説明

ベンゾフェノンイミン類の製造方法

一般式(I)[式中、R1及びR2はC1〜C4−アルコキシ、C1〜C2−アルキルアミン及びC2〜C4−ジアルキルアミンであり、かつm及びnは0〜5の整数を表し、かつR1及びR2は互いに独立して同じか又は異なっていてよい]で示されるベンゾフェノンイミン(BPI)を、一般式(II)[式中、R1、R2、m及びnは前記の意味を表す]で示されるベンゾフェノン(BP)を、アンモニア中及び二酸化チタンの存在で反応させることにより製造する方法であって、その際に前記二酸化チタンは本質的にアナターゼ変態で存在する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式I
【化1】

[式中、R1及びR2はC1〜C4−アルコキシ、C1〜C2−アルキルアミン及びC2〜C4−ジアルキルアミンであり、かつm及びnは0〜5の整数を表し、かつR1及びR2は互いに独立して同じか又は異なっていてよい]で示されるベンゾフェノンイミン(BPI)を、一般式II
【化2】

[式中、R1、R2、m及びnは前記の意味を表す]で示されるベンゾフェノン(BP)を、アンモニア中及び二酸化チタンの存在で反応させることにより製造する方法に関するものであり、その際に前記二酸化チタンは本質的にアナターゼ変態で存在する。
【0002】
本発明のさらなる実施態様は、請求の範囲、明細書及び実施例から得ることができる。本発明による対象の前記の特徴及び以下にさらに説明されうる特徴が、その都度示された組合せだけでなく他の組合せでも、本発明の範囲から逸脱することなく使用可能であることが理解される。
【0003】
欧州特許出願公開(EP-A)第0 713 861号明細書においては、ベンゾフェノンは、液体アンモニア中で、一連の元素又はそれらの混合物、とりわけチタンの酸化物の存在で、80〜140℃の温度及び150〜250バールの圧力で反応される。前記特許明細書には、前記触媒が、粉末の形で(撹拌オートクレーブ)又はタブレット又は押出物の形で(管形反応器)使用されることができることが記載されている。実施例から明らかになるように、酸化チタン類の使用下に、連続的な管形反応器中で91〜98%のベンゾフェノン転化率及び99%の選択率が達成されることができたが、その際にしかしながら、ベンゾフェノン転化率は同一の反応条件で負荷が増加するにつれて減少する。
【0004】
本発明を用いて、ベンゾフェノンイミン類の改善された製造方法が開発されることができるべきである。本発明による方法は、ベンゾフェノン類の高い転化率を良好な選択率と共に可能にする。連続的な製造の際に、出発物質(ベンゾフェノン)での触媒の負荷は、従来の方法に比較して、ベンゾフェノン類の転化率の減少なしに及び選択率の劣悪化なしに、高められることができる。このことは、例えば既存設備の生産能力拡大もしくは新規設備の場合の反応容積の減少及びそれと結び付いた投資総額の減少を可能にする。
【0005】
それに応じて、一般式I
【化3】

[式中、R1及びR2はC1〜C4−アルコキシ、C1〜C2−アルキルアミン及びC2〜C4−ジアルキルアミンであり、かつm及びnは0〜5の整数を表し、かつR1及びR2は互いに独立して同じか又は異なっていてよい]で示されるベンゾフェノンイミン(BPI)を、一般式II
【化4】

[式中、R1、R2、m及びnは前記の意味を表す]で示されるベンゾフェノン(BP)を、アンモニア中及び二酸化チタンの存在で反応させることにより製造する方法が見出され、その際に前記二酸化チタンは本質的にアナターゼ変態で存在する。
【0006】
二酸化チタンは、3つの変態で存在していてよい:ルチル、アナターゼ並びにブルッカイト。二酸化チタンが結晶化する結晶構造を変態と呼ぶ。ルチル及びアナターゼは、正方晶格子で結晶化するのに対し、ブルッカイトは斜方晶系を有する。
【0007】
二酸化チタンの結晶構造は、X線回折法を用いて分析的に決定されることができる。二酸化チタン中のアナターゼ割合を決定するための正確な実施規定は、規格ASTM D 3720に記載されている。
【0008】
二酸化チタンの製造方法は、文献に記載されている[このためにはUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第6版, 2000 Electronic Release, 章"Pigments, inorganic"; CEH Marketing Research Report, "Titanium Dioxide", 2005; Industrial Inorganic Pigments, G. Buxbaum及びG. Pfaff編, Wiley VCH, Weinheim 2005参照]。二酸化チタンを製造する商業的な方法は、硫酸法並びに塩素法である。硫酸法から並びに塩素法から、二酸化チタンは、ルチル変態並びにアナターゼ変態で得られることができ、その際に本質的にアナターゼ変態で存在する二酸化チタンは、好ましくは硫酸法から得られることができる。製造が行われた後に、二酸化チタンは後処理工程により変性されることができる。適した後処理工程は、節2.1.3.4, "Industrial Inorganic Pigments", G. Buxbaum及びG. Pfaff編, Wiley VCH, Weinheim 2005から引用されることができる。
【0009】
二酸化チタンは、多様な変態で商業的に入手可能である。特に、EN ISO 591-1:2000によればタイプA(アナターゼタイプ)及びグループA1に割り当てられることができる二酸化チタンが適している。
【0010】
本発明による方法において使用される二酸化チタンは、本質的にアナターゼ変態で存在する。使用される二酸化チタンは、しかしまた専らアナターゼ変態で存在していてよい。しかしながら、前記二酸化チタンが、完全にアナターゼ変態で存在するのではなくて、他の変態、特にルチルの含分を有することも可能である。好ましくは、本発明による方法において使用される二酸化チタンは、使用される二酸化チタン全体を基準として、少なくとも50質量%がアナターゼ変態で存在し、有利に少なくとも80質量%がアナターゼ変態で及び特に有利に少なくとも95質量%がアナターゼ変態で存在する。
【0011】
本発明による方法は、不連続に又は連続的に操作されることができる。
【0012】
前記二酸化チタンは、粉末として又は成形体、例えば押出物、タブレット又はグラニュールの形態で、使用されることができる。
【0013】
不連続法において、二酸化チタンは好ましくは粉末として使用される。二酸化チタン粉末対式IIのベンゾフェノンの比は、一般的に、0.001〜5kg 二酸化チタン/kg BPの範囲内、好ましくは0.01〜3kg 二酸化チタン/kg BPの範囲内及び特に好ましくは0.5〜2kg 二酸化チタン/kg BPの範囲内である。
【0014】
連続法において、二酸化チタンは好ましくは成形体として使用される。成形体への二酸化チタンの加工は、以下に仕上げ加工(Konfektionierung)と呼ぶ。二酸化チタンは、異なる方法を用いて仕上げ加工されることができる。触媒成形体への二酸化チタンの仕上げ加工は、例えば、触媒成形体のそれ自体として知られた製造方法によって行われることができ、これらは例えばErtl, Knoezinger, Weitkamp:"Handbook of Heterogenoeous Catalysis", VCH Weinheim, 1997, p.98以降に記載されている。二酸化チタンからなる触媒成形体の仕上げ加工は、例えば米国特許(US)第4,388,288号明細書からも知られている。前記の明細書によれば、仕上げ加工は通常、配合(ブレンド)、成形並びに乾燥もしくはか焼の処理工程を含む。
【0015】
前記の文献箇所から同様に引用されることができるように、配合の際に、加工助剤、例えば結合剤、細孔形成剤及びペースト化剤(Anteigungsmittel)並びに水が、二酸化チタンに添加されることができる。
【0016】
触媒成形体中の二酸化チタンの割合は、通例、以下に記載された乾燥及び/又はか焼後に、触媒成形体中のチタン含量が、触媒成形体の全質量をその都度基準として、少なくとも15質量%、好ましくは少なくとも30質量%及び特に好ましくは少なくとも50質量%であるように選択されることができる。純粋な二酸化チタンからなる触媒成形体中の最大チタン含量は59.95質量%である。
【0017】
前記の文献箇所(Ertl, Knoezinger, Weitkamp: "Handbook of heterogenoeous catalysis", VCH Weinheim, 1997, p.98以降、米国特許(US)第4,388,288号明細書)に同様に記載されている成形のプロセスにより、成形体は、各々の三次元形で、例えば丸い、角張った、縦長の又はそのようなもの、例えば押出物、タブレット、グラニュール、球、円柱又は粒子の形で得られることができる。成形の通常の方法は、例えば押出し、タブレット化、すなわち機械的なプレス又はペレット化、すなわち円運動及び/又は回転運動による圧縮である。
【0018】
成形体サイズの下限は、流動抵抗により引き起こされる圧力上昇が、高められた固体密度に基づいて反応器中で技術的に制御可能なままであり、かつ前記成形体がなお十分な機械的安定性を有するように選択されている。
成形プロセスにより得られる二酸化チタン成形体の大きさは、次に記載された乾燥工程及び/又はか焼工程後に、好ましくは0.5〜最大10mm、特に好ましくは1〜5mmであるべきである。
【0019】
成形プロセス後に、成形体が通常より高い温度で熱処理されることによる乾燥工程及び/又はか焼工程が通例行われる。乾燥工程及び/又はか焼工程の際に、700℃を上回る反応温度でアナターゼからルチルへのモノトロピーな変換が行われることが顧慮されるべきである("Industrial Inorganic Pigments", G. Buxbaum及びG. Pfaff, Wiley-VCH, Weinheim, p.51)。か焼の際の反応期間及び反応温度により、所望の場合には、アナターゼ対ルチルの比が調節されることができる。好ましい一実施態様において、乾燥工程及び/又はか焼工程は、アナターゼからルチルへの変換を回避するために、600℃未満の温度で実施される。特に好ましくは、乾燥工程及び/又はか焼工程は、200〜600℃の温度で実施される。
【0020】
押出物の形で押し出された成形体の乾燥及び/又はか焼が行われた後の切断硬度は、小さい値、例えば2N〜10N、中程度の値、例えば10N超〜20N、又はまた高い値、例えば20N超又は25N超の範囲内であってよい。切断硬度の決定は、試験例に記載された測定方法を用いて行われることができる。
【0021】
容積測定法を用いる中点法に従うドイツ規格DIN 66,131により決定されるBET表面積は、10〜2000m2/gの範囲内、好ましくは80〜120m2/gの範囲内であってよい。
【0022】
二酸化チタンの一部は、他の酸化物及び/又は複合酸化物により置き換えられていてよい。そのようなものとして、元素ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、スカンジウム、イットリウム、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル又はタングステンの酸化物及び/又は複合酸化物、好ましくは元素ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ又はタングステンの酸化物及び/又は複合酸化物、特に好ましくは、元素アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、バナジウム又はタングステンの酸化物及び/又は複合酸化物が考慮に値する。前記の他の酸化物及び/又は複合酸化物の割合は、幅広い範囲で変えることができる。これは、二酸化チタン及び前記の他の酸化物及び/又は複合酸化物からなる使用される酸化物の全質量をその都度基準として、80質量%までであってよいが、しかし好ましくは50質量%又はそれ以下であり、特に好ましくは20質量%以下である。
【0023】
装入物質として、本発明による方法において、ベンゾフェノン類及びアンモニアが使用される。
一般式IIのベンゾフェノン類は、溶融物中で又は溶液で、好ましくは溶融物中で使用されることができる。
【0024】
前記化合物中で、m及びnは0〜5の整数であり、かつ化合物I及びII中の置換基R1もしくはR2は次の意味を表す:
1及びR2は、次のものを表すことができる:
・C1〜C4−アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ又はt−ブトキシ、好ましくはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、特に好ましくはメトキシ、エトキシ、
・C1〜C2−アルキルアミン、例えばメチルアミン又はエチルアミン、好ましくはメチルアミン、
・C1〜C4−ジアルキルアミン、例えばジメチルアミン又はジエチルアミン、好ましくはジメチルアミン。
【0025】
1及びR2は、互いに独立して、同じか又は異なっていてよい。
【0026】
芳香核が1つよりも多い置換基R1もしくは1つよりも多い置換基R2で置換されている場合には、核上に存在する置換基は、同じか又は互いに異なっていてよい。
【0027】
置換基R1及びR2は、芳香核の各々の位置で置換されていてよく、しかし好ましくは置換基R1及びR2はo及び/又はp位で置換される。置換パターンは、対称又は非対称であってよい。
【0028】
特に好ましくは、置換基を有さず、かつm及びnがゼロの値を有するCAS番号119-61-9を有するベンゾフェノンが本反応において使用される。このベンゾフェノンは、好ましくは溶融物中で使用される。
【0029】
別の装入物質として、アンモニアが本反応において使用される。アンモニアは、液体の形又は超臨界で使用されることができる。好ましくはアンモニアは液体の形で使用される。
【0030】
通例、式IIのベンゾフェノンに対してモル過剰量のアンモニアが使用される。好ましくは、アンモニア対ベンゾフェノンのモル比は、10〜100対1、好ましくは25〜50対1及び特に好ましくは30〜40対1である。
【0031】
本方法は、不連続に、好ましくは撹拌オートクレーブ中で、又は連続的に、好ましくは管形反応器中で、好ましくは連続的に管形反応器中で実施されることができる。
【0032】
温度は、一般的に、50〜150℃、好ましくは80〜140℃の範囲内、特に好ましくは120〜140℃である。圧力は、通常、50〜350バール、好ましくは150〜250バール、特に好ましくは180〜220バールの範囲内である。
【0033】
連続操作において調節される触媒負荷は、通例、出口流中のベンゾフェノンイミンの最小濃度が維持されるように選択される。通例、出口流中のベンゾフェノンイミンの最小濃度は、80質量%を上回り、好ましくは90質量%を上回り、かつ極めて特に好ましくは95質量%を上回る。
以下に示される典型的な触媒負荷の範囲は、触媒の負荷能力の厳密な限定としてではなく、むしろ例えば反応条件及び反応器ジオメトリーにより影響を受けうる経験値として理解されるべきである。最大の触媒負荷は、しかし当業者により、試験によって容易に確定されることができる。ベンゾフェノンイミン95質量%の最小濃度は、特に好ましいとして挙げられる反応条件の場合に、例えば触媒キログラムあたり及び毎時BP少なくとも0.1kg(kg BP/(kg触媒・h))、例えば触媒キログラムあたり及び毎時BP 0.2〜3kg(kg BP/(kg触媒・h))、好ましくは0.5〜2.5kg BP/(kg触媒・h)及び特に好ましくは0.7〜2.0kg BP/(kg触媒・h)の負荷で得られることができる。
【0034】
不連続法において、二酸化チタンは好ましくは粉末として使用されることができる。不連続法における二酸化チタン粉末対ベンゾフェノンの比は、前記のように、0.001〜10kg 二酸化チタン/kg BPの範囲内、好ましくは0.01〜3kg 二酸化チタン/kg BPの範囲内及び特に好ましくは0.5〜2kg 二酸化チタン/kg BPの範囲内であるべきである。
【0035】
もちろん、本反応において使用される二酸化チタンの活性が低下した場合に、再生が例えば洗浄により可能であることが理解される。洗浄のためには、例えば液体、例えばアンモニア、水又はアルコール、例えばメタノール、エタノール、又はプロパノールが使用されることができる。適した洗液は、前記の液体の混合物であってもよい。
【0036】
式Iのベンゾフェノンイミン類は、合成化学における構成要素として使用されることができる。特に、置換基を有さず、かつm及びnがゼロの値を取るベンゾフェノンイミンは、光安定剤(例えば2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸−エチルエステル)[Bull. Chem. Soc. Fr. (1963) 1576-1583]の製造の際の予備生成物として使用されることができる。
【0037】
本発明による方法の利点は、技術水準に比較して、従来の方法の場合よりも改善された収率及び選択率が達成されることである。
【0038】
本発明による方法の別の利点は、連続的な製造の場合に、出発物質での触媒の負荷が、従来の方法(技術水準)に比較して、ベンゾフェノン類の転化率の低下なしに及び選択率の劣悪化なしに高められることができることである。このことは、例えば既存設備の生産能力拡大もしくは新規設備の場合の反応容積の減少及びそれと結び付いた投資総額の減少を定義された生成物品質を維持しながら可能にする。生成物品質は、当該の場合に、本発明による方法の実施後に不連続な反応器中で反応の終了後にもしくは連続的な反応器の出口で得られるベンゾフェノンイミンの最小含量及びベンゾフェノンの最大含量として定義される。生成物品質への要求は、ベンゾフェノンイミンのさらなる使用及びそれと結び付いた顧客の希望に依存している。
【0039】
以下に記載された試験の場合に、以下で、ベンゾフェノンイミンという概念は、置換基を有さず、かつm及びnがゼロの値を有する式Iのベンゾフェノンイミンに使用される。さらに、ベンゾフェノンという概念は、置換基を有さず、かつm及びnがゼロの値を有する式IIのベンゾフェノンに使用される(CAS番号119-61-9)。
【0040】
触媒の負荷能力の尺度として、以下に記載される管形反応器中での連続的に操作される試験の場合に、仕様限度としての出口流中の95%のベンゾフェノンイミンの最小濃度に基づいて行った。ベンゾフェノンでの触媒の負荷は、連続的な試験において、95%のベンゾフェノンイミン最小濃度を下回るまで上昇させた。出口流中のベンゾフェノンイミンの最小濃度(95%)に関して仕様がまさになお達成されていた負荷は、以下の試験において最大の負荷能力として定義される。ベンゾフェノン及びベンゾフェノンイミン並びに副生物の含量を、ガスクロマトグラフィーを用いて面積パーセント(F%)として計算した。この場合に、信号の面積パーセントは、水信号を除く測定された信号の下方の全面積に基づく。
【0041】
ベンゾフェノン転化率U(BP)は、次の式に従って計算される:
【数1】

【0042】
ベンゾフェノンイミンの収率A(BPI)は、ベンゾフェノン信号の面積パーセントから得られる。
A(BPI)=F%(BPI)
ベンゾフェノンイミンの選択率S(BPI)は、ベンゾフェノンイミン収率及びベンゾフェノン転化率の商として計算される:
【数2】

【0043】
本発明は、以下の例において説明される。
【0044】
切断硬度の測定:
切断硬度の測定を、Zwick-Roell社製の型式BZ 2.5/TS1Sの装置を用いて行った。初期荷重は0.5Nであり、初期荷重速度は10mm/minであり、かつ試験速度は1.6mm/minであった。使用されるナイフの刃の幅は0.6mmであった。示された測定値は、押出物形を有する30の触媒成形体の試験からの平均値である。
【0045】
例1(本発明による方法−連続的):
管形反応器を、1.5mmの直径を有する触媒成形体(押出物)500mlで充填した。触媒成形体中の二酸化チタンの割合の尺度として、チタン含量を決定した。触媒成形体は、純粋な二酸化チタンからなっていた。この二酸化チタンは、99%を上回る割合がアナターゼ変態で存在していた。反応を120℃の温度及び200バールの圧力で実施した。反応器を、0.3kg BP/(kg触媒・h)〜1.2kg BP/(kg触媒・h)の異なる負荷で操作した(第1表参照)。アンモニア対ベンゾフェノンのモル装入物質比は38:1であった。DIN 66,131に従って測定されるBET表面積は100m2/gであった。DIN 66133による水銀ポロシメトリーを用いて測定される細孔容積は0.33mL/gであった。切断硬度は10NMであった。
【0046】
第1表:
【表1】

【0047】
例1は、1.2kg BP/(kg触媒・h)の負荷の場合ですら、最大負荷にまだ達していなかったことを示している。前記試験において、触媒のより高い負荷は、ベンゾフェノンの搬送速度に関する既存の制限によって不可能であった。本発明による触媒を用いて、それゆえ0.6kg BP/(kg触媒・h)を明らかに上回る負荷が達成されることができ、かつ装置技術的な制限が存在しない場合には、それどころか1.2kg BP/(kg触媒・h)を上回って達成されることができる。比較すれば、欧州特許出願公開(EP-A)第0 713 861号明細書においては、ベンゾフェノン転化率は、負荷が増加するにつれて、既に0.6kg BP/(kg触媒・h)の触媒負荷で減少した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

[式中、R1及びR2はC1〜C4−アルコキシ、C1〜C2−アルキルアミン及びC2〜C4−ジアルキルアミンであり、かつm及びnは0〜5の整数を表し、かつR1及びR2は互いに独立して同じか又は異なっていてよい]で示されるベンゾフェノンイミン(BPI)を、一般式II
【化2】

[式中、R1、R2、m及びnは前記の意味を表す]で示されるベンゾフェノン(BP)を、アンモニア中及び二酸化チタンの存在で反応させることにより製造する方法であって、その際に前記二酸化チタンは本質的にアナターゼ変態で存在する、ベンゾフェノンイミン(BPI)の製造方法。
【請求項2】
置換基を有さず、かつm及びnがゼロの値を有する式IIのベンゾフェノンを使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
二酸化チタンの一部が、元素ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、スカンジウム、イットリウム、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル又はタングステンからなる群からの少なくとも1つの酸化物及び/又は複合酸化物により置き換えられる、請求項1から2までのいずれか1項記載の方法。
【請求項4】
二酸化チタンが0.5mm〜10mmのサイズを有する成形体として使用される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ベンゾフェノンイミン類の製造を連続的に行う、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
二酸化チタンを粉末として反応に使用する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
不連続に撹拌オートクレーブ中で実施する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
光安定剤を製造するための、請求項2から7までのいずれか1項に従って製造されたベンゾフェノンイミンの使用。

【公表番号】特表2009−529564(P2009−529564A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558766(P2008−558766)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051931
【国際公開番号】WO2007/104650
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】