説明

プロジェクター

【課題】防塵効率を高めつつ小型化を図ったプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクター1は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して投写する。プロジェクター1は、外部の空気を導入する吸気口を有する外装筐体2と、吸気口から導入された空気を冷却対象に送風する吸気ファン41,42と、吸気口から導入された空気を吸気ファン41,42に導く吸気ダクト6と、吸気ダクト6内の、吸気口と吸気ファン41,42との間に配置され、吸気口から導入される空気に含まれる塵埃を除去する防塵フィルター5A,5Bと、を備え、防塵フィルター5A,5Bは、吸気ファン41,42に対して個別に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から射出される光束を画像情報に応じて変調し、スクリーン等の投写面に拡大投写するプロジェクターが知られている。プロジェクターは、光源の点灯に伴う温度上昇により、外装筐体内の光学部品等の性能や機能が低下する恐れがある。そこで、ファンにより外部の空気を外装筐体内に導入し、その空気によって内部の部品を冷却するプロジェクターが提案されている。また、このプロジェクターには、外部の空気に混在する塵埃が外装筐体内部に侵入しないようにエアーフィルターが配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のプロジェクターは、吸気口を有する外装筐体と、ファン取付プレートと、ファン取付プレートに取り付けられる2つの吸気ファンと、中継部材と、吸気ファンの空気吐出口に接続される吸気ダクトと、エアーフィルターとを備えている。
ファン取付プレートは、2つの吸気ファンの吸込口にそれぞれ対応する開口部を有し、吸気口の内側に配置されている。2つの吸気ファンは、シロッコファンで構成され、一方の吸気ファンは中継部材を介してファン取付プレートに取り付けられている。吸気ダクトは、吸気ファンから吐出された空気を、外装筐体内の光学部品に導く。エアーフィルターは、ファン取付プレートの開口部を覆うように配置されている。そして、吸気ファンが駆動されると、外装筐体の外部の空気は、エアーフィルターによって外気に含まれる塵埃が捕集され、各部材の開口部を通って吸気ファンに吸入される。そして、吸気ファンに吸入された空気は、空気吐出口から吐出され、吸気ダクトに導かれて光学部品を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−2650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のプロジェクターは、2つの吸気ファンを近接して配置する構成のため、これらの部材を配置する箇所が制限されるという課題がある。これによって、吸気ダクトの流路が長くなったり、流路が曲折したりすることにより冷却対象に送風される空気にロスが生じる恐れがある。また、2つの吸気ファンを離して配置した場合には、ファン取付プレートおよびエアーフィルターが大きくなり、ひいてはプロジェクターが大型化するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して投写するプロジェクターであって、外部の空気を導入する吸気口を有する外装筐体と、前記吸気口から導入された空気を冷却対象に送風する複数の吸気ファンと、前記吸気口から導入された空気を前記吸気ファンに導く吸気ダクトと、前記吸気ダクト内の、前記吸気口と前記吸気ファンとの間に配置され、前記吸気口から導入される空気に含まれる塵埃を除去する防塵フィルターと、を備え、前記防塵フィルターは、前記複数の吸気ファンに対して個別に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本適用例によれば、プロジェクターは、複数の吸気ファンおよび吸気口から導入された空気を吸気ファンに導く吸気ダクトを備えているので、冷却対象を効率よく冷却することが可能となる。また、プロジェクターは、複数の吸気ファンに対して個別に設けられた防塵フィルターを備えている。これによって、各吸気ファンに対応して各防塵フィルターを効率的なサイズに形成することや、各吸気ファンの位置に対応して各防塵フィルターを配置することが可能となる。よって、防塵効率を高めつつ、吸気ファンの効率的な配置(スペースを有効に利用した配置や、空気の流れの損失が少ない流路を形成するための配置)が可能となる。したがって、防塵効率を高めつつ、冷却対象の効率的な冷却、および小型化を図ったプロジェクターの提供が可能となる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、前記複数の防塵フィルターを連結する連結部を備え、前記複数の防塵フィルターは、スライドにより着脱可能に構成されていることが好ましい。
【0010】
本適用例によれば、プロジェクターは、複数の防塵フィルターを連結する連結部を備えているので、プロジェクターの使用者は、所定の位置に配置された複数の防塵フィルターのうちのひとつを引き出すことで、全ての防塵フィルターを取り出すことができ、各防塵フィルターを順次押し入れることで、全ての防塵フィルターを所定の位置に配置することができる。よって、複数の防塵フィルターを容易に交換することが可能となる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記連結部は、前記複数の防塵フィルターを互いの位置が変更可能となるように連結し、前記吸気ダクトは、前記防塵フィルターの移動を案内する案内部を有していることが好ましい。
【0012】
本適用例によれば、連結部は、複数の防塵フィルターを互いの位置が変更可能となるように連結し、吸気ダクトには、防塵フィルターの移動を案内する案内部が設けられている。これによって、複数の吸気ファンが防塵フィルターの着脱方向に対してずれて配置されている構成であっても、各防塵フィルターを各吸気ファンの位置に対応して配置しつつ、全ての防塵フィルターを容易に着脱可能とすることが可能となる。よって、冷却対象の効率的な冷却およびプロジェクターの小型化を図るための吸気ファンの効率的な配置を構成しつつ、防塵効率を高め、容易に交換可能な防塵フィルターを備えたプロジェクターの提供が可能となる。
【0013】
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記連結部は、前記防塵フィルターに対して着脱自在に構成されていることが好ましい。
【0014】
本適用例によれば、連結部は、防塵フィルターに対して着脱自在に構成されているので、標準となる防塵フィルターを準備しておくことで、プロジェクターの異なる機種等に対応する防塵フィルターを容易に連結してこのプロジェクターに搭載することが可能となる。よって、防塵フィルターの種類の増加を抑制することが可能となり、防塵フィルターの製造工程や在庫管理の簡素化が図れる。
【0015】
[適用例5]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記吸気ファンは、空気を取り入れる吸入口が前記外装筐体の内部側を向いて配置され、前記防塵フィルターは、前記吸入口に対向して配置されていることが好ましい。
【0016】
本適用例によれば、吸気ファンは、吸入口が外装筐体の内部側を向いて配置され、防塵フィルターは、この吸入口に対向して配置されている。つまり、防塵フィルターは、吸気ファンに対して外装筐体の外面側とは反対側に配置されることとなる。これによって、外装筐体の外部から防塵フィルターを見えにくく構成することが可能となる。よって、外観デザインの向上を図ったプロジェクターの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態のプロジェクターの外観を模式的に示す斜視図。
【図2】本実施形態のプロジェクターの内部の一部を示す斜視図。
【図3】本実施形態の光学ユニットの概略構成を示す模式図。
【図4】本実施形態のプロジェクターの内部の一部を示す斜視図。
【図5】本実施形態の防塵ユニットを模式的に示す斜視図。
【図6】本実施形態のプロジェクターの内部の一部を示す斜視図。
【図7】本実施形態のプロジェクターの内部の一部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクターは、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調してスクリーンに拡大投写する。
【0019】
〔プロジェクターの主な構成〕
図1は、本実施形態のプロジェクター1の外観を模式的に示す斜視図である。図2は、プロジェクター1の内部の一部を示す斜視図である。
プロジェクター1は、図1、図2に示すように、外装を構成する外装筐体2、制御部(図示省略)、光源装置31(図3参照)を有する光学ユニット3、冷却装置4、および防塵ユニット5を備えている。
【0020】
なお、具体的な図示は省略したが、外装筐体2内には、光源装置31や制御部に電力を供給する電源装置等を備えている。また、以下では、説明の便宜上、光源装置31から射出される光束の方向を+X方向(右方向)、プロジェクター1から投写される光の方向を+Y方向(前方向)、図1における上側を+Z方向(上方向)として記載する。
【0021】
外装筐体2は、合成樹脂製であり、図1に示すように、アッパーケース21、ロアーケース22、ランプ蓋23および開閉蓋24等を備えている。
【0022】
アッパーケース21は、図1に示すように、外装筐体2の上部を構成する。アッパーケース21の上面には、プロジェクター1の各種指示を行うための操作パネル20が配置されている。また、アッパーケース21の上面には、操作パネル20の左方(−X方向)に光源装置31が着脱される開口部が形成されており、この開口部は、ランプ蓋23によって閉塞されている。
【0023】
アッパーケース21の前面には、中央部に前方から見て略矩形の開口部211が形成されており、この開口部211の内側には、光学ユニット3に備えられた投写レンズ36が配置されている。そして、投写レンズ36から射出された光は、この開口部211を通過する。また、アッパーケース21の前面には、開口部211の右側(+X側)に外部の空気を導入する吸気口212が設けられており、この吸気口212の下方には、開閉蓋24が配置されている。
【0024】
開閉蓋24は、詳細な図は省略するが、平面視矩形状に形成され、下端部を支点として回転可能にアッパーケース21に支持されている。開閉蓋24の内側には、防塵ユニット5が配置されており、この開閉蓋24が開けられることにより、防塵ユニット5が着脱可能となる。
【0025】
ロアーケース22は、外装筐体2の下部を構成する。ロアーケース22の下部には、プロジェクター1が机上等に設置される際に設置面に当接する脚部25(図2参照)が設けられている。なお、図示は省略するが外装筐体2には、内部の温まった空気が外部に排出される排気口が形成されている。
【0026】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、コンピューターとして機能するものであり、プロジェクター1の動作の制御、例えば、画像の投影に関わる制御等を行う。
【0027】
光学ユニット3は、制御部による制御の下、光源装置31から射出された光束を光学的に処理して投写する。
図3は、光学ユニット3の概略構成を示す模式図である。
光学ユニット3は、図3に示すように、光源装置31、インテグレーター照明光学系32、色分離光学系33、リレー光学系34、電気光学装置35、投写レンズ36、およびこれらの光学部品を光路上の所定位置に配置する光学部品用筐体37を備える。
光学ユニット3は、図3に示すように平面視略L字状に形成され、一方の端部に光源装置31が着脱可能に配置され、他方の端部に投写レンズ36が配置される。
【0028】
光源装置31は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源311、リフレクター312および光透過部材としての平行化レンズ313等を備えている。光源装置31は、光源311から射出された光束をリフレクター312にて反射した後、平行化レンズ313よって射出方向を揃え、インテグレーター照明光学系32に向けて射出する。
【0029】
インテグレーター照明光学系32は、第1レンズアレイ321、第2レンズアレイ322、偏光変換素子323、および重畳レンズ324を備える。
第1レンズアレイ321は、光源装置31から射出された光束を複数の部分光束に分割する光学素子であり、光源装置31から射出された光束の光軸Cに対して略直交する面内にマトリックス状に配列される複数の小レンズを備えている。
【0030】
第2レンズアレイ322は、第1レンズアレイ321と略同様の構成を有しており、重畳レンズ324とともに、第1レンズアレイ321から射出された部分光束を後述する液晶ライトバルブ351の表面に重畳させる。
偏光変換素子323は、第2レンズアレイ322から射出されたランダム偏光光を液晶ライトバルブ351で利用可能な略1種類の偏光光に揃える機能を有する。
【0031】
色分離光学系33は、2枚のダイクロイックミラー331,332、および反射ミラー333を備え、インテグレーター照明光学系32から射出された光束を赤色光(以下「R光」という)、緑色光(以下「G光」という)、青色光(以下「B光」という)の3色の色光に分離する。
【0032】
リレー光学系34は、入射側レンズ341、リレーレンズ343、および反射ミラー342,344を備え、色分離光学系33で分離されたR光をR光用の液晶ライトバルブ351Rまで導く機能を有する。なお、光学ユニット3は、リレー光学系34がR光を導く構成としているが、これに限らず、例えば、B光を導く構成としてもよい。
【0033】
電気光学装置35は、光変調装置としての液晶ライトバルブ351および色合成光学装置としてクロスダイクロイックプリズム352を備え、色分離光学系33で分離された各色光を画像情報に応じて変調し、変調した各色光を合成する。
【0034】
液晶ライトバルブ351は、3色の色光毎に備えられており(R光用の液晶ライトバルブを351R、G光用の液晶ライトバルブを351G、B光用の液晶ライトバルブを351Bとする)、それぞれ透過型の液晶パネル、およびその両面に配置された入射側偏光板、射出側偏光板を有している。
【0035】
液晶ライトバルブ351は、図示しない微小画素がマトリックス状に形成された矩形状の画素領域を有し、各画素が画像情報に応じた光透過率に設定され、画素領域内に表示画像を形成する。そして、色分離光学系33で分離された各色光は、液晶ライトバルブ351にて変調された後、クロスダイクロイックプリズム352に射出される。
【0036】
クロスダイクロイックプリズム352は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。クロスダイクロイックプリズム352は、誘電体多層膜が液晶ライトバルブ351R,351Bにて変調された色光を反射し、液晶ライトバルブ351Gにて変調された色光を透過して、各色光を合成する。
【0037】
投写レンズ36は、複数のレンズを有して構成され、クロスダイクロイックプリズム352にて合成された光をスクリーン上に拡大投写する。
【0038】
冷却装置4は、吸気口212および開閉蓋24の内側で、図2に示すように光学ユニット3の右方(+X方向)に配置されている。冷却装置4は、図2に示すように、2つの吸気ファン41,42および吸気ダクト6を備え、吸気口212(図1参照)から外部の空気を取り込み、取り込んだ空気を光学ユニット3に送風する。また、吸気ダクト6は、上ダクト61および下ダクト62を有している。なお、図示は省略するが、外装筐体2の内部には、外装筐体2の排気口から内部の温まった空気を外部に排出する排気ファン等を備えた排気装置が配置されている。
【0039】
防塵ユニット5は、図2に示すように、吸気ダクト6内に配置され、吸気口212(図1参照)から導入される空気に含まれる塵埃を除去する。また、防塵ユニット5は、開閉蓋24(図1参照)が開けられた状態で、前後方向にスライドされることによって吸気ダクト6に対して着脱可能に構成されている。
【0040】
〔冷却装置および防塵ユニットの構成〕
ここで、冷却装置4および防塵ユニット5について詳細に説明する。
先ず、冷却装置4について説明する。
図4は、プロジェクター1の内部の一部を示す斜視図であり、図2における上ダクト61および防塵ユニット5を取り外した図である。
冷却装置4は、図4に示すように、吸気ファン41,42および吸気ダクト6に加え、2つの排出ダクト43,44を備えている。
【0041】
吸気ファン41,42は、回転軸に沿って取り込んだ空気を回転接線方向に吐出するシロッコファンで構成され、光学ユニット3の右方にスペース効率よく配置されている。吸気ファン41,42は、図4に示すように、空気を取り入れる吸入口41A,42Aが上方を向き、つまり、吸入口41A,42Aが外装筐体2の内部側を向き、空気を吐出する吐出口(図示省略)が光学ユニット3側を向くようにロアーケース22に配置される。
【0042】
また、吸気ファン41は、吸気ファン42の前方で、吸気ファン42より左方に位置するように配置される。つまり、吸気ファン41,42は、防塵ユニット5が着脱される着脱方向に対してずれて配置されている。
【0043】
吸気ダクト6は、吸気口212から導入された空気を吸気ファン41,42に導く。吸気ダクト6は、図2に示すように、前方に開口部6Aを有して箱状に形成され、吸気ファン41,42の上方に配置される。吸気ダクト6は、上部を形成する上ダクト61および下部を形成する下ダクト62を備えている。吸気ダクト6は、上ダクト61と下ダクト62とが組み合わされることで、開口部6Aが形成され、この開口部6Aは、アッパーケース21の吸気口212(図1参照)に連通している。
【0044】
下ダクト62は、図4に示すように、底面部62Aおよび案内部62B,62Cを有している。
底面部62Aは、図4に示すように、吸気ファン41,42の吸入側を略覆う大きさに形成され、吸入口41A,42Aに対応する位置には、開口部621,622が形成されている。
【0045】
案内部62B,62Cは、防塵ユニット5が着脱される際に防塵ユニット5の移動を案内する機能を有している。
案内部62Bは、図4に示すように、底面部62Aの左側の端部から上方に起立した後、底面部62Aと所定の距離隔てて右方に突出して形成されている。
案内部62Cは、前側においては、底面部62Aの右側の端部近傍から、後側においては、底面部62Aの右側の端部から、上方に起立した後、底面部62Aと所定の距離隔てて左方に突出して形成されている。
【0046】
また、案内部62B,62Cは、左右方向において屈曲して形成されている。具体的に、案内部62Bは、前側端部から開口部621に近づく位置に延出する案内部62B1、および案内部62B1に対して右方に屈曲する案内部62B2を有している。案内部62Cは、前側端部から開口部622に近づく位置に延出する案内部62C1、および案内部62C1に対して左方に屈曲する案内部62C2を有している。
【0047】
排出ダクト43,44は、吸気ファン41,42の吐出口(図示省略)から吐出された空気を冷却対象としての液晶ライトバルブ351や偏光変換素子323等の光学部品に導く。排出ダクト43,44は、図4に示すように、空気が排出される側が光学ユニット3の下方に延出して形成されており、空気の流れの損失となる曲折等の形状が抑制されて形成されている。
【0048】
冷却装置4は、吸気ファン41,42が制御部の指示に基づいて駆動されると、アッパーケース21の吸気口212、および吸気ダクト6の開口部6Aを介して外部の空気を導入する。そして、冷却装置4は、吸気ファン41,42が取り込んだ空気を排出ダクト43,44を介して冷却対象に送風し、これらの光学部品を冷却する。
【0049】
次に、防塵ユニット5について説明する。
図5は、防塵ユニット5を模式的に示す斜視図である。図6は、プロジェクター1の内部の一部を示す斜視図であり、防塵ユニット5が吸気ダクト6内の所定の位置に配置された状態を示す図である。
防塵ユニット5は、吸気口212(図1参照)と吸気ファン41,42との間に配置される。防塵ユニット5は、図5に示すように、防塵フィルター5A,5Bおよび連結部50を備え、吸気ダクト6に対し、着脱可能に構成されている。
【0050】
防塵フィルター5A,5Bは、それぞれがフィルター本体51およびフィルター枠52を備え、同一の形状を有して形成されている。
フィルター本体51は、通気性を有し、吸気口212から導入される空気に含まれる塵埃を除去する部材で、平面視矩形状に形成されている。
【0051】
フィルター枠52は、合成樹脂製であり、フィルター本体51の外周を保持するように平面視矩形の枠状に形成されている。フィルター枠52の前後方向における枠部には、図5に示すように、上下方向に延出する円柱状の支持軸521がそれぞれ形成されている。
【0052】
連結部50は、防塵フィルター5A,5Bを連結する。連結部50は、合成樹脂製で長尺状に形成され、図5に示すように、長尺状の両端近傍には、支持軸521が挿通される挿通孔を有している。防塵フィルター5A,5Bは、一方の支持軸521が連結部50の挿通孔にそれぞれ回転可能に、また、着脱自在に挿通され、連結部50に連結される。つまり、防塵フィルター5A,5Bは、連結部50によって、互いの位置が変更可能となるように連結され、外装筐体2から取り外された際に、連結部50の挿通孔に挿通されていない側の支持軸521が露出することとなる。また、連結部50は、防塵フィルター5A,5Bの一方が操作され、防塵フィルター5A,5Bが離間する方向や近づく方向に移動する際に変形が無く、他方の牽引、押圧が可能な剛性を有して形成されている。
【0053】
防塵ユニット5は、図6に示すように、吸気ダクト6内の所定の位置に配置されると、防塵フィルター5A,5Bのそれぞれのフィルター本体51が吸気ダクト6の開口部621,622(図4参照)を覆う状態となる。このように、防塵フィルター5A,5Bは、吸気ファン41,42に個別に対応して設けられ、吸入口41A,42Aに対向して配置されている。
【0054】
この防塵ユニット5が所定の位置に配置されている状態において、図6に示すように、防塵フィルター5Aは、側端部が案内部62B1,62C1と底面部62Aとに挟持されて配置され、防塵フィルター5Bは、側端部が案内部62B2,62C2と底面部62Aとに挟持されて配置される。
そして、防塵フィルター5A,5Bは、この所定の位置において、吸気口212から取り込まれる空気に含まれる塵埃を除去する。
【0055】
〔防塵ユニットの着脱方法〕
ここで、防塵ユニット5の着脱方法について説明する。
防塵ユニット5は、前述したように、開閉蓋24(図1参照)が開けられることにより、着脱可能となる。また、防塵ユニット5は、防塵フィルター5A,5Bが連結された状態で着脱される。
【0056】
図7は、プロジェクター1の内部の一部を示す斜視図である。具体的に、図7(a)は、防塵ユニット5が所定の位置から引き出された状態を示す図、図7(b)は、図7(a)に示す状態より防塵ユニット5がさらに引き出された状態を示す図である。
【0057】
防塵ユニット5は、開閉蓋24(図1参照)が開けられると、防塵フィルター5Aの前側の支持軸521が露出する。そして、防塵ユニット5は、この露出した支持軸521が把持されて前方に引かれると、図7に示すように、防塵フィルター5A,5Bが案内部62B,62Cに案内されてスライドして徐々に前方に引出される。
【0058】
具体的に、防塵フィルター5Aは、所定の位置から引出される際に、案内部62B1,62C1に案内され、引出される方向と略同一の方向に移動して案内部62B1,62C1から引出される。
連結部50を介して防塵フィルター5Aに連結している防塵フィルター5Bは、引出される方向に対して交差する方向にもスライドしながら引出される。より具体的に、防塵フィルター5Bは、図6、図7に示すように、所定の位置から引出される際に、案内部62B2,62C2および案内部62B1,62C1に順次案内されて、左方に移動しながら前方に移動することとなる。そして、防塵フィルター5Bは、防塵フィルター5Aと同様に、案内部62B1,62C1から引出される。
【0059】
一方、防塵ユニット5が吸気ダクト6内に装着される際には、防塵フィルター5A,5は、防塵フィルター5B,5Aの順で両側端部が案内部62B1,62C1に挿入され、防塵フィルター5Aが押圧されることで、引出される際と反対の経路を辿って所定の位置に配置される。
【0060】
このように、防塵ユニット5は、2つの防塵フィルター5A,5Bが連結部50によって連結され、一方の引出し、押圧によって着脱される。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)プロジェクター1は、複数の吸気ファン41,42を備えているので、液晶ライトバルブ351や偏光変換素子323等の光学部品を効率よく冷却することが可能となる。また、プロジェクター1は、複数の吸気ファン41,42に対応して個別に設けられた防塵フィルター5A,5Bを備えている。これによって、各吸気ファン41,42に対応して各防塵フィルター5A,5Bを効率的なサイズに形成することや、各吸気ファン41,42の位置に対応して各防塵フィルター5A,5Bを配置することが可能となる。よって、防塵効率を高めつつ、吸気ファン41,42の効率的な配置(スペースを有効に利用した配置や、空気の流れの損失が少ない流路を形成するための配置)が可能となる。したがって、防塵効率を高めつつ、冷却対象の効率的な冷却、および小型化を図ったプロジェクター1の提供が可能となる。
【0062】
(2)防塵ユニット5は、連結部50を備えているので、プロジェクター1の使用者は、所定の位置に配置された防塵フィルター5A,5Bのうちの防塵フィルター5Aを引き出すことで、2つの防塵フィルター5A,5Bを取り出すことができ、防塵フィルター5B,5Aの順で押し入れることで、2つの防塵フィルター5A,5Bを所定の位置に配置することができる。よって、2つの防塵フィルター5A,5Bを容易に交換することが可能となる。
【0063】
(3)連結部50は、防塵フィルター5A,5Bを互いの位置が変更可能となるように連結し、吸気ダクト6には、防塵フィルター5A,5Bの移動を案内する案内部62B,62Cが設けられている。これによって、吸気ファン41,42は、防塵フィルター5A,5Bの着脱方向に対してずれて配置されているが、防塵フィルター5A,5Bを吸気ファン41,42の位置に対応して配置しつつ、防塵フィルター5A,5Bを容易に着脱することが可能となる。よって、冷却対象の効率的な冷却およびプロジェクター1の小型化を図るための吸気ファン41,42の効率的な配置を構成しつつ、防塵効率を高め、容易に交換可能な防塵フィルター5A,5Bを備えたプロジェクター1の提供が可能となる。
【0064】
(4)連結部50は、防塵フィルター5A,5Bに対して着脱自在に構成されている。これによって、防塵フィルター5A,5B等の標準となる防塵フィルターを準備しておくことで、プロジェクター1の異なる機種等に対応する防塵フィルターを容易に連結してこのプロジェクターに搭載することが可能となる。したがって、防塵フィルターの種類の増加を抑制することが可能となり、防塵フィルターの製造工程や在庫管理の簡素化が図れる。
【0065】
(5)吸気ファン41,42は、吸入口41A,42Aが外装筐体2の内部側を向いて配置され、防塵フィルター5A,5Bは、この吸入口41A,42Aに対向して配置されている。つまり、防塵フィルター5A,5Bは、吸気ファン41,42に対して外装筐体2の外面側とは反対側に配置されることとなる。これによって、外装筐体2の外部から防塵フィルター5A,5Bを見えにくく構成することが可能となる。よって、外観デザインの向上を図ったプロジェクター1の提供が可能となる。
【0066】
なお、前記実施形態は、以下のように変更してもよい。
前記実施形態の防塵フィルター5A,5Bは、同一の形状を有して形成されているが、吸気ファン41,42のサイズや、空気の吸気能力に対応させて異なるサイズで形成してもよい。
【0067】
前記実施形態の冷却装置4は、2つの吸気ファン41,42を備えて構成されているが、3つ以上の吸気ファンを備える構成にしてもよい。そして、この複数の吸気ファン個別に対応する複数の防塵フィルターを設けてもよい。
【0068】
前記実施形態の吸気ファン41,42は、吸入口41A,42Aが上方を向くように配置されているが、上下方向に対して交差する方向を向くように配置してもよい。
【0069】
前記実施形態のプロジェクター1は、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブ351を用いているが、反射型液晶ライトバルブを利用したものであってもよい。
【0070】
光源311は放電型のランプに限らず、その他の方式のランプや発光ダイオード等の固体光源で構成してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…プロジェクター、2…外装筐体、3…光学ユニット、4…冷却装置、5…防塵ユニット、5A,5B…防塵フィルター、6…吸気ダクト、6A…開口部、21…アッパーケース、22…ロアーケース、24…開閉蓋、31…光源装置、36…投写レンズ、41,42…吸気ファン、41A,42A…吸入口、50…連結部、51…フィルター本体、52…フィルター枠、62B,62B1,62B2,62C,62C1,62C2…案内部、212…吸気口、311…光源、323…偏光変換素子、351,351B,351G,351R…液晶ライトバルブ、521…支持軸、621,622…開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して投写するプロジェクターであって、
外部の空気を導入する吸気口を有する外装筐体と、
前記吸気口から導入された空気を冷却対象に送風する複数の吸気ファンと、
前記吸気口から導入された空気を前記吸気ファンに導く吸気ダクトと、
前記吸気ダクト内の、前記吸気口と前記吸気ファンとの間に配置され、前記吸気口から導入される空気に含まれる塵埃を除去する防塵フィルターと、
を備え、
前記防塵フィルターは、前記複数の吸気ファンに対して個別に設けられていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記複数の防塵フィルターを連結する連結部を備え、
前記複数の防塵フィルターは、スライドにより着脱可能に構成されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項2に記載のプロジェクターであって、
前記連結部は、前記複数の防塵フィルターを互いの位置が変更可能となるように連結し、
前記吸気ダクトは、前記防塵フィルターの移動を案内する案内部を有していることを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のプロジェクターであって、
前記連結部は、前記防塵フィルターに対して着脱自在に構成されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
前記吸気ファンは、空気を取り入れる吸入口が前記外装筐体の内部側を向いて配置され、
前記防塵フィルターは、前記吸入口に対向して配置されていることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−61445(P2013−61445A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199124(P2011−199124)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】