説明

ベッド用振動発生装置

【課題】 使用者が側臥する場合、又は使用者の体格の違いによっても振動が感じら、振動発生手段の共鳴を防止したベッド用振動発生装置を提供すること。
【解決手段】 ベッド1内に載置され使用者6に振動を付与する振動発生装置10であって、振動発生装置10は、使用者6に振動を与える振動板20と、振動板20に2つ設けられ同位相でベッドの上下方向に振動する振動子30と、振動子30の間の振動板20に設けられ、振動板20の共鳴を防止する4つの共鳴防止孔24を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド内に設けられる振動発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のベッドとして、ベッド床に床フレームを備え、この床フレームには使用者の頭部および胴部を支える前側受部と、使用者の脚部を支える後側受部とが分けて設けられ、前側受部は床フレーム上に支持される弾性体を有して床フレームの振動が弾性体により緩衝吸収されるようにされており、また後側受部は床フレーム上に緩衝材を介して支持される振動部材を有し、その振動部材には、これに振動を付与する振動発生手段が設けられ、この振動発生手段の振動は後側受部には伝わるが、前側受部へは伝わりにくいようにされているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、ベッド上に仰臥する人に対して、スピーカーにより高周波帯の音楽や音を再生して聴取させると共に、前記スピーカーで再生できない低周波帯の音を振動発生器で振動として再生し、末梢神経を刺激して体で感じさせてリラックス効果を与えるベッドがある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2007−37832号公報
【特許文献2】特開2000−233025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は使用者が仰臥した場合を想定したものであり、側臥する場合や、又は使用者の体格の違いによっては目的の振動が感じられない問題がある。また、振動発生手段の振動の周波数帯によっては、共鳴して使用者に不快感を与える問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、使用者が側臥する場合、又は使用者の体格の違いによっても振動が感じられ、振動発生手段の共鳴を抑制したベッド用振動発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ベッド内に載置され使用者に振動を付与する振動発生装置であって、前記振動発生装置は、使用者に振動を与える振動板と、前記振動板に少なくとも2つ以上設けられ同位相で同一方向に振動する振動子と、前記振動子の間の前記振動板に設けられ、前記振動板の共鳴を抑制する開口部と、を備える。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記振動発生装置は、使用者の膝と踵の間に載置される。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、前記開口部は前記振動板の中心に対して対称な位置に少なくとも2つ以上設けられる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明では、振動子からの振動は同位相で振動板に伝達され、振動板全体が同一位相、同一方向に振動するため、振動板全体(振動させたい範囲)に十分な振動を伝えることができる。よって使用者が側臥する場合や体格の違いによっても振動が感じられる。また、振動子の間の振動板には、振動板の共鳴を抑制する開口部が設けられるため、使用者に振動板の共鳴による不快感を与える問題を解決できる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明では、振動発生装置をベッド内の使用者の膝と踵の間の位置に設けるため、体格の違いによる問題を解決できる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、開口部を少なくとも2つ以上設けるため、開口部を1つだけ設ける場合と比較して、使用者と振動板が重複する面積を増やすことができ、多くの振動を使用者に与えることができる。また、開口面積も大きくとることが可能なため、共鳴防止の効果も大きい。また、開口部を振動板の中心に対して対称な位置に設けることで、振動板全体を均一に振動させる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の最良の実施形態を図面に基づき説明する。
【0013】
図1は、本発明の振動発生装置10を内部に備えたベッド1で、(a)はベッド1の正面図で使用者6が側臥状態、(b)はベッド1の側面図で使用者6が仰臥状態、を示す。ベッド1は、ベッド本体2と、ヘッドボード3と、第1マットレス4aと、第2マットレス4bから構成され、第2マットレス4bの下部には振動発生装置10が設けられる。振動発生装置10は、使用者6の膝7と踵8の間に載置される。振動発生装置10は、通常のベッド1の使用状態では、使用者6から見えない位置にある。
【0014】
図2は、振動発生装置10の振動板20の第1マットレス4aへの取付状態を示す分解斜視図である。第1マットレス4aには、2つの取付孔5が設けられ、振動子30(図3)が嵌合する。ベッド本体2にはスリット9が設けられ、振動子30へ電源を供給するケーブル32(図3)の断線防止及び異音発生防止の機能を奏する。
【0015】
図3は、振動発生装置10の分解斜視図である。振動発生装置10は、振動板20と、2つの振動子30から構成される。
【0016】
振動板20は、ABS樹脂材料から成り、振動子30を取り付けるためのナット21を有するフランジ22が設けられる。また振動子30を取り付けるフランジ22の間には、振動板20の中心23に対して対称な位置に4つの共鳴防止用孔24(開口部)が設けられる。
【0017】
振動子30は、振動板20のフランジ22にそれぞれ3つのボルト31で固定される。ボルト31には緩み止め剤が塗布されており、振動子30の振動による緩みを防止している。振動子30にはケーブル32が設けられ外部から電源が供給される。2つの振動子30は、フランジ22に固定された状態で同位相でベッド1の上下方向に振動する。
【0018】
図4は、振動発生装置10の配置の官能試験を示す説明図で、(a)はベッド1の正面図で使用者6が側臥状態、(b)はベッド1の側面図で使用者6が仰臥状態、を示す。ヘッドボード3から振動子30までの足先方向距離a(1485mm〜1685mm)、振動子30の足幅間隔b(200mm〜300mm)として、身長の異なる被験者6名(男性4人、女性2人)により寝姿勢が仰臥、側臥にて振動の感じ方を評価した。
【0019】
表1は官能試験結果である。官能試験により、足先方向距離aが1635mm、足幅間隔bが250mmに設定することで、成人の95%が仰臥、側臥にて振動を心地よく感じるとの結果が得られた。
【表1】

【0020】
本発明では、振動子30からの振動は振動板20に伝達され、振動板20全体が同一位相で上下方向に振動するため、振動させたい範囲内に十分な振動を伝えることができる。よって使用者6が側臥する場合や体格の違いによっても振動が感じられる。また、2つの振動子30の間の振動板20には、振動板20の共鳴を防止する共鳴防止孔24が4つ設けられるため、使用者6に振動板20の共鳴による不快感を与える問題を解決できる。
【0021】
また、振動発生装置10をベッド1内の使用者6の膝7と踵8の間の位置に設けるため、体格の違いによる問題を解決できる。
【0022】
また、共鳴防止孔24を4つ設けるため、使用者6と振動板20が重複する面積を増やすことができ、多くの振動を使用者6に与えることができる。また、共鳴防止孔24のトータルでの開口面積を大きくとることが可能なため、共鳴防止の効果も大きい。また、共鳴防止孔24を振動板20の中心に対して対称な位置に設けることで、振動板20全体を均一に振動させる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の振動発生装置を内部に備えたベッドで、(a)はベッドの正面図で使用者が側臥状態、(b)はベッドの側面図で使用者が仰臥状態、を示す。
【図2】振動発生装置の振動板のベッド本体への取付状態を示す分解斜視図である。
【図3】振動発生装置の分解斜視図である。
【図4】振動発生装置の配置の官能試験を示す説明図で、(a)はベッドの正面図で使用者が側臥状態、(b)はベッドの側面図で使用者が仰臥状態、を示す。
【符号の説明】
【0024】
1 ベッド
10 振動発生装置
20 振動板
24 共鳴防止孔(開口部)
30 振動子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド内に載置され使用者に振動を付与する振動発生装置であって、
前記振動発生装置は、
使用者に振動を与える振動板と、
前記振動板に少なくとも2つ以上設けられ同位相で同一方向に振動する振動子と、
前記振動子の間の前記振動板に設けられ、前記振動板の共鳴を抑制する開口部と、
を備えることを特徴とする振動発生装置。
【請求項2】
前記振動発生装置は、使用者の膝と踵の間に載置される、ことを特徴とする請求項1に記載の振動発生装置。
【請求項3】
前記開口部は前記振動板の中心に対して対称な位置に少なくとも2つ以上設けられる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の振動発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−82127(P2010−82127A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253556(P2008−253556)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】