説明

ヘルメットの顔面保護具用アタッチメント

【課題】顔面保護具をヘルメットに取り付けるための改良されたアタッチメントの提供。
【解決手段】ヘルメット1とともに顔面保護具を着用するときに使用する顔面保護具用アタッチメント3には、ヘルメット1の帽体11および着装体46のいずれかに対して帽体11の周方向から当接してアタッチメント3の周方向への動きを阻止することのできるストッパー部39が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヘルメットともに着用するゴーグル等の顔面保護具をヘルメットに取り付けるためのアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
工事用や防災用のヘルメットを着用するときに、そのヘルメットとともにゴーグルやフェイスシールド等の顔面保護具を着用することがあることはよく知られている。さらには、顔面保護具をヘルメットに取り付けるためのアタッチメントも知られている。
【0003】
そのアタッチメントの一例には、特開2001−104364号公報(特許文献1)に記載のリブ付きヘルメットの保護具用保持クリップがある。そのクリップは、ヘルメットの下端部周縁に形成されたリブを挟むための狭持部と、リブとヘルメットの外面との間に形成されたリブ溝に嵌めるための屈曲部と、屈曲部の上方にあって先端部がヘルメットの外面を押圧した状態になるとともに、ヘルメットの外面との間に空間部を形成する係止部とを有している。このヘルメットとともに着用するゴーグルは、クリップの係止部とヘルメットの外面との間に形成される筒状の空間部に装着用バンドを通すことによってヘルメットと一体になり、ゴーグルを顔面から外してもヘルメットからは外れ落ちるということがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−104364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来のクリップは、ゴーグルがヘルメットから外れ落ちることを防止することができても、クリップがヘルメットの周方向へ動くことを防ぐことができない。ヘルメットの着脱を繰り返しているうちに、ヘルメットの左右両側に使用してあるクリップそれぞれが動いてヘルメットの左右でクリップの位置の違いが大きくなると、着用したゴーグルはそれを水平な状態に保つことが難しくなったり、顔面にフィットさせることが難しくなったりするという問題を生じることがある。
【0006】
この発明が課題とするところは、顔面保護具をヘルメットに取り付けるためのアタッチメントに対して、それがヘルメットの周方向へ動くことがないように改良を施すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、この発明が対象とするのは、ヘルメット着用者の顔面保護具をヘルメットに取り付けるための顔面保護具用アタッチメントである。
【0008】
また、この発明が特徴とするところは、次のとおりである。すなわち、前記アタッチメントは、前記ヘルメットの帽体に形成されたつばを弾性的な圧力によって挟むことが可能な挟圧部と、前記帽体の外側において前記挟圧部から前記帽体の上方へ延びた先端部が前記帽体に圧接可能な外側部と、前記挟圧部から前記帽体の内側へ延びた内側部とを有する。前記外側部には、前記顔面保護具の所要部位を着脱可能な支持部が形成されている。前記内側部には、前記帽体および前記帽体の内側にセットされた着装体のいずれかに対して前記帽体の周方向から当接して前記アタッチメントの前記周方向への動きを阻止することのできるストッパー部が形成されている。
【0009】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記ストッパー部は、前記帽体の前記周方向において離間する二部分を有し、前記二部分は前記帽体及び前記着装体のいずれかにおける所要部位を前記周方向の両側から挟むことが可能であり、前記ヘルメットに取り付けられた前記アタッチメントが前記周方向へ動くと、前記二部分のうちのいずれかが前記所要部位に当接する。
【0010】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記二部分は、前記帽体の内側へ延びた前記内側部の先端部分が前記周方向へ延びる連結部を介してつながっている。
【0011】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記ストッパー部は、前記帽体および前記着装体のいずれかに形成されていて前記周方向で離間対向している二つの部位の間に進入し、前記アタッチメントが前記周方向へ動くと、前記二つの部位のいずれかに当接して前記アタッチメントの動きを阻止することができる。
【0012】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記支持部は、前記外側部において着脱可能な状態にあるボルトによって形成されている。
【0013】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記ボルトは、前記帽体の外面に当接可能なものである。
【0014】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記支持部は、前記帽体の周方向へ延びるように前記外側部に形成されている透孔である。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係るアタッチメントは、それをヘルメットに取り付けたときに、ヘルメットの帽体および着装体のいずれかに対して帽体の周方向から当接してアタッチメントの周方向への動きを阻止することのできるストッパー部が形成されているから、ヘルメットの着脱を繰り返しても、アタッチメントがヘルメットの周方向へ動くことはない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ヘルメットの側面図。
【図2】アタッチメントの斜視図。
【図3】図1のIII−III線断面図。
【図4】図3のIV−IV線切断面を示す図。
【図5】図3のV−V線切断面を示す図。
【図6】実施態様の一例を示す図2と同様な図。
【図7】図6のアタッチメントの使用態様を示す図4と同様な図。
【図8】実施態様の一例を示す図6と同様な図。
【図9】実施態様の一例を示す図3と同様な図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面を参照してこの発明に係るヘルメットの顔面保護具用アタッチメントの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0018】
図1は、工事用や防災用のものとして使用されるヘルメット1の左側面を示す図であり、そのヘルメット1にはゴーグル2がアタッチメント3を介して取り付けられている。ヘルメット1は、プラスチックや繊維強化プラスチック等で形成された帽体11と、帽体11の内側に取り付けられた着装体46(図3,4参照)と、一部分のみが示されている締紐13とを有するもので、図には幅方向(図4参照)と前後方向と上下方向とが双頭矢印X,Y,Zで示されている。帽体11は、上下方向Zの下方につば16を有し、そのつば16は柔軟な縁ゴム17によって被覆されている。図示してはいないが、帽体11は、締紐13を除くと、幅方向Xにおいて左右対称に形成されている。なお、この発明において、ヘルメット1の側面に対して前後方向Yというときの前後方向は、ヘルメット1の周方向Eと実質的な意味において一致している。
【0019】
ゴーグル2は、ヘルメット着用者の顔面保護具の一例であって、ヘルメット1の前方に位置し、柔軟なゴムやプラスチックで形成されたフレーム21と、フレーム21に取り付けられていて透明なプラスチックやガラスで形成されているレンズ22と、バックル23を介してフレーム21に長さ調節可能に取り付けられていてヘルメット2の後方に向かって延びており、弾性的に伸長収縮するバンド24と、バンド24の後端部にあって、硬質プラスチックで形成されている取付具26とを有する。取付具26は、前方にバンド24の後端部に対する第1取付部26aを有し、後方にアタッチメント3に対する第2取付部26bを有する。第2取付部26bには、透孔27が形成されている。図において実線で示されているゴーグル2は、ヘルメット着用者(図示せず)の顔面から外されて、フレーム21がバンド24の収縮力によって帽体11の前方部分に対して密着している。仮想線で示されているゴーグル2は、着用状態にあるもので、実線で示されているゴーグル2がアタッチメント3における後記支持部33を中心に旋回して、フレーム21がヘルメット着用者の顔面(図示せず)に密着している。
【0020】
アタッチメント3は、ヘルメット1の周方向Eにおいて対向するように形成されていて縁ゴム17を介してつば16をつば16の厚さ方向において弾性的な力で挟んでいる二条の、換言すると前後方向Yにおいて離間した二部分からなる挟圧部31と、二条の挟圧部31の上方に位置する外側部32aとを有している。外側部32aには、帽体11の径方向外側に向かって延びる円柱状の支持部33が形成されている(図2参照)。その支持部33に取付具26が取り付けられているゴーグル2は、支持部33を中心に双頭矢印Aで示す方向へ往復旋回運動することができる。
【0021】
図2は、アタッチメント3の斜視図である。アタッチメント3における二条の挟圧部31のそれぞれは、帽体11の外側に位置させる第1部位36と、帽体11の内側に位置させる第2部位37と、第1,第2部位36,37をつなぎ湾曲した状態にある第3部位38とを有する。二条の挟圧部31の上方には、帽体11の外側に位置させる外側部32aが形成されている(図1参照)。外側部32aには支持部33が形成されている。外側部32aの頂部には、帽体11の外面に圧接することができるようにその外面に向かって延びる屈曲部位35が形成されている(図3参照)。二条の挟圧部31それぞれにおける第2部位37の延長上には、後記するように帽体11の内側へ延びる内側部32bが形成されている(図3参照)。その内側部32bには、ストッパー部39が形成されている。周方向Eで対向しているストッパー部39どうしは、周方向Eへ延びる連結部41を介してつながっている。連結部41は、内側部32bのそれぞれが周方向Eにおいて揺動することを防いでいる。
【0022】
アタッチメント3は挟圧部31がつば16を挟むときに双頭矢印Bで示された方向に弾性的に変形して拡開することができるとともに、外側部32aが帽体11の外面に圧接したときに矢印Cで示された方向へ弾性変形することができるように、弾性変形容易な熱可塑性合成樹脂で形成されていることが好ましい。
【0023】
図3は、図1のIII−III線断面図であって、図2におけるアタッチメントが図1に例示の如くヘルメット1に取り付けられているときの状態を示している。図3のヘルメット1は、帽体11と、帽体11の内側にセットされた着装体の一つであるハンモック46とを有し、そのハンモック46は下端部分47がリベット11aを介して帽体11に固定されている。ヘルメット1が着用状態にあるときには、変形容易に形成されたハンモック46が着用者の頭部に接触し、比較的硬質な材料で形成されている帽体11や発泡スチロール等で形成された衝撃吸収ライナー(図示せず)が頭部に接触することを防いでいる。帽体11に形成されているつば16は、U字形断面を有する縁ゴム17によって被覆されている。
【0024】
図3におけるアタッチメント3では、外側部32aにおける屈曲部位35が帽体11の外面に圧接している。挟圧部31は、第1部位36と第2部位37または第1部位36と第3部位38とがつば16を覆う縁ゴム17に圧接している。第2部位37からヘルメット1の内側へ延びている内側部32bは、その頂部43が帽体11の内面に圧接している。図3の状態にあるアタッチメント3と図2の状態にあるアタッチメント3とを対比すると、図3のアタッチメント3では、挟圧部31における第1部位36と第2部位37とが双頭矢印Bで示す方向における離間寸法を大きくするように弾性変形し、外側部32aが矢印C方向へ弾性変形し、内側部32bが矢印D方向へ弾性変形している。これらの弾性変形の結果として、挟圧部31がつば16をつば16の厚さ方向から弾性的な圧力によって挟み、外側部32aと内側部32bとが帽体11に対してその内外から圧接して、アタッチメント3がヘルメット1に対して外れて落ちることがないように取り付けられている。
【0025】
図4は、図3のIV−IV線切断面を示す図である。図4において、帽体11の内側には、ハンモック46の下端部47と、アタッチメント3の内側部32bとが見えている。その下端部47は、リベット11a(図3参照)を介して帽体11の内面に固定されている。内側部32bでは、二つのストッパー部39が帽体11の周方向Eにおいて下端部47に当接または接近している。それゆえ、アタッチメント3が帽体11の周方向Eへ動こうとすると、二つのストッパー部39のいずれかがハンモック46の下端部47に衝接してアタッチメント3の動きを止め、アタッチメント3を帽体11における一定の位置に止めておくことができる。
【0026】
図5は、図3のV−V線切断面を示す図であるが、形状の理解を容易にするために、帽体11の一部分とゴーグル2における取付具26の一部分とが仮想線で書き加えられている。図5には、アタッチメント3のうちの外側部32aと、外側部32aからヘルメット1の径方向外方へ延びる円柱状の支持部33とが見えている。その支持部33には、小径部33aと大径部33bとが形成されている。ゴーグル2における取付具26の第2取付部26bに形成された透孔27には、アタッチメント3の支持部33が嵌合している。取付具26と支持部33とは、図示の状態にあるときに互いの嵌合は外れることがなく、取付具26が支持部33に対して周方向Eの後方へスライドすると互いの嵌合が外れるように形成されている。その取付具26における第1取付部26aの透孔28には大径部28aと小径部28bとが形成されていて、大径部28aに嵌合しているバンド24の後端部24aは、バンド24が前方へ引っ張られたときの抜け止めとして作用している。図1におけるヘルメット1では、ゴーグル2が実線で示された状態にあるときにも、仮想線で示された着用状態にあるときにも、ゴーグル2のバンド24にはそれを弾性的に伸長するような張力が作用している。その張力は、アタッチメント3をヘルメット1のつば16に沿って周方向Eの前方へ移動させるように作用する。しかし、アタッチメント3は、ストッパー部39がハンモック46に衝接するので移動することがない。したがって、ヘルメット1では、その着脱を繰り返しても、左右のアタッチメント3の位置に違いを生じることがなく、ゴーグル2が旋回するときの中心の位置は常に一定している。
【0027】
図6,7は、実施態様の一例を示す図2,4と同様な図である。図6のアタッチメント3は、内側部32bと連結部41とを有しているが、ストッパー部39が内側部32bにおける周方向Eの両側に形成されている。図7において明らかなように、内側部32bは連結部41とともに、帽体11の内側にセットされていて、周方向Eにおいて互いに離間している内装体60の部分60aと60bとの間にある。ストッパー部39のそれぞれは、周方向Eにおいて、部分60aまたは部分60bと対向している。アタッチメント3が周方向Eへ動こうとすると、ストッパー部39のいずれかが部分60aまたは部分60bに衝接して、アタッチメント3の動きを止めることができる。
【0028】
図8もまた、実施態様の一例を示す図2と同様な図である。図8のアタッチメント3では、外側部32aに周方向Eへ延びる透孔66が形成されている。透孔66は、ゴーグル2のバンド24を挿通することができて、ゴーグル2に対して図2の支持部33に代わる支持部として使用することができる。バンド24が帽体11を巻回するように使用されるものである場合には、図8の態様のアタッチメント3を使用することが好ましい。
【0029】
図9もまた、実施態様の一例を示す図3と同様な図である。図9のアタッチメント3には、図2の支持部33に代わるものとしてボルト68が使用されている。ボルト68はアタッチメント3の外側部32aに形成されたねじ孔69に取り付けられていて、頭部71にはゴーグル2の取付具26を図1と同様に取り付けることができる。また、脚部72の先端を帽体11に対して圧接することによって、アタッチメント3がヘルメット1から脱落することを防ぐことができる。
【0030】
これまでの図示例において、アタッチメント3はゴーグル2をヘルメット1に取り付けるためのものであったが、この発明に係るアタッチメントは、フェイスシールド等のゴーグル以外の顔面保護具をヘルメット1に取り付けるためのものとして使用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 メルメット
2 顔面保護具(ゴーグル)
3 アタッチメント
16 つば
31 挟圧部
32a 外側部
32b 内側部
33 支持部
39 ストッパー部
41 連結部
46 着装体
66 透孔
68 ボルト
E 周方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルメット着用者の顔面保護具をヘルメットに取り付けるための顔面保護具用アタッチメントであって、
前記ヘルメットの帽体に形成されたつばを弾性的な圧力によって挟むことが可能な挟圧部と、前記帽体の外側において前記挟圧部から前記帽体の上方へ延びた先端部が前記帽体に圧接可能な外側部と、前記挟圧部から前記帽体の内側へ延びて前記ヘルメットに圧接可能な内側部とを有し、
前記外側部には、前記顔面保護具の所要部位を着脱可能な支持部が形成され、
前記内側部には、前記帽体および前記帽体の内側にセットされた着装体のいずれかに対して前記帽体の周方向から当接して前記アタッチメントの前記周方向への動きを阻止することのできるストッパー部が形成されていることを特徴とする前記アタッチメント。
【請求項2】
前記ストッパー部は、前記帽体の前記周方向において離間する二部分を有し、前記二部分は前記帽体及び前記着装体のいずれかにおける所要部位を前記周方向の両側から挟むことが可能であり、前記ヘルメットに取り付けられた前記アタッチメントが前記周方向へ動くと、前記二部分のうちのいずれかが前記所要部位に当接する請求項1記載のアタッチメント。
【請求項3】
前記二部分は、前記帽体の内側へ延びた前記内側部の先端部分が前記周方向へ延びる連結部を介してつながっている請求項2記載のアタッチメント。
【請求項4】
前記ストッパー部は、前記帽体および前記着装体のいずれかに形成されていて前記周方向で離間対向している二つの部位の間に進入し、前記アタッチメントが前記周方向へ動くと、前記二つの部位のいずれかに当接して前記アタッチメントの動きを阻止することができる請求項1記載のアタッチメント。
【請求項5】
前記支持部は、前記外側部において着脱可能な状態にあるボルトによって形成されている請求項1記載のアタッチメント。
【請求項6】
前記ボルトは、前記帽体の外面に当接可能なものである請求項5記載のアタッチメント。
【請求項7】
前記支持部は、前記帽体の周方向へ延びるように前記外側部に形成されている透孔である請求項1記載のアタッチメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−28884(P2013−28884A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166883(P2011−166883)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000133191)株式会社タバタ (23)
【Fターム(参考)】