説明

プレファブ管の接続構造

【課題】プレファブ工法やユニット工法等を用いて配管設備の設置作業を効率的に行なうことが可能となるプレファブ管の接続構造を提供する。
【解決手段】プレファブ管の接続構造は、プレファブ管11,12を接続する接続構造であって、プレファブ管12の一端に取付けられた内側管状部材4と、プレファブ管11の一端に取付けられ、内側管状部材4に突合せ可能な内側管状部材5と、内側管状部材4,5を覆うようにプレファブ管12の一端に設置され、プレファブ管12の周方向に回動可能である外側管状部材7と、内側管状部材4から離れた側の内側管状部材5の端部に設けられ、プレファブ管11の外周面から立ち上がり、局所的に切欠部を有する立壁部5cと、外側管状部材7におけるプレファブ管11側の端部に設けられ、プレファブ管11の軸方向に切欠部を通過可能である一方で、プレファブ管11の軸方向に立壁部5cと係合可能である係合爪7aと、外側管状部材7の内側に設置されるシール部材6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、典型的には建築物内に配設される配管同士を接続する際に使用可能なプレファブ管の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物内には、一般に給水や給湯等を行なうべく水や湯等の流体を流通させることが可能な様々な配管設備が設置される。この配管設備の設計および設置工事は、建築工事の品質および工期を左右する大きな要因となる。ところが、建築物の基礎工事や、鉄骨の組立作業等に工期の大部分が費やされることが多いため、現実には、残された短い期間の中で配管設備の設置工事を行なうことを要求されることが多い。
【0003】
そこで、従来から、短い工期で配管設備の設置工事を行なうべく、プレファブ管やモジュール管と呼ばれる配管同士を接続可能な様々な形状の接続管を作製し、当該プレファブ管等を用いて効率的に配管設備を構築するプレファブ工法やユニット工法等の手法が提案されている。
【0004】
プレファブ工法は、上記のようなプレファブ管やモジュール管を予め工場等の工事現場以外の場所で作製しておき、これらを工事現場に搬入して配管の組立てを行ない、配管設備を設置するものである。他方、ユニット工法は、たとえば対象となる建築物の設計図から作成されたアイソメトリック図や配管製作図に基づいて、工場等の工事現場以外の場所でプレファブ管やモジュール管を用いて配管ユニットを作製し、この配管ユニットを工事現場に搬入して、他の機器と接続したり、配管ユニット同士を接続する等して配管設備を設置するものである。
【0005】
上記のプレファブ工法やユニット工法等においても、配管同士は何らかの手法で接続されることとなるが、配管同士の接続手法としては、たとえば特開平9−229260号公報等に記載の手法がある。
【特許文献1】特開平9−229260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような従来のプレファブ工法やユニット工法等を採用して配管設備の設置を行なう際には、配管ユニットを他の機器等と接続したり、プレファブ管やモジュール管を取り付けたりする際に、管同士を正確に位置合わせした状態で保持し、この状態でフランジ等に形成された貫通孔にボルトを通してナットで固定する必要がある。このため、配管の取付けが完了するまでの間、管を保持する作業者と、ボルト締めを行なう作業者とを要し、多くの作業者が必要となるばかりでなく、管を保持しながらボルト締めを行なう必要があり作業効率も低下する。特に、管同士が正確に位置合せされていなければ、フランジ等に形成された貫通孔にボルトを通すことができない場合もあり、このような場合には管同士を固定するのに多大の時間を要することとなる。
【0007】
また、配管作業は、配管図面に従った管形状、管の姿勢を保持した状態での接続・取外しが必要とされる。従来の接続・取外し作業では、継手に管を差し込み、管側を回転して接続するため、異形管と異形管との接続・取外しでは管の姿勢と方向を保てない場合がある。
【0008】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、プレファブ工
法やユニット工法等を用いて配管設備の形状・姿勢を保持しながら、その設置および取外し作業を効率的に行なうことが可能となるプレファブ管の接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るプレファブ管の接続構造は、第1プレファブ管と第2プレファブ管とを接続するプレファブ管の接続構造であって、第1プレファブ管の一端に取付けられた第1内側管状部材と、第2プレファブ管の一端に取付けられ、第1内側管状部材に突合せ可能な第2内側管状部材と、第1と第2内側管状部材を覆うように第1プレファブ管の一端に設置され、第1プレファブ管の周方向に回動可能である外側管状部材と、第1内側管状部材から離れた側の第2内側管状部材の端部に設けられ、第2プレファブ管の外周面から立ち上がり、局所的に切欠部を有する立壁部と、外側管状部材における第2プレファブ管側の端部に設けられ、第1プレファブ管の軸方向に切欠部を通過可能である一方で、第1プレファブ管の軸方向に立壁部と係合可能である係合爪と、外側管状部材の内側に設置されるシール部材とを備える。そして、第2内側管状部材の立壁部における切欠部と、外側管状部材の係合爪とを位置合わせして外側管状部材内に第2内側管状部材を挿入し、第2内側管状部材と第1内側管状部材とを突合せた状態で外側管状部材を第1プレファブ管の周方向に回動操作することで立壁部と係合爪とを第1プレファブ管の軸方向に係合させ、第1プレファブ管と第2プレファブ管とを固定する。
【0010】
上記第1内側管状部材から離れた側の立壁部の端面に、第2プレファブ管の周方向に傾斜し、外側管状部材の回動操作により第2内側管状部材から第1内側管状部材側への押圧力を変化させることが可能な傾斜面を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るプレファブ管の接続構造によれば、一方のプレファブ管の端部に設けた管状部材を他方のプレファブ管の端部に設けた外側管状部材内に挿入した状態で、外側管状部材を回動操作するだけでプレファブ管同士を接続することができるので、プレファブ工法やユニット工法等を用いて配管設備の形状・姿勢を保持しながら、その設置および取外し作業を効率的に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図1〜図6を用いて、本発明の実施の形態について説明する。以下の各実施の形態において説明するプレファブ管の接続構造は、前述のプレファブ工法やユニット工法等に適用されるものであり、特に建築物内に設置され水や湯等の流体を移送する配管設備を設置する際に有用である。
【0013】
図1と図2は、本発明の実施の形態におけるプレファブ管の接続構造10を含む配管構造1の形状例を示す部分断面側面図である。
【0014】
図1に示す配管構造1は、プレファブ管11,12と、このプレファブ管11,12の接続構造10とを備える。プレファブ管11は、図1の例では、溶接部2を介して直管やエルボー管等の複数の配管を接合することにより作製されている。他方、プレファブ管12は、主に直管を用いて作製される。このように複数の管を接続することでプレファブ管を構成してもよいが、プレファブ管を単一の管で構成してもよい。図2の例では、プレファブ管11は複数の枝管3を有し、この枝管3にプレファブ管12を接続している。
【0015】
なお、図1や図2に示す配管構成以外の様々な形態の配管構成に対し下記の各実施の形態の接続構造を適用することができる。たとえば、複数のプレファブ管を接続してモジュール化し、プレファブ管を用いて当該配管モジュール同士、あるいは配管モジュールとプ
レファブ管とを接続する際に、各実施の形態のプレファブ管の接続構造を適用することが考えられる。また、複数のプレファブ管を接続して配管ユニットを作製し、モジュール管を用いて配管ユニット同士、配管ユニットと各種機器、または、配管ユニット化する上でモジュール管もしくはプレファブ管とを接続する場合にも各実施の形態のプレファブ管の接続構造を適用することができる。
【0016】
(実施の形態1)
図3は、本発明の実施の形態1におけるプレファブ管11,12の接続構造10の部分断面側面図であり、図4は、該接続構造10の正面図である。
【0017】
図3に示すように、プレファブ管12(第1プレファブ管)は、一方の端部に内側管状部材(第1内側管状部材)4を有する。図3の例では、内側管状部材4は、直管状であり、プレファブ管12の軸方向における長さが比較的長く、プレファブ管12の管本体の端部に、該管本体よりも外径は大きいものの内径はほぼ等しい管状部材を溶接することで取付けられている。内側管状部材4は、プレファブ管12の管本体より厚みの大きい部分を有する。
【0018】
また、内側管状部材4の外周面に、複数のリブ4bを設け、該リブ4b間に後述するシール部材6を収納可能なシール部材収納室(収納凹部)4aを設ける。リブ4bは、内側管状部材4の外周の全周にわたって形成されており、その結果、環状のシール部材収納室4aが形成される。このシール部材収納室4aには、図3に示すように、シール部材6が嵌着される。シール部材6としては、たとえばOリングを採用することができる。
【0019】
プレファブ管11(第2プレファブ管)も、一方の端部に内側管状部材(第2内側管状部材)5を有する。この内側管状部材5も、直管状であり、プレファブ管12の軸方向における長さが内側管状部材4と同等であり、内側管状部材4に突合せ可能である。また、内側管状部材5も、プレファブ管11の管本体の端部に、該管本体よりも外径は大きいものの内径はほぼ等しい管状部材を溶接することで取付けられている。この内側管状部材5も、プレファブ管11の管本体より厚みの大きい部分を有する。
【0020】
該内側管状部材5の外周面にも、複数のリブ5bを設け、該リブ5b間にシール部材6を収納可能なシール部材収納室5aを設ける。リブ5bも、内側管状部材5の外周の全周にわたって形成されており、その結果、環状のシール部材収納室5aが形成される。このシール部材収納室5aにも、図3に示すように、シール部材6が嵌着される。シール部材6としては、たとえばOリングを採用することができる。
【0021】
図3に示すように、内側管状部材4の軸方向端面は、内側管状部材5の軸方向端面と当接可能であるが、各管状部材4,5の厚みを大きくし(各管状部材4,5の開口端側に位置するリブ4b,5bの高さを高くする)、上記端面間にシール部材を設置する等することで、シール長を長くすることができる。これに加え、プレファブ管11、12の軸方向に並ぶように複数のシール部材6を設置することにより、シール長をさらに長くすることができる。それにより、シール性を向上することができる。また、比較的厚みの大きい管状部材を突き合わせた状態でプレファブ管同士を接続しているので、プレファブ管の接続部の剛性を高めることができ、プレファブ管の接続部の信頼性をも向上することができる。
【0022】
なお、図3の例では、内側管状部材4,5にプレファブ管11、12の軸方向に並ぶ2つのシール部材収納室4a、5aを設け、該シール部材収納室4a、5a内にそれぞれシール部材6を設置した場合を例示しているが、シール部材収納室4a、5aおよびシール部材6の数は、単数でも複数でもよく、任意に設定可能である。
【0023】
また、図3および図4に示すように、内側管状部材5は、内側管状部材4から離れた側の端部に立壁部5cを有する。この立壁部5cは、プレファブ管11の外周面から立ち上がり、プレファブ管11の全周にわたって設けられる。また、立壁部5cは、図4に示すように局所的に切欠部5dを有する。切欠部5dは、後述する外側管状部材7の係合爪7aの通過を許容する空隙部である。図4の例では、切欠部5dは、互いに対向するように立壁部5cの2箇所に設けられているが、切欠部5dの数は、単数でも複数でもよい。また、係合爪7aの通過を容易に行なえるように、プレファブ管11の周方向における切欠部5dの長さを、プレファブ管11の周方向における係合爪7aの長さよりも長くすることが好ましい。
【0024】
プレファブ管12の一端には、内側管状部材4,5を覆うように外側管状部材7を設置する。この外側管状部材7は、プレファブ管12の周方向に回動可能であり、プレファブ管11側の端部に係合爪7aと、プレファブ管12側の端部に係合部7bとを有する。
【0025】
係合爪7aは、プレファブ管12の軸方向に切欠部5dを通過可能である一方で、プレファブ管11の軸方向に立壁部5cと係合可能でもある。外側管状部材7をプレファブ管12の周方向に回動して係合爪7aと切欠部5dと位置合わせすれば、切欠部5dを通過させることができ、プレファブ管11の内側管状部材5をプレファブ管12の外側管状部材7内に挿入することができる。他方、この挿入後に、外側管状部材7をプレファブ管12の周方向に回動して係合爪7aと切欠部5dとの位置合わせを解除すれば、係合爪7aと立壁部5cとをプレファブ管11の軸方向に係合させるこができる。
【0026】
外側管状部材7は、プレファブ管12側の端部に係合部7bを有しているが、この係合部7bがプレファブ管12の軸方向に内側管状部材4と係合するので、上記のように外側管状部材7をプレファブ管12の周方向に回動して係合爪7aと立壁部5cとを係合させることにより、外側管状部材7で内側管状部材4と内側管状部材5とを連結して一体化することができる。それにより、結果としてプレファブ管11とプレファブ管12とを固定することができる。
【0027】
次に、本実施の形態1のプレファブ管の接続方法について説明する。
まず、プレファブ管11,12を、建築物内における工事現場とは異なる工場等で予め作製し、工事現場に搬入する。そして、外側管状部材7をプレファブ管12の周方向に回動操作して係合爪7aを切欠部5dと位置合わせする。この状態でプレファブ管11をプレファブ管12側に押圧し、係合爪7aに切欠部5dを通過させる。それにより、プレファブ管11の内側管状部材5をプレファブ管12の外側管状部材7内に挿入することができる。その後係合爪7aと立壁部5cとが重なるように、再び外側管状部材7をプレファブ管12の周方向に回動操作して、プレファブ管12の軸方向に係合爪7aと立壁部5cとを係合させる。それにより、外側管状部材7で内側管状部材4と内側管状部材5とを連結して一体化することができ、結果的にプレファブ管11とプレファブ管12とを固定することができる。
【0028】
上記のように、外側管状部材を回動操作して一方のプレファブ管の端部に取付けられた内側管状部材を他方のプレファブ管の端部に取付けられた外側管状部材内に挿入し、この状態で外側管状部材を再び回動操作するだけでプレファブ管同士を接続することができるので、プレファブ工法やユニット工法等を用いて配管設備の形状・姿勢を保持しながら、その設置および取外し作業を効率的に行なうことができる。
【0029】
(実施の形態2)
次に、図5と図6を用いて、本発明の実施の形態2について説明する。図5は、本実施
の形態2におけるプレファブ管の接続構造10を示す部分断面側面図であり、図6は、該プレファブ管の接続構造10の正面図である。
【0030】
図5に示すように、プレファブ管12は、一方の端部に内側管状部材4を有する。図5の例では、内側管状部材4は、実施の形態1の場合と比較するとプレファブ管12の軸方向における長さが短く、プレファブ管12の径方向における内側管状部材4の厚みがプレファブ管12の厚みよりも大きく、プレファブ管12の外周から外方に突出するようにプレファブ管12と接合される。この内側管状部材4も、実施の形態1と同様に、プレファブ管12の管本体の端部に環状部材を溶接することで取付けられている。
【0031】
プレファブ管11も、一方の端部に内側管状部材5を有する。この内側管状部材5も、環状であり、内側管状部材4に突合せ可能である。また、内側管状部材5も、実施の形態1の場合と比較するとプレファブ管11の軸方向における長さが短く、プレファブ管11の径方向における内側管状部材4の厚みがプレファブ管11の厚みより大きく、プレファブ管11の外周から外方に突出するようにプレファブ管11に溶接される。
【0032】
内側管状部材5においてプレファブ管11から離れた側の軸方向端面に凹部を設ける。この凹部がシール部材6を収納可能なシール部材収納室5aとなる。シール部材収納室5aは、内側管状部材5の周方向の全周にわたって形成されており、その結果、環状のシール部材収納室5aが形成される。このシール部材収納室5aに、Oリング等の環状のシール部材6を嵌着する。
【0033】
本実施の形態では、各プレファブ管の端部に、プレファブ管の径方向における厚みの大きい内側管状部材を固着し、各内側管状部材の軸方向端面を当接可能としているので、プレファブ管の径方向におけるシール長を長くすることができる。また、内側管状部材5は、後述する外側管状部材7を用いて内側管状部材4側に押圧可能である。
【0034】
上記のように、内側管状部材間のシール長を長く確保し、かつ一方の内側管状部材を他方の内側管状部材に対し押圧可能とすることにより、内側管状部材間のシール性を向上することができる。また、比較的厚みの大きい管状部材同士を突き合わせた状態でプレファブ管同士を接続しているので、プレファブ管の接続部の剛性を高めることができ、プレファブ管の接続部の信頼性をも向上することができる。
【0035】
なお、図5の例では、内側管状部材5側にシール部材収納室5aを設けた場合を例示しているが、内側管状部材4側にシール部材収納室を設けてもよい。また、シール部材収納室およびシール部材を複数設けてもよい。
【0036】
また、図5および図6に示すように、内側管状部材5は、内側管状部材4から離れた側の端部に立壁部5cを有する。この立壁部5cは、プレファブ管11の外周面から立ち上がり、プレファブ管11の全周にわたって設けられる。
【0037】
また、立壁部5cは、図6に示すように局所的に切欠部5dを有する。切欠部5dは、後述する外側管状部材7の係合爪7aの通過を許容する空隙部である。図6の例では、プレファブ管11の周方向に90度程度ずれた位置に4つの切欠部5dを設けているが、切欠部5dの数は、単数でも複数でもよい。また、係合爪7aの通過を容易に行なえるように、プレファブ管11の周方向における切欠部5dの長さは、プレファブ管11の周方向における係合爪7aの長さよりも長くなっている。
【0038】
プレファブ管12の一端には、内側管状部材4,5を覆うように外側管状部材7を設置する。この外側管状部材7は、プレファブ管12の周方向に回動可能であり、プレファブ
管11側の端部に係合爪7aと、プレファブ管12側の端部に係合部7bとを有する。
【0039】
係合爪7aは、プレファブ管12の軸方向に切欠部5dを通過可能である一方で、プレファブ管11の軸方向に立壁部5cと係合可能でもある。外側管状部材7をプレファブ管12の周方向に回動して係合爪7aと切欠部5dと位置合わせすれば、切欠部5dを通過させてプレファブ管11の内側管状部材5をプレファブ管12の外側管状部材7内に挿入することができる。この挿入後に、外側管状部材7をプレファブ管12の周方向に回動して係合爪7aと切欠部5dとの位置合わせを解除すれば、係合爪7aと立壁部5cとをプレファブ管11の軸方向に係合させるこができる。
【0040】
外側管状部材7は、プレファブ管12側の端部に係合部7bとを有しているが、この係合部7bがプレファブ管12の軸方向に内側管状部材4と係合する。よって、外側管状部材7をプレファブ管12の周方向に回動して係合爪7aと立壁部5cとをプレファブ管11の軸方向に係合させることにより、外側管状部材7で内側管状部材4と内側管状部材5とを連結して一体化することができる。それにより、結果としてプレファブ管11とプレファブ管12とを固定することができる。
【0041】
図5に示すように、内側管状部材4から離れた側の立壁部5cの端面(軸方向端面)には、プレファブ管11の周方向に傾斜し、外側管状部材7の回動操作により内側管状部材5から内側管状部材4側への押圧力を変化させることが可能な傾斜面5eを設けている。この傾斜面5eは、係合爪7aにより押圧可能となるように立壁部5cの軸方向端面の周縁部近傍であって切欠部5d間に設けられる。より詳しくは、傾斜面5eは、プレファブ管11の周方向における立壁部5cの端部でプレファブ管11の軸方向における高さが最も高くなり、該端部から離れるにつれて当該高さが徐々に低くなるように設けられる。なお、この傾斜面5eを実施の形態1の内側管状部材5に設けるようにしてもよい。
【0042】
図5および図6に示すように、外側管状部材7に、該外側管状部材7を回動操作可能となるような操作用孔8を設けることが好ましい。この操作用孔8に治具を挿入し、この治具を用いて外側管状部材7を回動操作することにより、容易に外側管状部材7を回動操作することができる。なお、容易に外側管状部材7を回動操作できるものであれば、外側管状部材7の外周面に操作用の凸部を設けるなど操作用孔8以外の構成を採用することも可能である。当該構成についても、実施の形態1の外側管状部材7に適用可能である。
【0043】
次に、本実施の形態1のプレファブ管の接続方法について説明する。
まず、プレファブ管11,12を、建築物内における工事現場とは異なる工場等で予め作製し、工事現場に搬入する。そして、外側管状部材7をプレファブ管12の周方向に回動操作して係合爪7aを切欠部5dと位置合わせする。この状態でプレファブ管11をプレファブ管12側に押圧し、係合爪7aに切欠部5dを通過させる。それにより、プレファブ管11の内側管状部材5をプレファブ管12の外側管状部材7内に挿入することができる。その後係合爪7aと立壁部5cとが重なるように、再び外側管状部材7をプレファブ管12の周方向に回動操作して、プレファブ管12の軸方向に係合爪7aと立壁部5cとを係合させる。それにより、外側管状部材7で内側管状部材4と内側管状部材5とを連結して一体化することができ、結果的にプレファブ管11とプレファブ管12とを固定することができる。
【0044】
上記のように、外側管状部材を回動操作して一方のプレファブ管の端部に取付けられた管状部材を他方のプレファブ管の端部に取付けられた外側管状部材内に挿入し、この状態で外側管状部材を再び回動操作するだけでプレファブ管同士を接続することができるので、プレファブ工法やユニット工法等を用いて配管設備の形状・姿勢を保持しながら、その設置および取外し作業を効率的に行なうことができる。
【0045】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、各実施の形態の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
【0046】
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態におけるプレファブ管の接続構造を備えた配管構造の一例を示す部分断面側面図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるプレファブ管の接続構造を備えた配管構造の他の例を示す部分断面側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるプレファブ管の接続構造の部分断面側面図である。
【図4】図3に示す配管接続構造の正面図である。
【図5】本発明の実施の形態2におけるプレファブ管の接続構造の部分断面側面図である。
【図6】図5に示す配管接続構造の正面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 配管構造、2 溶接部、3 枝管、4,5 内側管状部材、4a,5a シール部材収納室、4b,5b リブ、5c 立壁部、5d 切欠部、5e 傾斜面、6 シール部材、7 外側管状部材、7a 係合爪、7b 係合部、8 操作用孔、11,12 プレファブ管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プレファブ管と第2プレファブ管とを接続するプレファブ管の接続構造であって、
前記第1プレファブ管の一端に取付けられた第1内側管状部材と、
前記第2プレファブ管の一端に取付けられ、前記第1内側管状部材に突合せ可能な第2内側管状部材と、
前記第1と第2内側管状部材を覆うように前記第1プレファブ管の一端に設置され、前記第1プレファブ管の周方向に回動可能である外側管状部材と、
前記第1内側管状部材から離れた側の前記第2内側管状部材の端部に設けられ、前記第2プレファブ管の外周面から立ち上がり、局所的に切欠部を有する立壁部と、
前記外側管状部材における前記第2プレファブ管側の端部に設けられ、前記第1プレファブ管の軸方向に前記切欠部を通過可能である一方で、前記第1プレファブ管の軸方向に前記立壁部と係合可能である係合爪と、
前記外側管状部材の内側に設置されるシール部材とを備え、
前記第2内側管状部材の前記立壁部における切欠部と、前記外側管状部材の前記係合爪とを位置合わせして前記外側管状部材内に前記第2内側管状部材を挿入し、前記第2内側管状部材と前記第1内側管状部材とを突合せた状態で前記外側管状部材を前記第1プレファブ管の周方向に回動操作することで前記立壁部と前記係合爪とを前記第1プレファブ管の軸方向に係合させ、前記第1プレファブ管と前記第2プレファブ管とを固定するようにした、プレファブ管の接続構造。
【請求項2】
前記第1内側管状部材から離れた側の前記立壁部の端面に、前記第2プレファブ管の周方向に傾斜し、前記外側管状部材の回動操作により前記第2内側管状部材から前記第1内側管状部材側への押圧力を変化させることが可能な傾斜面を設けた、請求項1に記載のプレファブ管の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−205413(P2007−205413A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23037(P2006−23037)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000148726)株式会社多久製作所 (8)
【Fターム(参考)】