説明

プログラマブル表示器

【課題】選択されている画面に過去に選択した画面へ遷移する設定が無い場合にも、過去に選択した画面へ容易に戻ることができるプログラマブル表示器を得ること。
【解決手段】選択された画面の履歴情報を記憶する操作記憶部22と、操作記憶部22に記憶されている履歴情報に基づいて、現在選択されている画面よりも過去に選択された画面の縮小画面を過去縮小画面として生成し、現在選択されている画面に関連付けられている遷移先情報に基づいて、現在選択されている画面に遷移先として設定されている画面に遷移先として設定されている画面の縮小画面を遷移先縮小画面として生成し、過去縮小画面と、現在選択されている画面と、遷移先縮小画面とを、表示部12に一括表示させる表示生成部21を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部制御装置の状態表示及び外部制御装置への指示入力を受けるプログラマブル表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプログラマブル表示器は、選択されている画面のみを表示部に表示するように構成されており、別画面に遷移させる際には、その設定がなされている画面切換スイッチの名板から内容を判断し、選択するように動作する。
【0003】
また、従来のプログラマブル表示器は、選択されている画面に別画面への切換スイッチがあった場合に、スイッチに関連付けられている遷移画面の情報を読み出すように構成されており、得られた情報から縮小表示画面を生成し、重ねて表示するように動作する(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
さらに、過去に表示していた画面の縮小表示画面を生成する従来の方法は、過去に表示した画面から一部を抜粋して縮小表示画面を生成するように構成されており、生成された縮小表示画面のみ一括表示するように動作する(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−26627号公報(0039、0040段落、第3、4図)
【特許文献2】国際公開第2007/116705号(0076段落、第8図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、表示部には選択されている画面のみが表示されるため、別画面に遷移させる際には、所望の画面に遷移させるための画面切換スイッチを名板から判断する必要があり、判断に時間を要する。また、操作者の意図とは異なる画面を間違って選択してしまうという問題もあった。
【0007】
また、上記従来の技術では、選択されている画面の別画面への切換スイッチ情報のみ読み出すため、過去に表示していた画面に遷移する設定が画面に無い場合は、一旦上位の階層の画面に遷移した上で、改めて再選択しなくてはならず、操作作業量が増加するという問題があった。
【0008】
さらに、間違った選択から復旧を想定して、画面ごとに排他な画面切換スイッチの設定を実施する必要があり、設定作業が煩雑化するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、過去の表示履歴から過去の表示画面の縮小表示画面を生成可能で、選択されている画面に過去に表示した画面へ遷移する設定が無い場合にも、過去に表示した画面へ容易に戻ることができるプログラマブル表示器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、表示手段と、表示手段に表示させる画面及び画面に遷移先として設定された画面を示す遷移先情報を関連付けて複数記憶するデータ記憶手段とを備え、データ記憶手段に記憶された複数の画面の中から選択された画面を表示手段において表示することにより外部制御装置の状態表示を行うプログラマブル表示器であって、選択された画面の履歴情報を記憶する操作記憶手段と、操作記憶手段に記憶されている履歴情報に基づいて、現在選択されている画面よりも過去に選択された画面をデータ記憶手段から読み出し、データ記憶手段から読み出した画面を基に、現在選択されている画面よりも過去に選択された画面の縮小画面を過去縮小画面として生成する過去画面生成手段と、現在選択されている画面に関連付けられている遷移先情報に基づいて、現在選択されている画面に遷移先として設定されている画面をデータ記憶手段から読み出し、データ記憶手段から読み出した画面を基に、現在選択されている画面に遷移先として設定されている画面の縮小画面を遷移先縮小画面として生成する遷移先画面生成手段と、過去縮小画面と、現在選択されている画面と、遷移先縮小画面とを、表示手段に一括表示させる手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画面選択操作で意図しない画面を選択してしまった場合にも、一覧表示画面内に縮小表示された過去の画面を選択することにより、容易に操作前の状態に復帰させることができ、画面ごとに排他な画面切換スイッチの設定を実施する必要がないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明にかかるプログラマブル表示器の実施の形態1の全体構成を示す図である。
【図2】図2は、プログラマブル表示器における動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】図3は、プログラマブル表示器における縮小表示画面一括表示を模式的に示す図である。
【図4】図4は、実施の形態2でのプログラマブル表示器が過去に表示した画面の縮小表示画面を生成する際の動作の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかるプログラマブル表示器の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかるプログラマブル表示器の実施の形態1の全体構成を示す図である。プログラマブル表示器100は、入力部11、表示部12、外部制御装置接続インタフェース(I/F)13、入力処理部20、表示生成部21、操作記憶部22、データ記憶部23、及び遷移・更新情報判断部24を備える。
【0015】
入力部11は、操作者による操作を受け付ける入力インタフェースである。表示部12は、情報を表示する機能部であり、液晶パネルや有機ELパネルなどを適用可能である。なお、入力部11及び表示部12が、タッチパネルを構成するようにすることも可能である。外部制御装置接続I/F13は、外部制御装置102を接続するためのインタフェースであり、USBコネクタやRS−232Cコネクタなどである。入力処理部20は、操作者による入力部11の操作、又は外部制御装置接続I/F13を介して外部制御装置102から受け取った指示に応じて現画面データ番号を選択し、画面データ番号の選択情報を生成する。操作記憶部22は、入力処理部20から表示生成部21宛に送られる画面データ番号の選択情報を保持する。表示生成部21は、選択された画面データ番号に基づきデータ記憶部23からデータを抽出して画面データ番号に対応した画面を生成する。また、表示生成部21は、操作記憶部22に過去に選択された画面データ番号が保持されている場合、保持されているデータに対応した画面の縮小表示画面を生成する。さらに、表示生成部21は、現画面に含まれる遷移情報に対応した画面の縮小表示画面を生成する。遷移・更新情報判断部24は、選択された現画面に次画面への遷移情報が含まれているか否かを判断し、遷移情報が含まれている場合は、遷移する画面データ番号を遷移情報として抽出する。
【0016】
データ記憶部23は、画面に配置される複数の種類の部品の各々のデータ(部品データ)、1以上の部品を含んだ画面のデータ(画面データ)を記憶する。なお、画面データには、部品のレイアウトを示す情報に加え、画面のプロパティを示す情報が含まれる。遷移情報を画面のプロパティに設定しておくことにより、入力部11における操作や外部制御装置102からの指示によらず画面を遷移させることも可能である。例えば、タイトル画面を一定時間表示した後に自動的にメニュー画面へ遷移するといった動作が可能である。また、画面ごとに優先度をプロパティとして設定しておくことも可能である。
【0017】
次に、プログラマブル表示器100の動作について説明する。図2は、プログラマブル表示器100における動作手順の一例を示すフローチャートである。
【0018】
入力部11における操作者の入力操作や、外部制御装置接続I/F13を介して外部制御装置102から受信した指示に応じて、入力処理部20は現画面のデータ番号を選択する(ステップS101)。入力操作や受信した指示が一括表示形式での表示を要求するものであった場合(ステップS102/Yes)、遷移・更新情報判断部24は、現画面に次画面への遷移情報があるか否かを判断する(ステップS103)。ここでは、遷移・更新情報判断部24は、現画面内の画面切換スイッチが存在する場合に、次画面への遷移情報があると判断する。次画面への遷移情報が現画面にある場合には(ステップS103/Yes)、表示生成部21は遷移情報に対応した画面データ番号の縮小表示画面(遷移先縮小画面)を生成する(ステップS104)。また、表示生成部21は、操作記憶部22に保持されている画面データ番号の縮小表示画面を生成する(ステップS105)。表示生成部21は、次画面の縮小表示画面、現画面、過去画面の縮小表示画面を表示部12において時系列に沿って一括表示する(ステップS106)。図3は、プログラマブル表示器100における次画面、現画面及び過去画面の一括表示の一を示す図である。図3に示す一括表示画面は、過去に選択された画面200、現在選択されている画面201、次に選択可能な画面200、202〜205を時系列に沿って一括して表示するように構成されている。現在選択されている画面201には、画面切換スイッチ300が設定されており、該当するスイッチを押すことで、画面遷移が指示される。
【0019】
一方、現画面に次画面への遷移情報が含まれていない場合には(ステップS103/No)、表示生成部21は、操作記憶部22に保持されている画面データ番号の縮小表示画面を生成する(ステップS109)。表示生成部21は、現画面、過去画面の縮小表示画面を表示部12において一括表示する(ステップS110)。
【0020】
また、入力操作や受信した指示が一括表示形式での表示を要求するものでなかった場合(ステップS102/No)、表示生成部21は現画面を表示部12に表示する(ステップS111)。
【0021】
次画面の縮小表示画面、現画面、過去画面の縮小表示画面の一括表示、又は、現画面、過去画面の縮小表示画面の一括表示、若しくは現画面の表示を行った後、操作記憶部22は、ステップS101で選択した現画面のデータ番号を保持する(ステップS107)。画面の表示を行った後、画面遷移の指示があるまで画面を表示し続け、画面遷移の指示があれば(ステップS108/Yes)、ステップS101に戻る。
【0022】
上記の説明においては、遷移・更新情報判断部24は、画面切換スイッチが現画面内に存在する場合に、次画面への遷移情報が現画面に含まれていると判断したが、データ記憶部23内の設定(画面のプロパティでの設定)に基づいて判断することもできる。
【0023】
また、過去画面や次画面を含む一括表示形式で表示するか否かの判断は、データ記憶部23内の設定(画面のプロパティ)に基づいて行っても良い。すなわち、過去に選択した画面や次に選択可能な画面とともに一括表示するか、単独で表示するかを画面ごとにプロパティとして設定しておき、表示生成部21が設定に応じて表示形式を切り替えても良い。
【0024】
さらに、現画面とともに一括表示する過去画面や次画面が多い場合は、画面上には一定数のみが現れるようにスクロール表示しても良いし、画面のプロパティとして予め設定しておいた優先度が高いものを抽出して表示しても良い。あるいは、画面数に応じて縮小率を変動させてもよい。これらの機能の実施有無は、外部制御装置102からの入力やデータ記憶部23内の設定に応じて切り替えることができるようにしても良い。
【0025】
本実施の形態によれば、過去に選択した画面から次に選択可能な画面まで一括して表示することが可能であるため、画面選択操作で意図しない画面を選択してしまった場合にも、一覧表示画面内に縮小表示された過去の画面を選択することにより、容易に操作前の状態に復帰させることができる。換言すると、プログラマブル表示器の画面上に過去に表示した縮小表示画面が時系列に沿って一括表示されており、縮小表示画面を選択し、その画面に遷移可能であるので、操作者の意図とは異なる画面に誤って遷移させてしまった場合にも、選択前の段階に容易に復旧することができる。
【0026】
さらに、選択間違えを想定して、選択前の画面に遷移するように画面切換スイッチの設定をする必要がないため、設計時の画面データ作成に階層を確認しながら画面切換スイッチの設定を行う煩雑な作業を大幅に低減可能である。具体的には、メニュー画面に加え(1)番〜(5)番の画面が存在する場合は、(1)番の画面には、メニュー画面及び(2)番〜(5)番に対応する画面切換スイッチを設置する必要がある。一方、(4)番の画面には、メニュー画面及び(1)番〜(3)番、(5)番に対応する画面切換スイッチを設置する必要がある。このように、画面切換スイッチは画面ごとに異なるため、全ての画面で画面切換スイッチを誤りなく設定する作業は煩雑なものとなる。本実施の形態では、このような煩雑な作業は不要である。
【0027】
実施の形態2.
本発明にかかるプログラマブル表示器の実施の形態2の構成及び全体的な動作の流れは、実施の形態1と同様である。ただし、本実施の形態においては、操作記憶部22に保持されている画面番号の縮小表示画面を生成する際に、過去画面に更新すべき情報が含まれている場合には現在値に更新する。すなわち、対象画面を遷移・更新情報判断部24で分析し、必要に応じて入力処理部20から更新情報を取得する。
【0028】
図4は、実施の形態2でのプログラマブル表示器が過去に表示した画面の縮小表示画面を生成する際の動作の流れを示す図である。この動作は、図2におけるステップS105やステップS109に相当する動作であり、この部分以外の全体的な動作の流れは図2を用いて実施の形態1で説明した通りである。
【0029】
過去に選択した画面の縮小表示画面の生成を開始すると、表示生成部21は、操作記憶部22に記憶されている画面データ番号を読み出す(ステップS201)。さらに、表示生成部21は、該当する番号の画面データをデータ記憶部23から読み出す(ステップS202)。遷移・更新情報判断部24は、画面データに更新すべき情報が含まれているか否かを判断する(ステップS203)。例えば、外部制御装置102から取得した値が代入される変数は、更新すべき情報として見なされる。画面データに更新すべき情報が含まれている場合(ステップS203/Yes)、入力処理部20は外部制御装置102の現在値を外部制御装置接続I/F13を介して取得する(ステップS204)。入力処理部20は、外部制御装置102から取得した現在値を表示生成部21へと渡す。表示生成部21は、外部制御装置102の現在値を用いて画面データを更新する(ステップS205)。さらに、表示生成部21は、更新した画面の縮小表示画面を生成する(ステップS206)。
【0030】
なお、画面データに更新すべき情報が含まれていない場合には(ステップS203/No)、表示生成部21は、データ記憶部23から読み出した画面データを基に縮小表示画面を生成する(ステップS207)。
【0031】
本実施の形態においては、過去に選択された画面を一括表示する際に、画面内の情報を現在の値に更新して表示できる。すなわち、過去に選択した画面から縮小表示画面を生成しても、縮小表示画面内に表示されている情報は、現在の設定値と同じ値である。したがって、生成された縮小表示画面を操作者が見た際に、過去の古い情報に基づいて誤った判断をすることを抑制できる。すなわち、過去に選択されていた画面の縮小表示画面を生成する際に、画面データに含まれる数値などの更新可能な情報を現在値に更新することが可能であるため、一括表示されている画面内における情報の新旧混在を防止し、古い情報に基づいた認識間違いを抑制することができる。
【0032】
本発明にかかるプログラマブル表示器は、情報量の多い表示が必要な大規模システムの表示端末として用いられる場合や、表示部に高解像度のモニタデバイスを適用する場合に適している。
【符号の説明】
【0033】
11 入力部
12 表示部
13 外部制御装置接続I/F
20 入力処理部
21 表示生成部
22 操作記憶部
23 データ記憶部
24 遷移・更新情報判断部
100 プログラマブル表示器
102 外部制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、該表示手段に表示させる画面及び該画面に遷移先として設定された画面を示す遷移先情報を関連付けて複数記憶するデータ記憶手段とを備え、該データ記憶手段に記憶された複数の画面の中から選択された画面を前記表示手段において表示することにより外部制御装置の状態表示を行うプログラマブル表示器であって、
選択された画面の履歴情報を記憶する操作記憶手段と、
前記操作記憶手段に記憶されている前記履歴情報に基づいて、現在選択されている画面よりも過去に選択された画面を前記データ記憶手段から読み出し、該データ記憶手段から読み出した画面を基に、前記現在選択されている画面よりも過去に選択された画面の縮小画面を過去縮小画面として生成する過去画面生成手段と、
前記現在選択されている画面に関連付けられている前記遷移先情報に基づいて、該現在選択されている画面に遷移先として設定されている画面を前記データ記憶手段から読み出し、該データ記憶手段から読み出した画面を基に、前記現在選択されている画面に遷移先として設定されている画面の縮小画面を遷移先縮小画面として生成する遷移先画面生成手段と、
前記過去縮小画面と、前記現在選択されている画面と、前記遷移先縮小画面とを、前記表示手段に一括表示させる手段とを有することを特徴とするプログラマブル表示器。
【請求項2】
前記過去画面生成手段は、前記過去に選択された画面に含まれる変数を現在値に更新して前記過去縮小画面を生成することを特徴とする請求項1記載のプログラマブル表示器。
【請求項3】
前記過去縮小画面と、前記現在選択されている画面と、前記遷移先縮小画面との一括表示を行うか、前記現在選択されている画面の単独表示を行うかを切り替える手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載のプログラマブル表示器。
【請求項4】
前記過去縮小画面及び前記遷移先縮小画面の縮小率を、前記過去縮小画面及び前記遷移先縮小画面の数に応じて変更することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のプログラマブル表示器。
【請求項5】
前記各画面に予め設定された優先度に応じて、前記過去縮小画面及び前記遷移先縮小画面を予め設定された数だけ前記現在選択されている画面と一括表示することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のプログラマブル表示器。
【請求項6】
前記過去縮小画面及び前記遷移先縮小画面が予め設定された数以上存在する場合には、該予め定められた数の前記過去縮小画面及び前記遷移先縮小画面とスクロールバーとを前記表示手段に表示させ、前記表示手段に現れていない前記過去縮小画面及び前記遷移先縮小画面を前記スクロールバーにより選択可能としたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のプログラマブル表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−160072(P2012−160072A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19906(P2011−19906)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】