説明

プレミックス

【課題】イースト発酵ありのタイプとイースト発酵なしのタイプのいずれのタイプのドーナツの製造に用いても良好な品質のドーナツを得ることのできるプレミックス、該プレミックスを用いるドーナツ生地、または該生地を用いるドーナツの製造方法を提供する。
【解決手段】穀物粉、膨張剤および増粘剤を含有するプレミックスであって、膨張剤の含有量が5〜10重量%であり、増粘剤の含有量が0.2〜1重量%であり、かつアンモニウム塩の含有量が0.03重量%未満であることを特徴とするプレミックス、また、ドーナツ生地またはドーナツ製造においての該プレミックスの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレミックス、ドーナツ生地、ドーナツおよびドーナツの製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドーナツには様々な種類があるが、製造時に酵母(以下、イーストという)を用いてイースト発酵させる工程を含むドーナツ(以下、イースト発酵ありのタイプのドーナツということもある)とイースト発酵させる工程を含まないドーナツ(以下、イースト発酵なしのタイプのドーナツということもある)とに大別される。イースト発酵は、ドーナツにボリュームを与えるために行われるが、イースト発酵なしのタイプのドーナツでは、イースト発酵の代わりにボリュームを与えるために膨張剤等が使用される。
【0003】
イースト発酵ありのタイプのドーナツとしては、例えばイーストドーナツ、デニッシュドーナツ等があげられ、イースト発酵なしのタイプのドーナツとしては、例えばケーキドーナツがあげられる。
これらのドーナツの製造には、ドーナツの製造に最適となる量の穀物粉、膨張剤、増粘剤等を含有することを特徴とし、さらに必要に応じて糖、油脂、脱脂粉乳等が配合されているプレミックスであるドーナツミックスが使用されることが多い。
【0004】
ドーナツが製造時のイースト発酵の有無で大別されるように、ドーナツミックスも、イースト発酵ありのタイプのドーナツ用のものとイースト発酵なしのタイプのドーナツ用のものとに大別される。
イースト発酵ありのタイプのドーナツ用のドーナツミックスには、少なくとも穀物粉、膨脹剤および増粘剤が配合されるが、通常、イースト発酵を効率よく行わせるため、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、焼成カルシウム、グルコン酸カリウムおよびグルコン酸ナトリウムから選ばれる物質を含有する組成物であるイーストフードも配合される。
【0005】
しかし、イーストフードの配合されているドーナツミックスを、イースト発酵なしのタイプのドーナツの製造に使用すると、イーストフード中の成分の影響により外観が悪く、風味の好ましくないドーナツとなってしまう。
イースト発酵なしのタイプのドーナツ用のドーナツミックスには通常、増粘剤およびイーストフードは含まれず、かわりに膨張剤が高濃度含まれるが、このタイプのドーナツミックスをイースト発酵ありのタイプのドーナツの製造に使用すると、膨張剤の量が多すぎるために良好なドーナツが得られない。
【0006】
このように、ドーナツミックスは、配合されている原料の種類やその配合量が目的とするドーナツの種類により異なっており、従来、イースト発酵ありのタイプのドーナツとイースト発酵なしのタイプのドーナツのいずれも良好に製造できる、いわゆる汎用タイプのドーナツミックスはなかった。
ドーナツミックスの改良としては、ドーナツミックスを用いて製造したドーナツの食感の改良(特許文献1および2参照)、ドーナツミックスを用いて製造したドーナツの砂糖によるベタツキの防止(特許文献3参照)等が行われているが、いずれも上記の汎用タイプのドーナツミックスを提供するものではない。
【特許文献1】特開平6−38669号公報
【特許文献2】特開平8−228664号公報
【特許文献3】特開2004−357604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、イースト発酵ありのタイプとイースト発酵なしのタイプのいずれのタイプのドーナツの製造に用いても良好な品質のドーナツを得ることのできるプレミックス、該プレミックスを用いるドーナツ生地、または該生地を用いるドーナツの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の(1)〜(7)に関する。
(1) 穀物粉、膨張剤および増粘剤を含有するプレミックスであって、膨張剤の含有量が5〜10重量%であり、増粘剤の含有量が0.2〜1重量%であり、かつアンモニウム塩の含有量が0.03重量%未満であることを特徴とするプレミックス。
(2) グルコースオキシダーゼ、ヘミセルラーゼ、アミラーゼおよびリパーゼからなる群より選ばれる酵素を含有する、上記(1)のプレミックス。
(3) 上記(1)または(2)のプレミックスを添加してなるドーナツ生地。
【0009】
(4) 上記(1)または(2)のプレミックスに穀物粉を加える工程を含むドーナツ生地の製造方法。
(5) 穀物粉の添加量がプレミックス1重量部に対して1〜4重量部である、上記(4)の製造方法。
(6) 上記(3)のドーナツ生地または上記(4)もしくは(5)の方法により得られるドーナツ生地を用いることを特徴とするドーナツの製造法。
(7) 上記(6)の方法により得られるドーナツ。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、イースト発酵ありのタイプとイースト発酵なしのタイプのいずれのタイプのドーナツの製造に用いても良好な品質のドーナツを得ることのできるプレミックス、該プレミックスを用いるドーナツ生地、または該生地を用いるドーナツの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のプレミックスは、少なくとも小麦粉、米粉、ライ麦粉等の穀物粉、5〜10重量%、好ましくは5〜8重量%の膨張剤および0.2〜1重量%、好ましくは0.2〜0.7重量%の増粘剤を含有し、アンモニウム塩の含有量が0.03重量%未満、好ましくは0.01重量%未満である組成物であればよいが、その他の原料としてグルコースオキシダーゼ、ヘミセルラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アミラーゼ、リパーゼ等の酵素が含有されている組成物であることが好ましく、さらにグラニュー糖、グルコース等の糖類およびショートニング等の油脂が含有されている組成物であることが好ましい。さらに脱脂粉乳、大豆粉、小麦グルテン等の植物性蛋白質、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩、乳化剤、着色料、アスコルビン酸等のビタミン、等が含有されていてもよい。
【0012】
穀物粉の含有量は、膨張剤、増粘剤および必要に応じて含有されるその他の原料の含有量に応じて適宜設定すればよいが、10〜94.8重量%、好ましくは10〜50重量%である。
なお、穀物粉として小麦粉を用いる場合、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉のいずれを用いてもよいが、薄力粉が好ましく用いられる。
本発明のプレミックス中、アンモニウム塩の含有量は0.03重量%未満、好ましくは0.01重量%未満であればよいが、含まれていないことがさらに好ましい。
【0013】
アンモニウム塩としては、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウムおよびリン酸二水素アンモニウム等があげられる。
膨張剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩または炭酸水素塩から発生する二酸化炭素により加工食品を膨脹させる膨脹剤が好ましく用いられる。例えば、炭酸塩または炭酸水素塩、好ましくは炭酸水素ナトリウムを含有し、必要に応じて酒石酸、クエン酸、第1リン酸カルシウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸カルシウム、グルコノデルタラクトン、ミョウバン等の酸性剤、デンプン、小麦粉等の倍散剤等を含有する組成物があげられる。
【0014】
増粘剤としては、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、タマリンドシードガム、ペクチン等があげられ、グアーガムが好ましく用いられる。
酵素としては、上記のとおり、グルコースオキシダーゼ、ヘミセルラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アミラーゼ、リパーゼ等があげられるが、グルコースオキシダーゼまたはヘミセルラーゼが好ましく用いられる。
【0015】
グルコースオキシダーゼとしては、β-D-グルコースを基質とし、D-グルコン酸および過酸化水素を生成する活性を有するものであれば、いずれのものであってもよい。
グルコースオキシダーゼを本発明のプレミックスに含有させる場合は、本発明のプレミックス1kgあたり、20〜100ユニット(U)含有させることが好ましく、40〜80ユニット(U)含有させることがさらに好ましい。
【0016】
ヘミセルラーゼとしては、ヘミセルロースを分解する活性を有するものであれば、いずれを用いてもよい。
ヘミセルラーゼを本発明のプレミックスに含有させる場合は、本発明のプレミックス1kgあたり、100〜500ユニット(U)含有させることが好ましく、200〜300ユニット(U)含有させることがさらに好ましい。
【0017】
アミラーゼとしては、デンプンのα−1,4−グリコシド結合を加水分解する活性を有するものであればいずれでもよく、α―アミラーゼ、β―アミラーゼ、グルコアミラーゼ、イソアミラーゼ等があげられるが、α―アミラーゼまたはグルコアミラーゼが好ましく用いられる。
アミラーゼを本発明のプレミックスに含有させる場合は、本発明のプレミックス1kgあたり、200〜1000ユニット(U)含有させることが好ましく、400〜800ユニット(U)含有させることがさらに好ましい。
【0018】
リパーゼとしては、トリアシルグリセロールをグリセロールと脂肪酸とに加水分解する活性を有するものであれば、いずれのものであってもよい。
リパーゼを本発明のプレミックスに含有させる場合は、本発明のプレミックス1kgあたり、10〜50ユニット(U)含有させることが好ましく、20〜40ユニット(U)含有させることがさらに好ましい。
【0019】
酵素は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
また、糖類、油脂、脱脂粉乳、大豆粉、小麦グルテン等の植物性蛋白質、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩、乳化剤、着色料、アスコルビン酸等のビタミン、等を含有させる場合、これらの含有量は特に限定されないが、例えば、糖類の含有量は10〜50重量%が好ましく、油脂の含有量は1〜5重量%が好ましい。
【0020】
本発明のプレミックスは、上記の含有量となるように穀物粉、膨張剤および増粘剤、必要に応じてその他の成分を混合することにより製造することができる。
本発明のプレミックスは、ドーナツ用のプレミックスとして好適に用いられる。
本発明のプレミックス1重量部に対して1〜4重量部、好ましくは2〜4重量部、さらに好ましくは2〜3重量部の穀物粉、水および必要に応じてその他の原料を加えて混捏することによりドーナツ生地を製造することができる。
【0021】
穀物粉としては、小麦粉、米粉、ライ麦粉等があげられるが、小麦粉が好ましく用いられる。小麦粉としては、強力粉、準強力粉、中力粉および薄力粉のいずれも用いることができるが、例えばイーストドーナツ用の生地を調製する場合は、準強力粉が好ましく用いられ、デニッシュドーナツ用の生地を調製する場合は強力粉が好ましく用いられ、ケーキドーナツ用の生地を調製する場合は、薄力粉が好ましく用いられる。
【0022】
その他の原料としては、油脂、卵(全卵)、イースト、糖類、乳製品、酵素類、乳化剤、乳化物等があげられる。イースト発酵ありのタイプのドーナツ用の生地を調製する場合は、イーストを用いる。
イーストとしては、通常パンの製造に使用されるサッカロマイセス・セルビシェ等のイーストがあげられる。
【0023】
また、必要に応じて、さらに膨張剤または増粘剤を用いてもよい。
ドーナツ生地の製造方法としては、例えば、穀物粉、水および必要に応じてその他の原料に本発明のプレミックスを添加して混捏する方法、穀物粉、水および必要に応じてその他の原料を混捏しているところに本発明のプレミックスを添加して混捏する方法があげられる。その他の原料中にイーストが含まれる場合は、本発明のプレミックス以外の原料の一部(イーストを含む)を用いて中種を作製し、中種を発酵させた後に本発明のプレミックスを含む残りの原料を合わせる方法を用いてもよい。
【0024】
得られたドーナツ生地に、必要に応じて油脂を折り込んだ後、分割、成型し、必要に応じてホイロし、フライすることによりドーナツを製造することができる。
以下、ドーナツの製造方法の例として、イーストドーナツ、デニッシュドーナツおよびケーキドーナツの製造方法を示す。
(1)イーストドーナツ
本発明のプレミックス、穀物粉、イースト、水、および必要に応じて全卵、油脂等をミキサーに入れ、混捏し、ドーナツ生地を調製する。該ドーナツ生地を1次発酵(25〜30℃)させ、分割し、成形し、ホイロ(35〜40℃)した後、フライ(170〜180℃)してイーストドーナツを製造する。
【0025】
(2)デニッシュドーナツ
本発明のプレミックス、穀物粉、水、イースト、および必要に応じて全卵、油脂等をミキサーに入れ、混捏し、ドーナツ生地を調製する。該ドーナツ生地を1次発酵(25〜30℃)させ、分割し、冷却する。油脂を折り込み、成形し、ホイロ(32〜38℃)し、フライ(170〜180℃)してデニッシュドーナツを製造する。
(3)ケーキドーナツ
本発明のプレミックス、穀物粉、水、および必要に応じて砂糖、全卵、油脂等をミキサーに入れ、混捏し、ドーナツ生地を調製する。フロアタイムをとった後、分割し、成形し、フライ(170〜180℃)してケーキドーナツを製造する。
【0026】
以下に本発明の実施例を示す。
【実施例1】
【0027】
第1表に記載の原料を、該表に記載の含有量となるように混合し、プレミックス(アンモニウム塩を含有しない)を製造した。
なお、膨張剤としては、炭酸水素ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、リン酸二水素カルシウムおよびコーンスターチを含有する一剤式膨張剤を用いた。
【0028】
【表1】

【実施例2】
【0029】
実施例1で得たプレミックス300g、小麦粉(500gの強力粉および200gの薄力粉)、50gのショートニング、50gの全卵、30gのイースト〔ダイヤイースト(協和発酵フーズ社製)〕および420gの水を容器に入れ、捏ね上げ温度が28℃となるよう、パンミキサーを用いて低速で3分間、中低速で7分間、中高速で7分間混捏した。
得られた生地を28℃で40分間一次発酵させた後、50gの塊をとり、球状に丸めた。丸めた生地を20〜25℃で20分間静置し、ガス抜きして生地を棒状に伸ばし、リング型に成型した。
【0030】
成型した生地を38℃、相対湿度75%で60分間二次発酵(ホイロ)させた。この生地を20〜25℃で5分間放置した後、180℃で2分間フライしてイーストドーナツを得た。
また、実施例1で得たプレミックス300g、小麦粉(500gの強力粉および200gの薄力粉)、40gのショートニング、100gの全卵、40gのイースト〔ダイヤイーストFRZ(協和発酵フーズ社製)〕および400gの水を容器に入れ、捏ね上げ温度が26℃となるよう、パンミキサーを用いて低速で3分間、中低速で7分間、中高速で4分間ミキシングした。
【0031】
得られた生地を28℃で20分間一次発酵させた後、1000gの塊をとり、丸めた。丸めた生地を-18℃で60分間冷却した後、3つ折りを1回と、4つ折りを1回行い、油脂が12層となるように、折込油脂〔発酵シートマーガリン(明治乳業社製)〕200gを折り込んだ。得られた生地を厚さが8mmとなるように伸ばし、70gずつ短冊状にカットした。得られた生地断片を編んで8の字型に成型した。
【0032】
成型した生地を33℃、相対湿度75%で80分間二次発酵(ホイロ)させた。この生地を20〜25℃で5分間放置した後、175℃で3分間フライしてデニッシュドーナツを得た。
また、実施例1で得たプレミックス300g、700gの薄力粉、160gの砂糖、70gのショートニング、120gの全卵および210gの水を容器に入れ、捏ね上げ温度が20℃となるよう、パンミキサーを用いて低速で4分間ミキシングした。
【0033】
得られた生地を20〜25℃で15分間静置した後、生地をシート状に伸ばして、3つ折りを2回行った。得られた生地を厚さが1cmとなるように伸ばして40gずつ短冊状にカットし、成型した。
成型した生地を180℃で3分間フライしてベンチカットタイプのケーキドーナツを得た。
また、実施例1で得たプレミックス300g、700gの薄力粉、160gの砂糖、70gのショートニング、120gの全卵および450gの水を容器に入れ、捏ね上げ温度が20℃となるよう、菓子用ミキサーで、低速で2分間ミキシングした。
【0034】
得られた生地を20〜25℃で15分間静置した後、ハンドデポジッターを用いて、40gのリング状の生地を調製し、180℃で3分間フライして、プランジャータイプのケーキドーナツを得た。
【実施例3】
【0035】
実施例1におけるプレミックスの製造において、膨張剤の含有量を2、5、10および15重量%とし、小麦粉(薄力粉)の含有量を、それぞれ27.7、24.7、19.7および14.7重量%とする以外は同様の方法でプレミックスを製造した。得られたプレミックスを用いて、実施例2に記載の方法で、イーストドーナツ、デニッシュドーナツおよびケーキドーナツ(ベンチカットタイプおよびプランジャータイプ)を製造した。
【0036】
得られた各ドーナツの食感および外観について、7人のパネラーによって評価した。
なお、食感の評価は、歯切れおよび口溶けの総合評価であり、以下の基準で評価した。
± :好ましくない
+ :やや好ましい
++ :好ましい
+++ :かなり好ましい
また、外観の評価の基準は、大きさおよび保形性の総合評価であり、以下の基準で評価した。
【0037】
± :不良
+ :やや良好
++ :良好
+++ :かなり良好
評価の結果を第2〜4表に示す。
【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【0040】
【表4】

【0041】
ケーキドーナツは、ベンチカットタイプおよびプランジャータイプのいずれも同じ評価であったので一つの表で示す。
第2〜4表に示すとおり、5または10重量%の膨張剤および0.5重量%の増粘剤を含有するプレミックスを用いて得られたドーナツはいずれも良好な食感および外観を有していた。
【実施例4】
【0042】
実施例1におけるプレミックスの製造において、増粘剤の含有量を0、0.2、1、または2重量%とし、小麦粉(薄力粉)の含有量を、それぞれ23.5、23.3、22.5および21.5重量%とする以外は同様の方法でプレミックスを製造した。該プレミックスおよび実施例1で調製したプレミックス(増粘剤の含有量が0.5重量%のプレミックス)を用いて、実施例2に記載の方法で、イーストドーナツ、デニッシュドーナツおよびケーキドーナツ(ベンチカットタイプおよびプランジャータイプ)を製造した。
【0043】
得られた各ドーナツの食感および外観について、実施例3と同様の方法および基準により評価した。
評価の結果を第5〜7表に示す。
【0044】
【表5】

【0045】
【表6】

【0046】
【表7】

【0047】
ケーキドーナツは、ベンチカットタイプおよびプランジャータイプのいずれも同じ評価であったので一つの表で示す。
第5〜7表に示すとおり、6.7重量%の膨張剤および0.2、0.5または1重量%の増粘剤を含有するプレミックスを用いて得られたドーナツは、いずれも良好な食感および外観を有していた。
〔比較例 1〕
【0048】
実施例1記載のプレミックスにおいて、市販のイーストフード(塩化アンモニウム10.2%、リン酸一水素カルシウム7.5%および炭酸カルシウム3.8%を含有する)0.3重量%を加え、薄力粉を22.7重量%とする以外は同様の配合でプレミックス(塩化アンモニウムを0.03重量%含有する)を調製し、実施例2記載の方法と同様の方法でイーストドーナツ、デニッシュドーナツおよびケーキドーナツ(ベンチカットタイプおよびプランジャータイプ)を製造した。
【0049】
得られた各ドーナツの食感および外観について、実施例3記載の方法と同様の方法で評価した。
その結果、塩化アンモニウムを0.03重量%含有するプレミックスを用いて得られたケーキドーナツは、ベンチカットタイプおよびプランジャータイプのいずれも外観はやや良好であったが、食感において好ましくないとの評価であった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明により、イースト発酵ありのタイプとイースト発酵なしのタイプのいずれのタイプのドーナツの製造に用いても良好な品質のドーナツを得ることのできるプレミックス、該プレミックスを用いて得られるドーナツ生地、該ドーナツ生地の製造方法、または該生地を用いるドーナツの製造方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物粉、膨張剤および増粘剤を含有するプレミックスであって、膨張剤の含有量が5〜10重量%であり、増粘剤の含有量が0.2〜1重量%であり、かつアンモニウム塩の含有量が0.03重量%未満であることを特徴とするプレミックス。
【請求項2】
グルコースオキシダーゼ、ヘミセルラーゼ、アミラーゼおよびリパーゼからなる群より選ばれる酵素を含有する、請求項1記載のプレミックス。
【請求項3】
請求項1または2記載のプレミックスを添加してなるドーナツ生地。
【請求項4】
請求項1または2記載のプレミックスに穀物粉を加える工程を含むドーナツ生地の製造方法。
【請求項5】
穀物粉の添加量がプレミックス1重量部に対して1〜4重量部である、請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
請求項3記載のドーナツ生地または請求項4もしくは5記載の方法により得られるドーナツ生地を用いることを特徴とするドーナツの製造法。
【請求項7】
請求項6記載の方法により得られるドーナツ。