたって、図12(a)の場合と同様うに開口部3a,4内に残留ガラス繊維49が残るおそれがある。そこで図13(a)の実施の形態では、縦糸や横糸を構成するガラス繊維54の密度を疎にしたガラスクロス53で作製したガラスエポキシ樹脂積層板などで基材1を形成し、開口部3a,4を形成する個所にこのガラス繊維54が存在しないようにしてある。このように、開口部3a,4を形成する個所にガラスクロス53の繊維54が存在しない基材1を用いて開口部3a,4を加工することによって、開口部3a,4内に残留ガラス繊維49が残るようなことがなくなるものである。しかも、炭酸ガスレーザでガラス繊維を蒸発させるような必要がなくなるので、開口部3a,4を加工する際の炭酸ガスレーザのパワーを低くすることが可能になり、開口部3a,4の底部の金属箔9のダメージを抑制することもできるものである(請求項30)。
【0082】また、図14の実施の形態では、ガラスエポキシ樹脂積層板などガラスクロス53を有する基材1を用いるにあたって、開口部3a,4を形成する個所にガラスクロス53の縦糸や横糸を構成するガラス繊維54が位置しないように、部分的に打ち抜いたガラスクロス53で形成した基材1を用いるようにしている。すなわち、まず図14(a)のように、打ち抜き具56によって開口部3a,4を形成する個所に、開口部3a,4の径よりも大きな開口孔57を加工し、このガラスクロス53を用いて基材1を作製する。つまり、基材1にエポキシ樹脂ワニス等の熱硬化性樹脂ワニスを含浸すると共にこれを積層成形して図14(b)のような金属箔9張りの基材1を作製するものである(図14(b)の基材1は片面の金属箔9を除去してある)。そして、この図14(b)ようにガラスクロス53に開口孔57を加工した個所において、基材1に炭酸ガスレーザを照射して開口部3a,4を加工するものである。このように、開口部3a,4を形成する個所にガラスクロス53の繊維が存在しない基材1を用いて開口部3a,4を加工することによって、開口部3a,4内に残留ガラス繊維49が残るようなことがなくなるものである。しかも、炭酸ガスレーザでガラス繊維を蒸発させるような必要がなくなるので、開口部3a,4を加工する際の炭酸ガスレーザのパワーを低くすることが可能になり、開口部3a,4の底部の金属箔9のダメージを抑制することもできるものである(請求項31)。
【0083】上記のように光ビームの照射で開口部3a,4を加工するにあたって、開口部3a,4に樹脂層が残存するおそれがある。特に、光ビームとして炭酸ガスレーザを用いる場合、レーザ波長の影響で厚み1μ程度の樹脂層が残存し易い。そこで、光ビームの照射で基材1にコンタクト端子2が底面となる開口部3a,4を加工した後、開口部3a,4の側面及び開口部3a,4の底部を洗浄して、開口部3a,4の底部となるコンタクト端子2の表面に残存する樹脂を除去すると共に、開口部3a,4の側面や周囲に残存する樹脂を除去し、後述のように開口部4を通してコンタクト端子2にボンディングワイヤー6をボンディングする際の接続信頼性を高め、また部品実装部3となる開口部3aに電子部品を実装する際の実装信頼性を高めるようにする(請求項32)。
【0084】この開口部3a,4の側面及び開口部3a,4の底部の残存樹脂を除去する洗浄は、開口部3a,4を過マンガン酸カリウム液で処理することによって行なうことができる。開口部3a,4を加工した基材1を図15のように籠20等に入れて、処理槽19中の過マンガン酸カリウム液21に浸漬することよってこの処理を行なうことができるものであり、例えば、80℃に調整したシプレイ社の「MLB211」液に5分間浸漬して膨潤処理した後、過マンガン酸カリウム含有溶液であるシプレイ社の「MLB213」液を80℃に加温した液中に5分間浸漬させて酸化分解処理を行ない、次いで水洗した後に10%硫酸水溶液に5分間浸漬して処理残さを中和後、さらに水洗を行なう工程で、過マンガン酸カリウム液による処理を行なうことができる(請求項33)。
【0085】また、開口部3a,4の側面及び開口部3a,4の底部の残存樹脂を除去する洗浄は、開口部3a,4にエキシマレーザを照射することによっても行なうことができる。例えば、加工エネルギー密度3.0mJ/cm2/pulse、繰り返し周波数100Hz、10ショットの条件で開口部3a,4の底部に図16のようにエキシマレーザEを照射することによって行なうことができる。このエキシマレーザを照射して開口部3a,4の側面や底部を洗浄する方法では、エキシマレーザを照射する箇所の選択で、洗浄する箇所を任意に選択することが可能である(請求項34)。
【0086】金属箔9、例えば銅箔に対するエキシマレーザの反射率は一般に20〜30%程度であり、開口部3a,4の底面の金属箔9でエキシマレーザが反射すると、樹脂の除去の効率が低下する。そこで、図17のように、エキシマレーザEを照射する周辺部に反射板41を設置し、金属箔9から反射するエキシマレーザEを反射板41で反射させて再度このエキシマレーザが開口部3a,4に作用するようにして、残留樹脂の除去の効率を高めるようにしてある。またこのようにエキシマレーザEの照射部を囲むように反射板41を設けることによって、エキシマレーザEの漏れを抑えることができ、安全性を高めることができるものである(請求項35)。
【0087】ここで、上記のように金属箔(銅箔)9として基材1への密着面を粗面に形成したものを用いる場合、開口部3a,4の底面には金属箔9で形成されるコンタクト端子2の粗面が面することになり、開口部4を通してコンタクト端子2にボンディングワイヤー6をボンディングする際の接続信頼性が低下するおそれがある。一方、エキシマレーザは紫外域で短波長であるため、樹脂の他に銅など金属に対する吸収率が高く、上記のように開口部3a,4内の残留樹脂を除去する洗浄をエキシマレーザの照射で行なう場合、残留樹脂の除去と同時に、開口部3a,4の底面の金属箔9の極表面層(1μm程度の厚み)を溶融させて、開口部3a,4の底面の金属箔9の粗面を平滑化することができるものである。また金属箔9の粗面の平滑化に加えて、金属箔9の表面の清浄化を行なうことができるものであり、さらにエキシマレーザは短波長であることに加え、加工レートもμm単位で制御できるために、金属箔9に貫通や亀裂等の損傷を与えることがなくなるものである。
【0088】上記のようにエキシマレーザの照射で、開口部3a,4内の残留樹脂の除去に加えて、開口部3a,4底面の金属箔9の平滑化や清浄化を行なうにあたっては、エキシマレーザの照射条件を3〜10J/cm2、10〜30ショットの範囲に制御するのが好ましい。照射がこれより低パワー、すなわち強度が3J/cm2未満でショット数が10未満であると、開口部3a,4底面の金属箔9の平滑化や清浄化をする改質が不充分になり、逆に照射がこれより高パワー、すなわち強度が10J/cm2を超えショット数が30を超えると、金属箔9の平滑化は可能であるが、レーザ衝撃波の影響で新たな凹凸が形成されるおそれがある(請求項36)。
【0089】また、上記のようにエキシマレーザの照射で、開口部3a,4内の残留樹脂の除去に加えて、開口部3a,4の底面の金属箔9の平滑化や清浄化を行なうにあたっては、エキシマレーザの反射光をモニタリングしながらエキシマレーザの照射を行なうのが好ましい。エキシマレーザの反射光のモニタリングはパワーメータ58を用いて行なうことができるものであり、図18に示すように、パワーメータ58をエキシマレーザEの照射部の近傍において、反射光が開口部3a,4の壁面から陰にならない個所に設置するのが好ましく、またなるべくエキシマレーザEの照射面と垂直な面に対して大きな角度を持った位置に設置するのが好ましい。そして、エキシマレーザの照射の初期では、開口部3a,4の底面の金属箔9の表面にはまだ凹凸があるため、エキシマレーザの乱反射が大きく、パワーメータ58に入力される反射光の光量が多いが、エキシマレーザの照射が継続されると、金属箔9の表面層の溶融によって開口部3a,4の底面の金属箔9の表面が平滑化され、乱反射が少なくなってパワーメータ58に入力される反射光の光量が少なくなる。従って、パワーメータ58でエキシマレーザの反射光をモニタリングしながらエキシマレーザの照射を行なうことによって、開口部3a,4の底面の金属箔9の表面の平滑度を管理することができるものであり、開口部3a,4の底面の金属箔9の表面の平滑度のばらつきを小さくすることができるものである(請求項37)。
【0090】開口部3a,4内の残留樹脂の除去に加えて、開口部3a,4の底面の金属箔9の平滑化や清浄化を行なうにあたっては、短パルス赤外光レーザを用いることも好ましい。パルス幅がμsecオーダーの一般的な赤外域のレーザは、熱加工で銅などの金属箔9に対する吸収率が低いため、金属箔9の表面にレーザを照射しても大部分のレーザ光が反射され、残りのレーザ光についても金属箔9内を熱拡散し、金属箔9の表面を平滑化することが困難である。これに対して、赤外域のレーザでも、パルス幅が10-15〜10-12(すなわち1から1000フェムト)secの短パルス赤外光レーザを用いると、ピークパワーが高いことと、加工形態が熱加工からアブレーション加工へ変わることのために、銅箔など金属箔9への加工が可能になり、開口部3a,4の底面の金属箔9の平滑化や清浄化を行なうことが出来るものである。この短パルス赤外光レーザの照射条件は、10〜50J/cm2、10〜50ショット程度が好ましく、またパルス幅は10〜50fs程度が好ましい(請求項38)。
【0091】また、開口部3a,4の側面及び開口部3a,4の底部の樹脂を除去する洗浄は、開口部3a,4をプラズマ処理することによっても行なうことができる。例えば、真空槽22を0.0001Torrまで排気した後、真空槽22にArガス(流量50cc/min)と酸素ガス(流量50cc/min)の混合ガスを導入し、あるいは必要に応じてCF4ガス(流量50cc/min)を追加導入して真空槽22中の圧力を0.1Torrにし、そしてこの真空槽22内に開口部3a,4を加工した基材1を図19のように設置し、プラズマ印加電力60W(高周波13.56MHz)を数分間印加することによってプラズマ23を発生させ、プラズマ23で開口部3a,4の側面や底部を洗浄することができる。このプラズマで開口部3a,4の側面や底部を洗浄するようにすれば、基板1に対するダメージを少なくすることができるものである(請求項39)。
【0092】また、開口部3a,4の側面及び開口部3a,4の底部の樹脂を除去する洗浄は、開口部3a,4をサンドブラスト処理することによっても行なうことができる。例えば粒径5μmのアルミナ粉を砥粒24として用い、サンドブラスト装置によって砥粒24をエア圧5kg/cm2で図20のように数秒間、開口部3a,4が開口する側から基材1に噴射することによって行なうことができる。サンドブラスト処理は、砥粒24が衝突する面だけが処理を受ける異方性加工であるので、開口部3a,4の内周面の樹脂にはダメージを与えないようにすることができるものである(請求項40)。
【0093】上記のようにサンドブラスト処理して、開口部3a,4の側面及び開口部3a,4の底部の樹脂を除去する洗浄を行なうにあたって、図21の実施の形態では、開口部3a,4にサンドブラストの砥石24を吹き付けながら、ノズル47から液体48を開口部3a,4に吹き付けるようにしてある。この液体48としては水などを用いることができるものであり、開口部3a,4の底面の金属箔9を傷付けない程度の水圧であれば、高圧水処理でもよい。この場合の水圧は3〜10kg/cm2程度が好ましい。そしてこのようにサンドブラスト処理をしながら開口部3a,4に液体48を吹き付けることによって、サンドブラスト処理で開口部3a,4内から削られた残留樹脂を液体48で洗い流すことができるものである(請求項41)。
【0094】上記の液体48としては、水の他に、アルカリ溶液を用いることができる。アルカリ溶液としては過マンガン酸カリウム水溶液などを用いることができるものであり、このようにサンドブラスト処理で開口部3a,4内から削られた残留樹脂を洗い流す液体48として、アルカリ溶液を用いることによって、アルカリ溶液を残留樹脂と反応させて残留樹脂の除去の効果を高めることができるものである(請求項42)。
【0095】また上記のようにサンドブラスト処理して、開口部3a,4の側面及び開口部3a,4の底部の樹脂を除去する洗浄を行なうにあたって、砥粒24を開口部3a,4の底面の金属箔9の表面に衝突させることによって、開口部3a,4の底面の金属箔9の粗面を平滑化し、また清浄化することができる。この場合、砥粒24の粒径が小さい程、金属箔9の表面の平滑化の効果が大きく、砥粒24の粒径は5μm以下が好ましい。
【0096】しかし、図22(a)のように角張った形状の砥粒24を用いてサンドブラスト処理を行なう場合、金属箔9の表面の粗面の凹凸は図22(b)のように小さくなるが、平滑面にすることは難しい。そこで図23の実施の形態では、図23(a)のように球形の砥粒24を用いてサンドブラスト処理を行なうようにしている。このように球形の砥粒24を用いてサンドブラスト処理を行なうと、金属箔9の表面の粗面の凹凸が潰れ、図23(b)のように金属箔9の表面を平滑化することができるものである。この砥粒24の材質はガラスビーズが好ましく、粒径は5μm以下が好ましい(請求項43)。
【0097】また、開口部3a,4の側面及び開口部3a,4の底部の残留樹脂を除去する洗浄は、開口部3a,4をフッ化アンモニウム処理することによっても行なうことができるものであり、開口部3a,4を加工した基材1を図15のように籠20等に入れてフッ化アンモニウム液25に浸漬することによってこの処理を行なうことができる。フッ化アンモニウム処理することによって、開口部3a,4の内周に突出しているガラス繊維を除去することもできるものである(請求項44)。
【0098】尚、基材1の開口部3a,4の側面及び開口部3a,4の底部の残留樹脂を除去する洗浄を、エキシマレーザの照射、サンドブラスト処理、フッ化アンモニウム処理で行なう場合は、これらの処理で同時に、開口部3a,4の底面の金属箔9の粗面を平滑化することが可能であるが、過マンガン酸カリウム液で処理する場合や、プラズマ処理で行なう場合は、開口部3a,4の底面の金属箔9の粗面を平滑化することはできない。そこで、開口部3a,4の側面及び開口部3a,4の底部の残留樹脂を除去する洗浄を、過マンガン酸カリウム液による処理や、プラズマ処理で行なう場合は、これらの処理で残留樹脂を除去した後、図24に示すように、プレス処理して開口部3a,4の底面の金属箔9の粗面を平滑化するのが好ましい。プレス処理は、基材1を押さえ台61の上に置き、プレス型62で開口部3a,4の底面の金属箔9をプレスすることによって、行なうことができる。このようにプレスすることによって、上記の各場合よりも、開口部3a,4の底面の金属箔9の表面をより平滑化することができ、ワイヤーボンディングの信頼性が一層高まるものである(請求項45)。
【0099】また、基材1の開口部3a,4の残留樹脂を除去する洗浄したり、金属箔9の平滑化や清浄化をするにあたっては、上記の各処理の他に、機械的切削等によってもよい。
【0100】上記のように基材1に開口部3a,4を加工した後、開口部3a,4の残留樹脂を洗浄したり金属箔9の平滑化や清浄化をする他、開口部3a,4の底面に面するコンタクト端子2の表面を塩酸等の酸で酸洗し、コンタクト端子2のこの部分の粗度をさらに下げて平滑化するようにするのが好ましい。開口部3a,4の底面に面するコンタクト端子2の表面の粗度をこのようにさらに下げることによって、後述のように開口部4を通してコンタクト端子2にボンディングワイヤー6をボンディングする際の接続信頼性を高め、また部品実装部3となる開口部3aに電子部品を実装する際の実装信頼性を高めることができるものである(請求項13)。
【0101】このように酸洗を行なった後、コンタクト端子2の露出する外面にメッキレジストを貼着し、開口部3a,4の底部に面する部分のコンタクト端子2に仕上げメッキ10bを図2(e)のように形成する。この仕上げメッキ10bはNiメッキを施した後にこの上にさらに無光沢Auメッキを施すことによって形成することができる。仕上げメッキ10bを形成した後、メッキレジストを除去する。ここで、コンタクト端子2の露出する外面に設ける既述の仕上げメッキ10aと、このコンタクト端子2の開口部3a,4の底部に面する部分に設ける仕上げメッキ10bとは、別の工程で形成することができるものであり、従って、コンタクト端子2の露出する外面に設ける仕上げメッキ10aはNiメッキと光沢Auメッキで施し、またコンタクト端子2の開口部3a,4の底部に面する部分に設ける仕上げメッキ10bはNiメッキと無光沢Auメッキで施すというように、異なる種類のメッキに形成することが可能になるものである(請求項9)。尚、仕上げメッキ10a,10bで異なるメッキを施す必要がない場合には、開口部3a,4を形成した後、コンタクト端子2の開口部3a,4の底部に面する部分とコンタクト端子2の露出する外面に、同時に同じ種類(例えばNiメッキと無光沢Auメッキ)のメッキを施すようにしてもよい。
【0102】上記のようにして本発明に係るプリント配線板Aを作製することができるものであり、部品実装部3を構成する開口部3aにIC等の電子部品5を納めて開口部3aの底面のコンタクト端子2に接着し(従ってこのコンタクト端子2は電子部品5を保持する機能を有する)、そしてボンディングワイヤー用の開口部4を通してボンディングワイヤー6で電子部品5とコンタクト端子2を接続し、さらに封止樹脂7をポッティングして封止することによって、図1(a)のようなICカード用モジュールとして仕上げることができるものである。尚、上記の実施の形態では、基材1に開口部3aを設けてキャビティとして部品実装部3を形成するようにしたが、このような開口部3aを設けず、図1(b)のように基材1の表面を部品実装部3として電子部品5を実装するようにしてもよい。
【0103】そしてこのように電子部品5を実装したICカード用のプリント配線板Aを、カード本体1の凹部26にはめ込んで取り付けることによって、図25に示すようなICカードBを作製することができるものである(請求項5)。
【0104】尚、図26(a)は、光ビームとして炭酸ガスレーザを用いて、加工エネルギー16.7mJ/P、発振電流値13.0A、パルス幅16μs、ショット数3の条件で、基材1に開口部3a,4を加工した状態を示すものであり、開口部3a,4の底部には樹脂67が残留している。ここで基材1は厚み70μmのガラスエポキシ積層板で形成してあり、金属箔9は厚み18μmの銅箔で形成してある。図27(a)は図26(a)の開口部3a,4を撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示すものであり、図27(b)はさらに拡大して開口部3a,4の底面を撮影したSEM写真である。図26(b)は開口部3a,4にエキシマレーザを照射して開口部3a,4の底面の残留樹脂67を除去した状態を示すものであり、図28(a)はこのときの開口部3a,4の底面を撮影したSEM写真である。図26(c)は開口部3a,4を塩酸で酸洗して開口部3a,4の底面の金属箔9の表面を平滑化した状態を示すものであり、図28(b)はこのときの開口部3a,4の底面を撮影したSEM写真である。図26(d)は開口部3a,4の底面の金属箔9の表面に厚み1μmのNiめっきと厚み0.3μmのAuめっきからなる仕上げめっき10bを施した状態を示すものであり、図28(c)はこのときの開口部3a,4の底面を撮影したSEM写真である。図28のSEM写真にみられるように、エキシマレーザの照射によって開口部3a,4の底面の残留樹脂67を除去することができ、酸洗によって開口部3a,4の底面の金属箔9の表面を平滑化することができるとともに、仕上げめっき10bの状態が良好になることが確認される。
【0105】また図29及び図30は、エキシマレーザの照射条件を変えて基材1の開口部3a,4に図16のようにエキシマレーザを照射したときの、開口部3a,4の底面の金属箔9の表面の状態を撮影したSEM写真を示すものであり、図29の左側は5ショットで上から1.1J/cm2、1.8J/cm2、2.5J/cm2、3.2J/cm2、3.9J/cm2、4.6J/cm2、5.3J/cm2の条件でエキシマレーザを照射したときの状態を、図29の右側は10ショットで上から1.1J/cm2、1.8J/cm2、2.5J/cm2、3.2J/cm2、3.9J/cm2、4.6J/cm2、5.3J/cm2の条件でエキシマレーザを照射したときの状態を、図30の左側は15ショットで上から1.1J/cm2、1.8J/cm2、2.5J/cm2、3.2J/cm2、3.9J/cm2、4.6J/cm2、5.3J/cm2の条件でエキシマレーザを照射したときの状態を、図30の右側は20ショットで上から1.1J/cm2、1.8J/cm2、2.5J/cm2、3.2J/cm2、3.9J/cm2、4.6J/cm2、5.3J/cm2の条件でエキシマレーザを照射したときの状態をそれぞれ示す。
【0106】さらに図31及び図32は、エキシマレーザの照射条件を変えて基材1の開口部3a,4に図16のようにエキシマレーザを照射し、さらに開口部3a,4の底面の金属箔9の表面にNiめっきとAuめっきからなる仕上げメッキ10bを施したときの、開口部3a,4の底面の金属箔9の断面の状態を撮影したSEM写真を示すものであり、図31の左側は5ショットで上から1.1J/cm2、1.8J/cm2、2.5J/cm2、3.2J/cm2、3.9J/cm2、4.6J/cm2、5.3J/cm2の条件でエキシマレーザを照射したときの状態を、図31の右側は10ショットで上から1.1J/cm2、1.8J/cm2、2.5J/cm2、3.2J/cm2、3.9J/cm2、4.6J/cm2、5.3J/cm2の条件でエキシマレーザを照射したときの状態を、図32の左側は15ショットで上から1.1J/cm2、1.8J/cm2、2.5J/cm2、3.2J/cm2、3.9J/cm2、4.6J/cm2、5.3J/cm2の条件でエキシマレーザを照射したときの状態を、図32の右側は20ショットで上から1.1J/cm2、1.8J/cm2、2.5J/cm2、3.2J/cm2、3.9J/cm2、4.6J/cm2、5.3J/cm2の条件でエキシマレーザを照射したときの状態をそれぞれ示す。
【0107】図29、図30、図31、図32にみられるように、3〜10J/cm2、10〜30ショットの条件でエキシマレーザを照射することによって、開口部3a,4内の残留樹脂の除去に加えて、開口部3a,4底面の金属箔9の平滑化を行なうことができ、さらに仕上げめっき10bの状態も良好になることが確認される(請求項36)。
【0108】図33は開口部4の底面の金属箔9の表面に厚み5μmのNiめっきと厚み0.3μmのAuめっきからなる仕上げめっき10bを施した後に、ボンディングワイヤー6をボンディングした状態を示すものであり、左の開口部4にはキャピラリで第1接点に行なうファーストボンディング70aをワーク表面温度150℃、超音波時間50msecの条件で施し、右の開口部4bにはキャピラリで第2接点に行なうセカンドボンディング70bをワーク表面温度150℃、超音波時間50msecの条件で施すようにしてある。図34は開口部4の底面の金属箔9に施したボンディング70a,70bの状態を撮影したSEM写真であり、図34(a)は開口部4の底面の金属箔9の表面状態が良い(凹凸が小さい)ときのファーストボンディング70aの状態を、図34(b)は開口部4の底面の金属箔9の表面状態が良いときのセカンドボンディング70bの状態を、図34(c)は開口部4の底面の金属箔9の表面状態が悪い(凹凸が大きい)ときのファーストボンディング70aの状態を、図34(d)は開口部4の底面の金属箔9の表面状態が悪いときのセカンドボンディング70bの状態を示すものである。
【0109】上記の図2の態様では、基材1の一方の片面の金属箔9を回路形成加工してコンタクト端子2を形成すると共に基材1の他方の片面の金属箔9をエッチング除去した後に、基材1の金属箔9をエッチング除去した面において開口部3a,4を加工するようにしているが、図35に示す態様では、図35(a)のように両面に金属箔9,9を張った基材1を用い、そして各金属箔9,9にエッチングレジストの貼着、露光・現像を行なった後にエッチング処理することによって、図35(b)に示すように、基材1の一方の片面の金属箔9を回路形成加工してコンタクト端子2を形成すると共に基材1の他方の片面の金属箔9に開口孔14をエッチングで形成するようにしてある。開口孔14は開口部3a,4を基材1に加工する位置において、開口部3a,4の径と等しい開口径で形成してある。そしてこのように開口孔14によって露出する基材1に炭酸ガスレーザを照射することによって、図35(c)のように基材1に開口部3a,4を加工するようにしてある。
【0110】ここで、炭酸ガスレーザLはビームの光束の径D2が、開口部3a,4の径D1(開口孔14の径もD1)よりも大き目のものを用いるものであり、図36に示すように光束の径D2が開口部3a,4の径D1よりも大きい炭酸ガスレーザLを照射しても、炭酸ガスレーザLの周部は金属箔9がマスクとなって遮られて開口孔14を通過する炭酸ガスレーザLのみが基材1に照射され、開口孔14の径D2と同じ大きさの径に開口部3a,4を形成することができる。このようにして、炭酸ガスレーザLとして光束の径が開口部3a,4の径と正確に同じものを用いる必要なく、また炭酸ガスレーザLの照射位置を正確に設定する必要なく、金属箔9に形成した開口孔14の位置に、開口孔14と同じ径で、精度の高い開口部3a,4を形成することができるものである(請求項19)。
【0111】また、炭酸ガスレーザLとして、図37のように直線状のビームに形成されたものを用い、ビームの長手方向と垂直な方向で基材1の上に沿って炭酸ガスレーザLを走査させながら、基材1の全面に炭酸ガスレーザLを照射するようにしてもよい。このように基材1の全面に炭酸ガスレーザLを照射しても、金属箔9がマスクとなって炭酸ガスレーザLは開口孔14を通してのみ基材1に作用し、開口孔14を設けた部分に開口部3a,4を形成することができるものである。そしてこのように、直線状のビームに形成された炭酸ガスレーザLを走査させて基材1に炭酸ガスレーザを照射することによって、開口部3a,4を形成することができるので、開口部3a,4の加工を生産性高く行なうことができるものである(請求項20)。
【0112】また上記のように金属箔9をマスクとして用いて炭酸ガスレーザを照射して開口部3a,4を加工するにあたって、図38(a)のように、金属箔9に形成した開口孔14の周囲の金属箔9をエッチング除去して、絶縁部15を形成しておくのがよい。この絶縁部15は基材1の開口部4の全周を囲むと共に、開口部4と開口部3aとの間の部分にも設け、さらに開口部3aの周囲の全周を囲むように設けるのが好ましい。このように開口孔14の周囲に絶縁部15を形成しておくと、この金属箔9を残したままプリント配線板Aを作製する場合、図38(b)に示すように、開口部4の周囲の金属箔9にボンディングワイヤー6が接触しても、絶縁部15によって短絡が発生することを防止することができるものである(請求項21)。
【0113】開口部3a,4を加工する光ビームとしては、高調波YAGレーザを用いることもできる。高調波YAGレーザを用いることによって、基材1の絶縁層を除去して開口部3a,4を加工することができると共に、開口部3a,4内の残留樹脂の除去や、開口部3a,4の底部の金属箔9の表面の平滑化や清浄化を同時に行なうことができるものである。特にYAG第3高調波(波長355nm)は基材1の絶縁層や銅箔などの金属箔9の吸収率が良く、発振パワーが比較的高いため、この加工に適しているものであり、またビーム集光性も良いために、小径の開口部3a,4の加工に適しているものである。照射条件は、10〜50J/cm2、10〜50ショット程度が好ましい。
【0114】また、上記の実施の形態では、光ビームとして炭酸ガスレーザ等を用いるようにしたが、光ビームとしてSHG(second harmonic generation)−YAGレーザ、THG(third harmonic generation)−YAGレーザ、SHG−YLFレーザ、THG−YLFレーザを用いることもできる。これらのSHG−YAGレーザ、THG−YAGレーザ、SHG−YLFレーザ、THG−YLFレーザは銅箔などの金属箔9にも作用させることができるので、基材1から金属箔9を除去する必要なく、金属箔9の上から基材1に開口部3a,4を形成することが可能になるものである(請求項46)。またエッチング加工等をする必要なく、SHG−YAGレーザやTHG−YAGレーザ、SHG−YLFレーザ、THG−YLFレーザのうち一つ以上の照射で金属箔9に回路形成加工を行なってコンタクト端子2を形成することができるものである(請求項47)。
【0115】すなわち、図39(a)のように両面に金属箔9,9を張った基材1を用い、そして図39(b)のように各金属箔9,9にSHG−YAGレーザLやTHG−YAGレーザL、SHG−YLFレーザL、THG−YLFレーザLを照射することによって、一方の金属箔9の不要部分を消失させてコンタクト端子2を形成すると共に、他方の金属箔9とともに基材1を消失させることによって、金属箔9を通して基材1に開口部3a,4を形成することができるものである。
【0116】また、このようにしてSHG−YAGレーザやTHG−YAGレーザ、SHG−YLFレーザ、THG−YLFレーザの照射で金属箔9を回路形成加工してコンタクト端子2を形成した後、このコンタクト端子2を形成した面の基材1を液体ホーニング処理あるいはサンドブラスト処理して、残存する金属箔を除去するのが、コンタクト端子2の回路信頼性を高める上で好ましい(請求項48)。
【0117】また上記のようにSHG−YAGレーザやTHG−YAGレーザ、SHG−YLFレーザ、THG−YLFレーザを照射することによって、金属箔9を通して基材1に開口部3a,4を加工するにあたって、図40に示すように、同時に開口部3a,4の周囲の金属箔9を除去するようにするのが好ましい。この場合、金属箔9の除去は図38(a)のように行なうようにしてもよい。このように開口部3a,4の周囲の金属箔9を除去しておけば、この金属箔9を残したままICカード用プリント配線板Aを作製する場合、開口部4の周囲の金属箔9にボンディングワイヤー6が接触することがなくなり、短絡が発生することを防止することができるものである(請求項49)。
【0118】上記のようにしてSHG−YAGレーザやTHG−YAGレーザ、SHG−YLFレーザ、THG−YLFレーザを照射して基材1にコンタクト端子2と開口部3a,4を設けた後、コンタクト端子2の露出する外面にNiメッキ及び光沢Auメッキを施して仕上げメッキ10aを形成し、次にこのコンタクト端子2の露出する外面にメッキレジストを貼着して開口部3a,4の底部に臨むコンタクト端子2の表面にNiメッキ及び無光沢Auメッキを施して仕上げメッキ10bを形成し、そしてメッキレジストを除去してプリント配線板Aに仕上げることができるものである。
【0119】次に、開口部3a,4の加工をサンドブラスト処理することによって行なうようにした実施の形態を説明する。基材1としては、既述のように図41(a)に示すような、両面に銅箔などの金属箔9,9を張った長尺のフレキシブル両面金属張り樹脂積層板1aを用いることができるものであり、既述の場合と同様にスプロケット穴12を形成して使用することができる。
【0120】そしてまず、基材1の一方の金属箔9をエッチング除去して基材1の片面を露出させた後、図41(b)のように露出させた基材1の表面と基材1の片面の金属箔9の表面にそれぞれ感光性のブラスト用レジスト30を貼着し、露光・現像する。露光・現像によって、基材1の表面のブラスト用レジスト30には開口部3a,4を形成する部分に開口孔31aを形成し、金属箔9の表面のブラスト用レジスト30にはコンタクト端子2を形成する箇所以外の部分に開口孔31bを形成するようにしてある。
【0121】次に、基材1の両面に図42のようにサンドブラスト処理を行なう。例えば、粒径5μmのアルミナ粉を砥粒24として用い、サンドブラスト装置によって砥粒24をエア圧5kg/cm2で数秒間噴射することによって行なうことができる。このように砥粒24を噴射してサンドブラスト処理すると、図41(c)に示すように、ブラスト用レジスト30で被覆されていない部分の基材1に開口孔31aを通して砥粒24が作用し、基材1に開口部3a,4を加工することができると共に、ブラスト用レジスト30で被覆されていない部分の金属箔9に開口孔31bを通して砥粒24が作用し、金属箔9を回路形成加工してコンタクト端子2を形成することができるものである。サンドブラスト処理は、砥粒24が衝突する面だけが処理を受ける異方性加工であるので、開口部3a,4の内周面の樹脂にはダメージを与えないようにすることができる。
【0122】このように、サンドブラスト処理で開口部3a,4を加工するにあたって、ブラスト用レジスト30に形成する開口孔31a,31bの寸法や間隔に応じて、開口部3a,4を小さな径で加工することが可能になると共に開口部3a,4の間隔も小さく設定して加工することが可能になり、小さな開口部3a,4を高密度に配置して基材1に形成することができるものであり、プリント配線板の小型化が可能になるものである(請求項7)。
【0123】また、上記のように基材1の両面にサンドブラスト処理を行なって、基材1に開口部3a,4を加工すると同時に金属箔9を回路形成加工してコンタクト端子2を形成することができるものであり、工程を少なくして生産性を高めることができるものである(請求項14)。
【0124】ここで、サンドブラスト処理を行なうにあたって、図43に示すように、砥粒24を噴射するブラストノズル13を両側から挟み込むように一対のエアーノズル32からエアーを吹き付けることによって、砥粒24を扇状にブラストノズル13から噴射させるようにすることができる。このように砥粒24を扇状に拡げて噴射させるようにすれば、基材1に幅方向に亘って砥粒24を吹き付けることができるものであり、ブラストノズル13を横移動や首振りなどさせる必要がなくなって、装置の構造を簡単なものにすることができるものである(請求項15)。
【0125】上記のように基材1の両面にサンドブラスト処理を行なって、一方の面に開口部3a,4を加工し、他方の面に回路形成加工する場合、加工条件が異なるために、一方の面に吹き付ける砥粒24と、他方の面に吹き付ける砥粒24とで異なる種類のものを用いる必要があるが、このように異なる種類の砥粒24を基材1の両面に同時に吹き付けると、異なる種類の砥粒24が混ざって、回収して再使用することができなくなる。
【0126】そこで砥粒24を吹き付けるにあたって、図44のように、開口部3a,4を加工する側で砥粒24の噴射のエアー圧を高く設定して高い圧力で吹き付けるようにすると共に、回路形成加工する側で砥粒24の噴射のエアー圧を低く設定して低い圧力で吹き付けるようにすることによって、同じ種類の砥粒24を用いて基材1の両面に同時に吹き付けるようにしても、一方の面に開口部3a,4を加工し、他方の面に回路形成加工することができる。従って、砥粒24を回収して再使用することができるものである(請求項16)。
【0127】また砥粒24を吹き付けるにあたって、図45のように、開口部3a,4を加工する側で砥粒24の噴射量を多くすると共に、回路形成加工する側で砥粒24の噴射量を少なく設定することによって、同じ種類の砥粒24を用いて基材1の両面に同時に吹き付けるようにしても、一方の面に開口部3a,4を加工し、他方の面に回路形成加工することができる。従って、砥粒24を回収して再使用することができるものである(請求項17)。
【0128】上記のようにサンドブラスト処理を行なって基材1にコンタクト端子2と開口部3a,4を設けた後、図41(d)のようにコンタクト端子2の露出する外面にNiメッキ及び光沢Auメッキを施して仕上げメッキ10aを形成し、次にこのコンタクト端子2の露出する外面にメッキレジストを貼着して開口部3a,4の底部に臨むコンタクト端子2の表面にNiメッキ及び無光沢Auメッキを施して図41(e)のように仕上げメッキ10bを形成し、そしてメッキレジストを除去して用プリント配線板Aに仕上げることができるものである。
【0129】図46は本発明の実施の形態の他の例を示すものであり、両面銅張りガラスエポキシ樹脂積層板など、ガラス繊維を含有し、表面に金属箔9を張った基材1を用いるにあたって、コンタクト端子2を形成する金属箔9と基材1の間に、開口部3a,4を形成する個所においてマスク64を介在させたものを使用するようにしてある。すなわち、ガラスクロスなどガラス繊維基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂ワニスを含浸して樹脂含浸基材を作製し、この樹脂含浸基材を必要に応じて複数枚重ねると共にその両側を金属箔9,9で挟み込み、この際にコンタクト端子2を形成する金属箔9と基材1の間にマスク64を挟み込み、これを加熱することによって、コンタクト端子2を形成する金属箔9との間にマスク64を介在させた基材1を作製することができるものである。
【0130】マスク64は図46(a)に示すように、コンタクト端子2を形成する金属箔9と基材1の境界部分に介在されている。このマスク64はドライフィルムなどで形成されるものであり、開口部3a,4の径とほぼ同じ大きさに形成してある。そして図46(b)のように炭酸ガスレーザLなどの光ビームを照射したり、あるいはサンドブラスト処理したりして、マスク64を設けた個所において基材1に開口部3a,4を加工する。開口部3a,4の加工はマスク64が露出するまで行なうものであり、開口部3a,4の底部のマスク64を除去することによって、図46(c)のように開口部3a,4の底面に金属箔9を露出させることができる。開口部3a,4の底面の金属箔9の表面はマスク64で被覆されており、この部分において基材1の樹脂は金属箔9に付着していないので、マスク64を除去することによって、残留樹脂が残らない開口部3a,4を形成することができるものである(請求項50)。
【0131】マスク64の除去は、化学処理によって行なうことができる。例えば図48に示すように、開口部3a,4を加工した基材1をアンモニア水などマスク64を溶解させる化学薬品65に浸漬することによって、開口部3a,4の底面にマスク64を残すことなく除去することができるものである(請求項51)。
【0132】またマスク64の除去は、図48に示すように、基材1に開口部3a,4を加工した後、開口部3a,4に炭酸ガスレーザなどのレーザLを照射して、マスク64を蒸発させるようにして行なうこともできる(請求項52)。
【0133】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係るプリント配線板は、電子部品が実装される部品実装部を有する基材と、基材の一方の片面に設けられ表面が外部に露出して外部接点となるコンタクト端子と、基材に形成され部品実装部に実装される電子部品とコンタクト端子とを接続するボンディングワイヤーを通すために基材に他方の片面に開口させて形成される開口部とを具備して形成されるプリント配線板において、上記コンタクト端子は基材に直接密着して設けられた金属箔から形成されたものであるから、コンタクト端子を構成する金属箔を接着剤を用いて基材に貼り付けた場合のような耐熱性低下の問題がなくなり、耐熱性の高いプリント配線板を得ることができると共に、接着剤を用いない分、厚みを薄くすることができ、プリント配線板の薄型化が容易になるものである。
【0134】また請求項2の発明は、上記基材として、ガラス繊維を含有する基材を用いるようにしたので、ガラス繊維を含有する基材は、強度や電気絶縁性、耐湿性が優れており、強度や電気絶縁性、耐湿性が高いプリント配線板を得ることができるものである。
【0135】また請求項3の発明は、上記部品実装部を、基材に開口部として形成するようにしたので、部品実装部に電子部品を実装するにあたって、電子部品は開口部内に納められ、基材の表面からの電子部品の突出を小さくすることができるものであり、電子部品を実装したプリント配線板を小型化することができるものである。
【0136】また請求項4の発明は、上記部品実装用開口部とボンディングワイヤー用開口部との間の間隔を、ボンディングワイヤー用開口部の径よりも小さく形成するようにしたので、これらの開口部の配置を高密度にすることができ、プリント配線板を小型化することができるものである。
【0137】本発明の請求項5に係るICカードは、カード本体に、部分実装部に電子部品を実装した上記のプリント配線板を搭載して形成されるものであり、小型化したプリント配線板の搭載が容易になり、また上記のようにプリント配線板は耐熱性が高く、耐熱性の高いICカードを得ることができるものである。
【0138】本発明の請求項6に係るプリント配線板の製造方法は、電子部品が実装される部品実装部を有する基材と、基材の一方の片面に設けられ表面が外部に露出して外部接点となるコンタクト端子と、基材に形成され部品実装部に実装される電子部品とコンタクト端子とを接続するボンディングワイヤーを通すために基材に他方の片面に開口させて形成される開口部とを具備して形成され、上記コンタクト端子が基材に直接密着して設けられた金属箔から形成されたプリント配線板を製造するにあたって、光ビームを基材に照射することによって、コンタクト端子の裏面側において基材に上記開口部を加工するようにしたので、光ビームの光束の径を小さくすることによって開口部を小さな径で加工することが可能になると共に開口部の間隔も小さく設定して加工することが可能なるものであり、小さな開口部を高密度に配置して基材に形成することができ、プリント配線板を小型化することができるものである。
【0139】本発明の請求項7に係るプリント配線板の製造方法は、電子部品が実装される部品実装部を有する基材と、基材の一方の片面に設けられ表面が外部に露出して外部接点となるコンタクト端子と、基材に形成され部品実装部に実装される電子部品とコンタクト端子とを接続するボンディングワイヤーを通すために基材に他方の片面に開口させて形成される開口部とを具備して形成され、上記コンタクト端子が基材に直接密着して設けられた金属箔から形成されたプリント配線板を製造するにあたって、基材をサンドブラスト処理することによって、コンタクト端子の裏面側において基材に上記開口部を加工するようにしたので、サンドブラスト処理で開口部を加工するにあたって、ブラスト用レジストに形成するマスク孔の寸法や間隔に応じて、開口部を小さな径で加工することが可能になると共に開口部の間隔を小さく設定して加工することが可能になるものであり、小さな開口部を高密度に配置して基材に形成することができ、プリント配線板を小型化することができるものである。
【0140】また請求項8の発明は、両面に金属箔を張った基材を用い、一方の金属箔をエッチング除去すると共に他方の金属箔を回路形成加工してコンタクト端子を形成した後に、金属箔をエッチング除去した側の片面から基材に開口部を加工するようにしたので、表面に金属箔を積層しないで作製したものよりも基材は表面の平滑性が高く、厚みの均一性が優れているものであり、品質の高いプリント配線板を製造することができると共に、基材に予め張った金属箔でコンタクト端子を形成することができるものであって、基材に予め張った金属箔を一旦除去した後、コンタクト端子を形成するための金属箔を基材に接着するような必要がなく、製造の工程が長くなったり材料ロスが大きなったりすることがなくなるものである。
【0141】また請求項9の発明は、金属箔を回路形成加工して形成したコンタクト端子の表面に仕上げメッキを施した後、基材に開口部を加工し、しかる後に開口部の穴底に臨むコンタクト端子に仕上げメッキを施すようにしたので、コンタクト端子の表面に設ける仕上げメッキと、コンタクト端子の開口部の底部に臨む部分に設ける仕上げメッキとは別の工程で形成することができるものであり、それぞれの仕上げメッキを異なる種類のメッキに形成することが容易になるものである。
【0142】また請求項10の発明は、上記基材として、ロール状に巻いた長尺のガラス繊維を含有するフレキシブル両面金属張り積層板を用いるようにしたので、長尺のフレキシブル両面金属張り積層板を連続して送りながら加工をしてプリント配線板を製造することができるものであり、生産性を高めることができるものである。
【0143】また請求項11の発明は、フレキシブル両面金属張り積層板の側端縁に沿ってスプロケット穴を形成して用いるようにしたので、スプロケット孔にスプロケットの爪を嵌合させることによって、ロール状に巻いた長尺のフレキシブル両面金属張り積層板を位置決めしながら後工程に連続的に送ることができ、加工を精確に且つ生産性高く行なうことができるものである。
【0144】また請求項12の発明は、部品実装部を基材に開口部として形成し、上記ボンディングワイヤー用開口部と同時にこの部品実装用開口部を基材に加工するようにしたので、ボンディングワイヤー用開口部と部品実装用開口部を同時に加工することで加工の工数を低減できると共に、部品実装部に電子部品を実装するにあたって、電子部品は開口部内に納められ、基材の表面からの電子部品の突出を小さくすることができるものであり、電子部品を実装したプリント配線板を小型化することができるものである。
【0145】また請求項13の発明は、開口部を加工した後、開口部の底部のコンタクト端子の表面を酸洗するようにしたので、酸洗によってコンタクト端子の開口部の底部の部分の粗度を下げることができ、開口部を通してコンタクト端子にボンディングワイヤーをボンディングする際の接続信頼性を高めることができるものである。
【0146】また請求項14の発明は、サンドブラスト処理することによって、基材に開口部を加工すると同時に金属箔を回路形成加工してコンタクト端子を形成するようにしたので、工程を少なくして生産性を高めることができるものである。
【0147】また請求項15の発明は、砥粒を噴射するブラストノズルを両側から挟み込むようにエアーを吹き付けることによって、砥粒を扇状にブラストノズルから噴射させてサンドブラスト処理を行なうようにしたので、砥粒を扇状に拡げて噴射して基材に幅広い範囲で吹き付けることができるものであり、ブラストノズルを横移動や首振りなどさせる必要がなくなって、装置の構造を簡単なものにすることができるものである。
【0148】また請求項16の発明は、金属箔が存在しない側の片面から基材をサンドブラスト処理して開口部を加工すると共に金属箔を張った側の片面からサンドブラスト処理して金属箔を回路形成加工するにあたって、開口部を形成する側のサンドブラストの噴射圧力を回路形成側のサンドブラストの噴射圧力よりも大きく設定するようにしたので、同じ種類の砥粒を用いて基材の両面に同時に吹き付けるようにしても、一方の面に開口部を加工し、他方の面に回路形成加工をすることができるものであり、使用した砥粒を回収して再使用することが可能になるものである。
【0149】また請求項17の発明は、金属箔が存在しない側の片面から基材をサンドブラスト処理して開口部を加工すると共に金属箔を張った側の片面からサンドブラスト処理して金属箔を回路形成加工するにあたって、開口部を形成する側のサンドブラストの噴射量を回路形成側のサンドブラストの噴射量よりも大きく設定するようにしたので、同じ種類の砥粒を用いて基材の両面に同時に吹き付けるようにしても、一方の面に開口部を加工し、他方の面に回路形成加工をすることができるものであり、使用した砥粒を回収して再使用することが可能になるものである。
【0150】また請求項18の発明は、光ビームとして炭酸ガスレーザを用いるようにしたので、炭酸ガスレーザは照射エネルギーの制御が容易であって、開口部を加工する際の深さの制御を容易に行なうことができると共に、炭酸ガスレーザは銅箔等の金属箔に作用し難く、コンタクト端子に与えるダメージを少なくして開口部を加工することができるものである。
【0151】また請求項19の発明は、両面に金属箔を張った基材を用い、一方の金属箔にエッチングして開口孔を設けた後に、この開口孔の箇所に開口孔よりも径の大きなビームの炭酸ガスレーザを照射することによって、基材に開口部を加工するようにしたので、金属箔に形成した開口孔の位置に、開口孔と同じ径で、精度の高い開口部を形成することができるものである。
【0152】また請求項20の発明は、直線状のビームに形成された炭酸ガスレーザを、ビームの長手方向と垂直な方向で走査させることによって、基材に炭酸ガスレーザを照射するようにしたので、炭酸ガスレーザを基材の表面に沿って走査させることによって、開口部の加工を生産性高く行なうことができるものである。
【0153】また請求項21の発明は、金属箔に設けた上記開口孔の周囲に、金属箔を除去した絶縁部を形成するようにしたので、金属箔を残したままプリント配線板を作製するにあたって、開口部の周囲の金属箔にボンディングワイヤーが接触しても、絶縁部によって短絡が発生することを防止することができるものである。
【0154】また請求項22の発明は、基材との密着面を酸化処理した金属箔を張った基材を用いるようにしたので、基材に炭酸ガスレーザを照射して開口部を加工するにあたって、コンタクト端子の酸化処理した表面での炭酸ガスレーザの反射率が低くなり、コンタクト端子の近傍の基材の温度を上昇させて、開口部の底部に炭酸ガスレーザの照射で除去されない樹脂が残存することを低減することができるものである。
【0155】また請求項23の発明は、基材との密着面を粗面化した金属箔を張った基材を用いるようにしたので、基材に炭酸ガスレーザを照射して開口部を加工するにあたって、コンタクト端子の粗面化した表面での炭酸ガスレーザの反射率が低くなり、コンタクト端子の近傍の基材の温度を上昇させて、開口部の底部に炭酸ガスレーザの照射で除去されない樹脂が残存することを低減することができるものである。
【0156】また請求項24の発明は、炭酸ガスレーザとして、ビームのエネルギー分布が開口部において均一なものを用いるようにしたので、炭酸ガスレーザは基材に照射される面で均一に作用し、コンタクト端子に与えるダメージを小さくして、開口部を加工することができるものである。
【0157】また請求項25の発明は、炭酸ガスレーザとして、ビームのエネルギー分布が開口部の周部ほど高くなるものを用いるようにしたので、基材としてガラス繊維含有のものを用いる場合に、開口部の内周に突出するガラス繊維を炭酸ガスレーザで消失させることができ、開口部の内周にガラス繊維が突出することをなくして、内周面が平滑な開口部を形成することができるものである。
【0158】また請求項26の発明は、炭酸ガスレーザを基材の片面に照射して開口部を形成するにあたって、基材の他の片面の金属箔の表面に放熱板を設置して炭酸ガスレーザの照射をおこなうようにしたので、炭酸ガスレーザの照射による熱を放熱板で放熱させることができ、コンタクト端子となる金属箔に与える熱ダメージを低減することができるものである。
【0159】また請求項27の発明は、炭酸ガスレーザを基材の片面に照射して開口部を形成するにあたって、基材の他の片面の金属箔の表面に水冷管を設置して炭酸ガスレーザの照射をおこなうようにしたので、炭酸ガスレーザの照射による熱を水冷管で冷却することができ、コンタクト端子となる金属箔に与える熱ダメージを低減することができるものである。
【0160】また請求項28の発明は、炭酸ガスレーザを基材に照射して開口部を形成するにあたって、ビーム光路の中心にビーム減衰用フィルターを設置するようにしたので、炭酸ガスレーザのビーム径の中心部のパワーをビーム減衰用フィルターで減衰させることができ、コンタクト端子となる金属箔に開口部の中心部において熱が集中してダメージが発生することを防ぐことができるものである。
【0161】また請求項29の発明は、ガラス繊維を有する基材に炭酸ガスレーザを照射して開口部を形成した後、開口部を高圧水洗処理するようにしたので、炭酸ガスレーザの照射で開口部を加工するに際して開口部内に一部のガラス繊維が残留しても、高圧水でこの残留ガラス繊維を除去することができ、開口部の底面のコンタクト端子へのワイヤボンディングの接続信頼性を向上させることができるものである。
【0162】また請求項30の発明は、ガラスクロスを有する基材に炭酸ガスレーザを照射して開口部を形成するにあたって、ガラスクロスの繊維の密度を疎にして開口部を形成する個所にガラスクロスの繊維が存在しない基材を用いるようにしたので、炭酸ガスレーザの照射で開口部を加工するに際して開口部内にガラス繊維が残留することがなくなり、開口部の底面のコンタクト端子へのワイヤボンディングの接続信頼性を向上させることができるものである。
【0163】また請求項31の発明は、ガラスクロスを有する基材に炭酸ガスレーザを照射して開口部を形成するにあたって、開口部に対応する個所を予め打ち抜いたガラスクロスを用いて作製した基材を用いるようにしたので、炭酸ガスレーザの照射で開口部を加工するに際して開口部内にガラス繊維が残留することがなくなり、開口部の底面のコンタクト端子へのワイヤボンディングの接続信頼性を向上させることができるものである。
【0164】また請求項32の発明は、炭酸ガスレーザの照射で基材に開口部を形成した後、開口部の側面及び開口部の底部を洗浄するようにしたので、開口部の底部のコンタクト端子の表面に残存する樹脂を洗浄によって除去することができ、開口部を通してコンタクト端子にボンディングワイヤーをボンディングする際の接続信頼性を高めることができるものである。
【0165】また請求項33の発明は、開口部を過マンガン酸カリウム液で処理するようにしたので、開口部の底部のコンタクト端子の表面に残存する樹脂を過マンガン酸カリウム液で除去することができ、開口部を通してコンタクト端子にボンディングワイヤーをボンディングする際の接続信頼性を高めることができるものである。
【0166】また請求項34の発明は、開口部にエキシマレーザを照射するようにしたので、開口部の底部のコンタクト端子の表面に残存する樹脂をエキシマレーザで除去することができ、開口部を通してコンタクト端子にボンディングワイヤーをボンディングする際の接続信頼性を高めることができるものである。
【0167】また請求項35の発明は、エキシマレーザの照射部の周辺にエキシマレーザを反射する反射板を設置するようにしたので、開口部の底部の金属箔から反射するエキシマレーザを反射板で反射させて再度このエキシマレーザが開口部に作用するようにすることができ、残留樹脂の除去の効率を高めることができると共に、エキシマレーザの漏れを抑えて安全性を高めることができるものである。
【0168】また請求項36の発明は、3〜10J/cm2、10〜30ショットの条件でエキシマレーザを照射するようにしたので、エキシマレーザの照射で、開口部内の残留樹脂の除去に加えて、開口部の底面のコンタクト端子を形成する金属箔の平滑化や清浄化を行なうことができ、コンタクト端子へのワイヤボンディングの接続信頼性を向上させることができるものである。
【0169】また請求項37の発明は、反射光をモニタリングしながらエキシマレーザを照射するようにしたので、エキシマレーザの反射光の光量によって開口部の底面の金属箔の平滑度を管理することができ、コンタクト端子を形成する金属箔の平滑度のばらつきを小さくして、コンタクト端子へのワイヤボンディングの接続信頼性の向上の効果を高く得ることができるものである。
【0170】また請求項38の発明は、開口部に短パルス赤外光レーザを照射するようにしたので、短パルス赤外光レーザは金属箔への加工が可能であり、残留樹脂の除去と同時に開口部の底面のコンタクト端子を形成する金属箔の平滑化や清浄化を行なうことができ、コンタクト端子へのワイヤボンディングの接続信頼性の向上の効果を高く得ることができるものである。
【0171】また請求項39の発明は、開口部をプラズマ処理するようにしたので、開口部の底部のコンタクト端子の表面に残存する樹脂をプラズマ処理で除去することができ、開口部を通してコンタクト端子にボンディングワイヤーをボンディングする際の接続信頼性を高めることができるものである。
【0172】また請求項40の発明は、開口部をサンドブラスト処理するようにしたので、開口部の底部のコンタクト端子の表面に残存する樹脂をサンドブラスト処理で除去することができ、開口部を通してコンタクト端子にボンディングワイヤーをボンディングする際の接続信頼性を高めることができるものである。
【0173】また請求項41の発明は、サンドブラスト処理をしながら開口部に液体を吹き付けるようにしたので、サンドブラスト処理で開口部内から削られた残留樹脂を液体で洗い流すことができ、コンタクト端子へのワイヤボンディングの接続信頼性の向上の効果を高く得ることができるものである。
【0174】また請求項42の発明は、液体はアルカリ溶液であることを特徴とするものであり、アルカリ溶液を残留樹脂と反応させて残留樹脂の除去の効果を高く得ることができるものである。
【0175】また請求項43の発明は、球形の砥粒を用いてサンドブラスト処理をするようにしたので、球形の砥粒によって金属箔の表面の粗面の凹凸を潰すようにすることができ、サンドブラスト処理によって開口部内の残留樹脂の除去と同時に開口部の底部のコンタクト端子を形成する金属箔の表面を平滑化することができ、コンタクト端子へのワイヤボンディングの接続信頼性を高めることができるものである。
【0176】また請求項44の発明は、開口部をフッ化アンモニウム処理するようにしたので、開口部の底部のコンタクト端子の表面に残存する樹脂をフッ化アンモニウムで除去することができ、開口部を通してコンタクト端子にボンディングワイヤーをボンディングする際の接続信頼性を高めることができると共に、基材としてガラス繊維含有のものを用いる場合に、開口部の内周に突出するガラス繊維を除去することができるものである。
【0177】また請求項45の発明は、開口部の処理後に、開口部の底部の金属箔にプレス処理を行なうようにしたので、プレスによって開口部の底面のコンタクト端子を形成する金属箔の表面を平滑化することができ、コンタクト端子へのワイヤーボンディングの接続信頼性を高めることができるものである。
【0178】また請求項46の発明は、SHG−YAGレーザ、THG−YAGレーザ、SHG−YLFレーザ、THG−YLFレーザから選ばれる一つ以上のレーザを照射して基材に開口部を加工するようにしたので、SHG−YAGレーザやTHG−YAGレーザ、SHG−YLFレーザ、THG−YLFレーザは銅箔などの金属箔にも作用させることができるものであり、基材から金属箔を除去する必要なく、金属箔の上から基材に開口部を形成することが可能になるものである。
【0179】また請求項47の発明は、金属箔を張った基材を用い、SHG−YAGレーザ、THG−YAGレーザ、SHG−YLFレーザ、THG−YLFレーザから選ばれる一つ以上のレーザを照射して基材に開口部を加工すると共に金属箔に回路形成加工してコンタクト端子を形成するようにしたので、エッチング加工等をする必要なく、金属箔に回路形成加工を行なってコンタクト端子を形成することができるものである。
【0180】また請求項48の発明は、回路形成加工した側の面に液体ホーニング処理あるいはサンドブラスト処理を行なうようにしたので、回路形成面に残存する金属箔を除去することができ、コンタクト端子の信頼性を高めることができるものである。
【0181】また請求項49の発明は、両面に金属箔を張った基材を用い、一方の金属箔の表面にSHG−YAGレーザ、THG−YAGレーザ、SHG−YLFレーザ、THG−YLFレーザから選ばれる一つ以上のレーザを照射して、照射部分の金属箔とともに基材を除去して開口部を加工すると共に、開口部の周囲の金属箔を除去するようにしたので、金属箔を残したままプリント配線板を作製にあたって、開口部の周囲の金属箔にボンディングワイヤーが接触することがなくなり、短絡が発生することを防止することができるものである。
【0182】また請求項50の発明は、表面に金属箔を張った基材を用いるにあたって、コンタクト端子を形成する金属箔と基材の間に、開口部を形成する個所においてマスクを介在させたものを用い、開口部を形成すると共にマスクを除去するようにしたので、開口部の底面の金属箔の表面はマスクで被覆されていて基材の樹脂は付着していないものであり、残留樹脂が残らないように開口部を形成することができ、コンタクト端子へのワイヤーボンディングの接続信頼性を高めることができるものである。
【0183】また請求項51の発明は、マスクの除去を化学処理で行なうようにしたので、開口部の底面にマスクを残すことなく除去することができるものである。
【0184】また請求項52の発明は、マスクの除去を光ビームの照射で行なうようにしたので、開口部の底面にマスクを残すことなく除去することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリント配線板の実施の形態の一例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【図2】本発明に係るプリント配線板の製造方法の実施の形態の一例を示すものであり、(a)乃至(e)はそれぞれ各工程での断面図である。
【図3】同上に用いる基材の実施の形態の一例の斜視図である。
【図4】同上に用いる基材の実施の形態の一例の斜視図である。
【図5】同上に用いる基材の実施の形態の一例の平面図である。
【図6】同上の開口部の形成工程の断面図である。
【図7】同上の開口部の形成工程の断面図である。
【図8】同上の開口部の形成工程を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【図9】同上の開口部の形成工程を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【図10】同上の開口部の形成工程を示すものであり、(a)は断面図、(b)は平面図、(c)はビーム径とパワーの関係を示すグラフである。
【図11】同上の開口部の洗浄工程の断面図である。
【図12】同上の開口部の形成工程と洗浄工程を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【図13】同上の基材を形成するガラスクロスを示すものであり、(a),(b)はそれぞれ平面図である。
【図14】本発明のプリント配線板の製造の工程の一例を示すものであり、(a)乃至(c)はそれぞれ断面図である。
【図15】同上の開口部の洗浄工程の断面図である。
【図16】同上の開口部の洗浄工程の断面図である。
【図17】同上の開口部の洗浄工程の断面図である。
【図18】同上の開口部の洗浄工程の断面図である。
【図19】同上の開口部の洗浄工程の断面図である。
【図20】同上の開口部の洗浄工程の断面図である。
【図21】同上の開口部の洗浄工程の断面図である。
【図22】同上の開口部の洗浄工程を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【図23】同上の開口部の洗浄工程を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【図24】同上の金属箔の平滑化の工程の断面図である。
【図25】本発明に係るICカードの実施の形態の一例を示す断面図である。
【図26】本発明に係るプリント配線板の製造の各工程を示すものであり、(a),(b),(c),(d)はそれぞれ断面図である。
【図27】(a),(b)はそれぞれ、図26(a)の開口部の底面を撮影したSEM写真である。
【図28】(a)は図26(b)の開口部の底面を撮影したSEM写真、(b)は図26(c)の開口部の底面を撮影したSEM写真、(c)は図26(d)の開口部の底面を撮影したSEM写真である。
【図29】基材の開口部にエキシマレーザを照射して処理を行なった後の、開口部の底面を撮影したSEM写真である。
【図30】基材の開口部にエキシマレーザを照射して処理を行なった後の、開口部の底面を撮影したSEM写真である。
【図31】基材の開口部にエキシマレーザを照射すると共に開口部の底面の銅箔に仕上げメッキをした後の、銅箔の断面を撮影したSEM写真である。
【図32】基材の開口部にエキシマレーザを照射すると共に開口部の底面の銅箔に仕上げメッキをした後の、銅箔の断面を撮影したSEM写真である。
【図33】ワイヤーボンディングを行なった状態のプリント配線板を示す断面図である。
【図34】(a),(b),(c),(d)はそれぞれ、同上のボンディング部分を撮影したSEM写真である。
【図35】本発明に係るプリント配線板の製造方法の実施の形態の他例を示すものであり、(a)乃至(c)はそれぞれ各工程での断面図である。
【図36】同上の開口部の形成工程の断面図である。
【図37】同上の開口部の形成工程の斜視図である。
【図38】同上のプリント配線板を示すものであり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図39】本発明に係るプリント配線板の製造方法の実施の形態の他例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ各工程での断面図である。
【図40】同上の開口部の形成工程の断面図である。
【図41】本発明に係るプリント配線板の製造方法の実施の形態の他例を示すものであり、(a)乃至(e)はそれぞれ各工程での断面図である。
【図42】同上の開口部の形成工程の断面図である。
【図43】同上の開口部の形成工程の斜視図である。
【図44】同上の開口部の形成工程の断面図である。
【図45】同上の開口部の形成工程の断面図である。
【図46】本発明のプリント配線板の製造の工程の一例を示すものであり、(a)乃至(c)はそれぞれ断面図である。
【図47】同上のマスクの除去工程を示す断面図である。
【図48】同上のマスクの除去工程を示す断面図である。
【図49】従来のプリント配線板の製造方法を示すものであり、(a)乃至(e)はそれぞれ各工程での断面図である。
【符号の説明】
1 基材
1a 両面金属張り積層板
2 コンタクト端子
3 部品実装部
3a 開口部
4 開口部
5 電子部品
6 ボンディングワイヤー
9 金属箔
10a 仕上げメッキ
10b 仕上げメッキ
11 カード本体
12 スプロケット穴
13 ブラストノズル
14 開口孔
15 絶縁部
24 砥石
41 反射板
42 放射板
44 水冷管
45 ビーム減衰用フィルター
48 液体
53 ガラスクロス
64 マスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子部品が実装される部品実装部を有する基材と、基材の一方の片面に設けられ表面が外部に露出して外部接点となるコンタクト端子と、基材に形成され部品実装部に実装される電子部品とコンタクト端子とを接続するボンディングワイヤーを通すために基材に他方の片面に開口させて形成される開口部とを具備して形成されるプリント配線板において、上記コンタクト端子は基材に直接密着して設けられた金属箔から形成されたものであることを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】 上記基材として、ガラス繊維を含有する基材を用いて成ることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】 上記部品実装部を、基材に開口部として形成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント配線板。
【請求項4】 上記部品実装用開口部とボンディングワイヤー用開口部との間の間隔を、ボンディングワイヤー用開口部の径よりも小さく形成して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のプリント配線板。
【請求項5】 カード本体に、部品実装部に電子部品を実装した上記の請求項1乃至4のいずれかに記載のプリント配線板を搭載して成ることを特徴とするICカード。
【請求項6】 電子部品が実装される部品実装部を有する基材と、基材の一方の片面に設けられ表面が外部に露出して外部接点となるコンタクト端子と、基材に形成され部品実装部に実装される電子部品とコンタクト端子とを接続するボンディングワイヤーを通すために基材に他方の片面に開口させて形成される開口部とを具備して形成され、上記コンタクト端子が基材に直接密着して設けられた金属箔から形成されたプリント配線板を製造するにあたって、光ビームを基材に照射することによって、コンタクト端子の裏面側において基材に上記開口部を加工することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項7】 電子部品が実装される部品実装部を有する基材と、基材の一方の片面に設けられ表面が外部に露出して外部接点となるコンタクト端子と、基材に形成され部品実装部に実装される電子部品とコンタクト端子とを接続するボンディングワイヤーを通すために基材に他方の片面に開口させて形成される開口部とを具備して形成され、上記コンタクト端子が基材に直接密着して設けられた金属箔から形成されたプリント配線板を製造するにあたって、基材をサンドブラスト処理することによって、コンタクト端子の裏面側において基材に上記開口部を加工することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項8】 両面に金属箔を張った基材を用い、一方の金属箔をエッチング除去すると共に他方の金属箔を回路形成加工してコンタクト端子を形成した後に、金属箔をエッチング除去した側の片面から基材に開口部を加工することを特徴とする請求項6又は7に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項9】 金属箔を回路形成加工して形成したコンタクト端子の表面に仕上げメッキを施した後、基材に開口部を加工し、しかる後に開口部の穴底に臨むコンタクト端子に仕上げメッキを施すことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項10】 上記基材として、ロール状に巻いた長尺のガラス繊維を含有するフレキシブル両面金属張り積層板を用いることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項11】 フレキシブル両面金属張り積層板の側端縁に沿ってスプロケット穴を形成したものを用いることを特徴とする請求項10に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項12】 部品実装部を基材に開口部として形成し、上記ボンディングワイヤー用開口部と同時にこの部品実装用開口部を基材に加工することを特徴とする請求項6乃至11のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項13】 開口部を加工した後、開口部の底部のコンタクト端子の表面を酸洗することを特徴とする請求項6乃至12のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項14】 サンドブラスト処理することによって、基材に開口部を加工すると同時に金属箔を回路形成加工してコンタクト端子を形成することを特徴とする請求項7に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項15】 砥粒を噴射するブラストノズルを両側から挟み込むようにエアーを吹き付けることによって、砥粒を扇状にブラストノズルから噴射させてサンドブラスト処理を行なうことを特徴とする請求項7乃至14のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項16】 金属箔が存在しない側の片面から基材をサンドブラスト処理して開口部を加工すると共に金属箔を張った側の片面からサンドブラスト処理して金属箔を回路形成加工するにあたって、開口部を形成する側のサンドブラストの噴射圧力を回路形成側のサンドブラストの噴射圧力よりも大きく設定することを特徴とする請求項7乃至15のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項17】 金属箔が存在しない側の片面から基材をサンドブラスト処理して開口部を加工すると共に金属箔を張った側の片面からサンドブラスト処理して金属箔を回路形成加工するにあたって、開口部を形成する側のサンドブラストの噴射量を回路形成側のサンドブラストの噴射量よりも大きく設定することを特徴とする請求項7乃至15のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項18】 光ビームとして炭酸ガスレーザを用いることを特徴とする請求項6、8乃至13のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項19】 両面に金属箔を張った基材を用い、一方の金属箔にエッチングして開口孔を設けた後に、この開口孔の箇所に開口孔よりも径の大きなビームの炭酸ガスレーザを照射することによって、基材に開口部を加工することを特徴とする請求項18に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項20】 直線状のビームに形成された炭酸ガスレーザを、ビームの長手方向と垂直な方向で走査させることによって、基材に炭酸ガスレーザを照射することを特徴とする請求項19に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項21】 金属箔に設けた上記開口孔の周囲に、金属箔を除去した絶縁部を形成することを特徴とする請求項19又は20に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項22】 基材との密着面を酸化処理した金属箔を張った基材を用いることを特徴とする請求項6乃至21のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項23】 基材との密着面を粗面化した金属箔を張った基材を用いることを特徴とする請求項6乃至22のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項24】 炭酸ガスレーザとして、ビームのエネルギー分布が開口部において均一なものを用いることを特徴とする請求項18、19、21乃至23のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項25】 炭酸ガスレーザとして、ビームのエネルギー分布が開口部の周部ほど高くなるものを用いることを特徴とする請求項18、19、21乃至23のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項26】 炭酸ガスレーザを基材の片面に照射して開口部を形成するにあたって、基材の他の片面の金属箔の表面に放熱板を設置して炭酸ガスレーザの照射をおこなうことを特徴とする請求項18乃至25のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項27】 炭酸ガスレーザを基材の片面に照射して開口部を形成するにあたって、基材の他の片面の金属箔の表面に水冷管を設置して炭酸ガスレーザの照射をおこなうことを特徴とする請求項18乃至26のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項28】 炭酸ガスレーザを基材に照射して開口部を形成するにあたって、ビーム光路の中心にビーム減衰用フィルターを設置することを特徴とする請求項18乃至27のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項29】 ガラス繊維を有する基材に炭酸ガスレーザを照射して開口部を形成した後、開口部を高圧水洗処理することを特徴とする請求項18乃至28のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項30】 ガラスクロスを有する基材に炭酸ガスレーザを照射して開口部を形成するにあたって、ガラスクロスの繊維の密度を疎にして開口部を形成する個所にガラスクロスの繊維が存在しない基材を用いることを特徴とする請求項18乃至29のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項31】 ガラスクロスを有する基材に炭酸ガスレーザを照射して開口部を形成するにあたって、開口部に対応する個所を予め打ち抜いたガラスクロスを用いて作製した基材を用いることを特徴とする請求項18乃至29いずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項32】 炭酸ガスレーザの照射で基材に開口部を形成した後、開口部の側面及び開口部の底部を洗浄することを特徴とする請求項18乃至31のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項33】 開口部を過マンガン酸カリウム液で処理することを特徴とする請求項32に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項34】 開口部にエキシマレーザを照射することを特徴とする請求項32に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項35】 エキシマレーザの照射部の周辺にエキシマレーザを反射する反射板を設置することを特徴とする請求項34に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項36】 3〜10J/cm2、10〜30ショットの条件でエキシマレーザを照射することを特徴とする請求項34に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項37】 反射光をモニタリングしながらエキシマレーザを照射することを特徴とする請求項34乃至36のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項38】 開口部に短パルス赤外光レーザを照射することを特徴とする請求項32に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項39】 開口部をプラズマ処理することを特徴とする請求項32に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項40】 開口部をサンドブラスト処理することを特徴とする請求項32に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項41】 サンドブラスト処理をしながら開口部に液体を吹き付けることを特徴とする請求項40に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項42】 液体はアルカリ溶液であることを特徴とする請求項41に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項43】 球形の砥粒を用いてサンドブラスト処理をすることを特徴とする請求項40乃至42のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項44】 開口部をフッ化アンモニウム処理することを特徴とする請求項32に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項45】 開口部の処理後に、開口部の底部の金属箔にプレス処理を行なうことを特徴とする請求項33又は39に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項46】 SHG−YAGレーザ、THG−YAGレーザ、SHG−YLFレーザ、THG−YLFレーザから選ばれる一つ以上のレーザを照射して基材に開口部を加工することを特徴とする請求項6、8乃至13、22、23のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項47】 金属箔を張った基材を用い、SHG−YAGレーザ、THG−YAGレーザ、SHG−YLFレーザ、THG−YLFレーザから選ばれる一つ以上のレーザを照射して基材に開口部を加工すると共に金属箔に回路形成加工してコンタクト端子を形成することを特徴とする請求項6、8乃至13、22、23、46に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項48】 回路形成加工した側の面に液体ホーニング処理あるいはサンドブラスト処理を行なうことを特徴とする請求項47に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項49】 両面に金属箔を張った基材を用い、一方の金属箔の表面にSHG−YAGレーザ、THG−YAGレーザ、SHG−YLFレーザ、THG−YLFレーザから選ばれる一つ以上のレーザを照射して、照射部分の金属箔とともに基材を除去して開口部を加工すると共に、開口部の周囲の金属箔を除去することを特徴とする請求項46乃至48のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項50】 表面に金属箔を張った基材を用いるにあたって、コンタクト端子を形成する金属箔と基材の間に、開口部を形成する個所においてマスクを介在させたものを用い、開口部を形成すると共にマスクを除去することを特徴とする請求項6乃至49のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項51】 マスクの除去を化学処理で行なうことを特徴とする請求項50に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項52】 マスクの除去を光ビームの照射で行なうことを特徴とする請求項50に記載のプリント配線板の製造方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図11】
image rotate


【図17】
image rotate


【図4】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【図10】
image rotate


【図12】
image rotate


【図13】
image rotate


【図16】
image rotate


【図18】
image rotate


【図14】
image rotate


【図15】
image rotate


【図19】
image rotate


【図20】
image rotate


【図21】
image rotate


【図22】
image rotate


【図23】
image rotate


【図24】
image rotate


【図25】
image rotate


【図33】
image rotate


【図36】
image rotate


【図26】
image rotate


【図28】
image rotate


【図35】
image rotate


【図39】
image rotate


【図40】
image rotate


【図27】
image rotate


【図48】
image rotate


【図29】
image rotate


【図30】
image rotate


【図31】
image rotate


【図32】
image rotate


【図34】
image rotate


【図37】
image rotate


【図38】
image rotate


【図46】
image rotate


【図47】
image rotate


【図41】
image rotate


【図42】
image rotate


【図43】
image rotate


【図44】
image rotate


【図45】
image rotate


【図49】
image rotate


【公開番号】特開平11−102992
【公開日】平成11年(1999)4月13日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−131098
【出願日】平成10年(1998)4月23日
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)