説明

プロセスチーズ類及びその製造方法

【課題】 良好な加熱溶融性、糸曳き性及び良好なシュレッド適性を有するプロセスチーズまたはチーズフードを提供する。
【解決手段】 原料チーズ、溶融塩、ガム類、並びにHLBが11以上のショ糖脂肪酸エステル及び/または酵素分解レシチンを含有し、熟度指標が15%以下であり、加熱溶融性が60%以上であり、糸曳き性が300mm以上であることを特徴とするプロセスチーズまたはチーズフード。熟度指標が15%以下であるか、または熟度指標を15%以下に調整した原料チーズに、溶融塩0.1〜0.8重量%、ガム類0.1〜0.7重量%、並びにHLBが11以上のショ糖脂肪酸エステル及び/または酵素分解レシチン0.1〜1.0重量%を添加し、加熱乳化した後、急冷することを特徴とするプロセスチーズまたはチーズフードの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスチーズまたはチーズフード(以下、「プロセスチーズ類」と略記することがある)及びその製造方法に関する。本発明のプロセスチーズまたはチーズフードは、良好な加熱溶融性と良好な糸曳き性を有し、冷却後に切断加工しやすく、いわゆるシュレッド適性が良好なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ナチュラルチーズは、加熱により適度なオイルオフが生じて溶融し、良好な糸曳き性を有することが知られている。これに対して、通常のプロセスチーズ類は、ナチュラルチーズを粉砕し、溶融塩を添加して、加熱、溶融、乳化の工程を経て製造するため、保存性は高められるが、乳化によってナチュラルチーズ由来のタンパク質構造が失われるので、ナチュラルチーズと同等の糸曳き性が発現されないという問題がある。
そのため、従来より、ナチュラルチーズの特性を有するプロセスチーズ類を製造する試みが多くなされている。
例えば、熟度指標12%以下に調整した原料チーズに溶融塩、ガム類、微細結晶セルロースを添加し、400〜1400rpmの中速から高速で加熱乳化することからなる、糸曳き性の良好なプロセスチーズまたはチーズフードの製造方法が提案されている(特許文献1)。
また、溶融塩およびHLB7以上のO/W型乳化剤を含む原料を、75℃以上に加熱溶融し、最高温度到達から60℃になるまでに少なくとも20分、且つ最高温度到達から40℃になるまでに60分かけて冷却することからなる、加熱溶融性に優れたプロセスチーズ類の製造方法が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2001−29012号公報
【特許文献2】特開平9−103242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1及び2の技術によっては、糸曳き性が改善されても良好な加熱溶融性が得られなかったり、加熱溶融性が改善されても良好な糸曳き性が得られなかったり、糸曳き性と加熱溶融性の両特性を有するプロセスチーズ類を製造することができなかった。
すなわち、従来技術では、ナチュラルチーズが有する良好な加熱溶融性と糸曳き性を有し、さらに、加工適性の改善のために求められる良好なシュレッド適性を有するプロセスチーズ類を得ることができなかった。
したがって、本発明は、良好な加熱溶融性及び糸曳き性を有し、さらに良好なシュレッド適性を有するプロセスチーズまたはチーズフードを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、熟度指標15%以下のナチュラルチーズを原料チーズとし、これに溶融塩、ガム類、及び特定の乳化剤を添加し、加熱乳化後、急冷することにより得られるプロセスチーズまたはチーズフードが、良好な加熱溶融性及び良好な糸曳き性を示し、シュレッド適性も良好であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、原料チーズ、溶融塩、ガム類、並びにHLBが11以上のショ糖脂肪酸エステル及び/または酵素分解レシチンを含有し、熟度指標が15%以下であり、加熱溶融性が60%以上であり、糸曳き性が300mm以上であることを特徴とするプロセスチーズまたはチーズフードである。
本発明はまた、原料チーズに対して、溶融塩0.1〜0.8重量%、ガム類0.1〜0.7重量%、並びにHLBが11以上のショ糖脂肪酸エステル及び/または酵素分解レシチン0.1〜1.0重量%の割合で含有することを特徴とする記載のプロセスチーズまたはチーズフードである。
本発明はまた、熟度指標が15%以下であるか、または熟度指標を15%以下に調整した原料チーズに、溶融塩0.1〜0.8重量%、ガム類0.1〜0.7重量%、並びにHLBが11以上のショ糖脂肪酸エステル及び/または酵素分解レシチン0.1〜1.0重量%を添加し、加熱乳化した後、急冷することを特徴とするプロセスチーズまたはチーズフードの製造方法である。
なお、熟度指標は以下の式で計算することができる。
熟度指標(%)=(可溶性窒素量/全窒素量)×100
【0005】
本発明の製造方法によれば、加熱調理時にオイルオフしやすく、均一に良好な溶融性を示し、良好な糸曳き性を示すプロセスチーズ類が得られる。これは、本発明により使用される特定の乳化剤が、溶融塩により可溶性ナトリウムカゼイネート化するカゼインタンパク質に先行して、チーズの乳化に寄与し、その結果、カゼインタンパク質の強固な乳化が少なくなり、加熱調理時にオイルオフしやすくなるためと考えられる。
【0006】
なお、「加熱溶融性」とは、オーブン、電子レンジ等食品用の加熱調理器における加熱により、溶融状態を呈する状態をいう。本発明において、「加熱溶融性」は、具体的には、チーズを一辺15mmの立方体状に成形し、電子レンジ500Wで10秒加熱した後、チーズの高さを測定した場合に、下記式で得られる値である。数値が大きいほど溶融性が高く、その値がナチュラルチーズと同等の60%以上となる場合を加熱溶融性が良好であるとする。
加熱溶融性(%)=〔(15−加熱後のチーズの高さ)/15〕×100
一辺が15mmの立方体状への成形は、測定するチーズの形態に応じて以下のようにして行う。
ブロック状チーズの場合:抜き出し。
スライス状チーズの場合:厚さ15mm以上となるように重ねてから抜き出し。
シュレッドチーズの場合:小さい直方体状に成形し、それを一辺が15mmの立方体となるように隙間なく組み上げるか、あるいは一辺が15mm以上となるように組み上げてから抜き出し。
ダイスチーズの場合:シュレッドチーズと同様にして行う。
クラッシュチーズの場合:シュレッドチーズと同様にして行う。
【0007】
また、「糸曳き性」とは、一般にピザのトッピング等に用いるチーズのように、チーズを加熱、溶融し、引き伸ばしたときに糸を曳く性質をいう。本発明において、「糸曳き性」とは、具体的には、チーズ20gを直径65mmのシャーレに採取し、500Wの電子レンジ(松下電器産業社製:NE−S1A)で30秒加熱した後、2mm規格のL字型六角レンチの短辺(16mm)がシャーレの底につくように溶融したチーズの中央部に入れて10cm/秒の速度で引き上げたときに、切断するまでにチーズが伸びた長さを測定した値である。その値がナチュラルチーズと同等の300mm以上となる場合を糸曳き性が良好であるものとする。
【0008】
本発明により得られる加熱溶融性と糸曳き性が優れたプロセスチーズまたはチーズフードは、シュレッド適性も優れたものとなる。シュレッド適性とは、プロセスチーズ及びチーズフードを切断したとき、粘らず、機械に付着することなく、チーズ同士も結着しない性質をいう。本明細書において、具体的には、チーズを8mm×30mmにシュレッドし、10℃で1ヵ月保存後チーズ同士の結着を官能的に評価した。なお評価は、結着なし:5点とし、これを最高点に、少し結着あり:4点、結着あり:3点、多くの結着あり:2点、全体が結着:1点とした。
また、本明細書において、オイルオフとは、加熱によりチーズの組織から油脂が遊離し表面に油膜が形成される状態をいう。
さらに、「急冷」とは、乳化後20分以内に60℃より低い温度となるように冷却することをいう。
【0009】
本発明における原料チーズとしては、熟度指標が15%以下であるナチュラルチーズ、または熟度指標を15%以下に調整したナチュラルチーズが用いられる。このような原料チーズとしては、プロセスチーズやチーズフードの製造に通常用いられるゴーダチーズ、チェダーチーズ、モツァレラチーズ、ステッペンチーズ等を例示することができる。これらの中でも、良好な糸曳き性を有する硬質または半硬質で低熟度のナチュラルチーズを用いることが好ましい。
【0010】
本発明において用いられる溶融塩としては特に限定されず、酒石酸塩、リン酸塩、クエン酸塩等プロセスチーズやチーズフードの製造に通常用いることができる全てのものを使用することができる。
これらは単独でも、2種以上を組み合せても用いることができる。この中でも解膠作用が弱いクエン酸ナトリウム、モノリン酸ナトリウム等を用いることが好ましい。解膠作用とは、タンパク質の膨潤・吸水性を起こす作用をいう。すなわち、本発明においては、溶融塩の本質的作用・効果であるイオン交換力があり、糸曳き性及び加熱溶融性を向上させるがタンパク質の膨潤・吸水性が低く、オイルオフの低減を抑えるものを用いることが望ましい。
なお、本発明における溶融塩の添加量は、原料チーズに対して0.1〜0.8重量%とすることが好ましい。添加量が0.1重量%未満では、乳化が安定せず、好ましくなく、添加量が0.8重量%を超えると過度に乳化が進み、加熱溶融性及び糸曳き性が低下するため好ましくない。
【0011】
本発明において用いられるガム類としては、例えば、ローカストビーンガム、グアーガム、キサンタンガム等を挙げることができる。
本発明におけるガム類の添加量は、原料チーズに対して0.1〜0.7重量%とすることが好ましく、0.2〜0.6重量%とすることが特に好ましい。ガム類の添加量が0.1重量%未満では、乳化時に離水が生じて好ましくなく、添加量が0.7重量%を超えると、加熱時にオイルオフによる油膜が形成されないことがあり、好ましくない。
【0012】
本発明において用いられる乳化剤としては、HLBが11以上のショ糖脂肪酸エステルまたはHLBが11以上の酵素分解レシチンを用いる。HLBが11以上のショ糖脂肪酸エステルのみを用いても、HLBが11以上の酵素分解レシチンのみを用いても、両者を用いてもよい。なお、HLBが11以上でも、上記以外の乳化剤、例えばグリセリン脂肪酸エステルを用いた場合は、糸曳き性が低下して、目的とするものが得られないが、これは乳化が進むためと考えられる。
本発明における乳化剤の添加量は、原料チーズに対して0.1〜1.0重量%とすることが好ましい。添加量が0.1重量%未満では、効果が充分でなく、1.0重量%を超えると風味への影響及び過度の乳化進行により、加熱溶融性及び糸曳き性が低下するため好ましくない。またシュレッド適性も劣化する。
本発明のプロセスチーズまたはチーズフードには、この他に、製品の風味や物性調整のために、香辛料、香料、植物性脂肪、糖質等を配合することもできる。
【0013】
本発明のプロセスチーズまたはチーズフードは、上記の原料チーズに、上記の溶融塩、乳化剤及びガム類を添加し、加熱乳化後、急冷することにより得ることができる。
本発明において、乳化は、プロセスチーズ類の乳化に通常用いられる乳化機、例えば高速剪断乳化釜等を用い、400〜1800rpmの中速から高速で攪拌することが好ましい。
本発明において、急冷は、乳化チーズを薄層状に包装して冷却効率を上げる方法、またはサーモシリンダーのような熱交換機を用いる方法等により行うことができる。
なお、本発明の方法により得られるプロセスチーズまたはチーズフードは、原料チーズと同様、熟度指数が15%以下であり、種々の物性がナチュラルチーズと同様であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、良好な加熱溶融性、良好な糸曳き性、さらには良好なシュレッド適性を有するプロセスチーズまたはチーズフードを得ることができる。本発明のプロセスチーズまたはチーズフードは、加熱により適度なオイルオフが生じて均一に溶融し、良好な糸曳き性を示し、冷却後の切断加工等、いわゆるシュレッド適性にも優れ、ナチュラルチーズと同様の物性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、実施例を示しながら本発明を具体的に説明する。
【実施例1】
【0016】
ゴーダチーズ及びモツァレラチーズを原料チーズとして用い、粉砕、混合して熟度指標を12%、15%及び18%に調整した。混合チーズ10kgを高速剪断乳化釜(ステファン社製)に投入し、これに、溶融塩としてクエン酸ナトリウム(田辺製薬社製)を25g、ポリリン酸ナトリウム(ビーケー・ギューリニ社製)25g、乳化剤としてHLB15のショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製)を50g、ガム類としてローカストビーンガム(三栄源エフ・エフ・アイ社製)30gをそれぞれ添加した後、1500rpmで78℃まで加熱した。水分含量は45重量%になるように調整した。加熱したチーズは、78℃から60℃未満になるよう10分水冷した後、400gカートンに充填し、5℃冷蔵庫で24時間以上冷却し、プロセスチーズを得た。
【0017】
(試験例1)
実施例1で得られた製品について、(1)加熱溶融性、(2)糸曳き性、(3)シュレッド適性について以下に示す方法で試験を行なった。
(1)加熱溶融性
チーズを、前記したように、一辺15mmの立方体状に成形し、電子レンジ(松下電器産業社製:NE−S1A)500Wで10秒加熱した後、チーズの高さを測定して、下記式で溶融性の評価を行なった。数値が大きいほど溶融性が良好である。
加熱溶融性(%)=〔(15−加熱後のチーズの高さ)/15〕×100
(2)糸曳き性
チーズ20gを直径65mmのシャーレに採取し、500Wの電子レンジ(松下電器産業社製:NE−S1A)で30秒加熱した後、2mm規格のL字型六角レンチの短辺(16mm)がシャーレの底につくように溶融したチーズの中央部に入れて、糸曳き測定機(富士精機製作所社製)によって10cm/秒の速度で引き上げたときに、切断するまでのチーズの伸びた長さを測定した。300mm以上を糸曳き性が良好であるものとする。
(3)シュレッド適性
チーズを8mm×30mmにシュレッドし、10℃で1ヵ月保存後チーズ同士の結着を官能的に評価した。なお評価は、結着なし:5点とし、これを最高点に、少し結着あり:4点、結着あり:3点、多くの結着あり:2点、全体が結着:1点とした。以上の結果を表1に示す。
【0018】
【表1】

【0019】
表1の結果から明らかなように、熟度指標が15%以下の場合は、良好な加熱溶融性、糸曳き性及びシュレッド適性を兼ね備えていたが、18%とした場合は、糸曳き性が非常に劣り、シュレッド適性も良好でないことが分かった。
【実施例2】
【0020】
乳化剤の影響を比較するために、実施例1における熟度指標が12%の場合において、乳化剤を下記表2に示すものに変更し、実施例1と同様の条件で製造し、プロセスチーズを得た。
【0021】
【表2】

【0022】
表2の結果から明らかなように、HLBが11以上のショ糖脂肪酸エステルまたは酵素分解レシチンを添加したプロセスチーズは、良好な加熱溶融性と糸曳き性を兼ね備えていた。それに対して、HLBが11未満のショ糖脂肪酸エステルまたはレシチンや、HLBが11以上でも、ショ糖脂肪酸エステルまたは酵素分解レシチン以外の乳化剤を用いた場合には、加熱溶融性と糸曳き性を兼ね備えるプロセスチーズは得られなかった。
【実施例3】
【0023】
実施例1における熟度指標15%の場合において、乳化剤添加量を5g、10g、100g及び125g(それぞれ0.05重量%、0.1重量%、1.0重量%、1.25重量%の添加量)とし、実施例1と同様の条件で製造し、プロセスチーズを得た。
【0024】
【表3】

【0025】
表3に示される結果から明らかなように、乳化剤の添加量が0.1〜1.0重量%の場合には、良好な加熱溶融性、糸曳き性及びシュレッド適性を兼ね備えていた。
【実施例4】
【0026】
熟度指標を15%に調整したゴーダチーズとチェダーチーズの混合粉砕チーズ10kgを高速剪断乳化釜に投入し、これに溶融塩としてクエン酸ナトリウムを5g、10g、80gまたは100g(それぞれ0.05重量%、0.1重量%、0.8重量%、1.0重量%の添加量)、乳化剤としてHLB11の酵素分解レシチンを50g、ガム類としてローカストビーンガム30gをそれぞれ添加した後、1500rpmで80℃まで加熱した。水分含量は45重量%になるように調整した。加熱したチーズは、80℃から60℃未満になるよう19分水冷した後、400gカートンに充填し、5℃冷蔵庫で24時間以上冷却し、プロセスチーズを得た。
【0027】
【表4】

【0028】
表4に示される結果から明らかなように、溶融塩のクエン酸ナトリウム添加量が0.1〜0.8重量%では、良好な加熱溶融性、糸曳き性及びシュレッド適性を兼ね備えていた。
【実施例5】
【0029】
熟度指標を15%に調整したゴーダチーズとチェダーチーズの混合粉砕チーズ10kgを高速剪断乳化釜に投入し、植物性油脂を500g、溶融塩としてクエン酸ナトリウムを25g、モノリン酸ナトリウムを25g、乳化剤としてHLB13のショ糖脂肪酸エステルを30g、ガム類としてローカストビーンガムを5g、10g、70gまたは80g(それぞれ0.05重量%、0.1重量%、0.7重量%、0.8重量%の添加量)、それぞれ添加した後、750rpmで75℃まで加熱した。水分含量は45重量%になるように調整した。加熱したチーズは、75℃から60℃未満になるよう10分水冷後400gカートンに充填し、5℃冷蔵庫で24時間以上冷却し、製品とした。
【0030】
【表5】

【0031】
表5に示される結果から明らかなように、ローカストビーンガム添加量が0.1〜0.7重量%では、良好な加熱溶融性、糸曳き性及びシュレッド適性を兼ね備えていた。
【0032】
(比較例1)
加熱乳化後の急冷を行わなかったこと以外は、実施例1における熟度指標15%配合の場合と同様にして、プロセスチーズを得た。得られたプロセスチーズは、加熱溶融性が30%未満、糸曳き性が90mmであり、望ましい物性が得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のプロセスチーズまたはチーズフードは、加熱により適度なオイルオフが生じて均一に溶融し、良好な糸曳き性を示し、冷却後の切断加工等、いわゆるシュレッド適性にも優れており、ナチュラルチーズと同様の物性を有するため、チーズを用いる種々の食品の原料として、広く利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料チーズ、溶融塩、ガム類、並びにHLBが11以上のショ糖脂肪酸エステル及び/または酵素分解レシチンを含有し、熟度指標が15%以下であり、加熱溶融性が60%以上であり、糸曳き性が300mm以上であることを特徴とするプロセスチーズまたはチーズフード。
【請求項2】
原料チーズに対して、溶融塩0.1〜0.8重量%、ガム類0.1〜0.7重量%、並びにHLBが11以上のショ糖脂肪酸エステル及び/または酵素分解レシチン0.1〜1.0重量%の割合で含有することを特徴とする請求項1記載のプロセスチーズまたはチーズフード。
【請求項3】
熟度指標が15%以下であるか、または熟度指標を15%以下に調整した原料チーズに、溶融塩0.1〜0.8重量%、ガム類0.1〜0.7重量%、並びにHLBが11以上のショ糖脂肪酸エステル及び/または酵素分解レシチン0.1〜1.0重量%を添加し、加熱乳化した後、急冷することを特徴とするプロセスチーズまたはチーズフードの製造方法。