説明

プレススルーパック包装体

【課題】プレススルーパック包装体として、破封操作を片手で簡単に行え、破封の際に品物が破封時に散逸しにくく、服のポケットやバッグ等に入れて持ち歩いても蓋フィルムの破れや剥がれを生じず、完全な封止状態を維持でき、包装体ごと飲み込むという誤飲を確実に防止でき、製作容易なものを提供する。
【解決手段】基材シート1の表面側へ膨出する複数のポケット部2の各々に品物M1〜M11が収容され、ポケット部2が基材シート1の背面側に貼着した蓋フィルム3で封止されてPTPシート10を構成し、PTPシート10の曲成によって外周側にポケット部2を膨出した筒体T3〜T6、T0が形成され、所要のポケット部2を外側から押し潰すことにより、蓋フィルム3を突き破って内側へ放出された品物を筒口11から取り出すように構成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートのポケット部に種々の品物を収容したプレススルーパック(以下、PTPと略称する)包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、PTP包装体は、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる基材シートに一面側へ膨出する多数のポケット部を設け、各ポケット部に固形薬剤や固形の菓子類を始めとする種々の品物を収容すると共に、該基材シートの背面側にアルミ箔等からなる蓋フィルムを貼着して封止したものであり、表面側に膨出したポケット部を指先で押し潰すことにより、該ポケット部内の品物が蓋フィルムを突き破って放出されるようになっている。
【0003】
このようなPTP包装体では、小さな品物をポケット部に収容して外部から完全に封止できる上、簡単に破封して取り出せるという利点がある。しかるに、従来汎用のPTP包装体の場合、全体がシート状であるため、破封の際、両手でシートの両端を掴んで保持し、この保持した状態で両手又は片手の親指でポケット部を押圧することから、蓋フィルムを突き破って飛び出した品物が散逸し、床や地面に落下して汚れて無駄になったり、見失って探すのに時間と労力を費やしたりすることが多く、また洋服のポケットやバッグ等に入れて持ち歩いている間に蓋フィルムの破れや剥がれを生じ易く、封止破壊で品物が変質したり、品物がポケット部から出てしまって潰れたりすることも往々にしてあった。
【0004】
更に、薬剤や菓子類のPTP包装体は、以前には基材シートに設けた縦横の分割線で手折りして1ポケット単位に分離できたことから、分離したPTP包装体を破封せずに丸ごと飲み込んでしまい、基材シートの角で食道等の消化管を傷つけて出血したり、その傷から重篤な合併症を引き起こしたりする事故が多発していた。このため、近年の薬剤用や菓子用のPTP包装体は、サイズ的に誤飲しにくいように、横の分割線のみで2又は3ポケット単位にしか分離できない形になっている。ところが、このようにPTPの分離単位が大きくなっても、特に高齢者の場合にPTP包装体ごと誤飲することがあり、また1回分ずつの飲み薬に仕分けるために分離したPTP包装体を更に鋏等で1ポケット単位に切り離し、それを迂闊に飲み込んでしまう事例も少なくない。
【0005】
そこで、最近では、特に薬剤用のPTP包装体について、その誤飲防止を図る手段が種々提案されている。例えば、特許文献1では、PTP包装体の切り離し線にて区割される複数ポケット単位毎に、蓋フィルムにポケット部との対面部分を通過する引き裂き用の糸状体又は帯状体を設け、この糸状体又は帯状体を引っ張ることで蓋フィルムを破断してポケット部を開封できるようにしたものが提案されている。また、特許文献2,3では、切り離し線のないPTP包装体をブランク板紙からなるケース内に保持し、該ケースの上蓋又は底蓋を開いた状態でPTP包装体のポケット部を指で押圧することにより、ケース側に設けた抜脱部又は孔から薬剤を取り出すようにしたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−25855号公報
【特許文献2】特開2003−237836公報
【特許文献3】特開2003−321075公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記提案に係るPTP包装体は、誤飲防止の面では改善がみられても、破封時の飛び出しによる品物(薬剤)の散逸防止には有効でない上、各々の構造に起因した難点を有している。例えば、前記の引き裂き用の糸状体又は帯状体を設けた薬剤用のPTP包装体では、その糸状体や帯状体を引っ張るという破封方法を使用者(患者)が認識する必要があるが、2又は3ポケット単位の分離状態でも包装体ごと飲み込む心配があるような使用者に対し、該破封方法を周知徹底させることは困難である上、PTP包装体そのものが切り離し線によって2ポケット単位程度に分割できるため、確実な誤飲防止を果たせず、また持ち運び中の蓋フィルムの破れや剥がれを防止する機能はない。一方、PTP包装体を前記ブランク板紙からなるケースの如きホルダーに納める構成では、誤飲防止は確実に行えるが、そのホルダーの付属によってPTP包装体製品としての材料コストが著しく増大することに加え、PTP包装体を収めた該ホルダーを組み立てるのに非常に手間がかかるという難点があり、更に破封手順を使用者に認知させることも容易でない。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みて、PTP包装体として、破封操作を片手で簡単に行えると共に、その破封の際に品物が破封時に散逸しにくく、また服のポケットやバッグ等に入れて長時間持ち歩いても蓋フィルムの破れや剥がれを生じず、完全な封止状態を維持できると共に、包装体ごと飲み込むという誤飲を確実に防止でき、加えて製作容易なものを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための手段を図面の参照符号を付して示せば、請求項1の発明に係るPTP包装体は、基材シート1の表面側へ膨出する複数のポケット部2の各々に品物(固形薬剤M1〜M5、キャンディM6、チョコチップM7、粒状糖M8、ビスM9、ナットM10、ワッシャM11)が収容され、これらポケット部2が該基材シート1の背面側に貼着した蓋フィルム3で封止されてPTPシート10を構成し、このPTPシート10の曲成によって外周側にポケット部2を膨出した筒体(三角筒体T3、四角筒体T4、五角筒体T5、六角筒体T6、円筒体T0)が形成され、該筒体の所要のポケット部2を外側から押し潰すことにより、蓋フィルム3を突き破って該筒体の内側へ放出された品物を該筒体の一端開口部(筒口11)から取り出すように構成されてなる。
【0010】
請求項2の発明は、上記請求項1のPTP包装体において、PTPシート10が両側縁部10a,10bの止着によって筒体を形成してなる構成としている。
【0011】
請求項3の発明は、上記請求項1又は2のPTP包装体において、PTPシート10の筒状に曲成した筒口11に、環状の口枠部材4が嵌装固着されてなる構成としている。
【0012】
請求項4の発明は、上記請求項1又は2のPTP包装体において、両側縁に沿う一対の溝部5a,5aを備えた帯状縁部枠材5を付属し、PTPシート10が両側縁部10a,10aを該帯状補強部材5の両溝部5a,5aに各々嵌入固着して筒体を形成してなるものとしている。
【0013】
請求項5の発明は、上記請求項1〜3の何れかのPTP包装体において、筒体が四角以上の多角筒をなし、その内側に対角線方向に沿って配置して両側部6a,6aを筒体内面に止着した補強板6を有してなる構成としている。
【0014】
請求項6の発明は、上記請求項1〜5の何れかのPTP包装体において、筒体が少なくとも一側面をポケット部2のない平坦面12とした三角〜六角筒をなし、この角筒の複数個が平坦面12,12同士で接合して一体化してなる構成としている。
【0015】
請求項7の発明は、上記請求項6のPTP包装体において、平坦面12がPTPシート10とは別体の板体7にて構成され、該板体7の両側部にPTPシート10の両側部10b,10bが止着されてなる構成としている。
【0016】
請求項8の発明は、上記請求項1〜7の何れかのPTP包装体において、筒体の長手方向に沿う複数の縦列もしくは周方向に沿う複数の横列に配置したポケット部2に、縦列又は横列によって異なる種類の品物が収容されてなる構成としている。
【0017】
請求項9の発明は、上記請求項1〜8の何れかのPTP包装体において、品物が固形薬剤M1〜M6又は固形食品(固形菓子7〜M8)である構成としている。
【発明の効果】
【0018】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。まず、請求項1の発明に係るPTP包装体では、PTPシート10が外周側にポケット部2を膨出した筒体(三角筒体T3、四角筒体T4、五角筒体T5、六角筒体T6、円筒体T0)を構成しており、片手Hで該筒体を把持し、その親指F1で所要のポケット部2を外側から押し潰すことにより、該ポケット部2内に収容されていた品物(固形薬剤M1〜M5、キャンディM6、チョコチップM7、粒状糖M8、ビスM9、ナットM10、ワッシャM11)が蓋フィルム3を突き破って該筒体の内側へ放出される。従って、従来のPTP包装体のようにポケット部から飛び出した品物が周辺に飛散する懸念がない上、破封操作を片手Hで行えるから、該筒体の下向きにした開口部(筒口11)から落下排出される品物を空いた方の掌で確実に受け取ることができ、従来のように床や地面に落下して汚れて無駄になったり、見失って探すのに手間取るといった問題を生じない。また、PTPシート10の蓋フィルム3は全体が筒体の内周側に位置するから、このPTP包装体を洋服のポケットやバッグ等に入れて長時間持ち歩いても、該蓋フィルム3が服地や他物品と接触することがなく、もって該接触による蓋フィルム3の破れや剥がれを生じず、完全な封止状態を維持できる。
【0019】
更に、このPTP包装体にあっては、PTPシート10の全体が筒体を構成し、それを1ポケット単位や2,3ポケット単位に分離できない上、品物を取り出すには各ポケット部2を指で押し潰して破封するしかないから、特に薬剤用や食品用のPTP包装体P1〜P14の場合に、使用者が破封せずに包装体ごと飲み込む可能性は皆無である。
【0020】
請求項2の発明によれば、PTPシート10の両側縁部10a,10bの止着によって筒体T3〜T6,T0を形成できるから、該PTPシート10を納めるホルダーのような余分な付属部品が不要であり、該付属部品によるコスト上昇を回避できる。
【0021】
請求項3の発明によれば、PTPシート10の筒状に曲成した筒口11に環状の口枠部材4が嵌装固着されるから、筒体としての保形強度が大きくなり、もって材質的に腰の弱いPTPシート10であっても破封の際に筒形がへしゃげる懸念がなく、容易に破封操作を行える。
【0022】
請求項4の発明によれば、PTPシート10の両側縁部10a,10aを帯状補強部材5の両溝部5a,5aに嵌入固着して筒体を形成できるから、該筒体としての保形強度が増すと共に、その組立製作も容易になる。
【0023】
請求項5の発明によれば、筒体が四角以上の多角筒である場合に、その内側に対角線方向に沿って補強板6が配置するから、筒体として保形強度が大きくなり、それだけ容易に且つ確実に破封操作を行える。
【0024】
請求項6の発明によれば、少なくとも一側面がポケット部2のない平坦面12とした三角〜六角筒の筒体T3〜T6の複数個を、平坦面12,12同士で接合して一体化する構成であるから、各々異なる品物が収容されたPTPシート10を用いて形成した筒体T3〜T6同士の接合一体化により、一つのPTP包装体P6〜P12で複数種の品物を収容したものを容易に提供できる。
【0025】
請求項7の発明によれば、上記の筒体T3〜T6の複数個を接合一体化したPTP包装体において、個々の筒体の平坦面12がPTPシート10とは別体の板体7にて構成されるから、PTPシート10の材質に影響されずに適切な接合手段を選択できると共に、該板体7として剛性の大きいものを使用することで接合一体化したPTP包装体としての保形強度を増大できる。
【0026】
請求項8の発明によれば、筒体の長手方向に沿う複数の縦列もしくは周方向に沿う複数の横列に配置したポケット部2に、縦列又は横列によって異なる種類の品物が収容される構成であるから、例えば一回に服用すべき複数種の薬剤や他のワンセットで使用する複数種の品物を筒体回りに揃えて配置できる。
【0027】
請求項9の発明によれば、品物が固形薬剤M1〜M5又は固形食品(キャンディM6、チョコチップM7、粒状糖M8)である場合に、使用者が破封せずに包装体ごと飲み込むのを確実に防止できるものが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係るPTP包装体の斜視図である。
【図2】同PTP包装体に用いるPTPシートの斜視図である。
【図3】同PTP包装体における品物の取出操作を示す斜視図である。
【図4】同PTP包装体の破封動作を示す横断平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るPTP包装体を示し、(a)は口枠部材の嵌装前の要部の斜視図、(b)は同口枠部材の嵌装後の要部の斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るPTP包装体の横断平面図である。
【図7】本発明の第4及び第5実施形態を示し、(a)は第4実施形態に係るPTP包装体横断平面図、(b)は第5実施形態に係るPTP包装体横断平面図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係るPTP包装体を示し、(a)は筒体接合前の要部の斜視図、(b)は筒体接合後の横断平面図である。
【図9】本発明の第7実施形態に係るPTP包装体における筒体接合前の要部の斜視図である。
【図10】本発明の第8〜第12実施形態を示し、(a)は第8実施形態、(b)は第9実施形態、(c)は第10実施形態、(d)は第11実施形態、(e)は第12実施形態のそれぞれPTP包装体の概略平面図である。
【図11】本発明の第13実施形態に係るPTP包装体の横断平面図である。
【図12】本発明の第14実施形態に係るPTP包装体の横断平面図である。
【図13】本発明の第15実施形態に係るPTP包装体の横断平面図である。
【図14】本発明に係るPTP包装体製品を納めた包装箱を開放状態で示し、(a)は四角筒形態のPTP包装体を納めた状態の要部斜視図、(b)は三角筒形態のPTP包装体を納めた状態の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1で示す第1実施形態のPTP包装体P1は、図2で示すPTPシート10を平行な3本の折り目13で折り曲げて三角筒体T3としたものである。しかして、PTPシート10は、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる矩形の透明な基材シート1に、その表面側へ円形に膨出した複数(図では9)のポケット部2が縦横に配列して形成され、各ポケット部2に丸い糖衣錠タイプの固形薬剤M1(図4参照)を一個ずつ収容した状態で、該基材シート1の背面側にアルミ箔等からなる蓋フィルム3を貼着することにより、各ポケット部2が密封されている。
【0030】
しかして、PTPシート10の片側の側縁部10bは、全長にわたって折り目13で区割された帯状の止着片となり、その表面に剥離紙81付きの粘着層8が形成されており、三角筒体T3の組み立てに際し、折り目13で折り曲げ、剥離紙61を引き剥がして露呈させた粘着層6を反対側の非折曲の側縁部10aの背面側に接着固定するようになっている。なお、各折り目13は、折り曲げ容易であっても断裂しにくいように、線状の薄肉部やミシン目によって構成されている。
【0031】
この三角筒体T3としたPTP包装体P1では、元来より基材シート1に切り離し線がないので1,2ポケットの小さい単位に手で分離できない上、その立体構造からして鋏等で小さい単位に切り離すことも想定できない。従って、患者が薬剤M1を取り出して服用するには、外側からポケット部2を押し潰して破封するしかなく、破封せずに包装体ごと飲み込む可能性は皆無である。そして、この破封操作は、図3に示すように片手HでPTP包装体P1を掴んだ状態で、その親指F1でポケット部2を押圧することによって簡単に行える上、破封によって蓋フィルム3を突き破った薬剤M1が図4の如く三角筒体T3の内側に放出されるから、該薬剤M1が不用意に飛び出して周辺に散逸することはなく、しかも三角筒体T3内から落下させた薬剤M1を空いた方の掌で確実に受け取ることができる。よって、このPTP包装体P1によれば、薬剤M1が床等に落下して汚れて無駄になったり、行方不明になって探すのに時間と労力を費やしたりするのを回避できる。また、PTPシート10の蓋フィルム3は全体が三角筒体T3の内周側に位置するから、このPTP包装体P1を洋服のポケットやバッグ等に入れて長時間持ち歩いても、該蓋フィルム3が服地や他物品と接触せず、もって該接触による蓋フィルム3の破れや剥がれを生じず、完全な封止状態を維持できる。
【0032】
また、このPTP包装体P1では、PTPシート10の両側縁部10a,10bの止着によって三角筒体T3〜T6,T0を形成しているから、該PTPシート10を納めるホルダーのような余分な付属部品が不要であり、該付属部品によるコスト上昇を回避できるという利点がある。なお、PTPシート10の両側縁部10a,10bの止着手段としては、例示した粘着層8による接着固定の他、ヒートシール、液状接着剤による接着、一側縁側のスリットと他側縁側の係止片との係合、両側縁に形成した折り返し部同士の係合、ホッチキス止め、これらの組合せ等、他の種々の止着方式を採用できる。
【0033】
次に、図5で示す第2実施形態のPTP包装体P2では、前記第1実施形態と同様にPTPシート10の折り曲げと側縁部10a,10bの止着によって三角筒体T3を形成しているが、その両端の各筒口11に三角環状の口枠部材4が嵌装固着されている。この口枠部材4は、硬質の熱可塑性樹脂チューブから環形に切り取って三角形に成形すると共に、三角形の各辺毎に設けたフィン部4aを外側へ折り返したもので、三角筒体T3の筒口11に対して、環形部分が内側、フィン部4aが外側になるように嵌装し、接着又はヒートシールによって固着するようになっている。
【0034】
この第2実施形態のPTP包装体P2の場合、前記第1実施形態のPTP包装体P1と同様の作用効果に加え、三角筒体T3の両端の筒口11に固着した口枠部材4によって筒体としての保形強度が大きくなるから、PTPシート10が材質的に腰の弱いものあっても、破封の際に筒形がへしゃげる懸念がなく、もって容易に破封操作を行えるという利点がある。
【0035】
更に、図6で示す第3実施形態のPTP包装体P3では、PTPシート10を2カ所で折り曲げて三角筒状にしているが、その非折曲の両側縁部10a,10aを帯状補強部材5を介して連結一体化して三角筒体T3を形成している。しかして、帯状補強部材5は、三角筒体T3の全長にわたる長さを有する硬質ないし半硬質合成樹脂の成形物からなり、略断面V字形の両側縁に各々側端面に開く溝部5a,5aを有しており、その各溝部5aにPTPシート10の側縁部10aを嵌入し、接着又はヒートシールによって固着するようになっている。この第3実施形態のPTP包装体P3でも、前記第1実施形態のPTP包装体P1と同様の作用効果に加え、帯状補強部材5によって該筒体としての保形強度が増すと共に、その組立製作も容易になるという利点がある。
【0036】
前記第1〜第3実施形態のPTP包装体P1〜P3のように薬剤用に供するものの場合、製薬メーカー等の製造者側で最終的な筒体に形成して製品として出荷する他、該製造者側から医療機関の調剤部や薬局等に対して図2の如く嵩張らないPTPシート10として納入し、処方箋に則って患者に手渡す前に筒状形態に組み立てるようにしてもよい。そして、PTP包装体に納める薬剤は、第1〜第3実施形態のような一種に限らず、筒体の長手方向に沿う複数の縦列もしくは周方向に沿う複数の横列に配置したポケット部2に、縦列又は横列によって異なる種類の薬剤を収容する構成としてもよい。また、筒体としても、第1及び第2実施形態のような三角筒体T3に限らず、四角以上の多角筒体としてもよい。
【0037】
図7(a)に示す第4実施形態のPTP包装体P4は、三角筒体T3のポケット部2に、各側面毎に異なる3種類の薬剤、例えば糖衣錠形態の薬剤M1、タブレット形態の薬剤M2、顆粒入りカプセル形態の薬剤M3が収容されている。また、図7(b)に示す第5実施形態のPTP包装体P5は、四角筒体T4のポケット部2に、各側面毎に異なる4種類の薬剤、例えば上記三種類の薬剤M1〜M3に加えて、小さい糖衣錠形態の薬剤M4が収容されている。
【0038】
これらPTP包装体P4,P5では、例えば各側面つまり縦列方向のポケット部2の数を3つとして、患者が一回に服用すべき複数種の薬剤M1〜M3あるいはM1〜M4を上中下の各段に分配収容し、朝には上段配置分、昼には中段配置分、晩には下段配置分の各々複数種を服用するように、都合一日分の薬剤を納めた形態とすれば非常に便利である。無論、縦列方向のポケット部2の数を6つとして二日分の薬剤を納めるようにしてもよいし、一日2回服用する薬剤では縦列方向のポケット部2を偶数にして1日〜数日分の薬剤を納めるようにしてもよい。また、例示とは逆に、各側面つまり各縦列方向のポケット部2ごとに複数種の薬剤を収容し、一側面つまり一縦列の薬剤を服用一回分とする構成も可能である。
【0039】
なお、筒体が四角以上の多角筒体である場合、例えば図7(b)の仮想線で示すように、その多角筒体の内側に対角線方向に沿う補強板6を配置し、その両側部6a,6aを筒体内面に止着するようにすれば、それだけ筒体として保形強度が大きくなるため、容易に且つ確実に破封操作を行えるという利点がある。また、筒体が5角形以上の多角形である場合、複数枚の補強板6を用いてもよい。
【0040】
更に、患者が一回に服用する複数種の薬剤は、同様の症例でも症状の程度や個人差等によって組合せが異なる場合があるが、本発明のPTP包装体ではその組合せの変化にも容易に対応できる。例えば、図8(a)(b)に示す第6実施形態のPTP包装体P6は、各々PTPシート10より折曲形成された2本の三角筒体T3A,T3Bが合わさって四角筒体T4を構成しており、一方の三角筒体T3Aの二側面のポケット部2にそれぞれ糖衣錠形態の薬剤M1とタブレット形態の薬剤M2とが収容されると共に、他方の三角筒体T3Bの2側面のポケット部2にそれぞれ顆粒入りカプセル形態の薬剤M3と液剤入りカプセル形態の薬剤M5とが収容され、もって4種類の薬剤の組合せになっている。この場合、両三角筒体T3A,T3Bの残る一側面はポケット部2のない平坦面12となっており、一方の三角筒体T3Aの平坦面12には剥離紙81付きの粘着層8が形成されており、その剥離紙81を剥がした粘着層8を他方の三角筒体T3Bの平坦面12に接着することにより、両三角筒体T3A,T3Bを接合一体化している。
【0041】
また、図9に示す第7実施形態のPTP包装体P7では、前記第6実施形態と同様に合一して4角筒体T4を構成する2本の三角筒体T3C,T3Dは、それぞれポケット部2を有する二側面がPTPシート10からなると共に、ポケット部2のない一側面の平坦面12が該PTPシート10の折曲した側縁部10b,10bに止着した別体の硬質合成樹脂からなる板体7にて形成されており、前記第6実施形態と同様に一方の平坦面12に設けた粘着層8を介して両三角筒体T3C,T3Dが接合一体化されている。そして、両三角筒体T3C,T3Dのポケット部2には互いに異なる種類の薬剤(図示省略)が収容されている。
【0042】
これら第6及び第7実施形態のように、収容した薬剤種が異なる2本の筒体を組み合わせて一体化する構成によれば、該筒体として薬剤種の異なるものを種々用意しておくことにより、患者の症状の程度や個人差等に合わせた様々な薬剤の組合せが可能となる。なお、筒体同士の接合手段としては、例示した粘着層8による接合以外に、液状接着剤による接着やヒートシール、簡易にはホッチキス止めや接着テープによる巻き止め等、種々の方法を採用できる。
【0043】
更に本発明では、角筒体の二側面をポケット部のない平坦面として、その平坦面同士を接合して一体化することで、より多数の薬剤の組合せに対応させることも可能である。例えば、図10(a)で示す第8実施形態のPTP包装体P8は、一側面のみにポケット部2を有する三角筒体T3の4本を接合一体化して四角筒体T4にしており、都合4種の薬剤の組合せに対応している。また図10(b)で示す第9実施形態のPTP包装体P9は、一側面のみにポケット部2を有する三角筒体T3の6本を接合一体化し、6種の薬剤の組合せに対応した六角筒体T6としている。更に図10(c)で示す第10実施形態のPTP包装体P10は、二側面にポケット部2を有する四角筒体T4の4本を接合一体化し、8種の薬剤の組合せに対応した四角筒体T4としている。その他、特殊な形態として、図10(d)で示す第11実施形態のPTP包装体P11は四側面にポケット部2を有する六角筒体T6の3本が接合一体化し、図10(e)で示す第12実施形態のPTP包装体P12は三側面にポケット部2を有する五角筒体T5の3本が接合一体化し、前者は12種、後者は9種の薬剤の組合せに対応するものとなっている。
【0044】
なお、上述した第1〜第12実施形態のPTP包装体P1〜P12はいずれも三角〜6角の角筒体T3〜T6及びその複数本の組合せになっているが、本発明のPTP包装体は、例えば図11に示す第13実施形態のPTP包装体P13のような円筒体T0や楕円筒体(図示省略)としてもよい。なお、例示した第13実施形態のPTP包装体P13ではPTPシート10の内外に折り返した両側縁部10c,10cを相互に係合して円筒体T0としているが、この円筒体T0にするためのPTPシート10の両側縁部の止着手段として既述の角筒体と同様に様々な方法を採用できる。
【0045】
本発明のPTP包装体に収容する品物としては、第1〜第13実施形態で例示したように固形薬剤に限らず、トローチや喉飴、各種サプリメントの如き薬品に準じる食品類、チョコチップ、チョコボール、キャラメル、キャンディ、ガム、クッキー、ビスケット、ナッツの如き粒状の菓子類、固形化したスープの素やカレールー、氷砂糖,グラニュー糖、固形化した調味料の如き食品類、固形入浴剤、固形洗剤、パイプ洗浄剤の如き化学薬剤等も包含する。更に、該PTP包装体には、ビス、釘、ナット、ワッシャ、ゴムパッキン、手芸用ビーズ等の工芸用の様々な小物類等も収容でき、特に小粒の品物では一つのポケット部2に複数個を収容してもよいし、必要とあらば固形物のみならず顆粒品、粉末品、液状品等でも収容可能である。
【0046】
例えば、図12に示す第14実施形態のPTP包装体P12は、キャンディM6とチョコチップM7と糖小粒M8が三角筒体T3の各側面に分けて収容されており、3種の菓子類の組合せを味わえるようになっている。また、図13に示す第15実施形態のPTP包装体P15は、ビスM9とナットM10及びワッシャM11のワンセットが、三角筒体T3の周方向に並ぶ3つのポケット部2に分けて収容されているから、ビス止め作業を行う際に一カ所分の部品を逸散させることなく一括して取り出せて便利である。
【0047】
更に、製造者側で予め筒体に組み立てて市販するPTP包装体では、例えば図14(a)(b)で例示するように、四角筒体T4や三角筒体T3としたPTP包装体P16,P17の複数本を包装箱Bに装填して製品化することが推奨される。この場合、三角筒体T3については、矩形空間に複数本を納め易いように、正三角形よりも図示の如く直角二等辺三角形の筒形とするのがよい。また、包装箱Bに装填するPTP包装体16,P17については、基材シート1のポケット部2を千鳥状配置にすれば、包装箱Bへの装填時に相互のポケット部2による膨出部分がずれて噛み合うため、空間効率を高まって装填本数を増やすことができる。
【符号の説明】
【0048】
1 基材シート
2 ポケット部
3 蓋フィルム
4 口枠部材
5 帯状縁部枠材
5a 溝部
6 補強板
6a 側部
7 板体
10 PTPシート
10a〜10c 側縁部
11 筒口
12 平坦面
M1〜M5 固形薬剤(品物)
M6 粒状ガム(品物)
M7 チョコチップ(品物)
M8 粒状糖(品物)
M9 ビス(品物)
M10 ナット(品物)
M11 ワッシャ(品物)
P1〜P17 PTP包装体
T3 三角筒体
T4 四角筒体
T5 五角筒体
T6 六角筒体
T0 円筒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの表面側へ膨出する複数のポケット部の各々に品物が収容され、これらポケット部が該基材シートの背面側に貼着した蓋フィルムで封止されてプレススルーパックシートを構成し、このプレススルーパックシートの曲成によって外周側に前記ポケット部を膨出した筒体が形成され、
前記筒体の所要の前記ポケット部を外側から押し潰すことにより、蓋フィルムを突き破って該筒体の内側へ放出された品物を該筒体の一端開口部から取り出すように構成されてなるプレススルーパック包装体。
【請求項2】
前記プレススルーパックシートが両側縁部の止着によって筒体を形成してなる請求項1記載のプレススルーパック包装体。
【請求項3】
前記プレススルーパックシートの筒状に曲成した筒口に、環状の口枠部材が嵌装固着されてなる請求項1又は2に記載のプレススルーパック包装体。
【請求項4】
両側縁に沿う一対の溝部を備えた帯状縁部枠材を付属し、前記プレススルーパックシートが両側縁部を該帯状補強部材の両溝部に各々嵌入固着して筒体を形成してなる請求項1記載のプレススルーパック包装体。
【請求項5】
前記筒体が四角以上の多角筒をなし、その内側に対角線方向に沿って配置して両側部を筒体内面に止着した補強板を有してなる請求項1〜4の何れかに記載のプレススルーパック包装体。
【請求項6】
前記筒体が少なくとも一側面を前記ポケット部のない平坦面とした三角〜六角筒をなし、この角筒の複数個が前記平坦面同士で接合して一体化してなる請求項1〜5の何れかに記載のプレススルーパック包装体。
【請求項7】
前記平坦面が前記プレススルーパックシートとは別体の板体に構成され、該板体の両側部にプレススルーパックシートの両側部が止着されてなる請求項6記載のプレススルーパック包装体。
【請求項8】
筒体の長手方向に沿う複数の縦列もしくは周方向に沿う複数の横列に配置した前記ポケット部に、前記縦列又は横列によって異なる種類の品物が収容されてなる請求項1〜7の何れかに記載のプレススルーパック包装体。
【請求項9】
前記品物が固形薬剤又は固形食品である請求項1〜8の何れかに記載のプレススルーパック包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−84295(P2011−84295A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237231(P2009−237231)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【特許番号】特許第4538531号(P4538531)
【特許公報発行日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(599163849)株式会社 ヤマシタワークス (16)
【出願人】(509205674)有限会社チタン (4)
【Fターム(参考)】