説明

ヘルメット支持台およびそれを備えたヘルメット浄化装置

【課題】ヘルメットに付着した臭いを除去するとともに、ヘルメットを効率よく乾燥することが可能なヘルメット支持台を提供する。
【解決手段】このヘルメット支持台1は、イオン送出装置20から供給された空気を送出するための吹出口6aおよび6bと、ヘルメット50を支持する支持部8と、を備える。吹出口6aおよび6bはヘルメット50の内部に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヘルメット支持台およびそれを備えたヘルメット浄化装置に関し、特に、イオン送出装置からイオンを含む空気が供給されるヘルメット支持台およびそれを備えたヘルメット浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
頭部を保護するヘルメットとして、乗車用ヘルメット、産業用保護帽(作業用ヘルメット)やスポーツ用ヘルメット(例えば剣道用防具の面)などが知られている。ヘルメットは内部の換気が悪いので、着用者の頭皮から蒸発する汗がヘルメットに付着し、ヘルメットの内面が濡れる。ヘルメットの内面が濡れていると、ヘルメットを装着した際に不快感があるので、ヘルメットを乾燥させる必要がある。しかしながら、ヘルメットを自然乾燥させるだけでは、乾燥に時間がかかるという不都合がある。
【0003】
そこで、ヘルメットに空気を送風し、ヘルメットを強制的に乾燥するヘルメット乾燥機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。上記特許文献1には、ヘルメットが載置されるヘルメット載置台(ヘルメット支持台)と電動ファン手段とを備えたヘルメット乾燥機が開示されている。このヘルメット乾燥機では、ヘルメット載置台は上面に送気グリル(吹出口)が設けられた箱型に形成されている。そして、ヘルメット載置台の上面上にヘルメットが載置され、電動ファン手段から送気グリルを介してヘルメットに空気が送風される。
【0004】
なお、上記特許文献1には、ヘルメットの湿り具合を検知する湿度センサや乾燥を促進するための加熱手段を設けることが好ましいと記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3093354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、ヘルメットを単に乾燥するだけなので、ヘルメットに付着した汗臭および皮脂臭などを除去できない。このため、ヘルメットを装着した際に不快感があるという問題点があった。
【0007】
また、上記特許文献1のヘルメット載置台は上面に送気グリルが設けられた箱型である。そして、ヘルメット載置台の上面上にヘルメットが載置された状態で、下側からヘルメットに空気が送風される。このため、ヘルメットの下側から内部に入る気流と、ヘルメットの内部から下側に出る気流とが衝突する。これにより、気流が乱れ、ヘルメットに乾燥ムラが発生するので、ヘルメットを効率よく乾燥させるのが困難であるという問題点もあった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、ヘルメットに付着した臭いを除去するとともに、ヘルメットを効率よく乾燥することが可能なヘルメット支持台およびそれを備えたヘルメット浄化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のヘルメット支持台は、イオン送出装置からイオンを含む空気が供給されるヘルメット支持台であって、イオン送出装置から空気が導入される吸込口と、導入された空気を送出するための吹出口と、吸込口および吹出口を連結する空気通路部と、ヘルメットを支持する支持部と、を備え、吹出口はヘルメットの内部に配置される。
【0010】
なお、本発明において「ヘルメット」とは、乗車用ヘルメットだけでなく、産業用保護帽(作業用ヘルメット)、スポーツ用ヘルメット(例えば剣道用防具の面)および帽子などを含む概念である。
【0011】
本発明によれば、特別な装置(ヘルメット乾燥装置)を購入することなく、一般的な家庭用のイオン送出装置を使用することができる。また、イオン送出装置からの空気をヘルメットに送出するので、ヘルメットに付着した臭い(汗臭、皮脂臭)や雑菌などを除去することができる。これにより、ヘルメットを装着した際の不快感を低減することができる。
【0012】
また、吹出口をヘルメットの内部に配置することによって、イオンを含む空気はヘルメットの内部に直接送風される。
【0013】
上記ヘルメット支持台において、好ましくは、支持部は上側に突出するように形成されている。このように構成すれば、ヘルメットとヘルメット支持台との間に隙間が形成されるとともに、ヘルメットとヘルメット支持台との接触面積が小さくなる。
【0014】
上記支持部が上側に突出するヘルメット支持台において、好ましくは、支持部は複数形成されており、支持部同士の間には空間が形成されている。このように構成すれば、ヘルメットとヘルメット支持台との接触面積を小さくしながら、ヘルメットを安定して支持することができる。
【0015】
上記ヘルメット支持台において、好ましくは、支持部にヘルメットを載置した状態で、吹出口はヘルメットの内部の上側部分に配置される。
【0016】
上記ヘルメット支持台において、好ましくは、平面的に見て支持部の外周は長円形状に形成されている。このように構成すれば、ヘルメットがヘルメット支持台に対して約90度ずれて載置されるのを抑制することができる。
【0017】
上記ヘルメット支持台において、好ましくは、ヘルメットを載置する際の「前方向」および「後方向」を示す表示がなされている。このように構成すれば、ヘルメット支持台の前方向および後方向を容易に認識できるので、ヘルメットを容易に適切な方向に載置することができる。なお、ヘルメット支持台の前方向とは、ヘルメット支持台にヘルメットを適切に載置した状態で、ヘルメットの額当接部が配置される方向である。また、ヘルメット支持台の後方向とは、ヘルメット支持台にヘルメットを適切に載置した状態で、ヘルメットの後頭当接部が配置される方向である。
【0018】
上記ヘルメット支持台において、好ましくは、支持部にヘルメットを適切に載置した状態で、吹出口はヘルメットの額当接部および側頭当接部のすくなくとも一方に向かって開口している。額や側頭部は汗や皮脂が特に出やすいので、ヘルメットの額当接部および側頭当接部は特に汚れやすい。このため、吹出口をヘルメットの額当接部および側頭当接部のすくなくとも一方に向かって開口させることによって、ヘルメットのうちの特に汚れやすい額当接部や側頭当接部に重点的にイオンを含む空気を当てることができる。
【0019】
上記ヘルメット支持台において、好ましくは、支持部にヘルメットを適切に載置した状態で、吹出口はヘルメットの頭頂当接部および後頭当接部の少なくとも一方に向かって開口している。頭頂部や後頭部は汗や皮脂が出やすいので、ヘルメットの頭頂当接部および後頭当接部は汚れやすい。このため、吹出口をヘルメットの頭頂当接部および後頭当接部の少なくとも一方に向かって開口させることによって、ヘルメットのうちの汚れやすい頭頂当接部や後頭当接部に重点的にイオンを含む空気を当てることができる。
【0020】
上記支持部が複数形成されているヘルメット支持台において、好ましくは、吹出口は支持部同士を結ぶ方向に対して交差する方向に向かって開口している。このように構成すれば、支持部同士の間の空気は吹出口から送出される空気と同じ方向に導かれ、ヘルメットの内部の空気の流れがより滑らかになる。
【0021】
上記ヘルメット支持台において、好ましくは、空気通路部は空気を吹出口に導く導風面により形成されている。このように構成すれば、吸込口に供給された空気は滑らかに吹出口に導かれる。
【0022】
この場合、好ましくは、導風面は下側に突出する凸面により形成されており、吸込口に供給された空気は凸面に沿って吹出口に導かれる。このように構成すれば、吸込口に供給された空気を容易に滑らかに吹出口に導くことができる。
【0023】
上記ヘルメット支持台は、好ましくは、支持部にヘルメットを載置した状態で、ヘルメットの下端がイオン送出装置の底面よりも上側に位置するように、形成されている。このように構成すれば、イオン送出装置はヘルメットの外部の空気を吸い込み、ヘルメットの水分を吸収した空気はヘルメットの外部に排出される。
【0024】
上記ヘルメット支持台は、好ましくは、イオン送出装置に取り付けられる。このように構成すれば、ヘルメット浄化装置(ヘルメット支持台およびイオン送出装置)全体を容易に小型化することができる。また、ヘルメット支持台をイオン送出装置に近づけて配置することができる。
【0025】
本発明のヘルメット浄化装置は、上記の構成のヘルメット支持台と、ヘルメット支持台にイオンを含む空気を供給するイオン送出装置と、を備える。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、吹出口をヘルメットの内部に配置することによって、イオンを含む空気をヘルメットの内部に直接送風することができる。これにより、ヘルメットに入る気流とヘルメットから出る気流とが衝突するのを抑制することができるので、気流が乱れるのを抑制する(気流を滑らかに導く)ことができる。このため、ヘルメットに乾燥ムラが発生するのを抑制することができるので、ヘルメットを効率よく乾燥させることができる。また、ヘルメットに付着した臭い(汗臭、皮脂臭)や雑菌などを効率よく除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態によるヘルメット支持台をイオン送出装置に取り付けた状態を前側(正面側)から示した斜視図である。
【図2】図1のイオン送出装置を前側から示した斜視図である。
【図3】図1のイオン送出装置を後側(背面側)から示した分解斜視図である。
【図4】図1のヘルメット支持台の構造を示した側面図である。
【図5】図1のヘルメット支持台の構造を前側から示した斜視図である。
【図6】図1のヘルメット支持台の構造を示した平面図である。
【図7】図6の100−100線に沿った断面図である。
【図8】図6の150−150線に沿った断面図である。
【図9】図1のヘルメット支持台の構造を後側から示した図である。
【図10】図1のヘルメット支持台にヘルメットを載置した状態を側方から示した部分断面図である。
【図11】図1のヘルメット支持台にヘルメットを載置した状態を後側から示した部分断面図である。
【図12】図1のヘルメット支持台にヘルメットを載置した状態を上側から示した部分断面図である。
【図13】本発明の第2実施形態によるヘルメット支持台の構造を示した平面図である。
【図14】図13の200−200線に沿った断面図である。
【図15】図13の250−250線に沿った断面図である。
【図16】本発明の第3実施形態によるヘルメット支持台の構造を示した平面図である。
【図17】図16のヘルメット支持台の構造を後側から示した図である。
【図18】図16の300−300線に沿った断面図である。
【図19】図16の350−350線に沿った断面図である。
【図20】図16のヘルメット支持台にヘルメットを載置した状態を側方から示した部分断面図である。
【図21】図16のヘルメット支持台にヘルメットを載置した状態を後側から示した部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、理解を容易にするために、断面図であってもハッチングを施さない場合がある。
【0029】
(第1実施形態)
図1〜図12を参照して、本発明の第1実施形態によるヘルメット支持台1の構造について説明する。
【0030】
本発明の第1実施形態によるヘルメット支持台1は、例えば乗車用のヘルメット50(図10参照)を乾燥、脱臭および除菌するためのものである。なお、ヘルメット50はフルフェイスタイプであり、ウインドシールド51を下げた状態でヘルメット支持台1に載置される。図1に示すように、ヘルメット支持台1はイオン送出装置20の上部に取り付けられ、イオン送出装置20からイオンを含む空気が供給される。また、ヘルメット支持台1は供給された空気をヘルメット50に送出するように形成されている。なお、ヘルメット支持台1とイオン送出装置20とによって、本発明のヘルメット浄化装置が構成されている。
【0031】
ここで、イオン送出装置20について簡単に説明する。イオン送出装置20は、例えばシャープ株式会社製のイオン発生機IG−B20を用いることができる。なお、言うまでもなく、イオンを含む空気を送出する機能を有していれば、他のイオン送出装置を用いることも可能である。
【0032】
図2および図3に示すように、イオン送出装置20は、例えば携帯可能な小型に形成されており、略直方体形状の本体部21を備えている。
【0033】
本体部21の上面21aには、後述するイオン発生器23(図3参照)で発生した空気を送出するための複数の吹出口21bが形成されている。図3に示すように、本体部21の背面側には、本体部21に対して着脱可能に後側パネル22が設けられている。後側パネル22には、外部の空気を吸い込むための複数の吸込口22aが形成されている。また、本体部21の下部には、複数の吸込口21cが形成されている。そして、吸込口22a、吸込口21cおよび吹出口21bを接続するように空気通路部(図示せず)が形成されている。この空気通路部には、イオンを発生するイオン発生器23とイオンを含む空気を吹出口21bから送出する送風機(図示せず)とが設けられている。
【0034】
イオン発生器23には、図示しない放電電極が設けられている。また、放電電極には交流波形またはインパルス波形から成る電圧が印加される。放電電極の印加電圧が正電圧の場合はイオンが空気中の水分と結合して主としてH+(H2O)mから成る正イオンを発生する。放電電極の印加電圧が負電圧の場合はイオンが空気中の水分と結合して主としてO2-(H2O)nから成る負イオンを発生する。ここで、m、nは任意の自然数である。H+(H2O)m及びO2-(H2O)nは空気中の浮遊菌や臭い成分の表面で凝集してこれらを取り囲む。
【0035】
そして、式(1)〜(3)に示すように、衝突により活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH22(過酸化水素)を微生物等の表面上で凝集生成して浮遊菌や臭い成分を破壊する。ここで、m’、n’は任意の自然数である。従って、発生した正イオン及び負イオンを含む空気により、殺菌及び臭い除去を行うことが可能である。
【0036】
+(H2O)m+O2-(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n)H2O ・・・(1)
+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ 2・OH+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(2)
+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ H22+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(3)
【0037】
発生した正イオンおよび負イオンは、発生した位置からの距離が遠いほど、また発生してから時間が経つほど急激に減少する性質を有する。イオン発生機IG−B20(イオン送出装置20)は広さ1畳×高さ2.6m程度の空間に、正イオンおよび負イオンをそれぞれ2.5万個/cm3程度の濃度で分布させる能力を有している。このため、イオン送出装置20に取り付けられたヘルメット支持台1にヘルメット50を載置した状態では、イオン送出装置20を極端に狭い空間で使用することになり、正イオンおよび負イオンの濃度はそれぞれ250万個/cm3程度になる。イオン濃度が高くなるにしたがって、殺菌効果および脱臭効果が飛躍的に増大することが分かっているので、一般的に部屋内部でイオン送出装置20を使用する場合に比べて、殺菌効果および脱臭効果は非常に大きい。
【0038】
図1および図4に示すように、ヘルメット支持台1は、イオン送出装置20と前後方向が一致するようにイオン送出装置20に取り付けられる。ここで、ヘルメット支持台1の前方向は図中A方向であり、後方向はB方向である。
【0039】
図4および図5に示すように、ヘルメット支持台1は側壁部2および上面部3を含んでいるとともに、イオンを含んだ空気が内部を通過できるように形成されている。また、ヘルメット支持台1の下部1aには、イオン送出装置20に取り付けるための取付部4が形成されている。この取付部4はイオン送出装置20の上端に外側から被さる。また、下部1aはイオン送出装置20の外形に合わせて略矩形状に形成されている。また、下部1aには、図7および図8に示すように、イオン送出装置20(図1参照)で発生したイオンを含む空気が供給(導入)される吸込口5が形成されている。この吸込口5には、イオン送出装置20の吹出口21bから送出される空気の全量が導入される。
【0040】
図6に示すように、ヘルメット支持台1の上部1bはヘルメット50の形状に合わせて、平面的に見て長円形状(楕円形状や卵形状など)に形成されている。
【0041】
また、上部1bには、図4および図5に示すように、イオンを含む空気を送出するための複数の吹出口6aおよび6bが形成されている。複数の吹出口6aおよび6bは、図10および図11に示すように、ヘルメット50の頭頂当接部50aに近い位置に配置される。すなわち、複数の吹出口6aおよび6bはヘルメット50の内部の上側部分に配置される。
【0042】
また、第1実施形態では、複数の吹出口6aおよび6bはヘルメット50のうちの最も汗や皮脂が付着しやすい部分に向かって空気を送出するように形成されている。
【0043】
具体的には、複数の吹出口6aは上部1bの前側部分(A方向側の部分)に形成されている。また、複数の吹出口6bは上部1bの側方部分(C方向およびD方向側の部分)に形成されている。すなわち、ヘルメット50が適切にヘルメット支持台1に載置された(被せられた)状態で、吹出口6aは図10に示すようにヘルメット50の額当接部50aに向かって開口しており、吹出口6bは図11に示すように側頭当接部50bに向かって開口している。なお、額当接部50aとは着用者の額に当接する部分のことであり、側頭当接部50bとは着用者の側頭部に当接する部分のことである。また、図5に示すように、吹出口6aは後述する支持部8同士を結ぶ方向(C方向およびD方向)に対して垂直な方向(A方向)に向かって開口している。
【0044】
また、図7および図8に示すように、ヘルメット支持台1の内部には、吸込口5と吹出口6aおよび6bとを連結する空気通路部として機能する内部空間7が形成されている。
【0045】
また、図4および図9に示すように、上面部3には、ヘルメット50を支持する複数(例えば2つ)の支持部8が上側に突出するように形成されている。この支持部8は上面部3のうちのC方向およびD方向の端部に設けられている。
【0046】
また、図6に示すように、支持部8は平面的に見て長円形状(楕円形状や卵形状など)の一部を形成している。言い換えると、複数の支持部8の水平方向の外形包絡線は長円形状に形成されており、人の頭部を真上から見た形状に似ている。
【0047】
また、図5および図9に示すように、支持部8同士の間には、A方向およびB方向に延びる空間9が形成されている。
【0048】
また、図6に示すように、使用者がヘルメット支持台1の前後方向を認識しやすいように、上面部3の前側部分および後側部分のそれぞれに、例えば「前」および「後ろ」という表示がなされていてもよい。なお、使用者がヘルメット支持台1の前後方向を認識しやすくなるのであれば、文字(「前」および「後ろ」)ではなく、記号や絵などを用いてもよい。また、これらの表示は、上面部3ではなく、側壁部2になされていてもよい。
【0049】
図10および図11に示すように、ヘルメット50をヘルメット支持台1に載置した状態では、ヘルメット50は着用者に装着されたような姿勢でヘルメット支持台1に支持される。図11に示すように、支持部8は上面部3のうちのC方向およびD方向の端部に設けられているので、ヘルメット50の内面のうちの頭頂当接部50cから少しずれた位置に当接している。なお、頭頂当接部50cとは着用者の頭頂部に当接する部分のことである。また、支持部8は上面部3から上側に突設されているので、図10〜図12に示すように、上面部3とヘルメット50の内面との間、および、側壁部2とヘルメット50の内面との間には隙間が形成されている。
【0050】
また、ヘルメット支持台1の高さは適応するイオン送出装置20の高さを考慮して決定されており、図10に示すように、ヘルメット50の下端がイオン送出装置20の底面(床70)よりも上側に位置するように、ヘルメット支持台1が形成されている。
【0051】
具体的には、例えばイオン発生機IG−B20(イオン送出装置20)の外形は幅86mm×奥行86mm×高さ146mmであるので、ヘルメット支持台1の高さは約70mmとなっている。
【0052】
次に、図2、図3、図7および図10〜図12を参照して、空気の流れについて説明する。図10に示すように、イオン送出装置20は吸込口22aから外部の空気を吸い込み、吹出口21b(図2参照)からヘルメット支持台1に空気を送出する。このとき、イオン発生器23(図3参照)でイオンが発生し、イオンを含む空気が吹出口21bから送出される。
【0053】
ヘルメット支持台1の吸込口5(図7参照)に供給された空気は、内部空間7(空気通路部)(図7参照)を通過して吹出口6aおよび6bから外部(ヘルメット50の内部)に送出される。
【0054】
ここで、図10および図12に示すように、吹出口6aから送出された空気(気流F1)はヘルメット50の額当接部50aに当たった後、ヘルメット50の内面に沿って下側に導かれる。そして、空気(気流F2)はヘルメット50の下端と床70との間からヘルメット50の外部に排出される。このとき、一部の空気(気流F3)は外部に排出されず後側に導かれる(還流する)。
【0055】
同様に、図11および図12に示すように、吹出口6bから送出された空気(気流F4)はヘルメット50の側頭当接部50bに当たった後、ヘルメット50の内面に沿って下側に導かれる。そして、空気(気流F5)はヘルメット50の下端と床70との間からヘルメット50の外部に排出される。このとき、一部の空気(気流F6)は、吹出口6aから送出された空気の一部(気流F3)と合流し、後側に導かれる(還流する)。
【0056】
そして、図10および図12に示すように、後側に導かれた空気はヘルメット50の内面(後頭当接部50d)に沿って上側に導かれる。その後、空気(気流F7)は支持部8同士の間(ヘルメット50の頭頂当接部50c)を通過し、空気(気流F1)と合流してヘルメット50の内面に沿って下側に導かれる。なお、後頭当接部50dおよび頭頂当接部50cを通過する空気もイオンを含んでいる。
【0057】
このようにして、ヘルメット50の内部全体にイオンが行き渡る。
【0058】
本実施形態では、上記のように、特別な装置(ヘルメット乾燥装置)を購入することなく、一般的な家庭用のイオン送出装置20を使用することができる。また、イオン送出装置20からの空気(イオンを含んだ空気)をヘルメット50に送出するので、ヘルメット50に付着した臭い(汗臭、皮脂臭)や雑菌、カビを除去することができる。これにより、ヘルメット50を装着した際の不快感を低減することができる。
【0059】
また、吹出口6aおよび6bをヘルメット50の内部に配置することによって、イオンを含む空気をヘルメット50の内部に直接送風することができる。これにより、ヘルメット50に入る気流とヘルメット50から出る気流とが衝突するのを抑制することができるので、気流が乱れるのを抑制する(気流を滑らかに導く)ことができる。このため、ヘルメット50に乾燥ムラが発生するのを抑制することができるので、ヘルメット50を効率よく乾燥させることができる。また、ヘルメット50に付着した(汗臭、皮脂臭)や雑菌などを効率よく除去することができる。
【0060】
また、ヘルメット50を支持部8に載置した状態で、複数の吹出口6aおよび6bをヘルメット50の内部の上側部分に配置する。これにより、ヘルメット50に入る気流とヘルメット50から出る気流とが衝突するのをより抑制することができるので、気流が乱れるのをより抑制することができる。
【0061】
また、支持部8を上側に突出するように形成することによって、ヘルメット50とヘルメット支持台1との間に隙間を形成することができるとともに、ヘルメット50とヘルメット支持台1との接触面積を小さくすることができる。これにより、ヘルメット50をより効率よく乾燥、脱臭および殺菌(除菌)などすることができる。
【0062】
また、支持部8を複数形成することによって、ヘルメット50とヘルメット支持台1との接触面積を小さくしながら、ヘルメット50を安定して支持することができる。
【0063】
また、支持部8の外周を長円形状に形成するとともに、ヘルメット50を載置する際の「前方向」および「後方向」を示す表示を設けている。これにより、ヘルメット支持台1の前方向および後方向を容易に認識できるので、ヘルメット50を容易に適切な方向に載置することができる。
【0064】
また、額や側頭部は汗や皮脂が特に出やすいので、額当接部50aおよび側頭当接部50bは特に汚れやすい。このため、吹出口6aおよび6bを額当接部50aおよび側頭当接部50bに向かって開口させることによって、ヘルメット50のうちの特に汚れやすい額当接部50aや側頭当接部50bに重点的にイオンを含む空気を当てることができる。これにより、ヘルメット50をより効率的に乾燥、脱臭および殺菌などすることができる。
【0065】
また、吹出口6aを、支持部8同士を結ぶ方向に対して垂直な方向(A方向)に向かって開口させている。このように構成することによって、吹出口6aから空気が送出されると、支持部8同士の間(空間9)のA方向側の部分が負圧になり、支持部8同士の間(空間9)の空気(気流F8(図12参照))は吹出口6aから送出される空気(気流F1)と同じ方向に導かれる。これにより、ヘルメット50の内部の空気の流れをより滑らかにすることができる。
【0066】
また、支持部8にヘルメット50を載置した状態で、ヘルメット50の下端がイオン送出装置20の底面よりも上側に位置するように、ヘルメット支持台1を形成する。これにより、イオン送出装置20はヘルメット50の外部の空気を吸い込み、ヘルメット50の水分を吸収した空気はヘルメット50の外部に排出される。このため、ヘルメット50をより効率よく乾燥させることができる。
【0067】
また、ヘルメット支持台1をイオン送出装置20に取り付けることによって、ヘルメット支持台1とイオン送出装置20との全体を容易に小型化することができる。また、ヘルメット支持台1をイオン送出装置20に近づけて配置することができるので、脱臭および殺菌効果をより高めることができる。
【0068】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるヘルメット支持台1では図13〜図15に示すように、上面部3の内面には下側(ヘルメット支持台1の内側)に突出する凸面(導風面)3aが形成されている。この凸面3aは逆円錐形状に形成されている。
【0069】
また、図14および図15に示すように、凸面3aは空気通路部を構成しているとともに、空気を吹出口6aおよび6bに導くように形成されている。これにより、吸込口5に供給された空気は凸面3aに沿って吹出口6aおよび6bに導かれる。
【0070】
第2実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0071】
本実施形態では、上記のように、上面部3の内面に下側に突出する凸面3aを形成することによって、吸込口5に供給された空気を凸面3aに沿って滑らかに吹出口6aおよび6bに導くことができる。これにより、ヘルメット支持台1内で気流が乱れるのを抑制することができる。その結果、気流の衝突による圧力損失を減少させることができるので、送風量を増加させることができる。
【0072】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0073】
(第3実施形態)
この第3実施形態では図16〜図21を参照して、上記第1および第2実施形態と異なり、ヘルメット支持台1に吹出口6aおよび6bだけでなく吹出口6cおよび6dも形成されている場合について説明する。
【0074】
本発明の第3実施形態によるヘルメット支持台1では図17および図18に示すように、上部1bの後側部分(B方向側の部分)には、複数の吹出口6cが形成されている。すなわち、図20に示すようにヘルメット50が適切にヘルメット支持台1に載置された状態で、吹出口6cはヘルメット50の後頭当接部50dに向かって開口している。
【0075】
また、図16、図18および図19に示すように、上面部3には、複数の吹出口6dが形成されている。この複数の吹出口6d(図16参照)は、図20および図21に示すようにヘルメット50が適切にヘルメット支持台1に載置された状態で、ヘルメット50の頭頂当接部50cに向かって開口している。なお、吹出口6dは頭頂当接部50cの真下の位置に1つだけ形成されていてもよい。
【0076】
次に、図18、図20および図21を参照して、空気の流れについて説明する。図20に示すように、ヘルメット支持台1の吸込口5(図18参照)に供給された空気は、内部空間7(図18参照)を通過して吹出口6a、6b、6cおよび6d(図18参照)から外部(ヘルメット50の内部)に送出される。
【0077】
ここで、吹出口6cから送出された空気(気流F9)はヘルメット50の後頭当接部50dに当たった後、ヘルメット50の内面に沿って下側に導かれる。
【0078】
また、図20および図21に示すように、吹出口6d(図18参照)から送出された空気(気流F10)はヘルメット50の頭頂当接部50cに当たった後、ヘルメット50の内面に沿って下側に導かれる。
【0079】
第3実施形態のその他の構造および空気の流れは、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0080】
本実施形態では、上記のように、吹出口6dおよび6cをヘルメット50の頭頂当接部50cおよび後頭当接部50dに向かってそれぞれ開口させる。頭頂部や後頭部は額や側頭部の次に汗や皮脂が出やすいので、頭頂当接部50cおよび後頭当接部50dは額当接部50aや側頭当接部50bの次に汚れやすい。このため、頭頂当接部50cおよび後頭当接部50dに向かって開口する吹出口6dおよび6cを設けることによって、頭頂当接部50cおよび後頭当接部50dにも重点的にイオンを含む空気を当てることができる。これにより、ヘルメット50をより効率的に乾燥、脱臭および殺菌などすることができる。
【0081】
第3実施形態のその他の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0082】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0083】
例えば、上記実施形態では、乗車用のヘルメットを脱臭および除菌した例について示したが、本発明はこれに限らず、産業用保護帽(作業用ヘルメット)、スポーツ用ヘルメット(例えば剣道用防具の面)および帽子などにも使用することができる。また、半ヘルメット等の丈の短いヘルメットにも使用することができ、この場合もヘルメットを安定してヘルメット支持台に載置することができる。
【0084】
また、上記実施形態では、支持部を上側に突出させた例ついて説明したが、本発明はこれに限らず、支持部を、例えば水平方向に突出させてもよいし、突出させなくてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、ヘルメット支持台に前方向および後方向を示す表示を設けた例について示したが、このような表示を設けなくてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、ヘルメット支持台の上部のうちの少なくとも前側部分および側方部分に吹出口を設けた例について示したが、本発明はこれに限らない。吹出口を、例えば上部の前側部分のみ、後側部分のみまたは側方部分のみに設けてもよい。
【0087】
また、上記第2実施形態では、凸面を逆円錐形状に形成した例について示したが、本発明はこれに限らない。凸面の形状は吹出口等の形状に合わせて設定されるものであり、空気を滑らかに導くことができるのであれば、例えば逆多角錐形状や円柱形状でもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、ヘルメット支持台をイオン送出装置に取り付けるように形成した例について示したが、ヘルメット支持台をイオン送出装置に取り付けないように形成してもよい。すなわち、ヘルメット支持台に自立用の脚部を設け、ヘルメット支持台をイオン送出装置に被せてもよい。また、イオン送出装置とヘルメット支持台とをホースなどで連結してもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、ヘルメット支持台を、ケースの中にイオンを含む空気を取り込み、それを吹出口から送出するという、いわば「クローズドタイプ」として構成した例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、ヘルメットを支持する骨組みに、気流を導く導風板を組み合わせただけの、いわば「オープンタイプ」として構成してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 ヘルメット支持台
1a 下部
1b 上部
3 上面部
3a 凸面(導風面)
5 吸込口
6a〜6d 吹出口
7 内部空間(空気通路部)
8 支持部
9 空間
20 イオン送出装置
50 ヘルメット
50a 額当接部
50b 側頭当接部
50c 頭頂当接部
50d 後頭当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン送出装置からイオンを含む空気が供給されるヘルメット支持台であって、
前記イオン送出装置から空気が導入される吸込口と、
導入された空気を送出するための吹出口と、
前記吸込口および前記吹出口を連結する空気通路部と、
ヘルメットを支持する支持部と、
を備え、
前記吹出口は前記ヘルメットの内部に配置されることを特徴とするヘルメット支持台。
【請求項2】
前記支持部は上側に突出するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘルメット支持台。
【請求項3】
前記支持部は複数形成されており、
前記支持部同士の間には空間が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のヘルメット支持台。
【請求項4】
前記支持部に前記ヘルメットを載置した状態で、前記吹出口は前記ヘルメットの内部の上側部分に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヘルメット支持台。
【請求項5】
平面的に見て前記支持部の外周は長円形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘルメット支持台。
【請求項6】
前記ヘルメットを載置する際の「前方向」および「後方向」を示す表示がなされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のヘルメット支持台。
【請求項7】
前記支持部に前記ヘルメットを適切に載置した状態で、前記吹出口は前記ヘルメットの額当接部および側頭当接部のすくなくとも一方に向かって開口していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のヘルメット支持台。
【請求項8】
前記支持部に前記ヘルメットを適切に載置した状態で、前記吹出口は前記ヘルメットの頭頂当接部および後頭当接部の少なくとも一方に向かって開口していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のヘルメット支持台。
【請求項9】
前記吹出口は前記支持部同士を結ぶ方向に対して交差する方向に向かって開口していることを特徴とする請求項3に記載のヘルメット支持台。
【請求項10】
前記空気通路部は空気を吹出口に導く導風面により形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のヘルメット支持台。
【請求項11】
前記導風面は下側に突出する凸面により形成されており、
前記吸込口に供給された空気は前記凸面に沿って前記吹出口に導かれることを特徴とする請求項10に記載のヘルメット支持台。
【請求項12】
前記支持部に前記ヘルメットを載置した状態で、前記ヘルメットの下端が前記イオン送出装置の底面よりも上側に位置するように、形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のヘルメット支持台。
【請求項13】
前記イオン送出装置に取り付けられることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のヘルメット支持台。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のヘルメット支持台と、
前記ヘルメット支持台にイオンを含む空気を供給するイオン送出装置と、
を備えることを特徴とするヘルメット浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−159206(P2012−159206A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17022(P2011−17022)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】