説明

ベルトならびにバルクティッシュ及びタオルと不織製品及び不織布製造に使用するベルトを生成する方法

ベルトならびにバルクティッシュ及びタオルと不織製品及び不織布の製造に使用するベルトを生成する方法は、ベース支持体の上に、ベルトを用いて製造される製品上に付与する所定のパターンの犠牲材料を付着させる必要がある。犠牲材料は、配置される材料のx、y、z寸法を調整するように制御される方法で液滴として配置され、好ましくは、10μ(10ミクロン)又はそれ以上の平均直径を有する。次に、高分子樹脂材料が、犠牲材料が前もって付着された領域を除くベース支持体上の全領域に配置される。その後、高分子樹脂材料はそれの組成に適する手段により取り付けられ、犠牲材料は取り除かれる。随意には、次に、高分子樹脂材料を研磨し、均一厚みの、滑らかな、肉眼では均一な表面を有するベルトを実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙技術に関し、詳細には、総称してバルクティッシュと呼ばれる紙ティッシュ及びタオルの製造に関する。本発明は更に、水流交絡製法等の製法による不織製品及び不織布の製造に関する。詳細には、本発明は、基礎構造体上の事前に選択された領域に正確に配置され、それら領域全体を覆う機能性高分子樹脂材料を有するベルトに関し、必要な場合には、その領域の上に所望の厚みの層を形成する。この種類のベルトは、バルクティッシュ及びタオルならびに不織製品及び不織布の製造に使用される。
【背景技術】
【0002】
化粧用ティッシュ、バス用ティッシュ及び紙タオル等のソフトな吸収性の紙製品は、現在の工業化社会における現代生活に浸透した製品である。このような製品を製造する方法は多数あるが、一般に、これらの製造は抄紙機の成形部分において未加工の紙ウェブを一定の形に形成することから始まる。次に、未加工の紙ウェブは、空気流れにより通気乾燥(TAD)布に変換され、真空及び吸引により変形され、ウェブの方向を変え、力を加えてウェブの少なくとも一部をTAD布の形状に一致するようにする。搬送点の下流側では、TAD布上を搬送されるウェブは通気乾燥機を通過する。この乾燥機では、ウェブと反対方向に向けられ、TAD布を通過する加熱空気流が、ウェブを適度に乾燥させる。最後に、通気乾燥機の下流側で、ウェブはヤンキードライヤの表面に接着され、TAD布の表面により上記ドライヤの表面に押し付けられることにより、完全に乾燥する。次に、ドクターブレードを用いてヤンキードライヤの表面から完全に乾燥したウェブを取り外し、これによりウェブを短縮又は縮小させてその体積を増大させる。次に、短縮されたウェブはロールに巻かれ、消費者への出荷又は購入に適する形体の梱包することを含む後続の工程に備える。
【0003】
前述の通り、バルクティッシュ製品を製造する方法は多数あり、上記説明は各種方法のいくつかに共通の一般的工程の概略である。例えば、所定の条件下では、短縮加工は望ましくないか、又は「湿式縮小」等の別の手段を用いて予めウェブを短縮しているため、ヤンキードライヤの使用は常に必要とするものではない。
【0004】
本発明の用途の少なくとも一部、バルクティッシュ製造機の通気乾燥機で使用されるTAD布に関する。歴史的に、TAD布は単繊維糸から、表面の他の部分に比べて持ち上がった突起部のある、比較的長い浮糸を有する紙支持表面を提供する織り模様で織られていた。生成中の布をこのようなTAD布の紙接触表面に搬送すると、未加工の紙ウェブの少なくとも一部は、その表面の形状になると仮定される。結果的に、突起部の間で偏向される未加工の紙ウェブの部分は、突起部上の部分に比べて密度が小さくなり、最終的にソフトで吸収性のあるバルクティッシュ製品を実現する。その後TAD布からヤンキードライヤの表面に圧力搬送すると、TAD布の紙接触表面上の突起部は、その上に紙ウェブの表面を押し付けて、その部分の密度を高くする。この高密度化の結果として、バルクティッシュ製品全体を強化する。高密度化は一般に、TAD布の紙接触表面を研磨することにより強化され、平坦な表面の突起部を形成することにより、紙ウェブとヤンキードライヤとの接触面積を大きくし、突起部の押付けを強くして、バルクティッシュ製品を更に強化し、乾燥を完全なものにする。
【0005】
バルクティッシュ製品を更にソフトなものにし、吸収性及び強度を増すことへの消費者の要望に答えて、最初は、TAD布の製造に用いる織り模様に重点を置いた開発がなされていた。例えば、現在は存続期間が終了した、オハイオ州、シンシナティのプロクター&ガムベル(Procter&Gamble)社に譲渡された、トロークホン(Trokhan)への特許文献1及び特許文献2では、非数値的連続の縦糸−横糸シーケンスを有する織り模様で織られたTAD布を記載している。開示された織り模様は、対象とするTAD布の紙支持表面に相互に交互配列で配置される複数のかご形の空洞(この空洞は、布の上面の突起部により拘束されている)を提供する。TAD布は、比較的密な間隔の非圧縮の枕状のゾーンのパターン配列を有するバルクティッシュ製品の製造を可能にする。この各ゾーンは、圧縮された繊維と非圧縮の繊維の交互に間隔を空けた領域とを備え、かつ上面の平坦は突起部により形成される、交互にピケット状の輪郭で囲まれている。
【0006】
1980年代には、かご形空洞と同様なTAD布を提供する別の手段が開発された。プロクター&ガムベル社の保有する、トロークホンへの特許文献3、特許文献4及び特許文献5が、これら手段に関する初期の米国特許文書の中にあり、事前に選択された領域に高分子樹脂材料のコーティングを有する多孔織物素子、すなわち織られた基布で構成されるTADベルトを記載している。更に詳細には、高分子樹脂材料は肉眼では均一な、パターン化された、連続した網目模様の表面を有するベルトTADベルトを実現し、この網目模様表面は、TADベルト内にかご形空洞と異なる、複数の分散した、個別の偏向コンジット又は穴を形成するのに役立つ。TADベルトを製造するために、多孔織物素子は、素子の上面全体を調整された厚みの液体の感光性樹脂でコーティングされ、所望のパターンを形成する不透明領域及び透明領域を有するマスク又は遮蔽物を、液体感光性樹脂の表面と接触させ、樹脂はマスクを通して化学線に露光させる。一般にスペクトルの紫外線(UV)部分内の化学線は、マスクを通して露光される樹脂のこれら部分を硬化させるが、マスクで遮蔽されるこれら部分を硬化させない。次に、硬化しない樹脂は、洗浄により除去され、硬化した樹脂で形成される所望のパターンのコーティングと共に多孔織物素子の背後に残る。
【0007】
この方法を開示している独創的な米国特許は、プロクター&ガムベル社の保有する、ジョンソン(Johnson)らへの特許文献6である。先の段落で述べたTADベルトを製造する方法の開示に加えて、本発明は更に、高分子樹脂材料がそれの表面に複数の分散した突起部を形成する布を提供する。言い換えると、パターンは穴を有する連続した網目模様の反転したものである。代わりに、パターンは、他の部分は開いた多孔織物素子の内の、高分子樹脂材料で埋められた分散した領域部分である。この種のベルトは、プロクター&ガムベル社の保有する、バン ファーン(Van Phan)らへの特許文献7において例として示される通り、バルクティッシュ製造機の成形部分で使用され、比較的高重量の連続したバックグラウンド内に比較的低重量の分散した領域を有する未加工紙ウェブを形成する。この種のベルトは、また水流交絡製法等の製法により、繊維の密度が近辺領域より小さい分散した領域を有する、不織製品及び不織布の製造に使用できる。更に、キンバリー−クラーク(Kimberly−Clark)への特許文献8及び特許文献9においては、ソフトなバルキーティッシュウェブを製造する製紙布を開示しており、この場合には、ウェブ接触表面は3次元の多孔性不織布材料である。この材料は、網目模様又は発泡樹脂から成形される繊維マット又はウェブの形状であってもよい。多孔性不織布材料の付着は、積層、押出し成形、接着、溶融結合、エンタングルメント、溶接、針刺し、ネスティング又は積み重ねにより可能である。
【0008】
多孔織物素子上の高分子樹脂材料の分散した(不連続な)及び連続した網目模様に加えて、ジョンソンらへの特許文献6で開示される方法を用いて、高分子樹脂材料の半連続の網目模様を有する布を製造できる。例えば、プロクター&ガムベル社の保有する、アヤーズ(Ayers)らへの特許文献10は、TAD布に有効な、偏向コンジットの半連続パターンを形成するために、半連続パターンで配列された突起部の構造を有するベルトを記載している。「半連続」の意味は、各突起部が実質的には直線状にほぼベルト全体に広がり、各突起部が近接突起部と間隔を空けていることを指す。従って、突起部はほぼ直線の、平行な、相互に間隔を空けたラインであってもよく、又はほぼ平行で、相互に間隔を空けたジグザグ形状であってもよい。
【0009】
バルクティッシュの用途によっては、布の紙接触表面上に高分子樹脂材料の連続、半連続又は分散した網目模様を有する圧縮布が使用される。「圧縮布」の意味は、抄紙機の圧縮部分上で通常使用され、基布、又は他の支持構造体及び布の少なくとも片面に貼り付けられる短繊維材料の1層又は複数層を含む、布を指す。例えば、プロクター&ガムベル社の保有する、トロークホンらへの特許文献11は、布の紙接触表面上に高分子樹脂材料の連続及び分散した網目模様を有し、バルクティッシュ製品の製造に使用される「圧縮布」を記載している。
【0010】
特許文献6及びその後にプロクター&ガムベル社の米国特許で開示されるそれの改良は、極めて細密であり、時間を要する。成形、圧縮又はTAD布、あるいは水流交絡製法等の製法による不織製品及び不織布の製造に使用する布に、連続、半連続又は分散した網目模様の形状の高分子樹脂材料のコーティングを提供するためのより直接的な方法は、関連の工業分野において長期間に亘り探索されてきた。本発明は、長期間の切実な要求を満たすものである。
【特許文献1】米国特許第4,191,609号明細書
【特許文献2】米国特許第4,239,065号明細書
【特許文献3】米国特許第4,528,239号明細書
【特許文献4】米国特許第4,529,480号明細書
【特許文献5】米国特許第4,637,859号明細書
【特許文献6】米国特許第4,514,345号明細書
【特許文献7】米国特許第5,277,761号明細書
【特許文献8】米国特許第6,080,691号明細書
【特許文献9】米国特許第6,120,642号明細書
【特許文献10】米国特許第5,714,041号明細書
【特許文献11】米国特許第5,556,509号明細書
【特許文献12】米国特許第4,427,734号明細書
【特許文献13】米国特許第4,567,077号明細書
【特許文献14】米国特許第5,360,656号明細書
【特許文献15】米国特許第6,340,413号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような点から、本発明はバルクティッシュ及びタオルならびに不織製品及び不織布の製造に使用するベルトを生成する方法を提供する。この方法は、ベルト用のベース支持体を設ける第1工程を含む。
【0012】
次に、犠牲材料がベース支持体の上に精細な所定のパターンで置かれ、この所定のパターンはベルトを用いて製造される製品上に付与されるものである。ベース支持体内に浸透する犠牲材料は、必要な場合には、ベース支持体の上に所望の厚みの層を形成して、必要な場合には、ベース支持体内及びその上に成形部を実現する。従って、機能高分子樹脂材料はベース支持体上の全面に置かれ、必要な場合には、事前に犠牲材料で覆われていないベース支持体上の領域を所望の厚みの層でカバーするように、すなわち、犠牲材料で画定された成形部を覆うように配置される。次に、高分子樹脂材料は適切な手段により取り付け又は固定される。
【0013】
最後に、犠牲材料はベース支持体から新しく生成されたベルトから除去される。一般に、犠牲材料は適正な溶剤又は加熱を加えて除去される。犠牲材料の除去の前後のいずれかに、随意には、配置された高分子樹脂材料を研磨して、均一厚みの、滑らかな、肉眼では均一な表面を実現するか、又は、高分子樹脂材料でカバーされている任意の犠牲材料を後続の除去加工で処理することができる。
【0014】
次に、本発明は添付図面を参照してより詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明によるベルトを生成する方法は、ベース支持体を準備することで始まる。一般に、ベース構造体又は支持体は単繊維糸から織られる布である。しかし、更に広い意味では、ベース支持体は、不織製品又は不織布を製造するのに用いる抄紙機の布又はベルトの生成に使用する任意のさまざまな糸、例えば単繊維糸、撚り単繊維糸、多繊維糸及び撚り多繊維糸等で構成される織物、不織布又は編物であってもよい。これらの糸は、当業者によりこの目的に使用される高分子樹脂材料のいずれかの押出成形により得られる。従って、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアラミド、ポリオレフィンの系列の樹脂及び他の樹脂を使用してもよい。
【0016】
代替方法としては、ベース支持体は、本発明者に譲渡されたジョンソンへの特許文献12に記載の網目布で構成できる。この特許の全内容は、参照により本明細書に引用したものとする。ベース支持体は更に、多くの米国特許、例えばガウティラー(Gauthier)への特許文献13に記載される、さまざまな形態の螺旋連結ベルトとすることもできる。この特許の全内容もまた、参照により本明細書に引用したものとする。
【0017】
更に、ベース支持体は、本発明者に譲渡されたレックスフェルト(Rexfelt)らへの特許文献14に記載の方法による、織物、不織布、編物又は網目布の細長い切れを螺旋状に巻くことにより形成できる。この特許の全内容は、参照により本明細書に引用したものとする。従って、ベース支持体は螺旋状に巻いた細長い切れを含み、各螺旋巻きは、ベース支持体を縦方向にエンドレスにする連続継ぎ目により隣の細長い切れに接続される。
【0018】
上記のベース支持体は、ベース支持体の唯一の可能な形状と考えるべきではない。抄紙機の布又は関連技術の当業者により使用されるさまざまなベース支持体は、いずれも代替的に使用できる。
【0019】
ベース支持体が準備され終わると、随意に、短繊維綿の1つ又は複数の層が、当業者に公知の方法を用いて、支持体の両側面の1つ又は両方に取り付けられる。最もよく知られかつ一般的に使用される方法は針刺しであり、この場合には、綿の個々の短繊維は、複数の往復運動する鋭い針により基礎構造体内に打ち込まれる。あるいは、個々の短繊維は水流交絡法によりベース支持体に取り付けでき、この場合には、水の超高圧ジェットが前述の往復運動する鋭い針と同一機能を実行する。短繊維綿が、当業者に公知のこれら又は他の方法でベース支持体に取り付けられると、抄紙機の圧縮部分で濡れた紙ウェブを脱水するのに一般に使用されるさまざまな圧縮布の構造と同一の構造体を得ることができる。
【0020】
代替方法では、ベース支持体は、空気及び水等の流体に対して非浸透性の高分子樹脂材料をコーティングした構造体であって、少なくとも部分的にその構造体を含み、及び両側面の一方に所望の厚みの層を形成する構造体にできる。本発明においては、特許文献15に記載されるさまざまな型押しベルトの生成に非浸透性ベース支持体を利用できる。この特許の全内容は、参照により本明細書に引用したものとする。上記特許に開示された型押しベルトは、実質的に非浸透性であり、背面層及びウェブ接触層を有し、多数の均一分布するくぼみと、それらの間に配置された、抄紙機の圧縮部分を通過する繊維ウェブ内の対応する浮彫りパターンを形成する表面部分とを有する。型押しベルトは更に、型押しされた繊維ウェブを抄紙機の乾燥部分に搬送する。
【0021】
更に、この種の構造体は、非浸透性の有無によらず、不規則な表面形状を有する。この形状は構造体内で再現でき、又は明らかに、同一紙、ティッシュ又は不織布抄紙機に対して生成される後続構造体において再現できる。この種類の布は特許文献8及び特許文献9に記載されており、その開示内容は参照により本明細書に引用したものとする。
【0022】
本発明により生成されるベルトは、特にティッシュ又はタオル製品を製造する抄紙機の成形、圧縮又は通気乾燥部分において使用でき、又は水流交絡製法等の製法により不織製品及び不織布を製造する機械で使用できる。ベース支持体上に針刺しされた綿を有するベルトは、圧縮部分に使用するのに最適であり、短繊維綿の無いベルトはこれら部分又は機械のいずれにも使用できる。場合により、樹脂を塗布後に、初期層又は追加綿を構造体に付着させる必要がある。このような場合には、パターン化樹脂は綿繊維の層の下に置くことができる。
【0023】
追加の短繊維綿を含むか又は含まないベース支持体が提供されると、この支持体は、図1に示された装置10に組み込まれる。ベース支持体は、抄紙機に組み込む際に、エンドレス又は継ぎ合わせでエンドレス形状のいずれにもできる。従って、図1に示されるベース支持体12はベース支持体12の全長の比較的短い部分であると理解されるべきである。ベース支持体12がエンドレスである場合、この支持体は実際には一対のロール周りに取り付けられる。この状態は図示されていないが、抄紙機布分野の当業者には公知である。このような状態において、装置10はベース支持体12の2つの走行部分の一方、最も好都合には上側の走行部分の上に配置される。ただし、ベース支持体12は、エンドレスであってもなくても、好ましくは、操作の間は適正な張力を掛けた状態に置かれる。更に、たるみを避けるために、ベース支持体12は、装置10を通過するときに、水平支持部材により下方から支持することができる。
【0024】
図1を更に詳しく見ると、本発明が実行されるとき、ベース支持体12は装置10を通り上方に移動しており、また、装置10は連続したいくつかのステーションを備え、ベルトが生成されるとき、このステーションを通りベース支持体12が徐々に通過することが示されている。
【0025】
第1ステーションにおいて、成形素子配置ステーション14、横方向レール18、20に取り付けられ、そのレール上を、装置10を通過するベース支持体12の移動方向と交差する方向に移動し、更にレール間を、ベース支持体12の移動方向と平行な方向に移動するピエゾジェットアレイ16を用いて、所望の量の犠牲材料を、所定のパターンでベース支持体12上に形成するように繰返し工程で配置できる。あるいは、以下に説明する通り、本発明を実施するのに必要な小さい液滴を配置する他の手段は、当業者には公知であるか、又は将来開発される可能性があり、更に、本発明の実施において使用できる。更に、犠牲材料の配置は、ベース支持体の移動と交差するだけでなく、その移動に平行、渦巻き方向に移動できる必要があり、又はその目的に適する任意の別の方法を必要とする。
【0026】
犠牲材料はベース支持体内に浸透し、必要な場合には、ベース支持体の上に所定のパターンで所望の厚みの層を形成する。このパターンは分散した位置の配列であり、この位置は、ベース支持体12から生成されるベルトを通過する流体のための、又はベース支持体12のベルト表面上の、分散した穴又は開口の対応する配列の最終的な位置である。このような場合においては、ベルトは非浸透性であるため、後のベルト生成製法において除去され、かつ完成ベルトには存在しない犠牲材料は、犠牲材料が付着され、ベース支持体12が浸透性である分散した位置に配置され、流体の通過を阻止する。更に、犠牲材料は所定の高さ及び/又は形状でベース支持体12の表面から上に突き出ている。まとめると、犠牲材料を有する分散した位置は、後に機能高分子樹脂材料を充填される成形素子(ベルトが完成したときに、この部分がベルトの機能部分である理由でそのように称される)を含む。
【0027】
前の段落で述べた分散した位置には、犠牲材料を供給して、例えば、雲、花、白鳥又は木の葉、あるいは企業又は会社ロゴ等の通常の物体の輪郭を形成して、ベルト上に製作される製品の所望の配列が現れるようにすることができる。更に、輪郭の配列は、より小さい分散した穴のバックグラウンド配列上に重ねることができる。
【0028】
代替方法では、犠牲材料は半連続網目模様、例えば、ベース支持体12のほぼ全体にわたり実質的に直線状で延びる半連続パターンに配置して、犠牲材料がベース支持体12に、相互にほぼ平行及び等間隔のラインに沿って付着するようにできる。このようなラインは曲線、直線又はジグザグのいずれでもよい。一般的には、半連続網目模様は直線又は曲線、あるいは相互に間隔を空け、相互に交差しない直線及び曲線部分を有するラインを含む。
【0029】
代替方法では、犠牲材料は連続網目模様に配置でき、この網目模様は、ベース支持体12の表面の両方の範囲のほぼ全体に広がり、複数の分散した開放領域を画定する。これらの分散した開放領域は、最終的には高分子樹脂材料を充填され、ベルトの表面上の高分子樹脂材料を充填される分散領域の最終的位置になる。これに関しては、分散した開放領域は、雲、花、白鳥又は木の葉、あるいは企業又は会社ロゴ等の通常の物体の輪郭を形成して、ベルト上に製作される製品の所望の形態が現れるようにできる。更に、輪郭の配列は、高分子樹脂材料を充填されるより小さい分散した領域のバックグラウンド配列上に重ねることができる。
【0030】
ピエゾジェットアレイ16は少なくとも1つ、好ましくは複数の個々にコンピュータ制御されるピエゾジェットを備え、その各ジェットは、ジェットの能動素子が圧電素子であるポンプとして作用する。実際には、技術的に可能な場合は、最大256又はそれ以上のピエゾジェットアレイが利用できる。能動素子は印加される電気信号により物理的に変形する水晶又はセラミックである。この変形により水晶又はセラミックはポンプとして作用して、適正な電気信号を受け取る度に物理的に液滴を噴射する。従って、ピエゾジェットを用いて所望の材料の液滴を繰返し供給することにより、コンピュータ制御電気信号に応答して所望の量の材料を所望の形状で堆積するこの方法は、一般に「ドロップ・オン・デマンド」法と呼ばれる。
【0031】
材料を配置する場合のジェットの精度の度合いは、形成される構造体の寸法及び形状に依存する。使用されるジェット及び供給される材料の粘度もまた、選択されるジェットの精度に影響を与える。
【0032】
再度図1を参照すると、ピエゾジェットアレイ16は、ベース支持体12の端部から、又は好ましくは、ベース支持体の縦方向に延びる基準線から出発し、ベース支持体12が静止しているときに、ベース支持体12の縦方向及び横方向に移動する。ピエゾジェットアレイ16は犠牲材料を、10μm(10ミクロン)又は50μm(50ミクロン)又は100μm(100ミクロン)のような極めて小さい液滴の形状として、前述のパターンの1つで配置する。ピエゾジェットアレイ16のベース支持体12に対する縦方向及び横方向への移動と、ピエゾジェットアレイ16の各ピエゾジェットからの犠牲材料の液滴の配置とはコンピュータ制御され、ベース支持体12内及び必要な場合には支持体16上に、3平面の長さ、幅及び深さ又は高さ(x、y、z寸法又は方向)の制御された形状の犠牲材料の所定のパターンを生成する。ピエゾジェットアレイ16はベース支持体12上を1回又は複数回移動し、所望の量の犠牲材料を配置し、所望の形状を生成する。これに関しては、配置は、一般に図9に示すような任意の数の形状を採用できる。形状は、正方形、円錐形、長方形、楕円、台形等にできる。選択されるデザインに応じて、配置される材料の量は、ジェットが繰返し配置領域上を通過するとき減少するように層状に重ねることができる。
【0033】
パターンが、ベース支持体12を横切る横方向レール18、20の間で帯として完成すると、ベース支持体12は縦方向に帯の幅に等しい量だけ進み、前述の手順を繰り返して、先に完成した帯に隣接する新しい帯として所定のパターンを生成する。この繰返しにより、ベース支持体12全体に所定のパターンを生成できる。
【0034】
代替方法では、ピエゾジェットアレイ16は、ベース支持体12の端部から、又は好ましくはベース支持体の縦方向に延びる基準線から再度出発し、ベース支持体12がピエゾアレイの下を移動する間に、横方向レール18、20に対して固定された位置に維持され、犠牲材料をベース支持体12周りの縦方向の細長い切れ内に所望のパターンで配置する。縦方向の細長い切れが完成すると、ピエゾアレイ16は横方向レール18、20上を横方向に縦方向の細長い切れと同一量だけ移動し、前述の手順を繰り返して、先に完成した細長い切れに隣接する新しい縦方向の細長い切れ内に所定のパターンを生成する。この繰返しにより、ベース支持体12全体に所定のパターンを生成できる。
【0035】
横方向レール18、20の一端には、各ジェットからの犠牲材料の流れを検査するために、ジェット−チェックステーション22が設けられる。そこでは、ジェットをパージして、クリーニングし、ジェットユニットのあらゆる不具合に対して動作を自動的に復元する。
【0036】
犠牲材料は、加熱により容易に溶融する個体材料であり、冷却することによりベース支持体12に強固に結合して固まる。犠牲材料は、加熱リザーバから供給できる。加熱リザーバでは、犠牲材料は液体状態で維持され、供給ラインを通してピエゾジェット又は複数のピエゾジェットに注入される。ジェットサイズと共に吐出点における犠牲材料の粘度は、ベース支持体12上に形成される液滴のサイズ及び形状、及び結果的には、最終的に得られるパターンの分解能を決定するのに重要である。
【0037】
犠牲材料は、非水溶性の溶剤除去ワックス、あるいは水溶性ポリエチレングリコール又はポリビニルアルコール等の水溶性ワックスであってもよい。より一般的には、犠牲材料は、ピエゾジェットを通して前述で与えられるサイズ範囲の極めて小さい液滴で吐出でき、かつベース支持体12及びこの支持体上の機能的高分子樹脂材料を破壊しない手段によりベース支持体から最終的に除去できる、任意の材料であってもよい。これら必要条件に加えて、犠牲材料は、ベース支持体上に配置後できるだけ速くベース支持体12内及びその上に固定又は固着しなければならない。これにより、犠牲材料がベース支持体内に浸透し、その内部及びその上に分布するのを制御する、すなわち、犠牲材料をベース支持体12の所望の容積以内に制御及び制限し、ならびに、望ましくない吸い上げ及び拡大を防止する。更に、繰返しパターンで液滴を配置する(これは1つの液滴を次の液滴の上に層状に重ねることである)ことにより、ベース支持体上の犠牲材料の高さ又はz方向を制御でき、それらを均一又は可変、さもなければ必要な場合には調節できる。パターンはベース支持体上のランダム、すなわち繰返しランダムパターンであってもよく、あるいは品質管理のためにベルトからベルトに繰り返しできるようなパターンであってもよい。
【0038】
第2ステーションにおいては、画像化/修復ステーション24、横方向レール26、28は、ベース支持体12の幅を横切って移動できるデジタルカメラ30と修復ジェットアレイ32とを支持する。この修復ジェットアレイ32は、ベース支持体12の幅を横切って移動、及びベース支持体12が静止している間に、横方向レール26、28間を支持体12の縦方向に移動の両方に移動する。
【0039】
デジタルカメラ30は配置された犠牲材料を観察して、あらゆる欠陥箇所又は分散した成形素子の抜け、又は犠牲材料により、ベース支持体12内、及び必要な場合にはそれの上に生成される半連続又は連続パターン内の相似の不規則部の位置を特定する。実際のパターンと所望のパターンの比較は、デジタルカメラ30と組み合わせて機能する高速パターン認識(FPR)プロセッサによりなされる。FPRプロセッサは、修復ジェットアレイ32に信号を送り、欠陥箇所又は抜け箇所であることを検出された成形素子上に追加の犠牲材料を配置する。前述と同様に、横方向レール26、28の一端には、各修復ジェットからの犠牲材料の流れを検査するために、修復ジェット−チェックステーション34が設けられる。そこでは、各ジェットをパージして、クリーニングし、修復ジェットユニットのあらゆる不具合に対して動作を自動的に復元する。
【0040】
第3ステーションにおいては、高分子材料配置ステーション36、横方向レール38、40は、バルクジェットアレイ42等の測定デバイスを支持する。バルクジェットアレイ42はレール38、40の上を、装置10を通るベース支持体12の移動方向と交差する方向に移動でき、更に、ベース支持体12が静止している間、レール38、40の間をベース支持体12の移動方向と平行な方向に移動できる。バルクジェットアレイ42を用いて、機能的高分子樹脂材料をベース支持体12内又は上に配置し(犠牲材料を充填された領域を除いて)、ベース支持体12内に犠牲材料により形成される成形素子を犠牲材料で充填し、更に必要な場合には、ベース支持体12上に所望に厚みの層を形成する。後者の犠牲材料はポリウレタン又は感光性樹脂、ならびにピエゾジェットアレイにより配置できる条件で特定される部類の内の他の材料であってもよい。バルクジェットアレイ42はベース支持体12を犠牲材料で充填し、必要な場合には、ベース支持体12上に、機能的高分子樹脂材料の均一厚みの層、好ましくは、除去する材料の領域より薄い層を残す。従って、高分子樹脂材料は最終的に、ベース支持体12の表面の内部又は上に残る。この表面は一般に、製造される紙、ティッシュ、タオル又は不織製品と接触する面である。製造/製法によっては、この樹脂を非製造接触面上の主材料として必要としない、と考えられる。この場合、ベルト及び製造される製品が接触しているときに発生する流体流れ又は機械的圧力差は、局部的密度又は質感の差を発生させる。
【0041】
使用する高分子樹脂材料を固着又は固定する固着デバイス44もまた、横方向レール38、40上に取り付けでき、ベース支持体12を横切るバルクジェットアレイ42の後方に置いて、バルクジェットアレイ42により配置される材料を固着又は固定する。固着デバイス44は、例えば赤外線、熱風、マイクロウェーブ又はレーザ光線等の熱源、冷風、あるいは紫外線又は可視光線であってもよく、それらの選択は使用される高分子樹脂材料の必要条件に左右される。
【0042】
機能的高分子樹脂材料は更に、ベース支持体12上に配置後に、支持体12内又は上に固定する必要がある。機能的高分子樹脂材料を固着又は固定する手段は、樹脂材料の物理的及び/又は化学的要件に依存する。感光性重合体は、光により硬化するのに対して、熱溶融材料は冷却により凝固する。水溶性ラテックス及び分散体は乾燥した後、熱により硬化させ、また、反応性物質は熱により硬化させる。従って、機能的高分子樹脂材料は、硬化、冷却、乾燥、又はそれらの任意の組合せにより固着できる。
【0043】
機能的高分子樹脂材料の適正な固定には、ベース支持体12内への樹脂材料の浸透及び支持体内での分布を制御する必要、すなわち、樹脂材料をベース支持体12の所望の容積以内に制御及び制限する必要がある。ベース支持体12の表面下でのこのような制御は、吸い上げ及び拡大の防止、すなわち、機能的高分子樹脂材料が先に配置された犠牲材料の下で拡大するのを防止するのに重要である。このような制御は、例えば、ベース支持体12を、機能的犠牲材料を接触後直ぐに固着させる温度に維持することによりなされる。制御は更に、ある程度の開放領域を有するベース支持体上に公知の硬化又は反応時間を有する材料を使用することにより、機能的高分子樹脂材料が固着後、ベース支持体12の所望の容積以上に拡大する時間を持つように制御してなされる。
【0044】
更にまた、横方向レール38、40の一端には、各修復ジェットからの材料の流れを検査するために、バルクジェットチェックステーション46が設けられる。そこでは、各バルクジェットをパージして、クリーニングし、バルクジェットユニットのあらゆる不具合に対して動作を自動的に復元する。
【0045】
代替方法では、高分子樹脂材料は、吹き付け、ナイフ塗布、SPS(single−pass−spiral)コーティング、MTP(multiple−thin−pass)コーティング、又は液体材料を布地支持体の塗布するための当技術分野で公知のその他の方法により、ベース支持体12の上又は内部に配置できる。
【0046】
第4ステーションは、成形素子除去ステーション48である。ここでは、最初に成形素子配置ステーション14に配置された犠牲材料は、適正な手段により除去される。例えば、犠牲材料がワックスである場合、成形除去ステーション48は適切な温度の熱源を含み、ワックスを溶かして、ベース支持体12から流れ出るようにすることができる。一方、犠牲材料が溶剤除去材料である場合、成形素子除去ステーション48は、水等の適切な溶媒を用いる吹き付け又は浸漬等の処理法を備える。実際には、ベース支持体12は曲線状の経路で溶剤溶液に送入及び送出され、シャワーを浴びせて犠牲材料の効果的な除去を行なう。あるいは、曲線状の経路全体は、攪拌された溶剤溶液内にあってもよい。溶液の温度を上げることにより、犠牲材料の除去は更に効果的に進行できる。いずれにせよ、犠牲材料の除去は、ベース支持体12及びその上の機能的高分子樹脂材料を破壊しない手段により実行され、所望のパターンの機能的樹脂材料を有するベース支持体12を残す。
【0047】
最後に、随意選択の第5の最終ステーションは研磨ステーション50であり、ここでは、適正な研磨剤を用いて均一な厚みの、滑らかな、肉眼では均一な表面を有する高分子樹脂材料を実現する。あるいは、成形素子除去ステーション48の前に研磨ステーション50を置き、高分子樹脂材料で覆われた全ての犠牲材料を研磨するようにできる。いずれにせよ、随意選択の研磨ステーション50は研磨表面を有するロールと、別のロール又はベース支持体12の反対面の受面とを備え、研磨の結果として均一な厚みの、滑らかな、肉眼では均一な表面を得ることを保証する。
【0048】
次に例として、浸透性ベース支持体12の平面図である図2を参照すると、紙幅方向(CD)糸54の配列と織り合わされた走行方向(MD)糸52の配列を含む。ベース支持体12は、画像化/修復ステーション24からの出口に位置に現れている状態で示されている。従って、ベース支持体12は、所定のパターンの前述の犠牲材料の複数の成形素子56を含み、上記パターンは製造されるベルトを通る分散開口の最終的位置である分散位置の配列の形体を取る。
【0049】
図3はベース支持体12の平面図であり、支持体が高分子材料配置ステーション36からの出口に現れている状態を示す。この点において、ベース支持体は正しくは中間ベルト生成物58と呼ばれることもあり、このベルトはそれの製造の中間段階を表すことを意味する。高分子樹脂材料60は、犠牲材料の成形素子56で占有された位置を除いてベース支持体12を充填する。
【0050】
図4は完成したベルト62の平面図であり、ベルトは成形素子除去ステーション48及び随意選択の研磨ステーション50からの出口に現れている。ベルト62は、犠牲材料の成形素子56で先に占有された位置を除いて機能的高分子樹脂材料60を含む、この犠牲材料の除去により、所定のパターンの複数の分散した開口64を有する高分子樹脂材料60を残す。この例におけるベース支持体12は空気及び水等の流体に対して浸透性であるため、分散した開口64はベース支持体12まで及びそれを貫通する通路を提供する。この例では、ベース支持体12の一部は各分散開口64の中に見えている。
【0051】
図5は、図4に示す位置で切断された完成したベルト62の断面図である。この例においては、高分子樹脂材料60は、分散開口64で示される領域を除いて、ベース支持体12上に所望の厚みの層を形成する。
【0052】
図6及び7はベルトの別の実施形態を示す。図6はベルト66の平面図であり、ベース支持体12は所定のパターンの高分子樹脂材料の複数の分散した領域68を有する。このようなベルト66は、抄紙機の成形部分において使用される。
【0053】
図7は、表面に高分子樹脂材料の半連続網目模様を有するベルト70の平面図である。半連続網目模様は、実質的に直線状にベルト70のほぼ全体に広がっている。半連続網目模様の各部分72はほぼ直線で延び、ある範囲まで相互に平行なジグザグ形状にし、網目模様を形成する。各部分72は高分子樹脂材料である。
【0054】
図8は図4に示したベルト80の変形形体の平面図であり、分散開口82のパターンの上に重ねた追加パターンを有する。追加パターン84はロゴであるが、通常の物体でもよく、またベルト80上に所望の配列で繰り返すパターンにもできる。浸透性ベース支持体12の部分は、分散した各開口82ならびに追加パターン84内に見える。
【0055】
本発明の別の実施形態においては、成形素子配置ステーション14、画像化/修復ステーション24、及び高分子材料配置ステーション36は、前述の紙幅方向で示したものでなく、螺旋技法でベース支持体12からベルトを生成するように構成できる。螺旋技法においては、成形素子配置ステーション14、画像化/修復ステーション24、及び高分子材料配置ステーション36は、ベース支持体の一端、例えば図1の左端で出発し、ベース支持体12が図1に示す方向に移動するとき、ベース支持体12を横切って徐々に移動する。ステーション14、24、36及びベース支持体12が移動する速度は、完成ベルトの所望のパターンがベース支持体12上で連続した螺旋形状になるように設定される。これの別形態では、高分子材料配置ステーション36により配置される高分子樹脂材料は、各螺旋が固着デバイス44の下を通過するときに部分的に固着又は固定され、ベース支持体全体12が装置10を通過して処理されたときに完全に固着される。
【0056】
代替方法では、ピエゾジェットアレイ16がベース支持体12周りの縦方向の細長い切れ内で犠牲材料を所望のパターンに配置する場合、画像化/修復ステーション24、及び高分子材料配置ステーション36もまた、ベース支持体12がそれらステーションの下を移動する間、ピエゾジェットアレイ16に整列した固定位置に維持され、この結果、完成ベルトの所望のパターンはベース支持体12周りの縦方向の細長い切れに供給される。縦方向の細長い切れが完成すると、ピエゾジェットアレイ16、画像化/修復ステーション24及び高分子材料配置ステーション36は、縦方向の細長い切れの幅と同一量だけ横方向に移動し、前述の手順を繰り返して、先に完成した細長い切れに隣接する新しい縦方向の細長い切れを生成する。この繰返しにより、ベース支持体12全体を完全に処理して、ベルトを生成できる。更に、装置全体は処理される材料に対し固定位置にとどまることができる。材料はベルトの全幅である必要はなく、レックスフェルトへの特許文献14(この特許の内容は参照により本明細書に引用したものとする)に開示されるように、細長い切れ材料だけあればよく、その後、全幅のベルトに形成される。細長い切れは、完全に処理後、一式のロールに巻き戻し及び巻き付けできる。ベルト生成材料のこれらロールは保管し、その後に使用して、例えば上の特許の開示内容を利用してエンドレスの全幅構造体を形成できる。
【0057】
磨耗及び酸化への耐性等の機能的高分子樹脂材料の特性は、ベルトの耐久性に関して重要である。前述の通り、機能的高分子樹脂材料の硬化、固着又は反応時間の重要性に加えて、ベルトに送出する間における樹脂材料の粘度の同様に重要である。特に、本発明の別の実施形態においては、高分子材料配置ステーション36は、バルクジェットアレイ42の代わりに第2ピエゾジェットアレイを備える。犠牲材料を充填された領域を除いて、ピエゾジェットアレイを用いて高分子樹脂材料をベース支持体12の上及び内部に配置する場合、高分子樹脂材料の選択は、個々のピエゾジェットが一定の液滴送出速度で高分子樹脂材料を噴射できるように、吐出時間(すなわち、配置に備えて高分子樹脂材料がピエゾジェットのノズル内にあるとき)において、粘度が100cps(100センチポアズ)以下である必要条件により限定される。
【0058】
ピエゾジェットアレイ又はバルクジェットアレイのいずれかにより供給できる高分子樹脂材料は、以下の4クラスのどれかに含まれる:
1.加熱溶融及び湿分硬化加熱溶融;
2.ウレタン及びエポキシ系統の2成分反応系;
3.反応性アクリレート単量体、ならびにウレタン、ポリエステル、ポリエーテル及びシリコンから誘導されるアクリレートオリゴマーからなる感光性樹脂合成物;及び
4.水溶性ラテックス及び分散体及びアクリル樹脂及びポリウレタンを含む粒子充満調合物。
【0059】
前述の通り、ピエゾジェットアレイは、吐出時間において樹脂の粘度が100cps(100センチポアズ)以下である限り、10μ(10ミクロン)又はそれ以上の平均直径を有する極めて小さい液滴の形体の高分子樹脂材料を供給できる。更に、ピエゾジェットアレイは、極めて精密な一層の高分子樹脂材料を一度に配置でき、均一厚みを得るためにそれにより形成されたコーティングの表面を研磨する必要がなく、当業者がコーティングのz方向形状を制御可能にする。言い換えると、ピエゾジェットアレイは高分子樹脂材料を正確に配置して、表面を研磨せずに均一にし、あるいは、表面が所定の3次元構造を有するようにできる。更に、この実施形態においては、ピエゾジェットアレイ内の個々のピエゾジェットの一部を用いて、1つの高分子樹脂材料を配置し、同時に、別のピエゾジェットを用いて、異なる高分子樹脂材料を配置することにより、1種類の高分子樹脂材料より多くの微細領域を有する表面を生成できる。
【0060】
当業者には、前述の内容に対する変更形態は明らかであろうが、それら変更形態は、添付の特許請求の範囲を逸脱して本発明に変更を及ぼすことはない。特に、上の説明では、ピエゾジェットは犠牲材料を配置するのに使用されるとして述べているが、場合によっては、機能的高分子樹脂材料は、ベース支持体上の事前に選択された位置において、所望のサイズ範囲の樹脂材料の液滴を配置する他の手段は当業者には公知であり、又は将来開発される可能性があり、そのような別の手段を本発明の具体化に利用できる。例えば、最終素子が半球のような比較的大きいパターンを必要とする製法においては、比較的大きい、更に単一樹脂配置ノズルはジェットアレイ全体を含むことができる。このような手段の使用は、それを用いて具体化された場合、本発明を添付の特許請求の範囲から逸脱させるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の方法によるベルトを生成するのに用いる装置の概略図である。
【図2】図1の装置において、ベース支持体が画像化/修復ステーションからの出口に現れるときの平面図である。
【図3】図1の装置において、ベース支持体がポリマー配置ステーションからの出口に現れるときの平面図である。
【図4】図1の装置において、完全なベルトが成形部除去及び研磨ステーションからの出口に現れるときの平面図である。
【図5】図4で示された位置で切断された断面図である。
【図6】ベルトの第2実施形態の平面図である。
【図7】ベルトの第3実施形態の平面図である。
【図8】図4のベルトの変形ベルトの平面図であり、分散した開口パターンに重ね合わせた追加パターンを有する。
【図9】配置される材料のさまざまな形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
10 装置
12 ベース支持体
14 成形素子配置ステーション
16 ピエゾジェットアレイ
18、20、26、28、38、40 横方向レール
22 ジェット−チェックステーション
24 画像化/修復ステーション
30 デジタルカメラ
32 修復ジェットアレイ
34 修復ジェット−チェックステーション
36 高分子材料配置ステーション
42 バルクジェットアレイ
44 固着デバイス
52 走行方向(MD)糸
54 紙幅方向(CD)糸
56 犠牲材料の成形素子
58 中間ベルト生成物
60 機能的高分子樹脂材料
62、66、70、80 ベルト
64、82 分散開口
68 分散した領域
72 半連続網目模様
84 追加パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルクティッシュ及びタオルと不織製品及び不織布の製造に使用するベルトを生成する方法であって、
a)ベルトに使用するベース支持体を設け、
b)該ベース支持体上に制御される方法で犠牲材料を配置して、配置される該材料のx、y、z寸法を調整することにより、液滴で所定のパターンを生成し、
c)該犠牲材料を有する該ベース支持体上に高分子樹脂材料を配置して、該犠牲材料を備えない該支持体の領域を充填し、
d)該高分子樹脂材料を少なくとも部分的に固着し、
e)該ベース支持体から犠牲材料を除去する、
各工程を含む、方法。
【請求項2】
前記液滴は10μ(10ミクロン)又はそれ以上の平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
b)〜e)の工程が、前記ベース支持体を横切って横方向に延びる連続帯上で順次実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
b)〜e)の工程が、前記ベース支持体周りを縦方向に延びる連続細長い切れ上で順次実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
b)〜e)の工程が、前記ベース支持体周りに螺旋状に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程b)において、前記所定のパターンは所定の配列で表される複数の分散位置を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程b)において、前記所定のパターンは所定の配列の複数の分散した開放領域を画定する連続網目模様を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程b)において、前記所定のパターンは前記ベース支持体のほぼ全体に広がる半連続網目模様を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程b)において、前記犠牲材料は前記ベース支持体内に浸透している、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程b)において、前記犠牲材料は前記ベース支持体上に所望の厚みの規則的又は不規則パターンを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程b)において、前記犠牲材料はピエゾジェット手段により配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
工程b)において、前記犠牲材料は複数の個々にコンピュータ制御されるピエゾジェットを備えるピエゾジェットアレイにより配置される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記犠牲材料が加熱により除去できるワックスである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記犠牲材料が溶剤により除去できる材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
工程b)とc)の間に、更に、
1)前記犠牲材料の実際パターンを検査して、前記所定のパターンとの一致性を測定し、
2)該犠牲材料の該実際パターンを修復して、該所定のパターンからの差を無くする、
各工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記検査工程は、デジタルカメラと組み合わせて機能する高速パターン認識(FPR)プロセッサにより実行される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記修復工程は、前記FPRプロセッサに結合された修復ジェットアレイにより実行される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程c)において、前記高分子樹脂材料は前記ベース支持体上に所望の厚みの層を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記高分子樹脂材料がポリウレタンである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記高分子樹脂材料が感光性樹脂である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記固着工程は前記感光性樹脂を化学線で照射することにより実行される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記固着工程は前記高分子樹脂材料を熱源に当てることにより実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記固着工程は前記高分子樹脂材料を冷風に当てることにより実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記固着工程は前記感光性樹脂を化学線で照射することにより実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記高分子樹脂材料が、
1.加熱溶融及び湿分硬化加熱溶融材料、
2.ウレタン及びエポキシ系統の2成分反応系、
3.反応性アクリレート単量体、ならびにウレタン、ポリエステル、ポリエーテル及びシリコンから誘導されるアクリレートオリゴマーからなる感光性樹脂合成物、及び
4.水溶性ラテックス及び分散体及びアクリル樹脂及びポリウレタンを含む粒子充満調合物、
から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記除去工程は加熱又は適正な溶剤の作用により実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
細長い切れの幅より大きい幅を有するベルトを形成するために、最終的に螺旋状に巻かれる材料の織物、不織布、螺旋形状の、螺旋連結した、編まれた網目又は細長い切れから実質的に成る群から選択されるベース支持体を設ける工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
工程c)において、前記高分子樹脂材料がバルクジェットアレイにより前記ベース支持体上に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
工程c)において、前記高分子樹脂材料は吹き付けにより配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
工程c)において、前記高分子樹脂材料はナイフ塗布により前記ベース支持体上に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
工程c)において、前記高分子樹脂材料はSPS(single−pass−spiral)コーティングにより前記ベース支持体上に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
工程c)において、前記高分子樹脂材料はMTP(multiple−thin−pass)コーティングにより前記ベース支持体上に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記高分子樹脂材料はバルクジェットアレイにより配置される、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
第1高分子樹脂材料が更に配置され、この第1高分子樹脂材料と異なる第2高分子樹脂材料が配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記高分子樹脂材料は前記基布上に、均一表面を有する均一厚みの層として配置される、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記高分子樹脂材料は前記基布上に、3次元構造を有する表面を備える不均一厚みの層として配置される、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
均一な厚みの、滑らかな、肉眼では均一な表面を有する前記高分子樹脂材料を実現するために、前記ベース支持体上に配置された前記高分子樹脂材料を研磨する随意選択の工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
バルクティッシュ及びタオルと不織製品及び不織布の製造に使用するベルトであって、
a)ベルトに使用するベース支持体を設け、
b)該ベース支持体上に制御される方法で犠牲材料を配置して、配置される該材料のx、y、z寸法を調整することにより、液滴で所定のパターンを生成し、
c)該犠牲材料を有する該ベース支持体上に高分子樹脂材料を配置して、該犠牲材料を備えない該支持体の領域を充填し、
d)該高分子樹脂材料を少なくとも部分的に固着し、
e)該ベース支持体から犠牲材料を除去する、
各工程を含む方法により生成される、ベルト。
【請求項39】
前記液滴は10μ(10ミクロン)又はそれ以上の平均直径を有する、請求項38に記載のベルト。
【請求項40】
b)〜e)の工程が、前記ベース支持体を横切って横方向に延びる連続帯上に順次実行される、請求項38に記載のベルト。
【請求項41】
b)〜e)の工程が、前記ベース支持体周りを縦方向に延びる連続細長い切れ上に順次実行される、請求項38に記載のベルト。
【請求項42】
b)〜e)の工程が、前記ベース支持体周りに螺旋状に実行される、請求項38に記載のベルト。
【請求項43】
工程b)において、前記所定のパターンは所定の配列で表される複数の分散位置を含む、請求項38に記載のベルト。
【請求項44】
工程b)において、前記所定のパターンは所定の配列の複数の分散した開放領域を画定する連続網目模様を含む、請求項38に記載のベルト。
【請求項45】
工程b)において、前記所定のパターンは前記ベース支持体のほぼ全体に広がる半連続網目模様を含む、請求項38に記載のベルト。
【請求項46】
工程b)において、前記犠牲材料は前記ベース支持体内に浸透している、請求項38に記載のベルト。
【請求項47】
工程b)において、前記犠牲材料は前記ベース支持体上に所望の厚みの規則的又は不規則パターンを形成する、請求項38に記載のベルト。
【請求項48】
工程b)において、前記犠牲材料はコンピュータ制御されるピエゾジェット手段により配置される、請求項38に記載のベルト。
【請求項49】
各々が個々にコンピュータ制御される複数のピエゾジェットを含む、請求項47に記載のベルト。
【請求項50】
前記犠牲材料が加熱により除去できるワックスである、請求項38に記載のベルト。
【請求項51】
前記犠牲材料が溶剤により除去できる材料である、請求項38に記載のベルト。
【請求項52】
前記高分子樹脂材料が、
1.加熱溶融及び湿分硬化加熱溶融材料、
2.ウレタン及びエポキシ系統の2成分反応系、
3.反応性アクリレート単量体、ならびにウレタン、ポリエステル、ポリエーテル及びシリコンから誘導されるアクリレートオリゴマーからなる感光性樹脂合成物、及び
4.水溶性ラテックス及び分散体及びアクリル樹脂及びポリウレタンを含む粒子充満調合物、
から成る群から選択される、請求項38に記載のベルト。
【請求項53】
工程c)において、前記高分子樹脂材料はバルクジェットアレイにより前記ベース支持体上に配置される、請求項38に記載のベルト。
【請求項54】
工程c)において、前記高分子樹脂材料はピエゾジェットアレイにより前記ベース支持体上に配置され、このピエゾジェットアレイにより、前記高分子樹脂材料は10μ(10ミクロン)又はそれ以上の平均直径を有する液滴として配置される、請求項38に記載のベルト。
【請求項55】
工程c)において、前記高分子樹脂材料は吹き付けにより配置される、請求項38に記載のベルト。
【請求項56】
工程c)において、前記高分子樹脂材料はナイフ塗布により前記ベース支持体上に配置される、請求項38に記載のベルト。
【請求項57】
工程c)において、前記高分子樹脂材料はSPS(single−pass−spiral)コーティングにより前記ベース支持体上に配置される、請求項38に記載のベルト。
【請求項58】
工程c)において、前記高分子樹脂材料はMTP(multiple−thin−pass)コーティングにより前記ベース支持体上に配置される、請求項38に記載のベルト。
【請求項59】
第1高分子樹脂材料が更に配置され、この第1高分子樹脂材料と異なる第2高分子樹脂材料が配置される、請求項38に記載のベルト。
【請求項60】
前記高分子樹脂材料は前記基布上に、均一表面を有する均一厚みの層として配置される、請求項54に記載のベルト。
【請求項61】
前記高分子樹脂材料は前記基布上に、3次元構造を有する表面を備える不均一厚みの層として配置される、請求項54に記載のベルト。
【請求項62】
均一な厚みの、滑らかな、肉眼では均一な表面を有する前記高分子樹脂材料を実現するために、前記ベース支持体上に配置された前記高分子樹脂材料を研磨する随意選択の工程を更に含む、請求項38に記載のベルト。
【請求項63】
細長い切れの幅より大きい幅を有するベルトを形成するために、最終的に螺旋状に巻かれる材料の織物、不織布、螺旋形状の、螺旋連結した、編まれた網目又は細長い切れから実質的に成る群から選択されるベース支持体を設ける工程を更に含む、請求項38に記載のベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−512493(P2006−512493A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564787(P2004−564787)
【出願日】平成15年10月14日(2003.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/032500
【国際公開番号】WO2004/061220
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(591097414)アルバニー インターナショナル コーポレイション (110)
【氏名又は名称原語表記】ALBANY INTERNATIONAL CORPORATION
【Fターム(参考)】