説明

プロバイオティック組成物

【課題】胃腸の細菌叢は、胃腸管の機能および全身の生理学的健康の維持に極めて重要な多くの役割を担う。プロバイオティクスとは、健康にとって有益となるよう微生物を積極的に使用することを示す。胆汁酸の存在下において発芽能力のある芽胞を形成するバシラス(Bacillus)細菌を提供する。
【解決手段】胆汁酸の存在下において発芽能力のある芽胞を形成する細菌、および細菌の細胞または芽胞を動物に投与することによって動物の腸管組織にコロニーを形成する。栄養型生細胞が小腸に効率的に到達して、そこで速やかに増殖して腸管組織にコロニーを形成。通常の芽胞に対しては阻害的な環境下で、芽胞が発芽して栄養細胞となり、それによって腸管組織に確実にコロニーを形成して臨床的利益をもたらす。既知のプロバイオティック細菌調製物とは異なり、確実に小腸および大腸でのコロニー形成に至る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は栄養補助剤に関する。
【背景技術】
【0002】
胃腸の細菌叢は、胃腸管の機能および全身の生理学的健康の維持に極めて重要な多くの役割を担う。プロバイオティクスとは、健康にとって有益となるよう微生物を積極的に使用することを示す専門用語である。プロバイオティック細菌は、腸内細菌叢を増強して消化を助けるために摂取される。このような細菌によって、有害な系統の細菌が増殖するのを抑えることもできる。一般的なプロバイオティック細菌には乳酸菌およびビフィズス菌が含まれ、これらの細菌はヨーグルトおよびその他の乳製品に広く利用される。
【発明の概要】
【0003】
発明の概要
本発明は、胆汁酸の存在下において発芽能力のある芽胞を形成するバシラス(Bacillus)細菌を提供する。この細菌は、栄養細胞、内生胞子、または成熟芽胞の形状をしている。栄養細胞は活発に増殖することのできる細胞型である。内生胞子または芽胞は、乾燥、熱に対して、ならびに他の状況では内生胞子以外の細菌細胞にとって致死的に作用する様々な化学的処理および放射線照射に対して抵抗性である細菌細胞の頑強な休眠型である。内生胞子は胞子形成の細胞内産物であり、芽胞は細胞から放出された内生胞子であり、つまり芽胞は遊離状態で存在する。芽胞形成および胞子形成は、栄養細胞(つまり、増殖中の細胞)による内生胞子の形成を示す。
【0004】
芽胞の発芽とは、内生胞子/芽胞の状態から栄養型への変化である。発芽能力とは、芽胞が休眠段階(非複製型)から活発に複製が行われる栄養段階へと移行することを意味する。胆汁酸は一般的には芽胞の発芽を阻害するが、本発明の芽胞は胆汁酸の存在下において発芽する。例えば、芽胞は胆汁酸の濃度が約1,000mg/リットルよりも高い環境下において発芽し、より好ましくは約10,000mg/リットルよりも高く、より好ましくは約20,000mg/リットルよりも高く、より好ましくは約25,000mg/リットルよりも高く、最も好ましくは約30,000mg/リットルよりも高い環境下において発芽する。胆汁酸は、好ましくはコール酸、デオキシコール酸、および/またはタウロデオキシコール酸である。例えば、バシラス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、枯草菌(Bacillus subtilis)およびバシラス・クラウジ(Bacillus clausii)などの細菌は栄養細胞または成熟芽胞の形状をしている。
【0005】
例えば、胆汁酸の存在下において発芽能力のある内生胞子を形成するスポロラクトバシラス(Sporolactobacillus)種の一種、乳酸産生細菌も本発明に内包される。例えば、この芽胞は胆汁酸の濃度が約1,000mg/リットルよりも高い環境下、より好ましくは約10,000mg/リットルをよりも高く、より好ましくは約20,000mg/リットルよりも高く、より好ましくは25,000mg/リットルよりも高く、最も好ましくは約30,000mg/リットルよりも高い環境下において発芽する。胆汁酸は、好ましくはコール酸、デオキシコール酸、および/またはタウロデオキシコール酸である。本発明は芽胞に加えて栄養細胞も内包する。芽胞は胃の酸性環境を首尾よく通過して、通常、芽胞の発芽を阻害する環境である胆汁酸の存在下において腸内で発芽する。発芽後、栄養型の細菌細胞は小腸および/または大腸にコロニーを形成し(colonize)、消化を助けて病原体の増殖を阻害する。
【0006】
栄養細胞は、細胞を胃の酸性環境による死滅から保護する組成物として製剤化される。このように製剤化された細胞は胃を首尾よく通過して、小腸および/または大腸にコロニーを形成する。従って、本発明は、バシラス細菌または乳酸産生細菌、および薬学的に許容される酸耐性(「腸溶性」)担体を含有する組成物を含む。好ましくは、栄養細胞はバシラス・コアギュランス細胞である。酸耐性とは、担体またはコーティングが酸性環境中で溶解しないことを意味する。酸性環境は、7よりも低いpHで特徴付けられる。酸耐性担体は、4.0よりも低いpHにおいて酸に抵抗性である。好ましくは、この担体はpH 2〜pH 3において溶解しない。最も好ましくは、この担体は2よりも低いpHにおいて溶解しない。栄養型の細菌細胞を胃酸から保護するために、細胞を酸耐性担体でコーティングまたはカプセル化する。この組成物は、選択的にブドウ糖およびリン酸、または担体もしくはコーティングの除去後に細菌の増殖を増強するその他の栄養成分等のその他の成分を含む。
【0007】
芽胞および細胞はプロバイオティクスとして有用である。従って、本発明は、コール酸、デオキシコール酸および/またはタウロデオキシコール酸のような胆汁酸の存在下において発芽能力のあるバシラス芽胞を哺乳動物に投与することによって、ヒト患者などの哺乳動物の腸にバシラス細菌または芽胞形成性乳酸産生細菌のコロニーを形成する方法を含む。例えば、細菌はバシラス・コアギュランス、枯草菌またはバシラス・クラウジ細菌である。小腸および/または大腸の組織にコロニーを形成させる。本発明は、酸耐性担体中に製剤化される栄養型細菌細胞を哺乳動物に投与することによって、ヒト患者などの哺乳動物の腸にバシラス細菌または芽胞形成性乳酸産生細菌のコロニーを形成する方法も含む。
【0008】
本発明の一つの利点は、栄養型生細胞が小腸に効率的に到達して、そこで速やかに増殖して腸管組織にコロニーを形成し臨床的な利益を提供することである。もう一つの利点は、通常の芽胞に対しては阻害的な環境下で、芽胞が発芽して栄養細胞となり、それによって腸管組織に確実にコロニーを形成して臨床的利益をもたらす機構を提供することである。既知のプロバイオティック細菌調製物とは異なり、本発明の組成物は確実に小腸および大腸でのコロニー形成に至る。
【0009】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【0010】
詳細な説明
胆汁酸はコレステロールの排出を促し、食事性脂肪の吸収を助けて、小腸および結腸での水分および電解質の輸送を助ける。ヒトの場合、一次胆汁酸にはコール酸(コール酸塩)およびケノデオキシコール酸が含まれる。二次胆汁酸にはデオキシコール酸(デオキシコール酸塩)およびリトコール酸(リトコール酸塩)が含まれる。その他の胆汁酸にはウルソデオキシコール酸が含まれる。
【0011】
一部の細菌株はこれらの酸に対して強い感受性を示す。プロバイオティクスのラクトバシラス(Lactobacillus)属およびビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属は、他の菌種よりも比較的感受性が高い。バシラスの栄養細胞は一般にこれらの酸に対して抵抗性である。
【0012】
バシラスに形成される内生胞子はラクトバシラスの栄養細胞が死滅する一般的な原因である胃内部の胃酸に対して強い抵抗性を示すことから、腸におけるコロニー形成のためにはラクトバシラスではなくバシラスが哺乳動物に投与される。一部のバシラス細胞は、この酸性環境において同様に死滅する。本発明以前は、バシラスの内生胞子は生存したままで消化プロセスを通過して小腸に移動し、そこで発芽して新たな栄養細胞を形成すると考えられていた。現在では、亜急性量のコール酸(デオキシコール酸およびタウロデオキシコール酸など)が芽胞の発芽を阻害することから、バシラス芽胞が小腸または大腸で発芽することは滅多にないことが証拠によって示されている。
【0013】
典型的な結腸細菌における最小阻害濃度(MIC)希釈は、バシラス細菌/芽胞のコール酸感受性が他の細菌に比して極めて高いことを示している(表1)。
【0014】
【表1】

【0015】
表1に示す胆汁酸感受性データは、腸管病原体摂取後の腸におけるコロニー形成が結腸のコール酸によって妨害されないことを示している。これに対して、バシラスを基剤とするプロバイオティクスはしばしば胆汁抵抗性である。バシラス栄養細胞はまさに胆汁酸抵抗性であるが、通常のバシラス内生胞子は低濃度の胆汁酸に対して感受性であり、つまり、芽胞の発芽および/または再水和は、胆汁酸が低濃度でも存在すれば阻害される。
【0016】
動物用飼料強化剤
バシラス細菌は、体重増加の促進、各種酵素産生による消化補助、および病原体増殖制御を目的として動物用飼料に添加される。ヒトの場合と同じく、他の動物の胆汁酸も芽胞の発芽を阻害する。例えば、ニワトリに投与されたバシラス・コアギュランスは50%のみが実際にその動物の消化管にコロニーを形成した。依然、利益は得られるものの、この生存率はバシラス・コアギュランスを基剤とするプロバイオティック飼料強化剤の費用対効果の限界である。本発明の組成物は投与される細菌の生存率を大幅に改善し、それによって治療コストを削減する。同一または同様の有益な効果(体重増加、消化の改善、または病原性細菌種の阻害)を達成するための本明細書に記載する組成物を用いた飼料強化の費用は、抗生物質投与と同等であるか、あるいは安価である。
【0017】
腸病原体の阻害
本明細書に記載される胆汁酸抵抗性芽胞および腸溶性コーティングされた栄養細胞は、ヒトおよびその他の感受性動物においてバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)のような腸病原体の生育阻害にも有用である。従来のバシラス芽胞は消化管内で発芽できないため、消化管でのコロニー形成を意図して従来のバシラス芽胞を投与することにはほとんどまたはまったく利益がない。本発明はこの問題を二通りの方法で解決する:(1)胆汁酸の阻害活性に対して抵抗性であり、その結果、栄養細胞へと生育してその後結腸にコロニーを形成する芽胞を提供すること、および(2)胃を通過して結腸に達することができるようにコーティングされた栄養型細菌細胞を提供すること。
【0018】
ヒトにとってのバンコマイシン耐性腸球菌のコロニーが形成される可能性が低下することにおけるバシラス種の役割を確認するために実施した試験においては、噴霧乾燥粉末形状の従来のバシラス・コアギュランスを無菌生理食塩液に再懸濁した後、栄養管を用いてマウスに給餌した。投与後、糞中腸球菌密度に変化は認められず、糞便試料中にバシラス・コアギュランスはほとんどまたは全く検出されなかった。試験で使用した噴霧乾燥粉末は、バシラス・コアギュランスの芽胞を含むベージュないしオフホワイトの物質であった。
【0019】
バシラス・コアギュランスのもう一つの製剤について、マウスを用いて同一の一連の試験を行った。この二番目の製剤は、発芽した芽胞を含む。トリプティックソイブロス(Tryptic Soy Broth:TSB)を分注した250ml容三角フラスコ1本にバシラス・コアギュランスの噴霧乾燥粉末を接種した。次に、このフラスコを37℃にて3日間、オービタルシェーカーにかけた。その後、バシラス菌体(biomass)を含む液体培地を遠心分離して、沈渣を生理食塩液に再度懸濁した。この材料(発芽した芽胞に由来する栄養細胞を含む)を先の噴霧乾燥粉末剤と同一の投与量(コロニー形成単位)でマウスに再度投与した。この試験の結果は、投与群のマウスの65%ではVREのコロニー形成が1/6に減少して、残りの35%のマウスではそれぞれの対応する糞便試料中に検出可能なVREが認められなかったことを示した。このデータから、動物への投与に先立って噴霧乾燥粉末の芽胞をTSBを用いてフラスコ内で発芽させると、発芽した芽胞は生育して高密度の栄養細胞となり、試験動物の糞便試料から単離されるということが示された。しかし、噴霧乾燥粉末のみを生理食塩液に再懸濁した後に管で給餌しても、コロニー形成および糞便試料からの単離は認められなかった。ヒトにおける臨床試験では、噴霧乾燥粉末を用いて同じ結果が示された。このデータは、バシラス栄養細胞が糞便試料から単離されることは稀であるという所見、およびバシラスがヒトおよび動物における非定住菌と考えられる理由についての説明を提供する。
【0020】
摂取後、バシラスは身体のその他の領域(リンパ節または脾臓など)にコロニーを形成して宿主に利益をもたらす可能性がある。バシラス培養物から得られる凍結乾燥または噴霧乾燥した発酵ブロスの摂取も有効である。このような加工された発酵ブロスは、有機酸、バクテリオシン、酵素およびその他の細菌性成分を含む。これらの成分はブロス中に分泌されるか、あるいは細胞溶解時に放出される。
【0021】
従来のバシラス芽胞の数パーセント(例えば、1%など)は腸管内で発芽することができるが、これらの発芽した芽胞はほとんど増殖せず、結腸内に認められる病原体と効果的に競合することはできない。本明細書で記載する芽胞および栄養細胞は、速やかでかつ確実な芽胞の発芽と多数の栄養細胞の結腸でのコロニー形成とをもたらす。
【0022】
細菌細胞および芽胞の投与
栄養型細菌細胞および内生胞子は、投与1回当たり細胞10,000〜1011個の用量で投与される。本発明の典型的な治療用組成物は、投与製剤1g中に約1×103から約1×1012、好ましくは約2×105から約1×1010コロニー形成単位(CFU)のバシラス生菌(即ち、栄養型細菌)または細菌芽胞を含む。動物には、1日1回、3日毎、または5日毎に投与する。細菌は、投与後3〜5日間にわたって結腸に留まってコロニーを形成する。
【0023】
実施例1:胆汁酸存在下での内生胞子の発芽
バシラスの芽胞は、コール酸、デオキシコール酸およびタウロデオキシコール酸などの胆汁酸存在下での発芽能力に関して選択される。バシラス・コアギュランスは、準阻害量のコール酸を加えてシャーレで培養する。発芽した芽胞から得られるコロニーを単離する。コール酸耐性芽胞を形成するコロニーが得られるまで、より高い濃度のコール酸を加えた一連のシャーレに接種を繰り返す。次のバシラスおよび関連する菌種を胆汁酸存在下での内生胞子の発芽に関して選択する:枯草菌、バシラス・ラテロスポールス(Bacillus laterosporus)、バシラス・コアギュランス、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシラス・ポリミクサ(Bacillus polymyxa)、バシラス・レボラクチカス(Bacillus laevolacticus)、バシラス・ラセミラクチカス(Bacillus racemilacticus)、バシラス・ポリファーメンチカス(Bacillus polyfermenticus)、バシラス・クラウジ、スポロラクトバシラス・イヌリヌス(Sporolactobacillus inulinus)、スポロラクトバシラス・p44(Sporolactobacillus p44)。初代の細菌培養物は、例えば、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection、ATCC)などから購入することができる。
【0024】
芽胞形成を促進するために、硫酸マンガン(約1g/L)を細菌培養物に加える。芽胞形成は、対数中間期に培養物を飢餓状態とすることによっても促進される。続いて、芽胞を含む培養物を噴霧乾燥して、経口投与に備えてカプセルまたは錠剤に被包する。保存用成熟芽胞の調製方法は、例えば、凍結乾燥、流動層乾燥、および噴霧乾燥など、当技術分野において既知である。芽胞製剤は、生存芽胞の明らかな消失を伴うことなく、60℃までの温度で乾燥することができる。
【0025】
実施例2:腸溶性コーティングした栄養型バシラス細胞
バシラス栄養細胞(成熟した芽胞または内生胞子の有無にかかわらず)は、標準的な方法を用いてブロス培地で培養する。細胞を発酵容器から回収して、ペーストまたはドープ状とする。栄養細胞製剤は噴霧乾燥しない。ドープは、初期の生育を促進するために栄養素、ビタミン、およびアミノ酸を含む。細胞含有ドープは、細胞の生存性を胃液の酸性度にわたって確保する酸耐性の担体またはコーティング(腸溶性コーティング)で被包される。
【0026】
腸溶性コーティングはpH感受性である。このコーティングは、pHが4.0よりも高くなると溶解する。例えば、コーティングは小腸において直面するような中性環境では溶解し、胃で直面するような酸性環境では溶解しない。または、腸溶性コーティングは、小腸において見られる消化酵素との接触のような特別な代謝事象に曝されると溶解する。例えば、このコーティングはトリプシン、キモトリプシンまたは膵リパーゼのような膵臓酵素によって消化される。製剤は小腸において水和される。コーティングの消化または溶解によって、バシラス細胞などの栄養型細菌細胞が遊離して細菌細胞が腸にコロニーを形成する。
【0027】
栄養細胞は、無水炭化水素ペーストのようなゲルまたはペースト中で安定化する。代替の製剤において、小腸に到達するまで細胞を休止状態とするために、細胞は凍結乾燥、および/またはゲルもしくはペースト中に懸濁される。腸溶性コーティング材は、リンゴ酸-プロパン1,2-ジオールなど、当技術分野において既知である。酢酸フタル酸セルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)などのセルロース誘導体も酸耐性腸溶性コーティングにおいて有用である。その他の適切な腸溶性コーティングには、酢酸フタル酸セルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ならびにメタクリル酸およびメタクリル酸メチルのアニオンポリマーが含まれる。もう一つの適切な腸溶性コーティングはアクリル酸エチルアクリル酸メチル共重合体、または酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMAS)の水性乳濁液である(例えば、米国特許第5,591,433号を参照されたい)。腸溶性コーティングは、胃での溶解を阻止して、中性またはアルカリ性の腸液中で溶解するように設計されている。
【0028】
場合によっては、最適な芽胞発芽のために芽胞ショックが必要である。浸透圧ショック、熱ショック、栄養成分の枯渇、および/またはある種の酸への曝露などの様々な標準的方法で芽胞にショックを与える。芽胞ショックがない場合、多くのバシラス芽胞は発芽不能であり、従って、消化器系全体を通過することができず、利益は得られない。栄養型バシラス細胞を(従来の芽胞ではなく)腸溶性コーティングとして投与することによって、ヒトの栄養摂取においてバシラスを基剤とする製剤の利用を著しく制限する芽胞ショックおよび胆汁酸の障害を克服することができる。
【0029】
その他の態様は特許請求の範囲に記載される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胆汁酸の存在下において発芽能力のある芽胞を形成する、バシラス細菌。
【請求項2】
栄養細胞型である、請求項1記載の細菌。
【請求項3】
バシラス・コアギュランス、枯草菌、およびバシラス・クラウジからなる群より選択される、請求項1記載の細菌。
【請求項4】
バシラス・コアギュランスである、請求項1記載の細菌。
【請求項5】
胆汁酸の濃度が約1,000mg/リットルよりも高い、請求項1記載の細菌。
【請求項6】
胆汁酸の濃度が約10,000mg/リットルよりも高い、請求項1記載の細菌。
【請求項7】
胆汁酸の濃度が約20,000mg/リットルよりも高い、請求項1記載の細菌。
【請求項8】
胆汁酸の濃度が約25,000mg/リットルよりも高い、請求項1記載の細菌。
【請求項9】
胆汁酸の濃度が約30,000mg/リットルよりも高い、請求項1記載の細菌。
【請求項10】
胆汁酸がコール酸、デオキシコール酸、およびタウロデオキシコール酸からなる群より選択される、請求項1記載の細菌。
【請求項11】
胆汁酸の存在下において発芽能力のある芽胞を形成する、乳酸産生細菌。
【請求項12】
栄養細胞型である、請求項11記載の細菌。
【請求項13】
スポロラクトバシラス種の一種である、請求項11記載の細菌。
【請求項14】
胆汁酸の濃度が約1,000mg/リットルよりも高い、請求項11記載の細菌。
【請求項15】
胆汁酸の濃度が約10,000mg/リットルよりも高い、請求項11記載の細菌。
【請求項16】
胆汁酸の濃度が約20,000mg/リットルよりも高い、請求項11記載の細菌。
【請求項17】
胆汁酸の濃度が約25,000mg/リットルよりも高い、請求項11記載の細菌。
【請求項18】
胆汁酸の濃度が約30,000mg/リットルよりも高い、請求項11記載の細菌。
【請求項19】
胆汁酸がコール酸、デオキシコール酸、およびタウロデオキシコール酸からなる群より選択される、請求項11記載の細菌。
【請求項20】
胆汁酸の存在下において発芽能力のある、バシラス芽胞。
【請求項21】
胆汁酸がコール酸、デオキシコール酸、およびタウロデオキシコール酸からなる群より選択される、請求項20記載の芽胞。
【請求項22】
胆汁酸の濃度が約1,000mg/リットルよりも高い、請求項20記載の芽胞。
【請求項23】
胆汁酸の濃度が約10,000mg/リットルよりも高い、請求項20記載の芽胞。
【請求項24】
胆汁酸の濃度が約20,000mg/リットルよりも高い、請求項20記載の芽胞。
【請求項25】
胆汁酸の濃度が約25,000mg/リットルよりも高い、請求項20記載の芽胞。
【請求項26】
胆汁酸の濃度が約30,000mg/リットルよりも高い、請求項20記載の芽胞。
【請求項27】
乳酸産生細菌および薬学的に許容される酸耐性担体を含む組成物であって、該酸耐性担体が、約4.0よりも低いpHにおいて酸に抵抗性である組成物。
【請求項28】
細菌が酸耐性担体でコーティングされている、請求項27記載の組成物。
【請求項29】
細菌が栄養細胞型である、請求項27記載の組成物。
【請求項30】
ブドウ糖およびリン酸をさらに含む、請求項27記載の組成物。
【請求項31】
細菌および薬学的に許容される酸耐性担体を含む組成物であって、該細菌がバシラスであり、該酸耐性担体が、約4.0よりも低いpHにおいて酸に抵抗性である組成物。
【請求項32】
細菌が酸耐性担体でコーティングされている、請求項31記載の組成物。
【請求項33】
細菌が栄養細胞型である、請求項31記載の組成物。
【請求項34】
細菌がバシラス・コアギュランスである、請求項31記載の組成物。
【請求項35】
ブドウ糖およびリン酸をさらに含む、請求項31記載の組成物。
【請求項36】
胆汁酸の存在下において発芽能力を持つ芽胞を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物の腸にバシラス細菌のコロニーを形成する方法。
【請求項37】
胆汁酸がコール酸、デオキシコール酸、およびタウロデオキシコール酸からなる群より選択される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
胆汁酸がコール酸である、請求項36記載の方法。
【請求項39】
胆汁酸がデオキシコール酸である、請求項36記載の方法。
【請求項40】
胆汁酸がタウロデオキシコール酸である、請求項36記載の方法。
【請求項41】
バシラスがバシラス・コアギュランスである、請求項36記載の方法。
【請求項42】
バシラスが枯草菌である、請求項36記載の方法。
【請求項43】
バシラスがバシラス・クラウジである、請求項36記載の方法。
【請求項44】
腸が小腸である、請求項36記載の方法。
【請求項45】
腸が大腸である、請求項36記載の方法。
【請求項46】
バシラス栄養細胞を含む組成物を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物の腸にバシラス細菌のコロニーを形成する方法であって、該組成物が、薬学的に許容される酸耐性担体を含み、該酸耐性担体が、4.0よりも低いpHにおいて酸に抵抗性である方法。
【請求項47】
バシラスがバシラス・コアギュランスである、請求項46記載の方法。
【請求項48】
バシラスが枯草菌である、請求項46記載の方法。
【請求項49】
バシラスがバシラス・クラウジである、請求項46記載の方法。
【請求項50】
腸が小腸または大腸である、請求項46記載の方法。

【公開番号】特開2009−261389(P2009−261389A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75677(P2009−75677)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【分割の表示】特願2003−541366(P2003−541366)の分割
【原出願日】平成14年11月5日(2002.11.5)
【出願人】(504174755)ガネデン バイオテック インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】