説明

ベルト式濃縮機およびその運転方法

【課題】 前後工程設備の運転に支障を与えたりコストアップを伴うことなく、投入される汚泥濃度の変化に安定的に追従し得るベルト式濃縮機を提供する。
【解決手段】 一対のローラ2,3に跨って掛装された透水機能を有する無端ベルト1と、前記ローラ2,3を軸支して一体化され、この無端ベルト1上の一端側に汚泥を投入する汚泥投入口5が、他端側に濃縮後の汚泥を排出する汚泥排出口6が、またこの無端ベルト1の下方に、この無端ベルト1を透過した透過水Wを排出する排水口16が設けられると共に、この無端ベルト1の汚泥の搬送先側が高くなるように傾斜配設されてなるフレーム4とからなるベルト式濃縮機10において、前記フレーム4の汚泥投入口5側を水平軸15を回動中心として回動可能に支持すると共に、このフレーム4の汚泥排出口6側を昇降させるフレーム傾斜角度変更機構20を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト式濃縮機およびその運転方法の改善に関するものであり、より詳しくは、濃縮汚泥送泥設備、貯留設備や消化ガスタンク等の後続する汚泥処理設備に供給する汚泥の濃度を、所定の範囲内に維持することを容易ならしめるようにしたベルト式濃縮機およびその運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、各家庭で生じた家庭廃水等は下水道を通して下水処理場に送られ、ここにおいて浄化処理されて放水されているが、家庭廃水等に含まれている固形分は下水処理場の最初沈殿池の底部に沈殿する。また、その最初沈殿液上澄液は活性汚泥法等を用いて処理され、活性汚泥を含む処理液は上澄水と固形分に分離するために最終沈殿池に移され、固形分は最終沈殿池の底部に沈殿する。
【0003】
この最初沈殿池や最終沈殿池の底部に沈殿した固形分は、汚泥として一部を除いて抜き取られると共に、所定の範囲の濃度に濃縮され、汚泥脱水設備へ送泥されるか、燃料として有効に活用されるバイオガスを得るために、汚泥中の有機物を嫌気性菌の働きにより分解して、主としてメタンガスを発生させる周知の構成になる消化ガスタンクに送られる。
【0004】
最初沈殿池や最終沈殿池の底部から抜き取られた汚泥の濃度は、例えば0.4〜2.0%程度であって低濃度であるため、消化ガスタンクに送るために必要な3.0〜4.0%程度に濃縮する場合には、汚泥に高分子凝集剤をラインミキサーや混和槽により混合してフロックを形成させ、これをベルト式濃縮機に供給して濃縮している。このようなベルト式濃縮機としては、例えば後述する構成に成るものが公知である。
【0005】
ベルト式濃縮機により濃縮された汚泥は、前記濃縮機から排出されて濃縮汚泥貯留槽に一時的に貯留される。そして、この貯留槽に設置された汚泥移送ポンプにより、後工程である消化タンクに送液され、無酸素状態で活動する嫌気性細菌によって汚泥中の有機物を分解し、最終的にはメタン、二酸化炭素等を生成する。
【0006】
このような目的に用いられるベルト式濃縮機として、例えば、その一部を切り欠いた側面図である図4の従来の発明に係るベルト式濾過装置がある(特許文献1参照。)。この従来の発明に係るベルト式濾過装置(ベルト式濃縮機に相当)によれば、高さ位置の異なる一対のローラ32,33に所要の傾斜角度で、無端状の濾布31が跨って掛け渡されている。
【0007】
同時に、前記各ローラ32,33間の上側の濾布31が低位置側から高位置側に向け循環するよう一方のローラ32を回転駆動する駆動装置30と、前記濾布31に所要の張力を付与し得るよう他方のローラ33を、前記一方のローラ32から離間する方向に付勢して軸支する濾布緊張装置45とを備えている。
【0008】
同時にまた、この従来の発明に係るベルト式濾過装置は、前記各ローラ32,33間の上側の濾布31を包囲する如く配設され、かつ該濾布31の上面に固形分を含むスラリー35を供給し得るよう前記低位置側のローラ33上方にスラリー供給口36を備えた槽状のフィードボックス34と、該フィードボックス34内の底部に前記濾布31を透過した濾液35bを回収し得るよう配設された濾液回収管40とを備えている。
【0009】
更に、この従来の発明に係るベルト式濾過装置は、前記高位置側のローラ32下部に前記濾布31により分離された固形分35aを回収し得るよう設けられたシュート41と、前記各ローラ32,33間の下側の濾布31の内周面側から洗浄水42を噴射して、濾布31外周面の付着固形物を前記シュート41に洗い流し得るよう前記高位置側のローラ32近傍に配設された洗浄装置43とを備えている。
【0010】
そして、濾布31に蛇行が生じた場合には、検出器49により濾布31の蛇行量を検出し、この検出器49で検出された濾布31の蛇行量に応じて、濾布緊張装置45のアクチュエータ46により濾布31の張力を調整することにより、濾布31の蛇行を修正している。
【0011】
次に、従来の他の発明に係るベルト型濃縮機における汚泥投入部の構造を、その側面図である図5に示す(特許文献2参照。)。この従来の他の発明に係る汚泥投入部は、汚泥Zを投入する始端部および濃縮された汚泥を排出する終端部に配置した双方の輪体53,54間に、透水性を有する無端ベルト55が掛け渡されてなるベルト型濃縮機50における汚泥投入部の構造であって、上記始端部には、汚泥Zを傾斜面に沿って流下させ無端ベルト55上に投入する投入用部材52を備えていると共に、上記無端ベルト55に対する投入用部材52の傾斜角度αを変更する角度変更手段56を備えている。
【0012】
また、上記ベルト型濃縮機50には、汚泥投入部の側面図である図6に示す如く、濃縮されて排出された濃縮汚泥の濃度とベルト型濃縮機で回収される固形物の回収率との何れかに基づいて、シリンダ装置56(角度変更手段)を制御して投入用シュート52(投入用部材)の傾斜角度αを変える制御手段(図示せず)を備えている。
【特許文献1】特開平5−184822号公報
【特許文献2】特許第3439754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
一般に、汚泥を濃縮処理して濃縮汚泥とし、この濃縮汚泥を後工程にて後続処理する場合、後工程がどのような処理であるかに拘わらず、濃縮汚泥の固形分濃度(以下、濃縮汚泥濃度と称す)を一定に制御することは、前後工程を含むシステムの安定的な運転に重要である。しかしながら、例えば、遠心濃縮機では差速制御により濃縮汚泥濃度の制御が可能であるが、ベルト式濃縮機の場合は、投入される汚泥の固形分濃度によって、得られる濃縮汚泥濃度はほぼ確定してしまい、濃縮汚泥の濃度調整が困難であった。
【0014】
また、ベルト式濃縮機の特性として、当該ベルトに汚泥搬送方向に向かう方向に傾斜を付与することにより、濃縮汚泥濃度を高くできることが知られている。これは、前記ベルトに傾斜を付与することにより、汚泥投入口直下に汚泥溜まりが形成され、この汚泥溜まりのビーチ箇所では、汚泥が前記ベルトに追随して登坂できる汚泥濃度まで濃縮され、その後も、水分はベルトの投入口側に排除されつつ、固形分がこのベルトを登坂していくため、濃縮汚泥の濃縮度が向上するためである。
【0015】
所が、投入する汚泥の固形分濃度が低すぎると、ベルトに傾斜を付与しても濃縮汚泥の濃度が高くならないため、この汚泥が、傾斜角度の付いた前記ベルトの搬送に追随して登坂できず、濃縮汚泥が分離されない。そのため、凝集剤を添加することにより、フロックを形成して前記ベルトによる透水性をアップし、濃縮汚泥の高濃度化を図っているのである。
【0016】
従って、上記従来のベルト式濃縮機によれば、ベルト傾斜角度が固定されているので、投入する汚泥濃度により処理後の濃縮汚泥の固形分濃度が一義的に決まってしまい、所望とする濃縮汚泥を安定的に得られず、後工程の設備能力と合致させることが難しいという問題点を有していた。
【0017】
また、これを解決するため、投入する汚泥に凝集剤を添加して濃縮処理する際、上記従来のベルト式濃縮機の構造によれば、投入する汚泥の性状の経時変化に対して濃縮汚泥の濃度を一定に保つため、凝集剤添加率を変更する必要性があった場合、前記添加率を変更しても濃縮汚泥の適切な濃度を得られないため、前後工程の設備能力に合った濃度の汚泥を得ることができず、バイオガス発生システムの運転に下記のような支障を来たすという問題があった。
【0018】
即ち、汚泥の濃縮度が低ければ時間当たりのメタンガスの発生量が低下するためバイオガスの安定供給ができなくなり、また汚泥の濃縮度が高過ぎれば消化タンクに汚泥を送る送液ポンプが詰まり、前記システムの安定運転が阻害されるだけでなく、保全費(メンテ ナンスコスト)も嵩むという問題である。
【0019】
更に、前記特許文献1に示された図1(本明細書の図4)の如くベルト傾斜角度が大きいと、汚泥投入部の汚泥溜まりで一挙に濾過する必要があるため大量の凝集剤が必要となり、当該濃縮機の濾過処理コストが大きく増加するという問題点もあった。因みに、凝集剤使用コストがベルト式濃縮機の前記処理コストに占める割合は、50〜70%と大きな割合を占めており、凝集剤の使用量を如何に低減するかということが、本システムのランニングコスト上肝要である。
【0020】
従って、本発明の目的は、前後工程設備の運転に支障を与えたりコストアップを伴うことなく、投入される汚泥濃度の変化に安定的に追従し得るベルト式濃縮機とその運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るベルト式濃縮機が採用した手段は、一対のローラに跨って掛装された透水機能を有する無端ベルトと、前記ローラを軸支して一体化され、この無端ベルト上の一端側に汚泥を投入する汚泥投入口が、この無端ベルトの他端側に濃縮後の汚泥を排出する汚泥排出口が、またこの無端ベルトの下方に、この無端ベルトを透過した透過水を排出する排水口が設けられたベルト式濃縮機において、前記無端ベルトの汚泥搬送方向に向かうベルトの傾斜角度を調整するためのベルト傾斜角度調整機構を設けたことを特徴とするものである。
【0022】
本発明の請求項2に係るベルト式濃縮機が採用した手段は、請求項1項記載のベルト式濃縮機において、前記ベルト傾斜角度調整機構が、一対のローラに跨って掛装された透水機能を有する無端ベルトと、前記ローラを軸支して一体化され、この無端ベルト上の一端側に汚泥を投入する汚泥投入口が、この無端ベルトの他端側に濃縮後の汚泥を排出する汚泥排出口が、またこの無端ベルトの下方に、この無端ベルトを透過した透過水を排出する排水口が設けられて成るフレームと、前記フレームの汚泥投入口側または汚泥排出口側のうちの何れか一方側を水平軸心を回動中心として回動可能に支持すると共に、この無端ベルトの汚泥の搬送先側が高くなるように、前記フレームの汚泥投入口側または汚泥排出口側のうちの何れか他方側を昇降させるフレーム傾斜角度変更機構とから成ることを特徴とするものである。
【0023】
本発明の請求項3に係るベルト式濃縮機が採用した手段は、請求項2に記載のべルト式濃縮機において、前記フレーム傾斜角度変更機構が、前記フレームの汚泥投入口側または汚泥排出口側のうちの何れか一方側を昇降させるリンク機構と、このリンク機構を作動させるリンク作動ネジと、このリンク作動ネジを回転させる回転手段とから成ることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の請求項4に係るベルト式濃縮機の運転方法が採用した手段は、前記汚泥投入口に投入する汚泥の固形分濃度または前記汚泥排出口から排出される濃縮汚泥の固形分濃度の値に応じて、前記無端ベルトの汚泥搬送方向に向かうベルトの傾斜角度を調整することを特徴とするものである。
【0025】
本発明の請求項5に係るベルト式濃縮機の運転方法が採用した手段は、請求項1または4のうちの何れか一つの項に記載のべルト式濃縮機の運転方法において、前記汚泥排出口から排出される濃縮汚泥の固形分濃度が予め設定された目標濃度の上限を超えて高濃度になると、前記無端ベルトの汚泥搬送方向に向かうベルトの傾斜角度を小さくする一方、排出される濃縮汚泥の固形分濃度が予め設定された目標濃度の下限を超えて低濃度になると、前記無端ベルトの汚泥搬送方向に向かうベルトの傾斜角度を大きくすることを特徴とするものである。
【0026】
本発明の請求項6に係るベルト式濃縮機の運転方法が採用した手段は、請求項2または3のうちの何れか一つの項に記載のべルト式濃縮機の運転方法において、前記汚泥排出口から排出される濃縮汚泥の固形分濃度が予め設定された目標濃度の上限を超えて高濃度になると、この汚泥排出口側が汚泥投入口側より高くなる上向きのフレームの傾斜角度を小さくする一方、排出される濃縮汚泥の固形分濃度が予め設定された目標濃度の下限を超えて低濃度になると、フレームの傾斜角度を大きくすることを特徴とするものである。
【0027】
本発明の請求項7に係るベルト式濃縮機の運転方法が採用した手段は、請求項1乃至6のうちの何れか一つの項に記載のべルト式濃縮機の運転方法において、前記無端ベルトまたは前記フレームの傾斜角度に応じて、凝集剤の添加量を調整することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明の請求項1に係るベルト式濃縮機は、一対のローラに跨って掛装された透水機能を有する無端ベルトと、前記ローラを軸支して一体化され、この無端ベルト上の一端側に汚泥を投入する汚泥投入口が、この無端ベルトの他端側に濃縮後の汚泥を排出する汚泥排出口が、またこの無端ベルトの下方に、この無端ベルトを透過した透過水を排出する排水口が設けられたベルト式濃縮機において、前記無端ベルトの汚泥搬送方向に向かうベルトの傾斜角度を調整するためのベルト傾斜角度調整機構を設けたので、このベルト傾斜角度変更機構により無端ベルトの傾斜角度を変更することが可能となった。
【0029】
これによって、当該ベルトの傾斜角度が大きい場合は、汚泥投入部の汚泥溜まりのビーチ箇所では、汚泥が前記ベルトに追随して登坂できる汚泥濃度まで濃縮されるため、濃縮汚泥は高濃度となる。また逆に、前記ベルトの傾斜角度が小さい場合は、前記泥溜まりのビーチ箇所の汚泥が低濃度でもこのベルトを登坂し易いため、濃縮汚泥は低濃度となる。
【0030】
この汚泥溜まりでにおける傾斜ベルトへの汚泥の挙動差により、汚泥の濃縮性が変わって来るため、投入する汚泥の固形分濃度に関係なく排出汚泥の固形分濃度を調整できるので、前後工程の設備能力と合致させることが難しいという問題点を解消し得る。
【0031】
また、本発明の請求項2に係るベルト式濃縮機によれば、請求項1項記載のベルト式濃縮機において、請求項1項記載のベルト式濃縮機において、前記ベルト傾斜角度調整機構が、一対のローラに跨って掛装された透水機能を有する無端ベルトと、前記ローラを軸支して一体化され、この無端ベルト上の一端側に汚泥を投入する汚泥投入口が、この無端ベルトの他端側に濃縮後の汚泥を排出する汚泥排出口が、またこの無端ベルトの下方に、この無端ベルトを透過した透過水を排出する排水口が設けられて成るフレームと、前記フレームの汚泥投入口側または汚泥排出口側のうちの何れか一方側を水平軸心を回動中心として回動可能に支持すると共に、この無端ベルトの汚泥の搬送先側が高くなるように、前記フレームの汚泥投入口側または汚泥排出口側のうちの何れか他方側を昇降させるフレーム傾斜角度変更機構とから成るよう構成したので、確実に前記ベルトの傾斜角度を調整可能とする。
【0032】
更に、本発明の請求項3に係るベルト式濃縮機によれば、請求項2に記載のベルト式濃縮機において、前記フレーム傾斜角度変更機構が、前記フレームの汚泥投入口側または汚泥排出口側のうちの何れか一方側を昇降させるリンク機構と、このリンク機構を作動させるリンク作動ネジと、このリンク作動ネジを回転させる回転手段とから構成したので、前記無端ベルトの微妙な傾斜角度を容易にかつ精度良く変更することを可能とするものである。
【0033】
また一方、本発明の請求項4に係るベルト式濃縮機の運転方法によれば、前記汚泥投入口に投入する汚泥の固形分濃度または前記汚泥排出口から排出される濃縮汚泥の固形分濃度の値に応じて、前記無端ベルトの汚泥搬送方向に向かうベルトの傾斜角度を調整することによって、前記ベルト上の汚泥溜まりにおける傾斜ベルトへの汚泥の挙動差により、汚泥の濃縮性が変わって来るため、濃縮汚泥の汚泥濃度を調節することができる。従って、その処理能力を前後工程の設備能力と容易に合致させて、システム全体の安定運転を図ることができる。
【0034】
更に、本発明の請求項5に係るベルト式濃縮機の運転方法によれば、請求項1または4のうちの何れか一つの項に記載のべルト式濃縮機の運転方法において、前記汚泥排出口から排出される濃縮汚泥の固形分濃度が予め設定された目標濃度の上限を超えて高濃度になると、前記無端ベルトの汚泥搬送方向に向かうベルトの傾斜角度を小さくする一方、排出される濃縮汚泥の固形分濃度が予め設定された目標濃度の下限を超えて低濃度になると、前記無端ベルトの汚泥搬送方向に向かうベルトの傾斜角度を大きくすることによって、前記ベルト上汚泥溜まり部の汚泥の濃縮性を変えられるため、上記と同一の効果をより具体的に得ることができる。
【0035】
更に、本発明の請求項6に係るベルト式濃縮機の運転方法によれば、請求項2または3のうちの何れか一つの項に記載のべルト式濃縮機の運転方法において、前記汚泥排出口から排出される濃縮汚泥の固形分濃度が予め設定された目標濃度の上限を超えて高濃度になると、この汚泥排出口側が汚泥投入口側より高くなる上向きのフレームの傾斜角度を小さくする一方、排出される濃縮汚泥の固形分濃度が予め設定された目標濃度の下限を超えて低濃度になると、フレームの傾斜角度を大きくすることによって、当該ベルトの傾斜角度を調整できるので上記請求項5と同一の効果が得られる。
【0036】
更にまた、本発明の請求項7に係るベルト式濃縮機の運転方法によれば、請求項1乃至6のうちの何れか一つの項に記載のべルト式濃縮機の運転方法において、前記無端ベルトまたは前記フレームの傾斜角度に応じて、凝集剤の添加量を調整することによって凝集剤の添加量を低減できるので、汚泥の濃縮処理コストが低減される。その結果、システム全体のランニングコストの低減に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
先ず、本発明の実施の形態1に係るベルト式濃縮機の構成を、その模式的断面図である図1を用いて以下に説明する。図1において、符号10はこのベルト式濃縮機を示しており、一対のローラ2,3を、各々回転軸2a,3aによりフレーム4に軸支されるとともに一体化されている。そして、その排出側のローラ3を駆動モータ(図示せず)により回転駆動し、これらのローラ2,3に跨って掛装された透水機能を有する無端ベルト1を、汚泥の投入側から排出側へ向かって走行させている。この無端ベルト1は、金属製のメッシュ状形態をなすものやポリエステル等の合成樹脂製の濾布が、目的に応じて一般的に良く使用されている。
【0038】
上記フレーム4は、無端ベルト1上の一端側に汚泥S1を投入する汚泥投入口5と、このベルト1の他端側に濃縮後の汚泥を排出する汚泥排出口6とを有すると共に、この無端ベルト1の汚泥の搬送先側が高くなるように傾斜配設されている。そしてまた、前記フレーム4は、このベルト1下方に、前記汚泥S1が無端ベルト1の進行に伴い濃縮される際、透過された透過水Wを回収トラフ7を介して集水し、フレーム4外に排出する排水口16を有している。また、前記無端ベルト1の上面には、多数の樹脂製のプラウ(図示せず)が配置されている。
【0039】
汚泥投入口5から前記無端ベルト1の一端側上面に投入された汚泥S1は、当該ベルト1の進行とともに汚泥S1自身の自重により、その水分を当該ベルト1を介して透過し、透過水Wとして分離され濃縮処理される。濃縮された汚泥は、汚泥排出口6より、濃縮汚泥S2としてシュート18の排出口17から濃縮汚泥貯留槽(図示せず)に排出され、この貯留槽内に設置された移送ポンプにより、後工程である消化タンクへ送液される。一方、汚泥S1より分離された透過水Wは、排水口16から分離液タンク(図示せず)へ回収され、更に、その上澄液を洗浄水タンクへ移送して、無端ベルト1の洗浄水として再利用する。尚、汚泥S1は、汚泥投入口5に投入される前に凝集剤が添加されている。
【0040】
前述の如く、無端ベルト1が跨って掛装されたローラ2,3は、その回転軸2a,3aにより回転支持されて前記フレーム4と一体を成している。そして、このフレーム4の汚泥投入口5側に設けられ、架台19に支持された水平軸15を回動中心として、前記フレーム4を回動可能に支持すると共に、前記フレーム4の汚泥排出口6側に、無端ベルト1の進行方向に向かって上向きとなる傾斜角度θを変更できるフレーム傾斜角度変更機構20を設けている。
【0041】
前記水平軸15は、フレーム4の汚泥投入口5側の端面に突出して設けられたブラケット21を介して、架台19に設けられた滑り軸受22で支持されている。水平軸15の取り付け位置は、フレーム4の長手方向端面に限定されることなく、例えばフレーム4の汚泥投入口5側の幅方向の端側面であっても良い。
【0042】
また、前記フレーム傾斜角度変更機構20は、フレーム4の汚泥排出口6側を昇降させるリンク機構11と、このリンク機構11を作動させるリンク作動ネジ12と、このリンク作動ネジ12を回転させる回転手段13とから構成されている。リンク作動ネジ12は、架台19aに取り付けられたスラスト軸受14により軸支されている。
【0043】
前記リンク機構11は、リンク作動ネジ12により往復動される往復移動ブロック24と下部連結ピン29を介して下端が往復移動ブロック24に連結され、また上部連結ピン26を介して上端がフレーム4の下面に突設されて成る下向きのブラケット27に連結されたフレーム昇降リンク28とから構成されている。また、前記往復移動ブロック24の下面が、架台19a上の摺動板23上面を摺動する構成として、このフレーム昇降リンク28に作用する荷重により、リンク作動ネジ12に曲げ力が作用しないようにしている。
【0044】
図1において、前記回転手段13側から前記リンク作動ネジ12を見て右回りに回転している場合は、リンク機構11は垂直方向に立ち上がって来るので、フレーム4は上昇する方向、即ちベルト傾斜角度θが大きくなる方向である。逆に、回転手段13側から前記リンク作動ネジ12を見て左回りに回転している場合は、リンク機構11は水平方向に倒れて来るので、フレーム4は下降する方向、即ちベルト傾斜角度θが小さくなっていく。
【0045】
前記フレーム昇降リンク28は、フレーム4を昇降し得る寸法的な余裕を持たすため、往復移動ブロック24の下部連結ピン25とフレーム4下面の上部連結ピン26とを連結して、図1に示したように斜め方向に配設する必要がある。
【0046】
前記回転手段13としては、通常ギヤードモータが用いられ、スラスト軸受14に回転支持されたリンク作動ネジ12を低速で駆動することができる。回転手段13は、操作盤25を操作することにより、電気信号によって始動、停止およびその回転方向、即ちフレーム4の上昇、下降を指令されるように構成されている。
【0047】
また、図1には示さないが、ベルト傾斜角度θを傾斜角度計により検出し、この傾斜角度計の検出信号を前記操作盤25に設けられたモニターに送信して、監視できるように構成されている。前記構成はまた、ベルト傾斜角度θを示す角度目盛盤をCCDカメラで撮像し、映像信号として前記操作盤25に設けられたモニターに送信するような構成とすることもできる。
前記操作盤は、本発明に係るベルト式濃縮機を含むバイオガス精製システムを監視制御するための屋内に設置された制御室に設けられており、上述のようなモニターシステムを採用することにより、この制御室にて前記ベルト傾斜角度θのモニターと調整が可能となる。
【0048】
次に、本発明の実施の形態2に係るベルト式濃縮機の構成を、フレーム傾斜角度変更機構を拡大した模式的断面図である図2を用いて以下に説明する。尚、本発明の実施の形態2が上記形態1と相違するところは、フレーム傾斜角度変更機構20の構造に相違があり、その他は全く同構成であるから、フレーム傾斜角度変更機構20の構造についての説明に止めるものとする。
【0049】
図2において、このフレーム傾斜角度変更機構20は、フレーム4の汚泥排出口6側を昇降させるリンク機構11と、このリンク機構11を作動させるリンク作動ネジ12と、このリンク作動ネジ12を回転させる回転手段13とから構成される点では前記実施の形態1と同一であるが、リンク作動ネジ12のネジ方向が左右逆方向となっていること、およびリンク機構11も、前記両方向のネジであることに対応して、各々1個ずつのフレーム昇降リンク28および往復移動ブロック24とを有することが前記実施の形態1と相違している。
【0050】
即ち、図2において、回転手段13側から前記リンク作動ネジ12を見て右回りに回転している場合は、リンク機構11の2本のフレーム昇降リンク28は垂直方向に立ち上がって来るので、フレーム4は上昇する方向、即ちベルト傾斜角度θが大きくなる方向である。逆に、回転手段13側から前記リンク作動ネジ12を見て左回りに回転している場合は、リンク機構11の2本のフレーム昇降リンク28は水平方向に倒れて来るので、フレーム4は下降する方向、即ちベルト傾斜角度θが小さくなっていく作用を成す。
【0051】
また、本発明の実施の形態2に係るベルト式濃縮機10においては、上部ピン26によってフレーム昇降リンク28を支持するブラケット27の孔は、この上部ピン26がリンク作動ネジ12の回転に伴い垂直方向のみに動くため、フレーム4の長手方向に長孔となる形状としておくことが肝要である。そうしないと、上部ピン26位置が固定されてしまうため、図1の水平軸15を中心とする回動運動に追従できず、フレーム4の昇降に支障を来たすのである。
【0052】
本発明の実施の形態2に係るベルト式濃縮機は、前記フレーム傾斜角度変更機構20によりベルト傾斜角度を変更することができるから、上記実施の形態1に係るベルト式濃縮機と同効である。
以上、上記のような構成にすることにより、フレーム全体が、無端ベルトの進行方向に向かって上向きとなる傾斜角度を、容易にかつ精度良く変更することを可能とした。
【0053】
尚、本発明の実施の形態1および2においては、リンク作動ネジ12が何れも水平方向に配置された構成例で示したが、リンク作動ネジ12を垂直方向に配置して、あたかもジャッキのように作用させてフレーム4を昇降させるフレーム傾斜角度変更機構20を構成することも可能である。また、リンク機構の代わりに、単純な油圧もしくは電動等のシリンダー機構を適用することもできる。
【0054】
次に、本発明のベルト式濃縮機の運転方法について、当該ベルト式濃縮機の模式的断面図である図1を用いて以下に説明する。本発明に係るベルト式濃縮機の運転方法は、一対のローラ2,3に跨って掛装された透水機能を有する無端ベルト1に汚泥S1を投入して濃縮し、濃縮汚泥S2として排出するベルト式濃縮機10において、先ず、運転開始直後の汚泥排出口6から排出される濃縮汚泥S2の固形分濃度を測定する。
【0055】
そして、この濃縮汚泥S2の固形分濃度が、予め設定された目標濃度の上限を超えて高濃度になっている場合は、操作盤25の操作により回転手段13を始動させ、リンク作動ネジ12を回転手段13側から見て左回りに回転させて、リンク機構11を水平方向に倒してベルト傾斜角度θを小さくする。そうすると、無端ベルト1上の汚泥溜まりビーチ箇所では、汚泥S1は低濃度であっても、前記ベルト傾斜角度θが大きな場合よりもベルトを登坂し易いため、低濃度の濃縮汚泥S2として搬出される。
【0056】
逆に、排出される濃縮汚泥S2の固形分濃度が予め設定された目標濃度の下限を超えて低濃度になって来た場合は、操作盤25の操作により、リンク作動ネジ12を回転手段13側から見て右回りに回転させて、リンク機構11を垂直方向に立ててベルト傾斜角度θを大きくするのである。すると、前記汚泥溜まりビーチ箇所では、汚泥S1が前記ベルト1に追従して登坂するまで濃縮されるので、濃縮汚泥S2の固形分濃度が高くなる。
【0057】
上記運転方法は、手動運転あるいは自動運転の何れでも可能である。また、本発明における濃縮汚泥S2の固形分濃度は、超音波式濃度計、マイクロ波濃度計、乾燥式濃度計もしくは濃縮汚泥の粘度測定装置により測定する。
【0058】
以上のようなベルト式濃縮機の運転方法によれば、フレーム傾斜角度変更機構20によりフレーム傾斜角度を変えることによって無端ベルト1の傾斜角度θを変更すると、ベルト1上の汚泥溜まりビーチ箇所における、汚泥S1の前記ベルトに対する追随性の差異により濃縮性が変わって来る。
この汚泥溜まりにおける汚泥S1の前記ベルト1に対する追随性を変えることにより、前記汚泥S1の濃縮性が変わって来るため、投入する汚泥S1の固形分濃度に関係なく排出汚泥の固形分濃度を調整できるので、前後工程の設備能力と容易に合致させることが可能となる。
【0059】
また、ベルト式濃縮機のベルト傾斜角度を変更可能な構成とすることにより、投入する汚泥S1の性状によっては、ベルト式濃縮機のベルト傾斜角度を小さくすると、ベルト上汚泥溜まりのビーチ箇所の汚泥S1が低濃度であっても、前記ベルト1に追従して登坂し易いため濃縮汚泥S2として搬出され、汚泥S1に添加する凝集剤の添加量を低減できるので、当該濃縮機の処理コストの低減に寄与できるものである。
【0060】
本発明の実施の形態1および2においては、何れもフレームの汚泥投入口側が水平軸で支持され、前記フレームの汚泥排出口側にフレーム傾斜角度変更機構が設けられて、無端ベルトの進行方向に向かって上向きとなる傾斜角度を変更できるように構成している場合を例として説明した。しかしながら、これらに限らず、例えばフレームの汚泥排出口側が水平軸で支持され、前記フレームの汚泥投入口側にフレーム傾斜角度変更機構が設けられて、無端ベルトの進行方向に向かって上向きとなる傾斜角度を変更できるように構成しても良いので、上記実施の形態1および2に係る構成に限定されるものではない。また、上記実施の形態1および2に係るベルト式濃縮機は、本発明の具体例に過ぎないから、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内における設計変更は自由自在である。
【実施例】
【0061】
本発明の実施の形態1で説明したベルト式濃縮機を用い、下水処理場の最初沈殿池の底部から抜き取られた固形分濃度2.04〜2.54重量%の汚泥を用いて、下記運転条件にてフレーム傾斜角度(ベルトの水平面からの傾斜角度)を9度と2度に設定した場合につき、濃縮テストの結果を示す図3を参照しながら以下に説明する。尚、使用したベルト式濃縮機のサイズは、ローラ軸間距離3m、ベルト幅2mである。また、ベルトは、ポリエステル繊維製の濾布である。
【0062】
運転条件
・処理汚泥量 :30m3/h
・凝集剤 :C−6797H(カチオン凝集剤、メーカー:神鋼環境メンテナ
ンス株式会社)
・凝集剤添加率:0.11〜0.24重量%
・ベルト速度 :13.3m/min(フレーム傾斜角度9度の場合)
5.7m/min(フレーム傾斜角度2度の場合)
【0063】
先ず、フレーム傾斜角度が9度の場合について述べる。この場合は、汚泥に凝集剤を添加してある程度の凝集をして濃縮しないと、ベルトの搬送に追従して汚泥が傾斜を上って行かない。そのため、凝集剤添加率を0.2%以上添加して濃縮処理した場合は、十分な凝集ができ濃縮効率が高く、図3に示すように濃縮汚泥濃度は6〜7%、回収率95%以上にて運転できる。凝集剤の添加率を0.2%以下に低減して行くと、凝集が不十分になって来るため、濃縮汚泥の濃度も回収率も徐々に低下して行く傾向にある。凝集剤添加率が0.16%未満になると、凝集不足のためベルト上の汚泥溜まりでの透過量が汚泥の供給量に追従できず、前記汚泥溜まりのヘッドが上昇して運転不能に至った。
【0064】
次に、フレーム傾斜角度を2度に変更し、前記の場合と同様なテストを実施した結果について述べる。この場合は、フレーム傾斜角度9度の場合と異なり、凝集剤添加率を低く抑え汚泥の凝集が十分でなくとも、汚泥がベルトの搬送に追従して濃縮処理される。その結果、図3に示す通り、凝集剤添加率が0.12〜0.15%でも、濃縮汚泥濃度は目標とする4%以上を維持できる。また、回収率も95%以上であった。凝集剤添加率が0.11%以下になると回収率は95%以上を維持できるが、濃縮汚泥濃度が目標値である4%以上を満足できなくなる。
尚、ここでいう凝集剤添加率は、供給汚泥の固形分重量当りの凝集剤固形分重量%を示すものである。また、回収率とは、供給汚泥の固形分重量に対する濃縮汚泥の固形分重量%で定義される値である。
【0065】
以上の通り、フレーム傾斜角度、即ちベルト傾斜角度に応じて、凝集剤の添加量を調整することによって凝集剤の添加量を低減できるのである。その結果、汚泥の濃縮処理コストが低減され、システム全体のランニングコストの低減に寄与することができる。
即ち、濃度0.4〜2.0%程度の汚泥を、本発明に係るベルト式濃縮機を用いて、消化ガスタンクに送るために必要な濃度3.0〜4.0%程度に濃縮する場合、ベルト傾斜角度を適切に調整することにより、汚泥への凝集剤添加率を減らして処理コストの低減に寄与し得るのである。
【0066】
本発明者らによるその他広範な実施例を含め、本発明に係るベルト式濃縮機のベルト傾斜角度を大きくした場合と、ベルト傾斜角度を小さくした場合とについて、その定性的な傾向をまとめると表1に示す通りである。即ち、目標とする濃縮汚泥濃度に応じて、ベルトの傾斜角度を調整することにより、必要最小限の凝集剤使用量となるよう調整することが可能となる。
【0067】
【表1】

【0068】
以上のように、本発明に係るベルト式濃縮機によれば、一対のローラに跨って掛装された透水機能を有する無端ベルトと、前記ローラを軸支して一体化され、この無端ベルト上の一端側に汚泥を投入する汚泥投入口が、この無端ベルトの他端側に濃縮後の汚泥を排出する汚泥排出口が、またこの無端ベルトの下方に、この無端ベルトを透過した透過水を排出する排水口が設けられたベルト式濃縮機において、前記無端ベルトの汚泥搬送方向に向かうベルトの傾斜角度を調整するためのベルト傾斜角度調整機構を設けたので、前記ベルトの傾斜角度を変更することによって、投入する汚泥濃度に関係なく排出汚泥の固形分濃度を調整できるため、前後工程の設備能力と合致させることが難しいという問題点を解消し得る。また、投入する汚泥の性状により、ベルト傾斜角度を小さくして汚泥に添加する凝集剤の添加量を低減できるので、当該濃縮機の処理コストの低減に寄与できるものである。
【0069】
また、本発明に係るベルト式濃縮機の運転方法によれば、前記汚泥投入口に投入する汚泥の固形分濃度または前記汚泥排出口から排出される濃縮汚泥の固形分濃度の値に応じて、前記無端ベルトの汚泥搬送方向に向かうベルトの傾斜角度を調整することによって、排出する汚泥の固形分濃度を調節することができるので、前後工程の設備能力と容易に合致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態1に係るベルト式濃縮機の模式的断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係るベルト式濃縮機のフレーム傾斜角度変更機構を 拡大した模式的断面図である。
【図3】本発明に係る実施例の汚泥濃縮テスト結果を示す図である。
【図4】従来の発明の形態に係るベルト式濾過機の一部を切り欠いた側面図である。
【図5】従来の発明の他の形態に係るベルト型濃縮機の側面図である。
【図6】従来の発明の他の形態に係るベルト型濃縮機の汚泥投入部の側面図である。
【符号の説明】
【0071】
1…汚泥, S2…濃縮汚泥, W…透過水,
1…無端ベルト, 2,3…ローラ, 2a,3a…回転軸, 4…フレーム,
5…汚泥投入口, 6…汚泥排出口, 7…回収トラフ,10…ベルト式濃縮機, 11…リンク 機構, 12…リンク作動ネジ, 13…ギヤードモータ(回転手段)14…スラスト軸受, 1 5…水平軸, 16…排水口, 17…排出口,
18…シュート, 19,19a…架台, 20…フレーム傾斜角度変更機構
21,27…ブラケット, 22…滑り軸受, 23…摺動板,
24…往復移動ブロック, 25…操作盤, 26…上部連結ピン,
28…フレーム昇降リンク, 29…下部連結ピン




【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のローラに跨って掛装された透水機能を有する無端ベルトと、前記ローラを軸支して一体化され、この無端ベルト上の一端側に汚泥を投入する汚泥投入口が、この無端ベルトの他端側に濃縮後の汚泥を排出する汚泥排出口が、またこの無端ベルトの下方に、この無端ベルトを透過した透過水を排出する排水口が設けられたベルト式濃縮機において、前記無端ベルトの汚泥搬送方向に向かうベルトの傾斜角度を調整するためのベルト傾斜角度調整機構を設けたことを特徴とするベルト式濃縮機。
【請求項2】
前記ベルト傾斜角度調整機構が、一対のローラに跨って掛装された透水機能を有する無端ベルトと、前記ローラを軸支して一体化され、この無端ベルト上の一端側に汚泥を投入する汚泥投入口が、この無端ベルトの他端側に濃縮後の汚泥を排出する汚泥排出口が、またこの無端ベルトの下方に、この無端ベルトを透過した透過水を排出する排水口が設けられて成るフレームと、前記フレームの汚泥投入口側または汚泥排出口側のうちの何れか一方側を水平軸心を回動中心として回動可能に支持すると共に、この無端ベルトの汚泥の搬送先側が高くなるように、前記フレームの汚泥投入口側または汚泥排出口側のうちの何れか他方側を昇降させるフレーム傾斜角度変更機構とから成ることを特徴とする請求項1に記載のベルト式濃縮機。
【請求項3】
前記フレーム傾斜角度変更機構が、前記フレームの汚泥投入口側または汚泥排出口側のうちの何れか一方側を昇降させるリンク機構と、このリンク機構を作動させるリンク作動ネジと、このリンク作動ネジを回転させる回転手段とから成ることを特徴とする請求項2に記載のベルト式濃縮機。
【請求項4】
前記汚泥投入口に投入する汚泥の固形分濃度または前記汚泥排出口から排出される濃縮汚泥の固形分濃度の値に応じて、前記無端ベルトの汚泥搬送方向に向かうベルトの傾斜角度を調整することを特徴とするベルト式濃縮機の運転方法。
【請求項5】
前記汚泥排出口から排出される濃縮汚泥の固形分濃度が予め設定された目標濃度の上限を超えて高濃度になると、前記無端ベルトの汚泥搬送方向に向かうベルトの傾斜角度を小さくする一方、排出される濃縮汚泥の固形分濃度が予め設定された目標濃度の下限を超えて低濃度になると、前記無端ベルトの汚泥搬送方向に向かうベルトの傾斜角度を大きくすることを特徴とする請求項1または4のうちの何れか一つの項に記載のべルト式濃縮機の運転方法。
【請求項6】
前記汚泥排出口から排出される濃縮汚泥の固形分濃度が予め設定された目標濃度の上限を超えて高濃度になると、この汚泥排出口側が汚泥投入口側より高くなる上向きのフレームの傾斜角度を小さくする一方、排出される濃縮汚泥の固形分濃度が予め設定された目標濃度の下限を超えて低濃度になると、前記フレームの傾斜角度を大きくすることを特徴とする請求項2または3のうちの何れか一つの項に記載のべルト式濃縮機の運転方法。
【請求項7】
前記無端ベルトまたは前記フレームの傾斜角度に応じて、凝集剤の添加量を調整することを特徴とする請求項1乃至6のうちの何れか一つの項に記載のべルト式濃縮機の運転方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−281073(P2006−281073A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103725(P2005−103725)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】