プロバイダ網及びプロバイダエッジ装置
【課題】フレームのループや多重到着を防止でき、且つネットワーク利用率の低下を回避可能な技術の提供。
【解決手段】プロバイダエッジ装置は、他のプロバイダエッジ装置とともに、相互に異なるアクセス回線を介して特定のカスタマエッジ装置に夫々接続されており、前記相互に異なるアクセス回線が属するアクセス回線グループと関連づけてプロバイダエッジ装置自身及び他のプロバイダエッジ装置の識別子が格納される記憶部に基づいて、プロバイダエッジ装置以外のプロバイダエッジ装置から受信される、以下のフィルタ条件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たすカプセル化フレーム、又は当該カプセル化フレーム中のフレームを廃棄する。(1)カプセル化フレーム中の送信元プロバイダエッジ装置の識別子が記憶部に格納されている。(2)カプセル化フレームがプロバイダエッジ装置を宛先に含むマルチキャストフレームであり、他のプロバイダエッジ装置が当該マルチキャストフレームの出口処理を行う。
【解決手段】プロバイダエッジ装置は、他のプロバイダエッジ装置とともに、相互に異なるアクセス回線を介して特定のカスタマエッジ装置に夫々接続されており、前記相互に異なるアクセス回線が属するアクセス回線グループと関連づけてプロバイダエッジ装置自身及び他のプロバイダエッジ装置の識別子が格納される記憶部に基づいて、プロバイダエッジ装置以外のプロバイダエッジ装置から受信される、以下のフィルタ条件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たすカプセル化フレーム、又は当該カプセル化フレーム中のフレームを廃棄する。(1)カプセル化フレーム中の送信元プロバイダエッジ装置の識別子が記憶部に格納されている。(2)カプセル化フレームがプロバイダエッジ装置を宛先に含むマルチキャストフレームであり、他のプロバイダエッジ装置が当該マルチキャストフレームの出口処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロバイダ網及びプロバイダエッジ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イーサネット(登録商標)(Ethernet(登録商標))はLAN(構内交換網)のみならず、パケット網を支えるインフラ技術としてプロバイダ網としても利用されている。IEEE 802.1ahの中で標準化されているPBB(Provider
Backbone Bridges)は、プロバイダが顧客(カスタマ)に対してイーサネット(登録商標)を用いたプロバイダ網において、イーサネット(登録商標)MAC(Media Access Control)フレームを伝送するサービスを提供するための技術である。PBBでは、カスタマ拠点間で送受信されるカスタマのMACフレーム(“サービスフレーム”と称する)が、カスタマ拠点間を結ぶプロバイダ網において、MACフレームでカプセル化され、プロバイダ網内を転送される。サービスフレームがカプセル化されたMACフレームは、“バックボーンMACフレーム”と呼ばれる。
【0003】
図11は、PBBを用いてMACフレームの伝送サービスを提供するサービス提供網の従来例の説明図である。図11に示す例では、サービス提供網は、複数のプロバイダエッジ装置(PE)を有するプロバイダ網を有し、各PEに対し、カスタマの拠点となるカスタマエッジ装置(CE)が接続される。これによって、各CEは、他のCEへMACフレームを送信する場合に、プロバイダ網によるMACフレーム転送サービスを受けることができる。
【0004】
送信側のカスタマエッジ装置(図11では、例えばCE#12)から送出された、他のカスタマエッジ装置(例えばCE#13)宛のサービスフレームは、ペイロード(ユーザデータ),MAC送信元アドレス(SA)及びMAC宛先アドレス(DA)を含んでいる。サービスフレームは、プロバイダ網の入口に位置するプロバイダエッジ装置(入口エッジノードと呼ばれる、図11では、PE#12)において、サービスに対応するサービス識別子(ISID)、及びバックボーンVLAN(Virtual Local Area Network)識別子(BVID)を付加される。
【0005】
さらに、入口エッジノード(PE#12)は、入口エッジノードに対応するバックボーンMACソースアドレス(BSA、“B−SA”とも表記)を付加するとともに、サービスフレームのMAC宛先アドレス(DA)を参照して適切なバックボーンMAC宛先アドレス(BDA、“B−DA”とも表記)を付加し、プロバイダ網内に送出する。このようなバックボーンMACフレームがプロバイダ網内を伝送される。
【0006】
そして、バックボーンMACフレームは、BDAに基づいてプロバイダ網の出口エッジノード(出口側のプロバイダエッジ装置、図11ではPE#13)に到着する。出口エッジノードは、BDA、BSA、BVID及びISIDを削除して元のサービスフレームを復元し、対応する受信側のカスタマエッジ装置(図11では、CE#13)に対してサービスフレームを送出する。また、出口エッジノードは、バックボーンMACフレーム中のSA及びBSAから、当該バックボーンMACフレームの経路を学習する。
【0007】
ところで、MACフレームを伝送するサービスを提供する上で、サービスの可用性を向上させることはとても重要である。例えば、可用性を向上させるための一つの手段として、マルチホーミングと呼ばれる構成を採ることが考えられる。マルチホーミングが適用される場合には、カスタマの拠点となる1つのカスタマエッジ装置とプロバイダエッジ装置
との間に複数のアクセス回線が用意され、更に当該カスタマエッジ装置が複数のアクセス回線を介して複数のプロバイダエッジ装置と接続される(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0008】
図12は、PBBを用いたサービス提供網でマルチホーミングを実現した従来例、及びこのときに発生する問題の説明図である。カスタマエッジ装置CE#13は、2本のアクセス回線AL13、AL14を用いて、プロバイダエッジ装置PE#13及びプロバイダエッジ装置PE#14を介してプロバイダ網(PBB網)に接続されている。このような構成を採ることにより、アクセス回線AL13、AL14の障害やプロバイダエッジ装置PE#13あるいはプロバイダエッジ装置PE#14の障害に対してもサービスの提供を継続することができるようになり、可用性を向上させることができる。
【0009】
図12に図示するネットワーク構成が採られる場合には、カスタマエッジ装置CE#13、プロバイダエッジ装置PE#13、プロバイダ網としてのPBB網及びプロバイダエッジ装置PE#14からなるループ状のネットワークトポロジが形成される。
【0010】
このようなループ状のトポロジが形成されると、図12中にも示されているように、カスタマエッジ装置CE#13から送出されたMACフレーム(サービスフレーム)がプロバイダ網(PBB網)を介して再度カスタマエッジ装置CE#13に戻るようなサービスフレームのループという問題が発生する。
【0011】
また、プロバイダエッジ装置PE#11で受信されたカスタマエッジ装置CE#11からのサービスフレームの指定宛先アドレス(MAC DA)に対応する送信先のプロバイダエッジ装置PEが不明である場合がある。この場合、プロバイダエッジ装置PE#11は、同じサービスに属している他のすべてのプロバイダエッジ装置PEに対してサービスフレームをフラッディング(flooding)する。このとき、図12に示すマルチホーミング構成が採用されていると、サービスフレームの多重到着、すなわち、カスタマエッジ装置CE#13に対して同一のサービスフレームが重複して到着する問題が発生する。
【0012】
上述した問題の発生を回避すべく、ループ状のネットワークトポロジが論理的に形成されないようにネットワークが構築される。例えば、物理ネットワークトポロジにループが存在する場合に、ループのない論理ネットワークトポロジを形成する方法として、IEEE標準802.1Dの中で規定されたSpanning Tree Protocol (STP)、STPを改良したRapid STP (RSTP),或いはMultiple STP (MSTP)が提案されている。
【0013】
図13は、STPを用いた場合の従来例の説明図である。図13に示す例では、プロバイダエッジ装置PE#13における、カスタマエッジ装置CE#13側のポートがブロックされるような設定が施される。これによって、論理ネットワークトポロジ上からループが排除される。従って、サービスフレームのループや多重到着のような問題が回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007−43678号公報
【特許文献2】特開2008−312191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上述した従来技術では以下の問題があった。すなわち、図13に示す例では、複数あるアクセス回線の内の1本(図13では、アクセス回線AL13またはアクセス回線AL14)にしかサービストラフィックが流れない。このため、アクセス回線AL13、AL14やプロバイダエッジ装置PE#13、PE#14の利用効率が低下する。
【0016】
換言すれば、既存技術であるSTPを用いた場合には、マルチホーミングの際に発生するフレームのループや多重到着を避けることができる。しかしながら、複数のプロバイダエッジ装置に接続された複数のアクセス回線のうち、1系統のみがアクティブ状態に設定され、残りの他系統が非アクティブ状態に設定される。このため、アクセス回線の利用効率が低下する。
【0017】
本発明の一態様の目的は、フレームのループや多重到着を防止でき、且つネットワーク利用率の低下を回避可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様は、複数のカスタマエッジ装置間で送受信されるフレームを転送するために、前記複数のカスタマエッジ装置と複数のアクセス回線を介して接続された複数のプロバイダエッジ装置を含むプロバイダ網であって、
前記複数のプロバイダエッジ装置は、前記複数のカスタマエッジ装置中の特定のカスタマエッジ装置と相互に異なる2以上のアクセス回線を介して接続された2以上のプロバイダエッジ装置を含み、
前記2以上のプロバイダエッジ装置の夫々は、
前記特定のカスタマエッジ装置から受信された他のカスタマエッジ装置向けのフレームがカプセル化された、前記他のカスタマエッジ装置と接続された他のプロバイダエッジ装置へ送信すべきカプセル化フレームを生成する入口処理部と、
他のプロバイダエッジ装置から受信されたカプセル化フレームから、前記特定のカスタマエッジ装置へ転送すべきフレームを抽出する出口処理部と、
前記2以上のアクセス回線が属するアクセス回線グループを示すグループ識別子と関連づけて、前記2以上のプロバイダエッジ装置の識別子が格納される記憶部と、
他のプロバイダエッジ装置から受信されるカプセル化フレームのうち、以下のフィルタ条件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たすカプセル化フレーム、又は当該カプセル化フレーム中のフレームを廃棄するフィルタ部と、を含む。
(1)カプセル化フレーム中の、当該カプセル化フレームの送信元プロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部に格納されている。
(2)カプセル化フレームが前記2以上のプロバイダエッジ装置を宛先に含むマルチキャストフレームであり、前記記憶部に識別子が格納された前記2以上のプロバイダエッジ装置のうち、プロバイダエッジ装置自身と異なるプロバイダエッジ装置が当該マルチキャストフレームの出口処理を行う。
【0019】
本発明の他の態様は、上記したプロバイダ網に含まれるプロバイダエッジ装置,当該プロバイダエッジ装置によるフレームフィルタリング方法、を含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、フレームのループや多重到着を防止でき、且つネットワーク利用率の低下を回避可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態のネットワーク通信システムの概要構成図である。
【図2】アクセス回線グループ情報フレームの説明図である。
【図3】プロバイダエッジ装置の概要構成ブロック図である。
【図4】アクセス回線グループ情報フレームの第1の具体例の説明図である。
【図5】アクセス回線グループ情報フレームの第2の具体例の説明図である。
【図6】アクセス回線グループ情報送出部の第1の処理フローチャートである。
【図7】アクセス回線グループ情報送出部の第2の処理フローチャートである。
【図8】アクセス回線グループ情報受信処理部の処理フローチャートである。
【図9】アクセス回線グループ情報テーブルの概要構成説明図である。
【図10】フィルタ設定部における処理フローチャートである。
【図11】PBBを用いてイーサネット(登録商標)MACフレームの伝送サービスを提供するサービス提供網の従来例の説明図である。
【図12】PBBを用いたサービス提供網でマルチホーミングを実現した従来例、及びこのときに発生する問題の説明図である。
【図13】STPを用いた場合の従来例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。以下の実施形態に係るネットワーク通信システムでは、複数のプロバイダエッジ装置にそれぞれ接続されたアクセス回線をアクティブにした状態で、フレームのループや多重到着を回避するために、プロバイダエッジ装置でループや多重到着の要因となるサービスフレームが検出され、そのようなサービスフレームがフィルタリングされる。
【0023】
図1は、実施形態におけるネットワーク通信システムの構成例を示す図である。図1において、実施形態におけるネットワーク通信システム10は、複数のプロバイダエッジ装置PE#1〜PE#4が相互に接続されることによって、PBBを用いたプロバイダ網(PBB網:バックボーンネットワーク)が形成されている。PBB網は、カスタマ拠点間を結ぶサービス網として利用される。
【0024】
各カスタマ拠点には、アクセス回線を介したプロバイダエッジ装置(PE)との接続によってPBB網と接続されるカスタマエッジ装置(CE)が配置される。図1に示す実施形態では、カスタマエッジ装置CE#1,CE#2,CE#3を夫々擁する三つのカスタマ拠点が例示されている。
【0025】
プロバイダエッジ装置PE#1には、アクセス回線AL1を介してカスタマエッジ装置CE#1が接続されている。プロバイダエッジ装置PE#2には、アクセス回線AL2を介してカスタマエッジ装置CE#2が接続されている。プロバイダエッジ装置PE#3には、アクセス回線AL3を介してカスタマエッジ装置CE#3が接続されている。カスタマエッジ装置CE#3は、アクセス回線AL4を介してプロバイダエッジ装置PE#4にも接続されている。このように、図1に示す例では、カスタマエッジ装置CE#3に対し、プロバイダエッジ装置PE#3及びPE#4がアクセス回線AL3及びAL4を介して接続された、マルチホーミングが適用されている。
【0026】
プロバイダエッジ装置PE#1には、バックボーンMACアドレス(BMAC)“A”が割り当てられている。プロバイダエッジ装置PE#2には、バックボーンMACアドレス“B”が割り当てられている。プロバイダエッジ装置PE#3には、バックボーンMACアドレス“C”が割り当てられている。プロバイダエッジ装置PE#4には、バックボーンMACアドレス“D”が割り当てられている。
【0027】
また、各プロバイダエッジ装置PE#1〜PE#4は、ループや多重到着の要因となるサービスフレームを検出するため、“アクセス回線グループ情報フレーム(グループ情報
フレーム)”と呼ばれるフレームを、同一のサービスに属するすべてのプロバイダエッジ装置に送信する。
【0028】
図2は、アクセス回線グループ情報フレームのフォーマット例の説明図である。図2において、アクセス回線グループ情報フレーム11は、アクセス回線グループIDフィールド12(フィールド12)と、バックボーンMACアドレスフィールド13(フィールド13)とを含むことができる。フィールド12には、アクセス回線グループID(ALGID)が格納される。フィールド13には、アクセス回線グループ情報フレームの送信元であるプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスが格納される。
【0029】
アクセス回線グループID(“ALGID”とも表記する)は、マルチホーミングされているカスタマエッジ装置(カスタマ拠点)とPBB網(プロバイダ網)とを結ぶ複数のアクセス回線からなるアクセス回線のグループに対して割り当てられる識別子である。すなわち、カスタマエッジ装置とPBB網とを結ぶ複数のアクセス回線に対して同一のALGIDが割り当てられる。ALGIDは、ALGIDを有するアクセス回線を収容するプロバイダエッジ装置に設定される。ALGIDの割り当て方法は、公知の様々な手法を適用することができる。例えば、図1に示すネットワークシステムにおいて、PBB網のオペレータがユニークなALGIDを、各プロバイダエッジ装置PE#1〜PE#4に対して設定することができる。
【0030】
図1に例示するネットワークシステムでは、カスタマエッジ装置CE#3とプロバイダエッジ装置PE#3とを結ぶアクセス回線AL3と、カスタマエッジ装置CE#3とプロバイダエッジ装置PE#4とを結ぶアクセス回線AL4とに対して、同一のアクセス回線グループID“GGG”が割り当てられている。
【0031】
また、カスタマエッジ装置CE#1とプロバイダエッジ装置PE#1とを結ぶアクセス回線AL1には、アクセス回線AL2、アクセス回線AL3及びAL4とは異なるアクセス回線グループID“GGH”が割り当てられている。
【0032】
同様に、カスタマエッジ装置CE#2とプロバイダエッジ装置PE#2とを結ぶアクセス回線AL2には、アクセス回線AL1、アクセス回線AL3及びAL4とは異なるアクセス回線グループID“GGI”が割り当てられている。
【0033】
グループ情報フレームは、上述したように、各プロバイダエッジ装置から、同一のサービスに属する全てのプロバイダエッジ装置へ送信される。グループ情報フレームを受信したプロバイダエッジ装置は、フィールド13に格納されたバックボーンMACアドレスから、グループ情報フレームの送信元のプロバイダエッジ装置を特定し、さらに、フィールド12中のALGIDから、送信元のプロバイダエッジ装置に接続されたアクセス回線に割り当てられたALGIDを特定することができる。
【0034】
なお、上述したように、ALGIDは、プロバイダエッジ装置に収容されるアクセス回線に割り当てられる識別子であり、当該アクセス回線を収容するプロバイダエッジ装置に設定される。このため、或るアクセス回線グループに属するアクセス回線を収容するプロバイダエッジ装置は、当該アクセス回線グループに属している、と考えることができる。したがって、以下の説明において、“プロバイダエッジ装置に収容されるアクセス回線が属するアクセス回線グループ(のALGID)”を指して、“プロバイダ装置が属するアクセス回線グループ(のALGID)”という表記を用いることもある。
【0035】
次に、プロバイダエッジ装置PE#1〜PE#4の構成例について説明する。本実施形態では、プロバイダエッジ装置PE#1〜PE#4は、同一の構成を有するので、プロバ
イダエッジ装置PE#3を例として説明する。
【0036】
図3は、プロバイダエッジ装置PE#3の構成例を模式的に示すブロック図である。図3において、プロバイダエッジ装置PE#3は、大別すると、アクセス回線グループ情報送出部21(“送出部21”とも表記)と、アクセス回線グループ情報受信処理部22(“受信処理部22”とも表記)と、アクセス回線グループ情報テーブル23(“テーブル23”とも表記)と、フィルタ設定部24とを備えている。
【0037】
さらに、プロバイダエッジ装置PE#3は、フレームフィルタ部25(“フィルタ部25”とも表記)と、バックボーンデカプセル化部26(“デカプセル化部26”とも表記)と、フォワーディングテーブル27(“テーブル27”とも表記)と、バックボーンカプセル化部28(“カプセル化部28”とも表記)と、を備えている。
【0038】
図3に示す複数のブロックのうち、バックボーンデカプセル化部26,フォワーディングテーブル27,バックボーンカプセル化部28,及びフレームフィルタ部25は、専用又は汎用のハードウェア(電気・電子回路(ASICなど))を用いて実現される。アクセス回線グループ情報送出部21,アクセス回線グループ情報受信処理部22,フィルタ設定部24は、専用又は汎用のハードウェアを用いて実現可能である。
【0039】
或いは、アクセス回線グループ情報送出部21,アクセス回線グループ情報受信処理部22,フィルタ設定部24は、ソフトウェア処理、すなわち、Central Processing Unit (CPU),Digital Signal Processor(DSP)のようなプロセッサ(マイクロプロセッサ)が、ストレージ(ROM、フラッシュメモリなど)に記憶されたプログラムをRAMにロードして実行することによって得られる機能として実現されることもできる。テーブル23は、プロバイダエッジ装置が備えるストレージ上の所定の記憶領域に形成される。
【0040】
バックボーンカプセル化部28,バックボーンデカプセル化部26、及びフォワーディングテーブル27は、IEEE802.1ahに準拠するバックボーンエッジブリッジと同様に動作する。すなわち、バックボーンカプセル化部28は、プロバイダエッジ装置が有するカスタマエッジ装置側の受信部21Aで受信されるMACフレーム(サービスフレーム)を受信する。バックボーンカプセル化部28は、サービスフレームをバックボーンMACフレームでカプセル化する。
【0041】
このとき、フォワーディングテーブル27を参照し、サービスフレームの宛先MACアドレスに対応するバックボーン宛先MACアドレスをテーブル27から得て、バックボーンMACフレームに設定する。カプセル化されたサービスフレーム(バックボーンMACフレーム)は、テーブル27に格納された、サービスフレームの宛先MACアドレスに対応する、プロバイダエッジ装置が有するPBB網側の送信部21Bが有する出力ポートへ送られ、当該出力ポートからPBB網へ送出される。このように、カプセル化部28は、サービスフレームに対する入口処理部として機能し、プロバイダエッジ装置をPBB網の入口ノードとして機能させる。
【0042】
バックボーンデカプセル化部26は、プロバイダエッジ装置のPBB網側の受信部22Aで受信され、フレームフィルタ部25を通過したバックボーンMACフレームを受け取る。バックボーンデカプセル化部26は、バックボーンMACフレーム中のバックボーン宛先MACアドレス(B−DA)を参照する。このとき、B−DAがプロバイダエッジ装置PE#3のバックボーンMACアドレスでなければ、テーブル27を参照し、B−DAに対応する送信部21Bの出力ポートへ向けてバックボーンMACフレームを送出する。これによって、バックボーンMACフレームは、B−DAを有する目的のプロバイダエッジ装置へ転送される。
【0043】
一方、バックボーンMACフレーム中のB−DAがプロバイダエッジ装置PE#3のバックボーンMACアドレスである場合には、デカプセル化部26は、バックボーンMACフレームからサービスフレームを抽出する。デカプセル化部26は、サービスフレームの宛先MACアドレスに対応する出力ポート(カスタマエッジ装置側)をテーブル27の参照によって特定し、特定した出力ポートへ送る。出力ポートは、プロバイダエッジ装置が有するカスタマエッジ装置側の送信部22Bに含まれている。サービスフレームは、出力ポートから、出力ポートに接続されたアクセス回線AL3(図1)を介してカスタマエッジ装置CE#3へ送信される。このように、デカプセル化部26は、サービスフレームに対する出口処理部として機能し、プロバイダエッジ装置をPBB網の出口ノードとして機能させる。
【0044】
フォワーディングテーブル27は、少なくとも、カスタマエッジ装置のMACアドレスと、PBB網内におけるプロバイダエッジ装置のMACアドレス(バックボーンMACアドレス)と、PBB網側の出力ポートの特定情報(ID)と、カスタマエッジ装置側の出力ポートの特定情報(ID)とを関連づけて記憶している。
【0045】
アクセス回線グループ情報送出部21は、アクセス回線グループIDを通知するためのグループ情報フレーム11(図2)を定期的に同一のサービスを提供するプロバイダエッジ装置(図1に例示するネットワークシステムでは、プロバイダエッジ装置PE#1、PE#2、PE#4)に送出する。グループ情報フレームは、同一のアクセス回線グループに属する全てのプロバイダエッジ装置で受信されるように、グループ情報フレームのB−DAが設定される。本実施形態においては、プロバイダエッジ装置PE#3の送出部21が送信するグループ情報フレームは、少なくともプロバイダエッジ装置PE#4に到達するように、B−DAが設定される。
【0046】
アクセス回線グループ情報受信処理部22は、他のプロバイダエッジ装置(図1では、プロバイダエッジ装置PE#1、PE#2、PE#4)から送られてきたアクセス回線グループ情報フレーム11を受信し、内容を解析する。受信処理部22は、受信処理部22自身が属するプロバイダエッジ装置(プロバイダエッジ装置PE#3)に設定されているALGIDと同一のALGIDがグループ情報フレーム11のフィールド12に含まれていた場合には、受信したアクセス回線グループ情報フレーム中のフィールド13に格納されたバックボーンMACアドレス(B−SA)を取り出し、アクセス回線グループ情報テーブル23に追加(登録)する。
【0047】
本実施形態では、アクセス回線AL3及びAL4(プロバイダエッジ装置PE#3及びPE#4)に対し、同一のALGIDが割り当てられている。このため、プロバイダエッジ装置PE#3のアクセス回線グループ情報テーブル23には、プロバイダエッジ装置PE#4のバックボーンMACアドレス“D”が追加される。一方、プロバイダエッジ装置PE#4のアクセス回線グループ情報テーブル23には、プロバイダエッジ装置PE#3のバックボーンMACアドレス“C”が追加される(図9参照)。
【0048】
フィルタ設定部24は、アクセス回線グループ情報テーブル23の内容に従ってフレームフィルタ部25に対してフィルタ条件を設定する。フレームフィルタ部25は、フィルタ設定部24によって設定されたフィルタ条件に一致するバックボーンMACフレームを廃棄する。
【0049】
以下、フレームフィルタ部25の設定について説明する。プロバイダエッジ装置のフィルタ設定部24は、テーブル23に登録されたバックボーンMACアドレス(BMAC)がB−SAとして設定されたバックボーンMACフレームを廃棄(遮断)するためのフィ
ルタ条件をフレームフィルタ部25に施す。
【0050】
本実施形態においては、プロバイダエッジ装置PE#3とプロバイダエッジ装置PE#4とは、同一のアクセス回線グループIDを有している。このため、プロバイダエッジ装置PE#3のバックボーンMACアドレス“C”がB−SAとして設定されたバックボーンMACフレームは、プロバイダエッジ装置PE#4のフィルタ部25で廃棄される。同様に、プロバイダエッジ装置PE#4のバックボーンMACアドレス“D”がB−SAとして設定されたバックボーンMACフレームは、プロバイダエッジ装置PE#3のフィルタ部25で廃棄される。
【0051】
上述したフィルタ条件の設定によって、カスタマエッジ装置CE#3からプロバイダエッジ装置PE#3又はPE#4の一方へ送出されたMACフレーム(サービスフレーム)が、プロバイダエッジ装置PE#3又はPE#4の他方を経由してカスタマエッジ装置CE#3へ戻る状態(すなわち、フレームのループ)を防ぐことができる。
【0052】
また、アクセス回線グループ情報テーブル23に登録されたバックボーンMACアドレスをそれぞれ有する複数のプロバイダエッジ装置に対し、次のようなフィルタ条件が設定される。すなわち、バックボーン宛先MACアドレスとしてマルチキャストアドレスが設定されたバックボーンMACフレーム(マルチキャストフレーム)を、テーブル23に登録された複数のプロバイダエッジ装置が受信した場合に、複数のプロバイダエッジ装置のうち、所定の一つのプロバイダエッジ装置(ノード)のみが、当該マルチキャストフレームを転送(透過)し、残りのプロバイダエッジ装置(ノード)が当該マルチキャストフレームを廃棄する。
【0053】
マルチキャストフレームを透過させるプロバイダエッジ装置は適宜選択可能である。例えば、或るアクセス回線グループIDと関連づけられた(テーブル23に登録された)複数のバックボーンMACアドレスのうち、最小値又は最大値のバックボーンMACアドレスを有するプロバイダエッジ装置がマルチキャストフレームを透過し、残りはマルチキャストフレームを廃棄するように、フィルタ設定部24がフィルタ部25にフィルタ条件を設定することができる。
【0054】
例えば、最小のバックボーンMACアドレスを有するプロバイダエッジ装置がマルチキャストフレームを透過するフィルタ条件が設定されている場合において、或るプロバイダエッジ装置がマルチキャストフレームを受信したと仮定する。このとき、或るプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスが最小値であれば、当該或るプロバイダエッジ装置は、当該マルチキャストフレームを透過し、そうでなければ、当該或るプロバイダエッジ装置は、当該マルチキャストフレームを廃棄する。
【0055】
本実施形態では、同一のアクセス回線グループに属する(同一のアクセス回線グループIDを有する)プロバイダエッジ装置PE#3及びPE#4(図3)のうち、プロバイダエッジ装置PE#3のバックボーンMACアドレスが最小であると仮定する。このため、プロバイダエッジ装置#3のみがマルチキャストフレームを透過するように、フィルタ条件が設定される。
【0056】
例えば、図1に示すプロバイダエッジ装置PE#1がカスタマエッジ装置CE#1から受信したサービスフレームを含むバックボーンMACフレームをフラッディングによってマルチキャストしたと仮定する。この場合、マルチキャストされたバックボーンMACアドレス(マルチキャストフレーム)のB−DAには、同一サービスを提供する他のプロバイダエッジ装置が当該フレームを受信するためのマルチキャストアドレスが設定される。したがって、当該マルチキャストフレームは、プロバイダエッジ装置PE#3及びプロバ
イダエッジ装置PE#4で受信される。
【0057】
このとき、上述したフィルタ部25に対するフィルタ条件がプロバイダエッジ装置PE#3及びPE#4で設定されていれば、プロバイダエッジ装置PE#3は、マルチキャストフレーム中のサービスフレームをカスタマエッジ装置CE3に転送(透過)する。一方、プロバイダエッジ装置PE#4は、マルチキャストフレームを廃棄する。従って、カスタマエッジ装置CE#3には、プロバイダエッジ装置PE#3からのサービスフレームのみが到着する。このようにして、サービスフレームの多重到着が防止される。なお、本実施形態では、フィルタ部25がバックボーンMACフレーム(カプセル化フレーム)を廃棄する構成を採用しているが、フィルタ部25がフィルタ条件に従ってデカプセル化されたバックボーンMACフレーム中のフレーム(サービスフレーム)を廃棄する構成が採用されても良い。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によれば、カスタマ拠点(カスタマエッジ装置)間でMACフレームを伝送するサービスを提供するプロバイダ網(PBB網)において、PBB網とカスタマ拠点との間でSTPを実行することなくマルチホーミングを実施することができる。これにより、アクセス回線やプロバイダ網のエッジ装置の利用効率を高めることができ、より効率的なサービス収容が可能になる。
【0059】
本実施形態をさらに詳細に説明する。上述したように、カスタマエッジ装置CE#3を収容している2本のアクセス回線AL3、AL4には、アクセス回線グループID“GGG”が付与されている。また、カスタマエッジ装置CE#1、カスタマエッジ装置CE#2及びカスタマエッジ装置CE#3の間で相互に伝送されるMACフレーム(サービスフレーム)をカプセル化するバックボーンフレームは、サービス識別子(ISID)“X”と、バックボーンVLAN識別子(BVID)“Y”を持つと仮定する。
【0060】
図4は、アクセス回線グループ情報フレームの第1の具体例の説明図である。図4に示すアクセスグループ情報フレーム31は、図2に示したグループ情報フレーム11の詳細を示す。図4において、グループ情報フレーム31は、アクセス回線グループIDフィールド32と、タイプIDフィールド33と、ISIDフィールド34と、BVIDフィールド35と、バックボーン送信元MACアドレス(B−SA)フィールド36と、バックボーンMAC宛先アドレス(B−DA)フィールド37と、を含んでいる。
【0061】
プロバイダエッジ装置PE#3及びPE#4から夫々送出されるアクセス回線グループ情報フレームには、以下の情報が格納される。アクセス回線グループIDフィールド32には、同一のアクセス回線グループID“GGG”が設定される。タイプIDフィールド33には、フレーム種別を示すIDとして、当該フレームがアクセス回線グループ情報フレームであることを示すデータ(識別子)が格納される。ISIDフィールド34には、サービス識別子(ISID: I−tag)“X”が格納される。BVIDフィールド35には、バックボーンVLAN識別子(BVID: B−tag)“Y”が格納される。
【0062】
B−SAフィールド36には、アクセス回線グループ情報フレーム31の送出元プロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスが格納される。B−DAフィールド37には、B−DAとして、サービスインスタンスグループアドレスが格納される。サービスインスタンスグループアドレスは、IEEE802.1ahで規定されたマルチキャストアドレスの一種であり、同一のサービスに属するエッジノードを宛先とするマルチキャスト送信用のアドレスである。これによって、グループ情報フレーム31は、サービスインスタンスが設定されているすべてのプロバイダエッジ装置で受信される。本実施形態では、プロバイダエッジ装置PE#1〜PE#4は、同一のサービスに属しているので、プロバイダエッジ装置PE#1〜PE#4間において、グループ情報フレーム31は、相互に送
受信される。
【0063】
図5は、アクセス回線グループ情報フレームの第2の具体例の説明図である。図5において、アクセス回線グループ情報フレーム41は、図4に示したアクセス回線グループ情報フレーム31に、アクセス回線障害情報フィールド42が追加されたフォーマットを有する。フィールド42には、アクセス回線における障害の有無を示すアクセス回線障害情報が格納される。アクセス回線障害情報は、例えば1ビット(“0”又は“1”)を、“障害有り”、“障害なし”に割り当てることができる。或いは、アクセス回線障害情報は、障害の有無を示す所定ビット値で表現可能である。2ビット以上で表現する場合、装置障害とリンク(アクセス回線)障害とを使い分けることができる。なお、フィールド42は、オプションであり、アクセス回線グループ情報フレームとして、フレーム31とフレーム41とのいずれを用いるかは、適宜選択可能である。
【0064】
以下、図3に示したプロバイダエッジ装置における処理について説明する。図6は、アクセス回線グループ情報送出部21の処理を示す第1の処理フローチャートである。図6には、グループ情報フレームとしてアクセス回線障害情報フィールド42を含まないグループ情報フレーム31が適用される場合における送出部21の処理が示されている。図6に示す処理は、例えば、プロバイダエッジ装置の電源投入を契機として開始されることができる。
【0065】
図6において、アクセス回線グループ情報送出部21は、アクセス回線の障害があるか否かを判定する(ステップS11)。例えば、プロバイダエッジ装置は、アクセス回線からの信号入力の監視のような、公知の手法を用いてアクセス回線の障害を監視する。そして、アクセス回線の障害の有無を示す情報(信号)が、アクセス回線グループ情報送出部21に通知される。或いは、アクセス回線の障害の有無を示す情報が、プロバイダエッジ装置が備えるストレージの所定の記憶領域に格納され、アクセス回線グループ情報送出部21が、当該情報を参照することによって、障害の有無を判定する。
【0066】
ステップS11の判定において、アクセス回線の障害がある場合には(ステップS11;Yes)、アクセス回線グループ情報送出部21は、グループ情報フレーム31をPBB網に対して送出せずに待機状態となる。すなわち、アクセス回線グループ情報送出部21は、アクセス回線に障害が検出された場合に、グループ情報フレーム31の送出を中断する。
【0067】
これによって、或るプロバイダエッジ装置(例えばPE#3)からのグループ情報フレーム31の送信が中断された場合には、グループ情報フレーム31を受信すべき他のプロバイダエッジ装置(PE#1,PE#2,PE#4)は、グループ情報フレーム31を受信できなくなる。このような、グループ情報フレーム31の受信不能を以て、他のプロバイダエッジ装置は、グループ情報フレーム31のB−SAを有するプロバイダエッジ装置に、装置障害(プロバイダエッジ装置自身の障害)及びリンク障害(プロバイダエッジ装置が収容するアクセス回線の障害)の少なくとも一方が発生したことを認識することができる。
【0068】
言い換えれば、アクセス回線の障害を検知したプロバイダエッジ装置は、グループ情報フレーム31の送信中断によって、他のプロバイダエッジ装置に対して障害発生を知らせることができる。このとき、他のプロバイダエッジ装置は、アクセス回線グループ情報テーブル23から、アクセス回線グループ情報フレーム31の送信を中断したプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスを削除することができる。フィルタ条件を見直すためである。
【0069】
ステップS11において、アクセス回線の障害がない場合には(ステップS11;No)、アクセス回線グループ情報送出部21は、アクセス回線グループ情報フレーム31を送出する(ステップS12)。その後、アクセス回線グループ情報送出部21は、一定時間待機し(ステップS13)、処理を再びステップS11に戻す。したがって、アクセス回線に障害がない場合には、アクセス回線グループ情報送出部21は、周期的にアクセス回線グループ情報フレーム31を送出する。
【0070】
図7は、アクセス回線グループ情報送出部21の処理を示す第2の処理フローチャートである。図7は、アクセス回線グループ情報フレームとして、アクセス回線グループ情報フレーム41が適用される場合の処理を示す。図7に示す処理が開始されると、最初に、アクセス回線グループ情報送出部21は、アクセス回線の障害があるか否かを判定する(ステップS21)。
【0071】
ステップS21の判定において、アクセス回線の障害がある場合には(ステップS21;Yes)、アクセス回線グループ情報送出部21は、送出しようとするアクセス回線グループ情報フレーム41におけるフィールド42の値を“障害有り”に設定する(ステップS22)。続いて、送出部21は、グループ情報フレーム41を送出する(ステップS23)。そして、送出部21は、一定時間待機し(ステップS24)、処理を再びステップS21に戻す。
【0072】
一方、ステップS21において、アクセス回線の障害がない場合には(ステップS21;No)、送出部21は、送出しようとするアクセス回線グループ情報フレーム41におけるフィールド42の値を“障害無し”に設定する(ステップS25)。続いて、送出部21は、グループ情報フレーム41をPBB網へ送出する(ステップS26)。そして、送出部21は、一定時間待機し(ステップS27)、処理を再びステップS21に戻す。
【0073】
このように、アクセス回線グループ情報フレーム41が適用される場合には、アクセス回線の障害の有無に拘らず、周期的にアクセス回線グループ情報フレーム41が送出される。アクセス回線グループ情報フレーム41を受信する他のプロバイダエッジ装置は、“障害有り”が設定されたフィールド42を参照することによって、当該アクセス回線グループ情報フレーム41を送信した(当該フレーム41に設定されたバックボーンMACアドレスを有する)プロバイダエッジ装置の装置障害(プロバイダエッジ装置自身の障害)とリンク障害(プロバイダエッジ装置に接続されたアクセス回線の障害)との少なくとも一方があることを認識することができる。
【0074】
図8は、アクセス回線グループ情報受信処理部の処理例を示すフローチャートである。図8には、アクセス回線グループ情報フレーム31及び41の双方に適用可能な処理が示されている。図8に示す処理は、例えば、プロバイダエッジ装置の電源投入を契機としてスタートする。
【0075】
アクセス回線グループ情報受信処理部22は、図示しない複数のタイマを有している。図8に示す処理が開始されると、アクセス回線グループ情報受信処理部22は、すべてのタイマを無効化する(ステップS31)。全てのタイマを無効化した初期状態で、処理を次のステップS32に進める。
【0076】
次に、アクセス回線グループ情報受信処理部22は、有効なタイマのいずれかが終了したか否かを判別する(ステップS32)。初回のステップS32では、初期状態であるので、有効なタイマは存在しない(ステップS32;No)。従って、アクセス回線グループ情報受信処理部22は、アクセス回線グループ情報フレームを受信したか否かを判定する(ステップS33)。
【0077】
ステップS33において、アクセス回線グループ情報フレームを受信していない場合には(ステップS33;No)、処理をステップS32に戻して、ステップS32及びS33の処理を繰り返す。
【0078】
これに対し、ステップS33において、アクセス回線グループ情報フレームが受信されている場合には(ステップS33;Yes)、アクセス回線グループ情報受信処理部22は、フレーム中のアクセス回線グループIDフィールド32を参照し、フィールド32中のアクセス回線グループIDが受信処理部22自身を有するプロバイダエッジ装置(自ノード)に設定されているアクセス回線グループID(ALGID)と同じであるか否かを判定する(ステップS34)。当該判定は、例えば、テーブル23に登録されているアクセス回線グループ情報IDと、フィールド32中のアクセス回線グループ情報IDとの対比によって実行される。
【0079】
ステップS34において、アクセス回線グループID同士が同じである場合には(ステップS34;Yes)、アクセス回線グループ情報受信処理部22は、受信したアクセス回線グループ情報フレームのB−SAフィールド36(図4、図5)から、送信元のプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレス(B−SA)を抽出し、バックボーンMACアドレスがアクセス回線グループ情報テーブル23(図3)の中に含まれているか否かを判定する(ステップS35)。
【0080】
ステップS35において、フィールド36に格納されている値がアクセス回線グループ情報テーブル23に登録されていない場合には(ステップS35;No)、同一のアクセス回線グループIDを有する(同一のアクセス回線グループに属する)新たなプロバイダエッジ装置からアクセス回線グループ情報フレームを受信したことに該当する。
【0081】
次に、受信処理部22は、当該アクセス回線グループ情報フレームが“アクセス回線障害あり”の情報を含むか否かを判別する(ステップS42)。ステップS42において、アクセス回線グループ情報フレームがフィールド42(図5)を含まない(フレーム31(図4)である)場合、及び、アクセス回線グループ情報フレームがフレーム41であって、アクセス回線障害情報フィールド42に“障害なし”が設定されている場合には、フレームが“アクセス回線障害あり”の情報を含まないと判定される。
【0082】
フレームが“アクセス回線障害あり”の情報を含まない場合(ステップS42;No)には、受信処理部22は、アクセス回線グループ情報テーブル23に新たなエントリを追加する。さらに、受信処理部22は、新たなエントリに対し、受信したアクセス回線グループ情報フレームのフィールド36に含まれるバックボーンMACアドレス(B−SA)を格納する(ステップS43)。
【0083】
さらに、受信処理部22は、新たなエントリに対し、一つの新たなタイマを割り当てて、タイマの計時を開始する(ステップS44)。その後、処理がステップS32に戻る。タイマの値は、アクセス回線グループ情報フレームの送出周期の数倍程度に設定される。そして、対応するプロバイダエッジ装置の障害や、当該プロバイダエッジ装置に接続されているアクセス回線の障害のような様々な理由により、そのプロバイダエッジ装置からのアクセス回線グループ情報フレームの周期的な受信が止まった場合に、タイマ終了のイベントが発生する。
【0084】
ステップS35において、B−SAフィールド36に格納されている値がアクセス回線グループ情報テーブル23に登録されている場合には(ステップS35;Yes)、受信処理部22は、フレームに“アクセス回線障害あり”の情報が含まれているか否かを判定
する(ステップS36)。ステップS36では、ステップS42と同様の処理が行われる。
【0085】
ステップS36の判定において、“アクセス回線障害あり”の情報が含まれていない場合には(ステップS36;No)、受信処理部は、対応するタイマを停止して、タイマの値を初期値に戻してタイマの計時を再開し(ステップS37)、処理がステップS32に戻る。
【0086】
ステップS36の判定において、“アクセス回線障害あり”の情報が含まれている場合には(ステップS36;Yes)、受信処理部22は、対応するアクセス回線グループ情報テーブル23のエントリを削除して(ステップS40)、対応するタイマを停止して無効化する(ステップS41)。
【0087】
また、ステップS32の判定において、いずれかの有効なタイマが終了した場合には(ステップS32;Yes)、上述したとおり、対応するプロバイダエッジ装置の障害発生(装置障害)、或いは、当該プロバイダエッジ装置に接続されるアクセス回線の障害発生(リンク障害)が想定される。このため、受信処理部22は、アクセス回線グループ情報テーブル23中の障害に係るプロバイダエッジ装置のエントリを削除して(ステップS38)、タイマを無効化する(ステップS39)。その後、処理がステップS32に戻る。
【0088】
上述したような受信処理部22の処理によって、アクセス回線グループ情報テーブル23には、当該プロバイダエッジ装置と同じアクセス回線グループIDを有し、且つ、装置障害及びアクセス回線障害(リンク障害)を有しない他のプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスのリストが作成される。
【0089】
図9は、アクセス回線グループ情報テーブル23の構成例を示す図である。テーブル23は、アクセス回線グループIDに対応する1以上のエントリを有し、各エントリには、アクセス回線グループIDで特定されるアクセス回線グループに属するプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスが格納される。
【0090】
図9に示す例では、アクセス回線グループIDとして、プロバイダエッジ装置PE#3及びPE#4(図1)(アクセス回線AL3及びAL4)が属するアクセス回線グループID“GGG”がテーブル23に登録されている(領域51参照)。このグループID“GGG”に対応づけて、プロバイダエッジ装置PE#4のバックボーンMACアドレス“D”を有するエントリ52と、プロバイダエッジ装置PE#3のバックボーンMACアドレス“C”を有するエントリ53とが登録されている。図9に示すテーブル23は、プロバイダエッジ装置PE#4が有するテーブル23が想定されており、プロバイダエッジ装置PE#4自身のバックボーンMACアドレス“D”が先頭のエントリに登録されている。
【0091】
もし、アクセス回線AL3及びAL4と異なるアクセス回線を介してカスタマエッジ装置CE#3と接続された新たなプロバイダエッジ装置がPBB網に設置される場合には、この新たなプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスが格納されたエントリ(図9のエントリ54−1参照)が追加される。新たなアクセス回線を介してカスタマエッジ装置CE#3と接続されるプロバイダエッジ装置が増える毎に、対応するバックボーンMACアドレスのエントリがテーブル23に追加される。
【0092】
一方、プロバイダエッジ装置に関する装置障害又はアクセス回線障害が生じた場合には、障害に係るプロバイダエッジ装置のエントリがテーブル23から削除される。このように、テーブル23は、アクセス回線グループIDを夫々有する、障害のない(正常な)プ
ロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスのリストとして機能する。
【0093】
フィルタ設定部24(図3)は、テーブル23上に作成されたバックボーンMACアドレスのリストが格納されたアクセス回線グループ情報テーブル23に基づいて、フレームフィルタ部25にフィルタ条件設定を行う。
【0094】
図10は、フィルタ設定部24における処理例を示すフローチャートである。図10に示す処理は、例えば、フィルタ設定部24がアクセス回線グループ情報テーブル23の内容の更新を監視し、内容が更新される毎に起動される。
【0095】
具体的には、フィルタ設定部24は、B−SAがアクセス回線グループ情報テーブル23に含まれるバックボーンMACアドレスのうちの一つであり、サービス識別子(ISID)が“X”であるバックボーンMACフレームを廃棄するフィルタ条件をフレームフィルタ部25に設定する(ステップS51)。
【0096】
このようなフィルタ条件によって、同一のアクセス回線グループIDを有するプロバイダエッジ装置から送信され、且つアクセス回線グループに係るアクセス回線を介して接続されたカスタマエッジ装置に適用されるサービス識別子(ISID)が設定されたバックボーンMACフレームがフレームフィルタ部25で廃棄される。
【0097】
例えば、プロバイダエッジ装置PE#3がカスタマエッジ装置CE#3からアクセス回線AL3を介してサービスフレームを受信し、プロバイダエッジPE#3のバックボーンMACアドレス“C”がB−SAに設定され、且つISID“X”が設定されたバックボーンMACフレームをプロバイダエッジ装置PE#4へ転送したと仮定する。
【0098】
この場合、プロバイダエッジ装置PE#4のフレームフィルタ部25は、ステップS51で設定したフィルタ条件に従って、プロバイダエッジ装置PE#3からのバックボーンMACフレームを廃棄する。これによって、バックボーンMACフレーム中のサービスフレームがアクセス回線AL4を介してカスタマエッジ装置CE#3に転送される、すなわち、ループが発生することが防止される。
【0099】
逆に、プロバイダエッジ装置PE#4からプロバイダエッジ装置PE#3へ転送される、ISID“X”を有するバックボーンMACフレームも、プロバイダエッジ装置PE#3におけるフレームフィルタ部25において廃棄される。このようにして、異なるアクセス回線を介して共通のカスタマエッジ装置に接続されたプロバイダエッジ装置間で送受信されるバックボーンMACフレームであって、カスタマエッジ装置に係るサービス識別子(ISID)を有するバックボーンMACフレームが廃棄される。これによって、ループ発生が回避される。
【0100】
図10に戻って、フィルタ設定部24は、自己が属するプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスの値がアクセス回線グループ情報テーブル23に含まれるバックボーンMACアドレスの値のうち最も小さいか否かを判定する(ステップS52)。
【0101】
ステップS52において、自己が属するプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスの値がアクセス回線グループ情報テーブル23に登録されたバックボーンMACアドレスの最小値である場合には(ステップS52;Yes)、当該プロバイダエッジ装置がバックボーンMACフレームを通過させるべきプロバイダエッジ装置に該当する。この場合、フレームフィルタ部25に対するフィルタ条件の設定は必要が無いので、処理を終了する。
【0102】
また、ステップS52において、自己が属するプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスの値がアクセス回線グループ情報テーブル23に登録されたバックボーンMACアドレスの最小値でない場合には(ステップS52;No)、当該プロバイダエッジ装置において、フラッディングに係るバックボーンMACフレーム(マルチキャストフレーム)を廃棄すべきである。この場合、フィルタ設定部24は、B−DAがマルチキャストアドレスであり、ISID“X”であるバックボーンMACフレームを廃棄するようにフレームフィルタ部25を設定し(ステップS53)、処理を終了する。
【0103】
上記したように、図10に示す処理は、テーブル23の更新を契機として実施される。従って、例えば、プロバイダエッジ装置PE#3がプロバイダエッジ装置PE#4から“障害情報あり”の情報を含むグループ情報フレーム41を受信した場合には、“障害情報あり”の情報に従って、プロバイダエッジ装置PE#3のテーブル23からプロバイダエッジ装置PE#4のバックボーンMACアドレス(エントリ)が削除される。すると、プロバイダエッジ装置PE#3のフィルタ設定部24が、図10に示す処理を開始し、ステップS52及びS53において、プロバイダエッジ装置PE#3がフラッディングによるマルチキャストフレームを透過するフィルタ条件をフィルタ部25に施す。これによって、アクセス回線AL4の障害時に、プロバイダエッジ装置PE#3が、プロバイダエッジ装置PE#4に代わって、マルチキャストフレーム中のサービスフレームをアクセス回線AL3を介してカスタマエッジ装置CE#3に送信することができる。
【0104】
以上の説明のように、本実施形態によれば、MACフレームを伝送するサービスを提供するプロバイダ網(PBB網)とカスタマエッジ装置、ひいては、カスタマ網との間で、STPを実行することなく、ループ及びフレーム多重到着が防止されるマルチホーミングを実施することができる。これにより、アクセス回線やプロバイダ網のエッジ装置の利用効率を高めることができ、より効率的なサービス収容が可能になる。
【符号の説明】
【0105】
10 ネットワーク通信システム
21 アクセス回線グループ情報送出部
22 アクセス回線グループ情報受信処理部
23 アクセス回線グループ情報テーブル
24 フィルタ設定部
25 フレームフィルタ部
26 バックボーンデカプセル化部
27 フォワーディングテーブル
28 バックボーンカプセル化部
31、41 アクセス回線グループ情報フレーム
51 アクセス回線グループIDフィールド
52 自己バックボーンMACアドレスフィールド
53−1〜53−n バックボーンMACアドレスフィールド
AL1〜AL4 アクセス回線
PE#1〜PE#4 プロバイダエッジ装置
CE#1〜CE#3 カスタマエッジ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロバイダ網及びプロバイダエッジ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イーサネット(登録商標)(Ethernet(登録商標))はLAN(構内交換網)のみならず、パケット網を支えるインフラ技術としてプロバイダ網としても利用されている。IEEE 802.1ahの中で標準化されているPBB(Provider
Backbone Bridges)は、プロバイダが顧客(カスタマ)に対してイーサネット(登録商標)を用いたプロバイダ網において、イーサネット(登録商標)MAC(Media Access Control)フレームを伝送するサービスを提供するための技術である。PBBでは、カスタマ拠点間で送受信されるカスタマのMACフレーム(“サービスフレーム”と称する)が、カスタマ拠点間を結ぶプロバイダ網において、MACフレームでカプセル化され、プロバイダ網内を転送される。サービスフレームがカプセル化されたMACフレームは、“バックボーンMACフレーム”と呼ばれる。
【0003】
図11は、PBBを用いてMACフレームの伝送サービスを提供するサービス提供網の従来例の説明図である。図11に示す例では、サービス提供網は、複数のプロバイダエッジ装置(PE)を有するプロバイダ網を有し、各PEに対し、カスタマの拠点となるカスタマエッジ装置(CE)が接続される。これによって、各CEは、他のCEへMACフレームを送信する場合に、プロバイダ網によるMACフレーム転送サービスを受けることができる。
【0004】
送信側のカスタマエッジ装置(図11では、例えばCE#12)から送出された、他のカスタマエッジ装置(例えばCE#13)宛のサービスフレームは、ペイロード(ユーザデータ),MAC送信元アドレス(SA)及びMAC宛先アドレス(DA)を含んでいる。サービスフレームは、プロバイダ網の入口に位置するプロバイダエッジ装置(入口エッジノードと呼ばれる、図11では、PE#12)において、サービスに対応するサービス識別子(ISID)、及びバックボーンVLAN(Virtual Local Area Network)識別子(BVID)を付加される。
【0005】
さらに、入口エッジノード(PE#12)は、入口エッジノードに対応するバックボーンMACソースアドレス(BSA、“B−SA”とも表記)を付加するとともに、サービスフレームのMAC宛先アドレス(DA)を参照して適切なバックボーンMAC宛先アドレス(BDA、“B−DA”とも表記)を付加し、プロバイダ網内に送出する。このようなバックボーンMACフレームがプロバイダ網内を伝送される。
【0006】
そして、バックボーンMACフレームは、BDAに基づいてプロバイダ網の出口エッジノード(出口側のプロバイダエッジ装置、図11ではPE#13)に到着する。出口エッジノードは、BDA、BSA、BVID及びISIDを削除して元のサービスフレームを復元し、対応する受信側のカスタマエッジ装置(図11では、CE#13)に対してサービスフレームを送出する。また、出口エッジノードは、バックボーンMACフレーム中のSA及びBSAから、当該バックボーンMACフレームの経路を学習する。
【0007】
ところで、MACフレームを伝送するサービスを提供する上で、サービスの可用性を向上させることはとても重要である。例えば、可用性を向上させるための一つの手段として、マルチホーミングと呼ばれる構成を採ることが考えられる。マルチホーミングが適用される場合には、カスタマの拠点となる1つのカスタマエッジ装置とプロバイダエッジ装置
との間に複数のアクセス回線が用意され、更に当該カスタマエッジ装置が複数のアクセス回線を介して複数のプロバイダエッジ装置と接続される(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0008】
図12は、PBBを用いたサービス提供網でマルチホーミングを実現した従来例、及びこのときに発生する問題の説明図である。カスタマエッジ装置CE#13は、2本のアクセス回線AL13、AL14を用いて、プロバイダエッジ装置PE#13及びプロバイダエッジ装置PE#14を介してプロバイダ網(PBB網)に接続されている。このような構成を採ることにより、アクセス回線AL13、AL14の障害やプロバイダエッジ装置PE#13あるいはプロバイダエッジ装置PE#14の障害に対してもサービスの提供を継続することができるようになり、可用性を向上させることができる。
【0009】
図12に図示するネットワーク構成が採られる場合には、カスタマエッジ装置CE#13、プロバイダエッジ装置PE#13、プロバイダ網としてのPBB網及びプロバイダエッジ装置PE#14からなるループ状のネットワークトポロジが形成される。
【0010】
このようなループ状のトポロジが形成されると、図12中にも示されているように、カスタマエッジ装置CE#13から送出されたMACフレーム(サービスフレーム)がプロバイダ網(PBB網)を介して再度カスタマエッジ装置CE#13に戻るようなサービスフレームのループという問題が発生する。
【0011】
また、プロバイダエッジ装置PE#11で受信されたカスタマエッジ装置CE#11からのサービスフレームの指定宛先アドレス(MAC DA)に対応する送信先のプロバイダエッジ装置PEが不明である場合がある。この場合、プロバイダエッジ装置PE#11は、同じサービスに属している他のすべてのプロバイダエッジ装置PEに対してサービスフレームをフラッディング(flooding)する。このとき、図12に示すマルチホーミング構成が採用されていると、サービスフレームの多重到着、すなわち、カスタマエッジ装置CE#13に対して同一のサービスフレームが重複して到着する問題が発生する。
【0012】
上述した問題の発生を回避すべく、ループ状のネットワークトポロジが論理的に形成されないようにネットワークが構築される。例えば、物理ネットワークトポロジにループが存在する場合に、ループのない論理ネットワークトポロジを形成する方法として、IEEE標準802.1Dの中で規定されたSpanning Tree Protocol (STP)、STPを改良したRapid STP (RSTP),或いはMultiple STP (MSTP)が提案されている。
【0013】
図13は、STPを用いた場合の従来例の説明図である。図13に示す例では、プロバイダエッジ装置PE#13における、カスタマエッジ装置CE#13側のポートがブロックされるような設定が施される。これによって、論理ネットワークトポロジ上からループが排除される。従って、サービスフレームのループや多重到着のような問題が回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007−43678号公報
【特許文献2】特開2008−312191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上述した従来技術では以下の問題があった。すなわち、図13に示す例では、複数あるアクセス回線の内の1本(図13では、アクセス回線AL13またはアクセス回線AL14)にしかサービストラフィックが流れない。このため、アクセス回線AL13、AL14やプロバイダエッジ装置PE#13、PE#14の利用効率が低下する。
【0016】
換言すれば、既存技術であるSTPを用いた場合には、マルチホーミングの際に発生するフレームのループや多重到着を避けることができる。しかしながら、複数のプロバイダエッジ装置に接続された複数のアクセス回線のうち、1系統のみがアクティブ状態に設定され、残りの他系統が非アクティブ状態に設定される。このため、アクセス回線の利用効率が低下する。
【0017】
本発明の一態様の目的は、フレームのループや多重到着を防止でき、且つネットワーク利用率の低下を回避可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様は、複数のカスタマエッジ装置間で送受信されるフレームを転送するために、前記複数のカスタマエッジ装置と複数のアクセス回線を介して接続された複数のプロバイダエッジ装置を含むプロバイダ網であって、
前記複数のプロバイダエッジ装置は、前記複数のカスタマエッジ装置中の特定のカスタマエッジ装置と相互に異なる2以上のアクセス回線を介して接続された2以上のプロバイダエッジ装置を含み、
前記2以上のプロバイダエッジ装置の夫々は、
前記特定のカスタマエッジ装置から受信された他のカスタマエッジ装置向けのフレームがカプセル化された、前記他のカスタマエッジ装置と接続された他のプロバイダエッジ装置へ送信すべきカプセル化フレームを生成する入口処理部と、
他のプロバイダエッジ装置から受信されたカプセル化フレームから、前記特定のカスタマエッジ装置へ転送すべきフレームを抽出する出口処理部と、
前記2以上のアクセス回線が属するアクセス回線グループを示すグループ識別子と関連づけて、前記2以上のプロバイダエッジ装置の識別子が格納される記憶部と、
他のプロバイダエッジ装置から受信されるカプセル化フレームのうち、以下のフィルタ条件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たすカプセル化フレーム、又は当該カプセル化フレーム中のフレームを廃棄するフィルタ部と、を含む。
(1)カプセル化フレーム中の、当該カプセル化フレームの送信元プロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部に格納されている。
(2)カプセル化フレームが前記2以上のプロバイダエッジ装置を宛先に含むマルチキャストフレームであり、前記記憶部に識別子が格納された前記2以上のプロバイダエッジ装置のうち、プロバイダエッジ装置自身と異なるプロバイダエッジ装置が当該マルチキャストフレームの出口処理を行う。
【0019】
本発明の他の態様は、上記したプロバイダ網に含まれるプロバイダエッジ装置,当該プロバイダエッジ装置によるフレームフィルタリング方法、を含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、フレームのループや多重到着を防止でき、且つネットワーク利用率の低下を回避可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態のネットワーク通信システムの概要構成図である。
【図2】アクセス回線グループ情報フレームの説明図である。
【図3】プロバイダエッジ装置の概要構成ブロック図である。
【図4】アクセス回線グループ情報フレームの第1の具体例の説明図である。
【図5】アクセス回線グループ情報フレームの第2の具体例の説明図である。
【図6】アクセス回線グループ情報送出部の第1の処理フローチャートである。
【図7】アクセス回線グループ情報送出部の第2の処理フローチャートである。
【図8】アクセス回線グループ情報受信処理部の処理フローチャートである。
【図9】アクセス回線グループ情報テーブルの概要構成説明図である。
【図10】フィルタ設定部における処理フローチャートである。
【図11】PBBを用いてイーサネット(登録商標)MACフレームの伝送サービスを提供するサービス提供網の従来例の説明図である。
【図12】PBBを用いたサービス提供網でマルチホーミングを実現した従来例、及びこのときに発生する問題の説明図である。
【図13】STPを用いた場合の従来例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。以下の実施形態に係るネットワーク通信システムでは、複数のプロバイダエッジ装置にそれぞれ接続されたアクセス回線をアクティブにした状態で、フレームのループや多重到着を回避するために、プロバイダエッジ装置でループや多重到着の要因となるサービスフレームが検出され、そのようなサービスフレームがフィルタリングされる。
【0023】
図1は、実施形態におけるネットワーク通信システムの構成例を示す図である。図1において、実施形態におけるネットワーク通信システム10は、複数のプロバイダエッジ装置PE#1〜PE#4が相互に接続されることによって、PBBを用いたプロバイダ網(PBB網:バックボーンネットワーク)が形成されている。PBB網は、カスタマ拠点間を結ぶサービス網として利用される。
【0024】
各カスタマ拠点には、アクセス回線を介したプロバイダエッジ装置(PE)との接続によってPBB網と接続されるカスタマエッジ装置(CE)が配置される。図1に示す実施形態では、カスタマエッジ装置CE#1,CE#2,CE#3を夫々擁する三つのカスタマ拠点が例示されている。
【0025】
プロバイダエッジ装置PE#1には、アクセス回線AL1を介してカスタマエッジ装置CE#1が接続されている。プロバイダエッジ装置PE#2には、アクセス回線AL2を介してカスタマエッジ装置CE#2が接続されている。プロバイダエッジ装置PE#3には、アクセス回線AL3を介してカスタマエッジ装置CE#3が接続されている。カスタマエッジ装置CE#3は、アクセス回線AL4を介してプロバイダエッジ装置PE#4にも接続されている。このように、図1に示す例では、カスタマエッジ装置CE#3に対し、プロバイダエッジ装置PE#3及びPE#4がアクセス回線AL3及びAL4を介して接続された、マルチホーミングが適用されている。
【0026】
プロバイダエッジ装置PE#1には、バックボーンMACアドレス(BMAC)“A”が割り当てられている。プロバイダエッジ装置PE#2には、バックボーンMACアドレス“B”が割り当てられている。プロバイダエッジ装置PE#3には、バックボーンMACアドレス“C”が割り当てられている。プロバイダエッジ装置PE#4には、バックボーンMACアドレス“D”が割り当てられている。
【0027】
また、各プロバイダエッジ装置PE#1〜PE#4は、ループや多重到着の要因となるサービスフレームを検出するため、“アクセス回線グループ情報フレーム(グループ情報
フレーム)”と呼ばれるフレームを、同一のサービスに属するすべてのプロバイダエッジ装置に送信する。
【0028】
図2は、アクセス回線グループ情報フレームのフォーマット例の説明図である。図2において、アクセス回線グループ情報フレーム11は、アクセス回線グループIDフィールド12(フィールド12)と、バックボーンMACアドレスフィールド13(フィールド13)とを含むことができる。フィールド12には、アクセス回線グループID(ALGID)が格納される。フィールド13には、アクセス回線グループ情報フレームの送信元であるプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスが格納される。
【0029】
アクセス回線グループID(“ALGID”とも表記する)は、マルチホーミングされているカスタマエッジ装置(カスタマ拠点)とPBB網(プロバイダ網)とを結ぶ複数のアクセス回線からなるアクセス回線のグループに対して割り当てられる識別子である。すなわち、カスタマエッジ装置とPBB網とを結ぶ複数のアクセス回線に対して同一のALGIDが割り当てられる。ALGIDは、ALGIDを有するアクセス回線を収容するプロバイダエッジ装置に設定される。ALGIDの割り当て方法は、公知の様々な手法を適用することができる。例えば、図1に示すネットワークシステムにおいて、PBB網のオペレータがユニークなALGIDを、各プロバイダエッジ装置PE#1〜PE#4に対して設定することができる。
【0030】
図1に例示するネットワークシステムでは、カスタマエッジ装置CE#3とプロバイダエッジ装置PE#3とを結ぶアクセス回線AL3と、カスタマエッジ装置CE#3とプロバイダエッジ装置PE#4とを結ぶアクセス回線AL4とに対して、同一のアクセス回線グループID“GGG”が割り当てられている。
【0031】
また、カスタマエッジ装置CE#1とプロバイダエッジ装置PE#1とを結ぶアクセス回線AL1には、アクセス回線AL2、アクセス回線AL3及びAL4とは異なるアクセス回線グループID“GGH”が割り当てられている。
【0032】
同様に、カスタマエッジ装置CE#2とプロバイダエッジ装置PE#2とを結ぶアクセス回線AL2には、アクセス回線AL1、アクセス回線AL3及びAL4とは異なるアクセス回線グループID“GGI”が割り当てられている。
【0033】
グループ情報フレームは、上述したように、各プロバイダエッジ装置から、同一のサービスに属する全てのプロバイダエッジ装置へ送信される。グループ情報フレームを受信したプロバイダエッジ装置は、フィールド13に格納されたバックボーンMACアドレスから、グループ情報フレームの送信元のプロバイダエッジ装置を特定し、さらに、フィールド12中のALGIDから、送信元のプロバイダエッジ装置に接続されたアクセス回線に割り当てられたALGIDを特定することができる。
【0034】
なお、上述したように、ALGIDは、プロバイダエッジ装置に収容されるアクセス回線に割り当てられる識別子であり、当該アクセス回線を収容するプロバイダエッジ装置に設定される。このため、或るアクセス回線グループに属するアクセス回線を収容するプロバイダエッジ装置は、当該アクセス回線グループに属している、と考えることができる。したがって、以下の説明において、“プロバイダエッジ装置に収容されるアクセス回線が属するアクセス回線グループ(のALGID)”を指して、“プロバイダ装置が属するアクセス回線グループ(のALGID)”という表記を用いることもある。
【0035】
次に、プロバイダエッジ装置PE#1〜PE#4の構成例について説明する。本実施形態では、プロバイダエッジ装置PE#1〜PE#4は、同一の構成を有するので、プロバ
イダエッジ装置PE#3を例として説明する。
【0036】
図3は、プロバイダエッジ装置PE#3の構成例を模式的に示すブロック図である。図3において、プロバイダエッジ装置PE#3は、大別すると、アクセス回線グループ情報送出部21(“送出部21”とも表記)と、アクセス回線グループ情報受信処理部22(“受信処理部22”とも表記)と、アクセス回線グループ情報テーブル23(“テーブル23”とも表記)と、フィルタ設定部24とを備えている。
【0037】
さらに、プロバイダエッジ装置PE#3は、フレームフィルタ部25(“フィルタ部25”とも表記)と、バックボーンデカプセル化部26(“デカプセル化部26”とも表記)と、フォワーディングテーブル27(“テーブル27”とも表記)と、バックボーンカプセル化部28(“カプセル化部28”とも表記)と、を備えている。
【0038】
図3に示す複数のブロックのうち、バックボーンデカプセル化部26,フォワーディングテーブル27,バックボーンカプセル化部28,及びフレームフィルタ部25は、専用又は汎用のハードウェア(電気・電子回路(ASICなど))を用いて実現される。アクセス回線グループ情報送出部21,アクセス回線グループ情報受信処理部22,フィルタ設定部24は、専用又は汎用のハードウェアを用いて実現可能である。
【0039】
或いは、アクセス回線グループ情報送出部21,アクセス回線グループ情報受信処理部22,フィルタ設定部24は、ソフトウェア処理、すなわち、Central Processing Unit (CPU),Digital Signal Processor(DSP)のようなプロセッサ(マイクロプロセッサ)が、ストレージ(ROM、フラッシュメモリなど)に記憶されたプログラムをRAMにロードして実行することによって得られる機能として実現されることもできる。テーブル23は、プロバイダエッジ装置が備えるストレージ上の所定の記憶領域に形成される。
【0040】
バックボーンカプセル化部28,バックボーンデカプセル化部26、及びフォワーディングテーブル27は、IEEE802.1ahに準拠するバックボーンエッジブリッジと同様に動作する。すなわち、バックボーンカプセル化部28は、プロバイダエッジ装置が有するカスタマエッジ装置側の受信部21Aで受信されるMACフレーム(サービスフレーム)を受信する。バックボーンカプセル化部28は、サービスフレームをバックボーンMACフレームでカプセル化する。
【0041】
このとき、フォワーディングテーブル27を参照し、サービスフレームの宛先MACアドレスに対応するバックボーン宛先MACアドレスをテーブル27から得て、バックボーンMACフレームに設定する。カプセル化されたサービスフレーム(バックボーンMACフレーム)は、テーブル27に格納された、サービスフレームの宛先MACアドレスに対応する、プロバイダエッジ装置が有するPBB網側の送信部21Bが有する出力ポートへ送られ、当該出力ポートからPBB網へ送出される。このように、カプセル化部28は、サービスフレームに対する入口処理部として機能し、プロバイダエッジ装置をPBB網の入口ノードとして機能させる。
【0042】
バックボーンデカプセル化部26は、プロバイダエッジ装置のPBB網側の受信部22Aで受信され、フレームフィルタ部25を通過したバックボーンMACフレームを受け取る。バックボーンデカプセル化部26は、バックボーンMACフレーム中のバックボーン宛先MACアドレス(B−DA)を参照する。このとき、B−DAがプロバイダエッジ装置PE#3のバックボーンMACアドレスでなければ、テーブル27を参照し、B−DAに対応する送信部21Bの出力ポートへ向けてバックボーンMACフレームを送出する。これによって、バックボーンMACフレームは、B−DAを有する目的のプロバイダエッジ装置へ転送される。
【0043】
一方、バックボーンMACフレーム中のB−DAがプロバイダエッジ装置PE#3のバックボーンMACアドレスである場合には、デカプセル化部26は、バックボーンMACフレームからサービスフレームを抽出する。デカプセル化部26は、サービスフレームの宛先MACアドレスに対応する出力ポート(カスタマエッジ装置側)をテーブル27の参照によって特定し、特定した出力ポートへ送る。出力ポートは、プロバイダエッジ装置が有するカスタマエッジ装置側の送信部22Bに含まれている。サービスフレームは、出力ポートから、出力ポートに接続されたアクセス回線AL3(図1)を介してカスタマエッジ装置CE#3へ送信される。このように、デカプセル化部26は、サービスフレームに対する出口処理部として機能し、プロバイダエッジ装置をPBB網の出口ノードとして機能させる。
【0044】
フォワーディングテーブル27は、少なくとも、カスタマエッジ装置のMACアドレスと、PBB網内におけるプロバイダエッジ装置のMACアドレス(バックボーンMACアドレス)と、PBB網側の出力ポートの特定情報(ID)と、カスタマエッジ装置側の出力ポートの特定情報(ID)とを関連づけて記憶している。
【0045】
アクセス回線グループ情報送出部21は、アクセス回線グループIDを通知するためのグループ情報フレーム11(図2)を定期的に同一のサービスを提供するプロバイダエッジ装置(図1に例示するネットワークシステムでは、プロバイダエッジ装置PE#1、PE#2、PE#4)に送出する。グループ情報フレームは、同一のアクセス回線グループに属する全てのプロバイダエッジ装置で受信されるように、グループ情報フレームのB−DAが設定される。本実施形態においては、プロバイダエッジ装置PE#3の送出部21が送信するグループ情報フレームは、少なくともプロバイダエッジ装置PE#4に到達するように、B−DAが設定される。
【0046】
アクセス回線グループ情報受信処理部22は、他のプロバイダエッジ装置(図1では、プロバイダエッジ装置PE#1、PE#2、PE#4)から送られてきたアクセス回線グループ情報フレーム11を受信し、内容を解析する。受信処理部22は、受信処理部22自身が属するプロバイダエッジ装置(プロバイダエッジ装置PE#3)に設定されているALGIDと同一のALGIDがグループ情報フレーム11のフィールド12に含まれていた場合には、受信したアクセス回線グループ情報フレーム中のフィールド13に格納されたバックボーンMACアドレス(B−SA)を取り出し、アクセス回線グループ情報テーブル23に追加(登録)する。
【0047】
本実施形態では、アクセス回線AL3及びAL4(プロバイダエッジ装置PE#3及びPE#4)に対し、同一のALGIDが割り当てられている。このため、プロバイダエッジ装置PE#3のアクセス回線グループ情報テーブル23には、プロバイダエッジ装置PE#4のバックボーンMACアドレス“D”が追加される。一方、プロバイダエッジ装置PE#4のアクセス回線グループ情報テーブル23には、プロバイダエッジ装置PE#3のバックボーンMACアドレス“C”が追加される(図9参照)。
【0048】
フィルタ設定部24は、アクセス回線グループ情報テーブル23の内容に従ってフレームフィルタ部25に対してフィルタ条件を設定する。フレームフィルタ部25は、フィルタ設定部24によって設定されたフィルタ条件に一致するバックボーンMACフレームを廃棄する。
【0049】
以下、フレームフィルタ部25の設定について説明する。プロバイダエッジ装置のフィルタ設定部24は、テーブル23に登録されたバックボーンMACアドレス(BMAC)がB−SAとして設定されたバックボーンMACフレームを廃棄(遮断)するためのフィ
ルタ条件をフレームフィルタ部25に施す。
【0050】
本実施形態においては、プロバイダエッジ装置PE#3とプロバイダエッジ装置PE#4とは、同一のアクセス回線グループIDを有している。このため、プロバイダエッジ装置PE#3のバックボーンMACアドレス“C”がB−SAとして設定されたバックボーンMACフレームは、プロバイダエッジ装置PE#4のフィルタ部25で廃棄される。同様に、プロバイダエッジ装置PE#4のバックボーンMACアドレス“D”がB−SAとして設定されたバックボーンMACフレームは、プロバイダエッジ装置PE#3のフィルタ部25で廃棄される。
【0051】
上述したフィルタ条件の設定によって、カスタマエッジ装置CE#3からプロバイダエッジ装置PE#3又はPE#4の一方へ送出されたMACフレーム(サービスフレーム)が、プロバイダエッジ装置PE#3又はPE#4の他方を経由してカスタマエッジ装置CE#3へ戻る状態(すなわち、フレームのループ)を防ぐことができる。
【0052】
また、アクセス回線グループ情報テーブル23に登録されたバックボーンMACアドレスをそれぞれ有する複数のプロバイダエッジ装置に対し、次のようなフィルタ条件が設定される。すなわち、バックボーン宛先MACアドレスとしてマルチキャストアドレスが設定されたバックボーンMACフレーム(マルチキャストフレーム)を、テーブル23に登録された複数のプロバイダエッジ装置が受信した場合に、複数のプロバイダエッジ装置のうち、所定の一つのプロバイダエッジ装置(ノード)のみが、当該マルチキャストフレームを転送(透過)し、残りのプロバイダエッジ装置(ノード)が当該マルチキャストフレームを廃棄する。
【0053】
マルチキャストフレームを透過させるプロバイダエッジ装置は適宜選択可能である。例えば、或るアクセス回線グループIDと関連づけられた(テーブル23に登録された)複数のバックボーンMACアドレスのうち、最小値又は最大値のバックボーンMACアドレスを有するプロバイダエッジ装置がマルチキャストフレームを透過し、残りはマルチキャストフレームを廃棄するように、フィルタ設定部24がフィルタ部25にフィルタ条件を設定することができる。
【0054】
例えば、最小のバックボーンMACアドレスを有するプロバイダエッジ装置がマルチキャストフレームを透過するフィルタ条件が設定されている場合において、或るプロバイダエッジ装置がマルチキャストフレームを受信したと仮定する。このとき、或るプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスが最小値であれば、当該或るプロバイダエッジ装置は、当該マルチキャストフレームを透過し、そうでなければ、当該或るプロバイダエッジ装置は、当該マルチキャストフレームを廃棄する。
【0055】
本実施形態では、同一のアクセス回線グループに属する(同一のアクセス回線グループIDを有する)プロバイダエッジ装置PE#3及びPE#4(図3)のうち、プロバイダエッジ装置PE#3のバックボーンMACアドレスが最小であると仮定する。このため、プロバイダエッジ装置#3のみがマルチキャストフレームを透過するように、フィルタ条件が設定される。
【0056】
例えば、図1に示すプロバイダエッジ装置PE#1がカスタマエッジ装置CE#1から受信したサービスフレームを含むバックボーンMACフレームをフラッディングによってマルチキャストしたと仮定する。この場合、マルチキャストされたバックボーンMACアドレス(マルチキャストフレーム)のB−DAには、同一サービスを提供する他のプロバイダエッジ装置が当該フレームを受信するためのマルチキャストアドレスが設定される。したがって、当該マルチキャストフレームは、プロバイダエッジ装置PE#3及びプロバ
イダエッジ装置PE#4で受信される。
【0057】
このとき、上述したフィルタ部25に対するフィルタ条件がプロバイダエッジ装置PE#3及びPE#4で設定されていれば、プロバイダエッジ装置PE#3は、マルチキャストフレーム中のサービスフレームをカスタマエッジ装置CE3に転送(透過)する。一方、プロバイダエッジ装置PE#4は、マルチキャストフレームを廃棄する。従って、カスタマエッジ装置CE#3には、プロバイダエッジ装置PE#3からのサービスフレームのみが到着する。このようにして、サービスフレームの多重到着が防止される。なお、本実施形態では、フィルタ部25がバックボーンMACフレーム(カプセル化フレーム)を廃棄する構成を採用しているが、フィルタ部25がフィルタ条件に従ってデカプセル化されたバックボーンMACフレーム中のフレーム(サービスフレーム)を廃棄する構成が採用されても良い。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によれば、カスタマ拠点(カスタマエッジ装置)間でMACフレームを伝送するサービスを提供するプロバイダ網(PBB網)において、PBB網とカスタマ拠点との間でSTPを実行することなくマルチホーミングを実施することができる。これにより、アクセス回線やプロバイダ網のエッジ装置の利用効率を高めることができ、より効率的なサービス収容が可能になる。
【0059】
本実施形態をさらに詳細に説明する。上述したように、カスタマエッジ装置CE#3を収容している2本のアクセス回線AL3、AL4には、アクセス回線グループID“GGG”が付与されている。また、カスタマエッジ装置CE#1、カスタマエッジ装置CE#2及びカスタマエッジ装置CE#3の間で相互に伝送されるMACフレーム(サービスフレーム)をカプセル化するバックボーンフレームは、サービス識別子(ISID)“X”と、バックボーンVLAN識別子(BVID)“Y”を持つと仮定する。
【0060】
図4は、アクセス回線グループ情報フレームの第1の具体例の説明図である。図4に示すアクセスグループ情報フレーム31は、図2に示したグループ情報フレーム11の詳細を示す。図4において、グループ情報フレーム31は、アクセス回線グループIDフィールド32と、タイプIDフィールド33と、ISIDフィールド34と、BVIDフィールド35と、バックボーン送信元MACアドレス(B−SA)フィールド36と、バックボーンMAC宛先アドレス(B−DA)フィールド37と、を含んでいる。
【0061】
プロバイダエッジ装置PE#3及びPE#4から夫々送出されるアクセス回線グループ情報フレームには、以下の情報が格納される。アクセス回線グループIDフィールド32には、同一のアクセス回線グループID“GGG”が設定される。タイプIDフィールド33には、フレーム種別を示すIDとして、当該フレームがアクセス回線グループ情報フレームであることを示すデータ(識別子)が格納される。ISIDフィールド34には、サービス識別子(ISID: I−tag)“X”が格納される。BVIDフィールド35には、バックボーンVLAN識別子(BVID: B−tag)“Y”が格納される。
【0062】
B−SAフィールド36には、アクセス回線グループ情報フレーム31の送出元プロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスが格納される。B−DAフィールド37には、B−DAとして、サービスインスタンスグループアドレスが格納される。サービスインスタンスグループアドレスは、IEEE802.1ahで規定されたマルチキャストアドレスの一種であり、同一のサービスに属するエッジノードを宛先とするマルチキャスト送信用のアドレスである。これによって、グループ情報フレーム31は、サービスインスタンスが設定されているすべてのプロバイダエッジ装置で受信される。本実施形態では、プロバイダエッジ装置PE#1〜PE#4は、同一のサービスに属しているので、プロバイダエッジ装置PE#1〜PE#4間において、グループ情報フレーム31は、相互に送
受信される。
【0063】
図5は、アクセス回線グループ情報フレームの第2の具体例の説明図である。図5において、アクセス回線グループ情報フレーム41は、図4に示したアクセス回線グループ情報フレーム31に、アクセス回線障害情報フィールド42が追加されたフォーマットを有する。フィールド42には、アクセス回線における障害の有無を示すアクセス回線障害情報が格納される。アクセス回線障害情報は、例えば1ビット(“0”又は“1”)を、“障害有り”、“障害なし”に割り当てることができる。或いは、アクセス回線障害情報は、障害の有無を示す所定ビット値で表現可能である。2ビット以上で表現する場合、装置障害とリンク(アクセス回線)障害とを使い分けることができる。なお、フィールド42は、オプションであり、アクセス回線グループ情報フレームとして、フレーム31とフレーム41とのいずれを用いるかは、適宜選択可能である。
【0064】
以下、図3に示したプロバイダエッジ装置における処理について説明する。図6は、アクセス回線グループ情報送出部21の処理を示す第1の処理フローチャートである。図6には、グループ情報フレームとしてアクセス回線障害情報フィールド42を含まないグループ情報フレーム31が適用される場合における送出部21の処理が示されている。図6に示す処理は、例えば、プロバイダエッジ装置の電源投入を契機として開始されることができる。
【0065】
図6において、アクセス回線グループ情報送出部21は、アクセス回線の障害があるか否かを判定する(ステップS11)。例えば、プロバイダエッジ装置は、アクセス回線からの信号入力の監視のような、公知の手法を用いてアクセス回線の障害を監視する。そして、アクセス回線の障害の有無を示す情報(信号)が、アクセス回線グループ情報送出部21に通知される。或いは、アクセス回線の障害の有無を示す情報が、プロバイダエッジ装置が備えるストレージの所定の記憶領域に格納され、アクセス回線グループ情報送出部21が、当該情報を参照することによって、障害の有無を判定する。
【0066】
ステップS11の判定において、アクセス回線の障害がある場合には(ステップS11;Yes)、アクセス回線グループ情報送出部21は、グループ情報フレーム31をPBB網に対して送出せずに待機状態となる。すなわち、アクセス回線グループ情報送出部21は、アクセス回線に障害が検出された場合に、グループ情報フレーム31の送出を中断する。
【0067】
これによって、或るプロバイダエッジ装置(例えばPE#3)からのグループ情報フレーム31の送信が中断された場合には、グループ情報フレーム31を受信すべき他のプロバイダエッジ装置(PE#1,PE#2,PE#4)は、グループ情報フレーム31を受信できなくなる。このような、グループ情報フレーム31の受信不能を以て、他のプロバイダエッジ装置は、グループ情報フレーム31のB−SAを有するプロバイダエッジ装置に、装置障害(プロバイダエッジ装置自身の障害)及びリンク障害(プロバイダエッジ装置が収容するアクセス回線の障害)の少なくとも一方が発生したことを認識することができる。
【0068】
言い換えれば、アクセス回線の障害を検知したプロバイダエッジ装置は、グループ情報フレーム31の送信中断によって、他のプロバイダエッジ装置に対して障害発生を知らせることができる。このとき、他のプロバイダエッジ装置は、アクセス回線グループ情報テーブル23から、アクセス回線グループ情報フレーム31の送信を中断したプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスを削除することができる。フィルタ条件を見直すためである。
【0069】
ステップS11において、アクセス回線の障害がない場合には(ステップS11;No)、アクセス回線グループ情報送出部21は、アクセス回線グループ情報フレーム31を送出する(ステップS12)。その後、アクセス回線グループ情報送出部21は、一定時間待機し(ステップS13)、処理を再びステップS11に戻す。したがって、アクセス回線に障害がない場合には、アクセス回線グループ情報送出部21は、周期的にアクセス回線グループ情報フレーム31を送出する。
【0070】
図7は、アクセス回線グループ情報送出部21の処理を示す第2の処理フローチャートである。図7は、アクセス回線グループ情報フレームとして、アクセス回線グループ情報フレーム41が適用される場合の処理を示す。図7に示す処理が開始されると、最初に、アクセス回線グループ情報送出部21は、アクセス回線の障害があるか否かを判定する(ステップS21)。
【0071】
ステップS21の判定において、アクセス回線の障害がある場合には(ステップS21;Yes)、アクセス回線グループ情報送出部21は、送出しようとするアクセス回線グループ情報フレーム41におけるフィールド42の値を“障害有り”に設定する(ステップS22)。続いて、送出部21は、グループ情報フレーム41を送出する(ステップS23)。そして、送出部21は、一定時間待機し(ステップS24)、処理を再びステップS21に戻す。
【0072】
一方、ステップS21において、アクセス回線の障害がない場合には(ステップS21;No)、送出部21は、送出しようとするアクセス回線グループ情報フレーム41におけるフィールド42の値を“障害無し”に設定する(ステップS25)。続いて、送出部21は、グループ情報フレーム41をPBB網へ送出する(ステップS26)。そして、送出部21は、一定時間待機し(ステップS27)、処理を再びステップS21に戻す。
【0073】
このように、アクセス回線グループ情報フレーム41が適用される場合には、アクセス回線の障害の有無に拘らず、周期的にアクセス回線グループ情報フレーム41が送出される。アクセス回線グループ情報フレーム41を受信する他のプロバイダエッジ装置は、“障害有り”が設定されたフィールド42を参照することによって、当該アクセス回線グループ情報フレーム41を送信した(当該フレーム41に設定されたバックボーンMACアドレスを有する)プロバイダエッジ装置の装置障害(プロバイダエッジ装置自身の障害)とリンク障害(プロバイダエッジ装置に接続されたアクセス回線の障害)との少なくとも一方があることを認識することができる。
【0074】
図8は、アクセス回線グループ情報受信処理部の処理例を示すフローチャートである。図8には、アクセス回線グループ情報フレーム31及び41の双方に適用可能な処理が示されている。図8に示す処理は、例えば、プロバイダエッジ装置の電源投入を契機としてスタートする。
【0075】
アクセス回線グループ情報受信処理部22は、図示しない複数のタイマを有している。図8に示す処理が開始されると、アクセス回線グループ情報受信処理部22は、すべてのタイマを無効化する(ステップS31)。全てのタイマを無効化した初期状態で、処理を次のステップS32に進める。
【0076】
次に、アクセス回線グループ情報受信処理部22は、有効なタイマのいずれかが終了したか否かを判別する(ステップS32)。初回のステップS32では、初期状態であるので、有効なタイマは存在しない(ステップS32;No)。従って、アクセス回線グループ情報受信処理部22は、アクセス回線グループ情報フレームを受信したか否かを判定する(ステップS33)。
【0077】
ステップS33において、アクセス回線グループ情報フレームを受信していない場合には(ステップS33;No)、処理をステップS32に戻して、ステップS32及びS33の処理を繰り返す。
【0078】
これに対し、ステップS33において、アクセス回線グループ情報フレームが受信されている場合には(ステップS33;Yes)、アクセス回線グループ情報受信処理部22は、フレーム中のアクセス回線グループIDフィールド32を参照し、フィールド32中のアクセス回線グループIDが受信処理部22自身を有するプロバイダエッジ装置(自ノード)に設定されているアクセス回線グループID(ALGID)と同じであるか否かを判定する(ステップS34)。当該判定は、例えば、テーブル23に登録されているアクセス回線グループ情報IDと、フィールド32中のアクセス回線グループ情報IDとの対比によって実行される。
【0079】
ステップS34において、アクセス回線グループID同士が同じである場合には(ステップS34;Yes)、アクセス回線グループ情報受信処理部22は、受信したアクセス回線グループ情報フレームのB−SAフィールド36(図4、図5)から、送信元のプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレス(B−SA)を抽出し、バックボーンMACアドレスがアクセス回線グループ情報テーブル23(図3)の中に含まれているか否かを判定する(ステップS35)。
【0080】
ステップS35において、フィールド36に格納されている値がアクセス回線グループ情報テーブル23に登録されていない場合には(ステップS35;No)、同一のアクセス回線グループIDを有する(同一のアクセス回線グループに属する)新たなプロバイダエッジ装置からアクセス回線グループ情報フレームを受信したことに該当する。
【0081】
次に、受信処理部22は、当該アクセス回線グループ情報フレームが“アクセス回線障害あり”の情報を含むか否かを判別する(ステップS42)。ステップS42において、アクセス回線グループ情報フレームがフィールド42(図5)を含まない(フレーム31(図4)である)場合、及び、アクセス回線グループ情報フレームがフレーム41であって、アクセス回線障害情報フィールド42に“障害なし”が設定されている場合には、フレームが“アクセス回線障害あり”の情報を含まないと判定される。
【0082】
フレームが“アクセス回線障害あり”の情報を含まない場合(ステップS42;No)には、受信処理部22は、アクセス回線グループ情報テーブル23に新たなエントリを追加する。さらに、受信処理部22は、新たなエントリに対し、受信したアクセス回線グループ情報フレームのフィールド36に含まれるバックボーンMACアドレス(B−SA)を格納する(ステップS43)。
【0083】
さらに、受信処理部22は、新たなエントリに対し、一つの新たなタイマを割り当てて、タイマの計時を開始する(ステップS44)。その後、処理がステップS32に戻る。タイマの値は、アクセス回線グループ情報フレームの送出周期の数倍程度に設定される。そして、対応するプロバイダエッジ装置の障害や、当該プロバイダエッジ装置に接続されているアクセス回線の障害のような様々な理由により、そのプロバイダエッジ装置からのアクセス回線グループ情報フレームの周期的な受信が止まった場合に、タイマ終了のイベントが発生する。
【0084】
ステップS35において、B−SAフィールド36に格納されている値がアクセス回線グループ情報テーブル23に登録されている場合には(ステップS35;Yes)、受信処理部22は、フレームに“アクセス回線障害あり”の情報が含まれているか否かを判定
する(ステップS36)。ステップS36では、ステップS42と同様の処理が行われる。
【0085】
ステップS36の判定において、“アクセス回線障害あり”の情報が含まれていない場合には(ステップS36;No)、受信処理部は、対応するタイマを停止して、タイマの値を初期値に戻してタイマの計時を再開し(ステップS37)、処理がステップS32に戻る。
【0086】
ステップS36の判定において、“アクセス回線障害あり”の情報が含まれている場合には(ステップS36;Yes)、受信処理部22は、対応するアクセス回線グループ情報テーブル23のエントリを削除して(ステップS40)、対応するタイマを停止して無効化する(ステップS41)。
【0087】
また、ステップS32の判定において、いずれかの有効なタイマが終了した場合には(ステップS32;Yes)、上述したとおり、対応するプロバイダエッジ装置の障害発生(装置障害)、或いは、当該プロバイダエッジ装置に接続されるアクセス回線の障害発生(リンク障害)が想定される。このため、受信処理部22は、アクセス回線グループ情報テーブル23中の障害に係るプロバイダエッジ装置のエントリを削除して(ステップS38)、タイマを無効化する(ステップS39)。その後、処理がステップS32に戻る。
【0088】
上述したような受信処理部22の処理によって、アクセス回線グループ情報テーブル23には、当該プロバイダエッジ装置と同じアクセス回線グループIDを有し、且つ、装置障害及びアクセス回線障害(リンク障害)を有しない他のプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスのリストが作成される。
【0089】
図9は、アクセス回線グループ情報テーブル23の構成例を示す図である。テーブル23は、アクセス回線グループIDに対応する1以上のエントリを有し、各エントリには、アクセス回線グループIDで特定されるアクセス回線グループに属するプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスが格納される。
【0090】
図9に示す例では、アクセス回線グループIDとして、プロバイダエッジ装置PE#3及びPE#4(図1)(アクセス回線AL3及びAL4)が属するアクセス回線グループID“GGG”がテーブル23に登録されている(領域51参照)。このグループID“GGG”に対応づけて、プロバイダエッジ装置PE#4のバックボーンMACアドレス“D”を有するエントリ52と、プロバイダエッジ装置PE#3のバックボーンMACアドレス“C”を有するエントリ53とが登録されている。図9に示すテーブル23は、プロバイダエッジ装置PE#4が有するテーブル23が想定されており、プロバイダエッジ装置PE#4自身のバックボーンMACアドレス“D”が先頭のエントリに登録されている。
【0091】
もし、アクセス回線AL3及びAL4と異なるアクセス回線を介してカスタマエッジ装置CE#3と接続された新たなプロバイダエッジ装置がPBB網に設置される場合には、この新たなプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスが格納されたエントリ(図9のエントリ54−1参照)が追加される。新たなアクセス回線を介してカスタマエッジ装置CE#3と接続されるプロバイダエッジ装置が増える毎に、対応するバックボーンMACアドレスのエントリがテーブル23に追加される。
【0092】
一方、プロバイダエッジ装置に関する装置障害又はアクセス回線障害が生じた場合には、障害に係るプロバイダエッジ装置のエントリがテーブル23から削除される。このように、テーブル23は、アクセス回線グループIDを夫々有する、障害のない(正常な)プ
ロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスのリストとして機能する。
【0093】
フィルタ設定部24(図3)は、テーブル23上に作成されたバックボーンMACアドレスのリストが格納されたアクセス回線グループ情報テーブル23に基づいて、フレームフィルタ部25にフィルタ条件設定を行う。
【0094】
図10は、フィルタ設定部24における処理例を示すフローチャートである。図10に示す処理は、例えば、フィルタ設定部24がアクセス回線グループ情報テーブル23の内容の更新を監視し、内容が更新される毎に起動される。
【0095】
具体的には、フィルタ設定部24は、B−SAがアクセス回線グループ情報テーブル23に含まれるバックボーンMACアドレスのうちの一つであり、サービス識別子(ISID)が“X”であるバックボーンMACフレームを廃棄するフィルタ条件をフレームフィルタ部25に設定する(ステップS51)。
【0096】
このようなフィルタ条件によって、同一のアクセス回線グループIDを有するプロバイダエッジ装置から送信され、且つアクセス回線グループに係るアクセス回線を介して接続されたカスタマエッジ装置に適用されるサービス識別子(ISID)が設定されたバックボーンMACフレームがフレームフィルタ部25で廃棄される。
【0097】
例えば、プロバイダエッジ装置PE#3がカスタマエッジ装置CE#3からアクセス回線AL3を介してサービスフレームを受信し、プロバイダエッジPE#3のバックボーンMACアドレス“C”がB−SAに設定され、且つISID“X”が設定されたバックボーンMACフレームをプロバイダエッジ装置PE#4へ転送したと仮定する。
【0098】
この場合、プロバイダエッジ装置PE#4のフレームフィルタ部25は、ステップS51で設定したフィルタ条件に従って、プロバイダエッジ装置PE#3からのバックボーンMACフレームを廃棄する。これによって、バックボーンMACフレーム中のサービスフレームがアクセス回線AL4を介してカスタマエッジ装置CE#3に転送される、すなわち、ループが発生することが防止される。
【0099】
逆に、プロバイダエッジ装置PE#4からプロバイダエッジ装置PE#3へ転送される、ISID“X”を有するバックボーンMACフレームも、プロバイダエッジ装置PE#3におけるフレームフィルタ部25において廃棄される。このようにして、異なるアクセス回線を介して共通のカスタマエッジ装置に接続されたプロバイダエッジ装置間で送受信されるバックボーンMACフレームであって、カスタマエッジ装置に係るサービス識別子(ISID)を有するバックボーンMACフレームが廃棄される。これによって、ループ発生が回避される。
【0100】
図10に戻って、フィルタ設定部24は、自己が属するプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスの値がアクセス回線グループ情報テーブル23に含まれるバックボーンMACアドレスの値のうち最も小さいか否かを判定する(ステップS52)。
【0101】
ステップS52において、自己が属するプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスの値がアクセス回線グループ情報テーブル23に登録されたバックボーンMACアドレスの最小値である場合には(ステップS52;Yes)、当該プロバイダエッジ装置がバックボーンMACフレームを通過させるべきプロバイダエッジ装置に該当する。この場合、フレームフィルタ部25に対するフィルタ条件の設定は必要が無いので、処理を終了する。
【0102】
また、ステップS52において、自己が属するプロバイダエッジ装置のバックボーンMACアドレスの値がアクセス回線グループ情報テーブル23に登録されたバックボーンMACアドレスの最小値でない場合には(ステップS52;No)、当該プロバイダエッジ装置において、フラッディングに係るバックボーンMACフレーム(マルチキャストフレーム)を廃棄すべきである。この場合、フィルタ設定部24は、B−DAがマルチキャストアドレスであり、ISID“X”であるバックボーンMACフレームを廃棄するようにフレームフィルタ部25を設定し(ステップS53)、処理を終了する。
【0103】
上記したように、図10に示す処理は、テーブル23の更新を契機として実施される。従って、例えば、プロバイダエッジ装置PE#3がプロバイダエッジ装置PE#4から“障害情報あり”の情報を含むグループ情報フレーム41を受信した場合には、“障害情報あり”の情報に従って、プロバイダエッジ装置PE#3のテーブル23からプロバイダエッジ装置PE#4のバックボーンMACアドレス(エントリ)が削除される。すると、プロバイダエッジ装置PE#3のフィルタ設定部24が、図10に示す処理を開始し、ステップS52及びS53において、プロバイダエッジ装置PE#3がフラッディングによるマルチキャストフレームを透過するフィルタ条件をフィルタ部25に施す。これによって、アクセス回線AL4の障害時に、プロバイダエッジ装置PE#3が、プロバイダエッジ装置PE#4に代わって、マルチキャストフレーム中のサービスフレームをアクセス回線AL3を介してカスタマエッジ装置CE#3に送信することができる。
【0104】
以上の説明のように、本実施形態によれば、MACフレームを伝送するサービスを提供するプロバイダ網(PBB網)とカスタマエッジ装置、ひいては、カスタマ網との間で、STPを実行することなく、ループ及びフレーム多重到着が防止されるマルチホーミングを実施することができる。これにより、アクセス回線やプロバイダ網のエッジ装置の利用効率を高めることができ、より効率的なサービス収容が可能になる。
【符号の説明】
【0105】
10 ネットワーク通信システム
21 アクセス回線グループ情報送出部
22 アクセス回線グループ情報受信処理部
23 アクセス回線グループ情報テーブル
24 フィルタ設定部
25 フレームフィルタ部
26 バックボーンデカプセル化部
27 フォワーディングテーブル
28 バックボーンカプセル化部
31、41 アクセス回線グループ情報フレーム
51 アクセス回線グループIDフィールド
52 自己バックボーンMACアドレスフィールド
53−1〜53−n バックボーンMACアドレスフィールド
AL1〜AL4 アクセス回線
PE#1〜PE#4 プロバイダエッジ装置
CE#1〜CE#3 カスタマエッジ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカスタマエッジ装置間で送受信されるフレームを転送するために、前記複数のカスタマエッジ装置と複数のアクセス回線を介して接続された複数のプロバイダエッジ装置を含み、
前記複数のプロバイダエッジ装置は、前記複数のカスタマエッジ装置中の特定のカスタマエッジ装置と相互に異なる2以上のアクセス回線を介して接続された2以上のプロバイダエッジ装置を含み、
前記2以上のプロバイダエッジ装置の夫々は、
前記特定のカスタマエッジ装置から受信された他のカスタマエッジ装置向けのフレームがカプセル化された、前記他のカスタマエッジ装置と接続された他のプロバイダエッジ装置へ送信すべきカプセル化フレームを生成する入口処理部と、
他のプロバイダエッジ装置から受信されたカプセル化フレームから、前記特定のカスタマエッジ装置へ転送すべきフレームを抽出する出口処理部と、
前記2以上のアクセス回線が属するアクセス回線グループを示すグループ識別子と関連づけて、前記2以上のプロバイダエッジ装置の識別子が格納される記憶部と、
他のプロバイダエッジ装置から受信されるカプセル化フレームのうち、以下のフィルタ条件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たすカプセル化フレーム、又は当該カプセル化フレーム中のフレームを廃棄するフィルタ部と、
を含むプロバイダ網。
(1)カプセル化フレーム中の、当該カプセル化フレームの送信元プロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部に格納されている。
(2)カプセル化フレームが前記2以上のプロバイダエッジ装置を宛先に含むマルチキャストフレームであり、前記記憶部に識別子が格納された前記2以上のプロバイダエッジ装置のうち、プロバイダエッジ装置自身と異なるプロバイダエッジ装置が当該マルチキャストフレームの出口処理を行う。
【請求項2】
前記2以上のプロバイダエッジ装置の夫々は、
前記グループ識別子と、送信元のプロバイダエッジ装置の識別子とを含むグループ情報フレームを送信する送信処理部と、
前記グループ識別子を含むグループ情報フレームが受信された場合に、前記グループ情報フレームに含まれる送信元のプロバイダエッジ装置の識別子を記憶部に格納する受信処理部と、
前記記憶部に格納されたプロバイダエッジ装置の識別子に基づいて、前記フィルタ部に対してフィルタ条件を設定する設定部と
をさらに含む請求項1に記載のプロバイダ網。
【請求項3】
前記送信処理部は、周期的に前記グループ情報フレームを送信し、送信処理部自身を有するプロバイダエッジ装置の障害,及び当該プロバイダエッジ装置が収容するアクセス回線の障害の少なくとも一方が検知された場合に、前記グループ情報フレームの送信を停止し、
前記記憶部に識別子が格納されたプロバイダエッジ装置から前記グループ情報フレームを受信しない時間が閾値を越えた場合に、当該プロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部から削除され、前記設定部が前記フィルタ部に対するフィルタ条件を再設定する
請求項2に記載のプロバイダ網。
【請求項4】
前記送信処理部は、送信処理部自身を有するプロバイダエッジ装置自身及び当該プロバイダエッジ装置が収容するアクセス回線の少なくとも一方の障害の有無を示す障害情報をさらに含む前記グループ情報フレームを周期的に送信し、
“障害有り”を示す障害情報を含む前記グループ情報フレームが受信された場合に、当
該グループ情報フレームの送信元のプロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部から削除され、前記設定部が前記フィルタ部に対するフィルタ条件を再設定する
請求項2に記載のプロバイダ網。
【請求項5】
複数のカスタマエッジ装置と複数のアクセス回線を介して接続された複数のプロバイダエッジ装置の1つであり、前記複数のカスタマエッジ装置中の特定のカスタマエッジ装置と前記複数のアクセス回線中の第1のアクセス回線を介して接続されたプロバイダエッジ装置であって、
前記特定のカスタマエッジ装置から受信された他のカスタマエッジ装置向けのフレームがカプセル化された、前記他のカスタマエッジ装置と接続された前記プロバイダエッジ装置以外のプロバイダエッジ装置へ送信すべきカプセル化フレームを生成する入口処理部と、
前記プロバイダエッジ装置以外のプロバイダエッジ装置から受信されたカプセル化フレームから、前記特定のカスタマエッジ装置へ転送すべきフレームを抽出する出口処理部と、
前記特定のカスタマエッジ装置が前記複数のアクセス回線中の第2のアクセス回線を介して他のプロバイダエッジ装置と接続されている場合に、前記第1のアクセス回線と前記第2のアクセス回線が属するアクセス回線グループを示すグループ識別子と関連づけて、前記プロバイダエッジ装置自身の識別子及び前記他のプロバイダエッジ装置の識別子が格納される記憶部と、
前記プロバイダエッジ装置以外のプロバイダエッジ装置から受信される、以下のフィルタ条件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たすカプセル化フレーム、又は当該カプセル化フレーム中のフレームを廃棄するフィルタ部と、
を含むプロバイダエッジ装置。
(1)カプセル化フレーム中の、当該カプセル化フレームの送信元プロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部に格納されている。
(2)カプセル化フレームが前記プロバイダエッジ装置を宛先に含むマルチキャストフレームであり、前記記憶部に識別子が格納された前記他のプロバイダエッジ装置が当該マルチキャストフレームの出口処理を行う。
【請求項6】
前記グループ識別子と、送信元のプロバイダエッジ装置の識別子とを含むグループ情報フレームを送信する送信処理部と、
前記グループ識別子を含むグループ情報フレームが受信された場合に、前記グループ情報フレームに含まれる送信元のプロバイダエッジ装置の識別子を記憶部に格納する受信処理部と、
前記記憶部に格納されたプロバイダエッジ装置の識別子に基づいて、前記フィルタ部に対してフィルタ条件を設定する設定部と
をさらに含む請求項5に記載のプロバイダエッジ装置。
【請求項7】
前記送信処理部は、周期的に前記グループ情報フレームを送信し、前記プロバイダエッジ装置の障害,及び前記プロバイダエッジ装置が収容するアクセス回線の障害の少なくとも一方が検知された場合に、前記グループ情報フレームの送信を停止し、
前記記憶部に識別子が格納された前記他のプロバイダエッジ装置から前記グループ情報フレームを受信しない時間が閾値を越えた場合に、前記他のプロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部から削除され、前記設定部が前記フィルタ部に対するフィルタ条件を再設定する
請求項6に記載のプロバイダエッジ装置。
【請求項8】
前記送信処理部は、前記プロバイダエッジ装置自身及び前記プロバイダエッジ装置が収容するアクセス回線の少なくとも一方の障害の有無を示す障害情報をさらに含む前記グル
ープ情報フレームを周期的に送信し、
“障害有り”を示す障害情報を含む前記他のプロバイダエッジ装置からの前記グループ情報フレームが受信された場合に、前記他のプロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部から削除され、前記設定部が前記フィルタ部に対するフィルタ条件を再設定する
請求項6に記載のプロバイダエッジ装置。
【請求項9】
複数のカスタマエッジ装置と複数のアクセス回線を介して接続された複数のプロバイダエッジ装置の1つであり、前記複数のカスタマエッジ装置中の特定のカスタマエッジ装置と前記複数のアクセス回線中の第1のアクセス回線を介して接続されたプロバイダエッジ装置のフレームフィルタリング方法であって、
前記特定のカスタマエッジ装置が前記複数のアクセス回線中の第2のアクセス回線を介して他のプロバイダエッジ装置と接続されている場合に前記アクセス回線と前記他のアクセス回線が属するアクセス回線グループを示すグループ識別子と関連づけて記憶部に格納される、前記プロバイダエッジ装置及び前記他の前記他のプロバイダエッジ装置の識別子に基づいて、前記プロバイダエッジ装置以外のプロバイダエッジ装置から受信される、以下のフィルタ条件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たすカプセル化フレーム、又は当該カプセル化フレーム中のフレームを廃棄する、
ことを含むプロバイダエッジ装置のフレームフィルタリング方法。
(1)カプセル化フレーム中の、当該カプセル化フレームの送信元プロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部に格納されている。
(2)カプセル化フレームが前記プロバイダエッジ装置を宛先に含むマルチキャストフレームであり、前記他のプロバイダエッジ装置が当該マルチキャストフレームの出口処理を行う。
【請求項10】
前記グループ識別子と、送信元のプロバイダエッジ装置の識別子とを含むグループ情報フレームを送信し、
前記グループ識別子を含むグループ情報フレームが受信された場合に、前記グループ情報フレームに含まれる送信元のプロバイダエッジ装置の識別子を記憶部に格納し、
前記記憶部に格納されたプロバイダエッジ装置の識別子に基づいて、前記フィルタ部に対してフィルタ条件を設定する
ことをさらに含む請求項9に記載のプロバイダエッジ装置のフレームフィルタリング方法。
【請求項11】
周期的に前記グループ情報フレームを送信し、
前記プロバイダエッジ装置の障害,及び前記プロバイダエッジ装置が収容するアクセス回線の障害の少なくとも一方が検知された場合に、前記グループ情報フレームの送信を停止し、
前記記憶部に識別子が格納されたプロバイダエッジ装置から前記グループ情報フレームを受信しない時間が閾値を越えた場合に、当該プロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部から削除され、前記設定部が前記フィルタ部に対するフィルタ条件を再設定する
ことをさらに含む請求項10に記載のプロバイダエッジ装置のフレームフィルタリング方法。
【請求項12】
前記プロバイダエッジ装置自身及び当該プロバイダエッジ装置が収容するアクセス回線の少なくとも一方の障害の有無を示す障害情報をさらに含む前記グループ情報フレームを周期的に送信し、
“障害有り”を示す障害情報を含む前記他のプロバイダエッジ装置からの前記グループ情報フレームが受信された場合に、前記他のプロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部から削除され、前記設定部が前記フィルタ部に対するフィルタ条件を再設定する
ことをさらに含む請求項10に記載のプロバイダエッジ装置のフレームフィルタリング方
法。
【請求項1】
複数のカスタマエッジ装置間で送受信されるフレームを転送するために、前記複数のカスタマエッジ装置と複数のアクセス回線を介して接続された複数のプロバイダエッジ装置を含み、
前記複数のプロバイダエッジ装置は、前記複数のカスタマエッジ装置中の特定のカスタマエッジ装置と相互に異なる2以上のアクセス回線を介して接続された2以上のプロバイダエッジ装置を含み、
前記2以上のプロバイダエッジ装置の夫々は、
前記特定のカスタマエッジ装置から受信された他のカスタマエッジ装置向けのフレームがカプセル化された、前記他のカスタマエッジ装置と接続された他のプロバイダエッジ装置へ送信すべきカプセル化フレームを生成する入口処理部と、
他のプロバイダエッジ装置から受信されたカプセル化フレームから、前記特定のカスタマエッジ装置へ転送すべきフレームを抽出する出口処理部と、
前記2以上のアクセス回線が属するアクセス回線グループを示すグループ識別子と関連づけて、前記2以上のプロバイダエッジ装置の識別子が格納される記憶部と、
他のプロバイダエッジ装置から受信されるカプセル化フレームのうち、以下のフィルタ条件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たすカプセル化フレーム、又は当該カプセル化フレーム中のフレームを廃棄するフィルタ部と、
を含むプロバイダ網。
(1)カプセル化フレーム中の、当該カプセル化フレームの送信元プロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部に格納されている。
(2)カプセル化フレームが前記2以上のプロバイダエッジ装置を宛先に含むマルチキャストフレームであり、前記記憶部に識別子が格納された前記2以上のプロバイダエッジ装置のうち、プロバイダエッジ装置自身と異なるプロバイダエッジ装置が当該マルチキャストフレームの出口処理を行う。
【請求項2】
前記2以上のプロバイダエッジ装置の夫々は、
前記グループ識別子と、送信元のプロバイダエッジ装置の識別子とを含むグループ情報フレームを送信する送信処理部と、
前記グループ識別子を含むグループ情報フレームが受信された場合に、前記グループ情報フレームに含まれる送信元のプロバイダエッジ装置の識別子を記憶部に格納する受信処理部と、
前記記憶部に格納されたプロバイダエッジ装置の識別子に基づいて、前記フィルタ部に対してフィルタ条件を設定する設定部と
をさらに含む請求項1に記載のプロバイダ網。
【請求項3】
前記送信処理部は、周期的に前記グループ情報フレームを送信し、送信処理部自身を有するプロバイダエッジ装置の障害,及び当該プロバイダエッジ装置が収容するアクセス回線の障害の少なくとも一方が検知された場合に、前記グループ情報フレームの送信を停止し、
前記記憶部に識別子が格納されたプロバイダエッジ装置から前記グループ情報フレームを受信しない時間が閾値を越えた場合に、当該プロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部から削除され、前記設定部が前記フィルタ部に対するフィルタ条件を再設定する
請求項2に記載のプロバイダ網。
【請求項4】
前記送信処理部は、送信処理部自身を有するプロバイダエッジ装置自身及び当該プロバイダエッジ装置が収容するアクセス回線の少なくとも一方の障害の有無を示す障害情報をさらに含む前記グループ情報フレームを周期的に送信し、
“障害有り”を示す障害情報を含む前記グループ情報フレームが受信された場合に、当
該グループ情報フレームの送信元のプロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部から削除され、前記設定部が前記フィルタ部に対するフィルタ条件を再設定する
請求項2に記載のプロバイダ網。
【請求項5】
複数のカスタマエッジ装置と複数のアクセス回線を介して接続された複数のプロバイダエッジ装置の1つであり、前記複数のカスタマエッジ装置中の特定のカスタマエッジ装置と前記複数のアクセス回線中の第1のアクセス回線を介して接続されたプロバイダエッジ装置であって、
前記特定のカスタマエッジ装置から受信された他のカスタマエッジ装置向けのフレームがカプセル化された、前記他のカスタマエッジ装置と接続された前記プロバイダエッジ装置以外のプロバイダエッジ装置へ送信すべきカプセル化フレームを生成する入口処理部と、
前記プロバイダエッジ装置以外のプロバイダエッジ装置から受信されたカプセル化フレームから、前記特定のカスタマエッジ装置へ転送すべきフレームを抽出する出口処理部と、
前記特定のカスタマエッジ装置が前記複数のアクセス回線中の第2のアクセス回線を介して他のプロバイダエッジ装置と接続されている場合に、前記第1のアクセス回線と前記第2のアクセス回線が属するアクセス回線グループを示すグループ識別子と関連づけて、前記プロバイダエッジ装置自身の識別子及び前記他のプロバイダエッジ装置の識別子が格納される記憶部と、
前記プロバイダエッジ装置以外のプロバイダエッジ装置から受信される、以下のフィルタ条件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たすカプセル化フレーム、又は当該カプセル化フレーム中のフレームを廃棄するフィルタ部と、
を含むプロバイダエッジ装置。
(1)カプセル化フレーム中の、当該カプセル化フレームの送信元プロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部に格納されている。
(2)カプセル化フレームが前記プロバイダエッジ装置を宛先に含むマルチキャストフレームであり、前記記憶部に識別子が格納された前記他のプロバイダエッジ装置が当該マルチキャストフレームの出口処理を行う。
【請求項6】
前記グループ識別子と、送信元のプロバイダエッジ装置の識別子とを含むグループ情報フレームを送信する送信処理部と、
前記グループ識別子を含むグループ情報フレームが受信された場合に、前記グループ情報フレームに含まれる送信元のプロバイダエッジ装置の識別子を記憶部に格納する受信処理部と、
前記記憶部に格納されたプロバイダエッジ装置の識別子に基づいて、前記フィルタ部に対してフィルタ条件を設定する設定部と
をさらに含む請求項5に記載のプロバイダエッジ装置。
【請求項7】
前記送信処理部は、周期的に前記グループ情報フレームを送信し、前記プロバイダエッジ装置の障害,及び前記プロバイダエッジ装置が収容するアクセス回線の障害の少なくとも一方が検知された場合に、前記グループ情報フレームの送信を停止し、
前記記憶部に識別子が格納された前記他のプロバイダエッジ装置から前記グループ情報フレームを受信しない時間が閾値を越えた場合に、前記他のプロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部から削除され、前記設定部が前記フィルタ部に対するフィルタ条件を再設定する
請求項6に記載のプロバイダエッジ装置。
【請求項8】
前記送信処理部は、前記プロバイダエッジ装置自身及び前記プロバイダエッジ装置が収容するアクセス回線の少なくとも一方の障害の有無を示す障害情報をさらに含む前記グル
ープ情報フレームを周期的に送信し、
“障害有り”を示す障害情報を含む前記他のプロバイダエッジ装置からの前記グループ情報フレームが受信された場合に、前記他のプロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部から削除され、前記設定部が前記フィルタ部に対するフィルタ条件を再設定する
請求項6に記載のプロバイダエッジ装置。
【請求項9】
複数のカスタマエッジ装置と複数のアクセス回線を介して接続された複数のプロバイダエッジ装置の1つであり、前記複数のカスタマエッジ装置中の特定のカスタマエッジ装置と前記複数のアクセス回線中の第1のアクセス回線を介して接続されたプロバイダエッジ装置のフレームフィルタリング方法であって、
前記特定のカスタマエッジ装置が前記複数のアクセス回線中の第2のアクセス回線を介して他のプロバイダエッジ装置と接続されている場合に前記アクセス回線と前記他のアクセス回線が属するアクセス回線グループを示すグループ識別子と関連づけて記憶部に格納される、前記プロバイダエッジ装置及び前記他の前記他のプロバイダエッジ装置の識別子に基づいて、前記プロバイダエッジ装置以外のプロバイダエッジ装置から受信される、以下のフィルタ条件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たすカプセル化フレーム、又は当該カプセル化フレーム中のフレームを廃棄する、
ことを含むプロバイダエッジ装置のフレームフィルタリング方法。
(1)カプセル化フレーム中の、当該カプセル化フレームの送信元プロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部に格納されている。
(2)カプセル化フレームが前記プロバイダエッジ装置を宛先に含むマルチキャストフレームであり、前記他のプロバイダエッジ装置が当該マルチキャストフレームの出口処理を行う。
【請求項10】
前記グループ識別子と、送信元のプロバイダエッジ装置の識別子とを含むグループ情報フレームを送信し、
前記グループ識別子を含むグループ情報フレームが受信された場合に、前記グループ情報フレームに含まれる送信元のプロバイダエッジ装置の識別子を記憶部に格納し、
前記記憶部に格納されたプロバイダエッジ装置の識別子に基づいて、前記フィルタ部に対してフィルタ条件を設定する
ことをさらに含む請求項9に記載のプロバイダエッジ装置のフレームフィルタリング方法。
【請求項11】
周期的に前記グループ情報フレームを送信し、
前記プロバイダエッジ装置の障害,及び前記プロバイダエッジ装置が収容するアクセス回線の障害の少なくとも一方が検知された場合に、前記グループ情報フレームの送信を停止し、
前記記憶部に識別子が格納されたプロバイダエッジ装置から前記グループ情報フレームを受信しない時間が閾値を越えた場合に、当該プロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部から削除され、前記設定部が前記フィルタ部に対するフィルタ条件を再設定する
ことをさらに含む請求項10に記載のプロバイダエッジ装置のフレームフィルタリング方法。
【請求項12】
前記プロバイダエッジ装置自身及び当該プロバイダエッジ装置が収容するアクセス回線の少なくとも一方の障害の有無を示す障害情報をさらに含む前記グループ情報フレームを周期的に送信し、
“障害有り”を示す障害情報を含む前記他のプロバイダエッジ装置からの前記グループ情報フレームが受信された場合に、前記他のプロバイダエッジ装置の識別子が前記記憶部から削除され、前記設定部が前記フィルタ部に対するフィルタ条件を再設定する
ことをさらに含む請求項10に記載のプロバイダエッジ装置のフレームフィルタリング方
法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−151604(P2012−151604A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7921(P2011−7921)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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