説明

ヘルメット

【課題】撮影等の各種作業を安全に行うことができるヘルメットを提供する。
【解決手段】帽体11の表面の前頭部に設けられるレール10と、そのレール10に可動自在に取り付けられ、帽体11の表面の前頭部を補強するバイザー20とを備えるものである。これにより、バイザー20の取り付け位置を調整することができ、ヘルメット1からバイザー20を容易に脱着できる。また、帽体11の破壊を防止できる。この結果、ヘルメットを脱いだり、ずらしたりせずに、撮影等の各種作業を安全に、かつ、迅速に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影機能や照明機能等を有するヘルメットに関するものである。詳しくは、帽体の表面の一部に設けられるレールと、そのレールに可動自在に取り付けられ、帽体の表面の一部を補強するバイザーとを備えることにより、バイザーの取り付け位置を調整することができ、ヘルメットからバイザーを容易に脱着でき、帽体の破壊を防止できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
現在、労働安全衛生法にて、「労働者の危険を防止するための措置」が定められており、特定の作業を行う際、頭部に対する危険を防止するための保護具としてヘルメットを着用することが義務付けられている。また、近年、ヘルメットの使用者の頭部を保護するだけでなく、各種機能を有するヘルメットが開発されている。
【0003】
特許文献1には、撮影機能付きヘルメットが開示されている。このヘルメットによれば、帽体とこの帽体内に装着される内装との間に撮影装置用の空間が設けられるものである。これにより、ヘルメットに撮影装置を内蔵することができる。
【0004】
特許文献2には、多機能ユニット付ヘルメットが開示されている。このヘルメットによれば、帽体の前頭部から側頭部まで溝を設け、その溝に撮影装置や照明装置等のユニットを嵌め込むようにしたものである。これにより、使用者がユニットを適宜交換することで状況に合わせた作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−176931号公報(第1図)
【特許文献2】特開2007−308855号公報(第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで特許文献1及び2によれば、ヘルメットに設けられた撮影装置で撮影をする際に、そのヘルメットの重量が大きいため構図決めが困難であるという問題がある。また、ヘルメットに設けられる撮影装置はそのヘルメット専用の撮影装置であり、汎用性が無いという問題がある。汎用性のある撮影装置を用いて使用する場合、ヘルメットを脱いだり、ずらしたりしなければ撮影することは困難である。
【0007】
そこで、本発明は上述の課題を解決したものであって、ヘルメットの重量を大きくせずに、また、ヘルメットを脱いだり、ずらしたりせずに、撮影等の各種作業を安全に行うことができるヘルメットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るヘルメットは、帽体の表面の一部に設けられるレールと、そのレールに可動自在に取り付けられ、帽体の表面の一部を補強するバイザーとを備えることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係るヘルメットによれば、レールが帽体の表面の一部に設けられ、バイザーはそのレールに可動自在に取り付けられるので、バイザーの取り付け位置を調整することができ、ヘルメットからバイザーを容易に脱着できる。また、バイザーは帽体の表面の一部を補強するので、帽体の破壊を防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るヘルメットによれば、バイザーの取り付け位置を調整することができ、ヘルメットからバイザーを容易に脱着でき、帽体の破壊を防止できるので、ヘルメットを脱いだり、ずらしたりせずに、撮影等の各種作業を安全に、かつ、迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(A)は、第1の実施の形態に係るヘルメット1の構成例及びバイザー20の取り付け例を示す正面図であり、(B)は、バイザー20を取り付けた後の正面図である。
【図2】(A)は、ヘルメット1の構成例及びバイザー20の取り付け例を示す側面図であり、(B)は、バイザー20を取り付けた後の正面図である。
【図3】図1(B)のa−a線で切断したヘルメット1の要部構成例を示す断面図である。
【図4】ヘルメット1の装着例(その1)を示す説明図である。
【図5】ヘルメット1の装着例(その2)を示す説明図である。
【図6】第2の実施の形態に係るバイザー30の構成例を示す正面図である。
【図7】バイザー30の構成例を示す裏面図である。
【図8】第3の実施の形態に係るバイザー40の構成例を示す正面図である。
【図9】バイザー40の構成例を示す裏面図である。
【図10】第4の実施の形態に係るバイザー50の構成例を示す正面図である。
【図11】バイザー50の構成例を示す裏面図である。
【図12】第5の実施の形態に係るヘルメット2の構成例を示す正面図である。
【図13】ヘルメット2の構成例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るヘルメットについて説明する。
<第1の実施の形態>
本発明に係るヘルメット1は、帽体11の表面の一部に設けられるレール10と、そのレール10に可動自在に取り付けられ、帽体11の表面の一部を補強するバイザー20とを備えることで、バイザー20の取り付け位置を調整でき、ヘルメット1からバイザー20を容易に脱着でき、帽体11の破壊を防止できるようにしたものである。
【0013】
[ヘルメット1の構成例]
図1及び図2に示すように、本発明に係るヘルメット1は、ヘルメット本体部15及びバイザー20で構成される。ヘルメット本体部15は、レール10、帽体11、通気孔12、固定ベルト13及び第1の固定手段である第1のストッパ(以下、ストッパ14という)を備える。バイザー20は、固定つまみ21、緩衝材22、固定金具23、第2の固定手段である第2のストッパ(以下、ストッパ24という)及びバイザー本体部25を備える。
【0014】
帽体11の表面の前頭部にはレール10が設けられる。レール10と、バイザー20が有する固定金具23とが係合してバイザー20がヘルメット本体部15に取り付けられる(図3参照)。レール10は、鉄、銅、アルミニウム又はそれらの合金等の金属製のものが望ましい。レール10の一端にはストッパ14が設けられる。また、固定金具23の一端にはストッパ24が設けられる。ストッパ14と固定金具23の他端とが当接し、かつ、ストッパ24とレール10の他端とが当接することで、ヘルメット本体部15にバイザー20が固定される。なお、上述では、ストッパ14及びストッパ24の両方を設けるヘルメット1を説明したが、ストッパ14及びストッパ24のどちらか一方のみを設けてもよい。また、3つ以上ストッパを設けても構わない。
【0015】
ヘルメット本体部15とバイザー20との固定は、固定つまみ21を使用して固定する。固定つまみ21は、ネジで構成されたものである。ヘルメット本体部15にバイザー20を取り付けたら、ヘルメット1の使用者(以下、単に使用者という)が固定つまみ21をまわすことで、ヘルメット本体部15とバイザー20とが固定される。また、固定つまみ21はバネで構成されていてもよい。その場合、使用者が手で固定つまみ21をヘルメット1に対して外側方向に引っ張りながら帽体11にバイザー20を取り付けた後、当該固定つまみ21を使用者の手から離すことでヘルメット本体部15とバイザー20とが固定される。バイザー20は、帽体11の表面の前頭部を覆うようにヘルメット本体部15に固定される。これにより、帽体11の表面の前頭部が補強され、外部からの衝撃による帽体11の破壊を防止できる。
【0016】
帽体11には通気孔12が設けられる。通気孔12は、使用者の頭部に外気を通気させて、頭部の熱気を冷却する機能を有する。これにより、使用者は快適に各種作業を行うことができる。また、帽体11には固定ベルト13が設けられる。固定ベルト13は、ヘルメット1を使用者に固定させるものであり、伸縮性のある合成繊維やゴム等で作製される。バイザー本体部25には緩衝材22が設けられる。緩衝材22は、例えば、使用者がカメラ90(図5参照)で撮影するときに、バイザー20によってカメラ90に傷がつくのを防止するためのものである。緩衝材22は、ゴム等の弾性部材で作製されることが好ましい。
【0017】
[ヘルメット1の装着例]
次にヘルメット1の装着例について説明する。ヘルメット本体部15とバイザー20とは固定されていることを前提とする。図4に示すように、使用者は、各種作業をする際にヘルメット1を装着する。その際、固定ベルト13を使用者のあごに引っ掛けてヘルメット1を当該使用者に固定する。固定ベルト13は伸縮性のある合成繊維やゴムで構成されるので、締め付けの強いことによる使用者の不快感は解消される。
【0018】
図5に示すように、カメラ本体部91、ファインダ92、レンズ93等で構成されるカメラ90を用いて撮影を行う際、使用者がファインダ92を覗くとカメラ本体部91の上部が緩衝材22に接触すると共に、バイザー20が可動自在に取り付けられるので当該バイザー20は上方へ移動する。ヘルメット本体部15は使用者に固定されており安全が確保される。固定つまみ21がネジで構成されている場合には、使用者はファインダ92を覗く前に、当該固定つまみ21をまわして固定を解除させておく。
【0019】
このように、本実施の形態によるヘルメット1によれば、帽体11の表面の頭部に設けられるレール10と、そのレール10に可動自在に取り付けられ、帽体11の表面の頭部を補強するバイザー20とを備えるものである。これにより、バイザー20の取り付け位置を調整することができ、ヘルメット1からバイザー20を容易に脱着できる。また、帽体11の破壊を防止することができる。この結果、ヘルメットを脱いだり、ずらしたりせずに、撮影等の各種作業を安全に、かつ、迅速に行うことができる。
【0020】
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、前述のバイザー20に防護眼鏡の機能を設けたバイザー30について説明する。第2の実施の形態について、前述の実施の形態と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0021】
図6及び7に示すように、バイザー30は、固定つまみ21、固定金具23、ストッパ24、バイザー本体部25及び防護眼鏡31で構成される。
【0022】
防護眼鏡31は、バイザー本体部25に設けられる。防護眼鏡31は、ポリカーボネートやアクリル等のエンジニアリングプラスチック材料で形成されており、使用者の眼を保護する機能を有する。例えば、ボール盤で作業を行う際に、当該防護眼鏡31を備えるバイザー30を前述の実施の形態で説明したヘルメット本体部15に取り付けることで、安全に、かつ、迅速に作業を行うことができる。
【0023】
このように、本実施の形態によるバイザー30によれば、当該バイザー30をヘルメット本体部15に取り付けることができるので、使用者の眼を保護することができる。これにより、使用者の両耳に防護眼鏡を固定するわずらわしさが解消される。
【0024】
<第3の実施の形態>
本実施の形態では、前述のバイザー20に送風機能を設けたバイザー40について説明する。第3の実施の形態について、第1の実施の形態と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0025】
図8及び9に示すように、バイザー40は、固定つまみ21、固定金具23、ストッパ24、バイザー本体部25、電源の一例である乾電池26、送風機41及び電源スイッチ43で構成される。
【0026】
送風機41は、バイザー本体部25の裏面にネジ等で固定される。電源スイッチ43をONすることで、乾電池26から電気エネルギーが送風機41に供給され、送風機41の図示しないファンが回転して、使用者に向けて送風が出力される。例えば、周囲の環境温度が高いときに、当該送風機41を備えるバイザー40を前述の実施の形態で説明したヘルメット本体部15に取り付けて送風機41を駆動させることで、安全に、かつ、快適に各種作業を行うことができる。
【0027】
このように、本実施の形態によるバイザー40によれば、当該バイザー40をヘルメット本体部15に取り付けて送風機41を駆動させることができるので、熱中症や日射病を予防することができる。
【0028】
なお、乾電池26は、ヘルメット本体部15に設けてもよい。また、帽体11の表面に太陽電池を設けて、その太陽電池を電源としてもよい。
【0029】
<第4の実施の形態>
本実施の形態では、前述のバイザー20に照明機能を設けたバイザー50について説明する。第4の実施の形態について、第1の実施の形態と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0030】
図10及び11に示すように、バイザー50は、固定つまみ21、固定金具23、ストッパ24、バイザー本体部25、乾電池26、照明装置51及び電源スイッチ43で構成される。
【0031】
照明装置51は、白熱電球、LED、有機EL等の自発光性を有し、照明としての機能を有するものである。照明装置51は、バイザー本体部25にネジ等で固定される。電源スイッチ43をONすることで、乾電池26から電気エネルギーが照明装置51に供給され、照明装置51が点灯する。例えば、周囲の環境が暗いときに、当該照明装置51を備えるバイザー50を前述の実施の形態で説明したヘルメット本体部15に取り付けて照明装置51を駆動させることで、より安全に作業を行うことができる。
【0032】
このように、本実施の形態によるバイザー50によれば、当該バイザー50をヘルメット本体部15に取り付けて照明装置51を駆動させることができるので、暗所での作業性を向上させることができる。
【0033】
<第5の実施の形態>
本実施の形態では、前述のヘルメット1に照明機能及び冷却機能を設けたヘルメット2について説明する。第5の実施の形態について、第1の実施の形態と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0034】
図12及び13に示すようにヘルメット2は、バイザー20及びヘルメット本体部60で構成される。ヘルメット本体部60は、レール10、帽体11、固定ベルト13、ストッパ14、固定照明装置61及び冷却材挿入部62で構成される。
【0035】
冷却材挿入部62は、帽体11の裏面の後頭部に設けられ、後述する冷却材65を挿入可能である。冷却材挿入部62は、冷却材係合部63を備え、冷却材65が有する冷却材係合部64と係合して当該冷却材65をヘルメット本体部60に固定する。
【0036】
冷却材65には、例えば、高吸水性樹脂等が使用される。高吸水性樹脂は、高い吸水性を有した樹脂材料であり、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等で構成される。冷却材65は、冷却材挿入部62に挿入され、使用者の後頭部を冷却するようになされる。
【0037】
固定照明装置61は、白熱電球、LED、有機EL等の自発光性を有し、照明としての機能を有するものである。固定照明装置61は、帽体11に固定される。電源スイッチ66をONにすることで、図示しない乾電池から電気エネルギーが固定照明装置61に供給され、固定照明装置61が点灯する。例えば、周囲の環境が暑いとき及び暗いときに、当該固定照明装置61及び冷却材挿入部62を備えるヘルメット2を使用することで、より安全かつ、より快適に作業を行うことができる。
【0038】
このように、本実施の形態によるヘルメット2によれば、固定照明装置61及び冷却材挿入部62を備えるので、熱中症を予防し、暗所でも快適に作業を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、撮影機能や照明機能等の多機能を有するヘルメットに対して極めて好適である。
【符号の説明】
【0040】
1,2 ヘルメット
10 レール
11 帽体
12 通気孔
13 固定ベルト
14 第1のストッパ
15,60 ヘルメット本体部
20,30,40,50 バイザー
21 固定つまみ
22 緩衝材
23 固定金具
24 第2のストッパ
25 バイザー本体部
26 乾電池
31 防護眼鏡
41 送風機
43,66 電源スイッチ
51 照明装置
61 固定照明装置
62 冷却材挿入部
63,64 冷却材係合部
65 冷却材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帽体の表面の一部に設けられるレールと、
前記レールに可動自在に取り付けられ、前記帽体の表面の一部を補強するバイザーとを備えることを特徴とするヘルメット。
【請求項2】
前記レールには第1の固定手段が設けられ、
前記第1の固定手段は、
前記バイザーを前記レールに固定することを特徴とする請求項1に記載のヘルメット。
【請求項3】
前記バイザーには第2の固定手段が設けられ、
前記第2の固定手段は、
前記バイザーを前記レールに固定することを特徴とする請求項1又は2に記載のヘルメット。
【請求項4】
前記バイザーには、
少なくとも、防護眼鏡付バイザー、送風機付バイザー、照明付バイザーのうちいずれかが使用されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のヘルメット。
【請求項5】
前記帽体の裏面の他部には、
冷却材が挿入される冷却材挿入部が設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のヘルメット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−168711(P2010−168711A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14753(P2009−14753)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】