プリーツ付き展開シース
器具の展開およびシースの除去をより容易にするため、展開の際開くようになっている、展開前の状態の1つ以上のプリーツ(34)を含む、医療器具(38)用の展開シース(20)が提供される。好適には、シースは送達処理の際それ自体の上に反転されることによって除去される。好適にはシースの周囲に螺旋状に、シースの長さに沿ってプリーツを方向付けることによって、シースは展開の際予測可能な拡大を経て、展開の際シース自体に沿って摺動する反転シースの摩擦力を軽減する。これによって以前の反転シース構成体よりも小さい張力でシースを除去できるようになり、患者へのより正確な器具の設置が保証される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療診断および治療器具を身体内に配置および展開するために使用される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、透視装置または超音波といった撮像技術を使用して目標部位に誘導され、患者にアクセスし、かつ/または治療するため遠隔使用される、ますます多くの医療診断および治療器具が開発されている。こうした器具は、ステント、ステントグラフト、バルーン、血液フィルタ、オクルダー、プローブ、弁、電子リード線、整形外科器具等を含む。普通、こうした器具はカテーテルまたはガイドワイヤの端部の近くに設置され、目標部位に遠隔的に誘導される。医療スタッフが撮像技術を使用して医療器具を正確に配置できるようにするため、放射線不透過性マーカまたは同様の指標が使用されることが多い。
【0003】
一旦器具を正しく配置すると、医療スタッフは、処置を実行し、かつ/または必要な器具(単数または複数)を展開する。閉塞または動脈瘤の介入的治療といった、こうした治療の大部分は治療器具の正確な配置を必要とするので、器具が当初配置されたのと同じ位置で展開することが重要である。例えば、ステントグラフトで大動脈瘤を治療する際、医師は、展開後の器具の移動が5mm未満であることを期待する。移動がこれより大きいと、エンドリーク、側方血管(side vessels)の閉塞または他の合併症につながることがあり、その場合本来必要なかったさらなる治療またさらには危険を伴う観血的手術への移行が必要になる。
【0004】
こうした器具の配置を容易にするための非常に多くの装置が提案されているのは驚くべきことではない。当初、自己拡張式器具は単純にカテーテルチューブ内に引き込みまたは詰め込みしてから治療部位で押し出していた。この方法を使用して正確に配置するのは若干実現が困難なことがあり、医療スタッフは正しい方向を達成するまで繰り返し器具の展開および収縮を繰り返す必要があることが多い。
【0005】
その後、例えばMartin他の特許文献1に記載のような様々な拘束コード、または、例えばLeopold他の特許文献2に記載のような埋め込み型拘束シースを利用するといった、より正確な展開方法が開発された。
【0006】
当初のカテーテルチューブによる拘束と同様の考え方は、治療器具を定位置に保持しつつ器具の上で引き戻された薄い材料のシースを使用することである。この考え方の1つの利点は、器具と薄いシースが占有する空間を、比較的かさばるカテーテルチューブ内に器具を収容する場合よりも大幅に小さくすることができる。また、薄いシースは、はるかに剛性のカテーテルチューブ材料に対してより大きな可撓性を提供できる。医師がより小さくより蛇行した血管を通じてより困難な治療部位に到達しようとする際、このように小型で可撓性であることはきわめて望ましい。残念ながら、この方法は、展開処理を通じて拘束シースに対して圧力を行使する自己拡張式器具に大きな力をかけることがある。その結果、器具とシースとの間に摩擦力が生じるため、シースを除去するために大きな引っ張り力を印加する必要があることが多く、最終的に器具を正確に配置するのをきわめて困難にすると共に、場合によってはシース除去の過程で治療器具を損傷することがある。
【0007】
こうした作用を制限する1つの展開方法は、それ自体の上に反転される薄い材料のシースを利用して、拘束シースが自己拡張式器具の上で引き戻される際にそれ自体だけを摩擦するようにすることである。別言すれば、所定の直径のシースがそれ自体の上に反転され、展開処置を通じてシースの長さの分だけ引き戻される。この考え方の変形は、例えば、Wallstenの特許文献3、Fraser他の特許文献4、Vrba他の特許文献5、Majercak他の特許文献6、およびGundersonの特許文献7に記載されている。シースの材料が十分に強くて薄ければ、これらの方法は、治療器具にかかる力を減らし、おそらくは器具の配置をより正確にする小型化の展望を提供する。
【0008】
反転シースは、非反転シースに見られる問題の一部に対処してはいるが、主として、シースを除去する際にシースの非反転部分を摩擦するシースの反転部分の摩擦力のため、展開の際、それ自体、及び自己拡張式器具の上でシースを引っ張るのに大きな張力を必要とすることがある。こうした問題は、器具の長さが長くなるほど、また自己拡張式器具がより堅牢になってより大きな外向きの圧力を及ぼすようになるほど複雑になる。シースを反転し除去するために、必要な張力が大きくなるほど、医療スタッフにとって、展開の際、装置を正確な位置に保持しながらシースを除去することが困難になる。また、展開張力が増大すると、展開の際、シース及び展開ラインの破損を回避するため、シースの構成をより頑丈にする必要がある。反転シースのこうした欠陥は、この展開方法の実用化を制限しうるものと考えられる。
【0009】
したがって、反転シース(すなわち、めくり返すタイプのシース)による展開の利点の多くを保持したままで、展開張力がより小さく、器具の配置がより正確にできる、展開装置を開発することが望まれていれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,042,605号
【特許文献2】米国特許第6,352,561号
【特許文献3】米国特許第4,732,152号
【特許文献4】米国特許第5,571,135号
【特許文献5】米国特許第6,942,682号
【特許文献6】米国特許出願第2006/0025844号
【特許文献7】米国特許出願第2006/0030923号
【発明の概要】
【0011】
本発明は、シースの除去をより容易にするため展開の際開くようになっている、展開前の状態の1つ以上のプリーツを含む医療器具用の展開シースを対象にする。好適には、シースは送達処理の際それ自体の上に反転されることによって展開される。好適にはシースの周囲に螺旋状に、シースの長さに沿ってプリーツを方向付けることによって、シースは展開の際予測可能な拡大を経て、展開の際シース自体に沿って摺動する反転シースの摩擦力を軽減する。これによって以前の反転シース構成体よりもはるかに小さい張力でシースを除去できるようになり、患者へのより正確な器具の設置が保証される。
【0012】
本発明の一実施形態では、シースを使用して体内プロテーゼを送達してもよい。シースは管状の構成でもよく、好適にはシースの周囲に螺旋状に、シースの長さの少なくとも一部に沿って方向付けられた少なくとも1つのプリーツを含む。プリーツは、プリーツを形成しプリーツの形態および方向を保持する助けとなるため、ポリイミドのような、材料を折り曲げかつ引っ張る力に対する耐性を有する材料または他の特徴を組み込んでもよい。
【0013】
本発明のさらなる実施形態では、展開前の形状でそれ自体の上に少なくとも部分的に反転して内側セグメントと外側セグメントとを形成するシースを使用して医療器具を展開してもよい。やはり好適には螺旋方向に、内側セグメントの少なくとも一部に沿って少なくとも1つのプリーツが提供される。シースの外側セグメントに張力を印加することによって展開が行われる時、シースが反転するに連れて、内側セグメントは徐々にそれ自体の向きを変えて外側セグメントとなり、プリーツは徐々に開く。このように、シースが外側セグメントになるに連れてプリーツが開くことによって、外側セグメントはプリーツの付いた内側セグメントより十分に大きな直径を持つようになり、展開の際内側セグメントと外側セグメントとの間の摩擦接触を減らす。
【0014】
それ自体に対するシースの摩擦接触を最小化することによって、先行技術のシース拘束装置で必要とされていたのより大幅に小さい張力を印加するだけでシースを除去できることが判明している。ここでも、プリーツの形成および保持を助けるため材料を折り曲げかつ引っ張る力に対する材料または他の特徴を組み込んでいることが好適である。
【0015】
本発明の展開装置を使用して、患者を診断および/または治療する多様な器具を展開してもよい。こうした器具は、ステント、ステントグラフト、バルーン、血液フィルタ、オクルダー、プローブ、弁、電子リード線(例えば、脈拍調整または除細動器のリード線)、整形外科器具等を含んでもよい。
【0016】
本発明の展開装置は、多くの異なる器具送達および展開の必要に対処するために修正してもよい。例えば、プリーツの数、プリーツの方向、プリーツの大きさおよび間隔、プリーツのピッチ、等は、器具を異なるやり方で展開させるために調整できる。さらに、本発明のシースは、器具をカテーテルのハブ側から先端側に、または先端側からハブ側に、または器具の中央から外向きに両方向に展開させるといった、異なる展開の要求に対応するため、多様なやり方で器具上に設置できる。
【0017】
本発明のさらなる特徴および利点は以下の説明に記載されており、ある程度は説明から明らかになるか、あるいは一部は本発明を実施することによって明らかになるだろう。本発明の目的および他の利点は、明細書および特許請求の範囲ならびに添付の図面に特に指摘した構造によって実現され達成されるだろう。
【0018】
上記の概要と以下の詳細な説明はどちらも例示的であり説明的であって、特許請求の範囲に記載の本発明のさらなる説明を提供することを目的としていることを理解されたい。
【0019】
本発明のさらなる理解を提供するために本明細書に包含されそれに組み込まれその一部を構成する添付の図面は、本発明の原理を説明する本文と共に、本発明の実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】送達カテーテルの遠位端の近くに設置された本発明のプリーツ付きシースを利用する医療器具展開システムの一実施形態の平面図である。
【図2】本発明の反転プリーツ付きシースが取り除かれ、内部に収容された自己拡張式ステントを徐々に解放するのを示す、送達カテーテルの遠位端の拡大透視図である。
【図3】本発明のプリーツ付きシースの構成要素だけを示す、図2の線3−3に沿った断面図である。
【図4】シースが反転する際にプリーツが開き、シースが展開ラインによって作動されているのを示す、本発明の反転プリーツ付きシースの一部の透視図である。
【図5】単一の層を備える本発明のプリーツ付きシースの別の実施形態の透視図である。
【図6】図5のシースの線6−6に沿った断面図である。
【図7】図6に示すプリーツの付いた配置よりシースの有効径が大きくなっている、プリーツを開いた後の図5のシースの断面図である。
【図8】単一の層を備え、そこに提供された2つのプリーツを有する、本発明のプリーツ付きシースのまた別の実施形態の透視図である。
【図9】図8の線9−9に沿った断面図である。
【図10】プリーツが形成された後シースの長さに沿って直径を変化させるため、プリーツを画定する要素の間隔およびピッチがシースの長さに沿って変化する、本発明のシースの別の実施形態の透視図である。
【図11】プリーツを付けた後の図10のシースの透視図である。
【図12】プリーツを画定する要素の幅がシースの長さに沿って変化する、本発明のシースの別の実施形態の透視図である。
【図13】プリーツを付けた後の図12のシースの透視図である。
【図14】器具に沿った中央の場所から反対方向に器具から取り除かれるように方向付けられた本発明の1対のシースを組み込み、圧縮された器具を収容する送達カテーテルの長手方向断面図である。
【図15】本発明の2つのシースを反対方向に除去することによってステントグラフト器具が中央から展開されるのを示す拡大透視図である。
【図16A】シースを除去する装置の別の実施形態を示す、本発明のシースを利用するカテーテルの遠位部分の長手方向断面図である。
【図16B】図16Aのカテーテルシャフトの近位部分の長手方向断面図である。
【図17A】シースを除去する装置のまた別の実施形態を示す、本発明のシースを利用するカテーテルの遠位部分の部分切断透視図である。
【図17B】図17Aのカテーテルシャフトの近位部分の部分切断透視図である。
【図18】プリーツを補強する一体構造の部分に沿って材料の厚さを追加した、本発明の別の単一層シースの3/4等角図である。
【図19】ヒンジ線を画定するシースの表面処理を含む、本発明のまた別の単一層シースの3/4等角図である。
【図20】シートの縁端に形成されたプリーツを連結することによって管状構成体に形成される材料のシートを備える、本発明のシースの別の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、添付の図面に例を示す、本発明の実施形態を詳細に参照する。
【0022】
本発明は、好適には反転シースによる送達と共に使用する、医療器具を収容および送達するためのプリーツ付き展開シースを利用する。1つ以上のプリーツが展開前の状態のシースに前もって形成されており、展開の際に開いてシースの除去をより容易にするようになっている。好適にはシースの周囲に螺旋状に、シースの長さに沿って長手方向にプリーツを方向付けることによって、シースは展開の際予測可能な拡大を経て、展開の際シース自体に沿って摺動する反転シースの摩擦力を軽減する。これによって以前の反転シース構成体よりもはるかに小さい張力でシースを除去できるようになり、患者へのより正確な器具の配置が保証される。
【0023】
医療器具展開システム12の端部近くに設置された本発明のプリーツ付きシース10の一実施形態を図1に示す。展開システムは、遠位のオリーブ形部16からコントロールハブ18まで延びるカテーテルシャフト14を備える。ステント、ステントグラフト、バルーン、血液フィルタ、オクルダー、プローブ、弁等といった医療器具は、患者の身体内の治療部位で展開するためシース10内に収容してもよい。図示実施形態では、シース10はそれ自体の上に反転して2つの層を形成し、本実施形態では、外側セグメント20は内側セグメント22を完全に覆う。外側セグメントは近位端24で分割され、開口28を通じてカテーテルシャフト内に導入される展開ライン26を形成する。展開ライン26は、ハブ18上の展開ノブ30に動作可能に接続される。
【0024】
シース10は、送達すべき器具を拘束し、かつ除去処理の張力に耐える十分な強さを持つ任意の材料から形成してもよい。また、器具の送達断面を小さな形に保持し、除去処理を容易にするため、シース10はできる限り薄く潤滑性であることが望ましい。また、送達および展開の際シース10は一時的に患者の体内の奥深くに配置されるので、シースは生体適合性材料から形成されることが望ましい。以下より詳細に説明するように、適切なシースの材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、発泡PTFE(ePTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエステル等を含んでもよい。
【0025】
本発明の本実施形態では、内側セグメント22はその長さ全体に沿って延びる螺旋状プリーツ32を含む。プリーツ32は、シースの内側セグメント22を外側セグメント20の直径より小さい直径まで縮小する、シースの材料中の折り畳み部を備える。プリーツ32の形成および保持を助けるために、補強材料34をシースの上に層状に重ねるかまたは他のやり方で取り付けてもよい。好適には、補強材料は、折り畳み処理の際およびシースの展開を通じてプリーツをその全長に沿って正しい方向により容易に保持するため折り曲げに対する耐性を有する。適切な補強材料は、シースに付着した、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリウレタン、または同様の材料といったポリマー材料の1つ以上のストリップ、および硬化して、所定の螺旋ピッチ、プリーツ幅、および有効径で折り曲げに対する耐性を有する十分な剛性/ヤング率を提供するといった望ましい特性を提供する、ストリップに施されたコーティングを含んでもよい。
【0026】
本発明に関連して「プリーツ」という用語が使用される場合、それはシースの有効径を縮小するシース材料中の何らかの折り畳み部(単数または複数)を指す。好適な実施形態では、各プリーツはシース材料をそれ自体の上で折り返した2つの折り畳み部を備える。代替的には、以下説明するように、プリーツは、例えば図20に示すように、連結されることもある、材料のシートの縁端に沿った単一の折り畳み部または複数の折り畳み部を備えてもよい。また、プリーツは、材料の一区分の圧延、ねじ曲げ、または蛇腹式折り畳み、または後で展開する際プリーツを開くための材料を保存することを通じて形成してもよい。
【0027】
シース10は、本実施形態では遠位端である一方の端部の折り返し部36でそれ自体の上に反転する。以下説明するように、折り返し部36は器具の遠位端または近位端、またはそれらの間のどこかに方向付けられてもよい。
【0028】
展開ライン26を作動させるため、医療人員は展開ノブ30のねじを緩めてノブおよび接続された展開ラインを引っ張り、収容された器具からシースを徐々に取り除く。シースの外側セグメントが取り除かれるに連れて、折り返し部36は収容された器具の長さに沿って後退し、内側セグメント22が外側セグメント20になるように、内側セグメント22を着々と反転する。反転の過程で、プリーツ32は折り返し部36に巻き付いて開く。このようにして、シースのプリーツの開かれた外側セグメント20は常に、プリーツの付いた内側セグメント22より大きな有効径を保持する。その結果、2つの層の間の摩擦力は最小となり、直径の大きな外側セグメント20は内側セグメント22の上を容易に摺動したやすく除去される。
【0029】
器具送達の処理は図2によりよく見られる。本実施形態では、補強プリーツ32を持つ内側セグメント22は切断図で露出して示されている。直径の大きな外側セグメント20が取り除かれるに連れて、プリーツ32は折り返し部36に沿って開く。この状態では単にシース10に取り付けられているだけで、もはやプリーツを画定していない補強材料34のストリップが、外側セグメント20の長さに沿って見られる。このようにしてシース10が取り除かれるに連れて、拘束された自己拡張式ステント38は本実施形態から徐々に展開される。
【0030】
図3の断面図に見られるように、同軸の内側セグメント22およびプリーツ32および補強材料34が、プリーツの開いた補強材料34のみを有する直径の大きな外側セグメント20の中にあることが示されている。
【0031】
図4は、プリーツを開く処理を示し、その際内側に収容されたプリーツ32は破線で示されプリーツの開いた補強材料34は外側セグメント20に沿って露出して示されている。ここでも、遷移は折り返し部36で起こっている。本実施形態では、展開ライン40は外側セグメント20の一方の端部42に接続されている。展開ライン42にかかる張力によってシース10が作動する。
【0032】
図5は、単一層のシース10を備える本発明の別の実施形態を例示する。螺旋状に形成されたプリーツ32はここでも補強材料34のストリップを含む。図6の断面図に見られるように、プリーツ32によってシース10は所定の直径xを有するようになる。プリーツ32が開かれると、図7に示すように、シース10の直径は直径yまで増大する。
【0033】
本発明の単一層の実施形態に関しては、シースの使用を可能にする多様な方法が存在する。第1に、本発明のプリーツは好適には拘束力がなくても安定している。例えば、十分な螺旋角を持つ十分に剛性のプリーツは固有の安定性を有し、外側から拘束されなくとも定位置に保持される。代替的には、プリーツを定位置に保持するのを助ける多様な拘束を提供できる。例えば、単一層のシースを形成してから部分的または全体的にそれ自体の上で反転した上で、上記のやり方で利用してもよい。シースの反転部分は、器具を展開する準備が完了するまでプリーツを折り畳まれた形状に保持する。別の実施形態では、単一層のシースは、別のシース、密接に装着されたカテーテルチューブ、または同様の構造体等の使用を通じて、プリーツを折り畳まれた形状に保持する別の管状構造体に収容してもよい。また別の実施形態では、器具を展開する準備が完了するまでプリーツを定位置に保持する、接着剤、テープの接着、テープの巻き付け、糸の巻き付け、または同様の手段等の使用を通じて、プリーツをシースに接合できる。単一層のシースを展開するさらなる方法は、プリーツ付きチューブの近位端(すなわち、臨床医にもっとも近い端部)から張力をかけるステップを含んでもよい。十分な張力が印加されると、プリーツは開いてチューブの直径が徐々に増大し、器具に対して平行移動できるようになる。
【0034】
本発明のプリーツ付きシース10のまた別の実施形態を図8および図9に例示する。本実施形態では、シース10は単一の層を備え、2つのプリーツ32a、32bを含む。プリーツは、図示するようにシース10の反対側に均等に配置してもよく、また他の方向に配置してもよい。望ましい展開仕様に応じて、本発明は、シースの長さの一部または全体に沿って1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上のプリーツがある形で実施できる。
【0035】
図10は、プリーツ要素32間の間隔44a、44b、44c、44dがシース10の長さに沿って変化する、本発明のシース10の別の実施形態を例示する。同様に、プリーツ要素32の螺旋巻き付けのピッチ46a、46b、46c、46d、46eもシース10の長さに沿って変化する。これらの特性は各々、器具設計において、プリーツを付けた後シースの長さに沿って直径を変化させるため、別個または連携して調整できる。器具の非円筒形断面に対応し、かつ/またはシースの除去特性を変化させるため、シースの長さに沿って直径を変化させてもよい。
【0036】
図11は、プリーツを付けた後の図10のシースを示す。この場合、シースおよび収容された器具は、遠位端48が近位端50より小さい直径を有するテーパ断面を提供する。
【0037】
図12の実施形態では、プリーツ要素の幅52a、52b、52cはシース10の長さに沿って変化している。ここでも、プリーツの幅を変化させることによって、器具の非円筒形断面に対応し、かつ/またはシースの除去特性を変化させるため、シースの長さに沿って直径を変化させることができる。例えば、図示するように器具の長さに沿ってプリーツ要素を徐々に細くすることによって、直径を変化させてプリーツ付きシースを形成し、長さに沿ってシースを展開する際(展開の方向に応じて)摩擦力を大きくしたり小さくしたりして、シースの初期の展開を容易にしたり困難にしたりすることができる。
【0038】
図13は、展開した後の図12のシースを示す。この場合、シースおよび収容された器具は、遠位端48が近位端50より小さい直径を有するテーパ断面を提供する。
【0039】
器具に沿った中央の場所から反対方向に圧縮された器具38から取り除かれるように方向付けられた、本発明の1対のシース10a、10bを組み込み、圧縮された器具38を収容する送達カテーテルを図14に示す。近位のシース10aはカテーテルシャフト14に沿って作動機構54に至る。遠位のシース10bは反対方向に(すなわち、カテーテル14の遠位端に向かって)取り除かれ、反転してカテーテルシャフト14に至る。遠位のシース10bも同様に作動機構54によって制御される。
【0040】
本実施形態で2つのシースを作動させることによって、2つのシース10a、10bは圧縮された器具38から同時に取り除かれ、圧縮された器具38が中央から外向きに展開できるようにする。非常に迅速な器具の展開が要求され、かつ/または完全に展開する前の器具に対する大量の血流の作用を最小化することが望ましい場合(例えば、器具が大動脈内で展開され、器具の位置をずらしうる多量の血流の中での「吹き流し」作用を回避するため器具の上流端を最後に展開させることが望ましい場合)、このような展開が有益なことがある。
【0041】
図15は、2つのシース10a、10bを除去することによってどのようにステントグラフト器具38が中央から展開できるかを例示する。この展開方法は、胸部大動脈等にステントグラフト器具を設置するために好適であろう。
【0042】
用途によっては、器具の一部だけがある所定の時点で展開されるように、各シース10a、10bを互いに別個に作動させるのが好適であることを理解されたい。これは、各シースのために別個の作動機構を提供することによって容易に達成できる。さらに、ここで論じた本発明の全ての実施形態に関して、図14および図15の実施形態に例示したように、シースは、カテーテルの遠位端から後方に向かってか、またはカテーテルの近位端から前方に向かってか、または2つ以上の展開シースを反対方向に向かって展開させるのが望ましいことがあることを認識されたい。
【0043】
図16Aおよび図16Bは、図14に示したものと同様の展開機構を例示する。本実施形態では、器具38を拘束する単一の反転したシース10が提供される。シース10は、カテーテルシャフト14の外側ケーシング54内で近位方向に延び、内側カテーテルシャフト56を同軸状に取り囲んでいる。シース10はカテーテル14の近位端58まで延び、そこでユーザによって作動可能である。本実施形態では、シース10は、ミシン目または同様の脆弱化手段60の前もって形成された長手方向の線等を通じて長手方向に分割する材料から構成されているので、図16Bに示すように、シース10は、尾部62に張力を印加することによって内側シャフト56から除去できる。配置および展開の際カテーテルの取り扱いを支援するため外側ケーシング54の遠位端にストレインリリーフ64を提供してもよい。
【0044】
本発明と共に使用しうる別の展開機構を図17Aおよび図17Bに示す。本実施形態では、内側シャフト56を収容する内腔66と、展開ライン40を受け入れるように設計された内腔68とを有する二重内腔カテーテル14が提供される。展開ライン40はシース10と一体であるかまたはそれに取り付けられている。前に説明したやり方でライン40を作動させてシース10を取り除くようにする。
【0045】
血管で使用するための自己拡張式ステントまたはステントグラフトを収容し展開するための本発明の好適なシースは、厚さ0.03〜0.3mm、およびより好適には0.05〜0.12mmの、ePTFE多層積層膜チューブのような薄い潤滑性ポリマー材料から構成される。本記載の観点から、本発明のチューブは好適にはできる限り薄く、その一方で展開するまで負荷に耐え器具を有効に拘束する強度特性を有することが明らかであろう。
【0046】
本発明で利用しうるプリーツのまた別の実施形態を図18〜図20に例示する。図18は、それ自体シース10と同じ材料から形成されたプリーツ補強材70を例示する。この補強材70は、高くなった補強材70の何れかの側に、画定された折り畳み線72a、72bを提供するため、シースの円周の一部に沿って追加の材料の層を提供することによって得られる。この構成体は、シース上に所定のやり方で追加の材料を押し出し成形または他の形で追加し、かつ/または寸法が増大したプリーツ補強材70を残すため、シースの残りの部分から材料を除去するかまたはそこで材料を圧縮することによって形成してもよい。折り曲げに対する耐性を確立するため補強範囲を圧縮することによって同様の効果を達成してもよい。
【0047】
図19は、予測可能なシースの折り畳み部を達成する別のアプローチを例示する。本実施形態では、シース10は1つ以上の画定されたプリーツのヒンジ線74a、74bを提供するように処理されている。各ヒンジ線74は、機械的方法(例えば、切削、折り目付け、圧縮、等)、押し出し成形または他の材料製造ステップ、または熱処理(例えば、加熱またはレーザ処理)、またはこれらの様々な方法の何らかの組み合わせを含む、多様な表面処理手段の何れかを通じて形成してもよい。プリーツの付いた状態のシース10はこうしたヒンジ線74に沿って折り畳まれている。
【0048】
図18および図19の両者の実施形態に関して、折り曲げに対する耐性を有しまた他の形で優先的に折り目を付ける十分な相対剛性および/または厚さを持つプリーツ領域を形成することによって望ましい結果が達成されることは明らかであろう。さらに、こうした技術を使用して、シースに付加的な材料を追加する必要なしに、シースに優先的な折り畳み特性を備えることができる。
【0049】
図20は、本発明に係るプリーツを形成するまた別の方法を例示する。本実施形態では、シース10は2つの縁端76a、76bを有する材料のシートから形成される。これらの縁端76a、76bは折り畳んで、1つ以上の折り畳み部を持つプリーツ78a、78bを形成できる。そして、縁端のプリーツ76a、76bを、例えば図示するように互いに連結して、本発明のシース10として機能する管状構造体を形成できる。本実施形態では、プリーツ10が開くと、縁端76は互いに分離して、本発明の望ましい予測可能な拡大を可能にする。プリーツ78の形成および保持を容易にするため、縁端76の一方または両方は、前に説明した方法の1つ等を通じて、補強材80a、80bを備えることができる。
【0050】
本発明の反転した実施形態では、最終的な構成体において、2つのセグメント間の摩擦力を最小化するため、内側セグメントの外径より十分に大きい内径を有するべきであることを認識されたい。すなわち、内側セグメントと外側セグメントとの間の干渉を最小化するため、プリーツを開いた外側セグメントは、その内径が、プリーツの付いた内側セグメントの外径を楽に越えるように拡大すべきである。外側セグメントの内径は、内側セグメントの外径より0.1〜50%、およびより好適には10〜20%大きいことが好適である。
【0051】
例えば、こうした寸法を達成するため、約0.08mmの壁厚さと、約2.1mmのプリーツを開いた内径とを持つシースは通常、0.8mmのプリーツ幅を持つ1つ以上のプリーツを備えており、約1.9mmの外径を有するプリーツ付き内側セグメントを形成する。
【0052】
自己拡張式ステントまたはステントグラフトの展開のための本発明の好適な実施形態では、プリーツは0.3〜2.0mmの幅、およびより好適には0.6〜1.3mmの幅を備えている。プリーツは通常、シースに沿って螺旋状に方向付けられており、通常のピッチ角は30〜75度、およびより好適にはピッチは50〜70度である。
【0053】
プリーツは好適には、厚さ0.01〜0.08mm、およびより好適には0.02〜0.05mmの、ポリイミド膜のような比較的折り曲げに対する耐性を有するストリップ(単数または複数)によって補強されている。補強材料は積層シースの層の間に封入されており、FEPまたは同様の材料といった接着剤を使用して接着されている。
【0054】
本発明の好適なシースは、シースの長手方向長さの一部または全体に沿って螺旋状に方向付けられた1つ以上のプリーツを含むが、他のプリーツの方向も本発明によって同様に考慮されることを認識されたい。例えば、プリーツ(単数または複数)は、十分に拘束または接着されている限り、器具の軸に実質的に平行に配置してもよい。さらに、用途によっては、適切な展開特性を達成するため、多数の不連続なプリーツを提供してもよい。さらに、用途によっては、シースの内側セグメントおよび外側セグメントの両者の少なくとも一部に沿ってプリーツを提供するのが望ましいことがある。
【0055】
本発明のシースは器具を展開するために必要な張力の量を大きく減少することが判明している。この点に関しては、展開張力は通常50〜150グラム程度である。
【0056】
本発明はほぼどんな寸法にも合わせられることに注意されたい。
【実施例】
【0057】
以下の実施例は、本発明の範囲を制限することを目的とせず、本発明をいかに実施しうるかの一実施形態を例示する。
【0058】
シースチューブ構成体
【0059】
(1)(主として長手方向の強度、約0.006mmの膜厚さおよび約0.8kg/cm幅の破壊強度を有する)発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)の1”(25.4mm)幅ストリップを、直径0.11”(2.8mm)×長さ40cmのマンドレル上に「紙巻きたばこ」状に巻き付けた。膜構造体は、膜がマンドレルの長手方向軸により強く平行になるように、マンドレル軸と平行に方向付けられた。
【0060】
(2)そして、0.4”(10mm)幅のePTFE/FEP積層膜(主として長手方向の強度、約0.003mmの合計膜厚さ、約0.001mmのFEP厚さおよび約0.7kg/cm幅の破壊強度)の第2の層を、0.2”(5mm)ピッチの単一パスで第1の膜層の周囲に螺旋状に重ね巻きして、2倍の厚さの第2の膜層を形成した。第2の層の膜構造体はマンドレルの周囲の螺旋方向に方向付けられた。
【0061】
(3)ポリイミドの0.035”(0.89mm)幅×0.001”(0.025mm)厚さのストリップを0.375”(9.5mm)のピッチで第2の膜層の上に巻き付けた。
【0062】
(4)膜の第2の層の第2のパスを、膜の第2の層の前のパスと反対方向にポリイミドの上に巻き付けた。
【0063】
(5)膜を巻き付けたチューブを380℃の温度で8分間マンドレル上で熱処理し、その後チューブ(長さ約25cm)をマンドレルから分離した。
【0064】
(6)ポリイミドのストリップを手作業で180°裏返すことによってチューブに螺旋状にプリーツを付けた。約11cmのチューブに、チューブの一端を始点とし、プリーツの開いた側がプリーツのない部分の反対側を向いたプリーツを付けた。約0.23”(5.8mm)のピッチを有する螺旋状のプリーツを持つチューブのプリーツの付いた内径は約0.095”(2.4mm)であった。約14cmのチューブはプリーツを付けないままにした。
【0065】
装着
【0066】
(1)(アリゾナ州FlagstaffのW.L.Gore & Associates,Inc.から入手可能な)8mm×10cmのGORE VIABIL(登録商標)体内プロテーゼ器具の6つの先端の各々に牽引ラインを取り付けた。Pebax(登録商標)でコーティングした、編み組みされたステンレス鋼シャフト(内径約0.038”(0.97mm)、外径0.045”(1.1mm))を器具の内腔に配置した。
【0067】
(2)長いステンレス鋼ノズル(長さ約100mm、外径0.095”(2.4mm)、内径0.088”(2.2mm))をステンレス鋼の装着ファンネルの小さい方の端部に固定した。ファンネルの大きさは、直径約14mmの広い開口と、直径約2.2mmの小さいファンネル開口、および長さ約34mmの直線テーパを持つものであった。
【0068】
(3)プリーツがノズルの端部から約5mm出るようにして、チューブのプリーツを付けた端部をノズルの外径上に配置した。プリーツの開いた側をノズルのファンネル端部に向くようにした。
【0069】
(4)取り付けられた牽引ラインによって、ファンネルおよび取り付けられたノズルを通じて引っ張ることによって、体内プロテーゼを圧縮した。器具がノズルを出る際、プリーツの付いたチューブはノズルの外径から圧縮された器具の上に供給されて、プリーツの付いた直径で器具を拘束した。
【0070】
(5)ノズルを通じて器具全体を引っ張ってからプリーツの付いたチューブ内に拘束し、チューブのプリーツの開いた部分を器具の上に反転させた。
【0071】
展開
【0072】
(1)器具の展開は、器具に対してチューブの外側のプリーツの開いた部分に張力をかけて移動させ、器具を拘束された状態から解放することによって達成された。
【0073】
(2)チューブが反転すると、プリーツは反転箇所で開放または展開され、チューブのプリーツの開いた層は、プリーツの付いた内側層に対して干渉なしに平行移動する。
【0074】
本送達チューブは、同等に構成されプリーツを含まない反転チューブよりも大幅に低い展開ラインの張力で展開できることが判明した。400mm/分のクロスヘッド速度を利用するINS(登録商標)TRON引っ張り試験機を使用して、材料および構成においては同等の、プリーツのない反転シースと、本発明のプリーツ付き反転シースとに対して引っ張り試験を行った。
【0075】
本発明のプリーツ付きシースを展開するために必要な張力は、約0.074kgをピークとして展開の過程を通じて一定であった。プリーツのない従来の反転シースを展開するために必要な張力は当初約2.2kgであり、展開の過程の半ばで約0.50kgまで低下した。こうした結果を次のグラフに例示するが、ここでは上側の曲線は、器具展開の際従来のプリーツのない反転シースに取り付けた展開ラインが経験する負荷を示し、下側の曲線は、器具展開の際本発明のプリーツ付き反転シースに取り付けた展開ラインが経験する負荷を示す。
【表1】
【0076】
本発明の精神または範囲から逸脱することなく本発明において様々な修正および変形をなしうることが当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内にあるならば、本発明の修正および変形を包含することが意図される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療診断および治療器具を身体内に配置および展開するために使用される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、透視装置または超音波といった撮像技術を使用して目標部位に誘導され、患者にアクセスし、かつ/または治療するため遠隔使用される、ますます多くの医療診断および治療器具が開発されている。こうした器具は、ステント、ステントグラフト、バルーン、血液フィルタ、オクルダー、プローブ、弁、電子リード線、整形外科器具等を含む。普通、こうした器具はカテーテルまたはガイドワイヤの端部の近くに設置され、目標部位に遠隔的に誘導される。医療スタッフが撮像技術を使用して医療器具を正確に配置できるようにするため、放射線不透過性マーカまたは同様の指標が使用されることが多い。
【0003】
一旦器具を正しく配置すると、医療スタッフは、処置を実行し、かつ/または必要な器具(単数または複数)を展開する。閉塞または動脈瘤の介入的治療といった、こうした治療の大部分は治療器具の正確な配置を必要とするので、器具が当初配置されたのと同じ位置で展開することが重要である。例えば、ステントグラフトで大動脈瘤を治療する際、医師は、展開後の器具の移動が5mm未満であることを期待する。移動がこれより大きいと、エンドリーク、側方血管(side vessels)の閉塞または他の合併症につながることがあり、その場合本来必要なかったさらなる治療またさらには危険を伴う観血的手術への移行が必要になる。
【0004】
こうした器具の配置を容易にするための非常に多くの装置が提案されているのは驚くべきことではない。当初、自己拡張式器具は単純にカテーテルチューブ内に引き込みまたは詰め込みしてから治療部位で押し出していた。この方法を使用して正確に配置するのは若干実現が困難なことがあり、医療スタッフは正しい方向を達成するまで繰り返し器具の展開および収縮を繰り返す必要があることが多い。
【0005】
その後、例えばMartin他の特許文献1に記載のような様々な拘束コード、または、例えばLeopold他の特許文献2に記載のような埋め込み型拘束シースを利用するといった、より正確な展開方法が開発された。
【0006】
当初のカテーテルチューブによる拘束と同様の考え方は、治療器具を定位置に保持しつつ器具の上で引き戻された薄い材料のシースを使用することである。この考え方の1つの利点は、器具と薄いシースが占有する空間を、比較的かさばるカテーテルチューブ内に器具を収容する場合よりも大幅に小さくすることができる。また、薄いシースは、はるかに剛性のカテーテルチューブ材料に対してより大きな可撓性を提供できる。医師がより小さくより蛇行した血管を通じてより困難な治療部位に到達しようとする際、このように小型で可撓性であることはきわめて望ましい。残念ながら、この方法は、展開処理を通じて拘束シースに対して圧力を行使する自己拡張式器具に大きな力をかけることがある。その結果、器具とシースとの間に摩擦力が生じるため、シースを除去するために大きな引っ張り力を印加する必要があることが多く、最終的に器具を正確に配置するのをきわめて困難にすると共に、場合によってはシース除去の過程で治療器具を損傷することがある。
【0007】
こうした作用を制限する1つの展開方法は、それ自体の上に反転される薄い材料のシースを利用して、拘束シースが自己拡張式器具の上で引き戻される際にそれ自体だけを摩擦するようにすることである。別言すれば、所定の直径のシースがそれ自体の上に反転され、展開処置を通じてシースの長さの分だけ引き戻される。この考え方の変形は、例えば、Wallstenの特許文献3、Fraser他の特許文献4、Vrba他の特許文献5、Majercak他の特許文献6、およびGundersonの特許文献7に記載されている。シースの材料が十分に強くて薄ければ、これらの方法は、治療器具にかかる力を減らし、おそらくは器具の配置をより正確にする小型化の展望を提供する。
【0008】
反転シースは、非反転シースに見られる問題の一部に対処してはいるが、主として、シースを除去する際にシースの非反転部分を摩擦するシースの反転部分の摩擦力のため、展開の際、それ自体、及び自己拡張式器具の上でシースを引っ張るのに大きな張力を必要とすることがある。こうした問題は、器具の長さが長くなるほど、また自己拡張式器具がより堅牢になってより大きな外向きの圧力を及ぼすようになるほど複雑になる。シースを反転し除去するために、必要な張力が大きくなるほど、医療スタッフにとって、展開の際、装置を正確な位置に保持しながらシースを除去することが困難になる。また、展開張力が増大すると、展開の際、シース及び展開ラインの破損を回避するため、シースの構成をより頑丈にする必要がある。反転シースのこうした欠陥は、この展開方法の実用化を制限しうるものと考えられる。
【0009】
したがって、反転シース(すなわち、めくり返すタイプのシース)による展開の利点の多くを保持したままで、展開張力がより小さく、器具の配置がより正確にできる、展開装置を開発することが望まれていれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,042,605号
【特許文献2】米国特許第6,352,561号
【特許文献3】米国特許第4,732,152号
【特許文献4】米国特許第5,571,135号
【特許文献5】米国特許第6,942,682号
【特許文献6】米国特許出願第2006/0025844号
【特許文献7】米国特許出願第2006/0030923号
【発明の概要】
【0011】
本発明は、シースの除去をより容易にするため展開の際開くようになっている、展開前の状態の1つ以上のプリーツを含む医療器具用の展開シースを対象にする。好適には、シースは送達処理の際それ自体の上に反転されることによって展開される。好適にはシースの周囲に螺旋状に、シースの長さに沿ってプリーツを方向付けることによって、シースは展開の際予測可能な拡大を経て、展開の際シース自体に沿って摺動する反転シースの摩擦力を軽減する。これによって以前の反転シース構成体よりもはるかに小さい張力でシースを除去できるようになり、患者へのより正確な器具の設置が保証される。
【0012】
本発明の一実施形態では、シースを使用して体内プロテーゼを送達してもよい。シースは管状の構成でもよく、好適にはシースの周囲に螺旋状に、シースの長さの少なくとも一部に沿って方向付けられた少なくとも1つのプリーツを含む。プリーツは、プリーツを形成しプリーツの形態および方向を保持する助けとなるため、ポリイミドのような、材料を折り曲げかつ引っ張る力に対する耐性を有する材料または他の特徴を組み込んでもよい。
【0013】
本発明のさらなる実施形態では、展開前の形状でそれ自体の上に少なくとも部分的に反転して内側セグメントと外側セグメントとを形成するシースを使用して医療器具を展開してもよい。やはり好適には螺旋方向に、内側セグメントの少なくとも一部に沿って少なくとも1つのプリーツが提供される。シースの外側セグメントに張力を印加することによって展開が行われる時、シースが反転するに連れて、内側セグメントは徐々にそれ自体の向きを変えて外側セグメントとなり、プリーツは徐々に開く。このように、シースが外側セグメントになるに連れてプリーツが開くことによって、外側セグメントはプリーツの付いた内側セグメントより十分に大きな直径を持つようになり、展開の際内側セグメントと外側セグメントとの間の摩擦接触を減らす。
【0014】
それ自体に対するシースの摩擦接触を最小化することによって、先行技術のシース拘束装置で必要とされていたのより大幅に小さい張力を印加するだけでシースを除去できることが判明している。ここでも、プリーツの形成および保持を助けるため材料を折り曲げかつ引っ張る力に対する材料または他の特徴を組み込んでいることが好適である。
【0015】
本発明の展開装置を使用して、患者を診断および/または治療する多様な器具を展開してもよい。こうした器具は、ステント、ステントグラフト、バルーン、血液フィルタ、オクルダー、プローブ、弁、電子リード線(例えば、脈拍調整または除細動器のリード線)、整形外科器具等を含んでもよい。
【0016】
本発明の展開装置は、多くの異なる器具送達および展開の必要に対処するために修正してもよい。例えば、プリーツの数、プリーツの方向、プリーツの大きさおよび間隔、プリーツのピッチ、等は、器具を異なるやり方で展開させるために調整できる。さらに、本発明のシースは、器具をカテーテルのハブ側から先端側に、または先端側からハブ側に、または器具の中央から外向きに両方向に展開させるといった、異なる展開の要求に対応するため、多様なやり方で器具上に設置できる。
【0017】
本発明のさらなる特徴および利点は以下の説明に記載されており、ある程度は説明から明らかになるか、あるいは一部は本発明を実施することによって明らかになるだろう。本発明の目的および他の利点は、明細書および特許請求の範囲ならびに添付の図面に特に指摘した構造によって実現され達成されるだろう。
【0018】
上記の概要と以下の詳細な説明はどちらも例示的であり説明的であって、特許請求の範囲に記載の本発明のさらなる説明を提供することを目的としていることを理解されたい。
【0019】
本発明のさらなる理解を提供するために本明細書に包含されそれに組み込まれその一部を構成する添付の図面は、本発明の原理を説明する本文と共に、本発明の実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】送達カテーテルの遠位端の近くに設置された本発明のプリーツ付きシースを利用する医療器具展開システムの一実施形態の平面図である。
【図2】本発明の反転プリーツ付きシースが取り除かれ、内部に収容された自己拡張式ステントを徐々に解放するのを示す、送達カテーテルの遠位端の拡大透視図である。
【図3】本発明のプリーツ付きシースの構成要素だけを示す、図2の線3−3に沿った断面図である。
【図4】シースが反転する際にプリーツが開き、シースが展開ラインによって作動されているのを示す、本発明の反転プリーツ付きシースの一部の透視図である。
【図5】単一の層を備える本発明のプリーツ付きシースの別の実施形態の透視図である。
【図6】図5のシースの線6−6に沿った断面図である。
【図7】図6に示すプリーツの付いた配置よりシースの有効径が大きくなっている、プリーツを開いた後の図5のシースの断面図である。
【図8】単一の層を備え、そこに提供された2つのプリーツを有する、本発明のプリーツ付きシースのまた別の実施形態の透視図である。
【図9】図8の線9−9に沿った断面図である。
【図10】プリーツが形成された後シースの長さに沿って直径を変化させるため、プリーツを画定する要素の間隔およびピッチがシースの長さに沿って変化する、本発明のシースの別の実施形態の透視図である。
【図11】プリーツを付けた後の図10のシースの透視図である。
【図12】プリーツを画定する要素の幅がシースの長さに沿って変化する、本発明のシースの別の実施形態の透視図である。
【図13】プリーツを付けた後の図12のシースの透視図である。
【図14】器具に沿った中央の場所から反対方向に器具から取り除かれるように方向付けられた本発明の1対のシースを組み込み、圧縮された器具を収容する送達カテーテルの長手方向断面図である。
【図15】本発明の2つのシースを反対方向に除去することによってステントグラフト器具が中央から展開されるのを示す拡大透視図である。
【図16A】シースを除去する装置の別の実施形態を示す、本発明のシースを利用するカテーテルの遠位部分の長手方向断面図である。
【図16B】図16Aのカテーテルシャフトの近位部分の長手方向断面図である。
【図17A】シースを除去する装置のまた別の実施形態を示す、本発明のシースを利用するカテーテルの遠位部分の部分切断透視図である。
【図17B】図17Aのカテーテルシャフトの近位部分の部分切断透視図である。
【図18】プリーツを補強する一体構造の部分に沿って材料の厚さを追加した、本発明の別の単一層シースの3/4等角図である。
【図19】ヒンジ線を画定するシースの表面処理を含む、本発明のまた別の単一層シースの3/4等角図である。
【図20】シートの縁端に形成されたプリーツを連結することによって管状構成体に形成される材料のシートを備える、本発明のシースの別の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、添付の図面に例を示す、本発明の実施形態を詳細に参照する。
【0022】
本発明は、好適には反転シースによる送達と共に使用する、医療器具を収容および送達するためのプリーツ付き展開シースを利用する。1つ以上のプリーツが展開前の状態のシースに前もって形成されており、展開の際に開いてシースの除去をより容易にするようになっている。好適にはシースの周囲に螺旋状に、シースの長さに沿って長手方向にプリーツを方向付けることによって、シースは展開の際予測可能な拡大を経て、展開の際シース自体に沿って摺動する反転シースの摩擦力を軽減する。これによって以前の反転シース構成体よりもはるかに小さい張力でシースを除去できるようになり、患者へのより正確な器具の配置が保証される。
【0023】
医療器具展開システム12の端部近くに設置された本発明のプリーツ付きシース10の一実施形態を図1に示す。展開システムは、遠位のオリーブ形部16からコントロールハブ18まで延びるカテーテルシャフト14を備える。ステント、ステントグラフト、バルーン、血液フィルタ、オクルダー、プローブ、弁等といった医療器具は、患者の身体内の治療部位で展開するためシース10内に収容してもよい。図示実施形態では、シース10はそれ自体の上に反転して2つの層を形成し、本実施形態では、外側セグメント20は内側セグメント22を完全に覆う。外側セグメントは近位端24で分割され、開口28を通じてカテーテルシャフト内に導入される展開ライン26を形成する。展開ライン26は、ハブ18上の展開ノブ30に動作可能に接続される。
【0024】
シース10は、送達すべき器具を拘束し、かつ除去処理の張力に耐える十分な強さを持つ任意の材料から形成してもよい。また、器具の送達断面を小さな形に保持し、除去処理を容易にするため、シース10はできる限り薄く潤滑性であることが望ましい。また、送達および展開の際シース10は一時的に患者の体内の奥深くに配置されるので、シースは生体適合性材料から形成されることが望ましい。以下より詳細に説明するように、適切なシースの材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、発泡PTFE(ePTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエステル等を含んでもよい。
【0025】
本発明の本実施形態では、内側セグメント22はその長さ全体に沿って延びる螺旋状プリーツ32を含む。プリーツ32は、シースの内側セグメント22を外側セグメント20の直径より小さい直径まで縮小する、シースの材料中の折り畳み部を備える。プリーツ32の形成および保持を助けるために、補強材料34をシースの上に層状に重ねるかまたは他のやり方で取り付けてもよい。好適には、補強材料は、折り畳み処理の際およびシースの展開を通じてプリーツをその全長に沿って正しい方向により容易に保持するため折り曲げに対する耐性を有する。適切な補強材料は、シースに付着した、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリウレタン、または同様の材料といったポリマー材料の1つ以上のストリップ、および硬化して、所定の螺旋ピッチ、プリーツ幅、および有効径で折り曲げに対する耐性を有する十分な剛性/ヤング率を提供するといった望ましい特性を提供する、ストリップに施されたコーティングを含んでもよい。
【0026】
本発明に関連して「プリーツ」という用語が使用される場合、それはシースの有効径を縮小するシース材料中の何らかの折り畳み部(単数または複数)を指す。好適な実施形態では、各プリーツはシース材料をそれ自体の上で折り返した2つの折り畳み部を備える。代替的には、以下説明するように、プリーツは、例えば図20に示すように、連結されることもある、材料のシートの縁端に沿った単一の折り畳み部または複数の折り畳み部を備えてもよい。また、プリーツは、材料の一区分の圧延、ねじ曲げ、または蛇腹式折り畳み、または後で展開する際プリーツを開くための材料を保存することを通じて形成してもよい。
【0027】
シース10は、本実施形態では遠位端である一方の端部の折り返し部36でそれ自体の上に反転する。以下説明するように、折り返し部36は器具の遠位端または近位端、またはそれらの間のどこかに方向付けられてもよい。
【0028】
展開ライン26を作動させるため、医療人員は展開ノブ30のねじを緩めてノブおよび接続された展開ラインを引っ張り、収容された器具からシースを徐々に取り除く。シースの外側セグメントが取り除かれるに連れて、折り返し部36は収容された器具の長さに沿って後退し、内側セグメント22が外側セグメント20になるように、内側セグメント22を着々と反転する。反転の過程で、プリーツ32は折り返し部36に巻き付いて開く。このようにして、シースのプリーツの開かれた外側セグメント20は常に、プリーツの付いた内側セグメント22より大きな有効径を保持する。その結果、2つの層の間の摩擦力は最小となり、直径の大きな外側セグメント20は内側セグメント22の上を容易に摺動したやすく除去される。
【0029】
器具送達の処理は図2によりよく見られる。本実施形態では、補強プリーツ32を持つ内側セグメント22は切断図で露出して示されている。直径の大きな外側セグメント20が取り除かれるに連れて、プリーツ32は折り返し部36に沿って開く。この状態では単にシース10に取り付けられているだけで、もはやプリーツを画定していない補強材料34のストリップが、外側セグメント20の長さに沿って見られる。このようにしてシース10が取り除かれるに連れて、拘束された自己拡張式ステント38は本実施形態から徐々に展開される。
【0030】
図3の断面図に見られるように、同軸の内側セグメント22およびプリーツ32および補強材料34が、プリーツの開いた補強材料34のみを有する直径の大きな外側セグメント20の中にあることが示されている。
【0031】
図4は、プリーツを開く処理を示し、その際内側に収容されたプリーツ32は破線で示されプリーツの開いた補強材料34は外側セグメント20に沿って露出して示されている。ここでも、遷移は折り返し部36で起こっている。本実施形態では、展開ライン40は外側セグメント20の一方の端部42に接続されている。展開ライン42にかかる張力によってシース10が作動する。
【0032】
図5は、単一層のシース10を備える本発明の別の実施形態を例示する。螺旋状に形成されたプリーツ32はここでも補強材料34のストリップを含む。図6の断面図に見られるように、プリーツ32によってシース10は所定の直径xを有するようになる。プリーツ32が開かれると、図7に示すように、シース10の直径は直径yまで増大する。
【0033】
本発明の単一層の実施形態に関しては、シースの使用を可能にする多様な方法が存在する。第1に、本発明のプリーツは好適には拘束力がなくても安定している。例えば、十分な螺旋角を持つ十分に剛性のプリーツは固有の安定性を有し、外側から拘束されなくとも定位置に保持される。代替的には、プリーツを定位置に保持するのを助ける多様な拘束を提供できる。例えば、単一層のシースを形成してから部分的または全体的にそれ自体の上で反転した上で、上記のやり方で利用してもよい。シースの反転部分は、器具を展開する準備が完了するまでプリーツを折り畳まれた形状に保持する。別の実施形態では、単一層のシースは、別のシース、密接に装着されたカテーテルチューブ、または同様の構造体等の使用を通じて、プリーツを折り畳まれた形状に保持する別の管状構造体に収容してもよい。また別の実施形態では、器具を展開する準備が完了するまでプリーツを定位置に保持する、接着剤、テープの接着、テープの巻き付け、糸の巻き付け、または同様の手段等の使用を通じて、プリーツをシースに接合できる。単一層のシースを展開するさらなる方法は、プリーツ付きチューブの近位端(すなわち、臨床医にもっとも近い端部)から張力をかけるステップを含んでもよい。十分な張力が印加されると、プリーツは開いてチューブの直径が徐々に増大し、器具に対して平行移動できるようになる。
【0034】
本発明のプリーツ付きシース10のまた別の実施形態を図8および図9に例示する。本実施形態では、シース10は単一の層を備え、2つのプリーツ32a、32bを含む。プリーツは、図示するようにシース10の反対側に均等に配置してもよく、また他の方向に配置してもよい。望ましい展開仕様に応じて、本発明は、シースの長さの一部または全体に沿って1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上のプリーツがある形で実施できる。
【0035】
図10は、プリーツ要素32間の間隔44a、44b、44c、44dがシース10の長さに沿って変化する、本発明のシース10の別の実施形態を例示する。同様に、プリーツ要素32の螺旋巻き付けのピッチ46a、46b、46c、46d、46eもシース10の長さに沿って変化する。これらの特性は各々、器具設計において、プリーツを付けた後シースの長さに沿って直径を変化させるため、別個または連携して調整できる。器具の非円筒形断面に対応し、かつ/またはシースの除去特性を変化させるため、シースの長さに沿って直径を変化させてもよい。
【0036】
図11は、プリーツを付けた後の図10のシースを示す。この場合、シースおよび収容された器具は、遠位端48が近位端50より小さい直径を有するテーパ断面を提供する。
【0037】
図12の実施形態では、プリーツ要素の幅52a、52b、52cはシース10の長さに沿って変化している。ここでも、プリーツの幅を変化させることによって、器具の非円筒形断面に対応し、かつ/またはシースの除去特性を変化させるため、シースの長さに沿って直径を変化させることができる。例えば、図示するように器具の長さに沿ってプリーツ要素を徐々に細くすることによって、直径を変化させてプリーツ付きシースを形成し、長さに沿ってシースを展開する際(展開の方向に応じて)摩擦力を大きくしたり小さくしたりして、シースの初期の展開を容易にしたり困難にしたりすることができる。
【0038】
図13は、展開した後の図12のシースを示す。この場合、シースおよび収容された器具は、遠位端48が近位端50より小さい直径を有するテーパ断面を提供する。
【0039】
器具に沿った中央の場所から反対方向に圧縮された器具38から取り除かれるように方向付けられた、本発明の1対のシース10a、10bを組み込み、圧縮された器具38を収容する送達カテーテルを図14に示す。近位のシース10aはカテーテルシャフト14に沿って作動機構54に至る。遠位のシース10bは反対方向に(すなわち、カテーテル14の遠位端に向かって)取り除かれ、反転してカテーテルシャフト14に至る。遠位のシース10bも同様に作動機構54によって制御される。
【0040】
本実施形態で2つのシースを作動させることによって、2つのシース10a、10bは圧縮された器具38から同時に取り除かれ、圧縮された器具38が中央から外向きに展開できるようにする。非常に迅速な器具の展開が要求され、かつ/または完全に展開する前の器具に対する大量の血流の作用を最小化することが望ましい場合(例えば、器具が大動脈内で展開され、器具の位置をずらしうる多量の血流の中での「吹き流し」作用を回避するため器具の上流端を最後に展開させることが望ましい場合)、このような展開が有益なことがある。
【0041】
図15は、2つのシース10a、10bを除去することによってどのようにステントグラフト器具38が中央から展開できるかを例示する。この展開方法は、胸部大動脈等にステントグラフト器具を設置するために好適であろう。
【0042】
用途によっては、器具の一部だけがある所定の時点で展開されるように、各シース10a、10bを互いに別個に作動させるのが好適であることを理解されたい。これは、各シースのために別個の作動機構を提供することによって容易に達成できる。さらに、ここで論じた本発明の全ての実施形態に関して、図14および図15の実施形態に例示したように、シースは、カテーテルの遠位端から後方に向かってか、またはカテーテルの近位端から前方に向かってか、または2つ以上の展開シースを反対方向に向かって展開させるのが望ましいことがあることを認識されたい。
【0043】
図16Aおよび図16Bは、図14に示したものと同様の展開機構を例示する。本実施形態では、器具38を拘束する単一の反転したシース10が提供される。シース10は、カテーテルシャフト14の外側ケーシング54内で近位方向に延び、内側カテーテルシャフト56を同軸状に取り囲んでいる。シース10はカテーテル14の近位端58まで延び、そこでユーザによって作動可能である。本実施形態では、シース10は、ミシン目または同様の脆弱化手段60の前もって形成された長手方向の線等を通じて長手方向に分割する材料から構成されているので、図16Bに示すように、シース10は、尾部62に張力を印加することによって内側シャフト56から除去できる。配置および展開の際カテーテルの取り扱いを支援するため外側ケーシング54の遠位端にストレインリリーフ64を提供してもよい。
【0044】
本発明と共に使用しうる別の展開機構を図17Aおよび図17Bに示す。本実施形態では、内側シャフト56を収容する内腔66と、展開ライン40を受け入れるように設計された内腔68とを有する二重内腔カテーテル14が提供される。展開ライン40はシース10と一体であるかまたはそれに取り付けられている。前に説明したやり方でライン40を作動させてシース10を取り除くようにする。
【0045】
血管で使用するための自己拡張式ステントまたはステントグラフトを収容し展開するための本発明の好適なシースは、厚さ0.03〜0.3mm、およびより好適には0.05〜0.12mmの、ePTFE多層積層膜チューブのような薄い潤滑性ポリマー材料から構成される。本記載の観点から、本発明のチューブは好適にはできる限り薄く、その一方で展開するまで負荷に耐え器具を有効に拘束する強度特性を有することが明らかであろう。
【0046】
本発明で利用しうるプリーツのまた別の実施形態を図18〜図20に例示する。図18は、それ自体シース10と同じ材料から形成されたプリーツ補強材70を例示する。この補強材70は、高くなった補強材70の何れかの側に、画定された折り畳み線72a、72bを提供するため、シースの円周の一部に沿って追加の材料の層を提供することによって得られる。この構成体は、シース上に所定のやり方で追加の材料を押し出し成形または他の形で追加し、かつ/または寸法が増大したプリーツ補強材70を残すため、シースの残りの部分から材料を除去するかまたはそこで材料を圧縮することによって形成してもよい。折り曲げに対する耐性を確立するため補強範囲を圧縮することによって同様の効果を達成してもよい。
【0047】
図19は、予測可能なシースの折り畳み部を達成する別のアプローチを例示する。本実施形態では、シース10は1つ以上の画定されたプリーツのヒンジ線74a、74bを提供するように処理されている。各ヒンジ線74は、機械的方法(例えば、切削、折り目付け、圧縮、等)、押し出し成形または他の材料製造ステップ、または熱処理(例えば、加熱またはレーザ処理)、またはこれらの様々な方法の何らかの組み合わせを含む、多様な表面処理手段の何れかを通じて形成してもよい。プリーツの付いた状態のシース10はこうしたヒンジ線74に沿って折り畳まれている。
【0048】
図18および図19の両者の実施形態に関して、折り曲げに対する耐性を有しまた他の形で優先的に折り目を付ける十分な相対剛性および/または厚さを持つプリーツ領域を形成することによって望ましい結果が達成されることは明らかであろう。さらに、こうした技術を使用して、シースに付加的な材料を追加する必要なしに、シースに優先的な折り畳み特性を備えることができる。
【0049】
図20は、本発明に係るプリーツを形成するまた別の方法を例示する。本実施形態では、シース10は2つの縁端76a、76bを有する材料のシートから形成される。これらの縁端76a、76bは折り畳んで、1つ以上の折り畳み部を持つプリーツ78a、78bを形成できる。そして、縁端のプリーツ76a、76bを、例えば図示するように互いに連結して、本発明のシース10として機能する管状構造体を形成できる。本実施形態では、プリーツ10が開くと、縁端76は互いに分離して、本発明の望ましい予測可能な拡大を可能にする。プリーツ78の形成および保持を容易にするため、縁端76の一方または両方は、前に説明した方法の1つ等を通じて、補強材80a、80bを備えることができる。
【0050】
本発明の反転した実施形態では、最終的な構成体において、2つのセグメント間の摩擦力を最小化するため、内側セグメントの外径より十分に大きい内径を有するべきであることを認識されたい。すなわち、内側セグメントと外側セグメントとの間の干渉を最小化するため、プリーツを開いた外側セグメントは、その内径が、プリーツの付いた内側セグメントの外径を楽に越えるように拡大すべきである。外側セグメントの内径は、内側セグメントの外径より0.1〜50%、およびより好適には10〜20%大きいことが好適である。
【0051】
例えば、こうした寸法を達成するため、約0.08mmの壁厚さと、約2.1mmのプリーツを開いた内径とを持つシースは通常、0.8mmのプリーツ幅を持つ1つ以上のプリーツを備えており、約1.9mmの外径を有するプリーツ付き内側セグメントを形成する。
【0052】
自己拡張式ステントまたはステントグラフトの展開のための本発明の好適な実施形態では、プリーツは0.3〜2.0mmの幅、およびより好適には0.6〜1.3mmの幅を備えている。プリーツは通常、シースに沿って螺旋状に方向付けられており、通常のピッチ角は30〜75度、およびより好適にはピッチは50〜70度である。
【0053】
プリーツは好適には、厚さ0.01〜0.08mm、およびより好適には0.02〜0.05mmの、ポリイミド膜のような比較的折り曲げに対する耐性を有するストリップ(単数または複数)によって補強されている。補強材料は積層シースの層の間に封入されており、FEPまたは同様の材料といった接着剤を使用して接着されている。
【0054】
本発明の好適なシースは、シースの長手方向長さの一部または全体に沿って螺旋状に方向付けられた1つ以上のプリーツを含むが、他のプリーツの方向も本発明によって同様に考慮されることを認識されたい。例えば、プリーツ(単数または複数)は、十分に拘束または接着されている限り、器具の軸に実質的に平行に配置してもよい。さらに、用途によっては、適切な展開特性を達成するため、多数の不連続なプリーツを提供してもよい。さらに、用途によっては、シースの内側セグメントおよび外側セグメントの両者の少なくとも一部に沿ってプリーツを提供するのが望ましいことがある。
【0055】
本発明のシースは器具を展開するために必要な張力の量を大きく減少することが判明している。この点に関しては、展開張力は通常50〜150グラム程度である。
【0056】
本発明はほぼどんな寸法にも合わせられることに注意されたい。
【実施例】
【0057】
以下の実施例は、本発明の範囲を制限することを目的とせず、本発明をいかに実施しうるかの一実施形態を例示する。
【0058】
シースチューブ構成体
【0059】
(1)(主として長手方向の強度、約0.006mmの膜厚さおよび約0.8kg/cm幅の破壊強度を有する)発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)の1”(25.4mm)幅ストリップを、直径0.11”(2.8mm)×長さ40cmのマンドレル上に「紙巻きたばこ」状に巻き付けた。膜構造体は、膜がマンドレルの長手方向軸により強く平行になるように、マンドレル軸と平行に方向付けられた。
【0060】
(2)そして、0.4”(10mm)幅のePTFE/FEP積層膜(主として長手方向の強度、約0.003mmの合計膜厚さ、約0.001mmのFEP厚さおよび約0.7kg/cm幅の破壊強度)の第2の層を、0.2”(5mm)ピッチの単一パスで第1の膜層の周囲に螺旋状に重ね巻きして、2倍の厚さの第2の膜層を形成した。第2の層の膜構造体はマンドレルの周囲の螺旋方向に方向付けられた。
【0061】
(3)ポリイミドの0.035”(0.89mm)幅×0.001”(0.025mm)厚さのストリップを0.375”(9.5mm)のピッチで第2の膜層の上に巻き付けた。
【0062】
(4)膜の第2の層の第2のパスを、膜の第2の層の前のパスと反対方向にポリイミドの上に巻き付けた。
【0063】
(5)膜を巻き付けたチューブを380℃の温度で8分間マンドレル上で熱処理し、その後チューブ(長さ約25cm)をマンドレルから分離した。
【0064】
(6)ポリイミドのストリップを手作業で180°裏返すことによってチューブに螺旋状にプリーツを付けた。約11cmのチューブに、チューブの一端を始点とし、プリーツの開いた側がプリーツのない部分の反対側を向いたプリーツを付けた。約0.23”(5.8mm)のピッチを有する螺旋状のプリーツを持つチューブのプリーツの付いた内径は約0.095”(2.4mm)であった。約14cmのチューブはプリーツを付けないままにした。
【0065】
装着
【0066】
(1)(アリゾナ州FlagstaffのW.L.Gore & Associates,Inc.から入手可能な)8mm×10cmのGORE VIABIL(登録商標)体内プロテーゼ器具の6つの先端の各々に牽引ラインを取り付けた。Pebax(登録商標)でコーティングした、編み組みされたステンレス鋼シャフト(内径約0.038”(0.97mm)、外径0.045”(1.1mm))を器具の内腔に配置した。
【0067】
(2)長いステンレス鋼ノズル(長さ約100mm、外径0.095”(2.4mm)、内径0.088”(2.2mm))をステンレス鋼の装着ファンネルの小さい方の端部に固定した。ファンネルの大きさは、直径約14mmの広い開口と、直径約2.2mmの小さいファンネル開口、および長さ約34mmの直線テーパを持つものであった。
【0068】
(3)プリーツがノズルの端部から約5mm出るようにして、チューブのプリーツを付けた端部をノズルの外径上に配置した。プリーツの開いた側をノズルのファンネル端部に向くようにした。
【0069】
(4)取り付けられた牽引ラインによって、ファンネルおよび取り付けられたノズルを通じて引っ張ることによって、体内プロテーゼを圧縮した。器具がノズルを出る際、プリーツの付いたチューブはノズルの外径から圧縮された器具の上に供給されて、プリーツの付いた直径で器具を拘束した。
【0070】
(5)ノズルを通じて器具全体を引っ張ってからプリーツの付いたチューブ内に拘束し、チューブのプリーツの開いた部分を器具の上に反転させた。
【0071】
展開
【0072】
(1)器具の展開は、器具に対してチューブの外側のプリーツの開いた部分に張力をかけて移動させ、器具を拘束された状態から解放することによって達成された。
【0073】
(2)チューブが反転すると、プリーツは反転箇所で開放または展開され、チューブのプリーツの開いた層は、プリーツの付いた内側層に対して干渉なしに平行移動する。
【0074】
本送達チューブは、同等に構成されプリーツを含まない反転チューブよりも大幅に低い展開ラインの張力で展開できることが判明した。400mm/分のクロスヘッド速度を利用するINS(登録商標)TRON引っ張り試験機を使用して、材料および構成においては同等の、プリーツのない反転シースと、本発明のプリーツ付き反転シースとに対して引っ張り試験を行った。
【0075】
本発明のプリーツ付きシースを展開するために必要な張力は、約0.074kgをピークとして展開の過程を通じて一定であった。プリーツのない従来の反転シースを展開するために必要な張力は当初約2.2kgであり、展開の過程の半ばで約0.50kgまで低下した。こうした結果を次のグラフに例示するが、ここでは上側の曲線は、器具展開の際従来のプリーツのない反転シースに取り付けた展開ラインが経験する負荷を示し、下側の曲線は、器具展開の際本発明のプリーツ付き反転シースに取り付けた展開ラインが経験する負荷を示す。
【表1】
【0076】
本発明の精神または範囲から逸脱することなく本発明において様々な修正および変形をなしうることが当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内にあるならば、本発明の修正および変形を包含することが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具送達システムであって、
長さを有し、医療器具の周囲に設置されそれを収容する管状シースを備え、
前記管状シースが、長さの少なくとも一部に沿って方向付けられた少なくとも1つのプリーツを含む医療器具送達システム。
【請求項2】
前記プリーツが前記シースの長さの少なくとも一部に沿って螺旋状に方向付けられている、請求項1に記載の医療器具送達システム。
【請求項3】
前記シースが前記プリーツの画定を支援する手段を含む、請求項1に記載の医療器具送達システム。
【請求項4】
前記プリーツの一部が補強されている、請求項1に記載の医療器具送達システム。
【請求項5】
前記プリーツが補強材料で補強されている、請求項4に記載の医療器具送達システム。
【請求項6】
前記補強材料が、前記シースに取り付けられたポリマーストリップを備える、請求項5に記載の医療器具送達システム。
【請求項7】
前記シースの少なくとも一部が前記医療器具の展開の前にそれ自体の上に反転される、請求項2に記載の医療器具送達システム。
【請求項8】
前記シースの反転された部分に張力が印加されると、前記シースの反転された部分が前記器具の長さに沿って摺動し、前記プリーツが徐々に開いて前記シースの反転された部分に拡大された直径を提供する、請求項7に記載の医療器具送達システム。
【請求項9】
前記シースが発泡ポリテトラフルオロエチレンを備える、請求項1に記載の医療器具送達システム。
【請求項10】
前記シースが、発泡ポリテトラフルオロエチレン膜の多数の層のチューブを備える、請求項9に記載の医療器具送達システム。
【請求項11】
前記医療器具が体内プロテーゼである、請求項1に記載の医療器具送達システム。
【請求項12】
前記体内プロテーゼが自己拡張式器具である、請求項11に記載の医療器具送達システム。
【請求項13】
医療器具送達システムであって、
長さを有する医療器具と、
その長さの少なくとも一部に沿って前記医療器具の周囲に設置されたシースとを備え、
展開の前に、前記シースがそれ自体の上に少なくとも部分的に反転されて内側セグメントと外側セグメントとを形成し、
前記シースの前記内側セグメントの少なくとも一部が螺旋状に方向付けられたプリーツを含む医療器具送達システム。
【請求項14】
前記シースの前記外側セグメントに張力を印加することによって展開が行われ、前記内側セグメントを反転させ徐々にその向きを変えて前記外側セグメントとし、前記シースが反転するに連れて前記プリーツが徐々に開く、請求項13に記載の医療器具送達システム。
【請求項15】
前記プリーツの開いた外側セグメントが前記プリーツの付いた内側セグメントより十分に大きな直径を持ち、展開の際前記内側セグメントと前記外側セグメントとの間の摩擦接触を減らす、請求項14に記載の医療器具送達システム。
【請求項16】
前記プリーツの一部が補強材料で補強されている、請求項13に記載の医療器具送達システム。
【請求項17】
前記補強材料が、前記シースに取り付けられたポリマーストリップを備える、請求項16に記載の医療器具送達システム。
【請求項18】
前記シースが発泡ポリテトラフルオロエチレンを備える、請求項13に記載の医療器具送達システム。
【請求項19】
前記シースが、発泡ポリテトラフルオロエチレン膜の多数の層のチューブを備える、請求項18に記載の医療器具送達システム。
【請求項20】
前記医療器具が体内プロテーゼである、請求項13に記載の医療器具送達システム。
【請求項21】
前記体内プロテーゼが自己拡張式器具である、請求項20に記載の医療器具送達システム。
【請求項22】
体内プロテーゼのための送達および展開システムであって、
遠位端と、近位端と、身体の導管内に挿入するための第1の、小さい方の圧縮された直径と、第2の、大きい方の展開された直径とを有する体内プロテーゼであって、前記第1の、小さい方の圧縮された直径で提供される体内プロテーゼと、
拘束シースであって、前記シースの第1の長さの部分が圧縮された前記体内プロテーゼの周囲に装着されて前記体内プロテーゼの長さに沿って延び、第2の長さの部分が前記第1の長さの部分の上に反転し、前記拘束シースの少なくとも前記第1の長さの部分が螺旋状に方向付けられた折り畳み部を含む拘束シースとを備える送達および展開システム。
【請求項1】
医療器具送達システムであって、
長さを有し、医療器具の周囲に設置されそれを収容する管状シースを備え、
前記管状シースが、長さの少なくとも一部に沿って方向付けられた少なくとも1つのプリーツを含む医療器具送達システム。
【請求項2】
前記プリーツが前記シースの長さの少なくとも一部に沿って螺旋状に方向付けられている、請求項1に記載の医療器具送達システム。
【請求項3】
前記シースが前記プリーツの画定を支援する手段を含む、請求項1に記載の医療器具送達システム。
【請求項4】
前記プリーツの一部が補強されている、請求項1に記載の医療器具送達システム。
【請求項5】
前記プリーツが補強材料で補強されている、請求項4に記載の医療器具送達システム。
【請求項6】
前記補強材料が、前記シースに取り付けられたポリマーストリップを備える、請求項5に記載の医療器具送達システム。
【請求項7】
前記シースの少なくとも一部が前記医療器具の展開の前にそれ自体の上に反転される、請求項2に記載の医療器具送達システム。
【請求項8】
前記シースの反転された部分に張力が印加されると、前記シースの反転された部分が前記器具の長さに沿って摺動し、前記プリーツが徐々に開いて前記シースの反転された部分に拡大された直径を提供する、請求項7に記載の医療器具送達システム。
【請求項9】
前記シースが発泡ポリテトラフルオロエチレンを備える、請求項1に記載の医療器具送達システム。
【請求項10】
前記シースが、発泡ポリテトラフルオロエチレン膜の多数の層のチューブを備える、請求項9に記載の医療器具送達システム。
【請求項11】
前記医療器具が体内プロテーゼである、請求項1に記載の医療器具送達システム。
【請求項12】
前記体内プロテーゼが自己拡張式器具である、請求項11に記載の医療器具送達システム。
【請求項13】
医療器具送達システムであって、
長さを有する医療器具と、
その長さの少なくとも一部に沿って前記医療器具の周囲に設置されたシースとを備え、
展開の前に、前記シースがそれ自体の上に少なくとも部分的に反転されて内側セグメントと外側セグメントとを形成し、
前記シースの前記内側セグメントの少なくとも一部が螺旋状に方向付けられたプリーツを含む医療器具送達システム。
【請求項14】
前記シースの前記外側セグメントに張力を印加することによって展開が行われ、前記内側セグメントを反転させ徐々にその向きを変えて前記外側セグメントとし、前記シースが反転するに連れて前記プリーツが徐々に開く、請求項13に記載の医療器具送達システム。
【請求項15】
前記プリーツの開いた外側セグメントが前記プリーツの付いた内側セグメントより十分に大きな直径を持ち、展開の際前記内側セグメントと前記外側セグメントとの間の摩擦接触を減らす、請求項14に記載の医療器具送達システム。
【請求項16】
前記プリーツの一部が補強材料で補強されている、請求項13に記載の医療器具送達システム。
【請求項17】
前記補強材料が、前記シースに取り付けられたポリマーストリップを備える、請求項16に記載の医療器具送達システム。
【請求項18】
前記シースが発泡ポリテトラフルオロエチレンを備える、請求項13に記載の医療器具送達システム。
【請求項19】
前記シースが、発泡ポリテトラフルオロエチレン膜の多数の層のチューブを備える、請求項18に記載の医療器具送達システム。
【請求項20】
前記医療器具が体内プロテーゼである、請求項13に記載の医療器具送達システム。
【請求項21】
前記体内プロテーゼが自己拡張式器具である、請求項20に記載の医療器具送達システム。
【請求項22】
体内プロテーゼのための送達および展開システムであって、
遠位端と、近位端と、身体の導管内に挿入するための第1の、小さい方の圧縮された直径と、第2の、大きい方の展開された直径とを有する体内プロテーゼであって、前記第1の、小さい方の圧縮された直径で提供される体内プロテーゼと、
拘束シースであって、前記シースの第1の長さの部分が圧縮された前記体内プロテーゼの周囲に装着されて前記体内プロテーゼの長さに沿って延び、第2の長さの部分が前記第1の長さの部分の上に反転し、前記拘束シースの少なくとも前記第1の長さの部分が螺旋状に方向付けられた折り畳み部を含む拘束シースとを備える送達および展開システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2011−509744(P2011−509744A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543148(P2010−543148)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/000321
【国際公開番号】WO2009/091603
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/000321
【国際公開番号】WO2009/091603
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
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