説明

ベースと支柱の結合構造

【課題】ボルトとナットで締結するベースと支柱を回り止め状態にしてボルトの緩み発生をなくし、支柱のガタツキ発生を有効に防ぐことができるベースと支柱の結合構造を提供する。
【解決手段】支柱3の下端を嵌挿する回り止め連結具9とベース2とに、ベース2の下面から支柱3内の埋め込みナット8に螺合するボルト6の挿通孔7と14を設け、前記ベース2と回り止め連結具9の重なり面で挿通孔7から離れた位置に、ベース2に対して回り止め連結具9を回り止め状にする一対の第1回り止め機構10と、前記支柱2と回り止め連結具9の嵌合部分に、回り止め連結具9に対して支柱3を回り止め状にする一対の第2回り止め機構11を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベースに立設した支柱の上端にパネルを取付け、このパネルに規制や指示等の文字や図柄、記号等を施し、これを設置することによって規制や指示等の表示を行う表示部材において、前記ベースに対して支柱を回り止め状に固定するための結合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図1のこの発明の例で示すように、例えば、室内や通路等に設置し、順路や禁止事項、コーナ名等の表示を行う表示部材1は、円盤状となるベース2の上面中央にパイプ製の支柱3を立設し、この支柱3の上端にパネル4を垂直に取付け、パネル4に規制や指示等の文字や図柄、記号等を施して形成されている。
【0003】
従来、上記のような表示部材1において、ベース2に対して立設する支柱3の結合構造は、図5に示すように、円盤状となるベース2の上面中央部に上面が平坦な砲台形の膨出部5を設け、この膨出部5の中央にボルト6の挿通孔7を設け、前記支柱3内の下端部にナット8を回り止め状に固定し、ベース2の下面から挿通孔7にボルト6を挿通し、膨出部5の上面に下端を臨ませた支柱3の埋め込みナット8にボルト6を螺合して締め付けることにより、ベース2上に支柱3を直立状に固定するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような結合構造は、ボルト6とナット8の締結力でベース2に支柱3を固定しているため、ボルト6の締め付け力が維持されている間は、支柱3にガタツキの発生はないが、例えば、設置状態において、ボルト6での結合部分に振動や衝撃等の外力が付加されたり、移送時に振動等が加わると、ベース2と支柱3の間において回り止め機能は全くないため、ボルト6に緩みが生じることになり、このボルト6が緩むと支柱3にガタツキが発生するという問題がある。
【0005】
そこで、この発明の課題は、ボルトとナットで締結するベースと支柱を回り止め状態にしてボルトが緩まないようにし、支柱のガタツキ発生を有効に防ぐことができるベースと支柱の結合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような課題を解決するため、この発明は、支柱の下端を嵌挿すると共にベースの上面に載置する回り止め連結具を用い、この回り止め連結具とベースにベースの下面から支柱内の埋め込みナットに螺合する締結具の挿通孔を設け、前記ベースと回り止め連結具の重なり面で挿通孔から離れた位置に、ベースに対して回り止め連結具を回り止め状にする一対の第1回り止め機構と、前記支柱と回り止め連結具の嵌合部分に、回り止め連結具に対して支柱を回り止め状にする一対の第2回り止め機構を設けたものである。
【0007】
上記第1回り止め機構は、ベースの挿通孔から離れた位置に設けた係止孔と、回り止め連結具の下面に係止孔へ嵌合するよう設けた突起で形成され、第2回り止め機構は、回り止め連結具の内周面に設けた突起と、支柱の下端部に突起へ嵌るよう設けた切り欠きで形成されている構造とすることができる。
【0008】
ここで、円盤状となるベースは、支柱の起立を安定よく支持できるよう、金属板を用いて所定の直径と重量を有するように形成され、その上面中央部には締結具の頭部を下面側に収納するための円形の膨出部が設けられ、この膨出部の中央に締結具の挿通孔と、挿通孔から離れた位置に第1回り止め機構の係止孔が穿設されている。
【0009】
前記支柱は、所定長さの金属パイプを用い、その下端側内部に埋め込みナットが回り止め状に固定されている。
【0010】
上記回り止め連結具は、硬質の合成樹脂を用い、円形底壁の周囲上面側に支柱の下端を嵌挿する筒状の周壁を設けて形成され、底壁の中央に締結具の挿通孔が穿設され、底壁の下面外周寄りの位置に、第1回り止め機構の突起と、周壁の内周面に第2回り止め機構の突起が一体成形されている。
【0011】
上記ベースに対する支柱の結合は、ベースの膨出部上面に回り止め連結具を重ねて第1回り止め機構を係合させ、ベースの膨出部下面から挿通孔に締結具を挿通し、回り止め連結具の周壁に下端を嵌めた支柱のナットに締結具を螺合して締め付けることにより、ベース上に支柱を直立状に固定することができ、ベースに対して回り止め連結具は第1回り止め機構で回り止めとなり、回り止め連結具に対して支柱は第2回り止め機構で回り止めとなるため、締結具による締結部分に緩み方向の力が加わらないため、支柱のガタツキ発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によると、回り止め連結具を用い、第1回り止め機構でベースと回り止め連結具を回り止めにし、第2回り止め機構で回り止め連結具と支柱を回り止めにして、締結具でベースと支柱を結合するので、ベースと支柱は回り止めの関係になり、振動や衝撃等の外力が付加されても、締結具には緩み方向の力が加わらないので、締結具に緩みが生じることはなく、支柱にガタツキが発生するのを効果的に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1乃至図4のように、表示部材1は、円盤状となるベース2の上面中央に回り止め連結具9を載置し、この回り止め連結具9にパイプ製支柱3の下端を挿入し、回り止め連結具9を介してベース2と支柱3を締結具であるボルト6で結合して支柱3を立設し、ベース2と回り止め連結具9の重なり部分に第1回り止め機構10を設け、回り止め連結具9と支柱3の嵌合部分に第2回り止め機構11を設け、前記支柱3の上端にパネル4を垂直に取付け、パネル4に規制や指示等の文字や図柄を施して形成されている。
【0015】
上記ベース2は、支柱の起立を安定よく支持できるよう、金属板を用いて所定の直径と重量を有する円盤状に形成され、その上面中央部にはボルト6の頭部6aを下面側に収納するための砲台形の膨出部5が設けられ、この膨出部5の中央にボルト6の挿通孔7が穿設されている。
【0016】
上記支柱3は、所定長さと直径を有する金属パイプを用い、その下端側内部に埋め込みナット8が回り止め状に固定され、上端にパネル4を取付けるようになっている。この支柱3は、長さが一定のものでも、図1のように上下長さの調整が可能なものでもよい。
【0017】
上記回り止め連結具9は、ナイロン等の硬質の合成樹脂を用い、円板形となる底壁12の周囲上面側に支柱3の下端を嵌挿する筒状の周壁13を設けて形成され、底壁12の中央にボルト6の挿通孔14が設けられている。
【0018】
上記ベース2と回り止め連結具9に設けた一対の第1回り止め機構10は、ベース2の膨出部5で回り止め連結具9の底壁12が重なる範囲内において、挿通孔7から離れた位置に設けた係止孔10aと、回り止め連結具9の下面に、ボルト6の挿通孔7、14を同軸心の配置とした状態で係止孔10aへ嵌合するよう設けた軸状の突起10bの組み合わせによって形成されている。
【0019】
なお、係止孔10aと突起10bからなる上記第1回り止め機構10は、複数組を設けるようにしてもよい。
【0020】
また、回り止め連結具9と支柱3の嵌合部分に設けた一対の第2回り止め機構11は、回り止め連結具9の周壁13における内周面に設けた突起11aと、支柱3の下端部に周壁13内への挿入時に突起11aへ嵌るよう設けた切り欠き11bで形成され、これら突起10bと11aは回り止め連結具9と一体成形されている。
【0021】
この発明の結合構造は、上記のような構成であり、ベース2上に支柱3を結合するには、ベース2の膨出部5の上面に回り止め連結具9を載置して第1回り止め機構10の係止孔10aに突起10bを嵌合し、ベース2と回り止め連結具9の挿通孔7、14を一致させ、回り止め連結具9の周壁13内に支柱3の下端を嵌め込み、第2回り止め機構11の突起11aに支柱3の切り欠き11bを嵌め合わせる。
【0022】
この状態で、座金15とスプリングワッシャ16をセットしたボルト6を、ベース2の下面から挿通孔7、14に挿入し、支柱3の埋め込みナット8に螺合して締め付ければ、支柱3がベース2に回り止め連結具9を介して固定され、下端が回り止め連結具9の周壁13で保持された支柱3は安定よく起立する。
【0023】
上記のように、ベース2に固定された支柱3の上端に、規制や指示等の文字や図柄、記号を施したパネル4を取付ければ表示部材1が完成し、ベース2を床面等に設置して所望の位置に配置すれば、支柱3の上端に取付けたパネル4の記載内容による表示が行える。
【0024】
上記表示部材1において、ベース2への支柱3の結合に回り止め連結具9を用い、第1回り止め機構10の係合孔10aと突起10bによってベース2と回り止め連結具9を回り止めにし、第2回り止め機構11の突起11aと切り欠き11bによって、回り止め連結具9と支柱3を回り止めにし、この状態でボルト6とナット8でベース2と支柱3を結合しているので、ベース2と支柱3は回り止め連結具9を介して回り止めの関係になり、振動や衝撃等の外力が付加されても、ボルト6には緩み方向の力が加わらないので、ボルト6は緩みが生じることはなく、これにより、支柱3にガタツキが発生するのを防ぐことができる。
【0025】
なお、ベース2と支柱3の結合構造の使用例として表示部材1を示したが、用途はこのような表示部材1に限定されるものではなく、ボルトとナットによる円盤とパイプの結合部分に広く採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】表示部材の斜視図
【図2】ベースと支柱の結合構造を示す分解斜視図
【図3】ベースと支柱の結合構造を示す結合状態の縦断正面図
【図4】ベースと支柱の結合構造を示す結合状態の縦断側面図
【図5】従来のベースと支柱の結合構造を示す結合状態の縦断正面図
【符号の説明】
【0027】
1 表示部材
2 ベース
3 支柱
4 パネル
5 膨出部
6 ボルト
7 挿通孔
8 ナット
9 回り止め連結具
10 第1回り止め機構
11 第2回り止め機構
12 底壁
13 周壁
14 挿通孔
15 座金
16 スプリングワッシャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱の下端を嵌挿する回り止め連結具と、この回り止め連結具を上面に載置するベースとに、ベースの下面から支柱内の埋め込みナットに螺合する締結具の挿通孔を設け、前記ベースと回り止め連結具の重なり面で挿通孔から離れた位置に、ベースに対して回り止め連結具を回り止め状にする一対の第1回り止め機構と、前記支柱と回り止め連結具の嵌合部分に、回り止め連結具に対して支柱を回り止め状にする一対の第2回り止め機構を設けたベースと支柱の結合構造。
【請求項2】
上記ベースに対して回り止め連結具を回り止め状にする一対の第1回り止め機構が、ベースの挿通孔から離れた位置に設けた係止孔と、回り止め連結具の下面に係止孔へ嵌合するよう設けた突起で形成されている請求項1に記載のベースと支柱の結合構造。
【請求項3】
上記回り止め連結具に対して支柱を回り止め状にする一対の第2回り止め機構が、回り止め連結具の内周面に設けた突起と、支柱の下端部に突起へ嵌るよう設けた切り欠きで形成されている請求項1に記載のベースと支柱の結合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−2907(P2007−2907A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183116(P2005−183116)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(597149836)株式会社ノムラエスデイ (1)
【Fターム(参考)】