説明

ヘテロ二官能性ポリエチレングリコール誘導体およびその調製方法

【課題】 高純度および高収率で、ポリ(エチレングリコール)または関連ポリマーのヘ
テロ二官能性誘導体を調製する方法を提供する。
【解決手段】 本発明はクロマトグラフィー精製段階を経ることなく、一方の末端に除去
可能なW基を有する、式W−ポリ−OHを有する中間体ポリマーを提供でき、まず中間体
ポリマーW−ポリ−OHを、最初にOH基を第一官能基Xに変換し、次いでWを除去して
、第二のヒドロキシル基を生成することにより変化させ、次いで、後者のヒドロキシル基
を、第二の官能基Yに変換し得、これによって、所望のヘテロ二官能性誘導体が得られる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘテロ二官能性ポリ(エチレングリコール)誘導体およびその調整方法に関
する。
【背景技術】
【0002】
ポリ(エチレンオキシド)略称(PEO)としても知られる、親水性ポリマーポリ(エ
チレングリコール)略称(PEG)の、分子および表面への共有結合的付着は、バイオテ
クノロジーおよび医学における重要な適用を有する。その最も一般的な形では、PEGは
、各末端にヒドロキシル基を有する線形ポリマーである。
HO−CH2−CH2O(CH2CH2O)nCH2CH2−OH この式は、HO−PEG−O
Hとして簡潔に示すことができ、−PEG−は、末端基を有さないポリマー骨格を示すと
理解される。
−PEG−=−CH2CH2O(CH2CH2O)nCH2CH2− PEGは、メトキシ−PE
G−OH、すなわち簡潔にはmPEGして一般的に使用され、ここでは、一方の末端が、
比較的不活性のメトキシ基であり、一方、他方の末端は、化学修飾を受けることのできる
ヒドロキシル基である。
CH3O−(CH2CH2O)n−CH2CH2−OH
【0003】
ポリ(エチレングリコール)すなわちPEGなる語は、上記の全ての形およびさらには
他の形も示すまたは含むと当業者により理解される。
【0004】
エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーは、その化学においてPEGに密
接に関連し、それらは、その多くの適用においてPEGの代替が可能である。
HO−CH2CHRO(CH2CHRO)nCH2CHR−OH R=HおよびCH3
【0005】
PEGは、水溶性、並びに、多くの有機溶媒への溶解性の特性を有する有用なポリマー
である。PEGはまた、無毒性で非免疫原性である。PEGを水不溶性化合物に化学的に
付着すると、得られたコンジュゲートは一般に、水溶性、並びに、多くの有機溶媒に溶解
性である。PEGが付着した分子が、薬物のように生物学的に活性である場合、この活性
は、PEGの付着後も一般的に保持され、コンジュゲートは薬物動態の変化を示し得る。
例えば、Bentleyら、PolymerPreprints、38(1)、584(
1997)は、PEGに結合すると、水不溶性アンテミシニン(antemisinin
)は水溶性となり、抗マラリア活性の増加を示すことを実証した。Davisらは、米国
特許第4,179,337号で、PEGに結合したタンパク質は、腎クリアランスの減少
および免疫原性の減少から、血液循環寿命の増強を示すことを示した。PEGに毒性がな
いこと、および、生体からのその迅速なクリアランスは、医薬適用において有利である。
【0006】
PEG化学の適用はより洗練されてきたので、ヘテロ二官能性PEG、すなわち、異な
る末端基を有するPEG:X−PEG−Y(ここでのXおよびYは異なる基である)の需
要は増加している。骨格エステル基および末端基XおよびYを有するPEG:X−PEG
−CO2−PEG−Yは、骨格内の各PEG単位が非対称に置換されているので、Xおよ
びYが同じであってもヘテロ二官能性であると考えることができる。
【0007】
適切な官能基を有する前記へテロ二官能性PEGを使用して、PEGを、表面または他
のポリマー、例えば多糖またはタンパク質に連結し得、他の末端は、例えば、薬物、リポ
ソーム、別のタンパク質、またはバイオセンサーに付着している。一方の末端がポリマー
に結合し、他方の末端が適切な官能基に結合している場合、架橋による有用なヒドロゲル
の形成が生じ得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、既存の方法を使用して、ヘテロ二官能性PEGを高純度で調製することは困難
または不可能であることが多い。例えば、以下の反応を、等モル量の各試薬を使用して、
示したヘテロ二官能性PEGアセタール生成物を調製することを目標に実施できる: H
O−PEG−OH+ClCH2CH(OC252+NaOH→ →HO−PEG−OCH2
CH(OC252+NaCl+H2O しかし、実践的には、いくつかの二置換PEGジ
エチルアセタール(C25O)2CH2O−PEG−OCH2CH(OC252も必然的に
形成され、いくらかの未反応PEGも残るだろう。面倒なクロマトグラフィーがこの混合
物の分離に必要である。
【0009】
クロマトグラフィーアプローチをZalipsky(Bioconjugate Ch
emistry、4:296〜299、1993)が使用し、以下のヘテロ二官能性PE
G誘導体:HO−PEG−CONHCH2CO2Hを、未反応PEGおよび二置換カルボン
酸誘導体も含む反応生成物の混合物から精製した。
【0010】
特定の適用において、最小量のHO−PEG−OHが、モノ官能性活性化PEGの調製
に使用するモノアルキルPEGに存在することが必須である。なぜなら、HO−PEG−
OHの存在により、架橋生成物をもたらす、二重に活性化されたPEG誘導体が得られる
か、または他の望ましくない効果を有するからである。事実、HO−PEG−OHは、モ
ノアルキルPEGにおける一般的な混入物質である。トリチル(Ph3C−誘導体)を形
成し、誘導体をクロマトグラフィーにより分離し、そしてCH3O−PEG−OCPh3
らトリチル基を除去することにより、CH3O−PEG−OHをHO−PEG−OHから
分離する、クロマトグラフィーアプローチが、米国特許第5,298,410号に開示さ
れている。近年の特許出願、Suzawaら(WO第96/35451号)は、ベンジル
PEG(C65−CH2−OPEG−OH)を、一方の末端に標的細胞に親和性を有する
基を有し、他方の末端に毒素を有する、ヘテロ二官能性PEGの調製における中間体とし
て開示している。しかし、ベンジルPEGは、PEGのベンジル化、次いで骨の折れる徹
底的な勾配クロマトグラフィーによりベンジルPEGをジベンジルPEGおよび未反応P
EGから分離することにより調製した。手順は、小規模で実施し、収率は僅か7.8%で
あった。従って、この方法は、商業的な製造にはほとんど有用ではない。
【0011】
二官能性PEGを調製するための、第二の戦略である重合化アプローチは、エチレンオ
キシドのアニオンX-へのアニオン性重合を含み、このX-は最終的にポリマーの末端基と
なる。
【化1】


この方法は、Yokoyamaら(BioconjugateChemistry。3:
275〜276、1992)により、一方の末端にヒドロキシル基を有し、他方にアミノ
基を有するPEGの調製に使用されている。Cammasら(Bioconjugate
Chemistry、6:226〜230、1995)は、この方法を使用して、一方の
末端にアミノ基を有し、他方にヒドロキシルまたはメトキシ基を有するPEGを調製した
。それは、Nagasakiら(BioconjugateChemistry、6:2
31〜233、1995)により、一方の末端にホルミル基を有し、他方にヒドロキシル
基を有するPEGの調製に使用されている。この方法は、一般に、Xが重合を開始するの
に適切で望ましい基である場合にのみ有用であり;そうではない場合が多い。また、この
方法の成功裡の適用には、HO−PEG−OHの形成を防ぐために厳密な水の除外が必要
であり、この問題は、分子量が増加するにつれより深刻となる。また、所望の分子量のP
EG誘導体を得るためには重合度を注意深く制御することが必要である。この方法は、エ
チレンオキシド重合を直接薬物分子上に実施する場合には、過酷な重合条件下における多
くのタイプの薬物分子の分解により制限される。この方法はまた、重合が起こり得る、2
つ以上の官能基が存在する場合には、選択性の欠如により制限される。
【0012】
以前の方法の少なくともいくつかの問題および欠点を実質的に排除する、ヘテロ二官能
性PEGを調製するための追加の方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、一方の末端に除去可能な基を有するPEG中間体を介して、ヘテロ二官能性
ポリ(エチレングリコール)誘導体を調製する方法を提供する。W−PEG−OH(ここ
で、Wは、温和な化学的方法により除去可能な基である)のクラスのPEG誘導体が提供
され、最初に、OH基を所望の基Xに修飾し、ついでWを除去して第二のヒドロキシル基
を作成することにより変化させる。次いで、後者のヒドロキシル基を、さらに第二の官能
基Yに変化させ得、よって、所望の二官能性PEGが提供される:
W−PEG−OH → W−PEG−X → HO−PEG−X → Y−PEG−X
【0014】
好ましい除去可能な基は、ベンジルオキシ基(C65CH2−O−)であるが、4−メ
チルベンジル、3−メチルベンジル、4−クロロベンジル、4−メトキシベンジル、ジフ
ェニルメチル、トリフェニルメチル、または1−ナフチルメチルを含むがこれに限定され
ない、他のアリールメチル基も使用し得る。ジアリールメチルおよびトリアリールメチル
基でもよい。ベンジルオキシ−PEG−OH(BzO−PEG−PH)は、例えば、高純
度で、エチレンオキシドの、ベンジルオキシドイオンBzO-への重合により調製し得る
。注意深く制御した無水条件下で反応を実施することにより、ヘテロ二官能性誘導体生成
物は、最少量のHO−PEG−OHでもって調製し得る。ベンジルおよび他のアリールメ
チル基の利点は、それらが、比較的温和な条件下で触媒的水素化分解により、または酸触
媒加水分解により除去し得るということである。
BzO−PEG−X+H2(cat)→C65−CH3+HO−PEG−X BzO−PE
G−X+H2O(H+)→C65CH2OH+HO−PEG−X 上記の反応において、ca
tは炭素パラジウムなどの触媒である。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、この方法は、PEGまたは関連ポリマーを、タンパ
ク質、脂質、多糖または他のポリマーなどの巨大分子または表面にコンジュゲートするの
に使用する。最初に、即座のBzO−PEG−OHのヒドロキシル基を、第一の反応性官
能基に変換する。この反応性官能基により、BzO−PEG−の巨大分子への付着が可能
となる。次いで、ベンジル基を、巨大分子に化学的に影響を及ぼすことなく、水素化分解
または加水分解により除去し、従って、PEG誘導体上に新しい末端ヒドロキシル基が利
用可能となる。この新しいヒドロキシル基を直接使用して、PEG誘導体の末端を、同じ
または別の巨大分子に付着し得る。別法として、ヒドロキシル基は、さらに、第二の反応
性官能基に変換し得、次いでこれを使用してPEG誘導体を巨大分子に連結する。第二の
反応性官能基が別のポリマーに連結されると、ヒドロゲルとして有用な架橋ポリマーを作
成し得る。反応スキームは、以下のように一般的な形で説明され得る:
(1)BzO−PEG−OH → BzO−PEG−X(X=反応性官能基)
(2)BzO−PEG−X → BzO−PEG−M1(M1=巨大分子、例えば表面、薬物
、タンパク質、またはポリマー)
(3)BzO−PEG−M1+H2(Pd/C)→ BzH+HO−PEG−M1またはBz
O−PEG−M1+H2O/H+ → BzOH+HO−PEG−M1(4)HO−PEG−M
1 → M2−PEG−M1(M2=巨大分子、例えば表面、薬物、タンパク質、またはポリマ
ー、またはM1上の異なる部位)
【0016】
所望であれば、反応の配列順序を、水素化または加水分解に感受性の化学基の破壊を回
避するように操作できる。
(1)Bz−PEG−OH → Bz−PEG−X(2)BzO−PEG−X → BzO−
PEG−M2(M2=薬物、表面、ポリマー、または、水素化または加水分解に感受性でな
い他の基)
(3)BzO−PEG−M2+H2(Pd/C)→ BzH(またはBzOH)+HO−P
EG−M2BzO−PEG−M2+H2O/H+ → BzH(またはBzOH)+HO−P
EG−M2(4)HO−PEG−M2 → M1−PEG−M2(M1=薬物、表面、ポリマー
、または、水素化または加水分解に感受性である他の基)
【0017】
本発明の別の実施形態において、W−O−PEG−OHとHO−PEG−OHの混合物
中のHO−PEG−OHの反応性を阻害する方法が開示される。このアプローチでは、H
O−PEG−OHを含むW−O−PEG−OHのアルキル化は、W−O−PEG−ORと
RO−PEG−ORの混合物を生じ、ここでのRはアルキル基である。
BzO−PEG−OH+HO−PEG−OH+R−X → BzO−PEG−OR+RO−
PEG−OR+HXXは、メシレートまたはトシレートなどの脱離基である。
触媒的水素化により、BzO−PEG−ORはRO−PEG−OHに変換される。
BzO−PEG−OR+RO−PEG−OR+H2(Pd/C) → RO−PEG−OH
+RO−PEG−OR+BzH 従って、RO−PEG−OHとRO−PEG−ORの混
合物が生じる。
HO−PEG−OHとは異なり、RO−PEG−ORは不活性で非反応性である。従っ
て、この混合物は、大半の化学反応でRO−PEG−OHの純粋な生成物に等価である。
【0018】
前記および本発明の他の目的、利点および特徴、並びにそれを行なう方法は、以下の本
発明の詳細な説明を考慮すれば、より容易に明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、高純度で高収率のポリ(エチレングリコール)または関連ポリマーのヘテロ
二官能性誘導体を提供する。本方法ではクロマトグラフィーでの精製工程は必要ない。本
発明の方法によれば、一方に除去可能な基Wを保有するW−ポリ−OHを有する中間体ポ
リマーが得られる。中間体ポリマーW−ポリ−OHは、最初にOH基の第1の官能基Xへ
の改変後、Wが除去されて第2の水酸基が得られる。後者の水酸基を、第2の官能基Yに
さらに変換することができるので、所望のヘテロ二官能性誘導体が得られる。
W−Poly−OH → W−Poly−X → HO−Poly−X → Y−Poly−X

【0020】
以下の考察では、Polyは、しばしば便宜上PEGまたはポリ(エチレングリコール
)という。しかし、他の関連ポリマーもまた本発明の実施に有用であり、用語PEGまた
はポリ(エチレングリコール)に含まれるが、この点では含まれないと理解すべきである

【0021】
ポリ(エチレングリコール)またはPEGは、非常に望ましい性質を有し、一般に生物
学または生物工学への適用が一般に承認されているために生物学への適用に有用である。
PEGは典型的には、無色透明、水溶性、熱安定性、多数の化学薬品に不活性で、加水分
解または変質せず、無毒である。ポリ(エチレングリコール)は、生体適合性を示す(す
なわちPEGは生きている組織または器官と害を与えることなく共存できる)と考えられ
ている。より詳細には、PEGは免疫原性を示さない(すなわち、PEGは体内で免疫応
答を起こす傾向がない)。体内でいくつかの所望の機能を有する部分と結合した場合、P
EGはその部分をマスクする傾向があり、器官がその部分の存在に耐性を示すように任意
の免疫応答を減少または消滅させることができる。したがって、本発明のヘテロ二官能性
誘導体は、実質的に無毒であり、免疫応答も凝固または他の望ましくない効果も実質的に
起こさないはずである。
【0022】
式−CH2CH2−(CH2CH2O)n−CH2CH2−(式中、nは約8〜4000であ
る)を有するPEGは、本発明の実施における有用なポリマーの1つである。PEG以外
の他の二官能価で水溶性の非ペプチドポリマーもまた本発明に有用である。これらの他の
ポリマーには、ポリ(ビニルアルコール)(「PVA」);他のポリ(アルキレンオキシ
ド(ポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)など);およびポリ(オキシエチル化
ポリオール(ポリ(オキシエチル化グリセロール)、ポリ(オキシエチル化ソルビトール
)、およびポリ(オキシエチル化グルコース)など)が含まれる。ポリマーは、ホモポリ
マーまたは無作為もしくはブロックコポリマーおよび上記ポリマーのモノマーを基本単位
とする直鎖もしくは分岐ターポリマーであり得る。
【0023】
適切なさらなるポリマーの特定の例には、ポリ(オキサゾリン)、二官能価ポリ(アク
リロイルモルホリン)(「PAcM」)、およびポリ(ビニルピロリドン)(「PVP」
)が含まれる。PVPおよびポリ(オキサゾリン)は当該分野で周知のポリマーであり、
その調製は当業者に容易であるはずである。PAcMおよびその合成ならびに使用は米国
特許第5,629,384号および同第5,631,322号(その内容全体が本明細書
中で参考として援用される)に記載されている。
【0024】
用語「基」、「官能基」、「部分」、「活性部分」、および「活性部位」は全て化学分
野で幾らか同義語であり、当該分野で使用されており、本明細書中では分子の識別および
定義可能な部分および幾らかの機能または活性を示す単位をいい、他の分子または分子の
一部と反応性を示す。
【0025】
用語「結合」は、通常化学反応の結果として形成される基をいうために使用し、典型的
には共有結合である。
【0026】
「薬物」は、ヒトおよび他の動物の実感の診断、治癒、緩和、治療、または予防を意図
するか身体または精神の健康を向上させる任意の物質と理解すべきである。
【0027】
用語「高分子」を、脂質、多糖類、タンパク質、ヌクレオチド配列、薬物、ポリマーな
どを含むがこれらに限定されない巨大分子を意味するために使用する。しばしば上記ポリ
マーとこのような高分子とを抱合することが望ましい。
【0028】
本発明によれば、除去可能な基Wを、穏やかな化学反応によってポリマーW−Poly
−Xから除去することができる。ポリマーW−Poly−Xの他の部分(特に、第1の官
能基X)望ましくない改変を起こさない条件下でこのような化学反応を行うことができる
。好ましくは、Wは式Ar−C(R1)(R2)−O−(式中、Arは、フェニル、置換フ
ェニル、ビフェニル、置換ビフェニル、多環式アリール、置換多環式アリール、およびヘ
テロ環式アリールからなる群から選択される部分を示し、R1およびR2はH、アルキル、
または上記定義のArである)を有する。したがって、除去可能な基Wの例には、ベンジ
ルオキシ基(C65CH2O)および他のアリールメチルオキシ基(4−メチルベンジル
オキシ、3−メチルベンジルオキシ、4−クロロベンジルオキシ、4−メトキシベンジル
オキシ、ジフェニルメチルオキシ、トリフェニルメチルオキシ、および1−ナフチルメチ
ルオキシが含まれるこれらに限定されない)が含まれるが、これらに限定されない。アリ
ールメチルオキシ基を、触媒による水素化分解または酸触媒加水分解によって比較的穏や
かな条件下でポリマーから除去することができる。
【0029】
本発明によれば、W−ポリ−OHを例えば、適切なポリマーのモノマーのアリールメチ
ルオキシドへの重合に異よって合成することが好ましい。例えば、ベンジルオキシ−PE
G−OH(BzO−PEG−OH)を、エチレンオキシドのベンジルオキシイオンBzO
−への重合によって高純度および高収率で調製することができる。好ましくは、無水条件
下で重合反応を行う。本発明のこの態様によれば、HO−PEG−OHの生成は最小であ
る。広範な勾配クロマトグラフィー精製は必要ではなく、BzO−PEG−OHの収率は
高い。これは、PEGのベンジル化後の骨の折れる広範囲勾配のクロマトグラフィーを行
うコスト高および低収率を回避不可能な量産価値のほとんどない方法である先行技術とは
対照的である。
【0030】
本発明によれば、ポリ(エチレングリコール)または関連ポリマーのヘテロ二官能性誘
導体の最終生成物は式Y−Poly−Xを有する。第1の官能基Xおよび第2の官能基Y
はPEG誘導体が例えば他の高分子(タンパク質、脂質、他党、および他のポリマーが含
まれるが、これらに限定されない)と抱合することが望ましい他の分子と反応することが
できる反応部分である。第1の官能基Xの例には、メシレート;トシレート;トレシレー
ト、O(CH2)nCO2H(式中、n=1〜6)、O(CH2)nCO2R3(式中、n=1
〜6であり、R3はアルキル基である)、NHR4(式中、R4はHまたはアルキルまたは
t−BocおよびFmocなどのアミン保護基);O(CH2)nCH(ZR5)2(式中、
nは1〜6の数字であり、ZはOまたはSであり、R5はHまたはアルキル基である);
Ar−CH=CH−CH=CH−CO2(式中、Arは、フェニル、置換フェニル、ビフ
ェニル、置換ビフェニル、多環式アリール、置換多環式アリール、およびヘテロ環式アリ
ールからなる群から選択される部分を示す);−O−(CH2)n−CHOおよび−O2C
CH2CH2CO2R6(式中、R6はHまたはNスクシニミジルを示すNHSである)が含
まれるが、これらに限定されない。
【0031】
第2の官能基Yの例には、水酸基;メシレート;トシレート;トレシレート、O(CH
2)nCO2H(式中、n=1〜6)、O(CH2)nCO2R3(式中、n=1〜6であり、
R3はアルキル基である)、NHR4(式中、R4はHまたはアルキルまたはt−Bocお
よびFmocなどのアミン保護基);O(CH2)nCH(ZR52(式中、nは1〜6の
数字であり、ZはOまたはSであり、R5はHまたはアルキル基である);Ar−CH=
CH−CH=CH−CO2(式中、Arは、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換
ビフェニル、多環式アリール、置換多環式アリール、およびヘテロ環式アリールからなる
群から選択される部分を示す);−O−(CH2)n−CHOおよび−O2CCH2CH2
26(式中、R6はHまたはNスクシニミジルを示すNHSである);およびCH2=C
H−CO2−が含まれるが、これらに限定されない。式Y−Poly−Xのポリ(エチレ
ングリコール)誘導体では、第1の官能基Xおよび第2の官能基Yは互いに異なることが
好ましいので、ヘテロ二官能価であることが裏付けられている。
【0032】
XがAr−CH=CHCH=CH−CO2(Arは上記のように定義)であり、Yが−
O−(CH2)n−CHOまたはO(CH2)nCH(ZR52(式中、nは1〜6の数字で
あり、ZはOまたはSであり、R5はHまたはアルキル基である)であることが好ましい
。XがO(CH2)nCH(ZR52(式中、nは1〜6の数字であり、ZはOまたはSで
あり、R5はHまたはアルキル基である)である場合、Yは−O2CCH2CH2CO26
式中、R6はHまたはNHSである)であることが好ましい。XがOCH2CO2CH(C
3)CH2CONHSである場合、第2の官能基YはCH2=CHCO2であることが好ま
しい。
【0033】
本方法の反応スキームは上記で式: W−Poly−OH → W−Poly−X → H
O−Poly−X → Y−Poly−Xと示しているにもかかわらず、式中の任意の2つ
の生成物の間に1つを超える化学反応工程が存在し得ると理解すべきである。例えば、W
−Poly−OHの末端の水酸基を第1の官能基Xに変換するためにいくつかの連続反応
が起こり得る。同様に、いくつかの反応工程を行って、HO−Poly−Xの新規の水酸
基を改変して第2の官能基Yを得ることができる。
【0034】
さらに、本発明の1つの実施形態では、除去可能な基Wの除去工程前に、ポリマーY−
Poly−Xを高分子表面上で第1の反応性官能基Xと適切な部分との間で形成された結
合によって高分子または表面に結合することができる(しがって、ポリマーのW−Pol
y−部分と高分子との抱合:W−Poly−M1(M1は、タンパク質、ペプチド、脂質、
薬物、多糖類、もしくは他のポリマー、または物質(例えば、微生物)の表面などの高分
子))。抱合体W−Poly−M1中の除去可能な基Wは、その後穏やかな化学反応(例
えば、触媒による水素化分解または酸触媒加水分解など)によって除去される。得られた
−OHは、例えば、別の高分子M2(など、タンパク質、ペプチド、脂質、薬物、多糖類
、もしくは他のポリマー、または物質(例えば、微生物)の表面など))と直接反応して
、M2−Poly−M1を形成することができる。別の高分子への抱合が好ましい場合、−
OH基は任意選択的に例えばアルキル化によってキャップされた不活性の非反応性基に変
換することができる。あるいは、得られたOH基を上記の反応性官能基Yに変換すること
ができる:Y−Poly−M1。次いで、官能基YをM2と反応させてM2−Poly−M1
を形成することができる。
(1)WPolyOH −−→ WPolyX (X=反応性官能基)
(2)WPolyX −−→ WPolyM1 (M1= 例えば、表面、薬物タンパク質、ま
たはポリマーなどの高分子)
(3)WPolyM1 + H2(Pd/C)→ WH + HOPolyM1または WPol
yM1 + H2O/H+ → WOH + HOPolyM1
(4)HOPolyM1 → Y2PolyM1
(5)YPolyM1 + M2 → M2PolyM1 (M2= 例えば、表面、薬物、タンパ
ク質、もしくはポリマーなどの高分子またはM1上の異なる部位)
【0035】
本方法において、PEG関連ポリマーPolyによる複数の異なる高分子の架橋によっ
てヒドロゲルを作製することができる。しかし、本発明により、2つの官能基XおよびY
を同一の高分子に結合させることができ、これにより高分子上でのPEG関連ポリマーの
抱合により高分子上にポリマーの殻を形成することができると理解すべきである。
【0036】
本発明の別の実施形態では、上記のように作製されたPEGまたは関連ポリマーのヘテ
ロ路二官能価誘導体Y−Poly−Xは、高分子または他の物質上での官能基XおよびY
ならびに反応部分を介して高分子または他の分子と反応することができる。例えば、Xお
よびYを、異なる型の高分子または他の物質がそれぞれXおよびYに結合するように選択
することができる。同一の型の高分子と反応するようにXおよびYを選択することも可能
である。
【0037】
本発明の別の態様によれば、ポリ(エチレングリコール)または関連ポリマーのヘテロ
二官能性誘導体が得られる。このようなポリマーを、式Y−Poly−X(式中、Pol
yは、上記定義のポリ(エチレングリコール)または関連化合物を示す)と示す。Xおよ
びYは、メシレート;トシレート;トレシレート、O(CH2)nCO2H(式中、n=1
〜6)、O(CH2)nCO23(式中、n=1〜6であり、R3はアルキル基である)、
NHR4(式中、R4はHまたはアルキルまたはt−BocおよびFmocなどのアミン保
護基);O(CH2)nCH(ZR52(式中、nは1〜6の数字であり、ZはOまたはS
であり、R5はHまたはアルキル基である);Ar−CH=CH−CH=CH−CO2(式
中、Arは、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換ビフェニル、多環式アリール、
置換多環式アリール、およびヘテロ環式アリールからなる群から選択される部分を示す)
;−O−(CH2)n−CHOおよび−O2CCH2CH2CO26(式中、R6はHまたはN
HSであり、nは1〜6である)からなる群から選択される反応性官能基である。好まし
くは、XとYは異なる。
【0038】
いくつかの実施形態では、XがAr−CH=CHCH=CH−CO2(Arは上記のよ
うに定義)である場合、Yは−O−(CH2)n−CHOまたはO(CH2)nCH(ZR5
2(式中、nは1〜6の数字であり、ZはOまたはSであり、R5はHまたはアルキル基
である)であることが好ましく、XがO(CH2)nCH(ZR52(式中、nは1〜6の
数字であり、ZはOまたはSであり、R5はHまたはアルキル基である)である場合、Y
は−O2CCH2CH2CO26(式中、R6はHまたはNHSである)であることが好まし
く、XがOCH2CO2CH(CH3)CH2CONHSである場合、第2の官能基YはCH
2=CHCO2であることが好ましい。
【0039】
さらに別の態様では、式XPolyaOCHR5(CH2)nCO2PolybX(式中、P
olyaおよびPolybは、上記のPolyによって示される同一の型のポリマーを示し
、nは0−6であり、R5はHまたはアルキルであり、Xは反応性官能基である)を有す
るポリ(エチレングリコール)または関連ポリマーの調製法を提供する。ヘテロ二官能性
誘導体の実質的に純粋な形態を、クロマトグラフィー精製工程に依存することなく高純度
且つ高収率で作製することができる。
【0040】
本方法では、式ArC(R1)(R2)OPolybUの第1のポリマーおよび式ArC
(R1)(R2)OPolya−CHR5(CH2)nCO−Vの第2のポリマー(式中、R1
およびR2はH、アルキル、またはAr(Arは、フェニル、置換フェニル、ビフェニル
、置換ビフェニル、多環式アリール、置換多環式アリール、およびヘテロ環式アリールで
ある)であり、UおよびVは第1のポリマーが第2のポリマーと反応してArC(R1
(R2)OPolyaOCHR5(CH2)nCO2PolybOC(R1)(R2)−Arのポ
リマーを形成するように選択した部分である)が得られる。上記のように、第1のポリマ
ーおよび第2のポリマーを、アリルメチルオキシドイオンArC(R1)(R2)O-から
生成物ArC(R1)(R2)O-Polya−OHまたはArC(R1)(R2)O-Pol
yb−OHとPolybおよびPolyaとの個別の反応、および任意選択的に2つのポリ
マーが例えばエステル結合によって結合するようなその後の末端水酸基の部分UおよびV
への個別の改変によって作製することができる。次いで、結合したポリマーを、触媒によ
る水素化分解または酸触媒加水分解によるArC(R1)(R2)O−部分の除去により改
変することができる。得られたOH基を、任意選択的に他の反応性官能基に変換すること
ができる。反応性官能基Xの例には、−OH;CH2=CR5CO2(式中、R5はHまたは
アルキルである);O(CH2)nCH(ZR)2(式中、R5はHまたはアルキルであり、
ZはOまたはSであり、nは1〜6である);NHS−O2CO−(式中、NHSはN−
スクシニミジルを示す)が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、
Uは−OHであり、Vは−Clなどのハロゲン基である。
【0041】
本発明のさらに別の態様では、式R8OPolyaOCHR5(CH2)nCO2Polyb
Y(式中、Polya、Polyb、n、R5は、上記定義の通りであり、R8はHまたはア
ルキル基である)を有するポリ(エチレングリコール)または関連ポリマーの調製法を提
供する。Yは反応性官能基である。本方法は、クロマトグラフィー工程が必要ない。本方
法では、上記のようにArC(R1)(R2)OPolybUの第1のポリマーが得られる
。R8OPolya−CHR5(CH2)nCO−V(R8はHまたはアルキル基であるか、A
r(式中、Arは上記定義の通り))の第2のポリマーも得られる。第1のポリマーが第
2のポリマーと結合してR8OPolyaOCHR5(CH2)nCO2PolybOC(R1
(R2)−Arのポリマーを形成するように、部分UおよびVは互いに反応して、例えば
、エステル結合を形成することができる。次いで、ArC(R1)(R2)O−部分を、所
望の官能基に変換することができる。好ましくは、Uは−OHであり、Vは−Clなどの
ハロゲン基である。Yは、−OH;CH2=CR5CO2(式中、R5はHまたはアルキルで
ある);O(CH2)nCH(ZR)2(式中、RはHまたはアルキルであり、ZはOまた
はSであり、nは1〜6である);および−O−(CH2)n−CO2H(式中、nは1〜
6である)などの官能基であり得る。
【0042】
本発明のさらに別の態様によれば、HO−Poly−OHの反応性を有するポリマーの
汚染のないR9O−Poly−OHのポリマーの作製法を提供する。Polyは上記に定
義した通りであり、R9アルキル基またはアリール基である。は当該分野で開示のように
、PEG誘導体の調製由来のHO−PEG−OHなどのHO−Poly−OHの除去には
、通常、例えばクロマトグラフィーを使用した広範で骨の折れる精製工程が必要である。
本発明の方法は、その必要がない。本方法では、ArCR12OPolyOHを、最初に
アリールメチルオキシイオンArCR12O-上へのポリマーPolyの形成によって合
成する。次いで、ArCR12OPolyOHをアルキル化してポリマーAr−CR12
−OPEGOR9に変換する。HO−Poly−OHの任意の不純物を、アルキル化の際
にR9OPEGOR9に変換する。次の工程は、酸触媒加水分解または水素化分解によって
ArCR12O部分を−OHに変換し、R9O−PEG−OHとR9O−PEG−OR9
の新規の混合物を形成することである。R9O−PEG−OR9はほとんどの化学反応に不
活性であるので、混合物は、純粋なR9O−PEG−OHと化学的に等価である。任意選
択的に、R9O−PEG−OHをR9O−PEG−CHOにさらに変換することができる。
【実施例】
【0043】
以下の実施例は本発明を例示するために記載するが、本発明の限定と解釈すべきではな
い。
実施例1.HOPEGNH3+Cl-の合成
実施例2.HOPEG OCH2CO2Hの合成
実施例3.Cl-H3N+PEGOCH2CO2Hの合成
実施例4.Cl-H3N+PEGOCH2CH2CO2Hの合成
実施例5.C65CH=CHCH=CHCO2PEGOCH2CH(OC252の合成
実施例6.NHSO2COPEGOCH2CO2PEGOCO2NHS(NHS=Nsucc
inimidyl)の合成
実施例7.CH2=CHCO2PEGOCH2CO2PEGO2CCH=CH2の合成
実施例8.CH3OPEGOCH2CH2CO2PEGOHの合成
実施例9.NHSO2CCH2CH2COOPEGOCH2CH2CH(OC252の合成
実施例10.CH2=CHCO2PEGOCH2CO2PEGOCH(CH3)CH2CO2
HSの合成
実施例11.BzOPEGOHとHOPEGOHとの混合物からHOPEGOHを含まな
いCH3OPEGOHを調製するためのアルキル化の適用
【0044】
実施例1 HOPEGNH3+Cl-の調製反応:
【化2】

【0045】
a)BzOPEGOMの調製:BzOPEGOH(MW=3400,34g、10mmo
le)の150mlのトルエン溶液を、窒素下で2時間共沸し、溶液を室温に冷却した。
この溶液に40mlの乾燥塩化メチレンおよび2.1mlの乾燥トリエチルアミン(15
mmole)を添加した。溶液を氷浴中で冷却し、1.2mlの乾燥メシルクロリド(1
5mmole)を滴下した。溶液を窒素下、室温で一晩撹拌し、2mlの無水エタノール
の添加によって反応を停止させた。混合物を減圧蒸発させて特にトルエン以外の溶媒を除
去し、濾過し、再び減圧濃縮し、100mlのエチルエーテル中で沈殿させた。生成物を
濾過によって回収し、真空乾燥した。収量は34g(100%)であった。1H nmr(
DMSOd6):( 3.5(br m,PEG),4.31(t,OCH2CH2OMs),
?4.49(s,C65CH2OPEG),7.33(s+complex mult.,
65CH2OPEG)。
【0046】
b) BzOPEGNH2の調製:BzOPEGOMs(25g、7.35mmole)を
、5gの塩化アンモニウムを含む500mlのアンモニア水に溶解し、溶液を室温で72
時間撹拌した。次いで、溶液を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで
乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、生成物を100mlのエチルエーテルで沈殿させた。生成
物を濾過によって回収し、真空乾燥した。収量:23g(92%)。1H nmr(DMS
Od6):( 3.5(br m,PEG),2.9(t,CH2NH2),4.49(s,C
65CH2OPEG),7.33(s+complex mult.,C65CH2OPE
G)。
【0047】
c) HOPEGNH3+Cl-の調製:BzOPEGNH2(46g、14mmoles)
の200ml濃HCl(12M)溶液を、室温で44時間撹拌した。次いで、これを水で
1200mlに希釈し、NaClを添加して15%溶液とした。水溶液を塩化メチレンで
3回抽出し、合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥した。塩化メチレンを減圧濃縮し、
エーテルの添加によって生成物を沈殿させた。生成物を濾過によって回収し、室温で減圧
乾燥した。収量:42g(95%)。1H nmr(DMSOd6):( 2.96(t,C
2N),3.5(br m,PEG),4.6(br,OH),7.9(br,NH3+

【0048】
実施例2 HOPEGOCH2CO2Hの調製反応
【化3】

【0049】
a) BzOPEGOCH2CO2C(CH33の調製:BzOPEGOH(MW=340
0,40g、11.7mmole)を、N2下で250mlのトルエンと共沸した。2時
間後、溶液を室温に冷却した。上記PEG溶液に90mlのtert−ブタノールおよび
90mlのトルエンに溶解したカリウムtert−ブトキシド(2.8g、23.5mm
ole)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。tert−ブチルブロモ酢酸(4
ml,26.3mmole)を添加し、溶液をN2下の室温で一晩撹拌した。溶液を濾過
し、減圧濃縮し、300mlのエーテル中で沈殿させた。生成物を濾過によって回収し、
減圧乾燥した。1H nmr(DMSOd6):( 1.5(s,tBu),3.51(m,
PEG),3.98(s,OCH2CO2),4.49(s,C65CH2O),7.33
(s + comp.mult.,C65CH2O−)。
【0050】
b) HOPEG OCH2CO2Hの調製:BzOPEGOCH2CO2C(CH33(10
g)を、100mlの塩酸(37%)に溶解し、溶液を室温で48時間撹拌した。溶液を
1リットルの蒸留水で希釈し、1Nの水酸化ナトリウムでpHを2に調整した。次いで、
溶液を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して塩
を除去し、減圧濃縮し、エーテルで沈殿させた。生成物を濾過によって回収し、減圧乾燥
した。収量:8.5 g(85%)。 1H nmr(DMSOd6):( 3.51(br m
,PEG),4.01(s,−PEGOCH2COOH)。
【0051】
実施例3 ClH3N+PEGOCH2CO2Hの調製
【化4】

【0052】
a) HOPEG3400OCH2CO2CH3の調製:実施例2で調製したHOPEGOCH2
CO2H(15 g)を75mlのメタノールに溶解し、得られた溶液に3mlの濃H2
4を添加した。溶液を室温で1.5時間撹拌し、180mlの5%NaHCO3水溶液を
慎重に添加した。次いで、塩化ナトリウム(25g)を添加し、得られた溶液のpHを5
%Na2HPO4で7に調整した。溶液を塩化メチレンで抽出し、合わせた有機層をNa2
SO4で乾燥した。次いで、塩化メチレン溶液を20mlに蒸発させ、生成物を300m
lの冷エチルエーテルで沈殿させた。生成物を濾過によって回収し、室温で減圧乾燥して
13.5gの生成物を獲得し、これはGPCによって純度100%であることが示された

【0053】
b) MsOPEGOCH2CO2CH3の調製:HOPEG3400OCH2CO2CH3(13
.5 g)を、400mlのCHCl3に溶解し、約200mlの溶媒を蒸留した。残りの
溶液を室温に冷却し、トリエチルアミン(0.72ml)を添加後、0.38mlのMs
Clを添加した。反応混合物をN2下の室温で一晩撹拌し、2mlのエタノールを添加し
、得られた混合物を15分間撹拌した。減圧下(55℃の浴)での溶媒の蒸発後、得られ
た沈殿を濾過によって回収し、室温で減圧乾燥した。収量は14gであり、1H nmrス
ペクトルにより、100%メシル化が示された。
【0054】
c) H2NPEG3400CO2- NH4+の調製:MsO−PEG−OCH2CO2CH3(13
g)を、70mlのH2Oに溶解し、pHを12に調整した。pH12を維持しながら1
.5時間撹拌後、5%NH4Clを含む250mlのNH4OH溶液を添加した。次いで、
反応混合物を約40時間撹拌し、NaClを添加して濃度を約8%にした。得られた溶液
をCH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥した。CH2Cl2層を約20mlに蒸発させ、
約300mlの冷エチルエーテルで沈殿させた。沈殿した生成物を濾過によって回収し、
室温で減圧乾燥した。収量は12.5gであった。純度は1H nmrでは97%であり、
GPCでは95%であった。
【0055】
d)Cl――H3+−PEG3400OCH2CO2Hの調製:H2NPEGCO2- NH4+(1
2g)を15%NaClを含むH2O(50ml)に溶解した。1N HClでpHを3.
0に調整し、得られた溶液をCH2Cl2で抽出した。CH2Cl2抽出物をNa2SO4で乾
燥し、約20mlに蒸発させ、約300mlのエチルエーテルで生成物を沈殿させ、室温
で減圧乾燥した。1H nmrでの純度は95%であった。
【0056】
実施例4 Cl-H3N+PEGOCH2CH2CO2Hの調製
【化5】

【0057】
a) HOPEG3400OCH2CH2CO2Hの調製:BzOPEGOH(100 g)を、
100mlのH2Oに溶解し、得られた溶液に5mlの40%のKOH水溶液を添加し、
混合物を1時間撹拌した。次いで、溶液を0℃に冷却し、アルゴン下で50mlのアクリ
ロニトリルを添加した。3時間の撹拌後、20%NaCl水溶液を添加し、10%NaH
2PO4でpHを7.0に調整した。ついで、溶液をCH2Cl2で抽出し、抽出物をNa2
SO4で乾燥した。溶媒の減圧蒸発後、残渣を500mlの濃HClに溶解し、室温で6
0時間撹拌した。次いで、240gのNaOHの1.2l水溶液に溶液を添加し、NaC
lを添加して8%溶液を作製し、pHを7.0に調整した。溶液をCH2Cl2で抽出し、
抽出物をNa2SO4で乾燥し、減圧蒸発によって乾燥した。残渣を1.5lの8%KOH
中で20時間撹拌し、180mlの濃HClおよびNaCl(8%)を添加した。pHを
3.0に調整し、生成物を塩化メチレンで抽出した。抽出物をNa2SO4で乾燥し、蒸発
させ、生成物をエチルエーテルで沈殿させた。生成物を濾過によって回収し、減圧乾燥し
て、GPCによって収率91%のHOPEGOCH2CH2CO2Hを含む90gの生成物
が得られた。
【0058】
b) Cl- +H3NPEGOCH2CH2CO2Hの調製:実施例3のHOPEGOCH2
2HのCl- H3N+PEG3400OCH2CO2Hへの変換と同一の手順によって、HOP
EGOCH2CH2CO2HをCl- +H3NPEGOCH2CH2CO2Hに変換した。
【0059】
実施例5 C65CH=CHCH=CHCO2PEGOCH2CH(OC252の調製反応

【化6】

【0060】
a) BzOPEGOCH2CH(OC252の調製:500mlの丸底三つ口フラスコ
に300mlのジオキサンおよび14gのBzOPEGOH(MW=3400,0.00
40 moles)を入れた。ついで、得られた溶液を130mlの溶媒とN2下で共沸さ
せた。溶液の冷却後、微粉末NaOH(0.8g、0.02 moles)およびClC
2CH(OC252(3 ml,0.02 moles)をN2下で添加し、得られた懸
濁液を24時間還流しながら急速に撹拌した。次いで、30mlのジオキサンを蒸留によ
って除去し、急速に撹拌した溶液をN2下でさらに24時間還流した。次いで、懸濁液を
冷却し、Celite(商品名)の添加によって濾過した。濾過物を減圧蒸発し、残渣の
オイルに200mlのエチルエーテルを添加した。得られた沈殿を濾過によって回収し、
室温で減圧乾燥して黄褐色粉末(13.6g)を得た。粉末をCH2Cl2(35 ml)
に溶解し、500mlの冷エチルエーテルの添加によって再沈殿させた。沈殿物を濾過に
よって回収し、室温で減圧乾燥して白色粉末として13.0gのBzOPEGOCH2
H(OC252を得た(1H nmrによれば純度9498%)。1H nmr(DMSO
d6):( 1.11(t,OCH2CH3);3.51(br m,O−CH2CH2O),4
.48(s,C65CH2O);4.55(t,CH(OC252),7.32(s,C
65)。
【0061】
b) HOPEGO CH2CH(OC252の調製:BzOPEGOCH2CH(OC2
52(13 g)を150mlの95%エタノールに溶解し、N2下で6.5gの10%炭
素担持Pd触媒を添加した。懸濁液をH2下(40psi)で70時間震盪し、懸濁液を
濾過した。残りの触媒を2×25mlのボイルクロロホルムで洗浄し、洗浄物をエタノー
ルと合わせ、濾過し、減圧濃縮して、無色透明のオイルを得た。オイルに400mlの冷
エチルエーテルを添加し、得られた沈殿物を濾過によって回収し、室温での減圧乾燥後に
白色粉末として11.3gのHOPEGOCH2CH(OC252を得た(1H nmrに
よれば純度92%)。1H nmr(DMSOd6):( 1.10,(t,OCH2CH3
,3.51(br m,OCH2CH2O),4.55,(m,HO + CH(OCH2CH
32)。
【0062】
c) C65CH=CHCH=CHCO2PEGOCH2CH(OC252の調製:シンナ
ミリデン酢酸(1.7g、0.01 moles)および塩化チオニル(3 ml,0.0
4 moles)の50mlヘキサン溶液を、N2下で4時間還流し、濾過して少量の暗色
固体を除去し、濾過物を減圧蒸発させた。残渣を室温で一晩減圧乾燥して、黄色固体とし
て1.5gのシンナミリデンアセチルクロリド(融点51−52℃)を得た。
【0063】
HOPEG−OCH2CH(OC252(3.4g、1.0mmole)のトルエン溶液
(50ml)を、窒素下で2時間共沸して微量の水を除去し、室温に冷却した。窒素下で
KOHからトリエチルアミンを蒸留し、窒素下でHOPEGO CH2CH(OC252
のトルエン溶液に0.28ml(2mmole)の新鮮な蒸留物を注入した。室温および
窒素下で得られた溶液を急速に撹拌しながらシンナミリデンアセチルクロリド(C65
H=CHCH=CHCOCl)を滴下した。同一の条件下で撹拌を3日間継続し、白色沈
殿を濾過によって取り出した。濾過物を減圧下で20mlに蒸発させ、300mlの冷エ
ーテルを添加した。淡黄色沈殿を濾過によって回収し、減圧乾燥して、3.4gの淡黄色
粉末を得た。粉末を塩化メチレンに溶解し、50mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で1回
抽出し、水で1回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、25mlに蒸発させ、3
00mlの冷エーテルを撹拌しながら添加した。得られた沈殿物を濾過によって回収し、
室温で減圧乾燥して淡黄色粉末として3.05g(86%)のC65CH=CHCH=C
HCO2PEG−OCH2CH(OC252を得た。1H nmr(DMSOd6):δ 1
.11ppm(t,C3CH2O−,3.51ppm(m,PEGOC22O + C
32O);4.20ppm(t,―C22C―),4.52ppm(t,―CH(
OC252),6.11(d,=C),7.57―7.12(comp.mult.
,C65 + =C)nmrによる純度:89―96%。
【0064】
実施例6 NHSO2COPEGOCH2CO2PEGOCO2NHS(NHS=Nスクシニ
ミジル)の調製反応:
【化7】

【0065】
a) BzOPEGOCH2CO2Hの調製:BzOPEGOCH2CO2C(CH33(2
0g)を蒸留水に溶解し、1NNaOH溶液でpHを12.0に調整した。NaOHの継
続的添加により溶液をpH12.0に2時間維持し、溶液を一晩撹拌した。1NNaOH
溶液の添加により溶液のpHを2.5に調整し、溶液を塩化メチレンで3回抽出した。合
わせた有機塩化メチレン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾過物を減圧濃縮し
、エチルエーテルで生成物を沈殿させた。生成物を濾過によって回収し、室温で減圧乾燥
した。収量は18g(90%)であった。1H nmr(DMSOd6):( 3.5(br
m,PEG),4.01(s,PEGOCH2COOH),4.49(s,C65CH2
PEG),7.33(s+com,C65CH2OPEG)。
【0066】
b) BzOPEGOCH2CO2PEGOBzの調製:100mlの丸底フラスコに、B
zOPEGOCH2CO2H(MW=3400,3.4g、1mmol)のトルエン溶液を
共沸によって乾燥した。塩化チオニル(2M,4 ml,8mmole)の塩化メチレン
溶液を注入し、混合物をN2下で一晩撹拌した。溶媒を回転式蒸発器で濃縮し、P25
末と共にシロップを約4時間真空乾燥した。残渣に5mlの無水塩化メチレンを添加し、
トルエン中(20ml)でBzOPEGOH(MW=3400,2.55g、0.75
mmol)を共沸により乾燥させた。BzOPEGOCH2COClの溶解後、新たに蒸
留したトリエチルアミン(0.6ml)を添加し、混合物を一晩撹拌した。トリエチルア
ミン塩を濾過によって取り出し、生成物をエチルエーテルでの沈殿によって回収した。こ
れを水への溶解および塩化メチレンでの抽出によってさらに精製した。生成物のゲル浸透
クロマトグラフィーにより、100%のBzOPEGOHがエステルに変換されたことが
示された。次いで、混合物をイオン交換カラム(DEAEセファロースfastflow
、Pharmacia)でクロマトグラフィーを行ってBzOPEGOCH2CO2Hを取
り出し、純粋なBzOPEGOCH2CO2PEGOBzを得た。収量:4.1グラム(8
0%)。1H nmr(DMSO−d6):( 3.5(br m,PEG),4.14(s,
PEGOCH2COOPEG),4.18(t,PEGO−CH2COOCH2CH2OPE
G),),4.48(s,ArCH2O)7.32(s,C65)。
【0067】
c) HOPEGOCH2CO2PEGOHの調製:BzOPEGOCH2CO2PEGOB
z(MW=6800,2g、0.59mmole)の1,4−ジオキサン溶液(20ml
)をH2(2 atm)および1グラムのPd/C(10%)で一晩水素化分解した。濾過
によって触媒を除去し、回転式蒸発器でほとんどの溶媒を沈殿させた後に生成物をエチル
エーテルに沈殿させた。濾過によって純粋なHOPEGOCH2CO2PEG−OHを回収
し、室温で減圧乾燥して1.5g(75%)のHOPEGOCH2CO2PEGOHを得た
。1H nmr(DMSOd6):( 3.5(br m,PEG),4.14(s,PEGO
CH2COOPEG),4.18(t,PEGOCH2COOCH2CH2OPEG)。
【0068】
d) NHSO2COPEGOCH2CO2PEGOCO2NHSの調製:HOPEGOCH2
CO2PEGOH(2g、0.29mmole)を100mlのアセトニトリルと共沸し
、ゆっくりと室温に冷却した。得られた溶液にジスクシニミジルカーボネート(621m
g,1.17mmole)およびピリジン(0.3ml)を添加し、溶液を室温で一晩撹
拌した。減圧下で溶媒を除去し、残渣に35mlの乾燥塩化メチレンを添加した。不溶性
固体を濾過によって取り出し、濾過物をpH4.5の塩化ナトリウム飽和酢酸緩衝液で洗
浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。エチルエーテ
ルを添加し、沈殿を濾過によって回収し、減圧乾燥した。収量:1.8g(90%)。1
H nmr(DMSOd6):( 3.5(br m,PEG),4.14(s,PEGOC
2COOPEG),4.18(t,PEGOCH2COOCH2CH2OPEG),4.4
5(t,PEGOCH2CH2OCONHS),2.81(s,NHS)。
【0069】
実施例7 CH2=CHCO2PEGOCH2CO2PEGO2CCH=CH2の調製反応:
【化8】

【0070】
CH2=CHCO2PEGOCH2CO2PEGO2CCH=CH2の調製:HOPEGOCH
2CO2PEGOH(M.W.=6800,1.5g、0.44mmole 末端基)を、
100mlのトルエンで2時間共沸乾燥した。溶液をN2下で室温に冷却し、25mlの
塩化メチレンおよびトリエチルアミン(TEA,0.56mmole)を添加した。溶液
を氷浴中で冷却し、溶液にアクリロイルクロリド(1.5mmole)のCH2Cl2溶液
を滴下した。アクリロイルクロリドの添加後、氷浴を取り除き、溶液を室温で一晩撹拌し
た。1mlのエタノールを添加して過剰量のアクリロイルクロリドを消費し、塩化メチレ
ンを減圧濃縮した。濾過によって塩を除去し、残りの溶液を100mlのエーテルで沈殿
させた。生成物を濾過によって回収し、真空乾燥した。生成物を50mlのクロロホルム
に溶解し、炭酸ナトリウム(1.3g)を添加した。混合物を室温で一晩激しく撹拌した
。塩を濾過によって除去し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を5mlの塩化メチレンに溶
解し、100mlエチルエーテルに溶液を添加した。得られた沈殿を濾過によって回収し
、20mlの2−プロパノールで洗浄し、40mlのエーテルで洗浄した。最後に、生成
物を真空乾燥した。収量1.35g(90%)。1H nmr(DMSO―d6):δ3.
5(br m,PEG),4.14(t,PEGOC2COOPEG),4.18(t
,PEGOCH2COOC2CH2OPEG),4.21(t,CH2=CHCOOC2
CH2OPEG,4H),5.85−6.45(m,C2=CCOOPEG)。
【0071】
実施例8 CH3OPEGOCH2CH2CO2PEGOHの調製反応:
【化9】

【0072】
a) CH3OPEGOCH2CH2CO2PEGOBzの調製:100mlの丸底フラスコ
中で、CH3OPEGOCH2CH2CO2H(MW=2000,2g、lmmole)溶液
をトルエンに溶解し、2時間共沸乾燥した。ゆっくりと室温に冷却後、チオニルクロリド
(3 ml,6mmole)の塩化メチレン溶液にこの溶液を添加し、N2下で一晩撹拌し
た。次いで、回転式蒸発器によって溶媒を除去し、残ったシロップをP25粉末と共に約
4時間真空乾燥した。固体に5mlの無水塩化メチレンおよび共沸乾燥BzOPEGOH
(MW=3400,2.04g、0.60mmol)のトルエン溶液(20ml)を添加
した。得られた溶液に0.6mlの新たに蒸留したトリエチルアミンを添加し、溶液を一
晩撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過によって除去し、粗生成物をエチルエーテルで沈
殿させ、濾過によって回収した。次いで、混合物をイオン交換クロマトグラフィー(DE
AEセファロースfast flowカラム、Pharmacia)によって精製した。
純粋なCH3OPEGOCH2CH2CO2PEGOBzが得られた。収量:2.6g(80
%)。lH nmr(DMSOd6):( 3.5(br.mult.,PEG),3.24
(s,CH3OPEG),4.48(s,−PEGOCH265),7.33(s + c
omp.mult.,PEGOCH265),2.55(t,OCH2CH2CO2PEG
),4.13(t,PEGCO2CH2CH2OPEG)。
【0073】
b) CH3OPEGOCH2CH2CO2PEGOHの調製:2gのCH3OPEGOCH2
CH2CO2PEGOBzの1,4−ジオキサン溶液を1グラムのPd/C(10%)上で
2(2atm)で一晩水素化分解した。濾過によって触媒を除去し、溶媒を減圧濃縮し
、エチルエーテルに溶液を添加した。生成物を濾過によって回収し、室温で減圧乾燥して
、1.5g(75%)のCH3OPEGOCH2CH2CO2PEGOHを得た。1H nmr
(DMSOd6):( 3.5(br.mult.PEG),3.24(s,CH3OPEG
),2.55(t,OCH2CH2CO2PEG),4.13(t,PEGCO2CH2CH2
OPEG)。
【0074】
実施例9 NHSO2CCH2CH2COOPEGOCH2CH2CH(OC252の調製反
応:
【化10】

【0075】
a) BzOPEGOMsの調製:BzOPEGOH(MW=3400,25g、7.3
5mmol)の150mlトルエン溶液を、窒素下で1時間共沸し、溶液を室温に冷却し
た。溶液に20mlの乾燥塩化メチレン、1.14mlの乾燥トリエチルアミン(8.1
6mmol)、および0.61mlの乾燥メシルクロリド(7.86mmol)を滴下し
た。溶液を窒素下、室温で一晩撹拌し、5mlの無水エタノールの添加により反応を停止
させた。混合物を減圧濃縮し、濾過し、再度減圧濃縮し、エチルエーテル中で沈殿させた
。生成物を濾過によって回収し、真空乾燥した。収量:23g(100%)。1H nmr
(DMSOd6):( 3.5(br m,PEG),4.31(t,OCH2CH2OMs)
,4.49(s,C65CH2OPEG),7.33(s + comp m.,C65CH
2OPEG)。
【0076】
b) BzOPEGOCH2CH2CH(OC252の調製:3,3−ジエトキシプロパノ
ール(9.806g、66.2mmol)を窒素下の90mlのトルエン中で1時間共沸
した。室温に冷却後、水素化ナトリウム(60%鉱物油液、2.75g、68.7mmo
l)の50ml無水トルエン分散物に溶液を添加した。35℃に穏やかに加熱しながら溶
液を2時間混合し、濾過した。BzOPEGOMs(23g、6.76mmol)の15
0mlトルエン共沸溶液に、濾過物を添加した。混合物を125℃の窒素雰囲気下で20
時間濃縮し、残渣を80mlの塩化メチレンに溶解した。溶液を濾過し、生成物を1リッ
トルの冷イソプロピルアルコールで沈殿させた。生成物を濾過によって回収し、真空乾燥
した。粉末を100mlの脱イオン水に溶解し、200mlの塩化メチレンで3回抽出し
た。混合物を減圧濃縮し、濾過し、エチルエーテルで沈殿させた。生成物を濾過によって
回収し、真空乾燥した。収量19g(100%)。1H nmr(DMSOd6):( 1.
10(t,−CH(OCH2CH32,1.73(q,OCH2CH2CH),3.5(b
r m,PEG),4.49(s,C65CH2OPEG),4.56(m,CH(OCH
2CH32),7.33(s + comp m,C65CH2OPEG)。
【0077】
c) HOPEGOCH2CH2CH(OC252の調製:BzOPEGOCH2CH2CH
(OC252(10g、2.94 mmol)を100mlの96%エタノールに溶解し
、窒素下で5.0gの10%炭素担持Pd触媒を添加した。懸濁液をH2(40psi)
下で48時間震盪し、懸濁液を濾過した。残渣を塩化メチレンで洗浄した。塩化メチレン
とエタノールとの合わせた濾過物中の生成物を減圧濃縮し、濾過した。粘性溶液を冷エチ
ルエーテルで沈殿させ、生成物を濾過によって回収し、真空乾燥した。収量:15g。1
H nmr(DMSOd6):( 1.10(t,CH(OCH2CH32,1.72(q,
−OCH2CH2CH).3.5(br m,PEG),4.55(m,CH(OCH2CH
32)。
【0078】
d)HO2CCH2CH2CO2PEGOCH2CH2CH(OCH2CH32の調製:HOP
EGOCH2CH2CH(OC252(3g,0.88mmol)およびBHT(5mg
)を、20mlの無水トルエンに溶解し、窒素下、120℃で1時間共沸した。溶液を7
5℃に冷却後、ピリジン(0.36ml)および無水コハク酸(0.353g)を添加し
、75℃で24時間撹拌した。溶液を減圧濃縮し、濾過し、冷エチルエーテルに沈殿させ
た。沈殿物を濾過によって回収し、真空乾燥した。粉末を50mlの脱イオン水中で再構
成し、1Mの水酸化ナトリウムを滴下してpHを7.2に1時間維持した。1NHClを
即座に滴下して、pH3.0とし、その後すぐに100mlの塩化メチレンで3回抽出し
た。有機層中の生成物を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、冷エチルエーテルで沈殿
させ、濾過によって回収し、真空乾燥した。収量:2.0g(88%)。1H nmr(D
MSOd6):( 1.10(t,CH(OCH2CH32,1.72(q,OCH2CH2
H),3.5(br m,PEG),4.12(t,CO2CH2 ),4.55(t,CH
(OCH2CH32)。
【0079】
e) NHSO2CCH2CH2CO2PEGOCH2CH2CH(OCH2CH32の調製:H
2CCH2CH2CO2PEGOCH2CH2CH(OCH2CH32(2.0g、0.56
mmol)を窒素雰囲気下で20mlの無水塩化メチレンに溶解した。N−ヒドロキシス
クシンイミド(105 mg,0.91mmol)を、最初に溶液に添加し、その後ジシ
クロヘキシルカルボジイミド(174 mg,0.84mmol)を添加した。溶液を窒
素雰囲気下の室温で一晩撹拌した。生成物を減圧濃縮し、濾過し、冷エチルエーテルに沈
殿させ、濾過によって回収し、真空乾燥した。収量:1.5g:(99%)。1H nmr
(DMSOd6):( 1.10(t,CH(OCH2CH32,1.72(q,OCH2
2CH),2.80(s,NHS),3.5(br m,PEG),4.12(t,CO
2CH2),4.55(t,CH(OCH2CH32)。
【0080】
実施例10 CH2=CHCO2PEGOCH2CO2CH(CH3)CH2CO2NHSの調製
反応:
【化11】

【0081】
a) BzOPEGOCH2CO2CH(CH3)CH2CO2Hの調製:BzOPEGOCH
2CO2H(MW=3400,15g、4.4mmole)を、N2下で60mlのトルエ
ンと共沸した。2時間後、溶液をゆっくりと室温に冷却した。この溶液に、チオニルクロ
リド(18 ml,36mmole)を添加した。得られた溶液を一晩撹拌し、溶媒を回
転式蒸発器で濃縮し、シロップをP25粉末と共に約4時間真空乾燥した。3−ヒドロキ
シ酪酸(1.45g、13.5mmole)を70mlの1,4−ジオキサンと共沸乾燥
し、乾燥BzOPEGOCH2COClに添加した。PEGアクリルクロリドを溶解後、
4.5mlの乾燥トリエチルアミンをこの系に注入し、溶液を一晩撹拌した。濾過によっ
て塩を除去し、濾過物を55℃の回転式蒸発器で濃縮し、真空乾燥した。次いで、粗生成
物を100mlの蒸留水に溶解し、溶液のpHを3.0に調整した。水層を全部で80m
lの塩化メチレンで3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、回転式蒸
発器で濃縮し、100mlのエチルエーテルで沈殿させた。生成物を濾過によって回収し
、室温で真空乾燥した。収量:14g(93%)。1H nmr(DMSOd6):( 3.
5(br m,PEG),2.58(d,PEGCOOCH(CH3)CH2COOH),
5.14(h,PEGCOOCH(CH3)CH2COOH),1.21(d,PEGCO
OCH(CH3)CH2COOH),4.055(s,PEGOCH2COO),4.49
(s,C65CH2OPEG),7.33(s+comp.mult.,C65CH2OP
EG)。
【0082】
b)HOPEGOCH2CO2CH(CH3)CH2CO2Hの調製:BzOPEGOCH2
2 OCH(CH3)CH2CO2H(8 g)のベンゼン(50ml)溶液を室温で48時
間4グラムのPd/C(10%)上でH2(2atm)で水素化分解した。濾過によって
触媒を除去し、溶媒を濃縮し、溶液をエチルエーテルで沈殿させた。生成物を濾過によっ
て回収し、室温で真空乾燥した。収量:6.6グラム(83%)。1H nmr(DMSO
d6):( 3.5(br m,PEG),2.51(d,PEGCO2CH(CH3)CH2
CO2H),5.16(h,PEGCO2CH(CH3)CH2CO2H),1.22(ds
PEGCO2CH(CH3)CH2CO2H),4.06(s,PEGOCHCO2CH(C
3)−。
【0083】
c) CH2=CHCO2PEGOCH2CO2CH(CH3)CH2CO2Hの調製:HOPE
GOCH2CO2CH(CH3)CH2CO2H(3g,0.88mmole)を、約15m
lの溶液となるまでN2下で40mlのトルエンと共沸した。次いで、溶液をN2下で室温
に冷却し、25mlの塩化メチレンおよびトリエチルアミン(1.5mmole)を添加
した。溶液を氷浴中で冷却し、アクリロイルクロリド(2mmole)を滴下した。アク
リロイルクロリドの添加後、氷浴を取り除き、溶液を室温で一晩撹拌した。次いで、塩化
メチレンを減圧下で部分的に除去し、塩を濾過によって除去し、100mlのエーテルに
濾過物を添加した。沈殿した生成物を濾過によって回収し、真空乾燥した。次いで、生成
物を酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M,pH5.5)に溶解し、30分間撹拌し、塩化メ
チレンで3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、100ml
のエチルエーテル中で沈殿させた。沈殿物を濾過によって回収し、室温で真空乾燥した。
収量:2.4g(80%)。1H nmr(DMSOd6):( 3.5(br m,PEG)
,2.51(d,CH2CO2H),5.16(h,CH(CH3),1.22(d,CH
(CH3)),4.06(s,PEGOCH2CO2PEG),4.21(t,CO2CH2
CH2O),5.856.45(m,CH2=CH)。
【0084】
d) CH2=CHCO2PEGOCH2CO2CH(CH3)CH2CO2NHSの調製:CH
2=CHCO2PEGOCH2CO2CH(CH3)CH2CO2H(1.4g、約0.4mm
ole)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(51mg,0.43mmole)を、3
0mlの乾燥塩化メチレンに溶解した。この溶液に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(
95mg,0.45mmole)の5mlの乾燥塩化メチレン溶液を添加した。溶液を窒
素下で一晩撹拌し、溶媒を回転式蒸発器によって除去した。得られたシロップを、10m
lの乾燥トルエンに溶解し、不溶性固体を濾過によって除去した。100mlの乾燥エチ
ルエーテルに濾過物を添加し、沈殿した生成物を濾過によって回収し、室温で真空乾燥し
た。収量0.94g(94%)。1H nmr(DMSOd6):( 3.5(br m,PE
G),3.03.2(m,PEGCOOCH(CH3)CH2COONHS),5.26(
h,PEGCOOCH(CH3)CH2COONHS),1.3(d,PEGCOOCH(
CH3)CH2COONHS),4.10(s,PEGOCH2COO(CM)),2.8
1(s,NHS),4.21(t,CH2=CHCOOCH2CH2OPEG,4H),5
.856.45(m,CH2=CHCOOPEG)。
【0085】
実施例11 BzOPEGOHとHOPEGOHとの混合物由来のHOPEGOHを含
まないCH3OPEGOHの調製法反応:
【化12】

BzOPEGOCH3+CH3OPEGOCH3の別の合成
【化13】


いずれかの経路由来の生成物が水素化分解される。
【化14】

【0086】
a) BzOPEGOMsの調製:6重量%のHOPEGOHを含むBzOPEGOH(
MW=5000,50g、10mmoles)をトルエンに溶解し、溶液を窒素下で2時
間共沸乾燥し、室温に冷却した。この溶液に50mlの無水塩化メチレンおよび2.1m
lの無水トリエチルアミン(15mmoles)を添加した。得られた溶液を氷浴中で冷
却し、1.2mlのメシルクロリド(15mmoles)を滴下した。次いで、溶液を室
温で一晩撹拌し、2mlの無水エタノールの添加によって反応を停止させた。混合物を減
圧濃縮して100mlの溶媒を除去し、濾過し、800mlの冷エーテルに添加した。沈
殿した生成物を濾過によって回収し、減圧乾燥した。収量48.3g(96.6%)。1
H nmr(DMSOd6):( 3.5(br m,PEG),4.31(t,OCH2CH
2OMs),4.49(s,C65CH2OPEG),7.33(s+complex m
ult.,C65CH2OPEG)。
【0087】
b) MsOPEGOCH3の調製:6重量%のMsOPEGOMs(MW=5078,4
5g、8.86mmoles)を含むBzOPEGOMsの250mlのトルエン溶液を
2時間共沸乾燥した。得られた溶液に25重量%のナトリウムメトキシド(11.5g、
53.2mmoles,6倍過剰)のメタノール溶液を添加し、得られた溶液を窒素下、
120〜122℃で20時間加熱した。次いで、得られた溶液を室温に冷却し、2mlの
水を添加し、混合物を15分間撹拌した。次いで、混合物を減圧濃縮して100mlの溶
媒を除去し、濾過し、700mlの冷エーテルに濾過物を添加した。沈殿した生成物を濾
過によって回収し、減圧乾燥した。収量:42.8g。1H nmr(DMSOd6):(
3.24(s,PEG),3.51(br.mult.,PEG),4.49(s,C6
5CH2OPEG),7.33(s+comp.mult.,C65CH2OPEG)。
【0088】
c) BzOPEGOHからのBzOPEGOCH3の調製:6重量%のHOPEGOH(
MW=10,000,50g、5.0moles)を含むBzOPEGOHの250ml
のトルエン溶液を窒素下で2時間共沸し、溶液を室温に冷却した。カリウムtert−ブ
トキシド(1.0Mのtert−ブタノール溶液、25ml、25mmole)を添加し
、混合物を15分間撹拌した。次いで、ヨウ化メチル(7.1g、50mmole)を添
加し、混合物を暗所で室温の窒素下で20時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を
100mlの塩化メチレンに溶解し、800mlの冷エーテルに添加した。沈殿した生成
物を濾過によって回収し、減圧乾燥した。収量:46.8g。1H nmr(DMSOd6
):( 3.24(s,CH3OPEG),3.51(br.mult.,PEG),4.
49(s,C65CH2OPEG),7.33(s+comp.mult.,C65CH2
OPEG)。
【0089】
d) HOPEGOHを含まないCH3OPEGOHの調製:6重量%のCH3OPEGO
CH3(40g、MW=10,000,mmoles)を含むBzOPEGOCH3を40
0mlのエタノールに溶解し、4gの活性炭担持Pd触媒(10%Pd)を添加した。混
合物を室温で水素化分解した(800psi)。次いで、混合物を濾過し、減圧下で溶媒
を除去した。収量:37.1g。1H nmr(DMSOd6):((s,CH3OPEG)
,3.51(br.mult.,PEG),4.58(t,OH)。
【0090】
本発明を特定の実施形態に記載している。しかし、上記は本発明を例示の実施形態に限
定することを意図せず、上記の明細書中に記載の本発明の範囲および目的の範囲内で変形
形態を行うことができることが当業者に認識されるはずである。それに対して、本発明は
、すべての変更形態、修正形態、および等価物を含み、これは、特許請求の範囲によって
定義される本発明の目的および範囲内に含めることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式X−ポリa−O−CHR5(CH2n''CO2−ポリb−Xを有する二官能性ポリマー
誘導体の調製方法であって、前記調製にはクロマトグラフィー工程を含まず、
前記式中、ポリaおよびポリbは、水溶性の非ペプチドポリマーであり、これは同じで
あっても異なっていてもよく、n’’は0〜6であり、R5はHまたはアルキルであり、
Xは官能基であり、
第一ポリマーがAr−C(R1)(R2)O−ポリb−Uおよび第二ポリマーがAr−C
(R1)(R2)O−ポリa−CHR5(CH2nCO−Vで表され、R1およびR2は、H
、アルキルまたはArであり、Arは、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換ビフ
ェニル、多環式アリール、置換多環式アリール、およびヘテロ環式アリールからなる群か
ら選択され、UおよびVは、前記第一ポリマーが前記第二ポリマーと反応して、Ar−C
(R1)(R2)O−ポリa−O−CHR5(CH2nCO2−ポリb−OC(R1)(R2
−Arのポリマーを形成できるように選択された部分である、ポリマーを提供する工程と

前記第一ポリマーを、前記第二ポリマーと反応させて、前記Ar−C(R1)(R2)O
−ポリa−O−CHR5(CH2nCO2−ポリb−OC(R1)(R2)−Arを形成する
工程と、
Ar−C(R1)(R2)O−部分を官能基に変換する工程と
を含むことを特徴とする二官能性ポリマー誘導体の調製方法。
【請求項2】
Uは−OHであり、Vはハロゲンである、請求項に記載の方法。
【請求項3】
XはOHである、請求項に記載の方法。
【請求項4】
Xは、CH2=CR5CO2−であり、ここでのR5はHまたはアルキルである、請求項
に記載の方法。
【請求項5】
Xは−O−(CH2n−CH(ZR)2であり、ここでのRはHまたはアルキルであり
、ZはOまたはSであり、そしてnは1〜6である、請求項に記載の方法。
【請求項6】
XはNHS−O2CO−であり、NHSはN−スクシニミジル基である、請求項に記
載の方法。
【請求項7】
式R8O−ポリa−O−CHR5(CH2nCO2−ポリb−Yを有する二官能性ポリマ
ー誘導体の調製方法であって、前記調製にはクロマトグラフィー工程を含まず、
前記式中、ポリaおよびポリbは、水溶性の非ペプチドポリマーであり、これは同じで
あっても異なっていてもよく、nは0〜6であり、R5およびR8はHまたはアルキルであ
り、Yは官能基であり、第一ポリマーがAr−C(R1)(R2)O−ポリb−Uおよび
第二ポリマーがR8O−ポリa−CHR5(CH2nCO−Vで表され、R8はHまたはア
ルキルであり、R1およびR2はH、アルキルまたはArであり、Arは、フェニル、置換
フェニル、ビフェニル、置換ビフェニル、多環式アリール、置換多環式アリールおよびヘ
テロ環式アリールからなる群から選択され、UおよびVは、前記第一ポリマーが前記第二
ポリマーと反応して、R8O−ポリa−O−CHR5(CH2nCO2−ポリb−OC(R
1)(R2)−Arのポリマーを形成できるように選択された部分である、ポリマーを提
供する工程と、
前記第一ポリマーを、前記第二ポリマーと反応させて、前記R8O−ポリa−O−CH
5(CH2nCO2−ポリb−OC(R1)(R2)−Arのポリマーを形成する工程と、
Ar−C(R1)(R2)O−部分を官能基に変換する工程とを含むことを特徴とする二官
能性ポリマー誘導体の調製方法。
【請求項8】
Uは−〇Hであり、Vは−Clである、請求項に記載の方法。
【請求項9】
YはOHである、請求項に記載の方法。
【請求項10】
Yは、CH2=CR5CO2−であり、ここでのR5はHまたはアルキルである、請求項
に記載の方法。
【請求項11】
Yは、−O−(CH2n−CH(ZR)2であり、ここでのRはHまたはアルキルであ
り、ZはOまたはSであり、そしてnは1〜6である、請求項に記載の方法。
【請求項12】
Ar−C(R1)(R2)O−PEG−OHとHO−PEG−OHの混合物中のHO−P
EG−OHの反応性を阻害する方法であって、ここでPEGは、−CH2CH2O(CH2
CH2O)n'−CH2CH2−であり、ここでのn’は8から4000であり、Arは、フ
ェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換ビフェニル、多環式アリール、置換多環式アリ
ール、およびヘテロ環式アリールからなる群から選択された部分を示し、ここでのR1
よびR2は、H、アルキルまたは上記に定義したArであり、
前記混合物中のAr−C(R1)(R2)O−PEG−OHおよびHO−PEG−OHを
アルキル化して、Ar−C(R1)(R2)O−PEG−OR9およびR9O−PEG−OR
9をそれぞれ形成する工程と、
Ar−C(R1)(R2)O−部分を、−OHに、酸触媒加水分解または水素化分解によ
り変換する工程と、
9O―PEG−OHと不活性であるR9O−PEG−OR9の新しい混合物(9は、そ
れぞれアルキル基またはArを表し、Arは、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、置
換ビフェニル、多環式アリール、置換多環式アリール、およびヘテロ環式アリールからな
る群から選択される)を形成する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記新しい混合物中のR9O−PEG−OHをR9O−PEG−CHOに変換することを
さらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ポリマーを、巨大分子にコンジュゲートする方法であって、
Ar−C(R1)(R2)O−ポリ−OHで表され、Arは、フェニル、置換フェニル、
ビフェニル、置換ビフェニル、多環式アリール、置換多環式アリールおよびヘテロ環式ア
リールからなる群から選択され、R1およびR2は、H、アルキルまたはArさあり、Ar
は上記に定義した通りであり、ポリは、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(アルキレン
オキシド)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、およ
びポリ(アクリロイルモルホリン)からなる群から選択される、ポリマーを提供する工程
と、前記−OH基を化学的に変換して、第一官能基を生成する工程と、第一巨大分子を、
前記第一官能基に連結する工程と、Ar−CR12O−基を除去して、新しいヒドロキシ
ル基を生成する工程と、前記新しいヒドロキシル基を第二官能基に変換する工程と、第二
巨大分子を、前記第二官能基に連結する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記第一および第二巨大分子は、タンパク質、脂質、多糖、オリゴヌクレオチド、およ
び薬物からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリは、−CH2CH2O(CH2CH2O)n'−CH2CH2−により示され、n’は
8〜4000である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ポリは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーである、請求項14に
記載の方法。
【請求項18】
前記第一官能基は、
メシレート、トシレート、トレシレート、
−O−(CH2n−CO2H、ここでnは1〜6、
−O−(CH2n−CO23、ここでnは1〜6、R3はアルキル基、−NHR4、ここ
でR4はHまたはアルキルまたはアミン保護基、
−O−(CH2n−CH(ZR52、ここでnは1〜6の整数、ZはOまたはS、R5
はHまたはアルキル基、
Ar−CH=CH−CH=CH−CO2−、ここでArはフェニル、置換フェニル、ビ
フェニル、置換ビフェニル、多環式アリール、置換多環式アリール、およびヘテロ環式ア
リールからなる群から選択される部分を示し、
−O−(CH2n−CHO、ここでnは1〜6、および、
−O2CCH2CH2CO26、ここでR6はHまたはN−スクシニミジル基、からなる群
から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第二官能基は、
メシレート、トシレート、トレシレート、
−O−(CH2n−CO2H、ここでnは1〜6、
−O−(CH2n−CO23、ここでnは1〜6、R3はアルキル基、−NHR4、ここ
でR4はHまたはアルキルまたはアミン保護基、
−O−(CH2n−CH(ZR52、ここでnは1〜6の整数、ZはOまたはS、R5
はHまたはアルキル基、
Ar−CH=CH−CH=CH−CO2−、ここでArはフェニル、置換フェニル、ビ
フェニル、置換ビフェニル、多環式アリール、置換多環式アリール、およびヘテロ環式ア
リールからなる群から選択される部分を示し、
CH2=CH−CO2−、
−O−(CH2n−CHO、ここでnは1〜6、および、
−O2CCH2CH2CO26、ここでR6はHまたはN−スクシニミジル基、からなる群
から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記第一官能基は、Ar−CH=CH−CH=CH−CO2−であり、前記第二官能基
は、−O−(CH2n−CH(ZR52であり、ここでのnは、1〜6の数であり、Zは
OまたはSであり、R5はHまたはアルキル基である、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記第一官能基はAr−CH=CH−CH=CH−CO2−であり、前記第二官能基は
−O−(CH2n−CHOであり、ここでのnは1〜6である、請求項14に記載の方法

【請求項22】
前記第一官能基は−O−(CH2n−CH(ZR52であり、ここでnは1〜6の数で
あり、ZはOまたはSであり、R5はHまたはアルキル基であり、前記第二官能基は−O2
CCH2CH2CO26であり、ここでR6はHまたはN−スクシニミジル基である、請求
項14に記載の方法。
【請求項23】
前記第一官能基はCH2=CH−CO2−であり、前記第二官能基は−O−CH2−CO2
CH(CH3)CH2CO−NHS、ここでNHSはN−スクシニミジル基である、請求項
14に記載の方法。
【請求項24】
R−O−ポリ−R’構造を有し、ポリが水溶性の非ペプチドポリマーを示し、Rがアル
キル又はアリール基を示し、R’が官能基を示すポリマー誘導体と、R−O−ポリ−O−
R構造を有し、ポリが水溶性の非ペプチドポリマーを示し、Rがアルキル又はアリール基
を示すポリマー誘導体と、
の混合物を含むことを特徴とするポリマー組成物。
【請求項25】
前記ポリが、ポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項24に記載のポリ
マー組成物。
【請求項26】
前記Rが、メチル基であることを特徴とする請求項24または25に記載のポリマー組
成物。
【請求項27】
前記R’が、ヒドロキシル基、メシレート、トシレート、トレシレート、
−O−CO23、ここでR3はHアルキル基又はN−スクシニミジル基、
−O−(CH2n−CO23−、ここでnは1〜6、R3はH、アルキル基又はN−ス
クシニミジル基、
−NHR4、ここでR4はH、アルキル基またはアミン保護基、
−O−(CH2n−CH(ZR52、ここでnは1〜6、ZはOまたはS、R5はHま
たはアルキル基、
Ar−CH=CH−CH=CH−CO2−、ここでArはフェニル、置換フェニル、ビ
フェニル、置換ビフェニル、多環式アリール、置換多環式アリール、およびヘテロ多環式
アリールからなる群から選択される部分を示し、
−O−(CH2n−CHO、ここでnは1〜6、
−O2CCH2CH2CO26、ここでR6はHまたはN−スクシニミジル基、
CH2=CH−CO2−、および、
−O−CH2−CO2CH(CH3)CH2CO2−NHS、ここでNHSはN−スクシニ
ミジル基
からなる群から選択されることを特徴とする請求項24、25または26に記載のポリマ
ー組成物。
【請求項28】
前記R’が、−O−CO23または−O−(CH2n−CO23であることを特徴とす
る請求項24ないし27のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項29】
R’が、−O−(CH2n−CHOであることを特徴とする請求項24ないし27のい
ずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項30】
前記ポリが、ポリエチレングリコールであり、前記Rがメチル基であり、前記R’が、
−O−(CH2n−CHO、ここでnは1〜6、であることを特徴とする請求項24に記
載のポリマー組成物。
【請求項31】
R−O−ポリ−M1構造を有し、ポリが水溶性の非ペプチドポリマーを示し、Rがアル
キル又はアリール基を示し、M1がタンパク質、ペプチド、脂質、薬物および多糖類から
なる群より選択される、共役ポリマーと、
R−O−ポリ−O−R構造を有し、ポリが水溶性の非ペプチドポリマーを示し、Rがア
ルキル又はアリール基を示すポリマー誘導体と、
の混合物を含むことを特徴とする共役ポリマー組成物。
【請求項32】
前記M1が、巨大分子であることを特徴とする請求項31に記載の共役ポリマー組成物

【請求項33】
前記ポリが、ポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項31または32に
共役ポリマー組成物。
【請求項34】
前記Rが、メチル基であることを特徴とする請求項31、32または33に記載の共役
ポリマー組成物。
【請求項35】
請求項1ないし11のいずれかの方法により調製されたヘテロ二官能性ポリマー誘導体

【請求項36】
請求項14ないし23のいずれかの方法により調製された共役ポリマー。
【請求項37】
9の各々が、メチル基である請求項12に記載の方法。

【公開番号】特開2012−158759(P2012−158759A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−71638(P2012−71638)
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【分割の表示】特願2008−33703(P2008−33703)の分割
【原出願日】平成11年10月8日(1999.10.8)
【出願人】(500321438)ネクター セラピューティックス エイエル,コーポレイション (18)
【Fターム(参考)】