説明

プロジェクター及び画像表示装置

【課題】支持状態を調整するための操作を容易に行うことが可能なプロジェクター及び画像表示装置を提供する。
【解決手段】ガイド画像Pgの中央よりも上側の領域には、プロジェクター1と、これを支持している状態の支持装置2を表す斜視図Dが描かれており、ガイド画像Pgの右上の領域には、1〜6の番号が付された6つのイラストG1〜G6が含まれている。6つのイラストG1〜G6は、それぞれプロジェクター1の支持状態に関わる6つの調整項目に対応し、各調整項目を調整した場合に投写画像がどのように変化するのかを表している。斜視図Dは、支持装置2の6つの調整項目を調整する調整操作部の位置を明示するとともに、調整操作部と調整項目(イラストG1〜G6)との対応を示すための説明図であり、斜視図Dには、各調整操作部の近傍に1〜6の番号が吹き出しによって付されている。そして、この番号は、イラストG1〜G6に付された番号に対応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から射出された光を変調して投写するプロジェクター、及びこのプロジェクターを備えた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光を変調して投写するプロジェクターを支持して、壁面や天井等に設置可能とする支持装置(天吊り装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような支持装置には、プロジェクターの支持状態(位置や傾き等)を調整するための調整機構が備えられており、ユーザーは、調整機構を操作することによって、表示される画像の位置、大きさ、形状等を調整(補正)することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−2610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような支持装置において、調整機構の操作は、慣れていないユーザーにとっては分かりにくく、簡単な操作ではない。このため、マニュアル(印刷物)を参照しながら作業しなければならない場合も多く、調整作業、即ちプロジェクターの設置作業に手間取ってしまうという問題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、プロジェクターの支持状態を調整するための複数の調整操作部を備える支持装置に支持されるプロジェクターであって、画像情報に応じて変調された光を投写して画像を表示する投写部と、前記複数の調整操作部による調整を案内するガイド画像を表示させるガイド表示部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
このプロジェクターによれば、プロジェクターを支持する支持装置に備わる複数の調整操作部による支持状態の調整を案内するガイド画像を表示するため、ユーザーは、表示されるガイド画像を見ながら支持状態を調整することが可能となり、調整操作を容易に行うことが可能となる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記ガイド画像は、前記複数の調整操作部の位置を明示するための説明図を含んでいることが望ましい。
【0009】
このプロジェクターによれば、ガイド画像が、調整操作部の位置を明示するための説明図を含んでいるため、操作すべき調整操作部の位置を容易に認識することが可能となる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記ガイド画像は、前記複数の調整操作部と、前記プロジェクターの支持状態に関わる複数の調整項目との対応を示す複数のイラストを含んでいることが望ましい。
【0011】
このプロジェクターによれば、ガイド画像が、調整操作部と調整項目との対応を示す複数のイラストを含んでいるため、どの調整操作部を操作すれば、どの調整項目が調整されるのかを容易に認識することが可能となる。
【0012】
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記イラストは、前記調整項目を調整した場合の投写画像の変化を表していることが望ましい。
【0013】
このプロジェクターによれば、調整項目を表すイラストが、調整項目を調整した場合の投写画像の変化を表しているため、投写画像を見ながら調整を行う場合に、調整すべき調整項目を容易に認識することが可能となる。
【0014】
[適用例5]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記ガイド画像は、前記説明図に示されている前記調整操作部と、当該調整操作部に対応する前記イラストの双方に、前記支持状態の調整を行う際の順序を表す記号が付されていることが望ましい。
【0015】
このプロジェクターによれば、説明図内の調整操作部と、この調整操作部に対応するイラストの双方に、支持状態の調整を行う際の順序を表す記号が付されているため、調整操作部とイラストとの対応を容易に認識することが可能になるとともに、調整の操作手順を容易に認識することが可能となる。
【0016】
[適用例6]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記ガイド画像は、前記プロジェクターの支持状態を認識しやすくするためのテストパターンを含んでいることが望ましい。
【0017】
このプロジェクターによれば、プロジェクターの支持状態を認識しやすくするためのテストパターンがガイド画像に含まれているため、支持状態の調整が一層容易になる。
【0018】
[適用例7]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記ガイド画像を自動的に表示させるか否かを表す情報を記憶する記憶部と、起動時に前記記憶部から前記情報を読み出して、前記情報に基づく制御を行う制御部と、を備えることが望ましい。
【0019】
このプロジェクターによれば、起動時に自動的にガイド画像を表示させることができるため、支持装置の調整作業を効率的に行うことが可能となる。
【0020】
[適用例8]本適用例に係る画像表示装置は、上記適用例に係るプロジェクターと、前記プロジェクターを支持する支持装置と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
この画像表示装置によれば、上記プロジェクターと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】画像表示装置の概略構成を示す図であり、(a)は、正面図、(b)は、側面図。
【図2】支持装置を示す斜視図。
【図3】支持装置を示す斜視図。
【図4】支持装置の分解斜視図。
【図5】保持機構の斜視図であり、(a)は、右側の斜め上方から見た図、(b)は、左側の斜め上方から見た図。
【図6】プロジェクターの概略構成を示すブロック図。
【図7】第1実施形態において、電源がオンのときのプロジェクターの動作を説明するフローチャート。
【図8】ガイド画像を示す図。
【図9】第2実施形態において、電源がオンのときのプロジェクターの動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態の画像表示装置について、図面を参照して説明する。
【0024】
〔全体構成〕
図1は、本実施形態の画像表示装置の概略構成を示す図であり、(a)は、正面図、(b)は、側面図である。
図1(a)、(b)に示すように、画像表示装置100は、プロジェクター1と、支持装置2とを備えて構成されている。プロジェクター1は、壁面Wに配置されたスクリーンSCに光を投写して画像を表示するものであり、支持装置2は、スクリーンSCの上方で壁面Wに固定され、プロジェクター1を壁面Wから離間させて支持する。なお、これ以降、壁面Wに対する法線方向のうちプロジェクター1側から壁面Wに向かう方向を前方向(+Y方向)、壁面Wから離れる方向を後ろ方向(−Y方向)とし、鉛直方向のうち重力に逆らう方向を上方向(+Z方向)、重力方向を下方向(−Z方向)とし、壁面Wに向かって右側の方向を右方向(+X方向)、左側の方向を左方向(−X方向)とする。
【0025】
プロジェクター1は、投写光を広角化するための凹面ミラー15(図6参照)を備えた短焦点型のプロジェクターであり、スクリーンSCに対して近距離から光を投写して大画面で画像を表示することができる。そして、図示するように、プロジェクター1は、上面1Aが支持装置2によって支持されて、下面1Bに設けられた投写窓1Cから、斜め下側のスクリーンSCに向けて光を投写する。
【0026】
〔支持装置の構成〕
図2及び図3は、支持装置2を示す斜視図であり、図2には、プロジェクター1を支持した状態の支持装置2が示されている。また、図4は、支持装置2の分解斜視図である。
図2〜図4に示すように、支持装置2は、ベース部5と、第1アーム6と、第2アーム7と、保持機構8を備えている。
【0027】
ベース部5は、壁面Wに固定されて第1アーム6を支持するものであり、第1アーム6を昇降させるための駆動軸57が装着される。ベース部5は、板金で形成された3つの矩形状の部材がネジ51で連結された構成になっており、中央に位置するベース部本体5aと、ベース部本体5aの左側に連結された左側部材5bと、ベース部本体5aの右側に連結された右側部材5cとを含んで構成されている。ベース部本体5a、左側部材5b及び右側部材5cには、それぞれを壁面Wに固定するためのネジ(図示せず)が挿通される複数の孔52が形成されている。
【0028】
ベース部本体5aは、壁面Wに沿って、即ちXZ平面に沿って配置される平面部53を備えており、平面部53の上下端及び左右端は、それぞれ−Y方向に屈曲している。平面部53の下端で屈曲する下面部54には、駆動軸57が装着される凹部54aが形成され、平面部53の上端で屈曲する上面部55には、駆動軸57の先端が挿通される貫通孔55aが形成されている。
【0029】
駆動軸57は、長尺の六角ボルトであり、軸の外周には、ネジ溝(図示省略)が形成されている。駆動軸57は、その先端が上面部55の貫通孔55aから突出し、駆動軸57の頭部57aが下面部54の凹部54aの下側に位置するように、ベース部本体5aに装着される。なお、駆動軸57には、頭部57aと所定の距離を隔ててナット(ダブルナット)58が螺合されており、駆動軸57は、頭部57aとナット58で下面部54を挟むようにベース部本体5aに装着される。
【0030】
平面部53の左右両端で屈曲する左右の一対の側面部56には、上下方向に長い2つの長孔56a,56bが設けられている。長孔56a,56bは、上下方向に沿って直線上に並ぶように設けられており、長孔56aは、長孔56bの上方に位置している。
【0031】
第1アーム6は、ベース部5に取り付けられる基部61と、基部61から−Y方向に突出するアーム支持部66とを有しており、これらは板金で形成されている。第1アーム6は、駆動軸57の回転によって、ベース部5に対して上下方向にスライド可能に構成されている。
【0032】
基部61は、ベース部本体5aの平面部53に対向する平面視矩形状の基部本体62と、基部本体62の左右端部から+Y方向に屈曲された側面部63(図4参照)とを有している。また、基部本体62の上端寄りには、アーム支持部66の基端部が配置される矩形状の開口部62aが形成されている。
【0033】
左右の側面部63は、ベース部本体5aの左右の側面部56の内側に位置するように形成されている。左右の側面部63には、ベース部本体5aの長孔56a,56bからそれぞれ露出する2つの孔63Hが設けられており、左右の側面部63の内側には、孔63Hに対応する位置にナット63Nが固定されている。また、基部61は、基部本体62の上端から+Y方向に屈曲された上面部64と、基部本体62の下端から+Y方向に屈曲された下面部65(図3参照)を有している。そして、この上面部64と下面部65には、駆動軸57に挿通されて、その外周のネジに係合する孔64H,65H(孔65Hについては不図示)が形成されている。
【0034】
アーム支持部66は、一方の端部(基端部)が基部61の開口部62aに挿入され、他方の端部(先端部)が−Y方向に突出するように基部61に固定されている。アーム支持部66は、XY平面に沿う底面部67と、底面部67の左右両端から上方向に起立する起立部68と、底面部67と略平行で、左右の起立部68の上端から互いに近接する方向に屈曲された左右の上面部69とを有している。そして、左右の上面部69には、前後方向に沿って延出するガイド孔69Hが形成されている。
【0035】
第1アーム6は、上記のように構成されており、上面部64及び下面部65の孔64H,65Hに挿通した駆動軸57とともにベース部本体5aに装着され、案内ネジ30及び固定ネジ41が、ベース部本体5aの長孔56a,56bを通って挿通されてベース部本体5aに固定される。案内ネジ30は、左側(−X側)の側面部56の長孔56a,56b、及び右側(+X側)の側面部56の下側の長孔56bに挿通され、固定ネジ41は、右側(+X側)の側面部56の上側の長孔56aに挿通される。
【0036】
案内ネジ30は、詳細な図示は省略するが、先端側にネジ溝が形成され、ネジ頭側の基端部は、ネジ溝が形成されていない円柱形状の非ネジ部が設けられている。案内ネジ30は、この非ネジ部が長孔56a,56bの周縁部に当接して第1アーム6を案内する。
【0037】
第1アーム6は、固定ネジ41が緩められ、スパナー等によって駆動軸57が回転されると、回転の方向に応じて上下方向にスライドする。第1アーム6は、スライドされる際に、案内ネジ30の非ネジ部が長孔56a,56bの周縁部と摺動して滑らかに移動する。そして、第1アーム6は、固定ネジ41が締められると、移動された位置に固定される。
【0038】
第2アーム7は、板金製のアーム本体71と、合成樹脂製の先端カバー75とを備えている。第2アーム7は、第1アーム6に対して前後方向にスライド可能に形成され、スライドされることによって、第1アーム6に対する突出量が変更される。また、第2アーム7には、保持機構8が取り付けられる。
【0039】
アーム本体71は、アーム支持部66の底面部67、起立部68、及び左右の上面部69の内側にそれぞれ位置する底面部72、起立部73、及び左右の上面部74を有し、アーム支持部66に挿通される。
【0040】
左右の上面部74のそれぞれには、第1アーム6のガイド孔69Hから露出し、案内ネジ31及び固定ネジ42(図4参照)が螺合する2つのネジ孔(図示省略)が、前後方向に並ぶように設けられている。そして、左右の上面部74に2つずつ設けられたネジ孔のうち、前側(+Y側)のネジ孔には、案内ネジ31が螺合され、後側(−Y側)のネジ孔には、固定ネジ42が螺合される。案内ネジ31は、案内ネジ30と同様に、先端側にネジ溝が形成され、ネジ頭側の基端部に非ネジ部が設けられている。
【0041】
案内ネジ31は、第2アーム7がスライドされる際に、この非ネジ部がガイド孔69Hの周縁部に当接して第2アーム7を滑らかに案内する。固定ネジ42は、所望の位置にスライドされた第2アーム7を固定する。
【0042】
なお、案内ネジ31及び固定ネジ42は、第2アーム7が第1アーム6に挿通された後、ガイド孔69Hから挿通されて上面部74のネジ孔に螺合されるが、図4においては、第2アーム7と第1アーム6とが分解された状態において、案内ネジ31及び固定ネジ42が上面部74のネジ孔に螺合された状態を示している。
【0043】
また、左右の上面部74には、保持機構8を取り付けるための3組のネジ孔74a,74b,74cが設けられている。これらのネジ孔74a,74b,74cは、この順序で前側(+Y側)から後側(−Y側)に向かって配列されており、ネジ孔74a,74b間の距離と、ネジ孔74b,74c間の距離は等しくなっている。
【0044】
先端カバー75は、支持装置2の美観や安全性を向上させるためのカバー部材であり、アーム本体71の−Y側端部に配置される。
【0045】
第2アーム7は、上記のように構成されており、第1アーム6に挿通された後、第1アーム6のガイド孔69Hから案内ネジ31及び固定ネジ42が挿通されて第1アーム6に固定される。第2アーム7は、固定ネジ42が緩められることによってスライド可能となり、前述したように、スライドされる際には、案内ネジ31の非ネジ部がガイド孔69Hの周縁部と摺動して滑らかに移動する。そして、第2アーム7は、固定ネジ42が締められると、移動された位置に固定される。
【0046】
〔保持機構の構成〕
保持機構8は、第2アーム7に固定されて、プロジェクター1を支持するものであり、プロジェクター1の上面1Aに固定される固定部材81と、固定部材81と第2アーム7とを連結する調整機構9とを備えている。
【0047】
図5は、保持機構8の斜視図であり、(a)は、右側の斜め上方から見た図、(b)は、左側の斜め上方から見た図である。
図5(a)、(b)に示すように、固定部材81は、板金で形成されおり、プロジェクター1の左右方向の位置を調整可能とするために、プロジェクター1に固定された状態で、調整機構9に対して左右方向にスライド可能に構成されている。
【0048】
固定部材81は、プロジェクター1の上面1A(図2参照)と略平行に形成された底面部811と、底面部811の前後両端から上方向に起立する起立部812と、底面部811と略平行で、前後の起立部812の上端から互いに近接する方向に屈曲された前後の上面部813を有している。底面部811には、プロジェクター1の上面1Aに設けられたネジ穴に対応する複数の挿通孔811Hが形成され、前側(−Y側)の起立部812には、左右方向(±X方向)に沿う長孔812Hが形成されている。
【0049】
固定部材81は、底面部811の挿通孔811Hに固定ネジ44(図2参照)が挿通され、プロジェクター1に固定される。そして、固定部材81は、上面部813が調整機構9(後述する第1プレート91)に係止され、調整機構9(第1プレート91)に対して左右方向にスライド可能となっている。そして、固定部材81は、長孔812Hに2つの固定ネジ43が挿通されて調整機構9(第1プレート91)に固定される。
【0050】
調整機構9は、プロジェクター1の姿勢(傾き)の調整が可能に構成されている。具体的には、調整機構9は、X軸を中心とする回転方向の微調整(上下チルト調整)、Y軸を中心とする回転方向の微調整(水平ロール調整)、及びZ軸を中心とする回転方向の微調整(水平回転調整)が可能に構成されている。
【0051】
調整機構9は、第1プレート91、第2プレート92、第3プレート93、回転機構94、第1シャフト95、第2シャフト96、第3シャフト97及び3つのコイルバネ98等を備えている。そして、第1シャフト95、第2シャフト96、第3シャフト97の端部には、ダイヤル951、ダイヤル961、ダイヤル971がそれぞれ取り付けられている。
【0052】
第1プレート91、第2プレート92及び第3プレート93は、板金で形成されている。
第1プレート91は、前述したように、固定部材81がX方向にスライド可能に構成されている。第1プレート91は、固定部材81の上面部813が係止される平坦部911と、この平坦部911の−Y側端部から下方に屈曲され、固定部材81の−Y側の起立部812の内側に位置する屈曲部912とを有している。そして、この屈曲部912には、固定部材81の長孔812Hから露出する2つのネジ孔(図示省略)が形成されており、固定ネジ43によって固定部材81が固定される。
【0053】
第2プレート92は、第1プレート91がZ軸を中心として回転可能となるように、第1プレート91の平坦部911の下方に接続される。
【0054】
第3プレート93は、調整機構9の上側の部位を構成するものであり、第2アーム7の上面部74(図2参照)に固定される。第3プレート93は、上面部74に載置される載置部931と、載置部931の前後両端から上方に屈曲された一対の上屈曲部932と、載置部931の左右両端から下方に屈曲された一対の下屈曲部933とを有している。
【0055】
載置部931には、ネジが挿通される2組の挿通孔93ab,93bcが設けられている。挿通孔93ab,93bcは、第2アーム7の3組のネジ孔74a,74b,74c(図4参照)のうち、隣り合う2組のネジ孔に対応するように形成されている。つまり、保持機構8は、挿通孔93ab,93bcからネジ孔74a,74bが露出する位置(第1の取り付け位置)と、挿通孔93ab,93bcからネジ孔74b,74cが露出する位置(第2の取り付け位置)のうち、所望の位置で第2アーム7に取り付けできるようになっている。
【0056】
回転機構94は、第3プレート93の一対の下屈曲部933の間に配置され、第2プレート92と第3プレート93とを連結し、第2プレート92が第3プレート93に対してX軸及びY軸を中心として回転可能に構成されている。
【0057】
詳細な説明は省略するが、第1シャフト95は、中心軸がY方向に沿い、第1プレート91及び第2プレート92に設けられた屈曲部に架橋され、コイルバネ98によって付勢されて配置される。第2シャフト96は、中心軸がX方向に沿い、第2プレート92及び回転機構94に設けられた屈曲部に架橋され、コイルバネ98によって付勢されて配置される。第3シャフト97は、中心軸がY方向に沿い、第3プレート93及び回転機構94に設けられた屈曲部に架橋され、コイルバネ98によって付勢されて配置される。上述したように、第1シャフト95、第2シャフト96、及び第3シャフト97の端部にはそれぞれダイヤル951,961,971が取り付けられており、ユーザーは、ダイヤル951,961,971を回転操作することによって、それぞれ第1シャフト95、第2シャフト96、及び第3シャフト97を回転させることができるようになっている。
【0058】
保持機構8は、上記のように構成されており、第3プレート93が第2アーム7の上面部74の第1の取り付け位置、又は第2の取り付け位置のいずれかの位置に載置された後に、挿通孔93ab,93bcに挿通された固定ネジ45(図2参照)によって第2アーム7の上面部74に固定される。
【0059】
〔支持装置の調整方法〕
ここで、図2及び図5を参照して、支持装置2の調整操作について説明する。
ユーザーは、固定ネジ41を緩めた後で、駆動軸57を回転させることにより、第1アーム6をベース部5に対して上下方向(±Z方向)にスライドさせることができる。つまり、ユーザーは、固定ネジ41及び駆動軸57の操作によって、プロジェクター1の位置を±Z方向に調整することが可能であり、この調整により、投写画像、即ち投写によって表示される画像を上下に移動させることができる。
【0060】
また、ユーザーは、固定ネジ42を緩めることにより、第2アーム7を第1アーム6に対して前後方向(±Y方向)にスライドさせることができる。つまり、ユーザーは、固定ネジ42の操作によって、プロジェクター1の位置を±Y方向に調整することが可能であり、この調整により、投写画像のサイズを変化させることができる。具体的には、プロジェクター1が前方(スクリーンSCに近づく方向)に移動した場合には投写画像は縮小し、プロジェクター1が後方(スクリーンSCから離れる方向)に移動した場合には投写画像は拡大する。
【0061】
また、ユーザーは、固定ネジ43を緩めることにより、固定部材81を調整機構9に対して左右方向(±X方向)にスライドさせることができる。つまり、ユーザーは、固定ネジ43の操作によって、プロジェクター1の位置を±X方向に調整することが可能であり、この調整により、投写画像を左右に移動させることができる。
【0062】
また、ユーザーは、ダイヤル951を回すことにより、第1プレート91を第2プレート92に対してZ軸を中心として回転させることができる。そして、第1プレート91に固定されている固定部材81とともに、プロジェクター1もZ軸を中心として回転し、プロジェクター1の水平回転調整が行われる。つまり、ユーザーは、ダイヤル951の操作によって、プロジェクター1のZ軸周りの角度(傾き)を調整することが可能であり、この調整により、投写画像の左右方向の台形歪を補正することができる。
【0063】
また、ユーザーは、ダイヤル961を回すことにより、第1プレート91及び第2プレート92を、回転機構94に対してY軸を中心として回転させることができる。そして、第1プレート91に固定されている固定部材81とともに、プロジェクター1もY軸を中心として回転し、プロジェクター1の水平ロール調整が行われる。つまり、ユーザーは、ダイヤル961の操作によって、プロジェクター1のY軸周りの角度(傾き)を調整することが可能であり、この調整により、スクリーンSC内での投写画像の回転(傾き)を補正することができる。
【0064】
また、ユーザーは、ダイヤル971を回すことにより、第1プレート91及び第2プレート92を、回転機構94に対してX軸を中心として回転させることができる。そして、第1プレート91に固定されている固定部材81とともに、プロジェクター1もX軸を中心として回転し、プロジェクター1の上下チルト調整が行われる。つまり、ユーザーは、ダイヤル971の操作によって、プロジェクター1のX軸周りの角度(傾き)を調整することが可能であり、この調整により、投写画像の上下方向の台形歪を補正することができる。
【0065】
このように、支持装置2は、プロジェクター1の支持状態に関わる調整項目として、±X方向の位置、±Y方向の位置、±Z方向の位置、X軸周りの角度、Y軸周りの角度、Z軸周りの角度の6つの調整項目を調整可能になっている。そして、ユーザーは、固定ネジ41,42,43、駆動軸57、ダイヤル951,961,971を操作することによって、これらの調整項目を調整することができる。このため、固定ネジ41,42,43、駆動軸57、ダイヤル951,961,971は、プロジェクター1の位置や角度等の支持状態を調整するための調整操作部に相当する。具体的には、固定ネジ41及び駆動軸57は、±Z方向の位置を調整するための調整操作部に相当し、固定ネジ42は、±Y方向の位置を調整するための調整操作部に相当し、固定ネジ43は、±X方向の位置を調整するための調整操作部に相当する。また、ダイヤル951は、Z軸周りの角度を調整するための調整操作部に相当し、ダイヤル961は、Y軸周りの角度を調整するための調整操作部に相当し、ダイヤル971は、X軸周りの角度を調整するための調整操作部に相当する。
【0066】
〔プロジェクターの構成〕
次に、プロジェクター1の構成について説明する。
図6は、プロジェクター1の概略構成を示すブロック図である。
図6に示すように、プロジェクター1は、投写部10、制御部20、入力操作部21、画像情報入力部22、画像処理部23、光源制御部24、電源回路25等を備えている。
【0067】
投写部10は、光源としての光源装置11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12B、投写光学装置13、液晶駆動部16等で構成されている。投写部10は、光源装置11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで変調し、投写光学装置13によって投写してスクリーンSCに画像を表示する。
【0068】
光源装置11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aを含んで構成されている。光源装置11から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
【0069】
液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された透過型の液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、複数の画素(図示せず)がマトリックス状に配列された矩形状の画素領域12aを備えており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。そして、液晶駆動部16が、入力される画像情報に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源装置11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの画素領域12aを透過することにより、画像情報に応じて色光毎に変調される。変調された各色光は、図示しない色合成光学系によって合成される。
【0070】
投写光学装置13は、レンズ14と、反射部としての凹面ミラー15とを備えて構成され、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bによって変調された光を、凹面ミラー15で広角化してスクリーンSCに投写する。
【0071】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)20aと、制御プログラムや設定データ等が記憶される記憶部としての不揮発性のROM(Read Only Memory)20bと、データの一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)20cとを備えている。制御部20は、コンピューターとして機能するものであり、CPU20aが、ROM20bに記憶されている制御プログラムを実行し、必要な情報をRAM20cに一時記憶しながら演算処理を行うことによってプロジェクター1の動作を制御する。また、ROM20bには、プロジェクター1を設置する際に利用されるガイド画像Pg(図8参照)を表示するための画像情報(ガイド画像情報)が記憶されている。
【0072】
入力操作部21は、ユーザーの入力操作を受け付けるものであり、ユーザーがプロジェクター1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。ユーザーが入力操作部21の各種操作キーを操作すると、入力操作部21は、この操作を受け付けて、操作された操作キーに対応する制御信号を制御部20に出力する。そして、制御部20は、入力操作部21から制御信号が入力されると、入力された制御信号に基づく処理を行って、プロジェクター1の動作を制御する。なお、遠隔操作が可能なリモコンを用いた構成とすることも可能であり、この場合には、リモコンも入力操作部21に相当する。そして、リモコンがユーザーの入力操作を受け付けて、操作内容に応じた赤外線の操作信号をプロジェクター1の本体に発信すると、図示しない受信部がこれを受信して制御部20に伝達する。
【0073】
画像情報入力部22は、複数の入力端子を備えており、これらの入力端子には、ビデオ再生装置やパーソナルコンピューター等、図示しない外部の画像供給装置から各種形式の画像情報が入力される。画像情報入力部22は、入力された画像情報を画像処理部23に出力する。
【0074】
画像処理部23は、画像情報入力部22から入力される画像情報を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの各画素の階調を表す画像情報、即ち各画素に印加する駆動電圧を規定するための画像情報に変換する。ここで、変換された画像情報は、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの各画素に対応する複数の画素値を含んでいる。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素から射出される光の輝度が規定される。さらに、画像処理部23は、制御部20の指示に基づいて、変換した画像情報に対して、明るさ、コントラスト、シャープネス、色合い等の画質を調整するための画質調整処理等を行い、処理後の画像情報を液晶駆動部16に出力する。
【0075】
また、画像処理部23は、上記の画像情報の代わりに、ROM20bに記憶されているガイド画像情報を液晶駆動部16に出力することもできる。制御部20が、画像処理部23にガイド画像情報を出力して、ガイド画像Pgの表示を指示すると、画像処理部23は、入力されたガイド画像情報を液晶駆動部16に出力して、投写部10からガイド画像Pgに対応する光を投写させる。このように、画像処理部23は、画像情報入力部22に入力された画像情報に基づく画像(入力画像)を表示する状態と、ガイド画像情報に基づくガイド画像Pgを表示する状態とを、制御部20の指示に応じて切り換えることができる。
【0076】
そして、液晶駆動部16が、画像処理部23から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動すると、光源装置11から射出された光は、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bによって画像情報に応じて変調され、投写光学装置13から投写される。
【0077】
光源制御部24は、制御部20の指示に基づいて光源装置11(光源ランプ11a)の点灯を制御する。具体的には、光源制御部24は、光源ランプ11aに所定の電力を供給することにより光源ランプ11aを点灯させるとともに、電力の供給を停止して光源ランプ11aを消灯させることができる。
【0078】
電源回路25には、外部からAC100V等の商用電源(図示せず)が供給される。電源回路25は、商用電源(交流電源)を所定の電圧の直流電源に変換して、プロジェクター1の各部に電力を供給する(各部への供給経路については、図示を省略する)。また、電源回路25は、制御部20の指示に基づいて、光の投写に必要な電力(動作電力)を各部に供給する状態(電源がオンの状態)と、動作電力の供給を停止して、電源をオンにするための操作を待機する状態(スタンバイ状態)とを切り換えることができる。
【0079】
〔プロジェクターの動作〕
プロジェクター1に商用電源が供給されると、電源回路25は、少なくとも制御部20及び入力操作部21に待機電力(スタンバイ電力)の供給を行い、制御部20は、この電力供給を受けて、制御プログラムに従った動作を開始する。商用電源が供給された直後には、プロジェクター1は、スタンバイ状態(「電源がオフの状態」ともいう。)であり、光源ランプ11aを消灯させた状態で、電源をオンにするための操作(オン操作)を待機する。
【0080】
図7は、電源がオンのときのプロジェクター1の動作を説明するフローチャートである。スタンバイ状態において、ユーザーによりオン操作がなされると、制御部20は、図7に示すフローに従って動作する。
【0081】
図7に示すように、ステップS101では、制御部20は、電源回路25に指示をして、各部への動作電力の供給を開始させ、プロジェクター1の電源をオンにする。
【0082】
ステップS102では、制御部20は、光源制御部24に指示をして光源装置11(光源ランプ11a)を点灯させる。そして、ステップS103では、制御部20は、画像処理部23に指示をして、画像情報入力部22に入力された画像情報に対する画像処理を行わせて、この画像情報に基づく入力画像を表示させる。この結果、投写部10から画像情報に応じた光が投写され、スクリーンSCに入力画像が表示される。
【0083】
ステップS104では、制御部20は、電源をオフにするための操作(オフ操作)が入力操作部21に対してなされた否かを判断する。そして、オフ操作がなされていない場合にはステップS105に移行し、オフ操作がなされた場合にはステップS109に移行する。
【0084】
オフ操作がなされずにステップS105に移行した場合には、制御部20は、ガイド画像Pgを表示するための所定の入力操作が入力操作部21に対してなされたか否かを判断する。そして、所定の入力操作がなされた場合にはステップS106に移行し、所定の入力操作がなされていない場合にはステップS104に戻る。
【0085】
所定の入力操作がなされてステップS106に移行した場合には、制御部20は、画像処理部23にガイド画像情報を出力して、ガイド画像Pgの表示を指示する。そして、画像処理部23が、制御部20の指示に応じてガイド画像情報を液晶駆動部16に出力すると、投写部10からガイド画像情報に応じた光が投写され、スクリーンSCにガイド画像Pgが表示される。
【0086】
図8は、ガイド画像Pgを示す図である。
図8に示すように、ガイド画像Pgは、画素領域12aの全域で形成される矩形の画像であり、外周に沿った矩形の枠Fと、縦及び横の2本の中心線L1,L2と、直径が異なる2つの円(同心円)C1,C2とを含んでいる。2つの円C1,C2の中心は、ガイド画像Pgの中心、即ち2つの中心線L1,L2の交点に一致し、直径が大きいほうの円C1は、枠Fの上下に接している。また、ガイド画像Pgの中央よりも上側の領域には、プロジェクター1と、これを支持している状態の支持装置2を表す斜視図Dが描かれており、ガイド画像Pgの右上の領域には、1〜6の番号(数字)が付された6つのイラストG1〜G6が含まれている。
【0087】
枠F、中心線L1,L2、円C1,C2は、プロジェクター1の支持状態に応じた投写画像の傾きや変形(歪)を認識しやすくするための図形(テストパターン)であり、ユーザーは、これらの図形の形状、大きさ及び傾き等を目安にして、プロジェクター1の設置状態、即ち支持装置2による支持状態を調整することができる。
【0088】
6つのイラストG1〜G6は、それぞれプロジェクター1の支持状態に関わる6つの調整項目に対応し、各調整項目を調整した場合に投写画像がどのように変化するのかを表している。
【0089】
具体的には、1番のイラストG1は、プロジェクター1をY軸周りに回転させた場合の投写画像の変化(傾きの変化)を表し、2番のイラストG2は、プロジェクター1をZ軸の周りに回転させた場合の投写画像の変化(形状の変化)を表し、3番のイラストG3は、プロジェクター1をX軸の周りに回転させた場合の投写画像の変化(形状の変化)を表している。また、4番のイラストG4は、プロジェクター1を±X方向にスライドさせた場合の投写画像の変化(位置の変化)を表し、5番のイラストG5は、プロジェクター1を±Y方向にスライドさせた場合の投写画像の変化(サイズの変化)を表し、6番のイラストG6は、プロジェクター1を±Z方向にスライドさせた場合の投写画像の変化(位置の変化)を表している。
【0090】
6つのイラストG1〜G6は、それぞれ異なる色で着色されている。具体的には、イラストG1〜G6は、それぞれ枠で囲まれており、この枠の内側のイラストG1〜G6の背景がそれぞれ異なる色で着色されている。なお、イラストG1〜G6の背景色は、イラストG1〜G6を最も特徴付ける色であるため、本明細書では、この背景色のことを「イラストの色」とも表現する。
【0091】
斜視図Dは、支持装置2の6つの調整項目を調整する調整操作部の位置を明示するとともに、調整操作部と調整項目(イラストG1〜G6)との対応を示すための説明図であり、斜視図Dには、各調整操作部の近傍に1〜6の番号が吹き出しによって付されている。そして、この番号は、イラストG1〜G6に付された番号に対応する。つまり、斜視図D上の各調整操作部には、その調整項目を表すイラストG1〜G6と同じ番号が付されており、この番号によって調整操作部と調整項目(イラストG1〜G6)との対応が示されている。具体的には、ダイヤル961には、Y軸周りの角度を調整するための調整操作部であることを示す1番の番号が付され、ダイヤル951には、Z軸周りの角度を調整するための調整操作部であることを示す2番の番号が付され、ダイヤル971には、X軸周りの角度を調整するための調整操作部であることを示す3番の番号が付されている。また、固定ネジ43には、±X方向の位置を調整するための調整操作部であることを示す4番の番号が付され、固定ネジ42には、±Y方向の位置を調整するための調整操作部であることを示す5番の番号が付され、駆動軸57には、±Z方向の位置を調整するための調整操作部であることを示す6番の番号が付されている。
【0092】
また、斜視図D上において、各調整操作部(ダイヤル951,961,971、駆動軸57、及び固定ネジ42,43)は、対応するイラストG1〜G6の色(背景色)と同じ色で着色されるとともに、各調整操作部に付された番号も、その背景(吹き出しの内部)がイラストG1〜G6の色(背景色)と同じ色で着色されている。このため、調整操作部と調整項目との対応を、番号(数字)のみならず、色によっても認識可能になっている。
【0093】
ガイド画像Pgは、上記のような構成になっているため、ユーザーは、番号や色によって調整操作部とイラストG1〜G6とを対応を認識することにより、どの調整操作部を操作すれば、どの調整項目を調整できるのかを容易に把握することができる。また、固定ネジ42,43は、小さくて目立ちにくいため、固定ネジ42,43の周辺の領域(ガイド孔69H、長孔812Hの内部の領域)も固定ネジ42,43と同じ色で着色することで、固定ネジ42,43の位置を分かりやすくしている。また、駆動軸57、固定ネジ42,43の近傍には、操作方向や移動方向を表す矢印が付されており、この矢印も番号と同じ色で着色されている。
【0094】
また、イラストG1〜G6及び斜視図Dに付された番号は、調整操作を行う際の順序を表しており、番号に従った順序で調整操作を行うべきであることを示している。本実施形態では、プロジェクター1の角度を調整するための操作(1番〜3番)を、プロジェクター1の位置を調整するための操作(4番〜6番)よりも先に行うようになっている。これは、プロジェクター1の角度の調整に伴って表示される画像の位置も変化してしまうため、位置の調整を先に行っても、角度の調整後に位置を調整し直す必要が生じ、作業効率が悪くなってしまうためである。
【0095】
また、支持状態の調整作業は、一人で行ってもよいが、二人の作業者で分担して行うようにしてもよい。この場合、一人の作業者(第1の作業者)は、表示されるガイド画像Pgの状態(位置や歪具合)を離れた位置で確認し、他の作業者(第2の作業者)は、プロジェクター1の下で脚立等に乗り、第1の作業者の指示に従って調整操作を行えば、作業を効率的に行うことができる。このとき、第1の作業者は、調整すべき調整項目を、番号や色によって第2の作業者に指示することができるため、作業性がさらに向上する。また、第2の作業者がプロジェクター1や支持装置2の直下よりも左側にずれた位置で作業を行うようにすれば、右側に配置されている6つのイラストG1〜G6を二人とも視認することができる。なお、プロジェクター1や支持装置2の直下よりも右側にずれた位置のほうが、調整操作がしやすい場合には、イラストG1〜G6を左側に配置したガイド画像Pgを用意するようにすればよい。
【0096】
図7に戻って、ステップS107では、制御部20は、入力操作部21に対して何らかの入力操作がなされたか否か、即ち入力操作部21のいずれかの操作キーが操作されたか否かを判断する。そして、入力操作がなされた場合にはステップS108に移行し、入力操作がなされていない場合には本ステップを繰り返す。
【0097】
何らかの入力操作がなされてステップS108に移行した場合には、制御部20は、画像処理部23に指示をして、ガイド画像Pgの表示を停止させ、入力画像を表示する状態に復帰させて、ステップS104に戻る。
【0098】
また、ステップS104にてオフ操作がなされてステップS109に移行した場合には、制御部20は、光源制御部24に指示をして光源装置11(光源ランプ11a)を消灯させる。そして、ステップS110では、制御部20は、電源回路25に指示をして、各部への動作電力の供給を停止させ、プロジェクター1の電源をオフにする。つまり、プロジェクター1をスタンバイ状態に移行させて、フローを終了する。
【0099】
以上説明したように、本実施形態の画像表示装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0100】
(1)本実施形態の画像表示装置100によれば、プロジェクター1を支持する支持装置2が、支持状態を調整するための複数の調整操作部(固定ネジ41,42,43、駆動軸57、ダイヤル951,961,971)を備えている。そして、プロジェクター1は、これら調整操作部による支持状態の調整を案内するガイド画像Pgを表示するため、ユーザーは、表示されるガイド画像Pgを見ながら支持状態を調整することが可能となり、設置時の調整操作を容易に行うことが可能となる。
【0101】
(2)本実施形態の画像表示装置100によれば、ガイド画像Pgが、調整操作部の位置を明示するための斜視図Dを含んでいるため、操作すべき調整操作部の位置を容易に認識することが可能となる。
【0102】
(3)本実施形態の画像表示装置100によれば、ガイド画像Pgが、斜視図D及びイラストG1〜G6によって、調整操作部と調整項目との対応を示しているため、どの調整操作部を操作すれば、どの調整項目が調整されるのかを容易に認識することが可能となる。
【0103】
(4)本実施形態の画像表示装置100によれば、ガイド画像Pgが、調整項目を表すイラストG1〜G6を含んでおり、調整操作部とイラストG1〜G6との対応を番号(数字)や色によって示しているため、調整操作部に対応付けられている調整項目を感覚的に認識することが可能となる。
【0104】
(5)本実施形態の画像表示装置100によれば、イラストG1〜G6が、調整項目を調整した場合の投写画像の変化を表しているため、投写画像を見ながら調整を行う場合に、調整すべき調整項目を容易に認識することが可能となる。
【0105】
(6)本実施形態の画像表示装置100によれば、斜視図D内の調整操作部と、この調整操作部に対応するイラストG1〜G6の双方に同じ番号(数字)が付されているため、調整操作部とイラストG1〜G6との対応を容易に認識することが可能となる。
【0106】
(7)本実施形態の画像表示装置100によれば、斜視図D内の調整操作部やイラストG1〜G6に付された番号が、支持状態の調整を行う際の順序を表しているため、調整の操作手順を容易に認識することが可能となる。
【0107】
(8)本実施形態の画像表示装置100によれば、斜視図D内に付された番号とイラストG1〜G6が同じ色で着色されているため、調整操作部とイラストG1〜G6との対応をより容易に認識することが可能となる。
【0108】
(9)本実施形態の画像表示装置100によれば、斜視図D内に示されている調整操作部とイラストG1〜G6が同じ色で着色されているため、調整操作部とイラストG1〜G6との対応をより容易に認識することが可能となる。
【0109】
(10)本実施形態の画像表示装置100によれば、プロジェクター1の支持状態に応じた投写画像の傾きや変形(歪)を認識しやすくするためのテストパターン(枠F、中心線L1,L2、円C1,C2)がガイド画像Pgに含まれているため、支持状態の調整が一層容易になる。
【0110】
(11)本実施形態の画像表示装置100によれば、入力画像を表示している状態で所定の入力操作を行えば、ガイド画像Pgを表示する状態に切り替わるため、調整作業を簡単に始めることが可能となる。
【0111】
なお、本実施形態において、ガイド画像Pgを表示させる際の制御部20及び画像処理部23がガイド表示部に相当する。
【0112】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態の画像表示装置について、図面を参照して説明する。
本実施形態の画像表示装置100は、第1実施形態と略同一の構成を有しているが、プロジェクター1の動作が第1実施形態とは異なっている。また、本実施形態のプロジェクター1のROM20bには、プロジェクター1の起動時にガイド画像Pgを自動的に表示するか否かを表す情報(ガイド画像表示情報)が記憶されており、プロジェクター1は、ガイド画像表示情報がオンの場合にガイド画像Pgを表示し、ガイド画像表示情報がオフの場合にはガイド画像Pgを表示しないようになっている。
【0113】
図9は、本実施形態において、電源がオンのときのプロジェクター1の動作を説明するフローチャートである。スタンバイ状態において、ユーザーによりオン操作がなされると、制御部20は、図9に示すフローに従って動作する。
【0114】
図9に示すように、ステップS201では、制御部20は、電源回路25に指示をして、各部への動作電力の供給を開始させ、プロジェクター1の電源をオンにする。
【0115】
ステップS202では、制御部20は、光源制御部24に指示をして光源装置11(光源ランプ11a)を点灯させる。
【0116】
ステップS203では、制御部20は、ROM20bに記憶されているガイド画像表示情報を読み出して、ガイド画像表示情報がオンかオフか、即ちガイド画像Pgを自動的に表示するか否かを判断する。そして、ガイド画像表示情報がオンの場合にはステップS205に移行し、ガイド画像表示情報がオフの場合にはステップS204に移行する。
【0117】
ガイド画像表示情報がオフであってステップS204に移行した場合には、制御部20は、画像処理部23に指示をして、画像情報入力部22に入力された画像情報に対する画像処理を行わせる。そして、この画像情報に基づく入力画像を表示させて、ステップS208に移行する。この結果、投写部10から画像情報に応じた光が投写され、スクリーンSCに入力画像が表示される。
【0118】
一方、ガイド画像表示情報がオンであってステップS205に移行した場合には、制御部20は、画像処理部23にガイド画像情報を出力して、ガイド画像Pgの表示を指示する。そして、画像処理部23が、制御部20の指示に応じてガイド画像情報を液晶駆動部16に出力すると、投写部10からガイド画像情報に応じた光が投写され、スクリーンSCにガイド画像Pgが表示される。
【0119】
ステップS206では、制御部20は、入力操作部21に対して何らかの入力操作がなされたか否か、即ち入力操作部21のいずれかの操作キーが操作されたか否かを判断する。そして、入力操作がなされた場合にはステップS207に移行し、入力操作がなされていない場合には本ステップを繰り返す。
【0120】
何らかの入力操作がなされてステップS207に移行した場合には、制御部20は、画像処理部23に指示をして、ガイド画像Pgの表示を停止させ、入力画像を表示する状態に復帰させて、ステップS208に移行する。
【0121】
ステップS208では、制御部20は、電源をオフにするためのオフ操作が入力操作部21に対してなされた否かを判断する。そして、オフ操作がなされていない場合にはステップS209に移行し、オフ操作がなされた場合にはステップS211に移行する。
【0122】
オフ操作がなされずにステップS209に移行した場合には、制御部20は、ガイド画像表示情報をオフにするための所定の入力操作がなされたか否かを判断する。そして、所定の入力操作がなされた場合にはステップS210に移行し、所定の入力操作がなされていない場合にはステップS208に戻る。
【0123】
所定の入力操作がなされてステップS210に移行した場合には、制御部20は、ガイド画像表示情報をオフにしてROM20bに記憶し、ステップS208に戻る。これにより、次回、プロジェクター1を起動する際に、ガイド画像Pgが自動で表示されることがなくなる。
【0124】
また、ステップS208にてオフ操作がなされてステップS211に移行した場合には、制御部20は、光源制御部24に指示をして光源装置11(光源ランプ11a)を消灯させる。そして、ステップS212では、制御部20は、電源回路25に指示をして、各部への動作電力の供給を停止させ、プロジェクター1の電源をオフにする。つまり、プロジェクター1をスタンバイ状態に移行させて、フローを終了する。
【0125】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0126】
本実施形態のプロジェクター1によれば、ROM20bに記憶されているガイド画像表示情報がオンの場合には、プロジェクター1の起動時(電源をオンにした時)にガイド画像Pgが自動的に表示されるため、支持装置2の調整作業を効率的に行うことが可能となる。また、所定の入力操作を行うことによってガイド画像表示情報をオフにできるため、支持装置2の調整が完了し、再調整の予定がない場合には、起動時にガイド画像が自動的に表示されないようにすることもできる。特に、プロジェクター1の出荷時にガイド画像表示情報をオンにしておけば、作業者が最初にプロジェクター1を起動させたときにガイド画像Pgを自動的に表示されることができ、支持装置2の調整作業を効率的に行うことが可能となる。
【0127】
(変形例)
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0128】
上記実施形態では、イラストG1〜G6や、斜視図D内に番号(数字)を付しているが、アルファベット等、他の記号を用いるようにしてもよい。
【0129】
上記実施形態では、1番〜6番の順に調整するようガイド画像Pgが表示されていたがプロジェクター1の角度を調整するための操作(1番〜3番)、及びプロジェクター1の位置を調整するための操作(4番〜6番)の2つにまとめて表示するようにしてもよい。プロジェクター1の角度の調整を位置の調整より先に行う必要があるが、角度、位置のそれぞれ3つの調整の順序は順序を変えても調整に大きな影響を与えないためである。
【0130】
上記実施形態では、壁面Wに固定する支持装置2について説明したが、天井や床面に固定する支持装置に適用することもできる。
【0131】
上記実施形態では、3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いた3板式のプロジェクター1について説明したが、これに限定されない。例えば、1つの液晶ライトバルブでR光、G光、B光を変調可能な単板式のプロジェクター1に適用することも可能である。
【0132】
上記実施形態では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【0133】
上記実施形態では、光源装置11は、放電型の光源ランプ11aを備えて構成されているが、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)光源等の固体光源や、その他の光源を用いることもできる。
【符号の説明】
【0134】
1…プロジェクター、2…支持装置、5…ベース部、6…第1アーム、7…第2アーム、8…保持機構、9…調整機構、10…投写部、20…制御部、21…入力操作部、22…画像情報入力部、23…画像処理部、24…光源制御部、25…電源回路、41,42,43…固定ネジ、57…駆動軸、951,961,971…ダイヤル、100…画像表示装置、Pg…ガイド画像、F…枠、L1,L2…中心線、C1,C2…円、G1,G2,G3,G4,G5,G6…イラスト、D…斜視図、SC…スクリーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクターの支持状態を調整するための複数の調整操作部を備える支持装置に支持されるプロジェクターであって、
画像情報に応じて変調された光を投写して画像を表示する投写部と、
前記複数の調整操作部による調整を案内するガイド画像を表示させるガイド表示部と、
を備えたことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記ガイド画像は、前記複数の調整操作部の位置を明示するための説明図を含んでいることを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項2に記載のプロジェクターであって、
前記ガイド画像は、前記複数の調整操作部と、前記プロジェクターの支持状態に関わる複数の調整項目との対応を示す複数のイラストを含んでいることを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項3に記載のプロジェクターであって、
前記イラストは、前記調整項目を調整した場合の投写画像の変化を表していることを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のプロジェクターであって、
前記ガイド画像は、前記説明図に示されている前記調整操作部と、当該調整操作部に対応する前記イラストの双方に、前記支持状態の調整を行う際の順序を表す記号が付されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
前記ガイド画像は、前記プロジェクターの支持状態を認識しやすくするためのテストパターンを含んでいることを特徴とするプロジェクター。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
前記ガイド画像を自動的に表示させるか否かを表す情報を記憶する記憶部と、
起動時に前記記憶部から前記情報を読み出して、前記情報に基づく制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とするプロジェクター。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロジェクターと、前記プロジェクターを支持する支持装置と、を備えた画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−44854(P2013−44854A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181299(P2011−181299)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】