説明

プロシアニジンB1〜B4およびカテキン重合体の製造方法

【課題】カテキンまたはエピカテキンより効率的に光学純度の高いプロシアニジンB3などのカテキン重合体を提供する。
【解決手段】2種の異なるカテキンまたはエピカテキンの誘導体をカップリング反応させてカテキン重合体の誘導体に導く反応における反応触媒としてのルイス酸としてランタントリフラート、イッテルビウムトリフラート、カッパートリフラート、インジウムトリフラート、スカンジウムトリフラートなどの金属トリフラート、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)またはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)を用いて反応を行う。出発物質をほぼ当量で配合することが可能であり、また、低温に冷却する必要なく室温において高い収率で、効率的にカテキンまたはエピカテキンより、カテキン重合体を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロシアニジンB1〜B4などのカテキン重合体を光学選択的かつ効率的に製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロシアニジンB3は、カテキン−(α4→8)−カテキンの構造を有するプロシアニジンの一種である。プロシアニジンとは、カテキン、または、エピカテキン等のフラボノイドが2つ以上重合した化合物の総称であり、プロシアニジンには、プロシアニジンB3の他に、エピカテキン−(β4→8)−カテキンの構造を有するプロシアニジンB1や、エピカテキン−(β4→8)−エピカテキンの構造を有するプロシアニジンB2、カテキン−(α4→8)−エピカテキンの構造を有するプロシアニジンB4、エピカテキン−(β4→6)−エピカテキンの構造を有するプロシアニジンB5などが知られている。これらのプロシアニジン類には、抗酸化作用や抗ウイルス作用、抗菌作用、抗腫瘍作用、動脈硬化作用、胃潰瘍抑制作用、発ガン抑制作用、育毛作用、美白作用等の生理作用があり、健康食品や化粧品などの素材として広く利用されている。プロシアニジンB3はカテキンの重合体であり、カテキンよりも一般にその生理作用は増強される。従って、容易に天然物より得られるカテキン等のフラボノイドからプロシアニジンB3を初めとするプロシアニジン類の安定的な合成方法は、プロシアニジンの生産方法として有効な手段となる。
【0003】
これまでにカテキン等のフラボノイドからプロシアニジン類を製造する方法は幾つか開示されている。例えば、非特許文献1において、カテキンを公知の方法により中間体2種に誘導し、四塩化チタンを触媒として、低温条件の基、1対4.5当量ずつ反応させることで得られる二量体から光学選択的にプロシアニジンB3の誘導体に導く方法が開示されている。また、非特許文献2では、同様にカテキンより誘導された2種類の中間体を、四塩化チタンを触媒として2対1で反応させることで光学選択的に二量体に導く方法が開示されている。
【0004】
上記の方法により、カテキンの誘導体2種よりプロシアニジンに誘導する方法は、いずれの方法も基質となる2種のカテキン誘導体の添加割合は異なる。このため、原料増による経済的に損失が発生するだけでなく、反応後に原料のカテキン誘導体が残り、その後の精製手順が複雑となり著しく効率が悪い。例えば、2当量対1当量で原料を配合した場合には、たとえ反応の収率が100%であったとしても2当量配合された原料は、少なくともその使用量の半分が製品にならないことになる。
また、上記従来技術の合成方法では、低温(例えば、−20℃)での反応が必須であり、低温を維持するための設備を必要とするという欠点があった。さらに、これらの方法では、生成物の光学純度も低い。以上の理由からこれらの合成反応は産業的にほとんど利用されていない。
【非特許文献1】A. Saito, N. Nakajima, A. Tanaka, M. Ubukata, Tetrahedron, 2002, 58,7829-7837
【非特許文献2】A. Saito, N. Nakajima, A. Tanaka, M. Ubukata, Tetrahedron, 2003, 44,5449-5452
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、カテキン、又はエピカテキンよりプロシアニジンB1〜B4などのカテキン重合体を光学選択的かつ効率的に製造するための合成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような状況を鑑み、本発明者らはカテキン、又はエピカテキンよりプロシアニジンB1〜B4などのカテキン重合体をカテキン、又はエピカテキンより光学選択的にかつ効率的に製造するための合成方法について鋭意、研究を重ねたところ、反応触媒としてのルイス酸として金属トリフラート(すなわち、金属原子にトリフラート(OTf)が結合した化合物)、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)を用いて、カテキンより誘導される2種のカテキン誘導体を反応させることで、効率的にプロシアニジンB1〜B4などのカテキン重合体を合成することができることを見出し、本発明に至った。
【0007】
したがって、本発明は以下の方法などを提供する。
【0008】
(1) カテキンの重合体を調製する方法であって、以下の化学式1で示す化合物と、以下の化学式2で示す化合物とを、反応触媒として金属トリフラート、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)の存在下で反応させて、以下の化学式3で示す化合物を得る工程を含む、方法:
(化学式1)
【化1】

(上記化学式1においてR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基であり、n=0〜13であり、n=1〜13の場合には、m=1であり、n=0の場合には、m=0または1である)
(化学式2)
【化2】

(上記化学式2においてR21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基であり、j=0〜13であり、j=1〜13の場合には、k=1であり、j=0の場合には、k=0または1である)。
(化学式3)
【化3】

(2)エピカテキンの重合体を調製する方法であって、以下の化学式4で示す化合物と、以下の化学式5で示す化合物とを、反応触媒として金属トリフラート、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)の存在下で反応させて、以下の化学式6で示す化合物を得る工程を含む、方法:
(化学式4)
【化4】

(上記化学式4においてR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基であり、n=0〜13であり、n=1〜13の場合には、m=1であり、n=0の場合には、m=0または1である)
(化学式5)
【化5】

(上記化学式5においてR21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基であり、j=0〜13であり、j=1〜13の場合には、k=1であり、j=0の場合には、k=0または1である)。
(化学式6)
【化6】

(3)エピカテキンとカテキンの重合体を調製する方法であって、以下の化学式7で示す化合物と、以下の化学式8で示す化合物とを、反応触媒として金属トリフラート、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)の存在下で反応させて、以下の化学式9で示す化合物を得る工程を含む、方法:
(化学式7)
【化7】

(上記化学式7においてR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基であり、n=0〜13であり、n=1〜13の場合には、m=1であり、n=0の場合には、m=0または1である)
(化学式8)
【化8】

(上記化学式8においてR21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基であり、j=0〜13であり、j=1〜13の場合には、k=1であり、j=0の場合には、k=0または1である)。
(化学式9)
【化9】

(4)カテキンとエピカテキンの重合体を調製する方法であって、以下の化学式10で示す化合物と、以下の化学式11で示す化合物とを、反応触媒として金属トリフラート、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)の存在下で反応させて、以下の化学式12で示す化合物を得る工程を含む、方法:
(化学式10)
【化10】

(上記化学式10においてR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基であり、n=0〜13であり、n=1〜13の場合には、m=1であり、n=0の場合には、m=0または1である)
(化学式11)
【化11】

(上記化学式11においてR21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基であり、j=0〜13であり、j=1〜13の場合には、k=1であり、j=0の場合には、k=0または1である)。
(化学式12)
【化12】

(5)項目1〜4いずれか一項に記載の方法であって、R13がメチルである、方法。
(6)項目5に記載の方法であって、R14がアセチルである、方法。
(7)項目1〜4いずれか一項に記載の方法であって、n、m、j、kの和が0〜14である、方法。
(8)項目1〜4いずれか一項に記載の方法であって、n=m=j=k=0である、方法。
(9)項目1〜4いずれか一項に記載の方法であって、化学式1で示す化合物1モルに対して、化学式2で示す化合物0.8〜1.2モルを反応させる、方法。
(10)項目6に記載の方法であって、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R15、R16、R21、R22、R24、R25、R26、R27、R29、R30、R31、R32、R33、およびR34がベンジルであり、R、R、R14、R23、R28がアセチルであり、R13がメチルである方法。
(11)項目1〜4いずれか一項に記載の方法であって、0℃〜30℃の温度において反応が行われる、方法。
(12)項目1〜4いずれか一項に記載の方法であって、前記反応触媒が、イッテルビウムトリフラート(Yb(OTf))、インジウムトリフラート(In(OTf))、カッパートリフラート(Cu(OTf))、ランタントリフラート(La(OTf))、スカンジウムトリフラート(Sc(OTf))、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)またはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)である、方法。
【0009】
以下、本願明細書中において、便宜上、上記化学式1の化合物を「化合物1」と記載する。上記化学式2の化合物を「化合物2」と記載する。上記化学式3の化合物を「化合物3」と記載する。上記化学式4の化合物を「化合物4」と記載する。上記化学式5の化合物を「化合物5」と記載する。上記化学式6の化合物を「化合物6」と記載する。上記化学式7の化合物を「化合物7」と記載する。上記化学式8の化合物を「化合物8」と記載する。上記化学式9の化合物を「化合物9」と記載する。上記化学式10の化合物を「化合物10」と記載する。上記化学式11の化合物を「化合物11」と記載する。上記化学式12の化合物を「化合物12」と記載する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カテキンより容易に誘導することができる化合物1と化合物2とを、又は、エピカテキンより容易に誘導することができる化合物4と化合物5とを、又は、エピカテキンより容易に誘導することができる化合物7とカテキンより容易に誘導することができる化合物8とを、又は、カテキンより容易に誘導することができる化合物10とエピカテキンより容易に誘導することができる化合物11とを、反応触媒としてのルイス酸として金属トリフラート、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)の存在下で、反応させることで、化合物1又は化合物4又は化合物7又は化合物10と、化合物2又は化合物5又は化合物8又は化合物11の添加割合がほぼ当量(等モル)ずつにおいても、高い収率で効率的に光学選択的にカテキン誘導体およびエピカテキン誘導体およびカテキン誘導体とエピカテキン誘導体の重合体を得ることができる。
従来技術では、当量から大きく離れた配合比で反応が行われていたため、極めて大量の未反応材料が必然的に反応終了後に残るという欠点があったが、本発明では、原料物質をほぼ当量ずつ反応させることが可能となることにより、反応後に残る未反応材料は極めて少なくなり、反応後の精製工程を大幅に省略することができる。したがって、本発明により効率的に光学純度の高い反応精製物であるカテキン重合体、又はエピカテキン重合体を得ることができる。
以下に、本発明の方法で得られる重合体の具体例として、2量体の例(化合物3A)を示す。
(化合物3A)
【化13】

上記、化合物3Aの化学式においてR、R、R、R、R、R31、R32、R33、R34は、それぞれ独立して、保護基である。
さらに、従来の方法と異なり、本発明の方法においては、低温条件を保つ必要がないというメリットがある。このため、室温条件においても、高い収率で効率的に光学選択的にカテキン誘導体の重合体(例えば、上記化合物3A)を得ることができる。
上記カテキン誘導体の重合体からは、容易にその保護基を脱離させることにより、カテキン重合体に導くことができる。例えば、上記化合物3Aの保護基R、R、R、R、R、R31、R32、R33、R34を脱離させれば、プロシアニジンB3(以下の化学式を有する化合物14)が得られる。
(化合物14)
【化14】

【0011】
また、上記化合物1と化合物2とを反応させて得られた化合物3(例えば、化合物3A)と化合物1とを、又は、化合物4と化合物5とを反応させて得られた化合物6と化合物4とを、又は、化合物7と化合物8とを反応させて得られた化合物9と化合物7とを、又は、化合物10と化合物11とを反応させて得られた化合物12と化合物10とを、再度、反応触媒としてのルイス酸として金属トリフラート、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)又はペンタフルオロフェニルボラン(B(C)の存在下で、反応させることにより、さらなるカテキン又はエピカテキンの高度重合体(例えば、カテキンもしくはエピカテキンの三量体もしくは四量体)を誘導することができる。この反応を繰り返し行うことで、様々なカテキンもしくはエピカテキンの重合体(例えば、二量体から十六量体までが挙げられるが、これに限定されない)を効率的に誘導することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0013】
本発明の方法では、上記化合物1と化合物2とを、もしくは化合物4と化合物5とを、もしくは化合物7と化合物8とを、もしくは化合物10と化合物11とを、金属トリフラート、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)の存在下で反応させて、以下の化学式3、化学式6、化学式9、または、化学式12で示す化合物を得る。
(化合物1、化学式4、化学式7、および、化学式10)
化合物1は上記化学式1で、化合物4は上記化学式4で、化合物7は上記化学式7で、化合物10は上記化学式10で、表される化合物である。上記化学式1、および化学式4、および化学式7、および化学式10において、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R15、およびR16は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基である。R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R15、およびR16は、好ましくは、ベンジル、アルキル、置換ベンジル、アリールアルキル、置換アリールアルキルである。
これらの置換基の大きさは、それぞれ、その炭素数として1〜20であることが好ましい。その炭素数として1〜10であることがより好ましい。
、R、R14は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基である。R、R、R14は、好ましくは、アセチル、アシル、アセチル誘導体、置換アシル、ベンジル、アルキル、置換ベンジル、アリールアルキル、置換アリールアルキルである。
これらの置換基の大きさは、それぞれ、その炭素数として1〜20であることが好ましい。その炭素数として1〜10であることがより好ましい。
1つの実施形態では、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R15、およびR16としては、フェノール性水酸基の保護基として使用される任意の基が使用可能である。好ましくは脂肪族または芳香族の炭化水素基である。より好ましくは、アルキル、ベンジル、置換ベンジル、アリールアルキル、置換アリールアルキルなどである。より好ましくは、アルキルまたはベンジルである。さらに好ましくは、ベンジルである。
、R、R14としては、アルコール性水酸基の保護基として使用される任意の基が使用可能である。好ましくは脂肪族または芳香族の炭化水素基である。より好ましくは、アセチル、アシル、アセチル誘導体、置換アシル、ベンジル、アルキル、置換ベンジル、アリールアルキル、置換アリールアルキルなどである。より好ましくは、アセチル、アルキル、ベンジルである。さらに好ましくは、アセチルである。
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R15、R16としては、それぞれ、フェノール性水酸基を保護する基が使用可能である。フェノール性水酸基を保護する基としては各種の保護基が公知であり、その公知の保護基のいずれもが使用可能である。
およびR、R14としては、それぞれ、アルコール性水酸基を保護する基が使用可能である。アルコール性水酸基を保護する基としては各種の保護基が公知であり、その公知の保護基のいずれもが使用可能である。後述する実施例では、R、R、R14として、アセチル基を用いているが、R、R、R14が、アセチル基以外の場合であっても、実施例と同様に、本発明の方法のカップリング反応は進行する。なぜなら、他の置換基であっても、後述するカップリング反応のメカニズムは十分に作用し得るからである。
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R15、およびR16は、それぞれ、互いに同一であってもよく、異なってもよい。同一であれば、その調製が容易になるという利点がある。
13は、化合物2、化合物5、化合物8、または、化合物11との反応の際に脱離する基であり、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基である。R13は、好ましくは、アルキルまたはアリールアルキルである。
13の大きさは、その炭素数として1〜20であることが好ましい。その炭素数として1〜10であることがより好ましい。1つの実施形態では、R13は、好ましくは脂肪族または芳香族の炭化水素基である。より好ましくはアルキルまたはアリールアルキルである。さらに好ましくは、アルキルまたはベンジルである。より好ましくは、C〜Cアルキルである。さらに好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、アリルなどである。最も好ましくはメチルである。
後述する実施例では、R13として、メチル基を用いているが、R13が、メチル基以外の場合であっても、実施例と同様に、本発明の方法のカップリング反応は進行する。なぜなら、他の置換基であっても、化合物2、化合物5、化合物8、または、化合物11との反応において置換基−OR13は脱離し得るのであって、後述するカップリング反応のメカニズムは十分に作用し得るからである。
上記各置換基の説明において記載された「置換ベンジル」としては、それぞれ、独立して、例えば、アルキルで置換されたベンジルが挙げられる。「置換アリールアルキル」としては、それぞれ、独立して、例えば、アルキルで置換されたアリールアルキルが挙げられる。「アシル」としては、それぞれ、独立して、一般式「RC(=O)−」で表される置換基が挙げられる。具体的には、Rは、例えば、アリールまたはアルキルである。「アセチル誘導体」としては、それぞれ、独立して、例えば、アセチルなどが挙げられる。「置換アシル」としては、一般式「RC(=O)−」で表される置換基が挙げられる。具体的には、Rは、例えば、アリール(より具体的には例えば、フェニル)であり、Rは、例えば、アルキルである。
化学式1、化学式4、化学式7、および、化学式10において、nは0〜13の整数である。n=1〜13の場合には、m=1であり、n=0の場合には、m=0または1である。nおよびmの和として、0〜7(単量体〜8量体)が好ましく、0〜3(単量体〜4量体)がより好ましく、0〜1(単量体〜2量体)がさらに好ましく、最も好ましくは、0(単量体)である。すなわち、1つの好ましい実施形態では、n=m=0である。
本発明に用いる上記化合物1のカテキン誘導体としては、天然由来、合成由来を問わず、上記化学式に該当する限り、いずれのカテキンから誘導したものを用いることもできる。また、公知の有機合成化学的方法により合成したものを用いることもできる。
(化合物2、化合物5、化合物8、および、化合物11)
化合物2は上記化学式2で表される化合物であり、化合物5は上記化学式5で表される化合物であり、化合物8は上記化学式8で表される化合物であり、化合物11は上記化学式11で表される化合物である。上記化学式2、および化学式4、化学式7、化学式11において、R21、R22、R24、R25、R26、R27、R29、R30、R31、R32、R33、およびR34は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基である。R21、R22、R24、R25、R26、R27、R29、R30、R31、R32、R33、および、R34は、好ましくは、ベンジル、アルキル、置換ベンジル、アリールアルキル、置換アリールアルキルである。これらの置換基の大きさは、それぞれ、その炭素数として1〜20であることが好ましい。その炭素数として1〜10であることがより好ましい。
23、R28は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基である。R23、R28は、好ましくは、アセチル、アシル、アセチル誘導体、置換アシル、ベンジル、アルキル、置換ベンジル、アリールアルキル、置換アリールアルキルである。これらの置換基の大きさは、それぞれ、その炭素数として1〜20であることが好ましい。その炭素数として1〜10であることがより好ましい。
1つの実施形態では、R21、R22、R24、R25、R26、R27、R29、R30、R31、R32、R33、およびR34としては、フェノール性水酸基の保護基として使用される任意の基が使用可能である。好ましくは脂肪族または芳香族の炭化水素基である。より好ましくはアルキル、ベンジル、置換ベンジル、アリールアルキル、置換アリールアルキルなどである。より好ましくは、アルキルまたはベンジルである。さらに好ましくは、ベンジルである。
23、R28としては、アルコール性水酸基の保護基として使用される任意の基が使用可能である。好ましくは脂肪族または芳香族の炭化水素基である。より好ましくは、アセチル、アシル、アセチル誘導体、置換アシル、ベンジル、アルキル、置換ベンジル、アリールアルキル、置換アリールアルキルなどである。より好ましくは、アセチル、アルキル、ベンジルである。さらに好ましくは、アセチルである。
21、R22、R24、R25、R26、R27、R29、R30、R31、R32、R33、R34としては、それぞれ、フェノール性水酸基を保護する基が使用可能である。フェノール性水酸基を保護する基としては各種の保護基が公知であり、その公知の保護基のいずれもが使用可能である。
23およびR28としては、それぞれ、アルコール性水酸基を保護する基が使用可能である。アルコール性水酸基を保護する基としては各種の保護基が公知であり、その公知の保護基のいずれもが使用可能である。後述する実施例では、R23、R28として、アセチル基を用いているが、R23、R28が、アセチル基以外の場合であっても、実施例と同様に、本発明の方法のカップリング反応は進行する。なぜなら、他の置換基であっても、後述するカップリング反応のメカニズムは十分に作用し得るからである。
上記各置換基の説明において記載された「置換ベンジル」としては、それぞれ、独立して、例えば、アルキルで置換されたベンジルが挙げられる。「置換アリールアルキル」としては、それぞれ、独立して、例えば、アルキルで置換されたアリールアルキルが挙げられる。「アシル」としては、それぞれ、独立して、一般式「RC(=O)−」で表される置換基が挙げられる。具体的には、Rは、例えば、アリールまたはアルキルである。「アセチル誘導体」としては、それぞれ、独立して、例えば、アセチルなどが挙げられる。「置換アシル」としては、一般式「RC(=O)−」で表される置換基が挙げられる。具体的には、Rは、例えば、アリール(より具体的には例えば、フェニル)であり、Rは、例えば、アルキルである。
化学式2、および化学式4、化学式7、化学式11において、jは0〜13の整数である。j=1〜13の場合には、k=1であり、j=0の場合には、k=0または1である。jおよびkの和として、0〜7(単量体〜8量体)が好ましく、0〜3(単量体〜4量体)がより好ましく、0〜1(単量体〜2量体)がさらに好ましく、最も好ましくは、0(単量体)である。すなわち、1つの好ましい実施形態では、j=k=0である。
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、およびR34は、それぞれ、互いに同一であってもよく、異なってもよい。同一であれば、その調製が容易になるという利点がある。
本発明に用いる上記化合物2、および化学式4、化学式7、化学式11のカテキン誘導体、およびエピカテキン誘導体としては、天然由来、合成由来を問わず、上記化学式に該当する限り、いずれのカテキンから誘導したものも用いることができる。また、公知の有機合成化学的方法により合成したものを用いることもできる。
化合物2、および化学式4、化学式7、化学式11のカテキン誘導体およびエピカテキン誘導体としては、天然由来、合成由来を問わず、いずれのカテキンおよびエピカテキンから誘導したものを用いることもできる。また、公知の有機合成化学的方法により合成したものを用いることもできる。
(触媒)
本発明の方法には、反応触媒として用いるルイス酸として、金属トリフラート、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)を用いる。
金属トリフラートは、トリフルオロメタンスルホン酸と金属との塩であり、以下の一般式で表される:
M(CFSO
ここで、Mは金属原子であり、nは1〜3の整数である。好ましくは、Mは、2価または3価の金属原子である。すなわち、好ましくは、nは2または3である。なお、本明細書中では、便宜上、トリフルオロメタンスルホン酸金属塩をトリフラート金属塩とも記載する。トリフラートとは、トリフルオロメタン酸エステルの略称であり、本件明細書中では、この置換基(CFSO)を「OTf」とも記載する。
トリフラート金属塩においては、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CFSO)の影響により、金属原子Mの電子状態がルイス酸として本発明の反応を触媒するのに好適な状態となる。
本発明の方法には、より好ましくはイッテルビウムトリフラート(Yb(OTf))、インジウムトリフラート(In(OTf))、カッパートリフラート(Cu(OTf))、ランタントリフラート(La(OTf))、スカンジウムトリフラート(Sc(OTf))、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)、またはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)を用いる。さらに好ましくはイッテルビウムトリフラート(Yb(OTf))、インジウムトリフラート(In(OTf))、カッパートリフラート(Cu(OTf))、ランタントリフラート(La(OTf))、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)、またはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)を用いる。
Yb(OTf)は、Cas番号54761−04−5として登録されている。Yb(OTf)としては、試薬メーカーから市販されているものをそのまま用いることができる。In(OTf)は、Cas番号128008−30−0として登録されている。In(OTf)としては、試薬メーカーから市販されているものをそのまま用いることができる。Cu(OTf)は、Cas番号34946−82−2として登録されている。Cu(OTf)としては、試薬メーカーから市販されているものをそのまま用いることができる。La(OTf)は、Cas番号52093−26−2として登録されている。La(OTf)としては、試薬メーカーから市販されているものをそのまま用いることができる。Sc(OTf)は、Cas番号144026−79−9として登録されている。Sc(OTf)としては、試薬メーカーから市販されているものをそのまま用いることができる。四フッ素化ホウ素銀(AgBF)を用いる。AgBFは、融点70℃程度の常温で固体の化合物であり、Cas番号14104−20−2として登録されている。AgBFとしては、試薬メーカーから市販されているものをそのまま用いることができる。B(Cは、融点−58℃程度、沸点126℃程度の常温で固体の化合物であり、Cas番号1109−15−5として登録されている。B(Cとしては、試薬メーカーから市販されているものをそのまま用いることができる。
使用される金属トリフラート、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)およびトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)の形態は、特に限定されない。粉末状態のものを用いてもよく、結晶化したものを用いてもよい。粉末状態のものを用いることが好ましい。
反応触媒として用いるルイス酸の添加量は、特に限定されない。好ましくは、化学式1、化学式4、化学式7、または、化学式10の化合物の使用量1モルに対して、0.001モル以上であることが好ましく、0.01モル以上であることがより好ましい。0.1モル以上であることがさらに好ましい。また、10モル以下であることが好ましく、5モル以下であることがより好ましい。2モル以下であることがさらに好ましい。
(化合物3、化合物6、化合物9、および、化合物12)
本発明の方法により得られる化合物3は上記化学式3で、化合物6は上記化学式6で、化合物9は上記化学式9で、化合物12は上記化学式12で示され、その各置換基の定義については、上記化合物1、化合物4、化合物7、および、化合物10と、化合物2、化合物5、化合物8、および、化合物11について説明したとおりである。化合物3、化合物6、化合物9、および、化合物12の各置換基を脱離することによりカテキン重合体が得られる。
(本発明の方法の工程)
本発明の好ましい実施形態では、以下の工程が行われる。
・化合物1、化合物4、化合物7、または、化合物10の調製工程
・化合物2、化合物5、化合物8、または、化合物11の調製工程
・化合物1、化合物4、化合物7、または、化合物10、と、化合物2、化合物5、化合物8、または、化合物11とのカップリング反応工程
・化合物3、化合物6、化合物9、または、化合物12の脱保護工程
(化合物1、化合物4、化合物7、および、化合物10の調製工程)
化合物1、化合物4、化合物7、および、化合物10は、例えば、カテキン、又はエピカテキン、エピカテキンおよびエピカテキンの重合体、に置換基を導入することによって得られる。すなわち、カテキン、又はエピカテキン、カテキン重合体、エピカテキン重合体、に置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16を導入する。
具体的には、好ましい実施形態では、以下の手順が行われる:
・カテキン、又はエピカテキン、カテキン重合体、エピカテキンの重合体のフェノール性水酸基(R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R15、R16)に保護基を導入する手順、
・カテキン、又はエピカテキン、カテキン重合体、エピカテキン重合体のアルコール性水酸基にR、R、R14を導入する手順、
・カテキン、又はエピカテキン、カテキン重合体、エピカテキンの重合体のアルコール性水酸基にR13を導入する手順。
より好ましい具体例としては、例えば、以下の手順が行われる。
・フェノール性水酸基のそれぞれにR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R15、R16としてベンジル基を導入する手順、
・R、R、R14としてアセチル基を導入する手順
・R13としてメチル基を導入する手順
上記ベンジル基の導入手順としては、例えば、カテキン、又はエピカテキン、カテキン重合体、エピカテキンの重合体に臭化ベンジルを添加して反応させることにより行うことが可能である。臭化ベンジルの添加は、例えば、溶媒としてDMFを用いて行うことができる。
上記アセチル基の導入手順としては、例えば、無水酢酸を添加して反応させることにより行うことが可能である。無水酢酸の添加は、例えば、溶媒としてのピリジン中で行うことができる。
上記メチル基の導入手順としては、例えば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−パラ−ベンゾキノン(DDQ)を添加して反応させることにより行うことが可能である。メチル基の添加は、例えば、溶媒としてのジクロロメタン中で行うことが可能である。
上記手順の順序としては、(1)臭化ベンジルの添加、(2)無水酢酸の添加、および(3)2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−パラ−ベンゾキノン(DDQ)の添加、の順に行うことが好ましい。
(化合物2、化合物5、化合物8、および、化合物11の調製工程)
化合物2、化合物5、化合物8、および、化合物11は、カテキンまたはカテキン重合体、およびエピカテキンまたはエピカテキン重量体に置換基R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34を導入することにより得られる。
具体的には、好ましい実施形態では、以下の手順が行われる:
・カテキンまたはカテキン重合体、またはエピカテキンまたはエピカテキン重量体のフェノール性水酸基(R21、R22、R24、R25、R26、R27、R29、R30、R31、R32、R33、R34)に保護基を導入する手順、
・カテキンまたはカテキン重合体、またはエピカテキンまたはエピカテキン重量体のアルコール性水酸基にR23およびR28を導入する手順。
ここで、これらの置換基の導入の手順の具体例としては、上記化合物1の調製と同様に行うことが可能である。すなわち、例えば、以下の手順が行われ得る。
・フェノール性水酸基のそれぞれにベンジル基を導入する手順、
・R23およびR28としてアセチル基を導入する手順
上記ベンジル基の導入手順としては、例えば、カテキンまたはカテキン重合体、またはエピカテキンまたはエピカテキン重量体に臭化ベンジルを添加して反応させることにより行うことが可能である。
上記アセチル基の導入手順としては、例えば、無水酢酸を添加して反応させることにより行うことが可能である。
上記手順の順序としては、(1)臭化ベンジルの添加、(2)無水酢酸の添加の順に行うことが好ましい。
また、いったん化合物1、化合物4、化合物7、または、化合物10と化合物2、化合物5、化合物8、または、化合物11とのカップリング反応を行った後、得られた化合物3、化合物6、化合物9、または、化合物12を、次のカップリング反応における出発材料(すなわち、化合物2、化合物5、化合物8、または、化合物11)として使用することも可能である。
(化合物1、化合物4、化合物7、または、化合物10と化合物2、化合物5、化合物8、または、化合物11とのカップリング反応工程)
上記化合物1、化合物4、化合物7、または、化合物10と、上記化合物2、化合物5、化合物8、または、化合物11とを、上記反応触媒として用いるルイス酸として金属トリフラート(すなわち、金属原子にトリフラート(OTf))が結合した化合物)、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)の存在下でカップリング反応させることにより、化合物3、化合物6、化合物9、または、化合物12が得られる。
【0014】
このカップリング反応に用いる溶媒は、反応に影響を及ぼさない溶媒であればいずれであっても良い。例えば、ジクロロメタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、四塩化炭素、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジメチレンホルムアミド、クロロホルム、アセトニトリル、酢酸エチル、ジオキサンン、ジメルスホキシドなどの溶媒を、単独もしくは混合して使用することができる。ベンゼン、ヘキサン、トルエン、キシレン、四塩化炭素、塩化メチレン、ジクロロメタンが好ましい。さらに好ましくはジクロロメタンである。
【0015】
本発明の反応時間はいずれであっても良い。反応時間が短すぎる場合、反応が不十分であり未反応の原料が残り生産物の収率が低下する場合がある。また、反応時間が長すぎる場合、作業効率が悪化するだけでなく、生産物同士もしくは生産物と未反応原料が不規則に反応し目的以外の夾雑物が生産され、かえって反応効率が低下する場合がある。従って反応効率の観点からは、反応触媒として使用するルイス酸に応じて最適な反応時間を選択することが好ましい。
例えば、ルイス酸としてイッテルビウムトリフラート(Yb(OTf))又は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)を使用する場合、反応時間は5分間以上であることが好ましく、10分間以上であることがより好ましく、30分間以上が特に好ましく、1時間以上であることが最も好ましい。また、24時間以下であることが好ましく、12時間以下であることがより好ましく、5時間以下であることが特に好ましく、3時間以下であることが最も好ましい。
例えば、ルイス酸としてインジウムトリフラート(In(OTf))、カッパートリフラート(Cu(OTf))、またはスカンジウムトリフラート(Sc(OTf))を使用する場合、反応時間は2分間以上であることが好ましく、5分間以上であることがより好ましく、10分間以上であることが特に好ましく、20分間以上であることが最も好ましい。また、6時間以下であることが好ましく、3時間以下であることがより好ましく、1時間以下であることが特に好ましく、40分間以下であることが最も好ましい。
例えば、ルイス酸としてランタントリフラート(La(OTf))を使用する場合、反応時間は4時間以上であることが好ましく、8時間以上であることがより好ましく、24時間以上であることが特に好ましく、36時間以上であることが最も好ましい。また、240時間以下であることが好ましく、120時間以下であることがより好ましく、80時間以下であることが特に好ましく、60時間以下であることが最も好ましい。
例えば、ルイス酸として四フッ素化ホウ素銀(AgBF)を使用する場合、10分間以上であることが好ましく、20分間以上であることがより好ましく、30分間以上であることがさらに好ましく、1時間以上であることが特に好ましく、2時間以上であることが最も好ましい。また、48時間以下であることが好ましく、24時間以下であることがより好ましく、15時間以下であることがさらに好ましく、12時間以下であることが特に好ましく、6時間以下であることが最も好ましい。
本発明の方法における反応温度はいずれであっても良い。作業効率を考慮した場合、−10℃以上が好ましく、0℃以上がより好ましい。10℃以上がさらに好ましく、20℃以上が特に好ましい。また、90℃以下であることが好ましく、70℃以下であることがより好ましく、50℃以下であることがさらに好ましく、40℃以下であることが特に好ましく、30℃以下であることが最も好ましい。
【0016】
本発明に用いる反応混合物中の化合物1、化合物4、化合物7、または、化合物10のカテキン誘導体またはエピカテキン誘導体と、化合物2、化合物5、化合物8、または、化合物11のカテキン誘導体またはエピカテキン誘導体との添加割合はいずれであっても良いが、1:1のモル比に近い配合とすることが好ましい。作業効率を考慮した場合、本発明に用いる化合物1、化合物4、化合物7、または、化合物10のカテキン誘導体またはエピカテキン誘導体と、化合物2、化合物5、化合物8、または、化合物11のカテキン誘導体またはエピカテキン誘導体の添加割合は1対0.8〜1.2等量で反応させることが好ましい。添加割合をほぼ同量ずつ反応させることで、原料の損失を防ぎ、精製手順を短縮することもできる。
(カップリング反応のメカニズム)
本発明は、理論に拘束されるものではないが、上記カップリング反応のメカニズムについては、例えば、単量体どうしの反応の場合には、以下のように推定される。
【化15】

すなわち、化合物1(または、化合物4、化合物7、化合物10)の脂肪環の2つのアルコキシ基と、ルイス酸触媒と、化合物2のベンゼン環の炭素との間で電子移動が生じて化合物1(または、化合物4、化合物7、化合物10)と化合物2(または、化合物5、化合物8、化合物11)とがカップリングされる。
上記説明図では、化合物1(または、化合物4、化合物7、化合物10)および化合物2(または、化合物5、化合物8、化合物11)がそれぞれ単量体の場合について記載されているが、化合物1(または、化合物4、化合物7、化合物10)および化合物2(または、化合物5、化合物8、化合物11)が多量体の場合であっても、反応部位の化学構造は同様であるので、同じメカニズムに基づいて、反応が進行すると考えられる。
(化合物3、化合物6、化合物9、または、化合物12の脱保護工程)
本願発明の方法に用いられた各化合物の保護基は、その保護の必要がなくなった後には、必要に応じて脱保護される。脱保護する方法としては、従来公知の方法を用いることが可能である。
具体的には、例えば、R、R、R14、R23、R28にアセチル基が存在する場合には、ナトリウムメトキシドを添加する方法などにより、アセチル基を脱離させることが可能である。この際に、溶媒としては、例えば、メタノールを使用することが可能である。
また、例えば、フェノール性水酸基にベンジル基が存在する場合には、水素雰囲気下、水酸化パラジウム(Pd(OH))を添加する方法などにより、ベンジル基を脱離させることが可能である。この際に、溶媒としては、例えば、THF、メタノール、水の混合溶媒を使用することが可能である。
【実施例】
【0017】
(実施例1:D−(+)−カテキンからのプロシアニジンB3の合成)
1日減圧乾燥したD−(+)−カテキン(1.45g、5.0mmol)をN,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)15mlに溶解し、炭酸カリウム(4.14g、30mmol、6.0当量)を加え、1時間攪拌した後、臭化ベンジル(2.4ml、20mmol、4.0当量)を滴下し、さらに一昼夜攪拌した。塩化アンモニウムで反応を止め、酢酸エチルで抽出し、水と飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過及び濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製し、化合物16(2.28g、67%)を得た。
(化合物16)
【化16】

(化合物16のスペクトルデータ)
赤外吸収スペクトル(film)cm−1:3427、3063、3031、2924、1617、1593、1498、1454、1428、1376、1263、1216、1176、1142、1116、1026、911、849、810、735、696、624
核磁気共鳴スペクトル(H−NMR、500.1MHz、CDCl)ppm:7.44−7.23(20H、m)、7.02(1H、s)、6.95(2H、s)、6.27(1H、d、J=2.2Hz)、6.21(1H、d、J=8.2Hz)、4.00(1H、m)、3.09(1H、dd、J=5.7、16.4Hz)、2.64(1H、dd、J=8.9、16.4Hz)、1.61(1H、s、br、OH)
核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR、125.8MHz、CDCl)ppm:158.6、157.3、155.3、149.4、149.2、137.2、137.04、136.96、136.93、131.0、128.6、128.52(×2)、128.49(×4)、127.90、127.87(×2)、127.52(×3)、127.51(×3)、127.3(×2)、127.1(×2)、120.6、115.1、114.0、102.3、94.5、93.9、81.6、71.4、71.3、70.2、70.0、68.2、60.4、27.6。
【0018】
化合物16(130mg、0.2mmol)を、メタノール、4molとジクロロメタン、 32 molとの混合溶媒に溶かし、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−パラ−ベンゾキノン(DDQ)(90.8mg、0.4mmol、2.0当量)を加え、2時間攪拌した。水で反応を止め、ジエチルエーテルで抽出し、水と食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過および濃縮後、PTLC(CHCl)によって精製し、化合物17(102.0mg、75%)を得た。
(化合物17)
【化17】

(化合物17のスペクトルデータ)
赤外吸収スペクトル(film)cm−1:3391、3063、3031、2909、2818、1615、1591、1514、1498、1454、1429、1378、1324、1264、1215、1188、1155、1118、1070、1051、1026、911、850、812、735、696、634
核磁気共鳴スペクトル(H−NMR、500.1MHz、CDCl)ppm:7.44−7.26(20H、m)、7.08(1H、d、J=1.8Hz)、6.98(2H、m)、6.27(1H、d、J=2.2Hz)、6.17(1H、d、J=2.2Hz)、5.18−5.13(4H、m)、5.08−4.96(4H、m)、4.93(1H、d、J=10.4Hz)、4.73(1H、d、J=3.5Hz)、3.88(1H、ddd、J=3.5、10.2、19.5Hz)、3.50(3H、s)、2.33(1H、d、J=9.2Hz、OH)
核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR、125.8MHz、CDCl)ppm:169.6、158.9、156.1、153.2、149.4、149.0、137.4、137.2、136.7、136.5、128.6(×4)、128.49(×2)、128.46(×4)、128.14、128.09、127.8、127.6、127.55(×3)、127.51(×3)、127.3(×3)、121.3、115.0、114.6、103.2、94.5、93.5、71.5、71.4、70.7、70.5、70.1、69.9、58.4。
【0019】
化合物17(68mg、0.1mmol)をピリジン(5ml)に溶かし、0℃の条件下でジメチルアミノピリジン(DMAP)を加え、無水酢酸(0.02ml、0.2mmol、2当量)を滴下し、2時間攪拌した。水で反応を止め、酢酸エチルで抽出し、水と飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過及び濃縮後、PTLC(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)によって精製し、化合物18(71.5mg、99%)を得た。
(化合物18)
【化18】

(化合物18のスペクトルデータ)
赤外吸収スペクトル(film)cm−1:3063、3031、2930、2828、1741、1615、1591、1513、1497、1454、1430、1373、1337、1315、1265、1230、1190、1150、1106、1081、1051、1027、912、853、813、734、696、621
核磁気共鳴スペクトル(H−NMR、500.1MHz、CDCl)ppm:7.47−7.24(20H、m)、7.07(1H、d、J=2.0Hz)、6.99(1H、dd、J=2.0、8.3Hz)、6.26(1H、d、J=2.3Hz)、6.15(1H、d、J=2.3Hz)、5.27−5.21(2H、m)、5.16(2H、s)、5.14(2H、s)、5.07(1H、d、J=11.2Hz)、4.99(1H、d、J=11.2Hz)、4.75(1H、d、J=2.4Hz)、3.46(3H、s)、1.81(3H、s)
核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR、125.8MHz、CDCl)ppm:169.6、160.6、158.5、155.7、149.2、148.8、137.2、137.1、136.6、136.5、130.5、128.6、128.5、128.4、128.1、128.0、127.8、127.7、127.5、127.4、127.3、121.3、114.7、103.2、94.3、93.7、74.3、72.6、71.2、70.4、70.1、69.2、59.1、20.7
【0020】
化合物16(65mg、0.1mmol)と化合物18(72mg、0.1mmol)とを、15mlのジクロロメタンに溶かし、室温で、イッテルビウムトリフラート(Yb(OTf))の粉末(32mg、0.1mmol)を加えた。2時間攪拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止した。反応混液を酢酸エチルで抽出し、有機層を水と飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過及び濃縮した後、薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)によって精製し、98%以上の高い光学純度で化合物19(42.9mg、64%)を得た。
(化合物19)
【化19】

(化合物19のスペクトルデータ)
赤外吸収スペクトル(film)cm−1:3523、3087、2909、2870、1731、1607、1511、1498、1454、1428、1373、1306、1264、1231、1139、1113、1063、1027、911、849、809、735、697、606
核磁気共鳴スペクトル(H−NMR、500.1MHz、CDCl、1:1混合物)ppm:7.49−6.37(46H、m)、6.22(0.5H、s)、6.19(0.5H、d、J=2.2)、6.07(0.5H、d、J=2.2Hz)、5.95(0.5H、t、J=9.8Hz)、5.94(0.5H、s)、5.82(0.5H、t、J=9.5Hz)、4.91(0.5H、d、J=9.0Hz)、4.78(0.5H、d、J=9.5Hz)、4.70(0.5H、d、J=9.8Hz)、4.62(0.5H、d、J=9.5Hz)、5.35−4.52(16.5H、m)、3.90(0.5H、m)、3.53(0.5H、dd、J=3.5Hz、9.0Hz)、3.29(0.5H、d、J=2.9Hz)、3.01(0.5H、dd、J=5.9Hz、16.1Hz)、2.82(0.5H、dd、J=5.1Hz、16.3Hz)、2.69(0.5H、dd、J=7.1Hz、16.3Hz)、2.31(0.5H、dd、J=9.8Hz、16.1Hz)、2.16(0.5H、br.s)、1.59(1.5H、s)、1.50(1.5H、s)、1.30(0.5H、br.s)
核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR、125.8MHz、CDCl)ppm:158.20、158.10、157.79、156.77、156.72、156.54、155.89、155.82、155.54、153.69、152.53、149.25、149.04、148.99、148.94、148.88、148.84、148.61、137.95、137.36、137.31、137.28、137.26、137.23、137.07、137.03、136.97、136.84、136.59、131.78、131.59、130.92、128.51、128.48、128.44、128.40、128.36、128.33、128.31、128.28、128.11、128.04、127.96、127.82、127.76、127.69、127.60、127.52、127.47、127.46、127.43、127.33、127.28、127.26、127.19、127.17、127.09、126.97、126.85、121.27、120.92、120.30、120.05、114.96、114.79、114.61、114.45、114.19、114.07、113.67、110.74、110.27、108.29、107.94、102.34、102.25、94.91、94.85、94.42、94.33、91.24、91.19、80.64、80.19、80.10、79.86、71.57、71.50、71.35、71.27、71.15、70.39、70.26、70.01、69.98、69.76、68.84、67.75、35.40、35.16、28.62、26.49、20.65、20.40
【0021】
化合物19(40.2mg、0.03mmol)を10mlのメタノールに溶かし、ナトリウムメトキシド(8.0mg、0.6mmol、20当量)を加え、60℃で還流しながら一昼夜攪拌した。薄層クロマトグラフィーで原料の喪失を確認し、反応混液を冷ました後、濃縮した。残査に塩化アンモニウムを加え、酢酸エチルで抽出し、水と飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過及び濃縮後、薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)によって精製し、化合物20(38.2mg、99%)を得た。
(化合物20)
【化20】

(化合物20のスペクトルデータ)
赤外吸収スペクトル(film)cm−1:3567、3062、3031、2928、2869、1732、1606、1510、1498、1454、1426、1377、1264、1215、1177、1112、1062、1026、910、850、809、736、697、623
核磁気共鳴スペクトル(H−NMR、500.1MHz、CDCl、2:1混合物)ppm:7.48−7.46(22.44H、m)、7.15−7.11(1.32H、m)、7.01−6.97(1.32H、m)、6.93−6.81(4.62H、m)、6.78(0.66H、s)、6.23(0.66H、s)、6.17(0.66H、d、J=2.4Hz)、6.09(0.66H、d、J=2.4Hz)、4.83−4.79(1.32H、m)、4.72−4.63(0.66H、m)、4.66(0.66H、d、J=8.8Hz)、4.53(0.66H、d、J=10.7Hz)、4.49(0.66H、d、J=9.8Hz)、4.28(0.66H、d、J=8.8Hz、9.8Hz)、3.67−3.61(0.66H、m)、3.58(0.66H、d、J=8.8Hz)、3.04(0.66H、dd、J=5.8Hz、16.3Hz)、2.37(0.66H、dd、J=9.2Hz、16.3Hz)、1.70−1.30(1.32H、m)
核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR、125.8MHz、CDCl)ppm:157.9、157.7、156.9、155.5、153.8、149.2、149.0、148.9、148.5、137.3、137.2(×2)、137.14、137.09(×2)、137.0、136.6、131.8、130.6、128.6、128.51、128.47、128.40(×4)、128.37(×2)、128.34、128.26、128.1、127.9、127.8、127.7、127.6、127.5、127.45(×2)、127.43、127.2(×2)、127.1(×2)、121.2、120.0、114.8、114.7、113.6、113.5、111.9、108.6、102.4、94.8、94.1、91.7、81.7、81.2、77.2、73.3、71.2、71.1、71.0、70.9、69.83、69.79、69.78、68.3、37.2、28.1
化合物20(38.2mg、0.029mmol)をテトラヒドロフラン:メタノール:水(20:1:1)の混合溶媒に溶解し、炭素保持上の水酸化パラジウム(20wt%、50mg)を加え、水素雰囲気下室温にて24時間攪拌した。反応溶液をろ過後、減圧下溶媒を留去し、PTLC(酢酸エチル:メタノール=20:1)により精製し、化合物21としてプロシアニジンB3(13.4mg、80%)を得た。
(化合物21(プロシアニジンB3))
【化21】

(化合物21(プロシアニジンB3)のスペクトルデータ)
核磁気共鳴スペクトル(H−NMR、500.1MHz、CDCl、2:1混合物)ppm:6.74(1H、d、J=1.9Hz)、6.68(2H、d、J=8.2Hz)、6.58(1H、d、J=1.9Hz)、6.48(1H、dd、J=1.9、8.2Hz)、6.26(1H、dd、J=1.8、8.2Hz)、6.08(0.67H、s)、5.95(0.33H、s)、5.89(0.67H、d、J=2.4Hz)、5.85(0.33H、d、J=2.3Hz)、5.82(0.33H、d、J=2.4Hz)、5.79(0.67H、d、J=2.4Hz)、4.75(0.33H、d、J=2.4、7.2Hz)、4.54(0.67H、d、J=7.3Hz)、4.41(1H、d、J=7.8Hz)、4.35(1H、dd、J=7.9、9.6Hz)、4.26(1H、d、J=9.7Hz)、4.08(0.33H、m)、3.78(0.67H、m)、2.82(0.33H、dd、J=5.6、16.1Hz)、2.76(0.67H、dd、J=5.5、16.2Hz)、2.59(0.33H、dd、J=7.4、16.1Hz)、2.49(0.67H、dd、J=8.0、16.2Hz)
核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR、125.8MHz、CDCl)ppm:158.68、157.15、155.90、155.68、154.93、146.17、145.82、145.65、145.51、132.68、132.45、131.93、121.09、120.70、120.23、119.96、116.49、116.28、116.13、115.58、115.28、108.24、107.25、102.34、97.64、97.41、96.96、96.34、96.18、84.14、83.98、83.00、82.50、73.34

(実施例2:(−)−エピカテキンからのプロシアニジンB2誘導体の合成方法)
(−)−エピカテキン(107mg、0.37mmol)をN,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)10mlに溶解し、炭酸カリウム(304mg、2.2mmol、6.0当量)を加え、時間攪拌した後、臭化ベンジル(0.18ml、1.5mmol、4.0当量)を滴下し、さらに一昼夜攪拌した。塩化アンモニウムで反応を止め、酢酸エチルで抽出し、水と飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過及び濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:ジクロロメタン=4:1:2)で精製し、化合物22(126mg、52%)を得た。
(化合物22)
【化22】

(化合物22のスペクトルデータ)
赤外吸収スペクトル(film)cm−1:3427、3063、3031、2924、1617、1593、1498、1454、1428、1376、1263、1216、1176、1142、1116、1026、911、849、810、735、696、624
核磁気共鳴スペクトル(H−NMR、500.1MHz、CDCl)ppm:7.45−7.26(20H、m)、7.15(1H、d、J=1.8Hz)、7.01(1H、dd、J=1.8、8.4Hz)、6.97(1H、d、J=8.3Hz)、6.97(1H、d、J=8.3Hz)、6.28(1H、d、J=2.3Hz)、6.27(1H、d、J=2.2Hz)、5.20−5.17(4H、m)、5.05−5.00(4H、m)、4.93(1H、d、J=10.0Hz)、4.21(1H、d、J=1.1Hz)、3.01(1H、dd、J=1.9、17.3Hz)、2.93(1H、dd、J=4.4、17.3Hz)、1.67(1H、d、J=5.82Hz、OH)
核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR、125.8MHz、CDCl)ppm:158.80、158.34、155.29、149.09、148.92、137.27、137.18、137.02、136.96、131.53、128.57(×2)、128.51(×2)、128.48(×2)、128.45(×2)、127.95、127.85、127.83、127.79、127.51(×4)、127.28(×2)、127.20(×2)、119.53、115.19、113.67、101.03、94.78、94.11、78.38、71.46、71.39、70.16、69.98、66.34、28.23
化合物22(126mg、0.19mmol)を、メタノール、0.25mlとジクロロメタン、2mlとの混合溶媒に溶かし、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−パラ−ベンゾキノン(DDQ)(88.1mg、0.38mmol、2.0当量)を加え、2時間攪拌した。水で反応を止め、ジエチルエーテルで抽出し、水と食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過および濃縮後、PTLC(ヘキサン:酢酸エチル:ジクロロメタン=4:1:2)によって精製し、化合物23(66.1mg、50%)を得た。
(化合物23)
【化23】

(化合物23のスペクトルデータ)
赤外吸収スペクトル(film)cm−1:3391、3063、3031、2909、2818、1615、1591、1514、1498、1454、1429、1378、1324、1264、1215、1188、1155、1118、1070、1051、1026、911、850、812、735、696、634
核磁気共鳴スペクトル(H−NMR、500.1MHz、CDCl)ppm:7.45−7.23(20H、m)、7.16(1H、d、J=1.9Hz)、7.04(1H、dd、J=1.8、8.4Hz)、6.98(1H、d、J=8.3Hz)、6.29(1H、d、J=2.2Hz)、6.26(1H、d、J=2.2Hz)、5.18(2H、s)、5.16(2H、s)、5.11−4.99(5H、m)、4.47(1H、d、J=2.8Hz)、3.96−3.94(1H、m)、3.46(3H、s)、1.55(1H、d、J=6.2Hz、OH)
核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR、125.8MHz、CDCl)ppm:160.63、159.86、155.97、149.13、148.94、137.25、137.18、136.77、136.72、131.02、128.57(×2)、128.49(×2)、128.46(×2)、128.43(×2)、128.00、127.95、127.82、127.78、127.52(×4)、127.49(×2)、127.26(×2)、119.72、115.21、113.88、101.92、94.47、94.18、74.82、71.48、71.43、71.37、70.29、70.09、68.16、57.27
化合物23(66.1mg、0.098mmol)をピリジン(0.02ml)に溶かし、0℃の条件下でジメチルアミノピリジン(DMAP)を加え、無水酢酸(0.02ml、0.19mmol、2当量)を滴下し、1時間攪拌した。水で反応を止め、酢酸エチルで抽出し、水と飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過及び濃縮後、PTLC(ヘキサン:酢酸エチル:ジクロロメタン=4:1:2)によって精製し、化合物24(40mg、57%)を得た。
(化合物24)
【化24】

(化合物24のスペクトルデータ)
赤外吸収スペクトル(film)cm−1:3063、3031、2930、2828、1741、1615、1591、1513、1497、1454、1430、1373、1337、1315、1265、1230、1190、1150、1106、1081、1051、1027、912、853、813、734、696、621
核磁気共鳴スペクトル(H−NMR、500.1MHz、CDCl)ppm:7.45−7.34(20H、m)、7.13(1H、s)、6.99(1H、dd、J=1.7、8.3Hz)、6.94(1H、d、J=8.3Hz)、6.30(1H、d、J=2.1Hz)、6.27(1H、d、J=2.1Hz)、5.24−5.00(10H、m)、4.35(1H、s)、3.53(3H、s)、1.82(3H、s)
核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR、125.8MHz、CDCl)ppm:169.95、160.55、159.47、156.09、148.97、148.91、137.25、137.22、136.69、136.67、130.65、128.57(×2)、128.50(×2)、128.43(×2)、128.42(×2)、128.00(×2)、127.77、127.74、127.50(×4)、127.38(×2)、127.28(×2)、119.99、114.91、114.00、102.07、94.40、94.08、73.77、71.51、71.31、70.29、70.07、69.51、68.88、57.51、20.80
化合物22(36mg、0.055mmol)と化合物24(40mg、0.055mmol)とを、5mlのジクロロメタンに溶かし、室温で、イッテルビウムトリフラート(Yb(OTf))の粉末(34mg、0.055mmol)を加えた。10時間攪拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止した。反応混液を酢酸エチルで抽出し、有機層を水と飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過及び濃縮した後、薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:ジクロロメタン=4:1:2)によって精製し、85%以上の高い光学純度で化合物25(プロシアニジンB2誘導体)(56mg、76%)を得た。
(化合物25(プロシアニジンB2誘導体))
【化25】

(化合物25(プロシアニジンB2誘導体)のスペクトルデータ)
赤外吸収スペクトル(film)cm−1:3523、3087、2909、2870、1731、1607、1511、1498、1454、1428、1373、1306、1264、1231、1139、1113、1063、1027、911、849、809、735、697、606
核磁気共鳴スペクトル(H−NMR、500.1MHz、CDCl、9:2混合物)ppm:7.43−6.80(43H、m)、6.44(0.82H、d、8.1Hz)、6.30(0.82H、s)、6.27(0.18H、d、J=1.92Hz)、6.23(0.18H、s)、6.19(0.18H、s)、6.12(0.18H、d、J=1.0Hz)、6.01(0.82H、br)、5.68(0.82H、br)、5.63(0.82H、br)、5.51(0.82H、br)、5.37(0.18H、br)、5.33(0.18H、br)、5.17−4.75(20.18H、m)、4.64(0.82、d、J=10.9Hz)、4.46(0.82H、d、J=11.3Hz)、4.21−4.04(0.36H、m)、3.88(0.82H、br)、3.02−2.88(2H、m)、1.70(2.46H、s)、1.65(0.18H、d、J=4.55Hz、OH)、1.49(0.82H、br、OH)、1.35(0.54H、s)
核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR、125.8MHz、CDCl)ppm:158.33、158.05、156.67、156.54、156.02、155.45、155.28、154.43、149.05、148.92、148.71、148.62、148.29、137.41、137.37、137.33、137.30、137.19、137.10、136.96、132.16、131.27、128.60、128.57、128.51、128.47、128.45、128.38、128.14、128.01、127.92、127.83、127.79、127.72、127.67、127.64、127.52、127.50、127.43、127.35、127.32、127.26、127.18、127.14、126.98、126.72、125.85、119.99、119.84、119.53、118.91、115.19、114.82、114.60、113.83、113.66、112.58、110.60、104.69、102.16、94.77、94.04、93.35、92.98、92.75、91.55、79.07、78.37、74.94、74.75、72.18、71.54、71.43、71.36、71.23、71.17、70.59、70.16、69.99、69.81、69.58、69.22、66.56、66.34、65.81、33.32、28.73、20.74、20.29
以下、実施例1と同様に化合物25のベンジル基およびメチル基の保護基を脱保護することにより、容易にプロシアニジンB2へ誘導することができる。
(実施例3:(+)−カテキンおよび(−)−エピカテキンからのプロシアニジンB4誘導体の合成方法)
実施例1で作成したカテキン由来の化合物18(50mg、0.069mmol)と実施例2で作成したエピカテキン由来の化合物22(45mg、0.069mmol)とを、5mlのジクロロメタンに溶かし、室温で、イッテルビウムトリフラート(Yb(OTf))の粉末(43mg、0.069mmol)を加えた。3時間攪拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止した。反応混液を酢酸エチルで抽出し、有機層を水と飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過及び濃縮した後、薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:ジクロロメタン=4:1:2)によって精製し、98%以上の高い光学純度で化合物26(プロシアニジンB4誘導体)(44mg、48%)を得た。
(化合物26(プロシアニジンB4誘導体))
【化26】

(化合物26(プロシアニジンB4誘導体)のスペクトルデータ)
赤外吸収スペクトル(film)cm−1:3523、3087、2909、2870、1731、1607、1511、1498、1454、1428、1373、1306、1264、1231、1139、1113、1063、1027、911、849、809、735、697、606
核磁気共鳴スペクトル(H−NMR、500.1MHz、CDCl、2:1混合物)ppm:7.44−6.77(44.65H、m)、6.60(0.33H、dd、J=1.5、8.3Hz)、6.23−6.21(2.01H、m)、6.13(0.67H、d、J=2.3Hz)、5.92−5.90(0.67H、m)、5.80−5.76(0.67H、m)、5.22−4.47(29.37H、m)、4.08(0.33H、br)、3.91(0.67H、br)、3.59(0.67H、br)、2.99−2.91(0.67H、m)、2.80(0.67H、d、J=16.8Hz)、2.56(0.67H、dd、J=4.5、17.1Hz)、1.57(2.01H、s)、1.50(0.99H、s)、1.44(0.33H、d、J=6.3Hz)、1.36(0.67H、d、J=5.8Hz)
核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR、125.8MHz、CDCl)ppm:169.21、158.30、158.14、157.82、156.66、156.31、156.22、156.05、155.78、153.21、149.06、149.02、148.94、148.81、148.47、137.43、137.39、137.36、137.31、137.29、137.25、137.19、137.13、137.08、136.94、136.56、132.45、131.03、131.93、128.67、128.55、128.51、128.49、128.47、128.38、128.33、128.11、128.07、127.90、127.88、127.84、127.77、127.68、127.62、127.58、127.52、127.47、127.44、127.34、127.28、127.25、127.11、127.02、126.88、121.28、120.92、119.75、119.03、115.11、114.83、114.78、114.01、113.52、111.10、110.59、108.48、108.05、102.17、100.48、94.92、04.34、91.61、91.39、80.19、79.94、78.24、73.26、71.75、71.46、71.38、71.28、71.22、71.15、70.87、70.66、70.36、70.23、70.19、70.01、69.95、69.63、66.79、65.86、35.30、35.12、28.59、20.64、20.39
(実施例4:(−)−エピカテキンおよび(+)−カテキンからのプロシアニジンB1誘導体の合成方法)
実施例2で作成したエピカテキン由来の化合物24(27mg、0.037mmol)と実施例1で作成したカテキン由来の化合物16(24mg、0.037mmol)とを、3mlのジクロロメタンに溶かし、室温で、イッテルビウムトリフラート(Yb(OTf))の粉末(23mg、0.037mmol)を加えた。3時間攪拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止した。反応混液を酢酸エチルで抽出し、有機層を水と飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過及び濃縮した後、薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:ジクロロメタン=4:1:2)によって精製し、80%以上の高い光学純度で化合物27(31mg、62%)を得た。
(化合物27(プロシアニジンB1誘導体))
【化27】

(化合物27(プロシアニジンB1誘導体)のスペクトルデータ)
赤外吸収スペクトル(film)cm−1:3523、3087、2909、2870、1731、1607、1511、1498、1454、1428、1373、1306、1264、1231、1139、1113、1063、1027、911、849、809、735、697、606
核磁気共鳴スペクトル(H−NMR、500.1MHz、CDCl、5:2混合物)ppm:7.43−6.75(43.29H、m)、6.51−6.49(0.71H、m)、6.30(0.71H、s)、6.22(0.29H、s)、6.18(0.29H、s)、6.12(0.29H、s)、6.03(0.71H、d、J=2.0Hz)、5.54(0.71H、d、J=2.0Hz)、5.52(0.71H、s)、5.45(0.71H、s)、5.37(0.29H、s)、5.26(0.29H、s)、5.08−4.51(20.58H、m)、3.78(0.71H、dd、J=9.1、16.0Hz)、3.65(0.71H、d、J=9.1Hz)、3.24(0.71H、dd、J=6.5、16.8Hz)、2.68(0.29H、dd、J=9.6、16.5Hz)、1.69(2.13H、s)、1.63(0.29H、br、OH)、1.53(0.87H、s)、1.27(0.71H、d、J=12.4Hz、OH)。
核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR、125.8MHz、CDCl)ppm:169.06、158.07、156.46、156.12、156.02、155.56、154.37、149.33、149.04、148.85、148.69、137.39、137.32、137.22、137.07、132.18、130.44、128.93、128.61、128.58、128.44、128.40、128.37、128.31、128.17、128.07、127.93、127.72、127.67、127.56、127.50、127.42、127.35、127.31、127.22、127.19、127.17、127.09、127.03、120.63、119.81、114.76、114.66、114.19、113.67、112.10、110.66、104.47、104.13、93.62、92.85、91.51、81.78、79.18、74.53、72.09、71.49、71.35、71.09、70.86、70.64、70.35、69.98、69.63、69.29、68.67、33.31、29.67、29.09、20.73
(実施例5:反応条件の検討)
本発明の反応の有効性を検証するため以下の実験を行った。以下の化学反応式1で示す反応において、原料を同じ等量ずつ、反応触媒としてのルイス酸として四塩化チタン(TiCl)、四フッ化チタン(TiF)、トリフルオロボラン・エーテルコンプレックス(BF・EtO)、ランタントリフラート(La(OTf))、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)、イッテルビウムトリフラート(Yb(OTf))、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)、カッパートリフラート(Cu(OTf))、インジウムトリフラート(In(OTf))、スカンジウムトリフラート(Sc(OTf))のいずれかを用い、20℃にて表1に示す条件で反応させ、その収率と光学純度を比較した。なお、実験手順としては、表1に示す条件以外は、それぞれ、上記実施例1と同様に行った。
(反応式1)
【化28】

【0022】
【表1】

原料物質1、原料物質2を1対1で反応させて生成物αを得る化学式1に示す反応において、20℃の反応条件において反応触媒のルイス酸としてランタントリフラート(La(OTf))、イッテルビウムトリフラート(Yb(OTf))、カッパートリフラート(Cu(OTf))、インジウムトリフラート(In(OTf))などの金属トリフラート、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)、またはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)を用いた場合、34%〜64%の高い収率でかつ、98%以上という非常に高い光学純度で主生成物αを得ることができる。反応触媒のルイス酸としてスカンジウムトリフラート(Sc(OTf))を用いた場合、50%という高い収率で主生成物αを得ることができるが、光学純度は87.5%以上となり、他の金属トリフラートと比較すると若干低下する。一方、既存法において使用されている反応触媒であるルイス酸である四塩化チタン(TiCl)を用いて20℃において原料物質1、原料物質2を1対1で反応させた場合、主生成物αの収率は36%であるが、α体の光学純度は約33%まで低下し、工業的に好ましくない。ルイス酸として四フッ化チタン(TiF)やトリフルオロボラン・エーテルコンプレックス(BF・EtO)を用いた場合、反応終了後に様々な夾雑物質が生成され、主生成物αは検出されない。従って、上記反応において反応触媒のルイス酸として、ランタントリフラート(La(OTf))、イッテルビウムトリフラート(Yb(OTf))、カッパートリフラート(Cu(OTf))、インジウムトリフラート(In(OTf))、スカンジウムトリフラート(Sc(OTf))などの金属トリフラート、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)またはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)を用いることで、20℃において原料物質1と原料物質2を等量ずつ反応させる条件においても効率的に光学純度の高い主生成物αを得ることができる。本反応は、カテキン重合体、もしくは、カテキンの光学異性体であるエピカテキン、エピカテキン重合体を原料物質として用いた場合も、反応機構は変わらないので、同様の効果が得られることが、容易に類推できる。
【0023】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明によれば、二種の異なるカテキンまたはエピカテキンの誘導体をカップリング反応させてカテキン重合体の誘導体を合成する際に反応触媒のルイス酸として金属トリフラート(すなわち、ランタントリフラート(La(OTf))やイッテルビウムトリフラート(Yb(OTf))、カッパートリフラート(Cu(OTf))、インジウムトリフラート(In(OTf))、スカンジウムトリフラート(Sc(OTf))のように金属原子にトリフラート(OTf)が結合した化合物)、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)、またはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)を用いて反応を行うことで、−20℃という低温に冷却する必要なく効率的にカテキンまたはエピカテキンより、プロシアニジンB3などのカテキン重合体を製造することができる。本発明の方法によれば、目的の光学異性体以外の光学異性体の生成率を劇的に低減することが可能となり、選択的に目的の光学異性体を得ることが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテキンの重合体を調製する方法であって、以下の化学式1で示す化合物と、以下の化学式2で示す化合物とを、反応触媒として金属トリフラート、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)の存在下で反応させて、以下の化学式3で示す化合物を得る工程を含む、方法:
(化学式1)
【化1】

(上記化学式1においてR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基であり、n=0〜13であり、n=1〜13の場合には、m=1であり、n=0の場合には、m=0または1である)
(化学式2)
【化2】

(上記化学式2においてR21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基であり、j=0〜13であり、j=1〜13の場合には、k=1であり、j=0の場合には、k=0または1である)。
(化学式3)
【化3】

【請求項2】
エピカテキンの重合体を調製する方法であって、以下の化学式4で示す化合物と、以下の化学式5で示す化合物とを、反応触媒として金属トリフラート、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)の存在下で反応させて、以下の化学式6で示す化合物を得る工程を含む、方法:
(化学式4)
【化4】

(上記化学式4においてR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基であり、n=0〜13であり、n=1〜13の場合には、m=1であり、n=0の場合には、m=0または1である)
(化学式5)
【化5】

(上記化学式5においてR21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基であり、j=0〜13であり、j=1〜13の場合には、k=1であり、j=0の場合には、k=0または1である)。
(化学式6)
【化6】

【請求項3】
エピカテキンとカテキンの重合体を調製する方法であって、以下の化学式7で示す化合物と、以下の化学式8で示す化合物とを、反応触媒として金属トリフラート、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)の存在下で反応させて、以下の化学式9で示す化合物を得る工程を含む、方法:
(化学式7)
【化7】

(上記化学式7においてR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基であり、n=0〜13であり、n=1〜13の場合には、m=1であり、n=0の場合には、m=0または1である)
(化学式8)
【化8】

(上記化学式8においてR21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基であり、j=0〜13であり、j=1〜13の場合には、k=1であり、j=0の場合には、k=0または1である)。
(化学式9)
【化9】

【請求項4】
カテキンとエピカテキンの重合体を調製する方法であって、以下の化学式10で示す化合物と、以下の化学式11で示す化合物とを、反応触媒として金属トリフラート、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)の存在下で反応させて、以下の化学式12で示す化合物を得る工程を含む、方法:
(化学式10)
【化10】

(上記化学式10においてR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基であり、n=0〜13であり、n=1〜13の場合には、m=1であり、n=0の場合には、m=0または1である)
(化学式11)
【化11】

(上記化学式11においてR21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34は、それぞれ独立して、遊離の水酸基も遊離のカルボシキシル基も有さない基であり、j=0〜13であり、j=1〜13の場合には、k=1であり、j=0の場合には、k=0または1である)。
(化学式12)
【化12】

【請求項5】
請求項1〜請求項4いずれか一項に記載の方法であって、R13がメチルである、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、R14がアセチルである、方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項4いずれか一項に記載の方法であって、n、m、j、kの和が0〜14である、方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項4いずれか一項に記載の方法であって、n=m=j=k=0である、方法。
【請求項9】
請求項1〜請求項4いずれか一項に記載の方法であって、化学式1で示す化合物1モルに対して、化学式2で示す化合物0.8〜1.2モルを反応させる、方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法であって、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R15、R16、R21、R22、R24、R25、R26、R27、R29、R30、R31、R32、R33、およびR34がベンジルであり、R、R、R14、R23、R28がアセチルであり、R13がメチルである方法。
【請求項11】
請求項1〜請求項4いずれか一項に記載の方法であって、0℃〜30℃の温度において反応が行われる、方法。
【請求項12】
請求項1〜請求項4いずれか一項に記載の方法であって、前記反応触媒が、イッテルビウムトリフラート(Yb(OTf))、インジウムトリフラート(In(OTf))、カッパートリフラート(Cu(OTf))、ランタントリフラート(La(OTf))、スカンジウムトリフラート(Sc(OTf))、四フッ素化ホウ素銀(AgBF)またはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(B(C)である、方法。

【公開番号】特開2007−84536(P2007−84536A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231322(P2006−231322)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(300029569)ゲオール化学株式会社 (12)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【Fターム(参考)】