説明

ベランダ用美観構造物

【課題】既存建築物のベランダに対する工事を行うことなく、当該ベランダにプランタやデッキ材等を安全に配置することができるベランダ用美観構造物を提供すること。
【解決手段】ベランダ11の既存床面12の上方に床材21を固定するための床材固定枠体2と、ベランダ11の既存側壁13の内壁面13aに沿って壁材31を固定可能とするための壁材固定枠体3と、ベランダ11の既存側壁13の上部13bにプランタ18を支持するためのプランタ支持枠体4とを有し、床材固定枠体2と、壁材固定枠体3と、プランタ支持枠体4とは一体になるように順に連結されており、ベランダ用美観構造物1を固定するための固定手段を既存建築物側に設けることなく既存建築物のベランダ11に設置可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存建築物のベランダに設置するベランダ用美観構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
アパートやマンション等の集合住宅においてベランダ(バルコニー)の美観を向上させるため、植物を植栽したプランタをベランダに配置していた。このようなプランタは、ベランダの床面に載置される他、ベランダ側壁上部に設けられている手摺等に専用の金具等を用いて懸架されている場合もある。
【0003】
また、ベランダの床面の美観を向上させるため、当該床面にスノコ状に構成したデッキ材を載置することも行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年のアパートやマンション等の高層化に伴い、ベランダに載置したプランタやデッキ材等が突風により地上へ落下する事故が懸念されている。このような事故を未然に防止するためには、これら既存建築物のベランダ部分の躯体にアンカーボルト等を設ける工事を行い、このアンカーボルト等によりプランタやデッキ材を固定する方法が考えられる。しかし、アパートやマンション等のベランダ部分の躯体は住民の共用部分となっているため、このような工事を行う場合には共用部分の変更に該当し、アパートやマンション等の管理組合の承認を得なければならないという問題点がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、当該ベランダ部分の躯体に対する工事を行うことなく、既存建築物のベランダにプランタやデッキ材等を安全に配置することができるベランダ用美観構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るベランダ用美観構造物は、既存建築物のベランダに設けるベランダ用美観構造物であって、ベランダの既存床面の上方に床材を固定するための床材固定手段と、ベランダの既存側壁の内壁面に沿って壁材を固定可能とするための壁材固定手段と、ベランダの既存側壁の上部、又は、前記壁材固定手段の上部にプランタを支持するためのプランタ支持手段とを有し、前記床材固定手段と、前記壁材固定手段と、前記プランタ支持手段とは一体になるように順に連結されており、前記ベランダ用美観構造物を固定するための固定手段を既存建築物側に設けることなく設置可能であることを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明に係るベランダ用美観構造物は、前記床材固定手段が、ベランダの既存床面の周囲に形成されている既存壁面に対して前記床材固定手段の水平方向の移動を規制するための水平方向固定手段を備えていることが好ましい。
【0008】
さらに、本発明に係るベランダ用美観構造物は、前記床材固定手段が、前記床材固定手段の下方に配設されると共に、前記床材の配設状態を水平状態に調節するための複数の角度調整手段を備えていることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明に係るベランダ用美観構造物は、前記床材固定手段、前記壁材固定手段、及び前記プランタ支持手段が、アルミ製角材により構成された枠体状の部材であることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係るベランダ用美観構造物は、前記ベランダ用美観構造物が、前記壁材固定手段により形成されている内部空間に収納部を有していることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係るベランダ用美観構造物は、前記ベランダ用美観構造物が、さらに前記ベランダ用美観構造物の垂直方向の移動を規制するための垂直方向固定手段を有し、前記垂直方向固定手段は、既存建築物のベランダの上方に位置する既存天井面と前記ベランダ用美観構造物との間に設けられると共に、前記垂直方向固定手段の頂部を既存天井面と当接させることにより、前記垂直方向固定手段を固定するための固定手段を既存天井面側に設けることなく設置可能であることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係るベランダ用美観構造物は、前記ベランダ用美観構造物が、さらに懸架用手段を有し、前記懸架用手段は、既存建築物のベランダの上方に位置する既存天上面に沿って延在し、前記垂直方向固定手段は、既存建築物のベランダの両側方に位置する2つの既存壁面に沿って前記ベランダ用美観構造物に少なくとも2つ設けられており、前記懸架用手段は、少なくとも2つの前記垂直方向固定手段により支持されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、ベランダ用美観構造物は、ベランダの既存床面の上方に床材を固定するための床材固定手段と、ベランダの既存側壁の内壁面に沿って壁材を固定可能とするための壁材固定手段と、ベランダの既存側壁の上部、又は、前記壁材固定手段の上部にプランタを支持するためのプランタ支持手段とを有し、これら床材固定枠手段と壁材固定手段とプランタ支持手段とは一体になるように順にボルトにより連結されている。このため、床材やプランタ等の重量により、ベランダ用美観構造物全体がベランダの既存床面に押し付けられて設置されることになり、突風等によるベランダ用美観構造物の移動を防止することができる。従って、ベランダ用美観構造物を固定するための固定手段を既存建築物側に設ける必要がない。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、ベランダ用美観構造物は、床材固定手段に水平方向固定手段が設けられている。このため、ベランダの既存床面の周囲に形成されている既存壁面に対して、床材固定手段を固定することができる。従って、ベランダの既存床面上におけるベランダ美観構造物の水平方向の移動を規制することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、ベランダ用美観構造物は、床材固定手段に床材を水平状態に調整するための角度調整手段が設けられている。このため、床材の水平状態を容易に調整することができ、また、床材固定手段とベランダの床面との間に雨水を流すことができる間隙を形成することもできる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、ベランダ用美観構造物における床材固定枠体、壁材固定枠体、及びプランタ支持枠体は、アルミ製角材により構成された枠体状の部材から成る。このため、ベランダの大きさや形状に適合させるためのこれら部材の切断や加工が容易となり、また、アルミ材を用いるため、耐候性に優れているという利点がある。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、ベランダ用美観構造物は収容部を有しているため、小物等を収容することができる。このため、突風によってこのような小物等が吹き飛ばされることを防止することができる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、ベランダ用美観構造物は、垂直方向固定手段を有している。このため、ベランダ用美観構造物全体をベランダの床面に押し付けて設置することができ、突風等によるベランダ用美観構造物の垂直方向における浮き上がりを防止することができる。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、ベランダ用美観構造物は、懸架用手段を有している。このため、この懸架用手段を支持している垂直方向固定手段の水平方向の強度を確保することができ、同時に、この懸架用手段に金網等の装飾部材等を懸架することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態のベランダ用美観構造物について詳細に説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態のベランダ用美観構造物1は、ベランダ11の既存床面12の上方に床材21を固定するための床材固定手段である床材固定枠体2と、ベランダ11の既存側壁13の内壁面13aに沿って壁材31を固定するための壁材固定手段である壁材固定枠体3と、ベランダ11の既存側壁13の上部13bにプランタ18を固定するためのプランタ支持手段であるプランタ支持枠体4とを有し、前記床材固定枠体2と、前記壁材固定枠体3と、前記プランタ支持枠体4とは一体になるように順にボルト(図示せず)により連結されており、前記ベランダ用美観構造物1を固定するための固定手段を既存建築物側に設けることなく既存建築物のベランダ11に設置可能であることを特徴とする。
【0021】
さらに、本実施形態のベランダ用美観構造物1は、ベランダ用美観構造物1の垂直方向の移動を規制するための垂直方向固定手段である垂直方向固定支柱5と、この垂直方向固定支柱5により支持されている懸架用手段である懸架用横材6(図2参照)とを備えている。
【0022】
床材固定枠体2は、図1〜図3に示すように、ベランダ11の既存床面12の上方に設けられている。床材固定枠体2は、角柱状のアルミ引抜き材により構成された枠体状部材である。この床材固定枠体2は、枠材2a、2b、2cと、複数の桟材2dから構成されている。これら枠材2a〜2c及び桟材2dはボルト(図示せず)により相互に連結されている。床材固定枠体2の枠体2a〜2cの上部、即ち、この床材固定枠体2の上面には、複数の床材21がスノコ状に配設されている。なお、本実施形態において、この床材21は、粉状化した木材と合成樹脂とを合成することにより製造されたプラスチックウッド製のデッキ材である。なお、このデッキ材は、このような材質や形態に限定されず、様々な材質や形態を備えた床材が全て含まれる。
【0023】
枠材2aはベランダ11の既存壁面13に沿って水平方向に延在し、枠材2cはベランダ11の基部側にある既存建築物の既存壁面14に沿って水平方向に延在し、枠材2bはベランダ11の側方側にある既存建築物の既存壁面15又は隣室との境界域に設けられている既存パーテーション16に沿って水平方向に延在している。なお、枠材2a、2cは、それらが対向している各既存壁面13、14との間に間隔を隔てて配設されている。
【0024】
床材固定枠体2の枠材2a、2cの外側面には、それぞれ、床材固定枠体2の水平方向の移動を規制するための水平方向固定手段としてアジャスターボルト22a、22cが設けられている。このアジャスターボルト22a、22cは、上記枠材2a、2cとそれらが対向している各既存壁面13、14との間の間隙において伸縮可能に設けられている。そして、床材固定枠体2の設置の際には、このアジャスターボルト22a、22cの突出長さを調整し、それらアジャスターボルト22a、22cの端部が既存壁面13、14に対して押し付けられるようにする。このようなアジャスターボルト22a、22cの突出長さの調整により、床材固定枠体2のベランダ11の既存床面12上における水平方向の移動が規制される。そして、このアジャスターボルト22a、22cにより、ベランダ用美観構造物1のベランダ11の奥行き方向における突風による浮き上がりを防止することができる。なお、このような水平方向固定手段としては、アジャスターボルトの他、耐候性に優れた硬質ゴム等によっても代替可能である。
【0025】
さらに、床材固定枠体2の枠体2a〜2cの下部、即ち床材固定枠体2の底面には、床材21の配設状態を水平状態に調整するための角度調整手段であるアジャスターボルト23が複数設けられている(図1参照)。既存建築物のベランダ11は、一般的に排水性を確保するために排水溝12aに向かって傾斜している。このため、これらアジャスターボルト23の突出長さを調整することにより、床時固定枠体2と床材21とを完全な水平状態に保つことができる。また、このアジャスターボルト23によって、床材固定枠体2とベランダ11の既存床面12との間に間隙を形成することができるため、この間隙を通じて雨水が排水溝12aへ流入することができる。
【0026】
壁材固定枠体3は、図1に示すように、ベランダ11の既存側壁13の内壁面13aに沿って設けられている。壁材固定枠体3は、角柱状のアルミ引抜き材により構成された枠体状部材である。この壁材固定枠体3は、枠材2a、3aと、複数の支柱3bから構成されている。この枠材2a、3a及び支柱3bはボルト(図示せず)により相互に連結されている。壁材固定枠体3の枠体2a、3a及び支柱3bの側部、即ち、この壁材固定枠体3の側面には、複数の壁材31がスノコ状に配設されている(図2参照)。なお、本実施形態において、この壁材31は上記床材21と同一のデッキ材である。なお、本実施形態において、壁材固定枠体3には壁材31が固定されているが、必ずしも壁材31を固定する必要はない。また、壁材は、デッキ材である必要はなく、タイル製や金属製の部材で構成することも可能であり、後述するような金網7のような形態を有している部材とすることも可能である。
【0027】
壁材固定枠体3を構成している枠材2aは上記床材固定枠体2と共用されている。このため、壁材固定枠体3は、床材固定枠体2と一体になるようにボルトにより連結されている。
【0028】
プランタ支持枠体4は、図1に示すように、ベランダ11の既存側壁13の上部13bに設けられている。そして、プランタ支持枠体4は、角柱状のアルミ引抜き材により構成され、全体として直方体形状の枠体状部材である。このプランタ支持枠体4は、その内部にプランタ18を収容し、これを支持している。このプランタ支持枠体4は、枠材3a、4a〜4fにより構成され、これら枠材3a、4a〜4fはボルト(図示せず)により相互に連結されている。
【0029】
プランタ支持枠体4を構成している枠材3aは上記壁材固定枠体3と共用されている。このため、プランタ支持枠体4は、壁材固定枠体3と一体になるようにボルトにより連結されている。従って、床材固定枠体2と壁材固定枠体3とプランタ支持枠体4とは一体になるように順にボルトにより連結されている。
【0030】
垂直方向固定支柱5は、図1及び図2に示すように、既存建築物のベランダ11の上方に位置する既存天井面17とベランダ用美観構造物1との間に設けられている。本実施形態において、垂直方向固定支柱5は、ベランダ11の両側方に位置する既存壁面15と既存パーテーション16の壁面に沿って2本設けられている(図3参照)。これら垂直方向固定支柱5は、角柱状のアルミ引抜き材の支柱であり、その基部は上記プランタ支持枠体4の枠材4bの上部にボルト(図示せず)により固定されている。さらに、これら垂直方向固定支柱5のそれぞれの頂部にはアジャスターボルト(図示せず)が設けられており、ベランダ11の既存天井面17に対してアジャスターボルトの突出長さを調整することにより、垂直方向固定支柱5を固定することができる。この垂直方向固定支柱5により、ベランダ用美観構造物1の幅方向における突風による浮き上がりを防止することができる。
【0031】
懸架用横材6は、図2に示すように、既存建築物のベランダ11の上方に位置する既存天井面17に沿って延在すると共に、2本の垂直方向固定支柱5によりその両端が支持されている。この懸架用横材6は、角柱状のアルミ引抜き材から構成され、2本の垂直方向固定支柱5にボルト(図示せず)により固定されている。さらに、この懸架用横材6と上記プランタ支持枠体4の枠材4bとの間には、ステンレス製の金網7が設けられている。この金網7は、プランタ18に蔦類の植物を植栽した場合には、その蔦類の蔓が絡みつくようにするものである。また、この金網7に金具(図示せず)等を用いて植栽用ポット(図示せず)を懸架することも可能である。
【0032】
以下、本実施形態の作用効果を説明する。本実施形態のベランダ用美観構造物1は、ベランダ11の既存床面12の上方に床材21を固定するための床材固定手段である床材固定枠体2と、ベランダ11の既存側壁13の内壁面13aに沿って壁材31を固定可能とするための壁材固定手段である壁材固定枠体3と、ベランダ11の既存側壁13の上部13bにプランタ18を支持するためのプランタ支持手段であるプランタ支持枠体4とを有し、これら床材固定枠体2と壁材固定枠体3とプランタ支持枠体4とは一体になるように順にボルトにより連結されている。このため、床材21やプランタ18等の重量により、ベランダ用美観構造物1全体がベランダ11の床面12に押し付けられて設置されることになり、突風等によるベランダ用美観構造物1の移動を防止することができる。従って、ベランダ用美観構造物1を固定するための固定手段を既存建築物側に設ける必要がない。
【0033】
さらに、本実施形態のベランダ用美観構造物1は、床材固定手段である床材固定枠体2に水平方向固定手段としてアジャスターボルト22a、22cが設けられている。このため、ベランダ11の既存床面12の周囲に形成されている既存壁面13,14に対して、床材固定枠体2を押し付けるように固定することができる。従って、床材固定枠体2のベランダ11の既存床面12上における水平方向の移動を容易に規制することができる。そして、このアジャスターボルト22a、22cにより、ベランダ用美観構造物1のベランダ11の奥行き方向における突風による浮き上がりを防止することができる。
【0034】
さらに、本実施形態のベランダ用美観構造物1は、床材固定手段である床材固定枠体2に床材21を水平状態に調整するための角度調整手段としてアジャスターボルト23が複数設けられている。このため、床材21の水平状態を容易に調整することができ、また、このアジャスターボルト23により床材固定枠体2とベランダ11の床面12との間に雨水を流すことができる間隙を形成することもできる。
【0035】
さらに、本実施形態のベランダ用美観構造物1における床材固定枠体2、壁材固定枠体3、及びプランタ支持枠体4は、アルミ製角材により構成された枠体状の部材から成る。このため、これら部材は、ベランダ11の大きさや形状に適合させるための切断や加工が容易であり、また、耐候性に優れているという利点がある。
【0036】
さらに、本実施形態のベランダ用美観構造物1は、垂直方向固定手段である垂直方向固定支柱5を有している。このため、ベランダ用美観構造物1全体をベランダ11の床面12に押し付けて設置することができ、ベランダ11の幅方向におけるベランダ用美観構造物1の浮き上がりを防止することができる。
【0037】
さらに、本実施形態のベランダ用美観構造物1は、懸架用手段である懸架用横材6を有している。このため、この懸架用横材6を支持している垂直方向固定支柱5の水平方向の強度を確保することができ、同時に、この懸架用横材6に金網7等の装飾部材を懸架することができる。
【0038】
次に、図4を参照しつつ、本発明に係る他の実施形態のベランダ用美観構造物について説明する。本実施形態のベランダ用美観構造物10は、上記実施形態のベランダ用美観構造物1と略同様の構成を備えているが、収容部8を備えており、また、壁材固定手段である壁材固定枠体3の上部にプランタ支持手段であるプランタ支持枠体4が設けられている点において相違する。なお、本実施形態において上記実施形態と同一の機能及び用途を有する部材については、同一符号を用いて説明する。
【0039】
本実施形態において、壁材固定手段である壁材固定枠体3は、ベランダ11の既存側壁13の内壁面13aに沿って設けられている直方体形状の枠体状部材として構成されている。そして、この壁材固定枠体3の内部空間が収容部8となっている。壁材固定枠体3には、扉8aが設けられており、この扉8aを開閉し収容部8内へ小物等を収納することができる。なお、本実施形態におけるプランタ支持枠体4は、上記実施形態のようにベランダ11の既存側壁13の上部13bに支持されているのではなく、壁材固定枠体3により支持されている。
【0040】
本実施形態は、上記実施形態と略同様の作用効果を有する。さらに、小物等を収容できる収容部8を設けることにより、突風によって小物等が吹き飛ばされることを防止することができる。
【0041】
上記のような本発明のベランダ用美観構造物は、装飾や収納等を目的とした様々なアタッチメントを床材固定手段、壁材固定手段、プランタ支持手段、垂直方向固定手段、及び懸架用手段に取付けることができる。このようなアタッチメントを装着することによりベランダ用美観構造物のシステム化を容易に図ることができる。
【0042】
なお、上記の2つの実施形態は、標準的な形態のベランダを想定したものであり、ベランダの手摺の位置やベランダ全体の形状等に応じて、床材固定手段、壁材固定手段、プランタ支持手段、垂直方向固定手段、及び懸架用手段の配置状態やそれら手段の材質や形態を変化させることも本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、床材固定手段、壁材固定手段、プランタ支持手段等をパネル材等により構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る実施形態のベランダ用美観構造物1を示す側面図である。
【図2】図1に示すベランダ用美観構造物1の斜視図である。
【図3】図1に示すベランダ用美観構造物1の平面図である。なお、本図において、本来であれば破線で描かれるべきアジャスターボルト22a、22cは、明瞭に示すために実線により示されている。
【図4】本発明に係る他の実施形態のベランダ用美観構造物10を示す側面図である。
【符号の説明】
【0044】
1、10 ベランダ用美観構造物
11 ベランダ
12 既存床面
12a 排水溝
13、14、15 既存壁面
13a 内壁面
13b 側壁上部
16 既存パーテーション
17 既存天井面
18 プランタ
2 床材固定枠体
2a〜2c 枠材
2d 桟材
21 床材
22a、22c、23 アジャスターボルト
3 壁材固定枠体
3a 枠材
3b 支柱
31 壁材
4 プランタ支持枠体
4a〜4f 枠材
5 垂直方向固定支柱
6 懸架用横材
7 金網
8 収容部
8a 扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存建築物のベランダに設けるベランダ用美観構造物であって、
ベランダの既存床面の上方に床材を固定するための床材固定手段と、
ベランダの既存側壁の内壁面に沿って壁材を固定可能とするための壁材固定手段と、
ベランダの既存側壁の上部、又は、前記壁材固定手段の上部にプランタを支持するためのプランタ支持手段とを有し、
前記床材固定手段と、前記壁材固定手段と、前記プランタ支持手段とは一体になるように順に連結されており、
前記ベランダ用美観構造物を固定するための固定手段を既存建築物側に設けることなく設置可能であることを特徴とするベランダ用美観構造物。
【請求項2】
前記床材固定手段は、ベランダの既存床面の周囲に形成されている既存壁面に対して前記床材固定手段の水平方向の移動を規制するための水平方向固定手段を備えている請求項1記載のベランダ用美観構造物。
【請求項3】
前記床材固定手段は、前記床材固定手段の下方に配設されると共に、前記床材の配設状態を水平状態に調節するための複数の角度調整手段を備えている請求項1記載のベランダ用美観構造物。
【請求項4】
前記床材固定手段、前記壁材固定手段、及び前記プランタ支持手段は、アルミ製角材により構成された枠体状の部材であることを特徴とする請求項1記載のベランダ用美観構造物。
【請求項5】
前記ベランダ用美観構造物は、前記壁材固定手段により形成されている内部空間に収納部を有していることを特徴とする請求項1記載のベランダ用美観構造物。
【請求項6】
前記ベランダ用美観構造物は、さらに前記ベランダ用美観構造物の垂直方向の移動を規制するための垂直方向固定手段を有し、
前記垂直方向固定手段は、既存建築物のベランダの上方に位置する既存天井面と前記ベランダ用美観構造物との間に設けられると共に、前記垂直方向固定手段の頂部を既存天井面と当接させることにより、前記垂直方向固定手段を固定するための固定手段を既存天井面側に設けることなく設置可能であることを特徴とする請求項1記載のベランダ用美観構造物。
【請求項7】
前記ベランダ用美観構造物は、さらに懸架用手段を有し、
前記懸架用手段は、既存建築物のベランダの上方に位置する既存天上面に沿って延在し、
前記垂直方向固定手段は、既存建築物のベランダの両側方に位置する2つの既存壁面に沿って前記ベランダ用美観構造物に少なくとも2つ設けられており、
前記懸架用手段は、少なくとも2つの前記垂直方向固定手段により支持されていることを特徴とする請求項6記載のベランダ用美観構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−154634(P2007−154634A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−380752(P2005−380752)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(592040826)住友不動産株式会社 (94)
【Fターム(参考)】