説明

プロテクタ

【課題】転倒した場合における着用者の身体への衝撃を低減できると共に、長時間着用した場合に着用者に与える違和感を低減できるプロテクタを提供すること。
【解決手段】平面視において略円形状を有し、大腿骨頚部21の近傍を着用者の側方から覆う位置に配置されるプロテクタ1であって、ポリマー発泡体により構成された単層構造を有し、外面10が凸となり、かつ、内面20が凹となるように厚さ方向に湾曲し、平面上に載置した状態で外面10の中央部に20Nの力を負荷した場合における厚さ方向の変位量が3mm〜20mmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテクタに関する。より詳しくは、大腿骨頚部の近傍を着用者の側方から覆う位置に配置されるプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高齢者は、加齢に伴う筋力の衰え等により、転倒を起こす確率が若年者に比して高い。また、高齢者は、骨の強度が弱くなっているので、転倒した場合に手や足を骨折してしまう場合がある。このような転倒による骨折の中で、足、特に大腿骨を骨折した場合には、歩行能力が大きく低下してしまう。そして、この大腿骨の骨折に起因して、寝たきり生活を強いられる場合がある。
【0003】
そこで、転倒による大腿骨の骨折を防ぐべく、大腿骨の中でも特に骨折を起こしやすい大腿骨頚部の近傍を保護する、外面側が凸となるように湾曲した形状を有するプロテクタが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1で提案されたプロテクタは、ポリプロピレン発泡体に硬質プロピレンのプレート部材により構成された補強芯が埋め込まれて構成されている。また、特許文献2及び3で提案されたプロテクタは、弾性又は反発性を有するポリマー発泡体により構成される外層、及び柔軟性を有するポリマー発泡体により構成される内層を備える2層構造を有して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平10−512016号公報
【特許文献2】特開2001−123311号公報
【特許文献3】特開2002−30502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で提案されたプロテクタは、硬質ポリプロピレンにより構成された板状の補強芯を有するため、着用者の身体の動きに対する追従性が十分ではない。ここで、転倒による骨折を防止するプロテクタは、着用者が日常生活をおくる間、長時間にわたって着用する必要があるが、このような追従性が十分でないプロテクタを長時間着用した場合には、着用者に与える違和感が増してしまう。
【0006】
一方、特許文献2及び3で提案された技術では、プロテクタを、弾性又は反発性を有する外層及び柔軟性を有する内層の2層構造で構成することにより、外層にて衝撃を吸収すると共に、内層にて着用者の身体の動きに対する追従性を向上させている。しかしながら、特許文献2及び3で提案された技術では、プロテクタを2層構造とするため、プロテクタの厚さが増してしまう。そのため、プロテクタの厚さが厚いことに起因する違和感を着用者に与えてしまう。
【0007】
従って、本発明は、転倒した場合における着用者の身体への衝撃を低減できると共に、長時間着用した場合に着用者に与える違和感を低減できるプロテクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、平面視において略円形状を有し、大腿骨頚部の近傍を着用者の側方から覆う位置に配置されるプロテクタであって、ポリマー発泡体により構成された単層構造を有し、外面が凸となり、かつ、内面が凹となるように厚さ方向に湾曲し、平面上に載置した状態で外面の中央部に20Nの力を負荷した場合における厚さ方向の変位量が3mm〜20mmであるプロテクタに関する。
【0009】
また、本発明は、平面視において略円形状を有し、大腿骨頚部の近傍を着用者の側方から覆う位置に配置されるプロテクタであって、ポリマー発泡体により構成された単層構造を有し、外面が凸となり、かつ、内面が凹となるように厚さ方向に湾曲し、着用された場合に前記内面と着用者の肌側との間に空間が形成され、外面の中央部に20Nの力を負荷した場合に扁平状に変形するプロテクタに関する。
【0010】
また、プロテクタは、外面側から厚さ方向に負荷された9200Nの力が内面側で3000N以下に低減されることが好ましい。
【0011】
また、プロテクタは、厚さ方向に直交する方向から6Nの力を負荷した場合における該厚さ方向に直交する方向への変位量が10mm以上であることが好ましい。
【0012】
また、前記ポリマー発泡体の密度は、0.60〜1.50g/cmであることが好ましい。
【0013】
また、負荷された力が解放された場合に復元性を有することが好ましい。
【0014】
また、プロテクタは、平面視における周縁部の近傍に形成され厚さ方向に貫通する複数の穴部を更に備えることが好ましい。
【0015】
また、見かけ厚さが10mm〜25mmであることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、上述のプロテクタを収容可能な下着であって、着用者の大腿骨頚部の近傍の周囲を覆う腰回り部と、前記腰回り部の一端側に設けられるウエスト開口部と、前記腰回り部の他端側に設けられる一対のレッグ開口部と、前記腰回り部における着用者の大腿骨頚部近傍の両側部に対応する位置に設けられる一対のプロテクタ収容部と、を備える下着に関する。
【0017】
また、本発明は、着用者の大腿骨頚部の近傍の周囲を覆う腰回り部と、前記腰回り部の一端側に設けられるウエスト開口部と、前記腰回り部の他端側に設けられる一対のレッグ開口部と、を備え、前記腰回り部における着用者の大腿骨頚部近傍の両側部に対応する位置にそれぞれ上述のいずれかに記載のプロテクタが取り付けられたプロテクタ付き下着に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のプロテクタによれば、転倒した場合における着用者の身体への衝撃を低減できると共に、長時間着用した場合に着用者に与える違和感を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のプロテクタを着用した状態の着用者を示す正面図である。
【図2】本発明のプロテクタの一実施形態を示す斜視図である。
【図3】図2に示すプロテクタを示す平面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】本発明のプロテクタを着用した状態の着用者を示す断面図である。
【図6】本発明のプロテクタを着用する手順を示す図である。
【図7】第2実施形態のプロテクタを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態につき図面を参照しながら説明する。
本発明のプロテクタ1は、主として高齢者が転倒することによって引き起こされる大腿骨の骨折を防止するために用いられる。このプロテクタ1は、図1に示すように、着用者の大腿骨2と骨盤3との連結部の近傍を着用者の側方から覆う位置に、左右に一対配置されて用いられる。より詳細には、プロテクタ1は、大腿骨2における骨盤3側の端部である大腿骨頚部21の側方を覆うように配置される。
【0021】
大腿骨頚部21は、高齢者が転倒した場合に骨折を起こしやすい部位であり、この大腿骨頚部21を骨折してしまうと、骨折から回復するまでに時間がかかる。また、高齢者が大腿骨頚部21を骨折してしまうと、完全には回復しない場合もある。また、骨折から回復するまでの間、歩行できない期間が長くなってしまうので、足の筋力が低下してしまう。その結果、寝たきり生活を強いられる場合がある。従って、高齢者の転倒による大腿骨頚部21の骨折を予防することが非常に重要となる。
本実施形態では、プロテクタ1は、図1に示すように、一対のプロテクタ収容部110を備える下着100に収容されて着用されている。この下着100については、後述する。
【0022】
第1実施形態のプロテクタ1は、図2〜図4に示すように、平面視において略円形状を有しており、外面10が凸となり、かつ、内面20が凹となるように厚さ方向に湾曲している。ここで、略円形状とは、円形だけでなく、楕円形や卵形も含む概念である。
このプロテクタ1には、複数の穴部30が形成されている。複数の穴部30は、プロテクタ1を平面視した場合における周縁部の近傍に形成され、プロテクタ1の厚さ方向に貫通している。複数の穴部30は、それぞれ、周縁から略等距離の位置に、プロテクタ1の周方向に所定の間隔をあけて形成される。第1実施形態では、穴部30は、プロテクタ1の周方向に等間隔で合計8つ形成されている。
【0023】
複数の穴部30を周縁部の近傍に形成することで、プロテクタ1の外面10の中央部を外れた位置(例えば、中央部から2cm〜4cm程度離れた周辺部)に力が負荷された場合の衝撃吸収性能を向上できる。
【0024】
複数の穴部30それぞれの直径は、好ましくは4mm〜8mmである。また、複数の穴部30の平面視における面積の合計は、プロテクタ1を扁平状態に変形させた場合における外面10の面積の1%〜10%であることが好ましい。複数の穴部30の平面視における面積の合計が外面10の面積の1%未満の場合には、複数の穴部30を介したプロテクタ1の外面10と内面20との間の通気性が十分でなくなるおそれがある。また、複数の穴部30の平面視における面積の合計が外面10の面積の10%を超えた場合には、プロテクタ1が十分な衝撃吸収能力を得られないおそれがある。
【0025】
プロテクタ1の平面視における大きさは、着用者の大腿骨頚部21を十分に覆う観点から、好ましくは長径が135〜180mmであり、短径が110mm〜155mmである。
【0026】
プロテクタ1の厚さは、図4に示すように、周縁部を除く部分において略均一となっている。そして、プロテクタ1の厚さは、周縁部において、外側に向かうにつれて徐々に薄くなっている。プロテクタ1の周縁部を除く部分における厚さH1は、着用時にプロテクタ1の厚さによる違和感を着用者に与えないという観点から、好ましくは20mm以下、より好ましくは10〜15mmである。
【0027】
また、プロテクタ1を、内面20を下にして平面上に載置した場合における平面からプロテクタ1の外面の頂部までの厚さ(以下、見かけ厚さという)H2は、好ましくは10mm〜25mmである。プロテクタ1の見かけ厚さH2が10mm未満の場合には、プロテクタ1が十分な衝撃吸収能力を得られないおそれがある。また、プロテクタ1の見かけ厚さH2が25mmを超えた場合には、着用時にプロテクタ1の厚さによる違和感を着用者に与えてしまうおそれがある。
【0028】
プロテクタ1は、単層のポリマー発泡体により構成され、可撓性及び形状の復元性を有する。つまり、プロテクタ1は、例えば、外面10に所定の力が負荷された場合に湾曲形状から略平板形状(扁平形状)に変形可能であり、この負荷された力が解放された場合に略平板形状(扁平形状)から湾曲形状に復元する。
プロテクタ1を構成する発泡体としては、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンアクリル酸メチルコポリマー(EMA)、エチレンアイオノマー、ポリプロピレン、ポリプロピレンコポリマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂及びポリ塩化ビニル系樹脂の発泡体を用いることができる。以上挙げたこれらの樹脂の中でも、高い反発性及び高い耐久性を有する観点から、発泡体としては、EVA樹脂の発泡体を用いることが好ましい。
【0029】
プロテクタ1を構成するポリマー発泡体の密度は、好ましくは0.60〜1.50g/cm、より好ましくは0.80〜1.10g/cmである。ポリマー発泡体の密度が0.60g/cm未満の場合には、プロテクタ1が十分な衝撃吸収能力を得られないおそれがある。また、ポリマー発泡体の密度が1.50g/cmを超えた場合には、プロテクタ1の可撓性が十分に得られず、プロテクタ1の固さに起因する違和感を着用者に与えてしまうおそれがある。
【0030】
以上のプロテクタ1は、プロテクタ1を平面上に載置した状態で外面10の中央部に20Nの力を負荷した場合における厚さ方向の変位量が3mm〜20mmという圧縮特性を有する。外面10の中央部に20Nの力を負荷した場合におけるプロテクタ1の厚さ方向の変位量が3mm未満の場合には、プロテクタ1の可撓性が十分に得られない。また、外面10の中央部に20Nの力を負荷した場合におけるプロテクタ1の厚さ方向の変位量が20mmを超えた場合には、プロテクタ1の見かけ厚さH2が厚くなりすぎてしまい、着用時にプロテクタ1の厚さによる違和感を与えてしまう。
【0031】
また、プロテクタ1は、このプロテクタ1に厚さ方向に直交する方向である長手方向又は幅方向から6Nの力を負荷した場合における変位量が10mm以上であることが好ましい。プロテクタ1の長手方向又は幅方向から6Nの力を負荷した場合における変位量が10mm未満の場合、つまり、10mm変位させるのに6Nを超える力が必要な場合には、着用者の身体の動きに対する追従性が損なわれ、着用者に違和感を与えてしまうおそれがある。
【0032】
また、プロテクタ1は、外面側から厚さ方向に負荷された9200Nの力を、内面側で3000N以下に低減できる衝撃吸収性能を有する。
ここで、一般に、転倒時に大腿骨に負荷される力は、5600N〜8600N程度である。そして、高齢者(例えば、65歳以上の女性)の大腿骨に力が負荷された場合、この負荷された力が3000Nを超えると骨折を起こす可能性が高まる。つまり、本実施形態のプロテクタ1によれば、プロテクタ1を着用した高齢者が転倒した場合に大腿骨に負荷される衝撃の強さを、骨折を起こすおそれの高い負荷の強さよりも小さくできる。よって、高齢者が転倒した場合における大腿骨の骨折の防止効果を向上できる。
【0033】
次に、本実施形態のプロテクタ1を着用した状態で、プロテクタ1に所定の力が負荷された場合のプロテクタ1の挙動につき説明する。図5は、プロテクタ1を着用した状態の着用者を示す断面図である。
図5に示すように、プロテクタ1を着用者の大腿骨頚部21の側方を覆うように配置した状態では、プロテクタ1の内面20が凹状に形成されているので、プロテクタ1の内面20と着用者の肌側との間には、所定の空間が形成されている。
【0034】
この状態で、例えば、着用者が腰をかがめる動作を行った場合、プロテクタ1には、長手方向に折れ曲がるような力が負荷される。ここで、プロテクタ1は、長手方向に6Nの力が負荷された場合における変位量が10mm以上になるように構成されている。これにより、プロテクタ1は、腰をかがめる動作に応じて容易に変形して着用者の身体の動きに追従する。同様に、着用者が身体をひねる動作を行った場合、プロテクタ1には、幅方向にねじれるような力が負荷されるが、プロテクタ1は、幅方向に6Nの力が負荷された場合における変位量も10mm以上になるように構成されている。これにより、プロテクタ1は、身体をひねる動作に応じて容易に変形して着用者の身体の動きに追従する。このように、プロテクタ1は、腰をかがめる動作や身体をひねる動作のような弱い力に対しても容易に変形して着用者の身体の動きに追従する。
【0035】
また、プロテクタ1を着用した状態で、例えば、他人と接触したような場合には、プロテクタ1には、外面10側から弱い力が負荷される。ここで、プロテクタ1は、外面10の中央部に20Nの力が負荷された場合における厚さ方向の変位量が3mm〜20mmに構成されている。これにより、プロテクタ1は、他人と接触した場合のような弱い力に対しても容易に扁平状に変形する。また、この場合、プロテクタ1の内面20と着用者の肌側との間の空間の空気は、複数の穴部30を介して外部に導出される。そのため、プロテクタ1の扁平状への変形は阻害されない。
このように、プロテクタ1は、着用者の日常生活における身体の動きに対して容易に追従できる。
【0036】
一方、プロテクタ1を着用した着用者が転倒した場合には、プロテクタ1には、外面10側から強い力(例えば、9000N程度の力)が負荷される。ここで、プロテクタ1は、外面10側から厚さ方向に負荷された9200Nの力を、内面側で3000N以下に低減できる衝撃吸収性能を有する。これにより、転倒により着用者の身体(大腿骨頚部21)に負荷される力を高齢者が骨折を起こさない程度(3000N程度以下)にまで軽減できる。
また、この場合、プロテクタ1は、扁平状に変形した状態で負荷を受けるので、プロテクタ1の内面20の略全面を使って転倒の衝撃を受ける。これにより、転倒により受ける負荷がプロテクタ1の内面20の全面に分散されるので、プロテクタ1に負荷される力が着用者の身体の特定部分に集中することによる骨折の発生を防げる。
【0037】
次に、プロテクタ1を収容可能な本発明の下着の一実施形態としてのショーツ100について、図1及び図5を参照しながら説明する。
ショーツ100は、伸縮性に優れ、かつ、柔軟性に優れた綿素材が縫製されて構成される。このショーツ100は、図1及び図5に示すように、腰回り部120と、ウエスト開口部130と、一対のレッグ開口部140と、一対のプロテクタ収容部110と、を備える。
【0038】
腰回り部120は、着用者の大腿骨頚部21の近傍の周囲を含む腰回りを覆う。ウエスト開口部130は、腰回り部120の一端側に設けられる。一対のレッグ開口部140は、腰回り部120の他端側に設けられる。一対のレッグ開口部140には、それぞれ着用者の足が通される。
【0039】
一対のプロテクタ収容部110は、腰回り部120における着用者の大腿骨頚部21の両側部に対応する位置に設けられる。本実施形態では、プロテクタ収容部110は、腰回り部120の外面側に設けられ上端が開口されたポケット部150と、このポケット部150の開口を覆う蓋部160と、により構成される。
【0040】
ポケット部150は、プロテクタ1の長手方向の長さの三分の二程度を収容可能な大きさを有する。蓋部160は、プロテクタ1の長手方向の長さの二分の1程度を被覆可能な大きさを有する。つまり、プロテクタ収容部110にプロテクタ1を収容した状態では、プロテクタ1の外面10の全面がポケット部150及び蓋部160により覆われる。また、この状態では、蓋部160は、ポケット部150と重なり合う部分を有し、この重なり合う部分では、蓋部160がポケット部150の外側に配置される。ポケット部150及び蓋部160は、いずれも腰回り部120の外面側に布部材が縫合されて構成される。
【0041】
次に、本発明のプロテクタ1の着用方法の一例につき、図6を参照しながら説明する。図6(a)〜(c)は、それぞれ、プロテクタ1を着用する手順を示す図である。
まず、着用者は、プロテクタ収容部110付きのショーツ100を着用する。次いで、図6(a)に示すように、一対のプロテクタ収容部110のうちの一方のプロテクタ収容部110の蓋部160を持ち上げて、ポケット部150にプロテクタ1を挿し入れるようにして収容する。ポケット部150にプロテクタ1が収容されたら、次いで、図6(b)及び図6(c)に示すように、蓋部160をポケット部150の外側に被せる。次いで、他方のプロテクタ収容部110にも同様にしてプロテクタ1を収容する。これにより、プロテクタ1は、プロテクタ収容部110に容易に収容されて着用者の大腿骨頚部21の側方を覆う位置に配置される。
【0042】
以上説明した本実施形態のプロテクタ1によれば、以下のような効果を奏する。
【0043】
プロテクタ1を単層構造とした。これにより、プロテクタ1の厚さを薄く構成できる。また、プロテクタ1の厚さ方向の外面10側から20Nの力を負荷した場合における厚さ方向の変位量を3mm〜20mmとした。これにより、衝撃吸収性を確保しつつ、着用者の身体の動きに対する追従性を維持できる。よって、着用者が転倒した場合における着用者の身体への衝撃を低減できると共に、長時間着用した場合に着用者に与える違和感を低減できる。
【0044】
また、プロテクタ1を着用した場合に、このプロテクタ1の内面20と着用者の肌側との間に空間が形成されるようにプロテクタ1を湾曲させると共に、このプロテクタ1に、厚さ方向の外面10側から20Nの力を負荷した場合に扁平状に変形するような可撓性を付与した。これにより、着用者の身体の動きに起因してプロテクタ1に弱い力が負荷された場合には、着用者の肌側との間の空間を利用してプロテクタ1を容易に扁平状に変形させられる。一方、プロテクタ1に強い力が負荷された場合には、扁平状に変形したプロテクタ1により衝撃を低減できる。よって、着用者が転倒した場合における着用者の身体への衝撃を低減できると共に、長時間着用した場合に着用者に与える違和感を低減できる。
【0045】
また、プロテクタを外層及び内層からなる2層構造に構成した場合には、このプロテクタを長期間使用した場合に、外層と内層とが分離してしまう場合があるが、本実施形態では、プロテクタ1を単層構造としたので、プロテクタ1を長期間使用した場合であっても分離することはない。また、プロテクタを、外層と内層とを接着する工程を経ることなく製造できるので、プロテクタ1の製造工程を簡略化できる。
【0046】
また、一般に、転倒時に大腿骨に負荷される力は、5600N〜8600N程度である。そして、高齢者(例えば、65歳以上の女性)の大腿骨に力が負荷された場合、骨折を起こす力の強さは、3000N程度である。そこで、プロテクタ1に、このプロテクタ1の外面10側から負荷された9200Nの力を内面側において3000N以下に低減させる衝撃吸収性を保持させた。これにより、プロテクタ1を着用した高齢者が転倒した場合に大腿骨に負荷される衝撃の強さを、骨折を起こすおそれの高い負荷の強さよりも小さくできる。よって、高齢者が転倒した場合における大腿骨の骨折の防止効果を向上できる。
【0047】
また、プロテクタ1の長手方向又は幅方向から6Nの力を負荷した場合における変位量を10mm以上とした。これにより、プロテクタ1を長手方向及び幅方向に容易に変形させられるので、着用者の体の動きに対する追従性をより向上できる。よって、長時間着用した場合に着用者に与える違和感をより低減できる。
【0048】
また、ポリマー発泡体の密度を0.60〜1.50g/cmとした。これにより、好適な衝撃吸収性を保ちつつ、長時間着用した場合に着用者に与える違和感を低減できる。
【0049】
また、プロテクタ1に復元性を持たせた。よって、負荷された力が解放された場合にプロテクタ1が湾曲形状に復元するので、着用者に与える違和感をより低減できる。
【0050】
また、プロテクタ1を、厚さ方向に貫通する複数の穴部30を含んで構成した。これにより、プロテクタ1の内面20と着用者の肌側との間の空間の空気を、複数の穴部30を介して外部の空気との間で流通させられる。即ち、プロテクタ1に弱い力が負荷されてプロテクタ1が扁平状に変形する場合には、プロテクタ1と着用者との間の空間の空気は外部に導出され、プロテクタ1の形状が湾曲形状に復元するときに外部の空気が空間に導入される。よって、プロテクタ1と着用者との間の空間と外部との間の空気の流通を好適に行えるので、プロテクタ1の着用時における快適性を向上できる。
【0051】
また、複数の穴部30を、プロテクタ1の周縁部近傍に設けた。これにより、プロテクタ1の外面10に力が負荷された場合に、穴部30の空間にプロテクタ1を構成するポリマー発泡体が入り込んでプロテクタ1は、大きく変形する(可撓性が大きくなる)。よって、複数の穴部30を設けていない場合に比して、より効果的に衝撃を低減できる。
【0052】
また、プロテクタ1の見かけ厚さを10mm〜25mmとした。これにより、着用者に対して与えるプロテクタ1の厚さに起因する違和感を低減できる。
【0053】
次に、本発明のプロテクタの第2実施形態につき、図7を参照しながら説明する。図7は、第2実施形態のプロテクタ1を示す平面図である。尚、第2実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第2実施形態のプロテクタ1は、複数の穴部30の配置において第1実施形態と異なる。より具体的には、第2実施形態のプロテクタ1Aは、周縁部の近傍に設けられる複数の第1穴部30と、第1穴部30よりも内側に設けられる複数の第2穴部31と、を備える。
【0054】
複数の第1穴部30は、第1実施形態と同じ位置に合計8つ設けられる。複数の第2穴部31は、2つの第1穴部30の略中間の位置にそれぞれ設けられる。つまり、第2穴部31は合計8つ設けられる。このように、第2実施形態のプロテクタ1では、第1穴部30及び第2穴部31の合計16個の穴部が設けられる。
【0055】
第2実施形態のプロテクタ1によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
【0056】
複数の穴部を、複数の第1穴部30と、これら複数の第1穴部30よりも内側に設けられる複数の第2穴部31とを含んで構成した。これにより、プロテクタ1の外面10の中央部を外れた位置(例えば、中央部から2cm〜4cm程度離れた周辺部)に力が負荷された場合の衝撃吸収性能をより向上できる。よって、プロテクタ1の外面10の中央部における衝撃吸収性能と、プロテクタ1の周辺部における衝撃吸収性能との差を低減できる。
【実施例】
【0057】
次に、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例になんら制限されるものではない。
以下の実施例1及び実施例2、並びに比較例1〜比較例4のプロテクタを用いて下記の測定を行った。
【0058】
実施例1のプロテクタとして、ポリマー発泡体として密度0.95g/cmのEVA発泡体からなる単層構造のものを用いた。実施例1のプロテクタは、長軸方向の長さ152mm、短軸方向の長さ127mm、中央部の厚さ12mm、中央部の見かけ厚さ22mmであった。また、実施例1のプロテクタは、周縁部の近傍に、周方向に等間隔で設けられた合計8つの穴部を有するものであった。
実施例2のプロテクタとして、穴部の数が異なる他は、実施例1と同様の構成のものを用いた。実施例2のプロテクタは、周縁部の近傍に周方向に等間隔で設けられた合計8つの第1穴部と、これら第1穴部よりも内側に周方向に等間隔で設けられた合計8つの第2穴部と、を有するものであった。尚、複数の第2穴部は、2つの第1穴部の略中間の位置にそれぞれ設けられている。
【0059】
比較例1のプロテクタとして、実施例1のプロテクタの外面に、発泡していないエチレン系樹脂を熱融着にて接合したものを用いた。比較例3のプロテクタは、長軸方向の長さ152mm、短軸方向の長さ122mm、中央部の厚さ23mm、中央部の見かけ厚さ33mmであった。
比較例2のプロテクタとして、(Tytex社製)硬質ポリプロピレンのプレート部材により構成された補強芯と、この補強芯を覆うポリプロピレン発泡体と、を備えるもの(Tytex社製)を用いた。比較例1のプロテクタは、長軸方向の長さ157mm、短軸方向の長さ112mm、中央部の厚さ8mm、中央部の見かけ厚さ20mmであった。
【0060】
比較例3のプロテクタとして、密度0.3g/cmのポリウレタン発泡体からなる単層構造のものを用いた。比較例3のプロテクタは、長軸方向の長さ150mm、短軸方向の長さ120mm、中央部の厚さ12mm、中央部の見かけ厚さ12mmであった。
比較例4のプロテクタとして、実施例1のプロテクタの内面に、厚さ5mm、密度0.3g/cmのポリウレタン発泡体を接着剤により接着した2層構造のものを用いた。比較例4のプロテクタは、長軸方向の長さ152mm、短軸方向の長さ122mm、中央部の厚さ17mm、中央部の見かけ厚さ27mmであった。
【0061】
〔厚さ方向における変位特性の測定〕
実施例1及び比較例1〜4のプロテクタにつき、外面の中心部に荷重を負荷した場合における荷重の強さと厚さ方向における変位量との関係を測定した。
【0062】
変位量の測定は、(株)島津製作所製のオートグラフを用いて、圧縮測定モードにて行った。
実施例1及び比較例1〜4のプロテクタそれぞれにつき、プロテクタを内面が下を向くように平板上に載置した。そして、平板上に載置したプロテクタの外面の中央部を上方から下方に向けて50Nのロードセル(プロテクタとの接触面の直径20mm)にて1mm/minの速度で圧縮し、圧縮曲線を得た。
結果を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
表1に示すように、実施例1のプロテクタは、10mm変位(圧縮)させるのに必要な圧縮力が11Nであり、比較例1及び比較例2のプロテクタに比べて柔軟性に優れることが分かった。
また、実施例1のプロテクタ1は、外面10の中央部に厚さ方向から負荷を加えた場合に、2段階の圧縮特性を有することが分かった。即ち、変位量が10mm程度に至るまでの圧縮曲線はなだらかであるのに対し、変位量が10mmを超えた状態からの圧縮曲線は傾斜が急なものとなっている。これは、実施例1のプロテクタは、湾曲状態から扁平状態になるまでは、比較的弱い力により容易に変形可能であることを示す。
【0065】
〔長手方向における変位特性の測定〕
実施例1、並びに比較例1及び2のプロテクタにつき、長手方向に荷重を負荷した場合における荷重の強さと長手方向における変位量との関係を測定した。
【0066】
変位量の測定は、(株)島津製作所製のオートグラフを用いて、圧縮測定モードにて行った。
実施例1並びに比較例1及び2のプロテクタそれぞれにつき、プロテクタを長手方向が鉛直方向に沿うように平板上に立てた状態で、プロテクタの長手方向の一端部を上方から下方に向けて50Nのロードセル(直径75mm)にて1mm/minの速度で圧縮し、圧縮曲線を得た。
結果を表2に示す。
【0067】
【表2】

【0068】
表2に示すように、実施例1のプロテクタは、比較例1及び比較例2のプロテクタに比して小さい圧縮力にて大きな変位特性を示した。これは、実施例1のプロテクタは、比較例1及び比較例2のプロテクタよりも長手方向における柔軟性(可撓性)に優れることを示す。
【0069】
〔衝撃吸収試験1〕
実施例1及び比較例1〜3のプロテクタにつき、中央部に厚さ方向から強い衝撃を負荷した場合における衝撃吸収性能を測定した。
【0070】
衝撃吸収性能の測定は、以下の手順で行った。
(1)直径15cm、重量4.7kgの半球体(人間の臀部に相当)にプロテクタを両面テープで貼り付けた。
(2)プロテクタを貼り付けた半球体を、43cm下方に設置した測定板に向け、プロテクタの中央部が測定板に衝突するように自由落下させた。測定板には特殊機器株式会社製のピックアップ式加速度センサーを内蔵させた。
(3)半球体が測定板に当たったときの衝撃を測定した。
結果を表3に示す。
【0071】
【表3】

【0072】
表3に示すように、実施例1のプロテクタは、ブランク状態(プロテクタなしの状態)における9212Nの衝撃を3000以下にまで低減できることが示された。即ち、実施例1のプロテクタによれば、厚さ方向に負荷される衝撃を三分の一以下にまで低減でき、転倒時に大腿骨に負荷される力(5600N〜8600N程度)を、骨折を起こすおそれの高い力(3000N程度)以下にまで低減できることが分かった。一方、比較例3のプロテクタでは、9212Nの衝撃を4900Nまでしか低減できず、転倒時に大腿骨に負荷される力を十分に低減できないことが示された。
【0073】
〔衝撃吸収試験2〕
実施例1及び実施例2のプロテクタにつき、プロテクタの外面における中央部及び周辺部にそれぞれ強い衝撃を受けた場合の衝撃吸収性能を測定した。
【0074】
衝撃吸収性能の測定は、上記〔衝撃吸収試験1〕と同様の手順で行った。ただし、上記手順(2)においては、それぞれ、プロテクタの中央部、プロテクタの中央部からプロテクタの長手方向に2cmずれた位置、長手方向に4cmずれた位置、プロテクタの中央部からプロテクタの幅方向に2cmずれた位置、幅方向に4cmずれた位置が測定板に衝突するように自由落下させた。
結果を表4に示す。
【0075】
【表4】

【0076】
表4に示すように、穴部を8つ設けた実施例1のプロテクタでは、特に中央部における衝撃吸収性能に優れることが示された。また、8つの第1穴部及び8つの第2穴部を設けた実施例2のプロテクタでは、中央部における衝撃吸収性能と、周辺部における衝撃吸収性能との差が少なく、プロテクタの全面において好適に衝撃を吸収できることが示された。
【0077】
〔着用時における違和感の測定〕
違和感低減効果を確認するため、実施例1及び比較例1のプロテクタについて使用テストを行った。
被験者にプロテクタ収容部付きのショーツにプロテクタを収容した状態で日常生活を過ごしてもらい、5日間着用を継続できた割合を測定した。また、着用後に、着用による違和感の有無を聞き取り調査した。
結果を表5に示す。
【0078】
【表5】

【0079】
表5に示すように、実施例1のプロテクタは、比較例1のプロテクタに比して、使用の継続率が高く、使用の中止率が低いことが示された。また、実施例1のプロテクタは、比較例1のプロテクタに比して違和感を覚えない被験者の割合が高いことが示された。即ち、実施例1のプロテクタによれば、長時間着用した場合に着用者に与える違和感が低減されることが示された。
【0080】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限られず、
例えば、本実施形態では、プロテクタ1を、プロテクタ収容部110付きのショーツ100に収容して着用者の大腿骨頚部21の側方を覆うように配置したが、これに限らない。即ち、プロテクタを、ショーツにおける大腿骨頚部の両側部に対応する位置にショーツと一体化させたプロテクタ付き下着として構成してもよく、プロテクタを、メカニカルファスナ等によりショーツにおける大腿骨頚部の両側部に対応する位置に取り付けてもよい。
【0081】
また、本実施形態では、ショーツ100を、綿素材を縫製して構成したがこれに限らない。即ち、ショーツを、エラストマー繊維を含んで構成してもよく、トリコット編み等の編み方で編んで構成してもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 プロテクタ
2 大腿骨
3 骨盤
10 外面
20 内面
30 穴部
100 ショーツ(下着)
110 プロテクタ収容部
120 腰回り部
130 ウエスト開口部
140 レッグ開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において略円形状を有し、大腿骨頚部の近傍を着用者の側方から覆う位置に配置されるプロテクタであって、
ポリマー発泡体により構成された単層構造を有し、
外面が凸となり、かつ、内面が凹となるように厚さ方向に湾曲し、
平面上に載置した状態で外面の中央部に20Nの力を負荷した場合における厚さ方向の変位量が3mm〜20mmであるプロテクタ。
【請求項2】
平面視において略円形状を有し、大腿骨頚部の近傍を着用者の側方から覆う位置に配置されるプロテクタであって、
ポリマー発泡体により構成された単層構造を有し、
外面が凸となり、かつ、内面が凹となるように厚さ方向に湾曲し、着用された場合に前記内面と着用者の肌側との間に空間が形成され、
外面の中央部に20Nの力を負荷した場合に扁平状に変形するプロテクタ。
【請求項3】
外面側から厚さ方向に負荷された9200Nの力が内面側で3000N以下に低減される請求項1又は2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
厚さ方向に直交する方向から6Nの力を負荷した場合における該厚さ方向に直交する方向への変位量が10mm以上である請求項1〜3のいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項5】
前記ポリマー発泡体の密度は、0.60〜1.50g/cmである請求項1〜4のいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項6】
負荷された力が解放された場合に復元性を有する請求項1〜5のいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項7】
平面視における周縁部の近傍に形成され厚さ方向に貫通する複数の穴部を更に備える請求項1〜6のいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項8】
見かけ厚さが10mm〜25mmである請求項1〜7のいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のプロテクタを収容可能な下着であって、
着用者の大腿骨頚部の近傍の周囲を覆う腰回り部と、
前記腰回り部の一端側に設けられるウエスト開口部と、
前記腰回り部の他端側に設けられる一対のレッグ開口部と、
前記腰回り部における着用者の大腿骨頚部の近傍の両側部に対応する位置に設けられる一対のプロテクタ収容部と、を備える下着。
【請求項10】
着用者の大腿骨頚部の近傍の周囲を覆う腰回り部と、
前記腰回り部の一端側に設けられるウエスト開口部と、
前記腰回り部の他端側に設けられる一対のレッグ開口部と、を備え、
前記腰回り部における着用者の大腿骨と骨盤と連結する大腿骨頚部近傍の両側部に対応する位置にそれぞれ請求項1〜8のいずれかに記載のプロテクタが取り付けられたプロテクタ付き下着。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−184824(P2011−184824A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51183(P2010−51183)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【出願人】(390010917)ヨネックス株式会社 (31)
【Fターム(参考)】