説明

プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

【課題】寿命の長い画像形成装置を提供すること。
【解決手段】導電性基体上に感光層を少なくとも有し、最表面層が、フッ素樹脂粒子と下記構造単位(A)を含む結着樹脂とを含有する電子写真感光体10と、電子写真感光体10と接触する第1層と電子写真感光体10と接触しない第2層との積層体で構成されたクリーニングブレード72であって、第1層のタイプAデュプロメータ硬さが第2層よりも高く且つA77以上A85以下であり、第2層の23℃での反撥弾性が35%以上45%以下のクリーニングブレード72を有する画像形成装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式の画像形成装置においては、帯電、露光、現像、転写のプロセスを通じて電子写真感光体の表面上に形成したトナー像を被記録媒体に転写させる。
【0003】
例えば、特許文献1には表面層中にフッ素系樹脂粒子を分散することにより、感光体の表面層の表面エネルギーを低減する方法や、特許文献2には、表面層に導電性金属粒体又はフッ素系樹脂を含有させる方法が提案されている。
【0004】
また、特許文献3には、感光体の最表面層に無機微粒子を含有し、クリーニングブレードとして反発弾性50%以下、ヤング率55kg/cm以下のポリウレタンブレードを用いる構成が提案されている。
また、特許文献4には、感光体の最表面層に無機微粒子を含有し、クリーニングを硬度65以上、かつ永久伸び2%以下、あるいは反発弾性50%以下、かつ300%モジュラスが130kg/cmのポリウレタンブレードを用いる構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−221355号公報
【特許文献2】特開平6−250460号公報
【特許文献3】特開平8−254841号公報
【特許文献4】特開平8−320640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、下記構成の電子写真感光体と下記構成のクリーニングブレードを有するクリーニング手段とを組み合わせない場合に比べ、寿命の長い画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
導電性基体上に感光層を少なくとも有し、最表面層が、フッ素樹脂粒子と下記構造単位(A)を含む結着樹脂とを含有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記電子写真感光体に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、
前記電子写真感光体の表面をクリーニングし、前記電子写真感光体と接触する第1層と前記電子写真感光体と接触しない第2層との積層体で構成されたクリーニングブレードであって、前記第1層のタイプAデュプロメータ硬さが前記第2層よりも高く且つA77以上A85以下であり、前記第2層の23℃での反撥弾性が35%以上45%以下のクリーニングブレードを有するクリーニング手段と、
を備えた画像形成装置。
【0008】
【化1】

【0009】
請求項2に係る発明は、
前記構造単位(A)を含む結着樹脂が、下記構造式(A1)乃至(A2)で示される結着樹脂(但し、下記構造式(A2)中、m:nは共重合比を示し、m:n=95:5乃至5:95の範囲を示す。)である請求項1に記載の画像形成装置。
【0010】
【化2】

【0011】
【化3】

【0012】
請求項3に係る発明は、
前記構造式(A1)乃至(A2)で示される結着樹脂が、共重合比m:n=10:90乃至40:60の範囲を示すものである請求項2に記載の画像形成装置。
【0013】
請求項4に係る発明は、
導電性基体上に感光層を少なくとも有し、最表面層が、フッ素樹脂粒子と下記構造単位(A)を含む結着樹脂とを含有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面をクリーニングし、前記電子写真感光体と接触する第1層と前記電子写真感光体と接触しない第2層との積層体で構成されたクリーニングブレードであって、前記第1層のタイプAデュプロメータ硬さが前記第2層よりも高く且つA77以上A85以下であり、前記前記第2層の23℃での反撥弾性が35%以上45%以下のクリーニングブレードを有するクリーニング手段と、
を備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【0014】
【化4】

【0015】
請求項5に係る発明は、
前記構造単位(A)を含む結着樹脂が、下記構造式(A1)乃至(A2)で示される結着樹脂(但し、下記構造式(A2)中、m:nは共重合比を示し、m:n=95:5乃至5:95の範囲を示す。)である請求項4に記載のプロセスカートリッジ。
【0016】
【化5】

【0017】
【化6】

【0018】
請求項6に係る発明は、
前記構造式(A1)乃至(A2)で示される結着樹脂が、共重合比m:n=10:90乃至40:60の範囲を示すものである請求項5に記載のプロセスカートリッジ。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、上記構成の電子写真感光体と上記構成のクリーニングブレードを有するクリーニング手段とを組み合わせない場合に比べ、寿命の長い画像形成装置が提供される。
請求項2に係る発明によれば、構造単位(A)を含む結着樹脂として、上記構造式(A1)乃至(A2)で示される結着樹脂を適用しない場合に比べ、寿命の長い画像形成装置が提供される。
請求項3に係る発明によれば、構造式(A1)乃至(A2)で示される結着樹脂として、共重合比m:nが上記範囲外のものを適用した場合に比べ、寿命の長い画像形成装置が提供される。
請求項4に係る発明によれば、上記構成の電子写真感光体と上記構成のクリーニングブレードを有するクリーニング手段とを組み合わせない場合に比べ、寿命の長いプロセスカートリッジが提供される。
請求項5に係る発明によれば、構造単位(A)を含む結着樹脂として、上記構造式(A1)乃至(A2)で示される結着樹脂を適用しない場合に比べ、寿命の長いプロセスカートリッジが提供される。
請求項6に係る発明によれば、構造式(A1)乃至(A2)で示される結着樹脂として、共重合比m:nが上記範囲外のものを適用した場合に比べ、寿命の長いプロセスカートリッジが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】他の本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図3】本実施形態に係る電子写真感光体を示す概略断面図である。
【図4】他の本実施形態に係る電子写真感光体を示す概略断面図である。
【図5】本実施形態に係るクリーニングブレード周辺を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
【0022】
本実施形態に係る画像形成装置は、導電性基体上に感光層を少なくとも有し、最表面層が、フッ素樹脂粒子と下記構造単位(A)を含む結着樹脂とを含有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記電子写真感光体に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、
前記電子写真感光体の表面をクリーニングし、前記電子写真感光体と接触する第1層と前記電子写真感光体と接触しない第2層との積層体で構成されたクリーニングブレードであって、前記第1層のタイプAデュプロメータ硬さが前記第2層よりも高く且つA77以上A85以下であり、前記第2層の23℃での反撥弾性が35%以上45%以下のクリーニングブレードを有するクリーニング手段と、
を備えた画像形成装置である。
【0023】
本実施形態に係る画像形成装置では、上記構成とすることで、寿命の長い画像形成装置となる。これは、電子写真感光体の傷、磨耗及び偏磨耗の発生と、クリーニングブレードの欠けや捲れの発生と、が共に抑制され、且つこれらいずれもが長期にわたり維持されるためと考えられるためである。そして、この理由は以下に示すものと推測される。
まず、構造単位(A)の如くビフェニル共重合成分を含む結着樹脂を電子写真感光体の最表面層の構成材料として適用すると、高強度・高反発な最表面層を持つ電子写真感光体となると考えられる。これに加え、電子写真感光体の最表面層にフッ素樹脂粒子を含めることで、低摩擦係数で、且つ高強度・高反発な最表面層を持つ電子写真感光体となると考えられる。
【0024】
そして、このような電子写真感光体と、電子写真感光体と接触する第1層のタイプAデュプロメータ硬さが第2層よりも高く且つ上記範囲であり、第2層の23℃での反撥弾性が上記範囲であるクリーニングブレードと、を組み合わせることによって、上記低摩擦係数で、且つ高強度・高反発な最表面層を持つ電子写真感光体に対して、さらに低摩擦でクリーニングブレードによりクリーニングが行われることから、より電子写真感光体の傷、磨耗及び偏磨耗の発生が抑制され、且つこれらが維持されるものと考えられる。
また、低摩擦でクリーニングブレードによりクリーニングが行われることから、クリーニングブレードの姿勢が維持され易くなると共に、クリーニングブレードの欠けや捲れの発生が抑制され、且つこれらが維持されるものと考えられる。
【0025】
このため、本実施形態に係る画像形成装置では、上記構成とすることで、寿命の長い画像形成装置となると考えられる。そして、上記電子写真感光体と上記クリーニングブレードを有するクリーニング手段とを備えるプロセスカートリッジも、寿命の長い画像形成装置となると考えられる。
【0026】
以下、本実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【0027】
本実施形態に係る画像形成装置101は、図1に示すように、例えば、矢印aで示すように、時計回り方向に回転する電子写真感光体10と、電子写真感光体10の上方に、電子写真感光体10に相対して設けられ、電子写真感光体10の表面を帯電させる帯電装置20(帯電手段の一例)と、帯電装置20により帯電した電子写真感光体10の表面に露光して、静電潜像を形成する露光装置30(静電潜像形成手段の一例)と、露光装置30により形成された静電潜像に現像剤に含まれるトナーを付着させて電子写真感光体10の表面にトナー像を形成する現像装置40(現像手段の一例)と、電子写真感光体10に接触しつつ矢印bで示す方向に走行するとともに、電子写真感光体10の表面に形成されたトナー像を転写するベルト状の中間転写体50と、電子写真感光体10の表面をクリーニングするクリーニング装置70(クリーニング手段の一例)とを備える。
【0028】
帯電装置20、露光装置30、現像装置40、中間転写体50、潤滑剤供給装置60及びクリーニング装置70は、電子写真感光体10を囲む円周上に、時計周り方向に配設されている。なお、本実施形態では、クリーニング装置70内部に、潤滑剤供給装置60が配置された形態を説明するが、これに限られるわけではなく、クリーニング装置70とは別途、潤滑剤供給装置60を配置した形態であってもよい。
【0029】
中間転写体50は、内側から、支持ローラ50A、50B、背面ローラ50C、及び駆動ローラ50Dによって張力を付与されつつ保持されるとともに、駆動ローラ50Dの回転に伴い矢印bの方向に駆動される。中間転写体50の内側における電子写真感光体10に相対する位置には、中間転写体50をトナーの帯電極性とは異なる極性に帯電させて中間転写体50の外側の面に電子写真感光体10上のトナーを吸着させる一次転写装置51が設けられている。中間転写体50の下方における外側には、記録紙P(記録媒体の一例)をトナーの帯電極性とは異なる極性に帯電させて、中間転写体50に形成されたトナー像を記録紙P上に転写する二次転写装置52が背面ローラ50Cに対向して設けられている。なお、これら、電子写真感光体10に形成されたトナー像を記録紙Pへ転写するための部材が転写手段の一例に相当する。
【0030】
中間転写体50の下方には、さらに、二次転写装置52に記録紙Pを供給する記録紙供給装置53と、二次転写装置52においてトナー像が形成された記録紙Pを搬送しつつ、トナー像を定着させる定着装置80とが設けられている。
【0031】
記録紙供給装置53は、1対の搬送ローラ53Aと、搬送ローラ53Aで搬送される記録紙Pを二次転写装置52に向かって誘導する誘導スロープ53Bと、を備える。一方、定着装置80は、二次転写装置52によってトナー像が転写された記録紙Pを加熱・押圧することにより、トナー像の定着を行う1対の熱ローラである定着ローラ81と、定着ローラ81に向かって記録紙Pを搬送する搬送コンベア82とを有する。
【0032】
記録紙Pは、記録紙供給装置53と二次転写装置52と定着装置80とにより、矢印cで示す方向に搬送される。
【0033】
中間転写体50には、さらに、二次転写装置52において記録紙Pにトナー像を転写した後に中間転写体50に残ったトナーを除去するクリーニングブレードを有する中間転写体クリーニング装置54が設けられている。
【0034】
以下、本実施形態に係る画像形成装置101における主な構成部材の詳細について説明する。
【0035】
(電子写真感光体)
図3は、本実施形態に係る電子写真用感光体を示す概略断面図である。図4は他の本実施形態に係る電子写真感光体を示す概略断面図である。
【0036】
図3に示す電子写真感光体10Aは、いわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性基体4上に下引き層1が設けられ、その上に電荷発生層2、及び電荷輸送層3が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体10Aにおいては、電荷発生層2及び電荷輸送層3により感光層が構成されている。
そして、図3に示す電子写真感光体10Aにおいては、電荷輸送層3が導電性基体4から最も遠い側に配置される最表面層となっている。
【0037】
図4に示す電子写真感光体10Bは、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(単層型感光層6(電荷発生/電荷輸送層))に含有するものである。
具体的には、図4に示す電子写真感光体10Bにおいては、導電性基体4上に下引き層1が設けられ、その上に単層型感光層6が形成された構造を有するものである。
そして、図4に示す電子写真感光体10Bにおいては、単層型感光層6が導電性基体4から最も遠い側に配置される最表面層となっている。
【0038】
なお、図3乃至図4に示す電子写真感光体において、下引き層1は設けてもよいし、設けなくてもよい。
【0039】
以下、電子写真感光体における各要素について説明する。以下、符号を省略して説明する。
【0040】
まず、導電性基体について説明する。なお、「導電性」とは、例えば体積抵抗率が1013Ω・cm以下を意味する。
導電性基体としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、薄膜(例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、及びアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)等の膜)を設けたプラスチックフィルム等、導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙、導電性付与剤を塗布又は含浸させたプラスチックフィルム等が挙げられる。導電性基体の形状は円筒状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。
【0041】
導電性基体として金属パイプを用いる場合、表面は素管のままであってもよいし、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていてもよい。
【0042】
次に、下引き層について説明する。
下引き層は、導電性基体表面における光反射の防止、導電性基体から感光層への不要なキャリアの流入の防止などの目的で、必要に応じて設けられる。
【0043】
下引き層は、例えば、結着樹脂と、必要に応じてその他添加物とを含んで構成される。
下引き層に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が望ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが望ましく用いられる。
【0044】
下引き層には、シリコン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物等の金属化合物等を含有してもよい。
金属化合物と結着樹脂との比率は、特に制限されず、所望する電子写真感光体特性を得られる範囲で設定されることがよい。
【0045】
下引き層には、表面粗さ調整のために下引き層中に樹脂粒子を添加してもよい。樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂粒子等が挙げられる。なお、表面粗さ調整のために下引き層を形成後、その表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等が用いられる。
【0046】
ここで、下引き層の構成として特に好適には、結着樹脂と導電性粒子とを少なくとも含有する構成である。なお、導電性とは、例えば体積抵抗率が10Ω・cm未満を意味する。
導電性粒子としては、例えば、金属粒子(アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの粒子)、導電性金属酸化物粒子(酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの粒子)、導電性物質粒子(カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末の粒子)等が挙げられる。これらの中でも、導電性金属酸化物粒子が好適である。導電性粒子は、2種以上混合して用いてもよい。
また、導電性粒子は、疎水化処理剤(例えばカップリング剤)等により表面処理を施して、抵抗調整して用いてもよい。
導電性粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが望ましく、より望ましくは40質量%以上80質量%以下である。
【0047】
下引き層の形成の際には、上記成分を溶媒に加えた下引き層形成用塗布液が使用される。また、下引き層形成用塗布液中に粒子を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。ここで、高圧ホモジナイザーとしては、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
【0048】
下引き層形成用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。
【0049】
下引き層の膜厚は、15μm以上が望ましく、20μm以上50μm以下がより望ましい。
【0050】
ここで、図示は省略するが、下引き層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。中間層に用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などが挙げられる。これらの化合物は、単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いてもよい。中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物がよい。
【0051】
中間層の形成の際には、上記成分を溶媒に加えた中間層形成用塗布液が使用される。 中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
【0052】
中間層の厚みは、例えば、0.1μm以上3μm以下の膜厚範囲に設定することがよい。また、この中間層を下引き層として使用してもよい。
【0053】
次に、電荷発生層について説明する。
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂中とを含んで構成される。かかる電荷発生材料としては、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料が挙げられ、特に、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.7゜、9.3゜、16.9゜、17.5゜、22.4゜及び28.8゜に強い回折ピークを有する無金属フタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも9.6゜、24.1゜及び27.2゜に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶が挙げられる。その他、電荷発生材料としては、キノン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、アントロン顔料、キナクリドン顔料等が挙げられる。また、これらの電荷発生材料は、単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0054】
電荷発生層を構成する結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独又は2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、10:1乃至1:10の範囲が望ましい。
【0055】
電荷発生層の形成の際には、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液が使用される。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電化発生材料)を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
【0056】
電荷発生層形成用塗布液を下引き層上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。
【0057】
電荷発生層の膜厚は、望ましくは0.01μm以上5μm以下、より望ましくは0.05μm以上2.0μm以下の範囲に設定される。
【0058】
次に、電荷輸送層について説明する。
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と、構造単位(A)を含む結着樹脂と、フッ素樹脂粒子と、を含んで構成される。
【0059】
電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、N,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質、及び上記した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
構造単位(A)を含む結着樹脂は、構造単位(A)を含んでいれば、特に制限はないが、例えば、構造単位(A)と、他の構造単位と、の共重合体であるビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0061】
【化7】

【0062】
他の構造単位としては、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールCタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ビスフェノールCタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂が望ましい。
【0063】
上記ビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂において、構造単位(A)と他の構造単位との共重合比(下記具体例におけるm:n比に相当)は、例えば、m:n=95:5乃至5:95の範囲であることがよく、望ましくは50:50乃至5:95の範囲であり、より望ましくは30:70乃至10:90の範囲である。
【0064】
構造単位(A)を含む結着樹脂として具体的には、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
【化8】

【0066】
構造単位(A)を含む結着樹脂の中でも、画像形成装置の長寿命化の観点から、上記構造式(A1)乃至(A3)で示される結着樹脂(但し、下記構造式(A1)乃至(A3)中、m:nは共重合比を示し、m:n=95:5乃至5:95の範囲を示す。)であることがよく、特に、上記構造式(A1)乃至(A3)で示される結着樹脂として望ましくは共重合比m:n=10:90乃至40:60の範囲、より望ましくは共重合比m:n=15:85乃至30:70の範囲)を示すものであることがよい。上記構造式(A1)乃至(A3)で示される結着樹脂うちでも、上記構造式(A1)乃至(A2)で示される結着樹脂がよい。
【0067】
なお、機能を損ねない範囲で、構造単位(A)を含む結着樹脂以外の他の結着樹脂を用いてもよい。当該他の結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、塩素ゴム等の絶縁性樹脂、及びポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独又は2種以上混合して用いてもよい。
【0068】
ここで、構造単位(A)を含む結着樹脂は、最表面層の固形分全量に対して10質量%以上90質量%以下であることが望ましく、より望ましくは30質量%以上90質量%以下であり、さらに望ましくは50質量%以上90質量%以下である。
また。電荷輸送材料と上記結着樹脂(構造単位(A)を含む結着樹脂+他の結着樹脂)との配合比は10:1乃至1:5が望ましい。
【0069】
フッ素樹脂粒子としては、例えば、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂及びそれらの共重合体の粒子の中から1種又は2種以上を選択するのが望ましい。これらの中も、フッ素樹脂粒子としては、特に、4フッ化エチレン樹脂粒子、フッ化ビニリデン樹脂粒子が望ましい。
【0070】
フッ素樹脂粒子の一次粒径は、0.05μm以上1μm以下であることがよく、望ましくは0.1μm以上0.5μm以下であることがよい。
なお、この一次粒子は、電子写真感光体の最表面層から試料片を得て、これをSEM(走査型電子顕微鏡)により例えば倍率5000倍以上で観察し、一次粒子状態のフッ素樹脂粒子の最大径を測定し、これを50個の粒子について行った平均値とする。なお、SEMとして日本電子製JSM-6700Fを使用し、加速電圧5kVの二次電子画像を観察する。
【0071】
フッ素樹脂粒子は、分散剤としてフッ素系グラフトポリマーを併用することがよい。この分散剤の量は、特に規定するものではないが、フッ素樹脂粒子に対して0.1質量%以上10質量%以下であることがよい。
【0072】
フッ素樹脂粒子の含有量は、電荷輸送層(最表面層)の固形分全量に対して2質量%以上15質量%以下であることが望ましく、より望ましくは4質量%以上12質量%以下であり、さらに望ましくは6質量%以上10質量%以下である。
【0073】
ここで、電荷輸送層は、必要に応じて、さらにフッ素変性シリコーンオイルを含んでもよい。このフッ素変性シリコーンオイルは、例えば、オルガノポリシロキサンの置換基の一部又は全部がフルオロアルキル基(例えば炭素数1以上10以下のフルオロアルキル基)で置換されたフッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
フッ素変性シリコーンオイルの含有量は、例えば、0.1ppm以上1000ppm以下の範囲がよく、望ましくは0.5ppm以上500ppm以下の範囲である。
【0074】
電荷輸送層は、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成される。 電荷輸送層形成用塗布液中に粒子(例えば無機粒子やフッ素樹脂粒子)を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
【0075】
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いられる。
電荷輸送層の膜厚は、望ましくは5μm以上50μm以下、より望ましくは10μm以上40μm以下の範囲に設定される。
【0076】
次に、単層型感光層について説明する。
単層型感光層は、例えば、電荷発生材料と、構造単位(A)を含む結着樹脂と、フッ素樹脂粒子と、を含んで構成され、必要に応じて電荷輸送性材料を含む。
【0077】
単層型感光層中の電荷発生材料の含有量は、10質量%以上85質量%以下程度、望ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、電荷輸送材料の含有量は5質量%以上50質量%以下とすることが望ましい。
単層型感光層の膜厚は5μm以上50μm以下程度が望ましく、10μm以上40μm以下とするのがさらに望ましい。
【0078】
なお、上記感光層を構成する各層中には、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を含んでもよい。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等があげられる。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。
【0079】
また、感光層を構成する各層には、少なくとも1種の電子受容性物質を含んでもよい。電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系やCl,CN,NO等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に望ましい。
【0080】
なお、電子写真感光体10は、感光層上に別途保護層を設けた形態であってもよく、本形態の場合、当該保護層が最表面層に相当し、フッ素樹脂粒子と構造単位(A)を含む結着樹脂とを含有して構成される。
【0081】
(帯電装置)
帯電装置20としては、例えば、導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が挙げられる。また、帯電装置20としては、例えば、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も挙げられる。帯電装置20としては、接触型帯電器がよい。
なお、本実施形態では、直流に交流を重畳した電圧を印加する方式の帯電器を採用しても、放電生成物が生じ易い方式であるが、このような方式を採用しても、電子写真感光体10に放電生成物の付着・堆積が抑制され、画像の白抜けが抑制される。
【0082】
(露光装置)
露光装置30としては、例えば、電子写真感光体10表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体10の分光感度領域にあるものがよい。半導体レーザーの波長としては、例えば、780nm前後に発振波長を有する近赤外がよい。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザーや青色レーザーとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザーも利用してもよい。また、露光装置30としては、例えばカラー画像形成のためにはマルチビーム出力するタイプの面発光型のレーザー光源も有効である。
【0083】
(現像装置)
現像装置40は、例えば、現像領域で電子写真感光体10に対向して配置されており、例えば、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤を収容する現像容器41(現像装置本体)と、補給用現像剤収納容器(トナーカートリッジ)47と、を有している。現像容器41は、現像容器本体41Aとその上端を塞ぐ現像容器カバー41Bとを有している。
【0084】
現像容器本体41Aは、例えば、その内側に、現像ロール42を収容する現像ロール室42Aを有しており、現像ロール室42Aに隣接して、第1攪拌室43Aと第1攪拌室43Aに隣接する第2攪拌室44Aとを有している。また、現像ロール室42A内には、例えば、現像容器カバー41Bが現像容器本体41Aに装着された時に現像ロール42表面の現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材45が設けられている。
【0085】
第1攪拌室43Aと第2攪拌室44Aとの間は例えば仕切り壁41Cにより仕切られており、図示しないが、第1攪拌室43A及び第2攪拌室44Aは仕切り壁41Cの長手方向(現像装置長手方向)両端部に開口部が設けられて通じており、第1攪拌室43A及び第2攪拌室44Aによって循環攪拌室(43A+44A)を構成している。
【0086】
そして、現像ロール室42Aには、電子写真感光体10と対向するように現像ロール42が配置されている。現像ロール42は、図示しないが磁性を有する磁性ロール(固定磁石)の外側にスリーブを設けたものである。第1攪拌室43Aの現像剤は磁性ロールの磁力によって現像ロール42の表面上に吸着されて、現像領域に搬送される。また、現像ロール42はそのロール軸が現像容器本体41Aに回転自由に支持されている。ここで、現像ロール42と電子写真感光体10とは、同方向に回転し、対向部において、現像ロール42の表面上に吸着された現像剤は、電子写真感光体10の進行方向とは逆方向から現像領域に搬送するようにしている。
【0087】
また、現像ロール42のスリーブには、不図示のバイアス電源が接続され、現像バイアスが印加されるようになっている(本実施形態では、現像領域に交番電界が印加されるように、直流成分(AC)に交流成分(DC)を重畳したバイアスを印加)。
【0088】
第1攪拌室43A及び第2攪拌室44Aには現像剤を攪拌しながら搬送する第1攪拌部材43(攪拌・搬送部材)及び第2攪拌部材44(攪拌・搬送部材)が配置されている。第1攪拌部材43は、現像ロール42の軸方向に伸びる第1回転軸と、回転軸の外周に螺旋状に固定された攪拌搬送羽根(突起部)とで構成されている。また、第2攪拌部材44も、同様に、第2回転軸及び攪拌搬送羽根(突起部)とで構成されている。なお、攪拌部材は現像容器本体41Aに回転自由に支持されている。そして、第1攪拌部材43及び第2攪拌部材44は、その回転によって、第1攪拌室43A及び第2攪拌室44Aの中の現像剤は互いに逆方向に搬送されるように配設されている。
【0089】
そして、第2攪拌室44Aの長手方向一端側には、補給用トナー及び補給用キャリアを含む補給用現像剤を第2攪拌室44Aへ供給するための補給搬送路46の一端が連結されており、補給搬送路46の他端には、補給用現像剤を収容している補給用現像剤収納容器47が連結されている。
【0090】
このように現像装置40は、補給用現像剤収納容器(トナーカートリッジ)47から補給搬送路46を経て補給用現像剤を現像装置40(第2攪拌室44A)へ供給する。
【0091】
ここで、現像装置40に使用される現像剤について説明する。
現像剤は、トナーとキャリアを含む二成分系現像剤が採用される。
【0092】
まず、トナーについて説明する。
トナーは、例えば、結着樹脂、着色剤、及び必要に応じて離型剤等の他の添加剤を含むトナー粒子と、必要に応じて外添剤と、を含んで構成される。
【0093】
トナー粒子は、平均形状係数(形状係数=(ML/A)×(π/4)×100で表される形状係数の個数平均、ここでMLは粒子の最大長を表し、Aは粒子の投影面積を表す)が100以上150以下であることが望ましく、105以上145以下であることがより望ましく、110以上140以下であることがさらに望ましい。さらに、トナーとしては、体積平均粒子径が3μm以上12μm以下であることが望ましく、3.5μm以上10μm以下であることがより望ましく、4μm以上9μm以下であることがさらに望ましい。
【0094】
トナー粒子は、特に製造方法により限定されるものではないが、例えば、結着樹脂、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により製造されるトナー粒子が使用される。
【0095】
また上記方法で得られたトナー粒子をコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法等、公知の方法が使用される。なお、トナーの製造方法としては、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が望ましく、乳化重合凝集法が特に望ましい。
【0096】
そして、トナーは、上記トナー粒子及び上記外添剤をヘンシェルミキサー又はVブレンダー等で混合することによって製造される。また、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添してもよい。
【0097】
一方、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉又はそれ等の表面に樹脂を被覆したものが使用される。また、キャリアとトナーとの混合割合は、特に制限はなく、周知の範囲で設定される。
【0098】
(転写装置)
一次転写装置51、及び二次転写装置52としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
【0099】
中間転写体50としては、導電剤を含んだポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外に円筒状のものが用いられる。
【0100】
(クリーニング装置)
クリーニング装置70は、筐体71と、筐体71から突出するように配設されるクリーニングブレード72と、クリーニングブレード72の電子写真感光体10回転方向下流側に配置される潤滑剤供給装置60と、を含んで構成されている。
なお、クリーニングブレード72は、筐体71の端部で支持された形態であってもよし、別途、支持部材(ホルダー)により支持される形態であってもよいが、本実施形態では、筐体71の端部で支持された形態を示している。
【0101】
まず、クリーニングブレード72について説明する。
クリーニングブレード72は、電子写真感光体10の回転軸に沿った方向に延びた板状のものであって、電子写真感光体10の回転方向(矢印a)の上流側に、先端部が圧力を掛けつつ接触されるように設けられている。
具体的には、クリーニングブレード72は、図5に示すように、電子写真感光体10と接触する第1層72A(以下、接触層72Aと称する)と、電子写真感光体10と接触しない第2層72B(以下、ベース層72Bと称する)と、の積層体で構成されることがよい。クリーニングブレード72は、支持部材(例えば筐体71の端部)にベース層72Bを接触させて接合している。
なお、支持部材は、筐体71の端部に限られず、別途、アルミニウム、ステンレス等ので構成した部材であってもよい。
【0102】
そして、クリーニングブレード72は、接触層72AのタイプAデュプロメータ硬さがベース層72Bよりも高く構成されている。
接触層72AのタイプAデュプロメータ硬さは、A77以上A85以下である。また、ベース層72Bの23℃での反撥弾性は、35%以上45%以下である。
【0103】
接触層72AのタイプAデュプロメータ硬さは、A80以上85以下が望ましい。
クリーニングブレード72(接触層72Aとベース層72Bとの積層体)の全体の反撥弾性は、35%以上45%以下が望ましい。
ここでタイプAデュプロメータ硬さとは、JISK7311に示される硬さ試験法に従い、JISK7215に規定されるタイプAデュプロメータを用いて測定された値をいう。
また、反発弾性の測定は、JIS K6255加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの反発弾性試験方法のリュプケ式反発弾性試験に準ずるものである。反発弾性の測定に際しては、測定対象となるサンプルが、測定時測定条件の温度になっているように、予め当該温度下(23℃における反発弾性を測定する場合には、23℃環境下)に、サンプルを放置しておくことがよい。
【0104】
なお、クリーニングブレード72は、2層構成の積層構成に限られず、例えば、接触層72Aとベース層72Bとの間に中間層を設ける等、3層以上の積層体で構成されていてもよい。
【0105】
クリーニングブレード72(上記接触層72A及びベース層72B)を構成する材料としては、ウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、プロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。これらの中で、ウレタンゴムがよい。
ウレタンゴム(ポリウレタン)は、例えば、通常ポリウレタンの形成に用いられるものであれば特に限定されないが、例えばポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトンなどのポリエステルポリオールなどのポリオールとジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートとからなるウレタンプレポリマー及びたとえば1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコールやこれらの混合物などの架橋剤を原料とするものよい。
【0106】
クリーニングブレード72を上記ウレタンゴム(ポリウレタン)から製造する際には、通常、用いられるポリウレタン成形方法を用いればよく、例えば、以下に示す方法等を挙げられる。まず、脱水処理を行った上記ポリオールと上記イソシアネートとを混合し、温度100℃以上120℃以下で30分間以上90分間以下反応させて得られるプレポリマーに、上記架橋剤等を加えて、140℃に予熱した遠心成形機の金型内に注入し、30分間以上60分間以下硬化させる。上記硬化反応後、金型から取り出すことにより、厚さ2mm以上3mm以下の円柱状のシート体を得る。これを短冊状にカットし、クリーニングブレード72を得る。
【0107】
なお、上記積層体からなるクリーニングブレード72は、例えば、プレポリマーを遠心成形機の金型内に注入する際、時間差を設けて、他の種のプレポリマーを注入することで得られる。
また、各クリーニングブレードの特性(硬度や、反発弾性等)は、その構成材料種等により調整される。
【0108】
ここで、クリーニングブレード72において、電子写真感光体10と接触する接触層72Aは、特に、次に示す弾性部材で構成されることがよい。
【0109】
接触層72Aを構成する弾性部材は、その100%モジュラスが、例えば、6.5MPa以上が望ましく、7.0Mpa以上が望ましく、9.0MPa以上がさらに望ましい。一方で、この弾性部材は、100%モジュラスが、例えば、19.6MPa以下であることが望ましく、15.0MPa以下であることがより望ましい。
この100%モジュラスが、小さすぎると、硬度が低下してクリーニングブレードの動的なたわみが大きくなり易く、静電潜像保持体の偏摩耗を抑制でき難くなることがある。一方、弾性部材の100%モジュラスが大きすぎる場合は、クリーニングブレードの静電潜像保持体に対する追従性が悪化し、良好なクリーニング性が得られ難くなることがある。
【0110】
接触層72Aを構成する弾性部材は、その破断伸びが250%以上であることが好ましく、300%以上であることがより好ましく、350%以上であることがさらに好ましい。一方で、弾性部材は、その破断伸びが、例えば500%以下であることが好ましく、450%以下であることがより好ましく、400%以下であることが更に好ましい。
この破断伸びが小さすぎると、静電潜像保持体表面の異物とクリーニングブレードの先端とが強い力で衝突した際に、クリーニングブレードの先端が追従変形でき難くなり、比較的短期間の内にエッジ欠けが発生してしまうことがある。一方、破断伸びが大きすぎると、電子写真感光体に対する追従性(密着性)が増し易くなり、電子写真感光体との摩擦カが増大し、結果としてクリーニングブレードの摩耗が増大し易くなることがある。
【0111】
ここで、100%モジュラスおよび破断伸びはいずれも、J1SK6251に準拠して測定される値である。即ち、ダンベル状3号形試験片を用い、引張速度500mm/minで計測して応力−歪み曲線を得(環境温度23℃)、この曲線を基に得られるものである。なお、測定装置は、東洋精機(株)製、ストログラフAEエラストマーを用いた。
【0112】
接触層72Aを構成する弾性部材として具体的には、例えば、ハードセグメントおよびソフトセグメントを含むエラストマー材料を選択することがよい。エラストマー材料が、ハードセグメントおよびソフトセグメントの双方を含むことにより、上記接触層72Aの条件(タイプAデュプロメータ硬さ、100%モジュラスや、破断伸び)を満たすものとなり易い。
なお、「ハードセグメント」及び「ソフトセグメント」とは、エラストマー材料中で、前者を構成する材料の方が、後者を構成する材料よりも相対的に硬い材料からなり、後者を構成する材料の方が前者を構成する材料よりも相対的に柔らかい材料からなるセグメントを意味する。
【0113】
ハードセグメントおよびソフトセグメントを構成する材料の総量に対するハードセグメントを構成する材料の質量比(以下、「ハードセグメント材料比」と称す場合がある)としては、46質量%以上96質量%以下の範囲内であることが好ましく、50質量%以上90質量%以下の範囲内であることがより好ましく、60質量%以上85質量%以下の範囲内であることが更に好ましい。
このハードセグメント材料比が小さすぎると、弾性部材の耐摩耗性が低下し易くなり、早期に摩耗が起きて長期に渡る良好なクリーニング性が維持され難くなることがある。一方、ハードセグメント材料比が大きすぎると、エッジ先端が硬くなり過ぎて柔軟性や伸張性が低下し易くなり、早期に欠けが発生して長期に渡る良好なクリーニング性が維持され難くなることがある。
【0114】
ハードセグメントを構成する材料(以下、ハードセグメント材料と称する)とソフトセグメントを構成する材料(以下、ソフトセグメント材料と称する)との組み合わせとしては、公知の樹脂材料から選択できるが、例えば、以下のような組み合わせが好適である。
即ち、ハードセグメント材料としては、ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。この場合のポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、1000以上4000以下の範囲内であることが好ましく、1500以上3500以下の範囲内であることがより好ましい。重量平均分子量が小さすぎると、クリーニングブレードが低温環境下で使用される場合にポリウレタン樹脂の弾性が失われ易くなり、クリーニング不良が生じやすくなることがある。また、重量平均分子量が大きすぎると、ポリウレタン樹脂の永久歪みが大きくなり易くなり、クリーニングブレードが電子写真感光体に対して接触する押圧力を保持することができ難くなり、クリーニング不良が生じることがある。
なお、上述したようなハードセグメント材料として用いられるポリウレタン樹脂としては、例えば、ダイセル化学社製、プラクセル205やプラクセル240などが挙げられる。
【0115】
また、ハードセグメント材料としてポリウレタン樹脂を用いる場合、当該ハードセグメント材料に組み合わせるソフトセグメント材料としては、(a)イソシアネート基に対して反応可能な官能基を有する樹脂を用いることが好ましい。また、この樹脂の物性は、(b)ガラス転移温度が0℃以下、(c)25℃における粘度が600mPa・s以上35000mPa・s以下の範囲内、(d)重量平均分子量が700以上3000以下の範囲内であることが好ましい。これらの物性が満たされない場合には、クリーニングブレード72(接触層72A)を作製する際の成形性が低下しやすくなったり、クリーニングブレード自体の特性が低下することがある。
【0116】
なお、これら物性は、より好ましくは、ガラス転移温度が−10℃以下、25℃における粘度が1000mPa・s以上3000mPa・s以下の範囲内、重量平均分子量が900以上2800以下の範囲内である。また、クリーニングブレード72(接触層72A)を遠心成型を利用して作製する場合、25℃における粘度が600mPa・s〜3500mPa・s範囲内であることが好ましい。
【0117】
上記(a)〜(d)に示す構造および物性を満たすソフトセグメント材料としては、公知の樹脂から選択することができるが、少なくとも末端にイソシアネート基に対して反応可能な官能基を有する柔軟性のある樹脂であることが好ましい。また、この樹脂は、柔軟性の点から、直鎖構造を有する脂肪族系の樹脂であることがよい。
【0118】
ソフトセグメント材料として具体例としては、2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂や、2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂等を挙げられる。
【0119】
2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂としては、例えば、総研化学社製のアクトフロー(グレード:UMB−2005B,UMB−2005P,UMB−2005,UME−2005等)を挙げることができ、2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂としては、例えば、出光興産社製、R−45HT等が挙げられる。
【0120】
また、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂としては、従来の一般的なエポキシ樹脂のように硬くて脆い性質を有するものではなく、従来のエポキシ樹脂よりも柔軟強靭性であるものがよい。
このエポキシ樹脂としては、例えば、分子構造の面では、その主鎖構造中に、主鎖の可動性を高くなる構造(柔軟性骨格)を有するものが好適であり、柔軟性骨格としては、アルキレン骨格や、シクロアルカン骨格、ポリオキシアルキレン骨格等を挙げられ、特にポリオキシアルキレン骨格が好適である。
また、このエポキシ樹脂の物性面としては、従来のエポキシ樹脂と比べて、分子量に比して粘度が低いエポキシ樹脂が好適である。具体的には、
また、このエポキシ樹脂は、その重量平均分子量が900±100の範囲内程度であり、25℃における粘度が15000±5000mPa・sの範囲内であることが好ましく、15000±3000mPa・sの範囲内であることがより好ましい。
このような特性を有するエポキシ樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業製、EPLICON EXA−4850−150等が挙げられる。
【0121】
次に、クリーニングブレード72の配置条件について説明する。
クリーニングブレード72は、電子写真感光体10に接する角度Aが7.0°以上15.5°以下(望ましくは9.0°以上12.0°以下)であり、かつ、電子写真感光体10に対する押し付け圧Nが0.6gf/mm以上6.0gf/mm以下(望ましくは1.5gf/mm以上5.0gf/mm以下)に設定して、配置させることがよい。
ここで、クリーニングブレード72が電子写真感光体10に接する角度Aとは、具体的には、図5に示すように、電子写真感光体10の回転軸方向から見て、クリーニングブレード72の接触層72Aが電子写真感光体10と向き合う側の面と、クリーニングブレード72の接触層72Aが電子写真感光体10に接する位置における接線Lの回転方向上流側との成す角度(°)である。
また、クリーニングブレード72の電子写真感光体10に対する押し付け圧Nとは、図5に示すように、クリーニングブレード72の接触層72Aが電子写真感光体10に接する位置において電子写真感光体10の中心に向けて押し付ける圧力(gf/mm)である。
【0122】
クリーニングブレード72の厚み(総厚)は、例えば1mm以上3mm以下であることがよく、望ましくは1.5mm以上2.5mm以下、より望ましくは1.8mm以上2.2mm以下である。
一方で、接触層72Aの厚みは、例えば、0.05mm以上1.5mm以下であること望ましく、より望ましくは0.1mm以上1.0mm以下である。
また、ベース層72Bの厚みは、例えば、0.9mm以上2.9mm以下であることが望ましく、より望ましくは1.5mm以上2.0mm以下である。
【0123】
次に、潤滑剤供給装置60について説明する。
潤滑剤供給装置60は、例えば、クリーニング装置70の内部であって、クリーニングブレード72よりも電子写真感光体10の回転方向上流側に設けられている。
【0124】
潤滑剤供給装置60としては、例えば、電子写真感光体10と接触して配置される回転ブラシ61と、回転ブラシ61に接触して配置される固形状の潤滑剤62と、で構成されている。潤滑剤供給装置60では、固形状の潤滑剤62と接触した状態で回転ブラシ61を回転させることで、回転ブラシ61に潤滑剤62が付着すると共に、その付着した潤滑剤62が電子写真感光体10の表面に供給され、当該潤滑剤62の皮膜が形成される。
【0125】
なお、潤滑剤供給装置60は、上記形態に限られず、例えば、回転ブラシ61に代わりにゴムローラを採用した形態であってもよい。
また、潤滑剤62としては、例えば、金属石鹸及びワックスなどが挙げられる。
【0126】
次に、本実施形態に係る画像形成装置101の動作について説明する。まず、電子写真感光体10が矢印aで示される方向に沿って回転すると同時に、帯電装置20により負に帯電する。
【0127】
帯電装置20によって表面が負に帯電した電子写真感光体10は、露光装置30により露光され、表面に潜像が形成される。
【0128】
電子写真感光体10における潜像の形成された部分が現像装置40に近づくと、現像装置40(現像ロール42)により、潜像にトナーが付着し、トナー像が形成される。
【0129】
トナー像が形成された電子写真感光体10が矢印aに方向にさらに回転すると、トナー像は中間転写体50の外側の面に転写する。
【0130】
トナー像が中間転写体50に転写されたら、記録紙供給装置53により、二次転写装置52に記録紙Pが供給され、中間転写体50に転写されたトナー像が二次転写装置52により、記録紙P上に転写される。これにより、記録紙Pにトナー像が形成される。
【0131】
画像が形成された記録紙Pは、定着装置80でトナー像が定着される。
【0132】
ここで、トナー像が中間転写体50に転写された後、電子写真感光体10は、転写後、潤滑剤供給装置60により潤滑剤62が電子写真感光体10の表面へ供給されて、当該電子写真感光体10の表面に潤滑剤62の皮膜が形成される。その後、クリーニング装置70のクリーニングブレード72により、表面に残ったトナーや放電生成物が除去される。そして、クリーニング装置70において、転写残のトナーや放電生成物が除去された電子写真感光体10は、帯電装置20により、再び帯電せられ、露光装置30において露光されて潜像が形成される。
【0133】
また、本実施形態に係る画像形成装置101は、例えば、図2に示すように、筐体11内に、電子写真感光体10、帯電装置20、現像装置40、潤滑剤供給装置60、及びクリーニング装置70を一体に収容させたプロセスカートリッジ101Aを備えた形態であってもよい。このプロセスカートリッジ101Aは、複数の部材を一体的に収容し、画像形成装置101に脱着させるものである。なお、図2に示す画像形成装置101では、現像装置40には、補給用現像剤収納容器47を設けない形態が示されている。
プロセスカートリッジ101Aの構成は、これに限られず、例えば、少なくとも、電子写真感光体10とクリーニング装置70を備えてえればよく、その他、例えば、帯電装置20、露光装置30、現像装置40、及び一次転写装置51から選択される少なくとも一つを備えていてもよい。
【0134】
また、本実施形態に係る画像形成装置101は、上記構成に限られず、例えば、電子写真感光体10の周囲であって、一次転写装置51よりも電子写真感光体10の回転方向下流側でクリーニング装置70よりも電子写真感光体の回転方向上流側に、残留したトナーの極性を揃え、クリーニングブラシで除去しやすくするための第1除電装置を設けた形態であってもよいし、クリーニング装置70よりも電子写真感光体の回転方向下流側で帯電装置20よりも電子写真感光体の回転方向上流側に、電子写真感光体10の表面を除電する第2除電装置を設けた形態であってもよい。
【0135】
また、本実施形態に係る画像形成装置101は、上記構成に限れず、周知の構成、例えば、電子写真感光体10に形成したトナー像を直接、記録紙Pに転写する方式を採用してもよいし、タンデム方式の画像形成装置を採用してもよい。
【実施例】
【0136】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。なお、特に断りのない限り、「部」はすべて「質量部」を意味する。
【0137】
[感光体の作製]
(感光体1の作製)
酸化亜鉛(平均粒子径:70nm、テイカ社製、比表面積値:15m/g)100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM603(信越化学社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛粒子を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛粒子60質量部と、アリザリン0.6質量部と、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3173、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15質量部とを、メチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部とを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間の分散を行い分散液を得た。得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)4.0質量部とを添加し、下引き層塗布用液を得た。この塗布液を、浸漬塗布法にて直径30mmのアルミニウム基材上に塗布し、180℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ23μmの下引き層を得た。
【0138】
次に、電荷発生材料として、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部及びn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層用の塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を前記下引き層上に浸漬塗布し、乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を得た。
【0139】
次いで、電荷輸送層を形成する材料として、A液として:4フッ化エチレン樹脂粒子(平均粒径:0.2μm)1.0質量部、フッ素系グラフトポリマー(GF300、東亜合成社製、重量平均分子量30,000)0.01質量部を、テトラヒドロフラン3質量部、トルエン1質量部とともに20℃の液温に保ち、48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を得た。次に、B液として:電荷輸送物質としてN,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン4質量部と、下記構造式(A1)で示され共重合比m:n=20:80のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂(重量平均分子量72,000)を6質量部、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.1質量部を混合してテトラヒドロフラン24質量部及びトルエン11質量部を混合溶解した。
このB液に前記A液を加えて攪拌混合した後、微細な流路を持つ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興行株式会社製)を用いて、500kgf/cmまで昇圧しての分散処理を3回繰り返した液に、シリコーンオイル(商品名:KP−323 信越シリコーン社製)を10ppm添加し、撹拌して電荷輸送層形成用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布して115℃で30分間乾燥し、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成し、感光体1を作製した。
【0140】
【化9】

【0141】
(感光体2の作製)
前記感光体1に記載のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂の代わりに、前記構造式(A1)で示され、共重合比m:n=5:95(重量平均分子量72,000)のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂を用いたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体2を作製した。
【0142】
(感光体3の作製)
前記感光体1に記載のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂の代わりに、前記構造式(A1)で示され、共重合比m:n=0:100(重量平均分子量39,000)のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂を用いたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体3を作製した。
【0143】
(感光体4の作製)
前記感光体1に記載のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂の代わりに、下記構造式(A2)で示され、共重合比m:n=20:80(重量平均分子量75,000)のポリカーボネート樹脂を用いたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体4を作製した。
【0144】
【化10】

【0145】
(感光体5の作製)
前記感光体1に記載のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂の代わりに、前記構造式(A2)で示され、共重合比m:n=5:95(重量平均分子量75,000)のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂を用いたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体5を作製した。
【0146】
(感光体6の作製)
前記感光体1に記載のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂の代わりに、前記構造式(A2)で示され、共重合比m:n=0:100(重量平均分子量60,000)のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂を用いたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体6を作製した。
【0147】
(感光体7の作製)
前記感光体1に記載のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂の代わりに、前記構造式(A1)で示され、共重合比m:n=40:60(重量平均分子量50,000)のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂を用いたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体7を作製した。
【0148】
(感光体8の作製)
前記感光体1に記載のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂の代わりに、前記構造式(A2)で示され、共重合比m:n=40:60(重量平均分子量50,000)のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂を用いたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体8を作製した。
【0149】
以上、上記各感光体の作製に用いたポリカーボネートの構造式、共重合比m:n、フッ素樹脂粒子量について表1にまとめる。
【0150】
【表1】

【0151】
[クリーニングブレードの作製]
(クリーニングブレード1の作製)
ポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学工業株式会社製、プラクセル205、平均分子量529、水酸基価212KOHmg/g)と、ポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学工業株式会社製、プラクセル240、平均分子量4155、水酸基価27KOHmg/g)とを、ポリオール成分のハードセグメント材料を準備した。
また、2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂(綜研化学株式会社製、アクトフローUMB−2005B)を、ソフトセグメント材料として準備した。
そして、上記ハードセグメント材料と上記ソフトセグメント材料とを、8:2(質量比)の割合で混合した。
【0152】
次に、このハードセグメント材料とソフトセグメント材料との混合物100質量部に対して、イソシアネート化合物として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製、ミリオネートMT、以下「MD1」という)を6.26質量部加え、窒素雰囲気下で70℃、3時間反応させた。なお、この反応で使用したイソシアネート化合物量は、反応系に含まれる水酸基に対するイソシアネート基の比(イソシアネート基/水酸基)が0.5となるように選択したものである。
次に、上記イソシアネート化合物を更に34.3質量部加え、窒素雰囲気下で70℃,3時間反応させて、プレポリマーを得た。なお、プレポリマーの使用に際して利用したイソシアネート化合物の全量は40.56質量部であった。
次に、このプレポリマーを100℃に昇温し、減圧下で1時間脱泡した。その後、プレポリマー100質量部に対して、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物(質量比=60/40)を7.14質量部加え、3分間泡をかまないように充分に混合した。この混合物を、金型を調整した遠心成形機にて140℃で10分硬化させ、接触層用材料を得た。
次に、140℃に金型を調整した遠心成形機に上記接触層用材料を流し込み、10分硬化反応させ、平板状の接触層を形成した。
【0153】
一方で、上記ハードセグメント材料とソフトセグメント材料との混合物の代わりに、ポリオール成分としてコロネート4086(日本ポリウレタン工業株式会社製)、かつポリオール成分100質量部に対して、イソシアネート化合物としてニッポラン4038(日本ポリウレタン工業株式会社製)を6.8質量部加えた以外は、接触層用材料と同様に処理したベース層用材料を得た。
次に、接触層を平板状に形成した遠心成形機に、ベース層用材料を流し込み、1時間硬化反応させ、接触層上に平板状のベース層を形成し、2層構造の平板を得た。この平板を110℃で24時間加熱して架橋反応を進行させた後、冷却し、所定寸法にカットして厚さ2mm、幅333mmのクリーニングブレードを得た。
このようにして得たクリーニングブレードを、クリーニングブレード1とした。
【0154】
(クリーニングブレード2の作製)
接触層用材料として、ハードセグメント材料とソフトセグメント材料との混合物の代わりに、ポリエチレンアジペート(三洋化成工業製、サンエスター2620)を用いて得られたプレポリマー100質量部、およびそれに対して(1,4−ブタンジオール:トリメチロールプロパン:エチレングリコール=80:10:10)を7.6質量部加えたものを用いた以外は、クリーニングブレード1と同様にして、クリーニングブレード2を得た。
【0155】
(クリーニングブレード3の作製)
クリーニングブレード1におけるベース層用材料のみを、140℃に金型を調整した遠心成形機に流し込み、1時間硬化反応させ、1層構成の平板を得た。この平板を110℃で24時間加熱して架橋反応を進行させた後、冷却し、所望の寸法にカットして、厚さ1mm、幅333mmのブレードを得た。そして、このブレードを2枚作製し、貼り合せてクリーニングブレード3を得た。
【0156】
(クリーニングブレード4の作製)
クリーニングブレード3において得られた1層構成の平板を、所望の寸法にカットして、厚さ2mm、幅333mmのブレードを得た。これをクリーニングブレード4とした。
【0157】
(クリーニングブレード5の作製)
2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂(綜研化学株式会社製、アクトフローUMB−2005B)を、ソフトセグメント材料として準備した。
そして、クリーニングブレード1において得たハードセグメント材料と、このソフトセグメント材料とを、8:2(質量比)の割合で混合した。
【0158】
次に、このハードセグメント材料とソフトセグメント材料との混合物100質量部に対して、イソシアネート化合物として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製、ミリオネートMT、以下「MD1」という)を6.26質量部加え、窒素雰囲気下で70℃、3時間反応させた。なお、この反応で使用したイソシアネート化合物量は、反応系に含まれる水酸基に対するイソシアネート基の比(イソシアネート基/水酸基)が0.5となるように選択したものである。
次に、上記イソシアネート化合物を更に34.3質量部加え、窒素雰囲気下で70℃,3時間反応させて、プレポリマーを得た。なお、プレポリマーの使用に際して利用したイソシアネート化合物の全量は40.56質量部であった。
【0159】
次に、このプレポリマーを100℃に昇温し、減圧下で1時間脱泡した。その後、プレポリマー100質量部に対して、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物(質量比=60/40)を7.14質量部加え、3分間泡をかまないように充分に混合した。
【0160】
次に、140℃に金型を調整した遠心成形機に上記混合物を流し込み、10分硬化反応させ、1層構成の平板を得た。この平板を冷却した後、厚さ2mm、幅333mmのクリーニングブレード5を得た。
【0161】
(クリーニングブレード6の作製)
ポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学工業株式会社製、プラクセル205、平均分子量529、水酸基価212KOHmg/g)と、ポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学工業株式会社製、プラクセル240、平均分子量4155、水酸基価27KOHmg/g)とを、ポリオール成分のハードセグメント材料を準備した。
また、2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂(綜研化学株式会社製、アクトフローUMB−2005B)を、ソフトセグメント材料として準備した。
そして、上記ハードセグメント材料と上記ソフトセグメント材料とを、8:2(質量比)の割合で混合した。
【0162】
次に、このハードセグメント材料とソフトセグメント材料との混合物100質量部に対して、イソシアネート化合物として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製、ミリオネートMT、以下「MD1」という)を6.26質量部加え、窒素雰囲気下で70℃、3時間反応させた。なお、この反応で使用したイソシアネート化合物量は、反応系に含まれる水酸基に対するイソシアネート基の比(イソシアネート基/水酸基)が0.5となるように選択したものである。
【0163】
次に、上記イソシアネート化合物を更に34.3質量部加え、窒素雰囲気下で70℃,3時間反応させて、プレポリマーを得た。なお、プレポリマーの使用に際して利用したイソシアネート化合物の全量は40.56質量部であった。
次に、このプレポリマーを100℃に昇温し、減圧下で1時間脱泡した。その後、プレポリマー100質量部に対して、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物(質量比=60/40)を7.14質量部加え、3分間泡をかまないように充分に混合した。この混合物を、金型を調整した遠心成形機にて140℃で10分硬化させ、接触層用材料を得た。
【0164】
次に、140℃に金型を調整した遠心成形機に上記接触層用材料を流し込み、10分硬化反応させ、平板状の接触層を形成した。
一方で、上記ハードセグメント材料とソフトセグメント材料との混合物の代わりに、ポリオール成分としてコロネート4086(日本ポリウレタン工業株式会社製)、かつポリオール成分100質量部に対して、イソシアネート化合物としてニッポラン4038(日本ポリウレタン工業株式会社製)を8.6質量部加えた以外は、接触層用材料と同様に処理したベース層用材料を得た。
次に、接触層を平板状に形成した遠心成形機に、ベース層用材料を流し込み、1時間硬化反応させ、接触層上に平板状のベース層を形成し、2層構造の平板を得た。この平板を110℃で24時間加熱して架橋反応を進行させた後、冷却し、所定寸法にカットして厚さ2mm、幅333mmのクリーニングブレードを得た。
このようにして得たクリーニングブレードを、クリーニングブレード6とした。
【0165】
(クリーニングブレード7〜9)
上記の他に、接触層のタイプAディロメータ硬さA77、ベース層の反発弾性率35%、タイプAディロメータ硬さA60のクリーニングブレード7、および接触層のタイプAディロメータ硬さA85、ベース層の反発弾性率45%、タイプAディロメータ硬さA65のクリーニングブレード8、接触層のタイプAディロメータ硬さA87、ベース層の反発弾性率48%、タイプAディロメータ硬さA67のクリーニングブレード9を準備した。
【0166】
ここで、得られた各クリーニングブレードの特性について表2に覧にして示す。
【0167】
【表2】

【0168】
[実施例1〜10、比較例1〜11]
表3に示す感光体及びクリーングブレードの組み合わせに従って、これらをApeosPortIIC4300(富士ゼロックス社製)の改造機に装着し、下記評価を行った。結果を表3に示す。
【0169】
(評価)
−感光体摩耗−
感光体摩耗の評価は、A4用紙(富士ゼロックス社製 C2紙)を用いて、低温低湿(10℃、15RH%)下において、像密度5%にて5万枚の画像を形成させる前後で感光層全面の膜厚を測定し、その平均値の差をΔ膜厚として評価した。
◎:Δ膜厚<5μm
○:5μm≦Δ膜厚<10μm
△:10μm≦Δ膜厚<15μm
×:15μm≦Δ膜厚
【0170】
−感光体偏摩耗−
感光体偏摩耗の評価は、上記摩耗評価において、感光層中心部と、感光層中心部より150mm感光層塗布上端部分の膜厚を測定し、その差をΔ偏摩耗として評価した。
◎:Δ偏摩耗<1.5μm
○:1.5μm≦Δ偏摩耗<3μm
△:3μm≦Δ偏摩耗<5μm
×:5μm≦Δ偏摩耗
【0171】
−ブレード欠け−
ブレード欠けの評価は、A4用紙(富士ゼロックス社製 C2紙)を用いて、高温高湿(30℃、80RH%)下において、像密度5%にて2万枚の画像を形成させた後、クリーニングブレードの感光体当接面をレーザー顕微鏡で観察し、欠けの有無にて評価した。
○:欠け未発生
×:欠け発生
【0172】
−ブレード捲れ−
ブレード捲れの評価は、A4用紙(富士ゼロックス社製 C2紙)を用いて、低温低湿(10℃、15RH%)下において、像密度1%にて2万枚の画像を形成させた後、目視観察にてブレード捲れの有無を観察し、評価した。
○:捲れ未発生
×:捲れ発生
【0173】
−感光体キズ−
感光体キズは、A4用紙(富士ゼロックス社製 C2紙)を用いて、像密度5%にて2万枚の画像を形成した後の感光体表面の十点平均粗さRzを評価することにより実施した。十点平均粗さRzは、表面粗さ形状測定機(SURFCOM1500D−3DF、東京精密社製)を用いて測定した。測定条件は、検出器:S1500用標準/測定力:0.7mN、測定子:DT43801/先端形状:2μmR60°円錐ダイヤモンド、測定面積:4.0×2.0mm、測定ピッチ:X0.02mm/Y0.02mm、測定速度:0.6mm/sとした。また、測定点としては、感光体の中央部近傍(端部から170mmの位置)と端部近傍(端部から10mm)とについて各々1箇所ずつ実施し、両者の平均値を十点平均粗さRzとして求めた。
○:Rzが1.0μm以下
△:Rzが1.0μmを超え3.0μm未満(画質的に問題ないレベル)
×:Rzが3.0μm以上(画像上に白筋発生)
【0174】
【表3】

【0175】
上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、感光体磨耗、感光体偏磨耗、ブレード欠け、ブレード捲れ、感光体キズのいずれの評価つき、良好な結果が得られたことがわかる。
【符号の説明】
【0176】
1 下引き層、2 電荷発生層、3 電荷輸送層、4 導電性基体、6 単層型感光層、10 電子写真感光体、10A 電子写真感光体、10B 電子写真感光体、20 帯電装置、30 露光装置、40 現像装置、41 現像容器、41A 現像容器本体、41B 現像容器カバー、41C 壁、42 現像ロール、42A 現像ロール室、43 攪拌部材、43A 攪拌室、44 攪拌部材、44A 攪拌室、45 層厚規制部材、46 補給搬送路、47 補給用現像剤収納容器、50 中間転写体、50A 支持ローラ、50B 支持ローラ、50C 背面ローラ、50D 駆動ローラ、51 一次転写装置、52 二次転写装置、53 記録紙供給装置、53A 搬送ローラ、53B 誘導スロープ、54 中間転写体クリーニング装置、60 除電装置、70 クリーニング装置、71 筐体、72 クリーニングブレード、80 定着装置、81 定着ローラ、82 搬送コンベア、101 画像形成装置、101A プロセスカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体上に感光層を少なくとも有し、最表面層が、フッ素樹脂粒子と下記構造単位(A)を含む結着樹脂とを含有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記電子写真感光体に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、
前記電子写真感光体の表面をクリーニングし、前記電子写真感光体と接触する第1層と前記電子写真感光体と接触しない第2層との積層体で構成されたクリーニングブレードであって、前記第1層のタイプAデュプロメータ硬さが前記第2層よりも高く且つA77以上A85以下であり、前記第2層の23℃での反撥弾性が35%以上45%以下のクリーニングブレードを有するクリーニング手段と、
を備えた画像形成装置。
【化1】

【請求項2】
前記構造単位(A)を含む結着樹脂が、下記構造式(A1)乃至(A2)で示される結着樹脂(但し、下記構造式(A2)中、m:nは共重合比を示し、m:n=95:5乃至5:95の範囲を示す。)である請求項1に記載の画像形成装置。
【化2】

【化3】

【請求項3】
前記構造式(A1)乃至(A2)で示される結着樹脂が、共重合比m:n=10:90乃至40:60の範囲を示すものである請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
導電性基体上に感光層を少なくとも有し、最表面層が、フッ素樹脂粒子と下記構造単位(A)を含む結着樹脂とを含有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面をクリーニングし、前記電子写真感光体と接触する第1層と前記電子写真感光体と接触しない第2層との積層体で構成されたクリーニングブレードであって、前記第1層のタイプAデュプロメータ硬さが前記第2層よりも高く且つA77以上A85以下であり、前記第2層の23℃での反撥弾性が35%以上45%以下のクリーニングブレードを有するクリーニング手段と、
を備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【化4】

【請求項5】
請求項5に係る発明は、
前記構造単位(A)を含む結着樹脂が、下記構造式(A1)乃至(A2)で示される結着樹脂(但し、下記構造式(A2)中、m:nは共重合比を示し、m:n=95:5乃至5:95の範囲を示す。)である請求項4に記載のプロセスカートリッジ。
【化5】

【化6】

【請求項6】
前記構造式(A1)乃至(A2)で示される結着樹脂が、共重合比m:n=10:90乃至40:60の範囲を示すものである請求項5に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−197107(P2011−197107A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61188(P2010−61188)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】