説明

ヘリウム充填発泡樹脂

【課題】重量のある製品を軽くすることができる発泡樹脂を提供する。
【解決手段】発砲可能樹脂の発砲のときに、空気ではなくヘリウムガスを使う。発砲した樹脂の外郭形状に制約はないが、製品あるいは隙間に挿入、または、充填することを考慮すると略球形状、あるいは微細で適切な大きさがよい。製品重量が軽くなることにより燃料の節約、即ち、燃料のコストダウンと燃費の向上が図れる、ヘリウムガスは不活性ガスであり燃えないので、うまく建築物の材料に使用すれば、耐火建築物を作ることが可能である、などの効果がある。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘリウム充填発泡樹脂即ち、発砲可能樹脂の発泡に関するものである。特に、発泡させるときに、空気ではなくヘリウムガスを使うものである。発砲した樹脂の外郭形状に制約はないが、製品あるいは隙間に挿入、または、充填することを考慮すると略球形状、あるいは微細で適切な大きさがよい。
【背景技術】
【0002】
空気2を充填した発泡樹脂、例えば、発泡スチロール2は、軽いのが特徴で、石油から作成されたポリスチレン(PS)を小さな粒状にした原料ビーズをおよそ50倍程度に発泡させてつくられるため、製品体積の約98%が空気2で、原料はわずか2%の省資源材であることは周知である。即ち、ポリスチレンを微細な泡で発泡させ硬化させた素材である。軽量かつ断熱性に優れている、
【0003】
また極めて成型や切削しやすく、安価で弾力性があり衝撃吸収性にも優れるので、破損しやすい物品の緩衝・梱包材として用いられる他、断熱性を利用して保温・保冷が必要な物の断熱に用いられる。ポリスチレンは単炭化水素なので、燃やすと水と二酸化炭素になる。しかし常温・大気中で燃焼させると、不完全燃焼を起こし大量の煤を発生させやすい。従来は発泡スチロール1を発泡させる時に、従来は空気2が使用されている。
【0004】
従来例として、石こうボードにビーズ法発泡ポリスチレンフオーム(同上のJIS準拠。EPSという)を組み合せた断熱パネルが開示されている。
【先行技術文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2003−328468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はヘリウムと発砲樹脂において、種々の製品重量を軽くすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発泡可能樹脂を発砲させるときに、空気ではなくヘリウムガスで発砲させることを特徴とする充填発泡樹脂を提供する。
【実施例】
【0007】
本発明の一実施例として、発泡可能樹脂3を発砲させるときに、空気ではなくヘリウムガス4を使用する。例えば自動車の適当な空間例えば、座席シートの中、あるいは空間として存在する隙間にヘリウム充填発泡樹脂を挿入すると、自動車はヘリウム充填発泡樹脂の挿入量に比例して軽くなる。空気2は80%程度は窒素ガスであり、窒素の分子量は28である。窒素以外に酸素が約20%程度、炭酸ガス、その他の気体が含まれる。
【0008】
一方、ヘリウム(He)ガス4は分子量2である。自然法則で空気の中のヘリウムガス4は空気2より軽いため浮揚力が働く。この時、発砲した樹脂の外郭形状に制約はないが、製品あるいは隙間に挿入、または、充填することを考慮すると略球形状、あるいは微細で適切な大きさがよい。ヘリウムガス4入りの発砲可能樹脂3、たとえば、球状のヘリウムガス4を充填発砲スチロールは空気中で大きな浮遊力を有する。ヘリウム入りの風船が空気中に浮くのと同じ原理である。重量自動車もそのヘリウム入りの発砲可能樹脂3の量に合わせ軽量化ができる。自動車が軽くなった分、消費燃料は減り、燃費が向上する。
【0009】
また、飛行機に同様にヘリウム充填発泡樹脂を隙間に挿入すると、機体は軽くなる。飛行機そのものは軽量化の様々な技術が使用されてしている。
しかし、前記ヘリウム入りの発砲可能樹脂3を挿入すると、結果として軽量化となる。機体が軽くなるため、離陸時の燃料は減少する。さらに着陸時もタイヤ支持の脚にかかる衝撃も減少し、脚の材料軽減が図れる。身近なものでは、鞄の中にヘリウム入りの発砲可能樹脂3を挿入すると、かばんは軽くなる。
重たい書籍などを入れても、軽く持ち運びができる。小学生の使用するランドセルなども同様に軽くできる。また、幼児の使用するおもちゃなどにヘリウム充填発泡樹脂を挿入すると、おもちゃが軽く、幼児でも容易に持って遊ぶことができる。通常の部品、あるいは製品にヘリウム入りの発砲可能樹脂3を挿入あるいは充填するだけである。
【0010】
一方、建築物の建築材料にヘリウムの充填発泡樹脂3を挿入すると、ヘリウムは不活性ガスであり、天然ガスと共に豊富に産出し、気球や小型飛行船の浮揚用ガスとして用いている。ヘリウムは水素の93%もの浮揚力がある。燃えないため、水素よりも安全なガスとして風船用ガスなど広く利用されている。燃えない性質を利用し、ヘリウムと建築材を複合材料として利用すれば耐火建築材料を提供できる。
【0011】
さらに、この建築材料を使用すると、2階建て、3階建てなど高層住宅に前記ヘリウム充填発泡樹脂を充填した建築材料を使用でき、構造力学上、上部の建築物が軽くなった分だけ、材料を軽減可能となる。
【0012】
また、球状ヘリウム入りスチロールなどの発砲可能樹脂3を挿入の建築材料は耐火性に優れるだけではなく、静止空気層の断熱効果も有する。この結果、エアコンなどの光熱費を減少させることが可能となる。
以上のように、ヘリウム充填発泡樹脂を様々な隙間に充填、あるいは挿入することにより、部品あるいは、製品をその浮遊力により軽くすることができるととも他の効果も有するのである。これは反重力を与えたことに等しく、適切な量により産業の発達に寄与するとともに、省エネルギー化が著しく進展することとなる。また、廃棄することを減少させ、さらに、生活の利便性も向上させることが可能となる。
【0013】
なお、ヘリウムガス4の例を出したが、空気2より軽い気体であれば、適切な処置により同様な浮揚力を得ることができる。たとえば、水素ガスも浮揚力を期待できる気体である。ネオン(Ne)も不活性ガスであり、分子量10のため、使用方法によれば、ヘリウムガス4と同様の効果が期待できる。ここで、発砲スチロールは製法が3種類あることを述べる。化学的にはほぼ同じだが、形状や気泡の特性が違うため、用途も異なる。
【0014】
発泡スチロール(以下EPS)が最初に開発されたこともあって最も広い用途で利用されているため、EPSを特に「狭義の発泡スチロール」という場合があり、それ以外のPSPやXPSを含め「広義の発泡スチロール」とも表現する。 これらは製法が異なり、いずれも「発泡させたポリスチレン」である。スチロールとスチレンは同義で使用される。以上のような形態、形状で空気より軽いガスを使用することにより、上述の効果が期待できる。なお、発泡樹脂の一例の発泡スチロールには以下のような性質がある。
【0015】
発泡による特性として▲1▼断熱性が高い(断熱材としての利用)、▲2▼軽量、▲3▼耐衝撃性が高い(ただし、質量比での比較),▲4▼加工が容易等が周知である。
【0016】
ポリスチレン1としての性質は以下である。白色(顔料を素材に混ぜ込むことで着色は可能)耐熱性は低く、約90℃で溶解する物性がある。非常に燃えやすい。難燃剤の添加によりある程度改良可能だが、しばしば火災時に問題。耐水性が高い。テンペル油など一部の食用油や、樹脂類に含まれるシンナーなどの有機溶媒に溶ける。
しかし、ヘリウムガスの不活性の物性を利用することで問題と解決が図れる。
【0017】
なお耐熱性の低さは逆に加工性を高めている。電熱線のを使って小さな力で切断する器具もあり、様々な製品・宣伝用などの材料としても利用することが可能である。
【0018】
接着に関しては熱による接着も可能である。広面積どうしでは木工用ボンドなどの有機溶剤を使っていない粘着性の接着剤で接着できる。このことからも、安全に工作できる素材であるため前出の材料として利用される。
【0019】
多孔質で木材に性質がよく似ているので、水溶性の塗料も一定の粘度さえあれば比較的塗装に使える。塗装用水溶性樹脂塗料などは馴染みがよい。
【0020】
幅広い用途で使用されている発泡プラスチックの主な原料合成樹脂は、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主にポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))であり、これらは「三大発泡プラスチック」と呼ばれる。この他にも、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)などもそれぞれの特性を生かした用途において発泡化され用いられている。
【0021】
発泡可能樹脂3は基本的には原料である合成樹脂の特性を引き継いでいるが、発泡プラスチックは、を含まない合成樹脂成形品と比較すると柔らかくなり、緩衝性や可撓性に優れる。その反面硬さがもたらす強度など機械的性質や耐久性には劣る。空隙を含むことから高い浮力を示すほどに軽量でありかつ断熱効果を持つ。
【0022】
発泡樹脂が元の樹脂の何倍の体積となったか、すなわち発泡樹脂の見掛け密度を発泡前の合成樹脂の密度で割った値を発泡倍率と言う。発泡倍率が高いほど発泡プラスチックは原材料と異なる性質がある。また、発泡倍率10倍以下、実際に製造されているものでは2倍前後の発泡樹脂は「低発泡成形品」で、低いものほど原材料と性質が似てくる。
【0023】
気泡の形状も発泡樹脂の性質がある。各気泡がおのおの個別に封じられているものは「独立気泡型」と呼ばれ、適度な弾性を持ち寸法維持性が高い。それに対し気泡が繋がっているものは「連続気泡型」と呼ばれ、より柔らかい性質を持つ。以上の型の成立割合によって、気泡の形状が決まる。気体量や圧力が高いとき、連続気泡型となり、逆のときは独立気泡型となる。これらは基本的に原料の選定によって決まるが、独立気泡フォームを圧縮して潰し連続気泡とする方法もある。
【0024】
このような長所・短所を低減させ、発泡樹脂には改良がくわえられ。軽量化は発泡倍率による。たとえば、200倍発泡なども製品化されている。
【0025】
自然界の高分子発泡体としては軽石が、また発泡体ではないが高分子と気体の不均一分散系としてはスポンジがある。
【0026】
ウレタンフォームや発泡スチロールなどの安価かつ使い勝手の良い製品が上市され、包装・建築・緩衝用など幅広い分野で採用されるようになった。
【0027】
ヘリウム充填発泡樹脂の発砲後の形状は球状、略球状、長方形などの立方体、正方形など外観形状は自由である。要は発砲樹脂にヘリウムが充填されていればよい。
【0028】
なお、発泡樹脂の成型時に、ヘリウムガスが充填されている内面側に微細な穴が形成されることがある。穴があればヘリウムガスが発砲隊の外側に逃げてしまう。この対策として、ヘリウムガスに微細な穴より大きな略球形状などの粉体を混入させ、前記微細な穴を塞げばよい。この粉体は、発砲スチロールであれば、例えば同質スチロールでもよい。同質スチロールであれば溶けてガムのように穴を塞ぐ。
【0029】
あるいは、もっと融点の高いものでもよい。融点の高いものは弁として穴を塞ぐ機能を有する。融点の高い物質の一例として、透明導電体のITO(スズ添加酸化インジウム)を使用してもよい。ITOは周知のように携帯電話などのタッチパネルに使用される材料である。導電性金属を加えることにより、ヘリウム充填発泡樹脂に導電性を持たせることが可能となる。
導電性により、使用の範囲は広くなる。一例として静電気の除去が可能となる。
又、電流を流すこともできるなど回路の一部に組み込むな応用範囲は広くなる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、発泡可能樹脂3を発砲させるときに、空気2ではなくヘリウムガス4で発砲させるだけで、一例として以下のような効果を奏する。
・製品重量が軽くなることにより燃料の節約、即ち、燃料のコストダウンと燃費の向上が図れる。
・ヘリウムガス4は不活性ガスである。燃えない。したがって、うまく建築物の材料に使用すれば、耐火建築物を作ることが可能である。
・津波などが来ても、家屋下部あるいは、建材に使用していれば、容易に浮き、家ごと流されれば、生き延びる可能性が高まる。
・また、建材利用の他の例として、構造力学上、上部の重さが減少した分,下部の建材を耐荷重の限度に安全係数をかけても省資源化でき、建築材料の省力化が図れる。
・自動車などに、使用すれば、本体重量が軽くなる分、安全装置を積載できるようになり交通事故の死亡を減少させることも期待できる。
・その他、日常品、たとえばかばんの中にHe製EPSを入れれば、かばんに重量物を入れても軽くなる。女性でも持ち運びができるなど用途は多様である。
・軽いランドセル、軽い机、軽いブックカバー、軽いスキーウエア、軽いショッピングカート、軽い自動車、軽い航空機、その他内部にHeガス挿入発泡樹脂を挿入できる物はすべて重力に対して軽くできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来の発泡樹脂の断面図
【図2】本発明に係る発泡樹脂の断面図
【産業上の利用可能性】
【0032】
本願発明は、発泡樹脂に気体ヘリウムを封入に関する発明ゆえ、建築業界、ならびに日用品・家電・自動車。航空機などの産業界おいて十分に利用しうるものである。つまり、産業上の利用可能性(特許法第29条第1項柱書)を有する。
【符号の説明】
1 ポリスチレン
2 空気
3 発砲可能樹脂
4 ヘリウムガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡可能樹脂を発砲させるときに、空気ではなくヘリウムガスで発砲させることを特徴とするヘリウム充填発泡樹脂。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−91766(P2013−91766A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246893(P2011−246893)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(511273551)
【Fターム(参考)】