説明

ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器、建築物および太陽熱利用システム

【課題】マンションなどのベランダに容易に設置可能であり、かつ意匠性も良いベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器およびこれを用いた太陽熱利用システムを提供する。
【解決手段】ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9は、透明層1と、空気層2を介して透明層1と対向して設けられた集熱層3と、集熱層3と接して設けられた断熱層4と、断熱層4の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた外筐7と、集熱層3に埋設された熱伝導層5と、集熱層3のうちの熱伝導層5に関して空気層2と反対側の部分に埋設された一つまたは複数の流体流路6とを有する。太陽熱利用システムは、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9と、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9で集熱された熱により加熱された湯を貯蔵する貯湯タンクとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を設置した建築物およびベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムに関し、例えば、集合住宅および一戸建てのベランダに設置する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
太陽熱集熱器は集熱部を有し、クリーンエネルギである太陽光により得られる熱を集熱可能に構成されており、ガス燃焼式給湯器やヒートポンプ式給湯器などと併用することでCO2排出などの環境負荷を低く抑えられる太陽熱利用温水システムなどに適用が可能である。
【0003】
従来、太陽熱集熱器は建物の屋根に設置する屋根設置型太陽熱集熱器が一般的であったが、この形態の太陽熱集熱器は、アパートやマンションなどの集合住宅の部屋においては個別の屋根が無いため設置は不可能であった。そこで、この問題点を解決するために集合住宅のベランダなどに容易に設置が可能な形態のベランダ設置型太陽熱集熱器および太陽熱利用システムが提案され開発が進められている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−185813号公報
【特許文献2】特開2001−330327号公報
【特許文献3】特開2002−106974号公報
【特許文献4】特開2009−92290号公報
【特許文献5】特開2010−151331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のベランダ設置型太陽熱利用システムは、太陽熱集熱器の設置において主としてベランダの手摺面の一部を集熱部の設置に利用する程度で、設置場所が限定されているのが現状である。また、ベランダの手摺などに太陽熱集熱器が設置され、ベランダの手摺の一部もしくは全体が占有されてしまうと、洗濯干しなどの日常生活におけるベランダの手摺の利用に支障が生じるという問題点があった。一方、外壁面に太陽熱集熱器を設置する場合においても、形状的に取り付けが困難であり、たとえ取り付けられたとしても意匠性が悪く、また安全性の高い設置状態とはいえなかった。また、従来の太陽熱利用システムの構成には、昼間に太陽熱をステンレス鋼製貯湯タンクで貯熱することが一般的であり、さらに上記貯湯タンク出口の湯の温度を制御するための電動弁および制御装置などが必要となり重量がかさみ、ベランダ設置が容易であるとはいえず、また、ベランダの構造上における安全の観点から重量物である太陽熱利用システムの設置は普及しているとはいえなかった。
【0006】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、例えば、太陽熱集熱器や太陽熱利用システムを集合住宅、戸建住宅などのベランダに設置する場合において、ベランダ下部壁面を利用して取り付けが可能で、かつ意匠性が良い、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器、このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を設置した建築物およびこのベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムを提供することである。ここで、ベランダとは、建物から外接して張り出した部分を一般的に指し、バルコニーも含むものとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は、
透明層と、
空気層を介して上記透明層と対向して設けられた集熱層と、
上記集熱層と接して設けられた断熱層と、
上記断熱層の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた外筐と、
上記集熱層に埋設された熱伝導層と、
上記集熱層および/または上記断熱層のうちの上記熱伝導層に関して上記空気層と反対側の部分に埋設された一つまたは複数の流体流路とを有するベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器である。
【0008】
また、この発明は、
少なくとも一つのベランダを有する建築物において、
透明層と、
空気層を介して上記透明層と対向して設けられた集熱層と、
上記集熱層と接して設けられた断熱層と、
上記断熱層の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた外筐と、
上記集熱層に埋設された熱伝導層と、
上記集熱層および/または上記断熱層のうちの上記熱伝導層に関して上記空気層と反対側の部分に埋設された一つまたは複数の流体流路とを有するベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器が、上記ベランダの下部壁面に設置されていることを特徴とする建築物である。
【0009】
また、この発明は、
ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器と、
上記ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器により加熱された流体を利用して加熱される被加熱流体を保持し、ベランダに設置される一つまたは複数のタンクとを有し、
上記ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器が、
透明層と、
空気層を介して上記透明層と対向して設けられた集熱層と、
上記集熱層と接して設けられた断熱層と、
上記断熱層の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた外筐と、
上記集熱層に埋設された熱伝導層と、
上記集熱層および/または上記断熱層のうちの上記熱伝導層に関して上記空気層と反対側の部分に埋設された一つまたは複数の流体流路とを有することを特徴とする太陽熱利用システムである。
【0010】
このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器においては、太陽光が透明層を透過し空気層を介して集熱層に入射することにより発生する熱が集熱され、集熱層において集熱された熱が熱伝導層を介して効率よく流体流路内を流れる流体に熱伝達されることにより熱交換が行われて流体が加熱され、この加熱された流体が流体流路によって外部に輸送され、利用される。
【0011】
透明層は、入射する太陽光の全てを透過する完全透明体である構成が最も望ましいが、太陽光に含まれる少なくとも一部の波長帯の光、好適には少なくとも可視領域から近赤外領域の波長帯の光を透過する限り、基本的にはどのようなものであってもよい。透明層の材質は樹脂製、ガラスなどの非晶質製のいずれでもよく、樹脂製であれば例えば、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、環状ポリオレフィンなどが好適であって、ガラスなどの非晶質製であれば、ソーダ石灰ガラス、カリガラス、石英ガラスなどが好適である。また、透明層は、上記材質などを組み合わせた多層構造であってもよく、ガラス繊維強化ポリエステルなどの複合材料であってもよい。また、受光面にコート材、フィルム、形状などにより反射を抑制する低反射機能の構成を有していてもよい。また、透明層の空気層に接する面に太陽光を散乱させる機構を有してもよく、例えば、透明層の空気層に接する面に太陽光に含まれる少なくとも一部の波長帯の光、少なくとも可視領域から近赤外領域の波長帯の光を散乱させる凹凸を設けた構成などが好適である。
【0012】
集熱層は入射する太陽光のエネルギーの全てを吸収するような完全黒体である構成が最も望ましいが、太陽光の輻射エネルギーを吸収する構成を有していれば、基本的にはどのようなものであってもよく、具体的には着色樹脂、黒色樹脂などが挙げられ、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネートなどに近赤外線吸収材料(インジウム錫化合物、アンチモン錫化合物など)を練りこんだ構成を有するものが特に好適である。
【0013】
熱伝導層は熱伝導率の高い材質であって、集熱層で集熱した熱エネルギーを効率的に熱伝導できる構成を有していれば基本的にはどのようなものであってもよく、具体的には金属材料などが挙げられ、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス鋼、銅、真鍮などが好適である。また、熱伝導層の表面側に近赤外吸収膜を形成してもよい。
【0014】
断熱層は、外部への集熱層からの熱の流出を遮断する構成を有していれば基本的にどのようなものであってもよく、形態は気体、液体、固体および混相体のいずれであってもよく、典型的には空気層で断熱層が形成される。また、熱を蓄熱する構成を併せ持ったものでもよく、断熱と蓄熱とを併せ持ったものには、例えば、顕熱蓄熱材、潜熱蓄熱材などがあり、顕熱蓄熱材であれば、例えば、ゴム、合成樹脂、伝熱セメント、コンクリート、水、シリコンオイルなどが好適であって、潜熱蓄熱材であれば、例えば、塩化カルシウム水和物、硫酸ナトリウム水和物、チオ硫酸ナトリウム水和物、酢酸ナトリウム水和物、パラフィンなどが好適である。また、潜熱蓄熱材を顕熱蓄熱材に混合した構成も有効で、例えば、パラフィンをゴム、合成樹脂などに練りこみ、板状に成形した構成を有するものであってもよい。
【0015】
外筐は、断熱層の表面の少なくとも一部を覆うように設けられている構成を有していれば基本的にはどのようなものでもよいが、断熱層の全体を覆っている形態を有する構成が最も好ましく、外壁などの平面部に対する設置部を別体として取付ける取付け部を有する構成、もしくは設置部を一体に成形してなる構成、外筐の端部を設置部とする構成を有していてもよい。また、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を相互に連結可能な目地構造および太陽熱による熱収縮により歪みが生じず建築的な意匠パネルと容易に接続できる連結部を有する構成を別体として取付ける取付け部を有する構成、もしくは設置部を一体に成形してなる構成を有していてもよい。外筐の材質は耐腐食性、耐熱性、耐衝撃性、耐光性などが高い材質であることが特に好ましく、具体的には合成樹脂、複合材料などが挙げられ、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ガラス繊維強化ポリエステルなどが好適である。
【0016】
ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器の設置構造はベランダの下部壁面に設置が可能な構成を有していればどのようなものであってもよいが、特に、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を相互に連結した場合において設置面が一様になるような設置構造を設ける構成が好適である。
【0017】
連結部はベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を相互に連結可能な構成を有していれば、基本的にどのようなものであってもよいが、外筐と一体に形成されており、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を相互に連結した場合において設置面が一様になるよう、連結部の両端部は設置面と垂直な方向に設置面と干渉しない程度にそれぞれ逆方向に折り曲げられたかぎ形形状を有する構成が好適である。連結部の形状は両端部を相互に逆方向に折り曲げられた形状に限られず、例えば、一方の連結部を両端が開放された円筒とし、他方の連結部を上記円筒内に挿入可能な円柱とし相互に連結可能にする構成、連結部に相互に噛み合わせを設けて相互に連結可能する構成であってもよい。また、壁面における意匠化粧パネルなどとの取り合いとも連結が容易に可能である構造を有してもよい。
【0018】
また、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を相互に連結する形態は、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を相互に連結する形態を有する限りにおいては基本的にはどのような形態であってもよく、例えば、連結部同士を相互に連結する形態、一方の連結部を他方の外筐に直接連結する形態などが挙げられ、特に、連結部と外筐とを相互に直接連結する形態が好適である。連結部と外筐とを相互に直接連結する場合、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器の連結時において設置面を一様にするために一方の連結部を設置面から透明層に向かう方向に外筐をえぐる形態でオフセットして設け、他方の連結部は設置面と同一の面に設けられ、オフセットして設けられた一方の連結部が他方のベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器の外筐に直接接続できるように外筐の端部をえぐった窪み形状を有する構成としてもよい。
【0019】
流体流路は、流体が流れる形態を有している限り基本的にはどのようなものあってもよく、断面形状、断面の大きさ、引き回し形状などは必要に応じて決定することができる。流体流路は、例えば、集熱層、断熱層あるいは断熱層が固体の断熱材で充填されていれば集熱層と断熱層とに跨る領域に貫通孔を設けて構成してもよいし、上記貫通孔に管を挿入することにより形成してもよい。管の材質は特に使用する流体に対して耐腐食性を持ち、耐熱性が高く、温度変化に安定で熱伝導性が高い物質材料であって、耐圧性が高く圧力損失の低い構成を有しているものが好適であり、典型的にはアルミニウム管、アルミニウム合金管、銅管、ステンレス鋼管などの金属管が使用されるが、これらに限定されず、樹脂管、複合材料管でもよく、使用する流体によって適宜設計選択される。
【0020】
流体流路を流れ、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器において熱交換される流体は、液体、気体のいずれでもよく、例えば、水、不凍液、オイル(油)、空気などが好適であるが、これらに限定されず、流動性を有する物質であればどのようなものであってもよい。ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムにおける熱交換による熱の授受を行う流体は、それぞれベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムの用途に応じて適宜選ばれる。例えば、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムを給湯機に適用する場合には、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器で集熱された熱を熱交換によって受け渡す流体は不凍液であって、熱を熱交換によって受け取る流体は水または湯である。
【0021】
このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器は、従来公知の技術によって製造することができ、必要に応じて製造方法が選択される。例えば、多層異形押し出し装置を用いた多層異形押し出し法による押し出し成形により製造する方法が好適である。具体的には、熱伝導層などの金属を芯材とし、透明層、集熱層、熱伝導層および外筐を構成する多種の樹脂材を同時に押し出し成形し、樹脂材、アルミ材などの多種の材料を線状に、空気層、流体流路も含め一体に形成する。上記形成物は所望の寸法となるように長手方向の端部を裁断され本体部を形成した後に、本体部の開放された流体流路の両端部を、予め射出成形機等で流路を成形した異形樹脂部材である端部と接合することで繰り返し折れ曲がった引き回し形状を形成した流体流路となり、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器となる。
【0022】
少なくとも一つのベランダを有する建築物は、典型的にはアパート、マンションなどの集合住宅であるが、これに限られず、少なくとも一つのベランダを有する建築された構造物であれば基本的にどのようなものであってもよく、例えば、戸建住宅、ビルディング、駅舎、校舎、病院、工場などであってもよい。
【0023】
このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムは、例えば、貯湯タンクを備えたベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムである。この貯湯タンクには、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器の流体流路内に水または湯を流すことにより熱交換して得られる湯が貯蔵される。貯湯タンクの壁の材料や構成は必要に応じて選ばれ、従来公知のものを用いることができる。貯湯タンクの耐圧性を確保しつつ、軽量性の向上を図る観点から、好適には、貯湯タンクの壁は、ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる内層と、ポリアミド樹脂からなり上記内層の外方に設けられる外層と、ポリフェニレンエーテル系樹脂およびポリアミド樹脂を含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなり、上記内層と上記外層との間に位置する中間層とを有する多層構造体から構成される。最も好適には、貯湯タンクの壁の厚さは7mm以上であり、上記内層、上記中間層、上記外層の厚さ比率は、内層:中間層:外層=4:1:5〜8:1:1の範囲である。
【0024】
このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムは、好適には、被加熱流体の温度調整システムを有する。この温度調整システムは、例えば、被加熱流体を供給する供給部と、下層側から供給される被加熱流体を保持して上層側から排出するタンクと、タンクに供給された被加熱流体を加熱する主加熱部と、タンクに設置され、被加熱流体の供給に伴ってタンク内の下層側から上層側へ遷移するとともに低温域と高温域とを区分けする温度境界を検知する検知部と、タンクから排出された被加熱流体を設定温度に加熱する補助加熱部と、タンクと補助加熱部とを接続して、タンクから排出された被加熱流体を補助加熱部へ導く第1ラインと、第1ラインの途上に設置され、タンクから排出された被加熱流体と供給部から供給される被加熱流体とを混合調整して、タンクから排出された被加熱流体の温度を、供給部から供給される被加熱流体の温度よりも高く、かつ、設定温度よりも低い第1温度に調整する第1調整弁と、第1ラインの途上における第1調整弁と補助加熱部との間に設置され、第1温度に調整された被加熱流体と供給部から供給される被加熱流体とを混合調整して、補助加熱部に導かれる被加熱流体の温度を調整する第2調整弁と、タンクから排出され第1調整弁へ導かれる被加熱流体の温度に基づいて第1調整弁を作動させる第1制御部と、検知部が温度境界を検知したときに第2調整弁を作動させる第2制御部と、供給部と第1調整弁とを接続して、供給部から第1調整弁へ被加熱流体を導く第2ラインと、供給部と第2調整弁とを接続して、供給部から第2調整弁へ被加熱流体を導く第3ラインとを有し、第2制御部は、検知部が温度境界を検知したときに第2調整弁の作動を開始して、第1温度に調整された被加熱流体と第3ラインから導かれる被加熱流体とを混合調整するものである。また、加熱流体、被加熱流体は水に限定されず、流動性のある構成を有するものであればどのようなものであってもよい。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、例えば、太陽熱集熱器や太陽熱利用システムを集合住宅、戸建住宅などのベランダに設置する場合において、ベランダ下部壁面を利用して取り付けが可能で、かつ意匠性が良い、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器およびこのベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の第1の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を示す断面図および平面図である。
【図2】この発明の第1の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器の製造装置を示す略線図である。
【図3】この発明の第1の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器の設置例を示す断面図である。
【図4】この発明の第1の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器の他の設置例を示す断面図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を示す断面図および平面図である。
【図6】この発明の第3実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を示す断面図である。
【図7】この発明の第4の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムを示す略線図である。
【図8】この発明の第4の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムの設置例を示す略線図である。
【図9】この発明の第4の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムの設置例を示す断面図である。
【図10】この発明の第5の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムにおいて用いられる貯湯タンクを示す略線図である。
【図11】この発明の第6の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムを示す略線図である。
【図12】この発明の第6の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムを示す略線図である。
【図13】この発明の第6の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムを示す略線図である。
【図14】この発明の第6の実施の形態による太陽熱利用システムにおいて用いられるプレートおよび検知部を示す略線図である。
【図15】この発明の第6の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムにおける補助加熱部の入口における被加熱流体の温度変化を示す略線図である。
【図16】この発明の第6の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムにおける補助加熱部の出口における被加熱流体の温度変化を示す略線図である。
【図17】この発明の第6の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムの変形例に係る検知部を拡大して示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という)について説明する。
第1の実施の形態
図1AおよびBは、第1の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を示す。図1Bはベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器の平面図であり、図1Aは図1BのA−A’線に沿っての断面図である。
図1AおよびBに示すように、このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9は、透明層1、空気層2、集熱層3、断熱層4、熱伝導層5、流体流路6および外筐7とからなる本体部9aと、外筐7、断熱層4、流体流路6および接続部であるジョイント8からなる端部9bと、外筐7、断熱層4および流体流路6からなる端部9cとを接合してなる全体として長尺の長方形の平面形状を有するパネル状に構成されている。透明層1は空気層2を介して集熱層3と対向して設けられている。透明層1の外周部はこの透明層1の面に対して垂直に折れ曲がっており、この折れ曲がった部分が集熱層3と一体になっている。透明層1と集熱層3とにより囲まれた空間が空気層2を構成している。熱伝導層5は集熱層3の空気層2の側の部分に空気層2と平行に埋設されている。断熱層4は集熱層3の表面のほぼ全てを覆う形で接して設けられている。集熱層3には、熱伝導層5に関して空気層2と反対側の部分に少なくとも1本の流体流路6が埋設されている。外筐7は断熱層4の全体を覆っている。流体流路6は断面形状が長方形に形成され、本体部9aと、端部9bと、9cとを接合することで流体流路6が繰り返し折れ曲がった引き回し形状を形成している。流体流路6の両端部は、端部9bにおける本体部9aと端部9bとの接合面と垂直な一方の外面に設けられており、流体流路6の両端部には外部流路との接続バルブであるジョイント8が設けられている。
【0028】
外筐7の長手方向に垂直な方向の両端部には、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9を相互に連結するための連結部7a、7bが設けられている。連結部7a、7bは外筐7と一体に形成されている。連結部7aはベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9の面に平行であり、連結部7bは連結部7aに対して垂直に折れ曲がっている。外筐7の長手方向に垂直な方向の一端部の連結部7bと他端部の連結部7bとは連結部7aに対して互いに逆方向に折り曲げられている。二つのベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9を相互に連結する場合には、一方のベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9の一端部の連結部7a、7bを他方のベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9の一端部の連結部7a、7bにより形成された空間7cにそれぞれ挿入する。
【0029】
透明層1、集熱層3、断熱層4、熱伝導層5および外筐7の材料は既に挙げた材料の中から必要に応じて選ばれる。透明層1、空気層2、集熱層3、断熱層4、熱伝導層5、流体流路6および外筐7の形状や寸法などは必要に応じて選ばれる。
【0030】
透明層1、集熱層3、断熱層4、熱伝導層5および外筐7の材質の一例を挙げると、透明層1はポリカーボネート、集熱層3は着色樹脂、断熱層4は空気層、熱伝導層5はアルミニウム板(例えば、厚さ0.5mm)、外筐7はポリ塩化ビニル樹脂である。また、流体流路6を流れる流体は不凍液である。また、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9の寸法の一例を挙げると、設置面に垂直な方向の長さ(厚さ)が20mm、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9の長手方向に垂直な方向の幅が100〜200mmである。
【0031】
このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9の動作について説明する。
透明層1を透過した太陽光は、空気層2を介して集熱層3に入射して熱に変換され、集熱される。集熱された熱の一部は熱伝導層5を介して流体流路6内を流れる流体に伝熱され、流体が加熱される。断熱層4に蓄熱材が充填されている場合は、集熱層3に集熱された熱の一部は断熱層4に蓄熱される。こうして加熱された流体流路6内の流体は、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9の外部に接続されたポンプなどで輸送され、外部機器などに利用される。
【0032】
このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9は従来公知の技術によって製造することができるが、樹脂および金属を用いた異形押し出しによって製造すると高い生産性で製造することができる。特に複数台の単軸押し出し機からなる多層異形押し出し装置を用いた多層異形押し出し法による押し出し成形が好適である。具体的には図2に示すような単軸スクリュー押し出し機14a、14bおよび14cを備えた多層異形押し出し装置11を用いて、熱伝導層5を芯材として多層異形押し出し装置11のダイス12にセットし、これと同時に透明層1を構成する樹脂13a、集熱層3を構成する樹脂13bおよび外筐7を構成する樹脂13cを、それぞれ単軸押し出し機14a、14bおよび14cによって、熱伝導層5の周囲に矢印の方向に押し出し成形をする。樹脂13a、13bおよび13cは予めヒータなどで加熱されており、スクリュー15a、15bおよび15cで押し出し、ダイス12の口金にて図1Aに示すような断面形状に成形される。成形され押し出された樹脂13a、13bおよび13cは冷却され硬化し、硬化した異形樹脂部材は、裁断機によって所望の寸法に裁断され本体部9を形成する。端部9aおよび9bは予め射出成形機などで形成され、本体部9aの両端を端部9bおよび9cと接合することで、流体流路6が繰り返し折れ曲がった引き回し形状を形成し、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9となる。
【0033】
このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9の設置例について説明する。
図3はマンションの外壁21に複数のベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9を高さ方向に連結して設置する例を示す。各ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9は、外壁21にボルト23aで固定されたアングル22aと、外筐7の連結部7aにボルト23cで取り付けられているアングル22bとをボルト23bで締結することにより外壁21に固定される。ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9同士は外筐7の連結部7a、7bを利用して相互に連結される。
【0034】
図4はマンションのベランダ24の下部壁面(スラブ壁面)25にベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9を設置する例を示す。下部壁面25は上面に手摺26が設置されているベランダ手摺下部壁面である。下部壁面25にはアングル27aがボルト28aによって固定されている。また、アングル27bがボルト28cによってベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9の連結部7aに固定されている。アングル27aおよび27bがボルト28bによって固定されることで、下部壁面25にベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9が設置される。下部壁面25の上面には意匠パネル29が設置されている。この意匠パネル29は外筐7の連結部7a、7bと同様な形状を有する部分29a、29bを有し、これらの部分29a、29bが外筐7の連結部7a、7bと連結している。
【0035】
この第1の実施の形態によれば、長尺で薄型のパネル状のベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9を得ることができる。このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9は、上述のように、例えばマンションのベランダの下部壁面25に容易に設置が可能である。また、連結部7a、7bを利用することにより、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9を容易に相互に連結可能である。また、ベランダ下部壁面25における意匠パネル29との取り合いも容易であるので、ベランダ下部壁面25にベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9を設置したとしても、ベランダ下部壁面25と一体をなす形で設置されるのでベランダ下部壁面の意匠性を損なうことがない。さらに、外筐7の連結部7a、7bの係合によりベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9同士を連結することができるので、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9が太陽熱により熱収縮してもひずみが生じるのを防止することができる。
【0036】
第2の実施の形態
図5AおよびBは、第2の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9を示す。図5Bはベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9の平面図であり、図5Aは図5BのB−B’線に沿っての断面図である。
図5AおよびBに示すように、このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9は、流体流路6の両端部がベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9の端部9bにおける本体部9aと端部9bとの接合面と平行な外面に設けられていることが、第1の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9と異なる。その他のことは第1の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9と同様である。
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0037】
第3の実施の形態
図6A、BおよびCは、第3の実施形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9を示す。図6A、BおよびCはベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9の断面図である。
ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9を垂直面であるベランダ下部壁面に設置する場合、図6AおよびBに示すように、太陽高度は年間を通して変化するので、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器9の透明層1への太陽光の入射角は、例えば、東京(北緯35°)においては冬季では図6Bに示すとおり南中で32°であるのに対し、夏季においては図6Aに示すとおり南中で78°となり入射角が大きいため、全反射する太陽光が相対的に増加することで集熱層3に到達する太陽光は減少する。
【0038】
そこで、この第3の実施の形態においては、透明層1の空気層2に接する面に、図6Cの破線部拡大図に示すように、太陽光を散乱させる凹凸1aを設ける。こうすることで、透明層1への太陽光の入射角が大きくても、透明層1の空気層2に接する面で散乱されることにより、集熱層3に到達する太陽光の減少を低く抑えることができる。透明層1の空気層2に接する面に太陽光を偏光させる機能を備えさせ、透明層1の空気層2と接する面と逆側の面の表面にコーティング材をコーティングすることで低反射・高透過性を得ることもでき、これらを組み合わせてもよい。
【0039】
この第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点に加えて、例えば、透明層1に対する太陽光の入射角が大きい夏季の南中時においても、太陽熱を十分に利用することができるという利点を得ることができる。
【0040】
第4の実施の形態
図7はこの発明の第4の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムを示す。このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムは、第1〜第3の実施の形態のいずれかのベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器と貯湯タンクとを組み合わせたベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムである。
図7に示すように、このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムは、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器40に設けられた二つのジョイントにそれぞれ配管42が接続されている。これらの配管42には温度センサー41が取り付けられており、配管42を流れる不凍液の温度を測定することができるようになっている。一方の配管42は循環ポンプ43の吐出口と接続されている。循環ポンプ43は、太陽光パネル43aで発電される電力によって駆動することができ、あるいは太陽光パネル43aの出力に応じて制御することができるようになっている。他方の配管42は熱交換器である主加熱部44の入口と接続されている。主加熱部44の出口とポンプ43の吸込口とは配管42によって接続されている。配管42にはリザーブタンク45と接続され、このリザーブタンク45から必要に応じて不凍液を補充することができるようになっている。配管42は不凍液が流れる流体配管である。
【0041】
主加熱部44は貯湯タンク46に貯蔵された水道水を加熱可能な形態で内部に設置されている。貯湯タンク46は、軽量化のために、好適には樹脂により形成されるが、これに限定されるものではない。貯湯タンク46の上部の出口には配管47aが接続されている。貯湯タンク46の側面の上部、中央部、下部には温度センサー41が取り付けられている。配管47aにも温度センサー41が取り付けられている。配管47aには電動三方弁からなる調整弁48が設けられ、その下流には補助加熱装置49が配管47aによって接続されている。調整弁48は制御装置48aによって制御することができるようになっている。調整弁48は、バイパス配管47bによって、貯湯タンク46の底部の入口に接続された給水配管47cと接続されている。給水配管47cにも温度センサー41が取り付けられている。補助加熱装置49で加熱された水は出湯配管47dによって外部に供給される。出湯配管47dにも温度センサー41が取り付けられている。主加熱部44、貯湯タンク46、補助加熱装置49などによって給湯器50が構成される。
【0042】
このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムの動作について説明する。
循環ポンプ43から吐出された不凍液は、配管42を通りベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器40に入り、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器40で熱を吸収し加熱された不凍液は、配管42を介して熱交換器である主加熱部44に供給される。この不凍液は、貯湯タンク46内の水道水と熱交換を行って熱を放出した後に循環ポンプ43に吸入され、再び循環ポンプ43から吐出されることにより強制的に循環される。
【0043】
貯湯タンク46には底部に接続された給水配管47cにより外部から水道水が給水され、上部に接続された出湯配管47aによって調整弁48および補助加熱装置49を介して給湯配管47dによって外部に給湯される。
【0044】
貯湯タンク46に貯蔵される温水の温度が所望の温度であれば、出湯配管47aを通り調整弁48および補助加熱装置49を介しそのまま外部に供給されて使用される。貯湯タンク46に貯蔵される温水の温度が所望の温度よりも低い場合は主加熱部44により貯湯タンク46に貯蔵される温水を更に加熱することで、もしくは所望の分量の温水を貯湯タンク46から出湯配管47aを通り調整弁48を介して補助加熱装置49に送り、補助加熱装置49で所望の温度となるまで加熱してから外部に供給される。貯湯タンク46に貯蔵される湯の温度が所望の温度よりも高い場合は、給水配管47cに供給される水道水を貯湯タンク46の底部から内部に導入して貯湯タンク46の内部の温水と混合することにより温度調整が行われ、もしくは所望の分量の温水を貯湯タンク46から出湯配管47aを通り調整弁48を介して補助加熱装置49に送り、温水が調整弁48を通る際に給水配管47cに供給される水道水をバイパス配管47bを介して混合することにより温度調整が行われ、湯の温度が所望の温度とされる。
【0045】
また、調整弁48の制御により、貯湯タンク46から供給される温水と、給水配管47cから供給される水道水とを混合することで、補助加熱装置49の流入口の温度制御を行うことができる。具体的には、温度センサー41と制御装置48aとにより電動三方弁である調整弁48を制御して補助加熱装置49の給水口温度を制御することにより、補助加熱装置49の給水口温度が急激に変動することによる出湯温度のハンチング現象や、最小加熱による温度上昇が比較的大きいことから起きる給水温度が給湯温度に近い場合における給湯温度の設定値越えなどの発生を防止することが可能となる。
【0046】
図8および図9は、このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムをマンションなどの集合住宅のベランダに設置した一例を示す。
図8に示すように、このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムにおいては、長尺で薄型のパネル状のベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器40が、手摺52が設置されているベランダ51の下部壁面(スラブ壁面)53に設置されている。
【0047】
図9は図8のC−C’線に沿っての断面図(拡大図)である
図9に示すように、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器40がベランダ51における手摺52の下部壁面53に設置され、主加熱部44、貯湯タンク46、補助加熱装置49などによって構成される給湯器50はベランダ51に設置されている。配管42の一部はベランダ51内部に埋設される形で設置されている。
【0048】
この第4の実施の形態によれば、マンションのベランダに容易に設置可能なベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムを実現することができる。この場合、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器40をベランダ51の下部壁面53に設置することにより、ベランダ51の手摺52の一部もしくは全体が太陽熱集熱器によって占有されてしまうということがなく、日常生活におけるベランダ51の手摺52の利用に支障が生じることがない。しかも、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器40は長尺で薄型のパネル状に構成され、ベランダ下部壁面設置に特化されているので、従来の太陽熱集熱器をベランダ下部壁面に設置する場合に比べて安全に設置が可能で意匠性も良い。また、貯湯タンク46を軽量の樹脂タンクにより構成することにより、従来のステンレスタンクに比べて大幅な軽量化が可能となるため、ベランダ51に設置する際の作業が容易となり、一般的な集合住宅のベランダに容易に設置することが可能である。
【0049】
第5の実施の形態
この発明の第5の実施の形態においては、第4の実施の形態における貯湯タンク46として、図10に示すものを用いる。
図10に示すように、この貯湯タンク46は、壁が、ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる内層46aと、ポリアミド樹脂からなり内層46aの外方に設けられる外層46bと、ポリフェニレンエーテル系樹脂およびポリアミド樹脂を含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなり、内層46aと外層46bとの間に位置する中間層46cとを有する多層構造体から構成される。こうすることで、貯湯タンク46の耐熱性および耐圧の向上を図ることができるだけでなく、壁が樹脂により構成されているため貯湯タンク46の軽量化を図ることができる。好適には、この貯湯タンク46の壁の厚さは7mm以上であり、内層46a、中間層46c、外層46bの厚さ比率は、内層:中間層:外層=4:1:5〜8:1:1の範囲であり、最も好適には内層:中間層:外層=6:1:3である。例えば、壁の厚さが7mm、内層46a、中間層46c、外層46bの厚さ比率が6:1:3である時、87℃での耐圧は1.0MPaとなり、一般水道圧0.5MPaに対し安全係数2を確保することができる。
【0050】
この第5の実施の形態によれば、第4の実施の形態と同様な利点に加えて、貯湯タンク46の耐熱化、高耐圧化および軽量化を図ることができ、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システム全体の軽量化を図ることができるという利点を得ることができる。
【0051】
第6の実施の形態
図11はこの発明の第6の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムの全体構成、図12はこのベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムの温度調整システムを含む要部を示す。このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムは、第1〜第4の実施の形態のいずれかのベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器と貯湯タンクとを組み合わせ、さらに外部に供給する湯の温度調整システムを設けたベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムである。
図11および図12に示すように、このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムは、ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器60に設けられた二つのジョイントにそれぞれ配管62が接続されている。これらの配管62には温度センサー61が取り付けられており、配管62を流れる不凍液の温度を測定することができるようになっている。一方の配管62は循環ポンプ63の吐出口と接続されている。循環ポンプ63は、太陽光パネル63aで発電される電力によって駆動することができ、あるいは太陽光パネル63aの出力に応じて制御することができるようになっている。他方の配管62は熱交換器である主加熱部140の入口と接続されている。主加熱部140の出口と循環ポンプ63の吸込口とは配管62によって接続されている。配管62はリザーブタンク65と接続され、このリザーブタンク65から必要に応じて不凍液を補充することができるようになっている。配管62は不凍液が流れる流体配管である。このベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器60を用いた太陽熱利用システムは、温度調整システムを有する給湯器110を有する。
【0052】
温度調整システムを有する給湯器110(以下「温度調整システム110」とする)の詳細を図12〜図14を参照して説明する。
供給部120から供給された被加熱流体fは、貯湯タンク130の下層側135(図中のタンク下側)に位置する入口131から貯湯タンク130内部に流れ込む。貯湯タンク130内部に設けられた主加熱部140は、被加熱流体f1を加熱する。加熱された被加熱流体f1は、貯湯タンク130の上層側137(図中のタンク上側)に位置する出口133から排出させ、第1ライン171を介して補助加熱装置150に流し込む。本実施の形態において、貯湯タンク130の下層側135とは、貯湯タンク130内に供給された被加熱流体f1が滞留し始める貯湯タンク130の下部側であり、貯湯タンク130の上層側137とは、貯湯タンク130内に供給された被加熱流体f1が排出される出口133が設けられた貯湯タンク130の上部側のことである。
【0053】
第1ライン171には、流体用の配管を利用している。配管には、流体の導流に一般的に利用される鋼管等を適宜選択することができる。第1ライン171上における第1調整弁180と第2調整弁190との間には、被加熱流体f3の逆流を防止するための逆止弁125を設けている。
【0054】
主加熱部140は、貯湯タンク130内に保持された被加熱流体f1を加熱して温度を制御する。主加熱部140には、流体を加熱するために用いられるヒータを利用することが可能である。ヒータには、例えば、ヒートポンプ式熱交換システムや、ソーラー式熱交換システム、排熱利用式システム等に組み込まれた循環式の熱交換器等を利用することが可能である。貯湯タンク130内に供給された被加熱流体f1は、主加熱部140によって90℃程度まで加熱している。貯湯タンク130内が満水状態になった場合には、設定された90℃を維持するように保温を行う。主加熱部140が調整する被加熱流体f1の温度は、使用用途に応じて適宜変更することが可能である。
【0055】
補助加熱装置150は、第1ライン171を介して貯湯タンク130から導かれる被加熱流体f4を、ユーザーが望む設定温度に加温調整して提供する。補助加熱装置150は、第1ライン171から導かれた被加熱流体f4の温度を入口温度として検知する。第1ライン171の途上に配置された第1調整弁180、および所定の条件で作動する第2調整弁190によって混合調整された被加熱流体f4が補助加熱装置150の入口151へ導かれる。補助加熱装置150の入口151で検知された被加熱流体f4の温度が設定温度よりも低い場合には、設定温度まで加温調整する、加温調整させた被加熱流体f5は、補助加熱装置150の出口153から排出させて、ユーザーに提供する。補助加熱装置150には、例えば、ユーザーによって直接温度設定が可能な公知の給湯器用ヒータ等を利用することが可能である。
【0056】
供給部120は、温度調整システム110内の貯湯タンク130、第1調整弁180、および第2調整弁190のそれぞれに被加熱流体fを供給する。被加熱流体fには、例えば、常温の上水を利用することが可能である。被加熱流体fの種類、および共有時の温度等は、温度調整システム110の使用目的に応じて適宜変更することが可能であり、特に限定されるものではない。
【0057】
供給部120から貯湯タンク130への被加熱流体fの供給には、タンク用ライン174を利用する。タンク用ライン174は、供給部120から延びて貯湯タンク130の下端部に接続されている。このため、供給部120から貯湯タンク130へ被加熱流体fを供給すると、貯湯タンク130内の下層側135から上層側137へ被加熱流体fが徐々に満たされる。
【0058】
供給部120から第1調整弁180への被加熱流体fの供給には、タンク用ライン174から分岐する第2ライン172を利用する。供給部120から供給された被加熱流体fは、第2ライン172を介して、第1ライン171の途上に設けられた第1調整弁180へ導かれる。第1調整弁180へ供給する被加熱流体fの流量は、第1制御部185によって制御する。
【0059】
供給部120から第2調整弁190への被加熱流体fの供給には、第2ライン172から分岐する第3ライン173を利用する。供給部120から供給された被加熱流体fは、第3ライン173を介して第1調整弁180と補助加熱装置150との間に設けられた第2調整弁190へ導かれる。第2調整弁190へ供給する被加熱流体fの流量は、第2制御部195によって制御する。
【0060】
第2ライン172、第3ライン173、およびタンク用ライン174には、流体用の配管を利用している。配管には、流体の導流用に一般的に利用される鋼管等を適宜選択することが可能である。
【0061】
供給部120は、ユーザーによる貯湯タンク130内の被加熱流体f1の使用に伴って、使用量に応じた量の被加熱流体fを貯湯タンク130に随時供給する。主加熱部140によって90℃まで加熱した被加熱流体f1を単位時間当たりに大量に使用すると、貯湯タンク130内には90℃の被加熱流体f1と供給部120から供給された比較的低温の被加熱流体fとによって温度境界bが形成される。この温度境界bは、下層側135から供給された被加熱流体fによって形成される低温域a1と、低温域a1よりも上層側137に位置する加熱された90℃の被加熱流体f1によって形成される高温域a2とを区分けするものである。単位時間当たりにおける被加熱流体の大量使用が続くと、高温域a2の被加熱流体の残量が低下し、低温域a1の被加熱流体の量が増加する。温度境界bは、下層側135から徐々に上層側137へ遷移する。使用がさらに続くと、温度境界bが貯湯タンク130の出口まで到達し、貯湯タンク130から排出される被加熱流体f2の温度が急激に低下する湯切れが発生する。湯切れ状態になった場合においても、主加熱部140による加熱は継続して行われる。単位時間当たりにおける被加熱流体f1の使用量が減少すると、貯湯タンク130内の被加熱流体f1の加熱が進み、タンク内には90℃の被加熱流体が再び満たされることになる。
【0062】
貯湯タンク130の外壁139には、貯湯タンク130内に保持された被加熱流体f1の温度を検知する検知部160を設置している(図14を参照)。検知部160には、ガスを封入した感温筒を利用している。検知部160は、貯湯タンク130内の被加熱流体f1から貯湯タンク130の外壁139に伝わった熱量を取得する。この熱量に基づいて被加熱流体f1の温度境界bを検知する。検知部160は、温度境界bを検知すると、封入したガスを凝縮させて液化させる。この液体は、キャピラリチューブ163を介して第2制御部195へと圧送される。第2制御部195は、検知部160が温度境界bを検知したことをトリガーとして、第2調整弁190の作動を開始する。検知部160が検知する温度境界の閾値や、温度境界を形成する低温域の温度、および高温域の温度等は、特に限定されるものではなく、任意の値に設定することが可能である。また、検知部160として利用される感温筒の外形形状や、内部に封入されるガスの種類等は、特に限定されるものではなく公知のものを適宜利用することが可能である。
【0063】
第1ライン171の途上に設けられた第1調整弁180には、貯湯タンク130の側から見て上流側に位置する第1口181と、供給部120から供給された被加熱流体fを受け入れる第2口182と、貯湯タンク130の側から見て第1口181よりも下流側に位置する第3口183とを備えた三方弁を利用している。第1調整弁180は、貯湯タンク130から排出された被加熱流体f2と、供給部120から供給された被加熱流体fとを混合調整して、貯湯タンク130から排出された被加熱流体f2を所定の第1温度に調整する。第1温度に調整した被加熱流体f3は第3口183から排出させて、第1ライン171に流し込む。
【0064】
一般的に、家庭の浴槽等において湯水を使用する場合には、ユーザーは40〜43℃程度に温度調整して使用する。上記の温度調整システム110にあっては、貯湯タンク130において90℃程度まで被加熱流体f1を加熱させて保持した後、第1調整弁180によって35℃程度まで低下させる。最終的に、補助加熱部150を使用して設定温度である40〜43℃程度まで加温調整する。この40〜43℃に加温調整した被加熱流体f5をユーザーに提供する。貯湯タンク130から排出した被加熱流体f2の温度を一旦第1温度まで低下させることによって、補助加熱装置150による設定温度への加温調整を行うことが可能になる。このため、第1調整弁180によって調整される第1温度は、供給部120から供給される被加熱流体fの温度よりも高く、かつ、ユーザーが望む設定温度よりも低い温度に設定している。供給部120から供給した被加熱流体fを混合調整させるため、第1温度が供給部120から供給される被加熱流体fの温度よりも低くなることはない。
【0065】
第1制御部185は、被加熱流体f3が第1温度に維持されるように、第1調整弁180の作動を制御する。第1調整弁180は、第1口181から入り込む被加熱流体f2の温度に基づいて、第2口182の弁の開度を機械的に調整するワックスサーモアクチュエータを備えている。この機構を第1制御部185として機能させている。貯湯タンク130から導かれた被加熱流体f2の温度が低下すると、第2口182の開度を絞って、供給部120からの被加熱流体fの供給量を低下させる。貯湯タンク130から導かれた被加熱流体f2の温度が高くなると、第2口182の開度を大きくして、供給部120からの被加熱流体fの供給量を増加させる。このように、第1制御部185は、第1口181から入り込む被加熱流体f2の温度に基づいて、第1温度が維持されるように第1調整弁180の作動を機械的に制御する。
【0066】
第1調整弁180と補助加熱装置150との間に配置された第2調整弁190には、第1調整弁180の側から見て上流側に位置する第1口191と、供給部120から供給された被加熱流体fを受け入れる第2口192と、第1調整弁180の側から見て第1口191よりも下流側に位置する第3口193とを備えた三方弁を利用している。第1調整弁180によって第1温度に調整された被加熱流体f3と、供給部120から供給される被加熱流体fとを混合調整する。これによって、補助加熱装置150へ導かれる被加熱流体f4の温度を調整する。第2調整弁190によって混合調整された被加熱流体f4は、第3口193から排出させて、第1ライン171に流し込む。第1ライン171へ流し込まれた被加熱流体f4は、補助加熱装置150の入口151へ流れ込む。
【0067】
第2制御部195は、検知部160が貯湯タンク130内の温度境界bを検知したときに、第2調整弁190を作動させる。本実施の形態にあっては、第2調整弁190に、検知部160が検知した熱量に基づいて第2口192の開度を機械的に制御する温度式制水弁としての機構を付加している。この機構が、第2制御部195として機能する。
【0068】
第2調整弁190は、検知部160に封入したガスが液化してなる作動流体161を駆動源として作動する。検知部160が、低温域a1からの熱、すなわち冷熱を取得すると、封入したガスが液化して作動流体161となる。作動流体161はキャピラリチューブ163を介して第2調整弁190へ流れ込み、第2口192の開動作を駆動する。検知部160が低温域a1から取得する冷熱量が増加すると、封入したガスの液化量が増加する。これに伴って第2口192の開度が大きくなる。供給部120から供給される被加熱流体fの流量が増加し、補助加熱装置150へ導かれる被加熱流体f5の温度が低下する。このように、第2制御部195は、検知部160が取得した熱量に基づいて第2調整弁190の作動を機械的な方式によって制御する。電気的な制御システムによって第2調整弁190を制御させる構成を付加する場合と比較して、安価に温度を制御するシステムである温度調整システム110を構成することが可能になっている。第1制御部185とともに、第2制御部195が簡易な機械式の制御システムによって構成されているため、第1、第2制御部185、195および第1、第2調整弁180、190を組み合わせたユニットを既存の温度制御システムに簡便かつ安価に組み込むことが可能になっている。
【0069】
検知部160が温度境界bを検知したときには、貯湯タンク130内に低温域a1と高温域a2が発生した状態となっている。湯切れが発生すると、加熱された高温域a2の被加熱流体に続いて、供給部120から供給された被加熱流体fと同程度の温度を有する低温域a1の被加熱流体が排出される。このため、高温域a2から低温域a1へ変化した被加熱流体f4が第1ライン171を介して補助加熱装置150へ流れ込み、補助加熱装置150へ流れ込む被加熱流体f4の単位時間当たりの温度変化が大きくなる。これによって、補助加熱装置150に要求される単位時間当たりの加熱量が増加する。このため、従来の温度調整システムにあっては、単位時間当たりに要求される加熱量が急激に変化することによって、補助加熱装置150による加温調整が追従できず、設定温度よりも低い温度で被加熱流体をユーザーに提供してしまうことがある。また、補助加熱装置150による急激な加熱によって、設定温度よりも高い温度で被加熱流体を提供してしまうこともある。したがって、湯切れが発生すると、設定温度に調整された被加熱流体を安定的に提供することが困難になる。
【0070】
これに対して、温度調整システム110は、検知部160が貯湯タンク130内の温度境界bを検知した時点において、すなわち湯切れが発生する前に第2調整弁190による被加熱流体fの混合調整を開始する。第2調整弁190は、第1温度に調整された被加熱流体f3の温度を徐々に低下させることによって、補助加熱装置150へ流れ込む被加熱流体f4の温度が急激に低下することを防止する。これによって、補助加熱装置150に要求される単位時間当たりの加熱量が急激に変化することを防止して、設定温度に調整された被加熱流体f5を安定的に供給することを可能にする。第2調整弁190を付加して補助加熱装置150に要求される単位時間当たりの加熱量が急激に変化することを防止しているため、補助加熱装置150自体の応答性等の性能を向上させる必要がなく、補助加熱装置150には従来から利用されているものを適用することができる。したがって、補助加熱装置150に要求される単位時間当たりの加熱量が急激に変化することを防止する機能を安価に付加することができ、温度調整システム110全体におけるコストの増加を抑制することが可能となる。例えば、タンク径が280mmの場合において、ユーザーが19リットル/minの被加熱流体を使用すると、温度境界bは5.2mm/sの速度で遷移する。タンク130上端から200mmの位置において温度境界bを検知させ、第2調整弁190による混合調整を開始させた場合、ユーザーが19リットル/minの被加熱流体を引き続き使用すると、温度境界bがタンク130上端まで遷移するのに38秒程度掛かる。したがって、補助加熱装置150へ導かれる被加熱流体f5の温度は、第1調整弁180によって調整された第1温度から、供給部120から導かれる被加熱流体fの温度まで38秒の時間をかけて低下することになる。
【0071】
貯湯タンク130の外壁139には、貯湯タンク130の上層側137から下層側135に向けて漸次的に表面積が大きくなるように形成されたプレート201を設置している。プレート201には、貯湯タンク130の上層側137に位置するように検知部160を取り付けている(図14を参照)。
【0072】
貯湯タンク130内に保持された被加熱流体f1の低温域a1から伝わる熱量に基づいて、機械的に第2調整弁190の作動を制御する場合には、検知部160が低温域a1から取得する熱量を徐々に増加させることが望ましい。温度境界bを検知した時点から第2調整弁190の第2口192の開度を徐々に大きくすることが可能になり、補助加熱装置150へ導かれる被加熱流体f5の温度を徐々に低下させることが可能になるためである。
【0073】
貯湯タンク130の外壁139に設置されたプレート201は、貯湯タンク130内に保持された被加熱流体f1から伝わる熱を集熱し、その熱を検知部160へ伝える。プレート201が、貯湯タンク130の上層側137から下層側135に向けて漸次的に表面積が大きくなるように形成されているため、下層側135から上層側137へ低温域a1が遷移すると、これに比例して低温域a1からプレート201全体へ伝わる冷熱量が徐々に増加する。これによって、プレート201から検知部160へ伝わる冷熱量も徐々に増加する。検知部160へ伝わる冷熱量の増加に伴って、封入したガスの液化量が増加して、第2調整弁190の第2口192の開度が大きくなる。このように、プレート201を利用することによって、プレート201が取得する熱量に比例させて第2調整弁190の第2口192の開度を除々に大きくさせることが可能となり、補助加熱装置150へ導かれる被加熱流体f5の温度を徐々に低下させることができる。プレート201には、例えば、ステンレス鋼や、アルミニウム、銅などの金属製のものを利用することができる。また、これらの材質のものに限定されず、貯湯タンク130の外壁139から伝わる熱を検知部160に伝達することが可能な材質のものを適宜選択することが可能である。検知部160による温度境界bの検知、および低温域a1からの熱量の検知により感度よく行わせるために、例えば、図示されるように、プレート201において検知部160が設置された箇所の背面となる位置に、部分的に断熱部材203を配置させることが望ましい。
【0074】
次に、実施形態に係る温度調整システム110の作用について説明する。
図12を参照して、湯切れが発生していない場合には、第2調整弁190の第2口192が全閉状態を維持する。
第1調整弁180は、貯湯タンク130から排出された被加熱流体f2を第1温度として設定された35℃程度に混合調整する。
補助加熱装置150には、35℃に調整された被加熱流体f4が入口151から流れ込む。
補助加熱装置150は、35℃に混合調整された被加熱流体f4を設定温度まで加温調整して、加温調整された被加熱流体f5を出口152に介してユーザーに提供する。
図13を参照して、ユーザーの使用に伴って貯湯タンク130内に保持した被加熱流体f1内に低温域a1と高温域a2が形成されると、検知部160が温度境界bを検知する。検知部160が温度境界bを検知したときに、第2制御部195は、第2調整弁190の作動を開始する。
【0075】
第1調整弁180は、第2調整弁190の作動に関わらず、貯湯タンク130から排出された被加熱流体f2が第1温度になるように混合調整を継続して行う。
第2調整弁190は、第1温度に調整された被加熱流体f3と、供給部120から供給された被加熱流体fとを混合調整する。これによって、補助加熱装置150へ導かれる被加熱流体f4の温度を低下させる。
第2制御部195は、プレート201から検知部160へ伝わる冷熱量に基づいて、第2調整弁190の第2口192の開度を調整する。
プレート201が取得する熱量に比例して、第2調整弁190による第2口192の開度が徐々に大きくなる。これに伴って、補助加熱装置150へ導かれる被加熱流体f5の温度が徐々に低下する。
ユーザーによる被加熱流体の使用が続くと、温度境界bは次第に下層側135から上層側137へ遷移する。
温度境界bが貯湯タンク130の出口まで到達すると、貯湯タンク130から排出される被加熱流体f2の温度が急激に低下する湯切れが発生する。
【0076】
図15を参照して、温度調整システム110による被加熱流体の温度変化を示す。図中において、(イ)は、貯湯タンク130の出口133における被加熱流体f2の温度変化を示し、(ロ)は、補助加熱装置150の入口151における被加熱流体f4の温度変化を示し、(ハ)は、供給部120から供給される被加熱流体fの温度変化を示す。温度差(Q)は、第2調整弁190が作動する前における補助加熱装置150の入口151における被加熱流体f4の温度と、供給部120から供給される被加熱流体fの温度との温度差を示す。
【0077】
温度調整システム110にあっては、検知部160が温度境界bを検知したときの時間(T1)の時点から第2調整弁190による混合調整を開始する。補助加熱装置150の入口151における被加熱流体f4の温度は、徐々に低下し、時間(T2)において供給部120から供給される被加熱流体fの温度と一致する。
【0078】
第2調整弁190による混合調整を行わない場合、時間(T3)において湯切れが発生すると、貯湯タンク130の出口133における被加熱流体f2の温度の低下に伴って、補助加熱装置150の入口151における被加熱流体f4の温度が時間(T4)の間に急激に低下する。これによって、補助加熱装置150に求められる加熱量も時間(T4)の間に急激に変化する。
【0079】
温度調整システム110にあっては、補助加熱装置150の入口151における被加熱流体f4の温度は、第2調整弁190による混合調整を行わない場合と比較して、図中に示す時間(T5)の時間を余分にかけて徐々に低下することになる。第2調整弁190による混合調整を行わない場合と比較して、補助加熱装置150の入口151における被加熱流体f4の温度の低下は穏やかになる。したがって、補助加熱装置150による単位時間当たりの加熱量の増加も緩やかに変化する。
【0080】
図16を参照して、温度調整システム110による設定温度への追従性を示す。図中において、(ニ)は、温度調整システム110の補助加熱装置150の出口153における被加熱流体f5の温度を示し、(ホ)は、第2調整弁190による混合調整を行わない従来のシステムにおける補助加熱装置150の出口153における被加熱流体f5の温度変化を示す。なお、(イ)および(ロ)は、第4図と同様にそれぞれ、貯湯タンク130の出口133における被加熱流体f2の温度変化、補助加熱装置150の入口151における被加熱流体f5の温度変化を示す。
【0081】
温度調整システム110にあっては、補助加熱装置150の入口151における被加熱流体f4の温度を比較的長い時間をかけて緩やかに低下させるため、湯切れが発生しても設定温度に追従させて精度よく加温調整を行うことが可能になる。このため、ユーザーが望む設定温度に追従させることができ、設定温度の被加熱流体f5を安定的に提供することが可能になる。ユーザーは、湯切れによる不快さを感じることなく、設定温度に調整された被加熱流体f5を使用し続けることができる。
【0082】
一方、第2調整弁190による混合調整を行わずに加温調整を行う場合、補助加熱装置150に要求される単位時間当たりの加熱量が急激に変化する。設定温度に追従させて加温調整を行うことが困難になるため、図示されるように補助加熱装置150から提供される被加熱流体f5の温度が安定しない状態が続き、ユーザーに不快感を与えることになる。
【0083】
以上のように、この第6の実施の形態によれば、温度調整システム110である給湯器が温度を制御するシステムを有するので、貯湯タンク130内に保持された被加熱流体f1の低温域a1と高温域a2とを区分けする温度境界bを検知して、湯切れが発生する前に補助加熱装置150に導かれる被加熱流体f4の温度を徐々に低下させるため、補助加熱装置150に要求される単位時間当たりの加熱量が急激に変化することがない。このため、湯切れが発生した場合においても、被加熱流体f5の温度をユーザーが望む設定温度に追従させることができ、ユーザーが快適に使用することができる。第2調整弁190を付加した簡易な構成によって設定温度への追従性を維持させることが可能となる。
【0084】
第2制御部195は、検知部160が取得した熱量に基づいて第2調整弁190の作動を機械的な方式によって制御する。電気的な制御システムによって第2調整弁190を制御させる構成を付加する場合と比較して、安価に温度調整システム110を構成することが可能となる。
【0085】
貯湯タンク130の外壁139には、貯湯タンク130の上層側137から下層側135に向けて漸次的に表面積が大きくなるように形成されたプレート201を設置している。プレート201を利用することによって、検知部160が取得する熱量を比例させて第2調整弁190の第2口192の開度を調整することができ、温度境界bを検知した時点から第2調整弁190の第2口192の開度を徐々に大きくすることができる。これによって補助加熱装置150へ導かれる被加熱流体f5の温度を徐々に低下させることが可能になる。
【0086】
以上、この発明の実施の形態について具体的に説明したが、この発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態において挙げた数値、構造、形状、構成などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、構成などを用いてもよい。
また、例えば、第6の実施の形態によるベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を用いた太陽熱利用システムにおける温度調整システムは適宜改変することが可能である。
具体的には、第6の実施の形態においては、第1、第2調整弁180、190の作動を機械的に制御しているが、これを電気的な制御システムによって制御させることも可能である。第1、第2調整弁180、190の制御システムに要するコストが増加することになるが、補助加熱装置150へ導かれる被加熱流体f4の温度をより精度よく制御することが可能になる。また、第1、第2調整弁180、190の形態を適宜改変することが可能である。例えば、第1、第2調整弁180、190に、流体の温度に基づいて封入したガスを膨張、凝縮させてアクチュエータを駆動する流体駆動式の弁を利用することも可能である。また、例えば、第2調整弁190に、第1調整弁180として利用されたワックスサーモアクチュエータを備えた弁を利用することも可能である。このように、第1、第2調整弁180、190には、検知した流体の温度に基づいて機械的に弁の作動を制御する公知の形態のものを広く適用することが可能である。さらに、貯湯タンク130の形状や、検知部160を設置する場所も実施形態において説明したものに限定されるものではない。貯湯タンク130内において発生した温度境界bを検知し、これに基づいて第2調整弁190の作動を開始させることが可能な限りにおいて適宜変更することが可能である。例えば、貯湯タンク130の外壁139の所定の範囲における面積から取得した熱量に基づいて温度境界bを検知させる形態とすることも可能である。貯湯タンク130の下層側135、上層側137に設置した2点間における温度差に基づいて温度境界bを検知させる形態とすることも可能である。
【0087】
プレート201の利用形態についても適宜変更することが可能である。プレート201を利用することによって、タンクのより下層側135から温度境界bを検知させることが可能になるため、例えば、温度境界bが遷移する速度よりもプレート201内部に伝わる熱の速度が速くなるような材質のものをプレート201に適用することによって、プレート201を利用しない場合と比較して第2調整弁190を作動させるタイミングを早めることが可能になる。これに伴って、プレート201の材質や形状、プレート201における検知部160を設置する位置等を適宜調整することによって、第2調整弁190を作動させるタイミング、および第2口192の開閉速度を任意に調整することが可能になっている。
【0088】
図17を参照して、変形例1にあっては、貯湯タンク130の壁面部138の熱伝達率よりも小さな熱伝達率を有する材料からなるケーシング205に検知部160を収納している。このような点において、貯湯タンク130の外壁139に設置したプレート201に検知部160を取り付けた上記の実施形態と相違している。以下、変形例について説明する。なお、上述した第6の実施の形態と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を一部省略する。
【0089】
検知部160がケーシング205内に収納されているため、貯湯タンク130の外壁139から検知部160の内部へ熱が伝わりにくくなる。
検知部160が温度境界bを検知すると、第2調整弁190の混合調整が開始する。ケーシング205の熱伝達率が貯湯タンク130の壁面部138の熱伝達率よりも小さいため、貯湯タンク130内の被加熱流体f1から貯湯タンク130の外壁139に伝わる熱量よりも、貯湯タンク130の外壁139から検知部160内に伝わる熱量の方が小さくなる。低温域a1から伝わる熱によって貯湯タンク130の外壁139の温度が急激に低下する場合においても、検知部160内の温度の急激な低下が生じることを防止できる。
【0090】
下層側135から上層側137へ低温域a1が遷移すると、これに比例して低温域a1からケーシング205全体に伝わる熱量が徐々に増加する。検知部160内に封入したガスの液化量が増加して、第2調整弁190の第2口192の開度が徐々に大きくなる。したがって、検知部160が温度境界bを検知した時点から比較的長い時間をかけて補助加熱装置150へ導かれる被加熱流体f4の温度を低下させることが可能になる。
【0091】
このように、貯湯タンク130の壁面部138の熱伝達率よりも小さな熱伝達率を有する材料からなるケーシング205に検知部160を収納することによって、補助加熱装置150へ導かれる被加熱流体f5の温度を徐々に低下させることが可能になる。プレート201を使用することを妨げるものではないが、プレート201を使用する場合と同様の効果を得ることができ、プレート201を使用する手間を省くことが可能になる。検知部160の設置作業の作業性の向上や、プレート201の作製に要する材料費の削減を図ることができる。
【0092】
ケーシング205は、例えば、断熱性に優れた樹脂材料などから構成することが可能である。その他、貯湯タンク130の壁面部138の熱伝達率よりも小さな熱伝達率を有する材料を適宜選択することが可能である。形状等も図示されたものに限定されず、検知部160や貯湯タンク130の外壁139の形状に合わせて変更することも可能である。ケーシング205の材質や形状等を選択して、第2調整弁190を作動させるタイミング、および第2口192の開閉速度を任意に調整することが可能になっている。
【符号の説明】
【0093】
1…透明層、2…空気層、3…集熱層、4…断熱層、5…熱伝導層、6…流体流路、7…外筐、7a、7b…連結部、7c…連結部により形成された空間、8…ジョイント、9、40、60……ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器、9a…本体部、9b、9c…端部、11…多層異形押し出し機、12…ダイス、13a、13b、13c…樹脂、14a、14b、14c…単軸スクリュー押し出し機、15a、15b、15c…スクリュー、21…外壁、22a、22b、27a、27b…アングル、24、51…ベランダ、25、53…ベランダの下部壁面(スラブ壁面)、26、52…手摺、23a、23b、23c、28a、28b、28c…ボルト、29…意匠パネル、41、61…温度センサー、42、47a、62…配管、43、63…循環ポンプ、43a、63a…太陽光パネル、44、140…主加熱部、45…リザーブタンク、46、130…貯湯タンク、47b…バイパス配管、47c…給水配管、47d…出湯配管、48…調整弁、48a…制御装置、49、150…補助加熱装置、50…給湯器、110…温度調整システム(被加熱流体の温度調整システム)を有する給湯器、120…供給部、131…貯湯タンクの入口、133…貯湯タンクの出口、135…タンクの下層側、137…タンクの上層側、138…壁面部、139…タンクの外壁、151…補助加熱装置の入口、153…補助加熱装置の出口、160…検知部、161…作動流体、171…第1ライン、172…第2ライン、173…第3ライン、174…タンク用ライン、180…第1調整弁、185…第1制御部、190…第2調整弁、195…第2制御部、201…プレート、205…ケーシング、f、f1、f2、f3、f4、f5…被加熱流体、a1…低温域、a2…高温域、b…温度境界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明層と、
空気層を介して上記透明層と対向して設けられた集熱層と、
上記集熱層と接して設けられた断熱層と、
上記断熱層の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた外筐と、
上記集熱層に埋設された熱伝導層と、
上記集熱層および/または上記断熱層のうちの上記熱伝導層に関して上記空気層と反対側の部分に埋設された一つまたは複数の流体流路とを有するベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器。
【請求項2】
上記ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器は長尺の長方形状の平面形状を有することを特徴とする請求項1記載のベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器。
【請求項3】
上記透明層および上記集熱層はそれぞれ樹脂からなり、上記熱伝導層は金属からなり、上記断熱層には空気または断熱材が充填されていることを特徴とする請求項1または2記載のベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器。
【請求項4】
上記ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器は異形押し出しにより製造されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器。
【請求項5】
端部にベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器を相互に連結するための連結部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器。
【請求項6】
上記透明層の上記空気層と接する面に、太陽光に含まれる少なくとも一部の波長帯の光を散乱させる凹凸が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器。
【請求項7】
少なくとも一つのベランダを有する建築物において、
透明層と、
空気層を介して上記透明層と対向して設けられた集熱層と、
上記集熱層と接して設けられた断熱層と、
上記断熱層の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた外筐と、
上記集熱層に埋設された熱伝導層と、
上記集熱層および/または上記断熱層のうちの上記熱伝導層に関して上記空気層と反対側の部分に埋設された一つまたは複数の流体流路とを有するベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器が、上記ベランダの下部壁面に設置されていることを特徴とする建築物。
【請求項8】
ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器と、
上記ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器により加熱された流体を利用して加熱される被加熱流体を保持し、ベランダに設置される一つまたは複数のタンクとを有し、
上記ベランダ下部壁面設置用太陽熱集熱器が、
透明層と、
空気層を介して上記透明層と対向して設けられた集熱層と、
上記集熱層と接して設けられた断熱層と、
上記断熱層の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた外筐と、
上記集熱層に埋設された熱伝導層と、
上記集熱層および/または上記断熱層のうちの上記熱伝導層に関して上記空気層と反対側の部分に埋設された一つまたは複数の流体流路とを有することを特徴とする太陽熱利用システム。
【請求項9】
上記タンクは貯湯タンクであり、上記貯湯タンクの壁が、ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる内層と、ポリアミド樹脂からなり上記内層の外方に設けられる外層と、ポリフェニレンエーテル系樹脂およびポリアミド樹脂を含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなり、上記内層と上記外層との間に位置する中間層とを有する多層構造体から構成されていることを特徴とする請求項8記載の太陽熱利用システム。
【請求項10】
上記貯湯タンクの上記壁の厚さは7mm以上であり、上記内層、上記中間層、上記外層の厚さ比率は、内層:中間層:外層=4:1:5〜8:1:1の範囲であることを特徴とする請求項9記載の太陽熱利用システム。
【請求項11】
上記被加熱流体の温度調整システムをさらに有し、
上記温度調整システムは、
上記被加熱流体を供給する供給部と、
下層側から供給される上記被加熱流体を保持して上層側から排出する上記タンクと、
上記タンクに供給された上記被加熱流体を加熱する主加熱部と、
上記タンクに設置され、上記被加熱流体の供給に伴って上記タンク内の下層側から上層側へ遷移するとともに低温域と高温域とを区分けする温度境界を検知する検知部と、
上記タンクから排出された上記被加熱流体を設定温度に加熱する補助加熱部と、
上記タンクと上記補助加熱部とを接続して、上記タンクから排出された上記被加熱流体を上記補助加熱部へ導く第1ラインと、
上記第1ラインの途上に設置され、上記タンクから排出された上記被加熱流体と上記供給部から供給される被加熱流体とを混合調整して、上記タンクから排出された上記被加熱流体の温度を、上記供給部から供給される上記被加熱流体の温度よりも高く、かつ、上記設定温度よりも低い第1温度に調整する第1調整弁と、
上記第1ラインの途上における上記第1調整弁と上記補助加熱部との間に設置され、上記第1温度に調整された上記被加熱流体と上記供給部から供給される被加熱流体とを混合調整して、上記補助加熱部に導かれる被加熱流体の温度を調整する第2調整弁と、
上記タンクから排出され上記第1調整弁へ導かれる上記被加熱流体の温度に基づいて上記第1調整弁を作動させる第1制御部と、
上記検知部が上記温度境界を検知したときに上記第2調整弁を作動させる第2制御部と、
上記供給部と上記第1調整弁とを接続して、上記供給部から上記第1調整弁へ上記被加熱流体を導く第2ラインと、
上記供給部と上記第2調整弁とを接続して、上記供給部から上記第2調整弁へ上記被加熱流体を導く第3ラインとを有し、
上記第2制御部は、上記検知部が上記温度境界を検知したときに上記第2調整弁の作動を開始して、上記第1温度に調整された上記被加熱流体と上記第3ラインから導かれる上記被加熱流体とを混合調整することを特徴とする請求項10記載の太陽熱利用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−122707(P2012−122707A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276016(P2010−276016)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【特許番号】特許第4705997号(P4705997)
【特許公報発行日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000134903)株式会社ニシヤマ (33)