説明

ベルトコンベヤ

【課題】 磁石の吸着作用を利用した挟持駆動方式のベルトコンベヤにおいて、磁石の吸着動作時に騒音レベルの衝突音、及び回転部材に振動等が生じないようにする。
【解決手段】 無端回動する搬送ベルト4の復路側を、一対の無端回動する磁石を取り付けた回転部材12,24の吸着作用で挟持し、その無端回動する一対の回転部材の少なくとも片方を駆動回動することで搬送ベルトを一対の回転部材で挟持回動させるベルトコンベヤにおいて、前記搬送ベルト4の復路側4bを挟持する上側の回転部材12を巻回保持する回転体11,11’の中心を通り搬送ベルト面と直交する中心線と、下側の回転部材24を巻回保持する回転体21,23の中心を通り搬送ベルト面と直交する中心線とを、搬送ベルトの回動方向に相対的にずらして配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベルトコンベヤに関し、更に詳しくは直線搬送する搬送ベルトの復路側を無端回動する挟持手段で挟持し、その挟持手段の回動により搬送ベルトを回動するベルトコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のストレートタイプのベルトコンベヤにおける搬送ベルトの駆動方式は、フレームの機長方向両側に取り付けたテールローラに亘って無端状の搬送ベルトを巻回し、その搬送ベルトの一部をドライブプーリの外周面に巻き付け、ドライブプーリの外周面との摩擦力で該ベルトを周方向に回動する方式である。そして、前記ドライブプーリが配置される位置により、ヘッドドライブタイプ、センタードライブタイプ等にタイプ分けされている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上記したベルトコンベヤにおける搬送ベルトの回動は、ドライブプーリ外周面との摩擦力により行なうため、その摩擦力を高める為に、該ドライブプーリの外周面に対するベルトの接触範囲(巻き付け範囲)を拡大し、更に接触圧を高める為に、スナップローラで搬送ベルトを絞り、ベルトに所定の張力を掛けている。即ち、従来のベルトコンベヤでは、ベルト張力は必要不可欠である。
しかしながら、搬送ベルトに油、水、粉等が付着し、それらがドライブプーリに付着した時、搬送ベルトとの接触摩擦力が低下し、それにより搬送ベルトへの回転伝達力が低下し、搬送ベルトの回転走行が不安定になるという問題点を有する。
【0004】
そこで、上記した摩擦方式に代わる駆動方式として、搬送ベルトの往路側又は復路側を無端回動する挟持手段で挟持し、その挟持手段を搬送ベルトの周方向に回動することで搬送ベルトを無端回動することができる新しい駆動機構を本件出願人が開発し、提案済み(特願2005−185129号)である。
【0005】
上記提案の駆動機構は、無端回動する挟持手段を回転部材(タイミングベルト、チェーン等)で構成し、その回転部材の外周面に磁石を周方向に間隔をおいて取り付け、これを搬送ベルトの復路側を挟む上下に配置したプーリ或いはスプロケットに亘って巻装し、上下の両方又は上下の何れか一方を駆動回転することで、回転方向の上流側(始端側)で磁石同士若しくは、一方が磁石、他方が磁石と吸着作用を生じる金属板が吸着作用で吸着して搬送ベルトを挟持し、その吸着し合う磁石が該回転部材の回動で下流側に移動することで搬送ベルトが回動される。
【0006】
しかし、図10に示すように、搬送ベルト34の復路側を挟む上側、下側の回転部材35,36を巻回保持するそれぞれのプーリ(又はスプロケット)37,38の中心O,O’が、搬送ベルト面と直交する直線L1上にあるため、上側と下側の回転部材35,36が回動してきて前記直線L1上で合流し、上側の回転部材35の磁石39と下側の回転部材36の磁石40が吸着し合う。この時、磁石39,40同士の吸着作用で磁石同士が騒音レベルの衝突音が発生し、且つ吸着作用による回転部材の振動(音)が生じるという問題が確認された。
【0007】
【特許文献1】特開2000−255737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記した磁石の吸着作用を利用した挟持駆動方式のベルトコンベヤにおいて、磁石の吸着動作時に騒音レベルの衝突音、及び回転部材に振動等が生じないようにすることにある。
又、他の目的は駆動源を備えた下側の回転部材のメンテナンス等を容易に行なうことができるベルトコンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明のベルトコンベヤは、搬送ベルトを挟持する上下の回転部材を巻回保持する回転体の中心が、搬送ベルト面と直交する同一直線上に位置しないよう搬送ベルトの回動方向に対して相対的にずらしたことを特徴とする。
具体的には、フレームの機長方向両側に配置した折り返し部材に亘って巻回した搬送ベルトの復路側を、該ベルトの上下に配置した一対の無端回動する吸着部材を取り付けた回転部材の吸着作用で挟持し、その無端回動する一対の回転部材の少なくとも片方を駆動回動することにより搬送ベルトを一対の回転部材で挟持移動させるベルトコンベヤにおいて、前記搬送ベルトの復路側を挟持する上側の回転部材を巻回保持する回転体の中心を通り搬送ベルト面と直交する中心線と、下側の回転部材を巻回保持する回転体の中心を通り搬送ベルト面と直交する中心線とを、搬送ベルトの回動方向に相対的にずらして配置したことを特徴とする(請求項1)。
前記回転部材を巻回保持する上側の回転体の中心を通り搬送ベルト面と直交する中心線と、下側の回転体の中心を通り搬送ベルト面と直交する中心線をずらす方向は上側の回転部材と下側の回転部材が相対的にずれていればよく、例えば、上側の回転部材の始端側の中心を通り搬送ベルト面と直交する中心線位置に対して下側の回転部材の始端側の中心を通り搬送ベルト面と直交する中心線位置を搬送ベルトの回動方向下流側にずらす、或いはその逆の方向にずらすなど何れでもよい。尚、機長方向(搬送ベルトの回動方向)と直交する幅方向は、上下一致させることは言うまでもないことである。
【0010】
上記回転部材としては、伸び縮みが殆ど無く弾性変形の少ない部材、例えばゴム製或いは樹脂製の歯付ベルト(タイミングベルト)、チェーン、スチールベルト等を使用することができる。又、回転部材を巻回保持する回転体は、回転部材の種類に応じて選択決定され、回転部材が歯付ベルトであれば歯付プーリ及び歯無しプーリを使用し、回転部材がチェーンであればスプロケットを使用する。
そして、上記回転部材と回転体とからなる挟持手段の配置位置は、搬送ベルトの幅方向の範囲内であればよく、その配置する位置及び挟持手段の列数は搬送ベルトのベルト幅等に応じて適宜決定する。例えば、ベルト幅方向の両側部、或いはベルト幅の幅方向の中央部(請求項2)等、任意である。
又、本発明で言う搬送ベルトの復路側とは、一般的なベルトコンベヤにおける搬送物を載承して搬送する往路側の下方に位置する該往路側と略平行な戻り側だけでなく、搬送ベルトが略三角形状に巻回されたものにあっては往路面以外の二辺を復路側といい、要は搬送物を載承して搬送に供する面以外の全ての部分を意味する。
【0011】
又、上下の回転部材に取り付ける吸着部材は、上下の両方が磁石、或いは一方が磁石で他方が磁石と吸着作用を生じる金属板の組み合わせなど、何れでもよい。そして、上下の吸着部材が磁石である場合は、搬送ベルトの復路側を挟んで上下に配置される磁石同士が吸着作用を生じるように、上下対応する磁石の磁極がN極とS極になっていればよい。例えば、搬送ベルトの復路側の下側に配置する回転部材の磁石はN極又はS極の何れか一方の極とし、上側に配置する回転部材の磁石は前記下側の回転部材に取り付けた極と反対極の磁石を取り付ける形態、或いは上下の回転部材にN極の磁石とS極の磁石を交互に配列する形態等、何れでもよい。
更に、回転部材に取り付ける吸着部材の個数は任意で、回転部材に対する吸着部材の取付個数が多ければ搬送ベルトを挟持する力が増大し、吸着部材の取付個数が少なければ搬送ベルトを挟持する力が弱くなる。従って、吸着部材の取付個数は、前記した挟持手段の列数とにより増減し決定する。
【0012】
上記手段によれば、搬送ベルトの復路側を、その上下に配置した無端回動する回転部材に取り付けた吸着部材(磁石同士、磁石と磁性体金属板)の吸着作用で挟持し、その挟持した位置が無端回動する回転部材の始端側から終端側に回動することで、搬送ベルトは機長方向に回動される。この動作が無端回動する回転部材によって連続して行なわれることで、直線の無端状の搬送ベルトは駆動回転される。
そして、搬送ベルトを挟持する上側の回転部材を巻回保持する回転体の中心の位置と、下側の回転部材を巻回保持する回転体の中心の位置が搬送ベルト面と直交する同一直線上になく、搬送ベルトの回動方向に相対的にずれている為、上側の回転部材に取り付けられた吸着部材(磁石)と下側の回転部材に取り付けられた吸着部材(磁石)が吸着し合う位置は、一方の回転部材が水平移動する区間(回転部材を巻回保持する始端側と終端側の回転体の中心間の範囲)内となる。それにより、磁石同士の吸着は、水平移動する一方の磁石に対して他方の磁石は回転体の外周を円軌道で移動しながら前記水平移動に合流し、対向する磁石同士が吸着する。従って、上下の磁石が上下の回転体の中心を結ぶ直線上で吸着し合う従来構造に対して、本発明は上下何れか一方の磁石だけが吸着方向に移動して吸着し合うため、吸着時に生じる衝突音は低く、又回転部材の振動音も少なくなる。
【0013】
前記搬送ベルトの復路側を挟持する上側の回転部材と下側の回転部材は、両方とも駆動タイプとしてもよいが、下側に配置する回転部材を駆動タイプとし、上側の回転部材は前記吸着作用によって従動回転するように構成してもよい(請求項3)
この場合、搬送ベルトの復路側と床面との間の空間は、少なくとも搬送ベルトの往路側と復路側との間の空間に比べて広く開放されているため、駆動源を備えた下側の挟持手段の大きさは制約を受けることなく構成でき、配置についても制約されること無く取り付けることが出来る。
【0014】
又、上記駆動源を備えた下側の挟持手段は、搬送ベルトを巻回保持したフレームに対して固定してもよいが、着脱可能に構成してもよい(請求項4)。
その場合は、駆動源の保守点検、及び回転部材の交換等を容易に行なうことができると共に、搬送ベルトの着脱交換を簡単に行なうことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のベルトコンベヤは請求項1記載の構成により、上下の回転部材に取り付けられた磁石又は磁石と吸着作用を生じる金属板が吸着する時の衝突音、振動音を騒音レベル未満に抑えることが出来る。
又、請求項2記載の構成により、駆動源等をフレーム幅の範囲内に配置でき、フレーム外方への突出物を少なくしたコンベヤ、例えば搬送ベルト幅とフレーム幅を同一にしたコンベヤを構成することができる。
更に、請求項3記載の構成により、駆動源を備えた下側の挟持手段の大きさは制約を受けることなく構成でき、配置場所について制約されること無く取り付けることが出来る。
また、請求項4記載の構成により、駆動源の保守点検、及び回転部材の交換等を容易に行なうことができると共に、搬送ベルトの着脱交換を簡単に行なうことができ、搬送ベルトを洗浄し、清潔に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るベルトコンベヤの実施の一例を図面に基づいて説明する。
図1乃至図4は、下側の回転部材が駆動タイプで且つフレームに対して着脱可能に構成したベルトコンベヤを示し、図中、1はフレームで、アルミニウム材で成型した型材で構成され、そのフレーム1の機長方向両側にテールブラケット2,2’を介してテールローラ3,3’が回転可能に支持され、そのテールローラ3,3’に亘って無端状の搬送ベルト4が回転可能に巻回されている。
又、前記フレーム1は下面に脚部材5が取り付けられて水平に支持され、更に前記搬送ベルト4の復路側には該復路側のベルトを上下から挟持して搬送ベルトを回動する駆動機構Aが配置されている。
【0017】
上記フレーム1は、図2に示すように、天板(トラフ)aの前後縁に側板b,b’が直角下向きに一体に連設された今日周知のアルミニウム材で成型された本体フレーム1aと、その本体フレーム1aの側板b,b’の外側に連結配置したブラケット取付用枠体1b,1b’とで構成され、ブラケット取付用枠体1b、1b’は本体フレーム1aに対してボルト・ナット9で連結されている。尚、本体フレーム1aとブラケット取付用枠体1b、1b’は同一体に構成してもよいものである。
【0018】
上記テールローラ3,3’を軸支するテールブラケット2,2’は、フレーム1の幅方向両側(前後縁)に配置したブラケット取付用枠体1b,1b’に対し機長方向に差し込んで取り付けられ、その長さ方向の両側部にテールローラ3,3’の軸3aを嵌着する軸装着孔2a,2bが形成されている。そして、その軸装着孔2a,2bの中心は、図1に示すように、該テールブラケット2,2’の高さ方向(上下方向)に寸法Lだけずらして形成されている。それにより、軸装着孔2aの中心からフレーム1表面までの高さH1に対し、軸装着孔2bの中心からフレーム1表面までの高さH2はH1<H2となり、軸装着孔2aに取り付けるテールローラの外径に対して、軸装着孔2bに取り付けるテールローラの外径は2Lだけ大きくなる。図示の例は、テールブラケット2,2’の高さ方向の略中央に形成された軸装着孔2aにテールローラ3,3’が取り付けられており、このテールブラケット2,2’をブラケット取付用枠体1b,1b’から外し、該ブラケット2,2’を反転させて差し込むことで軸装着孔2bに大径のテールローラを取り付けることが出来る。
【0019】
又、上記テールブラケット2,2’の外側面には樹脂製の側面板6がネジ止め等によって固定され、その側面板6と、テールブラケット2,2’に一体的に固着されブラケット取付用枠体1b,1b’に対して回り止め状態で嵌着されるナット部材7とに亘って調節ネジ8が貫通螺合されている。この調節ネジ8を回動することで、フレーム1に対するテールブラケット2,2’の突出量を調整でき、それにより左右のテールブラケット2,2(2’,2’)で回転可能に軸支されるテールローラ3,3’の傾きを調整でき、搬送ベルト4の蛇行調整が可能となる。
【0020】
上記搬送ベルト4を駆動回転する駆動機構Aは、搬送ベルト4の往路側4aと復路側4bとの間に収容配置する上側の挟持手段A1と、復路側4bの下側に配置する下側の挟持手段A2とで構成され、更に下側の挟持手段A2はフレーム1に対して着脱可能に構成されている。
【0021】
上側の挟持手段A1は、前記フレーム1を構成する本体フレーム1aの下面に軸受枠10が垂下固着され、その軸受枠10に歯無しプーリの回転体11,11’が機長方向に所定間隔をおいて回転可能に軸支され、その回転体11と回転体11’とに亘って回転部材12が巻回されて構成されている。
【0022】
上記回転体11,11’は、断面視略門型に形成した軸受枠10に軸11aを横架固定し、軸受枠10の外側に突出する軸11aの両側部に軸受11cを介して歯無しプーリ11bが回転可能に取り付けられて構成されている。軸11aの両側部に取り付ける歯無しプーリ11b相互の間隔は、駆動回転させる搬送ベルト4のベルト幅に応じて適宜決定する。尚、回転体11,11’を構成するプーリは、回転部材12の歯付ベルトに対応する歯付プーリとしてもよいことは言うまでも無いことである。
【0023】
又、回転体11,11’は該回転体11,11’に亘って巻回する回転部材12の張力を調整可能とするために、回転体11の軸11aは軸受枠10に切欠き形成した略L字形の取付孔16に回り止めされて着脱且つスライド可能に差し込まれ、その軸11aのネジ孔に軸受枠10の外側から調節ネジ17が貫通螺合されている。それにより、調節ネジ17を回動操作することで軸11aは取付孔16内をスライドし、もう一方の回転体11’の軸11aとの軸間距離が可変され、回転体11,11’に亘って巻回された回転部材12の張力を調整することができる。尚、回転部材12の張力を調整する機構は図示の構成に限定されるものでなく、他の構成とするのも任意である。
【0024】
上記回転体11,11’に亘って巻回する回転部材12は、内周面に歯部を突出形成した歯付ベルト(タイミングベルト)を使用し、その歯付ベルトの平滑な外周面に磁石13が該ベルトの周方向に一定ピッチで取り付けられている。
回転部材12に対する磁石13の取付は、矩形平板状の磁石13を樹脂製の磁石ホルダ14に内蔵し、その磁石ホルダ14は固定ブラケット15を用いて前記回転部材12に定着固定されている。
【0025】
磁石13を内蔵する磁石ホルダ14は、図6に示すように、合成樹脂材によって回転部材12の幅方向を跨ぐ長さのプレート状に形成され、その一側面の長さ方向両側部には前記回転部材12が挟入される差込溝を構成する凸部14a,14bが突出形成されている。そして、差込溝を構成する凸部14a,14bは回転部材12に対して着脱する為、一方の凸部14aの溝が他方の凸部14bの溝の略倍の深さに形成されている。その為に、回転部材12を凸部14a,14b間に挟入した状態では、該回転部材12と磁石ホルダ14は相対して回転部材の幅方向に移動自在となる。その為、回転部材12に対して磁石ホルダ14を移動しないように定着保持する為に、深い溝を形成する凸部14aには回転部材12を挟入後、外側より固定ブラケット15を差し込んで余分な空間を埋めるように構成されている。
又、前記凸部14a,14bによって形成する差込溝は、回転部材12における歯の部分が嵌入する溝とし、それにより回転部材12に対して磁石ホルダ14が周方向に移動しないように構成されている。尚、凸部14a,14bは回転体11,11’の歯無しプーリ11bに対する回転部材(タイミングベルト)12の巻回に支障とならない幅とし、この凸部14a,14bが回転体11,11’の歯無しプーリ11bの側縁に係合することで、回転部材12が前記歯無しプーリ11bから外れるのが防止されている。
【0026】
下側の挟持手段A2は、フレーム1の幅方向両側に配置したブラケット取付用枠体1b,1b’に対して着脱可能に垂下係着したケース18内に収容配置され、そのケース18内に固着した台枠19にギヤモータ20が起立固着されており、そのギヤモータ20の出力回転軸20aの軸方向両側部に駆動回転体21が固着され、ケース18の内側面に取り付けた軸受枠22には従動回転体23が軸支され、前記駆動回転体21と従動回転体23とに亘って回転部材24が巻回されて構成されている。そして、下側の挟持手段A2の駆動回転体21および従動回転体23の中心位置は、前記した上側の挟持手段A1の回転体11,11’の中心を通り搬送ベルト面と直交する直線に対して機長方向、図示例では搬送ベルトの回動方向下流側にずらして配置されている。又、ケース18の外側にはギヤモータ20の電源装置41が取り付けられている。
【0027】
上記駆動回転体21は歯付プーリで構成され、従動回転体23は前記上側の挟持手段A1における回転体11,11’と同様、歯無しのプーリで構成されると共に、回転部材24の張力を調整し得るように軸受枠22に対して移動調整可能に取り付けられている。
上記従動回転体23は、平面視略コ形に形成した軸受枠22に軸23aを横架固定し、軸受枠22の外側に突出する軸23aの両側部に軸受(図示省略)を介して歯無しプーリ23bが回転可能に取り付けられて構成されている。
【0028】
上記従動回転体23の軸23aは、図4に示すように軸受枠22に切欠き形成した取付孔25に回り止めされて着脱且つスライド可能に差し込まれ、その軸23aのネジ孔に軸受枠22の外側から調節ネジ26が貫通螺合されている。それにより、調節ネジ26を回動操作することで軸23aは取付孔25内をスライドし、駆動回転体21が固着されている出力回転軸20aとの軸間距離が可変され、駆動回転体21と従動回転体23に亘って巻回された回転部材24の張力を調整することができる。
【0029】
駆動回転体21と従動回転体23とに亘って巻回する回転部材24は、前記した上側の挟持手段A1における回転部材12と同様、内周面に歯部を突出形成した歯付ベルト(タイミングベルト)を使用し、その歯付ベルトの平滑な外周面に磁石27が該ベルトの周方向に一定ピッチで取り付けられている。
回転部材24に対する磁石27の取付は、回転部材12に対する磁石13の取り付けと同様、矩形平板状の磁石27を樹脂製の磁石ホルダ28に内蔵し、その磁石ホルダ28は固定ブラケット29を用いて前記回転部材24に定着固定されている。尚、磁石ホルダ28及び固定ブラケット29の構成は、前記した磁石ホルダ14及び固定ブラケット15の構成と同じであるため説明は省略する。
【0030】
上記した下側の挟持手段A2を収容するケース18のフレーム1に対する取付は、図7に示すように、該ケース18の一側(図示例では駆動回転体21側)に掛止め軸30を前後壁に亘って架設固定し、その掛止め軸30をフレーム1側に垂下固着したフック31に係着し、ケース18の他側はフレーム1側に取り付けた受け片32aとケース18側に取り付けた引掛け片32bとからなる錠32で結合されている。それにより、錠32の引掛け片32bを操作して受け片32aから外し、次にケース18を掛止め軸30がフック31から抜ける方向(図示例では左方向)に移動させることで、ケース18をフレーム1から分離することができる。尚、下側の挟持手段A2を収容するケース18をフレーム1に対して着脱可能に支持する構造は、図示の構成に限られるものではない。
【0031】
前記上側の挟持手段A1における回転部材12の磁石13と、下側の挟持手段A2における回転部材24の磁石27は吸着作用が生じるように、S極とN極が対応するように配置されている。その配置は、例えば、上側の挟持手段A1の回転部材12の磁石13の磁極をS極とした場合、下側の挟持手段A2の回転部材24の磁石27の磁極はN極とする。又、上側及び下側の挟持手段A1,A2の回転部材12,24の磁石を、S極とN極が交互となるように配列するなど、何れでもよい。
【0032】
上記の如く構成したベルトコンベヤは、搬送ベルト4の復路側4bが該復路側ベルトの下側に配置した駆動回転する下側の挟持手段A2における回転部材24の磁石27と、復路側ベルトの上側に配置された上側の挟持手段A1における回転部材12の磁石13との吸着作用で挟持され、その挟持箇所が下側の挟持手段の回転部材24が始端側(従動回転体23側)から終端側(駆動回転体21側)に駆動回転することで、搬送ベルト4が駆動回転される。
【0033】
そして、図8(a)に示すように、上側の挟持手段A1における回転部材12の回転方向の始端側に位置する回転体11の中心を通り搬送ベルト面と直交する直線L2と、下側の挟持手段A2における回転部材24の回転方向の始端側に位置する従動回転体23の中心を通り搬送ベルト面と直交する直線L3が同一線上に無く機長方向(図示例では搬送ベルトの回動方向)にずれているため、図8(a),(b)に示すように、下側の挟持手段A2の磁石27は上側の挟持手段A1の回転部材12が回転体11の外周面から離れて水平走行に変わった以降に合流し、吸着する。その為に、吸着時の衝突音は小さく、且つ回転部材の振動も小さく、騒音レベルの衝突音、振動(音)を抑制することができる。
【0034】
図9は本発明に係るベルトコンベヤの他の例を示し、搬送物を載承して移動する搬送ベルトの機長方向の寸法が短く、搬送ベルトの往路側と上記した同様の駆動機構A’を平行に配置できないため、その駆動機構A’を配置する場所を搬送面(水平面)と直交する鉛直面に確保するために、搬送ベルトを略直角三角形状に巻回したものである。
即ち、駆動機構A’は、搬送ベルト33の搬送面(水平面)と略直角に交差する鉛直状の戻り側ベルト33aの内側に配置した駆動回転タイプの挟持手段A1’と、前記鉛直状の戻り側ベルト33aの外側(図面では右側)に配置した従動回転タイプの挟持手段A2’とで構成され、それぞれの挟持手段を構成する回転体の中心位置は、搬送ベルト33の戻り側ベルト33aに対し直交する同一直線上に位置しないようずらして配置されている。尚、挟持手段を構成する回転体、磁石を備えた回転部材の構成は前示実施例と同じであるため説明は省略する。
【0035】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で変更可能である。
(1)図示の実施例は回転部材として歯付ベルト(タイミングベルト)を使用しているが、チェーンでもよく、その場合チェーンに対する磁石の取付は該チェーンを構成するリンクプレート等を利用して取り付ける。尚、その場合、回転体はスプロケットを使用する。
(2)搬送ベルトを挟持して回動する挟持手段を構成する磁石を備えた回転部材は、固体の磁石を取り付けた形態に限らず、磁石を歯付ベルトに練り込み、吸着作用が生じるように着磁したものでもよい。
(3)図示の実施例は折り返し部材としてローラを示したが、これに限定されず、平板状部材(ナイフエッジ)でもよい。
(4)実施例では一対の回転部材を2列としたが、搬送ベルト幅に応じ1列でも、又は3列以上の多列としてもよい。
(5)1本の回転部材24に、N極、S極を交互に配列した場合、駆動手段をギヤモータ20に代えて、回転部材24に非接触に対向したリニアモータによって駆動させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るベルトコンベヤの実施の一例を示す一部切欠正面図。
【図2】図1の(2)−(2)線に沿える縦断側面図。
【図3】図1の(3)−(3)線に沿える横断面図。
【図4】図1の(4)−(4)線に沿える横断面図。
【図5】搬送ベルトを挟持回動する要部の拡大図。
【図6】図5の(6)−(6)線に沿える拡大断面図。
【図7】下側の挟持手段がフレームに対して着脱される構成を示す部分拡大正面図。
【図8】(a),(b)は搬送ベルトを挟持する上下の磁石の吸着動作を示す説明図。
【図9】本発明に係る他の実施例を示す一部切欠正面図。
【図10】先行技術における搬送ベルトを挟持回動する磁石の吸着動作を示す説明図。
【符号の説明】
【0037】
1…フレーム 3,3’…テールローラ(折り返し部材)
4…搬送ベルト 4b…搬送ベルトの復路側
A…駆動機構 A1…上側の挟持手段
A2…下側の挟持手段 11,11’…回転体
12…回転部材 13…磁石
21…駆動回転体 23…従動回転体
24…回転部材 27…磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームの機長方向両側に配置した折り返し部材に亘って巻回した搬送ベルトの復路側を、該ベルトの上下に配置した一対の無端回動する吸着部材を取り付けた回転部材の吸着作用で挟持し、その無端回動する一対の回転部材の少なくとも片方を駆動回動することにより搬送ベルトを一対の回転部材で挟持回動させるベルトコンベヤにおいて、
前記搬送ベルトの復路側を挟持する上側の回転部材を巻回保持する回転体の中心を通り搬送ベルト面と直交する中心線と、下側の回転部材を巻回保持する回転体の中心を通り搬送ベルト面と直交する中心線とを、搬送ベルトの回動方向に相対的にずらして配置したことを特徴とするベルトコンベヤ。
【請求項2】
前記上下一対の回転部材は、搬送ベルトのベルト幅の幅方向中央部を挟持するよう配置されていることを特徴とする請求項1記載のベルトコンベヤ。
【請求項3】
前記下側の回転部材が駆動回転し、上側の回転部材は該下側の回転部材との吸着により従動回転する請求項1又は2記載のベルトコンベヤ。
【請求項4】
前記下側の駆動回転する回転部材及び駆動源が、搬送ベルトを巻回保持したフレームに対して着脱可能となっていることを特徴とする請求項3記載のベルトコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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