説明

プロテクタ

【課題】連結された部分がプロテクタの収容空間に露出することを抑えられるプロテクタを提供することを目的とする。
【解決手段】第1プロテクタ部分10aは、第1本体部分15aと、第1本体部分15aの外周部分に設けられた第1連結部16aと、を有する。また、第2プロテクタ部分10bは、第2本体部分15bと、第2本体部分15bの外周部分に設けられるとともに第1連結部16aに連結可能な第2連結部16bと、を有する。第1連結部16aと第2連結部16bとが連結されることで、第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとが連結されてプロテクタ10が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスを保護するプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に配設されるワイヤハーネスは、樹脂成型品によって構成されたプロテクタで外装されることがある。プロテクタは、ワイヤハーネスを一定の配設経路に沿って位置決めするとともに外部の部材と接触しないように保護する役割等を有している。
【0003】
このようなプロテクタの形状を一度に金型成形することが難しい場合等には、分割して別体のプロテクタ部分を成形し、これら分割したプロテクタ部分同士が連結されて1つのプロテクタに組み立てられる。
【0004】
特許文献1には、底面に設けられたロック孔と両側壁に設けられたロック爪係止枠とを有する第1プロテクタと、底面に設けられたロック片と両側壁に設けられたロック爪とを有する第2プロテクタと、が連結されたプロテクタが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、フック部が両側壁に設けられ、嵌合孔が底板に設けられた第1プロテクタと、係合孔が両側壁に設けられ、突起部が底板に設けられた第2プロテクタとが連結されたプロテクタが開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、カバー部が内側壁の周囲を覆うとともに貫通孔が内側壁の底板に設けられている第1プロテクタと、突起が底板に設けられており、底板と側壁とで構成された第2プロテクタとが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−271672号公報
【特許文献2】特開2001−95126号公報
【特許文献3】特開2008−228539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2では、第1プロテクタと第2プロテクタとの連結された部分が、連結された第1プロテクタと第2プロテクタとの内側空間、即ちワイヤハーネスが収容されるプロテクタの通線部の空間にはみ出てしまう。また、特許文献3では、第1プロテクタと第2プロテクタとの連結された部分が通線部の空間に露出する。従って、特許文献1〜3では、分割されたプロテクタの連結された部分がプロテクタに収容されたワイヤハーネスに接触して、ワイヤハーネスに外傷を与えるおそれがある。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、連結された部分がプロテクタの収容空間に露出することを抑えられるプロテクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明に係るプロテクタは、第1本体部分と、前記第1本体部分に設けられた第1連結部と、を有する第1プロテクタ部分と、第2本体部分と、前記第2本体部分に設けられるとともに前記第1連結部に連結可能な第2連結部と、を有する第2プロテクタ部分と、を備え、前記第1連結部と前記第2連結部とが、対向する前記第1本体部分と前記第2本体部分との端部の間又は前記第1本体部分と前記第2本体部分との外周で連結されることで、前記第1プロテクタ部分と前記第2プロテクタ部分とが連結されている。
【0011】
第2の発明は、第1の発明に係るプロテクタであって、前記第1連結部及び前記第2連結部は、前記第1プロテクタ部分の端部と前記第2プロテクタ部分の端部とを接触させつつスライド移動させて対向させることで、相互に嵌り込んで連結可能に構成されている。
【0012】
第3の発明は、第2の発明に係るプロテクタであって、前記第1連結部と前記第2連結部とが相互に嵌り込んだ状態で、前記第1プロテクタ部分及び前記第2プロテクタ部分を押え付けつつ、前記第1プロテクタ部分と前記第2プロテクタ部分とに係止されるカバーをさらに備える。
【0013】
第4の発明は、第2または第3の発明に係るプロテクタであって、前記第1本体部分及び前記第2本体部分は、それぞれ底板部と前記底板部の両端から立ち上がる一対の側壁部とを有しており、前記第1連結部は、前記第1本体部分が有する前記一対の側壁部の端縁部に沿って形成された連結穴を備え、前記第2連結部は、前記第2本体部分が有する前記一対の側壁部の端縁部に沿って形成され、前記第1プロテクタ部分の端部と前記第2プロテクタ部分の端部とが対向した状態で、前記連結穴に嵌め込み可能な突起部を備える。
【0014】
第5の発明は、第2または第3の発明に係るプロテクタであって、前記第1本体部分及び前記第2本体部分は、それぞれ底板部と前記底板部の両端から立ち上がる一対の側壁部とを有しており、前記第1連結部は、前記第1本体部分が有する前記一対の側壁部の外側の側面に突設された突起部を備え、前記第2連結部は、前記第2本体部分が有する前記一対の側壁部の外側の側面からその端面側に延出するように設けられており、前記第1本体部分の端面と前記第2本体部分の端面とが対向した状態で、前記突起部が嵌り込み可能な凹部が形成された形状を有している。
【発明の効果】
【0015】
第1から第5の発明によれば、第1連結部と第2連結部とが、対向する第1本体部分と第2本体部分との端部の間又は第1本体部部分と第2本体部分との外周で連結されることで、第1プロテクタ部分と第2プロテクタ部分とが連結される。このため、第1連結部と第2連結部との連結された部分が、ワイヤハーネスが取り付けられるプロテクタの内側に露出することを抑えられる。
【0016】
特に、第2の発明によれば、第1プロテクタ部分の端部と第2プロテクタ部分の端部とを接触させつつスライド移動させて対向させることで、第1連結部及び第2連結部が相互に嵌り込んで連結される。これによって、第1プロテクタ部分と第2プロテクタ部分とが連結されるため、当該連結作業を容易に行える。
【0017】
特に、第3の発明によれば、第1連結部と第2連結部とが相互に嵌り込んだ状態で、カバーが第1プロテクタ部分及び第2プロテクタ部分を押え付けつつ、連結された第1プロテクタ部分と第2プロテクタ部分とに係止されるため、第1プロテクタ部分と第2プロテクタ部分とが半連結状態になることを抑制できる。
【0018】
特に、第4の発明によれば、第1プロテクタ部分の端部と第2プロテクタ部分の端部とを、それぞれの側壁部の端縁部の延在方向に沿ってスライド移動させることで、第1連結部と第2連結部とが相互に嵌り込む。これにより、第1プロテクタ部分と第2プロテクタ部分とが連結され、当該連結作業を容易に行える。
【0019】
特に、第5の発明によれば、第1本体部分の端面と第2本体部分の端面とを、それぞれの側壁部の端縁部の延在方向に沿ってスライド移動させることで、第1連結部と第2連結部とが相互に嵌り込む。これにより、第1プロテクタ部分と第2プロテクタ部分とが連結され、当該連結作業を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るプロテクタの斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る第1プロテクタ部分の斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る第2プロテクタ部分の斜視図である。
【図4】第1プロテクタ部分と第2プロテクタ部分とが連結される様子を示す図である。
【図5】プロテクタの正面図である。
【図6】プロテクタとカバーとが連結される様子を示す図である。
【図7】連結されたプロテクタとカバーとの斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る第1プロテクタ部分と第2プロテクタ部分との斜視図である。
【図9】第2の実施形態に係るプロテクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0022】
<第1の実施形態>
図1には、本発明の第1の実施形態にかかるプロテクタ10が示されている。プロテクタ10は、車両の車体パネルに沿って配設されるワイヤハーネスWHに外装される部材であり、ワイヤハーネスWHの配設経路に沿う形状を有する。なお、本実施形態では、プロテクタ10は真っ直ぐなワイヤハーネスWHを収容する部材とする。
【0023】
プロテクタ10は、第1プロテクタ部分10a及び第2プロテクタ部分10bを備える。ワイヤハーネスWHは、プロテクタ10、即ち連結された第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとの内部に配置される。この状態で、連結された第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとの開口にカバー20が取り付けられる。
【0024】
第1プロテクタ部分10aについて説明する。図2には、第1プロテクタ部分10aの斜視図が示されている。第1プロテクタ部分10aを構成する第1本体部分15aは、底板部11aと一対の側壁部12aとを備える。底板部11aは、第1プロテクタ部分10aの底面を構成する矩形の板部分である。側壁部12aは、底板部11aの外縁を構成する縁部のうち、平行な一対の縁部から、底板部11aの矩形面に直交する方向(以下において、立ち上がり方向と称する場合がある。)に立ち上がる板部分である。即ち、第1本体部分15aは断面がUの字形状の部材である。
【0025】
このような第1本体部分15aの一対の側壁部12aの一方の端縁部に第1連結部16aが設けられている。一対の第1連結部16a各々は、一対の側壁部12aの立ち上がり方向に直交する方向の端縁部に設けられている。
【0026】
第1連結部16aは円筒形状の部材である。本実施形態では、第1連結部16aの一側部が、底板部11a側の側壁部12aの端部から立ち上がり方向に沿って側壁部12aのおよそ中間位置までの範囲で側壁部12aと一体化されている。なお、側壁部12aの厚みと第1連結部16aの直径とは同程度である。
【0027】
第1連結部16aは、底板部11aとは反対側に位置する第1連結部16aの先端部に形成されたボス穴161を備える。ボス穴161は、第1連結部16aの軸線方向と同方向の軸線方向に沿って形成されており、少なくとも底板部11aとは反対側(上側)に開口している。つまり、ボス穴161は、側壁部12aの端縁部に沿って形成される。なお、ボス穴161が本実施形態での連結穴に相当する。
【0028】
一対の側壁部12aの外側の側面にはメスロック部(ロック孔)19aが突設されている。
【0029】
メスロック部19aは、側壁部12aから突設された一対の側枠部191aと、一対の側枠部191aの先端間を連結する外枠部192aと、を備える。一対の側枠部191a、外枠部192a、及び側壁部12aで構成される孔の向きは、側壁部12aの立ち上がり方向に沿っている。
【0030】
続いて、第2プロテクタ部分10bについて説明する。図3には、第2プロテクタ部分10bの斜視図が示されている。第2プロテクタ部分10bが有する第2本体部分15bは、第1プロテクタ部分10aが有する第1本体部分15aと同様の構造を有する。つまり、第2本体部分15bは、底板部11bと一対の側壁部12bとを備えており、断面がUの字形状で表される部材である。
【0031】
このような第2本体部分の一対の側壁部12bの端縁部に第2連結部16bが設けられている。具体的には、一対の側壁部12bの立ち上がり方向に直交する方向の端縁部に第2連結部16bが設けられている。
【0032】
第2連結部16bは、第1ボス162と第1ボス162を支持するボス支持部163とが連結された構造を備える。第1ボス162とボス支持部163とはいずれも円柱形状の部材であって、同じ軸線方向を有する。なお、第1ボス162は、ボス支持部163と比較して断面の径が小さい。このような第1ボス162が本実施形態での突起部に相当し、第1連結部16aのボス穴161に嵌め込み可能である。
【0033】
本実施形態では、第2連結部16bが、底板部11bとは反対側の側壁部12bの端部(上端部)から立ち上がり方向に沿って端面のおよそ中間位置までの範囲を占めている。ボス支持部163の一側部が側壁部12bの側縁部と一体化されており、第1ボス162が、底板部11b側のボス支持部163の端部に形成されている。つまり、第1ボス162は、側壁部12bの端縁部に沿って形成されている。また、側壁部12bの厚みと第2連結部16bのボス支持部163の直径とは同程度である。
【0034】
なお、底板部11bは、底板部11bの面方向に沿って第2連結部16bの方向に延出している。この底板部11bの延出部分は、ボス支持部163の断面の直径と同程度の長さを有することが望ましい。後述するように、第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとを連結した状態で、底板部11bはボス支持部163間に介在し、プロテクタ10の底側において隙間が生じないようにする。
【0035】
一対の側壁部12bの外側の側面にはメスロック部19bが突設されている。メスロック部19bは、メスロック部19aと同様の構造を有する。つまり、メスロック部19bは、一対の側枠部191bと、外枠部192bとを備える。メスロック部19bは、一対の側枠部191b、外枠部192b、及び側壁部12bとで形成される孔の向きが、側壁部12bの立ち上がり方向に沿うようにして、メスロック部19aと同程度の高さ位置に設けられている。図3に示されるように、例えばメスロック部19bは、第2連結部16bが設けられた側壁部12bの端縁部の近傍で、底板部11bとは反対側(上側)の側壁部12bの縁部に設けられている。
【0036】
図4には、第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとが連結される様子が示されている。第1連結部16aと第2連結部16bとが連結されることで、第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとが連結される。具体的には、第1連結部16aが有するボス穴161に第2連結部16bが有する第1ボス162が嵌まり込んで、プロテクタ10が形成される。
【0037】
第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとの連結作業について説明する。まず、第1連結部16aと第2連結部16bとが同一直線上に配設されるようにしつつ、第1プロテクタ部分10aのうち第1連結部16aが設けられた側の端部(側壁部12a及び底板部11aの端面と第1連結部16aの一側部)と第2プロテクタ部分10bのうち第2連結部16bが設けられた側の端部(側壁部12b及び底板部11bの端面と第2連結部16bの一側部)とを接触させる。
【0038】
上記接触状態を維持しつつ、第1連結部16aが有する第1ボス162が、第2連結部16bが有するボス穴161に嵌り込むように、第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとを相対的にスライド移動させて対向させる。これにより、第1プロテクタ部分10aの端部と第2プロテクタ部分10bの端部とが対向接触した状態で、第1連結部16aと第2連結部16bとが連結されて、プロテクタ10が形成される。
【0039】
図5には、連結された状態の第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとが示されている。連結された状態の第1プロテクタ部分10a及び第2プロテクタ部分10bでは、第1ボス162がボス穴161に嵌り込んでいる。従って、プロテクタ10では、連結状態の第1連結部16aと第2連結部16bとが、一対の側壁部12aと一対の側壁部12bとの間の部分の側壁を形成する。また、第2本体部分15bが有する底板部11bの第2連結部16b側への延出部分が、プロテクタ10の側壁の一部を形成する連結状態の第1連結部16a及び第2連結部16b(以下において、連結部16a,16bとも称する場合がある。)の部分に対応する底面を形成する。
【0040】
この状態では、第1連結部16aと第2連結部16bとは、第1本体部分15aと第2本体部分15bとの間で連結されており、その連結構造部分(特に、第1ボス162とボス穴161との嵌り込み部分)は、プロテクタ10内に露出していない。露出しているのは、第1連結部16aの曲面状とボス支持部163の外周部とが連続する曲面状外周部である。
【0041】
連結された状態の第1プロテクタ部分10a及び第2プロテクタ部分10bでは、第1連結部16aの一側部と第2本体部分15bの端面とが接触し、さらに第2連結部16bの一側部と第1本体部分15aの端面とが接触している。
【0042】
従って、何らかの力が、プロテクタ10の両端に作用しても、第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとの境界で曲り或は分離することを抑えられる。なお、本実施形態に係るプロテクタ10では、第1連結部16aの長さ及び第2連結部16bの長さによらず、プロテクタ10の曲り或は分離を抑えられる。もっとも、連結部16a,16bが長くなることで接触面が増えるため、より確実にプロテクタ10の曲り或は分離を抑えられる。
【0043】
プロテクタ10では、底板部11aとは反対側の第1本体部分15aの端部(つまり、開口側の端部)と、底板部11bとは反対側の第2本体部分15bの端部(つまり、開口側の端部)及び第2連結部16bの端部とは面一の配置構成である。
【0044】
また、第1本体部分15aが備える底板部11a及び一対の側壁部12aと、第2本体部分15bが備える底板部11a及び一対の側壁部12aとは重ね合わされることなく並んで配置されている。
【0045】
図6には、カバー20がプロテクタ10に係止される様子が示されている。カバー20は、プロテクタ10の開口部、少なくとも、第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとに跨る開口部を閉塞可能に構成されている。
【0046】
ここでは、カバー20は、天井板部22の両側部に一対の側壁部25が形成された断面略U字状に形成されている。もっとも、カバー20の深さは、プロテクタ10の深さよりも浅い。このカバー20の一対の側壁部25の外面であってプロテクタ10側のメスロック部19a,19bに対応する各位置に、オスロック部(ロック爪)21a,21bが形成されている。
【0047】
オスロック部(ロック爪)21a,21bは、一対の側壁部25の外面からその端面側(下面側)に延出している。オスロック部21a,21bは、各々平板状でカバー20の面から突出する係止片211a,211bと、係止片211a,211bの外面に設けられた爪部212a,212bとを備える。これらのオスロック部21a,21bがそれぞれ、プロテクタ10の側壁部12a,12bの外面に設けられたメスロック部19a,19bに嵌め込まれる。
【0048】
図7には、カバー20とプロテクタ10との合体状態が示されている。図7に示されるように、オスロック部21a,21bがメスロック部19a,19bに係止されることで、プロテクタ10とカバー20とが合体する。具体的には、オスロック部21a,21bがメスロック部19a,19bの孔に嵌り込んで、オスロック部21a,21bの爪部212a,212bの端面がメスロック部19a,19bの外枠部192a,192bの端面に当接した状態となる。このような状態が、オスロック部21a,21bがメスロック部19a,19bに係止された状態である。
【0049】
以上のように、本実施形態に係るプロテクタ10は、第1連結部16aと第2連結部16bとが連結されて、第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとが連結された構造を有する。第1連結部16aと第2連結部16bとは、対向する第1本体部分15a及び第2本体部分15bとの端部の間に設けられており、第1連結部16aが有するボス穴161と第2連結部16bが有するボス162とが相互に嵌り込んで連結される。
【0050】
本実施形態では、第1連結部16aが有するボス穴161と第2連結部16bが有するボス162とは、それぞれ側壁部12a,12bの端縁部に沿って形成されている。従って、第1連結部16aと第2連結部16bとの連結された部分、即ちボス穴161と第1ボス162との連結部分が、プロテクタ10におけるワイヤハーネスの通線部の空間に露出することを抑えられる。従って、プロテクタ10に配設されるワイヤハーネスが、第1連結部16aと第2連結部16bとの連結された部分に接触して、外傷を与えられることを抑えられる。
【0051】
また、一般的に、通線部にはみ出した連結部16a,16bの連結された部分は通線部の空間を部分的に狭める。従って、プロテクタ10が本来収容可能な径よりも小さい径のワイヤハーネスしか収容することができなくなる。換言すれば、収容率、即ちプロテクタ10の断面積に対する、収容されるワイヤハーネスの断面積の割合が低下する。
【0052】
本実施形態に係るプロテクタ10では、第1連結部16a及び第2連結部16bの幅は側壁部12a、側壁部12bの端面の幅と同じ程度に抑えることができる。従って、連結部16a,16bがプロテクタ10の通線部の空間に張り出すことを抑えられる。このため、プロテクタ10は本来収容可能な径を有するワイヤハーネスを収容することが可能であり、収容率が低下することを抑えられる。
【0053】
また、カバー20に取り付けられたオスロック部21a,21bが、連結された状態の第1プロテクタ部分10a及び第2プロテクタ部分10bに設けられたメスロック部19a,19bに嵌め込まれる。これによって、カバー20は、連結された第1プロテクタ部分10a及び第2プロテクタ部分10bに対して係止される。
【0054】
カバー20のオスロック部21a,21bが、連結された第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bが備えるメスロック部19a,19bに嵌め入れられる。このとき、オスロック部21a,21bの爪部212a,212bの基端側端面がメスロック部19a,19bの外枠部192a,192bの挿入方向前方の端面(下面)に当接した状態が、オスロック部21a,21bがメスロック部19a,19bに完全に係止した状態である。
【0055】
この状態では、カバー20の一対の側壁部25は、直線状に配置された第1プロテクタ部分10aの一対の側壁部12aの端面(上端面)と第2プロテクタ部分10bの一対の側壁部12bの端面(上端面)とに当接すると共に、第2連結部16bの端部(上端部)にも当接している。これにより、カバー20が、連結された第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとを押さえつけている。つまり、第1連結部16aと第2連結部16bとが完全に連結した状態(第1ボス162がボス穴161に完全に嵌まった状態)で、オスロック部21a,21bがメスロック部19a,19bの完全に係止した状態が成立する。
【0056】
従って、カバー20のオスロック部21a,21bをメスロック部19a,19bに係止させる過程で、カバー20の一対の側壁部25が、第1プロテクタ部分10aの一対の側壁部12aの端面(上端面)と第2プロテクタ部分10bの一対の側壁部12bの端面(上端面)とを押え付けて直線状に揃える。
【0057】
このようにして、第1連結部16aと第2連結部16bとの連結状態が不十分で、第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとが半連結状態であっても、第1連結部16aと第2連結部16bとが完全に連結され、第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとが完全に連結された状態となる。換言すれば、カバー20のオスロック部21a,21bとメスロック部19a,19bとが未係止状態であれば(係止作業時に発生するであろう音、振動が発生していないのであれば)第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとが完全に連結されていないと認識できる。このため、第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとの不完全連結を抑制することができる。
【0058】
なお、カバー20の押し込みの力が連結部16a,16bに対して強く作用するため、メスロック部19a,19bは、連結部16a,16bが設けられた端縁部に近い位置に設けられていることが望ましい。
【0059】
また、カバー20が連結された第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとが押さえ付けられた状態を維持するため、連結された状態の第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとの位置ずれを抑制できる。つまり、カバー20が係止されることによって、第1連結部16aと第2連結部16bとの連結状態が維持されるため、第1プロテクタ部分10aと第2プロテクタ部分10bとが不完全な連結状態になることを抑えられる。
【0060】
<第2の実施形態>
本発明は、上記第1の実施形態に限られるものではない。例えば、図8及び図9に示される形態であっても構わない。図8には、第2の実施形態に係る第1プロテクタ部分50a及び第2プロテクタ部分50bが示されている。また、図9には第2の実施形態に係るプロテクタ50が示されている。
【0061】
図8では、第1連結部17a及び第2連結部17bが、側壁部12a,12bの端面ではなく、第1本体部分15a及び第2本体部分15bの外周部分である、側壁部12a,12bの外側の側面に設けられている。なお、図8及び図9には、図示の都合上、メスロック部19a,19bが記載されていないが、実際は第1の実施形態と同様に設けられているものとする。
【0062】
具体的に、第1連結部17aは、本実施形態での突起部に相当する第2ボス171を有しており、第2ボス171が第1本体部分15aの一対の側壁部12a各々の外側の側面に突設されている。なお、第2ボス171は円柱形状、つまり断面が円形の柱状部材である必要はなく、例えば断面が楕円形、四角形、さらに多角形など、その他の形状であっても構わない。
【0063】
第2連結部17bが、第2本体部分15bの側壁部12b各々の外側の側面に設けられている。第2連結部17bは、底板部11aとは反対側の側壁部12aの端縁部に設けられており、第2本体部分15bから、立ち上がり方向に直交する一方の方向に延び出た部分である。第2連結部17bの先端には、第2ボス171の直径と同程度の開口幅を有し、第2ボス171が嵌り込むことが可能なボス溝172が形成されている。このようなボス溝172が本実施形態での凹部に相当する。なお、ボス溝172は、ボス171が嵌り込むことが可能であれば、どのような形状であってもよいが、接触面が多くなるように、ボス171の断面形状に応じた形状であることが望ましい。
【0064】
ボス溝172が、第1プロテクタ部分50aの第2ボス171の外周面に嵌り込むことで、第1プロテクタ部分50aと第2プロテクタ部分50bとが連結される。本実施形態では、ボス溝172の開口部が立ち上がり方向に沿って設けられている。従って、第1本体部分15aの端面と第2本体部分15bの端面とを接触させつつ対向させた状態で、第1プロテクタ部分50aが第2プロテクタ部分50bに対して相対的にスライド移動される。これによって、第1連結部17aと第2連結部17bとが相互に嵌り込んで連結される。このように、第2ボス171がボス溝172に嵌り込むことによって、第1プロテクタ部分50aと第2プロテクタ部分50bとが連結されてプロテクタ50が形成される。
【0065】
形成されたプロテクタ50では、第1プロテクタ部分50aの底板部11a及び側壁部12aの端面と、第2プロテクタ部分50bの底板部11b及び側壁部12bの端面とが接触している。
【0066】
以上のように、本実施形態では、第1プロテクタ部分50aと第2プロテクタ部分50bとを連結する第1連結部17a及び第2連結部17bが、側壁部12a,12bの外側の側面に設けられている。第1連結部17a及び第2連結部17bが第1本体部分15a及び第2本体部分15bの外周面に設けられているため、本実施形態に係るプロテクタ50は、第1の実施形態と同様の効果を得られる。
【0067】
特に、本実施形態の場合、第1本体部分15aと第2本体部分15bとが直接接触するため、連結部17a,17bがプロテクタ50の通線部に張り出すことを確実に抑えられる。
【符号の説明】
【0068】
10 プロテクタ
10a 第1プロテクタ部分
10b 第2プロテクタ部分
11a,11b 底板部
12a,12b 側壁部
16a 第1連結部
16b 第2連結部
19a,19b メスロック部
20 カバー
21a,21b オスロック部
161 ボス孔
162 第1ボス
171 第2ボス
172 ボス溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1本体部分と、前記第1本体部分に設けられた第1連結部と、を有する第1プロテクタ部分と、
第2本体部分と、前記第2本体部分に設けられるとともに前記第1連結部に連結可能な第2連結部と、を有する第2プロテクタ部分と、
を備え、
前記第1連結部と前記第2連結部とが、対向する前記第1本体部分と前記第2本体部分との端部の間又は前記第1本体部分と前記第2本体部分との外周で連結されることで、前記第1プロテクタ部分と前記第2プロテクタ部分とが連結されたプロテクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロテクタであって、
前記第1連結部及び前記第2連結部は、前記第1プロテクタ部分の端部と前記第2プロテクタ部分の端部とを接触させつつスライド移動させて対向させることで、相互に嵌り込んで連結可能に構成されている、プロテクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプロテクタであって、
前記第1連結部と前記第2連結部とが相互に嵌り込んだ状態で、前記第1プロテクタ部分及び前記第2プロテクタ部分を押え付けつつ、前記第1プロテクタ部分と前記第2プロテクタ部分とに係止されるカバーをさらに備えるプロテクタ。
【請求項4】
請求項2または3に記載のプロテクタであって、
前記第1本体部分及び前記第2本体部分は、それぞれ底板部と前記底板部の両端から立ち上がる一対の側壁部とを有しており、
前記第1連結部は、前記第1本体部分が有する前記一対の側壁部の端縁部に沿って形成された連結穴を備え、
前記第2連結部は、前記第2本体部分が有する前記一対の側壁部の端縁部に沿って形成され、前記第1プロテクタ部分の端部と前記第2プロテクタ部分の端部とが対向した状態で、前記連結穴に嵌め込み可能な突起部を備える、プロテクタ。
【請求項5】
請求項2または3に記載のプロテクタであって、
前記第1本体部分及び前記第2本体部分は、それぞれ底板部と前記底板部の両端から立ち上がる一対の側壁部とを有しており、
前記第1連結部は、前記第1本体部分が有する前記一対の側壁部の外側の側面に突設された突起部を備え、
前記第2連結部は、前記第2本体部分が有する前記一対の側壁部の外側の側面からその端面側に延出するように設けられており、前記第1本体部分の端面と前記第2本体部分の端面とが対向した状態で、前記突起部が嵌り込み可能な凹部が形成された形状を有しているプロテクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−235575(P2012−235575A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101273(P2011−101273)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】