説明

プロジェクタおよびプロジェクタの光軸調整方法

【課題】複数色のレーザ光の光束の光軸が一致した状態を維持することのできるプロジェクタおよび複数色のレーザ光の光束の光軸調整方法を提供する。
【解決手段】第1の光出力ユニット31は、第1の光源11と第1のプリズム17とが一体化され、第2の光出力ユニット32は、第2の光源13と第2のプリズム18とが一体化され、第3の光出力ユニット33は、第3の光源15と第3のプリズム19とが一体化されている。第1のプリズム17の第1の面34と第2のプリズム18の第2の面35とが第1の膜20を介して接着剤で接着され、第1の膜20で、緑色のレーザ光は通過し、かつ青色のレーザ光は反射する。第2のプリズム18の第3の面36と第3のプリズム19の第4の面37とが第2の膜21を介して接着剤で接着され、第2の膜21で、緑色のレーザ光および青色のレーザ光は通過し、赤色のレーザ光は反射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタおよびプロジェクタの光軸調整方法に関し、特に複数色のレーザ光を出力するプロジェクタおよびそのようなプロジェクタの光軸調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プロジェクタの小型化のために、様々な技術が提案されている。
たとえば、特許文献1に記載のプロジェクタは、光源チップと、光源チップの周りの半球を実質的に囲むように配設される光学的に透過性のビーム形成要素とが一体化されている。
【0003】
また、特許文献2に記載のプロジェクタは、RGB3色のLED光源からの光束を色合成手段により合成した後ライトパイプへ導き、ライトパイプからの出射光をライトパイプに略密着して配置される映像表示装置に照射し、映像表示素子からの映像光を投射レンズにより拡大投影する。ここで、ライトパイプは、色合成手段と映像表示素子を含む複数の光学素子を保持する構造体である光学ケースと一体の構造としている。
【0004】
また、特許文献3に記載のプロジェクタは、リアクティブ素子と、リアクティブ素子から出射した電磁波を画素ごとに変調する変調部とを備え、リアクティブ素子と、変調部とが、光透過性を有する接着剤によって互いに一体化されている。
【特許文献1】特表2006−527392号公報
【特許文献2】特開2005−208183号公報
【特許文献3】特開2005−309286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の技術では、以下のような問題を解決することができない。
【0006】
図7は、従来のレーザー出力部の構成を表わす図である。
図7を参照して、プリズムホルダ67は、プリズム57,58,59,50を固定する。レンズホルダ61は、コリメートレンズ52を固定し、プリズムホルダ67に接着される。レンズホルダ63は、コリメートレンズ54を固定し、プリズムホルダ67に接着される。レンズホルダ65は、コリメートレンズ56を固定し、プリズムホルダ67に接着される。
【0007】
プリズム58の一面には、青色のレーザ光のみを反射する薄膜81が形成されている。また、プリズム60の一面には、赤色のレーザ光のみを反射する薄膜80が形成されている。
【0008】
緑色のレーザ光源51は、Z軸方向に緑色のレーザ光を出力する。青色のレーザ光源53は、X軸方向に青色のレーザ光を出力する。赤色のレーザ光源55は、X軸方向に赤色のレーザ光を出力する。
【0009】
緑色のレーザ光の光束、青色のレーザ光の光束、および赤色のレーザ光の光束の光軸を一致させることが必要となるが、これは次のようにして行なわれる。
【0010】
緑色のレーザ光源51をX軸およびY軸方向に移動させ、かつ青色のレーザ光源53をZ軸およびY軸方向に移動させることによって、緑色のレーザ光の光束の光軸と、青色のレーザ光の光束の光軸が一致した箇所を見つける。そして、その一致した箇所で、緑色のレーザ光源51をレンズホルダ61に接着剤70a、70b、70c(図示せず)で固定させ、青色のレーザ光源53をレンズホルダ63に接着剤71a、71b、71c(図示せず)で固定させる。
【0011】
次に、赤色のレーザ光源55をZ軸およびY軸方向に移動させることによって、緑色および青色のレーザ光の光束の光軸と、赤色のレーザ光の光束の光軸が一致した箇所を見つける。そして、その一致した箇所で、赤色のレーザ光源55をレンズホルダ65に接着剤72a、72b、72c(図示せず)で固定させる。
【0012】
このように、光源とレンズホルダとが3点接触式で接着剤で固定されているため、接着剤が温度などの影響で硬化収縮し、その結果一致するように調整された複数色のレーザ光の光束の光軸がずれることがある。
【0013】
図8(a)は、図7のレーザー出力部の光軸調整後の初期状態の緑色のレーザ光源51のレンズホルダ61への接着状態を表わす図である。
【0014】
図8(b)は、図7のレーザー出力部の光軸調整後、一定期間経過後の緑色のレーザ光源51のレンズホルダ61への接着状態を表わす図である。
【0015】
図8(b)に示すように、接着剤70bが温度などの影響によって硬化収縮し、それによって接着剤70cが引っ張られて伸張している。その結果、光軸調整よって一致していた緑色のレーザ光の光束の光軸が、赤色および青色のレーザ光の光束の光軸とずれてしまう。
【0016】
それゆえに、本発明の目的は、複数色のレーザ光の光束の光軸が一致した状態を維持することのできるプロジェクタおよび複数色のレーザ光の光束の光軸調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明は、第1の色、第2の色および第3の色のレーザ光を投射するプロジェクタにおいて、第1の色のレーザ光を第1の方向へ出力する第1の光源と、第1の光源から出力された第1の色のレーザ光を受ける第1のプリズムとが一体化された第1の光出力ユニットと、第2の色のレーザ光を第1の方向と直交する第2の方向へ出力する第2の光源と、第2の光源から出力された第2の色のレーザ光を受ける第2のプリズムとが一体化された第2の光出力ユニットと、第3の色のレーザ光を第2の方向へ出力する第3の光源と、第3の光源から出力された第3の色のレーザ光を受ける第3のプリズムとが一体化された第3の光出力ユニットとを備え、第1のプリズムの第1の色のレーザ光を受ける面のうち、第1の光源から遠い方の面である第1の面は、第1の方向および第2の方向と直交する方向である第3の方向に平行であり、かつ第1の方向および第2の方向と45度の角度をなし、第2のプリズムの第2の色のレーザ光を受ける面のうち、第2の光源から遠い方の面である第2の面は、第3の方向に平行であり、かつ第1の方向および第2の方向と45度の角度をなし、第2のプリズムの第2の面の対面である第3の面は、第3の方向に平行であり、第1の方向および第2の方向と45度の角度をなし、第3のプリズムの第3の色のレーザ光を受ける面のうち、第3の光源から遠い方の面である第4の面は、第3の方向に平行であり、かつ第1の方向および第2の方向と45度の角度をなし、第1の面と第2の面とが第1の膜を介して接着剤で接着され、第1の膜で、第1の色のレーザ光は通過し、かつ第2の色のレーザ光は反射し、第3の面と第4の面とが第2の膜を介して接着剤で接着され、第2の膜で、第1の色のレーザ光および第2の色のレーザ光は通過し、第3の色のレーザ光は反射することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、第1の色、第2の色および第3の色のレーザ光を投射するプロジェクタにおける光軸調整方法において、プロジェクタは、第1の色のレーザ光を出力する第1の光源と、第1の光源から出力された第1の色のレーザ光を受ける第1のプリズムとが一体化された第1の光学ユニットと、第2の色のレーザ光を出力する第2の光源と、第2の光源から出力された第2の色のレーザ光を受ける第2のプリズムとが一体化された第2の光学ユニットと、第3の色のレーザ光を出力する第3の光源と、第3の光源から出力された第3の色のレーザ光を受ける第3のプリズムとが一体化された第3の光学ユニットとを備え、第1のプリズムの第1の色のレーザ光を受ける面のうち、第1の光源から遠い方の面である第1の面は、第1の色のレーザ光が出力される方向と45度の角度をなし、第2のプリズムの第2の色のレーザ光を受ける面のうち、第2の光源から遠い方の面である第2の面は、第2の色のレーザ光が出力される方向と45度の角度をなし、第2のプリズムの第2の面の対面である第3の面は、第2の色のレーザ光が出力される方向と45度の角度をなし、第3のプリズムの第3の色のレーザ光を受ける面のうち、第3の光源から遠い方の面である第4の面は、第3の色のレーザ光が出力される方向と45度の角度をなし、第1の面または第2の面には、第1の色のレーザ光を通過し、第2の色のレーザ光を反射する第1の薄膜が形成され、第3の面または第4の面には、第1の色のレーザ光および第2の色のレーザ光を通過し、第3の色のレーザ光を反射する第2の薄膜が形成されており、光軸調整方法は、第1のプリズムの第1の面と第1の薄膜との間、または第2のプリズムの第2の面と第1の薄膜との間に第1の紫外線硬化接着剤を塗布するステップと、第1のプリズムと第2のプリズムとを第1の薄膜および第1の紫外線硬化接着剤を挟んで接触させた状態でスライドさせて第1の色のレーザ光の軸と第2の色のレーザ光の軸が一致した箇所で、第1の紫外線硬化接着剤に紫外線を照射するステップと、第2のプリズムの第3の面と第2の薄膜との間、または第3のプリズムの第4の面と第2の薄膜との間に第2の紫外線硬化接着剤を塗布するステップと、第2のプリズムと第3のプリズムとを第2の薄膜および第2の紫外線硬化接着剤を挟んで接触させた状態でスライドさせて第1の色のレーザ光および第2の色のレーザ光の軸と第3の色のレーザ光の軸が一致した箇所で、第2の紫外線硬化接着剤に紫外線を照射するステップとを備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明のプロジェクタおよびプロジェクタの光軸調整方法によれば、複数色のレーザ光の光束の光軸が一致した状態を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。
(構成)
図1は、本発明の実施形態のプロジェクタの構成を表わす図である。
【0021】
図1を参照して、プロジェクタ100は、フロントエンド用FPGA(Field Programmable Gate Array)310と、デジタル信号プロセッサ320と、操作パネル330と、バックエンドブロック340と、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)344と、ビデオRAM345と、レーザ制御回路351,352,353と、緑色LD(Laser Diode)361と、赤青LD362と、レーザー出力部5と、検出器370と、ガルバノミラー372と、駆動部373とを備える。駆動部373は、たとえば、駆動モータ、コイル等により構成される。
【0022】
フロントエンド用FPGA310は、データ/階調変換器314と、タイミングコントローラ311と、データコントローラ312と、ビットデータ変換器313とを含む。デジタル信号プロセッサ320は、ミラーサーボクロック321と、変換器322とを含む。赤青LD362は、赤色のLDと青色のLDとが一体として構成されているが、別個に構成されているものでもよい。
【0023】
操作パネル330は、プロジェクタ100の筐体の表面あるいは側面に設けられる。操作パネル330は、たとえば、操作内容を表示するディスプレイ装置(図示しない)と、プロジェクタ100に対する操作入力を受け付けるスイッチ(たとえばプラス・マイナスボタン)とを含む。操作パネル330は、操作を受け付けると、当該操作に応じた信号をバックエンドブロック340のCPU341に送出する。
【0024】
プロジェクタ100の外部から与えられた画像信号は、ビデオインターフェイス342に入力される。また、ある局面において、プロジェクタ100は、外部インターフェイス343を備える。外部インターフェイス343は、たとえばSDカード380の装着を受け付ける。外部インターフェイス343は、SDカード380からデータを読み出し、そのデータは、SDRAM344あるいはビデオRAM345に格納される。
【0025】
CPU341は、操作パネル330に対して与えられた操作入力に基づいて、ビデオインターフェイス342、外部インターフェイス343を介してプロジェクタ100に入力された信号に基づく映像の投影を制御する。より詳しくは、CPU341は、フロントエンド用FPGA310のタイミングコントローラ311と相互に通信することにより、ビデオRAM345に一時的に保持されている画像データに基づく映像の表示を制御する。
【0026】
フロントエンド用FPGA310において、タイミングコントローラ311は、CPU341から送られる指令に基づいてデータコントローラ312を介してビデオRAM345に保持されているデータを読み出す。データコントローラ312は、その読み出したデータをビットデータ変換器313に送出する。ビットデータ変換器313は、タイミングコントローラ311からの命令に基づいて、そのデータをデータ/階調変換器314に送出する。ビットデータ変換器313は、外部から与えられた画像データを、レーザ発光によって投影するための形式に適合した形式に変換する。
【0027】
データ/階調変換器314は、ビットデータ変換器313から出力されたデータを、G、R、Bの3色として表示するための色の階調に変換し、変換後のデータを、レーザ制御回路351,352,353にそれぞれ送出する。
【0028】
一方、タイミングコントローラ311は、デジタル信号プロセッサ320との間で二軸ガルバノミラー372の駆動を制御する。より具体的には、タイミングコントローラ311は、ミラーサーボブロック321に命令を送出して、駆動部373を駆動する。駆動部373は、その命令に従って、二軸ガルバノミラー372の位置および傾きを変更する。
【0029】
また、変換器322は、タイミングコントローラ311から送られる信号に基づいて、CCDセンサ110から送られる信号をA/D(Analog to Digital)変換し、変換後の
デジタルデータをCPU341に送出する。たとえば、CCDセンサ110がその撮影可能な範囲にある被写体を撮影すると、その被写体の画像信号は、CPU341に送られる。CPU341は、CCDセンサ110によって撮影された画像を表示する設定が有効である場合には、そのデータに基づく画像を表示するようにタイミングコントローラ311に命令を送信する。
【0030】
また、変換器322は、ミラーサーボブロック321から送られる信号を、CPU341に伝送する。たとえば、変換器322は、駆動部373に対して与えられている命令と、駆動部373の状態とを含む信号を生成し、その信号をCPU341に送出する。
【0031】
レーザ制御回路351は、データ/階調変換器314から送られる信号に基づいて緑LD361の駆動を制御する。同様に、レーザ制御回路352,353は、データ/階調変換器314から送られる命令に従って、赤LDと青LDとのそれぞれを制御する。緑LD361、赤青LD362は、それぞれその制御に応じてレーザ光を発する。
【0032】
レーザー出力部5は、偏光ビームスプリッタ363は、緑LD361から発せられるレーザ光の光路上に配置されている。偏光ビームスプリッタ363は、緑LD361を透過する。また、偏光ビームスプリッタ363は、赤青LD362を一部透過し、一部反射する。検出器370は、赤青LD362から発せられる各レーザ光の光路上に配置されている。
【0033】
各レーザ光は、レンズ371を介して一定範囲に集められ、二軸ガルバノミラー372によって反射される。その反射光は、プロジェクタ100の外部に投影される。このとき、二軸ガルバノミラー372は、駆動部373の駆動によってその傾きを変更する。
【0034】
図2は、図1のレーザー出力部5の概観を表わす図である。図3は、図2のレーザ出力部5の断面図である。
【0035】
図2および図3を参照して、X軸、Y軸、Z軸は、互いに直交する軸であり、X軸は紙面の縦方向であり、Z軸は紙面の横方向であり、Y軸は、紙面に垂直な方向である。
【0036】
レーザー出力部5は、第1の光出力ユニット31と、第2の光出力ユニット32と、第3の光出力ユニット33とを備える。
【0037】
第1の光出力ユニット31は、第1の光源11と、第1のコリメートレンズ12と、第1のプリズム17とが一体化されたものである。具体的には、第1のホルダ22は、第1の光源11と第1のコリメートレンズ12とを固定する。第1のホルダ22と第1の光源11とは面接触しており、その接触面が接着剤で接着されている。また、第1のホルダ22と第1のコリメートレンズ12とは面接触しており、その接触面が接着剤で接着されている。第1のプリズム17の緑色のレーザ光を受ける2つの面のうち近い方の面と、第1のホルダ22とは面接触しており、その接触面が接着剤で接着されている。
【0038】
第1の光源11は、緑色のレーザ光をZ軸方向へ出力する。第1のコリメートレンズ12は、第1の光源11から出力された緑色のレーザ光を平行光にする。
【0039】
第1のプリズム17は、第1の光源11から出力され、第1のコリメートレンズ12で平行にされた緑色のレーザ光を受ける。
【0040】
第1のプリズム17の緑色のレーザ光を受ける2つの面のうち、遠い方の面である第1の面34は、Y軸と平行である。また、第1の面34と、X軸とのなす角およびZ軸とのなす角は、45度である。つまり、第1の面34は、X軸の正方向から反時計回りに45度回転した軸に平行である。
【0041】
第2の光出力ユニット32は、第2の光源13と、第2のコリメートレンズ14と、第2のプリズム18とが一体化されたものである。具体的には、第2のホルダ23は、第2の光源13と第2のコリメートレンズ14とを固定する。第2のホルダ23と第2の光源13とは面接触しており、その接触面が接着剤で接着されている。また、第2のホルダ23と第2のコリメートレンズ14とは面接触しており、その接触面が接着剤で接着されている。また、第2のプリズム18の青色のレーザ光を受ける2つの面のうち近い方の面と、第2のホルダ23とは面接触しており、その接触面が接着剤で接着されている。
【0042】
第2の光源13は、青色のレーザ光をX軸方向へ出力する。第2のコリメートレンズ14は、第2の光源13から出力された青色のレーザ光を平行光にする。
【0043】
第2のプリズム18は、第2の光源13から出力され、第2のコリメートレンズ14で平行にされた青色のレーザ光を受ける。
【0044】
第2のプリズム18の青色のレーザ光を受ける2つの面のうち、遠い方の面である第2の面35は、Y軸と平行である。また、第2の面35と、X軸とのなす角およびZ軸とのなす角は、45度である。つまり、第2の面35は、X軸の正方向から反時計回りに45度回転した軸に平行である。
【0045】
第2のプリズム18の第2の面35の対面である第3の面36は、Y軸と平行である。また、第3の面36と、X軸とのなす角およびZ軸とのなす角は、45度である。つまり、第3の面36は、X軸の正方向から反時計回りに45度回転した軸に平行である。
【0046】
第3の光出力ユニット33は、第3の光源15と、第3のコリメートレンズ16と、第3のプリズム19とが一体化されたものである。具体的には、第3のホルダ24は、第3の光源15と第3のコリメートレンズ16とを固定する。第3のホルダ24と第3の光源15とは面接触しており、その接触面が接着剤で接着されている。また、第3のホルダ24と第3のコリメートレンズ16とは面接触しており、その接触面が接着剤で接着されている。また、第3のプリズム19の赤色のレーザ光を受ける2つの面のうち近い方の面と、第3のホルダ24とは面接触しており、その接触面が接着剤で接着されている。
【0047】
第3の光源15は、赤色のレーザ光をX軸方向へ出力する。第3のコリメートレンズ16は、第3の光源15から出力された赤色のレーザ光を平行光にする。
【0048】
第3のプリズム19は、第3の光源15から出力され、第3のコリメートレンズ16で平行にされた赤色のレーザ光を受ける。
【0049】
第3のプリズム19の赤色のレーザ光を受ける2つの面のうち、遠い方の面である第4の面37は、Y軸と平行である。また、第4の面37とX軸とのなす角およびZ軸とのなす角は、45度である。つまり、第4の面37は、X軸の正方向から反時計回りに45度回転した軸に平行である。
【0050】
第2のプリズム18の第2の面35には、青色の光のみを反射する第1の薄膜20が形成されている。第3のプリズム19の第4の面37には、赤色の光のみを反射する第2の薄膜21が形成されている。
【0051】
第1の光源11からZ軸方向へ出力された緑色のレーザ光は、第1の薄膜20および第2の薄膜21を通過する。第2の光源13からZ軸方向へ出力された青色のレーザ光は、第1の薄膜20で反射して、Z軸方向へ向かい、第2の薄膜21を通過する。第3の光源15からZ軸方向へ出力された赤色のレーザ光は、第2の薄膜21で反射して、Z軸方向へ向かう。
【0052】
第1のプリズム17の第1の面34と、第2のプリズム18の第2の面35に形成された第1の薄膜34が、紫外線硬化接着剤で接着されている。これらが接着する位置は、第1の光源11から出力された緑色のレーザ光の光束の光軸と、第2の光源13から出力され、第1の薄膜20で反射した青色のレーザ光の光束の光軸とが一致するような位置である。
【0053】
第2のプリズム18の第3の面36と、第3のプリズム19の第4の面37に形成された第2の薄膜21が、紫外線硬化接着剤で接着されている。これらが接着する位置は、第1の光源11から出力された緑色のレーザ光の光束の光軸および第2の光源13から出力され、第1の薄膜20で反射した青色のレーザ光の光束の光軸と、第3の光源15から出力され、第2の薄膜21で反射した赤色のレーザ光の光束の光軸とが一致するような位置である。
【0054】
(光軸調整方法)
図4は、3色のレーザ光の光束の光軸を一致させる光軸調整方法の手順を表わすフローチャートである。
【0055】
図5は、図4のステップS101〜S103を説明するための図である。
図6は、図4のステップS104〜S106を説明するための図である。
【0056】
図4、図5および図6を参照して、まず、第1の光出力ユニット31、第2の光出力ユニット32、および第3の光出力ユニット33を準備する(ステップS101)。
【0057】
次に、第2の光出力ユニット32の第2のプリズム18の第2の面35に形成された第1の薄膜20に第1の紫外線硬化接着剤41を塗布する(ステップS102)。
【0058】
次に、第1の光出力ユニット31の第1のプリズム17の第1の面34と第1の薄膜20とを接触させた状態で、第1のプリズム17および第2のプリズム18を2次元にスライドさせて、緑色のレーザ光の光束の光軸と青色のレーザ光の光束の光軸とが一致した箇所を見つける(ステップS103)。
【0059】
次に、緑色のレーザ光の光束の光軸と青色のレーザ光の光束の光軸が一致した状態で、紫外線を第1の紫外線硬化接着剤41に照射して、紫外線硬化接着剤41を硬化させ、第1の薄膜20と第1のプリズム17とを接着させる。これにより、第1の光出力ユニット31と第2の光出力ユニット32とが接着される(ステップS104)。
【0060】
次に、第3の光出力ユニット33の第3のプリズム19の第4の面37に形成された第2の薄膜21に第2の紫外線硬化接着剤42を塗布する(ステップS105)。
【0061】
次に、第2の光出力ユニット32の第2のプリズム18の第3の面36と第2の薄膜21とを接触させた状態で、第2のプリズム18および第3のプリズム19を2次元にスライドさせて、緑色および青色のレーザ光の光束の光軸と赤色のレーザ光の光束の光軸とが一致した箇所を見つける(ステップS106)。
【0062】
次に、緑色および青色のレーザ光の光束の光軸と赤色のレーザ光の光束の光軸が一致した状態で、紫外線を紫外線硬化接着剤42に照射して、第2の紫外線硬化接着剤42を硬化させ、第2の薄膜21と第2のプリズム18とを接着させる。これにより、第2の光出力ユニット32と第3の光出力ユニット33とが接着される(ステップS107)。
【0063】
以上のように、本発明の実施形態によれば、複数色のレーザ光の光束の光軸が一致した状態を設定した後、位置を固定するために接着剤で接着される箇所は、従来のように接着されるものどうしが点接触した箇所ではなく、面接触した箇所であるので、接着剤が温度などの影響で硬化収縮したとしても、接着剤で接着したものの位置が変化せず、一致するように調整した光軸がずれてしまうことがない。
【0064】
(変形例)
本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、たとえば以下のような変形例を含む。
【0065】
(1)薄膜、紫外線硬化接着剤
本発明の実施形態では、第1の薄膜20は、第2のプリズム18の第2の面35に形成されるものとしたが、これに限定するものではなく、第1のプリズム17の第1の面34に形成されるものとしてもよい。
【0066】
同様に、本発明の実施形態では、第2の薄膜21は、第3のプリズム19の第4の面37に形成されるものとしたが、これに限定するものではなく、第2のプリズム18の第3の面36に形成されるものとしてもよい。
【0067】
また、紫外線硬化接着剤41を第1の薄膜20に塗布するものとしたが、これに限定するものではなく、第1の面34に塗布するものとしてもよい。第1の薄膜20が第1の面34に形成される場合には、第2の面35に塗布するものとしてもよい。
【0068】
また、紫外線硬化接着剤42を第1の薄膜21に塗布するものとしたが、これに限定するものではなく、第3の面36に塗布するものとしてもよい。第2の薄膜21が第3の面36に形成される場合には、第4の面37に塗布するものとしてもよい。
【0069】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態のプロジェクタの構成を表わす図である。
【図2】図1のレーザー出力部の概観を表わす図である。
【図3】図2のレーザ出力部5の断面図である。
【図4】3色のレーザ光の光束の光軸を一致させる光軸調整方法の手順を表わすフローチャートである。
【図5】図4のステップS101〜S103を説明するための図である。
【図6】図4のステップS104〜S106を説明するための図である。
【図7】従来のレーザー出力部の構成を表わす図である。
【図8】(a)は、図7のレーザー出力部の光軸調整後の初期状態の緑色のレーザ光源のレンズホルダへの接着状態を表わす図である。(b)は、図7のレーザー出力部の光軸調整後、一定期間経過後の緑色のレーザ光源のレンズホルダへの接着状態を表わす図である。
【符号の説明】
【0071】
5 レーザー出力部、11,51 緑色のレーザ光源、13,53 青色のレーザ光源、15,55 赤色のレーザ光源、12 第1のコリメートレンズ、14 第2のコリメートレンズ、16 第3のコリメートレンズ、17 第1のプリズム、18 第2のプリズム、19 第3のプリズム、20 第1の薄膜、21 第2の薄膜、22 第1のレンズホルダ、23 第2のレンズホルダ、24 第3のレンズホルダ、31 第1の光出力ユニット、32 第2の光出力ユニット、33 第3の光出力ユニット、34 第1の面、35 第2の面、36 第3の面、37 第4の面、41 第2の紫外線硬化接着剤、42 第2の紫外線硬化接着剤、52,54,56 コリメートレンズ、57,58,59,60 プリズム、17,67 プリズムホルダ、61,63,65 レンズホルダ、70a、70b,70c,71a,71b,72a,72b 接着剤、80,81 薄膜、100 レーザプロジェクタ、110 CCDセンサ、310 フロントエンド用FPGA、311 タイミングコントローラ、312 データコントローラ、313 ビットデータ変換器、314 データ/階調変換器、320 DSP、321 ミラーサーボブロック、322 変換器、340 バックエンドブロック、341 CPU、342 Video I/F、343 外部I/F、344 SD RAM、345 Video RAM、351,352,353 レーザ制御回路、361 緑色LD(Laser Diode)、362 赤青LD、363 偏光ビームスプリッタ、370 検出器、371 レンズ、372 ガルバノミラー、373 アクチュエータ、380 SDカード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の色、第2の色および第3の色のレーザ光を投射するプロジェクタにおいて、
前記第1の色のレーザ光を第1の方向へ出力する第1の光源と、前記第1の光源から出力された第1の色のレーザ光を受ける第1のプリズムとが一体化された第1の光出力ユニットと、
前記第2の色のレーザ光を第1の方向と直交する第2の方向へ出力する第2の光源と、前記第2の光源から出力された第2の色のレーザ光を受ける第2のプリズムとが一体化された第2の光出力ユニットと、
前記第3の色のレーザ光を第2の方向へ出力する第3の光源と、前記第3の光源から出力された第3の色のレーザ光を受ける第3のプリズムとが一体化された第3の光出力ユニットとを備え、
前記第1のプリズムの前記第1の色のレーザ光を受ける面のうち、前記第1の光源から遠い方の面である第1の面は、前記第1の方向および前記第2の方向と直交する方向である第3の方向に平行であり、かつ前記第1の方向および前記第2の方向と45度の角度をなし、
前記第2のプリズムの第2の色のレーザ光を受ける面のうち、前記第2の光源から遠い方の面である第2の面は、前記第3の方向に平行であり、かつ前記第1の方向および前記第2の方向と45度の角度をなし、
前記第2のプリズムの前記第2の面の対面である第3の面は、前記第3の方向に平行であり、前記第1の方向および前記第2の方向と45度の角度をなし、
前記第3のプリズムの第3の色のレーザ光を受ける面のうち、前記第3の光源から遠い方の面である第4の面は、前記第3の方向に平行であり、かつ前記第1の方向および前記第2の方向と45度の角度をなし、
前記第1の面と前記第2の面とが第1の膜を介して接着剤で接着され、前記第1の膜で、前記第1の色のレーザ光は通過し、かつ前記第2の色のレーザ光は反射し、
前記第3の面と前記第4の面とが第2の膜を介して接着剤で接着され、前記第2の膜で、前記第1の色のレーザ光および前記第2の色のレーザ光は通過し、前記第3の色のレーザ光は反射することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
第1の色、第2の色および第3の色のレーザ光を投射するプロジェクタにおける光軸調整方法において、
前記プロジェクタは、
前記第1の色のレーザ光を出力する第1の光源と、前記第1の光源から出力された第1の色のレーザ光を受ける第1のプリズムとが一体化された第1の光学ユニットと、
前記第2の色のレーザ光を出力する第2の光源と、前記第2の光源から出力された第2の色のレーザ光を受ける第2のプリズムとが一体化された第2の光学ユニットと、
前記第3の色のレーザ光を出力する第3の光源と、前記第3の光源から出力された第3の色のレーザ光を受ける第3のプリズムとが一体化された第3の光学ユニットとを備え、
前記第1のプリズムの前記第1の色のレーザ光を受ける面のうち、前記第1の光源から遠い方の面である第1の面は、前記第1の色のレーザ光が出力される方向と45度の角度をなし、
前記第2のプリズムの前記第2の色のレーザ光を受ける面のうち、前記第2の光源から遠い方の面である第2の面は、前記第2の色のレーザ光が出力される方向と45度の角度をなし、
前記第2のプリズムの前記第2の面の対面である第3の面は、前記第2の色のレーザ光が出力される方向と45度の角度をなし、
前記第3のプリズムの前記第3の色のレーザ光を受ける面のうち、前記第3の光源から遠い方の面である第4の面は、前記第3の色のレーザ光が出力される方向と45度の角度をなし、
前記第1の面または前記第2の面には、前記第1の色のレーザ光を通過し、前記第2の色のレーザ光を反射する第1の薄膜が形成され、
前記第3の面または前記第4の面には、前記第1の色のレーザ光および前記第2の色のレーザ光を通過し、前記第3の色のレーザ光を反射する第2の薄膜が形成されており、
前記光軸調整方法は、
前記第1のプリズムの前記第1の面と前記第1の薄膜との間、または前記第2のプリズムの前記第2の面と前記第1の薄膜との間に第1の紫外線硬化接着剤を塗布するステップと、
前記第1のプリズムと前記第2のプリズムとを前記第1の薄膜および前記第1の紫外線硬化接着剤を挟んで接触させた状態でスライドさせて前記第1の色のレーザ光の軸と前記第2の色のレーザ光の軸が一致した箇所で、前記第1の紫外線硬化接着剤に紫外線を照射するステップと、
前記第2のプリズムの前記第3の面と前記第2の薄膜との間、または前記第3のプリズムの前記第4の面と前記第2の薄膜との間に第2の紫外線硬化接着剤を塗布するステップと、
前記第2のプリズムと前記第3のプリズムとを前記第2の薄膜および前記第2の紫外線硬化接着剤を挟んで接触させた状態でスライドさせて前記第1の色のレーザ光および前記第2の色のレーザ光の軸と前記第3の色のレーザ光の軸が一致した箇所で、前記第2の紫外線硬化接着剤に紫外線を照射するステップとを備える、プロジェクタの光軸調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−175426(P2009−175426A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13834(P2008−13834)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】