説明

プローブ

【課題】正確かつ容易に採取することができるプローブを提供する。
【解決手段】プローブ1は、木質バイオマス等の有機物をガス化するガス化炉100に挿入方向側の端部を挿入して、ガス化炉100内で生成した生成ガスをガス取出方向側の端部から回収する多重筒状のプローブ1であって、生成ガスを内部に取り込んで挿入方向側からガス取出方向側へ流通させる第一筒体11と、第一筒体11に沿って延在し、第一筒体11を着脱可能に挿入する第二筒体12と、第二筒体12に沿って延在し、第二筒体12を挿入するとともに、冷却水を第二筒体12との間に設けた内側冷却水通路17に流通させる第三筒体13と、第三筒体13に沿って延在し、第三筒体13を挿入するとともに、冷却水を第三筒体13との間に流通させる第四筒体14と、を備え、第一筒体11は、第二筒体12のガス取出方向側に設けられた第一筒体支持部65によって脱着自在に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重筒状のプローブの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炉内に挿入されて、この炉から生成物を採取するための多重筒状のプローブは公知となっている。
このようなプローブとしては、前記生成物を内部に取り込んで、一端部から他端部へ流通させる第一筒体と、第一筒体に沿って延在し、前記第一筒体を挿入するとともに、冷却水を前記第一筒体との間に流通される第二筒体と、第二筒体に沿って延在し、前記第二筒体を挿入するとともに、冷却水を前記第二筒体との間に流通させる第三筒体と、を備えるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−14837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のようなプローブを用いて、有機物をガス化するガス化炉から生成ガス(生成物)を採取する場合、この生成ガスの成分、例えば、タールやすすのような成分が第一筒体に付着することがある。この場合には、前記第一筒体に付着した生成ガスの成分を完全に回収しなければ、生成ガスの成分の構成比がガス化炉内のものと採取したものとで異なることになる。しかし、付着した生成ガスの成分を前記第一筒体から回収することは極めて困難であったため、生成ガスの採取作業を容易に行うことができない上に、生成ガスを正確に採取することができない可能性が高かった。
【0005】
そこで、本発明は係る課題に鑑み、有機物をガス化するガス化炉から生成ガスを正確かつ容易に採取することができるプローブを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、有機物をガス化するガス化炉にプローブ本体の一端側を挿入して、前記ガス化炉内で生成した生成ガスを当該プローブ本体の他端側から採取する多重筒状のプローブであって、前記生成ガスを内部に取り込んで、一端側から他端側へ流通させる第一筒体と、前記第一筒体に沿って延在し、前記第一筒体を着脱可能に挿入する第二筒体と、前記第二筒体に沿って延在し、前記第二筒体を挿入するとともに、冷却水を前記第二筒体との間に流通させる第三筒体と、前記第三筒体に沿って延在し、前記第三筒体を挿入するとともに、冷却水を前記第三筒体との間に流通させる第四筒体と、を前記プローブ本体に備え、前記第一筒体は、前記プローブ本体の他端側に配置された第一筒体支持部によって、前記第二筒体に脱着自在に支持されるものである。
【0008】
請求項2においては、前記プローブ本体の一端部を前記ガス化炉内への挿入方向に尖らせるものである。
【0009】
請求項3においては、前記ガス化炉内の生成ガスを前記第一筒体へと流入させる複数の連通孔を有し、かつ、前記プローブ本体の一端部をその外周部形状に沿って覆うカバー部材を、前記プローブ本体の一端部に備え、前記カバー部材の内部に形成された第一筒体の先端部までの流路を、前記ガス化炉内で生成した固形状物質が通過不能な大きさに設定するものである。
【0010】
請求項4においては、前記第一筒体内の任意の位置における温度を計測するための熱電対を設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、ガス化炉内で生成した生成ガスを冷却水により冷却しながら取り出して、その生成ガスの成分を変性させることなく採取することが可能となる。また、生成ガス中の成分が第一筒体内に付着した場合でも、第一筒体を他の筒体から取り外し、その付着した成分を容易に回収することが可能となる。しかも、第一筒体を他の筒体から取り外し、未使用の第一筒体を他の筒体に取り付けることにより、第一筒体を洗浄し終わらずとも生成ガスの採取作業を速やかに連続して行うことが可能となる。したがって、生成ガスをガス化炉内の任意位置で正確かつ容易に採取することができる。
【0013】
請求項2においては、プローブをガス化炉に挿入しやすくなる。したがって、生成ガスをガス化炉内の任意位置で容易に採取することができる。
【0014】
請求項3においては、固形状物質が第一筒体に取り込まれず、生成ガスのみが第一筒体に取り込まれることになって、第一筒体内における生成ガスの流路が固形状物質により閉塞されることがなくなる。したがって、生成ガスをガス化炉内の任意位置で容易に採取することができる。
【0015】
請求項4においては、第一筒体内部の温度が生成ガスの変性する温度以下であることを確認することができるので、生成ガスの成分を変性させることなく採取することが可能となる。したがって、生成ガスを正確に採取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るプローブの使用状態を示した概略図。
【図2】本発明の一実施形態にかかるプローブの全体断面図。
【図3】プローブの挿入方向先端付近の組立構造を示す断面図。
【図4】プローブの第三継手付近の組立構造を示す断面図。
【図5】プローブの第四継手付近の組立構造を示す断面図。
【図6】プローブの第五継手付近の組立構造を示す断面図。
【図7】プローブのガス取出方向先端付近の組立構造を示す断面図。
【図8】プローブの挿入方向先端付近の構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0018】
まず、本発明の一実施形態に係るプローブ1について説明する。
プローブ1は、木質バイオマス等の有機物をガス化するガス化炉100に一端側を挿入して、ガス化炉100内で生成した生成ガスを他端側から採取するものである。ここで、生成ガスとは、気体状態のタールやすす等を含むバイオマスガスである。
図1に示すように、プローブ1は、ガス化炉100に上方から挿入される。プローブ1の一端側はガス化炉100内に配置され、プローブ1の他端側はガス化炉100外に配置される。そして、プローブ1の他端側がガス管60と接続されて、プローブ1によりガス化炉100から採取された生成ガスがガス管60を介して図示せぬ測定装置に送られる。
【0019】
次に、プローブ1の構成について説明する。なお、プローブ1をガス化炉100に挿入する方向(図2の矢印方向)を挿入方向とし、この挿入方向と反対方向(図2の矢印方向と逆方向)をガス取出方向とする。
プローブ1は、軸方向を長手方向とする多重筒状に構成されている。プローブ1は、第一筒体11と、第二筒体12と、第三筒体13と、第四筒体14とを備えてプローブ1本体とし、四重筒状に構成されている。また、プローブ1は、カバー部材15をプローブ1本体の長手方向一端側(挿入方向側)の端部に備えている。
【0020】
第一筒体11は、前記生成ガスを内部に取り込んで、長手方向一端側から他端側へ、即ち挿入方向側からガス取出方向側へ流通させる部材である。第一筒体11は、円筒状の配管であり、四つの筒体のうち最も内側に配置される。また、第一筒体11、第二筒体12、第三筒体13、第四筒体14と順に断面直径が大きくなるように構成される。
また、第一筒体11は、第二筒体12、第三筒体13及び第四筒体14と比較して軸方向の長さが最も長く、ガス取出方向で第二筒体12よりも突出するように構成されている。
【0021】
第二筒体12は、第一筒体11に沿って延在し、第一筒体11を着脱可能に挿入する部材である。第二筒体12は、円筒状の配管であり、第三筒体13及び第四筒体14と比較して断面直径が小さくなるように構成されている。また、第二筒体12は、内径が第一筒体11の外径よりも僅かに大きくなるように構成されて、第一筒体11の外側に配置される。
また、第二筒体12は、第三筒体13及び第四筒体14と比較して軸方向の長さが長く、ガス取出方向で第三筒体13よりも突出するように構成されている。
【0022】
第三筒体13は、第二筒体12に沿って延在し、第二筒体12を挿入するとともに、冷却水を第二筒体12との間に流通させる部材である。第三筒体13は、円筒状の配管であり、第四筒体14と比較して断面直径が小さくなるように構成されている。また、第三筒体13は、内径が第二筒体12の外径よりも大きくなるように構成されて、第二筒体12の外側に配置される。
また、第三筒体13は、第四筒体14と比較して軸方向の長さが長く、ガス取出方向で第四筒体14よりも突出するように構成されている。
【0023】
第四筒体14は、第三筒体13に沿って延在し、第三筒体13を挿入するとともに、冷却水を第三筒体13との間に流通させる部材である。第四筒体14は、円筒状の配管である。第四筒体14は、内径が第三筒体13の外径よりも大きくなるように構成されて、第三筒体13の外側に配置される。つまり、第四筒体14は、四つの筒体のうち最も外側に配置される。ここで、冷却水は、液体状の冷媒で代用することも可能である。
【0024】
カバー部材15は、プローブ1本体の挿入方向側の端部に備えられて、ガス化炉100内の生成ガスを第一筒体11へと流入させる複数の連通孔15aを有し、かつ、プローブ1本体の端部をその外周部形状に沿って挿入方向側から覆う部材である。
カバー部材15は、プローブ1の挿入方向側を閉塞した筒状の部材である。カバー部材15の挿入方向側の端部は、ガス取出方向側から挿入方向側へ向かうに従って先細る形状となるように、円錐形に形成されている。こうして、カバー部材15が挿入方向に尖り、ひいてはプローブ1本体の一端部がガス化炉100内への挿入方向に尖るようになっている。また、カバー部材15のガス取出方向側にある開口の内周面には後述する第二継手22と螺合するための螺子が形成されている。
連通孔15aは、カバー部材15の外周側面に複数形成されている。本実施形態においては、連通孔15aは、カバー部材15の周方向に一定間隔ごとに4つ形成されている。連通孔15aの孔径は、生成ガスが各連通孔15aを介してガス化炉100から第一筒体11に流入する際にガス化炉100内で生成した大きな固形状物質が通過不能な大きさに設定される。固形状物質とは例えば、未燃焼の木質バイオマスやチャー(固形の炭化物)である。
【0025】
次に、プローブ1の構造について図2から図7を用いて詳細に説明する。
まず、プローブ1本体における第一筒体11、第二筒体12、第三筒体13及び第四筒体14の相対的な位置関係について説明する。
第一筒体11は、図2に示すように、第二筒体12に貫入されている。第一筒体11の外周面と第二筒体12の内周面とは隙間無く密着されるが、第一筒体11は第二筒体12に対して着脱(挿抜)可能としている。
また、第二筒体12は、第三筒体13に貫入されている。第二筒体12の外周面と第三筒体13の内周面との間には、冷却水を通すための内側冷却水通路17としての隙間が設けられている。
また、第三筒体13は第四筒体14に貫入されている。第三筒体13の外周面と第四筒体14の内周面との間には、冷却水を通すための外側冷却水通路18としての隙間が設けられている。
そして、第二筒体12、第三筒体13及び第四筒体14は、第一筒体11の挿入方向側寄りに配置されている。
【0026】
次に、図3から図7を用いて、プローブ1の組立構造について説明する。
図3に示すように、第一継手21が第二筒体12に軸方向相対移動可能に外嵌されている。第一継手21は、断面直径が異なる円筒を軸方向に連続させた形状からなる部材であり、挿入方向側が縮径部となり、ガス取出方向側が拡径部となるように構成されている。
第一継手21は、縮径部の外周面に第一固定部材31と螺合するための螺子が形成されており、拡径部の外周面に第二継手22と螺合するための螺子が形成されている。
【0027】
第一固定部材31は、第一継手21よりも挿入方向側に配置され、第二筒体12に外嵌される。第一固定部材31は、挿入方向側を閉塞した筒状の部材である。第一固定部材31は、その内周面に螺子が形成されている。第一固定部材31は、第一継手21の外周面と螺合される。第一継手21の縮径部の挿入方向側端面と第一固定部材31のガス取出方向側端面との間には、第一筒体固定具41が配置されている。第一筒体固定具41は環状の部材であり、第一継手21側ほど薄肉になる楔状に形成されている。また、第一筒体固定具41は耐高温性を有する硬度が高い金属で構成されており、本実施形態においてはステンレス鋼で構成されている。第一筒体固定具41は、第二筒体12に軸方向相対移動可能に外嵌されている。
【0028】
第一継手21を第一固定部材31に向かって移動させ、互いの間に第一筒体固定具41を挟んだ状態で第一固定部材31と螺合することにより、第一筒体固定具41が第二筒体12の外周面側に押圧される。第一筒体固定具41は、押圧されることにより塑性変形を行いつつ第二筒体12を周囲から挟持する。このように構成することにより、第一継手21及び第一固定部材31が第二筒体12に軸方向相対移動不能に固定される。
【0029】
第二継手22は、第一継手21よりもガス取出方向側に配置され、第二筒体12に軸方向相対移動可能に外嵌されている。第二継手22は、断面直径が異なる円筒を連続させた形状からなる部材であり、挿入方向側が縮径部となり、ガス取出方向側が拡径部となるように構成されている。第二継手22は、拡径部の孔径が縮径部の孔径よりも大きくなるように構成されている。
第二継手22は、縮径部の内周面には第一継手21と螺合するための螺子が形成され、縮径部の外周面にはカバー部材15と螺合するための螺子が形成されている。また、第二継手22は、拡径部の内周面には第四筒体14と螺合するための螺子が形成されている。
【0030】
第二継手22を第一継手21に向かって移動させ、第一継手21と螺合することにより、第二継手22が第二筒体12に対して軸方向相対移動不能に固定される。カバー部材15を第二継手22に挿入方向側から外嵌させた上で第一継手21に向かって移動させ、第二継手22と螺合することにより、カバー部材15が第二筒体12に対して軸方向相対移動不能に固定される。第四筒体14をガス取出方向側から第二継手22に向かって移動させ、第二継手22と螺合することにより、第四筒体14が第二筒体12に対して軸方向相対移動不能に固定される。
【0031】
また、第三筒体13の挿入方向側の端部は、第一継手21、第二継手22及び第四筒体14のいずれとも接触しないように、これらよりもガス取出方向側に配置される。こうして、内側冷却水通路17と外側冷却水通路18とが、第三筒体13の挿入方向側の端部よりも挿入方向側の空間において連通されている。
【0032】
また、図4に示すように、第四筒体14のガス取出方向側の端部には第三継手23が外嵌されている。第三継手23は、断面直径が異なる円筒を軸方向に三つ連続させた形状からなる部材であり、挿入方向側及びガス取出方向側が縮径部となり、両縮径部の間に位置する中間部が拡径部となるように構成されている。また、第三継手23の拡径部には連通孔23aが形成されている。連通孔23aは、外周側と内周側との間を連通させるように、拡径部に外周面から軸方向中心部に向かって半径方向に貫設されている。連通孔23aの外周縁部からは冷却水出口管51と連結するための連結部23bが筒状に突設されている。つまり、第三継手23はT字管状に構成している。
【0033】
第三継手23は、挿入方向側の縮径部の外周面に第二固定部材32と螺合するための螺子が形成されており、ガス取出方向側の縮径部の外周面に第三固定部材33と螺合するための螺子が形成されている。
第二固定部材32は、第三継手23よりも挿入方向側に配置され、第四筒体14に外嵌される。第二固定部材32は、挿入方向側を閉塞した筒状の部材である。第二固定部材32は、その内周面に螺子が形成されている。第二固定部材32は、第三継手23の外周面と螺合される。第三継手23の縮径部の挿入方向側端面と第二固定部材32のガス取出方向側端面との間には、第二筒体固定具42が配置されている。第二筒体固定具42は環状の部材であり、第三継手23側ほど薄肉になる楔状に形成されている。また、第二筒体固定具42は耐高温性を有する硬度が高い金属で構成されており、本実施形態においてはステンレス鋼で構成されている。第二筒体固定具42は、第四筒体14に軸方向相対移動可能に外嵌されている。
【0034】
第三継手23を第二固定部材32に向かって移動させ、互いの間に第二筒体固定具42を挟んだ状態で第二固定部材32と螺合することにより、第二筒体固定具42が第四筒体14の外周面側に押圧される。第二筒体固定具42は、押圧されることにより塑性変形を行いつつ第四筒体14を周囲から挟持する。このように構成することにより、第三継手23及び第二固定部材32が第四筒体14に軸方向相対移動不能に固定される。
【0035】
また、第四筒体14のガス取出方向側の端部は第三継手23の縮径部の内部に挿入方向側から挿入されている。第四筒体14の外周面と第三継手23の縮径部の内周面とは隙間無く密着している。こうして、外側冷却水通路18は、第三継手23内周面と第三筒体13外周面との間に存在する空間と連通されている。この空間は、第三継手23の拡径部の軸方向中途部まで設けられて、連通孔23aを介して冷却水出口管51と連通されている。
【0036】
第三固定部材33は、第三継手23よりもガス取出方向側に配置され、第三筒体13に外嵌される。第三固定部材33は、ガス取出方向側を閉塞した筒状の部材である。第三固定部材33は、その内周面に螺子が形成されている。第三固定部材33は、第三継手23の外周面と螺合される。第三継手23の縮径部のガス取出方向側端面と第三固定部材33のガス取出方向側端面との間には、第三筒体固定具43が配置されている。第三筒体固定具43は環状の部材であり、第三継手23側ほど薄肉になる楔状に形成されている。また、第三筒体固定具43は耐高温性を有する硬度が高い金属で構成されており、本実施形態においてはステンレス鋼で構成されている。第三筒体固定具43は、第三筒体13に軸方向相対移動可能に外嵌されている。
【0037】
第三固定部材33を第三継手23に向かって移動させ、互いの間に第三筒体固定具43を挟んだ状態で第三継手23と螺合することにより、第三筒体固定具43が第四筒体14の外周面側に押圧される。第三筒体固定具43は、押圧されることにより塑性変形を行いつつ第三筒体13を周囲から挟持する。このように構成することにより、第三継手23及び第三固定部材33が第三筒体13に軸方向相対移動不能に固定される。
【0038】
また、図5に示すように、第三筒体13のガス取出側の端部には第四継手24が外嵌されている。第四継手24は、断面直径が異なる円筒を軸方向に三つ重ねた形状からなる部材であり、挿入方向側及びガス取出方向側が縮径部となり、両縮径部の間に位置する中間部が拡径部となるように構成されている。また、第四継手24の拡径部には連通孔24aが形成されている。連通孔24aは、外周側と内周側との間を連通させるように、拡径部に外周面から軸方向中心部に向かって半径方向に貫設されている。連通孔24aの外周縁部からは冷却水入口管52と連結するための連結部24bが筒状に突設されている。つまり、第四継手24はT字管状に構成している。
【0039】
第四継手24は、挿入方向側の縮径部の外周面に第四固定部材34と螺合するための螺子が形成されており、ガス取出方向側の縮径部の外周面に第五固定部材35と螺合するための螺子が形成されている。
第四固定部材34は、第四継手24よりも挿入方向側に配置され、第三筒体13に外嵌される。第四固定部材34は、挿入方向側を閉塞した筒状の部材である。第四固定部材34は、その内周面に螺子が形成されている。第四固定部材34は、第四継手24の外周面と螺合される。第四継手24の縮径部の挿入方向側端面と第四固定部材34のガス取出方向側端面との間には、第四筒体固定具44が配置されている。第四筒体固定具44は環状の部材であり、第四継手24側ほど薄肉になる楔状に形成されている。また、第四筒体固定具44は耐高温性を有する硬度が高い金属で構成されており、本実施形態においてはステンレス鋼で構成されている。第四筒体固定具44は、第三筒体13に軸方向相対移動可能に外嵌されている。
【0040】
第四継手24を第四固定部材34に向かって移動させ、互いの間に第四筒体固定具44を挟んだ状態で第四固定部材34と螺合することにより、第四筒体固定具44が第三筒体13外周面側に押圧される。第四筒体固定具44は、押圧されることにより塑性変形を行いつつ第三筒体13を周囲から挟持する。このように構成することにより、第四継手24及び第四固定部材34が第三筒体13に軸方向相対移動不能に固定されている。
【0041】
また、第三筒体13のガス取出方向側の端部は第四継手24の縮径部の内部に挿入方向側から挿入されている。第三筒体13の外周面と第四継手24の縮径部の内周面とは隙間無く密着している。こうして、内側冷却水通路17は、第四継手24内周面と第二筒体12外周面との間に存在する空間と連通している。この空間は、第四継手24の拡径部の軸方向中途部まで設けられて、連通孔24aを介して冷却水入口管52と連通している。
【0042】
また、第五固定部材35は、第四継手24よりもガス取出方向側に配置され、第二筒体に外嵌される。第五固定部材35は、ガス取出方向側を閉塞した筒状の部材である。第五固定部材35は、その内周面に螺子が形成されている。第五固定部材35は、第四継手の外周面と螺合される。第四継手24の縮径部のガス取出方向側端面と第五固定部材35内のガス取出方向側端面との間には、第五筒体固定具45が設けられている。第五筒体固定具45は環状の部材であり、第四継手24側ほど薄肉になる楔状に形成されている。また、第五筒体固定具45は柔軟な樹脂で構成されており、本実施形態においてはポリテトラフルオロエチレンで構成されている。第五筒体固定具45は、第二筒体12に軸方向相対移動可能に外嵌されている。
【0043】
第五固定部材35を第四継手24に向かって移動させ、互いの間に第五筒体固定具45を挟んだ状態で第四継手24と螺合することにより、第五筒体固定具45が第二筒体12外周面側に押圧される。第五筒体固定具45は、押圧されることにより変形し第二筒体12を周囲から挟持する。このように構成することにより、第四継手24及び第五固定部材35が第二筒体12に軸方向相対移動不能に固定される。また、第五筒体固定具45は、柔軟な樹脂で形成されているため、第二筒体12が変形することを防止することができる。したがって、第四継手24と第五固定部材35とを一度螺合した後で分離し、第五筒体固定具45を新しいものに交換することにより、再び螺合することが可能となる。
【0044】
また、図6に示すように、第二筒体12のガス取出方向側の端部には第五継手25が外嵌されている。第五継手25は、断面直径が異なる円筒を軸方向に三つ連続させた形状からなる部材であり、挿入方向側及びガス取出方向側が縮径部となり、両縮径部の間に位置する中間部が拡径部となるように構成されている。第五継手25の挿入方向側の縮径部と、後述する第七固定部材37と、第七筒体固定具47とは、第一筒体支持部65を構成している。
【0045】
第五継手25は、挿入方向側の縮径部の外周面に第六固定部材36と螺合するための螺子が形成されており、ガス取出方向側の縮径部の外周面に第七固定部材37と螺合するための螺子が形成されている。
第六固定部材36は、第五継手25よりも挿入方向側に配置され、第二筒体12に外嵌される。第六固定部材36は、挿入方向側を閉塞した筒状の部材である。第六固定部材36は、その内周面に螺子が形成されている。第六固定部材36は、第五継手25の外周面と螺合される。第五継手25の縮径部の挿入方向側端面と第六固定部材36のガス取出方向側端面との間には、第六筒体固定具46が配置されている。第六筒体固定具46は環状の部材であり、第六継手26側ほど薄肉になる楔状に形成されている。また、第六筒体固定具46は柔軟な樹脂で構成されており、本実施形態においてはポリテトラフルオロエチレンで構成されている。第六筒体固定具46は、第二筒体12に軸方向相対移動可能に外嵌されている。
【0046】
第五継手25を第六固定部材36に向かって移動させ、互いの間に第六筒体固定具46を挟んだ状態で第六固定部材36と螺合することにより、第六筒体固定具46が第二筒体12外周面側に押圧される。第六筒体固定具46は、押圧されることにより変形し第二筒体12を周囲から挟持する。このように構成することにより、第五継手25及び第六固定部材36が第二筒体12に軸方向相対移動不能に固定される。また、第六筒体固定具46は、柔軟な樹脂で形成されているため、第二筒体12が変形することを防止することができる。したがって、第五継手25と第六固定部材36とを一度螺合した後で分離し、第六筒体固定具46を新しいものに交換することにより、再び螺合することが可能となる。
【0047】
また、第七固定部材37は、第五継手25よりもガス取出方向側に配置され、第一筒体に外嵌される。第七固定部材37は、ガス取出方向側を閉塞した筒状の部材である。第七固定部材37は、その内周面に螺子が形成されている。第七固定部材37は、第五継手25の外周面と螺合される。第五継手25の縮径部のガス取出方向側端面と第七固定部材37内のガス取出方向側端面との間には、第七筒体固定具47が設けられている。第七筒体固定具47は環状の部材であり、第五継手25側ほど薄肉になる楔状に形成されている。また、第七筒体固定具47は柔軟な樹脂で形成されており、本実施形態においてはポリテトラフルオロエチレンで構成されている。
【0048】
第七固定部材37を第五継手25に向かって移動させ、互いの間に第七筒体固定具47を挟んだ状態で第五継手25と螺合することにより、第七筒体固定具47が第一筒体11外周面側に押圧される。第七筒体固定具47は、押圧されることにより変形し第一筒体11を周囲から挟持する。このように構成することにより、第五継手25及び第七固定部材37が第一筒体11に軸方向相対移動不能に固定される。また、第七筒体固定具47は、柔軟な樹脂で形成されているため、第一筒体11が変形することを防止することができる。したがって、第五継手25及び第七固定部材37は、一度螺合した後で分離し、第七筒体固定具47を新しいものに交換することにより、再び螺合することが可能となる。
【0049】
また、図7に示すように、第一筒体11のガス取出方向側の端部には第六継手26が外嵌されている。第六継手26は、断面直径が異なる円筒を軸方向に三つ連続させた形状からなる部材であり、挿入方向側及びガス取出方向側が縮径部となり、両縮径部の間に位置する中間部が拡径部となるように構成されている。また、第六継手26の拡径部には連通孔26aが形成されている。連通孔26aは、外周側と内周側との間を連通させるように、拡径部に外周面から軸方向中心部に向かって半径方向に貫設されている。連通孔26aの外周縁部からは熱電対55を挿入するための熱電対管26bが突設されている。つまり、第六継手26はT字管状に構成している。
【0050】
第六継手26は、挿入方向側の縮径部の外周面に第八固定部材38と螺合するための螺子が形成されており、ガス取出方向側の縮径部の外周面に第九固定部材39と螺合するための螺子が形成されている。
第八固定部材38は、第六継手26よりも挿入方向側に配置され、第一筒体11に外嵌される。第八固定部材38は、挿入方向側を閉塞した筒状の部材である。第八固定部材38は、その内周面に螺子が形成されている。第八固定部材38は、第六継手26の外周面と螺合される。第六継手26の縮径部の挿入方向側端面と第八固定部材38のガス取出方向側端面との間には、第八筒体固定具48が配置されている。第八筒体固定具48は環状の部材であり、第六継手26側ほど薄肉になる楔状に形成されている。また、第八筒体固定具48は柔軟な樹脂で形成されており、本実施形態においてはポリテトラフルオロエチレンで構成されている。第八筒体固定具48は、第一筒体11に軸方向相対移動可能に外嵌されている。
【0051】
第六継手26と第八固定部材38に向かって移動させ、互いの間に第八筒体固定具48を挟んだ状態で第八固定部材38と螺合することにより、第八筒体固定具48が第一筒体11外周面側に押圧される。第八筒体固定具48は、押圧されることにより変形し第一筒体11を周囲から挟持する。このように構成することにより、第六継手26及び第八固定部材38が第一筒体11に軸方向相対移動不能に固定される。また、第八筒体固定具48は、柔軟な樹脂で形成されているため、第一筒体11が変形することを防止することができる。したがって、第六継手26と第八固定部材38とを一度螺合した後で分離し、第八筒体固定具48を新しいものに交換することにより、再び螺合することが可能となる。
【0052】
また、第一筒体11のガス取出方向側の端部は第六継手26の内部に挿入されており、第一筒体11から取り出された生成ガスは第六継手26内へ流入する。
【0053】
また、第六継手26のガス取出方向の端部には、ガス管60が接続されている。第九固定部材39は、第六継手26とガス管60とを軸方向相対移動不能に固定する部材である。第九固定部材39は、第六継手26よりもガス取出方向側に配置され、ガス管60に外嵌される。第九固定部材39は、ガス取出方向側を閉塞した筒状の部材である。第九固定部材39は、その内周面に螺子が形成されている。第九固定部材39は、第六継手26の外周面と螺合される。第六継手26の縮径部のガス取出方向側端面と第九固定部材39のガス取出方向側端面との間には、第九筒体固定具49が配置されている。第九筒体固定具49は環状の部材であり、第六継手26側ほど薄肉になる楔状に形成されている。また、第九筒体固定具49は柔軟な樹脂で形成されており、本実施形態においてはポリテトラフルオロエチレンで構成されている。
【0054】
第九固定部材39を第六継手26に向かって移動させ、互いの間に第九筒体固定具49を挟んだ状態で第六継手26と螺合することにより、第九筒体固定具49がガス管60の外周面側に押圧される。第九筒体固定具49は、押圧されることにより変形しガス管60を周囲から挟持する。このように構成することにより、第六継手26及び第九固定部材39がガス管60に軸方向相対移動不能に固定される。また、第九筒体固定具49は、柔軟な樹脂で形成されているため、ガス管60が変形することを防止することができる。したがって、第六継手26及びガス管60は、一度螺合した後で分離し、第九筒体固定具49を新しいものに交換することにより、再び螺合することが可能となる。
【0055】
次にプローブ1の使用態様について説明する。
プローブ1を用いて、ガス化炉100内の生成ガスを採取する際には、図1に示すように、プローブ1の挿入方向側をガス化炉100へ上方から挿入する。
図2から図3に示すように、プローブ1の挿入方向側端部(下端部)にはカバー部材15を設けているので、未燃焼の木質バイオマスやチャー(固形の炭化物)のような固形状物質のうち大きなものはカバー部材15の連通孔15aを通過して、ガス化炉100内からプローブ1内に流入することはできない。一方、生成ガスはカバー部材15の連通孔15aを通過して、ガス化炉100内からプローブ1内に流入することが可能となる。つまり、生成ガスのみをガス化炉100内からプローブ1内に流入させることが可能となる。
【0056】
また、図8に示すように、カバー部材15の内周面と第一固定部材31の外周面との間に設けられた流路15bは、その幅Dが第一筒体11の内径よりも小さい幅となるように形成されている。このように構成することにより、未燃焼の木質バイオマスやチャー(固形の炭化物)のような固形状物質のうち、連通孔15aを通過したものであっても、幅Dよりも大きなものについては、プローブ1内に流入することはできない。これにより、生成ガスのみをプローブ1内に流入させることが可能となる。
【0057】
この際、プローブ1のガス化炉100に対する挿入量(上下位置)を変更して、ガス化炉100内におけるプローブ1の挿入方向側端部(カバー部材15の連通孔15a)の位置を調節することにより、生成ガスを固形状物質と生成ガスとが混在するガス化炉100内の任意位置からプローブ1内に流入させることが可能となる。これにより、生成ガスをプローブ1によりガス化炉100内の任意位置から採取することができる。プローブ1内に流入した生成ガスはガス化炉100内の温度とほぼ同じであり高温である。
【0058】
プローブ1内部に流入したすべての生成ガスは、カバー部材15の内側に配置された第一筒体11の挿入方向側開口部から第一筒体11内へ流入する。この流入した生成ガスは第一筒体11内部を挿入方向側からガス取出方向側へ流通して、ガス取出方向側開口部へ向かって移動する。
【0059】
また、第一筒体11内部を生成ガスが移動しているときに、生成ガスを冷却するための冷却水を冷却水入口管52から第四継手24の連通孔24aを介して内側冷却水通路17へ流入させる。冷却水は、冷却水槽101に貯溜されており、送水装置102によって冷却水入口管52から内側冷却水通路17へ送られる。冷却水は、内側冷却水通路17を挿入方向側へ流通する。内側冷却水通路17を流通する冷却水は、熱を第一筒体11及び第一筒体11内の生成ガスから第二筒体12の壁面を介して奪って、第一筒体11内の生成ガスを冷却する。
【0060】
内側冷却水通路17の挿入側端部に至った冷却水は、第二筒体12と第三筒体13との間から流出して、第三筒体13の挿入方向側端部よりも挿入方向側の空間を通って外側冷却水通路18へと流入する。冷却水は、外側冷却水通路18をガス取出方向側へ流通する。外側冷却水通路18のガス取出側端部に至った冷却水は、第三筒体13と第四筒体14との間から流出し、つづいて第三継手23の連通孔23aから冷却水出口管51へ流出する。
【0061】
生成ガスは、冷却水により冷却されながら、その成分を変性させることなく第一筒体11のガス取出方向側端部(上端部)まで移動し、第一筒体11のガス取出方向側の開口部から第六継手26へと流入する。第六継手26へと流入した生成ガスは、第六継手26に接続されたガス管60に流入する。この流入した生成ガスは、ガス管60を介して図示せぬ測定装置に送られる。この測定装置によって気体流量等が測定される。
【0062】
熱電対55は、第六継手26に設けられた熱電対管26bから挿入されている。熱電対55は線状の部材であり、その先端部に温度を計測する部分が形成されている。熱電対55の先端部は、第一筒体11内部に挿入されている。また、熱電対管26bに設けられたキャップを緩めることにより、熱電対55の挿入及び引き抜きが可能となっており、第一筒体11内部における熱電対55の先端部の位置を任意に変更することができる。
第一筒体11内の生成ガスは、生成ガスを採取した任意位置付近とほぼ同じ温度であるため、第一筒体11内部で生成ガスの成分が変性することがある。そこで、熱電対55によって第一筒体11内部の任意の位置における温度を計測し、第一筒体11内部が冷却水により冷却され、第一筒体11内部の温度が生成ガスの変性する温度以下であることを確認する。
【0063】
次に、第一筒体11の取り外し方法について説明する。
第一筒体11は、第二筒体12に貫入された状態において、図6に示す、第一筒体支持部65によって固定されている。より詳細には、第一筒体11は、第七固定部材37及び第五継手25によって第二筒体12に固定されている。そこで、第七固定部材37と第五継手25との螺合を緩めることにより、第一筒体11と第五継手25との間の固定を解除する。これにより、第一筒体11が第二筒体12内に遊貫された状態となるため、第一筒体11を第二筒体12から取り外すことが可能となる。つまり、第二筒体12と第三筒体13と第四筒体14とを多重筒状に配置したまま、第一筒体11のみを他の筒体から取り外すことが可能となる。ここで、第五継手25と第七固定部材37との間に設けられた第七筒体固定具47はポリテトラフルオロエチレンで構成されているため、第五継手25、第七固定部材37、及び第一筒体11は再度の使用が可能となっている。
【0064】
第一筒体11のみを他の筒体から取り外した後、第一筒体11に付着したタールやすす等を回収する。ガス管60から回収したガス及び第一筒体11に付着したタールやすすに基づいて生成ガスの成分の構成比を計測することにより、ガス化炉100内における生成ガスの成分の構成比と同一の構成比を計測することができる。
【0065】
以上のように、プローブ1は、木質バイオマス等の有機物をガス化するガス化炉100に挿入方向側の端部を挿入して、ガス化炉100内で生成した生成ガスをガス取出方向側の端部から採取する多重筒状のプローブ1であって、生成ガスを内部に取り込んで挿入方向側からガス取出方向側へ流通させる第一筒体11と、第一筒体11に沿って延在し、第一筒体11を着脱可能に挿入する第二筒体12と、第二筒体12に沿って延在し、第二筒体12を挿入するとともに、冷却水を第二筒体12との間に設けた内側冷却水通路17に流通させる第三筒体13と、第三筒体13に沿って延在し、第三筒体13を挿入するとともに、冷却水を第三筒体13との間に流通させる第四筒体14と、をプローブ1本体に備え、第一筒体11は、第二筒体12のガス取出方向側に設けられた第一筒体支持部65によって脱着自在に支持されるものである。
このように構成することにより、プローブ1を用いて、ガス化炉100内で生成した生成ガスを冷却水により冷却しながら取り出して、その生成ガスの成分を変性させることなく採取することが可能となる。すなわち、ガス化炉100内の生成ガスを採取した任意位置付近とほぼ同じ温度である高温の生成ガスをそのままプローブ1により取り出そうとする場合、プローブ1内で生成ガスの成分が変性することがある。そこで、プローブ1においては、内側冷却水通路17を流通する冷却水が、熱を第一筒体11及び第一筒体11内の生成ガスから第二筒体12の壁面を介して奪って、生成ガスを冷却するようになっている。その結果、生成ガスの成分を変性させることなく採取することが可能となる。
また、生成ガス中の成分が第一筒体11内に付着した場合でも、第一筒体11を第二筒体12から取り外し、その付着した成分を容易に回収することが可能となる。しかも、第一筒体11を第二筒体12から取り外し、未使用の第一筒体11を第二筒体12に取り付けて、第一筒体11のみを交換することにより、第一筒体11を洗浄し終わらずとも、生成ガスの採取作業を速やかに連続して行うことができる。したがって、プローブ1のガス化炉100に対する挿入量を適宜に変更して、生成ガスをガス化炉100内の任意位置で正確かつ容易に採取することができる。
【0066】
また、プローブ1本体の挿入方向側の端部であるカバー部材15の先端部をガス化炉100内への挿入方向に尖らせるものである。
このように構成することにより、プローブ1が、ガス化炉100に挿入される際、ガス化炉100内のチャーなどの固形状物質を掻き分けて進むようになる。そのため、プローブ1をガス化炉100に挿入しやすくなる。したがって、生成ガスをガス化炉100内の任意位置で容易に採取することができる。
【0067】
また、プローブ1の挿入方向側の端部に、ガス化炉100内の生成ガスを第一筒体11へと流入させる複数の連通孔15aを有し、かつ、プローブ1の挿入方向側の端部をその外周部形状に沿って覆うカバー部材15を備え、カバー部材15の内部に形成された第一筒体11の先端部までの流路15bを、前記ガス化炉100内で生成した固形状物質が通過不能な大きさに設定するものである。
このように構成することにより、連通孔15aによって、未燃焼の木質バイオマスやチャー(固形の炭化物)のような固形状物質のうち大きなものがプローブ1内に流入するのを防ぐ。また、流路15bによって、幅Dよりも大きい未燃焼の木質バイオマスやチャー(固形の炭化物)のような固形状物質がプローブ1内に流入するのを防ぐ。したがって、ガス化炉100内のチャーなどの固形状物質が第一筒体11に取り込まれず、生成ガスのみが第一筒体11に取り込まれることになる。そのため、固形状物質が第一筒体11に取り込まれる生成ガスに混入するのが抑制されて、生成ガスの流路となる第一筒体11内が固形状物質により閉塞されることがなくなる。したがって、生成ガスをガス化炉100内の任意位置で容易に採取することができる。
【0068】
また、第一筒体11内の任意の位置における温度を計測するための熱電対55を設けたものである。
このように構成することにより、第一筒体11内部の温度が生成ガスの変性する温度以下であることを確認することができるので、生成ガスの成分を変性させることなく採取することが可能となる。したがって、生成ガスを正確に採取することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 プローブ
11 第一筒体
12 第二筒体
13 第三筒体
14 第四筒体
15 カバー部材
15a 連通孔
17 内側冷却水通路
18 外側冷却水通路
65 第一筒体支持部
100 ガス化炉


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物をガス化するガス化炉にプローブ本体の一端側を挿入して、前記ガス化炉内で生成した生成ガスを当該プローブ本体の他端側から採取する多重筒状のプローブであって、
前記生成ガスを内部に取り込んで、一端側から他端側へ流通させる第一筒体と、
前記第一筒体に沿って延在し、前記第一筒体を着脱可能に挿入する第二筒体と、
前記第二筒体に沿って延在し、前記第二筒体を挿入するとともに、冷却水を前記第二筒体との間に流通させる第三筒体と、
前記第三筒体に沿って延在し、前記第三筒体を挿入するとともに、冷却水を前記第三筒体との間に流通させる第四筒体と、を前記プローブ本体に備え、
前記第一筒体は、前記プローブ本体の他端側に配置された第一筒体支持部によって、前記第二筒体に脱着自在に支持される、
プローブ。
【請求項2】
前記プローブ本体の一端部を前記ガス化炉内への挿入方向に尖らせる、
請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記ガス化炉内の生成ガスを前記第一筒体へと流入させる複数の連通孔を有し、かつ、前記プローブ本体の一端部をその外周部形状に沿って覆うカバー部材を、前記プローブ本体の一端部に備え、
前記カバー部材の内部に形成された第一筒体の先端部までの流路を、前記ガス化炉内で生成した固形状物質が通過不能な大きさに設定する、
請求項1又は請求項2に記載のプローブ。
【請求項4】
前記第一筒体内の任意の位置における温度を計測するための熱電対を設けた、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプローブ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−191218(P2011−191218A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58536(P2010−58536)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】