説明

ヘッドホンの電池ケースおよびそれを備えたヘッドホン

【課題】異なる形態の電池を用いることができるとともに、メンテナンス性に優れたヘッドホンの電池ケースおよびそれを備えたヘッドホンを得る。
【解決手段】
ヘッドホン筐体3と、ヘッドホン筐体3に組み込まれたスピーカと、を備えたヘッドホンの電池ケース4。電池ケース4はヘッドホン筐体3の挿入穴31に挿入されることで装着されるとともに挿入穴31を密閉し、ヘッドホン筐体3と電池との電気的接続はヘッドホン筐体3に設けられたマイナス端子33と電池ケースに設けられたプラス側端子44によりなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドホンにおいて異なる形態の電池を用いることができるようにするとともに、メンテナンス性に優れたヘッドホンの電池ケースおよびそれを備えたヘッドホンに関する。
【背景技術】
【0002】
環境雑音を打ち消すキャンセル信号と音楽を混合して出力することで、環境雑音を消音し、好適な環境で音楽を聴くことができるノイズキャンセルヘッドホンが知られている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に示すノイズキャンセルヘッドホンは、ヘッドホン筐体に取り付けられたマイクロホンユニットによって周囲の雑音(環境雑音)を集音して電気信号に変換し、この環境雑音を元にヘッドホン筐体を通過して利用者の耳に聞こえる騒音を打ち消すキャンセル信号を生成して、このキャンセル信号を音楽信号とともにヘッドホンスピーカユニットに入力し、音楽のみを再生し、出力するように構成されている。
【0004】
このようなノイズキャンセルヘッドホンでは、各構成部品を動作させるための電源が必要である。また、ワイヤレスヘッドホンでも、無線通信を行うための電源が必要となる。これらのヘッドホンにおいて電源として電池を用いる場合は、ヘッドホン筐体に、電池を格納するための電池ケースを設ける必要がある。
【0005】
一般的に、電池ケースはヘッドホン筐体の内部に固定され、開口部がドアに覆われた構成となっている。そして、電池ケースに対する電池の出し入れは、このドアを開閉することで行われる(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2562708号公報
【特許文献2】特開2005−287018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した電池ケースを備えたヘッドホンにおいては、電池ケースはヘッドホン筐体に固定されていて、取り外すことができない。そのため、ヘッドホンに使用できる電池の大きさや形状はヘッドホン筐体に固定されている電池ケースに対応したものに限定され、それ以外の大きさや形状の電池を使用することはできない。
【0008】
また、電池ケースはヘッドホン筐体に固定されているため、電池ケースに不具合が生じたときにはヘッドホン全体を分解して修理する必要があり、メンテナンス性が悪い。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、ヘッドホンにおいて異なる形態の電池を使用することができるとともに、メンテナンス性に優れたノイズキャンセルヘッドホンの電池ケースおよびそれを備えたヘッドホンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るノイズキャンセルヘッドホンの電池ケースは、ヘッドホン筐体と、ヘッドホン筐体に組み込まれ音響信号により駆動されて音波を放射するスピーカと、を備えたヘッドホンの電池ケースであって、電池ケースはヘッドホン筐体に設けられた挿入穴に挿入されることで装着され、電池ケースが挿入穴に挿入された状態において電池ケースの端面が挿入穴を密閉し、ヘッドホン筐体と電池ケースに収納される電池との電気的接続は第1端子および第2端子によりなされ、第1端子はヘッドホン筐体に設けられるとともに、第2端子は電池ケースに設けられていて、挿入孔に電池を収納した電池ケースが挿入されることでヘッドホン筐体と電池との電気的接続が確立されることを最も主要な特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るヘッドホンは、ヘッドホン筐体と、ヘッドホン筐体に組み込まれ音響信号により駆動されて音波を放射するスピーカと、スピーカを駆動する信号処理回路と、スピーカおよび前記信号処理回路に電源を供給する電池を収納する電池ケースと、を備えたヘッドホンであって、前記電池ケースが上述した電池ケースであることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るヘッドホンの電池ケースおよびそれを備えたヘッドホンによると、異なる形態の電池を用いることができるとともに、メンテナンス性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る電池ケースおよびそれを備えたヘッドホンの実施例を示す要部斜視図である。
【図2】図1の電池ケースを取出した様子を示す要部斜視図である。
【図3】上記実施例中の電池ケースの上方斜視図である。
【図4】上記電池ケースの下方斜視図である。
【図5】上記実施例におけるヘッドホン筐体の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るヘッドホンの電池ケースおよびそれを備えたヘッドホンの実施例について図を参照しながら説明する。
【0015】
図1および図2に示すように、ヘッドホン1は、ヘッドバンド2と、ヘッドバンドの両端部に設けられたヘッドホン筐体3を備えている。ただし、図1、図2では左右のヘッドホン筐体のうち片方のヘッドホン筐体3のみが描かれている。この片方のヘッドホン筐体3には、下端近くにおいて電池ケース4が装着されている。電池ケース4は、後で詳細に説明するように、ヘッドホン筐体3に着脱可能になっている。
【0016】
ヘッドバンド2は、図1および図2においては一方の端部のみが示されているが、実際はアーチ状の部材であり、所定の弾性力を有している。ヘッドホン1が使用者の頭部に装着されると、ヘッドバンド2は、使用者の頭部の大きさに合わせて弾性変形するとともに、その弾性変形に対する反発力により、使用者の頭部を押圧する向きに力を加える。このようにして、ヘッドホン1が使用者の頭部に装着される。
【0017】
ヘッドホン筐体3はドーム状に形成されていて、その内部に、ヘッドホンユニット(不図示)や、周囲の騒音を集音するマイクユニット(不図示)等が組み込まれている。また、図5に示すように、ヘッドホン筐体3の外壁の一部には、後述する筒状の電池ケース4を挿入するための挿入穴31と、電池ケース4の係止爪41を係止するための係止穴32が設けられている。
【0018】
挿入穴31は、電池ケース4をヘッドホン筐体3の斜め下方から斜め上方に向かって挿入することのできる径と深さを有する穴状の構造である。挿入穴31の最深部には、電池ケース4に収納される電池のマイナス側接点と接続するためのマイナス端子(第1端子)33が設けられているとともに、挿入穴31の開口部付近の内側には、電池ケース4の後述する引出電極46を介して電池のプラス側接点と接続するためのプラス端子34が設けられている。マイナス端子33およびプラス端子34は、いずれもヘッドホン筐体3内部に搭載されているヘッドホンユニットやマイクユニット等の内蔵部品と電気的に接続され、これらの内蔵部品に電池からの電源を供給できるようになっている。
【0019】
電池ケース4は、図3および図4に示すように、略四角柱状のケースであり、長手方向の一端(以下「開放端42」という。)が開放されているとともに、それに連続する側面のうち1つ(以下「開放側面43」という。)も開放されている。電池ケース4は樹脂等の絶縁素材で形成されている。電池ケース4の開放端42とは反対側にある端部(以下「他端44」という。)の外周面には、挿入孔31への電池ケース4の挿入時に前述したヘッドホン筐体3の係止穴32に嵌まることで電池ケース4を挿入孔31に係止する係止爪41が設けられている。また、電池ケース4の他端の内周面には、プラス側端子(第2端子)45が設けられているとともに、プラス側端子45に連続して、電池ケース4の外側に沿って引出電極46が設けられている。
【0020】
電池ケース4の係止爪41は、電池ケース4の他端44の外面に連続しかつV字状に折れ曲がって突出している。係止爪41は、電池ケース4の素材と同じ樹脂等により形成され、弾性力を有している。係止爪41の先端部近傍には凸部411が外方に向かって形成されていて、この凸部411がヘッドホン筐体3の挿入穴32の開口部付近に形成されている図示せぬ凹部に係止することで、電池ケース4がヘッドホン筐体3に挿入された状態が維持されるようになっている。また、係止爪41の先端部には指当て片412が形成されている。ヘッドホン筐体3に挿入されている電池ケース4を取り外すときには、使用者が指等で指当て片412を押し、係止爪41をその弾力に抗して変形させ、凸部411が挿入穴32の凹部から離間させる。こうすることで電池ケース4のヘッドホン筐体3への係止が解除され、電池ケース4を取り出すことができる。
【0021】
電池ケース4には、内部に収納された電池を強固に保持し脱落を防止するための把持爪47が設けられている。また、把持爪47の把持力に抗して電池を取り出せるよう、電池ケース4の底部に取出孔48が設けられている。電池を取り出すときは、電池ケース4の外側から取出孔48を通じ、棒状のもの、例えば、ヘッドホンコードの先端にあるミニプラグで電池を押圧することで、電池ケース4から電池を容易に取り出すことができる。
【0022】
電池とヘッドホン筐体3との電気的な接続は、以下のようにして行われる。
【0023】
まず、電池を収納した電池ケース4が、ヘッドホン筐体3の挿入穴32に挿入される。このとき、電池ケース4の係止爪41の凸部411が挿入穴32の凹部に係止することで、電池ケース4がヘッドホン筐体3に装着された状態が維持される。
【0024】
上記のように電池ケース4がヘッドホン筐体3に装着された状態では、電池ケース4内に収納されている電池のプラス側接点と、電池ケース4の内周面に設けられているプラス側端子45とが当接する。そして、プラス側端子45から伸展している引出電極46がヘッドホン筐体3側のプラス端子34と当接することで、電池のプラス側接点とヘッドホン筐体3側との電気的接続が確立される。
【0025】
電池のマイナス側接点は電池ケース4の開放端42から露出している。そのため、電池ケース4が挿入穴32に挿入された状態では、電池のマイナス側接点は電池ケース4の開放端42を経て、挿入穴32の最深部に設けられているマイナス端子33と当接することで、電池のマイナス側接点とヘッドホン筐体3側との電気的接続が確立される。
【0026】
ヘッドホン筐体3に装着されている電池ケース4を取出す場合は、使用者が指等で指当て片412を押し、係止爪41をその弾力に抗して変形させ、凸部411が挿入穴32の凹部から離間させる。こうすることで電池ケース4のヘッドホン筐体3への係止が解除され、電池ケース4を取り出すことができる。
【0027】
上述した本発明に係るヘッドホンの電池ケースおよびそれを備えたヘッドホンによると、電池ケースはヘッドホン筐体に対して着脱可能であることから、電池ケースのみを交換することができる。そのため、例えば電池ケースが破損した場合には、電池ケースのみを交換することで容易にヘッドホンの修理を行うことができ、メンテナンス性に優れたヘッドホンとなっている。
【0028】
また、電池ケースの外部形状は同一としつつ、様々な大きさや形状の電池に対応して内部の構造を変更したものを複数用意することで、同一のヘッドホンに対し、異なる形態の電池を用いることができる。
【0029】
また、電池ケースはヘッドホン筐体に対して着脱可能であり、電池ケースをヘッドホン筐体から引き出すときに、電池ケースをヘッドホン筐体に係止しておくための構成を、ヘッドホン筐体および電池ケースに設ける必要が無い。そのため、ヘッドホンを小型化することができる。
【0030】
また、電池ケースを挿入穴に挿入した状態において初めて電気的導通が確立するため、使用者が誤って電気的導通の確立された電池ケース等に触れることを防止することができる。
【0031】
上述した本発明に係る電池ケースは、ノイズキャンセルを行うための構成や回路等に電源を供給する必要のあるノイズキャンセルヘッドホンや、無線通信を行うための電源を供給する必要のあるワイヤレスヘッドホン等に特に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 ヘッドホン
2 ヘッドバンド
3 ヘッドホン筐体
31 挿入穴
32 係止穴
33 マイナス端子
34 プラス端子
4 電池ケース
41 係止爪
411 凸部
412 指当て片
42 開放端
43 開放側面
44 他端
45 プラス側端子
46 引出電極
47 把持爪
48 取出孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドホン筐体と、
前記ヘッドホン筐体に組み込まれ音響信号により駆動されて音波を放射するスピーカと、
前記スピーカを駆動する信号処理回路と、
を備えたヘッドホンの電池ケースであって、
前記電池ケースは前記ヘッドホン筐体に設けられた挿入穴に挿入されることで装着され、前記電池ケースが前記挿入穴に挿入された状態において前記電池ケースの端面が前記挿入穴を密閉し、
前記ヘッドホン筐体と前記電池ケースに収納される電池との電気的接続は第1端子および第2端子によりなされ、前記第1端子は前記ヘッドホン筐体に設けられるとともに、前記第2端子は前記電池ケースに設けられていて、前記挿入孔に前記電池を収納した前記電池ケースが挿入されることで前記ヘッドホン筐体と前記電池との電気的接続が確立されるヘッドホンの電池ケース。
【請求項2】
前記第1端子はマイナス端子であり、前記第2端子はプラス端子である請求項1記載のヘッドホンの電池ケース。
【請求項3】
前記電池ケースには、前記電池ケースの外部から前記電池を押圧することで、前記電池ケースから前記電池を取り出すことを可能とする取出孔が設けられている請求項1または2に記載のヘッドホンの電池ケース。
【請求項4】
ヘッドホン筐体と、
前記ヘッドホン筐体に組み込まれ音響信号により駆動されて音波を放射するスピーカと、
前記スピーカを駆動する信号処理回路と、
前記スピーカおよび前記信号処理回路に電源を供給する電池を収納する電池ケースと、
を備えたヘッドホンであって、前記電池ケースが請求項1乃至3の何れかに記載の電池ケースであるヘッドホン。
【請求項5】
前記ヘッドホンがノイズキャンセルヘッドホンである請求項4記載のヘッドホン。
【請求項6】
前記ヘッドホンがワイヤレスヘッドホンである請求項4または5記載のヘッドホン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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