説明

プロセス液体流に化学薬品を供給する方法及び装置

【課題】化学薬品をプロセス液体流に供給するための方法及び装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、化学薬品をプロセス液体流に供給するための方法及び装置に関するものである。本発明の方法及び装置の好ましい実施形態の目的は、保持化学薬品を、別の化学薬品又は例えば鉱物であってもよい添加物と共に、抄紙機に供給される紙懸濁液に供給することである。本発明の方法及び装置は、充填剤のような製紙用添加剤を保持化学薬品と共に、本質的に同時に紙パルプに供給することに特によく応用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス液体流(process liquid flow)に化学薬品を供給する方法及び装置に関する。本発明の方法及び装置の好ましい実施形態の用途は、別の化学薬品又は例えば鉱物であってもよい添加剤と共に、保持化学薬品(retension chemical/chemicals)を、抄紙機に供給される紙パルプ懸濁液流に供給することである。本発明の方法及び装置は、保持化学薬品と共に、充填剤などの製紙添加剤を紙パルプに本質的に同時に供給によく用いることができる。
【背景技術】
【0002】
先ず、製紙に用いる化学薬品及びそれらの特性を論じる。
【0003】
保持化学薬品は化学薬剤であり、その目的は、紙パルプ懸濁液により運ばれた種々の物質を、相互に又は特に紙パルプの繊維に結合させることであり、それによって、問題の物質が、製造される製品、所謂ウエブに留まるようにし、かつ紙ウエブが抄紙機のワイヤ部で脱水される時に、ウエブから洗い流されないようにすることである。保持化学薬品の作用原理は、紙パルプ中の粒子の特色である電荷に基づくものである。
【0004】
例えば、紙パルプ繊維の典型的電荷はマイナスであり、紙の製造に用いる添加剤又は充填剤の電荷もまたマイナスであると考えることができる。これらの添加剤/充填剤を製造される紙に留めようという努力をしたとしても、同一の電荷を持つ繊維が、これらの添加剤/充填剤をはじくので成功はおぼつかない。見方によっては、繊維が問題の物質を水相に押し込めるので、この物質は、極めて高い確率で、抄紙機のワイヤ部で濾過された白水に落ちつく。
【0005】
この状況は、プラスの比電荷をもち、かつそのために問題の繊維、及び添加剤/充填剤の両者に固着してこれらを相互に結合する、紙パルプ用保持化学薬品を供給することによりこの欠点を除くことができる。実施した試験は、保持化学薬品が、例えば繊維とより長時間接触するほど、その保持能力がより弱くなることを示した。これは、繊維の電荷が、常に保持化学薬品分子を引きつけ、それ故、時間と共に実際に、この全ての分子が繊維に留まり、保持化学薬品の内部電荷が繊維に或る程度まで放出され、この物質が無電荷の状態で残されるか、又は最悪の場合には繊維の電荷を取り込むという機能に基づくと考えられる。当然、添加剤/充填剤は、保持化学薬品とこれ以上接触しなくなるばかりでなく、紙パルプ懸濁液中でフリーとなる。
【0006】
文献では、保持化学薬品は、多くの場合、カチオン性又はアニオン性アクリルアミドコポリマーであると理解される。これらのコポリマーは、紙製造で微粉末の保持を効率よく改良することが判明した。しかし、保持能力を改良するために用いることができる多くの代替物質及び添加剤が存在する。数ある中で一例をあげれば、均等な異なる電荷をもつ2種の異なるポリマー又はコポリマーの組み合わせが順次用いられ、又は例えば、高質量のカチオンポリマーを、コロイダルシリカ、ベントナイト、又はミクロポリマーなどのアニオン性微粒子と組み合わせて用いることが最近導入され、又はポリエチレンオキシドにより種々のオプションが提供された。保持化学薬品の目的は、例えばウエブ内に充填剤を保持することに加えて、抄紙機の適切な整頓を維持してウエブのZ方向における均一な品質を提供すること、及び湿潤能力を保証することである。
【0007】
保持化学薬品は、製紙及び最終製品の品質に中心的役割を果たす。例えば、保持化学薬品の過剰投与は、最終製品に凝集粒子を生成し、これは製品の品質むらと認められる。したがって、この狙いは、上記の目標を達成するために保持化学薬品の必要量だけを投与し、過剰量使用しないことである。しかし、接着剤として用いられるASA(後で説明される)などの或る種の化学薬品は、比較的高い保持化学薬品投与量を必要とし、そのために、化学薬品と紙パルプの均一な混合が、当然、基本的に重要になる。繊維中に保持されないASAは、処理中に加水分解され、加水分解されたASAは、サイジングに有害であり、プロセスに凝集を引き起こす。ASAは、それを混合しながら、ヘッドボックス近くに、できる限り効率的に、プロセスに供給されなければならない。良好な保持を狙う場合、できる限りヘッドボックスに近い位置に、カチオン性澱粉を投与することが好都合である。カチオン性澱粉は、異なるタイプの吸着剤に不均一に吸着される。この澱粉は、充填剤及び微粉末などの大きい比表面積をもつ吸着剤に、繊維より強く吸着される。しかも、澱粉の影響は繊維と微粉末では異なる。澱粉の不均一な分布を避けるために、澱粉は、混合が良好に行われる位置に、できる限り稀釈して添加しなければならない。
【0008】
未だ解説されていない、保持化学薬品として用いられる他の物質は、例えば、ミョウバン、PAC、ポリエチレン及びポリアミンである。
【0009】
普遍的な、よく遭遇する保持化学薬品に関する問題は、加水分解であり、問題の化学薬品は、水と反応して、それぞれの化学薬品に特有の速度でその効果を失う。したがって、問題の保持化学薬品が、できる限り水に短時間接触するように、紙パルプに対する保持化学薬品の供給が最適に行われるならば、化学薬品のコストだけでもかなり節約できるであろう。
【0010】
保持は、機械的又は化学的保持のいずれかで起こり、この基本的考えは、添加化学薬品ができる限り効率的に繊維に吸着されるように、添加化学薬品の電荷を変えることである。電荷は処理が進行する間に変わり、電荷の変化は、既に形成された凝集物を溶解させる可能性があり、その結果化学薬品の効果を弱め、過剰投与を生む。したがって、問題の保持化学薬品が、できる限りヘッドボックスに近い位置に導入されるように、紙パルプに対する保持化学薬品の供給を最適に行うことができるならば、化学薬品のコストだけでもかなり節約できるであろう。
【0011】
製紙の論文で充填剤を論じる時、微細鉱物製品は、通常、そのサイズが多くの場合0.5〜5.0μmであることを意味している。最も重要な充填剤は、炭酸カルシウム及びカオリンである。二酸化チタンの粒子サイズはより小さく(例えば200〜300nm)、価格も例えば炭酸カルシウムに比較してきわめて高価であるが、時により、二酸化チタンが充填剤として分類される。また、時により、タルクも充填剤として用いられる。多くの充填剤は、粉末又はスラッジ形状で製紙工場にもたらされることが特徴である。
【0012】
次に、きわめてポピュラーになった充填剤、即ちPCC(沈降性炭酸カルシウム)は、製紙工場の現場で製造される。PPCは、ほとんど完全に、方解石結晶形の炭酸カルシウムからなる。出発材料は、多くの場合、焼成されてCaOになった石灰石である。製紙工場で、石灰に水が加えられ、石灰乳液Ca(OH)を製造し、その後、この石灰乳液に二酸化炭素COが気泡として添加される。製造するPPC粒子の結晶形は、製造時に異なる温度を用いて制御される。通常工場で製造されたPPCは、弱カチオン性コロイド電荷を有するが、乾燥されたPPCは、マイナス(アニオン性)電荷を有する。
【0013】
充填剤の目的は、特に、紙が高い白色度でなければならない状況で、紙の間隙を埋めることである。特に紙の高い不透明度及び精密な厚みが所望される時、ある種のPPCが用いられる。充填剤としてPPCの使用法は、その他の炭酸カルシウム製品の使用法ときわめて似ている。しかし、他の鉱物がアニオン性であるが、PPCが弱カチオン性である事実は、保持の観点では考慮されなければならない。しかし、十分に練られた保持システムは、この両タイプの炭酸カルシウム充填剤を取り扱う。PPC及びAKD(後で説明される)などの接着剤が用いられる幾つかの場合には、先ず紙パルプにPPCを加え、その後でAKDを加えることが推奨される。さらにまた、例えば、澱粉などのコロイド性材料でPPC粒子を被覆することができ、それにより、次に、AKDが澱粉に対してよく固着する。
【0014】
使用される他の充填剤は、例えば、二酸化チタン、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸ナトリウム、アルミニウム三水化物、水酸化マグネシウム、又はそれらの組み合わせである。
【0015】
接着剤、例えばASA(アルケニル無水コハク酸=アルシレン(alcylene)無水コハク酸)及びAKD(アルキルケテンダイマー)は、水が紙に吸収されないように設計された物質である。これらは、中性又はアルカリ性条件で紙を製造する時に、通常用いられる。ASAを用いる主要な狙いは、ASA使用の主要な狙いは、水との間で起きる反応(加水分解)を防ぐこと、ASAを紙パルプに均一に分布及び混合すること、及び製造される製品に効率的に保持させることである。この加水分解は、できる限り遅くASAエマルジョンを調製し、その後エマルジョンを紙パルプと混合することにより防がれる。エマルジョンの調製に用いるカチオン性澱粉溶液のpHは、例えばミョウバンにより低下する。澱粉溶液の目的は、ASAが即座に水と接触しないように、ASA滴を被覆することである。先行技術は、ショートサーキュレーションのボルテックスクリーナーの後の位置、換言すれば脱ガス及びヘッドボックス供給ポンプより前の領域にASAエマルジョンを添加することを示唆している。ASA滴の周囲にカチオン性澱粉を被覆することは、繊維に対する接着剤の固着に或る程度役立つが、製造されたウエブに接着剤を迅速に保持させるための効率的な保持システムが、なお求められている。接着剤は、とにもかくにも、微粉末及び充填剤に結合する必要があり、かつ接着剤がウエブに保持されない場合には、接着剤は水循環に取り込まれて加水分解されるので、接着剤の迅速な保持が重要である。次に、加水分解されたASAは、凝集物、操業の問題、及びサイジングの質の低下を引き起こす恐れがある。
【0016】
別の既知の接着剤は、アルカリ性であり、脂肪酸から合成して製造されたAKDである。最も普通の形態は、ワックス様の固体物質であり、安定剤を含有する溶液中に小粒子として分散されている。安定剤は、カチオン性澱粉又は任意の他のカチオン性高分子電解質でもよい。AKDは、ASAより反応性に乏しい。AKDを用いる時、製造された紙は疎水性であり、そのため、典型的な最終製品は、とりわけ、種々の液体容器及びインクジェット用紙である。紙に長時間の耐水性が必要な状況では、AKDの使用が特に推奨できる。
【0017】
AKDは、ミルキーなエマルジョンとして工場に運ばれ、その使用はきわめて容易である。AKDの反応性は、ASAより弱いので、その用途は柔軟性がある。多くの製紙業者は、高濃度パルプに、換言すれば、ヘッドボックスに適した濃度にパルプを稀釈する前にAKDを添加する。このようにしてAKDは、繊維の表面にもたらされる。一方、ヘッドボックスに適した濃度のパルプにAKDが投与されるならば、AKDのほとんどが微粉末に固着すると仮定しても差し支えないであろう。若しPCCが存在するならば、PCCが接着剤の効果を低下させる恐れがあり、また例えば貯蔵中に時間と共に接着作用を低下させる恐れがある。
【0018】
また、製紙業者は、微粒子についても述べている。これらの微粒子は、例えば、シリカ、ベントナイト、及び同様な目的に使用されるある種の有機化合物である。現在市場で入手可能な全ての微粒子は、マイナスのコロイド状電荷をもち、その比表面積はきわめて大きい。微粒子は、繊維ウエブの脱水特性を改良するために用いられる。通常、この微粒子は、保持化学薬品として用いたカチオン性ポリアクリルアミド又はカチオン性澱粉の後で、紙パルプに添加される。換言すれば、先ず、ポリアクリルアミド又は澱粉が繊維を凝集させ、その後で微粒子が紙パルプに添加される。通常は、この添加は、マシンスクリーンの後のヘッドボックス供給管路(duct)に行われる。全システムがカチオン性添加剤で僅かにカチオン性に保たれ、その後微粒子が添加される時に、最良の結果が得られることが判明した。若し、紙パルプが著しくアニオン性であるならば、紙パルプは、ミョウバン、ポリ塩化アルミニウム、ポリアミン、又はポリエチレンイミンで処理されなければならない。
【0019】
更に、場合により、きわめて多くの様々な化学薬品、消泡剤、蛍光増白剤、染料及び不透明顔料などが製紙機に用いられ、最終製品の特性に影響を与えること、及び/又は他の化学薬品の効果を改良すること、及び/又はプロセスの問題を回避することを狙いとしている。これらの例は、メカニカルパルプ中の不純物を固めるために用いられる。新規な顔料及びそれらの組み合わせは、紙の白色度、繊維の節約及び紙構造などに影響を与える。
【0020】
現在、製紙で見出され、かつ化学薬品及びその他の添加物の混合で特に見出される問題を調査する時、保持化学薬品が製紙に関する全ての添加剤の問題で中心的役割を果たしているので、保持化学薬品から始めることが最良である。保持化学薬品に関する知られた最悪の問題は、現在に至るまで、十分に均一かつ迅速な方法で紙パルプに保持化学薬品を混合することができなかったという事実であった。保持化学薬品を過剰投与すること、及び紙パルプに保持化学薬品を何回も混合させることにより、ヘッドボックスに流れる紙パルプ流の全容積に保持化学薬品を適切に投与することを保証するという代替手段を、選択せざるを得なかったことは至極当然である。換言すれば、ヘッドボックスの供給パイプライン中で十分に長い流動時間(=混合時間)を保証するために、多くの場合、保持化学薬品は、ヘッドボックスの供給ポンプで、マシンスクリーンで又はマシンスクリーン直後でパルプと混合される。しかし、このことは、一方で、保持化学薬品が、例えば電荷の平均化、及び上述の化学現象に関する理由でその効果の一部を失い、他方で、過剰投与が原因で、時折、最終製品の品質に関する苦情が出るという結果を招いた。しかし、保持化学薬品の効果を低下させる、混合の平均化を実施する長混合時間及び混合距離が、或る程度まで化学薬品の過剰投与を補償し、それにより欠点が緩和されると言われるに違いない。しかし、保持化学薬品の大部分がウエブに保持されず、加水分解されて、ショートサーキュレーションのワイヤ部の濾液に取り込まれて、そこで例えば沈殿するかもしれないと言う恐れがある。混合装置の最小混合距離について論じる時、この距離は、化学薬品又は相当する物質がパルプに対して本質的に均一に混合されるために必要な距離をいう。効率的な混合装置については、それは1.5〜2秒のオーダーであり、その時間で、相当する距離に沿って、化学薬品がパルプに対して均一に混合される。
【0021】
更に、添加剤の供給法については上に説明したが、添加剤の供給に比較すると、きわめて早い段階で紙パルプに保持化学薬品を供給することは有害であると判明した。多くの場合に、我々が実施した試験は、保持化学薬品が先ず添加剤と混合され、かつ本質的に同時に紙パルプに拡散して、実際に全ての混合が1秒で又はより短時間で起きるように、紙パルプに対し同時に保持化学薬品及び添加剤を供給することが最良の供給方法であることを示した。
【0022】
紙用添加剤として用いられる化学薬品は、きわめて小容量で投与されることが通常である。大容量に対して小容量を均一に供給することは、供給の瞬間に、できる限り効率的混合が保証されない限り、うまく行かない。混合が不十分であれば、化学薬品は、小部分のパルプ懸濁液だけと接触して、大部分のパルプ懸濁液は化学薬品を含まず、これが、最終製品の特性に、ばらつきとして現れる。
【0023】
紙パルプに対し、上記の保持化学薬品及び特に添加剤の両者を供給することに関する、幾つかの異なる先行技術の方法及び装置が知られている。従来の用紙製造法に従えば、種々の紙パルプ繊維、及び紙製造に必要な添加剤、充填剤、接着剤などが、所謂ショートサーキュレーションの混合タンクにもたらされる。また、保持化学薬品の一部は、従来、混合タンクに導入されていた。混合タンク内では、その名が示すように、多様な繊維及び種々の添加剤の両者が均一に混合されるように紙パルプが効率的に混合され、それらから形成される懸濁液の濃度が所望の水準に調整される。紙パルプは、ヘッドボックス供給ポンプによって、混合タンクから、多くの場合にボルテックス洗浄装置、ガス分離装置、及びヘッドボックススクリーン又は所謂マシンスクリーンを経てヘッドボックスに向けて、ポンプ給送される。当の供給ポンプ及びヘッドボックススクリーンは、パルプを更に混合し、換言すれば、これらの装置は紙パルプをできる限り均一に維持する。多くの場合、保持化学薬品は、抄紙機のワイヤ部で紙パルプ用のある種の添加剤、充填剤、又は接着剤が保持されることを確実にするために、ヘッドボックススクリーンの後で紙パルプに供給される。
【0024】
先行技術のショートサーキュレーション法では、きわめて弱い添加剤保持が問題であると判明した。実施した試験では、添加剤保持(所謂、初回通過保持)は、従来法の配置で5%のオーダーであると判明した。換言すれば、紙パルプ中の添加剤の僅か5%が、製造されたウエブに留まったが、一方で、残部は白水及びプレス部の濾液に取り込まれた。しかし、これらの濾液は、紙パルプ製造にリサイクルされ、それにより保持されなかった添加剤が製紙機に取り込まれることができるが、これらの添加剤が、幾つかの別の関連で、廃棄物に落ち着くことも十分に考えられる。従来法では、添加剤は、白水及びその他の使用できる濾液がもたらされる混合タンクに添加され、そこから紙パルプが、ボルテックス洗浄装置、及びヘッドボックススクリーンを経て抄紙機のヘッドボックスにポンプ給送される。換言すれば、ボルテックス洗浄装置、及びヘッドボックススクリーンの両装置は、常に一部の添加剤を含有する紙パルプの一部を排除する。また、添加剤は、様々な反応性を示すことがあり、したがって、添加剤は、例えば加水分解されて、プロセスのある点で沈殿する可能性がある。これが、添加剤のロスにつながり、かつ汚染及び沈殿物の分離を時々引き起こすのでこの方法に問題をもたらす。
【0025】
保持化学薬品及び添加剤の両者を紙パルプに均一に混合しようとする時、パルプ産業界の漂白薬品の混合で特に効率的であると証明された装置を用いることができる。換言すれば、米国特許第5,279,709号に記載されたタイプの機械式回転ミキサーが、ヘッドボックスの供給パイプラインに、好ましくはマシンスクリーンとヘッドボックスの間に配置することができる。しかし、この装置の使用には少しばかり欠点がある。先ず、効率的かつ均一な混合を確保するために、一般的に、機械式ミキサーはきわめて強いせん断力の場を創り出し、これがある種の保持化学薬品のポリマー鎖などの弱い化学部位を切断する。若し混合される化学薬品がせん断力に非感受性であるならば、勿論のこと、この問題は起きない。更に、機械式ミキサーは別の弱点も持つ。例えば、これらは、高価格かつ高操作コストを要する。その訳は、ヘッドボックス供給パイプの直径全体にわたり化学薬品を均一に混合できるミキサーは、大型であり、かつ混合操作を行う間巨大なエネルギーを消費するからである。更に、パイプラインへの機械式ミキサーの設置、独自の架台に駆動モーターの設置、及び必要な電気接続の構成は、大規模な作業及び経費を必要とする。例えば、現存の抄紙機に設置することは、ミキサー及びその駆動モーターのための架台を工場の床に作らねばならない。更に、ミキサーのフランジを縮小又は拡張する必要がないならば、ヘッドボックス供給管路を切断し、フランジを管路の残存端部に溶接できるように、その一片を切り落とす必要がある。これは更に作業を煩雑にするであろう。その後で、ミキサーがこれらのフランジの間に設置される。
【0026】
ある種の用途に対して提案されたコンター構成要素(Contoured member)の採用に基づいたミキサーの使用は、同様にヘッドボックスに導かれる流体管路から一片を切り落とし、かつ一片のパイプを含むコンター構成要素がその位置に設置されるという複雑な設置作業を必要とする。コンター構成要素の目的は、ヘッドボックスへ流動する紙パルプに乱流を創り出すことである。問題の装置は、紙パルプ供給管路の一部を置換したパイプを含み、そのパイプの内部には、多くのコンター構成要素、所謂乱流要素が配置されている。保持化学薬品は、前記要素に関連して供給され、したがってコンター構成要素により流体内に創り出された乱流が、化学薬品を紙パルプに均一に混合することを前提としている。この装置が、特に2成分系保持化学薬品を紙パルプ流に供給するときに用いられることが開示されている。また、この装置は、別の化学薬品及び添加剤を紙パルプに供給するときにも用いることができる。ある場合には、コンター構成要素は幾つかの供給開口部をもち、その全てが同一物質/化学薬品を供給するために、又は一部の開口部は別の物質/化学薬品を供給するために用いることができる。
【0027】
別の先行技術の装置は分子鎖をひどく破壊をしたが、問題の装置は、例えばポリマー型保持化学薬品の弱い分子鎖を破壊しないような、きわめて穏やかな混合を行うことが説明される。とりわけ、優しい性質の化学薬品の供給は、紙パルプ流に対してこの化学薬品を実際に噴霧するのではなく、一般に供給流が可能であるプロセス圧力よりかなり高い圧力で、化学薬品を紙パルプ流体管路に流動させることにより保証される。しかし、我々の理解に従えば、コンター構成要素により創り出された乱流が、多くの場合弱すぎて、紙パルプ流に対して化学薬品を均一に混合できないことが実施して判った。これは、とりわけ、抄紙機で製造された紙ウエブで明らかにされたもので、このウエブの品質に特に説明できない変動が見つかった。その根拠は、例えば、感知可能な方法で、ヘッドボックス供給管路内に、十分に長い乱流要素を含む管路部を設けることができないことであるかもしれない。更なる問題は、乱流要素により引き起こされ、ヘッドボックス供給ポンプの所要電力を変化させる流動抵抗、及び多分、この要素により引き起こされ、ヘッドボックスに反映される可能性がある局所的圧力変動であるかもしれない。
【0028】
総合的節約の観点で、最良の保持化学薬品混合装置は、例えば米国特許第6,659,636号B1に開示され、その設置は、流体管路の壁にかなり小さい孔を空けることを必要とするだけである。問題の装置は、動く混合要素を含まないので、駆動モーターのための個別の架台を必要とせず、この装置は、流体管路の支持材に直接設置できる。流動を制御するための追加の装置として、バルブが全ての化学薬品用ミキサーにそのタイプに関係なく当然必要である。問題の装置の操作は、供給液体を用いて、流体管路の周辺に配置された1つ又は数個のノズルを経て、保持化学薬品を紙パルプ流体管路に噴霧することに基づいており、これにより高速の供給流が、保持化学薬品を、管路を流れる紙パルプ容積全体に扇状噴霧として展開する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明の目的は、例えば、下記の課題を解決することである:
−早過ぎる時期の混合が原因となる多様な化学薬品の加水分解、
−早過ぎる時期の混合が原因となる保持化学薬品の電気特性の変化、
−高い投資コスト
・各化学薬品のための固有のミキサー
・ショートサーキュレーションの様々な位置に対する各ミキサー
・大型装置
・高出力電動モーター
−高出力電動モーターで起きる高い操業コスト
−高い設置コスト
・架台の構成
・ヘッドボックス供給管路
・ミキサーの駆動モーターのために必要な電気設備。
【課題を解決するための手段】
【0030】
とりわけ、前記欠点を解決するために、下記の方法及び装置が開発され、それら特徴は、添付した特許請求の範囲に開示される。
【0031】
我々が実施した試験は、若し混合手段が適切な順序で行われるならば、製紙産業の化学薬品及び/又は添加剤の混合は成功する、それ故、必要に応じて、中間の混合結果が、均一な紙パルプ及び化学薬品の混合物であるか、又は少なくとも最終結果が均一混合物となりヘッドボックスに導かれることを示した。
【0032】
例えば、上に述べたような操作原理、及び米国特許第6,659,636号B1に述べたような操作原理をもつ装置を使用することより、前記のものとは若干異なる目的のために新規な方法で、製紙産業の化学薬品及び添加物の混合において、最適の状態に到達することができ、化学薬品の使用量は著しく減量され、同時に最終製品の品質も改良されるか、または少なくとも所望の水準に容易に留まることが注目された。
【0033】
更に、実施した試験で注目されたことは、問題の装置の特徴である供給液体ジェットが、先ずジェットにより供給された化学薬品及び/又は添加剤を既に噴霧段階で互いに均一に混合する、それ故二種のほとんど同時の混合が起きると言っても差し支えないことである。最初に、ジェットにより供給された化学薬品及び/又は添加剤が、相互に、及び供給液体により運ばれた固体及び/又は化学薬品と多分混合される。二番目に、問題の混合と同時に、供給液体ジェットが、供給された材料を、均等にヘッドボックスに流れる紙パルプに対して広げる。これを確実にするために、必要に応じて、数個の供給装置が、紙パルプ流体管路の周辺に設けられた。このようにして、例えば、保持化学薬品及び充填剤を供給することができ、同一の供給装置を用いて紙パルプに好都合に供給された。また、対応する方法で、接着剤及び澱粉/ポリマーが、同一の供給装置により導入することができ、保持化学薬品が別の供給装置により少し遅れて導入することができ、実際に、紙パルプ流動方向におけるこの距離は、約2mを超える必要がない。
【0034】
本発明の方法及び装置は、数ある中で例えば、以下の利点をもたらす:
−紙パルプに対する添加剤の効率的かつ均一な混合、
−添加剤及び保持化学薬品の相互迅速混合、
−本質的に改良された添加剤保持、
−投資、装置及び操作コストの低減、及び
−低化学薬品コスト、
以上は、幾つかの利点を述べたに過ぎない。
【0035】
このように、本発明の方法及び装置は、全てのプロセスに応用することができ、種々の化学薬品が導入されるはずである。この方法の有利な例として、数ある中で、製紙工場の繊維懸濁法、種々のスラッジの濃厚化法、繊維リサイクル法、及び繊維漂白法に言及することができ、かつ一般的には、必要に応じて、化学薬品を濾液、繊維懸濁液、スラッジ及び相当する媒体に添加する方法について言及することができる。
【0036】
以下に、本発明に従う方法及び装置について、添付の図面を参考にしてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】従来技術のショートサーキュレーションの配置を示した説明図である。
【0038】
【図2a】従来技術の供給装置を示した説明図である。
【図2b】従来技術の供給装置を示した説明図である。
【図2c】従来技術の供給装置を示した説明図である。
【0039】
【図3】本発明の好ましい実施形態に従ったショートサーキュレーションの配置を示した説明図である。
【0040】
【図4】本発明の好ましい実施形態に従った供給装置を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1に従えば、通常、ワイヤ部22により図示される抄紙機に供給される紙パルプが、ワイヤピット20で抄紙機22からの白水で使用可能な濃度に稀釈されるように、従来技術のショートサーキュレーション法の装置が作動し、一方で個別の混合タンクも用いられる。所望により、その他の適切な液体、例えば白水濾過器からの濾液も稀釈のために使用できる。このように、製造される紙が含有することを望む、種々の繊維含有部分14、及び高価な繊維を節約し、紙に例えば白色度/不透明度、光沢、耐湿性などの所望の特性を与えるために用いる種々の添加剤及び充填剤16の両者が、ワイヤピット20にもたらされる。これらの全て、及び多分少なくとも一部の保持化学薬品18が、この目的に適したミキサーを用いてワイヤピットで混合されて、均一な懸濁液を形成する。ワイヤピット20から、繊維懸濁液がポンプ24により取り出される。ポンプは更に懸濁液を攪拌し、ボルテックス洗浄装置に、更にガス分離タンク28に送る。ガスを含まない繊維懸濁液が、ヘッドボックス供給ポンプ30によりポンプ給送される。また、このポンプは懸濁液を攪拌し、ヘッドボックススクリーン32、所謂抄紙機に送る。このヘッドボックススクリーンは、スクリーニング以外に紙パルプを混合するためにも用いられる。このスクリーンの後で単一種の保持化学薬品が加えられる。または、2成分系保持化学薬品が使用される場合、第二成分が、供給装置34により、繊維懸濁液に添加される。その後で懸濁液が、抄紙機22のヘッドボックス36に到達する。既知の装置では、保持化学薬品は、ショートサーキュレーションのワイヤピットとヘッドボックスの間の種々の位置に供給される。
【0042】
図2aは、既に上で説明した米国特許第6,659,636号に記載された、それ自体知られた装置解決策を説明する。この図に従った供給装置34は、実際にノズルであり、ケーシング50(本図面では円錐形として説明)、ケーシング内に配置され、かつ必須ではないが、好ましくはケーシングの対向する端部に配置されたフランジ52及び54、及び保持化学薬品のための導管56を含んでいる。供給装置34は、フランジ52によって供給液体管路、及びフランジ54によって流体管路に連結されており、紙パルプを抄紙機のヘッドボックスに運ぶ。図に従った装置では、供給装置34のケーシング50は、フランジ52から装置内部のフランジ54に向かって集束している。この集束は、構造の観点又は装置の操作の観点でも、必ずしも絶対に必要ではない。供給装置には、開口部58がある。ケーシング50を円錐形状にする目的、又は導入される液体の供給圧力の調節を含むその他の対応する手段は、供給装置34から繊維懸濁液流に放出されるジェット速度が繊維懸濁流の速度の少なくとも3倍、しかも好ましくは約5倍になるように、供給装置34内の媒体流を加速することである。この種の速度差は、開口部58から放出された液体ジェットが、十分に早くかつ十分に深く繊維懸濁液流に浸透し、かつ以前に使用した装置に比べて本質的により均一に繊維懸濁液と混合される。図2aに従う実施形態において、供給装置34に対する保持化学薬品供給導管56は、接線方向であることが好ましい。それにより、供給装置34の開口部58を通って繊維懸濁液流に放出される保持化学薬品が少なくとも開口部58の周辺全体に均一に分配されることを確実にする。同時に、接線方向の供給は、保持化学薬品ができる限り小さいせん断力の下に供給液体に混合され、化学薬品のポリマー鎖を分解から護ることを確実にする。
【0043】
図2bは、既に上で述べた米国特許第6,659,636号から部分的に知られた別の装置の実施形態を説明する。先ず、図の供給装置34において、前記特許の解決法とは異なり、供給液体導入口フランジ52’は側面に配置され、かつ例えば保持化学薬品であるかもしれない化学薬品のための供給連結管62は、供給開口部58の上方に直接配置される。更に、この図において、化学薬品供給連結管62は、供給開口部58に接近した供給装置34内部に、管路64として伸びていることが図示され、これにより、所望するならば、保持化学薬品が、混合前にそれ自身、他の化学薬品と接触しないことを保証する。
【0044】
図2cは、実際に2個の追加の実施形態をもつ、図2aに従った供給装置34を説明する。先ず、供給装置34内部に、中央に配置された中空構成要素80があり、その中に保持化学薬品が導管56を経て供給される。この実施形態において、構成要素80は、2個の回転対称形のシェル82及び84を含み、かつ円錐形として本図で説明された、できれば一つの端壁86を含む。更に、繊維懸濁液流体管路側の構成要素80の端部に、好ましくは環状開口部88が設けられており、この開口部を経て保持化学薬品が繊維懸濁液中に放出される。保持化学薬品導管56は、供給装置34のケーシング50の壁を突き抜けて、更にケーシング50と構成要素80の間の環状区域90を経て、外壁84を通って構成要素80内に至り、同時に好ましくはその場で構成要素80に届く。構成要素80の輪郭を決める内部シェル82は、円筒形であり、かつ管路92を形成するか又は管路92を含み、2個の異なる構造であってもよい。図の説明に反して、内部シェル82が、構成要素80の端壁86の水準で終わってもよく、これにより、内部シェル82の上端が開放されているので、フランジ52に固定された供給管路から流れる供給液体の一部が繊維懸濁液に放出される。この実施形態において、構成要素80に接線方向に誘導される保持化学薬品流は、その環状開口部88に向かってスパイラル流に変わり、これにより、保持化学薬品が、環状開口部58を経て本実施例の開口部88の外側から、及び管路92を経て開口部88の内側から放出される供給液体と共に、扇形ジェットとして繊維懸濁液に放出される。構成要素80の追加の目的は、混合装置の断面流動面積を更に絞り、保持化学薬品流と繊維懸濁液流の間に十分な速度差を保証することである。構成要素80の第二の目的は、保持化学薬品が繊維懸濁液流に供給されると同時に、保持化学薬品と供給液体の混合を本質的に起こすことを可能にすることである。この図は、保持化学薬品が開口部88を通って繊維懸濁液流体管路中に放出される前に、保持化学薬品が稀釈液体と必ずしも接触する必要がないことを明確に示す。
【0045】
図2cで説明される別の実施形態では、構成要素80の内部パイプ92は、それ自身の流路94を介してプロセスに接続され、ケーシング50の壁を形成する装置34の外部パイプは、それ自身の流路96を介してプロセスに接続される。両流路94及び96には、流量調節装置98及び100が設けてあり、それらは、好ましくは、バルブであり、図2a及び2bで示さなかったが、当然のことながら、前出の全ての実施形態で液体連結の役割を果たしている。流動パイプ96は、既に述べたように機能し、しかも、例えば、清浄水、製紙工場からの循環水、白水、透明濾液、又はある種のこの目的に適する他の不透明液体、抄紙機のヘッドボックスに供給される繊維懸濁液であっても、構成要素80の内部パイプ92に導入することができる。換言すれば、問題のこの流路は、所謂混合液体を装置に供給するために用いられる。この液体は、供給される化学薬品に対して本質的に放出され、それと同時に、化学薬品が供給液体及び更にはパルプ流に放出される。前記の混合液体を用いて、化学薬品を稀釈することが望ましいならば、混合液体で化学薬品を稀釈するために若干の時間を要するように、開口部58から少し距離をおいて離れた端部に内部パイプ92を配置することも、勿論可能である。
【0046】
更に、特に保持化学薬品が数種の成分を含有する場合、所望により、流路94を介して保持化学薬品成分を導入することができる。一例として、保持化学薬品が長鎖、及び短鎖化学薬品から形成される場合、短鎖の保持化学薬品が該当するかもしれない。この場合、長鎖化学薬品が、図2a及び2bで前に説明した導管56を通って構成要素80に接線方向に供給される。
【0047】
フィンランド特許出願番号2003051号は、更なる先行技術の供給装置を説明するが、この装置は、図2cで既に説明した供給装置の基本構造に大幅に基づいている。この特許では、異なる液体のための流路が、若干異なる方法で設計されており、かつ特に内部管路の供給端の構造が立案されている。この場合、稀釈液供給管路(図2cで管路92及びその供給端に相当する)は、以前に開示されたものと明らかに異なっている。この管路の供給端は実際に閉じられているが、しかし管路側面に多くのノズル開口部が設けられていて、この開口部を通して、管路から導入される稀釈液体が、管路の外側を高速度で流れる供給液体に対して、全方向に均等に放出可能である。ノズル開口部を使用する基本的考え方は、供給管路(図2cの構成要素80に相当する)又は前記供給管路の外界(図2cの管路92に相当する)から来る化学物質を、化学物質供給管路を囲む管路から来る供給液体に対して、効率的に噴霧し、混合することである。その直後に供給液体及びそれに添加された物質が、紙パルプ、又は流体管路を流れる相当物質に、順次、効率的にかつ円滑に混合される。
【0048】
フィンランド特許出願番号20031468号は、以前の実施形態に示された装置とは異なる、先行技術の供給器を更に開示している。その中で、紙パルプ供給管路に面する、図2cの構成要素80に相当する、供給装置の流体管路の端面に、小容量で供給される化学薬品が中央管路を経て導入される区域が、配置されている。このようにして、化学薬品が、最内管路を経て、かつ稀釈液体が、隣接して配置された管路を経て、周辺に向かう方向に導入される。問題の区域は、外部から稀釈液体をもたらす管路により輪郭が示され、それで問題の管路は実際に閉ざされている。化学薬品をもたらす最内管路は、稀釈液体管路の閉ざされた端部の近くに伸びている。化学薬品は、稀釈液体の端部に対して加圧下で管路から流出すると同時に、希釈液体が導入される区域に均一に広がる。このようにして、化学薬品は、稀釈液体に分配され、その後に、作成された混合物が、稀釈液体管路の側面に設けられた開口部を経て、好ましくは高速度で外側を流れる供給液体に放出される。また、当然、この実施形態では、上記の供給装置の全ての管路は、それぞれの流体が他の流体からそれぞれ独立して調節できるように、調節バルブを設けている。
【0049】
図3は、本発明ができる限り効率的に利用することを試みる、処理装置を例示している。図3では、繊維成分14だけが、混合タンク/ワイヤピット20に供給され、製紙用添加剤は、ヘッドボックススクリーン32の後の装置34により供給される。その他の点では、図3は図1に対応している。しかし、装置34がきわめて広範囲に解釈されなければならないことが指摘される。また、それは、周辺及び管路の長手方向の両方で、互いに離れて配置された幾つかの装置を意味する。しかし、最も重要なことは、添加剤38〜42の内の重要な成分、好ましくは全ての成分が、ヘッドボックススクリーンの後で紙パルプに導入されることである。次に、全ての添加された物質が迅速に抄紙機のワイヤ上に落ち着くので、供給された固体は、例えばボルテックス洗浄装置又はヘッドボックススクリーンのいずれかに排出される機会をもたない。このように、その成果は、調整に迅速に応答できて、紙の灰分管理が本質的に改良されることである。
【0050】
以下に、問題のタイプの化学薬品の混合を成功させる装置を説明する。その成果は、化学薬品と紙パルプの均一混合であり、かつ化学薬品が、相互に反応するか、又は場合により水と有害な反応をする機会がないようにすることである。
【0051】
本質的に、本発明の方法を応用する装置の多くは、以前に既に述べた米国特許第6,659,636号の供給装置、及び前記図面2a、2b及び2cに説明した供給装置の改良である。本発明の方法を用いた簡単な供給装置は、図2aに示した供給器に多いに似ている。しかし、前者は、或る程度、後者とは異なる。それは、本発明の方法を用いる好ましい供給装置は、保持化学薬品を供給する連結管に加えて、添加剤、化学薬品、又は相当する物質のための別の供給管を備えており、それを経て前記添加剤が供給器にもたらされる点である。本発明の好ましい実施形態に従う方法では、所謂充填剤が、前記連結管を経て導入される。これらの充填剤は、二酸化チタン、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、PCC、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸ナトリウム、アルミニウム三水化物、水酸化マグネシウム、又はそれらの組み合わせであってもよい。本発明の別の好ましい実施形態に従えば、ASA接着剤、AKD接着剤、又は相当する物質が、前記連結管を経て供給される。充填剤又は接着剤に加えて、本発明の方法は、例えば微粒子成分及びポリマー成分からなる保持化学薬品などの、紙パルプ用の2成分又は多成分化学薬品を供給するために用いることができる。微粒子は、例えばコロィダルシリコン又はベントナイトである。上記の全ての物質は、以下に、一般に添加剤と呼ぶ。
【0052】
供給連結管は、供給器のケーシング内の適切な位置に配置することができ、好ましくは、この装置内の以前に記載した保持化学薬品供給管路に比較して、同一方向又は反対方向のいずれかで、ケーシングとの関係で接線方向に配置することができる。一方、また、この供給連結管は、供給装置に供給液体を運ぶ管路に連結して、供給装置に接近して配置されてもよい。供給装置からの最大距離は、勿論のこと、問題の連結管を経て導入される化学薬品、及び用いる供給液体に依存する。換言すれば、若し、紙パルプと実際に混合される前に、化学薬品及び液体が互に接触しないようにすることを望むならば、化学薬品は供給液体にできるだけ遅く導入されなければならない。しかし、実際に、前記連結管を供給装置のケーシング内に配置することが最も簡単であり、これによって、供給装置に至る供給液体ラインは、全くT型連結を必要としない。
【0053】
図2aの供給装置34を用いる時、上方から装置に来る供給液体は、ヘッドボックスに繋がる流体管路から枝パイプを経てもたらされる紙パルプ、この目的に適した白水又は濾液、又は清浄水であってもよい。問題の供給装置において、保持化学薬品は、第一の連結管を経て供給液体に供給され、上記の添加剤は、別の連結管を経て供給される。それ故、実際に、供給液体のジェットが流体管路内を流れる紙パルプに浸透する直前に、この保持化学薬品及び添加剤が、供給装置内で初めて互いに接触することができる。この実際の混合は、保持化学薬品及び前記添加剤を供給液体と共に流体管路に噴霧する時まで、起きることはない。
【0054】
以下の簡単な表は、製紙工場で実施した試運転の結果を説明する。試験では、充填剤を供給する従来法と、上記の本発明に従った供給方法を比較した。
【0055】
【表1】

【0056】
試験1及び2は、充填剤が、すでにワイヤピット又はヘッドボックス供給ポンプで紙パルプに供給されている従来法に関する。一方、試験3及び4は、本発明に従った方法に関係するもので、保持化学薬品が、マシンスクリーン後のヘッドボックスに接近した強力な供給液体ジェットにより紙パルプに混合されると実質的に同時に、充填剤が紙パルプに導入される。
【0057】
この表が示唆することは、本発明の方法により20g/トンの二酸化チタンが供給される時、換言すれば、5g即ち従来法より20%少ない時、不透明度の読みが、より多い充填剤を用いた従来法に比較して、実際に高い値を示したということである。また、この試験で得られた不透明度の読みから、本発明の方法を用いて試験1及び2の値と同一の平均不透明度の値を与える充填剤供給量を計算することが可能になる。この計算値は、15g/トンの投与が適切であることを示唆し、この投与量は、実際に、本発明の方法を用いた時、従来法と比較して、40%少ない充填剤供給量に相当する。
【0058】
次に、二酸化チタン、即ち不透明顔料の場合、本発明の方法が、添加剤量を節約する根拠は何か。その説明は、充填剤が、混合タンク又は相当する構成要素で紙パルプに早く投与された時、及び保持化学薬品が、同時に同一混合タンクに又はヘッドボックススクリーン付近の別の代替装置のいずれかで、パルプに早く投与された時、いずれの場合も、保持化学薬品が、主に繊維と接触して、それにより保持化学薬品の多くが、繊維を相互結合させるために消費された結果、少量の化学薬品が、充填剤に対してフリーで残されたことに起因すると考えられる。保持化学薬品及び充填剤が、一つの乱流ジェットで紙パルプに供給される時、保持化学薬品分子及び充填剤粒子が、相互接触する良い機会をもつ。次いで、充填剤粒子の大部分が、保持化学薬品に固着され、これが順次繊維に固着し、これにより充填剤の保持が全体として本質的に改良される。
【0059】
先行技術に比較して本発明の方法及び装置の優れた特性を示す別の実施例は、ASA接着剤が、従来方法及び本発明に従う方法で紙パルプに供給された試験である。従来法が用いられた時、ASA接着剤の約5%が抄紙機のワイヤ部で保持されたが、本発明の方法を用いる時には、約35%が保持された。この現象の説明は多分上と同じである。
【0060】
図2bに示された供給器を用いる時、第二の化学薬品を供給する連結管は、図2aの供給装置に配置されてもよい。換言すれば、第二の化学薬品の供給連結管は、供給装置の側面に配置され、この連結管を経て、上記の添加剤又はそれらの組み合わせが、供給装置に供給できる。また、勿論のこと、この改良では、化学薬品がそれを許すならば、化学薬品用の第二の連結管を、フランジに取り付けられた供給管路の側面に設けることができ、供給液体を供給装置にもたらす。
【0061】
本発明の方法を用いるための出発点として、図2cで例示した構造的代替物を用いる時、追加の化学薬品を導入する可能性が増加する。次に、また、供給器のケーシングの外側壁に、先の実施形態に見られたように、添加剤、接着剤、又は製紙で用いられる任意の他の化学薬品であってもよい追加の化学薬品のための連結管を配置することができ、この追加の化学薬品は、ヘッドボックス直前で供給液体に供給できる。相当する方法では、問題の化学薬品は、供給装置の上部フランジ前で、すでに供給液体に供給できる。
【0062】
追加の化学薬品を導入する別の代替手段は、供給装置の内部構成要素の内側に別の化学薬品のための別の供給連結管を配置することであり、それにより、2種の異なる化学薬品が、構成要素内側に同時にもたらされる。若し、化学薬品間の接触がそれらの反応を乱さないならば、これが可能になる。この方法は、例えば、ASA接着剤と澱粉、又はASA接着剤とポリマー溶液の供給にきわめてよく適用できる。これらを供給する時、ASAが供給器に到着する直前に、澱粉又はポリマー溶液がASAに供給されることが考えられる。別の可能性がある方法は、例えば、内部構成要素を軸平面で2分割することであり、これにより、2種の異なる化学薬品を、構成要素を経て、互いに関係なく供給することができる。
【0063】
第二の化学薬品を供給する第三の可能性がある方法は、図2cに例示された中央及び最内管路を経て、第二の化学薬品を、単一の化学薬品又は混合化学薬品として、適切な供給/稀釈液体又は相当する媒体に導入することである。
【0064】
本発明に従った好ましい方法は、上記の米国特許に記載の単純な供給器を適用した図4に例示される。図4に例示された供給装置は、原理的に、図2bに従った供給装置34(図2aに従ったものでも構わないが)、及びその上流で、抄紙機ヘッドボックスに繋がる流体管路70の壁内に配置された供給連結管68から構成される。換言すれば、第二の化学薬品は、それが流体管路70の壁に対して流体区域を殆どとることができないような小さい圧力差で、供給連結管68を経て流体管路70に供給される。次に、化学薬品が、流体管路70の壁に沿って流れる。そこでは、供給装置34が、第二の化学薬品の供給連結管から遠くない所に設けられ、この供給装置を経て第二の化学薬品及び供給液体が、供給管路内を流れる紙パルプに噴霧される。第二の化学薬品が、供給器から放出される強力な供給液体ジェットに流れる時、それがあたかも前の図に例示された方法と同様に供給装置34から供給されたように、第二の化学薬品が効率的にかつ均一に紙パルプに広がる。
【0065】
また、勿論、幾つかの追加の化学薬品供給連結管68が、流体管路70の壁面に次々に配置される状況が考えられる。この場合、これらの連結管を経て導入された化学薬品が、高濃度でそれらの相互接触が化学薬品自体に有害でなく、又は少なくとも流体管路の中心でそれらを取り囲む紙パルプにとっても有害でないようなものであることが、先ず確保されなければならない。更に、問題の供給点は、供給器のジェットが上流側から供給された化学薬品の全てをパルプ流に広げることができるように、供給ジェットを創り出す供給装置34に接近していなければならない。実際に、これは、供給装置34から放出された混合ジェットは、供給開口部68から放出された化学薬品流が供給装置34に到達した時に広がる必要がある面積より広くなければならないことを意味する。
【0066】
他方で、注目すべきことは、図4の装置が、1種の化学薬品だけを供給するために用いられ、それにより、所謂供給液体だけが、供給装置にもたらされ、化学薬品又は相当する添加剤が供給装置の上流に導入されるように簡易化することができ、そこから、紙パルプ流と共に移動する化学薬品流が、図4に関係して説明された方法で紙パルプに供給されるということである。
【0067】
上の図4では、供給装置の上流に設けられた追加の化学薬品の連結管68と関連して用いることができる種類の供給装置の実施例だけが説明される。しかし、図面又は文脈だけのいずれかで説明された全ての供給装置が、追加の化学薬品の連結管に関連して使用できることを直ちに思い起こさなければならない。連結管使用の唯一の事前条件は、それに続いて供給装置から放出される強い供給液体ジェットであり、それにより連結管から来る追加の化学薬品が、紙パルプ流内に所望の深さに浸透させられる。このように、例えば、第一の化学薬品が、連結管68から紙パルプに供給され、かつそれより遅れて、第二又は第三の化学薬品が供給装置により供給されることが可能である。
【0068】
先行技術を例示する図面を用いて例証される供給装置、及び図4に説明された供給装置の両者は、なかんずく、化学薬品の供給、例えば、保持化学薬品、微粒子、充填剤、結合剤、接着剤、蛍光増白剤、紙染料、及びケイ酸塩など、これらの数種の化学薬品に止まることなく、化学薬品の供給に用いることができる。したがって、この供給器は、特に化学薬品の容積が、流動する懸濁液流の全容積に比べて小さい時に、これらの化学薬品が供給されなければならない全てのプロセスに適用できる。このプロセスの好都合な実施例として、数ある中で、製紙工場の繊維懸濁液流、種々のスラッジの濃厚化プロセス、繊維リサイクルプロセス、及び漂白プロセスについて言及することができ、一般的に、特に少量で、濾液、繊維懸濁液、スラッジ、又は相当する媒体に化学薬品を供給する必要があるプロセスについて言及される。
【0069】
上記の化学薬品の組み合わせに加えて、二酸化チタン、及び混合液体によりこの装置に運ばれる適切な凝集性化学薬品が、供給される第一の化学薬品の例として言及されなければならない。別の代替の組み合わせは、化学薬品としてケイ酸塩、及び充填剤、例えば二酸化チタンを混合液体と共に供給することである。なお、第三の代替の組み合わせは、混合液体に化学薬品としてASA接着剤、及びベントナイトを供給することである。
【0070】
本発明に従う混合装置においては、化学薬品が、供給液体を用いて、プロセスの液体、例えば繊維懸濁液に供給され、この供給液体が同一の繊維懸濁液であることができ、この懸濁液に化学薬品が供給される。また、より稀釈された懸濁液、種々の濾液、又は相当する媒体又は単なる淡水が、文献の装置において供給液体として使用に適している。化学薬品の供給に用いることができる別のプロセス段階から得られた液体の全ては、同時に、淡水を節約し、かつ例えば、工場の淡水消費を低減させる。
【0071】
要約すると、本発明の方法が上記の米国特許第6,659,636号に記載された供給器を用いる、状況が以下に説明される。問題の供給装置が次々に内側に3つの供給導管を含むと考えることが最も簡単である。所謂混合液体が、最内の管路を経て紙パルプ流に従来のように供給され、化学薬品が中間に位置する管路を経て、かつ供給液体が最外管路を経て供給される。本発明の方法に従うと、従来の化学薬品に加えて、例えば、以下のように化学薬品が供給される:
1.第一の追加の化学薬品が混合液体に、
2.第一の追加の化学薬品が供給液体に、
3.第一の追加の化学薬品が独立して供給装置の上流でパルプ流に、その方法が図4に例示、
4.第一の追加の化学薬品が供給液体に混合され、かつ第二が混合液体に、
5.第一の追加の化学薬品が供給液体に混合され、かつ第二が独立して供給装置の上流でパルプ流に、その方法が図4に例示、
6.第一の追加の化学薬品が混合液体に混合され、かつ第二が独立して供給装置の上流でパルプ流に、その方法が図4に例示、
7.第一の追加の化学薬品が供給液体に混合され、第二が混合液体に、かつ第三が従来の化学薬品に、
8.第一の追加の化学薬品が供給液体に混合され、第二が混合液体に、かつ第三が独立して供給装置の上流でパルプ流に、その方法が図4に例示、
9.第一の追加の化学薬品が供給液体に混合され、第二が混合液体に、第三が従来の化学薬品に、かつ第四が独立して供給装置の上流でパルプ流に、その方法が図4に例示。
【0072】
上の説明で、用語「液体に」及び「・・液体に混合され」には広い解釈が与えられるに違いないということに留意されたい。換言すれば、この用語は、供給装置に来る流体に添加物質を混合すること、及び供給装置に独立して添加物質を供給しかつそれをその場で前記液体に混合することの両者をカバーする。
【0073】
我々が実施した試験の中では、とりわけて、下記の化学物質及び/又は添加剤の組み合わせが、同じ供給装置により、マシンスクリーン後のヘッドボックス供給管路に本質的に同時に供給された時に、従来の混合法に比較して著しく良好な結果を与えることが指摘される:
保持化学薬品−充填剤
保持化学薬品−微粒子
保持化学薬品−接着剤
ケイ酸塩−充填剤
ASA接着剤−ポリマー。
【0074】
更に、本発明の方法及び装置によって、液体に導入することができた多くの化学薬品の種類の実施例だけが上に示されたことが、思い起こされなければならない。しかし、出発点は、一つの及び同じ混合装置から供給された化学薬品が、その相互接触が有害にならないようなものであることが好ましいということである。これは、化学薬品が、混合装置の同じ流体管路を経てプロセス液体に供給される時に、特に重要である。これは、異なる化学薬品が、混合装置の異なる流体管路を経て、プロセス液体にもたらされるように、互に反応性の化学薬品を取り扱う時に、最も回避しやすい。しかし、問題の化学薬品が互に高度に反応性である時には、相互からの適切な「安全な距離」に配置された個別の混合装置から、化学薬品を供給することが最良である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス液体流に化学薬品を供給する方法であって、
特殊な供給装置(34)によって作られかつ前述のプロセス液体流との関係で横断方向を有する供給液体ジェットで、
プロセス液体流に化学薬品を噴霧することにより、前記プロセス液体流に化学薬品を供給する方法であって、
前述の噴霧行為により実質的に同時に、問題の化学薬品を供給液体に混合し、
少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤が、同一の供給液体ジェットにより問題のプロセス液体に供給されることを特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤が、前記供給装置(34)にもたらされ、その後にプロセス液体流に導入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤が、前記供給装置(34)内の別々に供給される区域にもたらされることを特徴とする、請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤が、前記供給器(34)内に設けられた区域(80、90)にもたらされて他の化学薬品及び/又は添加剤と共有され、又は、前述の区域に更なる化学薬品及び/又は添加剤をもたらす流体導管(56、94)にもたらされることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤が、前記供給装置(34)内に設けられた前記供給液体区域(90)に、又は前記区域に供給液体をもたらす流体管路(96)にもたらされることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤が、前記プロセス液体流を輸送する管路(70)に、本質的にプロセス圧力で添加されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
プロセス圧力でプロセス液体流を輸送するプロセス液体管路(70)に添加された前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤が、供給装置(34)から放出された供給液体ジェットによりプロセス液体流に供給されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤、及び紙パルプの混合物が、ヘッドボックスからワイヤに達する前に、実質的に均一になるように、前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤の供給点が選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤が、保持化学薬品、微粒子、充填剤、バインダー、接着剤、蛍光増白剤、紙用染料、及び/又はケイ酸塩であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記充填剤が、炭酸カルシウム、カオリン、二酸化チタン、PCC、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸ナトリウム、アルミニウム三水化物、水酸化マグネシウム、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記添加剤が、ASA又はAKD接着剤、又はポリマーであることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
プロセス液体流に化学薬品を供給する装置であって、
プロセス液体流との関係で横断方向を有する供給液体ジェットにより、前記供給装置(34)の開口部(58、88)を経て、プロセス液体流に化学薬品を噴霧することによって、少なくとも一種の化学薬品を前記プロセス液体流に供給するための特殊な供給装置(34)を設けた装置であって、
問題の化学薬品を噴霧行為により実質的に同時に供給液体に混合する装置であって、
プロセス液体流管路(70)に追加の化学薬品を供給するための連結管(68)を更に含むことを特徴とする、
装置。
【請求項13】
プロセス液体が紙パルプであり、かつ前記連結管(68)が、供給装置(34)の上流側にある紙パルプの流体管路(70)内に配置されていて、前記連結管(68)から流体管路(70)に流れる化学薬品が、紙パルプ流と共に供給装置(34)の開口部前面に運ばれることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
供給装置(34)内に、供給液体区域(90)、液体混合区域及び化学薬品区域(80)があり、それらの区域に、前述のそれぞれの媒体が、その目的のために特に設けられた流体管路(96、94、56)によって、導入されることを特徴とする、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記連結管が、前記供給装置(34)の供給液体区域(90)と流体で連絡していることを特徴とする、請求項12から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記連結管が、前記供給装置(34)の液体混合区域と流体で連絡していることを特徴とする、請求項12から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記連結管が、前記供給装置(34)の化学薬品区域(80)と流体で連絡していることを、特徴とする請求項12から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記連結管が、前記供給装置(34)に媒体をもたらす流体管路(56、94、96)と流体で連絡していることを特徴とする、請求項12から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
プロセス液体流に化学薬品を供給する方法であって、特殊な供給装置(34)で作られ、かつプロセス液体流との関係で横断方向を有する供給液体ジェットにより、プロセス液体流に化学薬品を噴霧することによって、前記プロセス液体流に化学薬品を供給する方法であって、前記噴霧行為により実質的に同時に、問題の化学薬品を供給液体に混合する方法であって、少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤が、同一の供給液体ジェットにより問題のプロセス液体に供給されることを特徴とする方法。
【請求項20】
前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤が、前記供給装置(34)にもたらされ、その後にプロセス液体流に導入されることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤が、前記供給装置(34)内の別々に供給される区域にもたらされることを特徴とする、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤が、前記供給器(34)内に設けられた区域(80、90)にもたらされて他の化学薬品及び/又は添加剤と共有され、又は、前記区域に更なる化学薬品及び/又は添加剤をもたらす流体導管(56、94)にもたらされることを特徴とする、請求項19から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤が、前記供給装置(34)内に設けられた前記供給液体区域(90)に、又は前記区域に供給液体をもたらす流体管路(96)にもたらされることを特徴とする、請求項19から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤が、前記プロセス液体流を輸送する管路(70)に、本質的にプロセス圧力で添加されることを特徴とする、請求項19から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
プロセス圧力でプロセス液体流を輸送するプロセス液体管路(70)に添加された前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤が、供給装置(34)から放出された供給液体ジェットによりプロセス液体流に供給されることを特徴とする、請求項19から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記プロセス液体が、マシンスクリーンの下流の抄紙機ヘッドボックス供給管路内を流れる繊維懸濁液であることを特徴とする、請求項19から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
充填剤、結合剤、サイジング剤、蛍光増白剤、消泡剤、及び2種又は多種成分の化学薬品の少なくとも一種が、マシンスクリーン後の繊維懸濁液流に供給されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
化学薬品又は添加剤の下記組み合わせ:
保持化学薬品と充填剤、保持化学薬品と微粒子、保持化学薬品とサイジング剤、ケイ酸塩と充填剤、及びサイジング剤とポリマー、
の少なくとも一つが、マシンスクリーン後の繊維懸濁液流に供給されることを特徴とする、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記充填剤が、二酸化チタン、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、PCC、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸ナトリウム、アルミニウム三水化物、及び水酸化マグネシウムの一種以上であることを特徴とする、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記サイジング剤が、ASAサイジング剤、AKDサイジング剤、ポリマー及び相当する物質の一種以上であることを特徴とする、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項31】
前記保持化学薬品が、2成分、例えば微粒子及びポリマーから形成されることを特徴とする、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項32】
前記微粒子が、コロイダルシリカ、ミクロポリマー及びベントナイトの少なくとも一種であることを特徴とする、請求項27又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記保持化学薬品が、カチオン性又はアニオン性アクリルアミドコポリマー、コロイダルシリカ、ミクロポリマー、ベントナイト、カチオン性澱粉、ミョウバン、PAC、ポリエチレン、及びポリアミンの少なくとも一種であることを特徴とする、請求項28又は31に記載の方法。
【請求項34】
遅くとも前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤並びに紙パルプの混合物がヘッドボックスからワイヤに到達した時に、混合物が実質的に均一になるように、前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤の供給点が選ばれることを特徴とする、請求項19から33に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも一種の更なる化学薬品及び/又は添加剤が、保持化学薬品、微粒子、充填剤、結合剤、サイジング剤、蛍光増白剤、紙染料、及び/又はケイ酸塩であることを特徴とする、請求項19から34に記載の方法。
【請求項36】
プロセス液体流に化学薬品を供給する装置であって、プロセス液体流との関係で横断方向を有する供給液体ジェットにより、前記供給装置(34)の開口部(58、88)を経て、プロセス液体流に化学薬品を噴霧することによって、少なくとも一種の化学薬品を前記プロセス液体流に供給するための特殊な供給装置(34)を設けた装置であって、問題の化学薬品を噴霧行為により実質的に同時に供給液体に混合する装置であって、プロセス液体流管路(70)に追加の化学薬品を供給するための連結管(68)を更に含むことを特徴とする装置。
【請求項37】
プロセス液体が紙パルプであり、かつ前記連結管(68)が、供給装置(34)の上流側にある紙パルプの流体管路(70)内に配置されていて、前記連結管(68)から流体管路(70)に流れる化学薬品が、紙パルプ流と共に供給装置(34)の開口部前面に運ばれることを特徴とする、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
供給装置(34)内に、供給液体区域(90)、液体混合区域及び化学薬品区域(80)があり、それらの区域に、前述のそれぞれの媒体が、その目的のために特に設けられた流体管路(96、94、56)によって導入されることを特徴とする、請求項36又は37に記載の装置。
【請求項39】
前記連結管が、前記供給装置(34)の供給液体区域(90)と流体で連絡していることを特徴とする、請求項36から38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項40】
前記連結管が、前記供給装置(34)の液体混合区域と流体で連絡していることを特徴とする、請求項36から39のいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
前記連結管が、前記供給装置(34)の化学薬品区域(80)と流体で連絡していることを特徴とする、請求項36から40のいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
前記連結管が、前記供給装置(34)に媒体をもたらす流体管路(56、94、96)と流体で連絡していることを特徴とする、請求項36から41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項43】
追加の化学薬品を供給するための前記供給装置及び前記連結管(68)が、マシンスクリーンの下流の抄紙機ヘッドボックス供給管路と流体で連絡するよう配置されていることを特徴とする、請求項37から42のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−183395(P2011−183395A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−126063(P2011−126063)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【分割の表示】特願2007−520848(P2007−520848)の分割
【原出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【出願人】(506118559)ウエテンド テクノロジーズ オサケユキチュア (7)
【Fターム(参考)】