説明

ヘッドランプクリーナ装置

【課題】 部品点数を低減するとともに、洗浄液通路の圧力損失を低減すること。
【解決手段】 洗浄液を収容するタンク14と、タンク14内の洗浄液を圧送するモータポンプ16と、モータポンプ16によって圧送された洗浄液をヘッドランプに向けて噴射するノズル18、20と、各ノズル18、20とモータポンプ16とを結ぶ洗浄液通路22を備え、洗浄液通路22は、屈曲部22cを含む主要部が樹脂製ホース26、28、30で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のヘッドランプに向けて洗浄液を噴射して、ヘッドランプを洗浄するヘッドランプクリーナ装置に係り、特に、洗浄液通路の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、積雪・雪解けに伴う泥等によってヘッドランプ表面が汚れることを考慮し、ヘッドランプ表面を洗浄液で洗浄するためのヘッドランプクリーナ装置を搭載したものがある。特に、欧州では、ディスチャージランプに対して、ヘッドランプクリーナ装置を装着することが義務付けられているので、欧州仕様の車両にはヘッドランプクリーナ装置が搭載されている。
【0003】
泥などの付着によってヘッドランプの機能(配光)が低下しても、ヘッドランプクリーナ装置を用いてヘッドランプ表面を洗浄することで、ヘッドランプの機能を回復させて、視認性を確保することができる。
【0004】
この種のヘッドランプクリーナ装置は、例えば、図7および図8に示すように、洗浄液を収容するタンク50と、タンク50内の洗浄液を圧送するモータポンプ52と、モータポンプ52によって圧送された洗浄液をヘッドランプ(図示せず)に向けて噴射するノズル54、56と、各ノズル54、56とモータポンプ52とを繋ぐ洗浄液通路58とを備えて構成されている。洗浄液通路58の主要部は、ホース60で構成され、ホース60としては、例えば、特許文献1に記載されているように、ゴムホースが用いられている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−285723号公報(第9頁、図4参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術では、ヘッドランプクリーナ装置におけるノズル54、56とモータポンプ52とを繋ぐホース60として、ゴムホースを用いているので、圧力損失が高くなるとともに、部品点数が多くなる。すなわち、洗浄液の噴射によってヘッドランプを洗浄するには、モータポンプ52によって洗浄液の圧力を高め、高圧になった洗浄液をノズル54、56に供給しなければならず、洗浄液の圧送に伴う圧力がホース60に作用して、ゴム60が径方向に膨張し、通路断面積の増大に伴って圧力損失が高くなる。しかも、タンク50は一般的に車体中央に位置せず、右寄り又は左寄りに配置されることが多く、この場合、洗浄液通路58のうち、右側用ヘッドランプを洗浄するためのノズル54とモータポンプ52とを結ぶ洗浄液通路と、左側用ヘッドランプを洗浄するためのノズル56とモータポンプ52とを結ぶ洗浄液通路の長さが異なるので、長い方の洗浄液通路を構成するホース60は、短い方の洗浄液通路を構成するホース60よりも圧力損失が高くなり、両者のホース60・60の間には圧力損失にアンバランスが生じる。
【0007】
ヘッドランプクリーナの洗浄液通路58は、車両の構造物及び付属装備品の間隙スペースを利用して構成される。従って、車体部品との干渉と回避するためには洗浄液通路58を屈曲させる必要が生じる。
【0008】
屈曲部は、(1)L型の樹脂製ジョイント62を配置させる方策、もしくは(2)ゴムホース60を成型により屈曲させる方策により構成される。しかしながら、(1)では、ジョイント62とホース60は別々の部品であるので、必ずジョイント62とゴムホース60との接続部にクリップ64を併せて配置し、固定する必要がある為、屈曲部の数だけゴムホース60とジョイント62、クリップ64が増加し、部品点数、洗浄液通路58の重量が増加する。
【0009】
又、L型ジョイント62は内部に角部62aが形成されるので、洗浄液の流れを妨げてしまう(図8参照)。
【0010】
一方、(2)では、ゴムホース60の金型要件により、確保するスペースが増大、または成型できないケースも発生する。
【0011】
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みて為されてものであり、その目的は、部品点数を低減するとともに、洗浄液通路内の圧力損失を低減し、かつ、軽量化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、請求項1に係るヘッドランプクリーナ装置は、洗浄液を収容するタンクと、前記タンク内の洗浄液を圧送するモータポンプと、前記モータポンプの圧送による洗浄液を車両の左右に配置されたヘッドランプに向けて噴射する複数のノズルと、前記モータポンプと前記各ノズルとを結ぶ洗浄液通路とを備え、前記洗浄液通路は、樹脂製ホースを主要部として構成した。
【0013】
(作用)モータポンプを駆動すると、タンク内の洗浄液がモータポンプによって汲み上げられて、洗浄液通路を介して各ノズルに圧送され、各ノズルから噴射される洗浄液によってヘッドランプの表面が洗浄される。このため、ヘッドランプクリーナ装置を用いてヘッドランプを洗浄することで、泥などの付着によってヘッドランプの機能(配光)が低下しても、ヘッドランプの機能を回復させて、視認性を確保することができる。
【0014】
この際、モータポンプから各ノズルに洗浄液を圧送するときに、洗浄液の圧送に伴う圧力が洗浄液通路に作用しても、洗浄液通路の主要部が樹脂製ホースで構成されているので、樹脂製ホースが径方向に膨張して流路断面積が増大することはなく、洗浄液通路内の圧力損失を低減することができる。また、洗浄液通路の主要部を樹脂製ホースで構成したので、屈曲部ごとにジョイントを配置する必要はなく、屈曲部を除く洗浄液通路の主要部をゴム製ホースで構成したものよりも、部品点数を低減し、かつ、軽量化することができる。
【0015】
請求項2に係るヘッドランプクリーナ装置においては、前記樹脂製ホースの少なくとも一部に、前記洗浄液通路の径方向における内径断面積が前記洗浄液通路の長手方向に沿って漸次変化する蛇腹成形を施してなる構成とした。
【0016】
(作用)樹脂製ホースは、ゴムホールよりも、洗浄液を圧送する際の圧力損失は低減できるが、弾性が劣るので、配管する際に、上手く曲がらない。しかし、樹脂製ホースの少なくとも一部に蛇腹成形を施すことで、蛇腹成形された部位に可撓性(屈曲性)が生じ、樹脂製ホースを、例えば、バンパの内部及び車体に配置する際に、蛇腹成形された部位を任意に曲げることができる。従って、樹脂製ホースを配置する際に、ジョイント・クリップといったホースを屈曲させる部材の排除によって、部品コストダウン・重量の低減が可能となり、また、任意に曲げられることによって組付け時の余長確保ができ作業性が向上する。
【0017】
請求項3に係るヘッドランプクリーナ装置においては、前記蛇腹成形された部分のうち前記洗浄液通路の径方向における内径断面積が極小値を示す領域を中間に含む内側凸部は、前記洗浄液通路の長手方向に沿った断面が曲面で形成されてなる構成とした。
【0018】
(作用)内側凸部は、蛇腹成形された部分のうち洗浄液通路内で内側に突出して形成され、かつ洗浄液通路の長手方向に沿った断面が曲面となるように形成されているため、蛇腹成形によって洗浄液通路内に角部が形成されるときよりも、洗浄液通路内における洗浄液の流れをスムースにできる。
【0019】
請求項4に係るヘッドランプクリーナ装置においては、前記蛇腹成形された部分のうち前記洗浄液通路の径方向における内径断面積が極大値を示す領域を中間に含む内側凹部と前記洗浄液通路の径方向における外径断面積が極小値を示す領域を中間に含む外側凹部は、前記洗浄液通路の長手方向に沿った断面が曲面で形成されてなる構成とした。
【0020】
(作用)内側凹部は、蛇腹成形された部分のうち洗浄液通路内で外側に向かって凹んで形成され、かつ洗浄液通路の長手方向に沿った断面が曲面となるように形成され、外側凹部は、蛇腹成形された部分のうち洗浄液通路外周側で内側に向かって凹んで形成され、かつ洗浄液通路の長手方向に沿った断面が曲面となるように形成されているため、蛇腹成形された部分に曲げ加工に伴う力が作用しても、蛇腹成形によって洗浄液通路の内外に角部が形成されたときのように、力が集中することはなく、蛇腹成形された部分が割れるのを防止できる。
【発明の効果】
【0021】
以上の説明から明らかなように、請求項1に係るヘッドランプクリーナ装置によれば、部品点数を低減するとともに、洗浄液通路内の圧力損失を低減することができ、軽量化ならびにコスト低減に寄与することができる。
【0022】
請求項2に係るヘッドランプクリーナ装置によれば、組付け性の向上・コストダウンが可能になる。
【0023】
請求項3に係るヘッドランプクリーナ装置によれば、洗浄液通路内における洗浄液の流れをスムースにできる。
【0024】
請求項4に係るヘッドランプクリーナ装置によれば、蛇腹成形された部分が割れるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施例を示すヘッドランプクリーナ装置の全体構成図、図2は、ノズルとモータポンプとを結ぶ洗浄液通路の要部拡大平面図、図3は、T型ジョイントとホースとの関係を示す要部断面拡大図、図4は、本発明の他の実施例を示す洗浄液通路の要部拡大平面図、図5は、ホースの屈曲部における断面図であって、(a)は、屈曲部の拡大断面図、(b)は、(a)のA−A線に沿う断面図、(c)は、(a)のB−B線に沿う断面図、(d)は、(a)のC−C線に沿う断面図、図6は、洗浄液通路の要部拡大断面図である。
【0026】
これらの図において、ヘッドランプクリーナ装置10は、注入口12から注入された洗浄液を収容するタンク14と、タンク14内の洗浄液を圧送するモータポンプ16と、モータポンプ16によって圧送された洗浄液を、車両の左右に配置されたヘッドランプ(図示せず)に向けて噴射する複数のノズル18、20と、各ノズル18、20とモータポンプ16とを結ぶ洗浄液通路22を備えて構成され、車体バンパ24の背面側に配置されている。
【0027】
洗浄液通路22は、樹脂製ホース26、28、30を主要部として、樹脂製ホース26〜30の他に、T型ジョイント(ポリアセタール製など)32と、コネクタ34、36、38を備えて構成されている。樹脂製ホース26、28、30は、洗浄液通路22のうち直線部22a、曲線部22bおよび屈曲部22cを含む通路として構成されており、洗浄液通路22の分岐部22dにのみT型ジョイント32が挿入されている。すなわち、洗浄液通路22のうち直線部22a、曲線部22bおよび屈曲部22cを含む主要部を樹脂製ホース26、28、30で構成することで、洗浄液通路22の屈曲部22cでも緩やかな曲げ角度で形成することができる(図2参照)。
【0028】
樹脂製ホース26の一端側は圧入によってコネクタ34に連結され、他端側は圧入によってT型ジョイント32に連結され、樹脂製ホース28の一端側は圧入によってコネクタ36に連結され、他端側は圧入によってT型ジョイント32に連結され、樹脂製ホース30の一端側は圧入によってコネクタ38に連結され、他端側は圧入によってT型ジョイント32に連結されている(図3参照)。
各樹脂製ホース26、28、30は、熱可塑性樹脂、例えば、耐薬性が高いナイロンを用いて流路を構成するようになっている。なお、ホース26、28、30の材料としては、ナイロンの他に、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、ポリアセタン、ABS樹脂を用いることができる。
【0029】
上記構成において、モータポンプ16を駆動すると、タンク14内の洗浄液がモータポンプ16によって汲み上げられて、洗浄液通路22を介して各ノズル18、20に圧送され、各ノズル18、20から噴射される洗浄液によってヘッドランプの表面が洗浄される。このため、ヘッドランプクリーナ装置10を用いてヘッドランプを洗浄することで、泥などの付着によってヘッドランプの機能(配光)が低下しても、ヘッドランプの機能を回復させて、視認性を確保することができる。
【0030】
この際、モータポンプ16から各ノズル18、20に洗浄液を圧送するときに、洗浄液の圧送に伴う圧力が洗浄液通路22に作用しても、洗浄液通路22の主要部が樹脂製ホース26、28、30で構成されているので、樹脂製ホース26、28、30が径方向に膨張して流路断面積が増大することはなく、樹脂製ホース26、28、30内の圧力損失を低減することができる。このため、右側用ヘッドランプを洗浄するためのノズル18とモータポンプ16とを結ぶ洗浄液通路としての樹脂製ホース26、28と、左側用ヘッドランプを洗浄するためのノズル20とモータポンプ16とを結ぶ洗浄液通路としての樹脂製ホース26、30の長さが異なっていても、各洗浄液通路間に圧力損失にアンバランスが生じることはない。しかも、各樹脂製ホース26、28、30内の圧力損失を低減できるので、その分、モータポンプ16の吐出圧を低くしても、各ノズル18、20から噴射する洗浄液の圧力を同じにすることができ、モータポンプ16の小型化が可能になる。
【0031】
また、洗浄液通路22のうち屈曲部22cを含む主要部を樹脂製ホース26、28、30で構成したので、樹脂製ホース26と樹脂製ホース28とをT型ジョイント32で連結し、樹脂製ホース26と樹脂製ホース30とをT型ジョイント32で連結し、各樹脂製ホース26、28、30の端部にコネクタ34、36、38を圧入するだけで、洗浄液通路22を構成することができ、L型ジョイントやクリップが不要となる。このため、洗浄液通路のうち屈曲部や分岐部を除く主要部をゴム製ホースで構成し、分岐部や屈曲部ごとにジョイントを設けたものよりも、部品点数を低減することができる。
【0032】
本実施例によれば、各ノズル18、20とモータポンプ16とを結ぶ洗浄液通路22のうち屈曲部22cを含む主要部を樹脂製ホース26、28、30で構成したため、部品点数を低減、ならびに軽量化することができるとともに、洗浄液通路22内の圧力損失を低減することができる。
【0033】
次に、本発明の他の実施例を図4に従って説明する。本実施例は、洗浄液通路22を構成する樹脂製ホース26、28、30の一部に蛇腹成形を施したものであり、他の構成は前記実施例と同様である。
【0034】
具体的には、樹脂製ホース26、28、30の一部、例えば、樹脂製ホース26、28、30の屈曲部22cに相当する部分に蛇腹成形を施すこととしている。
【0035】
ここで、図5に示すように、屈曲部22cにおける最小内径をd1、最大内径をd3、両者の中間の内径をd2とし、最小内径d1における内径断面積(流路断面積)をs1、最大内径d3における内径断面積(流路断面積)をs3、内径d2における内径断面積(流路断面積)をs2とすると、s1<s2<s3の関係があり、屈曲部22cには、洗浄液通路22の径方向における内径断面積(流路断面積)s1、s2、s3が洗浄液通路22の長手方向に沿って漸次変化する蛇腹成形が施されている。
【0036】
すなわち、樹脂製ホース26、28、30は、ゴムホールよりも、洗浄液を圧送する際の圧力損失は低減できるが、弾性が劣るので、全体が円筒形状のままでは、配管する際に、上手く曲がらない。しかし、樹脂製ホース26、28、30の屈曲部22cに相当する部分に、屈曲部22cにおける単位断面積当たりの洗浄液流量が漸次変化するように、蛇腹成形を施すことで、蛇腹成形された部分に可撓性(屈曲性)が生じ、樹脂製ホース26、28、30を、例えば、バンパの内部及び車体に配置する際に、屈曲部22cに相当する部分を任意に曲げることができるとともに、屈曲部22cをジョイントやクリップでバンパに固定することなく、配管することができる。
【0037】
従って、樹脂製ホース26、28、30を配置する際に、ジョイント・クリップといったホースを屈曲させる部材の排除によって、部品コストダウン・重量の低減が可能となり、また、任意に曲げられることによって組付け時の余長確保ができ作業性が向上する。
【0038】
樹脂製ホース26、28、30の屈曲部22cに相当する部分に蛇腹成形を施すに際しては、図6に示すように、内側凸部22dと、内側凹部22eと、外側凹部22fおよび外側平坦部22gが一定の間隔で形成されるように、樹脂製ホース26、28、30の屈曲部22cに相当する部分に蛇腹成形による加工を施す。
【0039】
ここで、図5に示すように、屈曲部22cにおける最小内径をd1、最大内径をd3、両者の中間の内径をd2とし、最小内径d1における内径断面積(流路断面積)をs1、最大内径d3における内径断面積(流路断面積)をs3、内径d2における内径断面積(流路断面積)をs2とすると、s1<s2<s3の関係があり、屈曲部22cにおける最小外径をD1、最大外径をD3、両者の中間の外径をD2とし、最小外径D1における外径断面積をS1、最大外径D3における外径断面積をS3、外径D2における外径断面積をS2とすると、S1<S2<S3の関係がある。
【0040】
すなわち、内側凸部22dは、洗浄液通路22の径方向における内径断面積(流路断面積)が極小値s1を示す領域を中間に含み、洗浄液通路22内で内側に突出して形成されているとともに、洗浄液通路22の長手方向に沿った断面が曲面となるように形成されている。内側凹部22eは、洗浄液通路22の径方向における内径断面積(流路断面積)が極大値s3を示す領域を中間に含み、洗浄液通路22内で外側に向かって凹んで形成されているとともに、洗浄液通路22の長手方向に沿った断面が曲面となるように形成されている。
【0041】
外側凹部22fは、洗浄液通路22の径方向における外径断面積が極小値S1を示す領域を中間に含み、洗浄液通路22外周側で内側に向かって凹んで形成されているとともに、洗浄液通路22の長手方向に沿った断面が曲面となるように形成されている。外側平坦部22gは、洗浄液通路22の外径が一定となるように形成されているとともに、洗浄液通路22の長手方向に沿った断面が平面となるように形成されている。
【0042】
上記構成において、樹脂製ホース26、28、30を配管するに際しては、樹脂製ホース26と樹脂製ホース28とをT型ジョイント32で連結し、樹脂製ホース26と樹脂製ホース30とをT型ジョイント32で連結し、各樹脂製ホース26、28、30の端部にコネクタ34、36、38を圧入するだけで、洗浄液通路22を構成することができ、L型ジョイントやクリップが不要となる。さらに、樹脂製ホース26の屈曲部22cに相当する部分を曲げる場合でも、この部分には蛇腹成形が施されているので、樹脂製ホース26の屈曲部22cに相当する部分を容易に曲げることができるとともに、屈曲部22cをL型ジョイントやクリップで固定することなく、曲げた状態を保持させることができる。このため、洗浄液通路のうち屈曲部や分岐部を除く主要部をゴム製ホースで構成し、分岐部や屈曲部ごとにジョイントを設けたものよりも、部品点数を低減することができるとともに、組付け性を高めることができる。なお、屈曲部22cを補助クリップで固定すれば、屈曲部22cをより強固に固定することができる。
【0043】
本実施例によれば、洗浄液通路22のうち屈曲部22cを含む主要部を樹脂製ホース26、28、30で構成したため、部品点数を低減、ならびに軽量化することができるとともに、洗浄液通路22内の圧力損失を低減することができる。
【0044】
また、本実施例によれば、樹脂製ホース26、28、30の屈曲部22cに相当する部分に蛇腹成形を施すようにしたため、樹脂製ホース26、28、30を配管する際に、屈曲部22cに相当する部分を任意に曲げることができるとともに、屈曲部22cをジョイントやクリップで固定することなく、配管することができ、組付け性の向上・コストダウンが可能になる。
【0045】
さらに、本実施例によれば、蛇腹成形された部分(屈曲部22c)に、内側凸部22dを形成したため、蛇腹成形によって洗浄液通路22内に角部が形成されるときよりも、洗浄液通路22内における洗浄液の流れをスムースにでき、また、蛇腹成形された部分(屈曲部22c)に、内側凹部22eと外側凹部22gfを形成したため、蛇腹成形された部分(屈曲部22c)に曲げ加工に伴う力が作用しても、蛇腹成形によって洗浄液通路22の内外に角部が形成されたときのように、力が集中することはなく、蛇腹成形された部分(屈曲部22c)が割れるのを防止できる。
【0046】
なお、洗浄液通路22に蛇腹成形を施すに際しては、屈曲部22c以外の他の部分、例えば、直線部22aや曲線部22bにも蛇腹成形を施すことも可能である。
【0047】
また、洗浄液通路22の一部に蛇腹成形を施すに際しては、蛇腹成形された部分が所定の角度に曲げられた状態を保持するための熱処理工程などを、ホース26、28、30の樹脂成形工程に加えることで、蛇腹成形された部分を予め所定の角度、例えば、屈曲部22cの曲げ角度、に曲げた状態でホース26、28、30を使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施例を示すヘッドランプクリーナ装置の全体構成図である。
【図2】ノズルとモータポンプとを結ぶ洗浄液通路の要部拡大平面図である。
【図3】T型ジョイントとホースとの関係を示す要部断面拡大図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す洗浄液通路の要部拡大平面図である。
【図5】ホースの屈曲部における断面図であって、(a)は、屈曲部の拡大断面図、(b)は、(a)のA−A線に沿う断面図、(c)は、(a)のB−B線に沿う断面図、(d)は、(a)のC−C線に沿う断面図である。
【図6】洗浄液通路の要部拡大断面図である。
【図7】従来のヘッドランプクリーナ装置の全体構成図である。
【図8】従来の洗浄液通路の要部拡大平面図である。
【符号の説明】
【0049】
10 ヘッドランプクリーナ装置
14 タンク
16 モータポンプ
18、20 ノズル
22 洗浄液通路
26、28、30 樹脂製ホース
32 T型ジョイント
34、36、38 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を収容するタンクと、前記タンク内の洗浄液を圧送するモータポンプと、前記モータポンプの圧送による洗浄液を車両の左右に配置されたヘッドランプに向けて噴射する複数のノズルと、前記モータポンプと前記各ノズルとを結ぶ洗浄液通路とを備え、前記洗浄液通路は、樹脂製ホースを主要部として構成されてなるヘッドランプクリーナ装置。
【請求項2】
前記樹脂製ホースの少なくとも一部に、前記洗浄液通路の径方向における内径断面積が前記洗浄液通路の長手方向に沿って漸次変化する蛇腹成形を施してなることを特徴とする請求項1に記載のヘッドランプクリーナ装置。
【請求項3】
前記蛇腹成形された部分のうち前記洗浄液通路の径方向における内径断面積が極小値を示す領域を中間に含む内側凸部は、前記洗浄液通路の長手方向に沿った断面が曲面で形成されてなることを特徴とする請求項2に記載のヘッドランプクリーナ装置。
【請求項4】
前記蛇腹成形された部分のうち前記洗浄液通路の径方向における内径断面積が極大値を示す領域を中間に含む内側凹部と前記洗浄液通路の径方向における外径断面積が極小値を示す領域を中間に含む外側凹部は、前記洗浄液通路の長手方向に沿った断面が曲面で形成されてなることを特徴とする請求項2または3に記載のヘッドランプクリーナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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