説明

プレバイオティックオリゴ糖

本発明は、特異的なビフィドバクテリウム属の種および亜種の増殖を優先的に刺激するガラクトオリゴ糖組成物を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本特許出願は、あらゆる目的のために参照により組み入れられる、2009年3月13日に出願された米国特許仮出願第61/160,088号に対する優先権の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ガラクトオリゴ糖(GOS)は、非消化性炭水化物であり、かつプレバイオティック(prebiotic)特性を所有する用途の広い食品成分である(Angus, F., Smart, S. and Shortt, C. 2005. Probiotic Dairy Products ed. Tamine, A. pp. 120-137. Oxford: Blackwell Publishing(非特許文献1))。加えて、以下を含む多くの他の健康上の有益性が、これらのオリゴ糖について報告されている:排便の改善、ミネラル吸収の刺激、アンモニウムの除去、大腸癌予防、およびある特定の病原菌感染に対する保護(Hopkins, M.J. and Macfarlane, G.T. 2003 Appl Environ Microbiol 69, 1920-1927(非特許文献2);Shoaf, K., G. L. Mulvey, G. D. Armstrong, and R. W. Hutkins. 2006 Infect Immun 74:6920-8(非特許文献3);Macfarlane, G.T., Steed H., Macfarlane S. 2008 Journal of Applied Microbiology 104, 305-44(非特許文献4))。
【0003】
ヒトの胃腸管(GIT)は、結腸に常在する500〜1000種の異なる系統型の大きな細菌集団を宿す(Ninonuevo, M. R., et al. 2007 Anal Biochem 361, 15-23(非特許文献5))。その中で、ビフィドバクテリウム属の(Bifidobacterial)種は、乳児のGITにおいて優勢な微生物であり、特に、免疫刺激、ヒト病原体阻害、ビタミン産生、および抗癌活性などの宿主への有益な作用を発揮する(Harmsen, H. J., et al. 2000 J Pediatr Gastroenterol Nutr 30:61-7(非特許文献6);Casci, T., et al. 2007 Human Gut microflora in Health and Disease: Focus on Prebiotics. Functional food and Biotechnology. Ed Taylor and Francis. pp 401-434(非特許文献7))。これらの有益な健康上の作用のために、ビフィドバクテリウム属はプロバイオティクス(probiotics)と考えられ、かつ機能性食品および薬学的製品においてますます使用されてきている(Stanton, C., et al. 2003. Challenges facing development of probiotics-containing functional foods. Handbook Fermented Functional Foods, Functional Foods and Nutraceutical Series. CC Press, Boca Raton, FL. pp 27-58(非特許文献8))。
【0004】
GOSの物理化学的特徴のために、GOSが様々なデザインされた食物においてプレバイオティック食品成分として組み入れられることが可能になっている(Sako, T., et al. 1999 Int Dairy J 9, 69-80(非特許文献9))。GOSは、FOSと比較して酸性環境において増加した熱安定性を所有するため、菓子の酸性飲物および発酵乳調合物において特に関心対象である(Watanuki, M., et al. 1996 Ann Report Yakult Central Inst Microbiol Res 16, 1-12(非特許文献10))。従って、過去10年において、GOSはまた、乳製品、砂糖代替品および他のダイエット用栄養補助食品(diet supplement)ならびに乳児用調合乳を含むヒトの食品において増加する応用性を有している(Macfarlane, G.T., Steed H., Macfarlane S. 2008 Journal of Applied Microbiology 104, 305-44(非特許文献4))。
【0005】
ガラクトオリゴ糖は人乳において天然に存在するが、市販のGOS調製物は、多様な鎖の長さを有するオリゴマーの混合物をもたらす、真菌、酵母、および/または細菌などの様々な供給源由来のβ-ガラクトシダーゼでの乳糖の酵素処理により産生される(Angus, F., 上記(特許文献1))。従って、GOSの基本構造は、典型的に6個までのガラクトース残基で伸長した還元末端に乳糖コアを含む。GOSの構造的多様性は、トランスガラクトシル化反応において使用される酵素、ならびにpHおよび温度などの実験条件に依存する(Dumortier, V., et al .1990. Carbohydr Res 201:115-23.(非特許文献11))。
【0006】
GOSのビフィドバクテリウム属生成作用(bifidogenic effect)を主張する研究の量にかかわらず、研究の大多数は、すべてがトランスガラクトシル化反応の残存試薬である、高濃度の単糖類(すなわち、ガラクトースおよびグルコース)ならびに二糖類である乳糖を含有するGOSの市販されている調製物を使用した。特に、報告された事例の大部分において、混合炭素源の中で利用可能である場合、単糖類は微生物にとって好ましい基質である(Saier, M.H. Jr. 1996. Res. Microbiol, 147, 439-587(非特許文献12);Bruckner, R. and Titgemeyer, F. 2002 FEMS Microbiology Letters 209, 141-48(非特許文献13))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Angus, F., Smart, S. and Shortt, C. 2005. Probiotic Dairy Products ed. Tamine, A. pp. 120-137. Oxford: Blackwell Publishing
【非特許文献2】Hopkins, M.J. and Macfarlane, G.T. 2003 Appl Environ Microbiol 69, 1920-1927
【非特許文献3】Shoaf, K., G. L. Mulvey, G. D. Armstrong, and R. W. Hutkins. 2006 Infect Immun 74:6920-8
【非特許文献4】Macfarlane, G.T., Steed H., Macfarlane S. 2008 Journal of Applied Microbiology 104, 305-44
【非特許文献5】Ninonuevo, M. R., et al. 2007 Anal Biochem 361, 15-23
【非特許文献6】Harmsen, H. J., et al. 2000 J Pediatr Gastroenterol Nutr 30:61-7
【非特許文献7】Casci, T., et al. 2007 Human Gut microflora in Health and Disease: Focus on Prebiotics. Functional food and Biotechnology. Ed Taylor and Francis. pp 401-434
【非特許文献8】Stanton, C., et al. 2003. Challenges facing development of probiotics-containing functional foods. Handbook Fermented Functional Foods, Functional Foods and Nutraceutical Series. CC Press, Boca Raton, FL. pp 27-58
【非特許文献9】Sako, T., et al. 1999 Int Dairy J 9, 69-80
【非特許文献10】Watanuki, M., et al. 1996 Ann Report Yakult Central Inst Microbiol Res 16, 1-12
【非特許文献11】Dumortier, V., et al .1990. Carbohydr Res 201:115-23
【非特許文献12】Saier, M.H. Jr. 1996. Res. Microbiol, 147, 439-587
【非特許文献13】Bruckner, R. and Titgemeyer, F. 2002 FEMS Microbiology Letters 209, 141-48
【発明の概要】
【0008】
発明の簡単な概要
本発明は、特定のビフィドバクテリウム属の増殖を刺激するための組成物を提供する。いくつかの態様において、組成物は、ガラクトオリゴ糖の少なくとも重量45%がテトラガラクトオリゴ糖もしくはペンタガラクトオリゴ糖であるか、またはガラクトオリゴ糖の少なくとも25重量%がテトラガラクトオリゴ糖である、ガラクトオリゴ糖を含む。いくつかの態様において、組成物は、ガラクトオリゴ糖の少なくとも30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、75重量%、または80重量%がテトラガラクトオリゴ糖またはペンタガラクトオリゴ糖である、ガラクトオリゴ糖を含む。
【0009】
いくつかの態様において、組成物は、全オリゴ糖の重量に基づいて20重量%未満の二量体ガラクトオリゴ糖を有する。いくつかの態様において、組成物は、全オリゴ糖の重量に基づいて10重量%未満の二量体ガラクトオリゴ糖を有する。
【0010】
いくつかの態様において、組成物は、糖およびオリゴ糖の全固体に基づいて5重量%未満の単量体の糖を有する。
【0011】
いくつかの態様において、組成物は、全オリゴ糖の重量に基づいて5重量%未満の乳糖を有する。
【0012】
いくつかの態様において、組成物は、ラクターゼ酵素(例えば、摂取された場合に分解されるカプセル化されたラクターゼ)を含む。
【0013】
いくつかの態様において、組成物は、20重量%未満(例えば、10重量%未満)の二量体ガラクトオリゴ糖、および/または5重量%未満の単量体ガラクトオリゴ糖、および/または5%未満の乳糖を有する。
【0014】
いくつかの態様において、組成物は、食品または栄養補助製品(dietary supplement product)である。
【0015】
いくつかの態様において、食品は、乳児用調合乳、フォローアップ用調合乳、および幼児用飲物からなる群より選択される。
【0016】
いくつかの態様において、ガラクトオリゴ糖の10重量%未満は重合度6またはそれ以上を有する。
【0017】
いくつかの態様において、ガラクトオリゴ糖の10重量%未満は三量体ガラクトオリゴ糖である。
【0018】
いくつかの態様において、ガラクトオリゴ糖の30重量%超は三量体ガラクトオリゴ糖である。
【0019】
いくつかの態様において、組成物は、単量体、二量体、および/または三量体の糖を減少させるように混合ガラクトオリゴ糖溶液(GOS)を処理する段階を含む方法により調製される。いくつかの態様において、単量体、二量体、および/または三量体の糖は、サイズ排除により、または酵素的に、または特定の糖もしくはオリゴ糖の選択的な微生物消費により除去される。
【0020】
いくつかの態様において、組成物は、ビフィドバクテリウム・ブレヴェ(Bifidobacterium breve)またはビフィドバクテリウム・ロンガム bv.インファンティス(Bifidobacterium longum bv. infantis)をさらに含む。
【0021】
本発明はまた、動物において有益なビフィドバクテリウム属のミクロフローラを刺激するための方法を提供する。いくつかの態様において、方法は、少なくとも1つの有益なビフィドバクテリウム属の株による動物の消化管のコロニー形成を刺激するのに十分な量の上記の組成物または本明細書において他に記載した組成物を、該動物に投与する段階を含む。
【0022】
いくつかの態様において、株は、ビフィドバクテリウム・ブレヴェまたはビフィドバクテリウム・ロンガム bv.インファンティスの株である。
【0023】
いくつかの態様において、動物はヒトである。いくつかの態様において、動物は非ヒト哺乳動物である。
【0024】
いくつかの態様において、ヒトは5歳未満である。いくつかの態様において、ヒトは50歳を超えている。いくつかの態様において、ヒトは、炎症性腸症候群、便秘、下痢、大腸炎、クローン病、大腸癌、機能性腸疾患、過敏性腸症候群、および過剰な硫酸還元菌からなる群より選択される状態を有する。
【0025】
本発明の他の局面は、残りの本文から明白であると考えられる。
【0026】
定義
ガラクトオリゴ糖の「重合度」または「DP」とは、特定のオリゴ糖の一部である糖の単量体単位の総数を指す。例えば、テトラガラクトオリゴ糖は、DP 4を有し、3個のガラクトース部分および1個のグルコース部分を有する。
【0027】
「ビフィドバクテリウム属」という用語およびその同義語は、ヒトにとって有益な特性を有する嫌気性細菌の属を指す。ビフィドバクテリウム属は腸管内菌叢を作り上げる細菌の主要な株の1つであり、該細菌は胃腸管に常在し、かつ宿主にとって健康上の有益性を有する。正常な腸管内菌叢におけるビフィドバクテリウム属のさらなる説明については、例えば、Guarner F and Malagelada JR. Lancet (2003) 361, 512-519を参照されたい。
【0028】
「プレバイオティック」または「プレバイオティック栄養素」とは一般に、胃腸管において1つまたは限定された数の細菌の増殖および/または活性を選択的に刺激することにより、摂取された場合に宿主に有利に影響を及ぼす非消化性食品成分である。本明細書において使用される場合、「プレバイオティック」という用語は、例えば、完全な人乳においてとは対照的に、天然に存在しない状態においての、例えば、精製、化学合成または酵素的合成の後の上記の非消化性食品成分を指す。
【0029】
「プロバイオティック」とは、適切な量において投与された場合に宿主に健康上の有益性を与える生きている微生物を指す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】シロップGOSのポジティブMALDI-FTICRイオンスペクトル。主要なピークはナトリウムが配位したイオンに対応し、GOSの重合度を示す。18質量単位未満において観察された微小なシグナルは、Bタイプの断片に対応し得る。
【図2A】GOS-Bio-Gel P-2画分のポジティブMALDI-FTICRイオンスペクトル。それぞれ画分(ml)45である。m/z 値527、689、851、1013、1175、1337、1449、1662、1824、1966、2148、2310、および2473を有するシグナルは、3〜15に及ぶDPを有する、ナトリウムが配位したガラクトオリゴ糖を表す。
【図2B】GOS-Bio-Gel P-2画分のポジティブMALDI-FTICRイオンスペクトル。画分(ml)56である。m/z 値527、689、851、1013、1175、1337、1449、1662、1824、1966、2148、2310、および2473を有するシグナルは、3〜15に及ぶDPを有する、ナトリウムが配位したガラクトオリゴ糖を表す。
【図2C】GOS-Bio-Gel P-2画分のポジティブMALDI-FTICRイオンスペクトル。画分(ml)67である。m/z 値 527、689、851、1013、1175、1337、1449、1662、1824、1966、2148、2310、および2473を有するシグナルは、3〜15に及ぶDPを有する、ナトリウムが配位したガラクトオリゴ糖を表す。
【図2D】GOS-Bio-Gel P-2画分のポジティブMALDI-FTICRイオンスペクトル。画分(ml)74である。m/z 値 527、689、851、1013、1175、1337、1449、1662、1824、1966、2148、2310、および2473を有するシグナルは、3〜15に及ぶDPを有する、ナトリウムが配位したガラクトオリゴ糖を表す。
【図2E】GOS-Bio-Gel P-2画分のポジティブMALDI-FTICRイオンスペクトル。画分(ml)82である。m/z値 527、689、851、1013、1175、1337、1449、1662、1824、1966、2148、2310、および2473を有するシグナルは、3〜15に及ぶDPを有する、ナトリウムが配位したガラクトオリゴ糖を表す。
【図3】GOSのIRMPD MALDI-FTICRスペクトル。A、B、およびCはそれぞれDP 5、4、および3を有するガラクトオリゴ糖に対応する。グリコシド結合開裂(Hex)および公差環開裂(cross-ring cleavage)(60、90、および120)に対応する断片イオンが得られた。
【図4】ビフィドバクテリウム属の発酵実験において用いられる選択されたDPを有するpGOSの、ポジティブMALDI-FTICRスペクトル。
【図5A】0.5%(w:v)のpGOSを含有する改変されたMRS上でのB. アドレスセンティス(B. adolescentis)、B. ブレヴェ、B. ロンガム bv. インファンティス、およびB. ロンガム bv. ロンガム(B. longum bv. longum)の増殖。
【図5B】1%(w:v)のpGOSを含有する改変されたMRS上でのB. アドレスセンティス(B. adolescentis)、B. ブレヴェ、B. ロンガム bv. インファンティス、およびB. ロンガム bv. ロンガム(B. longum bv. longum)の増殖。
【図5C】1.5%(w:v)のpGOSを含有する改変されたMRS上でのB. アドレスセンティス(B. adolescentis)、B. ブレヴェ、B. ロンガム bv. インファンティス、およびB. ロンガム bv. ロンガム(B. longum bv. longum)の増殖。
【図5D】2%(w:v)のpGOSを含有する改変されたMRS上でのB. アドレスセンティス(B. adolescentis)、B. ブレヴェ、B. ロンガム bv. インファンティス、およびB. ロンガム bv. ロンガム(B. longum bv. longum)の増殖。
【図6】0.5% pGOSを含有するmMRS上でのビフィドバクテリウム属の培養増殖の上清から精製した残存するpGOSのポジティブMALDI-FTICR MSイオンスペクトル。(A)ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス、(B)B. ブレヴェ、(C)B. ロンガム bv. インファンティス、および(D)B. ロンガム bv. ロンガム。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の詳細な説明
I.序文
ガラクトオリゴ糖は、プレバイオティック特性を所有し、かつヒトにより消化できない炭水化物である。本発明は、特定のビフィドバクテリウム属の種または亜種が、特異的な重合度(DP)を有するガラクトオリゴ糖ポリマーを消費するが、他のDPでは有意に消費しないという発見に一部基づくものである。これらの結果を考慮して、本発明は、他の腸内細菌に対して、ヒトまたは他の動物において特異的なビフィドバクテリウム属の種または亜種の増殖を優先的に刺激するように特別に設計されたガラクトオリゴ糖組成物を提供する。
【0032】
II.ガラクトオリゴ糖組成物
本発明のガラクトオリゴ糖組成物は、ガラクトオリゴ糖自体、および任意で、特定の使用に所望の通りの他の構成要素を含み得る。ガラクトオリゴ糖組成物は合成であり(例えば、精製された酵素の反応によりまたは人が指示した発酵工程の一部として、生成され)、かついくつかの態様において精製される。下記でより詳細に議論される通り、ガラクトオリゴ糖は、例えば、乳児用調合乳を含む食品材料および栄養補助食品(dietary supplement)を製造するために種々の成分と組み合わされ得る。組成物はさらに、有益な細菌、特に特定のビフィドバクテリウム属の種または亜種を任意で含み得る。
【0033】
A.ガラクトオリゴ糖
ガラクトオリゴ糖とは、ガラクトースの直線状ポリマーまたは分岐したポリマーを指す。一般に、ガラクトオリゴ糖は、末端の糖がグルコースであることを除いてガラクトース単位のみで構成されている。ガラクトオリゴ糖はそのため、式Gal-(Gal)n-Glcにより表され得、ここでGalはガラクトース残基であり、Glcはグルコース残基であり、かつnはゼロまたはより大きい整数である。
【0034】
本発明は、特異的なビフィドバクテリウム属の増殖を優先的に刺激するために使用され得る特定のDPについて濃縮されたGOS組成物を提供する。例えば、以下は、本発明者らの知見のいくつかを要約する。
1.乳児媒介性のビフィドバクテリウム属(例えば、B. ブレヴェおよびB. ロンガム bv インファンティス)の増殖は、DP 4-5 ガラクトオリゴ糖について濃縮されたGOSを用いて優先的に刺激され得る(例えば、他のビフィドバクテリウム属を含む他の腸内細菌に対して)。
2.成人媒介性のビフィドバクテリウム属(B. ロンガム bv ロンガム)の増殖は、DP 6-8 ガラクトオリゴ糖について濃縮されたGOSを用いて優先的に刺激され得る。
3.B. ロンガム bv. インファンティスおよびB. アドレスセンティス種の増殖は、DP 3 ガラクトオリゴ糖について濃縮されたGOSを用いて優先的に刺激され得る。
【0035】
i.ビフィドバクテリウム・インファンティスまたはビフィドバクテリウム・ブレヴェを豊富にするガラクトオリゴ糖
上記および実施例において記載される通り、DP 4-5のガラクトオリゴ糖は、典型的に乳児において見出されるビフィドバクテリウム属、例えば、ビフィドバクテリウム・インファンティスまたはビフィドバクテリウム・ブレヴェにより消費される。従って、いくつかの態様において、本発明の組成物は、ガラクトオリゴ糖の少なくとも20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、または50重量%がテトラガラクトオリゴ糖であり、および/または任意で、ガラクトオリゴ糖の少なくとも20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、または50重量%がペンタガラクトオリゴ糖である、ガラクトオリゴ糖を含む。本明細書において提供されるすべての組成パーセンテージは、特に指示されない限り、質量分析法(例えば、実施例において説明するMALDI-FTICR)により測定される。いくつかの態様において、本発明の組成物は、ガラクトオリゴ糖の少なくとも30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、または90重量%がDP 4-5 ガラクトオリゴ糖である、ガラクトオリゴ糖を含む。これらの態様は、例えば、ビフィドバクテリウム・インファンティスまたはビフィドバクテリウム・ブレヴェについて豊富にするのに有用である。いくつかの態様において、組成物は、10%未満もしくは5%未満の単量体の糖(例えば、ガラクトース)、および/または10%未満もしくは5%未満の乳糖、および/または任意で10%未満もしくは5%未満の二量体ガラクトオリゴ糖を有する。いくつかの態様において、組成物はまた、10%未満または5%未満の三量体(DP 3)ガラクトオリゴ糖を有する。本明細書において使用される場合、特定のDPのパーセンテージは、組成物における全糖(ガラクトース単量体を含む)の重量に対する特定のDPの重さによる量を指す。
【0036】
あるいは、いくつかの態様において、組成物は、DP 3-6について、すなわち三量体ガラクトオリゴ糖を含んで、濃縮される。いくつかの態様において、組成物における糖の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%は、DP 3-6を有するガラクトオリゴ糖である。そのような態様は、任意で10%未満または5%未満の単量体の糖(例えば、ガラクトース)、および任意で10%未満または5%未満の二量体ガラクトオリゴ糖を有すると考えられる。
【0037】
乳児用またはフォローアップ用の調合乳を含むがそれらに限定されない本発明の組成物のいずれかは、乳糖および他の糖、またはビタミン、ならびに本明細書において説明する通りのビフィドバクテリウム属の種および亜種を含むがそれらに限定されない他の構成要素の補給剤(supplement)を含み得る。
【0038】
上記の組成物のいずれかはまた、DP 6またはそれ以上のガラクトオリゴ糖が少ないかまたは該ガラクトオリゴ糖を有さないように、選択され得る。従って、いくつかの態様において、組成物は10%未満または5%未満のDP 6+ ガラクトオリゴ糖を有する。
【0039】
本発明はまた、DP 4-5を有するガラクトオリゴ糖が、混合ガラクトオリゴ糖溶液におけるDP 4-5の重さによる量と比較して濃縮されている(例えば、より多く、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%)ガラクトオリゴ糖を含む組成物を提供する。「混合ガラクトオリゴ糖溶液」とは、例えば、トランスガラクトシル化反応においてβ-ガラクトシダーゼを用いて産生されるような(例えば、日本特許JP105109または米国特許番号US4,957,860に記載される通り)、様々なDPを有するガラクトオリゴ糖の混合物を指す。例示的な混合ガラクトオリゴ糖溶液は、例えば、Vivinal(商標)GOS(オランダのFriesland Foods Domoより入手可能)を含む。いくつかの態様において、本発明の濃縮された組成物は、10%未満または5%未満の糖単量体(例えば、ガラクトース)、および任意で10%未満または5%未満の二量体ガラクトオリゴ糖を有する。いくつかの態様において、本発明の濃縮された組成物はまた、10%未満または5%未満の三量体(DP 3)ガラクトオリゴ糖を有する。
【0040】
ii.ビフィドバクテリウム・ロンガムを豊富にするガラクトオリゴ糖
上記および実施例において記載される通り、DP 6-8のガラクトオリゴ糖は、典型的に成人において見出されるビフィドバクテリウム属、例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガムにより消費される。従って、いくつかの態様において、本発明の組成物は、ガラクトオリゴ糖の少なくとも30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、または90重量%がDP 6-8 ガラクトオリゴ糖である、ガラクトオリゴ糖を含む。いくつかの態様において、組成物は、10%未満または5%未満の単量体の糖(例えば、ガラクトース)、および任意で10%未満または5%未満の二量体ガラクトオリゴ糖を有する。いくつかの態様において、組成物はまた、10%未満または5%未満のDP 3、4、および/または5を有するガラクトオリゴ糖を有する。本発明の組成物のいずれかは、乳糖および他の糖、またはビタミンの補給剤を、本明細書において説明する通りのビフィドバクテリウム属の種および亜種を含むがそれらに限定されない他の構成要素として含み得る。
【0041】
本発明はまた、DP 6-8を有するガラクトオリゴ糖が、例えば、上記の通りまたはVivinal(商標)GOSにおけるなどの混合ガラクトオリゴ糖溶液におけるDP 6-8の重さによる量と比較して濃縮されている(例えば、より多く、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%)ガラクトオリゴ糖を含む組成物を提供する。いくつかの態様において、組成物は、10%未満または5%未満の単量体の糖(例えば、ガラクトース)、および任意で10%未満または5%未満の二量体ガラクトオリゴ糖を有する。いくつかの態様において、組成物はまた、10%未満または5%未満のDP 3、4、5、および/または6 ガラクトオリゴ糖を有する。
【0042】
iii.B. ロンガム bv. インファンティス種およびB. アドレスセンティス種を豊富にする追加のガラクトオリゴ糖
上記および実施例において記載される通り、DP 3のガラクトオリゴ糖は、B. ロンガム bv. インファンティスおよびB. アドレスセンティス種により消費される。従って、いくつかの態様において、本発明の組成物は、ガラクトオリゴ糖の少なくとも30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、または90重量%がDP 3 ガラクトオリゴ糖である、ガラクトオリゴ糖を含む。いくつかの態様において、組成物は、10%未満または5%未満の糖単量体(例えば、ガラクトース)、および任意で10%未満または5%未満の二量体ガラクトオリゴ糖を有する。いくつかの態様において、組成物はまた、10%未満または5%未満のDP 4またはそれ以上のガラクトオリゴ糖を有する。本発明の組成物のいずれかは、乳糖および他の糖、またはビタミンの補給剤を、本明細書において説明する通りのビフィドバクテリウム属の種および亜種を含むがそれらに限定されない、他の構成要素として含み得る。
【0043】
本発明はまた、DP 3を有するガラクトオリゴ糖が、上記の通りまたはVivinal(商標)GOSにおけるなどの混合ガラクトオリゴ糖溶液におけるDP 3の重さによる量と比較して濃縮されている(例えば、より多く、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%)ガラクトオリゴ糖を含む組成物を提供する。いくつかの態様において、組成物は、10%未満または5%未満の単量体の糖(例えば、ガラクトース)、および任意で10%未満または5%未満の二量体ガラクトオリゴ糖を有する。
【0044】
iv.本発明のガラクトオリゴ糖組成物を作製する方法
いくつかの態様において、ガラクトオリゴ糖は、様々な重合度(すなわち、「DP」またはポリマーにおける単量体単位の数)を有するオリゴ糖の混合物(当技術分野において「GOS」として公知である)として産生される。例えば、いくつかの態様において、ガラクトオリゴ糖は、単量体または二量体の糖から酵素的に合成される。ガラクトオリゴ糖は、例えば、酵素β-ガラクトシダーゼのトランスガラクトシラーゼ活性を用いて乳糖シロップから産生され得る(Crittenden, (1999) Probiotics: A Critical Review. Tannock, G.(ed) Horizon Scientific Press, Wymondham, pp. 141-156)。他の一般的なGOS産生法は、例えば、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)に由来するβ-ガラクトシダーゼで乳糖を処理することによるガラクトオリゴ糖の産生(例えば、日本特許JP105109を参照されたい)、および乳糖とアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のβ-ガラクトシダーゼとの間の反応による産生(例えば、米国特許第4,957,860号を参照されたい)を含む。例えば、Ito et al., Microbial Ecology in Health and Disease, 3, 285-292 (1990)もまた参照されたい。関連する方法は、プレバイオティックガラクトオリゴ糖を合成するためにビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)NCIMB 41171のβ-ガラクトシダーゼを利用する(Tzortzis et al., Appl. Micro. and Biotech. (2005), 68:412-416を参照されたい)。広範囲の異なる大きさのガラクトオリゴ糖を一般にかつ大抵は含む市販のGOS製品もまた、一般に入手可能である。
【0045】
従って、本発明の特異的な精製されたガラクトオリゴ糖(例えば、特定の大きさの糖を欠如するかまたはそれらについて濃縮されている)を生成するために、いくつかの態様において、本発明の組成物は、様々な大きさの異なるガラクトオリゴ糖を含有するGOS混合物を得る段階、およびその後、望ましくないDPを有するガラクトオリゴ糖の割合を減少させる段階により生成され得る。例えば、いくつかの態様において、1、1-2、1-3などのDPを有するガラクトオリゴ糖は、例えば、サイズ排除技術、酵素的分解、選択的な微生物消費、またはそれらの組み合わせにより減少させることができる。選択的な微生物消費の例は、例えば、DP 2の糖を選択的に消費するクリベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)または他のクリベロマイセス属(Kluyveromyces)の種の使用である。
【0046】
代替的にまたは任意でさらに、本発明のガラクトオリゴ糖を合成するために酵素法が使用され得る。一般に、基質を標的DPのガラクトオリゴ糖(またはその中間体)の任意のものへ変換する任意のオリゴ糖生合成酵素または異化酵素(逆に進む反応を伴う)が、本発明の実施において使用されてもよい。例えば、プレバイオティックガラクトオリゴ糖は、L. ロイテリ(L. reuteri)由来のβ-ガラクトシダーゼを用いて乳糖から合成されている(Splechtna et al., J. Agricultural and Food Chemistry (2006), 54: 4999-5006を参照されたい)。使用される反応はトランスガラクトシル化として公知であり、それにより酵素β-ガラクトシダーゼは乳糖を加水分解し、かつ水のヒドロキシル基へガラクトース単位を転移する代わりに、酵素は別の炭水化物へガラクトースを転移し、より高い重合度を有するオリゴ糖を結果としてもたらす(Vandamme and Soetaert, FEMS Microbiol. Rev. (1995), 16:163-186)。トランスガラクトシル化反応は、分子間または分子内で進行し得る。分子内ガラクトシル転移またはD-グルコースへの直接のガラクトシル転移は、乳糖の位置異性体を生じる。分子間トランスガラクトシル化を通して、ビフィドバクテリウム属に特異的な二糖類、三糖類、および四糖類、ならびに究極的により高いオリゴ糖が産生され、かつその後所望の通りに精製され得る。
【0047】
任意で、本発明のガラクトオリゴ糖組成物は、乳糖の少なくとも一部をオリゴ糖へ変換するために乳糖を含む第1の溶液をラクターゼ(例えば、トランスフェラーゼタイプのラクターゼ)と接触させて、オリゴ糖および乳糖の第2の溶液を結果としてもたらす段階、第2の溶液をラクターゼ(例えば、加水分解タイプのラクターゼ)と接触させる段階、および任意で溶液から単量体または他の糖(例えば、乳糖、二量体の糖)を分離する段階により作製され得る。いくつかの態様において、ガラクトオリゴ糖組成物は乳糖を含むと考えられ、かつ組成物は、1つまたは複数のラクターゼ(例えば、摂取後に分解され、それによりラクターゼの放出および乳糖の消化を可能にするカプセル化されたラクターゼ)を含むように製剤化される。
【0048】
いくつかの態様において、特許請求されたガラクトースオリゴ糖組成物の調製のための方法は、以下の段階を含み得る。
1.乳糖を含有する溶液の適した条件下でのβ-ガラクトシダーゼ調製物とのインキュベーション。β-ガラクトシダーゼ調製物は、高いトランスガラクトシダーゼ活性を有する酵素(アスペルギルス・オリゼ、バチルス・サーキュランス、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、およびラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)に由来するβ-ガラクトシダーゼにより提供されるなどのトランスフェラーゼタイプのラクターゼ)を(任意でそれのみ)含有することにより特徴付けられ得る。β-ガラクトシダーゼ調製物はまた、そのようなβ-ガラクトシダーゼの混合物からなってもよい。反応条件は、β-ガラクトシダーゼ酵素調製物のために最適化され得る。いくつかの態様において、オリゴ糖の有意な追加の形成が観察されなくなるまで、反応を進行させる。
【0049】
2.クリベロマイセス・ラクティス、クリベロマイセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)、またはアスペルギルス・ニガー(Aspergilus niger)に由来するラクターゼなどの高い加水分解活性を示すβ-ガラクトシダーゼ調製物(加水分解タイプラクターゼ)の添加。反応条件は、β-ガラクトシダーゼ酵素調製物のために最適化され得る。いくつかの態様において、乳糖レベルが少なくとも全糖の5%より低くなるまで、反応を進行させる。
【0050】
反応混合物はその後任意で、酵素の熱不活性化、酵素を除去するための限外濾過、および単糖(mono sugar)濃度を減少させるためのナノ濾過などの段階を含み、所望の通りにさらに加工され得る。最終的な調製物は、安定化された液体として保存されても、または代替的に乾燥されてもよい。安定化および乾燥のための方法は、当業者に公知である。いくつかの態様において、方法における第2の段階は、ガラクトオリゴ糖の濃度における減少を導かないが、代わりにこれらの構成要素の収率の増加を導く。
【0051】
改善されたオリゴ糖組成物の調製のための詳細な方法を、以下に提供し:乳糖を含有する水溶液(例えば、50〜400 g/L)を調製する。この段階で、方法における酵素安定性を改善するために金属イオン(例えば、Mg2+、Mn2+、Zn2+、Na+、K+など)などの補因子を添加してもよい。産生法は3つの主な段階からなる。段階1において、大部分のガラクトオリゴ糖を産生する。段階2において、乳糖レベルを全糖の5%未満に減少させ、かつオリゴ糖産生をさらに増加させる。段階3において、単量体の糖を任意でオリゴ糖組成物から除去し、かつ残存溶液を安定化された液体へさらに加工するか;あるいは、それを当業者に公知である方法を用いて乾燥してもよい。
【0052】
方法の段階1において、溶液をトランスフェラーゼタイプのβ-ガラクトシダーゼで処理する。この目的のために、トランスフェラーゼタイプの酸ラクターゼを使用してもよく、かつこの場合、乳糖を含有する溶液を、塩酸、酢酸、または任意の他の適した酸を用いて、好ましくは2.5〜5.5の間のpHに調整する。あるいは、50 mM Na-酢酸緩衝液または任意の他の適した緩衝液などの緩衝溶液を、pHを設定するために使用してもよい。pH調整の後、アスペルギルス・オリゼに由来する酸ラクターゼ(Tolerase、DSM、オランダ)を、好ましくはリットル当たり1,000〜10,000 ALUの最終濃度で添加する。他の適した例は、バチルス・サーキュランスまたはラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)に由来するβ-ガラクトシダーゼを含むが、それに限定されない。「ALU」は、酸ラクターゼ単位を指し、定義された条件(pH=4.5、T=37.00 C)の下で1分間にo-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシドから1マイクロモルのo-ニトロフェノールを放出するために必要とされる酵素の量として定義される。
【0053】
Toleraseの代わりに、任意の適した他のトランスフェラーゼタイプの酸ラクターゼを添加しても、または適したトランスフェラーゼタイプの酸ラクターゼの組み合わせを使用してもよい。反応混合物は任意で、好ましくは30℃〜60℃の間の任意の適した温度に加熱することができる。最適な温度は、使用される特異的なラクターゼまたはラクターゼの組み合わせに依存する。いくつかの態様において、反応混合物をこの最適温度で、例えば2〜48時間保持するが、その代わりに、この期間の間温度勾配を適用してもよい。任意で、オリゴ糖の形成を改善するために、この期間の間にトランスフェラーゼタイプの酸ラクターゼを反応混合物に添加してもよい。バチルス・サーキュランス由来のラクターゼなどのトランスフェラーゼタイプの中性ラクターゼもまた、酸ラクターゼまたは酸ラクターゼの組み合わせの代わりに方法の第1段階において使用してもよい。その場合、濃縮された乳糖溶液のpHを好ましくはpH 5.0〜pH 8.0の間の任意の適したpHに、HCl、酢酸、または任意の適した酸、NaOH、水酸化アンモニウム、または任意の適した塩基もしくは緩衝液を用いて調整し、その後、酸ラクターゼについて説明する通りに反応を進行させる。トランスフェラーゼタイプの中性ラクターゼの組み合わせの使用または段階1の間の中性ラクターゼの添加は任意である。この第1段階の後、反応混合物を任意で、任意の適した温度に冷却し、かつ必要とされる場合、pHを方法の段階2に最も適したpHに調整する。
【0054】
方法の段階2において、加水分解タイプのラクターゼを使用する。例えば、クリベロマイセス・ラクティスに由来するなどの加水分解タイプのラクターゼ(Maxilact、DSM、オランダ)を、好ましくはリットル当たり1,000〜10,000 NLUの間の濃度で使用する。「NLU」は、中性ラクターゼ単位を指し、試験条件(pH=6.5、T=37.00 C)の下で合成基質オルト-ニトロ-フェノール-ガラクトピラノシドから1.30 umol オルト-ニトロ-フェノールを形成すると考えられる酵素の量として定義される。他の適した例は、アスペルギルス・ニガーまたはストレプロコッカス・サーモフィルスに由来する加水分解タイプの中性ラクターゼを含むが、それに限定されない。
【0055】
いくつかの態様において、2〜48時間、例えば10〜60℃の間の温度で反応を進行させる。あるいは、インキュベーションの間温度勾配を使用してもよい。乳糖加水分解のために反応条件を最適化する。乳糖濃度が全糖の5%未満になるまで、反応を進行させる。段階2において、加水分解タイプの中性ラクターゼの組み合わせを使用してもよい。乳糖レベルを減少させるのを促進するために、段階2のインキュベーションの間に加水分解タイプの中性ラクターゼを添加してもよい。加水分解タイプの酸ラクターゼもまた、加水分解タイプの中性ラクターゼの代わりに段階2において使用してもよい。その場合、溶液のpHを、2.5〜5.5の間を含むがそれに限定されない任意の適したpHに、塩酸、酢酸、または任意の他の適した酸を用いて調整する。あるいは、50 mM Na-酢酸緩衝液または任意の他の適した緩衝液などの緩衝液を、pHを設定するために使用してもよい。適したラクターゼは、例えばアスペルギルス・ニガー由来であってもよく、かつ好ましくは1,000〜10,000 ALU / Lの濃度で添加してもよく、かつ、反応は、例えば2〜48時間の間、例えば20〜60℃の間の温度で進行させる。単一の加水分解タイプの酸ラクターゼの代わりに、加水分解タイプの酸ラクターゼの組み合わせをこの段階において使用してもよい。この第2段階におけるインキュベーションの間に追加のラクターゼを添加することが選択肢である。最終の乳糖濃度が全糖の5%未満になるまで、かつ以前に形成されたオリゴ糖の有意な分解無しで、乳糖加水分解を得るために、反応条件を最適化する。段階2の終わりに、酵素を不活性化するために温度を上昇させてもよい。
【0056】
段階3において、酵素および単糖を除去するためにガラクトオリゴ糖を含有する溶液を任意でさらに加工する。酵素は限外濾過により除去してもよく;適したフィルターは当業者に周知である。結果として生じた単糖(主にグルコースおよびガラクトース)はその後ナノ濾過により除去してもよい。適したフィルターおよび濾過条件は当業者に公知であり、かつ本文において以前に説明した通りの文献に記載されている。その後、結果として生じたオリゴ糖組成物は酵素および単量体の糖を本質的に含まず、安定化された液体にさらに加工され得るか、または、例えば粉末もしくは顆粒状生成物を得るために当業者に公知である方法を用いて乾燥され得る。
【0057】
本発明の方法において使用される酵素は、反応混合物中の移動について制限のない遊離型において使用され得るか、またはその代わりに適した担体上に固定化され得るかのいずれかである。固定化は、担体基質への酵素の共有結合により、または例えばゲルマトリックスにおける酵素の物理的捕捉により、得ることができる。酵素を固定化するための方法は当業者に公知であり;最近の総説がこの話題について出版されている(例えば、Mateo et al 2007, Enz. Micr. Technol. 40, 1451-1463を参照されたい)。酵素はまた、濾過により反応混合物から容易に分離され得る大きな凝集体を形成するように架橋されてもよい(総説については、例えば、Margolin et al, 2001, Angew. Chem. Int. Ed. 40, 2204-2222を参照されたい)。
【0058】
あるいは、本発明のDPを有するガラクトオリゴ糖の新規有機合成または既存のオリゴ糖の本発明のDPを有するガラクトオリゴ糖への変換のために、従来の化学的方法を使用してもよい。例えば、March's Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, 5th Editionを参照されたい。
【0059】
B.プレバイオティック製剤およびプロバイオティック製剤
本発明のガラクトオリゴ糖組成物は、プレバイオティック製剤として(すなわち細菌無しで)、またはプロバイオティック製剤として(すなわち本明細書において説明する通りのビフィドバクテリウム属などの望ましい細菌と共に)投与され得る。一般に、ヒト乳児もしくは成人により、または動物により消費され得る任意の食物または飲物を、本発明のプレバイオティック組成物およびプロバイオティック組成物を含有する製剤を作製するために使用してもよい。例示的な食物は、本発明のプレバイオティック組成物およびプロバイオティック組成物の容易かつ一様な分散を可能にする半流動体の粘稠度を有するものを含む。しかしながら、他の粘稠度(例えば、粉末、液体など)もまた非限定的に使用され得る。従って、そのような食料品は、非限定的に、チーズ、カッテージチーズ、ヨーグルト、およびアイスクリームなどの乳業に基づく製品を含む。アップルソースまたは裏ごししたエンドウマメおよびニンジンなどの、乳児/幼児を対象としたものを含む加工した果物および野菜もまた、本発明のガラクトオリゴ糖との組み合わせにおける使用に適する。米またはオート麦ベースのシリアルなどの乳児用シリアルおよびMusilixなどの成人用シリアルの両方もまた、本発明のガラクトオリゴ糖との組み合わせにおける使用に適する。ヒトの消費を対象とした食物に加えて、動物飼料もまた、本発明のプレバイオティック組成物およびプロバイオティック組成物で補給されてもよい。
【0060】
あるいは、本発明のプレバイオティック組成物およびプロバイオティック組成物は、飲物を補給するために使用されてもよい。そのような飲物の例は、非限定的に、乳児用調合乳、フォローアップ用調合乳、幼児用飲物、乳、発酵乳、果汁、果物ベースの飲料、およびスポーツドリンクを含む。多くの乳児用および幼児用の調合乳は、当技術分野において公知であり、例えば、Carnation Good Start(Nestle Nutrition Division; Glendale, Calif.)およびMayfield Dairy Farms(Athens, Tenn.)により生産されるNutrish A/Bを含み、市販されている。乳児用またはベビー用の調合乳の他の例は、米国特許第5,902,617号において開示されているものを含む。本発明の組成物の他の有益な製剤は、牛乳などの動物の乳の補給を含む。
【0061】
あるいは、本発明のプレバイオティック組成物およびプロバイオティック組成物は、丸剤もしくは錠剤に製剤化することができるか、またはゼラチンカプセルなどのカプセルに入れることができる。錠剤形態は任意で、例えば、1つまたは複数の、乳糖、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、微結晶性セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色料、充填剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存料、着香剤、色素、崩壊剤、および薬学的に適合性の担体を含み得る。ゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシア乳濁液、ゲルなどの不活性基剤において組成物を含む香錠、ならびに活性成分に加えて当技術分野において公知である担体を含有する同様のものと同じように、ロゼンジ形態またはキャンディー形態は、風味、例えばショ糖において組成物を含み得る。本発明のプレバイオティック製剤またはプロバイオティック製剤はまた、例えば、米粉などの従来の食品補給剤(food supplement)の充填剤および増量剤を含有してもよい。
【0062】
いくつかの態様において、プレバイオティック組成物またはプロバイオティック組成物は、非ヒトタンパク質、非ヒト脂質、非ヒト炭水化物、または他の非ヒト構成要素をさらに含むと考えられる。例えば、いくつかの態様において、本発明の組成物は、ウシ(または他の非ヒト)の乳タンパク質、大豆タンパク質、米タンパク質、βラクトグロブリン、乳清、大豆油、またはデンプンを含む。
【0063】
本発明のプレバイオティック組成物およびプロバイオティック組成物の投与量は、個体の必要に依存して変化すると考えられ、年齢(乳児対成人)、体重、および有益な腸内細菌の損失の理由(例えば、抗生物質療法、化学療法、疾患、または年齢)などの因子を考慮に入れると考えられる。本発明の文脈において個体に投与される量は、ある期間に渡って有益な細菌で腸のコロニー形成を確立するのに十分であるべきである。用量の大きさはまた、本発明のプレバイオティック組成物またはプロバイオティック組成物の投与に付随する可能性がある任意の有害な副作用の存在、性質、および程度により決定されると考えられる。いくつかの態様において、投与量範囲は、食品補給剤として、および腸管において有益な細菌を再建するために、有効であると考えられる。いくつかの態様において、本発明のガラクトオリゴ糖組成物の投与量は、約1マイクログラム/L〜約25グラム/Lのガラクトオリゴ糖に及ぶ。いくつかの態様において、本発明のガラクトオリゴ糖組成物の投与量は、約100マイクログラム/L〜約15グラム/Lのガラクトオリゴ糖である。いくつかの態様において、本発明のガラクトオリゴ糖組成物の投与量は、1グラム/L〜10グラム/Lのガラクトオリゴ糖である。例示的なビフィドバクテリウム属の投与量は、用量当たり104〜1012コロニー形成単位(CFU)を含むが、それらに限定されない。さらなる有利な範囲は、106〜1010 CFUである。
【0064】
本発明のプレバイオティック製剤またはプロバイオティック製剤は、それを必要とする任意の個体に投与され得る。いくつかの態様において、個体は乳児または幼児である。例えば、いくつかの態様において、個体は、例えば、3ヶ月未満、6ヶ月未満、9ヶ月未満、1歳未満、2歳未満、または3歳未満である。いくつかの態様において、個体は成人である。例えば、いくつかの態様において、個体は、50、55、60、65、70、または75歳を超えている。いくつかの態様において、個体は免疫不全である(例えば、個体はAIDSを有するか、または化学療法を受けている)。
【0065】
本発明のプロバイオティック組成物に含まれ得る例示的なビフィドバクテリウム属は、B. ロンガム bv インファンティス、B. ロンガム bv ロンガム、B. ブレヴェ、およびB. アドレスセンティスを含むが、それらに限定されない。使用されるビフィドバクテリウム属は、標的消費者に一部依存すると考えられる。
【0066】
例えば、いくつかの態様において、B. ロンガム bv インファンティスは、本発明のガラクトオリゴ糖組成物と共に乳児または幼い子供(例えば、5歳未満)に投与される。いくつかの態様において、B. ロンガム bv インファンティスは、乳児用調合乳またはフォローアップ用調合乳に、またはそれと組み合わせて含まれる。これらの態様のいくつかにおいて、本発明のガラクトオリゴ糖組成物は、5重量%未満の二量体および三量体のガラクトオリゴ糖を任意で有するDP 4-5 ガラクトオリゴ糖について濃縮される。いくつかの態様において、組成物は成人または年配者に投与される。いくつかの態様において、ヒトは少なくとも50、60、70、または80歳である。
【0067】
本発明の製剤において他のビフィドバクテリウム属生成因子を含むことが、いくつかの適用について有利であり得ると認識されると考えられる。そのような追加の構成要素は、特に、Raftilose(Rhone-Poulenc, Cranbury, N.J.)、イヌリン(Imperial Holly Corp., Sugar Land, Tex.)、およびNutraflora(Golden Technologies, Westminister, Colo.)などのフルクトオリゴ糖、ならびに乳糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ラクツロース/ラクチトールを含み得るが、それらに限定されない。いくつかの適用において、ラクトバチルス属などの他の有益な細菌が製剤に含まれ得る。
【0068】
いくつかの態様において、本発明の組成物は、それを必要とするヒトまたは動物に投与される。例えば、いくつかの態様において、本発明の組成物は、炎症性腸症候群、便秘、下痢、大腸炎、クローン病、大腸癌、機能性腸疾患(FBD)、過敏性腸症候群(IBS)、過剰な硫酸還元菌、炎症性腸疾患(IBD)、および潰瘍性大腸炎からなる群より選択される少なくとも1つの状態を有するヒトまたは動物に投与される。過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛および不快感、膨満、ならびに変化した腸機能、便秘および/または下痢により特徴付けられる。便秘優勢型IBS(C-IBS)、交互型IBS(A-IBS)、および下痢優勢型IBS(D-IBS)の3種類の群のIBSが存在する。本発明の組成物は、例えば、潰瘍性患者を抑制するのにまたは寛解期間を延長するのに有用である。本発明の組成物は、任意の形態の機能性腸疾患(FBD)、ならびに特に、便秘優勢型IBS(C-IBS)、交互型IBS(A-IBS)、および下痢優勢型IBS(D-IBS);機能性便秘および機能性下痢などの過敏性腸症候群(IBS)を処置または予防するために投与され得る。FBDとは、慢性または半慢性であり、かつ腸の痛み、乱れた腸機能、および社会的混乱と付随するある範囲の胃腸疾患についての一般的な用語である。
【0069】
本発明の別の態様において、本発明の組成物は、免疫系の刺激および/または細菌もしくは酵母の感染、例えば、カンジダ症もしくは硫酸還元菌により誘導される疾患への耐性の促進のために必要とする人へ投与される。
【実施例】
【0070】
以下の実施例は、特許請求された本発明を例証するために提供されるが限定するために提供されるものではない。当業者は、本質的に同様の結果を生じるように変化または修飾され得る様々な重大でないパラメータを容易に認識すると考えられる。
【0071】
実施例1:
本発明者らは、人乳オリゴ糖(HMO)およびフルクトオリゴ糖(FOS)の細菌消費を特徴付けるために、質量精度が高くかつ解像度が高いフーリエ変換イオンサイクロトロン(FTICR)質量分析法を使用する分析方法を以前に開発した(Ninonuevo, M.R. et al., Anal Biochem, 361:15-23 (2007); LoCascio, R.G. et al., J Agric Food Chem, 55:8914-9 (2007); Seipert, R. R. et al., Anal Chem, 80:159-65 (2008))。MALDI-FTICRは、高性能の能力を有する好感度なかつ確固とした分析方法であり、オリゴ糖シグナルの迅速かつ明確な割り当てを可能にすることが示された。
【0072】
本研究において、GOSシロップ調製物におけるオリゴ糖組成をMALDI-FTICRにより調査した。さらに、GOSの二糖類および単糖類を含まない画分(pGOSと称する)をサイズ除去クロマトグラフィーにより調製し、細菌発酵実験において使用した。乳児および成人の腸内微生物叢に存在する4種類の主要なビフィドバクテリウム属の種である、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス、B. ブレヴェ、B. ロンガム 亜種インファンティス(B. longum subsp. Infantis)、およびB. ロンガム 亜種ロンガム(B. longum subsp. longum)をアッセイし、pGOS消費プロファイルをMALDI-FTICR質量分析法により得た。
【0073】
材料および方法
細菌株
ビフィドバクテリウム・アドレスセンティスATCC 15703、B. ブレヴェATCC 15700、およびB. ロンガム 亜種インファンティスATCC 15697は、American type Culture Collection(Manassas, VA)より得た。B. ロンガム 亜種ロンガムDJO10Aは、D. O'Sullivan, University of Minnesotaからの寄贈物であった。
【0074】
ガラクトオリゴ糖精製
精製したGOS混合物(pGOSと称する)は、Vivinal(商標)GOS(Domo Friesland Food、所在地?)から精製により得た。2未満の重合度(DP)を有する糖(乳糖、グルコース、およびガラクトースを含む)を、Bio-Gel P-2ゲルサイズ除去クロマトグラフィー(200/400メッシュを用いた110×2.6 cm、Bio-Rad)により室温で溶出液として水を用いて除去し、流速は0.16 ml/分であった。1 mLの画分を収集し、MALDI-FTICR MSにより分析した。DP>=3のオリゴ糖を含有する画分を細菌発酵実験のためにプールした。アセトニトリル/水(8:2 v/v)の溶媒混合物において得られた乳糖を含まないpGOSを確認するために薄層クロマトグラフィーを実施した。プレートを2回室温で展開し、乾燥し、かつメタノール中の0.3%(w/v)N-(1-ナフチル)-エチレンジアミンおよび5%(v/v)H2SO4を用いて可視化し、その後110℃で10分間加熱した(Lee HY, M.J. et al., Journal of Molecular Catalysis B: Enzymatic, 26:293-305 (2003))。
【0075】
細菌発酵
ビフィドバクテリウム属の培養物を、1% L-システインおよび炭素源として1.5%(w/v)乳糖を補給した半合成MRS培地上で最初に増殖させた。培養物をその後、単一炭素源として0.5、1、1.5、または2%(w/v)のpGOSを含有する、1%L-システインを補給した改変MRS培地中に1%で接種した。増殖研究は、100μlの培地/ウェルを含有する96ウェルプレート(Nuncの透明で無処理のポリスチレン96ウェルプレート)において行い、各ウェルを40μlのミネラルオイルで覆った。インキュベーションを37℃で行い、嫌気性チャンバー(Coy Laboratory Products, Grass Lake, MI)の内部に設置した自動PowerWaveマイクロプレート分光光度計(BioTek Instruments, Inc.)で600 nmでの光学密度(OD)を評価することにより細胞増殖を測定した。各発酵実験は3通り実施し、対照は、pGOSを欠如する接種した培地およびpGOSを含有する接種していない培地からなるものであった。
【0076】
発酵後のpGOS精製
細胞増殖後、残ったpGOSを回収し、上清培養物から精製した。試料(100μL)を接種後72時間で収集し、4000×gで10分間遠心分離した。結果として生じた上清を新しいチューブ中へ移し、95℃で5分間加熱し、Millex-GV(0.22μm, Millipore, MA)で濾過滅菌し、かつ-80℃で保存した。その後、100μL Dowex 50WX8 H+ form(Supelco, Bellefonte, PA)(下部)および使い捨てC18カートリッジ(Waters, Milford, MA)から採取した100μLのC18樹脂(上部)を含有するマイクロカラムを用いて、オリゴ糖を上清から精製した。樹脂をナノ純水で空のカラム(MicroBio-Spinカラム, Bio-Rad, Hercules, CA)中に詰めた。上清試料をアプライし、pGOSを0.3 mLの水で溶出し、真空において十分に乾燥し、かつ-80℃で保存した。その後、MS分析の前に試料を脱イオン水で再構成して最初の濃度にした。
【0077】
MALDI-FTICR MS分析
すべての質量分析は、外部MALDI源、355 nmパルスNd:YAGレーザー、6極(hexapole)蓄積セル、4極イオンガイド、および7.0-T超伝導磁石を有するProMALDI-FT-ICR MS機器(Varian/IonSpec, Lake Forest, CA)を用いて行った。タンデムMSをIRMPDにより実施し、かつこれらの実験用にIR光子を提供するためにCO2レーザー(10.6

、20W 最大出力、Parallax、Waltham、MA)を機器に付加した。DHB(アセトニトリル:水(50% v/v)において0.4 M)および0.10 mM NaClをそれぞれマトリックスおよびドーパントとして使用し;「薄層」法に従って試料を100ウェルステンレススチール試料プレート(Applied Biosystems, Foster City, CA)上にスポットした。6極におけるイオンの外部蓄積を伴って、ポジティブイオンモードで試料を分析し;イオンをその後、励起および検出のためのイオンガイドを介してICRセルに移した。タンデムにおいて、IRMPD実験選択前駆イオンをICRセルにおいて単離し、かつ500 msの間光子で照射した。
【0078】
結果
GOSシロップのMALDI-FTICR分析
GOSシロップ調製物におけるガラクトオリゴ糖の重合度(DP)を測定するために、試料を希釈してMALDI-FTICR質量分析法により分析した。GOSの単量体構成要素であるグルコースおよびガラクトースの両方とも、162.0528 Daの正確な残留質量を有する。正確な質量測定をGOSのDPを同定するために使用し、準分子イオンを理論的質量と計算された質量との間に5 ppm未満の差で割り当てた。得られたポジティブイオンモードMALDI-FTICRスペクトルは、GOSシロップが2〜11に及ぶDPを有するオリゴ糖を含有することを示した(図1)。加えて、GOSシロップ調製物をサイズ排除クロマトグラフィーカラムにおいて分画した場合、Bio-Gel P-2で排除された画分のMALDI-FTICR分析は、GOS混合物が15までのDPを有するオリゴマーを含有することを示した(図2a)。タンデム質量分析法は通常、組成を検証しかつ構造を解明するために必要とされ;従って、選択オリゴ糖イオンは赤外多光子解離(IRMPD)タンデムMS法を用いて調べた。DP 5、4、および3を有するGOSのIRMP質量スペクトルを図3(A、B、およびC)に示す。グリコシド結合の開裂およびガラクトース残基の損失に対応する、より低い質量にシフトした162の質量を有する断片イオンが観察された。IRMPDタンデムMS分析はまた、公差環開裂断片に対応する、親イオンから60、90、および120質量単位においてシフトした断片イオンを生じる。
【0079】
GOS精製
GOSビフィドバクテリウム属生成作用をより理解するために、サイズ排除クロマトグラフィーによりGOSシロップを分画し、単糖類(グルコースおよびガラクトース)ならびに二糖類(乳糖およびDP 2を有するGOSを含む)から精製した。画分を収集してMALDI-FTICRにより分析し、各画分において溶出されたオリゴマーのDPを示した(図2a〜e)。二糖類および単糖類を含まない画分をTLCにより確認し(データは示していない)、所望のDPに従ってプールした。得られた精製GOS(pGOS)調製物のMALDI-FTICR質量スペクトルは、DPが3〜8に及ぶことを示した(図4)。
【0080】
pGOSビフィドバクテリウム属生成作用の迅速スループットスクリーニング:MALDI-FTICR MS分析と連関した微小規模発酵
プレバイオティクスが、潜在的な疾病および健康の公知のバイオマーカーである生理学的過程に影響を及ぼすように胃腸内微生物叢の発酵を選択的に調節し得るという概念は、栄養学研究および食品革新において重要な発展である。しかしながら、細菌のプレバイオティクス消費の比較分析を実施するために利用可能な分析方法が欠如し、本分野を制限してきた。従って、ビフィドバクテリウム属の微小規模発酵およびMALDI-FTICR MSを用いたpGOS消費プロファイリングを連関させている、pGOSのプレバイオティック作用をスクリーニングしかつ比較するための高速スループット法を開発した。
【0081】
pGOS微小規模発酵
微小規模発酵を96ウェルプレートフォーマットにおいて嫌気的に実施した。単一炭素源としてpGOS調製物上で増殖する能力を、0.5%、1%、1.5%、および2%の変化する基質濃度で試験した。以下の4種類のビフィドバクテリウム属系統型を本研究において使用した:両方とも一般的な乳児に付随する微生物叢である、ビフィドバクテリウム・ブレヴェおよびB. ロンガム 亜種インファンティス、ならびに、典型的に「成人タイプ」ビフィドバクテリウム属と称されるB. アドレスセンティスおよびB. ロンガム 亜種ロンガム(Mitsuoka, T., Bifid Micro, 3:11-28 (1984); Ventura, M. et al., FEMS Microbiol Ecol, 36:113-121 (2001))。
【0082】
得られた増殖曲線(図4A〜D)は、アッセイしたすべてのビフィドバクテリウム属が、試験した4種類の濃度においてpGOSを利用できかつpGOS上で増殖できることを示し、GOSのビフィドバクテリウム属生成特性をさらに確認した。興味深いことに、種々のアッセイしたビフィドバクテリウム属の間で差次的なpGOS増殖表現型が観察された。pGOSは、B. ロンガム 亜種インファンティスの増殖を強く刺激し、試験した4種類のpGOS濃度すべてで最も高い細胞密度に達した(OD600nm 1.2)。他方で、pGOSはB. ロンガム 亜種ロンガム培養物に対して穏やかな作用を示し、0.5% pGOS上で増殖するが最も低い終点生物量を産生し(最高OD600nm 0.4)、より高いpGOS濃度では観察される細胞量においてわずかな増加を伴った(最高OD600nm 0.5-0.7)。すべてのpGOS濃度でOD600nm〜0.7で生じる最高密度を伴う、中間の増殖プロファイルがB. アドレスセンティスおよびB. ブレヴェにより示された。
【0083】
MALDI-FTICR MSにより測定されるpGOS消費
pGOSのプレバイオティック作用をさらに理解する目的で、ビフィドバクテリウム属の発酵後に消費プロファイルを測定するための方法論を開発した。培養上清に残存するpGOSを接種後72時間で回収し、精製し、かつMALDI-FTICR MSを用いて分析した。0.5% pGOSを含有するビフィドバクテリウム属の培養物の上清から精製した残存pGOSのポジティブMALDI-FTICR MSイオンスペクトルを図5A〜Dに示す。得られた質量スペクトルの比較分析は、アッセイしたビフィドバクテリウム属の間の差次的な発酵能力を明らかに示し、pGOSの利用における基質の好みを示唆する。
【0084】
B. ブレヴェおよびB. ロンガム 亜種インファンティスは、pGOS消費において最も効率的であることを示した(図5bおよびc)。わずかに異なるが、m/z値 689、851、1013、1175、および1337を有するシグナルは両方の試料において強く減少し、4〜8のDP範囲を有するpGOS消費を示した。著しく、四糖類に対応するm/z値689を有するシグナルが、B. ロンガム 亜種インファンティスによる発酵後にほとんど存在せず、DP 4を有するpGOSの優先的な消費を示した。B. ブレヴェとは異なり、B. ロンガム 亜種インファンティスはまた、DP 3を有するオリゴ糖に対応する重要なシグナルの減少を示した。同様に、B. アドレスセンティスは、m/z値527を有するシグナルにおいて有意な減少を示し、DP 3を有するGOSの消費を示した。より長いオリゴ糖に対応するシグナルは大きくは変化しなかったが、DP 4および5を有するオリゴ糖のいくらかの消費は明白であった(図5a)。
【0085】
対照的に、B. ロンガム 亜種ロンガムは、DP 4および5を有するGOSのいずれも消費しなかったが、DP 6、7、および8に対応するGOS量の徹底的な減少を示した。試験した他の株とは異なり、三糖類に対応するシグナルは変化せず、DP 3を有するpGOSはB. ロンガム 亜種ロンガムにより消費されないことを示した。
【0086】
ビフィドバクテリウム属のGOS利用のゲノミクス
完全ゲノム配列の利用可能性により、発酵性細菌の表現型を理解しかつしばしば予測するために種々の代謝再構築アプローチが可能になっている(Schell, M.A. et al., Proc Natl Acad Sci U S A, 99:14422-7 (2002); Azcarate-Peril, M. et al., Appl Environ Microbiol, 74:4610-25 (2008); Sela, D.A. et al., The Complete Genome Sequence of Bifidobacterium longum subsp. infantis Reveals Adaptations for Milk Utilization within the Infant Microbiome (Submitted, 2008))。
【0087】
ビフィドバクテリウム属は、下部腸において遭遇する多様な範囲の宿主が消化できないオリゴ糖の利用に適応している。従って、GOSオリゴマーは、ビフィドバクテリウム属の酵素によりガラクトースおよびグルコースに分解され、エネルギーおよび同化反応のための基質を生成する。GOS利用において必要な異化反応は、工業的に生産されたGOSまたは天然に存在するGOSにおいて見出される末端β-ガラクトシル結合に発揮されるβ-ガラクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.23)である。一般に、ビフィドバクテリウム属のβ-ガラクトシダーゼは、2〜3の例外を除いて、グリコシルヒドロラーゼ(GH)ファミリー42およびGHファミリー2に分類される。加えて、いくつかのβ-ガラクトシダーゼは他のグリコシドドメインに融合される。
【0088】
従って、B. アドレスセンティス ATCC15703、B. ロンガム 亜種インファンティス ATCC15697、およびB. ロンガム 亜種ロンガム NCC2705のゲノム配列は、β-ガラクトシダーゼ機能性を割り当てられる10、7、および3種類の配列をそれぞれ含有する(図6、表1)。すべての20種類の酵素は、膜貫通へリックスまたはシグナルペプチドを欠如しているため、細胞内であると予測されるか、または未知もしくは非古典的経路により分泌される。逆に、BIF3と称される1種類のB. ビフィダム β-ガラクトシダーゼイソ酵素は、シグナルペプチドを所有し、かつGOS利用において活性を有すると考えられる細胞外表面に分泌される可能性が高い(5)。BIF3の正確な相同体は、ATCC15703、NCC2705、またはATCC15697のゲノムにおいて明白ではないが、25%の同一性を有するB. ロンガム 亜種インファンティスのβ-ガラクトシダーゼ(Blon_2334; GH 2)が、人乳オリゴ糖(HMO)利用に専念する遺伝子クラスター中に位置する。Blon_2334の相同体は2コピーにおいて:B. アドレスセンティス ATCC15703(BAD_1605およびBAD_1582)ならびにB. ロンガム 亜種ロンガム NCC2705(BL_0978)に存在し、それらのゲノムはB. ロンガム 亜種インファンティスにおいて見出される同一の相補HMO関連遺伝子を含有しない。興味深いことに、これらのβ-ガラクトシダーゼは、高いトランスガラクトシル化活性を所有するとしてB. インファンティスHL96から以前に単離されかつ特徴決定されている(β-gallと称される)(3)。B. ロンガム 亜種インファンティスHMOクラスターにおけるこの大きなβ-ガラクトシダーゼ(1023 a.a.)の存在、ならびに高いインビトロトランスガラクトシル化活性は、ビフィドバクテリウム属がGOSおよびHMOから末端ガラクトシル残基を切断することを可能にし得るオリゴ糖代謝に関連を提供する。
【0089】
(表1)配列決定されたビフィドバクテリウム属のβ-ガラクトシダーゼ

【0090】
β-ガラクトシダーゼに加えて、B. ロンガム 亜種ロンガム NCC2705由来のエンドガラクタナーゼ(EC 3.2.1.89)(BL_0257; GH53)が、GOSにおけるβ1-4結合およびβ1-3結合の加水分解からガラクト三糖類を放出することが実験的に判定された。この細胞外酵素は、細胞膜を横切って移入された三量体産物を有するGOS分子に進行性に作用する可能性が高い。DP≧6を有するGOSについてのB. ロンガム 亜種ロンガムの好みは、このエンドガラクタナーゼが細胞内輸送に連関していることを示唆する。精製したBL_0257のDP≧5 GOSに対するインビトロ特異性は、幾分この連関と一貫する。三量体GOSの排除のためにガラクト三糖類に対して親和性を所有する輸送体の存在は、B. ロンガム 亜種ロンガムによる発酵後に不変のままであるDP 3 GOS画分により強く支持される。従って、エンドガラクタナーゼは、潜在的オリゴ糖輸送体(BL_0260-BL_0264)、ならびにβ-ガラクトシダーゼ(BL_0259)およびlacIファミリー制御タンパク質(BL_0257)を有する遺伝子クラスター中に見受けられる(図7)。このβ-ガラクトシダーゼおよびABC輸送体の構成要素の発現は、GOS上で増殖する間に上方制御されることが最近示されている(Gonzalez, R. et al., Appl Environ Microbiol, 74:4686-94 (2008))。GOSへのこの特異的な応答は、この遺伝子座がB. ロンガム 亜種ロンガムにおいてGOS代謝の主要な貢献者であるさらなる証拠を提供する。推定のGOSオペロンがクラスターのβ-ガラクトシダーゼの重複(BAD_01566およびBAD_01567)と共に無傷のままであるが、このエンドガラクタナーゼの相同体はB. アドレス センティスのゲノムには存在しない(図7)。興味深いことに、B. ロンガム 亜種インファンティスは、触媒ドメインの大部分を欠如し、かつ近位の糖輸送体が完全に無い状態で分解されたβ-ガラクトシダーゼ残遺物の隣に位置する切断型エンドガラクタナーゼ遺伝子(Blon_0440)を所有する(図7)。これらの遺伝子は、亜種のインファンティスおよびロンガムの進化上の分岐の後に犠牲にしてもよくなったことが考えられる。これは、このクラスターが活性を有するタイプIアラビノガラクタンなどの植物の糖を犠牲にした、宿主由来のグリカンに対する亜種インファンティスの異化可能性の一般的なリモデリングと一致する。
【0091】
明らかに、ビフィドバクテリウム属のGOS利用の根底にある遺伝学は、多様であり、かつそれらの様々な消費グリコプロファイル(glycoprofile)において反映される。これらの差次的な表現型が、特異的なイソ酵素、酵素の局在化における予期しない相違、シグナル伝達および制御回路における変動、または他の生理学的パラメータに起因し得るか否かは現在不明である。同様に、ATCC15697のゲノムは、他の2種類の完全に配列決定されたビフィドバクテリウム属の2倍のコピー数のファミリー1溶質結合タンパク質(潜在的にオリゴ糖結合)をコードするため、特異的な輸送体が効率的なGOS利用を促進し得ることが可能である。
【0092】
考察
GOSのMALDI-FTICR分析は明らかに、以前に記載されたものより長いオリゴ糖(DP>8)が検討したGOS混合物に存在することを示した。より高いDPを有するこれらのGOSは、製造業者の主張とは一致せず、GOS分析に以前に使用されたHPLCおよびNMRの技術を上回るFT-ICR質量分析法の優れた感度のためである可能性が高い(Dumortier, V. et al., Carbohydr Res, 201:115-23 (1990); Kimura, K. et al., Carbohydr Res, 270:33-42 (1995); Van Laere, K.M. et al., Appl Environ Microbiol, 66:1379-84 (2000))。一般に、ヒトの健康を促進することを目指すプレバイオティクスの有効性は、その化学構造に強く関連している(Casci, T. et al., Functional food and Biotechnology, pp. 401-434, Ed Taylor and Francis (2007))。GOS構造は高度に可変性であり、かつその合成工程の間に使用される酵素および条件に依存することが公知であり;従って、同一のDPを有するオリゴ糖は8種類までの異性体構造を含有し得る(Dumortier, V. et al., Carbohydr Res, 201:115-23 (1990); Kimura, K. et al., Carbohydr Res, 270:33-42 (1995); Yanahira, S. et al., Biosci Biotechnol Biochem, 59:1021-6 (1995))。(TANDEM)選択オリゴ糖イオンは、赤外多光子解離(IRMPD)タンデムMS法を用いて調べた。
【0093】
全体として、細菌の増殖において観察されたこれらの変動は、pGOSが特異的なビフィドバクテリウム属系統型の発育を差次的な様式において選択的に刺激することを反映する。集合的に、発酵実験後に残存する糖のMALDI-FTICR質量分析法の分析は正確に、ある特定のDPを有するpGOS利用についての種特異的ビフィドバクテリウム属の好みを示した。乳児のGITにおいて遭遇する2種類の優勢な種であるB. ブレヴェおよびB. ロンガム 亜種インファンティスは、多様な範囲のpGOS質量を利用する点においてより有効であり、人乳が進化的な時間に渡ってGOSを提供してきた場所である乳児の腸環境内で潜在的に順応可能な利点をほのめかした。
【0094】
ビフィドバクテリウム属による炭水化物利用についての以前の研究は、個々の株が、グルコース、マンノース、ガラクトース、アラビノース、およびキシロースを含有する単糖類混合物に対して特異的な基質の好みを所有することを見出している(Macfarlane, G.T. et al., Journal of Applied Microbiology, 104:305-44 (2008))。加えて、ガラクトオリゴ糖を含む様々なプレバイオティック基質についての好みは、比較増殖アプローチおよび/または糞便濃縮アプローチにおいて大いに説明されている(Sako, T. et al., Int Dairy J, 9:69-80 (1999); Rabiu, B.A. et al., Appl Environ Microbiol, 67:2526-30 (2001); Perez-Conesa, D. et al., Journal of Food Science, 70:6, M279-85 (2005); Perez-Conesa, D. et al., Journal of Food Science, 71:1, M7-11 (2006); Vernazza, C.L. et al., J Appl Microbiol, 100:846-53 (2006); Depeint, F. et al., Am J Clin Nutr, 87:785-91 (2008))。これまで、特異的なDPを有するGOSの消費は、HPAEC-PADを用いてB. アドレスセンティスの培養物において測定されているだけである(Van Laere, K.M. et al., Appl Environ Microbiol, 66:1379-84 (2000))。しかしながら、より高いDPを有するオリゴ糖に対する検出器(PAD)の応答因子の有意な変動のために、オリゴマーの相対的濃度は正確に測定することができなかった。
【0095】
結論
本研究は初めて、乳児および成人のGITに存在する主要なビフィドバクテリウム属の種の純粋なインビトロ培養において、DP 3〜8を有する精製したガラクトオリゴ糖の真のビフィドバクテリウム属生成作用を示す。本発明者らの結果は、pGOSが様々なビフィドバクテリウム属系統型を選択的に刺激することを示す。
【0096】
加えて、ビフィドバクテリウム属の発酵後にpGOS消費を比較するために、ハイスループット分析法を開発した。選択性もまた示し、選択ビフィドバクテリウム属系統型の濃縮を標的にすることができる機能性食品の合理的な設計および開発のためのpGOSの可能性を強調した。
【0097】
本発明者らの結果は、MALDI-FTICRがGOS混合物内のオリゴ糖種の包括的プロファイリングに有用な手段であり、かつGOSのプレバイオティック作用を迅速に調査するための速度を増強し、他のオリゴ糖、非消化性炭水化物、または任意の他のポリマー系に容易に適用され得ることを示す。
【0098】
本明細書において説明される実施例および態様は例証目的のためだけであること、ならびに、その見地における種々の修飾または変化が当業者に示唆され、かつ本出願の趣旨および範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書において引用されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、すべての目的のために全体として参照により本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラクトオリゴ糖を含む組成物であって、
該ガラクトオリゴ糖の少なくとも45重量%がテトラガラクトオリゴ糖もしくはペンタガラクトオリゴ糖であるか、または該ガラクトオリゴ糖の少なくとも25重量%がテトラガラクトオリゴ糖である、組成物。
【請求項2】
全オリゴ糖の重量に基づいて20重量%未満の二量体ガラクトオリゴ糖を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
全オリゴ糖の重量に基づいて10重量%未満の二量体ガラクトオリゴ糖を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
糖およびオリゴ糖の全固体に基づいて5重量%未満の単量体の糖を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
全オリゴ糖の重量に基づいて5重量%未満の乳糖を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
ラクターゼ酵素を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
食品または栄養補助製品(dietary supplement product)である、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記食品が、乳児用調合乳、フォローアップ用調合乳、および幼児用飲物からなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
前記ガラクトオリゴ糖の10重量%未満が重合度6またはそれ以上を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記ガラクトオリゴ糖の10重量%未満が三量体ガラクトオリゴ糖である、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
前記ガラクトオリゴ糖の30重量%超が三量体ガラクトオリゴ糖である、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
単量体、二量体、および/または三量体の糖を減少させるように混合ガラクトオリゴ糖溶液(GOS)を処理する段階を含む方法により調製された、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
前記単量体、二量体、および/または三量体の糖が、サイズ排除により、または酵素的に、または特定の糖もしくはオリゴ糖の選択的な微生物消費により除去される、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
ビフィドバクテリウム・ブレヴェ(Bifidobacterium breve)またはビフィドバクテリウム・ロンガム bv. インファンティス(Bifidobacterium longum bv. infantis)をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
動物において有益なビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)のミクロフローラを刺激するための方法であって、
少なくとも1つの有益なビフィドバクテリウム属の株による該動物の消化管のコロニー形成を刺激するのに十分な量の請求項1〜14のいずれか一項記載の組成物を、該動物に投与する段階を含む、方法。
【請求項16】
前記株が、ビフィドバクテリウム・ブレヴェまたはビフィドバクテリウム・ロンガム bv. インファンティスの株である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記動物がヒトである、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記動物が非ヒト哺乳動物である、請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記ヒトが5歳未満である、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記ヒトが50歳を超えている、請求項17記載の方法。
【請求項21】
前記ヒトが、炎症性腸症候群、便秘、下痢、大腸炎、クローン病、大腸癌、機能性腸疾患、過敏性腸症候群、および過剰な硫酸還元菌からなる群より選択される状態を有する、請求項17記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−520325(P2012−520325A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554245(P2011−554245)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/027206
【国際公開番号】WO2010/105207
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【出願人】(511221954)ディーエスエム フード スペシャリティーズ ユーエスエー インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】