説明

プレゼンス情報提供方法及びシステム

【目的】センサノード端末等のトプレゼンス非対応ノードを組込可能とし、複数のノードからのプレゼンス情報を組み合わせて、プレゼンス情報の信頼性をより高めることを可能とするプレゼンス情報提供方法及びシステムを提供する。
【構成】少なくとも1つのセンサノード端末から送信されるセンサデータのデータ値変化に応じて、当該ユーザに関連する状況プレゼンス情報を生成し、プレゼンスサーバにおけるプレゼンス情報の配信に際して、当該ユーザに関連して生成された状況プレゼンス情報を、当該プレゼンス情報に代えて又は当該プレゼンス情報と組み合わせて配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが使用する通信端末等の複数の通信ノードを含む通信システムにおいて、主たる目的であるデータ通信サービスをユーザに提供すると共に、かかるデータ通信サービスをより有効に提供するためにユーザにプレゼンスサービスを提供するプレゼンス情報提供方法、並びにかかる方法を実行するプレゼンス情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プレゼンスサービスは、ユーザの契約状態や通信可否状態、通信に応じる意思があるかどうか等のプレゼンスを表すプレゼンス情報を別のユーザに知らせるサービスである(非特許文献1参照)。例えば、電話通話サービスを提供する通信システムにおけるプレゼンスサービスは、呼接続の可否状態や着呼に応じる意思があるかどうかを別ユーザに知らせるサービスである。
【0003】
図1は、従来のプレゼンスサービスにおけるプレゼンス情報の交換形態を示している。本図を参照すると、ユーザAが通信端末A(ノードA)を使用し、ユーザBが通信端末B(ノードB)を使用し、プレゼンスサービスの管理を行うためのプレゼンスサーバが設置されているとする。
【0004】
ここで、ユーザAが他ユーザからの着呼に応じる意思がある旨のプレゼンス情報を通知しようとしたとする。先ず、ノードAは、当該プレゼンス情報を含むPUBLISHメッセージをプレゼンスサーバに送信する。プレゼンスサーバは、送信されたプレゼンス情報を受信し、これをユーザAに関連付けて保持する。
【0005】
一方、ユーザBがユーザAに向けた呼接続を希望したとする。この場合、ノードBは、ノードAに向けた発呼に先立って、ノードAを指定したSUBSCRIBEメッセージをプレゼンスサーバに送信する。これに応じてプレゼンスサーバは、指定されたユーザAに関連付けられたプレゼンス情報をNOTIFYメッセージとしてノードBに送信する。ノードBは、当該プレゼンス情報を受信し、その内容に基づいてユーザAのプレゼンスを認識し、呼接続の発呼又は発呼中止を行う。
【0006】
人のプレゼンスを表すプレゼンス情報の構成は、プレゼンスデータモデルとして議論される。プレゼンスデータモデルのデータ要素としては、大きく分けて、パーソン、サービス及びデバイスの3つのデータ要素がある。パーソンとは、ユーザ自身のデータであり、例えば、会議中とかの活動情報や悲しい等の感情も含み得る。サービスとは、電話、インスタントメッセージ等の通信サービスに関わるデータであり、例えば、映像や音声通信方式の仕様や能力に関するデータを含み得る。デバイスとは、電話機、パーソナルコンピュータ(PC)等の物理的要素のデータであり、例えば、PCが起動しているか、バッテリー残量等の通信の可否等のデータを含み得る。このように、人のプレゼンスは上記した3つのデータ要素の組合せによって表し得る。例えば、1人のユーザが電話機とPCを併用する如くして複数のノードに関連付けられる場合があり、当該ユーザのプレゼンス情報は、これらデータ要素の何れか又はこれらデータを組み合わせて表現され得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「IMS標準テキスト」ブンザ・ロカマリロ、ミゲールAガルシア・マーティン共著(澤田拓也、鹿島拓也訳)リックテレコム発信
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、プレゼンスデータモデルのデータ要素としては、上記した3つの要素に限られず、人の周囲の状況や環境等の状態情報をも含み得る。例えば、ユーザの周囲の温度を計測し、得られる温度データを当該ユーザのプレゼンスに反映することも可能なはずである。これにより、プレゼンス情報の信頼性をより高めることが期待されている。
【0009】
しかしながら、従来の技術によっては図1に示されるように、例えば、図1に示されるように、ノードCが温度センサを備えるセンサノードであってプレゼンス非対応ノードである場合には、ユーザAのプレゼンス情報として、ノードCから温度センサ情報とノードAからのユーザAに関するプレゼンス情報とを組み合わせることはできなかった。特に、センサノードの如きプレゼンス非対応ノードでは、人のプレゼンスに対する認識の程度がプレゼンス対応ノードとは何ら整合性がないために、センサデータをプレゼンス情報としてそのままでは用いることができなった。
【0010】
本発明の目的は、センサノード端末等のプレゼンス非対応ノードを組込可能とし、複数のノードからのプレゼンス情報を組み合わせて、プレゼンス情報の信頼性をより高めることを可能とするプレゼンス情報提供方法及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるプレゼンス情報提供方法は、各々が特定のユーザのプレゼンスに関連する複数の通信端末と、前記通信端末との間で前記プレゼンスを表すプレゼンス情報を集信又は配信するプレゼンスサーバと、を含む通信システムにおけるプレゼンス情報提供方法であって、少なくとも1つのセンサノード端末から送信されるセンサデータのデータ値変化に応じて、前記ユーザに関連する状況プレゼンス情報を生成する状況プレゼンス情報生成ステップと、前記プレゼンスサーバにおけるプレゼンス情報の配信に際して、当該ユーザに関連して生成された状況プレゼンス情報を、前記プレゼンス情報に代えて又は前記プレゼンス情報と組み合わせて配信する状況プレゼンス情報配信ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明によるプレゼンス情報提供システムは、各々が特定のユーザのプレゼンスに関連する複数の通信端末との間で前記プレゼンスを表すプレゼンス情報を集信又は配信するプレゼンスサーバを含むプレゼンス情報提供システムであって、前記通信端末及び前記プレゼンスサーバに接続され、少なくとも1つのセンサノード端末から送信されるセンサデータのデータ値変化に応じて、前記ユーザに関連する状況プレゼンス情報を生成するサービス変換サーバを含み、前記プレゼンスサーバは、前記プレゼンス情報の配信に際して、当該ユーザに関連して生成された状況プレゼンス情報を、前記プレゼンス情報に代えて又は前記プレゼンス情報と組み合わせて配信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるプレゼンス情報提供方法及びシステムによれば、センサノードの如きプレゼンス非対応ノードを組込可能とし、複数のノードからのプレゼンス情報を組み合わせて、プレゼンス情報の信頼性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のプレゼンスサービスにおけるプレゼンス情報の交換形態を示す説明図である。
【図2】本発明の実施例を示し、本発明によるプレゼンス情報提供システムを含む全体の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示したサービス変換サーバの内部構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示したサービス変換テーブルの設定例を示す図である。
【図5】サービス変換サーバがプレゼンス非対応端末であるセンサノードをプレゼンスサーバに登録する処理手順を示すフローチャートである。
【図6】サービス変換サーバがセンサノードを登録する処理手順の変形例を示すフローチャートである。
【図7】センサノードのセンサデータをプレゼンス情報に変換してアプリケーション端末に通知する処理手順を示すシーケンス図である。
【図8】図7に示したセンサノードの監視における詳細の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
図2は、本発明の実施例を示し、本発明によるプレゼンス情報提供システムを含む全体の構成を示している。ここで、本発明によるプレゼンス情報提供方法が実施される通信システムは、センサネットワーク10と、センサノード11と、プレゼンス対応ネットワーク20と、プレゼンス対応端末21と、アプリケーション端末22と、センサコントローラ30と、ゲートウェイ40と、サービス変換サーバ50と、プレゼンスサーバ60と、を含む。本発明によるプレゼンス情報提供システムは、サービス変換サーバ50とプレゼンスサーバ60とから少なくともなる。
【0017】
本実施例では、センサノード11は、プレゼンス未対応端末である。センサノード11は、例えば、温度センサの如きセンサを備え、当該センサの計測動作によって得られるセンサデータをセンサネットワーク10を介して外部に送信する通信ノードとして働く。プレゼンス対応端末21は、通常のPC等の通信端末であり、プレゼンス対応ネットワーク20を介してプレゼンス情報の送受信が可能な端末である。プレゼンス対応ネットワーク20は、プレゼンスサービスの提供が可能な通常の通信ネットワークのであればよく、電話ネットワーク、インターネット又はイントラネットであってもよい。
【0018】
図2に示される実施例では、説明の容易性からセンサノード11及びプレゼンス対応端末21が各々1台ずつ示されているが、本発明にかかる限定はなく、各々2台以上のセンサノード11及びプレゼンス対応端末21が備えられてもよい。本実施例では、ある特定のユーザについてセンサノード11及びプレゼンス対応端末21が関連付けられているとする。
【0019】
センサコントローラ30は、センサネットワーク10を介してセンサノード11に接続されている。センサコントローラ30は、センサノード毎に当該センサノードが送信するべきセンサデータの送信時刻や送信周期等のセンシング設定を行う。後述するように、サービス変換サーバ50が、センサノード11に対して制御データを送信して、センサノード11のセンシング設定を直接行うようにしてもよい。
【0020】
ゲートウェイ40は、センサネットワーク10とプレゼンス対応ネットワーク20との間に接続され、両ネットワークのうち一方のネットワークから他方のネットワークに制御データや制御メッセージ及びプレゼンス情報を転送する機能を備える。
【0021】
アプリケーション端末22は、プレゼンス対応ネットワーク20に接続され、プレゼンス対応ネットワーク20を介して到来するプレゼンス情報を利用する通信ノードの例であり、通常のPC(パーソナルコンピュータ)等の通信端末であってもよい。アプリケーション端末22それ自身が、1つのプレゼンス情報を発信するプレゼンス対応端末であってもよい。
【0022】
プレゼンスサーバ60は、プレゼンス対応ネットワーク20に接続され、プレゼンスサービスを管理するサーバである。プレゼンスサーバ60は、プレゼンス情報を発信するプレゼンス対応端末21からプレゼンス情報を受信して保持し、プレゼンス情報を利用するノードであるアプリケーション端末22からの要求に応じて保持していたプレゼンス情報を送信する機能を備える。本発明において、プレゼンスサーバ60は、さらに、サービス変換サーバ50から送信されるプレゼンス情報を受信して保持し、アプリケーション端末22からの要求に応じて当該プレゼンス情報を送信する機能を備える。
【0023】
サービス変換サーバ50は、ゲートウェイ40に接続され、ゲートウェイ40を介してセンサノード11からのセンサデータ提供サービスをプレゼンスサービスに変換する機能を備える。詳細は後述する図3に示される。
【0024】
尚、以上の構成においては、センサコントローラ30及びサービス変換サーバ50は、ゲートウェイ40に接続されているが、本発明に係る限定はなく、センサコントローラ30がセンサネットワーク10に直接接続され、サービス変換サーバ50がプレゼンス対応ネットワーク20に直接接続されて所定の機能が実現されてもよい。
【0025】
図3は、図2に示されたサービス変換サーバ50の内部構成を示している。ここで、サービス変換サーバ50は、通信制御部51と、センサノード制御部52と、サービス変換処理部53と、サービス変換テーブル54とから少なくとも構成される。
【0026】
通信制御部51は、センサノード11との間で制御データや制御メッセージを送受信すると共に、センサノード11からセンサデータを受信すると共にプレゼンスサーバ60に向けてプレゼンス情報を送信する。
【0027】
センサノード制御部52は、センサノード11の稼働状態を監視すると共に、センサノード11のセンサアドレス等をサービス変換テーブル54に設定すると共に、センサノード11の稼働状態に応じてセンサノード11を有効化又は無効化する。センサノード制御部52は、また、サービス変換テーブル54の内容に従った制御データを生成し、これをセンサノード11にセンサコントローラ30を介して又は直接送信する。
【0028】
サービス変換処理部53は、プレゼンス未対応端末であるセンサノード11からのセンサデータをプレゼンス情報に変換することによって、継続的にサービス変換を行う。例えば、センサノード11が温度センサを備えるとした場合、温度センサデータの値が所定の閾値を超えた場合に、人の存在によって室温が向上したと推定して、人の存在を表すプレゼンス情報を生成する。
【0029】
サービス変換テーブル54は、サービス変換処理部53が行うプレゼンス変換処理の基礎となる設定情報を保持する。サービス変換テーブル54の内容は、予め手動よって設定されても、プレゼンス未対応端末であるセンサノード11からの起動メッセージに応じて、センサノード制御部52によって自動的に設定されてもよい。
【0030】
図4は、図3に示されたサービス変換テーブル54の設定例を示している。サービス変換テーブル54は、例えば図示されるように、センサアドレスと、センシング設定値と、サーバアドレスと、有効化フラグとからなる項目を含み、各項目の内容がセンサノード毎に設定される。
【0031】
センサアドレスには、センサノード11のネットワークアドレスが記述され、センサネットワーク10においてセンサノード11が一意に識別される。センシング設定値には、例えば、センサノード11がセンサデータを取得する取得周期の如き計測態様を画定する情報が記述される。取得周期を10秒とすると、センサノード11は、10秒間に1回の割合でセンサデータを送信し、これをサービス変換サーバ50が受信することを表している。
【0032】
プレゼンス定義は、センサノードが生成するセンサデータの値とプレゼンス情報の内容との対応関係を定義する情報が設定される。例えば、プレゼンスの状態の変化点、例えばセンサ値の範囲等が記述される。図2に示されたセンサノード11が温度センサである場合、温度が30.0℃以上の時、つまり温度のデータ値≧30.0の時にプレゼンスの状態が変化するとしている。
【0033】
サーバアドレスは、プレゼンスサーバ60のネットワークアドレスが設定され、プレゼンス対応ネットワーク20においてプレゼンスサーバ60を一意に識別可能とする。プレゼンスサーバ60を識別可能とすることによって、提供されるプレゼンスサービスを指定することができる。プレゼンスサーバ60のネットワークアドレスは、物理的な装置アドレスに代えて、例えばSIP−URL(Session Initiation Protocol - Uniform Resource Locator)の如き論理アドレスが記述されてもよい。
【0034】
有効化フラグは、プレゼンス未対応端末であるセンサノード11をプレゼンス対応端末として有効化するか否かを表すON/OFF状態が設定される。有効化フラグがON状態に設定されたセンサノード11は、センサノード制御部52によってプレゼンスサーバ60に登録(REGISTER)されて、以後、プレゼンス対応端末として機能する。
【0035】
尚、図4に示された設定例では、センサノード11がプレゼンスサーバ60に登録される例が示されているが、センサノード11以外のセンサノードを含む複数のセンサノードがプレゼンスサーバ60のサービスに登録されてもよい。すなわち、複数センサデータの集合でプレゼンス情報を生成するようにしてもよい。
【0036】
図5は、サービス変換サーバ50がプレゼンス非対応端末であるセンサノード11をプレゼンスサーバ60に登録する処理手順を示している。かかる登録処理がなされた後に実際のプレゼンスサービス(後述する図7参照)の提供が開始される。
【0037】
先ず、サービス変換サーバ50は、センサアドレス、センシング設定値、プレゼンス定義及びサーバアドレスをサービス変換テーブル54に設定する(ステップS11)。この例では、サービス変換テーブル54の設定内容が手動操作入力によって設定される。
【0038】
次に、サービス変換サーバ50は、サービス変換テーブル54から1つのセンサアドレスを抽出し(ステップS12)、当該センサアドレスに対応するセンサノードが起動しているか否かを判定する(ステップS13)。サービス変換テーブル54から1つのセンサアドレスを抽出する方法は、例えば、サービス変換テーブル54の先頭から順番に1つのセンサノードを抽出する。本実施例では、例としてセンサノード11が起動しているか否かを判定し、もしセンサノード11が起動していなければ、有効化フラグをOFFにし、所定時間後に再度センサノードが起動しているかを判定する(ステップS13)。起動しているか否かの判定は、例えば、サービス変換サーバ50がセンサコントローラ30に確認メッセージを送信することによって実現され得る。
【0039】
一方、センサノード11が起動していると判定したならば、サービス変換サーバ50は、センサノード11について有効化フラグをONにしてセンサノード11の有効化を行う(ステップS14)。センサノード11の有効化は、プレゼンスサーバ60にREGISTERメッセージを送信するとによって登録化を行うと共に、センサノード11に向けて制御データを送信することよってその動作態様を設定する。次いで、他のセンサノードについて処理を継続する。
【0040】
図6は、サービス変換サーバ50がセンサノード11を登録する処理手順の変形例を示している。すなわち、本変形例においては、サービス変換サーバ50がサービス変換テーブル54を自動的に生成する。
【0041】
サービス変換サーバ50は、センサノードからの起動メッセージを待つ待ち状態を定常的に維持する(ステップS21)。ここで、センサノード11は起動すると自動的に起動メッセージを配信するものとする。そこで、サービス変換サーバ50は、起動メッセージの到来を判定する(ステップS22)。起動メッセージが到来するまで繰り返しステップS21に戻り待ち状態を継続する。
【0042】
もし、センサノード11から起動メッセージが到来したならば、サービス変換サーバ50は、この起動通知メッセージからセンサノード11のセンサアドレスを抽出し、センサノード11のセンサアドレスに対応付けて、センシング設定値、プレゼンス定義及びサーバアドレスを生成し、これらをサービス変換テーブル54に設定する(ステップS23)。これらの設定内容の生成は、例えば、センサノード毎に予め保持したアドレスリストや設定値対応表に基づいてなされ得る。
【0043】
次に、サービス変換サーバ50は、センサノード11について有効化フラグをONにしてセンサノード11の有効化を行う(ステップS24)。センサノード11の有効化は、プレゼンスサーバ60にREGISTERメッセージを送信するとによって登録化を行うと共に、センサノード11に向けて制御データを送信することよってその動作態様を設定する。次いで、ステップS21に戻り他のセンサノードについて処理を継続する。
【0044】
以上のように、図5又は図6に示された処理手順によって、プレゼンス未対応端末であったセンサノード11をプレゼンス対応端末としてプレゼンスサーバ60が管理することが可能となる。
【0045】
図7は、センサノード11のセンサデータをプレゼンス情報に変換してアプリケーション端末22に通知する処理手順を示している。
【0046】
先ず、サービス変換サーバ50は、センサノード11の有効化を行う(ステップS31)。センサノード11の有効化は、図5又は図6に示された処理手順に従って行われる。例えば、センサノード11からの起動メッセージに応じて開始され、センサノード11に向けた制御データが生成される。次いで、サービス変換サーバ50は、プレゼンスサーバ60に向けてREGISTERメッセージを送信することよって、当該センサノード11を登録する(ステップS32)。
【0047】
一方、サービス変換サーバ50から送信される制御データの内容は、直接又はセンサコントローラ30を介してセンサノード11に設定される。センサノード11は、当該制御データの内容に従ったセンサデータの生成及び送信を開始する(ステップS33)。送信されたセンサデータはサービス変換サーバ50により受信される。サービス変換サーバ50は、受信したセンサデータをサービス変換テーブル54の内容に従ってプレゼンス情報に変換し、当該プレゼンス情報をPUBLISHメッセージとしてプレゼンスサーバ60に送信する(ステップS34)。サービス変換サーバ50は、以後、有効化されているセンサノード11からセンサデータが送信されるのに応じて、当該センサデータのデータ値の変化に応じたプレゼンス情報を生成して送信する。
【0048】
尚、サービス変換サーバ50は、センサノード11からセンサデータが送信される都度プレゼンス情報を生成する必然はなく、例えば、サービス変換サーバ50は、センサデータが送信される都度、当該センサデータのデータ値に変化があるかを判定し、変化があればプレゼンス情報をプレゼンスサーバ60に対し送信する。例えば、温度センサデータの値が30度以上に変化した場合にのみプレゼンス情報を生成してプレゼンスサーバ60に送信する。
【0049】
また、サービス変換サーバ50は、並行してセンサノードの監視を行って、監視結果に応じたプレゼンス情報を生成してもよい(ステップS35)。かかる監視結果としては、センサノード11のセンサ状態やセンサネットワーク10のネットワーク状態の不具合が想定される。かかる態様については後述する図8を参照して説明する。
【0050】
一方、プレゼンスサーバ60は、サービス変換サーバ50からプレゼンス情報を受信するのに並行して、通常のプレゼンス対応端末21からプレゼンス情報(PUBLISHメッセージ)を受信している(ステップS36)。このとき、アプリケーション端末22からプレゼンス情報取得要求としてSUBSCRIBEメッセージが到来したとする(ステップS37)。SUBSCRIBEメッセージは、特定のユーザを指定してプレゼンス情報の配信を要求する。本実施例では、当該ユーザのプレゼンスはセンサノード11及びプレゼンス対応端末に関連するとしている。そこで、プレゼンスサーバ60は、サービス変換サーバ50からのプレゼンス情報(すなわちセンサノード11からのプレゼンス情報)とプレゼンス対応端末21からのプレゼンス情報とを組み合わせて1つのプレゼンス情報を生成する(ステップS38)。
【0051】
当該組合せの態様は、センサノード11からのプレゼンス情報のみからなっても、センサノード11からのプレゼンス情報とプレゼンス対応端末21からのプレゼンス情報とが組み合わせられてもよい。さらには、一方のプレゼンス情報より表されるプレゼンスの状態と、他方のプレゼンス情報より表されるプレゼンスの状態との組合せ毎に多様なプレゼンス情報が生成されてもよい。
【0052】
次に、プレゼンスサーバ60は、当該生成したプレゼンス情報をアプリケーション端末22にNOTIFYメッセージとして通知する(ステップS39)。アプリケーション端末22は、当該NOTIFYメッセージの内容に従ったプレゼンス対応処理を行う(ステップS40)。例えば、呼接続のため発呼を行う。あるいは単純にプレゼンスの変化を表示し、ユーザが確認できるようにしてもよい。
【0053】
図8は、図7に示されたセンサノードの監視における詳細の処理手順を示している。
【0054】
先ず、サービス変換サーバ50は、プレゼンス非対応ノードの内、センサノード状態を監視するセンサアドレスを1つ抽出する(ステップS51)。次いで、サービス変換サーバ50は、当該アドレスのセンサノード、本実施例では例としてセンサノード11が起動されているか否かを確認する確認メッセージを送信することによって、センサノード11の監視を行う(ステップS52)。
【0055】
次に、サービス変換サーバ50は、センサノード11が稼働しているか否かを判定する(ステップS53)。もし稼働していれば、センサノード11についてサービス変換を通常通り継続する(ステップS58)。センサノード11の稼働判定は、例えば、確認メッセージに対してセンサノード11から所定時間内に応答メッセージがあれば稼働しているものと判定する。
【0056】
一方、センサノード11が稼働していないと判定した場合、サービス変換サーバ50は、センサノード11に至る途中経路においてネットワーク障害がなく正常であるか否かを判定する(ステップS54)。途中経路におけるネットワーク障害とは、例えば、ゲートウェイ40の障害やセンサネットワーク10上の途中ノードの障害が想定される。ゲートウェイ40に対する正常又は障害の判定は、ゲートウェイ40に対して診断メッセージを定期的に送信することによって判定し得る。センサネットワーク10上の途中ノードの正常又は障害判定は、例えば、センサコントローラ30や他の管理ノードに対する問い合わせメッセージの応答結果によって判定し得る。
【0057】
ステップS54において、センサノード11に至る途中経路にネットワーク障害がなく正常であると判定した場合には、センサノード11自体が異常であると認識して、障害である旨のノード状態プレゼンス情報を生成する。一方、途中経路にネットワーク障害があって正常ではないと判定した場合には、サービス変換サーバ50は、センサノード11に至る途中経路に障害が発生していると認識して、ネットワーク障害である旨のネットワーク状態プレゼンスを生成する。次いで、生成したノード状態プレゼンス情報又はネットワーク状態プレゼンスをプレゼンスサーバ60に送信する(ステップS57)。
【0058】
プレゼンスサーバ60は、送信されたノード状態プレゼンス情報又はネットワーク状態プレゼンスに応じて、センサノード11に関連するユーザのプレセンス情報を更新して、当該ユーザに対するプレセンス情報取得要求に備える。
【0059】
以上の実施例において、プレゼンス変換サーバを設け、センサノードからセンサデータを収集して当該センサデータからプレゼンス情報を生成している。これより、人の操作するPCのオンライン状態等のプレゼンス情報のみならず、人の感情や周囲の状況を表す状況プレゼンス情報を含めたプレゼンス情報を得ることができ、人のプレゼンスをより詳細に或いは様々な形態で把握することができる。
【0060】
また、以上の実施例において、サービス変換サーバ50が、センサデータが初期の設定値通りに得られない場合に、センサノードの状態を監視し、障害が発生している場合にはこれをプレゼンス情報に反映することでより信頼性のあるプレゼンス認識が可能となる。さらには、センサデータを基にしたプレゼンス情報のみならず、センサノード自体のプレゼンス情報を配信することで、プレゼンスサービスを利用するユーザがプレゼンス情報の信頼性を判定することもできる。
【0061】
以上の実施例では、センサノード11を温度センサを備えるセンサノードであると説明されたが、本発明にかかる限定はない。例えば、音センサを使って、センサレベルがある値以上ならばその場にいる人同士がしゃべっているとみなし「取り込み中」のプレゼンスを表すプレゼンス情報を生成することが考えられる。
【0062】
また、たばこ煙センサが反応すれば「休憩中(電話対応可)」とする。トイレの人感センサなら「休憩中(電話対応不可)」とする。さらには、台所のガスメーターが作動すれば「休憩中(電話対応不可)」とする等の多様な形態が想定される。さらには、温度や湿度が高いと「不快」とすることも考えられる。
【0063】
尚、以上の実施例においては、プレゼンス対応端末21は、プレゼンスサービスに対応した通信ノードであって、プレゼンスサーバ60にプレゼンス情報を送信することができる端末であると説明された。本発明の変形例として、プレゼンス対応端末21にサービス変換サーバ50と同様の機能を持たせることによって、プレゼンス対応端末21内で生成したプレゼンス情報のみならず、センサノード11からのセンサデータをセンサネットワーク10及びゲートウェイ40を介して取り込み、サービス変換サーバ50のサービス変換機能を代行してもよい。
【符号の説明】
【0064】
10 センサネットワーク
11 センサノード
20 プレゼンス対応ネットワーク
21 プレゼンス対応端末
22 アプリケーション端末
30 センサコントローラ
40 ゲートウェイ
50 サービス変換サーバ
51 通信制御部
52 ノード制御部
53 サービス変換処理部
54 サービス変換テーブル
60 プレゼンスサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が特定のユーザのプレゼンスに関連する複数の通信端末と、前記通信端末との間で前記プレゼンスを表すプレゼンス情報を集信又は配信するプレゼンスサーバと、を含む通信システムにおけるプレゼンス情報提供方法であって、
少なくとも1つのセンサノード端末から送信されるセンサデータのデータ値変化に応じて、前記ユーザに関連する状況プレゼンス情報を生成する状況プレゼンス情報生成ステップと、
前記プレゼンスサーバにおけるプレゼンス情報の配信に際して、当該ユーザに関連して生成された状況プレゼンス情報を、前記プレゼンス情報に代えて又は前記プレゼンス情報と組み合わせて配信する状況プレゼンス情報配信ステップと、
を含むことを特徴とするプレゼンス情報提供方法。
【請求項2】
前記状況プレゼンス情報生成ステップは、前記センサデータの内容と前記状況プレゼンス情報の内容との対応関係が予め設定された変換テーブルの内容に従って、前記センサデータから前記状況プレゼンス情報を生成することを特徴とする請求項1記載のプレゼンス情報提供方法。
【請求項3】
前記センサノード端末が計測するセンサデータの計測態様を画定する制御データを前記センサノード端末に予め送信することによって、当該センサデータの計測態様を設定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1又は2記載のプレゼンス情報提供方法。
【請求項4】
前記センサノード端末の状態及び前記センサノード端末に至るネットワーク状態のうちの何れか少なくとも1つの状態を検知するステップをさらに含み、前記状況プレゼンス情報生成ステップは、当該検知された状態を表す状態情報を前記状況プレゼンス情報として生成することを特徴とする請求項1又は2記載のプレゼンス情報提供方法。
【請求項5】
各々が特定のユーザのプレゼンスに関連する複数の通信端末との間で前記プレゼンスを表すプレゼンス情報を集信又は配信するプレゼンスサーバを含むプレゼンス情報提供システムであって、
前記通信端末及び前記プレゼンスサーバに接続され、少なくとも1つのセンサノード端末から送信されるセンサデータのデータ値変化に応じて、前記ユーザに関連する状況プレゼンス情報を生成するサービス変換サーバを含み、
前記プレゼンスサーバは、前記プレゼンス情報の配信に際して、当該ユーザに関連して生成された状況プレゼンス情報を、前記プレゼンス情報に代えて又は前記プレゼンス情報と組み合わせて配信することを特徴とするプレゼンス情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−49668(P2011−49668A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194504(P2009−194504)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】