説明

ヘリコバクター・ピロリ感染の処置のための薬剤

【課題】 ヘリコバクター・ピロリ感染及び関連する胃十二指腸疾患の処置において有用な薬剤を提供すること。
【解決手段】 本発明は、7位において2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]−ノニ−8−イル−基により置換されているキノロン及びナフチリドンカルボン酸誘導体ならびにそれらの製薬学的に適用可能な水和物及び/又は塩の、ヘリコバクター・ピロリ感染及び関連する胃十二指腸疾患の処置における使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、7位において2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル基により置換されているキノロン−及びナフチリドンカルボン酸誘導体及びそれらの塩の、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染及びそれと関連する胃十二指腸障害の治療のための薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
1983年にWarren及びMarshallによりヘリコバクテル・ピロリ(H.ピロリ;以前はカムピロバクテル・ピロリ(Campylobacter pylori))が再発見され、続く数年で人間の胃十二指腸障害の原因についての病態生理学的概念を基本的にさらに発展させることができた。
【0003】
H.ピロリはB型胃炎の原因とみなされ、消化性潰瘍の永続において原因的役割を果たすと思われる。疫学的及び病理学的研究は同様に胃粘膜におけるバクテリアの長期集落形成と胃のある型の癌の原因の間の関連性を指摘している。従ってH.ピロリは1994年に第1級(first class)(最も危険な発癌性の部門)の発癌物質と分類された。稀な胃癌であるMALTリンパ腫(粘膜関連リンパ系組織(mucosa−associated lymphoid tissue))は同様に多くの場合、バクテリアによって起こると思われる。初期の事例の報告において、H.ピロリの根絶の後、反応性浸潤物が実際に消失したのみでなく、悪性の低いMALTリンパ腫の一部も消失した。肥厚性胃炎との関連性も議論されている。機能性胃疾患(非潰瘍性消化不良)におけるH.ピロリの役割はまだ不明瞭である。
【0004】
種々の疫学的研究は世界人口の約半分がバクテリアに感染しているという結論に達する。ヘリコバクターによる胃における集落形成の可能性は年齢と共に増加する。異常な低−競合性生息地における生存条件へのヘリコバクターの最適適応が慢性感染の確立の成功及びこの病原種の広い分布のための前提条件であると思われる。
【0005】
病原性生物はそのべん毛を持って液体媒体中のみでなく胃粘膜の粘液中でも非常に移動性であり、胃の上皮細胞に付着し、胃壁の粘液において主にそうである5%という酸素含有率で最も増殖する。さらにバクテリアは大量の酵素ウレアーゼを形成し、それは尿素をアンモニアと二酸化炭素に分裂させる。おそらく生ずる「アンモニア」は微小環境において酸性媒体を中和し、かくして攻撃的な胃酸から保護するのを助けることができるであろう。
【0006】
消化性潰瘍
70年代におけるヒスタミンHレセプター拮抗薬の導入は消化性潰瘍の治療における一里塚であった。かくして潰瘍患者の処置のために外科手術が介在する頻度は世界中で劇的に減少した。この酸遮断の原理はもっとずっと強く活性のプロトンポンプ阻害剤の開発によりさらにもっと進歩した。
【0007】
しかしながら、制酸治療の結果として、再発が起こるのが特徴である障害の自然の経過が殺バクテリア処置の故に原因的に影響を受けるのではなく、潰瘍の症状のみが影響を受け得る。事実上すべての十二指腸潰瘍患者及び胃潰瘍を有する患者の大部分の胃はH.ピロリに感染しており、かくして感染性疾患に苦しんでいる。非−ステロイド性抗炎症薬によって起こる潰瘍形成のみがH.ピロリ感染と関連していない。
【0008】
従って、アメリカ公衆衛生当局(American Public Health Authority)(NIH)により1994年に組織されたコンセンサス会議(consensus conference)の勧告に従い、バクテリアの陽性の検出の場合は消化性潰瘍を有するすべての患者がH.ピロリを標的とする根絶治療を受けなければならない(NIH Consensus Statement 1:1−23;1994)。管理された治療研究により議論が与えられ、その中でバクテリアの根絶に成功した後、潰瘍再発率が劇的に下がることを示すことができた(61%〜95%に対して0%〜29%)。
【0009】
H.ピロリ治療
現在のH.ピロリの根絶は実行において問題となることが判明している。簡単でなお且つ確実に有効な治療は得られていない。バクテリアは粘液層下で十分に保護されていて攻撃が困難であることが判明している。
【0010】
H.ピロリは試験管内で多数の抗生物質に感受性である。しかしながら、これらは生体内で単独治療(monotherapy)として有効ではない。これらには中でもペニシリン、アモキシシリン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、シプロフロキサシン、メトロニダゾール及びクラリスロマイシンが含まれる。ビスマス塩及び低い程度にプロトンポンブ阻害剤(オメプラゾール、ランソプラゾール)でさえ試験管内で抗バクテリア的に活性であるが、生体内では活性でない。
【0011】
H.ピロリの根絶のために今日まで用いられたすべての治療様式の中で、現在以下の3重治療のみが十分に活性である:
1.古典的ビスマス3重治療(ビスマス塩ブラス2種の抗生物質)ならびに
2.修正3重治療(酸抑制剤プラス2種の抗生物質)。
【0012】
しかしながら、これらの管理はコンプライアンスの低い絶滅法に含まれ、最高で35%副作用(腹痛、吐気、下痢、口の渇き、味覚障害及びアレルギー性皮膚反応など)に冒され得る。従って広範囲の使用が困難にされている。さらなる大きな欠点は、毎日摂取しなければならない薬剤の数が多いことである(12〜16錠/日)。これは古典的3重治療と同時に酸分泌抑制剤が投与される4重治療において特に顕著である。 しかしながらドイツで普及したもっと許容される2重治療(アモキシシリンとオメプラゾールの組み合わせ)は低い程度にしか有効でなく、オメプラゾールで予備処置された患者及び喫煙者においていくぶん大きい割合で失敗するようである。
【0013】
3重治療において、一般に投与される抗生物質成分はアモキシシリン、ニトロイミダゾール化合物(メトロニダゾール、チニダゾール)、テトラサイクリン及び近年ではマクロライド(クラリスロマイシン)である[3〜4回の細分投薬において]。
【0014】
世界中で70〜90%の絶滅比が達成されている。しかしながら種々の因子がこの絶滅結果に影響を与え得る:
1.第1に、3重治療において最も頻繁に用いられる抗生物質であるメトロニダゾールに対するバクテリアの耐性を挙げることができる(開発途上国:最高で60%、ドイツ:最高で10%)。クラリスロマイシンを用いる処置の場合でさえ、最高で10%の耐性の発現という欠点を指摘しなければならない。
2.さらに別の因子として、上記の患者のコンプライアンスを挙げることができる。
【0015】
動物モデル
H.フェリスマウスモデルは適した動物モデルとして記載されており[A.Lee et al.,Gastroentrology 99:1315−1323(1990)
]、我々はそれが上記の化合物のスクリーニング及び比較評価に非常に高度に適するように修正した。
【0016】
大きな形態学的相違にかかわらず、コルク栓抜き様(corkscrew−like)、ウレアーゼ−生成バクテリアH.フェリス(H.felis)はH.ピロリに非常に密接に関連している。H.フェリスは犬及び猫の胃粘膜の天然の生息者である。経口的接種の後、該病原性バクテリアもH.ピロリが人間の胃で集落形成すると類似のやり方でマウスの胃で集落形成する。確立された慢性長期感染はマウスにおいて活性の胃炎に導き、対応する免疫応答を誘導する。
【0017】
H.フェリスマウスモデルにおいて決定される試験調剤の治療的有効性は文献において、対応する臨床的効率の予言とみなされる。
【0018】
H.ピロリに対する抗生物質(例えばアモキシシリン又はエリスロマイシン)の非常に優れた試験管内活性にかかわらず、単独治療的使用の後、これらは臨床的に有意な治療的作用を示さない。この事実はH.フェリスマウスモデルによっても繰り返される。対応して、臨床的に認識される古典的3重治療の絶滅作用をH.フェリスマウスモデルで確証することもできた。
【0019】
抗バクテリア的に活性な7−(2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−キノロン−及びナフチリドンカルボン酸誘導体は、すでに特許文献1及び特許文献2(Bayer)に記載されている。特許文献3(大日本製薬)において、8−クロロ−1−シクロプロピル−7−([S,S]−2,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸(BAY Y 3118)などの化合物がH.ピロリに対する抗バクテリア作用を有することが記載された。複数の高度に活性なキノロン類、例えばシプロフロキサシン、ロメフロキサシン又はオフロキサシン(非特許文献1及び非特許文献2)が試験管内でヘリコバクテル種に対して作用を有することも既知である。しかしながら、動物モデルにおいて(ヘリコバクター・フェリス、マウス)、これらの臨床的に用いられる抗バクテリア的に活性なキノロン類が治療的に用いられる投薬量でバクテリアの絶滅に導くことができないことが観察された。今日まで市場に導入されてこなかった高度に活性なキノロン類、例えばすでに挙げたBAY Y 3118を用いる単独治療処置によってさえ、化合物の毒性の故に主に動物の大部分が死亡せずして、マウスモデルにおいてH.フェリスの絶滅を達成することはできない。H.ピロリの治療のためのアモキシシリンもしくはテトラサイクリンなどの他の抗生物質又はオメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤と組み合わされたトロバフロキサシン又はその誘導体の使用は特許文献4及び特許文献5(Pfizer)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】EP−A−350733
【特許文献2】EP−A−550903
【特許文献3】特開平8−48629号公報
【特許文献4】EP−676199
【特許文献5】GB−A−2 289 674
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Journal of Antimicrobial Chemotherapy,22,631−636(1988)
【非特許文献2】Antimicrobial Agents and Chemotherapy,33,108−109(1989)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従って、本発明が基づく目的は、単純な単独治療(monotherapy)によりこの高度に特定化されるバクテリアを絶滅させることができる比較的高度に許容され得る活性化合物を見いだすことである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
今回、一般式(I)
【0024】
【化1】

【0025】
[式中、
は場合によりハロゲンにより1−もしくは2−置換されていることができる1〜4個のC原子を有するアルキル、場合により1もしくは2個のフッ素原子により置換されていることができるフェニル又は場合により1もしくは2個のフッ素原子により置換されていることができるシクロプロピルを示し、
は水素、場合によりヒドロキシル、メトキシ、アミノ、メチルアミノもしくはジメチルアミノにより置換されていることができる1〜4個の炭素原子を有するアルキル又は(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)−メチルを示し、
AはN又はC−Rを示し、ここで
は水素、ハロゲン、メチル、メトキシ、ジフルオロメトキシ又はシアノを示し、あるいはRと一緒になって構造−O−CH−CH−CH又は−O−CH−N−CHの架橋を形成することができ、ここでにより記す原子がAの炭素原子に結合しており、
は水素、ベンジル、C−C−アルキル、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)−メチル、構造−CH=CH−COOR、−CHCHCOOR、−CHCHCN、−CHCHCOCH、−CHCOCHの基を示し、ここで
はメチル又はエチルを示し、
は水素、アミノ、ヒドロキシル、メチル又はハロゲンを示す]
の化合物が、ラセミ体、ジアステレオマー混合物の形態で又はエナンチオマー的に純粋なもしくはジアステレオマー的に純粋な化合物、それらの製薬学的に使用可能な水和物及び/又は塩、例えば酸付加塩ならびにそれが基づくカルボン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、銀及びグアニジニウム塩として、ヘリコバクター種に対して高い抗バクテリア作用を有し、この病原性バクテリアの絶滅のために使用できることが見いだされた。
【発明を実施するための形態】
【0026】
式(I)の好ましい化合物は、
が場合によりフッ素によって1−もしくは2置換されていることができるtert−ブチル又は場合により1個のフッ素原子によって置換されていることができるシクロプロ
ピルを示し、
が水素、1〜4個の炭素原子を有するアルキル又は(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)−メチルを示し、
AがC−Rを示し、ここで
は水素、フッ素、メトキシ、ジフルオロメトキシ、シアノを示し、あるいはRと一緒になって構造−O−CH−CH−CH又は−O−CH−N−CHの架橋を形成することができ、ここでにより記す原子がAの炭素原子に結合しており、
が水素、C−C−アルキル、構造−CHCHCOOR
−CHCHCN、−CHCOCHの基を示し、ここで
はメチル又はエチルを示し、
が水素、アミノ又はメチルを示す
化合物ならびにその製薬学的に使用可能な水和物及び/又は塩、例えば酸付加塩及びそれが基づくカルボン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、銀及びグアニジニウム塩である。
【0027】
式(I)の特に好ましい化合物は、
が場合によりフッ素によって1−もしくは2置換されていることができるtert−ブチル又はシクロプロピルを示し、
が水素、メチル又はエチルを示し、
AがC−Rを示し、ここで
は水素、メトキシ、ジフルオロメトキシ、シアノを示し、あるいはRと一緒になって構造−O−CH−CH−CH又は−O−CH−N−CHの架橋を形成することができ、ここでにより記す原子がAの炭素原子に結合しており、
が水素又はメチルを示し、
が水素を示す
化合物ならびにその製薬学的に使用可能な水和物及び/又は塩、例えば酸付加塩及びそれが基づくカルボン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、銀及びグアニジニウム塩である。
【0028】
本発明はまた、特にジアステレオマー的に純粋な及びエナンチオマー的に純粋な形態における新規な化合物8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−(2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸及び1−シクロプロピル−8−ジフルオロメトキシ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸ならびにその製薬学的に使用可能な水和物及び/又は塩、例えば酸付加塩及びそれが基づくカルボン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、銀及びグアニジニウム塩にも関する。8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−((1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸が特に好ましい。
【0029】
本発明に従って用いるのに適した化合物はいくつかの場合にはEP−A−0 350 733、EP−A−0 550 903及びDE−A−4 329 600から既知であるかあるいはそこに記載されている方法により製造することができる。
【0030】
例えば、9,10−ジフルオロ−3,8−ジメチル−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド−[1,2,3−d,e][1,3,4]ベンズオキサジアジン−6−カルボン酸及び2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ−[4.3.0]ノナンを用いると、反応経路は以下の式により示すことができる:
【0031】
【化2】

【0032】
本発明に従う式(I)の化合物の製造に用いられる7−ハロゲノ−キノロンカルボン酸誘導体は既知であるか又は既知の方法により製造することができる。かくして7−クロロ−8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸及び7−クロロ−8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸エチルはEP−A−0 276 700に記載されている。対応する7−フルオロ誘導体も例えば以下の反応式を介して合成することができる:
【0033】
【化3】

【0034】
7−クロロ−8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸の製造のための出発材料となり(EP−A−0 276 700)、3−シアノ−2,4,5−トリフルオロ−ベンゾイルフルオリドに転換することができる中間化合物2,4−ジクロロ−3−シアノ−5−フルオロ−ベンゾイルクロリドの製造のための別の方法は5−フルオロ−1,3−キシレンから開始される:5−フルオロ−1,3−キシレンをイオン性条件下に、触媒の存在下で核において二塩素化して2,4−ジクロロ−5−フルオロ−1,3−ジメチルベンゼンを得、これを次いでラジカル条件下に、側鎖において塩素化して2,4−ジクロロ−5−フルオロ−3−ジクロロメチル−1−トリクロロメチルベンゼンを得る。これを2,4−ジクロロ−5−フルオロ−3−ジクロロメチル安息香酸を介して加水分解して2,4−ジクロロ−5−フルオロ−3−ホルミル−安息香酸を得、次いで反応させて2,4−ジクロロ−5−フルオロ−3−N−ヒドロキシイミノメチル−安息香酸を得る。チオニルクロリドを用いる処理により2,4−ジクロロ−3−シアノ−5−フルオロ−ベンゾイルクロリドが得られ、それをさらに塩素/フッ素交換を用いることにより反応させ、3−シアノ−2,4,5−トリフルオ
ロ−ベンゾイルフルオリドを得る。
【0035】
【化4】

【0036】
本発明の式(I)の化合物の製造に用いられるアミンは、EP−A−0 550 903、EP−A−0 551 653及びDE−A−4 309 964から既知である。
【0037】
1S,6S−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンジヒドロブロミド又は遊離の塩基1S,6S−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン及び対応する1R,6Rエナンチオマーの合成の代わりの方法は以下の経路である:
この合成のための出発材料はシス−1,4−ジヒドロキシ−2−ブテンであり、それをビス−メシレートへのメシル化の後にトシルアミドと反応させて1−トシルピロリジンを得る。これはm−クロロ過安息香酸をエポキシドに転換する。イソプロパノール中でエタノールアミンと共に加熱することによりエポキシドの開環を行い、トランス−3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−1−(トルエン−4−スルホニル)−ピロリジンを80%より高い収率で得る。次いで後者をピリジン/テトラヒドロフラン中で冷却しながらトシルクロリドと反応させ、トリス−トシレートを得、それをいくらかのテトラ−トシル誘導体と混合された粗生成物として塩基性反応条件下で環化し、ラセミトランス−5,8−ビス−トシル−2−オキサ−5,6−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンを得る。この段階で固定相としてのシリカゲル−結合ポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシン−d−メンチルアミド)上でクロマトグラフィー分割を高選択率で行う。所望のエナンチオマー、(1S,6S)−5,8−ビス−トシル−2−オキサ−5,6−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンを>99%eeの純度で単離する。p−トシル保護基の除去をHBr−氷酢酸を用いて行い、1S,6S−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンジヒドロブロミドを得、それを例えば水酸化ナトリウムもしくはカリウムなどの塩基を用いるかあるいはイオン交換体を用いて遊離の塩基に転換することができる。類似の反応順序を1R,6R−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンジヒドロブロミドの製造にも用いることができる。
【0038】
【化5】

【0039】
1S,6S−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンの合成
製造実施例において挙げる化合物と別に挙げることができる本発明の化合物の例は下記の表1に挙げる化合物であり、それをラセミ体及びエナンチオマー的に純粋な又はジアステレオマー的に純粋な化合物の両方として用いることができる。
【0040】
【表1】

【0041】
本発明の化合物をそのベタインの形態で又は1〜2モルの水を有する塩の形態で結晶化させることができる。
【0042】
本発明の化合物は強く抗生物質的な作用を有しており、低い毒性と共にグラム−陽性及びグラム−陰性微生物に対して、しかしながらすべてに増してヘリコバクター種に対しても広い抗バクテリア範囲を示す。
【0043】
これらの価値のある性質は、ヘリコバクター・ピロリ感染及びそれと関連する胃十二指腸障害の治療のための化学療法的活性化合物としてそれを用いることを可能にし、ヘリコバクター・ピロリ感染及びそれと関連する胃十二指腸障害を本発明の化合物により予防、軽減及び/又は治癒させることができる。
【0044】
本発明の化合物は種々の製薬学的調剤として用いることができる。挙げることができる好ましい製薬学的調剤は錠剤、コーティング錠、カプセル、丸薬、顆粒剤、溶液、懸濁剤及び乳剤である。
【0045】
本発明の化合物を単独治療薬として用いることができるが、必要ならそれを他の治療薬と組み合わせて用いることもできる。例えば以下を組み合わせ成分として挙げることができる:ニトロイミダゾール誘導体、例えばメトロニダゾール;プロトンポンプ阻害剤、例えばオメプラゾール、パントプラゾール又はランソプラゾール;Hレセプター拮抗薬、例えばシメチジン、ラニチジン、ファモチジン又はニザチジン;ビスマス化合物、例えばサリチル酸ビスマス又はCBS(コロイド次クエン酸ビスマス);他の抗生物質、例えばアモキシシリン、アズロシリン又はクラリスロマイシン;制酸薬。
【0046】
例えばシプロフロキサシンと比較して表2に挙げる本発明の化合物のいくつかに関する最小発育阻止濃度(MIC)を、1g/lの尿素を有し、pH7又はpH5において10%のライシスされた馬の血液を有するコロンビア寒天(columbia agar)又はBasis 2寒天(Oxoid)上における寒天希釈試験において決定した。それぞれ二倍希釈において低下する濃度の活性化合物を含有するレプリカシャーレ(replica dishes)において試験物質を調べた。接種のために、液体培養からの新しいヘリコバクター培養物又は寒天プレートからのバクテリアの懸濁液を用いた。接種された寒天プレートを37℃において、5〜10%のCOを含有する雰囲気中で48〜72時間インキュベーションした。読み取られたMIC値(mg/l)は、裸眼を用いて成長が検出され得ない最低の活性化合物濃度を示す。以下のヘリコバクター単離菌を用いた:H.フェリス ATCC 49179、H.ピロリ NCTC 11637、H.ピロリ臨床単離菌(clinical isolate)008。
【0047】
【表2】

【0048】
動物モデルにおける研究のために、雌のSwissマウス(8〜12週齢、SPF飼育)を商業的に入手可能な飼料及び水を用いて飼育した。集落形成のために限定されたH.フェリス株(ATCC 49179)を用いた。バクテリアを胃管により懸濁液(10〜10個のバクテリアを含有する0.1ml)として、7日間かけて4回投与する。この代わりとしては、あらかじめ感染させたマウスの胃のホモジネートを感染のために用いた。
【0049】
感染の確立から3〜5日後、試験調剤を用いる処置を開始した。処置の第1の結果として、最後の処置(例えば3、7、10、14日;毎日1〜3回)から24時間後に「クリアランス」としてバクテリア減少を決定した。いくつかの場合には処置の終了から2〜4週間後にバクテリア根絶も決定した。臨床的診断において用いられる「CLO」試験に従い、微小力価に基づく(microtitre basis)ウレアーゼ試験を用いた。限定された胃生検試料を24時間以内に色の変化に関して調べた。
【0050】
表3に、本発明の化合物の驚く程高い生体内作用の例として、感染マウスを8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−((1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]−ノニ−8−イル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸(実施例1A)及び9−フルオロ−3−メチル−10−((1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジイゾビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−d,e][1,3,4]ベンズオキサジアジン−6−カルボン酸(実施例2)で7日間処置した後の治療結果をシプロフロキサシンを用いる処置と比較して示す:シプロフロキサシンを用い、これらの実験条件下でクリアランスは達成されないが、本発明の化合物の場合、これは100%である。2x10mg/kgの8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−((1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]−ノニ−8−イル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸を用いるマウスの10日間の処置でさえ、バクテリアの根絶に導いた。
【0051】
【表3】

【実施例】
【0052】
中間体の製造:
実施例Z1
8−シアノ−1−シクロプロピル−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリン−カルボン酸エチル
【0053】
【化6】

【0054】
a.3−ブロモ−2,4,5−トリフルオロ−安息香酸メチル:
772gの3−ブロモ−2,4,5−トリフルオロ−ベンゾイルフルオリドを氷冷しながら1460mlのメタノール及び340gのトリエチルアミンの混合物に滴下する。室温で撹拌を1時間行う。反応混合物を濃縮し、残留物を水及びメチレンクロリド中に取り上げ、水相をメチレンクロリドと一緒に振ることにより再度抽出する。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥した後、それを濃縮し、残留物を真空中で蒸留する。沸点が122℃/20ミリバールの752.4gの3−ブロモ−2,4,5−トリフルオロ−安息香酸メチルが得られる。
【0055】
b.3−シアノ−2,4,5−トリフルオロ−安息香酸メチル:
269gの3−ブロモ−2,4,5−トリフルオロ−安息香酸メチル及び108gのシアン化銅を400mlのジメチルホルムアミド中で5時間加熱還流する。反応混合物のすべての揮発性成分を次いで真空中における蒸留により除去する。次いで蒸留物をカラム上で分別する。沸点が88〜89℃/0.01ミリバールの133gの3−シアノ−2,4,5−トリフルオロ−安息香酸メチルが得られる。
【0056】
c.3−シアノ−2,4,5−トリフルオロ−安息香酸:
960mlの氷酢酸中の156gの3−シアノ−2,4,5−トリフルオロ−安息香酸メチルの溶液、140mlの水及び69mlの濃硫酸を8時間加熱還流する。次いで真空中における蒸留により酢酸を大部分除去し、残留物を水で処理する。沈殿する固体を吸引濾過し、水で洗浄し、乾燥する。118.6gの3−シアノ−2,4,5−トリフルオロ−安息香酸が融点が187〜190℃の白色の固体として得られる。
【0057】
d.3−シアノ−2,4,5−トリフルオロ−ベンゾイルクロリド:
111gの3−シアノ−2,4,5−トリフルオロ−安息香酸及び84gの塩化オキサリルを数滴のジメチルホルムアミドが添加された930mlの乾燥メチレンクロリド中で室温において5時間撹拌する。次いでメチレンクロリドをとばし、残留物を真空中で蒸留する。117.6gの3−シアノ−2,4,5−トリフルオロ−ベンゾイルクロリドが黄色の油として得られる。
【0058】
e.2−(3−シアノ−2,4,5−トリフルオロ−ベンゾイル)−3−ジメチルアミノ−アクリル酸エチル:
50mlのトルエン中の55gの3−シアノ−2,4,5−トリフルオロ−ベンゾイルクロリドの溶液を140mlのトルエン中の36.5gの3−ジメチルアミノ−アクリル酸エチル及び26.5gのトリエチルアミンの溶液に、温度が50〜55℃に留まるように滴下する。次いで50℃においてさらに2時間撹拌する。反応混合物を真空中で濃縮し、さらなる仕上げなしで次の段階に用いる。
【0059】
f.2−(3−シアノ−2,4,5−トリフルオロ−ベンゾイル)−3−シクロプロピル
アミノ−アクリル酸エチル:
段階eからの反応生成物に20℃において30gの氷酢酸を滴下する。30mlのトルエン中の15.75gのシクロプロピルアミンの溶液を次いで滴下する。混合物を30℃で1時間撹拌する。次いで200mlの水を加え、混合物を15分間撹拌し、有機相を分離し、100mlの水と一緒に振るこにより再度抽出する。次いで有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮する。かくして得られる粗生成物をさらなる仕上げなしで次の段階に用いる。
【0060】
g.8−シアノ−1−シクロプロピル−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリン−カルボン酸エチル:
段階fからの反応生成物及び27.6gの炭酸カリウムを80mlのジメチルホルムアミド中で室温において16時間撹拌する。次いで反応混合物を750mlの氷水に加え、固体を吸引濾過し、80mlの冷メタノールで洗浄する。乾燥後、47gの融点が209〜211℃の8−シアノ−1−シクロプロピル−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリン−カルボン酸エチルが得られる。
【0061】
実施例Z2
2,4−ジクロロ−5−フルオロ−1,3−ジメチルベンゼン
【0062】
【化7】

【0063】
a)無溶媒
1gの無水塩化鉄(III)を124gの3,5−ジメチル−フルオロベンゼン中に導入し、反応が進行する速度で(約4時間)塩素を通過させる。これは最初いくらか発熱性(温度は24から32℃に上昇)であり、冷却により30℃未満に保つ。120gの塩素を加えた後、混合物は固体となる。GC分析に従うと、33.4%の一塩素化化合物、58.4%の所望の生成物及び5%の過塩素化化合物が生成している。塩化水素をとばし、次いで反応混合物を水流ポンプ真空中においてカラム上で蒸留する:
72〜74℃/22ミリバールにおける前留分において49gの2−クロロ−5−フルオロ−1,3−ジメチルベンゼンが得られる。5gの中間留分の後、75gの2,4−ジクロロ−5−フルオロ−1,3−ジメチルベンゼンが105℃/22ミリバールにおいて留出する(pass over);融点範囲:64〜65℃。
【0064】
b)1,2−ジクロロエタン中
1kgの3,5−ジメチル−フルオロベンゼン及び15gの無水塩化鉄(III)を1lの1,2−ジクロロエタン中に導入し、反応が進行する速度で塩素を通過させる(約4時間)。反応は最初発熱性(温度は24から32℃に上昇)であり、冷却により30℃未満に保つ。1200gの塩素を通過させた後、GC分析に従うと4%の一塩素化化合物、81.1%の所望の生成物及び13.3%の過塩素化化合物が生成している。蒸留により溶媒及び塩化水素を除去した後、混合物を水流ポンプ真空中においてカラム上で蒸留する:
前留分において40gの2−クロロ−5−フルオロ−1,3−ジメチルベンゼンが得られる。少量の中間留分の後、1115gの2,4−ジクロロ−5−フルオロ−1,3−ジ
メチルベンゼンが127〜128℃/50ミリバールにおいて留出する。
【0065】
実施例Z3
2,4−ジクロロ−5−フルオロ−3−ジクロロメチル−1−トリクロロメチルベンゼン
【0066】
【化8】

【0067】
1890gの2,4−ジクロロ−5−フルオロ−1,3−ジメチルベンゼンを塩素流入口及びスクラバーへの塩化水素のための流出口及び塩素流入管の近くの光源を有する光塩素化装置中に導入し、140〜150℃において塩素を量り込む。3850gの塩素を30時間かけて通過させる。GC分析に従う所望の生成物の含有率は71.1%である;塩素化不足化合物の含有率は27.7%である。
【0068】
Wilsonスパイラルを含有する60cmのカラムを介する蒸留は1142gの前留分を与え、それは塩素化において再び用いることができる。160〜168℃/0.2ミリバールにおける主留分は74〜76℃の融点範囲を有する2200gの2,4−ジクロロ−5−フルオロ−3−ジクロロメチル−1−トリクロロメチルベンゼンを与える。メタノールからの試料の再結晶の後、融点は81〜82℃である。
【0069】
実施例Z4
2,4−ジクロロ−5−フルオロ−3−ホルミル−安息香酸
【0070】
【化9】

【0071】
2500mlの95%濃度硫酸を70℃においてガス流入口を有する撹拌装置中に導入し、500gの溶融2,4−ジクロロ−5−フルオロ−3−ジクロロメチル−1−トリクロロメチルベンゼンを撹拌しながら滴下する。短時間の後に塩化水素の発生が始まる。2時間量り込みを行い、ガスの発生が終了するまで混合物を撹拌する。20℃に冷却後、混合物を4kgの氷上に排出し、沈殿する固体を吸引濾過する。生成物を水で洗浄し、乾燥する。
収量:310g、
融点範囲:172〜174℃。
【0072】
実施例Z5
2,4−ジクロロ−5−フルオロ−3−N−ヒドロキシイミノメチル−安息香酸
【0073】
【化10】

【0074】
500mlのエタノール中の80gのヒドロキシルアンモニウムクロリドを撹拌装置に導入し、200mlの45%濃度水酸化ナトリウム溶液を滴下し、次いで200gの2,4−ジクロロ−5−フルオロ−3−ホルミル−安息香酸を40〜45℃において導入する。反応はわずかに発熱性であり、混合物を60℃で5時間撹拌する。室温に冷却した後、塩酸の滴下によりそれをpH<3に調節し、生成物をtert−ブチルメチルエーテル中に取り上げ、有機相を分離し、溶媒を蒸留により除去する。185gの2,4−ジクロロ−5−フルオロ−3−N−ヒドロキシイミノメチル−安息香酸が残留物として得られる;融点範囲:190〜194℃。
【0075】
実施例Z6
2,4−ジクロロ−3−シアノ−5−フルオロ−ベンゾイルクロリド
【0076】
【化11】

【0077】
600mlのチオニルクロリドを量り込み装置及び還流コンデンサーを介するスクラバーへのガス流出口を有する撹拌装置中に導入し、210gの2,4−ジクロロ−5−フルオロ−3−N−ヒドロキシイミノメチル−安息香酸を20℃において、塩化水素及び二酸化硫黄が発生する速度で導入する。添加の後、ガスの発生が終了するまで混合物を加熱還流する。次いで混合物を蒸留し、142〜145℃/10ミリバールの沸点範囲で149gの2,4−ジクロロ−3−シアノ−5−フルオロ−ベンゾイルクロリドを得る(GCに従う純度 98.1%);融点範囲:73〜75℃。
【0078】
実施例Z7
3−シアノ−2,4,5−トリフルオロ−ベンゾイルフルオリド
【0079】
【化12】

【0080】
50gのフッ化カリウムを120mlのテトラメチレンスルホン中に懸濁させ、混合物
を15ミリバールにおいて初期蒸留乾固(incipient distillation to dryness)に供する(約20ml)。次いで50.4gの2,4−ジクロロ−3−シアノ−5−フルオロ−ベンゾイルクロリドを加え、混合物を180℃の内部温度で12時間、水分を排除して撹拌する。32.9gの3−シアノ−2,4,5−トリフルオロ−ベンゾイルフルオリドが真空蒸留により98〜100℃/12ミリバールの沸点範囲で得られる。
【0081】
実施例Z8
3−シアノ−2,4,5−トリフルオロ−ベンゾイルクロリド
【0082】
【化13】

【0083】
76.6gの3−シアノ−2,4,5−トリフルオロ−ベンゾイルフルオリドを60〜65℃において1gの無水塩化アンモニウムと一緒に導入し、次いで25gの四塩化ケイ素をガスの発生の経過中に滴下する。65℃においてガスの発生が終了した後、混合物を真空中で蒸留する。73.2gの3−シアノ−2,4,5−トリフルオロ−ベンゾイルクロリドが120〜122℃/14ミリバールの沸点範囲において通過する。
【0084】
実施例Z9
1−(トルエン−4−スルホニル)−ピロリン
【0085】
【化14】

【0086】
12lのジクロロメタン中の2.016kg(17.6モル)のメタンスルホニルクロリドを平面研削ジョイント(plane−ground joint)を有する20lのHC4容器中に導入し、1.944kg(2.68l、19.2モル)のトリエチルアミン中の705g(8.0モル)の2−ブテン−1,4−ジオールの溶液を、激しく冷却しながら(−34℃)−10℃の内部温度で、30分かけて滴下する。黄色の懸濁液が得られ、それを−10℃で1時間撹拌し、次いで4lの水で処理し、温度を0℃に上げる。懸濁液を室温に温め、室温で10分間撹拌し、次いで30lの分液ロートに集める。相を分離し(良い相分離)、水相を2lのジクロロメタンを用いて撹拌しながら洗浄する。合わせたジクロロメタン相を予備冷却された20lのHC4容器中に導入し、0℃に保つ。
【0087】
6lのトルエン中の1.37kg(8.0モル)のトルエンスルホンアミドを蒸留橋を有するさらに別の20lのHC4容器中に導入する。混合物を3.2kgの45%濃度水酸化ナトリウム溶液、0.8lの水及び130.5gの硫酸水素テトラブチルアンモニウムで処理し、40℃の最高内部温度まで加熱し、真空を適用する。前に得られたジクロロメタン溶液(15.2l)を次いで1.5時間かけて滴下し、同時に450ミリバールにおける蒸留によりジクロロメタンを除去する(浴温度:60℃)。蒸留の間、発泡が起こ
る。最後に33〜40℃の内部温度を有する溶液が存在する。添加が完了した後、蒸留液がほとんど通過しなくなるまで蒸留によりさらにジクロロメタンを除去する(時間:約85分;終了時、60℃の浴温度で内部温度40℃)。次いで容器の中身をまだ温かい間に分液ロートに移し、容器を50℃において5lの水及び2lのトルエンで濯ぐ。相分離の前に中間相の固体成分を吸引濾過し、0.5lのトルエンで洗浄する。有機相を撹拌しながら2.4lの水で洗浄し、分離し、回転蒸発器において蒸発乾固する。固体残留物(1758g)を1.6lのメタノール中に50℃の浴温度で懸濁させ、懸濁液を平削りジョイントを有する10lのフラスコに移し、フラスコを2.4lのジイソプロピルエーテルで濯ぐ。混合物を還流温度(59℃)に温め、さらに30分間還流下で撹拌する。懸濁液を0℃に冷却し、0℃において1時間撹拌し、吸引濾過し、0.8lのメタノール/ジイソプロピルエーテル(1:1.5)の冷混合物で洗浄する。結晶化物を窒素雰囲気下に、50℃/400ミリバールにおいて乾燥する。
収量:1456g(理論値の81.5%)。
【0088】
実施例Z10
3−(トルエン−4−スルホニル)−6−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン
【0089】
【化15】

【0090】
334.5g(1.5モル)の1−(トルエン−4−スルホニル)−ピロリンを1.5lのジクロロメタンに室温で溶解し、15分かけて900mlのジクロロメタン中の408g(約1.65〜1.77モル)の70〜75%濃度m−クロロ過安息香酸の懸濁液(調製の間冷却)で処理する。混合物を16時間加熱還流し(KI/澱粉紙を用いる過酸化物に関する試験はまだ過酸化物含有物を示す)、懸濁液を5℃に冷却し、沈殿するm−クロロ安息香酸を吸引濾過し、300mlのジクロロメタンで洗浄する(沈殿に関する過酸化物試験:陰性;沈殿は捨てる)。濾液をそれぞれ300mlの10%濃度亜硫酸ナトリウム溶液を用いて2回洗浄し、過剰の過酸化物を破壊し(過酸化物に関する試験は今は陰性)、300mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液を用いて抽出し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、体積の約4分の1まで濃縮する。再度過酸化物に関する試験:陰性。混合物を濃縮し、固体残留物を400mlのイソプロパノールと一緒に氷冷しながら撹拌し、沈殿を吸引濾過し、真空中で70℃において乾燥する。
収量:295g(82.3%)、
融点:136〜139℃、
TLC(ジクロロメタン/メタノール 98:2):1つの主成分(ヨウ素室)。
【0091】
実施例Z11
トランス−3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−1−(トルエン−4−スルホニル)−ピロリジン
【0092】
【化16】

【0093】
643.7g(2.65モル)の3−(トルエン−4−スルホニル)−6−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサンを4lのイソプロパノール中で318.5mlのエタノールアミンと一緒に16時間還流させる。TLC検査の後、さらに35.1ml(全部で5.86モル)のエタノールアミンを混合物に加え、それを翌朝まで再び煮沸する。混合物を熱時に吸引濾過し、濾液を回転蒸発器において3.5リットルに濃縮する。播種及び室温における撹拌の後、3.5lのジイソプロピルエーテルを加え、混合物を0℃で6時間撹拌する。沈殿する結晶化物を吸引濾過し、250mlのイソプロパノール/ジイソプロピルエーテル(1:1)の混合物及びそれぞれ300mlのジイソプロピルエーテルで2回洗浄し、高真空中で終夜乾燥する。
収量:663.7g(理論値の83%)、
純度:96.1%(HPLCに従う面積%)。
【0094】
実施例Z12
トランス−トルエン−4−スルホン酸{2−[[4−ヒドロキシ−1−(トルエン−4−スルホニル)−ピロリジン−3−イル]−(トルエン−4−スルホニル)−アミノ]−エチル}
【0095】
【化17】

【0096】
552g(1.837モル)のトランス−3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−1−(トルエン−4−スルホニル)−ピロリジンを1.65lのピリジン及び0.8lのテトラヒドロフラン中にアルゴン下で溶解し、合計700g(3.675モル)のp−トルエンスルホニルクロリドを−10℃において少しづつ加える。次いで混合物をこの温度で16時間撹拌する。4.3lの18.5%濃度塩酸水溶液の添加、ジクロロメタン(3l、2l)を用いる2回の抽出、合わせた有機相の飽和炭酸水素ナトリウム溶液(3l、2l)を用いる洗浄、硫酸ナトリウム上における乾燥、吸引濾過及び真空中における蒸留による溶媒の除去により仕上げを行う。残留物をオイルポンプ上で終夜乾燥し、粗形態で次の反応に用いる。1093gが硬質の泡として生じた(純度[HPLCに従う面積%]:80%のトリス−トシル生成物及び13%のテトラ−トシル生成物;収率は次の段階を参照されたい)。
【0097】
実施例Z13
ラセミ トランス−5,8−ビス−トシル−2−オキサ−5,6−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン
【0098】
【化18】

【0099】
1092gの粗トランス−トルエン−4−スルホン酸{2−[[4−ヒドロキシ−1−(トルエン−4−スルホニル)−ピロリジン−3−イル]−(トルエン−4−スルホニル)−アミノ]−エチル}を9.4lのテトラヒドロフラン中に溶解し、0〜3℃でメタノール中の水酸化ナトリウムの1.43モル溶液の1.4lと反応させる。この温度で半時間の後、2.1lの水及び430mlの希(2:1)酢酸を混合物に加え、あらかじめ単離したトランス−トルエン−4−スルホン酸{2−[[4−ヒドロキシ−1−(トルエン−4−スルホニル)−ピロリジン−3−イル]−(トルエン−4−スルホニル)−アミノ]−エチル}の結晶をそれに播種する。懸濁液を0〜−4℃で終夜撹拌する。翌朝、結晶を吸引濾過し、それぞれ400mlのテトラヒドロフラン/水(4:1)の冷混合物を用いて2回洗浄し、50℃において3ミリバールで終夜乾燥する。
収量:503gの白色の結晶(2段階を経て理論値の62.7%)、
純度:99.7%(HPLCに従う面積%)。
【0100】
実施例Z14
ラセミ トランス−5,8−ビス−トシル−2−オキサ−5,6−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンの調製的クロマトグラフィー分割
870gのキラル固定相(メルカプト−改質シリカゲルPolygosil 100,10μmに基づくシリカゲル−結合ポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシン−d−メチルアミド);EP−A−0 379 917を参照されたい)が充填された(床高:約38cm)カラム(内径75mm)において室温でラセミ体のクロマトグラフィーを行う。UV検出器を用いて254nmで検出を行う。試料の適用のために、3000mlのテトラヒドロフラン中の100gのラセミ トランス−5,8−ビス−トシル−2−オキサ−5,6−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンという濃度の溶液を用いる。以下の条件下で分離サイクルを行う:ポンプを用い、50ml/分の流量で、試料溶液のいくらか及び同時に50ml/分の流量で純粋なn−ヘプタンをカラムに2分間輸送する。次いでそれをn−ヘプタン/テトラヒドロフラン(3/2 容積/容積)の混合物を用い、100ml/分の流量で18分間溶離させる。次いで純粋なテトラヒドロフランを用いる溶離を100ml/分の流量で3分間行う。次いでn−ヘプタン/テトラヒドロ−フラン(3/2
容積/容積)を用いるさらなる溶離を行う。このサイクルを複数回繰り返す。
【0101】
最初に溶離するエナンチオマーは(1R,6R)−5,8−ビス−トシル−2−オキサ
−5,6−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンであり、それを濃縮により単離する。もっと非常に遅れるエナンチオマーの溶離物を大部分真空中で蒸発させ、沈殿する結晶化物を吸引濾過し、乾燥する。この方法で179gのラセミ体の分離から、>99%eeの純度を有する86.1g(理論値の96.2%)のエナンチオマー(1S,6S)−5,8−ビス−トシル−2−オキサ−5,6−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンが単離される。
【0102】
実施例Z15
(1R,6R)−2−オキサ−5,6−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンジヒドロブロミド
【0103】
【化19】

【0104】
500mlの33%濃度HBr/氷酢酸中の38.3g(87ミリモル)の(1R,6R)−5,8−ビス−トシル−2−オキサ−5,6−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンを10gのアニソールで処理し、60℃(浴)において4時間加熱する。終夜放置した後、懸濁液を冷却し、沈殿を吸引濾過し、100mlの無水エタノールで洗浄し、70℃で高真空中において乾燥する。
収量:23.5g(93%)の白色の固体生成物、
融点:309〜310℃(分解)、
TLC(ジクロロメタン/メタノール/17%アンモニア水溶液 30:8:1):1つの主成分、
[α]:+0.6°(c=0.53,HO)(変動(varying))。
【0105】
実施例Z16
(1S,6S)−2−オキサ−5,6−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンジヒドロブロミド
【0106】
【化20】

【0107】
実施例Z15と類似して、(1S,6S)−5,8−ビス−トシル−2−オキサ−5,6−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンから(1S,6S)−2−オキサ−5,6−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンジヒドロブロミドが得られる。
【0108】
実施例Z17
(1R,6R)−2−オキサ−5,6−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン
【0109】
【化21】

【0110】
第1の方法:5.8g(20ミリモル)の(1R,6R)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンジヒドロブロミドを100mlのイソプロパノール中に室温で懸濁させ、2.4g(42.9ミリモル)の粉末水酸化カリウムで処理し、超音波浴中で約1時間放置する。懸濁液を氷浴中で冷却し、濾過し、不溶解塩をイソプロパノールで洗浄し、濾液を濃縮し、バルブチューブオーブン(bulb tube oven)で150〜230℃のオーブン温度及び0.7ミリバールにおいて蒸留する。2.25g(理論値の87.9%)の粘性の油が得られ、それは完全に結晶化する。[α]:−21.3°(c=0.92,CHCl)。対応して、この反応をエタノール中で行うこともできる。
【0111】
第2の方法:(1R,6R)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンジヒドロブロミド及び620mg(11ミリモル)の粉末水酸化カリウムの均一化混合物をバルブチューブ装置で、0.2ミリバール及び250℃まで上昇するオーブン温度において蒸留して乾燥させる。490mg(理論値の76.6%)の(1R,6R)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンが粘性の油として得られ、それはゆっくり結晶化する。
【0112】
第3の方法:100gの湿った、予備処理されたカチオン交換体(Dowex 50WX、H型、100〜200メッシュ、容量:5.1ミリ当量/g乾燥又は1.7ミリ当量/ml)をカラム中に充填し、約200mlの1N HClで活性化し、3lの水で中性となるまで洗浄する。15mlの水中の2.9g(10ミリモル)の(1R,6R)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンジヒドロブロミドの溶液をイオン交換体に加え、次いで2lの水で洗浄し、1lの約1Nのアンモニア溶液を用いて溶離させる。溶離物を真空中で濃縮する。
収量:1.3gの粘性の油(定量的)、
TLC(ジクロロメタン/メタノール/17%NH 30:8:1):1つの主成分、GC:99.6%(面積)。
【0113】
実施例Z18
(1S,6S)−2−オキサ−5,6−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン
【0114】
【化22】

【0115】
実施例Z17と類似して、(1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンジヒドロブロミドから遊離の塩基(1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンを製造する。
【0116】
実施例Z19
2−(2,4−ジクロロ−3−シアノ−5−フルオロ−ベンゾイル)−3−ジメチルアミノ−アクリル酸エチル
【0117】
【化23】

【0118】
室温で開始して850mlのジクロロメタン中の1075gの2,4−ジクロロ−3−シアノ−5−フルオロベンゾイルクロリド(約94%濃度、1010.5g=4.00モルに相当する)の溶液を1060mlのジクロロメタン中の626g(4.372モル)の3−ジメチルアミノ−アクリル酸エチル及び591g(4.572モル)のエチルジイソプロピル−アミン(H nigの塩基)の溶液に滴下する。この経過中に温度を約50〜55℃に上げる(滴下時間は約30分)。続いて反応混合物を50℃で2時間撹拌し、次いでさらなる仕上げなしで次の段階に用いる。
【0119】
実施例Z20
2−(2,4−ジクロロ−3−シアノ−5−フルオロ−ベンゾイル)−3−シクロプロピルアミノ−アクリル酸エチル
【0120】
【化24】

【0121】
306g(5.1モル)の氷酢酸を冷却しながら約15℃において上記の段階からの反応混合物に滴下する。次いで267.3g(4.68モル)のシクロプロピルアミンをさ
らに冷却しながら約10〜15℃において滴下する。この直後に反応混合物を氷−冷しながら1300mlの水で処理し、15分間十分に撹拌する。ジクロロメタン相を分離し、次の段階に用いる。
【0122】
実施例Z21
7−クロロ−8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリン−カルボン酸エチル
【0123】
【化25】

【0124】
前段階からのジクロロメタン相を60〜70℃に加熱された850mlのN−メチルピロリドン中の353g(2.554モル)の炭酸カリウムの懸濁液に滴下する(約90分)。滴下の間、ジクロロメタンを蒸留により同時に反応混合物から除去する。次いで反応混合物をさらに5時間30分、60〜70℃において十分に撹拌する。それを約50℃に冷まし、残留ジクロロメタンを約250ミリバールの真空下における蒸留により除去する。次いで107mlの30%濃度塩酸を氷−冷しながら室温で滴下し、それにより5〜6のpHを確立する。次いで氷−冷しながら2200mlの水を加える。反応混合物を15分間十分に撹拌し、次いで固体を吸引濾過し、それぞれ1000mlの水で2回及びそれぞれ1000mlのエタノールで3回、吸引フィルター上で洗浄し、次いで真空乾燥オーブン中で60℃において乾燥する。
収量:1200g(理論値の89.6%)。
【0125】
固体を2000mlのエタノール中で還流下に、30分間撹拌することにより、この生成物を場合によりさらに精製することができる。それを熱時に吸引濾過し、500mlのエタノールで洗浄し、真空中で60℃において乾燥する。
融点:180〜182℃。
H−NMR(400MHz,CDCl):d=1.2−1.27(m;2H),1.41(t;3H);1.5−1.56(m;2H),4.1−4.8(m;1H),4.40(q;2H),8.44(d,J=8.2Hz;H),8.64(s,1H)ppm。
【0126】
実施例Z22
7−クロロ−8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸
【0127】
【化26】

【0128】
33.8g(0.1モル)の7−クロロ−8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸エチルを100mlの酢酸、20mlの水及び10mlの濃硫酸の混合物中で3時間、加熱還流する。冷却後、混合物を100mlの氷水上に注ぎ、析出する沈殿を吸引濾過し、水及びエタノールで洗浄し、真空中で60℃において乾燥する。
収量:29.6g(理論値の96%)、
融点:276〜277℃(分解を伴う)。
活性化合物の製造
【0129】
実施例1
【0130】
【化27】

【0131】
A)8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−((1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸
1.00g(3.26ミリモル)の7−クロロ−8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸をアルゴン下に、40〜45℃において25時間、30mlのアセトニトリル中で501mg(3.91ミリモル)の(1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン及び0.9mlのトリエチルアミンと一緒に撹拌する。すべての揮発性成分を真空中で除去し、残留物をエタノールから再結晶させる。
収量:1.22g(94%)
融点:294℃(分解を伴う)。
【0132】
B)8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−((1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン−8−イル)−1,4−ジヒドロ−4
−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩酸塩
200mg(0.63ミリモル)の8−シアノ−1−シクロプロピル−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸エチルをアルゴン下に、40〜45℃において2時間、3mlのアセトニトリル中で97mg(0.75ミリモル)の(1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン及び0.17mlのトリエチルアミンと一緒に撹拌する。すべての揮発性成分を真空中で除去し、残留物を水で処理し、不溶解材料を濾過し、濾液をジクロロメタンで抽出する。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで真空中で濃縮する。得られる残留物を6mlのテトラヒドロフラン及び2mlの水に溶解し、30mg(0.72ミリモル)の水酸化リチウム一水和物で処理する。室温で16時間撹拌した後、希塩酸を用いて混合物を酸性化し、得られる沈殿を吸引濾過し、乾燥する。
収量:155mg(57%)
融点:>300℃
【0133】
C)8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−((1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩酸塩
1g(2.5ミリモル)の8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−((1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸を20mlの水中に懸濁させ、懸濁液を10mlの1N塩酸で処理し、室温で3時間撹拌する。得られる沈殿を吸引濾過し、エタノールで洗浄し、高真空中において80℃で乾燥する。
収量:987mg(理論値の90.6%)、
融点:314〜316℃(分解を伴う)。
【0134】
D)8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−((1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩酸塩
86.4g(217ミリモル)の8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−((1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸を963mlの水及び239mlの1N水酸化ナトリウム水溶液に室温で溶解する。濾過及び20mlの水を用いる洗浄の後、混合物を477mlの1N塩酸水溶液で処理し、沈殿する結晶化物を95℃〜100℃で溶解する。溶液を終夜冷却し、沈殿する結晶化物を吸引濾過し、各回500mlの水で3回洗浄し、真空中で乾燥する。
収量:90g(理論値の94.7%)、
純度:>99%(HPLCに従う面積%);99.6%ee。
[α]23;−112°(c=0.29,1N NaOH)。
【0135】
実施例2
【0136】
【化28】

【0137】
9−フルオロ−3−メチル−10−((1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1.2.3−d.e][1.3.4]ベンズオキサジアジン−6−カルボン酸
100mg(0.354ミリモル)の9,10−ジフルオロ−3−メチル−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−d,e]−[1,3,4]ベンズオキサジアジン−6−カルボン酸をアルゴン下に、120℃において1時間、3mlのDMSO中で91mg(0.71ミリモル)の(1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンと一緒に加熱する。混合物を高真空中で濃縮し、残留物をエタノールから再結晶させて乾燥する。
収量:106mg(理論値の77%)
融点:205℃(分解を伴う)
実施例3
【0138】
【化29】

【0139】
1−(1−フルオロメチル−1−メチル−2−フルオロエチル)−6−フルオロ−7−[(1S,6R)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル]−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸
無水アセトニトリル(20ml)中の1−(1−フルオロメチル−1−メチル−2−フルオロエチル)−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸(400mg、1.26ミリモル)、(1S,6R)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン(176mg、1.39ミリモル)及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(141mg、1.26ミリモル)の溶液を終夜、加熱還流する。反応混合物を室温に冷却した後、沈殿する結晶を濾過し、アセトニトリルで洗浄する。
収量:392mg(理論値の73%)
融点:245℃
【0140】
実施例4
【0141】
【化30】

【0142】
1−(1−フルオロメチル−1−メチル−2−フルオロエチル)−6−フルオロ−7−[(1R,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル]−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸
(1R,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンを用いる反応により、実施例3の方法と類似して表題化合物を製造する。
収率:理論値の58%
融点:>250℃
【0143】
実施例5
【0144】
【化31】

【0145】
1−(シクロプロピル)−6−フルオロ−8−メトキシ−7−[(1S,6R)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル]−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩酸塩
(1S,6R)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンを用いる反応により、実施例3の方法と類似して表題化合物を製造する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH/AcOH、10:5:0.5)により精製し、生成物を酢酸塩として得る。メタノール及び1N HClの添加ならびに真空中における溶液の濃縮の後、塩酸塩が結晶形態で得られる。
収率:理論値の67%
融点:>250℃
【0146】
実施例6
【0147】
【化32】

【0148】
1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−7−[(1R,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル]−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩酸塩
(1R,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンを用いる反応により、実施例5の方法と類似して表題化合物を製造する。
収率:理論値の37%
融点:>250℃
【0149】
実施例7
【0150】
【化33】

【0151】
1−(シス−2−フルオロシクロプロピル)−6,8−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(1S,6S−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸
50mlのアセトニトリル及び25mlのジメチルホルムアミド中の3.6g(12ミリモル)の1−(シス−2−フルオロシクロプロピル)−6,7,8−トリフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸の混合物を3.36g(30ミリモル)の1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン及び3.7g(12.8ミリモル)の1S,6S−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンジヒドロブロミドと一緒に1時間、加熱還流する。混合物を濃縮し、残留物をいくらかの水と混合し、超音波浴において30分間処理する。不溶解沈殿を吸引濾過し、水で洗浄し、高真空中で80℃において乾燥する。
収量:4.2g(理論値の86%)
融点:274〜276℃(分解を伴う)。
【0152】
実施例8
【0153】
【化34】

【0154】
1−シクロプロピル−8−ジフルオロメトキシ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−((1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸
1.5mlのアセトニトリル及び0.75mlのジメチルホルムアミド中の166mg(0.5ミリモル)の1−シクロプロピル−8−ジフルオロメトキシ−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸の混合物を73mg(0.65ミリモル)の1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン及び100mg(0.78ミリモル)の1S,6S−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンと一緒に1時間、加熱還流する。混合物を濃縮し、残留物をいくらかの水と混合し、超音波浴において20分間処理する。不溶解沈殿を吸引濾過し、水で洗浄し、高真空中で80℃において乾燥する。
収量:164mg(理論値の75%)
融点:209〜211℃(分解を伴う)
[α]25:−250°(c=0.25、DMF)
【0155】
実施例9
【0156】
【化35】

【0157】
実施例8と類似して、融点:181〜182℃(分解を伴う)である1−シクロプロピル−8−ジフルオロメトキシ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−((1S,6R)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸が得られる。
[α]25EQ:−23°(c=0.25、DMF)
【0158】
実施例10
【0159】
【化36】

【0160】
実施例8と類似して、融点:224〜226℃(分解を伴う)である1−tert−ブチル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−((1S,6R)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸が得られる。
[α]25:+70°(c=0.25、DMF)
【0161】
実施例11
【0162】
【化37】

【0163】
実施例8と類似して、融点:243〜244℃(分解を伴う)である6−フルオロ−1−(フルオロ−tert−ブチル)−1,4−ジヒドロ−7−((1S,6R)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸が得られる。
[α]25:+71°(c=0.25、DMF)
【0164】
実施例12
【0165】
【化38】

【0166】
A)8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−((1R,6R)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸
第1の方法:310mg(1ミリモル)の7−クロロ−8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸を4mlのアセトニトリル及び2mlのDMFの混合物中の300mg(1.05ミリモル)の(1R,6R)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンジヒドロブロミド及び610mg(6ミリモル)のトリエチルアミンと一緒に1時間加熱還流する。TLC及びHPLCに従うと7−クロロ−8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸はもう検出されない。混合物を結晶化のために終夜冷蔵庫内に置き、沈殿を吸引濾過し、水で洗浄し、高真空中において80℃で乾燥する。
収量:335mg(84%)、
融点:295〜296℃(分解を伴う)
【0167】
第2の方法:920mg(3ミリモル)の7−クロロ−8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸を窒素下に、45℃において4時間、25mlのアセトニトリル中で480mg(3.75ミリモル)の(1R,6R)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン及び0.9mlのトリエチルアミンと一緒に撹拌し;さらに0.5mlのトリエチルアミンを添加し、次いで60℃でさらに16時間撹拌する。懸濁液を氷浴中で冷却し、沈殿を吸引濾過し、エタノールで洗浄し、真空中において70℃で乾燥する。
収量:1.05g(88%)
融点:294℃(分解を伴う)、
[α]:+103.6°(c=0.33;1N NaOH)、
HPLC:99.9%(面積)。
【0168】
B)8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−((1R,6R)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩酸塩
実施例1Cと類似して、8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−((1R,6R)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸を塩酸と反応させる。
【0169】
実施例13
【0170】
【化39】

【0171】
1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−7−((1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン−8−イル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩酸塩
(1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンを用いる反応により、実施例5の方法と類似して表題化合物を製造する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH/AcOH、10:5:0.5)により精製し、生成物が酢酸塩として得られる。メタノール及び1N HClの添加及び真空中における溶液の濃縮の後、塩酸塩が結晶形態で得られる。
融点:>250℃
【0172】
実施例14
【0173】
【化40】

【0174】
6−フルオロ−1−((1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル)−7−((1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン−8−イル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸
6,7−ジフルオロ−1−((1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸と(1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンの反応により、実施例8の方法に類似して表題化合物を製造する。融点:>250℃
【0175】
実施例15〜21
実施例8と類似して、(1R,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンを用い、以下の化合物を得、それをいくつかの場合には半濃縮(half−concentrated)塩酸中に溶解し、蒸発させ、エタノールで処理することにより塩酸塩として単離した:
【0176】
【化41】

【0177】
実施例15
6−フルオロ−1−(シス−2−フルオロシクロプロピル)−1,4−ジヒドロ−7−((1R,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸(A=CH)、融点:236〜238℃(分解を伴う);
【0178】
実施例16
6,8−ジフルオロ−1−(シス−2−フルオロシクロプロピル)−1,4−ジヒドロ−7−((1R,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩酸塩(A=CF;xHCl)、融点:275〜280℃(分解を伴う);
【0179】
実施例17
8−クロロ−6−フルオロ−1−(シス−2−フルオロシクロプロピル)−1,4−ジヒドロ−7−((1R,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩酸塩(A=CCl;xHCl)、融点:210〜215℃(分解を伴う);
【0180】
実施例18
6−フルオロ−1−(シス−2−フルオロシクロプロピル)−1,4−ジヒドロ−7−((1R,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸塩酸塩(A=N;xHCl)、融点:281〜284℃(分解を伴う);
【0181】
実施例19
6−フルオロ−1−(トランス−2−フルオロシクロプロピル)−1,4−ジヒドロ−7−((1R,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸(A=CH)、融点:270〜274℃(分解を伴う);
【0182】
実施例20
8−クロロ−6−フルオロ−1−(トランス−2−フルオロシクロプロピル)−1,4−ジヒドロ−7−((1R,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸(A=CCl)、融点:160〜164℃(分解を伴う);
【0183】
実施例21
6−フルオロ−1−(トランス−2−フルオロシクロプロピル)−1,4−ジヒドロ−7
−((1R,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸(A=N)、融点:310〜314℃(分解を伴う)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラセミ体、ジアステレオマー混合物の形態におけるか又はエナンチオマー的に純粋なもしくはジアステレオマー的に純粋な化合物或いはその製薬学的に使用可能な水和物及び/又は塩としての一般式(I)
【化1】

[式中、
はハロゲンにより1−もしくは2−置換されていてもよい1〜4個のC原子を有するアルキル又は1もしくは2個のフッ素原子により置換されていてもよいシクロプロピルを示し、
は水素を示し、
AはC−Rを示し、ここで
は水素、メトキシ、ジフルオロメトキシ又はシアノを示し、あるいはRと一緒になって構造−O−CH−CH−CH又は−O−CH−N−CHの架橋を形成することができ、ここでが付された原子がAの炭素原子に結合しており、
は水素を示し、
は水素を示す]
の化合物を有効成分として含有することを特徴とするヘリコバクター・ピロリ感染及びそれと関連する胃十二指腸障害の処置のための薬剤。
【請求項2】
がフッ素によって1−もしくは2−置換されていてもよいtert−ブチル又は1個のフッ素原子によって置換されていてもよいシクロプロピルを示し、
が水素を示し、
AがC−Rを示し、ここで
は水素、メトキシ、ジフルオロメトキシ又はシアノを示すか、あるいはRと一緒になって構造−O−CH−CH−CH又は−O−CH−N−CHの架橋を形成することができ、ここでが付された原子がAの炭素原子に結合しており、
が水素を示し、
が水素を示す
式(I)の化合物或いはその製薬学的に使用可能な水和物及び/又は塩を有効成分として含有することを特徴とするヘリコバクター・ピロリ感染及びそれと関連する胃十二指腸障害の処置のための薬剤。
【請求項3】
がフッ素によって1−もしくは2−置換されていてもよいtert−ブチル又はシクロプロピルを示し、
が水素を示し、
AがC−Rを示し、ここで
は水素、メトキシ、ジフルオロメトキシ又はシアノを示すか、あるいはRと一緒になって構造−O−CH−CH−CH又は−O−CH−N−CHの架橋を形成することができ、ここでが付された原子がAの炭素原子に結合しており、
が水素を示し、
が水素を示す
式(I)の化合物或いはその製薬学的に使用可能な水和物及び/又は塩を有効成分として含有することを特徴とするヘリコバクター・ピロリ感染及びそれと関連する胃十二指腸障害の処置のための薬剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のジアステレオマー的に純粋な及びエナンチオマー的に純粋な化合物を有効成分として含有することを特徴とするヘリコバクター・ピロリ感染及びそれと関連する胃十二指腸障害の処置のための薬剤。
【請求項5】
8−シアノ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−((1S,6S)−2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノニ−8−イル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸或いはその製薬学的に使用可能な水和物及び/又は塩を有効成分として含有することを特徴とするヘリコバクター・ピロリ感染及びそれと関連する胃十二指腸障害の処置のための薬剤。

【公開番号】特開2009−235106(P2009−235106A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171127(P2009−171127)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【分割の表示】特願2000−154543(P2000−154543)の分割
【原出願日】平成9年12月4日(1997.12.4)
【出願人】(591063187)バイエル アクチェンゲゼルシャフト (67)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−51368 Leverkusen, Germany
【Fターム(参考)】