説明

プレート供給装置およびプリンタ

【課題】分離のための専用の駆動手段を必要としないプレート供給装置を提供する。
【解決手段】プリンタは、プレートが積重されたプレート群Pの最下段のプレートを支持する支持位置と、最下段のプレートから退避した退避位置との間で移動可能なカム101と、下から2段目のプレートを支持する支持位置と、2段目のプレートから退避した退避位置との間をカム101とは異なるタイミングで移動可能なカム102と、カム101が退避位置に位置することで所定のセット位置でプレートが載置される載置部を有し、セット位置と排出位置との間を移動可能な搬送トレイ10と、搬送トレイ10を移動させるギア104aが嵌着されたシャフト106と、シャフト106の駆動力をカム101、102に連結する連結機構と、を備えている。搬送トレイ10の移動に伴ってカム101、102が移動することにより、プレート群Pから最下段のプレートを一枚ずつ分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプレート供給装置およびプリンタに係り、特に、表面に印刷可能で凹凸部を有するプレートが積重されたプレート群から最下段のプレートを一枚ずつ分離するプレート供給装置および該プレート供給装置を備えたプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、カード状の記録媒体等のプレートに画像・文字などの各種情報を印刷する印刷装置が知られている。この種の印刷装置において、専用の搬送トレイを用いて突起物のない(凹凸のない)プレートを支持して搬送する印刷装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この印刷装置では、印字ヘッドを備え、該印字ヘッドに対向してプラテンローラが設けられ、印字ヘッドとプラテンローラとで印刷部が構成されている。印刷部の両側(上流側、下流側)には、搬送ローラ対で構成された搬送部が配設されており、プレートを支持する搬送トレイが、搬送部により、印刷部に搬送され、そこでプレートに画像が形成された(印刷された)後、さらに搬送され、搬送トレイからプレートが自動的に分離されて排出される構造が採られている。
【0004】
しかしながら、この搬送トレイを用いて突起物を有する(凹凸のある)プレートに印刷処理を施す際は、プレートの突起が積重された他のプレートや搬送トレイと引っ掛かり分離が難しいため、突起物を有するプレートは一枚ずつ手作業で搬送トレイにセット(載置)され、印刷処理をした後に手作業で取り外されていた。
【0005】
一方、積重された凹凸のある物品を一つずつ分離して供給する装置は従来から知られている。このような装置では、一番下の物品を支持する第1の支持部材と、その1つ上の物品を支持する第2の支持部材とを有しており、それぞれが物品を支持する支持位置と、物品を支持しない退避位置との間で移動可能に設けられている。すなわち、第1の支持部材と第2の支持部材との両方が物品を支持しており、その状態で第1の支持部材のみ退避位置に移動させることで、一番下の物品が落下して分離される。その後、第1の支持部材は支持位置に移動し、第2の支持部材を退避位置に移動させる。その状態で積重された物品全体が落下して第1の支持部材に支持される。そして、第2の支持部材が支持位置に移動することで最初の状態に戻り、以下、第1および第2の支持部材による同様の移動が繰り返される。
【0006】
この物品供給装置では、物品の分離のために専用の駆動手段(例えば、モータやソレノイド等)が設けられており、さらに分離された物品を搬送するために別の駆動手段が設けられている(例えば、特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許3892287号
【特許文献2】特開昭63−37034号公報
【特許文献3】特開平11−71027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献2又は3のような物品供給装置を、突起物を有するプレートを印刷するプリンタに適用することによってプレートを自動供給することは可能である。しかしながら、プレートの分離のために専用の駆動手段を設けると、コスト高を招き、装置の消費電力も大きくなる。
【0009】
本発明は上記事案に鑑み、分離のための専用の駆動手段を必要としないプレート供給装置および該プレート供給装置を備えたプリンタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、プレート供給装置であって、表面に印刷可能で凹凸部を有するプレートが積重されたプレート群の最下段のプレートを支持する支持位置と、該最下段のプレートから退避した退避位置との間で移動可能な第1の支持手段と、前記プレート群の最下段から2段目のプレートを支持する支持位置と、該2段目のプレートから退避した退避位置との間を前記第1の支持手段とは異なるタイミングで移動可能な第2の支持手段と、前記第1の支持手段が退避位置に位置することにより所定のセット位置で前記最下段のプレートが載置される載置部を有し、前記セット位置と、前記載置部に載置されたプレートを排出するための排出位置との間を移動可能な移送手段と、前記移送手段を移動させる駆動手段と、前記駆動手段の駆動力を前記第1および第2の支持手段に連結する連結手段と、を備え、前記移送手段の移動に伴って前記第1および第2の支持手段が移動することにより、前記プレート群から前記最下段のプレートを一枚ずつ分離することを特徴とする。
【0011】
本態様において、移送手段は、プレート群の積重方向の略垂直方向に設けられた搬送パスに沿って移動することが好ましい。また、移送手段は、少なくとも前記セット位置と前記排出位置との間で往復動可能に構成され、前記連結手段は、前記移送手段が前記排出位置から前記セット位置方向への移動中は、前記第1および第2の支持手段の移動を防止する移動防止部材を有するようにしてもよい。さらに、前記プレート群を規整する規整部材を備え、該規整部材には前記第1および第2の支持手段が突出可能な開口が形成されていてもよい。また、本態様において、第1および第2の支持手段は駆動手段とギア連結されており、移動防止部材はギアの少なくとも1つがワンウェイクラッチまたはトルクリミッタで構成されていてもよい。このとき、移送手段は長尺状の板状部材で構成され、該板状部材の側面に駆動手段とギア連結するための溝部が形成されていることが好ましい。また、第1および第2の支持手段は、それぞれ、回転することにより支持位置と退避位置とに位置付けられるカムで構成され、一周の内に少なくとも一回は退避位置に位置付けられるようにしてもよい。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様は、表面に印刷可能で凹凸部を有するプレートが積重されたプレート群から最下段のプレートを一枚ずつ分離するプレート供給装置を備えたプリンタにおいて、前記プレート供給装置は、第1の態様のプレート供給装置の構成を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、連結手段により駆動手段の駆動力が移送手段と第1および第2の支持手段とに伝達され、移送手段の移動に伴って第1および第2の支持手段が移動することにより、凹凸部を有するプレートが積重されたプレート群から最下段のプレートが一枚ずつ分離されるので、分離のための専用の駆動手段を必要とすることなくプレートを供給することができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明が適用可能な実施形態のプリンタの外観斜視図である。
【図2】実施形態のプリンタの正断面図である。
【図3】実施形態のプリンタに装着可能な搬送トレイを示す外観斜視図である。
【図4】搬送トレイの載置部に載置されたプレートを示し、(A)はプレートの表面側の外観斜視図、(B)はプレートの底面側の外観斜視図、(C)はプレートに多数配列されたチップの拡大外観斜視図である。
【図5】搬送トレイの詳細を示し、(A)は平面図、(B)は正断面図、(C)は底面図、(D)は周縁支持部材の連接部材の勾配を模式的に示す斜視図である。
【図6】チップの使用例を示し、(A)は電線に結束された結束バンドとチップとの関係を示す側面図、(B)は結束バンドの平面図、(C)は印刷され結束バンドに嵌着されたチップの平面図である。
【図7】搬送トレイと駆動機構および連結機構との関係を示す平面図である。
【図8】スタッカの詳細を示す一部破断正面図である。
【図9】搬送トレイの搬送状態を模式的に示す正面図であり、(A)は搬送トレイが初期位置にある状態、(B)は初期位置からセット位置に移動中の状態、(C)はセット位置に位置した状態、(D)は印刷位置に位置した状態、(E)は排出位置に位置した状態を示す。
【図10】プレートを支持するカムの回転角度を示す平面図であり、(A)〜(E)はそれぞれ図9の(A)〜(E)に対応したカムの回転角度を示す。
【図11】搬送トレイの長手方向と交差する方向におけるプレート群、カムおよび搬送トレイの関係を模式的に示す左側面図であり、(A)〜(E)はそれぞれ図9の(A)〜(E)に対応する。
【図12】底面支持部材が傾斜した状態の搬送トレイを示す外観斜視図である。
【図13】底面支持部材が略垂直に位置した後、周縁支持部材が傾斜し、プレートが周縁支持部材上を滑落している状態の搬送トレイを示す外観斜視図である。
【図14】本発明が適用可能な他の実施形態のプリンタに用いられる搬送トレイおよび第1および第2の支持部材を示し、(A)は斜視図、(B)正面図、(C)は係合部の左側面側である。
【図15】他の実施形態のプリンタに用いられる第1および第2の支持部材の係合部を示し、(A)は斜視図、(B)は係合部材が係止部材に係合した状態を示す側面図、(C)は係合部材が係止部材が回動支点を中心に回動した状態を示す側面図である。
【図16】別の実施形態のプリンタに用いられる搬送トレイの平面図を示し、(A)は、第1の支持部材が支持位置でプレートを支持している状態、(B)は第1の支持部材が退避位置に位置した状態、(C)は第2の支持部材が支持位置でプレートを支持している状態、(D)は第2の支持部材が退避位置に位置した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明をカード状記録媒体であるプレートに文字や記号を印刷するプリンタに適用した実施の形態について説明する。なお、本実施形態のプリンタは、プレートを支持した搬送トレイ10を搬送することでプレートに印刷を施すものである。
【0016】
(構成)
<プリンタ>
図1に示すように、本実施形態のプリンタ1は、プレートを支持して搬送するための搬送トレイを載置、装着するための略水平状の搬送基台2を有している。プリンタ1の正面には、プリンタ1を操作するための入力ボタンおよびプリンタ1の状態等を表示するためのLCDを有する操作表示部6が配置されている。
【0017】
プリンタ1はインターフェースを有しており、通信コード4を介して、例えば、パーソナルコンピュータ(以下、PCと略称する。)3等の上位装置に接続可能である。このため、オペレータは操作表示部6の入力ボタンからの入力に代えて、PC3からの操作も可能であり、さらに、RAMカード等の外部記憶装置を装着することで外部記憶装置に格納されたデータの利用も可能である。
【0018】
図2に示すように、本実施形態のプリンタ1は、大別して、上述した操作表示部6、プレートに所望の文字や記号を印刷する印刷部20、搬送基台2上を、プレートを支持した搬送トレイ10を搬送する搬送部、プレート群を収容するスタッカ5、各部を制御する制御部およびこれらを収容する筺体で構成されている。
【0019】
印刷部20は、プリンタ1のほぼ中央部に配置されており、印刷時に、プレートとの間に介在するインクリボン(不図示)を介して、マトリクス状に配設された多数の発熱素子を選択的に加熱する印字ヘッド21と、搬送トレイ10(プレート)の底面側を支持するプラテンローラ22とで構成されている。
【0020】
搬送部は、後述する駆動機構により構成されている。搬送部の垂直方向における安定搬送を補助するため、印刷部20の上流側に配置されたローラ対23および印刷部20の下流側で筺体の搬送基台2の延長線上に形成された排出口8近傍に配置されたローラ対24が配設されている。ローラ対23、24は、それぞれ、下側に配設された駆動ローラ23a、24aおよび上側に配設された従動ローラ23b、24bで構成されており、駆動ローラ23a、24bおよびプラテンローラ22には、ステッピングモータMからの回転駆動力がギアトレイン25を介して伝達される。上述した搬送基台2は、ローラ対23、24および印刷部20でこれらと抵触しないように断続的に略水平に配設されている。なお、ローラ対23と印刷部20との間には、発光素子および受光素子からなり、搬送トレイ10(プレート)の位置を把握するためのポジションセンサ27が配置されている。本例では、ポジションセンサ27は反射一体型のセンサで構成されている。また、搬送基台2の搬送トレイ10の支持端および排出口8は、搬送トレイ10に載置されたプレートを排出するための排出部7を構成している。
【0021】
ローラ対23の上流側には、所定枚(例えば、50枚)のプレートを積重して収容可能なスタッカ5が配置されている(図1では捨象)。搬送基台2とスタッカ5との間には、搬送トレイ10の通過を許容する間隙が形成されている。なお、上述したギアトレイン25の駆動力はスタッカ5の近傍に配された駆動ローラにも伝達されており、後述するように、スタッカ5の最下層に配されたプレートが搬送トレイ10の所定位置(載置部)に位置付けられるように構成されている。
【0022】
制御部は、中央処理装置として高速で機能するCPU、プリンタ1の基本制御プログラムおよびプログラムデータを格納したROM、CPUのワークエリアとして機能するRAM等を有しており、これらCPU、ROM、RAMは内部バスで接続されている。
【0023】
制御部には外部バスが接続されている。外部バスには、操作表示部6を制御する操作表示制御部、印字ヘッド21を制御するヘッド制御部、ステッピングモータMの動作を制御するドライバ、ポジションセンサ27を含む各種センサからの情報を制御するセンサ制御部が接続されている。また、外部バスには、上述した上位装置との接続用のインターフェースや上位装置からのデータを一時的に格納するバッファが接続されている。
【0024】
<搬送トレイおよびプレート>
図3に示すように、搬送トレイ10は、樹脂製部材で構成されており、大別して、長尺板状のトレイ本体10aと、トレイ本体10の一側(図3の右側)に設けられた矩形状の開口50(図13参照)と、開口50に設けられ、プレート30の凸部(後述する脚部32B、突起33、図4参照)に係合してプレート30のチップ32の脚部32B間の底面を支持する底面支持部材12と、開口50かつ底面支持部材12の外側に設けられ、プレート30の4辺の周縁部のうち対向する2辺の周縁部の底面を支持する周縁支持部材18と、を有している。これら開口50、底面支持部材12および周縁支持部材18は、搬送トレイ10において、プレート30を載置するための載置部40を構成している。なお、図3は、載置部40にプレート30が載置された状態を示している。
【0025】
図4(A)に示すように、プレート30は、本例では、プレート30の外縁を構成する矩形状の枠体31と、枠体31の長手方向と交差する方向に略等間隔で配設された複数本(本例では4本)のリブ34と、リブ34の長手方向に沿って脆弱部を介して延設された複数個(本例では1つのリブにつき8個)のチップ32とで構成されており、塩化ビニル等の合成樹脂がその材質とされている。従って、プレート30には多数個(本例では32個)のチップ32が配設されており、表面に印刷可能で少なくとも裏面に凹凸部を有している。なお、便宜上、複数のリブ34を識別する必要がある場合は、図4(A)に示す左側から順に第1リブ、第2リブ、第3リブ、第4リブという。
【0026】
図4(C)に示すように、チップ32は、略水平の表面を有する板状部32Aと、断面略L字状で下方に突出した脚部32Bとで構成されている。このようなチップ32は、例えば、図6に示すように、電線35に結束された結束バンド36に嵌合させることで、配電盤に使用される電線の誤配線等を防止するものである。すなわち、図6(A)、(B)に示すように、結束バンド36は、電線35に結束されたバンド36B、バンド36Bに固着されたチップ受け36Aとで構成されており、チップ受け36Aには、チップ32の脚部32Bが嵌合可能な嵌合溝36Cが形成されている。このため図6(A)、(C)に示すように、プリンタ1でチップ32の板状部32Aの表面に文字、記号等を印刷した後、プレート30からチップ32を分離し、結束バンド36のチップ受け36Aに嵌合させることで、電線35を識別することが可能となる。
【0027】
図4(B)に示すように、プレート30の底面(裏面)側からはチップ32の脚部32Bが突出しているとともに、リブ34の所定箇所(第1リブおよび第4リブの両側)にはテーパ状の突起33が突設されている。従って、プレート30は凹凸部を有している。
【0028】
図5(A)〜(D)に示すように、底面支持部材12は略矩形板状の形状を呈しており、底面支持部材12には、プレート30の底面側に突設された突起33が挿入される丸穴12c、および、プレート30の底面側から突出したチップ32の脚部32Bと係合する(脚部32Bが貫通する矩形状貫通穴が形成された)係合部12dが形成されている。一方、周縁支持部材18は、2本の長尺状部材18aで構成されており、強度を高めるために、長尺状部材18aの先端部側(図5(A)の左側)は連接部材18dで連接されている。連接部材18dには勾配が形成されており、長尺状部材18aの先端部側とは反対側の厚さが薄くなる傾斜構造が採られている(図5(D)参照)。
【0029】
また、トレイ本体10aには、底面支持部材12の4辺の端部のうちトレイ本体10aの最も他側(図5(A)の右側)寄りの端部を中心として底面支持部材12を回動可能に軸支するヒンジ12bが一体に形成されている。このため、底面支持部材12は上述した搬送基台2による底面での支持を失うと、ヒンジ12bの周りに底面側に(半時計回り方向に)回動する(図12参照)。さらに、トレイ本体10には、周縁支持部材18の長尺状部材18aの端部のうちトレイ本体10aの最も他側寄りの端部を中心として周縁支持部材18を回動可能に軸支するヒンジ18bが一体に形成されている。このため、周縁支持部材18は搬送基台2による底面での支持を失うと、ヒンジ18bの周りに底面側に(半時計回り方向に)回動する(図13参照)。
【0030】
なお、本例では、ヒンジ12bの(軸芯の)位置とヒンジ18bの(軸芯の)位置とが、トレイ本体10aの長尺方向において、それぞれ異なる位置に設けられている。換言すれば、底面支持部材12の4辺の端部のうちトレイ本体10aの最も他側寄りの端部と、周縁支持部材18の長尺状部材18aの端部のうちトレイ本体10aの最も他側寄りの端部とがトレイ本体10aの長尺方向において、それぞれ異なる位置に位置付けられている。
【0031】
また、図5(C)に示すように、周縁支持部材18の長尺状部材18aの裏面側には短手方向に延出した矩形状のストッパ18cが形成されており、底面支持部材12の先端部側には周縁支持部材18の長尺状部材18aの両側方向に延出した矩形状のストッパ12eが形成されている。これらのストッパ18c、12eに対応する、トレイ本体10aおよび周縁支持部材18の長尺状部材18aの裏面側の箇所には、それぞれストッパ18c、12eを収容する窪みが形成されている。このため、ヒンジ12b、18bは所定角度以上の時計回り方向への回動が規制されている。
【0032】
なお、トレイ本体10aには、周縁支持部材18の長尺状部材18aより先端部側の中央部に、ポジションセンサ27の発光素子から光を透過する開口10bが形成されている。このため、プリンタ1のCPUは、センサ制御部を介してポジションセンサ27の出力を監視することにより、プレート30を支持した搬送トレイ10がプリンタ1の搬送部によりポジションセンサ27の位置まで搬送されたことを把握でき、印刷部20による印刷に対するプレート30の頭出しが可能となる。
【0033】
<駆動機構>
図7に示すように、トレイ本体10aの両側面の一部には、トレイ本体10aの長手方向に沿って、溝部10cが形成されている。この溝部10cにはスタッカ5に設けられたギア104aが噛合可能に配されており、ギア104aはシャフト106に嵌着されている。シャフト106には図示しない別のギアが嵌着されており、この別のギアにギアトレイン25を介してステッピングモータMからの回転駆動力が伝達される(図2、図8も参照)。従って、溝部10cをラック、ギア104aをピニオンとしたランクアンドピニオンからなる駆動機構により、搬送トレイ10は、ステッピングモータMを駆動源として排出部7側ないしその反対側に搬送される。
【0034】
<スタッカ>
図7、図8および図11に示すように、スタッカ5は、上述したシャフト106およびギア104a、スタッカ5の正面および背面を構成しプレート30が積重されたプレート群を適正な積重状態に規整する板状の側面ガイド100、円板の一部を切り欠くことで構成され搬送基台2側に配置された下段カム101(図10も参照)、同じく円板の一部を切り欠くことで構成され下段カム101の上側に配置された上段カム102、カムシャフト103および連結機構104で構成されている。
【0035】
下段カム101と上段カム102はそれぞれ一本のカムシャフト103に嵌着されており、カムシャフト103はスタッカ5の正面(図7の下側)および背面側(図7の上側)に二本ずつ配設されている。これにより、プレート30が積重されたプレート群Pは4箇所で下段カム101および/または上段カム102に支持される。
【0036】
連結機構104は複数のギア104b、104c、104d、103aおよびこれらのギアを軸支するシャフトで構成されている。すなわち、シャフト106に嵌着され溝部10cと噛合するギア104aからカムシャフト103に動力を伝達するために、ギア104aから順にギア連結して、最終的にはカムシャフト103に嵌着されたプーリギア103aに連結される。なお、本例では、ギア104bを軸支するシャフトに不図示のトルクリミッタ(ワンウェイクラッチ)が設けられており、搬送トレイ10が排出位置からセット位置方向(図7の矢印Y参照)へ移動している最中は、カムシャフト103へ駆動が伝わらない構成を有しているが、このようなトルクリミッタは連結機構を構成する他のシャフトに設けるようにしてもよい。また、連結機構104は、スタッカ5の一面につき一本のカムシャフト103に連結しているため、もう一本のカムシャフト103に駆動を伝達するためにタイミングベルト105が設けられている。これにより、一本のカムシャフト103の回転に同期して、もう一本のカムシャフトも回転する。
【0037】
下段カム101および上段カム102は、カムシャフト103の回転により、プレート30の底面を支持する支持位置と、プレート30から退避しプレート30を支持しない退避位置に位置付けられる。本例のカムは、図10に示すように、下段カム101と上段カム102とがカムシャフト103に取り付けられた角度が異なっている。従って、下段カム101と上段カム102とはカムシャフト103の回転により異なるタイミングを採ることで、例えば、図10(A)に示す状態では、下段カム101は側面ガイド100に形成された開口100a(図8、図11も参照)から突出してプレート30を支持し(支持位置)、上段カム102は側面ガイド100よりも引っ込んだ位置にあるためプレート30を支持しない位置(退避位置)とに移動可能であるが、これらの詳細については後述する。なお、本例のカムは、一周のうち一回、退避位置に位置付けられるものである。
【0038】
(動作)
次に、本実施形態のプリンタ1の動作について、CPUを主体として、搬送トレイ10の動作を中心に説明する。なお、プリンタ1に電源が投入されると、ROMに格納されたプログラムおよびプログラムデータをRAMに展開するとともに、各種センサを介して上述した各部が所定のホーム位置にあるかを確認し、ホーム位置にない場合にはホーム位置に移動させる復帰処理、および、スタッカ5にプレート30が格納されているかを確認する確認処理を含む初期設定処理を行った後、操作表示部6にプリンタ1の状態を表示し、以下のルーチンを実行する。
【0039】
CPUは、センサ制御部を介して図示しないエンプティセンサからの出力を監視するとともに、搬送基台2に搬送トレイ10が所定位置にセット(装着)されたかを判断し、否定判断のときはその旨を操作表示部6に表示するとともにセットされるまで待機し、肯定判断のときはドライバを介してステッピングモータMを駆動させる。ステッピングモータMの回転駆動力はギアトレイン25およびギアトレイン25からベルトでスタッカ5まで回転駆動力が伝達され、この回転駆動力により搬送トレイ10は図2の左側、すなわち、搬送基台2上を排出部7側に向けて搬送される。換言すれば、搬送トレイ10は、プレート群Pの積重方向の略垂直方向に設けられた搬送パスに沿って移動する。
【0040】
図9(A)、図10(A)および図11(A)は、上段カム102、下段カム101および搬送トレイ10の初期位置を示している。なお、図9〜図11における(A)〜(E)はそれぞれ対応している(各図の(A)〜(E)が同じ状態を示している。)。
【0041】
ステッピングモータMが正転駆動してギア104aが回転することにより、搬送トレイ10が図9(A)に示す初期位置から図9(B)に示す位置に搬送される。このとき、スタッカ5において、上段カム102および下段カム101は、図10(A)、図11(A)に示す状態から図10(B)、図11(B)に示す状態に変位する(カムはそれぞれ90°回転)。これにより、上段カム102および下段カム101はともに支持位置に位置付けられる。その後、搬送トレイ10は図10(C)に示すセット位置(スタッカ5に積重された最下段のプレート30が載置部40に載置される位置)に搬送されることで、下段カム101が退避位置に移動する(図10(C)、図11(C)参照)。これにより、最下段のプレート30が落下して、搬送トレイ10の載置部40に載置(セット)される。プレート30は、底面支持部材12でチップ32の脚部32B間の底面が支持されるとともに、周縁支持部材18の長尺状部材18aで長手方向に沿う2辺の周縁部が支持される。
【0042】
さらに、溝部10cに噛合したギア104aにより、搬送トレイ10は印刷位置(印刷部20)方向に搬送される(図9(D)参照)。図10(D)、図11(D)では、下段カム101が再び支持位置に移動している状態を示している。
【0043】
CPUは、上述したように、ポジションセンサ27でプレート30の先端位置を把握可能である。プレート30の先端位置を把握すると、CPUはドライバに対して所定ステップ数ステッピングモータMを回転駆動させることにより、プレート30は印刷部20に至る。
【0044】
一方、上位装置からはこの時点までにプレート30(厳密には、各チップ32の板状部32Aの表面)に、例えば、印刷するべきBk(ブラック)一色による印刷データがバッファに格納されている。CPUは、図示を省略した移動機構により印字ヘッド21を退避位置から印刷位置に移動させ(印字ヘッド21でプレート30を押圧して)、ヘッド制御部に、バッファに格納された印刷データを熱エネルギーに変換させて印字ヘッド21に出力させる。すなわち、CPUは、搬送トレイ10の裏面側がプラテンローラ22で支持されたプレート30に対し印字ヘッド21に印刷処理を行わせる。これにより、各チップ32の板状部32Aの表面には所望の文字や記号が印刷される。
【0045】
印刷部20による印刷処理の後、搬送トレイ10はさらに排出部7(排出位置)方向に搬送される。図9(E)、図10(E)および図11(E)では、搬送トレイ10が排出部7方向に搬送され、上段カム102が退避位置に位置付けられている状態を示している。図11(E)に示すように、この状態で積み重なったプレート群Pがすべて落下して、下段カム101に支持されている。この時点で載置部40に載置されたプレート30が排出部7で排出される。この状態では、上段カム101は退避位置、下段カム102は支持位置に位置付けられている。これは初期位置(図10(A)、図11(A))の状態と同じである(360°回転)。
【0046】
ここで、排出部7におけるプレート30の排出について詳述すれば、図2および図12に示すように、搬送基台2の終端に至ると、底面支持部材12は搬送方向先端部から徐々に搬送基台2による底面の支持を失い、ヒンジ12bの周りに半時計回り方向に回動を開始する。これにより、プレート30の各チップ32の脚部32Bと底面支持部材12との係合状態は徐々に解除される。なお、図12は底面支持部材12とプレートとの解除が完了(分離が終了)した状態を示している。これに対し、周縁支持部材18は、先端部が搬送基台2の終端に至っても(底面支持部材12が回動を開始しても)、長尺状部材18aの長さが底面支持部材12の長さより大きく、また、ヒンジ18bの位置が底面支持部材12を軸支するヒンジ12bの位置より搬送方向後端側(排出口8の反対側)に配されているため、長尺状部材18aがプレート30の2辺の周縁部の底面を支持している。
【0047】
図13に示すように、搬送トレイ10が搬送基台2上をさらに排出口8側に搬送されると、底面支持部材12は略垂直状態の位置までヒンジ12を中心として回動する。一方、周縁支持部材18は搬送方向先端部から徐々に搬送基台2による底面の支持を失い、ヒンジ18bの周りに半時計回り方向に回動を開始する。これにより、2辺の周縁部の底面を長尺状部材18aで支持されているプレート30は、回動を開始した(傾斜した)周縁支持部材18の長尺状部材18aに沿って滑落を開始する。このとき、周縁支持部材18の連接部材18dは、上述したように、長尺状部材18aの先端部側とは反対側の厚さが薄くなる傾斜構造が採られているため(図5(D)参照)、プレート30の長尺状部材18aからの滑落開始の際に、チップ32の脚部32Bが連接部材18dに引っ掛かることを防止することができる。なお、図13は、プレート30(の脚部32B)が連接部材18dを乗り越えつつ長尺状部材18a上を滑落中の状態を示している。搬送トレイ10はローラ対24により搬送基台2上をさらに排出口8側に搬送されると、周縁支持部材18はさらに半時計回り方向に回動する。これにより、プレート30は長尺状部材18aから滑り落ち、図2に示す排出口8より外側に落下する。なお、排出口8の外側には、印刷済のプレート30を収容する図示を省略したトレイが配置されている。
【0048】
CPUはドライバにステッピングモータMに出力したステップ数をカウントさせており、所定ステップ数に至ると、ステッピングモータMの回転駆動を停止させる。次いで、ステッピングモータMを所定ステップ数逆転駆動させることで、搬送トレイ10を排出部7とは反対側の方向に所定距離逆搬送させる。これにより、まず、底面支持部材12および周縁支持部材18は、搬送基台2の終端に当接し時計回り方向に回動することで、さらに、ストッパ12e、18cがそれぞれ長尺状部材18aの裏面側の窪みおよびトレイ本体10aの窪みに収容され、それ以上の回動が規制される(図5(A)、(C)参照)。次に、搬送トレイ10はオペレータが搬送トレイ10を搬送基台2上から離脱可能な位置まで搬送基台2上を逆搬送される。従って、搬送トレイ10は、少なくともセット位置と排出位置(排出部7)との間で往復動可能に構成されている。この逆搬送が完了すると、CPUは、ステッピングモータMの回転駆動を停止させ、1ルーチンを終了し、新たな指示を受けるまで待機する。
【0049】
その際、スタッカ5において、ギア104bが嵌着したシャフトにはトルクリミッタ(ワンウェイクラッチ)が設けられているため、ギア104cにはステッピングモータ5からの回転駆動力が伝達されない。このため、搬送トレイ10が初期位置に移動する際は、カムシャフト103に駆動が伝わらず、上段カム102および下段カム101は移動しない。
【0050】
(効果等)
次に、本実施形態のプリンタ1の作用効果について、搬送トレイ10およびスタッカ5の作用効果を中心に説明する。
【0051】
本実施形態のプリンタ1では、ステッピングモータMからの回転駆動力がギアトレイン25を介してシャフト106に伝達され、シャフト106に嵌着しピニオンとして機能するギア104aがラックとして機能する溝部10cと噛合するとともに(駆動機構)、ギア104aが連結機構104を介してカムシャフト103に嵌着した下段カム101、上段カム102に伝達される。そして、搬送トレイ10の(プレート群Pの積重方向の略垂直方向に設けられた搬送パスに沿った)移動に伴って下段カム101および上段カム102が移動することにより、プレート30が積重されたプレート群Pから最下段のプレートが一枚ずつ分離される。このため、本実施形態のプリンタ1によれば、分離のための専用の駆動手段を必要とすることなく、突起(凹凸部)を有するプレート30を積層したプレート群Pから最下段のプレート30を適正に供給することができる。
【0052】
また、本実施形態のプリンタ1では、搬送トレイ10は、少なくともセット位置と排出位置との間で往復動可能に構成され、連結機構104は、搬送トレイ10が排出位置からセット位置方向への移動中、下段カム101および上段カム102の移動を防止するトルクリミッタ(ワンウェイクラッチ)を有している。載置部40がセット位置にないときに下段カム101および上段カム102が退避位置に移動してしまうと、プレート30がそのまま落ちてしまい、載置部40に適正に載置されない。また、上述したように、搬送トレイ10は少なくともセット位置と排出位置との間で往復動可能である。本実施形態のプリンタ1では、搬送トレイ10が排出位置からセット位置方向へ移動中は下段カム101および上段カム102の移動を防止することで、不用意にプレート30が落下することを防止している。
【0053】
さらに、本実施形態のプリンタ1では、プレート群Pを規整する側面ガイド100を備え、側面ガイド100には下段カム101および上段カム102がプレート群P側に突出可能な開口100aが形成されている。側面ガイド100によって、凹凸部を有するプレート30を積重したプレート群Pが崩れずに最下段のプレート30が順次供給される。また、側面ガイド100に開口100aを形成することで、下段カム101および上段カム102が支持位置と退避位置との間で移動可能となり、上述したように、最下段のプレート30の一枚ずつの分離が可能となる。
【0054】
なお、本実施形態では、主に、ギア104aが嵌着されたシャフト106をステッピングモータMからの回転駆動力で回転させ、搬送トレイ10、下段カム101および上段カム102を移動させる例を示したが、背景技術欄に記載したカード搬送のように、搬送トレイ10をニップして搬送するようにしてもよい。また、本実施形態では、トレイ本体10aの側面に形成した溝部10cとギア104aとのギア連結(噛合)を例示したが、本発明はこれに制限されることなく、両者を摩擦係合するようにしてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、搬送トレイ10とカムシャフト103との連結にギア連結を例示したが、本発明はこれに限らず、例えば、図14、図15に示すように、搬送トレイ10の両側面に三角形状の突起10dを設け、突起10dで第1の支持部材110および第2の支持部材120を外側に押し出すように移動させてもよい。この例では、第1の支持部材110および第2の支持部材120は、搬送トレイ10との係合部110b、120bに、搬送トレイ10の突起10dと係合する係合部材108と係合部材108を係止する係止部材109が設けられている。搬送トレイ10の突起10dが係合部材108と係合して、第1の支持部材110および第2の支持部材120をそれぞれ外側へ押し出す。その際、第1の支持部材110および第2の支持部材120の位置が相違しているため、押し出されるタイミングは異なる。しかし、搬送トレイ10が排出方向へ移動するときだけ、第1の支持部材110および第2の支持部材120が押し出される必要がある。
【0056】
すなわち、図15(B)に示すように、係合部材108は図15(B)の右側から(セット位置方向から排出位置方向に)力を加える(突起10dと係合)と、係止部材108で係止され、係止部材108を介して第1の支持部材110および第2の支持部材120に力が伝わり、その結果、第1の支持部材110および第2の支持部材は搬送トレイ10に対して外側に押し出される。一方、左側から(排出位置方向からセット位置方向に)力を加えると、係合部材は図15(C)の矢印方向に逃げるため(係合部材108は回動支点108aを中心に回動し、突起10dが係合しても支持部材108に力が加わらないので、押し出す力が伝達されない。
【0057】
さらに、本発明は図16に示すような態様を採ることもできる(当初請求項3の範囲ではない。)すなわち、搬送トレイ10と、第1の支持部材160、第2の支持部材170とをワイヤ130で連結して、搬送トレイ10の移動によってワイヤ130を引っ張り、例えば、下段に配置されラック140に噛合した第1の支持部材160、上段に配置されラック150に噛合した第2の支持部材170を移動させる。なお、ワイヤ130が張っていないときは、バネ等により、第1の支持部材160、第2の支持部材170は支持位置に位置付けられる。この態様では、搬送トレイ10がセット位置に移動すると、第1の支持部材160が移動して退避位置に位置付けられ、逆に、排出位置において第2の支持部材170が移動して退避位置に位置付けられる。
【0058】
また、本実施形態では、搬送トレイ10について、ヒンジ12bの位置とヒンジ18bの位置とが、トレイ本体10aの長尺方向において、それぞれ異なる位置に設けた例を示したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、搬送基台20の排出口8側に支持部20aを延設することにより、トレイ本体10aの長尺方向において、ヒンジ12b、ヒンジ18bの位置を同じにしたり、ヒンジ18bをヒンジ12bより排出口8側に位置付けたりすることが可能となる。
【0059】
また、本実施形態では、樹脂製のヒンジ12b、18bをトレイ本体10と一体形成した例を示したが、本発明はこれに制限されず、材質の異なる、例えば、金属製のヒンジを用いるようにしてもよい。さらに、本実施形態では、ヒンジ18bを2箇所に設ける例を示したが、本発明はこれに制限されず、長尺状部材18aの排出口8側と反対側の端部を連接して、ヒンジ12bと同様に、1つのヒンジを用いるようにしてもよい。逆に、ヒンジ12bについて、ヒンジ18bと同様に複数箇所でトレイ本体10aに対して同一軸で回動させるようにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、底面支持部材12に矩形板状のものを例示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、底面支持部材12は、三角形、五角形、六角形等の多角形の形状とするようにしてもよい。そして、本実施形態では、ヒンジ12b、18bをトレイ本体10aの長尺方向と交差する方向を軸として回動させる例を示したが、これらのヒンジをトレイ本体10aの長尺方向に沿う方向を軸として回動させるようにしてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、ヒンジ12bとヒンジ18bを用いて底面支持部材12と周縁支持部材18とをトレイ本体10aに対して回動可能に軸支する構成を例示したが、特許文献1に開示されているように底面支持部材12および周縁支持部材18をそれぞれ粘着テープ状の支持部材で支持してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、分離のための専用の駆動手段を必要としないプレート供給装置および該プレート供給装置を備えたプリンタを提供するものであるため、プレート供給装置およびプリンタの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0063】
1 プリンタ
10 搬送トレイ(移送手段)
10c 溝部
10a トレイ本体
30 プレート
32B 脚部(凹凸部の一部)
33 突起(凹凸部の一部)
40 載置部
101 カム(第1の支持手段)
102 カム(第2の支持手段)
104a ギア(駆動手段の一部)
100 側面ガイド(規整部材)
100a 開口
109 係止部材(移動防止部材)
110 第1の支持部材(第1の支持手段)
120 第2の支持部材(第2の支持手段)
140 連結機構(連結手段)
160 第1の支持部材(第1の支持手段)
170 第2の支持部材(第2の支持手段)
M ステッピングモータ(駆動手段の一部)
P プレート群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に印刷可能で凹凸部を有するプレートが積重されたプレート群の最下段のプレートを支持する支持位置と、該最下段のプレートから退避した退避位置との間で移動可能な第1の支持手段と、
前記プレート群の最下段から2段目のプレートを支持する支持位置と、該2段目のプレートから退避した退避位置との間を前記第1の支持手段とは異なるタイミングで移動可能な第2の支持手段と、
前記第1の支持手段が退避位置に位置することにより所定のセット位置で前記最下段のプレートが載置される載置部を有し、前記セット位置と、前記載置部に載置されたプレートを排出するための排出位置との間を移動可能な移送手段と、
前記移送手段を移動させる駆動手段と、
前記駆動手段の駆動力を前記第1および第2の支持手段に連結する連結手段と、
を備え、
前記移送手段の移動に伴って前記第1および第2の支持手段が移動することにより、前記プレート群から前記最下段のプレートを一枚ずつ分離することを特徴とするプレート供給装置。
【請求項2】
前記移送手段は、前記プレート群の積重方向の略垂直方向に設けられた搬送パスに沿って移動することを特徴とする請求項1に記載のプレート供給装置。
【請求項3】
前記移送手段は、少なくとも前記セット位置と前記排出位置との間で往復動可能に構成され、
前記連結手段は、前記移送手段が前記排出位置から前記セット位置方向への移動中は、前記第1および第2の支持手段の移動を防止する移動防止部材を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプレート供給装置。
【請求項4】
さらに、前記プレート群を規整する規整部材を備え、該規整部材には前記第1および第2の支持手段が突出可能な開口が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のプレート供給装置。
【請求項5】
前記第1および第2の支持手段は前記駆動手段とギア連結されており、前記移動防止部材は前記ギアの少なくとも1つがワンウェイクラッチまたはトルクリミッタで構成されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のプレート供給装置。
【請求項6】
前記移送手段は長尺状の板状部材で構成され、該板状部材の側面に前記駆動手段とギア連結するための溝部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のプレート供給装置。
【請求項7】
前記第1および第2の支持手段は、それぞれ、回転することにより前記支持位置と前記退避位置とに位置付けられるカムで構成され、一周の内に少なくとも一回は前記退避位置に位置付けられることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のプレート供給装置。
【請求項8】
表面に印刷可能で凹凸部を有するプレートが積重されたプレート群から最下段のプレートを一枚ずつ分離するプレート供給装置を備えたプリンタにおいて、前記プレート供給装置は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のプレート供給装置の構成を有することを特徴とするプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−260665(P2010−260665A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111093(P2009−111093)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】