説明

ヘルメット用バーライトホルダー

【課題】 ヘルメットに装着するバーライトホルダーに取り付けたバーライトの支持角度を自在に調節できると共に、その設定角度を確実に保持することを課題とする。
【解決手段】
下下部にヘルメットの縁部に嵌着できる嵌着部を有し、上部に自在継手を構成する凹部を有する締め付けにより縮径できるようにした弾性筒体を設けたヘルメット取付部材と、上部にバーライトの固定部を有し、下部に前記筒体の凹部に嵌入して自在継手を構成する球体を連設したバーライト取付部材とを組み合わせたことを特徴とするヘルメット用バーライトホルダーにより上記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヘルメットへバーライトを着脱自在に取り付け得ると共に、前記バーライトの取り付け角度を自在に調節することができ、かつ当該角度を確保できるようにすることを目的としたヘルメット用バーライトホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来知られているバーライトホルダーは、ベース部材をヘルメット鍔に係止し、バーライトをゴムバンド部材で固定した構造又はバーライトを結束バンドで締め付け固定した構造が知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3162010号公報
【特許文献2】特開2000−355817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来知られているヘルメット用バーライトホルダーは、バーライトをバンドで締め付け固定したり(特許文献1)、結束バンドを取り付けた連結部材の角度(上下方向)を可変にしている(特許文献2)。前記従来のバーライトホルダーによれば、バーライトは原則として上下方向に角度を変えることはできるが、左右方向に角度を変化させることができない問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、ヘルメット取り付け部材とバーライト取り付け部材とを自在継手で連結すると共に、該自在継手の自由度を制御することにより、自由自在な調整が可能で、一旦決めた角度は堅持されることになり、前記従来の問題点を解決したのである。
【0006】
元来ヘルメットへ固定したバーライトの照射範囲は極めて限定されているので、作業状態によってはバーライトの照射方向を規制しなければならないが、バーライトの調整が上下方向の角度変化だけでは作業上の要請に対応し得ない場合が多い。従来バーライトの照射方向の可変角度は、原則的に上下方向だけであったから、照射方向の調整は上下方向に限らる問題点があった。
【0007】
従って、左右方向については、ヘルメット着用者が首を回して照射方向を調整するので、作業上好ましくない姿勢を強要せざるを得ないこともあった。
【0008】
然るにこの発明によれば、バーライトを上下左右の何れの方向の角度についても可変容易となり対応できることは勿論、微調整も可能となり、かつ調整角度のまま固定できるから、ヘルメットに取り付けたバーライトの能力を十分活用できることになり、作業性も向上したのである。
【0009】
即ち、請求項1の発明は、下部にヘルメットの縁部に嵌着できる嵌着部を有し、上部に自在継手を構成する凹部を有する締め付けにより縮径できるようにした弾性筒体を設けたヘルメット取付部材と、上部にバーライトの固定部を有し、下部に前記筒体の凹部に嵌入して自在継手を構成する球体を連設したバーライト取付部材とを組み合わせたことを特徴とするヘルメット用バーライトホルダーである。
【0010】
請求項2の発明は、弾性筒体の内底部には、球体を支持するスプリングを収容したことを特徴とする請求項1記載のヘルメット用バーライトホルダーである。
【0011】
請求項3の発明は、弾性筒体の側壁に凹入部が設けられると共に、外側に締め付けバンドを装着したことを特徴とする請求項1記載のヘルメット用バーライトホルダーである。
【0012】
請求項4の発明は、嵌着部は、弾性合成樹脂片をヘルメットの縁部の外形と相似形に湾曲させてあり、嵌着によりヘルメットの縁部を弾力的に挟着できるようにしたことを特徴とする請求項1記載のヘルメット用バーライトホルダーである。
【0013】
請求項5の発明は、弾性筒体の側壁には、筒体の鍔部から側壁中央部に亘ってU字状欠部を設け、弾性筒体を縮径可能としたことを特徴とする請求項1記載のヘルメット用バーライトホルダーである。
【0014】
請求項6の発明は、弾性筒体の外側に締め付けバンドを嵌装し、バンド端に貫通したボルトのナットを締め付けることにより筒体を縮径することを特徴とした請求項1記載のヘルメット用バーライトホルダーである。
【0015】
請求項7の発明は、弾性筒体の口部内径を、球体の直径より小径としたことを特徴とする請求項1記載のヘルメット用バーライトホルダーである。
【0016】
この発明は、弾性合成樹脂を使用してヘルメット取り付け部材とバーライト取り付け部材とを前記自在継手で連結したものである。自在継手は、球状部と該球状部に当接する凹部を有する円筒部とし、該円筒部は口部側を縮径方向へ変形可能とし、円筒部の締め付けにより、球状部と円筒凹部とが密接固定できるようにしたものである。
【0017】
例えば、円筒部の側壁に切れ目(切欠部)を設け、前記円筒部をバンドで締め付けることによって、円筒部を縮径できるようにし、これにより球状部へ、円筒部内壁を加圧当接して自在継手の自由回転を阻止したものである。
【0018】
この発明は、バーライトホルダーを、ヘルメット取り付け部材とバーライト取り付け部材の組み合わせとし、両取り付け部材を自在継手で連結すると共に、前記自在継手は、外部からバンドで締め付けて緊締固定できるようにしたものである。従って、バーライトを上下左右の何れの方向にも調節できると共に、調節位置で固定することもできるようにし、きわめて優れたバーライトホルダーを提供するものである。
【0019】
前記における自在継手は、球体とこれに嵌装した円筒部よりなり、バーライト取り付け部材は前後左右何れの方向へも傾動できると共に、バンドの締め付けで任意の角度に固定することができる。従って、ヘルメットを着用したまま、バーライトを持って所望の照射角度とした後、バンドを締め付けると、当該位置及び角度を確定することができる。また、バンドをゆるめることによって、バーライトの照射方向(角度)を調整することもできる。
【0020】
前記筒体と球体とは弾性的に嵌合しているので、バンドの締め付けがなくとも角度変化を生じるおそれはないが、角度変更は自在である。この点、筒体と球体との弾性嵌合の変化時の外力を調節することができる。即ち、ヘルメット着用者がバーライトの角度を容易に調節できると共に、バンドの締め付けにより、バーライトの位置を確保し、外力によって角度変更ができないようにする。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、ヘルメット取り付け部材とバーライト取り付け部材とを自在継手で連結したので、バーライトの角度をきわめて容易にかつ正確に、小さな外力で微調整(従って高精度)することができる効果がある。
【0022】
また、バンドの締め付けによって、自在継手を固定したので、バーライトの位置決定後はバーライトの角度を外力によって変化させることができない効果がある。
【0023】
前記のように、この発明によれば、バーライトの角度を容易に高精度に調整できると共に、一旦調整後は、外力によってバーライトが角度変化を生じるおそれはない。即ち、ヘルメットを着用したままバーライトの角度を微調整し、この角度を固定して、作業中などに外力によるバーライトの角度変化を確実に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)この発明の実施例の正面図、(b)同じく自在継手部の一部断面拡大図、(c)同じく自在継手部の一部断面拡大図。
【図2】同じく平面図。
【図3】同じく一部を破切した側面図。
【図4】(a)同じく他の実施例の正面図、(b)同じく自在継手部の横断拡大図。
【図5】同じく使用状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について添付図面を基に説明する。
【実施例1】
【0026】
この発明の実施例を図1に基づいて説明する。ヘルメット1の鍔部2に嵌着できるコ状部3の縁部に立ち上がり板4を介して水平板5を連設し、該水平板5へ筒体6を立設して取付部材7を構成する。
【0027】
また、バーライト8に嵌装できるリング部材9の一端にベース部材11を突設し、ベース部材11の下部に、筒体6に嵌装して自在継手15を構成する球体12を連設する。
【0028】
リング部材9の他端(ベース部材11と対向する)に押へ材13を連設し、該押へ材13にボルト14を挿通して、ベース部材11に設けた螺孔(非図示)に螺合させる。ボルト14の回転によって押へ材13を矢示21のように移動させ、リング部材9の内径を調節して、バーライト8を緊結固定するようにして、バーライト取付部材10を構成する。また、バーライト8の尾部の孔に固定した紐22の他端を取付部材7に縛着することにより、バーライト8の落下を防止している。
【0029】
取付部材7の筒体6とバーライト取付部材10の球体12により、自在継手15を構成した。筒体6の底部には、球体12を支持するスプリング16が収容されており、球体12の高さを適度に支持する。
【0030】
筒体6は弾性合成樹脂製であって、側壁に切り込み部17を有すると共に、筒体6の外側に締め付けバンド19を装着し、締め付けバンド19の一端に締め付けねじ18を螺合させる。締め付けねじ18の回転によって、締め付けバンド17を締め付け又は緩めることができる。
【0031】
本実施例は、U字状の切り込み部17を直径対称的に設けたが、切り込み部17は、締め付けにより筒体6を縮径するためであり、その形状に限定はない。また、スプリング16はコイルスプリングであるが、その形状に限定はなく、球体12を適度の高さに支持することができるものであればよい。
【0032】
前記のように、ヘルメット取付部材7とバーライト取付部材10とを自在継手15で連結して、この発明のバーライトホルダー20を構成したので、バーライト8の前後左右の角度調整が容易、確実であり(例えば角度θは30度)、かつ調整済みのバーライト8の角度を確実に保定し、不慮の外力によって角度が変化できないようにした点が優れている。
【実施例2】
【0033】
この発明の他の実施例を図4に基づいて説明する。この実施例は、ヘルメットの鍔部の形状に合わせて嵌着できるように、実施例1のコ状部3を上向きコ状部3aにしたものに相当するものである。その他の取付部材7とバーライト取付部材10の形状、作用、効果は実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
【符号の説明】
【0034】
1 ヘルメット
2 鍔部
3 コ状部
4 立ち上がり板
5 水平板
7 取付部材
8 バーライト
10 バーライト取付部材
12 球体
15 自在継手
19 締め付けバンド
20 バーライトホルダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部にヘルメットの縁部に嵌着できる嵌着部を有し、上部に自在継手を構成する凹部を有する締め付けにより縮径できるようにした弾性筒体を設けたヘルメット取付部材と、上部にバーライト取付部材を有し、下部に前記筒体の凹部に嵌入して自在継手を構成する球体を連設したバーライト取付部材とを組み合わせたことを特徴とするヘルメット用バーライトホルダー。
【請求項2】
弾性筒体の内底部には、球体を支持するスプリングを収容したことを特徴とする請求項1記載のヘルメット用バーライトホルダー。
【請求項3】
弾性筒体の側壁に凹入部が設けられると共に、外側に締め付けバンドを装着したことを特徴とする請求項1記載のヘルメット用バーライトホルダー。
【請求項4】
嵌着部は、弾性合成樹脂片をヘルメットの縁部の外形と相似形に湾曲させてあり、嵌着によりヘルメットの縁部を弾力的に挟着できるようにしたことを特徴とする請求項1記載のヘルメット用バーライトホルダー。
【請求項5】
弾性筒体の側壁には、筒体の鍔部から側壁中央部に亘ってU字状欠部を設け、弾性筒体を縮径可能としたことを特徴とする請求項1記載のヘルメット用バーライトホルダー。
【請求項6】
弾性筒体の外側に締め付けバンドを嵌装し、バンド端に貫通したボルトのナットを締め付けることにより筒体を縮径することを特徴とした請求項1記載のヘルメット用バーライトホルダー。
【請求項7】
弾性筒体の口部内径を、球体の直径より小径としたことを特徴とする請求項1記載のヘルメット用バーライトホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−241302(P2012−241302A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114907(P2011−114907)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(506042047)大同通商株式会社 (6)
【Fターム(参考)】