説明

プロペラの単独性能測定方法

【課題】船舶用のプロペラ単独の性能をハブ渦の影響を含めて測定する。
【解決手段】プロペラ8をそのハブ9の後部に接続した後部シャフト7で回転させて、ハブ渦Hの影響が含まれないプロペラ8の性能Aを計測し、プロペラ8のハブ9の後部にダミーシャフト15を取り付け、プロペラ8を前部駆動装置10により回転させて、ハブ渦Hの影響が含まれず、且つプロペラ8に流入する水が前部駆動装置10を通過する速度Vaよりも遅く一様流ではない場合のプロペラ8の性能Bを計測し、性能Bと性能Aとを対比することで、プロペラ8に流入する水の速度が前部駆動装置10を通過する速度Vaよりも遅くなる影響Δを求めておき、プロペラ8を前部駆動装置16により回転させて、プロペラ8の性能Cを計測し、性能Cから影響Δを除去して、ハブ渦Hの影響を含めた一様流中のプロペラ8単独での性能を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用のプロペラ単独の性能をハブ渦の影響を含めて測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロペラの単独性能を測定することは、実船の軸馬力の推定に不可欠なものである。
【0003】
プロペラの性能は、一様流中でプロペラを作動させた際に、入力した回転トルクに対して発生した推力(スラスト)の割合で評価する。従って、プロペラの単独性能を測定するためには、プロペラを回転駆動させ、プロペラに入力するトルク及びプロペラが発生した推力を計測する装置(プロペラ動力計)が必要である。
【0004】
従来のプロペラ動力計は、一様流中でプロペラを作動させるため、図1(a)に示すように、プロペラ8のハブ9の後部に駆動シャフト7を接続した構造となっていた(特許文献1の図3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−117949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、通常、船尾に取り付けられたプロペラが作動する際には、プロペラのハブの後方にハブ渦H(図1(c)参照)と呼ばれる渦流が発生し、ハブの後方が負圧状態となる。このハブ渦Hは、推力やトルクに影響を与える。
【0007】
他方、上述した図1(a)に示す従来のプロペラ動力計では、プロペラ8のハブ9の後部に駆動シャフト7が取り付けられているため、ハブ9の後方にハブ渦Hが生じることはなく、ハブ渦Hの影響が含まれないプロペラ性能が求まるに過ぎない。
【0008】
よって、このプロペラ性能に基づき、船尾に装着したプロペラの性能を評価すると、ハブ渦Hの影響が含まれていないプロペラ性能に基づき、ハブ渦が生じるプロペラの性能を評価(推定)することになるので、誤差を含んだ評価となり、実船の軸馬力の推定精度が悪化するという問題があった。
【0009】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、船舶用のプロペラ単独の性能をハブ渦の影響を含めて測定できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、船舶用のプロペラ単独の性能をハブ渦の影響を含めて測定する方法であって、プロペラをそのハブの後部に接続した後部シャフトで回転させて、ハブ渦の影響が含まれないプロペラの性能Aを計測し、上記プロペラのハブの後部にダミーシャフトを取り付け、上記プロペラをその前方に配置した前部駆動装置により回転させて、ハブ渦の影響が含まれず、且つ上記前部駆動装置の影響を受けた後の水が上記プロペラに流入する場合の上記プロペラの性能Bを計測し、該性能Bと上記性能Aとを対比することで、上記プロペラの前方に上記前部駆動装置が配設されたことにより、上記プロペラに流入する水が上記前部駆動装置を通過する際の影響Δを求めておき、上記プロペラをその前方に配置した前部駆動装置により回転させて、ハブ渦の影響が含まれ、且つ上記前部駆動装置の影響を受けた後の水が上記プロペラに流入する場合の上記プロペラの性能Cを計測し、該性能Cから上記影響Δを除去することで、ハブ渦の影響が含まれ、且つ上記プロペラに流入する水が上記前部駆動装置を通過する際の影響を除去した一様流中のプロペラ単独の性能を求めるようにしたものである。
【0011】
請求項2に係る発明は、船舶用のプロペラ単独の性能をハブ渦の影響を含めて測定する方法であって、プロペラのハブの後部に後部シャフトを取り付け、該後部シャフトをその後方に配設された後部駆動装置により回転させると共に該後部駆動装置を前進させた状態で、上記プロペラの推力を検出することで、ハブ渦の影響が含まれない上記プロペラの性能Aを計測し、上記プロペラのハブの後部にダミーシャフトを取り付け、上記プロペラをその前方に配設された前部駆動装置により回転させると共に該前部駆動装置を前進させた状態で、上記プロペラの推力を検出することで、ハブ渦の影響が含まれず、且つ上記プロペラの前方に上記前部駆動装置が配設されたことにより上記プロペラに流入する水が一様流ではなく上記前部駆動装置の前進速度よりも遅い場合の上記プロペラの性能Bを計測し、該性能Bと上記性能Aとを対比することで、上記プロペラに流入する水の速度が上記前部駆動装置の前進速度よりも遅くなる影響Δを求めておき、上記プロペラをその前方に配設された前部駆動装置により回転させると共に該前部駆動装置を前進させた状態で、上記プロペラの推力を検出することで、ハブ渦の影響が含まれ、且つ上記プロペラに流入する水の速度が上記前部駆動装置の前進速度よりも遅い場合の上記プロペラの性能Cを計測し、該性能Cから上記影響Δを除去することで、ハブ渦の影響が含まれ、且つプロペラの前方に上記前部駆動装置が配設されたことによりプロペラに流入する水の速度が上記前部駆動装置の前進速度よりも遅くなる影響を除去した一様流中のプロペラ単独での性能を求めるようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るプロペラの単独性能測定方法によれば、船舶用のプロペラ単独の性能をハブ渦の影響を含めて測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好適実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1(a)は、一様流におけるハブ渦Hの影響が含まれないプロペラの性能Aを測定する装置(プロペラ動力計)である。
【0015】
このプロペラ動力計1aは、水槽2の上部に配置されレール等のガイド3に沿って走行する台車4と、台車4の下面に吊下部材5を介して取り付けられた後部駆動装置6と、後部駆動装置6から前方に延出された後部シャフト7とを備え、後部シャフト7の前端にプロペラ8のハブ9の後部が取り付けられる。
【0016】
この構成によれば、プロペラ8のハブ9の後部に後部シャフト7が取り付けられているため、ハブ渦Hは生じない。
【0017】
台車4は、図示しない駆動装置によって走行され、その走行速度Vpを可変に制御できるようになっている。後部駆動装置6は、吊下部材5の下端に取り付けられたケース6aと、ケース6a内に貫通された後部シャフト7を回転駆動するモータとを有し、後部シャフト7の回転数(回転速度)Nを可変に制御できるようになっている。ケース6a内には、後部シャフト7の推力Tを検出するセンサ(ロードセル等)とトルクQを検出するセンサ(ロードセル等)とが設けられている。
【0018】
台車4を速度Vpで走行させると、プロペラ8にはVpの一様流が流れることになる。ここで、プロペラ8を回転数Nで回転させ、後部シャフト7にて推力T、トルクQを検出することで、一様流におけるハブ渦Hの影響が含まれないプロペラ8の性能Aを測定する。すなわち、台車4の速度Vp、プロペラ8の回転数Nを変化させ、変化させた都度、後部シャフト7にて推力T、トルクQを検出することで、図2(a)に破線で示すプロペラ性能Aの曲線を得る。
【0019】
図2(a)の横軸は、速度Vpをプロペラ8の回転数Nと直径Dで除して無次元化した前進係数J=Vp/(ND)であり、縦軸は、推力Tを水の密度ρとプロペラ8の回転数Nの二乗と直径Dの四乗で除して無次元化した推力係数KT=T/(ρN24)である。
【0020】
図2の破線は、一様流におけるハブ渦Hの影響が含まれないプロペラ8の性能Aを表す。
【0021】
図1(b)は、プロペラ8の前方に前部駆動装置10が配設されていることにより、プロペラ8に流入する水の速度が台車4の速度Vaよりも小さく且つ一様流ではない場合の、ハブ渦Hの影響が含まれないプロペラ8の性能Bを測定する装置(プロペラ動力計1b)である。
【0022】
このプロペラ動力計1bは、水槽2の上部に配置されレール等のガイド3に沿って走行する台車4と、台車4の前部下面に前部吊下部材11を介して取り付けられた前部駆動装置10と、前部駆動装置10から後方に延出された前部シャフト12と、台車4の後部下面に後部吊下部材13を介して取り付けられた後部支持部材14と、後部支持部材14から前方に前部シャフト12と同軸となるように延出されたダミーシャフト15とを備え、前部シャフト12の後端にプロペラ8のハブ9の前部が取り付けられ、そのハブ9の後部にダミーシャフト15の前端が接続される。なお、ダミーシャフト15、後部支持部材14及び後部吊下部材13は、夫々、図1(a)の後部シャフト7、後部駆動装置6及び吊下部材5と兼用してもよい。
【0023】
この構成によれば、プロペラ8のハブ9の後部にダミーシャフト15が取り付けられているため、ハブ渦Hは生じない。また、プロペラ8の前方に前部駆動装置10が配設されているため、プロペラ8に流入する水の速度が台車4の速度Vaよりも小さく且つ一様流ではない。
【0024】
台車4は、図示しない駆動装置によって走行され、その走行速度Vaを可変に制御できるようになっている。前部駆動装置10は、前部吊下部材11の下端に取り付けられた前部ケース10aと、前部ケース10a内に貫通された前部シャフト12を回転駆動するモータとを有し、前部シャフト12の回転数(回転速度)Nを可変に制御できるようになっている。前部ケース10a内には、前部シャフト12の推力Tを検出するセンサ(ロードセル等)とトルクQを検出するセンサ(ロードセル等)とが設けられている。
【0025】
台車4を速度Vaで走行させると、前部ケース10aにはVaの一様流が流れ、プロペラ8には、前部ケース10aを通過した後の、台車4の速度Vaよりも小さく且つ一様流ではない水が流入することになる。ここで、プロペラ8を回転数Nで回転させ、前部シャフト12にて推力T、トルクQを検出することで、ハブ渦Hの影響が含まれず、且つプロペラ8の前方に前部駆動装置10が配設されたことによりプロペラ8に流入する水が一様流ではなく前部駆動装置10の前進速度Vaよりも遅い場合のプロペラ8の性能Bを計測する。具体的には、台車4の速度Va、プロペラ8の回転数Nを変化させ、変化させた都度、前部シャフト12にて推力T、トルクQを検出することで、図2(a)の一点鎖線で示すプロペラ性能Bの曲線を得る。
【0026】
図2(a)の一点鎖線は、ハブ渦Hの影響が含まれず、且つプロペラ8の前方に前部駆動装置10が配設されたことによりプロペラ8に流入する水が一様流ではなく前部駆動装置10の前進速度Vaよりも遅い場合のプロペラ8の性能Bを表す。
【0027】
図1(c)は、プロペラ8の前方に前部駆動装置16が配設されていることにより、プロペラ8に流入する水の速度が台車4の速度Vaよりも小さく且つ一様流ではない場合の、ハブ渦Hの影響が含まれるプロペラ8の性能Cを測定する装置(プロペラ動力計1c)である。
【0028】
このプロペラ動力計1cは、水槽2の上部に配置されレール等のガイド3に沿って走行する台車4と、台車4の下面に吊下部材17を介して取り付けられた前部駆動装置16と、前部駆動装置16から後方に延出された前部シャフト18とを備え、前部シャフト18の後端にプロペラ8のハブ9の前部が取り付けられる。なお、前部駆動装置16、吊下部材17及び前部シャフト18は、夫々、図1(b)の前部吊下部材11、前部駆動装置10及び前部シャフト12と兼用してもよい。
【0029】
この構成によれば、プロペラ8のハブ9の後部に一切のシャフトが取り付けられていないため、実機(実船)と同様にハブ渦Hが生じる。また、プロペラ8の前方に前部駆動装置16が配設されているため、プロペラ8に流入する水の速度が台車4の速度Vaよりも小さく且つ一様流ではない。
【0030】
台車4は、図示しない駆動装置によって走行され、その走行速度Vaを可変に制御できるようになっている。前部駆動装置16は、吊下部材17の下端に取り付けられたケース16aと、ケース16a内に貫通された前部シャフト18を回転駆動するモータとを有し、前部シャフト18の回転数(回転速度)Nを可変に制御できるようになっている。ケース16a内には、前部シャフト18の推力Tを検出するセンサ(ロードセル等)とトルクQを検出するセンサ(ロードセル等)とが設けられている。
【0031】
台車4を速度Vaで走行させると、ケース16aにはVaの一様流が流れ、プロペラ8には、ケース16aを通過した後の、台車4の速度Vaよりも小さく且つ一様流ではない水が流入することになる。ここで、プロペラ8を回転数Nで回転させ、前部シャフト18にて推力T、トルクQを検出することで、ハブ渦Hの影響が含まれ、且つプロペラ8の前方に前部駆動装置16が配設されたことによりプロペラ8に流入する水が一様流ではなく前部駆動装置16の前進速度Vaよりも遅い場合のプロペラ8の性能Cを計測する。すなわち、台車4の速度Va、プロペラ8の回転数Nを変化させ、変化させた都度、前部シャフト18にて推力T、トルクQを検出することで、図2(b)の二点鎖線で示すプロペラ性能Cの曲線を得る。
【0032】
図2(b)の二点鎖線は、ハブ渦Hの影響が含まれ、且つプロペラ8の前方に前部駆動装置16が配設されたことによりプロペラ8に流入する水が一様流ではなく前部駆動装置16の前進速度Vaよりも遅い場合のプロペラ8の性能Cを表す。
【0033】
上述した図1(a)のプロペラ動力計1aを用いたプロペラ8の性能Aの測定、図1(b)のプロペラ動力計1bを用いたプロペラ8の性能Bの測定、図1(c)のプロペラ動力計1cを用いたプロペラ8の性能Cの測定は、いずれを先に行ってもよく、順番は問わない。また、図1(a)〜図1(c)において、水槽2及びガイド3は共用され、台車4及びそれに取り付けられた部材のみが取り替えられる。但し、台車4も共用してもよい。
【0034】
少なくとも、プロペラ8の性能A、性能Bの測定が終了したならば、図2(a)において、破線で示す性能Aと一点鎖線で示す性能Bとを対比することで、プロペラ8の前方に前部駆動装置10を配設したことにより、プロペラ8に流入する水の速度Vpが前部駆動装置10の前進速度Vaよりも遅くなる影響Δを求める。
【0035】
すなわち、性能A(破線)、性能B(一点鎖線)は、共にハブ渦Hの影響が含まれない点で同様であり、プロペラ8の前方に前部駆動装置10が配設されているか否かにより、プロペラ8に流入する水が前部駆動装置10の前進速度Vaと等しいか、或いはプロペラ8に流入する水が前部駆動装置10を通過することで一様流ではなく前部駆動装置10の前進速度Vaよりも遅いかの点のみが異なる。
【0036】
このため、図2(a)において、推力T及び回転数Nが一定即ち推力係数KTが一定のときの、性能A(破線)と性能B(一点鎖線)との差、即ち前進係数Jの差ΔJを求めると、この差ΔJが、プロペラ8の前方に前部駆動装置10を配設したことにより、プロペラ8に流入する水の速度Vpが前部駆動装置10の前進速度Vaよりも遅くなる影響Δとなる。
【0037】
換言すれば、図1(a)のプロペラ動力計1aにて、台車4の速度を或る速度Vp、プロペラ8の回転数を或る回転数Nとしたときの、推力Tを求めておき、図1(b)のプロペラ動力計1bにて、プロペラ8の回転数を同じ回転数Nとし、同じ推力Tが得られるように台車4の速度Vaを調節したとき、プロペラ8に流れ込む水の一様流換算速度速がVpとなると考えることで、速度Vaから速度Vpを減じたものが、上記或る回転数N、推力Tにおける上記影響Δとなる。
【0038】
図2(a)において、推力係数KTが一定のときの性能A(破線)と性能B(一点鎖線)との前進係数Jの差ΔJは、図2(a)の縦軸方向に間隔を隔てて複数求めておく。なお、本実施形態の図面では、上記差ΔJは、2コしか表していない。
【0039】
その後、図2(b)に二点鎖線で示す性能Cから上記影響Δを除去する、即ち性能Cから上記差ΔJを減じることで、ハブ渦Hの影響が含まれ、且つプロペラ8の前方に前部駆動装置10が配設されたことによりプロペラ8に流入する水の速度が前部駆動装置10の前進速度よりも遅くなる影響を考慮した一様流におけるプロペラ8の単独での性能が求まることになる。
【0040】
詳しくは、図2(a)の性能Bの曲線の横軸の或る値J1における差ΔJを求めておき、その或る値J1と等しい図2(b)の性能Cの曲線の横軸の値J1から、上記差ΔJを減じることで、ハブ渦Hの影響が含まれ且つ一様流中におけるプロペラ8の単独での性能が求まる。よって、図2(b)にて、性能Cの曲線上における或る値J1を横軸に沿って振って夫々差ΔJを減じることで、ハブ渦Hの影響が含まれ且つ一様流中におけるプロペラ8の単独での性能曲線(実線)が求まる。
【0041】
本実施形態によれば、ハブ渦Hの影響が含まれ、且つプロペラ8の前方に前部駆動装置10が配設されたことによりプロペラ8に流入する水の速度が前部駆動装置10の前進速度よりも遅くなる影響を考慮した一様流におけるプロペラ8の単独での性能が求まるので、実船の軸馬力の推定精度が向上する。
【0042】
また、こうして求めたハブ渦Hの影響が含まれ且つ一様流中におけるプロペラ8の単独での性能と、図1(a)のプロペラ動力計1aにより求めた性能A(ハブ渦Hの影響が含まれず且つ一様流中におけるプロペラ8の単独での性能)とを対比することで、ハブ渦Hの影響量を定量的に評価することが可能となる。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。例えば、回流水槽、キャビテーションタンク、若しくはこれらに類似する施設を用い、駆動装置を前進させずに一様流中でプロペラ単独性能試験を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロペラの単独性能測定方法に用いられるプロペラ動力計の説明図であり、(a)はハブ渦の影響が含まれないプロペラの性能Aを測定するためのもの、(b)はハブ渦の影響が含まれず、且つプロペラの前方に前部駆動装置が配設されたことによりプロペラに流入する水が一様流ではなく前部駆動装置の前進速度よりも遅い場合のプロペラの性能Bを測定するためのもの、(c)はハブ渦の影響が含まれ、且つプロペラに流入する水の速度が前部駆動装置の前進速度よりも遅い場合のプロペラの性能Cを測定するためのものを示す。
【図2】プロペラの性能曲線を表す説明図であり、(a)は性能A、性能Bを表し、(b)は性能C、プロペラ単独のハブ渦の影響を含めた一様流中の性能(実線)を表す説明図である。
【符号の説明】
【0045】
6 後部駆動装置
7 後部シャフト
8 プロペラ
9 ハブ
10 前部駆動装置
15 ダミーシャフト
16 前部駆動装置
Va 速度(前進速度)
Δ 影響
T 推力
H ハブ渦
A 性能
B 性能
C 性能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶用のプロペラ単独の性能をハブ渦の影響を含めて測定する方法であって、
プロペラをそのハブの後部に接続した後部シャフトで回転させて、ハブ渦の影響が含まれないプロペラの性能Aを計測し、
上記プロペラのハブの後部にダミーシャフトを取り付け、上記プロペラをその前方に配置した前部駆動装置により回転させて、ハブ渦の影響が含まれず、且つ上記前部駆動装置の影響を受けた後の水が上記プロペラに流入する場合の上記プロペラの性能Bを計測し、 該性能Bと上記性能Aとを対比することで、上記プロペラの前方に上記前部駆動装置が配設されたことにより、上記プロペラに流入する水が上記前部駆動装置を通過する際の影響Δを求めておき、
上記プロペラをその前方に配置した前部駆動装置により回転させて、ハブ渦の影響が含まれ、且つ上記前部駆動装置の影響を受けた後の水が上記プロペラに流入する場合の上記プロペラの性能Cを計測し、
該性能Cから上記影響Δを除去することで、ハブ渦の影響が含まれ、且つ上記プロペラに流入する水が上記前部駆動装置を通過する際の影響を除去した一様流中のプロペラ単独の性能を求める
ことを特徴とするプロペラの単独性能測定方法。
【請求項2】
船舶用のプロペラ単独の性能をハブ渦の影響を含めて測定する方法であって、
プロペラのハブの後部に後部シャフトを取り付け、該後部シャフトをその後方に配設された後部駆動装置により回転させると共に該後部駆動装置を前進させた状態で、上記プロペラの推力を検出することで、ハブ渦の影響が含まれない上記プロペラの性能Aを計測し、
上記プロペラのハブの後部にダミーシャフトを取り付け、上記プロペラをその前方に配設された前部駆動装置により回転させると共に該前部駆動装置を前進させた状態で、上記プロペラの推力を検出することで、ハブ渦の影響が含まれず、且つ上記プロペラの前方に上記前部駆動装置が配設されたことにより上記プロペラに流入する水が一様流ではなく上記前部駆動装置の前進速度よりも遅い場合の上記プロペラの性能Bを計測し、
該性能Bと上記性能Aとを対比することで、上記プロペラに流入する水の速度が上記前部駆動装置の前進速度よりも遅くなる影響Δを求めておき、
上記プロペラをその前方に配設された前部駆動装置により回転させると共に該前部駆動装置を前進させた状態で、上記プロペラの推力を検出することで、ハブ渦の影響が含まれ、且つ上記プロペラに流入する水の速度が上記前部駆動装置の前進速度よりも遅い場合の上記プロペラの性能Cを計測し、
該性能Cから上記影響Δを除去することで、ハブ渦の影響が含まれ、且つプロペラの前方に上記前部駆動装置が配設されたことによりプロペラに流入する水の速度が上記前部駆動装置の前進速度よりも遅くなる影響を除去した一様流中のプロペラ単独での性能を求める
ことを特徴とするプロペラの単独性能測定方法。

【図1】
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【図2】
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