説明

プロンプターシステム

【課題】 安価で光量低下のないプロンプターシステムを提供すること。
【解決手段】 開口部を有する表示装置と該開口部を通して被写体を撮影するテレビカメラシステムを備えたプロンプターシステムであって、表示装置に入力される映像信号のうち該開口部にあたる部分の映像を該開口部外に配置する映像処理手段を有することを特徴とするプロンプターシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体に原稿等の情報を表示する手段と被写体を撮影する手段を有するプロンプター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のプロンプター装置は下記特許文献1(特開平11−101931号)で開示されている。これによれば表示装置の映像を被写体側に反射するところのハーフミラーやが必要とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−101931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1ではモニターの映像を被写体側に反射するハーフミラーを通して被写体を撮影するため、ハーフミラーには高い面精度が要求されていた。特に昨今ハイビジョン撮影が普及したことでハーフミラーの高精度化への要求が高まっており、安価に商品を提供することが困難とされていた。
【0005】
またハーフミラーにより光量低下が生じるため、通常より大きな被写体照明が必要とされ、撮影システム全体の消費電力増大を招いていた。
【0006】
そこで本発明の目的は安価で光量低下のないプロンプターシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために本発明のプロンプターシステムは以下を特徴とする。
開口部を有する表示装置と該開口部を通して被写体を撮影するテレビカメラシステムを備えたプロンプターシステムであって、表示装置に入力される映像信号のうち該開口部にあたる部分の映像を該開口部外に配置する映像処理手段を備えている。
【0008】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付の図面を参照して説明される好ましい実施形態等によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば
・ハーフミラーの面精度に影響されることなく、撮影装置の高い光学性能を維持できる。
【0010】
・ハーフミラーによる光量低下がなく、通常の被写体照明でよい。
【0011】
などの効果により、安価で光量低下のないプロンプターシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態を表す図。
【図2】本発明の第1の実施形態を表す図。
【図3】原稿を表す図
【図4】本発明の表示装置に原稿を表示した図
【図5】原稿変換部を表す図
【図6】本発明の第2の実施形態を表す図。
【図7】本発明の第2の実施形態を表す図。
【図8】本発明の第2の実施形態を表す図。
【図9】本発明の第2の実施形態を表す図。
【図10】画像変換部7のブロック構成を説明する図。
【図11】画像変換部7を説明する図。
【図12】本発明の第3の実施形態を表す図。
【図13】本発明の第4の実施形態を表す図。
【図14】本発明の第1のフローを表す図。
【図15】本発明の第2のブロック構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
《第1の実施形態》
図1、図2は本発明第1の実施形態を表す図であり、図1、図2において1はリモコン雲台、2はテレビカメラ、3はレンズ、4は被写体に原稿などを表示する表示装置、5はレンズ3の光学有効光線を透過させるための開口部、6は表示装置4を支持するところの支持部材である。上記構成において表示装置4により被写体へ原稿などを表示するとともに、開口部5からレンズ3により被写体を撮影することができる。
【0015】
図3は被写体へ表示したい原稿であり、通常は不図示の書画カメラにより撮影され、プロンプターにより表示される。図4は本発明の表示装置4に原稿を表示した図である。
【0016】
本発明では表示装置4に開口部5が設けられているので、その部分を避けて原稿を表示する画像変換部7を有している。(図5)これにより表示装置4に開口部5があっても原稿内容が欠落することなく被写体に表示できる。
【0017】
図10に画像変換部7のブロック構成を示す。図10において、110はCPUであり、後述するプログラムに従って画像変換処理を行う。120はCPU110に接続され、表示装置と開口部との情報とが予め可能されているメモリーである。メモリー120には、図11に示す
表示装置4と開口部5との情報値が格納されており、具体的には以下の様な値を格納している。
画面横(x)方向の分解能 : 1920ドット
画面縦(y)方向の分解能 : 1080 ドット
開口部開始のxドット位置 : x1ドット
開口部終了のxドット位置 : x3 ドット
画面横(x)位置に対応した開口部の1/2の大きさ : kw(x)
これらの値は画面の大きさや開口部の大きさ、形状により適便変更されるものである。
【0018】
101は書画カメラからの映像信号をデジタル値に変換するA/Dコンバータ。102はA/Dコンバータ101からのデジタル化された映像信号を格納するビデオメモリ1(以降VRAM1
と称す)であり、1画面分を記憶し映像周波数毎に書換が行われる。103はCPU110により画像処理された後の画像を記憶するビデオメモリ2(以降VRAM2と称す)であり、1画面分を記憶し映像周波数毎に書換が行われる。107はVRAM2のデジタル画像データを順次読みだし、開口部3を有する表示装置4への映像信号を作り出すD/Aコンバータである。
【0019】
図10の構成で、CPU110は図14に示すフローに従った処理が行われる。図14のフローについて説明する。S200はフローの開始であり、S201へ移行する。S201では画面横方向のドット変数である x を0にすると共に、メモリ120から開口部開始/終了のxドット位置である x1 と x3の値を読込み、S202へ移行する。S202ではx と 画面横方向の最終ドット位置である 1920 とを比較し、大きい場合はS203へ移行して処理を終了し、小さいか等しい場合は S204へ移行する。S204で画面縦方向のドット変数である yを初期値の0にし、S205へ移行する。S205では xの値と 開口部開始ドット値x1とを比較し、小さい場合はS207へ移行し、等しいか大きい場合はS206へ移行する。S206ではxの値と 開口部終了ドット値x3とを比較し、等しいか大きい場合はS211へ移行し、小さい場合はS207へ移行する。S207ではyの値と、画面縦方向の最終ドット位置である 1080 とを比較し、等しいか小さい場合はS209へ移行すし、大きい場合はS208へ移行し、xの値を+1する処理が行われた後にS202へ戻る。一方、S207からS209へ移行すると、x,yで指定されるVRAM1のデータを、同じくx,yで指定されるVRAM2 へデータコピーを行いS210へ移行する。S210ではyの値を+1した後S207へ戻る。
【0020】
一方、S206からS211へ移行すると、y と画面縦方向の最終ドット位置である 1080 とを比較し、等しいか小さい場合はS213へ移行し、大きい場合はS212へ移行しxの値を+1する処理が行われた後にS202へ戻る。S213では yと画面縦方向の半分値 540 とを比較し、大きい場合は S218 へ、等しいか小さい場合は S214へ移行する。S214,S218では、メモリからx値に対応した開口部半分のドット数を読出しこれをkw(x)とし、夫々S215,S219へ移行する。次にS215,S219では、画面と開口部の形状を加味した縦方向への画像圧縮を行うための縦方向の変換座標 y’を求める。S215はyが画面下半分に位置している場合の変換式:y’=(540-kw(x))y / 540であり、S219はyが画面上半分に位置している場合の変換式:y’=2kw(x) + (540-kw(x))y / 540であり、処理後、共にS216へ移行する。
【0021】
S216では、x,yで指定されるVRAM1のデータを、画面と開口部の形状を加味して縦方向への画像圧縮を行うために求められた、x,y’で指定されるVRAM2 へデータコピーを行いS217へ移行する。S217ではyの値を+1した後S211へ戻る。
【0022】
上述のフローにより、VRAM1,102上の画像として図3で示される画像が、VRAM2,103上の画像として図4に示す、開口部の形状に合わせた画面縦方向に圧縮した画像変換がされることになる。
【0023】
本実施形態では縦方向の圧縮と再配置を例に挙げているが、横方向の圧縮、再配置や縦、横同時の圧縮、再配置を採用してもよい。
【0024】
また、説明を簡単にするためにVRAM1,VRAM2の2つのビデオメモリで説明したが、VRAM1,VRAM2ともR,G,Bの色に対応して3枚づつの構成でも良い。
よって本発明によれば
・ハーフミラーの面精度に影響されることなく、撮影装置の高い光学性能を維持できるため安価に製品を提供できる。
・ハーフミラーによる光量低下がなく、通常の被写体照明でよいため、光量低下がない。
・プロンプターの形状、質量を小さくできるため駆動力の小さなリモコン雲台にも搭載でき設置環境を選ばない。
・通常の撮影機材と同等の取り回しができ、通常撮影にも使用できる。
・ハーフミラーやプロンプターの筐体など高価な部品が不要となるため、安価に商品を提供できる。
などの効果がある。
【0025】
《第2の実施形態》
図6、図7は本発明第2の実施形態を表す図であり、図において8、9、10、11は表示装置であり、4つの表示装置で1つの画面を構成している。12は表示装置8〜11を支持するところの支持部材である。
【0026】
図15に本発明の画像処理部7での構成を示す。図Dは図Aに対して、表示部の構成に合わせて、VRAM3,104〜VRAM5,106と、D/A2,108〜D/A4,110とが追加されている。そして、D/A1,107の出力であるVideo_OUT1は表示装置8に、D/A2,108の出力であるVideo_OUT2は表示装置9に、D/A3,109の出力であるVideo_OUT3は表示装置10に、D/A4,110の出力であるVideo_OUT4は表示装置11に接続される。
【0027】
また、メモリー120に予め設定される情報として、画面表示部の構成枚数と、構成形状を追加して記憶するものとする。不図示の処理フローに従って、CPU,110は画面構成枚数と構成形状とを加味して、VRAM1,102から、VRAM2,103, VRAM3,104, VRAM4,105, VRAM5,106 への変換処理を行う。上記構成においても実施形態1と同様の効果が得られる。
【0028】
また図8、図9のように表示装置の数や配置、開口部の形状あるいは数が異なる場合や画像変換部7による原稿配置のパターンなどが変わっても本発明第1の実施形態と同様の効果があることは容易に推測できる。
【0029】
《第3の実施形態》
図12は本発明第3の実施形態を表す図であり、13は原稿などを表示する表示装置、14は表示装置13の映像を被写体側へ反射するミラー、15はレンズ3の光学有効光線を透過させるための開口部である。本実施形態においても不図示の画像変換部により開口部15にあたる部分の原稿画像を開口部外へ再配置する手段を有している。
【0030】
これによればハーフミラーを透過せず被写体を撮影できるので、安価に製品を提供することができる。
【0031】
《第4の実施形態》
図13は本発明第4の実施形態を表す図であり、16は投影光を透過し原稿などを表示する表示装置、17は投影レンズ、18は光源、19はスクリーン20へ投影光を反射するミラー、20は表示装置16の映像を被写体へ表示するスクリーンである。21はレンズ3の光学有効光線を透過させるための開口部である。
【0032】
本実施形態においても不図示の画像変換部により開口部21にあたる部分の原稿画像を開口部外へ再配置する手段を有している。
【0033】
これによれば実施形態3と同様にハーフミラーを透過せず被写体を撮影できるので、安価に製品を提供することができる。
【0034】
なお本実施形態では透過式の投光表示装置を例に挙げたが、反射式あるいはその他の投光表示装置であれば同様の効果が得られることは容易に推測できる。
【符号の説明】
【0035】
2 テレビカメラ
3 レンズ
4 表示装置
5 開口部
6 操作ノブ
7 画像変換部
8 表示装置
9 表示装置
10 表示装置
11 表示装置
13 表示装置
14 ミラー
15 開口部
16 表示装置
17 投影レンズ
18 光源
20 スクリーン
21 開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する表示装置と該開口部を通して被写体を撮影するテレビカメラシステムを備えたプロンプターシステムであって、表示装置に入力される映像信号のうち該開口部にあたる部分の映像を該開口部外に配置する映像処理手段を有することを特徴とするプロンプターシステム。
【請求項2】
複数の表示パネルをレンズの周囲に設け、該開口部を有する表示装置として映像信号を表示する手段を備えた請求項1に記載のプロンプターシステム。
【請求項3】
開口部を有するミラーと該ミラーに画像を反射させる表示装置と該開口部を通して被写体を撮影するテレビカメラシステムを備えたプロンプターシステムにおいて、表示装置に入力される映像信号のうち該開口部にあたる部分の映像を該開口部外に配置する映像処理手段を有することを特徴とするプロンプターシステム。

【請求項4】
開口部を有するスクリーンと該スクリーンに画像を投影する表示装置と該開口部を通して被写体を撮影するテレビカメラシステムを備えたプロンプターシステムにおいて、表示装置に入力される映像信号のうち該開口部にあたる部分の映像を該開口部外に配置する映像処理手段を有することを特徴とするプロンプターシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−95029(P2012−95029A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239617(P2010−239617)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】