説明

ヘッドマウントカメラ

【課題】使用者の額の前に配置された状態で用いられる構成において、カメラモジュールを収納する筐体における防水性・防塵性を確保しながら、カメラモジュールの発熱にともなう筐体の温度上昇によって使用者が不快感を覚えることを防止する。
【解決手段】使用者100の額の前に配置された状態で用いられるカメラユニット20であって、発熱源となる素子を有するカメラモジュールと、カメラモジュールを収納し、使用者100の額に対向する背面部を有するカメラカバー22と、カメラカバー22から使用者100の額側に向けて延設され、背面部よりも使用者100の額に近い位置で使用者100の額に対向する対向面を有するガード部40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の頭部に装着されて用いられるヘッドマウントカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の頭部に装着されて用いられる頭部装着型のカメラ、いわゆるヘッドマウントカメラが知られている。ヘッドマウントカメラは、使用者の頭部に装着される所定の装着部に取り付けられた状態で用いられる。ヘッドマウントカメラの装着部としては、例えば、眼鏡型のフレームがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1には、眼鏡型のフレームに、映像表示装置とカメラとが取り付けられる構成が示されている。特許文献1の映像表示装置では、カメラは、例えば眼鏡型のフレームの鼻当て部の上方位置のように、眼鏡型のフレームを構成する部分のうち使用者の顔の前に位置するフロント部の上側に配置される。このように、ヘッドマウントカメラは、主として使用者の額の前に配置された状態で用いられる。
【0004】
ヘッドマウントカメラは、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像素子やICを基板に搭載したカメラモジュールと、このカメラモジュールを収納する筐体とを備える。ヘッドマウントカメラは、カメラモジュールを収納する筐体が眼鏡型のフレーム等の装着部に固定されることで、装着部に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−284023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したようなヘッドマウントカメラにおいては、その使用にともなって、撮像素子やIC等の素子を発熱源としてカメラモジュールの部分が発熱する。
【0007】
カメラモジュールで生じた熱は、熱伝導により、カメラモジュールを収納する筐体に伝達される。このため、上記のとおり使用者の額の前に配置された状態で用いられるヘッドマウントカメラにおいては、カメラモジュールの発熱によって温度が上昇した筐体が使用者の額に接触した場合、使用者が不快感を覚えることがある。
【0008】
このように筐体の温度上昇による使用者の不快感を避けるためには、ヘッドマウントカメラを使用者の人体に接触しない位置に配置すればよい。しかしながら、ヘッドマウントカメラの使用者が、ハンドフリーで、しかも撮像位置が使用者の視界にできるだけ近い状態で撮影を行うためには、使用者の額の近くにヘッドマウントカメラを配置する必要がある。このように、ヘッドマウントカメラの使用上の要請に応えるためには、ヘッドマウントカメラを使用者の人体(主に額)に接触しない位置に配置することは難しい。
【0009】
一方で、カメラモジュールの発熱にともなう筐体の温度上昇に対しては、筐体内部のカメラモジュールで生じた熱を筐体の外部に放出したり筐体内部のカメラモジュールを外気によって冷却したりするため、筐体に開口部を設け、筐体の内部空間を外部に連通させることができる。しかしながら、筐体に必要以上に開口部を設けることは、筐体に収納されるカメラモジュール等に対する防水性・防塵性の面から好ましくない。
【0010】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、使用者の額の前に配置された状態で用いられる構成において、カメラモジュールを収納する筐体における防水性・防塵性を確保することができるとともに、カメラモジュールの発熱にともなう筐体の温度上昇によって使用者が不快感を覚えることを防止することができるヘッドマウントカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るヘッドマウントカメラは、使用者の額の前に配置された状態で用いられるヘッドマウントカメラであって、発熱源となる素子を有するカメラモジュールと、前記カメラモジュールを収納し、使用者の額に対向する背面部を有する筐体と、前記筐体から使用者の額側に向けて延設され、前記背面部よりも使用者の額に近い位置で使用者の額に対向する対向面を有するガード部と、を備えるものである。
【0012】
本発明に係るヘッドマウントカメラにおいては、好ましくは、前記ガード部は、一方の板面を前記対向面とする板状の本体部と、該本体部を前記筐体に連結する連結部とを含み、前記本体部は、他方の板面が前記背面部から離間する位置に設けられる。
【0013】
本発明に係るヘッドマウントカメラにおいては、好ましくは、前記連結部は、前記背面部の下部から延設される。
【0014】
本発明に係るヘッドマウントカメラにおいては、好ましくは、前記連結部は、上下方向に貫通する孔部を有する。
【0015】
本発明に係るヘッドマウントカメラにおいては、好ましくは、前記孔部の開口面積は、前記連結部のうち、前記筐体と前記本体部とを繋ぐ肉部の平面視での面積よりも大きい。
【0016】
本発明に係るヘッドマウントカメラにおいては、好ましくは、前記連結部は、前記背面部のうち、該背面部に投影された前記発熱源となる素子の位置から離間した位置から延設される。
【0017】
本発明に係るヘッドマウントカメラにおいては、好ましくは、前記本体部は、前記背面部のうち、該背面部に投影された前記発熱源となる素子の位置を含む部分を覆う。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、使用者の額の前に配置された状態で用いられる構成において、カメラモジュールを収納する筐体における防水性・防塵性を確保することができるとともに、カメラモジュールの発熱にともなう筐体の温度上昇によって使用者が不快感を覚えることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの構成を示す図。
【図2】本発明の一実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの装着状態を示す斜視図。
【図3】本発明の一実施形態に係るカメラユニットを示す平面図。
【図4】本発明の一実施形態に係るカメラユニットを示す正面図。
【図5】本発明の一実施形態に係るカメラユニットを示す斜視図。
【図6】本発明の一実施形態に係るカメラユニットを示す左側面図。
【図7】本発明の一実施形態に係るカメラユニットを示す背面図。
【図8】本発明の一実施形態に係るカメラユニットを示す底面図。
【図9】図4におけるA−A断面図。
【図10】図4におけるB−B断面図。
【図11】本発明の一実施形態に係るカメラユニットについての実験結果を示す図。
【図12】本発明の一実施形態に係るカメラユニットの変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、筐体内にカメラモジュールを収納し、使用者の額の前に配置された状態で使用されるヘッドマウントカメラにおいて、カメラモジュールの発熱によって温度上昇する筐体に対して、筐体と使用者の額との間に位置するガード部を設けることで、温度上昇した筐体が使用者の額に直接接触することを回避しようとするものである。
【0021】
以下、本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する本発明の実施の形態では、ヘッドマウントカメラの使用例として、ヘッドマウントカメラが、使用者の頭部に装着されるタイプの映像表示装置であるヘッドマウントディスプレイ(以下「HMD」という。)に備えられる構成を挙げて説明する。したがって、以下に説明する本発明の実施の形態では、ヘッドマウントカメラの使用者は、HMDの使用者である。
【0022】
[HMDの構成]
本実施形態に係るHMDの構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態に係るHMD1は、使用者100の一方の眼に対して、映像信号に基づく映像を液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)により表示することにより、使用者100に映像を視認させる。
【0023】
HMD1は、コントロールユニット2と、表示ユニット3と、表示ユニット3を支持するフレーム4とを備える。
【0024】
コントロールユニット2は、HMD1の動作を制御する制御部と、表示ユニット3に電力を供給するための電源部とを有する。コントロールユニット2の制御部は、コントロールユニット2に内蔵される記憶部に記憶されている制御プログラムにしたがって所定の処理を実行することにより、HMD1を制御する。コントロールユニット2の制御部は、データ通信用のバスにより接続されるCPU、フラッシュメモリ、RAM、VRAM、複数の入出力インターフェース等の各種機能部分を有し、バスを介して各種情報の送受信を行う。コントロールユニット2の制御部は、映像信号を生成する。コントロールユニット2の制御部により生成された映像信号、および電源部からの電力は、ケーブル5によって表示ユニット3に送られる。
【0025】
表示ユニット3は、表示ユニット3の動作を制御する制御部と、コントロールユニット2から送られてきた映像信号を受信する映像信号受信部と、LCDおよび光源を含むLCD部と、LCD部を制御する表示制御部と、電力の供給を受ける電源部とを有する。表示ユニット3が有するこれらの各種機能部は、表示ユニット3が有するハウジング3aに収納される。
【0026】
表示ユニット3の制御部は、表示制御部に制御信号を送ることで、表示制御部にLCD部の動作を制御させる。また、表示ユニット3の制御部は、映像信号受信部を制御する。映像信号受信部は、コントロールユニット2から受信した映像信号を、表示制御部に送信する。表示制御部は、LCD部が有するLCDの動作を制御する機能や、LCD部の光源の動作を制御する機能を有し、映像信号受信部から送られてきた映像信号に基づいて、LCD部を制御する。LCD部は、表示制御部による制御のもと、LEDバックライト等として構成される光源からの光を用いて、LCDによる液晶表示を行う。LCD部が有するLCDは、例えば、光源からの白色光を、画素ごとにR(赤)、G(緑)、B(青)の3色の成分光に分解するカラーフィルタと、各画素における光の透過度を制御する液晶パネルとを含み、画素ごとに成分光の透過度を制御する。
【0027】
表示ユニット3は、使用者100に映像を認識させるためのハーフミラー6を有する。ハーフミラー6は、表示ユニット3のハウジング3aの一端側に設けられるミラーホルダ3bに回動可能に支持された状態で、使用者100の左眼の前方に位置するように設けられる。表示ユニット3は、ハーフミラー6により、LCD部によって表示した映像を使用者100に認識させる。また、ハーフミラー6は、外光を透過させて使用者100の眼に入射させる。したがって、使用者100は、外光により認識される背景に、表示ユニット3により表示される映像を重ねて視認することができる。
【0028】
このように、本実施形態のHMD1は、外光を透過させるとともに、表示ユニット3により表示する映像を使用者100に対して表示するシースルー型の映像表示装置である。なお、本発明に係るHMDは、シースルー型である必要はない。また、本実施形態のHMD1は、LCDを用いて映像を表示する構成であるが、HMDとしては、例えば、使用者の眼の網膜を映像の投影対象とし、走査したレーザ光を瞳孔から入射させて網膜上に投影することにより、使用者100に映像を視認させる、いわゆる網膜走査型の映像表示装置であってもよい。
【0029】
フレーム4は、眼鏡型のフレームであり、表示ユニット3を支持するとともに、使用者100の頭部に装着される装着部である。フレーム4は、使用者100の頭部に装着された状態で、上述したような表示ユニット3による使用者100への映像の表示ができるように、表示ユニット3を支持する。
【0030】
本実施形態のHMD1では、表示ユニット3は、フレーム4に対して、フレーム4を頭部に装着した状態の使用者100の左側に取り付けられる。したがって、本実施形態のHMD1は、使用者100の左側の眼に対して映像を表示することにより、使用者100に映像を視認させる。表示ユニット3は、図示せぬ固定構造により、フレーム4に固定されて取り付けられる。
【0031】
以上のような構成を備えるHMD1は、ヘッドマウントカメラとしてのカメラユニット20を備える。カメラユニット20は、HMD1において眼鏡型のフレーム4に支持された状態で用いられる。カメラユニット20は、その撮像位置が使用者100の視界に近くなるようにフレーム4に支持される。
【0032】
このように、本実施形態では、カメラユニット20を使用者100の頭部に装着させるための装着部として、HMD1が備える眼鏡型のフレーム4が用いられ、このフレーム4に、カメラユニット20が取り付けられる。なお、以下の説明では、フレーム4及びカメラユニット20についての上下・前後・左右方向を、フレーム4を装着した状態の使用者100の上下・前後・左右方向に対応させる。
【0033】
フレーム4の構成について、図1〜図3を用いて説明する。フレーム4は、上記のとおり眼鏡型のフレームであり、使用者100の顔の前に位置するフロント部11と、フロント部11の左右両端部から後方に延びるヨロイ部12と、各ヨロイ部12に回動可能に連結されるテンプル部13とを有する。
【0034】
フロント部11は、使用者100の顔の形状に沿うように、平面視で全体として弓形に反った形状を有する。フロント部11は、一対のテンプル部13が連結されるヨロイ部12が設けられる側を左右両端側とし、中央部分がテンプル部13の延びる側と反対側(前側)に凸となるように緩やかに湾曲した形状を有する。
【0035】
ヨロイ部12は、フロント部11の左右両端側に設けられ、フロント部11からテンプル部13が延びる方向に沿って突出する部分である。ヨロイ部12は、フロント部11の左右両端側において、後側に向けて左右方向に開くように斜め後方に延びるように形成されている。各ヨロイ部12の後端部に、テンプル部13が回動可能に取り付けられる。
【0036】
一対のテンプル部13は、使用者100の顔を左右両側から挟む。このため、テンプル部13は、使用者100の頭部に沿うように、ヨロイ部12に連結される側である前側から後側にかけて、一旦外側に向けて膨らみ、その後内側に向かうように、全体として湾曲する形状を有する。また、テンプル部13は、前側から後側にかけて内側に向かう後半部分において、使用者の耳にかかる部分となるセル部13aを有する。
【0037】
ヨロイ部12とテンプル部13とは、ヨロイ部12の後端部に設けられるヒンジ部14にて連結される。ヒンジ部14は、ヨロイ部12とテンプル部13との端部同士がネジ15によって留められることで構成される。テンプル部13は、ヒンジ部14において、フロント部11及びヨロイ部12を含む構成に対して折りたたむことができるように、上下方向を回動軸方向として回動可能に連結される。したがって、一対のテンプル部13は、フロント部11に対して開閉可能に支持され、開いた状態で前述したように使用者100の頭部に沿うような態様となる。
【0038】
また、フレーム4においては、フロント部11の下側に、使用者100の眼を保護するためのカバーシート16が装着される。カバーシート16は、使用者100の左右の各眼に対応して設けられる2枚のシート部材17と、これらのシート部材17をフレーム4に対して保持する保持体18とを有する。
【0039】
シート部材17は、使用者100の左右の各眼を覆う透過性を有するシート状又は板状の部材である。シート部材17は、眼鏡型のフレーム4において、一般的な眼鏡におけるレンズのような態様で設けられる。シート部材17は、例えば透明なプラスチック等の合成樹脂材料からなる板状の部材である。上記のとおりシースルー型であるHMD1の使用者100は、表示ユニット3による表示を認識するとともに、透明なシート部材17を透過する外光によって視界を得る。
【0040】
保持体18は、2枚のシート部材17を保持する一対の保持部18aと、これら保持部18aを連結する連結部18bとを有する。各保持部18aは、下側が開放するように形成された枠状の部分であり、シート部材17の上側の略半分の部分の外縁に対応した形状を有する。したがって、各シート部材17は、保持体18の保持部18aによって上側の略半分の部分の外縁が囲まれた状態で保持される。連結部18bは、左右両側においてシート部材17を保持する一対の保持部18aを、左右中央部において連結する部分である。
【0041】
また、カバーシート16においては、保持体18の連結部18bに、使用者100の鼻に接触する鼻当て部19が設けられている。鼻当て部19は、フレーム4の装着状態において使用者100の鼻筋に対して左右両側から接触する一対のパッドを有する。カバーシート16は、保持体18の部分がフレーム4のフロント部11に装着されることで、フレーム4に取り付けられる。
【0042】
以上のような構成を有するフレーム4は、一対のテンプル部13によって使用者100の両耳にかかるとともに、前側は2個のパッドを有する鼻当て部19によって使用者100の鼻筋に支持されることで、4箇所で支持される。そして、この眼鏡型のフレーム4にカメラユニット20が支持されることで、カメラユニット20が、使用者100の額の前に配置される。具体的には、カメラユニット20は、フレーム4を構成するフロント部11の上側に取り付けられることで、フレーム4に支持される。
【0043】
[カメラユニット20の構成]
カメラユニット20の構成について、図3から図10を用いて説明する。カメラユニット20は、上記のとおり眼鏡型のフレーム4に支持されることで、フレーム4を装着する使用者100の額の前に配置された状態で用いられる。カメラユニット20により、フレーム4を装着した使用者100の周囲等の外界が撮像される。カメラユニット20は、撮像機能を有するカメラモジュール21と、カメラモジュール21を収納する筐体としてのカメラカバー22とを備える。
【0044】
カメラカバー22は、全体として、左右方向を長手方向とし上下方向を板厚方向とする略厚板形状、ないし左右方向に細長い形状の外形を有する。カメラカバー22の内部には、カメラモジュール21を収納する空間が形成される。カメラカバー22は、カメラモジュール21の撮像面が臨む前面部22aと、使用者100の額に対向する背面部22bと、カメラカバー22の上面・下面を構成する上面部22c・下面部22dとを有する。
【0045】
背面部22bは、略平面状に構成される。これに対し、前面部22aは、左右方向の中央部分に略平面状に構成される平面部を有するとともに、この平面部の左右両側に設けられる斜面部を有する。前面部22aの平面部は、略平面状の背面部22bに対して反対側の面部を構成する。前面部22aの斜面部は、前面部22aの左右両側の部分を構成する。前面部22aの斜面部は、平面部に対して、カメラカバー22の左右方向の端部側にかけて背面部22bに近付くように傾斜する。カメラカバー22は、平面視で、中央部分から左右両端側に向けて前面部22a側から細くなる形状を有する(図3参照)。上面部22cおよび下面部22dは、いずれも略平面状に構成される。
【0046】
カメラカバー22は、フロントカバー23とリアカバー24とを有する。カメラカバー22は、フロントカバー23とリアカバー24とによって前後に分割された構造を有する。フロントカバー23は、カメラカバー22の前面部22aを構成する。リアカバー24は、カメラカバー22の背面部22bを構成する。また、本実施形態では、カメラカバー22の上面部22cおよび下面部22dの大部分が、フロントカバー23により構成される。
【0047】
フロントカバー23とリアカバー24とは、カメラカバー22の背面部22b側からねじ込まれる固定ネジ25によって互いに固定される(図7、図10参照)。具体的には、本実施形態のカメラカバー22は、固定ネジ25による固定部を、左右両端に1箇所ずつ、計2箇所有する。固定ネジ25による固定部は、フロントカバー23側に一体的に設けられる雌ネジ部25aと、リアカバー24側に設けられるネジ孔部25bとを有する。
【0048】
雌ネジ部25aは、カメラカバー22の内部において、後側に開口するネジ孔を形成する突起部分である。雌ネジ部25aは、カメラカバー22の前面部22aを構成するフロントカバー23の内側面から後方に向けて突出する筒状の部分である。雌ネジ部25aの内周面には、固定ネジ25が螺挿されるネジ孔が形成される。ネジ孔部25bは、カメラカバー22の背面部22bを貫通する孔を形成する部分である。ネジ孔部25bは、背面部22bにおいて、雌ネジ部25aの開口位置に対応する位置に、固定ネジ25を貫通させる孔を形成する。
【0049】
固定ネジ25は、ネジ孔部25bにおいて形成される孔を貫通して雌ネジ部25aにより形成されるネジ孔にねじ込まれることで、フロントカバー23とリアカバー24とを互いに固定させる。固定ネジ25によってフロントカバー23とリアカバー24とが互いに固定されることで、一体的なカメラカバー22が構成される。
【0050】
そして、カメラカバー22においては、フロントカバー23とリアカバー24とにより、カメラモジュール21を収納する収納空間26が形成される。収納空間26は、略密閉された空間である。収納空間26は、カメラカバー22において主に左右方向の中央部分、具体的には前面部22aの平面部と背面部22bとに挟まれた部分に形成される。
【0051】
なお、フロントカバー23とリアカバー24との固定構造は、本実施形態に限定されない。フロントカバー23とリアカバー24との固定構造としては、例えば、2本以上の固定ネジを用いる構造であったり、固定ネジ25等の固定用の部材を用いない嵌め込み式の構造等であったりしてもよい。
【0052】
図9および図10に示すように、カメラモジュール21は、撮像ユニット27と、IC28と、これらが搭載されるカメラ基板29とを有する。撮像ユニット27は、例えばCCDイメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子と、この撮像素子に対して光を集光するレンズとを含む。
【0053】
IC28は、撮像ユニット27により取得した撮像画像のデータを外部へ伝送したり電源の供給を受けたりするためのUSB(Universal Serial Bus)の制御用のICである。また、カメラモジュール21においては、カメラ基板29に、撮像ユニット27の撮像素子等を制御する制御回路等が実装される。
【0054】
カメラ基板29は、左右方向を長手方向とするカメラカバー22の形状に合わせて、左右方向に長い短冊状の形状を有する。カメラ基板29は、その板面が前後を向く姿勢で、カメラカバー22内において支持される。カメラ基板29の左右方向および上下方向の略中央位置に、撮像ユニット27が設けられる(図9、図10参照)。撮像ユニット27は、カメラ基板29の前面側において、レンズが前を向くように設けられる。IC28は、撮像ユニット27と同様に、カメラ基板29の前面側に設けられる。本実施形態では、IC28は、カメラ基板29の左右方向の中間部において撮像ユニット27の左側(図10において右側)の位置に配置される。
【0055】
カメラ基板29は、その後面側からねじ込まれる固定ネジ30によってフロントカバー23に固定される(図10参照)。具体的には、本実施形態では、固定ネジ30によるカメラ基板29の固定部は、カメラ基板29の左右両端に1箇所ずつ、計2箇所設けられる。固定ネジ30による固定部は、フロントカバー23に設けられる雌ネジ部30aにより構成される。
【0056】
雌ネジ部30aは、カメラカバー22の内部において、後側に開口するネジ孔を形成する突起部分である。雌ネジ部30aは、カメラカバー22の前面部22aを構成するフロントカバー23の内側面から後方に向けて突出する筒状の部分であり、その内周面によって、固定ネジ30が螺挿されるネジ孔を形成する。固定ネジ30は、カメラ基板29に設けられる固定用の孔を貫通して、フロントカバー23に設けられる雌ネジ部30aにねじ込まれることで、カメラ基板29をフロントカバー23に固定する。これにより、カメラモジュール21は、カメラカバー22の内部において固定された状態で収納される。
【0057】
カメラモジュール21は、カメラカバー22の収納空間26内において、撮像ユニット27のレンズが左右方向および上下方向の略中央に位置するように設けられる。つまり、カメラ基板29に搭載される撮像ユニット27のレンズは、カメラカバー22の内部から、前面部22aの略中心位置に臨む。そして、カメラカバー22の前面部22aの略中心位置には、撮像ユニット27のレンズに対する入射光の経路を確保するための開口部22gが設けられている。
【0058】
カメラカバー22において、前面部22aの開口部22gを含む中央部分は、保護板31により覆われる。保護板31は、例えばアクリル板等の光透過性を有する透明な板状の部材である。保護板31は、カメラカバー22において前面部22aの中央部分に設けられ内側に向けて凹む凹部22hに嵌め込まれた状態で設けられる。保護板31は、撮像ユニット27のレンズが臨む開口部22gを外側から覆う。つまり、保護板31は、開口部22gを外側から覆うことで、開口部22gから臨む撮像ユニット27のレンズを保護する。保護板31および保護板31が嵌め込まれる凹部22hは、正面視で左右方向を長手方向とする矩形状を有する(図4参照)。
【0059】
カメラモジュール21は、ワイヤハーネス32によってコントロールユニット2に接続される。カメラモジュール21によって取得された画像データは、ワイヤハーネス32によってコントロールユニット2の制御部等に送られる。また、カメラモジュール21は、ワイヤハーネス32により、コントロールユニット2からの電源の供給を受ける。
【0060】
ワイヤハーネス32は、その一端がカメラモジュール21に接続され、カメラカバー22の背面部22bからカメラカバー22の外部へと延出される。ワイヤハーネス32は、カメラカバー22からの出口部分においてワイヤ保持部33により保持されるとともに、背面部22bを貫通してカメラカバー22の後側に導出される。
【0061】
ワイヤハーネス32を保持するワイヤ保持部33は、略筒状の部材であり、ワイヤハーネス32を貫通させた状態でワイヤハーネス32を保持する。ワイヤ保持部33は、カメラカバー22の内部において、筒軸方向が前後方向となるように、フロントカバー23とリアカバー24との間に挟まれた状態で固定される。
【0062】
カメラユニット20は、眼鏡型のフレーム4のフロント部11上に支持された状態で、フレーム4に固定される。カメラユニット20は、カメラカバー22の部分が平面視でフロント部11の前側に位置するように、前面部22aが前を向く姿勢でフレーム4に対して支持される。このとき、カメラモジュール21の撮像ユニット27は、左右方向の略中央に位置する。したがって、カメラユニット20による撮像位置は、フレーム4を装着した使用者100の額の前方に位置する。これにより、使用者100の視野とカメラユニット20が撮像する視野とが略一致する。そして、使用者100は、カメラユニット20によって自己の前方の外界を撮像する。
【0063】
カメラユニット20は、カメラカバー22の背面部22bに設けられるカバー固定部34がフレーム4のフロント部11に固定されることで、フレーム4に固定される。カバー固定部34は、背面部22bから後方に向けて突出するとともに上下方向を板厚方向とする略板状の部分であり、背面部22bの下端部において、左右方向に対称となるように左右両側の2箇所に設けられる。
【0064】
カバー固定部34は、上面側からナットが嵌り込むナット穴部34aを有する。ナット穴部34aは、ナットの形状に対応する六角形状の穴とともに、この六角形状の穴の中心位置にボルト貫通用の孔を形成する部分である。このカバー固定部34がフレーム4のフロント部11の上側に載置された状態で、ナット穴部34aに嵌り込んだナットに対して、フロント部11の下側からボルトがフロント部11およびカバー固定部34を貫通してねじ込まれることで、カバー固定部34がフロント部11に固定される。
【0065】
また、カバー固定部34においては、ナット穴部34aに対して左右方向の内側に、フロント部11に対するカメラカバー22の位置決め用のピン34bが設けられている。ピン34bは、下方に向けて突出する突起部分であり、カバー固定部34がフロント部11の上側に載置されることで、フロント部11に形成される孔に対して上側から差し込まれ、カメラカバー22をフロント部11に対して位置決めする。このようにしてフレーム4に固定されるカメラユニット20は、カメラカバー22の左右方向の寸法がフレーム4のフロント部11の左右方向の寸法よりもやや大きめとなる程度の大きさを有する(図3参照)。
【0066】
以上のような構成を備えるカメラユニット20においては、その使用にともなって、カメラ基板29に搭載される撮像ユニット27の撮像素子やIC28等の素子を発熱源としてカメラモジュール21の部分が発熱する。特に、本実施形態のカメラモジュール21においては、上記のとおりUSBの制御用のIC28が、最も発熱する素子となる。このように、本実施形態のカメラモジュール21は、発熱源となる素子として、撮像ユニット27の撮像素子とIC28とを有する。
【0067】
カメラモジュール21で生じた熱は、熱伝導により、カメラモジュール21を収納するカメラカバー22に伝達される。このため、使用者100の額の前に配置された状態で用いられるカメラユニット20においては、カメラモジュール21の発熱によって温度が上昇したカメラカバー22が使用者100の額に接触した場合、使用者100が不快感を覚えることがある。本実施形態では、カメラモジュール21の発熱によって温度が上昇するカメラカバー22のうち、カメラユニット20の使用者100の額に対向する背面部22bが、使用者100に最も近い部分である。
【0068】
そこで、本実施形態のカメラユニット20は、カメラカバー22から使用者100の額側、つまり後側に向けて延設されるガード部40を備える。そして、ガード部40は、カメラカバー22の背面部22bよりも使用者100の額に近い位置で使用者100の額に対向する対向面41を有する。
【0069】
ガード部40は、カメラカバー22の背面部22bから後方に向けて延設され、カメラカバー22の背面部22b側に設けられることで、背面部22bと使用者100の額との間に位置する。すなわち、ガード部40は、背面部22bに対して使用者100にとって手前側に位置する対向面41を有することから、カメラユニット20の使用中において、仮にカメラユニット20が使用者100に接触する場合、対向面41を使用者100の額に接触させ、背面部22bを使用者100から離間させる。したがって、背面部22bが使用者100の額に接触することが防止される。
【0070】
このように、ガード部40を備える本実施形態のカメラユニット20によれば、使用者100の額の前に配置された状態で用いられる構成において、カメラモジュール21の発熱にともなうカメラカバー22の温度上昇によって使用者100が不快感を覚えることを防止することができる。
【0071】
具体的には、ガード部40には、カメラモジュール21の発熱によって温度上昇したカメラカバー22からの熱は伝達するものの、カメラモジュール21の発熱にともなうガード部40の温度上昇量は、カメラカバー22と比べて十分に少ない。つまり、ガード部40は、カメラモジュール21の発熱によって温度上昇したカメラカバー22に対して低温の部分であり、カメラカバー22よりも室温に近い部分となる。このことは、カメラカバー22が、発熱源となる素子を有するカメラモジュール21のカメラ基板29が固定される部分であって、カメラモジュール21を収納する収納空間26を形成する部分であるのに対し、ガード部40は、カメラカバー22の背面部22bからの後方への延設部分であり、直接的に収納空間26を形成する部分ではないことに基づく。
【0072】
そして、上述したようにカメラユニット20が使用者100に接触する場合の接触部分となるガード部40の対向面41は、ガード部40においてカメラカバー22から最も離れた部分であり、カメラカバー22からの熱が伝達されにくい部分である。このため、ガード部40の対向面41においては、カメラモジュール21の発熱によってカメラカバー22が温度上昇することによっても、使用者が不快を感じるほどの温度上昇は生じない。
【0073】
したがって、カメラユニット20の使用中にカメラカバー22の温度が上昇した状態において、仮にガード部40の対向面41が使用者100の額に接触したとしても、使用者100は、カメラユニット20の接触部分の温度が高いことによる不快感を覚えることがない。このように、本実施形態のカメラユニット20は、カメラカバー22の背面部22b側にガード部40を設けることで、リアカバー24と使用者100との間に部材を介在させ、カメラモジュール21の発熱によって温度上昇したカメラカバー22の部分が使用者100の人体(主に額)に直接接触することを防止する。
【0074】
また、本実施形態のカメラユニット20は、温度上昇するカメラカバー22をガード部40によって使用者100の額から離間させることで、使用者100の不快感を回避するものであるから、カメラカバー22の温度上昇そのものを抑える必要がない。このため、カメラカバー22において、カメラカバー22の内部のカメラモジュール21で生じた熱をカメラカバー22の外部に放出したりカメラカバー22の内部のカメラモジュール21を外気によって冷却したりするために、開口部等の、カメラカバー22の内部空間を外部に連通させるための構成を設ける必要がない。したがって、本実施形態のカメラユニット20においては、カメラモジュール21を収納するカメラカバー22における防水性・防塵性を確保することができる。以下、カメラユニット20が備えるガード部40の詳細について説明する。
【0075】
[ガード部40の構成]
ガード部40は、板状の本体部であるガード板42と、このガード板42をカメラカバー22の背面部22bに連結する連結部43とを含む。ガード板42は、上記のとおり略平面状に構成される背面部22bに対して略平行に設けられる。つまり、ガード板42は、その板面を前後に向けた姿勢で設けられる。そして、ガード板42は、一方の板面である後面42aをガード部40の対向面41とする。すなわち、ガード板42において、他方の板面である前面42bが、カメラカバー22の背面部22bに対向する面となり、前面42bの反対側の面となる後面42aが、使用者100の額に対向する対向面41を形成する。
【0076】
図7に示すように、ガード板42は、カメラカバー22と略同じ上下方向の寸法を有し、カメラカバー22に対して左右方向の中央部分に位置するように設けられる。ガード板42は、左右方向の寸法について、カメラカバー22の全長に対して1/3〜2/3程度の寸法を有する。また、同じく図7に示すように、ガード板42は、背面視で、上底よりも下底の方が長く左右略対称な台形形状を有する。
【0077】
連結部43は、背面部22bから後方に向けて突出するとともに上下方向を板厚方向とする略板状の部分であり、ガード板42を背面部22bに対して部分的に繋げることにより、ガード板42を背面部22bに連結する。連結部43は、上述したカバー固定部34を含む。つまり、連結部43の左右両端部は、カバー固定部34として機能する。連結部43は、全体として略矩形板状の外形を有し、その外形形状における後端の辺部に沿って、ガード板42が立った状態で設けられる。したがって、ガード部40は、ガード板42と連結部43とによって側面視で略L字状となるように構成される(図6参照)。
【0078】
本実施形態では、ガード部40は、カメラカバー22と一体の部分として設けられる。つまり、ガード部40は、カメラカバー22において背面部22bを構成するリアカバー24と一体成形される部分であり、リアカバー24と一体の部材を構成する。ただし、ガード部40は、カメラカバー22と一体である必要はなく、カメラカバー22とは別体の部材がカメラカバー22に固定されることで設けられてもよい。
【0079】
このようにガード板42と連結部43とを含むガード部40においては、ガード板42は、他方の板面である前面42bがカメラカバー22の背面部22bに対して略平行となるように、かつ前面42bが背面部22bから離間する位置に設けられる。言い換えると、ガード板42は、背面部22bに対して略平行に所定の間隔を隔てて後側に位置するように設けられる。
【0080】
したがって、図6に示すように、カメラカバー22の背面部22bとガード板42の前面42bとの間には、所定の寸法の間隔C1が確保される。つまり、ガード板42は、背面部22bに対して間隔C1の寸法分だけ後側の位置に設けられる。間隔C1の寸法としては、例えばカメラカバー22の前後方向の寸法に対して1/5〜1/10程度の大きさが採用される。
【0081】
このように、ガード部40を、対向面41を形成するとともにカメラカバー22の背面部22bから後方に離間した位置に設けられるガード板42と、ガード板42を背面部22bに連結する連結部43とにより構成することにより、カメラモジュール21の発熱にともなうカメラカバー22の温度上昇によって使用者100が不快感を覚えることを効果的に防止することができる。
【0082】
具体的には、本実施形態のガード部40によれば、対向面41を形成する部分であるガード板42と、カメラカバー22の背面部22bとの間に、隙間が形成される。したがって、ガード板42が背面部22bに対して繋がる部分は、連結部43の部分のみであり、ガード板42と背面部22bとの間は、主に空気の層により占められる。このようにガード板42と背面部22bとの間の大部分が空気の層によって隔てられることにより、ガード板42の大部分がカメラカバー22に対して熱的に切り離され、カメラカバー22の熱がガード板42に伝わりにくくなる。これにより、使用者100の額に接触する可能性のある対向面41を形成するガード板42の温度上昇を効果的に抑制することができ、カメラカバー22の温度上昇によって使用者100が不快感を覚えることを効果的に防止することができる。
【0083】
なお、ガード部40の構成は、本実施形態のようにガード板42と連結部43とを含む構成に限定されない。カメラユニット20が備えるガード部としては、対向面を有するガード部40のように、カメラカバー22の背面部22bから使用者100の額側に向けて延設され、背面部22bよりも使用者100の額に近い位置で使用者100の額に対向する面部を形成する部分であれば、その形状等は特に限定されない。つまり、カメラユニット20が備えるガード部としては、カメラユニット20の使用中に仮にカメラユニット20が使用者100に接触する場合、背面部22bを使用者100から離間させた状態で背面部22bに対して使用者100の額に先当たりする部分であればよい。
【0084】
したがって、カメラユニット20が備えるガード部としては、カメラカバー22の背面部22bから後方に向けて突出する単数あるいは複数の柱状ないし板状の突起部分等であってもよい。カメラユニット20が備えるガード部が柱状の突起部分として構成される場合、背面部22bからの突出方向の端面部により、背面部22bよりも使用者100の額に近い位置で使用者100の額に対向する対向面が形成される。より具体的には、ガード部が、背面部22bから後方に突出する円柱状の突起部分である場合、その円柱状の突起部分の先端面が、背面部22bよりも使用者100の額に近い位置で使用者100の額に対向する対向面となる。
【0085】
このように、本発明に係るガード部は、カメラカバー22の背面部22bから後方に突出する円柱状の突起等のように、カメラモジュールを収納する筐体から使用者の額側に向けて突出する単数または複数の単純な突起部分も含む概念である。
【0086】
また、ガード部40においては、本実施形態のカメラユニット20のように、ガード板42をカメラカバー22の背面部22bに連結する連結部43が、背面部22bの下部から延設されることが好ましい。図6等に示すように、本実施形態では、ガード部40を構成する連結部43は、背面部22bの下辺部から、後方に向けて突出するように設けられている。
【0087】
したがって、連結部43は、その下面部によって、カメラカバー22の下面部22dを後方に延長させるような態様で設けられる。このように背面部22bの下部から後方に延設される連結部43上に、ガード板42が立った状態で設けられる。つまり、連結部43は、背面部22bとガード板42との下端部同士を繋ぐことで、ガード板42を背面部22bに連結する。そして、背面部22bの下端部から後方に延出する連結部43と、この連結部43上に設けられるガード板42とにより、側面視で略L字状となるガード部40が構成される。
【0088】
このように、ガード部40を構成する連結部43が、背面部22bの下部から延設されることにより、カメラカバー22から対向面41を形成するガード板42への熱伝導を抑制する面で有利となる。具体的には、カメラモジュール21の発熱にともなって熱せられた空気は、密度が低くなり上昇する。このため、カメラモジュール21の発熱にともなって温度上昇するカメラカバー22における温度分布としては、下側の部分に比べて上側の部分の方が高温となる。つまり、ガード部40が設けられる背面部22bにおいても、下側の部分に比べて上側の部分の方が高温となる。
【0089】
そこで、本実施形態のカメラユニット20のように、ガード部40を構成する連結部43を背面部22bの下部から延設することにより、連結部43が背面部22bに繋がる部分を背面部22bにおいて比較的温度の低い部分とすることができ、温度上昇したカメラカバー22からの熱伝導によるガード部40の温度上昇を効果的に抑制することができる。つまり、連結部43が背面部22bの上部から延設される場合との比較において、カメラカバー22からの熱伝導によるガード部40の温度上昇量を少なくすることができる。
【0090】
これにより、カメラモジュール21の発熱にともなうカメラカバー22の温度上昇によって使用者100が不快感を覚えることを効果的に防止することができる。なお、ガード部40を構成する連結部43は、カメラカバー22の背面部22bの上部や上下方向の中間部から延設されてもよい。
【0091】
また、ガード部40においては、ガード板42をカメラカバー22の背面部22bに連結する連結部43は、上下方向に貫通する孔部として、左右方向に長いスリット44aを形成するスリット部44を有する。図3や図8等に示すように、スリット部44により形成されるスリット44aは、平面視で左右方向を長手方向とする矩形状を有し、連結部43を上下方向に貫通する。
【0092】
本実施形態では、左右方向に長いスリット44aが、左右方向に隣り合うように2箇所に設けられている。2つのスリット44aは、カメラカバー22の左右方向の中心位置を中心として左右略対称に設けられる。2つのスリット44aは、ガード部40を構成する連結部43において左右方向の中間部分に設けられる。つまり、連結部43においては、2つのスリット44aが設けられる部分の左右両側に、カバー固定部34が設けられる。
【0093】
また、スリット44aは、カメラカバー22の背面部22bとガード板42との間において、前後方向(図3における上下方向)の全範囲にわたるように設けられる。つまり、スリット44aの前側は背面部22bにより形成され、スリット44aの後側はガード板42の前面42bにより形成される。言い換えると、連結部43において、スリット44aの部分は、カメラカバー22の背面部22bとガード板42の前面42bとを互いに対向させる。したがって、ガード板42を背面部22bに連結する連結部43は、スリット44aの部分以外の部分で、背面部22bおよびガード板42に繋がる。
【0094】
このように、ガード部40を構成する連結部43が、上下方向に貫通する孔部として、スリット44aを形成するスリット部44を有することにより、連結部43を上下方向に貫通する空気の流れを形成することができる(図9、矢印D1参照)。これにより、カメラカバー22の背面部22bとガード部40のガード板42との間に熱せられた空気が滞留することを防止することができ、ガード部40、特に対向面41を形成するガード板42の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0095】
また、連結部43にスリット44aを設けることにより、背面部22bとガード板42とを繋げる部分の断面積を減少させることができる。つまり、本実施形態の場合、上記のとおり連結部43がスリット44aの部分以外の部分で背面部22bおよびガード板42に繋がる構成であることから、スリット44aの部分では、背面部22bとガード板42とが分断される。これにより、背面部22bとガード板42との間の熱抵抗を大きくすることができ、使用者100の額に接触する可能性のある対向面41を形成するガード板42の温度上昇を効果的に抑制することができる。結果として、カメラカバー22の温度上昇によって使用者100が不快感を覚えることを効果的に防止することができる。
【0096】
なお、連結部43の孔部において形成される孔の形状や大きさや数等は、本実施形態におけるスリット44aに限定されない。連結部43の孔部において形成される孔としては、例えば、丸形状の孔であったり、互いに大きさが異なる複数の孔であったり、多孔状に設けられるものであったりしてもよい。
【0097】
また、ガード部40においては、本実施形態のカメラユニット20のように、スリット部44の開口面積が、連結部43のうち、背面部22bとガード板42とを繋ぐ肉部(以下単に「肉部」という。)の平面視での面積よりも大きいことが好ましい。
【0098】
図3および図8等に示すように、スリット部44は、連結部43の左右方向の中間部の大部分を占める。そして、平面視での面積については、スリット部44は、連結部43の全体に対して占める割合が肉部よりも大きく、連結部43の大半を占める。すなわち、スリット部44の開口面積、つまりスリット44aの平面視での面積は、連結部43の肉部の平面視での面積よりも大きい。ここで、平面視とは、図3および図8に示すようなスリット部44の貫通方向視であり、上面視および下面視に相当する。
【0099】
本実施形態では、ガード部40は、連結部43の肉部として、上下方向を板厚方向とする略板状の部分であって、カメラユニット20を眼鏡型のフレーム4に固定するためのカバー固定部34を含む部分と、3箇所に設けられるリブ部45とを有する。3箇所のリブ部45は、左右方向の略中央位置に設けられる中央リブ部45aと、中央リブ部45aの左右両側に設けられる側方リブ部45bとである。
【0100】
各リブ部45は、左右方向を板厚方向とする板状の部分であり、背面部22bとガード板42との間に架設される部分である。各リブ部45は、側面視で略矩形状を有する(図9参照)。ガード部40においては、3箇所のリブ部45により、ガード板42の強度、および連結部43による連結強度が確保される。
【0101】
3箇所のリブ部45のうち、中央リブ部45aは、連結部43において左右方向の略中央位置に設けられ、2つのスリット44aの間を区画する。つまり、中央リブ部45aは、左右方向に並ぶ2つのスリット44aの境界部分を構成する。
【0102】
また、3箇所のリブ部45のうち、左右の側方リブ部45bは、中央リブ部45aの左右両側において、スリット44aを介して中央リブ部45aに対して左右方向に対向するように設けられる。側方リブ部45bは、上記のとおり連結部43のうちカバー固定部34を含む略板状の部分と、スリット44aとの境界部分に設けられる。つまり、中央リブ部45aと、中央リブ部45aの左右両側のそれぞれで中央リブ部45aに対向する側方リブ部45bとの間に、スリット44aが形成される。
【0103】
このように、ガード部40を構成する連結部43において、スリット部44の開口面積が連結部43の肉部の面積に対して大きく、スリット部44が連結部43の大半の部分を占めることにより、連結部43において背面部22bとガード板42とが切り離される部分が大きくなり、背面部22bとガード板42との間の熱抵抗を大きくすることができる。これにより、使用者100の額に接触する可能性のある対向面41を形成するガード板42の温度上昇を効果的に抑制することができ、カメラカバー22の温度上昇によって使用者100が不快感を覚えることを効果的に防止することができる。
【0104】
また、ガード部40においては、本実施形態のカメラユニット20のように、ガード板42をカメラカバー22の背面部22bに連結する連結部43が、背面部22bのうち、この背面部22bに投影された発熱源となる素子の位置から離間した位置から延設されることが好ましい。
【0105】
上述したように、カメラユニット20においては、カメラ基板29に搭載される撮像ユニット27の撮像素子やIC28等の素子を発熱源としてカメラモジュール21の部分が発熱し、特に、IC28が最も発熱する素子となる。このため、カメラモジュール21におけるIC28の近傍およびその周囲の空気は比較的高温部分となり、背面部22bにおけるIC28の後側の部分も他の部分よりも比較的高温部分となる。
【0106】
そこで、本実施形態のカメラユニット20においては、背面部22bから延設される連結部43が、背面部22bにおいてIC28に対応する位置から離れた位置から延設されている。ここで、背面部22bにおいてIC28に対応する位置とは、上記のとおり背面部22bに投影されたIC28の位置である。具体的には、図7に示すようなカメラユニット20の背面視で、IC28の位置に重なる位置である。言い換えると、背面部22bにおいてIC28に対応する位置とは、背面部22bにおいて、フロントカバー23に固定されるカメラ基板29に実装されるIC28の位置に対向する位置である。
【0107】
具体的には、本実施形態では、図10に示すように、背面部22bにおいてIC28に対応する位置は、連結部43のうちスリット44aが位置する。なお、図7、図9、および図10において、背面部22bに投影されたIC28の位置を、符号28aで示している。以下では、符号28aで示すIC28の投影位置を「投影位置28a」とする。
【0108】
そして、背面部22bにおける投影位置28aの右側(図10において左側)には、スリット44aを介して中央リブ部45aが位置し、投影位置28aの左側(図10において右側)には、スリット44aを介して左側の側方リブ部45bが位置する。
【0109】
これらの中央リブ部45aおよび左側の側方リブ部45bは、連結部43の背面部22bからの延設部分である肉部のうち、投影位置28aに最も近い部分である。しかし、これらの中央リブ部45aおよび左側の側方リブ部45bは、投影位置28aから離間した位置に設けられている。したがって、連結部43の肉部のうち、中央リブ部45aおよび左側の側方リブ部45b以外の部分である右側の側方リブ部45bや左右のカバー固定部34を含む板状の部分も、投影位置28aから離間した位置からの延設部分となる。
【0110】
このように、本実施形態のカメラユニット20においては、連結部43の背面部22bからの延設部分、つまり連結部43の肉部が、投影位置28aから離間した位置から延設されている。これにより、最も発熱する素子であるIC28からの熱により背面部22bにおいて比較的高温部分となる投影位置28aの部分の熱が、連結部43を介してガード板42に伝達されることを抑制することができる。つまり、背面部22bの投影位置28aの部分に対する連結部43の熱抵抗を大きくすることができ、ガード板42に伝わる熱量を効果的に低減することができる。したがって、使用者100の額に接触する可能性のある対向面41を形成するガード板42の温度上昇を効果的に抑制することができ、カメラカバー22の温度上昇によって使用者100が不快感を覚えることを効果的に防止することができる。
【0111】
また、ガード部40においては、本実施形態のカメラユニット20のように、ガード部40を構成するガード板42は、カメラカバー22の背面部22bのうち、投影位置28aを含む部分を覆うことが好ましい。上述したように、背面部22bにおける投影位置28aの部分は、IC28の発熱の影響で比較的高温部分となる。そこで、本実施形態のカメラユニット20においては、背面部22bの後側に位置するガード板42により、背面部22bのうちの投影位置28aの部分が覆われている。
【0112】
具体的には、図7および図10に示すように、左右方向については、投影位置28aは、上述したように中央リブ部45aと左側の側方リブ部45bとの間に位置する。これに対し、ガード板42は、左右方向について、3つのリブ部45が設けられる範囲を含むように設けられる。つまり、左右両側の側方リブ部45bは、ガード板42の左右両側の端部よりも内側(中央リブ部45a側)に設けられる。
【0113】
また、図7および図9に示すように、上下方向については、投影位置28aは、背面部22bにおける中央部に位置する。これに対し、ガード板42は、上記のとおりカメラカバー22と略同じ上下方向の寸法を有し、上下方向については、背面部22bの略全体を覆う。
【0114】
このように、本実施形態のカメラユニット20では、左右方向および上下方向のいずれの方向についても、ガード板42は、背面部22bのうち投影位置28aの部分を覆うように設けられる。つまり、図7に示すように、カメラユニット20の背面視において、ガード板42が存在する範囲内に、背面部22bの投影位置28aの部分が含まれる。
【0115】
このように、ガード部40のガード板42によって背面部22bの投影位置28aの部分を覆うことにより、背面部22bのうち比較的高温部分となる投影位置28aの部分が使用者100等により触られることを防止することができる。具体的には、例えば、使用者100がカメラユニット20を把持しようとした場合であっても、背面部22bの投影位置28aの部分がガード板42によって覆われていることから、使用者100が投影位置28aの部分に触ることが、ガード板42により妨げられる。これにより、カメラユニット20の取り扱いにおいて、快適性や安全性を向上することができる。
【0116】
[実験結果]
本実施形態のカメラユニット20による温度変化についての実験の結果について説明する。図11に、ガード部40の上昇温度についての実験結果を示す。
【0117】
図11に示すグラフにおいて、横軸は、ガード外面−カメラカバー間距離(mm)である。縦軸は、ガード外面の温度上昇量(℃)である。ここで、ガード外面とは、ガード部40を構成するガード板42の後面42aである。横軸に示すガード外面−カメラカバー間距離とは、ガード板42の後面42aとカメラカバー22の背面部22bとの前後方向の寸法である(図6、符号E1参照)。以下では、この符号E1で示すガード外面−カメラカバー間距離を、「ガード−カバー間距離」という。また、縦軸に示すガード外面の温度上昇量(℃)は、ガード板42の後面42aの部分の、室温に対する上昇温度である。
【0118】
また、図11に示すグラフのうち、グラフ51は、ガード厚が2(mm)の場合の実験結果であり、グラフ52は、ガード厚が3(mm)の場合の実験結果である。ここで、ガード厚とは、ガード部40を構成するガード板42の板厚である。
【0119】
グラフ51、52からわかるように、ガード−カバー間距離が長くなるほど、ガード外面の温度上昇量は少なくなる。このことは、ガード−カバー間距離が長くなるほど、カメラカバー22の背面部22bとガード板42の後面42aとの間の物理的な距離が長くなり、背面部22bからガード板42の後面42aまでの間の熱抵抗も大きくなることに起因すると考えられる。
【0120】
また、グラフ51、52からわかるように、ガード厚(ガード板42の板厚)が薄い方が、ガード外面の温度上昇量が少ない。このことは、ガード−カバー間距離が同じであれば、ガード厚が薄くなる分、ガード板42の前面42bと背面部22bとの間の距離が長くなるので、背面部22bからガード板42の後面42aまでの間の熱抵抗も大きくなることに起因すると考えられる。
【0121】
このような実験結果を踏まえ、本実施形態のカメラユニット20のようにガード部40を備える構成において、ガード−カバー間距離やガード厚を規定するガード部40の各部の寸法を適切に設定することで、ガード部40の対向面41の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0122】
[変形例]
本発明の変形例について、図12を用いて説明する。なお、上述した実施形態と共通する構成については、同一の符号を用いる等して適宜説明を省略する。
【0123】
図12に示すように、本変形例のカメラユニット70は、上述した実施形態のカメラユニット20と同様に、カメラ基板29に撮像ユニット27等を実装するカメラモジュール21と、カメラモジュール21を収納する筐体としてのカメラカバー72とを備える。カメラカバー72は、フロントカバー73とリアカバー74とを有し、リアカバー74により、使用者100の額に対向する背面部72bが構成される。
【0124】
カメラユニット70は、カメラカバー72の背面部72bよりも使用者100の額に近い位置で使用者100の額に対向する対向面61を有するガード部60を備える。ガード部60は、カメラカバー72から使用者100の額側に向けて延設される。そして、カメラユニット70においては、ガード部60が、カメラカバー72とは別体の部材により構成されている。そして、ガード部60とカメラカバー72の背面部72bとの間の距離が可変となるように構成されている。
【0125】
具体的には、図12に示すように、カメラユニット70が備えるガード部60は、板状の本体部であるガード板62と、このガード板62をカメラカバー72に連結する連結部63とを含む。これらガード板62と連結部63とは、側面視で略L字状を構成する。
【0126】
カメラカバー72は、ガード部60を構成する連結部63の上側に支持される。つまり、ガード部60を構成する連結部63は、カメラカバー72の下面部72dの部分から後方に向けて延設される。カメラカバー72は、下面部72dに、ガード部60の連結部63に係合するための突起部81を有する。
【0127】
突起部81は、カメラカバー72のリアカバー74の下面部72dを構成する部分から、下方に向けて突出する。突起部81は、連結部63が有するスライド孔部64に対して、上側から係合する。スライド孔部64は、前後方向に長い長孔64aを形成する部分である。
【0128】
また、本変形例のカメラユニット70においては、ガード部60が、眼鏡型のフレーム4に固定されることで、カメラユニット70がフレーム4に固定される。このため、ガード部60は、例えば上述した実施形態のカメラユニット20が備えるカバー固定部34のような、フレーム4に対して固定される部分を有する。なお、図12においては、フレーム4の図示を省略している。
【0129】
そして、カメラカバー72の突起部81とガード部60のスライド孔部64との係合部分により、カメラカバー72が、ガード部60に対して前後方向に移動可能に構成される(矢印F1参照)。つまり、突起部81のスライド孔部64に対する係合部分が、長孔64aに沿って前後方向にスライド可能に構成される。
【0130】
カメラカバー72は、突起部81とスライド孔部64との係合部分において、所定の方法によりガード部60に対して固定される。カメラカバー72のガード部60に対する固定構造としては、例えば、突起部81に、下側に開口するネジ穴を形成し、この突起部81のネジ穴に対して長孔64aを介して下側からねじ込まれるボルトを用いた構成等が挙げられる。ただし、カメラカバー72のガード部60に対する固定構造としては、適宜の構成を採用することができる。
【0131】
以上のような構成を備える本変形例のカメラユニット70においては、ガード部60が眼鏡型のフレーム4に固定された状態において、突起部81とスライド孔部64との係合部分により、ガード部60に対するカメラカバー72の前後方向の相対的な位置が調整される。すなわち、突起部81とスライド孔部64との係合部分により、ガード部60に対するカメラカバー72の前後方向の位置が調整され、カメラカバー72が所望の位置でガード部60に固定される。
【0132】
本変形例のカメラユニット70のように、ガード部60をカメラカバー72とは別体で構成し、カメラカバー72のガード部60に対する前後方向の相対的な位置が調整可能な構成を採用することにより、ガード部60のガード板62とカメラカバー72の背面部72bとの前後方向の距離(図12、符号G1参照)を可変にすることができる。これにより、カメラモジュール21の発熱にともなって温度上昇するカメラカバー72の温度について、使用可能な温度範囲を可変にすることができる。したがって、例えばカメラカバー72内に収納されるカメラモジュール21の仕様の変更や外気温の変化等によるカメラカバー72の上昇温度の変化に対応することが可能となり、カメラユニット70の汎用性を向上することができる。
【0133】
なお、上述した実施形態のカメラユニット20のように、ガード部40をカメラカバー22と一体の部分として設けることで、カメラユニット70のようにガード部60をカメラカバー72とは別体で構成する場合との比較において、部品点数を削減することができ、構造の簡略化を図ることができるという利点が得られる。
【0134】
以上説明したように、本実施形態に係るカメラユニット20によれば、以下の効果が期待できる。
【0135】
(1)本実施形態のカメラユニット20は、使用者100の額の前に配置された状態で用いられるカメラユニット20であって、発熱源となる素子であるIC28を有するカメラモジュール21と、このカメラモジュール21を収納し、使用者100の額に対向する背面部22bを有するカメラカバー22と、カメラカバー22から使用者100の額側に向けて延設され、背面部22bよりも使用者100の額に近い位置で使用者100の額に対向する対向面41を有するガード部40と、を備える。これにより、使用者100の額の前に配置された状態で用いられる構成において、カメラモジュール21の発熱にともなうカメラカバー22の温度上昇によって使用者100が不快感を覚えることを防止することができる。
【0136】
(2)本実施形態のカメラユニット20においては、ガード部40は、一方の板面である後面42aを対向面41とするガード板42と、このガード板42をカメラカバー22に連結する連結部43とを含み、ガード板42は、他方の板面である前面42bが背面部22bから離間する位置に設けられる。これにより、ガード板42の大部分がカメラカバー22に対して熱的に切り離され、カメラカバー22の熱がガード板42に伝わりにくくなり、使用者100の額に接触する可能性のある対向面41を形成するガード板42の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0137】
(3)本実施形態のカメラユニット20においては、連結部43は、背面部22bの下部から延設される。これにより、連結部43が背面部22bに繋がる部分を背面部22bにおいて比較的温度の低い部分とすることができ、温度上昇したカメラカバー22からの熱伝導によるガード部40の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0138】
(4)本実施形態のカメラユニット20においては、連結部43は、上下方向に貫通するスリット部44を有する。これにより、カメラカバー22の背面部22bとガード部40のガード板42との間に熱せられた空気が滞留することを防止することができ、ガード部40の温度上昇を効果的に抑制することができる。また、背面部22bとガード板42との間の熱抵抗を大きくすることができ、使用者100の額に接触する可能性のある対向面41を形成するガード板42の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0139】
(5)本実施形態のカメラユニット20においては、スリット部44の開口面積は、連結部43のうち、カメラカバー22とガード板42とを繋ぐ肉部の平面視での面積よりも大きい。これにより、連結部43において背面部22bとガード板42とが切り離される部分が大きくなり、背面部22bとガード板42との間の熱抵抗を大きくすることができ、ガード板42の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0140】
(6)本実施形態のカメラユニット20においては、連結部43は、背面部22bのうち、この背面部22bに投影された発熱源となる素子の位置(投影位置28a)から離間した位置から延設される。これにより、最も発熱する素子であるIC28からの熱により背面部22bにおいて比較的高温部分となる投影位置28aの部分の熱が、連結部43を介してガード板42に伝達されることを抑制することができ、ガード板42の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0141】
(7)本実施形態のカメラユニット20においては、ガード板42は、背面部22bのうち、この背面部22bに投影された発熱源となる素子の位置(投影位置28a)を含む部分を覆う。これにより、背面部22bのうち比較的高温部分となる投影位置28aの部分が使用者100等により触られることを防止することができ、カメラユニット20の取り扱いにおいて、快適性や安全性を向上することができる。
【符号の説明】
【0142】
1 HMD
20 カメラユニット(ヘッドマウントカメラ)
21 カメラモジュール
22 カメラカバー(筐体)
22b 背面部
27 撮像ユニット
28 IC
28a 投影位置
29 カメラ基板
34 カバー固定部
40 ガード部
41 対向面
42 ガード板(本体部)
42a 後面(一方の板面)
42b 前面(他方の板面)
43 連結部
44 スリット部(孔部)
45 リブ部
100 使用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の額の前に配置された状態で用いられるヘッドマウントカメラであって、
発熱源となる素子を有するカメラモジュールと、
前記カメラモジュールを収納し、使用者の額に対向する背面部を有する筐体と、
前記筐体から使用者の額側に向けて延設され、前記背面部よりも使用者の額に近い位置で使用者の額に対向する対向面を有するガード部と、を備える、
ヘッドマウントカメラ。
【請求項2】
前記ガード部は、一方の板面を前記対向面とする板状の本体部と、該本体部を前記筐体に連結する連結部とを含み、
前記本体部は、他方の板面が前記背面部から離間する位置に設けられる、
請求項1に記載のヘッドマウントカメラ。
【請求項3】
前記連結部は、前記背面部の下部から延設される、
請求項2に記載のヘッドマウントカメラ。
【請求項4】
前記連結部は、上下方向に貫通する孔部を有する、
請求項2または請求項3に記載のヘッドマウントカメラ。
【請求項5】
前記孔部の開口面積は、前記連結部のうち、前記筐体と前記本体部とを繋ぐ肉部の平面視での面積よりも大きい、
請求項4に記載のヘッドマウントカメラ。
【請求項6】
前記連結部は、前記背面部のうち、該背面部に投影された前記発熱源となる素子の位置から離間した位置から延設される、
請求項2〜5のいずれか1項に記載のヘッドマウントカメラ。
【請求項7】
前記本体部は、前記背面部のうち、該背面部に投影された前記発熱源となる素子の位置を含む部分を覆う、
請求項2〜6のいずれか1項に記載のヘッドマウントカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−44870(P2013−44870A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181495(P2011−181495)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】