説明

プロジェクター

【課題】画素ずれがなく解像度性能の良好なプロジェクターを提供する。
【解決手段】G光を偏光選択素子32gで反射するように反射型光変調装置25bを配置し、R光、B光をそれぞれ偏光選択素子32r、32bを透過するように反射型光変調装置25a、25cを配置し、R光、B光用にトロイダルレンズ28b、28rを配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型の空間光変調素子を用いた投射型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空間光変調素子として反射型液晶素子を用いたプロジェクターに適用される偏光素子には、ガラス面上に多層干渉膜で形成された偏光ビームスプリッターが用いられることが一般的であった。近年、これに代わるものとしてワイヤーグリッド型PBS(偏光板)が開発され、プロジェクターの光学エンジンに搭載され始めており、このワイヤーグリッド偏光素子または、これを用いたプロジェクターの提案がなされている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−139389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイヤーグリッド型PBSを偏光ビームスプリッター(PBS)として用いる場合、光束の入射方向に対して偏光分離面を45度に傾斜して光路中に配置する。
このように配置されたワイヤーグリッド型PBSにて反射型液晶素子により変調された光を偏光分離する場合には、変調された画像光が反射するように配置して用いるのが一般的である。
【0005】
しかし、このように画像光をワイヤーグリッド型PBSで反射させるように配置した構成において、3個の反射型液晶素子により変調された画像光をスクリーン上に合成してフルカラー投影する場合には、3色の画像を高精度に位置調整する必要があるが、ワイヤーグリッド型PBSの偏光分離面の変形によって、容易に画素ずれが生じてしまうという問題があった。
【0006】
一方、反射型液晶素子により変調された画像光を透過するようにワイヤーグリッド型PBSを用いる場合には、変調光の入射方向に対してワイヤーグリッド型PBSのガラス基板を空気中に45度に配置するために、画像光がワイヤーグリッド型PBSを透過するときに大きな非点収差が発生し、投射レンズによるスクリーン上の投影画像の解像度性能が大きく劣化するという問題があった。
【0007】
この問題を解決するため、特許文献1に示されるように、この非点収差を補正するシリンドリカルレンズを色合成プリズムの射出面に配置する提案がなされている。しかしながら、3色の光を合成後に補正することになるため、色収差を補正することが出来なかった。
【0008】
本発明は、スクリーン上に投影される画像の解像度劣化を抑制及び画素ずれを少なくしながら色収差を補正できるプロジェクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係るプロジェクターは、光源と、光源からの光束を波長帯域の異なる第1、第2及び第3色光に分離する色分離導光光学系と、第1、第2及び第3色光をそれぞれ画像情報に応じて変調する第1、第2及び第3の反射型光変調装置と、第1、第2及び第3の反射型光変調装置からの光のうち画像光として投射する光をそれぞれ選択的に通過させる第1、第2及び第3の偏光選択素子と、第2及び第3の偏光選択素子からの画像光が通過する非点収差補正用レンズと、第1、第2及び第3の色光の画像光を合成する合成光学系と、合成光学系を経た像光を投射する投射光学系と、を備え、第2色光の画像光を前記第2の偏光選択素子で反射するように第2の反射型光変調装置を配置し、第1及び第3色光の画像光を第1及び第3の偏光選択素子を透過するように第1及び第3の反射型光変調装置を配置したことを特徴とする。
【0011】
上記プロジェクターによれば、第2の反射型光変調装置からの画像光を第2の偏光選択素子で反射するように第2の反射型光変調装置を配置しているため、第2色光の画像光は非点収差を生じることなく解像度性能の良い投影画像を得ることが出来る。また、第1及び第3の反射型光変調装置からの画像光が第1及び第3の偏光選択素子を透過するように第1及び第3の反射型光変調装置を配置しているため、第2の反射型光変調装置を基準にして画素ずれを生じないように容易に第1及び第3の反射型光変調装置の位置を調整することが可能となる。さらに、第1及び第3の偏光選択素子からの画像光が通過する光路に非点収差補正用レンズを配置しているため、非点収差の補正と共に色収差の補正も可能となる。
【0012】
上記プロジェクターにおいて、第1色光及び第3色光が赤色光及び青色光であり、第2の偏光選択素子で画像光が反射するように配置した第2の反射型光変調装置が変調する第2色光が緑色光であることが好ましい。
【0013】
上記プロジェクターによれば、緑色光の画像光を偏光選択素子で反射するため、緑色光の画像光に非点収差が全く発生しないことになり、これによって、非点収差補正レンズを使用する他の光路に比べて解像度性能が向上する。緑色光は赤色光、青色光と比較して視感度が強いため、全体的な解像度性能を向上させる効果を得ることが可能となる。
【0014】
さらに、非点収差補正レンズは、第1の偏光選択素子からの画像光が透過する非点収差補正レンズと、第3の偏光選択素子からの画像光が透過する非点収差補正レンズとが、それぞれ違った形状であることが好ましい。
【0015】
上記プロジェクターによれば、それぞれ違った形状の第1色光の画像光が通過する非点収差補正レンズと第2色光が通過する非点収差補正レンズとによりそれぞれの色光にそれぞれ異なった影響を与えることが出来るという効果により、非点収差補正効果に加えて色収差の補正効果が得られ、投影画像の解像度性能を改善すると同時に画素ずれも改善することが可能となる。
【0016】
さらに、上記プロジェクターにおいて、非点収差補正レンズはトロイダルレンズ、シリンドリカルレンズ、及び自由曲面レンズのいずれかであることが好ましい。
【0017】
上記プロジェクターによれば、トロイダルレンズ、シリンドリカルレンズ、及び自由曲面レンズの効果により、非点収差補正効果が得られ、投影画像の解像度性能を改善することが可能となる。第1色光の画像光が通過するトロイダルレンズの曲率と第2色光が通過するトロイダルレンズの曲率とを違ったものにすることで色収差補正も容易に可能となる。
【0018】
さらに、上記プロジェクターにおいて、第1、第2及び第3の偏光選択素子は、複屈折構造体を設けた平板状の光学素子であることが好ましい。
【0019】
ここで、複屈折構造体を設けた平板状の光学素子とは、構造性複屈折を利用した偏光素子を意味し、具体的にはワイヤーグリッド型PBS(偏光板)、積層型フォトニック結晶偏光板等を含む。ワイヤーグリッド型PBS(偏光板)等は、温度等の使用環境に対して安定性が高く、比較的低コストで信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係るプロジェクターの光学系の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るプロジェクターの光学系の構成を説明する図である。
【0022】
本プロジェクター10は、光源光を発生する光源装置21と、光源装置21から射出された光源光をRGBの3色に分離する色分離導光光学系23と、色分離導光光学系23から射出された各色の照明光によって照明される光変調装置25と、光変調装置25から射出された各色の像光を合成するクロスダイクロイックプリズム27と、クロスダイクロイックプリズム27を経た像光をスクリーン(不図示)に投射するための投射光学系である投射レンズ29とを備える。このうち、光源装置21、色分離導光光学系23、光変調装置25、及びクロスダイクロイックプリズム27は、スクリーンに投射すべき像光を形成する画像形成装置となっている。
【0023】
以上のプロジェクター10において、光源である光源装置21は、光源ランプ21aと、凹レンズ21bと、一対のフライアイ光学系21d,21eと、偏光変換部材21gと、重畳レンズ21iとを備える。このうち、光源ランプ21aは、例えば高圧水銀ランプからなり、光源光を回収して前方に射出させる凹面鏡を備える。凹レンズ21bは、光源ランプ21aからの光源光を平行化する役割を有する。光源ランプ21aの凹面鏡が、放物面である場合、凹レンズ21bを省略することもできる。一対のフライアイ光学系21d,21eは、マトリックス状に配置された複数の要素レンズからなり、これらの要素レンズによって凹レンズ21bを経た光源ランプ21aからの光源光を分割して個別に集光・発散させる。偏光変換部材21gは、フライアイ光学系21eから射出した光源光を例えば図1の紙面に垂直なS偏光成分のみに変換して次段光学系に供給する。重畳レンズ21iは、偏光変換部材21gを経た照明光を全体として適宜収束させることにより、光変調装置25に設けた各色の光変調装置に対する重畳照明を可能にする。つまり、両フライアイ光学系21d,21eと重畳レンズ21iとを経た照明光は、以下に詳述する色分離導光光学系23を経て、光変調装置25に設けられた各色の反射型光変調装置25a,25b,25cを均一に重畳照明する。
【0024】
色分離導光光学系23は、クロスダイクロイックミラー23aと、ダイクロイックミラー板23bと、反射ミラー23j,23kとを備え、波長帯域の異なる第1、第2及び第3色光(赤(R)光,緑(G)光,青(B)光)に分離し、光変調装置25の対応する光路へ導く。クロスダイクロイックミラー23aは、入射した光のうち赤(R)光及び緑(G)光に対応する波長域の光を反射し青(B)光に対応する波長域の光を透過する第1ダイクロイックミラー部31aと、入射した光のうち赤(R)光及び緑(G)光に対応する波長域の光を透過し青(B)光に対応する波長域の光を反射する第2ダイクロイックミラー部31bとを備える。ダイクロイックミラー板23bは、入射した赤(R)光を透過し緑(G)光を反射する。
この色分離導光光学系23において、光源装置21からの略白色の光源光は、クロスダイクロイックミラー23aに入射する。クロスダイクロイックミラー23aを構成する一方の第1ダイクロイックミラー部31aで反射された赤(R)光は、反射ミラー23jで反射されダイクロイックミラー板23bを透過して、例えばS偏光のまま、光変調装置25に設けられた反射型偏光板である偏光選択素子32rに入射する。
【0025】
一方、クロスダイクロイックミラー23aを構成する他方の第2ダイクロイックミラー部31bで反射された青(B)光は、反射ミラー23kで反射されて、例えばS偏光のまま、光変調装置25に設けられた反射型偏光板である偏光選択素子32bに入射する。
【0026】
また、第1ダイクロイックミラー部31aで反射された緑(G)光は、反射ミラー23jで反射されダイクロイックミラー板23bでも反射されて、光変調装置25に設けられた1/2波長板26に入射する。
【0027】
光変調装置25は、反射型の空間光変調素子としての第1、第2及び第3の反射型変調装置25a,25b,25cと、1/2波長板26と、反射型偏光板である第1、第2及び第3の偏光選択素子32r,32g,32bと、第1、第2及び第3の偏光板であるクリーンアップ偏光板34r,34g,34bとを備える。
【0028】
各反射型光変調装置25a〜25cは、入射した照明光の空間的強度分布を変調する非発光反射型の光変調装置であり、各反射型光変調装置25a〜25cにそれぞれ入射した3色の光(赤(R)光,緑(G)光,青(B)光)は、各反射型光変調装置25a〜25cに電気的信号として入力された駆動信号或いは画像信号に応じて変調される。その際、偏光選択素子32r,32g,32bによって、各反射型光変調装置25a,25b,25cに入射する照明光の偏光方向が調整されるとともに、各反射型光変調装置25a,25b,25cから射出される変調光から所定の偏光方向の成分光が画像光として取り出される。この際、クリーンアップ偏光板34r,34g,34bによって、偏光選択素子32r,32g,32bの射出側の消光比を高めることができ、画像光のコントラストを向上させることができる。
【0029】
色分離導光光学系23で赤(R)光路OP1に導かれたS編光は、偏光選択素子32rで反射され、反射型光変調装置25aを照明する。反射型光変調装置25aでは、画像情報に応じて変調した光を反射する。その後、反射型光変調装置25aで変調された赤(R)光は、再び偏光選択素子32rに入射し、変調された赤(R)光のうちP偏光成分を画像光として透過し、それ以外の非画像光であるS偏光成分を反射する。この画像光は偏光選択素子32rの基板を透過する際に、非点収差を大きく発生した状態となっている。偏光選択素子32rを透過した画像光としての赤(R)光は、クリーンアップ偏光板34rによって残留するS偏光成分が除去され、クロスダイクロイックプリムに入射する。
【0030】
色分離導光光学系23で青(B)光路OP3に導かれたS編光は、偏光選択素子32bで反射され、反射型光変調装置25cを照明する。反射型光変調装置25cでは、画像情報に応じて変調した光を反射する。その後、反射型光変調装置25bで変調された青(B)光は、再び偏光選択素子32bに入射し、変調された青(B)光のうちP偏光成分を画像光として透過し、それ以外の非画像光であるS偏光成分を反射する。この青(B)光の画像光は赤(R)光と同様に、偏光選択素子32bの基板を透過する際に、非点収差を大きく発生した状態となっている。偏光選択素子32bを透過した画像光としての青(B)光は、クリーンアップ偏光板34bによって残留するS偏光成分が除去され、クロスダイクロイックプリムに入射する。
【0031】
色分離導光光学系23で緑(G)光路OP2に導かれたS編光は、1/2波長板26を通過し偏光の振動方向を90度回転させP偏光としたのち、反射型偏光板である偏光選択素子32gを透過し、反射型光変調装置25bを照明する。反射型光変調装置25bでは、画像情報に応じて変調した光を反射する。その後、反射型光変調装置25bで変調された緑(G)光は、再び偏光選択素子32gに入射し、変調された緑(G)光のうちS偏光成分を画像光として反射し、それ以外の非画像光であるP偏光成分を透過する。この緑(G)光の画像光は赤(R)光及び青(B)光と異なり、偏光選択素子32gの基板を透過しないため、非点収差が発生しない状態となっている。偏光選択素子32gを反射した画像光としての緑(G)光は、クリーンアップ偏光板34gによって残留するP偏光成分が除去され、クロスダイクロイックプリムに入射する。
【0032】
クロスダイクロイックプリズム27は、光合成部材であり、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、X字状に交差する一対の第1及び第2誘電体多層膜27a,27bが形成されている。一方の第1誘電体多層膜27aは赤(R)光を反射し、他方の第2誘電体多層膜27bは青(B)光を反射する。このクロスダイクロイックプリズム27は、反射型光変調装置25aからの赤(R)光を第1誘電体多層膜27aで反射して進行方向左側に射出させ、反射型光変調装置25bからの緑(G)光を第1及び第2誘電体多層膜27a,27bを介して直進・射出させ、反射型光変調装置25cからの青(B)光を第2誘電体多層膜27bで反射して進行方向右側に射出させる。
【0033】
ここで、クロスダイクロプリズム27の各色光に応じた入射面には、上記偏光選択素子32r,32bにて発生した非点収差を補正する非点収差補正用レンズとしてトロイダルレンズ28r,28bが配置されているので、このトロイダルレンズ28r,28bによって、非点収差が良好に補正される。例えば、クロスダイクロイックプリズム27の赤(R)光の入射する面にはトロイダルレンズ28rが形成され、青(B)光の入射する面にはトロイダルレンズ28bが形成されている。
クロスダイクロイックプリズム27で重ねあわされた赤(R)光、緑(G)光及び青(B)光の画像光は投射レンズ29へと入射する。
【0034】
投射レンズ29は、クロスダイクロイックプリズム27で合成されたカラーの画像光を、所望の倍率でスクリーン(不図示)上に投射する。つまり、各反射型光変調装置25a〜25cに入力された駆動信号或いは画像信号に対応する所望の倍率のカラー動画やカラー静止画がスクリーン上に投射される。
【0035】
このとき、赤(R)光、青(B)光それぞれに対応して、クロスダイクロイックプリズム27のトロイダルレンズ28r,28bの曲率を変化させている。つまり、トロイダルレンズ28r,28bは、それぞれ違った曲率を持つ。これにより、赤(R)光及び青(B)光の画像光の非点収差を補正すると同時に、投射レンズ29が持っている色収差を補正することが可能となる。
【0036】
以上のプロジェクター10においては、赤(R)光、青(B)光の画像光は偏光選択素子32r,32bを透過するので、非点収差は発生するものの、偏光選択素子32r,32bのガラス基板の反りなどの変形による画素ずれなどへの影響は非常に小さい。一方、緑(G)光の画像光は偏光選択素子32gを反射するので、非点収差は発生しないため良好な解像度性能を得ることが出来る。
本実施形態によれば、緑(G)光の画像光を偏光選択素子32gで反射するため、緑(G)光の画像光に非点収差が全く発生しないことになる。これによって、非点収差補正レンズを使用する他の赤(R)光及び青(B)光の画像光に比べて解像度性能が向上する。緑(G)光は赤(R)光及び青(B)光と比較して視感度が強いため、全体的な解像度性能を向上させる効果を得ることが可能となる。
【0037】
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
本実施形態では、偏光選択素子32r,32g,32bとして、ワイヤーグリッド型PBS(偏光板)を例として説明したが、それに限定されない。偏光変換素子2r,32g,32bは、複屈折構造体を設けた平板状の光学素子であり、構造性複屈折を利用した偏光素子を意味する。具体的には、ワイヤーグリッド型PBS(偏光板)の他、積層型フォトニック結晶偏光板等を含む。ワイヤーグリッド型PBS(偏光板)等は、温度等の使用環境に対して安定性が高く、比較的低コストで信頼性を高めることができる。
【0038】
本実施形態では、トロイダルレンズ28r,28bがクロスダイクロイックプリズム27の入射面に形成されている例で説明したが、それに限定されない。トロイダルレンズ28r,28bをクロスダイクロイックプリズム27とは別に形成し、偏光選択素子32r,32bとクロスダイクロイックプリズム27との間の対応する光路中にそれぞれ配置させることができる。その場合、トロイダルレンズ28r,28bとクロスダイクロイックプリズム27とを離間させて配置させることも出来るし、トロイダルレンズ28r,28bとクロスダイクロイックプリズム27とを接着固定させることも出来る。
【0039】
また、本実施形態では、非点収差補正レンズとして、トロイダルレンズを適用する例で説明したが、それに限定されない。非点収差補正レンズとして、シリンドリカルレンズ。自由曲面レンズ等を適用することも出来る。
【0040】
また、上記実施形態のプロジェクター10では、光源装置21を、光源ランプ21a、凹レンズ21b、一対のフライアイ光学系21d,21e、偏光変換部材21g、及び重畳レンズ21iで構成したが、フライアイ光学系21d,21e、偏光変換部材21g等については省略することができ、光源ランプ21aも、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、LED(発光ダイオード)等の別光源に置き換えることができる。
【0041】
また、上記実施形態のプロジェクター10では、各色の反射型光変調装置25a,25b,25cをそれぞれの面内を均一な明るさで照明するようにフライアイ光学系21d,21e、と重畳レンズ21iを用いていたが、それらに代わってインテグレータロッド光学系を用いることができる。
【0042】
上記実施形態のプロジェクター10は、スクリーンを観察する方向から投射を行なうフロントタイプのプロジェクターのみならず、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行なうリアタイプのプロジェクターとしても使用できる。
【符号の説明】
【0043】
10…プロジェクター、 21…光源装置、 23…色分離導光光学系、 23a…クロスダイクロイックミラー、 23b…ダイクロイックミラー板、 23j,23k…反射ミラー、 25…光変調装置、 25a,25b,25c…反射型光変調装置、 27…クロスダイクロイックプリズム、 27a,27b…誘電体多層膜、 28r,28b…トロイダルレンズ、 29…投射レンズ、 31a,31b…ダイクロイックミラー部、 32r,32g,32b…偏光選択素子、 34r,34g,34b…クリーンアップ偏光板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光束を波長帯域の異なる第1、第2及び第3色光に分離する色分離導光光学系と、
前記第1、第2及び第3色光をそれぞれ画像情報に応じて変調する第1、第2及び第3の反射型光変調装置と、
前記第1、第2及び第3の反射型光変調装置からの光のうち画像光として投射する光をそれぞれ選択的に通過させる第1、第2及び第3の偏光選択素子と、
前記第1及び第3の偏光選択素子からの画像光が通過する非点収差補正用レンズと、
前記第1、第2及び第3の色光の画像光を合成する合成光学系と、
前記合成光学系を経た像光を投射する投射光学系と、
を備え、
前記第2色光の画像光を前記第2の偏光選択素子で反射するように前記第2の反射型光変調装置を配置し、
前記第1及び第3色光の画像光を前記第1及び第3の偏光選択素子を透過するように前記第1及び第3の反射型光変調装置を配置したことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記第1色光及び第3色光が赤色光及び青色光であり、
前記第2の偏光選択素子で画像光が反射するように配置した前記第2の反射型光変調装置が変調する第2色光が緑色光である、請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記非点収差補正レンズは、前記第1の偏光選択素子からの画像光が透過する非点収差補正レンズと、前記第3の偏光選択素子からの画像光が透過する非点収差補正レンズとが、それぞれ違った形状である、請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記非点収差補正レンズは、トロイダルレンズ、シリンドリカルレンズ、及び自由曲面レンズのいずれかである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記第1、第2及び第3の偏光選択素子は、複屈折構造体を設けた平板状の光学素子である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロジェクター。

【図1】
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【公開番号】特開2012−220598(P2012−220598A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84252(P2011−84252)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】