プロジェクター
【課題】少ない流量で光学素子の表面全体を効率的に冷却できるプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクター1は、光学素子35の表面に沿って冷却流体を流通させる冷却装置4を備える。冷却装置4は、光学素子35に入射する光束の光軸Axに沿う方向から見て、光学素子35を、光軸Axが通る位置を含む中心側領域ArOと中心側領域ArOを除く外周側領域ArEとに仮想的に分割した場合に、中心側領域ArOに向けて冷却流体を吐出する2つの第1吐出部PL2,PL3と、外周側領域ArEに沿って冷却流体を吐出する第2吐出部PL1,PL4とを備える。
【解決手段】プロジェクター1は、光学素子35の表面に沿って冷却流体を流通させる冷却装置4を備える。冷却装置4は、光学素子35に入射する光束の光軸Axに沿う方向から見て、光学素子35を、光軸Axが通る位置を含む中心側領域ArOと中心側領域ArOを除く外周側領域ArEとに仮想的に分割した場合に、中心側領域ArOに向けて冷却流体を吐出する2つの第1吐出部PL2,PL3と、外周側領域ArEに沿って冷却流体を吐出する第2吐出部PL1,PL4とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターにおいて、液晶パネルや偏光板等の光学素子の表面に沿って空気を流通させ、当該光学素子を冷却する冷却装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の冷却装置は、光学素子の表面上で第1の方向に沿って空気を流す第1の空冷部と、光学素子の表面上で第1の方向に交差する第2の方向に沿って空気を流す第2の空冷部とを備える。
そして、第1の方向に沿って流れる空気と第2の方向に沿って流れる空気とを衝突させ、当該衝突によって、光学素子の表面に沿って乱流の状態で空気を流通させている。
すなわち、乱流による冷却を利用することで、光学素子の表面に存在する速度境界層(空気の流速の変化が激しい薄い層の領域(表面で流速がゼロ))を薄くして、流通する空気と光学素子との間で熱交換を良好に行わせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−92842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の冷却装置では、空気の衝突によって生じる乱流を利用して光学素子を冷却しているため、光学素子の表面全体の広範囲を冷却するためには、空気を高速で、かつ光学素子の表面全体の広範囲に流通させる必要がある。すなわち、多くの流量が必要となる、という問題がある。
【0005】
本発明の目的は、少ない流量で光学素子の表面全体を効率的に冷却できるプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクターは、光学素子の表面に沿って冷却流体を流通させる冷却装置を備えたプロジェクターであって、前記冷却装置は、前記光学素子に入射する光束の光軸に沿う方向から見て、前記光学素子を、前記光軸が通る位置を含む中心側領域と前記中心側領域を除く外周側領域とに仮想的に分割した場合に、前記中心側領域に向けて前記冷却流体を吐出する少なくとも2つの第1吐出部と、前記外周側領域に沿って前記冷却流体を吐出する第2吐出部とを備えることを特徴とする。
【0007】
ところで、プロジェクターでは、光学素子に光束を照射する場合、光学素子の表面全体を均一に照射することができず、光学素子の表面に照度分布が生じるものである。すなわち、光学素子の表面には、高い照度の領域の温度が高く、低い照度の領域の温度が低くなり、照度分布に応じて温度分布が生じることとなる。
そして、光学素子の表面における照度分布としては、通常、光束の中心である光軸が通る位置の照度が高く、光軸から離れるにしたがって照度が低くなるものである。すなわち、光学素子の表面における温度分布も照度分布に対応し、光軸が通る位置の温度が高く、光軸から離れるにしたがって温度が低くなるものである。
【0008】
本発明では、冷却装置は、光軸が通る位置を含む中心側領域に向けて冷却流体を吐出する少なくとも2つの第1吐出部を備える。
このことにより、少なくとも2つの第1吐出部からの冷却流体を衝突させ、当該衝突により生じる乱流を利用して、中心側領域を冷却できる。すなわち、冷却効率の高い乱流を利用することで、外周側領域に対して温度の高い中心側領域を効果的に冷却できる。
また、中心側領域の冷却のみに乱流を利用するので、光学素子の表面全体の冷却に乱流を利用する場合と比較して、流量を少なくすることができる。
【0009】
また、冷却装置は、外周側領域に沿って冷却流体を吐出する第2吐出部を備える。
このことにより、第2吐出部からの冷却流体を外周側領域に沿って層流(乱れを含まない流れ)の状態で流通させ、当該外周側領域を冷却できる。
すなわち、外周側領域は中心側領域に比較して温度が低いため、乱流を利用する場合と比較して冷却効率の低い層流を利用しても、十分に外周側領域を冷却できる。
また、層流を利用した冷却では、乱流を利用した冷却に比較して、冷却流体の流速を小さく、かつ流量を少なくすることができる。
以上のように、中心側領域の冷却に乱流を利用し、外周側領域の冷却に層流を利用することで、少ない流量で光学素子の表面全体を効率的に冷却できる。
【0010】
本発明のプロジェクターでは、前記第1吐出部は、前記光軸に沿う方向から見て、前記光軸を通る第1仮想線上に2つ設けられ、前記第1仮想線に沿って互いに逆方向に前記冷却流体を吐出し、前記第2吐出部は、2つ設けられ、前記光軸に沿う方向から見て、前記第1仮想線を基準として仮想的に分割した2つの領域にそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0011】
本発明では、第1吐出部は、上述した第1仮想線上に2つ設けられ、第1仮想線に沿って互いに逆方向に冷却流体を吐出する。
このことにより、例えば、2つの第1吐出部からの吐出方向が交差(例えば、45°や90°で交差)するように各第1吐出部を設けた構成と比較して、2つの第1吐出部からの冷却流体を光学素子の表面における光軸が通る位置(光軸上)で衝突させる構成を容易に実現できる。
【0012】
ところで、第2吐出部が上述した2つの領域のうち一方の領域のみに設けられた場合には、第2吐出部からの冷却流体に影響され、2つの第1吐出部からの冷却流体の衝突位置が光軸上からずれてしまう恐れがある。
本発明では、第2吐出部は、2つ設けられている。そして、2つの第2吐出部は、上述した2つの領域にそれぞれ設けられている。
すなわち、各第1吐出部が設けられる第1仮想線を挟んだ両側に第2吐出部をそれぞれ設けることで、各第2吐出部からの冷却流体が各第1吐出部からの冷却流体に与える影響を相殺できる。このため、2つの第1吐出部からの冷却流体の衝突位置が光軸上からずれてしまうことを防止できる。
【0013】
本発明のプロジェクターでは、2つの前記第2吐出部は、前記第1仮想線に対して平行に前記冷却流体を吐出するとともに、互いに逆方向に前記冷却流体を吐出することが好ましい。
本発明では、2つの第2吐出部が第1仮想線に対して平行に冷却流体を吐出するので、各第2吐出部からの冷却流体が各第1吐出部からの冷却流体に与える影響を低減できる。
また、2つの第2吐出部は、互いに逆方向に冷却流体を吐出する。
このことにより、上述した2つの領域のうち一方の領域に設けられた第2吐出部からの冷却流体が各第1吐出部からの冷却流体に与える影響と、他方の領域に設けられた第2吐出部からの冷却流体が各第1吐出部からの冷却流体に与える影響とのバランスを取ることができる。このため、各第2吐出部からの冷却流体が各第1吐出部からの冷却流体に与える影響を良好に相殺できる。
【0014】
本発明のプロジェクターでは、前記光学素子は、互いに対向する第1面及び第2面を有し、前記冷却装置は、2つの前記第1吐出部及び2つの前記第2吐出部を有し、前記光学素子の前記第1面に沿って前記冷却流体を流通させる第1面吐出手段と、2つの前記第1吐出部及び2つの前記第2吐出部を有し、前記光学素子の前記第2面に沿って前記冷却流体を流通させる第2面吐出手段とを備え、前記第2面吐出手段の前記第2吐出部は、前記光軸に沿う方向から見て、前記第1面吐出手段の前記第2吐出部に対して、前記光軸を通り前記第1仮想線に直交する第2仮想線を基準として対称となる位置に設けられていることが好ましい。
【0015】
本発明では、冷却装置は、光学素子の表面を構成する第1面(例えば、光出射面)に沿って冷却流体を流通させる上述した第1面吐出手段と、光学素子の表面を構成する第2面(例えば、光入射面)に沿って冷却流体を流通させる上述した第2面吐出手段を備える。
このことにより、光学素子の第1,第2面の双方を冷却でき、光学素子を効果的に冷却できる。
【0016】
ところで、光学素子の表面上を層流の状態で冷却流体を流通させた場合には、下流側に向うにしたがって冷却流体の流速は小さくなるものである。すなわち、第2吐出部からの冷却流体にて光学素子を冷却する場合、第2吐出部から離間するにしたがって冷却効率が低くなる。
本発明では、第2面吐出手段の第2吐出部は、光軸に沿う方向から見て、第1面吐出手段の第2吐出部に対して、上述した第2仮想線を基準として対称となる位置に設けられている。言い換えれば、第2面吐出手段の第2吐出部は、光軸に沿う方向から見て、第1面吐出手段の第2吐出部に対向する位置に設けられている。
すなわち、光学素子の第1面では、第1面吐出手段の第2吐出部から離間する側は、当該第2吐出部に近接する側に対して、冷却効率が低いものとなっている。しかしながら、光学素子の第2面において、第1面での冷却効率が低い領域に対向する領域は、第2面吐出手段の第2吐出部に近接する側に相当するため、当該第2吐出部から離間する側に対して、冷却効率が高いものとなっている。
このため、光軸に沿う方向から見て、光学素子の第1面で冷却効率が低い領域については第2面で冷却効率が高い領域とし、逆に、第2面で冷却効率が低い領域については第1面で冷却効率が高い領域とすることができ、光学素子の全体を効率的に冷却できる。
【0017】
本発明のプロジェクターでは、前記第1吐出部から吐出された前記冷却流体の流速は、前記第2吐出部から吐出された前記冷却流体の流速よりも大きくなるように設定されていることが好ましい。
ところで、第2吐出部からの冷却流体の流速が第1吐出部からの冷却流体の流速よりも大きい場合には、第1吐出部からの冷却流体が第2吐出部からの冷却流体に引き寄せられ、各第1吐出部からの冷却流体の衝突位置が所望の位置(例えば、光学素子の表面における光軸が通る位置)からずれてしまう恐れがある。
本発明では、第1吐出部からの冷却流体の流速は、第2吐出部からの冷却流体の流速よりも大きくなるように設定されている。
このことにより、第1吐出部からの冷却流体が第2吐出部からの冷却流体に引き寄せられることを防止でき、各第1吐出部からの冷却流体の衝突位置が所望の位置からずれてしまうことを防止できる。
【0018】
本発明のプロジェクターでは、前記冷却装置は、前記光学素子に接続し、前記光学素子の表面との間で前記第1吐出部及び前記第2吐出部から吐出された冷却流体が導入される空間を形成する接続部材を備え、前記接続部材には、前記空間に導入された冷却流体を前記空間外部に導出するための導出用流路が形成されていることが好ましい。
本発明では、冷却装置が上述した接続部材を備えるので、第1,第2吐出部から吐出され上述した空間に導入された冷却流体の全てを光学素子の表面全体に亘って流通させることができる。すなわち、第1,第2吐出部からの冷却流体を無駄なく、冷却に寄与させることができ、光学素子を効果的に冷却できる。
【0019】
本発明のプロジェクターでは、前記第1吐出部及び前記第2吐出部は、前記接続部材に形成され、前記空間外部から前記空間に前記冷却流体を導入するための導入用流路でそれぞれ構成され、前記導出用流路の流路断面積は、前記第2吐出部の流路断面積よりも大きくなるように設定されていることが好ましい。
【0020】
本発明では、上述した導出用流路の流路断面積は、接続部材に形成された上述した導入用流路で構成される第2吐出部の流路断面積よりも大きくなるように設定されている。
このことにより、第2吐出部から空間に導入された冷却流体、及び各第1吐出部から空間に導入され衝突した後の冷却流体を、導出用流路を介して空間外部に良好に導出することができる。このため、冷却流体が空間に滞留することがなく、空間に導入された冷却流体を光学素子の表面に沿って流通させた後、空間外部に円滑に導出することができ、光学素子の冷却効率をより一層高めることができる。
【0021】
本発明のプロジェクターでは、前記第1吐出部及び前記第2吐出部は、前記接続部材に形成され、前記空間外部から前記空間に前記冷却流体を導入するための導入用流路でそれぞれ構成され、前記光学素子は、互いに対向する第1面及び第2面を有し、前記接続部材は、前記導入用流路及び前記導出用流路を有し、前記光学素子の前記第1面との間で前記冷却流体が導入される第1空間を形成する第1面接続部材と、前記導入用流路及び前記導出用流路を有し、前記光学素子の前記第2面との間で前記冷却流体が導入される第2空間を形成する第2面接続部材と、前記第1面接続部材の前記導出用流路を介して導出された冷却流体を前記第2面接続部材の前記導入用流路に導くダクト部材とを備えることが好ましい。
【0022】
本発明では、冷却装置は、光学素子の表面を構成する第1面(例えば、光出射面)に沿って冷却流体を流通させる上述した第1面接続部材と、光学素子の表面を構成する第2面(例えば、光入射面)に沿って冷却流体を流通させる上述した第2面接続部材とを備える。
このことにより、光学素子の第1,第2面の双方を冷却でき、光学素子を効果的に冷却できる。
また、冷却装置が上述したダクト部材を備えるので、第1空間に導入され光学素子の第1面を冷却した後の冷却流体を、ダクト部材を介して、第2空間に導入して光学素子の第2面の冷却に寄与させることができる。
すなわち、光学素子の第1,第2面を冷却する冷却流体の一部を共通化することができ、光学素子を効率的に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態におけるプロジェクターの概略構成を示す図。
【図2】第1実施形態における冷却装置の構成を模式的に示す図。
【図3】第1実施形態における接続部材の構造を示す模式図。
【図4】第1実施形態における接続部材の構造を示す模式図。
【図5】第1実施形態における接続部材の構造を示す模式図。
【図6】第1実施形態における接続部材の構造を示す模式図。
【図7】第1実施形態における冷却装置による空気の流路を説明するための模式図。
【図8】第2実施形態における接続部材の構造を示す模式図。
【図9】第2実施形態における接続部材の構造を示す模式図。
【図10】第2実施形態における接続部材の構造を示す模式図。
【図11】第2実施形態における冷却装置による空気の流路を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクターの構成〕
図1は、プロジェクター1の概略構成を示す図である。
プロジェクター1は、画像を投射してスクリーン(図示略)上に投影画像を表示する。
そして、このプロジェクター1は、図1に示すように、外装筐体2内部に収納される光学ユニット3及び冷却装置4(図2参照)を備える。
【0025】
〔光学ユニットの構成〕
光学ユニット3は、図1に示すように、発光管311及びリフレクター312を有する光源装置31と、レンズアレイ321,322、偏光変換素子323、及び重畳レンズ324を有する照明光学装置32と、ダイクロイックミラー331,332、及び反射ミラー333を有する色分離光学装置33と、入射側レンズ341、リレーレンズ343、及び反射ミラー342,344を有するリレー光学装置34と、光学素子としての3つの入射側偏光板35と、光学素子としての3つの光変調装置36と、3つの出射側偏光板37と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム38と、投射光学装置としての投射レンズ39とを備える。
そして、光学ユニット3では、上述した構成により、光源装置31から出射され照明光学装置32を介した光束は、色分離光学装置33にて赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの色光に分離される。また、分離された各色光は、各光変調装置36にてそれぞれ変調される。変調された各色光は、プリズム38にて合成されて画像となり、投射レンズ39にてスクリーンに投射される。
【0026】
〔冷却装置の構成〕
図2は、冷却装置4の構成を模式的に示す図である。
冷却装置4は、冷却流体を入射側偏光板35及び光変調装置36の表面に沿って流通させ、これら各部材35,36を冷却する。
本実施形態では、冷却流体として、空気を利用している。
そして、冷却装置4は、図2に示すように、3つの接続部材5と、3つの冷却ファン6とを備える。
なお、図2では、説明の便宜上、3つの接続部材5のうち、R色光側に配設される接続部材をR側接続部材5R、G色光側に配設される接続部材をG側接続部材5G、B色光側に配設される接続部材をB側接続部材5Bと記載する。冷却ファン6も同様である。
【0027】
〔接続部材の構成〕
図3ないし図6は、接続部材5の構造を示す図である。具体的に、図3は入射側偏光板35、光変調装置36、及び接続部材5が一体化したユニットを光入射側から見た斜視図であり、図4は当該ユニットを光出射側から見た斜視図である。図5は、接続部材5を光軸Axに直交する平面にて切断した断面を光出射側から見た断面図である。図6は、光軸Ax及び後述する各中央導入路PL2,PL3を通る鉛直面にて上記ユニットを切断した断面図である。
なお、各接続部材5は、同様の構成であり、以下では1つの接続部材5のみを説明する。
接続部材5は、入射側偏光板35及び光変調装置36の間に配設され、入射側偏光板35及び光変調装置36に接続する。そして、接続部材5は、入射側偏光板35及び光変調装置36とで空気が導入及び導出される空間Ar(図5、図6)を形成する。
【0028】
具体的に、接続部材5は、図3ないし図6に示すように、接続部材本体51と、上側流路形成部52とが一体形成され、光軸Axに沿う方向から見て略L字形状を有する。
接続部材本体51は、光軸Axを通る水平面で切断した横断面が略矩形枠形状を有し、鉛直方向に沿って延びる筒体で構成されている。
この接続部材本体51において、光入射面及び光出射面には、図3、図5または図6に示すように、矩形状の第1,第2開口部511,512が形成されている。
本実施形態では、第1,第2開口部511,512は、同一形状を有するように形成されている。
【0029】
ここで、入射側偏光板35は、図6に示すように、板体状に形成されたものであり、光出射面(表面)が接続部材本体51内部(空間Ar)に面するように、第1開口部511に嵌合される。
また、光変調装置36は、図6に示すように、透過型の液晶パネル361と、矩形枠形状を有し、液晶パネル361が収納される保持枠362とを備える。そして、保持枠362は、液晶パネル361の光入射面(表面)が接続部材本体51内部(空間Ar)に面し、第2開口部512を閉塞するように接続部材本体51外面(光出射面)に取り付けられる。
上述したように各部材35,36が接続部材本体51に接続することで、第1,第2開口部511,512が閉塞され、接続部材本体51内部に空間Ar(図5、図6)が形成される。
【0030】
また、接続部材本体51内部において、下側には、図3ないし図5に示すように、当該下側の空間を3つの空間に区画する第1,第2区画部513,514が水平方向(図5中、左右方向)に並設されている。
第1,第2区画部513,514は、同一形状を有し、板状に形成されている。
具体的に、第1,第2区画部513,514は、光軸Axに沿う方向から見て、接続部材本体51の下端縁から、鉛直方向に沿って、第1,第2開口部511,512の下端縁まで延びるように形成されている。
【0031】
そして、第1,第2区画部513,514によって区画された3つの空間のうち、図5中、右側の空間は、鉛直方向に沿って延び、空気を空間Arに導入し、各部材35,36の表面に沿って流通させるための導入用流路としての右側外周導入路PL1として機能する。
また、図5中、中央の空間も同様に、鉛直方向に沿って延び、空気を空間Arに導入し、各部材35,36の表面に沿って流通させるための導入用流路としての下側中央導入路PL2として機能する。
さらに、図5中、左側の空間は、鉛直方向に沿って延び、空間Arの空気を空間Ar外部に導出するための導出用流路としての左側導出路PE1として機能する。
【0032】
上側流路形成部52は、内部が中空とされた直方体形状を有し、内部が接続部材本体51内部に連通するように接続部材本体51に一体形成される。
具体的に、上側流路形成部52は、図3、図4または図6に示すように、光軸Axに沿う方向の長さ寸法が接続部材本体51と同一に設定されている。また、上側流路形成部52は、図3ないし図5に示すように、水平方向の長さ寸法が接続部材本体51よりも長くなるように設定され、当該水平方向の一方の端部が接続部材本体51に対して張り出した状態で一体化されている。
【0033】
そして、上側流路形成部52において、当該張出部分521の下端面には、図3ないし図5に示すように、当該上側流路形成部52内外を連通する第1連通口522が形成されている。
また、上側流路形成部52において、張出部分521と反対側の端面には、図5に示すように、当該上側流路形成部52内外を連通する第2連通口523が形成されている。
そして、接続部材5内部において、上側(接続部材本体51内部の上側、及び上側流路形成部52内部)には、図5に示すように、当該上側の空間を3つの空間に区画する第3,第4区画部515,516が水平方向に並設されている。
【0034】
第3,第4区画部515,516は、板状に形成されている。
具体的に、第3区画部515は、光軸Axに沿う方向から見て、第1,第2開口部511,512の上端縁から、鉛直方向に沿って、上側流路形成部52の上側の側壁まで延びるように形成されている。
また、第4区画部516は、光軸Axに沿う方向から見て、第1,第2開口部511,512の上端縁から、鉛直方向に沿って上側に延びるとともに、略90°折り曲げられて張出部分521に沿って延び、さらに、略90°折り曲げられて第1連通口522の縁部分まで延びるように形成されている。
【0035】
そして、第3,第4区画部515,516によって区画された3つの空間のうち、図5中、右側の空間は、鉛直方向に沿って延び、第2連通口523を介して空間Arの空気を空間Ar外部に導出するための導出用流路としての右側導出路PE2として機能する。
また、図5中、中央の空間は、第1連通口522を介して導入した空気を空間Arに導入し、各部材35,36の表面に沿って流通させるための導入用流路としての上側中央導入路PL3として機能する。
さらに、図5中、左側の空間も同様に、第1連通口522を介して導入した空気を空間Arに導入し、各部材35,36の表面に沿って流通させるための導入用流路としての左側外周導入路PL4として機能する。
なお、本実施形態では、左側導出路PE1の流路断面積は、左側外周導入路PL4の流路断面積よりも大きくなるように設定されている。また、右側導出路PE2の流路断面積も同様に、右側外周導入路PL1の流路断面積よりも大きくなるように設定されている。
【0036】
〔冷却ファンの構成〕
3つの冷却ファン6は、図2に示すように、各接続部材5に応じてそれぞれ設けられ、各接続部材5に接続された各部材35,36をそれぞれ冷却するために用いられる。
なお、各冷却ファン6は、同様の構成であり、かつ、各接続部材5に対して同様に接続されるものであり、以下では1つの冷却ファン6と1つの接続部材5との接続構造のみを説明する。
冷却ファン6と接続部材5とは、流路下流側が2つに分岐されたダクト(図示略)を介して接続される。
具体的に、前記ダクトにおいて、流路上流側の端部は、冷却ファン6の吐出口(図示略)に接続される。
一方、前記ダクトにおいて、流路下流側の2つの端部のうち、一方の端部は、接続部材本体51における下側の開口部分のうち、右側外周導入路PL1及び下側中央導入路PL2にのみ接続する。また、他方の端部は、張出部分521の下端面(上側中央導入路PL3及び左側外周導入路PL4)に接続する。
【0037】
〔空気の流路〕
図7は、冷却装置4による空気の流路を説明するための模式図である。具体的に、図7は、図5に対応した図である。
次に、上述した冷却装置4による空気の流路について説明する。
なお、図7では、説明の便宜上、空気の流れを矢印Fで示している。
また、図7では、入射側偏光板35を、光軸Axに沿う方向から見て、光軸Axが通る位置を含む矩形状の中心側領域ArOと、中心側領域ArOを除くその他の外周側領域ArEとに仮想的に分割している。
さらに、R,G,B色光側において、冷却装置4による空気の流路は、同様の流路であるため、以下では、R色光側の流路のみを説明する。
R側冷却ファン6Rが駆動すると、R側冷却ファン6Rから吐出された空気は、前記ダクトにて2つに分岐され、各導入路PL1〜PL4にそれぞれ導入される。
【0038】
そして、下側中央導入路PL2に導入された空気は、図7に示すように、当該流路PL2を辿って、下側から空間Arに吐出される。
一方、上側中央導入路PL3に導入された空気は、図7に示すように、当該流路PL3を辿って、上側から空間Arに吐出される。
ここで、各中央導入路PL2,PL3は、光軸Axに沿う方向から見て、光軸Axを通り鉛直方向に延びる第1仮想線VP1(図7)上にそれぞれ位置付けられている。
このため、各中央導入路PL2,PL3から吐出された空気は、第1仮想線VP1に沿って互いに逆方向から光軸Axが通る位置に向うこととなる。
すなわち、各中央導入路PL2,PL3は、本発明に係る第1吐出部に相当するものである。
なお、本実施形態では、前記ダクトの構造、及び各中央導入路PL2,PL3の流路断面積を調整することで、各中央導入路PL2,PL3から吐出される空気は、同一の流速及び同一の流量に設定されている。
このため、各中央導入路PL2,PL3から吐出された空気は、光軸Axに沿う方向から見て、光軸Ax上にて衝突することとなる。
【0039】
また、右側外周導入路PL1に導入された空気は、図7に示すように、当該流路PL1を辿って、下側から空間Arに吐出される。
一方、左側外周導入路PL4に導入された空気は、図7に示すように、当該流路PL4を辿って、上側から空間Arに吐出される。
ここで、各外周導入路PL1,PL4は、光軸Axに沿う方向から見て、第1仮想線VP1を基準として線対称となり外周側領域ArEを通る右,左仮想線VPR,VPL上にそれぞれ位置付けられている。
すなわち、各外周導入路PL1,PL4は、光軸Axに沿う方向から見て、第1仮想線VP1を基準として仮想的に分割した右,左領域ArR,ArL(図7)にそれぞれ設けられている。
そして、各外周導入路PL1,PL4から吐出された空気は、光軸Axに沿う方向から見て、第1仮想線VP1に平行である互いに逆方向から空間Arに導入され、外周側領域ArEに沿って流通することとなる。
すなわち、各外周導入路PL1,PL4は、本発明に係る第2吐出部に相当するものである。
【0040】
なお、本実施形態では、前記ダクトの構造、及び各外周導入路PL1,PL4の流路断面積を調整することで、各外周導入路PL1,PL4から吐出される空気は、同一の流速及び同一の流量に設定されている。
また、各外周導入路PL1,PL4から吐出される空気は、各中央導入路PL2,PL3から吐出される空気に対して、流速が小さくなるように設定されている。
【0041】
そして、各部材35,36は、各導入路PL1〜PL4から空間Arに吐出され、各部材35,36の表面に沿って流通する空気により冷却されることとなる。
ここで、各導出路PE1,PE2は、各外周導入路PL4,PL1にそれぞれ対向し、左,右仮想線VPL,VPR上にそれぞれ位置付けられている。
このため、各部材35,36を冷却した後の空気のうち、右側外周導入路PL1から吐出された空気、及び各中央導入路PL2,PL3から吐出され衝突した後の空気の一部は、図7に示すように、右側導出路PE2を介して接続部材5外部に排出される。
一方、左側外周導入路PL4から吐出された空気、及び各中央導入路PL2,PL3から吐出され衝突した後の空気の一部は、図7に示すように、左側導出路PE1を介して接続部材5外部に排出される。
なお、上述したように、左側導出路PE1の流路断面積は、左側外周導入路PL4の流路断面積よりも大きくなるように設定されており、右側導出路PE2の流路断面積も同様に、右側外周導入路PL1の流路断面積よりも大きくなるように設定されている。
このことにより、各外周導入路PL1,PL4から空間Arに導入された空気、及び各中央導入路PL2,PL3から空間Arに導入され衝突した後の空気は、各導出路PE1,PE2へ流れる。そして、空間Ar外部に良好に導出される。
【0042】
上述した第1実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、冷却装置4は、入射側偏光板35の光出射面(表面)、及び光変調装置36の光入射面(表面)に沿って空気を流通させる。そして、冷却装置4は、中心側領域ArO(光軸Axが通る位置)に向けて空気を吐出する2つの中央導入路PL2,PL3を備える。
このことにより、各中央導入路PL2,PL3からの空気を衝突させ、当該衝突により生じる乱流を利用して、各部材35,36の中心側領域ArOを冷却できる。
すなわち、冷却効率の高い乱流を利用するので、外周側領域ArEに対して温度の高い中心側領域ArOを効果的に冷却できる。
また、中心側領域ArOの冷却のみに乱流を利用するので、各部材35,36の表面全体の冷却に乱流を利用する場合と比較して、流量を少なくすることができる。
【0043】
また、冷却装置4は、外周側領域ArEに沿って空気を吐出する各外周導入路PL1,PL4を備える。
このことにより、各外周導入路PL1,PL4からの空気を外周側領域ArEに沿って層流の状態で流通させ、外周側領域ArEを冷却できる。
すなわち、外周側領域ArEは中心側領域ArOに比較して温度が低いため、乱流を利用する場合と比較して冷却効率の低い層流を利用しても、十分に外周側領域ArEを冷却できる。
また、層流を利用した冷却では、乱流を利用した冷却に比較して、空気の流速を小さく、かつ流量を少なくすることができる。
以上のように、中心側領域ArOの冷却に乱流を利用し、外周側領域ArEの冷却に層流を利用することで、少ない流量で各部材35,36の表面全体を効率的に冷却できる。
【0044】
また、少ない流量で各部材35,36の表面全体を効率的に冷却できるので、サイズの大きな冷却ファンを必要とせず、小型の冷却ファン6を用いることができる。したがって、プロジェクター1の小型化が図れるとともに、冷却ファン6の駆動時の騒音も低減でき、プロジェクター1の静粛性を十分に確保できる。
さらに、各導入路PL1〜PL4を形成する第1〜第4区画部513〜516は、第1,第2開口部511,512の縁部分まで形成されている。
このことにより、空間Arに導入される直前まで、各中央導入路PL2,PL3と各外周導入路PL1,PL4とを区画できる。すなわち、空間Arに導入される直前まで、各中央導入路PL2,PL3からの空気と各外周導入路PL1,PL4からの空気とが混ざり合うことを防止でき、中心側領域ArOと外周側領域ArEを効果的に冷却できる。
【0045】
また、各中央導入路PL2,PL3は、第1仮想線VP1上に2つ設けられ、第1仮想線VP1に沿って互いに逆方向に空気を吐出する。
このことにより、例えば、各中央導入路PL2,PL3からの吐出方向が交差(例えば、45°や90°で交差)するように各中央導入路PL2,PL3を設けた構成と比較して、各中央導入路PL2,PL3からの空気を各部材35,36の表面における光軸Ax上で衝突させる構成を容易に実現できる。
【0046】
さらに、各外周導入路PL1,PL4は、右,左領域ArR,ArLにそれぞれ設けられている。
すなわち、各中央導入路PL2,PL3が設けられる第1仮想線VP1を挟んだ両側に各外周導入路PL1,PL4をそれぞれ設けることで、各外周導入路PL1,PL4からの空気が各中央導入路PL2,PL3からの空気に与える影響を相殺できる。このため、各中央導入路PL2,PL3からの空気の衝突位置が光軸Ax上からずれてしまうことを防止できる。
【0047】
また、各外周導入路PL1,PL4が第1仮想線VP1に対して平行に空気を吐出するので、各外周導入路PL1,PL4からの空気が各中央導入路PL2,PL3からの空気に与える影響を低減できる。
さらに、各外周導入路PL1,PL4は、互いに逆方向に空気を吐出する。
このことにより、右領域ArRに設けられた右側外周導入路PL1からの空気が各中央導入路PL2,PL3に与える影響と、左領域ArLに設けられた左側外周導入路PL4からの空気が各中央導入路PL2,PL3に与える影響とのバランスを取ることができる。このため、各外周導入路PL1,PL4からの空気が各中央導入路PL2,PL3に与える影響を良好に相殺できる。
【0048】
また、各中央導入路PL2,PL3からの空気の流速は、各外周導入路PL1,PL4からの空気の流速よりも大きくなるように設定されている。
このことにより、各中央導入路PL2,PL3からの空気が各外周導入路PL1,PL4からの空気に引き寄せられることを防止でき、各中央導入路PL2,PL3からの空気の衝突位置が光軸Ax上からずれてしまうことを防止できる。
【0049】
さらに、冷却装置4が接続部材5を備えるので、各導入路PL1〜PL4から吐出され空間Arに導入された空気の全てを各部材35,36の表面全体に亘って、かつ各部材35,36の表面に沿って流通させることができる。すなわち、各導入路PL1〜PL4からの空気を無駄なく、冷却に寄与させることができ、各部材35,36を効果的に冷却できる。
【0050】
また、左側導出路PE1の流路断面積は、左側外周導入路PL4の流路断面積よりも大きくなるように設定されている。右側導出路PE2の流路断面積と右側外周導入路PL1の流路断面積との関係も同様である。
このことにより、各外周導入路PL1,PL4から空間Arに導入された空気、及び各中央導入路PL2,PL3から空間Arに導入され衝突した後の空気を、各導出路PE1,PE2を介して空間Ar外部に良好に導出することができる。このため、空気が空間Arに滞留することがなく、空間Arに導入された空気を各部材35,36の表面に沿って流通させた後、空間Ar外部に円滑に導出することができ、各部材35,36の冷却効率をより一層高めることができる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構成及び同一部材には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
前記第1実施形態では、冷却装置4は、入射側偏光板35の光出射面及び光入射面のうち、光出射面のみに沿って空気を流通させていた。
これに対して第2実施形態では、冷却装置4は、入射側偏光板35の光出射面(第1面)に沿って空気を流通させるとともに、光入射面(第2面)に沿って空気を流通させる。
【0052】
図8ないし図10は、第2実施形態における接続部材5の構造を示す図である。具体的に、図8は、入射側偏光板35、光変調装置36、及び接続部材5が一体化したユニットを光入射側から見た斜視図である。図9(A)は、第1面接続部材50Aを光軸Axに直交する平面にて切断した断面を光出射側から見た断面図である。図9(B)は、第2面接続部材50Bを光軸Axに直交する平面にて切断した断面を光入射側から見た断面図である。図10は、左仮想線VPLを通る鉛直面にて上記ユニットを切断した断面図である。
具体的に、第2実施形態における接続部材5は、図8ないし図10に示すように、第1面接続部材50Aと、第2面接続部材50Bと、2つのダクト部材50C,50Dとを備え、これら各部材50A〜50Dが一体化された構成を有する。
【0053】
第1面接続部材50Aは、前記第1実施形態で説明した接続部材5と略同様の構造を有するため、当該接続部材5と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
そして、第1面接続部材50Aにおいて、前記第1実施形態で説明した接続部材5と異なる点は、以下の通りである。
第1面接続部材50Aは、図9に示すように、第2連通口523が閉塞されている。
また、第1面接続部材50Aは、図9に示すように、接続部材本体51における下側の開口部分の一部(左側導出路PE1)が閉塞されている。
そして、第1面接続部材50Aは、前記第1実施形態と同様に、各開口部511,512が各部材35,36にて閉塞されることで、内部に第1空間Ar(図9(A)、図10)が形成される。
【0054】
第2面接続部材50Bは、入射側偏光板35の光入射側に配設され、光軸Axに直交する平面を基準として、第1面接続部材50Aに対称となる構造を有する。
なお、第2面接続部材50Bにおいて、第1面接続部材50Aの各構成(各流路PL1〜PL4,PE1,PE2を除く)の対称位置にある各構成については同一の符号を付して説明を省略する。
そして、第2面接続部材50Bは、各開口部511,512が入射側偏光板35及び透光性部材30(図8、図10)にて閉塞されることで、内部に第2空間Ar2(図9(B)、図10)が形成される。
【0055】
また、第2面接続部材50Bでは、第1面接続部材50Aにおける各外周導入路PL1,PL4の対称位置にある各流路が導出用流路として機能する。さらに、第2面接続部材50Bでは、第1面接続部材50Aにおける各導出路PE1,PE2の対称位置にある各流路が導入用流路として機能する。
なお、以下では、説明の便宜上、第2面接続部材50Bにおいて、第1面接続部材50Aにおける各外周導入路PL1,PL4の対称位置にある各流路を右,左側導出路PE3,PE4として記載する。また、第2面接続部材50Bにおいて、第1面接続部材50Aにおける左側導出路PE1、各中央導入路PL2,PL3、及び右側導出路PE2の対称位置にある各流路を、左側外周導入路PL5、下,上側中央導入路PL6,PL7、及び右側外周導入路PL8として記載する。
【0056】
ダクト部材50Cは、図8または図9に示すように、第1,第2面接続部材50A,50B間に架設され、第1面接続部材50Aにおける左側導出路PE1と第2面接続部材50Bにおける左側外周導入路PL5とを連通する。
ダクト部材50Dは、図9または図10に示すように、第1,第2面接続部材50A,50B間に架設され、第1面接続部材50Aにおける右側導出路PE2と第2面接続部材50Bにおける右側外周導入路PL8とを連通する。
【0057】
また、第2実施形態では、冷却ファン6と接続部材5とは、流路下流側が4つに分岐されたダクト(図示略)を介して接続される。
具体的に、前記ダクトにおいて、流路下流側の4つの端部のうち、2つの端部は、前記第1実施形態と同様に、第1面接続部材50Aにおける右側外周導入路PL1及び下側中央導入路PL2と上側中央導入路PL3及び左側外周導入路PL4とにそれぞれ接続される。一方、他の2つの端部は、第2面接続部材50Bにおける下側中央導入路PL6と上側中央導入路PL7とにそれぞれ接続される。
【0058】
次に、第2実施形態における冷却装置4による空気の流路について説明する。
図11は、第2実施形態における冷却装置4による空気の流路を説明するための模式図である。具体的に、図11は、図9に対応した図である。
なお、図11では、説明の便宜上、図7と同様に、空気の流れを矢印Fで示している。
また、図11では、図7と同様に、入射側偏光板35を中心側領域ArOと外周側領域ArEとに仮想的に分割している。
さらに、R,G,B色光側において、冷却装置4による空気の流路は、同様の流路であるため、以下では、R色光側の流路のみを説明する。
R側冷却ファン6Rが駆動すると、R側冷却ファン6Rから吐出された空気は、前記ダクトにて4つに分岐され、第1面接続部材50Aにおける各導入路PL1〜PL4、及び第2面接続部材50Bにおける各中央導入路PL6,PL7にそれぞれ導入される。
【0059】
なお、各導入路PL1〜PL4に導入された空気は、図9(A)に示すように、前記第1実施形態と同様に流通するため、説明を省略する。
そして、各導入路PL1〜PL4から第1空間Ar1に吐出され、各部材35,36を冷却した後の空気は、各導出路PE1,PE2及びダクト部材50C,50Dを介して、第2面接続部材50Bにおける各外周導入路PL5,PL8に導入される。
ここで、各外周導入路PL5,PL8は、図11に示すように、左,右仮想線VPL,VPR上にそれぞれ位置付けられている。
【0060】
すなわち、第2面接続部材50Bにおける各外周導入路PL5,PL8は、光軸Axに沿う方向から見て、第1面接続部材50Aにおける各外周導入路PL4,PL1に対して、光軸Axを通り第1仮想線VP1に直交する第2仮想線VP2(図11(A))を基準として対称となる位置に設けられている。
このため、各外周導入路PL5,PL8から第2空間Ar2に吐出された空気は、光軸Axに沿う方向から見て、各外周導入路PL4,PL1に対向する側から第2空間Arにそれぞれ導入され、外周側領域ArE(左,右仮想線VPL,VPR)に沿って流通することとなる。
なお、第2面接続部材50Bにおける各外周導入路PL5,PL8から吐出される空気も、第1面接続部材50Aにおける各外周導入路PL1,PL4から吐出される空気と同様に、同一の流速及び同一の流量に設定されている。
すなわち、各外周導入路PL5,PL8は、本発明に係る第2吐出部に相当するものである。
【0061】
一方、第2面接続部材50Bにおける各中央導入路PL6,PL7は、光軸Axに直交する平面を基準として、第1面接続部材50Aにおける各中央導入路PL2,PL3の対称位置に位置付けられている。
このため、各中央導入路PL6,PL7に導入され、第2空間Ar2に吐出される空気は、図11(B)に示すように、光軸Axに沿う方向から見て、各中央導入路PL2,PL3から第1空間Ar1に吐出される空気と同様に流通する。
すなわち、各中央導入路PL6,PL7は、本発明に係る第1吐出部に相当するものである。
また、第1,第2面接続部材50A,50Bは、本発明に係る第1,第2吐出部をそれぞれ有し、入射側偏光板35の光出射面及び光入射面に沿ってそれぞれ空気を流通させるため、本発明に係る第1,第2面吐出手段に相当する。
なお、第2面接続部材50Bにおける各中央導入路PL6,PL7から吐出される空気も、第1面接続部材50Aにおける各中央導入路PL2,PL3から吐出される空気と同様に、同一の流速及び同一の流量に設定されている。
また、各中央導入路PL6,PL7から吐出される空気は、第1面接続部材50Aにおける各導入路PL1〜PL4から吐出される空気の流速の関係と同様に、各外周導入路PL5,PL8から吐出される空気に対して、流速が大きくなるように設定されている。
【0062】
そして、入射側偏光板35は、各導入路PL1〜PL4から第1空間Ar1に吐出された空気により光出射面が冷却され、各導入路PL5〜PL8から第2空間Ar2に吐出された空気により光入射面が冷却されることとなる。
入射側偏光板35の光入射面を冷却した後の空気のうち、左側外周導入路PL5から吐出された空気、及び各中央導入路PL6,PL7から吐出され衝突した後の空気の一部は、図11(B)に示すように、左側導出路PE4を介して接続部材5外部に排出される。
一方、右側外周導入路PL8から吐出された空気、及び各中央導入路PL6,PL7から吐出され衝突した後の空気の一部は、図11(B)に示すように、右側導出路PE3を介して接続部材5外部に排出される。
なお、第2面接続部材50Bにおける右側導出路PE3の流路断面積は、第1面接続部材50Aにおける左側導出路PE1及び左側外周導入路PL4の流路断面積の関係と同様に、右側外周導入路PL8の流路断面積よりも大きくなるように設定されている。左側導出路PE4の流路断面積も同様に、左側外周導入路PL5の流路断面積よりも大きくなるように設定されている。
【0063】
上述した第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果の他、以下の効果がある。
本実施形態では、冷却装置4は、入射側偏光板35の光出射面に沿って空気を流通させる第1面接続部材50Aと、入射側偏光板35の光入射面に沿って空気を流通させる第2面接続部材50Bとを備える。
このことにより、入射側偏光板35の光入射面及び光出射面の双方を冷却でき、入射側偏光板35を効果的に冷却できる。
【0064】
また、第2面接続部材50Bの各外周導入路PL5,PL8は、光軸Axに沿う方向から見て、第1面接続部材50Aの各外周導入路PL4,PL1に対して、第2仮想線VP2を基準として対称となる位置に設けられている。言い換えれば、各外周導入路PL5,PL8は、光軸Axに沿う方向から見て、各外周導入路PL4,PL1に対向する位置に設けられている。
すなわち、入射側偏光板35の光出射面では、各外周導入路PL4,PL1から離間する側は、各外周導入路PL4,PL1に近接する側に対して、冷却効率が低いものとなっている。しかしながら、入射側偏光板35の光入射面において、光出射面での冷却効率が低い領域に対向する領域は、各外周導入路PL5,PL8に近接する側に相当するため、各外周導入路PL5,PL8から離間する側に対して、冷却効率が高いものとなっている。
このため、光軸Axに沿う方向から見て、入射側偏光板35の光出射面で冷却効率が低い領域については光入射面で冷却効率が高い領域とし、逆に、光入射面で冷却効率が低い領域については光出射面で冷却効率が高い領域とすることができ、入射側偏光板35の全体を効率的に冷却できる。
【0065】
さらに、冷却装置4がダクト部材50C,50Dを備えるので、第1空間Ar1に導入され入射側偏光板35の光出射面を冷却した後の空気を、ダクト部材50C,50Dを介して、第2空間Ar2に導入して入射側偏光板35の光入射面の冷却に寄与させることができる。
すなわち、入射側偏光板35の光出射面及び光入射面を冷却する空気の一部を共通化することができ、入射側偏光板35を効率的に冷却できる。
【0066】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、冷却流体として空気を利用していたが、これに限らず、水やエチレングリコール等の液体を冷却流体として利用しても構わない。
前記各実施形態では、冷却装置4は、入射側偏光板35及び光変調装置36の双方を冷却するように構成されていたが、これに限らず、各部材35,36のいずれか一方のみを冷却するように構成しても構わない。
また、前記各実施形態では、冷却対象として入射側偏光板35及び光変調装置36を採用していたが、これに限らず、偏光変換素子323や出射側偏光板37等の他の光学素子を冷却対象としても構わない。
【0067】
前記各実施形態では、冷却ファン6は、R,G,B色光側の各接続部材5に対応して3つ設けられていたが、これに限らず、1つ、2つ、あるいは、4つ以上の冷却ファン6にて各接続部材5に空気を送風する構成を採用してもよい。
前記各実施形態では、本発明に係る第1,第2吐出部は、接続部材5に形成された各導入路PL1〜PL8で構成されていたが、これに限らない。
例えば、接続部材5を省略し、第1,第2吐出部として、冷却ファン6から送風された空気を中心側領域ArO等に向けて吐出するダクトでそれぞれ構成しても構わない。
【0068】
前記各実施形態では、各中央導入路PL2,PL3,PL6,PL7は、第1仮想線VP1上にそれぞれ設けられていたが、これに限らず、光軸Axが通る位置に向けて吐出する構成であれば、いずれの位置に設けても構わない。また、第1仮想線VP1は、鉛直方向に延びていたが、鉛直方向でなくても構わない。
また、各外周導入路PL1,PL4,PL5,PL8も同様に、外周側領域ArEに沿って空気を吐出する構成であれば、前記各実施形態で説明した位置に限らず、その他の位置に設けても構わない。
さらに、各導出路PE1〜PE4も同様に、空間Ar,Ar1,Ar2の空気を空間Ar,Ar1,Ar2外部に導出する構成であれば、形成位置やその数は、前記各実施形態で説明した形成位置及び数に限らない。
前記各実施形態では、本発明に係る第1,第2吐出部がそれぞれ2つずつ設けられていたが、これに限らず、3つ以上設けても構わない。
【0069】
前記各実施形態では、光変調装置36は、3つ設けられていたが、その数は3つに限らず、1つ、2つ、あるいは、4つ以上であっても構わない。
前記各実施形態において、光変調装置としては、透過型または反射型の液晶パネルの他、マイクロミラーを用いたデバイス等、液晶以外の光変調装置を採用しても構わない。
前記各実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行うフロントタイプのプロジェクターの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行うリアタイプのプロジェクターにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、プレゼンテーションやホームシアターに用いられるプロジェクターに利用できる。
【符号の説明】
【0071】
1・・・プロジェクター、4・・・冷却装置、5・・・接続部材、35・・・入射側偏光板(光学素子)、36・・・光変調装置(光学素子)、50A・・・第1面接続部材(第1面吐出手段)、50B・・・第2面接続部材(第2面吐出手段)、50C,50D・・・ダクト部材、Ax・・・光軸、Ar・・・空間、Ar1・・・第1空間、Ar2・・・第2空間、ArO・・・中心側領域、ArE・・・外周側領域、ArL,ArR・・・左,右領域、PL1,PL4,PL5,PL8・・・外周導入路(第2吐出部、導入用流路)、PL2,PL3,PL6,PL7・・・中央導入路(第1吐出部、導入用流路)、VP1・・・第1仮想線,VP2・・・第2仮想線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターにおいて、液晶パネルや偏光板等の光学素子の表面に沿って空気を流通させ、当該光学素子を冷却する冷却装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の冷却装置は、光学素子の表面上で第1の方向に沿って空気を流す第1の空冷部と、光学素子の表面上で第1の方向に交差する第2の方向に沿って空気を流す第2の空冷部とを備える。
そして、第1の方向に沿って流れる空気と第2の方向に沿って流れる空気とを衝突させ、当該衝突によって、光学素子の表面に沿って乱流の状態で空気を流通させている。
すなわち、乱流による冷却を利用することで、光学素子の表面に存在する速度境界層(空気の流速の変化が激しい薄い層の領域(表面で流速がゼロ))を薄くして、流通する空気と光学素子との間で熱交換を良好に行わせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−92842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の冷却装置では、空気の衝突によって生じる乱流を利用して光学素子を冷却しているため、光学素子の表面全体の広範囲を冷却するためには、空気を高速で、かつ光学素子の表面全体の広範囲に流通させる必要がある。すなわち、多くの流量が必要となる、という問題がある。
【0005】
本発明の目的は、少ない流量で光学素子の表面全体を効率的に冷却できるプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクターは、光学素子の表面に沿って冷却流体を流通させる冷却装置を備えたプロジェクターであって、前記冷却装置は、前記光学素子に入射する光束の光軸に沿う方向から見て、前記光学素子を、前記光軸が通る位置を含む中心側領域と前記中心側領域を除く外周側領域とに仮想的に分割した場合に、前記中心側領域に向けて前記冷却流体を吐出する少なくとも2つの第1吐出部と、前記外周側領域に沿って前記冷却流体を吐出する第2吐出部とを備えることを特徴とする。
【0007】
ところで、プロジェクターでは、光学素子に光束を照射する場合、光学素子の表面全体を均一に照射することができず、光学素子の表面に照度分布が生じるものである。すなわち、光学素子の表面には、高い照度の領域の温度が高く、低い照度の領域の温度が低くなり、照度分布に応じて温度分布が生じることとなる。
そして、光学素子の表面における照度分布としては、通常、光束の中心である光軸が通る位置の照度が高く、光軸から離れるにしたがって照度が低くなるものである。すなわち、光学素子の表面における温度分布も照度分布に対応し、光軸が通る位置の温度が高く、光軸から離れるにしたがって温度が低くなるものである。
【0008】
本発明では、冷却装置は、光軸が通る位置を含む中心側領域に向けて冷却流体を吐出する少なくとも2つの第1吐出部を備える。
このことにより、少なくとも2つの第1吐出部からの冷却流体を衝突させ、当該衝突により生じる乱流を利用して、中心側領域を冷却できる。すなわち、冷却効率の高い乱流を利用することで、外周側領域に対して温度の高い中心側領域を効果的に冷却できる。
また、中心側領域の冷却のみに乱流を利用するので、光学素子の表面全体の冷却に乱流を利用する場合と比較して、流量を少なくすることができる。
【0009】
また、冷却装置は、外周側領域に沿って冷却流体を吐出する第2吐出部を備える。
このことにより、第2吐出部からの冷却流体を外周側領域に沿って層流(乱れを含まない流れ)の状態で流通させ、当該外周側領域を冷却できる。
すなわち、外周側領域は中心側領域に比較して温度が低いため、乱流を利用する場合と比較して冷却効率の低い層流を利用しても、十分に外周側領域を冷却できる。
また、層流を利用した冷却では、乱流を利用した冷却に比較して、冷却流体の流速を小さく、かつ流量を少なくすることができる。
以上のように、中心側領域の冷却に乱流を利用し、外周側領域の冷却に層流を利用することで、少ない流量で光学素子の表面全体を効率的に冷却できる。
【0010】
本発明のプロジェクターでは、前記第1吐出部は、前記光軸に沿う方向から見て、前記光軸を通る第1仮想線上に2つ設けられ、前記第1仮想線に沿って互いに逆方向に前記冷却流体を吐出し、前記第2吐出部は、2つ設けられ、前記光軸に沿う方向から見て、前記第1仮想線を基準として仮想的に分割した2つの領域にそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0011】
本発明では、第1吐出部は、上述した第1仮想線上に2つ設けられ、第1仮想線に沿って互いに逆方向に冷却流体を吐出する。
このことにより、例えば、2つの第1吐出部からの吐出方向が交差(例えば、45°や90°で交差)するように各第1吐出部を設けた構成と比較して、2つの第1吐出部からの冷却流体を光学素子の表面における光軸が通る位置(光軸上)で衝突させる構成を容易に実現できる。
【0012】
ところで、第2吐出部が上述した2つの領域のうち一方の領域のみに設けられた場合には、第2吐出部からの冷却流体に影響され、2つの第1吐出部からの冷却流体の衝突位置が光軸上からずれてしまう恐れがある。
本発明では、第2吐出部は、2つ設けられている。そして、2つの第2吐出部は、上述した2つの領域にそれぞれ設けられている。
すなわち、各第1吐出部が設けられる第1仮想線を挟んだ両側に第2吐出部をそれぞれ設けることで、各第2吐出部からの冷却流体が各第1吐出部からの冷却流体に与える影響を相殺できる。このため、2つの第1吐出部からの冷却流体の衝突位置が光軸上からずれてしまうことを防止できる。
【0013】
本発明のプロジェクターでは、2つの前記第2吐出部は、前記第1仮想線に対して平行に前記冷却流体を吐出するとともに、互いに逆方向に前記冷却流体を吐出することが好ましい。
本発明では、2つの第2吐出部が第1仮想線に対して平行に冷却流体を吐出するので、各第2吐出部からの冷却流体が各第1吐出部からの冷却流体に与える影響を低減できる。
また、2つの第2吐出部は、互いに逆方向に冷却流体を吐出する。
このことにより、上述した2つの領域のうち一方の領域に設けられた第2吐出部からの冷却流体が各第1吐出部からの冷却流体に与える影響と、他方の領域に設けられた第2吐出部からの冷却流体が各第1吐出部からの冷却流体に与える影響とのバランスを取ることができる。このため、各第2吐出部からの冷却流体が各第1吐出部からの冷却流体に与える影響を良好に相殺できる。
【0014】
本発明のプロジェクターでは、前記光学素子は、互いに対向する第1面及び第2面を有し、前記冷却装置は、2つの前記第1吐出部及び2つの前記第2吐出部を有し、前記光学素子の前記第1面に沿って前記冷却流体を流通させる第1面吐出手段と、2つの前記第1吐出部及び2つの前記第2吐出部を有し、前記光学素子の前記第2面に沿って前記冷却流体を流通させる第2面吐出手段とを備え、前記第2面吐出手段の前記第2吐出部は、前記光軸に沿う方向から見て、前記第1面吐出手段の前記第2吐出部に対して、前記光軸を通り前記第1仮想線に直交する第2仮想線を基準として対称となる位置に設けられていることが好ましい。
【0015】
本発明では、冷却装置は、光学素子の表面を構成する第1面(例えば、光出射面)に沿って冷却流体を流通させる上述した第1面吐出手段と、光学素子の表面を構成する第2面(例えば、光入射面)に沿って冷却流体を流通させる上述した第2面吐出手段を備える。
このことにより、光学素子の第1,第2面の双方を冷却でき、光学素子を効果的に冷却できる。
【0016】
ところで、光学素子の表面上を層流の状態で冷却流体を流通させた場合には、下流側に向うにしたがって冷却流体の流速は小さくなるものである。すなわち、第2吐出部からの冷却流体にて光学素子を冷却する場合、第2吐出部から離間するにしたがって冷却効率が低くなる。
本発明では、第2面吐出手段の第2吐出部は、光軸に沿う方向から見て、第1面吐出手段の第2吐出部に対して、上述した第2仮想線を基準として対称となる位置に設けられている。言い換えれば、第2面吐出手段の第2吐出部は、光軸に沿う方向から見て、第1面吐出手段の第2吐出部に対向する位置に設けられている。
すなわち、光学素子の第1面では、第1面吐出手段の第2吐出部から離間する側は、当該第2吐出部に近接する側に対して、冷却効率が低いものとなっている。しかしながら、光学素子の第2面において、第1面での冷却効率が低い領域に対向する領域は、第2面吐出手段の第2吐出部に近接する側に相当するため、当該第2吐出部から離間する側に対して、冷却効率が高いものとなっている。
このため、光軸に沿う方向から見て、光学素子の第1面で冷却効率が低い領域については第2面で冷却効率が高い領域とし、逆に、第2面で冷却効率が低い領域については第1面で冷却効率が高い領域とすることができ、光学素子の全体を効率的に冷却できる。
【0017】
本発明のプロジェクターでは、前記第1吐出部から吐出された前記冷却流体の流速は、前記第2吐出部から吐出された前記冷却流体の流速よりも大きくなるように設定されていることが好ましい。
ところで、第2吐出部からの冷却流体の流速が第1吐出部からの冷却流体の流速よりも大きい場合には、第1吐出部からの冷却流体が第2吐出部からの冷却流体に引き寄せられ、各第1吐出部からの冷却流体の衝突位置が所望の位置(例えば、光学素子の表面における光軸が通る位置)からずれてしまう恐れがある。
本発明では、第1吐出部からの冷却流体の流速は、第2吐出部からの冷却流体の流速よりも大きくなるように設定されている。
このことにより、第1吐出部からの冷却流体が第2吐出部からの冷却流体に引き寄せられることを防止でき、各第1吐出部からの冷却流体の衝突位置が所望の位置からずれてしまうことを防止できる。
【0018】
本発明のプロジェクターでは、前記冷却装置は、前記光学素子に接続し、前記光学素子の表面との間で前記第1吐出部及び前記第2吐出部から吐出された冷却流体が導入される空間を形成する接続部材を備え、前記接続部材には、前記空間に導入された冷却流体を前記空間外部に導出するための導出用流路が形成されていることが好ましい。
本発明では、冷却装置が上述した接続部材を備えるので、第1,第2吐出部から吐出され上述した空間に導入された冷却流体の全てを光学素子の表面全体に亘って流通させることができる。すなわち、第1,第2吐出部からの冷却流体を無駄なく、冷却に寄与させることができ、光学素子を効果的に冷却できる。
【0019】
本発明のプロジェクターでは、前記第1吐出部及び前記第2吐出部は、前記接続部材に形成され、前記空間外部から前記空間に前記冷却流体を導入するための導入用流路でそれぞれ構成され、前記導出用流路の流路断面積は、前記第2吐出部の流路断面積よりも大きくなるように設定されていることが好ましい。
【0020】
本発明では、上述した導出用流路の流路断面積は、接続部材に形成された上述した導入用流路で構成される第2吐出部の流路断面積よりも大きくなるように設定されている。
このことにより、第2吐出部から空間に導入された冷却流体、及び各第1吐出部から空間に導入され衝突した後の冷却流体を、導出用流路を介して空間外部に良好に導出することができる。このため、冷却流体が空間に滞留することがなく、空間に導入された冷却流体を光学素子の表面に沿って流通させた後、空間外部に円滑に導出することができ、光学素子の冷却効率をより一層高めることができる。
【0021】
本発明のプロジェクターでは、前記第1吐出部及び前記第2吐出部は、前記接続部材に形成され、前記空間外部から前記空間に前記冷却流体を導入するための導入用流路でそれぞれ構成され、前記光学素子は、互いに対向する第1面及び第2面を有し、前記接続部材は、前記導入用流路及び前記導出用流路を有し、前記光学素子の前記第1面との間で前記冷却流体が導入される第1空間を形成する第1面接続部材と、前記導入用流路及び前記導出用流路を有し、前記光学素子の前記第2面との間で前記冷却流体が導入される第2空間を形成する第2面接続部材と、前記第1面接続部材の前記導出用流路を介して導出された冷却流体を前記第2面接続部材の前記導入用流路に導くダクト部材とを備えることが好ましい。
【0022】
本発明では、冷却装置は、光学素子の表面を構成する第1面(例えば、光出射面)に沿って冷却流体を流通させる上述した第1面接続部材と、光学素子の表面を構成する第2面(例えば、光入射面)に沿って冷却流体を流通させる上述した第2面接続部材とを備える。
このことにより、光学素子の第1,第2面の双方を冷却でき、光学素子を効果的に冷却できる。
また、冷却装置が上述したダクト部材を備えるので、第1空間に導入され光学素子の第1面を冷却した後の冷却流体を、ダクト部材を介して、第2空間に導入して光学素子の第2面の冷却に寄与させることができる。
すなわち、光学素子の第1,第2面を冷却する冷却流体の一部を共通化することができ、光学素子を効率的に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態におけるプロジェクターの概略構成を示す図。
【図2】第1実施形態における冷却装置の構成を模式的に示す図。
【図3】第1実施形態における接続部材の構造を示す模式図。
【図4】第1実施形態における接続部材の構造を示す模式図。
【図5】第1実施形態における接続部材の構造を示す模式図。
【図6】第1実施形態における接続部材の構造を示す模式図。
【図7】第1実施形態における冷却装置による空気の流路を説明するための模式図。
【図8】第2実施形態における接続部材の構造を示す模式図。
【図9】第2実施形態における接続部材の構造を示す模式図。
【図10】第2実施形態における接続部材の構造を示す模式図。
【図11】第2実施形態における冷却装置による空気の流路を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクターの構成〕
図1は、プロジェクター1の概略構成を示す図である。
プロジェクター1は、画像を投射してスクリーン(図示略)上に投影画像を表示する。
そして、このプロジェクター1は、図1に示すように、外装筐体2内部に収納される光学ユニット3及び冷却装置4(図2参照)を備える。
【0025】
〔光学ユニットの構成〕
光学ユニット3は、図1に示すように、発光管311及びリフレクター312を有する光源装置31と、レンズアレイ321,322、偏光変換素子323、及び重畳レンズ324を有する照明光学装置32と、ダイクロイックミラー331,332、及び反射ミラー333を有する色分離光学装置33と、入射側レンズ341、リレーレンズ343、及び反射ミラー342,344を有するリレー光学装置34と、光学素子としての3つの入射側偏光板35と、光学素子としての3つの光変調装置36と、3つの出射側偏光板37と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム38と、投射光学装置としての投射レンズ39とを備える。
そして、光学ユニット3では、上述した構成により、光源装置31から出射され照明光学装置32を介した光束は、色分離光学装置33にて赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの色光に分離される。また、分離された各色光は、各光変調装置36にてそれぞれ変調される。変調された各色光は、プリズム38にて合成されて画像となり、投射レンズ39にてスクリーンに投射される。
【0026】
〔冷却装置の構成〕
図2は、冷却装置4の構成を模式的に示す図である。
冷却装置4は、冷却流体を入射側偏光板35及び光変調装置36の表面に沿って流通させ、これら各部材35,36を冷却する。
本実施形態では、冷却流体として、空気を利用している。
そして、冷却装置4は、図2に示すように、3つの接続部材5と、3つの冷却ファン6とを備える。
なお、図2では、説明の便宜上、3つの接続部材5のうち、R色光側に配設される接続部材をR側接続部材5R、G色光側に配設される接続部材をG側接続部材5G、B色光側に配設される接続部材をB側接続部材5Bと記載する。冷却ファン6も同様である。
【0027】
〔接続部材の構成〕
図3ないし図6は、接続部材5の構造を示す図である。具体的に、図3は入射側偏光板35、光変調装置36、及び接続部材5が一体化したユニットを光入射側から見た斜視図であり、図4は当該ユニットを光出射側から見た斜視図である。図5は、接続部材5を光軸Axに直交する平面にて切断した断面を光出射側から見た断面図である。図6は、光軸Ax及び後述する各中央導入路PL2,PL3を通る鉛直面にて上記ユニットを切断した断面図である。
なお、各接続部材5は、同様の構成であり、以下では1つの接続部材5のみを説明する。
接続部材5は、入射側偏光板35及び光変調装置36の間に配設され、入射側偏光板35及び光変調装置36に接続する。そして、接続部材5は、入射側偏光板35及び光変調装置36とで空気が導入及び導出される空間Ar(図5、図6)を形成する。
【0028】
具体的に、接続部材5は、図3ないし図6に示すように、接続部材本体51と、上側流路形成部52とが一体形成され、光軸Axに沿う方向から見て略L字形状を有する。
接続部材本体51は、光軸Axを通る水平面で切断した横断面が略矩形枠形状を有し、鉛直方向に沿って延びる筒体で構成されている。
この接続部材本体51において、光入射面及び光出射面には、図3、図5または図6に示すように、矩形状の第1,第2開口部511,512が形成されている。
本実施形態では、第1,第2開口部511,512は、同一形状を有するように形成されている。
【0029】
ここで、入射側偏光板35は、図6に示すように、板体状に形成されたものであり、光出射面(表面)が接続部材本体51内部(空間Ar)に面するように、第1開口部511に嵌合される。
また、光変調装置36は、図6に示すように、透過型の液晶パネル361と、矩形枠形状を有し、液晶パネル361が収納される保持枠362とを備える。そして、保持枠362は、液晶パネル361の光入射面(表面)が接続部材本体51内部(空間Ar)に面し、第2開口部512を閉塞するように接続部材本体51外面(光出射面)に取り付けられる。
上述したように各部材35,36が接続部材本体51に接続することで、第1,第2開口部511,512が閉塞され、接続部材本体51内部に空間Ar(図5、図6)が形成される。
【0030】
また、接続部材本体51内部において、下側には、図3ないし図5に示すように、当該下側の空間を3つの空間に区画する第1,第2区画部513,514が水平方向(図5中、左右方向)に並設されている。
第1,第2区画部513,514は、同一形状を有し、板状に形成されている。
具体的に、第1,第2区画部513,514は、光軸Axに沿う方向から見て、接続部材本体51の下端縁から、鉛直方向に沿って、第1,第2開口部511,512の下端縁まで延びるように形成されている。
【0031】
そして、第1,第2区画部513,514によって区画された3つの空間のうち、図5中、右側の空間は、鉛直方向に沿って延び、空気を空間Arに導入し、各部材35,36の表面に沿って流通させるための導入用流路としての右側外周導入路PL1として機能する。
また、図5中、中央の空間も同様に、鉛直方向に沿って延び、空気を空間Arに導入し、各部材35,36の表面に沿って流通させるための導入用流路としての下側中央導入路PL2として機能する。
さらに、図5中、左側の空間は、鉛直方向に沿って延び、空間Arの空気を空間Ar外部に導出するための導出用流路としての左側導出路PE1として機能する。
【0032】
上側流路形成部52は、内部が中空とされた直方体形状を有し、内部が接続部材本体51内部に連通するように接続部材本体51に一体形成される。
具体的に、上側流路形成部52は、図3、図4または図6に示すように、光軸Axに沿う方向の長さ寸法が接続部材本体51と同一に設定されている。また、上側流路形成部52は、図3ないし図5に示すように、水平方向の長さ寸法が接続部材本体51よりも長くなるように設定され、当該水平方向の一方の端部が接続部材本体51に対して張り出した状態で一体化されている。
【0033】
そして、上側流路形成部52において、当該張出部分521の下端面には、図3ないし図5に示すように、当該上側流路形成部52内外を連通する第1連通口522が形成されている。
また、上側流路形成部52において、張出部分521と反対側の端面には、図5に示すように、当該上側流路形成部52内外を連通する第2連通口523が形成されている。
そして、接続部材5内部において、上側(接続部材本体51内部の上側、及び上側流路形成部52内部)には、図5に示すように、当該上側の空間を3つの空間に区画する第3,第4区画部515,516が水平方向に並設されている。
【0034】
第3,第4区画部515,516は、板状に形成されている。
具体的に、第3区画部515は、光軸Axに沿う方向から見て、第1,第2開口部511,512の上端縁から、鉛直方向に沿って、上側流路形成部52の上側の側壁まで延びるように形成されている。
また、第4区画部516は、光軸Axに沿う方向から見て、第1,第2開口部511,512の上端縁から、鉛直方向に沿って上側に延びるとともに、略90°折り曲げられて張出部分521に沿って延び、さらに、略90°折り曲げられて第1連通口522の縁部分まで延びるように形成されている。
【0035】
そして、第3,第4区画部515,516によって区画された3つの空間のうち、図5中、右側の空間は、鉛直方向に沿って延び、第2連通口523を介して空間Arの空気を空間Ar外部に導出するための導出用流路としての右側導出路PE2として機能する。
また、図5中、中央の空間は、第1連通口522を介して導入した空気を空間Arに導入し、各部材35,36の表面に沿って流通させるための導入用流路としての上側中央導入路PL3として機能する。
さらに、図5中、左側の空間も同様に、第1連通口522を介して導入した空気を空間Arに導入し、各部材35,36の表面に沿って流通させるための導入用流路としての左側外周導入路PL4として機能する。
なお、本実施形態では、左側導出路PE1の流路断面積は、左側外周導入路PL4の流路断面積よりも大きくなるように設定されている。また、右側導出路PE2の流路断面積も同様に、右側外周導入路PL1の流路断面積よりも大きくなるように設定されている。
【0036】
〔冷却ファンの構成〕
3つの冷却ファン6は、図2に示すように、各接続部材5に応じてそれぞれ設けられ、各接続部材5に接続された各部材35,36をそれぞれ冷却するために用いられる。
なお、各冷却ファン6は、同様の構成であり、かつ、各接続部材5に対して同様に接続されるものであり、以下では1つの冷却ファン6と1つの接続部材5との接続構造のみを説明する。
冷却ファン6と接続部材5とは、流路下流側が2つに分岐されたダクト(図示略)を介して接続される。
具体的に、前記ダクトにおいて、流路上流側の端部は、冷却ファン6の吐出口(図示略)に接続される。
一方、前記ダクトにおいて、流路下流側の2つの端部のうち、一方の端部は、接続部材本体51における下側の開口部分のうち、右側外周導入路PL1及び下側中央導入路PL2にのみ接続する。また、他方の端部は、張出部分521の下端面(上側中央導入路PL3及び左側外周導入路PL4)に接続する。
【0037】
〔空気の流路〕
図7は、冷却装置4による空気の流路を説明するための模式図である。具体的に、図7は、図5に対応した図である。
次に、上述した冷却装置4による空気の流路について説明する。
なお、図7では、説明の便宜上、空気の流れを矢印Fで示している。
また、図7では、入射側偏光板35を、光軸Axに沿う方向から見て、光軸Axが通る位置を含む矩形状の中心側領域ArOと、中心側領域ArOを除くその他の外周側領域ArEとに仮想的に分割している。
さらに、R,G,B色光側において、冷却装置4による空気の流路は、同様の流路であるため、以下では、R色光側の流路のみを説明する。
R側冷却ファン6Rが駆動すると、R側冷却ファン6Rから吐出された空気は、前記ダクトにて2つに分岐され、各導入路PL1〜PL4にそれぞれ導入される。
【0038】
そして、下側中央導入路PL2に導入された空気は、図7に示すように、当該流路PL2を辿って、下側から空間Arに吐出される。
一方、上側中央導入路PL3に導入された空気は、図7に示すように、当該流路PL3を辿って、上側から空間Arに吐出される。
ここで、各中央導入路PL2,PL3は、光軸Axに沿う方向から見て、光軸Axを通り鉛直方向に延びる第1仮想線VP1(図7)上にそれぞれ位置付けられている。
このため、各中央導入路PL2,PL3から吐出された空気は、第1仮想線VP1に沿って互いに逆方向から光軸Axが通る位置に向うこととなる。
すなわち、各中央導入路PL2,PL3は、本発明に係る第1吐出部に相当するものである。
なお、本実施形態では、前記ダクトの構造、及び各中央導入路PL2,PL3の流路断面積を調整することで、各中央導入路PL2,PL3から吐出される空気は、同一の流速及び同一の流量に設定されている。
このため、各中央導入路PL2,PL3から吐出された空気は、光軸Axに沿う方向から見て、光軸Ax上にて衝突することとなる。
【0039】
また、右側外周導入路PL1に導入された空気は、図7に示すように、当該流路PL1を辿って、下側から空間Arに吐出される。
一方、左側外周導入路PL4に導入された空気は、図7に示すように、当該流路PL4を辿って、上側から空間Arに吐出される。
ここで、各外周導入路PL1,PL4は、光軸Axに沿う方向から見て、第1仮想線VP1を基準として線対称となり外周側領域ArEを通る右,左仮想線VPR,VPL上にそれぞれ位置付けられている。
すなわち、各外周導入路PL1,PL4は、光軸Axに沿う方向から見て、第1仮想線VP1を基準として仮想的に分割した右,左領域ArR,ArL(図7)にそれぞれ設けられている。
そして、各外周導入路PL1,PL4から吐出された空気は、光軸Axに沿う方向から見て、第1仮想線VP1に平行である互いに逆方向から空間Arに導入され、外周側領域ArEに沿って流通することとなる。
すなわち、各外周導入路PL1,PL4は、本発明に係る第2吐出部に相当するものである。
【0040】
なお、本実施形態では、前記ダクトの構造、及び各外周導入路PL1,PL4の流路断面積を調整することで、各外周導入路PL1,PL4から吐出される空気は、同一の流速及び同一の流量に設定されている。
また、各外周導入路PL1,PL4から吐出される空気は、各中央導入路PL2,PL3から吐出される空気に対して、流速が小さくなるように設定されている。
【0041】
そして、各部材35,36は、各導入路PL1〜PL4から空間Arに吐出され、各部材35,36の表面に沿って流通する空気により冷却されることとなる。
ここで、各導出路PE1,PE2は、各外周導入路PL4,PL1にそれぞれ対向し、左,右仮想線VPL,VPR上にそれぞれ位置付けられている。
このため、各部材35,36を冷却した後の空気のうち、右側外周導入路PL1から吐出された空気、及び各中央導入路PL2,PL3から吐出され衝突した後の空気の一部は、図7に示すように、右側導出路PE2を介して接続部材5外部に排出される。
一方、左側外周導入路PL4から吐出された空気、及び各中央導入路PL2,PL3から吐出され衝突した後の空気の一部は、図7に示すように、左側導出路PE1を介して接続部材5外部に排出される。
なお、上述したように、左側導出路PE1の流路断面積は、左側外周導入路PL4の流路断面積よりも大きくなるように設定されており、右側導出路PE2の流路断面積も同様に、右側外周導入路PL1の流路断面積よりも大きくなるように設定されている。
このことにより、各外周導入路PL1,PL4から空間Arに導入された空気、及び各中央導入路PL2,PL3から空間Arに導入され衝突した後の空気は、各導出路PE1,PE2へ流れる。そして、空間Ar外部に良好に導出される。
【0042】
上述した第1実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、冷却装置4は、入射側偏光板35の光出射面(表面)、及び光変調装置36の光入射面(表面)に沿って空気を流通させる。そして、冷却装置4は、中心側領域ArO(光軸Axが通る位置)に向けて空気を吐出する2つの中央導入路PL2,PL3を備える。
このことにより、各中央導入路PL2,PL3からの空気を衝突させ、当該衝突により生じる乱流を利用して、各部材35,36の中心側領域ArOを冷却できる。
すなわち、冷却効率の高い乱流を利用するので、外周側領域ArEに対して温度の高い中心側領域ArOを効果的に冷却できる。
また、中心側領域ArOの冷却のみに乱流を利用するので、各部材35,36の表面全体の冷却に乱流を利用する場合と比較して、流量を少なくすることができる。
【0043】
また、冷却装置4は、外周側領域ArEに沿って空気を吐出する各外周導入路PL1,PL4を備える。
このことにより、各外周導入路PL1,PL4からの空気を外周側領域ArEに沿って層流の状態で流通させ、外周側領域ArEを冷却できる。
すなわち、外周側領域ArEは中心側領域ArOに比較して温度が低いため、乱流を利用する場合と比較して冷却効率の低い層流を利用しても、十分に外周側領域ArEを冷却できる。
また、層流を利用した冷却では、乱流を利用した冷却に比較して、空気の流速を小さく、かつ流量を少なくすることができる。
以上のように、中心側領域ArOの冷却に乱流を利用し、外周側領域ArEの冷却に層流を利用することで、少ない流量で各部材35,36の表面全体を効率的に冷却できる。
【0044】
また、少ない流量で各部材35,36の表面全体を効率的に冷却できるので、サイズの大きな冷却ファンを必要とせず、小型の冷却ファン6を用いることができる。したがって、プロジェクター1の小型化が図れるとともに、冷却ファン6の駆動時の騒音も低減でき、プロジェクター1の静粛性を十分に確保できる。
さらに、各導入路PL1〜PL4を形成する第1〜第4区画部513〜516は、第1,第2開口部511,512の縁部分まで形成されている。
このことにより、空間Arに導入される直前まで、各中央導入路PL2,PL3と各外周導入路PL1,PL4とを区画できる。すなわち、空間Arに導入される直前まで、各中央導入路PL2,PL3からの空気と各外周導入路PL1,PL4からの空気とが混ざり合うことを防止でき、中心側領域ArOと外周側領域ArEを効果的に冷却できる。
【0045】
また、各中央導入路PL2,PL3は、第1仮想線VP1上に2つ設けられ、第1仮想線VP1に沿って互いに逆方向に空気を吐出する。
このことにより、例えば、各中央導入路PL2,PL3からの吐出方向が交差(例えば、45°や90°で交差)するように各中央導入路PL2,PL3を設けた構成と比較して、各中央導入路PL2,PL3からの空気を各部材35,36の表面における光軸Ax上で衝突させる構成を容易に実現できる。
【0046】
さらに、各外周導入路PL1,PL4は、右,左領域ArR,ArLにそれぞれ設けられている。
すなわち、各中央導入路PL2,PL3が設けられる第1仮想線VP1を挟んだ両側に各外周導入路PL1,PL4をそれぞれ設けることで、各外周導入路PL1,PL4からの空気が各中央導入路PL2,PL3からの空気に与える影響を相殺できる。このため、各中央導入路PL2,PL3からの空気の衝突位置が光軸Ax上からずれてしまうことを防止できる。
【0047】
また、各外周導入路PL1,PL4が第1仮想線VP1に対して平行に空気を吐出するので、各外周導入路PL1,PL4からの空気が各中央導入路PL2,PL3からの空気に与える影響を低減できる。
さらに、各外周導入路PL1,PL4は、互いに逆方向に空気を吐出する。
このことにより、右領域ArRに設けられた右側外周導入路PL1からの空気が各中央導入路PL2,PL3に与える影響と、左領域ArLに設けられた左側外周導入路PL4からの空気が各中央導入路PL2,PL3に与える影響とのバランスを取ることができる。このため、各外周導入路PL1,PL4からの空気が各中央導入路PL2,PL3に与える影響を良好に相殺できる。
【0048】
また、各中央導入路PL2,PL3からの空気の流速は、各外周導入路PL1,PL4からの空気の流速よりも大きくなるように設定されている。
このことにより、各中央導入路PL2,PL3からの空気が各外周導入路PL1,PL4からの空気に引き寄せられることを防止でき、各中央導入路PL2,PL3からの空気の衝突位置が光軸Ax上からずれてしまうことを防止できる。
【0049】
さらに、冷却装置4が接続部材5を備えるので、各導入路PL1〜PL4から吐出され空間Arに導入された空気の全てを各部材35,36の表面全体に亘って、かつ各部材35,36の表面に沿って流通させることができる。すなわち、各導入路PL1〜PL4からの空気を無駄なく、冷却に寄与させることができ、各部材35,36を効果的に冷却できる。
【0050】
また、左側導出路PE1の流路断面積は、左側外周導入路PL4の流路断面積よりも大きくなるように設定されている。右側導出路PE2の流路断面積と右側外周導入路PL1の流路断面積との関係も同様である。
このことにより、各外周導入路PL1,PL4から空間Arに導入された空気、及び各中央導入路PL2,PL3から空間Arに導入され衝突した後の空気を、各導出路PE1,PE2を介して空間Ar外部に良好に導出することができる。このため、空気が空間Arに滞留することがなく、空間Arに導入された空気を各部材35,36の表面に沿って流通させた後、空間Ar外部に円滑に導出することができ、各部材35,36の冷却効率をより一層高めることができる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構成及び同一部材には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
前記第1実施形態では、冷却装置4は、入射側偏光板35の光出射面及び光入射面のうち、光出射面のみに沿って空気を流通させていた。
これに対して第2実施形態では、冷却装置4は、入射側偏光板35の光出射面(第1面)に沿って空気を流通させるとともに、光入射面(第2面)に沿って空気を流通させる。
【0052】
図8ないし図10は、第2実施形態における接続部材5の構造を示す図である。具体的に、図8は、入射側偏光板35、光変調装置36、及び接続部材5が一体化したユニットを光入射側から見た斜視図である。図9(A)は、第1面接続部材50Aを光軸Axに直交する平面にて切断した断面を光出射側から見た断面図である。図9(B)は、第2面接続部材50Bを光軸Axに直交する平面にて切断した断面を光入射側から見た断面図である。図10は、左仮想線VPLを通る鉛直面にて上記ユニットを切断した断面図である。
具体的に、第2実施形態における接続部材5は、図8ないし図10に示すように、第1面接続部材50Aと、第2面接続部材50Bと、2つのダクト部材50C,50Dとを備え、これら各部材50A〜50Dが一体化された構成を有する。
【0053】
第1面接続部材50Aは、前記第1実施形態で説明した接続部材5と略同様の構造を有するため、当該接続部材5と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
そして、第1面接続部材50Aにおいて、前記第1実施形態で説明した接続部材5と異なる点は、以下の通りである。
第1面接続部材50Aは、図9に示すように、第2連通口523が閉塞されている。
また、第1面接続部材50Aは、図9に示すように、接続部材本体51における下側の開口部分の一部(左側導出路PE1)が閉塞されている。
そして、第1面接続部材50Aは、前記第1実施形態と同様に、各開口部511,512が各部材35,36にて閉塞されることで、内部に第1空間Ar(図9(A)、図10)が形成される。
【0054】
第2面接続部材50Bは、入射側偏光板35の光入射側に配設され、光軸Axに直交する平面を基準として、第1面接続部材50Aに対称となる構造を有する。
なお、第2面接続部材50Bにおいて、第1面接続部材50Aの各構成(各流路PL1〜PL4,PE1,PE2を除く)の対称位置にある各構成については同一の符号を付して説明を省略する。
そして、第2面接続部材50Bは、各開口部511,512が入射側偏光板35及び透光性部材30(図8、図10)にて閉塞されることで、内部に第2空間Ar2(図9(B)、図10)が形成される。
【0055】
また、第2面接続部材50Bでは、第1面接続部材50Aにおける各外周導入路PL1,PL4の対称位置にある各流路が導出用流路として機能する。さらに、第2面接続部材50Bでは、第1面接続部材50Aにおける各導出路PE1,PE2の対称位置にある各流路が導入用流路として機能する。
なお、以下では、説明の便宜上、第2面接続部材50Bにおいて、第1面接続部材50Aにおける各外周導入路PL1,PL4の対称位置にある各流路を右,左側導出路PE3,PE4として記載する。また、第2面接続部材50Bにおいて、第1面接続部材50Aにおける左側導出路PE1、各中央導入路PL2,PL3、及び右側導出路PE2の対称位置にある各流路を、左側外周導入路PL5、下,上側中央導入路PL6,PL7、及び右側外周導入路PL8として記載する。
【0056】
ダクト部材50Cは、図8または図9に示すように、第1,第2面接続部材50A,50B間に架設され、第1面接続部材50Aにおける左側導出路PE1と第2面接続部材50Bにおける左側外周導入路PL5とを連通する。
ダクト部材50Dは、図9または図10に示すように、第1,第2面接続部材50A,50B間に架設され、第1面接続部材50Aにおける右側導出路PE2と第2面接続部材50Bにおける右側外周導入路PL8とを連通する。
【0057】
また、第2実施形態では、冷却ファン6と接続部材5とは、流路下流側が4つに分岐されたダクト(図示略)を介して接続される。
具体的に、前記ダクトにおいて、流路下流側の4つの端部のうち、2つの端部は、前記第1実施形態と同様に、第1面接続部材50Aにおける右側外周導入路PL1及び下側中央導入路PL2と上側中央導入路PL3及び左側外周導入路PL4とにそれぞれ接続される。一方、他の2つの端部は、第2面接続部材50Bにおける下側中央導入路PL6と上側中央導入路PL7とにそれぞれ接続される。
【0058】
次に、第2実施形態における冷却装置4による空気の流路について説明する。
図11は、第2実施形態における冷却装置4による空気の流路を説明するための模式図である。具体的に、図11は、図9に対応した図である。
なお、図11では、説明の便宜上、図7と同様に、空気の流れを矢印Fで示している。
また、図11では、図7と同様に、入射側偏光板35を中心側領域ArOと外周側領域ArEとに仮想的に分割している。
さらに、R,G,B色光側において、冷却装置4による空気の流路は、同様の流路であるため、以下では、R色光側の流路のみを説明する。
R側冷却ファン6Rが駆動すると、R側冷却ファン6Rから吐出された空気は、前記ダクトにて4つに分岐され、第1面接続部材50Aにおける各導入路PL1〜PL4、及び第2面接続部材50Bにおける各中央導入路PL6,PL7にそれぞれ導入される。
【0059】
なお、各導入路PL1〜PL4に導入された空気は、図9(A)に示すように、前記第1実施形態と同様に流通するため、説明を省略する。
そして、各導入路PL1〜PL4から第1空間Ar1に吐出され、各部材35,36を冷却した後の空気は、各導出路PE1,PE2及びダクト部材50C,50Dを介して、第2面接続部材50Bにおける各外周導入路PL5,PL8に導入される。
ここで、各外周導入路PL5,PL8は、図11に示すように、左,右仮想線VPL,VPR上にそれぞれ位置付けられている。
【0060】
すなわち、第2面接続部材50Bにおける各外周導入路PL5,PL8は、光軸Axに沿う方向から見て、第1面接続部材50Aにおける各外周導入路PL4,PL1に対して、光軸Axを通り第1仮想線VP1に直交する第2仮想線VP2(図11(A))を基準として対称となる位置に設けられている。
このため、各外周導入路PL5,PL8から第2空間Ar2に吐出された空気は、光軸Axに沿う方向から見て、各外周導入路PL4,PL1に対向する側から第2空間Arにそれぞれ導入され、外周側領域ArE(左,右仮想線VPL,VPR)に沿って流通することとなる。
なお、第2面接続部材50Bにおける各外周導入路PL5,PL8から吐出される空気も、第1面接続部材50Aにおける各外周導入路PL1,PL4から吐出される空気と同様に、同一の流速及び同一の流量に設定されている。
すなわち、各外周導入路PL5,PL8は、本発明に係る第2吐出部に相当するものである。
【0061】
一方、第2面接続部材50Bにおける各中央導入路PL6,PL7は、光軸Axに直交する平面を基準として、第1面接続部材50Aにおける各中央導入路PL2,PL3の対称位置に位置付けられている。
このため、各中央導入路PL6,PL7に導入され、第2空間Ar2に吐出される空気は、図11(B)に示すように、光軸Axに沿う方向から見て、各中央導入路PL2,PL3から第1空間Ar1に吐出される空気と同様に流通する。
すなわち、各中央導入路PL6,PL7は、本発明に係る第1吐出部に相当するものである。
また、第1,第2面接続部材50A,50Bは、本発明に係る第1,第2吐出部をそれぞれ有し、入射側偏光板35の光出射面及び光入射面に沿ってそれぞれ空気を流通させるため、本発明に係る第1,第2面吐出手段に相当する。
なお、第2面接続部材50Bにおける各中央導入路PL6,PL7から吐出される空気も、第1面接続部材50Aにおける各中央導入路PL2,PL3から吐出される空気と同様に、同一の流速及び同一の流量に設定されている。
また、各中央導入路PL6,PL7から吐出される空気は、第1面接続部材50Aにおける各導入路PL1〜PL4から吐出される空気の流速の関係と同様に、各外周導入路PL5,PL8から吐出される空気に対して、流速が大きくなるように設定されている。
【0062】
そして、入射側偏光板35は、各導入路PL1〜PL4から第1空間Ar1に吐出された空気により光出射面が冷却され、各導入路PL5〜PL8から第2空間Ar2に吐出された空気により光入射面が冷却されることとなる。
入射側偏光板35の光入射面を冷却した後の空気のうち、左側外周導入路PL5から吐出された空気、及び各中央導入路PL6,PL7から吐出され衝突した後の空気の一部は、図11(B)に示すように、左側導出路PE4を介して接続部材5外部に排出される。
一方、右側外周導入路PL8から吐出された空気、及び各中央導入路PL6,PL7から吐出され衝突した後の空気の一部は、図11(B)に示すように、右側導出路PE3を介して接続部材5外部に排出される。
なお、第2面接続部材50Bにおける右側導出路PE3の流路断面積は、第1面接続部材50Aにおける左側導出路PE1及び左側外周導入路PL4の流路断面積の関係と同様に、右側外周導入路PL8の流路断面積よりも大きくなるように設定されている。左側導出路PE4の流路断面積も同様に、左側外周導入路PL5の流路断面積よりも大きくなるように設定されている。
【0063】
上述した第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果の他、以下の効果がある。
本実施形態では、冷却装置4は、入射側偏光板35の光出射面に沿って空気を流通させる第1面接続部材50Aと、入射側偏光板35の光入射面に沿って空気を流通させる第2面接続部材50Bとを備える。
このことにより、入射側偏光板35の光入射面及び光出射面の双方を冷却でき、入射側偏光板35を効果的に冷却できる。
【0064】
また、第2面接続部材50Bの各外周導入路PL5,PL8は、光軸Axに沿う方向から見て、第1面接続部材50Aの各外周導入路PL4,PL1に対して、第2仮想線VP2を基準として対称となる位置に設けられている。言い換えれば、各外周導入路PL5,PL8は、光軸Axに沿う方向から見て、各外周導入路PL4,PL1に対向する位置に設けられている。
すなわち、入射側偏光板35の光出射面では、各外周導入路PL4,PL1から離間する側は、各外周導入路PL4,PL1に近接する側に対して、冷却効率が低いものとなっている。しかしながら、入射側偏光板35の光入射面において、光出射面での冷却効率が低い領域に対向する領域は、各外周導入路PL5,PL8に近接する側に相当するため、各外周導入路PL5,PL8から離間する側に対して、冷却効率が高いものとなっている。
このため、光軸Axに沿う方向から見て、入射側偏光板35の光出射面で冷却効率が低い領域については光入射面で冷却効率が高い領域とし、逆に、光入射面で冷却効率が低い領域については光出射面で冷却効率が高い領域とすることができ、入射側偏光板35の全体を効率的に冷却できる。
【0065】
さらに、冷却装置4がダクト部材50C,50Dを備えるので、第1空間Ar1に導入され入射側偏光板35の光出射面を冷却した後の空気を、ダクト部材50C,50Dを介して、第2空間Ar2に導入して入射側偏光板35の光入射面の冷却に寄与させることができる。
すなわち、入射側偏光板35の光出射面及び光入射面を冷却する空気の一部を共通化することができ、入射側偏光板35を効率的に冷却できる。
【0066】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、冷却流体として空気を利用していたが、これに限らず、水やエチレングリコール等の液体を冷却流体として利用しても構わない。
前記各実施形態では、冷却装置4は、入射側偏光板35及び光変調装置36の双方を冷却するように構成されていたが、これに限らず、各部材35,36のいずれか一方のみを冷却するように構成しても構わない。
また、前記各実施形態では、冷却対象として入射側偏光板35及び光変調装置36を採用していたが、これに限らず、偏光変換素子323や出射側偏光板37等の他の光学素子を冷却対象としても構わない。
【0067】
前記各実施形態では、冷却ファン6は、R,G,B色光側の各接続部材5に対応して3つ設けられていたが、これに限らず、1つ、2つ、あるいは、4つ以上の冷却ファン6にて各接続部材5に空気を送風する構成を採用してもよい。
前記各実施形態では、本発明に係る第1,第2吐出部は、接続部材5に形成された各導入路PL1〜PL8で構成されていたが、これに限らない。
例えば、接続部材5を省略し、第1,第2吐出部として、冷却ファン6から送風された空気を中心側領域ArO等に向けて吐出するダクトでそれぞれ構成しても構わない。
【0068】
前記各実施形態では、各中央導入路PL2,PL3,PL6,PL7は、第1仮想線VP1上にそれぞれ設けられていたが、これに限らず、光軸Axが通る位置に向けて吐出する構成であれば、いずれの位置に設けても構わない。また、第1仮想線VP1は、鉛直方向に延びていたが、鉛直方向でなくても構わない。
また、各外周導入路PL1,PL4,PL5,PL8も同様に、外周側領域ArEに沿って空気を吐出する構成であれば、前記各実施形態で説明した位置に限らず、その他の位置に設けても構わない。
さらに、各導出路PE1〜PE4も同様に、空間Ar,Ar1,Ar2の空気を空間Ar,Ar1,Ar2外部に導出する構成であれば、形成位置やその数は、前記各実施形態で説明した形成位置及び数に限らない。
前記各実施形態では、本発明に係る第1,第2吐出部がそれぞれ2つずつ設けられていたが、これに限らず、3つ以上設けても構わない。
【0069】
前記各実施形態では、光変調装置36は、3つ設けられていたが、その数は3つに限らず、1つ、2つ、あるいは、4つ以上であっても構わない。
前記各実施形態において、光変調装置としては、透過型または反射型の液晶パネルの他、マイクロミラーを用いたデバイス等、液晶以外の光変調装置を採用しても構わない。
前記各実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行うフロントタイプのプロジェクターの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行うリアタイプのプロジェクターにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、プレゼンテーションやホームシアターに用いられるプロジェクターに利用できる。
【符号の説明】
【0071】
1・・・プロジェクター、4・・・冷却装置、5・・・接続部材、35・・・入射側偏光板(光学素子)、36・・・光変調装置(光学素子)、50A・・・第1面接続部材(第1面吐出手段)、50B・・・第2面接続部材(第2面吐出手段)、50C,50D・・・ダクト部材、Ax・・・光軸、Ar・・・空間、Ar1・・・第1空間、Ar2・・・第2空間、ArO・・・中心側領域、ArE・・・外周側領域、ArL,ArR・・・左,右領域、PL1,PL4,PL5,PL8・・・外周導入路(第2吐出部、導入用流路)、PL2,PL3,PL6,PL7・・・中央導入路(第1吐出部、導入用流路)、VP1・・・第1仮想線,VP2・・・第2仮想線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子の表面に沿って冷却流体を流通させる冷却装置を備えたプロジェクターであって、
前記冷却装置は、
前記光学素子に入射する光束の光軸に沿う方向から見て、前記光学素子を、前記光軸が通る位置を含む中心側領域と前記中心側領域を除く外周側領域とに仮想的に分割した場合に、
前記中心側領域に向けて前記冷却流体を吐出する少なくとも2つの第1吐出部と、
前記外周側領域に沿って前記冷却流体を吐出する第2吐出部とを備える
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1吐出部は、
前記光軸に沿う方向から見て、前記光軸を通る第1仮想線上に2つ設けられ、前記第1仮想線に沿って互いに逆方向に前記冷却流体を吐出し、
前記第2吐出部は、2つ設けられ、前記光軸に沿う方向から見て、前記第1仮想線を基準として仮想的に分割した2つの領域にそれぞれ設けられている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項2に記載のプロジェクターにおいて、
2つの前記第2吐出部は、
前記第1仮想線に対して平行に前記冷却流体を吐出するとともに、互いに逆方向に前記冷却流体を吐出する
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項3に記載のプロジェクターにおいて、
前記光学素子は、
互いに対向する第1面及び第2面を有し、
前記冷却装置は、
2つの前記第1吐出部及び2つの前記第2吐出部を有し、前記光学素子の前記第1面に沿って前記冷却流体を流通させる第1面吐出手段と、
2つの前記第1吐出部及び2つの前記第2吐出部を有し、前記光学素子の前記第2面に沿って前記冷却流体を流通させる第2面吐出手段とを備え、
前記第2面吐出手段の前記第2吐出部は、
前記光軸に沿う方向から見て、前記第1面吐出手段の前記第2吐出部に対して、前記光軸を通り前記第1仮想線に直交する第2仮想線を基準として対称となる位置に設けられている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記第1吐出部から吐出された前記冷却流体の流速は、
前記第2吐出部から吐出された前記冷却流体の流速よりも大きくなるように設定されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記冷却装置は、
前記光学素子に接続し、前記光学素子の表面との間で前記第1吐出部及び前記第2吐出部から吐出された冷却流体が導入される空間を形成する接続部材を備え、
前記接続部材には、
前記空間に導入された冷却流体を前記空間外部に導出するための導出用流路が形成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項7】
請求項6に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1吐出部及び前記第2吐出部は、
前記接続部材に形成され、前記空間外部から前記空間に前記冷却流体を導入するための導入用流路でそれぞれ構成され、
前記導出用流路の流路断面積は、
前記第2吐出部の流路断面積よりも大きくなるように設定されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1吐出部及び前記第2吐出部は、
前記接続部材に形成され、前記空間外部から前記空間に前記冷却流体を導入するための導入用流路でそれぞれ構成され、
前記光学素子は、
互いに対向する第1面及び第2面を有し、
前記接続部材は、
前記導入用流路及び前記導出用流路を有し、前記光学素子の前記第1面との間で前記冷却流体が導入される第1空間を形成する第1面接続部材と、
前記導入用流路及び前記導出用流路を有し、前記光学素子の前記第2面との間で前記冷却流体が導入される第2空間を形成する第2面接続部材と、
前記第1面接続部材の前記導出用流路を介して導出された冷却流体を前記第2面接続部材の前記導入用流路に導くダクト部材とを備える
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項1】
光学素子の表面に沿って冷却流体を流通させる冷却装置を備えたプロジェクターであって、
前記冷却装置は、
前記光学素子に入射する光束の光軸に沿う方向から見て、前記光学素子を、前記光軸が通る位置を含む中心側領域と前記中心側領域を除く外周側領域とに仮想的に分割した場合に、
前記中心側領域に向けて前記冷却流体を吐出する少なくとも2つの第1吐出部と、
前記外周側領域に沿って前記冷却流体を吐出する第2吐出部とを備える
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1吐出部は、
前記光軸に沿う方向から見て、前記光軸を通る第1仮想線上に2つ設けられ、前記第1仮想線に沿って互いに逆方向に前記冷却流体を吐出し、
前記第2吐出部は、2つ設けられ、前記光軸に沿う方向から見て、前記第1仮想線を基準として仮想的に分割した2つの領域にそれぞれ設けられている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項2に記載のプロジェクターにおいて、
2つの前記第2吐出部は、
前記第1仮想線に対して平行に前記冷却流体を吐出するとともに、互いに逆方向に前記冷却流体を吐出する
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項3に記載のプロジェクターにおいて、
前記光学素子は、
互いに対向する第1面及び第2面を有し、
前記冷却装置は、
2つの前記第1吐出部及び2つの前記第2吐出部を有し、前記光学素子の前記第1面に沿って前記冷却流体を流通させる第1面吐出手段と、
2つの前記第1吐出部及び2つの前記第2吐出部を有し、前記光学素子の前記第2面に沿って前記冷却流体を流通させる第2面吐出手段とを備え、
前記第2面吐出手段の前記第2吐出部は、
前記光軸に沿う方向から見て、前記第1面吐出手段の前記第2吐出部に対して、前記光軸を通り前記第1仮想線に直交する第2仮想線を基準として対称となる位置に設けられている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記第1吐出部から吐出された前記冷却流体の流速は、
前記第2吐出部から吐出された前記冷却流体の流速よりも大きくなるように設定されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記冷却装置は、
前記光学素子に接続し、前記光学素子の表面との間で前記第1吐出部及び前記第2吐出部から吐出された冷却流体が導入される空間を形成する接続部材を備え、
前記接続部材には、
前記空間に導入された冷却流体を前記空間外部に導出するための導出用流路が形成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項7】
請求項6に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1吐出部及び前記第2吐出部は、
前記接続部材に形成され、前記空間外部から前記空間に前記冷却流体を導入するための導入用流路でそれぞれ構成され、
前記導出用流路の流路断面積は、
前記第2吐出部の流路断面積よりも大きくなるように設定されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1吐出部及び前記第2吐出部は、
前記接続部材に形成され、前記空間外部から前記空間に前記冷却流体を導入するための導入用流路でそれぞれ構成され、
前記光学素子は、
互いに対向する第1面及び第2面を有し、
前記接続部材は、
前記導入用流路及び前記導出用流路を有し、前記光学素子の前記第1面との間で前記冷却流体が導入される第1空間を形成する第1面接続部材と、
前記導入用流路及び前記導出用流路を有し、前記光学素子の前記第2面との間で前記冷却流体が導入される第2空間を形成する第2面接続部材と、
前記第1面接続部材の前記導出用流路を介して導出された冷却流体を前記第2面接続部材の前記導入用流路に導くダクト部材とを備える
ことを特徴とするプロジェクター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−97230(P2013−97230A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240921(P2011−240921)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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